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JP3960661B2 - 電子写真用トナー - Google Patents

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JP3960661B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、α−オレフィンと無水マレイン酸および/またはマレイン酸エステルの共重合体を構成する無水マレイン酸および/またはマレイン酸エステルを、ジオール成分または3価以上のポリオール成分で架橋することにより、低温定着性に必要な低融点を維持しながら、相溶性の向上および樹脂強度の向上を図ったオレフィン系樹脂を使用した電子写真用トナーに関し、特に熱ロール定着を採用している複写機またはプリンター用の電子写真用トナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に低分子量ポリオレフィン系の樹脂は、耐寒性、耐熱性、耐薬品性、耐磨耗性等に優れるため、ゴム、プラスチック等の加工における加工性向上剤、印刷インキや塗料の顔料分散剤、耐磨耗性・耐ブロッキング性向上剤、つや出し剤、離型剤、電気絶縁材料、防錆剤等に使用されている。しかし、ポリオレフィン系の樹脂は一般的に、溶融時の粘度が低粘度であり取り扱い性が良好な反面、他の樹脂との相溶性に乏しく溶剤にも溶解しにくいため、この点の改良が要求されている。
また、電子写真分野においては、ポリオレフィン系樹脂は複写機あるいはプリンター等に使用されるトナーの離型剤として、オフセット現象を防止するために広く使用されている。近年、プリンターあるいは複写機の普及が広まるにつれて、家庭への普及及び多機能化を主な目的とした低エネルギー化(消費電力の削減)、印刷機と複写機との境界に位置するいわゆるグレイエリアへの普及を目的とした高速化、あるいは機械コストを下げるための定着ロールの簡素化のための低ロール圧力化が望まれており、また、複写機の高級化に伴い両面コピー機能や原稿自動送り装置の搭載された複写機が広く普及されてきたため、複写機及びプリンターに使用される電子写真用トナーには定着温度が低く、耐オフセット性が優れて、かつ両面コピー時の汚れや、コピーしたものを原稿とする際に、原稿自動送り装置における汚れの発生を防止するため転写紙への定着強度の優れた電子写真用トナーが要求されている。
【0003】
これらの要求に対して従来技術では、ポリオレフィンと極性モノマーとの共重合や酸化分解、各種化学変性等によって極性基の導入がなされ、他樹脂との相溶性の向上を図っている。また、電子写真分野においては、低融点化したポリオレフィンワックスの配合、樹脂と相溶性の良いワックスを使用する、また、結着樹脂の分子量や分子量分布の改良等を行い、電子写真用トナーの低エネルギー定着化を図っている。
【0004】
しかしながら、ポリオレフィンへの極性基の導入だけでは、ある程度は相溶性および分散性を向上させることはできるが、樹脂の種類によってはその効果がほとんど得られないものがあり、不充分なものであった。また、従来の電子写真用トナーにおいては、結着樹脂に対して低融点ワックスを添加することによって低温定着化を達成していた。しかし、この場合の結着樹脂としては、一般的にスチレン−アクリル系共重合体や、ポリエステル樹脂が使用されているため、樹脂との相溶性が良好でない前記低融点ワックス、すなわち、低分子量のポリエチレン、ポリプロピレンワックス等は、溶融混練時に結着樹脂中に不均一に分散し、帯電性の不安定な粒子の存在によって、画像濃度の低下等を引き起こす問題があった。また、上記のような分散性の改善のため、極性基を導入したポリオレフィンワックスを添加する方法も検討されているが、やはり充分に均一な粒子ができず問題を解決するまでに至っていない。逆に、結着樹脂と相溶するカルナバワックス、ライスワックス等の場合は、結着樹脂のガラス転移点温度が下がり、保存安定性を低下させる問題があった。
【0005】
一方、結着樹脂の低分子量化では、ポリエステル樹脂に代表される様な縮合系樹脂での低分子量化では、融点は低下したものの、粘度低下も同時に起こり、定着ロールへのオフセット現象が発生する問題があった。これを防ぐために、架橋構造を導入してポリエステル樹脂の分子量分布を広くすることが提案されている。しかし、この方法においては架橋によって分子量分布は広がり、オフセット現象は抑えられるものの、全体の分子量が高分子化するために、低温定着性が悪化する問題があった。このため、低温定着化のためには結着樹脂のガラス転移点温度(Tg)を下げざるを得ないため、ブロッキングを生じやすくなり、保存性を満足することができなかった。このように従来技術では耐オフセット性、保存性を満足しながら、低温定着性を達成することができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上述したような従来技術のポリオレフィン系樹脂の問題点を解決することによって、低融点、低粘度であることを損なわずに、樹脂との相溶性が良好である新規樹脂を提供することにある。また、電子写真分野においては、該樹脂を電子写真用トナーの結着樹脂に使用することによって、従来の電子写真用トナーにおける問題点を改良し、保存性を損なうことなく低温で定着することができ、オフセット現象等の問題を発生せず、転写紙への定着強度の優れた電子写真用トナーを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも着色剤と、α−オレフィンと無水マレイン酸および/またはマレイン酸エステルの共重合体とを含有し、該共重合体が、ジオール成分および3価以上のポリオール成分のうちから選択される少なくとも1種類により架橋されていることを特徴とする電子写真用トナーである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のオレフィン系樹脂は、α−オレフィンと無水マレイン酸および/またはマレイン酸エステルの共重合体において、ジオール成分および3価以上のポリオール成分から選択される少なくとも1種類を、前記無水マレイン酸および/またはマレイン酸エステルとエステル化および/またはエステル交換反応させることによって、架橋を形成することを特徴とする。このような架橋反応をさせることによって、前記共重合体にエステル結合が導入され、低融点を維持したままで、従来の技術では相溶することが困難であった樹脂との相溶性を図れるため、従来以上の特性を得ることができる。
また、電子写真用トナーとしては、低融点の性質を維持しながら、かつ結着樹脂の性質である脆さを改善し、トナー特性として、従来の技術では達成することができなかった低温定着性と耐オフセット性および保存性を全て満足することができる。
【0009】
本発明のオレフィン系樹脂は、ジオール成分および3価以上のポリオール成分の含有率が、無水マレイン酸単位およびマレイン酸エステル単位に対し、5〜100モル%であることが好ましい。さらに好ましくは、10〜80モル%である。5モル%より少ないとエステル結合の導入が不充分であり相溶性を向上させる効果がなく、トナーとしては架橋が不充分であり、トナーとしての耐久性および耐オフセット性を充分に付与することができないおそれがある。
【0010】
本発明に使用するα−オレフィンと無水マレイン酸および/またはマレイン酸エステルの共重合体は、示差走査熱量計(DSC:セイコー電子工業社製DSC−120)で10℃から200℃までの測定範囲において測定した結果、最初に現れる吸熱ピーク温度が60〜120℃が好ましい。さらに好ましくは、70〜100℃である。吸熱ピーク温度が60℃未満の場合は、電子写真用トナーにした時に保存性が悪化することになり、逆に120℃をこえてしまうと、低温定着向きには適さない。
【0011】
本発明での吸熱ピーク温度を測定する方法としては、ASTM D−3418−82に準拠し算出する。具体的にはサンプルを10〜15mg採取し窒素雰囲気下で室温から200℃まで昇温温度10℃/minで加熱し、200℃に10分間保持した後、急冷する前処理を行った後、再び10℃に10分間保持し、10℃/minの昇温速度で200℃まで加熱し測定する。そのときに最初に現れるピークを吸熱ピーク温度と定義する。
【0012】
また、本発明に使用される共重合体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCという)によって測定される。
GPCの測定は、温度25℃において溶媒(クロロホルム)を毎分1mlの流速で流し、濃度0.4gr/dlのクロロホルム試料溶液を試料重量として8mg注入し測定する。また、試料の分子量測定にあたっては、該試料の有する分子量分布が、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の分子量の対数と、カウント数が直線となる範囲内に包含される測定条件を選択する。また、本測定にあたり、測定の信頼性は上述の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン標準試料(Mw=28.8×10 、Mn=13.7×10 、Mw/Mn=2.11)のMw/Mnが2.11±0.10となることにより確認し得る。
また、本発明に使用する共重合体の重合度は、GPCで測定した分子量と、共重合体を構成するα−オレフィンと無水マレイン酸および/またはマレイン酸エステルの構造単位と、その配合の割合から算出し求めることができる。
この場合、共重合体の重合度は20〜150の範囲であることが好ましい。共重合体の重合度が20より小さいと、樹脂強度が極端に小さくなり、架橋を行っても充分な樹脂強度が得られず、また、電子写真用トナーの結着樹脂として使用した時、保存性が損なわれる。逆に、共重合体の重合度が150より大きいと、低融点、低粘度の特性が得られにくくなり、また、電子写真用トナーの結着樹脂として使用した時、低温定着性が損なわれるおそれがある。
【0013】
本発明の共重合体のモノマー成分であるα−オレフィンとしては、炭素数22以下のα−オレフィンを使用することが好ましく、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−ドコセン等が挙げられる。また、マレイン酸エステルとしては、後述の式(3)で示す、炭素数が20以下のアルキルエステルを適宜使用することができる。
【0014】
本発明における共重合体は、上述のモノマー成分、すなわちα−オレフィンと無水マレイン酸、α−オレフィンとマレイン酸エステルまたは、α−オレフィンと無水マレイン酸とマレイン酸エステルを共重合するものである。その場合、α−オレフィンと無水マレイン酸および/またはマレイン酸エステルとの反応は、特に限定されるものではないが、溶媒中で行い、触媒として、例えば塩化チタン、トリエチルアンモニウム等の存在下で行うことが好ましい。α−オレフィンが気体の場合は、反応系内を一定の圧力に保持しながら反応させることが好ましい。
【0015】
本発明において、α−オレフィンと無水マレイン酸および/またはマレイン酸エステルの共重合体であれば特に限定されるものではないが、該共重合体として下記式(1)で示される構造単位Aと、
【化3】
Figure 0003960661
(式中のRは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基)
下記式(2)および/または(3)で示される構造単位Bとからなるものが好ましい。
【化4】
Figure 0003960661
(式中のR’は炭素数1〜20のアルコキシル基)
さらに、該構造単位の割合がA:B=20:80〜80:20である共重合体が、特に低融点で他樹脂との相溶性に優れ、また電子写真用トナーに使用した場合、低温定着性、耐オフセット性、保存性等に優れた特性が達成されることから好適である。
【0016】
本発明において共重合体に使用されるジオール成分としては、ジエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、オクタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、スピログリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ドデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、ビス(ヒドロキシブチル)テレフタレート、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビフェノール、ポリオキシプロピレン化ビフェノール等を挙げることができる。
【0017】
また、3価以上のポリオール成分としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール等を挙げることができる。
【0018】
上記のジオール成分については、長鎖の脂肪族ジオールを使用した場合に特に良好な特性が得られる。ここでいう長鎖とは、炭素数が12〜50のものであり、最も好ましくは炭素数が12〜30のものである。炭素数が12より小さいと、低温定着性が充分に得られないおそれがあり、逆に炭素数が50を越えると、トナー用樹脂に使用した場合、トナーとして保存安定性が損なわれるおそれがある。また、ポリオキシアルキレングリコールについては、分子量200〜10000のものが良好な特性が得られる。特に好ましくは、分子量400〜2000である。分子量が200より小さいと、同様に低温定着性が充分に得られないおそれがあり、逆に分子量が10000を越えると、やはりトナーとしての保存安定性が損なわれるおそれがある。芳香族ジオールの場合は、前述の中でも、ポリオキシアルキレン化ビスフェノールAを使用すると特に良好な特性が得られる。
【0019】
本発明のオレフィン系樹脂の製造方法は、前述のα−オレフィンと無水マレイン酸および/またはマレイン酸エステルの共重合体と、ジオール成分および3価以上のポリオール成分から選択される少なくとも1種類とを混合し、通常のエステル化反応と同様の反応操作により、無水マレイン酸および/またはマレイン酸エステルとジオールおよび3価以上のポリオールの水酸基とのエステル化および/またはエステル交換反応によって、架橋を形成させて製造することができる。
【0020】
次に、本発明の電子写真用トナーについて説明する。
本発明の電子写真用トナーは、前述のオレフィン系樹脂を結着剤として使用するものである。
ここで、前述のオレフィン系樹脂の好ましい組成および特性に加えて、該オレフィン系樹脂の溶融開始温度が、60〜120℃であることが好ましい。さらに好ましくは、70〜100℃である。溶融開始温度が60℃未満では保存性が損なわれ、逆に120をこえると低温定着性が損なわれる問題を生じやすくなる。かかる範囲にオレフィン系樹脂の溶融開始温度をコントロールするためには、樹脂組成や、架橋反応の条件を適宜調整すれば良い。
【0021】
本発明のオレフィン系樹脂の溶融開始温度については、高架式フローテスター(島津製作所社製:CFT−500)を使用し、下記の測定条件により求めた。測定条件;
プランジャー:1cm2
ダイの直径 :1mm
ダイの長さ :1mm
荷重 :20kgF
予熱温度 :50〜80℃
予熱時間 :300sec
昇温速度 :6℃/min
【0022】
本発明の電子写真用トナーは、少なくとも以上説明したオレフィン系樹脂と着色剤を含有するもので、必要に応じて他の樹脂、磁性体、帯電制御剤、及びその他の添加剤を使用することができ、これらの原材料を混合し、熱溶融混練、粉砕、分級することにより製造できる。混合には例えば、スーパーミキサー等、熱溶融混練には1軸押出混練機、2軸押出混練機、エクストルーダー、ローラーミキサー、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等が使用され、粉砕にはジェットミル、分級には乾式気流分級機が使用される。
【0023】
本発明の電子写真用トナーの結着樹脂としては、本発明のオレフィン系樹脂とともに、必要に応じて他の樹脂、例えば、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の樹脂を配合しても良い。この場合の他の樹脂の配合量は、オレフィン系樹脂によるトナーとしての低温定着性、耐オフセット性、保存性等を損なわないために、50wt%以下であることが好ましい。
【0024】
本発明に使用する着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、キノリンイエロー、マラカイトグリーン、ランプブラック、ローダミン−B、キナクリドン等が挙げられる。着色剤の添加量は結着樹脂に対して、1〜20重量%である。電荷制御剤としては、正帯電トナー用としてニグロシン染料、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、アジン等を結着樹脂に対して、0.1〜10重量%添加する。負帯電トナー用電荷制御剤としては、クロム錯体及び鉄錯体等を使用する。また、負帯電性が強すぎる時には、上記正帯電性電荷制御剤を添加して、中和制御することも可能である。
【0025】
本発明の電子写真用トナーに使用するオレフィン系樹脂は、それ自身が良好な離型性を有するため、特にワックス等の離型剤を添加する必要性はないが、添加することは可能である。
【0026】
本発明の電子写真用トナーに用いられる磁性体としては、フェライト、マグネタイトを始めとする鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性を示す金属もしくは合金またはこれらの元素を含む化合物、あるいは強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫等のマンガンと銅とを含むホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、または二酸化クロム、その他を挙げることができる。これらの磁性体は平均粒径0.1〜1ミクロンの微粉末の形で結着樹脂中に均一に分散される。そして、その含有量は、トナー100重量部当たり20〜70重量部、好ましくは40〜70重量部である。
【0027】
本発明の電子写真用トナーは、フェライト粉や鉄粉などよりなるキャリアーと混合されて二成分系現像剤とされる。また磁性体が含有される時は、キャリアーと混合しないでそのまま一成分系現像剤として静電荷像の現像剤に使用されるか、あるいは、キャリアーと混合されて二成分系現像剤として使用しても良い。さらには、非磁性一成分の現像方法にも適用可能である。
【0028】
【実施例】
以下に本発明に使用する樹脂の合成例及び本発明の実施例に基づき、より詳細に説明するが、本発明はこの例にのみ限定されるものではない。なお、実施例において部とは重量部を示す。
〈合成例1〉
1−ドデセンと無水マレイン酸のモル比1:1の共重合体500g(分子量10000,吸熱ピーク温度73℃,ケン化価421.9mgKOH/g)と、1,16−ヘキサデカンジオール73.5g(0.285モル,無水マレイン酸に対して15.2モル%)を温度計、撹拌装置、コンデンサー、窒素導入管を取り付けたガラス製2リットルの4口フラスコに入れ、マントルヒーターで加熱し、180℃の反応温度で、3時間窒素気流下で加熱撹拌した後、1時間かけて200℃に昇温し、さらに2時間の加熱攪拌後、溶融状態で取り出し、室温で冷却し本発明のオレフィン系樹脂(樹脂A)を得た。この樹脂の溶融開始温度は、74℃であった。
【0029】
〈合成例2〉
1−エイコセンと無水マレイン酸のモル比2:1の共重合体500g(分子量12000,吸熱ピーク温度78℃,ケン化価170.5mgKOH/g)と、ポリエチレングリコール380g(分子量1000,水酸基価112.2mgKOH/g,無水マレイン酸に対して50モル%)をガラス製2リットルの4口フラスコに入れ、合成例1と同様の操作によって、本発明のオレフィン系樹脂(樹脂B)を得た。この樹脂の溶融開始温度は、78℃であった。
〈合成例3〉
1−ヘキサデセンとマレイン酸ジメチルの1:1の共重合体500g(分子量9500,吸熱ピーク温度72℃,エステル価304.9mgKOH/g)と、ポリテトラメチレングリコール183g(分子量625,水酸基価180mgKOH/g,マレイン酸ジメチルに対して21.6モル%)をガラス製2リットル4口フラスコに入れ、合成例1と同様の操作によって、本発明のオレフィン系樹脂(樹脂C)を得た。この樹脂の溶融開始温度は73℃であった。
【0030】
〈合成例4〉
1−オクタデセンとマレイン酸ジエチルのモル比1:2.5の共重合体500g(分子量9800,吸熱ピーク温度70℃,エステル価411.4mgKOH/g)と、ビスフェノールAエチレンサイド6モル付加物101g(0.25モル,マレイン酸ジエチルに対して13.6モル%)をガラス製2リットル4口フラスコに入れ、合成例1と同様の操作によって、本発明のオレフィン系樹脂(樹脂D)を得た。この樹脂の溶融開始温度は、71℃であった。
〈合成例5〉
1−ブテンと無水マレイン酸のモル比3:1の共重合体500g(分子量6500,吸熱ピーク温度80℃,ケン化価421.9mgKOH/g)と、トリメチロールプロパン53.7g(0.4モル,無水マレイン酸に対して31.9モル%)をガラス製2リットル4口フラスコに入れ、合成例1と同様の操作によって、本発明のオレフィン系樹脂(樹脂E)を得た。この樹脂の溶融開始温度は、81℃であった。
【0031】
〈合成例6〉
1−ヘキサデセンと無水マレイン酸とマレイン酸ジオクチルのモル比4:1:1の共重合体500g(分子量9800,吸熱ピーク温度72℃,ケン化価168.2mgKOH/g)と、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物95g(0.3モル,無水マレイン酸およびマレイン酸ジオクチルの合計量に対して40モル%)をガラス製2リットル4口フラスコに入れ、合成例1と同様の操作によって、本発明のオレフィン系樹脂(樹脂F)を得た。この樹脂の溶融開始温度は72℃であった。
〈合成例7〉
1−エイコセンとマレイン酸ジメチルのモル比2:1の共重合体500g(分子量10000,吸熱ピーク温度73℃,エステル価159mgKOH/g)と、ポリテトラメチレングリコール25g(分子量1000,水酸基価112.2mgKOH/g,マレイン酸ジメチルに対して3.5モル%)をガラス製2リットル4口フラスコに入れ、合成例1と同様の操作によって、本発明のオレフィン系樹脂(樹脂G)を得た。この樹脂の溶融開始温度は73℃であった。
【0032】
〈比較合成例1〉
スチレンと無水マレイン酸のモル比1:1の共重合体500g(分子量5000,ケン化価555.5mgKOH/g,ガラス転移温度65℃)と、1,12−ドデカンジオール101g(0.5モル,無水マレイン酸に対して20.2モル%)をガラス製2リットルの4口フラスコに入れ、合成例1と同様の操作によって、比較用の樹脂(樹脂H)を得た。この樹脂の溶融開始温度は、125℃であった。
〈比較合成例2〉
1−ヘキサデセンとアクリル酸のモル比2:1の共重合体500g(分子量7000,吸熱ピーク温度78℃,酸価107.9mgKOH/g)と、オクタンジオール35.1g(0.24モル,アクリル酸に対して50モル%)をガラス製4口フラスコに入れ、合成例1と同様の操作によって、比較用の樹脂(樹脂I)を得た。この樹脂の溶融開始温度は、79℃であった。
〈比較合成例3〉
1−ドデセンと無水マレイン酸のモル比1:1の共重合体500g(分子量10000,吸熱ピーク温度73℃,ケン化価421.9mgKOH/g)と、ラウリルアルコール211.8g(1.13モル,無水マレイン酸に対して30.1モル%)をガラス製2リットルの4口フラスコに入れ、合成例1と同様の操作によって、比較用のオレフィン系樹脂(樹脂J)を得た。この樹脂の溶融開始温度は70℃であった。
【0033】
次に、前記各合成例及び比較合成例の樹脂を他の原料と下記のような配合比にてスーパーミキサーで混合し、溶融混練後、粉砕分級して平均粒子系が11μmの粒子を得た後、疎水性シリカ(日本アエロジル社製 商品名;R−972)0.3部をヘンシェルミキサーによって、該樹脂に付着させ負帯電性の電子写真用トナーを得た。
〈実施例1〉
樹脂A 100部
カーボンブラック 6.5部
(三菱化学社製 MA−100)
クロム系錯塩染料 2部
(保土谷化学工業社製 TRH)
【0034】
〈実施例2〉
樹脂B 100部
カーボンブラック 6.5部
(三菱化学社製 MA−600)
クロム系錯塩染料 2部
(オリエント化学社製 ボントロンS−34)
〈実施例3〉
樹脂C 100部
カーボンブラック 6.5部
(三菱化学社製 MA−100)
鉄系錯塩染料 2部
(保土谷化学工業社製 T−77)
【0035】
〈実施例4〉
樹脂D 100部
カーボンブラック 6.5部
(三菱化学社製 MA−600)
クロム系錯塩染料 2部
(オリエント化学社製 ボントロンS−34)
〈実施例5〉
樹脂E 100部
カーボンブラック 6.5部
(三菱化学社製 MA−100)
クロム系錯塩染料 2部
(保土谷化学工業社製 TRH)
【0036】
〈実施例6〉
樹脂F 100部
カーボンブラック 6.5部
(三菱化学社製 MA−100)
クロム系錯塩染料 2部
(オリエント化学社製 ボントロンS−34)
〈実施例7〉
樹脂G 100部
カーボンブラック 6.5部
(三菱化学社製 MA−600)
クロム系錯塩染料 2部
(保土ヶ谷化学工業社製 TRH)
【0037】
〈比較例1〉
樹脂H 100部
カーボンブラック 6.5部
(三菱化学社製 MA−100)
クロム系錯塩染料 2部
(オリエント化学社製 ボントロンS−34)
〈比較例2〉
樹脂I 100部
カーボンブラック 6.5部
(三菱化学社製 MA−600)
鉄系錯塩染料 2部
(保土谷化学工業社製 T−77)
【0038】
〈比較例3〉
樹脂J 100部
カーボンブラック 6.5部
(三菱化学社製 MA−100)
クロム系錯塩染料 2部
(保土谷化学工業社製 TRH)
〈比較例4〉
合成例1で使用した1−ドデセンと無水マレイン酸の共重合体 100部
カーボンブラック 6.5部
(三菱化学社製 MA−100)
クロム系錯塩染料 2部
(オリエント化学社製 ボントロンS−34)
【0039】
〈比較例5〉
ポリエステル樹脂 100部
(日本カーバイト工業社製,D−001)
カーボンブラック 6.5部
(三菱化学社製,MA−600)
クロム系錯塩染料 2部
(オリエント化学社製 ボントロンS−34)
【0040】
上記実施例及び比較例について、下記の評価を行った。
(1)定着温度幅
前記実施例及び比較例で得た、電子写真用トナー4部と樹脂被覆を施していないフェライトキャリア(パウダーテック社製 商品名;FL−1020)96部とを混合して、二成分系現像剤を作製した。次に該現像剤を使用して、市販の複写機(三洋電機社製Z−133)によりA4の転写紙に縦2cm、横5cmの帯状の未定着画像を複数作製した。ついで、表層がポリテトラフルオロエチレンで形成された熱定着ロールと、表層がシリコーンゴムで形成された圧力定着ロールが対になって回転する定着機を、ロール圧力が1kg/cm 、及びロールスピードが200mm/secになるように調節し、該熱定着ロールの表面温度を段階的に5℃ずつ昇温させて、各表面温度において上記未定着画像を有した転写紙のトナー画像の定着を行った。このときトナー画像の定着の有無と余白部分にオフセットによるトナー汚れが生じるか否かの観察を行い、トナー画像の定着が充分でかつ余白部分に汚れが生じない温度領域の最大値と最小値の幅を、定着温度幅とした。なお、定着機が最大230℃の設定のため、230℃で良好な時は230℃以上と評価した。
【0041】
(1)定着強度
前記定着機の熱定着ロールの表面温度を130℃に設定し、前記未定着画像が形成された転写紙のトナー像の定着を行った。そして、形成された定着画像の画像濃度を反射濃度計(マクベス社製 RD−914)を使用して測定した後、該定着画像に対し、堅牢度試験機で綿パッドによる摺擦(荷重300g/cm ,5往復)を施し、ついで同様にして摺擦部分の画像濃度を測定した。得られた測定値から、下記式によって定着強度を算出し、低温定着トナーの指標とした。結果を表1に示す。
定着強度(%)=(摺擦後の定着画像の画像濃度/摺擦前の画像濃度)×100
【0042】
【表1】
Figure 0003960661
【0043】
表1の結果から明らかなように、本発明のオレフィン系樹脂を用いた電子写真用トナーの定着温度幅は、100℃以上の幅を有し、低温度側では100℃から定着し、高温度までオフセット発生もなく、優れた耐オフセット性を有していることが確認された。また、130℃の定着温度における定着強度が、80%以上であり実用上十分な定着強度を有することから、低温定着性に優れていることが確認された。さらに、現像された画像の画像濃度も十分であり、非画像部分のかぶり等もなく実用上十分なものであった。一方、比較例の電子写真用トナーは、耐オフセット性に劣り定着温度幅が得られないか、定着温度幅が得られても低温定着性に劣り、130℃ではオフセットの発生あるいは、未定着のため評価不能であった。
【0044】
また、前項(1)の定着温度幅の評価の際に作製した実施例の電子写真用トナーを用いた各現像剤および複写機を使用して、10000枚までの連続コピー試験を行った。その結果、全ての実施例において、ブローオフ摩擦帯電量測定装置(東芝ケミカル社製)による、摩擦帯電量が初期から10000枚までの間、−25μc/g〜−29μc/gの値で推移し、画像濃度も初期から10000枚までの連続コピーの過程で、1.4以上を維持し、かつ色差計(日本電色社製、Z−1001DP)で測定した非画像部の地かぶりも0.6以下であり、実用上問題のないことが確認された。また、各実施例の電子写真用トナーを、50℃に2日間放置しても、ブロッキング、ケーキングの発生は認められず、良好な保存性を有するものであった。
【0045】
【発明の効果】
本発明のオレフィン系樹脂は、α−オレフィンと無水マレイン酸および/またはマレイン酸エステルの共重合体に、ジオール成分および3価以上のポリオール成分から選択される少なくとも1種類との反応によって、エステル結合が導入され、従来は相溶させることが困難であった樹脂との相溶性の向上と樹脂強度を向上した樹脂であり、その樹脂を電子写真用トナーに使用することによって、低融点かつ低溶融粘度であることを維持したままで、優れた耐オフセット性の付与が可能であることから、従来の技術では達成することができなかった、保存性を損なうことなく低温定着性に優れ、耐オフセット性を満足する電子写真用トナーが得られる。
よって、複写機あるいはプリンター等に適用した場合、消費電力削減することができ、ロールの低圧力化による機械コストの削減、複写速度の高速化等に極めて有効なものである。

Claims (8)

  1. 少なくとも着色剤と、α−オレフィンと無水マレイン酸および/またはマレイン酸エステルの共重合体とを含有し、該共重合体が、ジオール成分および3価以上のポリオール成分のうちから選択される少なくとも1種類により架橋されていることを特徴とする電子写真用トナー。
  2. 前記共重合体が、下記式(1)で示される構造単位Aと、
    Figure 0003960661
    (式中のRは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基)
    下記式(2)および/または(3)で示される構造単位Bとからなり、かつ重合度が20〜150であることを特徴とする請求項1記載の電子写真用トナー
    Figure 0003960661
    (式中のR'は炭素数1〜20のアルコキシル基)
  3. 前記構造単位Aと構造単位Bの割合がA:B=20:80〜80:20であることを特徴とする請求項2記載の電子写真用トナー
  4. 前記共重合体の示差走査熱量計による吸熱ピーク温度が、60〜120℃であることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真用トナー
  5. 前記無水マレイン酸および/またはマレイン酸エステルの5〜100モル%が架橋されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真用トナー
  6. ジオール成分が、炭素数12〜50の長鎖の脂肪族ジオールであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真用トナー
  7. ジオール成分が、ポリオキシアルキレングリコールであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真用トナー
  8. ジオール成分が、ポリオキシアルキレン化ビスフェノールAであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真用トナー
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