しかしながら、従来のエアツールのでは、空気通路(94)の開閉により供給空気の流量調整はできるものの、レバー(97)の操作加減によって、エアツール使用時にこの流量が変動する可能性があった。この問題は、上述のパルスレンチだけでなく、研磨作業を行うためのエアグラインダなどにおいても同様である。そして、例えば彫刻などの細かい作業において、このエアグラインダを使用する場合、エアモータの回転数が突然変動すると、作業時の仕上がりに大きな影響を与えてしまう可能性がある。したがって、エアモータの供給空気を所定の流量に調整でき、この流量を確実に保持できるようにすることが望まれる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エアツールにおいて、エアモータへの供給空気を所定の流量に調整して、その流量を保持できるようにすることで、エアツール使用時の作業性と信頼性を向上させることにある。
本発明は、開閉弁(42)を開弁位置と閉弁位置との中間でロックできる構造にすることによって、エアモータ(20)への供給空気を一定の流量に保持できるようにしたものである。
より具体的に、第1の発明は、略筒状のケーシング(10)と、該ケーシング(10)内に収納されたエアモータ(20)と、該エアモータ(20)への供給空気が流通する空気通路を開閉する開閉弁(42)とを備え、上記開閉弁(42)が、弁座(42a)と該弁座(42a)に対して開弁位置と閉弁位置との間で変位可能な弁体(42b)とから構成されたエアツールを前提としている。そして、このエアツールは、上記ケーシング(10)が、略筒状の支持部材(40)と、該支持部材(40)に回転可能に装着された略筒状の操作部材(14)とを備え、上記操作部材(14)の回転動作に連動して上記弁体(42b)を開弁位置と閉弁位置とに変位させる開閉弁駆動機構(43)と、上記操作部材(14)を可動範囲の中間位置でロックすることにより上記弁座(42b)を開弁位置と閉弁位置の中間で保持するロック機構(44)とを備え、弁座(42a)は支持部材(40)と操作部材(14)の一方にケーシング(10)の軸方向へ位置固定された状態で形成され、弁体(42b)は該支持部材(40)と操作部材(14)の他方に上記ケーシング(10)の軸方向へ可動に構成され、開閉弁駆動機構(43)は、上記支持部材(40)と操作部材(14)の一方に螺旋状に形成されたカム溝(43b)と、該支持部材(40)と操作部材(14)の他方に設けられて上記カム溝(43b)に係合するピン(43a)とからなるカム機構(43)により構成されているていることを特徴とするものである。
上記第1の発明では、支持部材(40)に装着された操作部材(14)を回転させると、開閉弁駆動機構(43)によって、この回転動作が、弁体(42b)を開弁位置と閉弁位置とに変位させる動作に変えられる。そして、この弁体(42b)の変位により、開閉弁(42)はエアモータ(20)への供給空気が流通する空気通路を開閉することができる。したがって、操作部材(14)の回転動作で、容易に供給空気の流量調整を行うことができる。
また、上記操作部材(14)の回転動作を可動範囲の中間位置でロックするロック機構(44)を設けることにより、上記弁体(42)を開弁位置と閉弁位置の中間で保持することができる。したがって、この開弁位置と閉弁位置の中間において、エアモータ(20)への供給空気を一定の流量に保つことができる。
また、上記第1の発明では、ピン(43a)と螺旋状に形成されたカム溝(43b)からなるカム機構(43)により、操作部材(14)の回転動作を支持部材(40)または操作部材(14)の軸方向への動作に変えるようにしている。ここで、例えば支持部材(40)が軸方向へ位置固定され、操作部材(14)が軸方向へ可動な場合には、操作部材(14)の弁体(42b)が、支持部材(40)に形成された弁座(42a)に対して開弁位置と閉弁位置とに変位する。逆に、操作部材(14)が軸方向へ位置固定され、支持部材(40)が軸方向へ可動な場合には、支持部材(40)の弁体(42b)が、操作部材(14)に形成された弁座(42a)に対して開弁位置と閉弁位置とに変位する。なお、カム機構(43)は、カム溝(43b)を支持部材(40)に形成しピン(43a)を操作部材(14)に設けた場合と、ピン(43a)を支持部材(40)に形成しカム溝(43b)を操作部材(14)に設けた場合の双方において、操作部材(14)の回転動作を弁体(42b)の変位動作に変えることができる。以上の構成により、弁体(42b)を開弁位置と閉弁位置とに変位させ、供給空気の流量を確実に調整することができる。
第2の発明は、第1の発明のエアツールにおいて、ロック機構(44)が、カム溝(43b)の中間位置からケーシング(10)の軸方向へのびるロック溝(44b)と、ピン(43a)を上記ロック溝(44b)の先端方向へ向かって付勢する付勢手段(44c)とから構成されていることを特徴とするものである。
上記第2の発明では、操作部材(14)の回転動作時において、カム溝(43)の中間位置から軸方向へのびるロック溝(44b)に、付勢手段(44c)によって付勢されたピン(43a)が係止することで、弁体(42b)を開弁位置と閉弁位置との中間に保持することができる。これにより、供給空気を一定流量でロックさせることができるとともに、付勢手段(44c)に抗する力を作用させれば、このロックを容易に解除することができる。
第3の発明は、第2の発明のエアツールにおいて、ピン(43a)が、軸直角断面が円形のピンであり、ロック溝(44b)は、カム溝(43b)からケーシング(10)の軸方向へのびる略半円形状の溝であることを特徴とするものである。
上記第3の発明では、円形状の軸直角断面を有するピン(43a)が、略半円形状に形成されたロック溝(44b)に係止することで、弁体(42b)が開弁位置と閉弁位置との中間で保持される。この際、ピン(43a)とロック溝(44b)とは円弧状の外形をしているため、このピン(43a)は、操作部材(14)の回転動作によって円滑にロック溝(44b)へ係止する。逆に、このロックを解除する際にも、このピン(43a)をロック溝(44b)から容易に外すことができる。
第4の発明は、第2または第3の発明のエアツールにおいて、ロック溝(44b)が、カム溝(43b)に連通して複数箇所に形成されていることを特徴とするエアツール。
上記第4の発明では、操作部材(14)の回転動作時に、ピン(43a)が複数箇所のロック溝(44b)に係止する。このようにすると、弁体(42b)は、閉弁位置と開弁位置との中間における複数位置で保持される。したがって、供給空気の流量を複数段階でロックすることができる。
上記第1の発明によれば、開閉弁駆動機構(43)によって、操作部材(14)の回転動作を弁体(42b)の開弁位置と閉弁位置との変位動作に変えるようにしている。したがって、操作部材(14)の回転動作によって、容易に供給空気の流量調整を行うことができる。
また、上記操作部材(14)は、このエアツール使用時における握手部としても利用できる。この場合、例えばこの操作部材(14)を握ってエアツールを使用しながら、供給空気の流量調整を行うことができる。したがって、このエアツールの操作性を向上することができる。
さらに、ロック機構(44)により、操作部材(14)の回転動作を可動範囲の中間位置でロックし、弁体(42)を開弁位置と閉弁位置との中間で保持できるため、エアモータ(20)への供給空気を一定流量でロックすることができる。このようにすると、例えば操作部材(14)の操作加減などにより、供給空気の流量が誤って変動してしまうことを防ぐことができる。したがって、エアツールの操作性と信頼性の向上を図ることができる。
また、上記第1の発明によれば、カム機構(43)によって、操作部材(14)の回転動作を支持部材(40)または操作部材(14)の軸方向への動作に変えるようにしている。そして、この動作により、支持部材(40)または操作部材(14)に構成された弁体(42b)を、開弁位置と閉弁位置とに変位させている。したがって、開閉弁(42)によって、空気通路を確実に開閉することができ、エアモータ(20)への供給空気も確実に調整することができる。
上記第2の発明によれば、ロック機構(44)をカム溝(43)の中間位置から軸方向へのびるロック溝(44b)と、このロック溝(44b)へ上記ピン(43a)を係止させる付勢手段(44c)とで構成するようにしている。この構成により、エアモータ(20)への供給空気を開弁位置と閉弁位置との中間において一定流量で確実にロックできる。また、付勢手段(44c)に抗する力を操作部材(14)に作用させることで、このロックを容易に解除することができる。
上記第3の発明によれば、円形状の軸直角断面を有するピン(43a)が、略半円形状に形成されたロック溝(44b)に係止することで、弁体(42b)をロックするようにしている。ここで、ピン(43a)とロック溝(44b)とは外形が円弧であるため、ピン(43a)はロック溝(44b)へ円滑に係止し、弁体(42b)を容易にロックすることができる。また、このロックを解除する際にも、ピン(43a)はロック溝(44b)から容易に外れるため、供給空気を一定流量にするロックと、このロック解除を簡便に行うことができる。したがって、エアツールの操作性をさらに向上することができる。
上記第4の発明によれば、複数のロック溝(44b)にピン(43a)が係止することで、弁体(42b)を開弁位置と閉弁位置の中間における複数位置において保持できる。このようにすると、エアモータ(20)への供給空気の流量を複数段階で保持することができる。したがって、例えば彫刻作業のように、より緻密な流量調整が必要な作業において、供給空気の流量を微調整しながら、この流量を確実にロックすることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るエアグラインダ(1)を示している。このエアグラインダ(1)は、前後方向(図1の左右方向)に延びる略筒状のケーシング(10)の前端に図示しない研磨具が装着可能となっている。また、このエアグラインダ(1)は、上記ケーシング(10)の後端に図示しないエアホースを接続し、ケーシング(10)内に収納されたエアモータ(20)が、上記エアホースの供給空気によって駆動されることで、研磨具が回転し、所定の研磨作業を行えるように構成されている。
ケーシング(10)は、前後方向に延びる略筒状の本体部(12)と、この本体部(12)の前端に設けられた軸受部(13)と、この本体部(12)の後端に設けられたハンドル部(操作部材)(14)と、このハンドル部(14)の後端に設けられた継手部(15)とを備えている。
本体部(12)内には、上記エアモータ(20)が内蔵されている。このエアモータ(20)は、前後に延びる出力軸(21a)と、この出力軸(21a)の外周側に設けられた複数のブレード(21b)とにより構成されたロータ(21)を備えている。このロータ(21)の出力軸(21a)は、本体部(12)内の前側部分に設けられた第1軸受け(22)と、本体部の後側部分に設けられた第2軸受け(23)とによって回転自在に支持されている。出力軸(21a)は、本体部(12)の前端よりも前方に突出しており、軸受部(13)内まで延びている。
第1軸受け(22)と第2軸受け(23)との間には、上記ロータ(21)を収納する筒状のシリンダ本体(24)が設けられている。このシリンダ本体(24)の前端と第1軸受け(22)との間には、出力軸(21a)の前部が貫通可能に形成された第1蓋(25)が取り付けられている。また、シリンダ本体(24)の後端には、出力軸(21a)の後部が貫通可能な第2蓋(26)が取り付けられている。そして、上記シリンダ本体(24)の内周面と、第1蓋(25)の後面と、第2蓋(26)の前面との間に、上記ロータ(21)が収納されるシリンダ室(27)が区画形成されている。
シリンダ本体(24)の外周(図1において上側)には、供給空気をシリンダ本体(24)側へ導入するための導入通路(67)が形成されている。また、この導入通路(67)の内周側には、導入通路(67)と連通する複数の第2導入孔(68,68,…)が形成されている。さらに、この第2導入孔(68)に対してシリンダ本体(24)の周方向逆側(図1において下側)には、供給空気をシリンダ本体(24)外へ排出する第1排気孔(69)が形成されている。
第2蓋(26)の後側は、上記第2軸受け(23)の外周に嵌合する形状をしている。そして、この第2蓋(26)は、第2軸受け(23)の外周を覆うように配置されている。また、この第2蓋(26)の外周(図1において上側)には、供給空気をシリンダ室(27)側に導入するための第1導入孔(66)が形成されている。一方、この第2蓋(26)の外周で第1導入孔(66)の逆側(図1において下側)には、シリンダ室(27)の供給空気をハンドル部(14)側へ排出するための第2排気孔(70)が形成されている。さらに、第2軸受け(23)の後側には、ベアリングカバー(28)が設けられている。このベアリングカバー(28)の前面には、上記出力軸(21a)の後端にナットを締着するためのナット空間(80)が形成されている。また、このベアリングカバー(28)の後面には、詳細は後述する支持部材(40)の前端が挿入されている円形開口(64)が形成されている。また、この円形開口(64)の内周面は、上記支持部材(40)の前端部外周に配置されるOリング(81)が収納できるように円形溝(82)が形成されている。また、この円形開口(64)の前側には、供給空気をシリンダ室(27)側へ導入する給気通路(65)が形成されている。この給気通路(65)は、上記第1導入孔(66)と連通している。また、ベアリングカバー(28)の外周で上記空気通路(65)の逆側には、シリンダ室(27)側より排出された供給空気が流通する第1排出通路(71)が形成されている。この第1排出通路(71)は、上記第2排気孔(70)と連通している。
ケーシング(10)の前端に位置する軸受部(13)には、その外周に本体部(12)と固定された略筒状の軸受蓋(34)が設けられている。そして、この軸受蓋(34)の内部に上述の出力軸(21a)の前端が延びている。この出力軸(21a)の前端部には、研磨具が先端に装着される主軸(30)が連結されている。この主軸(30)は、中空状に形成されており、その後側の開口端に出力軸(21a)が挿入されている。そして、この主軸(30)は、キー(31)によって出力軸(21a)に係止されている。また、この主軸(30)の外周と上記軸受蓋(34)の内周との間には、第3,第4軸受け(32,33)が設けられている。そして、主軸(30)は、これら第3,第4軸受け(32,33)に支持されており、上記出力軸(21a)と連動して回転可能となっている。
主軸(30)の前側の開口端には、コレット(35)が挿入されている。このコレット(35)は、先端側の外周がテーパー形状をしており、その内部には、研磨具の後端が挿入可能な円形の溝が形成されている。また、主軸(30)の前端には、研磨具を軸受部(13)に取り付けるためのコレットナット(36)が設けられている。このコレットナット(36)は、主軸(30)の外周面に締結可能に構成されている。また、コレットナット(36)の前面には、上記研磨具の後端が貫通可能な円形開口が形成されている。以上の構成において、研磨具を装着する際には、研磨具の後端をコレットナット(36)の円形開口に通過させ、コレット(35)の溝に挿入する。この状態で、コレットナット(36)を締結することで、研磨具がコレット(35)に保持されて、軸受部(30)に装着される。
本体部(12)の後端に位置するハンドル部(14)には、上述した支持部材(40)が収納されている。ハンドル部(14)は、支持部材(40)の外周に複数のOリング(81,81,…)を挟んで装着されている。また、このハンドル部(14)は、支持部材(40)の外周面上でケーシング(10)の周方向に回転可能に構成されている。
支持部材(40)は、略円筒状の胴部より、前後が突出した形状をしている。支持部材(40)の前端部は、上記本体部(12)まで延びている。この支持部材(40)の前端部の外周で、上記ベアリングカバー(28)の後面には、本体部(12)より排出される供給空気の気流音を抑制するための消音材(41)が収納される消音空間(72)が形成されている。この消音空間(72)は、上記ベアリングカバー(28)の第1排出通路(71)と連通している。さらにこの消音材(41)の後面で、支持部材(40)の胴部の周方向略半分には、図6(A)に示すような複数の第2排気通路(73,73,…)がケーシング(10)の周方向に配列して形成されている。この第2排気通路(73)は、図1に示すように、支持部材(40)の前端より後端まで延びている。この第2排気通路(73)は、上記消音空間(72)と連通している。
一方、支持部材(40)の中央で、上記出力軸(21a)の中心線上には、供給空気が導入される給気通路(59,63)が形成されている。この給気通路(59,63)は、支持部材(40)の前部に形成された第1給気通路(63)と、支持部材(40)の後部に形成された第2給気通路(59)とで構成されている。第1給気通路(63)の後端には、この端部より外側(図1において上側)に延びる第1弁体通路(62)が連通している。一方、第2給気通路(59)の前端には、この端部より外側(図1において上側)にのびる第2弁体通路(60)が連通している。そして、上記第1弁体通路(62)と第2弁体通路(60)との間には、この第1弁体通路(62)と第2弁体通路(60)とを連通させる中央弁体通路(61)が形成されている。この中央弁体通路(61)は、支持部材(40)の外周面と、ハンドル部(14)の内周面とで区画形成されている。また、中央弁体通路(61)には、この中央弁体通路(61)を開閉する開閉弁(42)が設けられている。さらにハンドル部(14)の後側寄りには、ハンドル部(14)の回転動作を上記開閉弁(42)の開閉動作に変位させるカム機構(開閉弁駆動機構)(43)と、上記開閉弁(42)の開放度合いを保持可能なロック機構(44)が設けられている。これら、開閉弁(42)、カム機構(43)、ロック機構(44)(総称して流量調整機構)の構造、及びこの流量調整機構の動作についての詳細は後述するものとする。
ハンドル部(14)の後端に位置する継手部(15)には、支持部材(40)の後端部が延びている。そして、この支持部材(40)の後端部の外周には、Oリング(81)を挟んで、ホース継手(50)が装着されている。このホース継手(50)は、その後側略半分が、ケーシング(10)の後端より外側にむき出しとなった状態で延びている。このホース継手(50)には、供給空気の導入口である給気口(58)が形成されている。この給気口(58)は、上記支持部材(40)に形成された第2給気通路(59)と連通している。また、継手部(15)の内周と、ホース継手(50)の外周との間には、上記支持部材(40)に形成された複数の第2排気通路(73)と連通する排気口(74)が形成されている。
ところで、本実施形態において、この継手部(15)には、エアグラインダ(1)に空気を供給する給気側通路と、エアグラインダ(1)より排出された供給空気を排出する排気側通路との双方を有する2重管構造のエアホースが装着される。すなわち、このエアホースは、中心部に円形状の給気側通路が形成され、この給気側通路の外周に環状の排気側通路が形成されるように構成されている。そして、このエアホースを継手部(15)の外周に装着すると、給気側通路と給気口(58)が連通する一方、排気側通路と排気口(74)とが連通する。
次に、本実施形態のエアグラインダ(1)に係る上述した流量調整機構の構造について図面に基づいて詳細に説明する。なお、図3、図4は、それぞれ、開閉弁(42)が閉じている状態のハンドル部(14)の拡大断面図、開閉弁(42)が開いている状態のハンドル部(14)の拡大断面図を示している。図5は、ハンドル部(14)の内部構造を示す上面拡大図、図6(A),(B)は、図5のa−a線断面図((A)は開閉弁(42)が閉じている状態、(B)は開閉弁(42)が開いている状態)を示している。
上述したように、ハンドル部(14)には、開閉弁(42)、カム機構(43)、ロック機構(44)からなる流量調整機構が設けられている。
開閉弁(42)は、中央弁体通路(61)に位置しており、この中央弁体通路(61)の通路幅を変更させて、供給空気の流量調整を直接的に行うものである。この開閉弁(42)は、中央弁体通路(61)内に設けられた弁体(42b)と弁座(42a)とで構成されている。弁体(42b)は、図3,図5に示すように、ハンドル部(14)の内周面より中央弁体通路(61)へ向かって突出した円環状の形状をしている。本実施形態において、この弁体(42b)は、ハンドル部(14)の内周面に一体形成されている。一方、弁座(42a)は、支持部材(40)の胴部外周面より中央弁体通路(61)へ向かって突出した円環状の形状をしている。本実施形態において、この弁座(42a)は、支持部材(40)の胴部外周面に装着されている。そして、開閉弁(42)が閉じた状態となる際には、図3に示すように、上記弁体(42b)が弁座(42a)の一部と当接する位置(閉弁位置)に移動して、中央弁体通路(61)が遮断された状態となる。一方、開閉弁(42)が開いた状態となる際には、図4に示すように、上記弁体(42b)と弁座(42a)とが離反する位置(開弁位置)に移動して、中央弁体通路(61)が完全に開放された状態となる。さらに、弁体(42b)は、上記閉弁位置と上記開弁位置との間の中間において、中央弁体通路(61)の開放度合いを調整して、供給空気の流量調整を行うことができる。
開閉弁駆動機構であるカム機構(43)は、ハンドル部(14)の周方向の回転動作を、このハンドル部(14)の軸方向の進退動作に変えるものである。そして、このハンドル部(14)の進退動作によって、ハンドル部に形成された弁体(42b)が閉弁位置、開弁位置、及びその中間に変位して、中央弁体通路(61)の開放度合いが調整される。
カム機構(43)は、本実施形態において、ハンドル部(14)に固定されたピン(43a)と支持部材(40)の胴部に形成されたカム溝(43b)とで構成されている。ピン(43a)は、図6に示すように、その軸直角断面が円形の円筒凸型の形状をしており、やや扁平な円柱部と、この円柱部よりもその内径が小径な円柱とが一体形成されている。そして、このピン(43a)は、扁平な円柱部の全体がハンドル部(14)内の溝に嵌合し、その小径な円柱は、支持部材(40)の胴部に向かって突出して、このハンドル部(14)に固定されている。一方、カム溝(43b)は、支持部材(40)の胴部の外周面で、上記ピン(43a)が突出する位置に形成されている。このカム溝(43b)は、図5に示すように、支持部材(40)の外周面に螺旋状に延びて形成されている。そして、このカム溝(43b)に、上記ピン(43a)の先端が係合しており、ハンドル部(14)を回転させることで、上記ピン(43a)がこのカム溝(43b)に沿って摺動可能となっている。このピン(43a)の摺動に伴って、ハンドル部(14)は支持部材(40)の外周を軸方向に進退する。
また、このカム溝(43b)の左端部(図5においては下端部)には、このエアグラインダ(1)の製作時において、ハンドル部(14)を支持部材(40)に装着する際に用いられるピン導入溝(45)が形成されている。このピン導入溝(45)は、カム溝(43b)の左端部より支持部材(40)の胴部の後端まで延びて形成されている。そして、ハンドル部(14)を支持部材(40)に装着する際には、ハンドル部(14)に固定されたピン(43a)をこのピン導入溝(45)の後端より係入させ、このピン導入溝(45)に沿ってピン(43a)を前側へスライドさせる。そして、このピン(43a)をカム溝(43b)まで案内することで、ハンドル部(14)を所定の位置に装着することができる。
ロック機構(44)は、上記弁体(42b)を中間位置で保持するためのものである。このロック機構(44)は、上記ピン(43a)と、カム溝(43b)の前側に形成された複数のロック溝(44b)と、ハンドル部(14)の後端に設けられたスプリング(付勢手段)(44c)とで構成されている。ロック溝(44b)は、図5に示すように、カム溝(44b)の前側に等間隔で形成されており、それぞれのロック溝(44b)は、カム溝(44b)と連通している。このロック溝(44b)は、略半円形状をしており、上記ピン(43a)が係合可能となっている。また、スプリング(44c)は、ハンドル部(14)と継手部(15)との間で、支持部材(40)の胴部外周側に複数設けられている。このスプリング(44c)は、付勢力によってハンドル部(14)を前方へ付勢している。
−エアグラインダ使用時の動作−
次に、このエアグラインダ(1)使用時の動作について、図2を参照しながら説明する。なお、図2の矢印は、エアホースより供給される供給空気の流れを示すものである。
エアグラインダ(1)の継手部(15)に、図示しないエアホースを装着し、開閉弁(42)を開いた状態にすると、供給空気がエアホースの給気側通路よりエアグラインダ(1)の継手部(15)に向かって給気される。この供給空気は、ホース継手(50)に形成された給気口(58)を通過して、ハンドル部(14)の第2給気通路(59)に流通する。そして、供給空気は、第2給気通路(59)より第2弁体通路(60)へ流通し、中央弁体通路(61)へ導入される。ここで、中央弁体通路(61)の開閉弁(42)は開いた状態であるため、供給空気は中央弁体通路(61)を流通する。さらに、供給空気は、中央弁体通路(61)より第1弁体通路(62)、第1給気通路(63)を流通し、ベアリングカバー(28)に設けられた円形開口(64)を通過して、本体部(12)の給気通路(65)へ導入される。
給気通路(65)へ導入された供給空気は、第1導入孔(66)、導入通路(67)、第2導入孔(68)を通過して、シリンダ室(27)内へ流入する。そして、この供給空気によって、シリンダ室(27)内のロータ(21)が回転すると、このロータ(21)の回転力が、出力軸(21a)、主軸(30)へと伝達され、主軸(30)の前端に装着された図示しない研磨具が回転する。こうして、作業者は、例えば右手でハンドル部(14)を握り、左手で本体部(12)を握って、所定の研磨作業を行う。
一方、シリンダ室(27)内へ供給された空気は、第1排気孔(69)、第2排気孔(70)、第1排出通路(71)を通過して、ハンドル部(14)の方向に排出される。第1排出通路(71)を通過した後の供給空気は、消音空間(72)内に収納された消音材(41)で消音された後に、支持部材(40)の外周寄りに形成された複数の第2排気通路(73)に分配されて流通する。そして、第2排気通路(73)を流通した後の供給空気は、継手部(15)の排気口(74)を通過した後に、エアホースの排気側通路へ排出される。
次に、このエアツール(1)の流量調整機構による開閉弁(42)の開閉動作について図面に基づいて説明する。
エアグラインダ(1)の運転停止時には、開閉弁(42)が閉じた状態となっている。この状態では、ハンドル部(14)は、支持部材(40)に対して図3に示すように本体部(12)側寄りの位置となっている。そして、ハンドル部(14)に形成された弁体(42b)が、弁座(42a)と当接して閉弁位置となっている。この際、中央弁体通路(61)は遮断されている。また、ハンドル部(14)に固定されたピン(43a)は、図6(A)に示すように、カム溝(43b)の右端部に位置している。
開閉弁(42)が閉じている状態で、ハンドル部(14)を左方向に回転させ、このハンドル部(14)を可動範囲の中間位置に移動させると、ハンドル部(14)に固定されたピン(43a)は、カム溝(43b)に沿って左方向へ摺動する。この際、ハンドル部(14)は、このカム機構(43b)によって軸方向後側に移動する。そして、ハンドル部(14)に一体形成された弁体(42b)も同様に後退し、弁体(42b)は弁座(42a)に対して離反する(図3から図4へ)。こうして、弁体(42b)は閉弁位置から開弁位置へ移動し、中央弁体通路(61)が開放されて、供給空気がエアモータ(20)へ供給される。
この開弁位置と閉弁位置との中間において、ハンドル部(14)が左方向へ所定回転されると、ピン(43a)がカム溝(43b)に形成されたロック溝(44b)の後側に位置する。この状態において、ハンドル部(14)はスプリング(44c)によって前方へ付勢されているため、ピン(43a)は、ハンドル部(14)とともに前方へ移動し、このピン(43a)がロック溝(44b)に係止する。このようにして、ハンドル部(14)の回転がロックされるとき、開閉弁(42)は、中間位置において所定の開放度合いで保持される。なお、本実施形態において、カム溝(43b)には、2箇所のロック溝(44b)が形成されている。したがって、弁体(42b)は、中間位置において2段階の位置でロックされ、ハンドル部(14)から手を離しても供給空気の流量を一定に保持することができる。
ハンドル部(14)を可動範囲の中間位置からさらに左方向へ回転させると、ピン(43a)は、図6(B)に示すように、カム溝(43b)の左端部まで摺動する。この際、ハンドル部(14)は、このカム機構(43b)によって軸方向後側にさらに移動する。そして、ハンドル部(14)に一体形成された弁体(42b)も同様に後退し、弁体(42b)は弁座(42a)に対してさらに離反する(図4)。こうして、弁体(42b)は開弁位置となり、中央弁体通路(61)が最大に開放される。そして、この開弁位置において、供給空気は最大流量でエアモータ(20)に供給される。
−実施形態の効果−
本実施形態では、以下の効果が発揮される。
本実施形態においては、ハンドル部(14)にピン(43a)を固定し、このピン(43a)が係合可能なカム溝(43b)を支持部材(40)に形成している。そして、このカム機構(43)によってハンドル部(14)の回転動作を前後の進退動作に変えて、弁体(42b)を閉弁位置と開弁位置とに変位させ、開閉弁(42)の開閉を行うようにしている。この構成より、エアグラインダ(1)の使用時に、ハンドル部(14)の回転動作によって、供給空気の流量を容易に調節することができ、研磨具の回転速度を変速することができる。
また、本実施形態では、カム溝(43b)の前側に複数のロック溝(44b)を形成し、ハンドル部(14)を前方へ付勢するスプリング(44c)によって、ピン(43a)がロック溝(44b)に係止するようにしている。この構成により、弁体(42b)は、開弁位置と閉弁位置との間の中間でロックされるから、開閉弁(42)の開放度合いを保持させることができる。したがって、供給空気を目的の流量に確実に保持でき、研磨作業の効率が向上できる。
また、本実施形態では、ピン(43a)を正円形状とし、このピン(43a)が係止するロック溝(44b)は略半円形状に形成している。このようにすると、弁体(42b)を開弁位置と閉弁位置との中間位置でロックさせる際に、ピン(43a)がロック溝(44b)に係止しやすくなる。また、この中間位置のロックを解除させる際にも、このピン(43a)をロック溝(44b)から外しやすくなる。したがって、容易にロックを作用/解除させながら、供給空気の流量調整を行うことができる。
さらに、本実施形態では、カム溝(43b)に2本のロック溝(44b)を形成している。このため、開閉弁(42)の開放度合いを2段階で保持することができる。したがって、供給空気の流量を確実に保持しながら、2段階の流量調整を行うことができる。
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
本実施形態では、カム溝(43b)に2箇所のロック溝(44b)を形成している。しかしながら、このロック溝(44b)は必ずしも2箇所でなくてもよく、1箇所、あるいは3箇所以上であってもよい。この場合、開閉弁(42)の中間位置における開放度合いが目的の段階数となるように、上記ロック溝(44b)を形成し、スプリング(44c)によってピン(43a)がこのロック溝(44b)に係止できる構成にすればよい。
また、本実施形態では、上記ロック溝(44b)をカム溝(43b)の前側に形成し、ハンドル部(14)の後端に配置したスプリング(44c)の付勢力を前方に作用させてロック機構(44)を構成している。しかしながら、上記ロック溝(44b)は、必ずしもカム溝(43b)の前側に形成しなくてよく、カム溝(43b)の後側に形成してもよい。この場合、スプリング(44c)を例えばハンドル部(14)の前側に配置させ、スプリング(44c)の付勢力を後方に作用させることで、ピン(43a)を後方へ押圧し、後側のロック溝(44b)に係止させることができる。
また、本実施形態では、カム機構(43)をハンドル部(14)に固定したピン(43a)と、支持部材(40)に形成したカム溝(43b)で構成している。この構成と逆に、上記カム機構(43)をハンドル部(14)に形成したカム溝(43b)と、支持部材(40)に固定したピン(43a)とで構成することもできる。この構成においても、ハンドル部(14)のカム溝(43b)を螺旋状とすることで、ハンドル部(14)の回転動作を前後の進退動作に変位させることができる。
さらに、本実施形態では、ハンドル部(14)の回転動作により、このハンドル部(14)及びハンドル部(14)に形成された弁体(42b)が軸方向へ進退し、この弁体(42b)が支持部材(40)に形成された弁座(42a)に対して閉弁位置と開弁位置とに変位するようにしている。しかしながら、これと逆に、軸方向への移動を規制したハンドル部(14)の回転動作によって、支持部材(40)が軸方向へ進退するように構成してもよい。この場合、支持部材(40)に弁体(42b)を形成し、ハンドル部(14)に弁座(42a)を形成する。このようにして、ハンドル部(14)を回転させると、支持部材(40)の弁体(42b)が、ハンドル部(42a)の弁座(42a)に対して閉弁位置と開弁位置とに変位する。したがって、この構成においても、開閉弁(42)の開閉を行うができる。