JP3860231B2 - 防振光学系 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、防振光学系に関し、特に、写真用カメラやビデオカメラの撮影系における振動等による画像のブレの補正に好適な防振光学系に関する。
【0002】
【従来の技術】
写真用カメラやビデオカメラを用いて進行中の車上や航空機等から撮影すると、撮影系に振動が伝わって撮影画像にブレが生じてくる。このような障害を防止する手段として、特開平1−191112号、特開平1−191113号、特開平2−35406号、特開平2−81020号、特開平2−124521号、特開平3−141318号のものが提案されている。
【0003】
特開平1−191112号、特開平1−191113号、特開平2−35406号では、撮影レンズを複数のレンズ群より構成し、その一部のレンズ群を光軸と直交する方向に移動させることで、撮影画像のブレを補正している。
【0004】
また、特開平2−81020号、特開平2−124521号では、撮影レンズを複数のレンズ群より構成し、その一部のレンズ群を光軸と直交する方向に移動、あるいは、ある固定点を中心とした回転運動とすることで、撮影画像のブレを補正している。
【0005】
また、特開平3−141318号は、物体像を形成する主レンズ系と、この主レンズと像面との間に、主レンズの射出瞳に対し凹面を向けたメニスカスレンズを設け、これを光軸上の一点を中心として回転させることにより撮影画像のブレを補正している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平1−191112号、特開平1−191113号、特開平2−35406号、特開平2−81020号、特開平2−124521号のものは、撮影画像のブレを補正するための偏心駆動レンズ群が、変倍時に光軸方向に移動するレンズ群を兼ねているため、レンズ駆動機構が複雑化するという問題があった。さらに、複数枚のレンズを偏心駆動させるための制御負荷による装置の大型化という問題もあった。
【0007】
また、特開平3−141318号は、補正レンズが射出瞳に凹面を向けたメニスカスレンズであるため、その回転量が大きいと、主レンズ系の最終レンズと補正レンズの干渉を防止するためのスペースが必要であるという問題があった。さらに、像ブレが大きいと補正レンズの回転量が大きくなり、回転後の結像性能の劣化を補正するのが困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、撮影レンズが振れた時の画像のブレを迅速にかつ結像性能を劣化させることなく良好に補正でき、しかも、小型で構成も簡単である防振光学系を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の防振光学系は、上記目的を達成するために、物体像を形成する主レンズ系と、該主レンズ系と像面の間に、像面に凹面に向けたメニスカスレンズを配置し、該メニスカスレンズを光軸に対して傾けることにより、主レンズ系の傾きによって発生する撮影画像の像ブレを補正することを特徴とする防振光学系であって、
以下の条件式を満足することを特徴とするものである。
0.9<β1 <1.1 ・・・(1)
0.05<|(R1 −R2 )/(R1 +R2 )|<0.5 ・・・(2)
ただし、β1 は前記メニスカスレンズの近軸横倍率、R1 、R2 は該メニスカスレンズのそれぞれ入射面と射出面の曲率半径である。
【0010】
本発明はこのような防振光学系を有し、かつ、以下の条件式を満足することを特徴とするカメラを含むものである。
0.23×10-3<(d/D)〔(n−1)/{√(n2 −sin2θ)}
+(1/n)−1〕<2.31×10-3・・・(3)
ただし、Dは撮影画面の対角長の2分の1、d、n、θは該メニスカスレンズのそれぞれ厚さ、屈折率、回転角である。
【0011】
この場合に、以下の条件式を満足することが望ましい。
0.05<|(R1 −R2 )/(R1 +R2 )|<0.4 ・・・(4)
0.23×10-3<(d/D)〔(n−1)/{√(n2 −sin2θ)}
+(1/n)−1〕<1.5×10-3 ・・・(5)
【0013】
【作用】
以下、本発明において上記構成をとる理由と作用について説明する。
本発明の防振光学系を詳細に説明するために、図1の断面図に概略の構成を示すように、この防振光学系は、主レンズ系1、平行平面板2を配置して、撮影光学系全体の振れ量に応じ、その平行平面板2を光軸上の一点を中心として回転運動させることにより、結像面上での像位置3の変動を補償して、静止画像を得るもので、この図を基にその性質を調べる。
【0014】
平行平面板2を図1のように回転させると、回転させる前は無収差であっても、多くの収差が発生する。非対称系であるので、ザイデルの5収差に分類できないが、主として、光線が一点に収束しなくなったり結像位置が光軸方向に移動してしまったりするために、点像がぼける空間的収差と、軸上と軸外で像の移動量が異なるために軸上の点が止まって写っても軸外の点が線像となってしまう時間的収差との2通りに分けられる。
【0015】
ここで、空間的収差をマージナル(marginal)光線と光線のずれで代表させ「点像のぼけ」として、時間的収差を軸上と軸外の主光線の移動量の差で代表させ「像の伸縮」と表記する。
【0016】
図2、図3、図4は、図1の平行平面板2及び像面3の部分を拡大したものであって、それぞれ平行平面板2の傾きによる光軸の移動量δの定義を示す図、点像のぼけΔPの定義を示す図、及び、像の伸縮ΔIの定義を示す図である。
【0017】
図2に示すように、屈折率n、厚さdの平行平面板2が主レンズ系の光軸に対し垂直な位置からθだけ傾くと、像面3上においてもδだけ像が変移する。この時のδは、d、θ、nの式として以下のように示すことができる。
δ=d sinθ〔1−{ cosθ/√(n2 −sin2θ)}〕
上式から、撮影光学系の傾きにより発生する撮影画像のズレ量δを補正したい時、平行平面板の厚さd、屈折率nを決めることにより、傾き角θを適切に求めることができる。
【0018】
また、図3に示すように、平行平面板2が傾くことにより光軸に平行な光線に関しては平行平面板2への入射角が大きくなる(0→θ)が、軸上上側マージナル光線に関しては平行平面板2への入射角が小さくなる。その結果、光軸に平行な光線とマージナル光線と対する屈折作用の変化の大きさが異なり、光軸上の光線の変位の方がマージナル光線の変位より大きくなる。したがって、光軸上の光線の上側マージナル光線の交わる位置は像面よりも後方へ寄ってしまい、ぼけΔPが生じる。この時の光軸上の光線の変位量をΔPZ とすると、ΔPZ は、d、θ、nの式として以下のように示すことができる。
【0019】
ΔPZ =d〔(n−1)/{√(n2 −sin2θ)}+(1/n)−1〕
また、図4も図3と原理的には同様であり、平行平面板2が傾いた時の像面3上における光軸上光線の変位と軸外主光線の変位の大きさとが異なるため、平行平面板2が光軸に垂直な時に像高I0 であった物体は、平行平面板2がθだけ傾くことにより像高I’で結像されるようになり、その結果、像の伸縮ΔIが生ずるのである。
【0020】
このように、光軸に平行な光線に対しては平行平面板2の作用は全く同じである。傾きの異なる光線に対しては平行平面板2の作用の大きさが異なるため、「点像のぼけ」や「像の伸縮」が生じる。
【0021】
そこで、本発明は、平行平面板の代わりに、偏心による収差の変動量が小さい像側に凹面を向けたメニスカスレンズを主レンズと像面の間に配置し、そのメニスカスレンズを光軸上の一点を中心として回転運動させるようにしているため、回転後の収差変動を小さくすることができ、上記「点像のぼけ」や「像の伸縮」の発生を小さくすることを可能としている。
【0022】
しかしながら、前記特開平3−141318号では、平行平面板の代わりに、像側に凸面を向けた(主レンズ系の射出瞳に凹面を向けた)メニスカスレンズを配置し、そのメニスカスレンズを光軸上の一点を中心として回転運動させることにより、「点像のぼけ」や「像の伸縮」の発生を小さくすることを提案している。
【0023】
そこで、本発明と特開平3−141318号の防振光学系の偏心収差の発生について収差論的な立場より説明し、本発明の優位性を明らかにするため、第23回応用物理学会講演会(1962年)に松居氏より示された方法(社団法人日本オプトメカトロニクス協会発行のJOEMテキスト「偏心の存在する光学系の3次の収差論、松居吉哉著、1990年」を参照。)について説明する。
【0024】
図5のように光学系の中のエレメントが光軸のある1点Cを中心にしてεだけ傾いた時の全系の収差量ΔY1は、(a)式のように、偏心前の収差量ΔYと偏心によって発生した偏心収差量ΔY(ε)との和になる。ここで、収差量ΔYは、球面収差I、コマ収差II、非点収差III 、ペッツバール和P、歪曲収差Vで、(b)式のように表せる。なお、図5のq、q’は、点Cからそれぞれ物体面、像面までの距離である。
【0025】
また、偏心収差ΔY(ε)は、(c)式に示すように、1次の偏心コマ収差(IIE)、1次の偏心非点収差(III E)、1次の偏心像面湾曲(PE)、1次の偏心歪曲収差(VE1)、1次の偏心歪曲附加収差(VE2)、そして、1次の原点移動(ΔE)で表される。
【0026】
また、(d)式から(i)式の(ΔE)〜(VE2)までの収差は、撮影画像のブレ補正レンズを光軸の一点を中心としてεだけ回転させる変倍光学系において、撮影画像のブレ補正レンズへ入射する軸上光線、軸外主光線の光軸とのなす角をそれぞれα、〈α〉とした時に、最終レンズ群の収差係数I、II、III 、P、Vを用いて表される。なお、以下において、ωは物点と物体側主点を結ぶ直線が基準軸(光軸)となす角、φW はωの方位角、Rは光学系の物体側主平面で測った入射瞳半径、φR はRの方位角、α’、〈α’〉はそれぞれ像界側の軸上光線、軸外主光線の光軸とのなす角、N、N’はそれぞれ物界、像界の屈折率である。
【0027】
以上の式から、偏心収差の発生を小さくするためには、撮影画像の振れ補正レンズの諸収差係数I、II、III 、P、Vを小さな値とするか、もしくは、(a)〜(i)式に示すように、諸収差係数をお互いに打ち消しあうようにバランス良く設定することが必要になってくる。
【0028】
そこで、本発明においては、像ブレ補正レンズより物体側の主レンズ系にかかわらず、像ブレ補正レンズの偏心収差係数を小さくするレンズ形状としているため、「点像のぼけ」や「像の伸縮」の発生を小さくして、像ブレ時にも良好な結像性能を可能としている。
【0034】
さらに、本発明は、像ブレ補正レンズの回転中心の位置にかかわらず、偏心収差係数を小さくすることができるため、像ブレ補正レンズの回転中心の位置にかかわらず、像ブレ時の結像性能の劣化を小さくすることが可能となっている。
【0035】
また、本発明の像ブレ補正レンズLの収差を良好に補正して、撮影光学系全体の収差バランスを適切に保つためには、以下の条件を満足することが望ましい。
ただし、β1 は像ブレ補正レンズを構成するメニスカスレンズLの近軸横倍率、R1 、R2 はこのメニスカスレンズLのそれぞれ入射面と射出面の曲率半径、Dは撮影画面の対角長の2分の1、また、d、n、θはこのメニスカスレンズLのそれぞれ厚さ、屈折率、回転角である。
【0036】
上記(1)式は、像ブレ補正レンズLの近軸横倍率を規定するもので、その下限の0.9、又は、その上限の1.1を越えると、回転させたときの収差の変動が大きくなり、望ましくない。
【0037】
上記(2)式は、像ブレ補正レンズLのレンズ形状を規定するもので、その下限の0.05を越えると、回転させたときの収差の変動が大きくなり、望ましくない。また、その上限の0.5を越えると、像ブレ補正レンズLの屈折力が強まり、特に像ブレ補正レンズLにて非点収差、歪曲収差が大きく発生し、撮影光学系全体の収差バランスを適切に保つことが困難となる。
【0038】
また、像ブレ補正レンズLの回転角θ、屈折率n、厚さdの3つのパラメータから、偏心後の収差の変動を予測して光学設計の指針とするために、像ブレ補正レンズLを平行平面板として考えた時の光軸上の光線の変位量(前記ΔPZ )を(3)式のように規定することが、像ブレ発生時にも良好な結像性能を得るためには望ましく、像ブレ補正レンズLにおいては、撮影光学系の傾きにより発生する像ブレの補正量を一定に保ちながら、回転角θを小さくしたときの屈折率n、厚さdを適切に決めることが可能となる。
【0039】
また、さらに、像ブレ補正レンズLの形状を最適にし、像ブレの発生時にも良好な結像性能を得るためには、条件式(2)、(3)をそれぞれ下記の条件式(4)、(5)のように規定することが望ましい。
【0040】
また、像ブレ補正レンズLの回転中心が像面に対して固定されているため、簡単な機構で撮影画像の像ブレを補正することができ、装置を大型化することがなく、迅速に像ブレの補正をすることを可能としている。
【0041】
【実施例】
以下に、図面を参照にして、従来技術に基づく従来設計例と本発明の防振光学系の実施例について説明する。
(従来設計例)
数値データは後記するが、従来設計例の変倍光学系は、図6に断面を示すように、物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群G1、負の屈折力の第2レンズ群G2、正の屈折力の第3レンズ群G3、正の屈折力の第4レンズ群G4、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズLより構成され、広角端から望遠端への変倍に際しては、第1、3、4レンズ群G1、G3、G4を物体側に、第2レンズ群G2を像側に移動させることで変倍を行っている。像ブレ補正時には、メニスカスレンズLの入射面と光軸の交点を中心として回転させることにより、像ブレの補正を行っている。また、撮影光学系の傾きにより発生する像ブレは0.5mmとし、その時、像ブレ補正レンズLは回転角8°にて像ブレ補正を行っている。
【0042】
(実施例1)
実施例1の変倍光学系は、図7に断面を示すように、物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群G1、負の屈折力の第2レンズ群G2、正の屈折力の第3レンズ群G3、正の屈折力の第4レンズ群G4、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズLより構成され、広角端から望遠端への変倍に際しては、第1、3、4レンズ群G1、G3、G4を物体側に、第2レンズ群G2を像側に移動させることで変倍を行っている。像ブレ補正時には、メニスカスレンズLの入射面と光軸の交点を中心として回転させることにより、像ブレの補正を行っている。また、撮影光学系の傾きにより発生する像ブレは0.5mmとし、その時、像ブレ補正レンズLは回転角8°にて像ブレ補正を行っている。
ここで、本発明の実施例1と、特開平3−141318号に基づき像ブレ補正レンズを設計した上記従来設計例の、像ブレ補正レンズにおける偏心収差係数(ΔE)、(IIE)、(III E)、(PE)を以下の表1、表2、表3に示す。これらを比較することで、本発明の優位性を明らかにする。
表1
┌─────┬───────────┬───────────┐
│ │本発明の実施例1のブレ│特開平3−141318│
│ │補正レンズ │号のブレ補正レンズ │
├─────┼───────────┼───────────┤
│(ΔE) │ −0.19828 │ −0.19735 │
├─────┼───────────┼───────────┤
│(IIE) │ −0.07181 │ −0.28958 │
├─────┼───────────┼───────────┤
│(III E)│ 0.00592 │ 0.02668 │
├─────┼───────────┼───────────┤
│(PE) │ 0.01382 │ −0.03100 │
└─────┴───────────┴───────────┘
表2
┌─────┬───────────┬───────────┐
│ │本発明の実施例1のブレ│特開平3−141318│
│ │補正レンズ │号のブレ補正レンズ │
├─────┼───────────┼───────────┤
│(ΔE) │ −0.08729 │ −0.08688 │
├─────┼───────────┼───────────┤
│(IIE) │ −0.03161 │ −0.12749 │
├─────┼───────────┼───────────┤
│(III E)│ 0.00383 │ 0.02011 │
├─────┼───────────┼───────────┤
│(PE) │ 0.01382 │ −0.03100 │
└─────┴───────────┴───────────┘
表3
┌─────┬───────────┬───────────┐
│ │本発明の実施例1のブレ│特開平3−141318│
│ │補正レンズ │号のブレ補正レンズ │
├─────┼───────────┼───────────┤
│(ΔE) │ −0.03722 │ −0.03705 │
├─────┼───────────┼───────────┤
│(IIE) │ −0.01348 │ −0.05436 │
├─────┼───────────┼───────────┤
│(III E)│ 0.00139 │ 0.01132 │
├─────┼───────────┼───────────┤
│(PE) │ 0.01382 │ −0.03100 │
└─────┴───────────┴───────────┘
ただし、これらの撮影光学系は、同じ仕様(焦点距離、Fナンバー)にて収差補正された変倍光学系を用いている。また、撮影光学系の傾きによって発生する撮影画像のズレ量を0.5mm、その時の像ブレ補正レンズの回転角を8°とし、像ブレ補正レンズの最も物体側のレンズ面と光軸との交点をブレ補正レンズの回転中心としている。
上記表1、2、3は、それぞれ広角端、中間焦点距離、望遠端の焦点距離を1で規格化した時の偏心収差係数、図6は上記従来設計例のレンズ断面図、図7は本発明の実施例1のレンズ断面図であり、それぞれの図において、(a)は偏心前、(b)は偏心後の広角端、中間焦点距離、望遠端の様子を示しており、符号G1は第1レンズ群、G2は第2レンズ群、G3は第3レンズ群、G4は第4レンズ群、Sは開口絞り、Lはブレ補正レンズを示す。また、図9〜図11は従来設計例の広角端、中間焦点距離、望遠端の収差図、図12〜図14は従来設計例のブレ補正レンズLを回転させた時の同様の収差図、図15〜図17は本実施例1の同様の収差図、図18〜図20は本実施例1のブレ補正レンズLを回転させたときの同様の収差図を示す。
像ブレのない状態における従来設計例の収差(図9〜図11)と、本実施例1の同様の状態の収差(図15〜図17)はほぼ同じ性能となっている。しかしながら、表1〜表3より、本発明の実施例1は、従来設計例よりもブレ補正レンズLの偏心収差係数を小さくすることができるため、図12〜図14と図18〜図20の比較より明らかなように、像ブレがある状態での像面に対する球面収差、非点収差のズレ量が従来設計例よりも小さくなっている。そのため、像ブレ発生時の結像性能の劣化を従来設計例よりも小さくすることが可能となっている。
【0043】
(実施例2)
実施例2の変倍光学系は、図7と同様な図8の断面図に示すように、物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群G1、負の屈折力の第2レンズ群G2、正の屈折力の第3レンズ群G3、正の屈折力の第4レンズ群G4、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズLより構成され、広角端から望遠端への変倍に際しては、第1、3、4レンズ群G1、G3、G4を物体側に、第2レンズ群G2を像側に移動させることで変倍を行っている。像ブレ補正時には、メニスカスレンズLの入射面と光軸の交点を中心として回転させることにより、像ブレの補正を行っている。また、撮影光学系の傾きにより発生する像ブレは0.5mmとし、その時、像ブレ補正レンズLは回転角5°にて像ブレ補正を行っている。
【0044】
以下に、従来設計例及び実施例1、2の数値データを示すが、記号は上記の外、fは全系焦点距離、FNOはFナンバー、2ωは画角、r1 、r2 …は各レンズ面の曲率半径、d1 、d2 …は各レンズ面間の間隔、nd1、nd2…は各レンズのd線の屈折率、νd1、νd2…は各レンズのアッベ数である。
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
上記従来設計例の広角端、中間焦点距離、望遠端の収差図を図9〜図11に、この従来設計例のブレ補正レンズを回転させた時の同様の収差図を図12〜図14に、実施例1の図9〜図11と同様の収差図を図15〜図17に、実施例1の図12〜図14と同様の収差図を図18〜図20に、実施例2の図9〜図11と同様の収差図を図21〜図23に、実施例2の図12〜図14と同様の収差図を図24〜図26に示す。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、物体像を形成する主レンズ系と、該主レンズ系と像面の間に、像面に凹面に向けたメニスカスレンズを配置し、該メニスカスレンズを光軸に対して傾けることにより、主レンズ系の傾きによって発生する撮影画像の像ブレを補正するようにしている。そのため、像ブレ補正光学系の回転による収差の変動が小さくなり、撮影光学系にブレが発生しても、良好な結像性能を得ることを可能としている。
【0050】
また、条件式(1)、(2)、(3)、さらには、条件式(4)、(5)を満足することにより、撮影光学系の傾きにより発生する像ブレの補正量を一定に保ちながら、像ブレ補正レンズの回転角を小さくしても、偏心による収差変動の小さいレンズ形状にすることが可能で、像ブレ発生時にも、良好な結像性能を得ることを可能としている。
【0051】
また、像ブレ補正レンズの回転中心が像面に対して固定されているため、簡単な機構で撮影画像の像ブレを補正することができ、装置を大型化することがなく、迅速に像ブレの補正をすることを可能としている。
【図面の簡単な説明】
【図1】平行平面板を用いた防振光学系の断面図である。
【図2】図1の防振光学系の平行平面板の傾きによる光軸の移動量の定義を示す図である。
【図3】図1の防振光学系による点像のぼけの定義を示す図である。
【図4】図1の防振光学系による像の伸縮の定義を示す図である。
【図5】光学系の中のエレメントが傾いた場合の配置を示す図である。
【図6】従来設計例のレンズ断面図である。
【図7】本発明の実施例1の防振光学系のレンズ断面図である。
【図8】本発明の実施例2の防振光学系のレンズ断面図である。
【図9】従来設計例の広角端の無限遠物点の時の収差図である。
【図10】従来設計例の中間焦点距離の無限遠物点の時の収差図である。
【図11】従来設計例の望遠端の無限遠物点の時の収差図である。
【図12】従来設計例のブレ補正レンズを回転させた時の広角端の無限遠物点の時の収差図である。
【図13】従来設計例のブレ補正レンズを回転させた時の中間焦点距離の無限遠物点の時の収差図である。
【図14】従来設計例のブレ補正レンズを回転させた時の望遠端の無限遠物点の時の収差図である。
【図15】実施例1の図9と同様な収差図である。
【図16】実施例1の図10と同様な収差図である。
【図17】実施例1の図11と同様な収差図である。
【図18】実施例1の図12と同様な収差図である。
【図19】実施例1の図13と同様な収差図である。
【図20】実施例1の図14と同様な収差図である。
【図21】実施例2の図9と同様な収差図である。
【図22】実施例2の図10と同様な収差図である。
【図23】実施例2の図11と同様な収差図である。
【図24】実施例2の図12と同様な収差図である。
【図25】実施例2の図13と同様な収差図である。
【図26】実施例2の図14と同様な収差図である。
【符号の説明】
1…主レンズ系
2…平行平面板
3…像位置
G1…第1レンズ群
G2…第2レンズ群
G3…第3レンズ群
G4…第4レンズ群
S…開口絞り
L…ブレ補正レンズ
Claims (3)
- 物体像を形成する主レンズ系と、該主レンズ系と像面の間に、像面に凹面に向けたメニスカスレンズを配置し、該メニスカスレンズを光軸に対して傾けることにより、主レンズ系の傾きによって発生する撮影画像の像ブレを補正することを特徴とする防振光学系であって、
以下の条件式を満足することを特徴とする防振光学系。
0.9<β 1 <1.1 ・・・(1)
0.05<|(R 1 −R 2 )/(R 1 +R 2 )|<0.5 ・・・(2)
ただし、β 1 は前記メニスカスレンズの近軸横倍率、R 1 、R 2 は該メニスカスレンズのそれぞれ入射面と射出面の曲率半径である。 - 請求項1に記載の防振光学系を有し、かつ、以下の条件式を満足することを特徴とするカメラ。
0.23×10 -3 <(d/D)〔(n−1)/{√(n 2 − sin 2 θ)}
+(1/n)−1〕<2.31×10 -3 ・・・(3)
ただし、Dは撮影画面の対角長の2分の1、d、n、θは該メニスカスレンズのそれぞれ厚さ、屈折率、回転角である。 - 以下の条件式を満足することを特徴とする請求項2記載のカメラ。
0.05<|(R1 −R2 )/(R1 +R2 )|<0.4 ・・・(4)
0.23×10-3<(d/D)〔(n−1)/{√(n2 −sin2θ)}
+(1/n)−1〕<1.5×10-3 ・・・(5)
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