JP3781151B2 - 粉体スラリー塗料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は塗料等の技術分野において用いられる、粉体スラリー塗料(紫外線硬化型粉体スラリー塗料を含む、以下同文)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉体塗料等の製造方法としては、従来から湿式法と乾式法がある。
湿式法は、通常の溶剤型塗料とほとんど同じ方法で塗料を作った後、溶剤を留去して粉砕するか、大量の非溶剤の中に噴出分散後、ろ別乾燥するか、あるいは加温空気中にスプレーして、溶剤を除去する等の方法が行われている。しかし技術上の問題が多く、現在乾式法に比べてコスト高となる為、実用されていない。
【0003】
また乾式法は各種原料を混合、加熱溶融、混練し、さらに冷却、粉砕、分級する各工程からなる。有機溶剤を使用しない塗料として今後さらなる発展が考えられる。
【0004】
しかし乾式法には、下記の問題点が列記される。
1)粉体塗料の形状は不定形にならざるを得ず、特に体積平均径が20ミクロン以下の粉体塗料の場合には粉体としての流動性が極端に悪化する。
【0005】
2)粉体が小粒径になればなるほど粉体重量当たりに必要な粉砕エネルギーが飛躍的に増大し、コスト高になってしまう。近年粉体塗料の動向として、表面の平滑性および光沢性向上の要請から粉体塗料の平均粒子径は益々小粒径化する方向にあり、近い将来10ミクロン以下の超微粒子粉体塗料の出現が期待されているが、従来技術の粉砕法の粉体塗料では、製造が非常に困難であり、またできたとしてもコスト高になる。
【0006】
3)粉体塗料の中でも紫外線硬化型粉体塗料は、軟化点が通常の粉体塗料よりも低く60〜120℃である。その為紫外線硬化型粉体塗料を製造する際の粉砕工程で粉体同士で融着しない様な処理が不可欠となる。
【0007】
上記問題を従来の湿式法、乾式法で克服するのは非常に困難である。
本発明の粉体スラリー塗料は、従来上記で得られる粉体塗料を水性媒体に乳化分散させることによって製造される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来法を抜本的に改良して、その問題点を解決した粉体スラリー塗料の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
具体的には
▲1▼本発明は、乾式法における粉砕工程が全く不要な粉体スラリー塗料の製造方法を提供する。
【0010】
▲2▼本発明は、10ミクロン以下の超微粒子の粉体塗料を容易に製造可能で、簡易でかつ生産性の高い連続製造方法を提供する。
▲3▼本発明は、粉砕工程が不要で粉砕しにくい軟化点の低い紫外線硬化型粉体塗料の製造が容易な製造方法を提供する。
【0011】
▲4▼粉体塗装ラインのような設備が不要で、既存の水系塗装ラインであればほとんど手を加えずに導入できる製造方法を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、有機溶剤を全く使用しない乾式法のメリットと、湿式法の球形で微粒子の粉体塗料のメリットの両方を併せ持つ粉体塗料ができないかと鋭意試行検討を繰り返した結果、連続式乳化分散機で機械的に乳化分散させる工程を経ることによって上記課題が達成できることを見出し、本発明に到達したものである。
【0013】
すなわち本発明は、(1)粉体塗料用合成樹脂と、硬化剤及び/又は光開始剤との混練物を加熱熔融して成る樹脂熔融体(a)と、該合成樹脂の軟化点±30℃に加熱した水性媒体(b)とを混合し、(2)該混合物の温度を該合成樹脂の軟化点±30℃に維持しながら、前記樹脂熔融体(a)を水性媒体(b)中に機械的手段により乳化分散させ、(3)その後直ちに急速冷却することを特徴とする粉体スラリー塗料の製造方法である。
【0014】
また乳化分散の機械的手段として、スリットを有するリング状固定子とスリットを有するリング状回転子とを、僅かな間隙を保って、該固定子と該回転子が相互に咬み合うように同軸上に設けた高速回転型連続式乳化分散機を使用する粉体スラリ塗料の製造方法であり、粉体塗料用合成樹脂と、硬化剤及び/又は光開始剤と、必要に応じて着色顔料との混練物を加熱熔融して成る樹脂熔融体と、水性媒体との混合物を、前記高速回転型連続式乳化分散機に供給し、該混合物を、前記回転子の高速回転により前記スリットと前記間隙とを通して回転子の内心から遠心の方向に流し、前記固定子のスリットと回転子のスリットを通過する間にせん断力を与えるとともに、該混合物が該固定子と該回転子との間の隙間を通過する間にズリ応力を与えることによって、該樹脂熔融体を水性媒体中に乳化分散する粉体スラリー塗料の製造方法である。
【0015】
【発明の実施の態様】
本発明は、溶剤を使わずに樹脂微粒子を水性媒体中に機械的に乳化分散させ、この水分散液からなる粉体スラリー塗料の製造方法(以下水系乳化分散法という)であり、3つの工程を経るものである。
【0016】
まず本発明の第1工程について説明する。
すなわち粉体塗料用合成樹脂と、硬化剤及び/又は光開始剤と、必要に応じて着色顔料との混練物を加熱熔融して成る樹脂熔融体(a)と、必要に応じて分散剤または界面活性剤を含むとともに、加熱し、必要に応じてさらに加圧することにより該合成樹脂の軟化点前後の温度に加熱した水性媒体(b)とを混合する工程である。
【0017】
この工程で用いる粉体塗料用合成樹脂は、粉体塗料に適していれば、どのようなものであってもかまわない。例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、アミン変性樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリエステル樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、ブロックイソシアネート樹脂およびこれらの混合物等が挙げられる。これらのうち、紫外線硬化型粉体塗料用樹脂としては、特に不飽和ポリエステル樹脂とウレタンアクリレートやウレタン化ビニルエーテルの組み合わせが好適であり、通常の粉体塗料用樹脂としてはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂等が好適である。
【0018】
硬化剤、光開始剤は、粉体塗料に適していればどのようなものであってもかまわない。硬化剤としては、例えばポリカルボン酸(ドデカン二酸、トリメリット酸等)、アミノ樹脂やブロックポリイソシアネート、ポリエポキシド、ポリオール等が挙げられる。また光開始剤としては、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール(イルガキュア−651)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア−184)、2−ヒドロキシ−2−ジメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、アゾビスイソブチルニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
【0019】
硬化剤、光開始剤は、合成樹脂の種類により、それぞれ単独に使用する場合、両者を併用する場合がある。
合成樹脂には、硬化剤、光開始剤の他、必要に応じて着色顔料を添加することができる。着色顔料としては、有機顔料、無機顔料等が挙げられる。有機顔料としては、有機顔料としては、例えばアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、縮合多環系顔料、ニトロソ系顔料等が挙げられ、無機顔料としては、例えば酸化物系顔料、フタロシアニン化物、クロム酸塩系顔料、炭素系顔料、マイカ系顔料、金属粉末顔料等が挙げられる。これらの顔料は、顔料分散剤によって被覆されてもよい。
【0020】
その他、添加剤として、必要に応じて充填剤、防錆剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、流動調整剤、ハジキ防止剤等が配合される。
上記の原料を混練し、加熱熔融し、樹脂熔融体を製造する。この樹脂熔融体を製造するには公知の方法が用いられる。具体的には、硬化剤を含有しない場合は、合成樹脂、光開始剤、必要に応じて着色顔料、添加剤をミキサーでドライブレンドした後、攪拌機付きの加熱溶融槽で完全に溶融させ、樹脂溶融体タンクに送られる。また硬化剤を含有する場合は、合成樹脂、硬化剤、必要に応じて光開始剤、着色顔料、添加剤をミキサーでドライブレンドした後、スクリューミキサーに送られ、押出機で加熱、溶融、混練されて、この混練物を直接下記の回転型連続式乳化分散機に送り込む。
【0021】
次に本発明の水性媒体について説明する。一般に水性媒体は基本的には水であり、安定な樹脂溶融体の水分散液をつくるために、必要により分散剤、界面活性剤を添加してもよい。分散剤としては、特に限定されないが、例えばスチレン等の懸濁重合で良く用いられているポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルローズなどの水溶性高分子分散安定剤、あるいは燐酸カルシウムなど難水溶性の無機系分散安定剤等が挙げられ、これらの中から適当なものを使用すればよい。また界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば2,6,8ートリメチルー4ーノニルオキシポリエチレンオキシエタノール等が挙げられる。
【0022】
合成樹脂に対する水性媒体の比率は水系乳化分散液を作るのに充分な量である必要がある。
本発明の無溶剤水系乳化分散法においては、前記の合成樹脂熔融体と水性媒体とを樹脂の軟化点前後の温度に加熱しておくことを特徴とする。軟化点前後の温度は、特に限定されないが、合成樹脂を熔融状態に維持するためには±30℃以内が好ましい。
【0023】
上記の水性媒体は、加熱し、必要により加圧した高温の水性媒体である。加熱用熱交換器等の使用により、粉体塗料用合成樹脂を熔融させるため合成樹脂の軟化点前後の温度まで加熱される。このため、水性媒体は、使用する合成樹脂の軟化点によって、工程中に設けられた1Kg/cm2〜20Kg/cm2程度の加圧手段によって圧力をかけ、適性温度に調整される。特に合成樹脂の軟化点が低い場合は必ずしも加圧手段を用いる必要はないが、軟化点が100℃以上の場合には、水性媒体が沸騰しないように加圧する必要がある。
【0024】
次に本発明の第2工程について説明する。
第2の工程は、上記の樹脂第1工程で得られる樹脂熔融体と高温水性媒体との混合物を、合成樹脂の軟化点前後の温度を維持しながら、樹脂溶融体を水性媒体に機械的に乳化分散させるものである。
【0025】
合成樹脂の軟化点前後の温度を維持しながら、樹脂熔融体を水性媒体に機械的に乳化分散させるための装置としては、特に限定しないが、スリットを有するリング状固定子とスリットを有するリング状回転子とを、僅かな間隙を保って、該固定子と該回転子が相互に咬み合うように同軸上に設けた構造を有する高速回転型連続式乳化分散機を用いるのが好ましい。
【0026】
この本発明の高速回転型連続式乳化分散機は、樹脂熔融体と100℃以上の高温高圧の水性媒体とを連続的に圧入して、合成樹脂の軟化点前後の温度で、合成樹脂の分解温度以下の高温高圧下で急速に均一混合して乳化分散し、連続的に排出できる構造の装置である。
【0027】
高速回転型連続式乳化分散機は、前記回転子を高速回転させることによって合成樹脂熔融体を水性媒体中に乳化分散することができる。この乳化機の温度は、合成樹脂を一定の熔融状態に保持するため、前記混合物の温度を合成樹脂の軟化点前後の温度に維持する必要があり、このため乳化機には保温のためのジャケットを設置することが好ましい。合成樹脂の最適温度は、目的とする粒子の粒子径、樹脂の分子量などによって異なるが、80℃〜220℃に設定するのが好ましい。
【0028】
高速回転型連続式乳化分散機内の温度は、供給する樹脂熔融体の温度、供給する水性媒体の温度、ジャケットの保温効果と機内でのせん断力による発熱量のバランスで、一定温度に制御される。
【0029】
また高速回転型連続式乳化分散機内の圧力は、水性媒体の機内温度における蒸気圧と回転子のポンプ機能による吐出圧で決まる。通常、樹脂微粒子の水分散液を冷却した後に自動圧力制御弁を設け、内部圧を一定に保ち、該水分散液を大気圧下に連続的に取り出す方法が好ましい。
【0030】
高速回転型連続式乳化分散機内では、樹脂熔融体と、高温水性媒体との混合物を、高速回転型連続式乳化分散機に供給し、該混合物を、前記回転子の高速回転により前記スリットと前記間隙とを通して回転子の内心から遠心の方向に流し、前記固定子のスリットと回転子のスリットを通過する間にせん断力を与えるとともに、該混合物が該固定子と該回転子との間の隙間を通過する間にズリ応力を与えることによって、微分散がなされる。この固定子及び回転子のスリットはノズルでも、同様な効果を奏することができるので、固定子、回転子の両方、又はいずれか一方のスリットをノズルに変えることもできる。
【0031】
以下図面により本発明の機械的微分散に好ましく用いられる高速回転型連続式乳化分散機について説明する。
高速回転型乳化分散機の固定子1は、同一中心で固着され、その中心が原料入口と連通する液入口2となって開口している。固定子1の円形面には、固定子と同心円でリング状の突起3が1段又は2段以上の多段状に突設されている。突起同士の間隙には、円周溝4が形成されており、それぞれの突起に複数のスリット5が形成されている。これらのスリットの幅は、0.6mm〜3.0mmであり、スリットは各リング状突起に12〜72本付いていて櫛の歯状となっている。このスリットの幅は、供給された液の粒子径を小さくするため、外周の突起ほど小さくなるのが好ましい。
【0032】
高速回転型連続式乳化分散機内の他方の内壁の中心には駆動軸6が付設され、駆動部に接続されて、高速回転される。
高速回転型連続式乳化分散機の回転子7は、この駆動部の先端に、固定子と平行にかつ同一中心軸上に固定されている。固定子に対向する回転子の対向面には、回転子と同心円で円環状の1段又は2段以上の多段状突起8が突設されている。それぞれの回転突起は固定子と同様に、突起同士の間隙には円周溝9が形成され、それぞれの突起には複数のスリット10が形成されている。
【0033】
この固定子1と回転子7とは、固定子の突起3及び円周溝4、回転子の突起8及び円周溝10が僅かな間隙を維持しつつ挿入状態で咬み合わされた状態で使用に供される。
【0034】
本発明で用いる高速回転型連続式乳化分散機は、この咬み合わせによって形成された間隙に樹脂溶融体と高温高圧水性媒体との混合物が供給され、該混合物が回転子の内心から遠心方向へ流れ、前記回転子の高速回転によってせん断力を受け、及び該混合物が該固定子と該回転子との間の隙間を通過する間にズリ応力を受けることによって樹脂熔融体が水性媒体中に乳化分散するものである。
【0035】
この高速回転型連続式乳化分散機の主液入口2に供給された樹脂溶融体と高温高圧水性媒体は、回転子7が高速回転すると、最内側の回転子の突起のスリットに入り、遠心力により該回転子の突起の外周から吐出され、最内側の固定子の突起に押しつけられ、その固定子の突起のスリットに入る。このスリットに入った混合液は、遠心力により最内側の回転子のスリットに入った混合物に押されて第2回転子の円周溝に押し出される。このとき該混合物は、最内側の固定子の突起と第2回転子の突起によってせん断力を加えられるとともに、固定子と回転子との間隔を通過するに伴って、ズリ応力が加えられる。混合液が合流するとさらにせん断力が加えられ、後の混合液に押されて第2固定子の突起のスリットに入り、前記と同様のことを繰り返して受けながら、混合物が順次遠心方向に移動され、微分散が完了される。
【0036】
この混合物の流れと、せん断力及びズリ応力の関係については、図4に示されるとおりである。
高速回転型連続式乳化分散機の回転子の回転数は駆動軸に接続された駆動モーターで制御される。回転数が大きく周速が大きいほど大きいせん断力を受けて、合成樹脂の粒子径が小さくなる。直径10cmの回転子を使用して、平均粒子径が10ミクロン以下の粉体塗料を製造する場合、好ましい回転数は3,000〜10,000rpmである。
【0037】
本発明の高速回転型連続式乳化分散機として市販されている装置の例としては、キャビトロン(株式会社ユーロテック)を挙げることができる。
次に本発明の第3工程について説明する。
【0038】
上記高速回転型連続式乳化分散機の出口から得られた樹脂微粒子の水分散液を、生成した樹脂粒子同士が衝突して凝集物が発生しない間に、出来るだけ速やかに合成樹脂のガラス転移温度以下の温度まで急速に冷却する。
【0039】
急速に冷却する装置としては、市販されている熱交換器を用いることができ、冷却水と熱交換させながら冷却する。冷却速度は特に限定しないが、凝集物が発生しないようにするためには、10℃/秒以上であることが好ましい。
【0040】
合成樹脂のガラス転移温度付近まで急速に冷却した後は、圧力制御弁により圧力を大気圧にまで戻すことにより、樹脂微粒子のスラリ−として得られる。
このスラリーを直接粉体スラリ塗料として用いることも可能であるが、必要に応じて粘度調整剤を入れることができる。粘度調整剤を加えることにより、浮遊した樹脂微粒子を維持し、スプレー塗布に好適なレオロジーを与えるという効果が得られる。粘度調整剤としては、例えばアクリル樹脂等が挙げられ、具体的製品としては、プライマル ASEー60(日本アクリル化学製)が挙げられる。
【0041】
以上の第1工程から第3工程までのフローの1例を図5により説明する。
すなわち上記の方法で製造された樹脂熔融体を入れたタンク12から樹脂ポンプ13を介して高速回転型連続式乳化分散機11に樹脂熔融体を供給すると同時に、水性媒体を入れた水性媒体タンク14から加熱用熱交換器15を通して高温水性媒体を得、この高温水性媒体をポンプ16を介して高速回転型連続式乳化分散機11に供給する。樹脂熔融体と高温水性媒体はこの乳化分散機11内で乳化分散され、樹脂熔融体水分散液が得られる。この水分散液を直ちに冷却用熱交換器17に通し冷却して樹脂水分散液を得る。このフロー全工程の圧力を圧力調整弁18で調整する。
【0042】
本発明の粉体スラリー塗料の製造方法は、樹脂溶融体と高温水性媒体から、高速回転型連続式乳化分散機を経て冷却までの一連の工程を連続で行うことができるものである。
【0043】
本発明は、上記のとおり樹脂熔融体と高温高圧水性媒体との混合物を高速回転型乳化分散機で高せん断力、ズリ応力及び高周波レベルの圧力変動を発生させ、強力な攪拌・破砕作用を利用して無溶剤乳化分散を行うものである。
【0044】
また、水可溶成分の溶出が全くゼロではないが合成樹脂粒子の洗浄はほとんど不要であり、単に濾別するだけでも良い。この点においても、本発明は工程がシンプルで全体工程を連続化するのに有利である。
【0045】
生成する樹脂微粒子の平均粒子径の支配因子は、▲1▼乳化分散機の回転子の回転速度、▲2▼合成樹脂および水性媒体の温度である。これらの支配因子はすべてその数値を大きくしてやると合成樹脂の水分散性がアップし、合成樹脂微粒子の粒子径は小さくなる。
【0046】
この樹脂微粒子のスラリ−を脱水し、乾燥し、次いで乾式法の場合と同様に所望の粒度分布になるように分級して特定の粒子径を有する樹脂微粒子からなる粉体塗料を得ることができる。この場合冷却用熱交換器にさらに洗浄装置、脱水装置、乾燥装置、及び分級装置を接続することにより、樹脂熔融体と高温水性媒体から、高速回転型連続式乳化分散機を経て乾燥、分級までの一連の工程を連続で行うことができる。もちろん急速冷却までを連続プロセスにし、粉体スラリを得た後は、タンク中で樹脂を水洗、脱水乾燥してもよい。なお分級工程は湿式サイクロンを用いる湿式分級を併用してもよい。
【0047】
【実施例】
以下本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。また実施例中の部、%はすべて重量基準によるものとする。
【0048】
実施例1 <紫外線硬化型粉体スラリー塗料の製造>
▲1▼紫外線硬化型粉体スラリー塗料に使用するウレタンアクリレートの製造
下記の組成物を使用した。
【0049】
イソホロンジイソシアネート 58.2部
ジブチル錫ジラウレート 0.1部
3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン 0.3部
これらの混合物を65℃に加熱し、そこへヒドロキシプロピルアクリレート 32.4部を滴下して、次にこの混合物を13%以下のNCO含有量になるまで攪拌した。次に攪拌回転数を上げて且つ120℃までゆっくり昇温した。その間グリセロール9部を1時間にわたって滴下する。次いで樹脂溶融物を取り出して冷却し、粉砕して軟化点(環球法)が75℃、溶融粘度(ICIコーンプレート型粘度計)が150℃で76dPasの白色粉末を得た。
【0050】
▲2▼紫外線硬化型粉体スラリー塗料の製造
このウレタンアクリレートを100部、ポリライトPB958(不飽和ポリエステル樹脂:大日本インキ化学工業製)233部、ジアセトンアクリルアミド 11部、イルガキュア 651(ベンジルジメチルケタール チバガイギー製)15部、BYK361(アクリル樹脂 BYK Chemie社製)11部の混合物を図5の混練物溶融体タンクに仕込み、110℃に加熱してキャビトロンCD1010に毎分100gの速度で送り込んだ。
【0051】
図5の水性媒体タンクのポリビニルアルコール(以下PVAという)を0.1%含むイオン交換水を、熱交換器で100℃に加熱しながら毎分1リットルの速度でキャビトロンに送り込んだ。回転子の回転速度は8000rpm、圧力は2Kg/cm2で運転し、製造したスラリーは110℃から65℃まで10秒以内に冷却して取り出した。
【0052】
このスラリーにスプレー塗装し易くするためにプライマルASE−60(酸含有架橋型アクリルエマルジョン、粘度調整剤:日本アクリル社製)を1重量%入れた。得られたスラリーをホモジナイザーで凝集物を粉砕して均一にした後400メッシュスクリーン(37ミクロン)で濾過して、平均粒径2ミクロン、最大粒径10ミクロン以下のほぼ球形の紫外線硬化型粉体スラリー塗料を得た。
【0053】
▲3▼紫外線硬化型粉体塗料の塗膜
このスラリー塗料を冷間圧延鋼のパネルに厚さ約1ミルにスプレー塗装した。この塗膜を15分間、100℃に加熱して水を蒸発させ、樹脂を溶融した後、紫外線ランプで照射(120w/cm、10m/min、7Pass、840mj/cm2)したところ、透明で硬く、耐引掻性のある塗膜を得た。
【0054】
実施例2 <粉体スラリー塗料の製造>
ファインデックA−207S(アクリル樹脂:大日本インキ化学工業製)を84%、ドデカン二酸(硬化剤)16%、アクロナール4F(流動調節剤:BASF社製)0.5%をミキサーで予備混合し、図5の12のスクリューミキサーに送り込む。そのスクリューミキサーによって図5の13の押出機に送られ、押出機で、100℃に加熱して混練し、キャビトロンCD1010に毎分100gの速度で送り込んだ。図5の水性媒体タンクのPVAを0.1%を含むイオン交換水を、熱交換器で100℃に加熱しながら毎分1リットルの速度でキャビトロンに送り込んだ。回転子の回転速度は8000rpm、圧力は2Kg/cm2で運転し、製造したスラリーは100℃から65℃まで10秒以内に冷却して取り出した。
【0055】
このスラリーにスプレー塗装し易くするためにプライマルASE−60を1重量%入れ、ホモジナイザーで凝集物を粉砕して均一にした後400メッシュスクリーン(37ミクロン)で濾過して、平均粒径2ミクロン、10ミクロン以下のほぼ球形の粉体スラリー塗料を得た。
【0056】
このスラリー塗料を綺麗にした冷間圧延鋼のパネルに厚さ約1ミルにスプレー塗装をした。このパネルを100℃で15分間前焼き付けした後、150℃で20分間焼き付けたところ、透明で硬く、平滑性のある塗膜を得た。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、有機溶剤を使わずに、極めて容易かつ生産性が高い連続製法で小粒径の粉体スラリー塗料が製造できる。
【0058】
また本発明の合成樹脂粒子の製造法によれば従来の粉砕手段では粉体化できなかったような樹脂でも経済的に粉体化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる回転型連続式乳化分散機の固定子及び回転子の斜視図である。
【図2】本発明に用いる回転型連続式乳化分散機の要部断面を表した図である。
【図3】図2のA−A'部を側面から見たときの固定子突起と回転子突起の組み合わせ状態を表した図である。
【図4】本発明に用いる回転型連続式乳化分散機の回転子の回転より固定子と回転子の間を流れる流体にかかる力を表した図である。
【図5】本発明にかかる粉体スラリー塗料の製造方法の説明図である。
【符号の説明】
1 固定子
2 液入口
3 固定子の突起
4 固定子の円周溝
5 突起のスリット
6 駆動軸
7 回転子
8 回転子の突起
9 回転子の円周溝
10 突起のスリット
11 回転型連続式乳化分散機
12 樹脂熔融体タンクまたはスクリューミキサー
13 樹脂ポンプまたは押出機
14 水性媒体タンク
15 加熱用熱交換器
16 水性媒体ポンプ
17 冷却用熱交換器
18 圧力制御弁
Claims (8)
- (1)粉体塗料用合成樹脂と、硬化剤及び/又は光開始剤との混練物を加熱熔融して成る樹脂熔融体(a)と、該合成樹脂の軟化点±30℃に加熱した水性媒体(b)とを混合し、(2)該混合物の温度を該合成樹脂の軟化点±30℃に維持しながら、前記樹脂熔融体(a)を水性媒体(b)中に機械的手段により乳化分散させ、(3)その後直ちに急速冷却することを特徴とする粉体スラリー塗料の製造方法。
- 急速冷却後、得られた粉体スラリー塗料に粘度調整剤を添加する請求項1記載の製造方法。
- 前記粉体塗料用合成樹脂が、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂を含む請求項1又は2記載の製造方法。
- 前記粉体塗料用合成樹脂が、不飽和ポリエステル樹脂とウレタンアクリレート及び/又はウレタン化ビニルエーテルからなる請求項1又は2記載の製造方法。
- 乳化分散の機械的手段として、スリットを有するリング状固定子とスリットを有するリング状回転子とを、僅かな間隙を保って、該固定子と該回転子が相互に咬み合うように同軸上に設けた高速回転型連続式乳化分散機を使用する請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
- 粉体塗料用合成樹脂と、硬化剤及び/又は光開始剤と、必要に応じて着色顔料との混練物を加熱熔融して成る樹脂熔融体と、水性媒体との混合物を、前記高速回転型連続式乳化分散機に供給し、該混合物を、前記回転子の高速回転により前記スリットと前記間隙とを通して回転子の内心から遠心の方向に流し、前記固定子のスリットと回転子のスリットを通過する間にせん断力を与えるとともに、該混合物が該固定子と該回転子との間の隙間を通過する間にズリ応力を与えることによって、該樹脂熔融体を水性媒体中に乳化分散する請求項5記載の製造方法。
- 前記樹脂熔融体(a)が着色顔料を含有する樹脂熔融体である請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法。
- 前記水性媒体(b)が加熱と、更に加圧することにより該合成樹脂の軟化点±30℃に加熱した水性媒体である請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法。
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