JP3780235B2 - ストレッチループヤーンとこれを用いた編物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚地で伸縮性の大きい編物用の糸として好適なストレッチループヤーンと、これを用いた編物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、ループヤーンは、図4に示すように、芯糸41に対して浮き糸42を過剰に絡め、その上に抑え糸43を巻き付けることにより、糸の表面に浮き糸42のループ40…を設けたものであり、ループ40…による嵩高効果があることから、厚地の編物の糸として汎用されているが、伸縮性に乏しいために用途的に制約があった。そこで、近年においては、このようなループヤーンに更に伸縮性を付与したストレッチループヤーンが登場している。
【0003】
このストレッチループヤーンは、例えば特許第2991606号において混成糸として開示されているものであり、図5に示すように、芯糸41及び浮き糸42と抑え糸43とからなる基本構成は前記のループヤーンと同様であるが、その芯糸41としてスパンデックスフィラメント糸41a(ポリウレタンフィラメント糸)と他の繊維糸41bとからなるものを用いていることから、伸縮性がよいと共に嵩高効果も大きく、これを用いた繊維製品にふっくらとした柔かい手触りを付与できるとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のストレッチループヤーンは、伸縮性及び嵩高効果に優れるものの、糸としての強度が不充分であるため、これを用いた編物も強度的に弱い上に耐久性に劣るという問題があった。
【0005】
本発明は、上述の情況に鑑み、ストレッチループヤーンとこれを用いた編物として、伸縮性及び嵩高効果が大きく、しかも強度及び耐久性に優れるものを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るストレッチループヤーンは、図1の参照符号を付して示せば、芯糸1aに浮き糸1bを過剰に絡めた上に抑え糸1cが巻き付けられて浮き糸1bによるループ10…を有する複合糸1に対し、伸縮性糸2が撚り合わされてなり、前記伸縮性糸2がスパンデックスフィラメント糸2aを含むと共に、前記複合糸1の芯糸1aがポリアミド繊維からなる構成としている。
【0007】
また、このようなストレッチループヤーンの好適態様として、請求項2の発明では、前記伸縮性糸2は、太さ15〜80デニールのスパンデックスフィラメント糸2aを他の繊維糸2bでカバーリングした伸縮率2〜3.5倍のものからなる構成、請求項3の発明では、前記伸縮性糸2が全体の8〜15重量%を占める構成、請求項4の発明では、前記複合糸1の芯糸1aの太さが50〜100デニールである構成、請求項5の発明では、前記複合糸1の浮き糸1bが非集束で引き延ばされた短繊維束からなる構成、請求項6の発明では、前記複合糸1の浮き糸1bによるループ10…は、10cm当たり7個以上で且つ芯糸1a表面からの平均高さが2〜5mmである構成、請求項7の発明では、前記複合糸1の浮き糸1bは、太さ0.5〜1.5デニールで繊維長35mm以上の短繊維束からなる構成、をそれぞれ採用している。
【0008】
一方、本発明に請求項8に係る編物は、前記請求項1〜7のいずれかに記載のストレッチループヤーンを用いたものからなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係るストレッチループヤーンの基本構成を示す。図において、1は複合糸であり、ポリアミド繊維からなる芯糸1aに浮き糸1bを過剰に絡めた上に、抑え糸1cが巻き付けられ、浮き糸1bによるループ10…が形成されている。2は伸縮性糸であり、スパンデックスフィラメント糸2aを他の繊維糸2bでスパイラル状にカバーリングしたものからなり、複合糸1に撚り合わすことより、一体のストレッチループヤーンYを構成している。
【0010】
このようなストレッチループヤーンYでは、伸縮性糸2のスパンデックスフィラメント糸2aによって良好な伸縮性が付与されると共に、この伸縮性と複合糸1のループ10…の存在とが相俟って大きな嵩高効果がもたらされるが、芯糸1aが高強度で劣化しにくいポリアミド繊維より構成されるため、糸全体としての強度及び耐久性に優れている。従って、このストレッチループヤーンYを用いた編物は、ループ10…を有する糸が嵩高な収縮状態になっていることから、厚地で高い保温性を備えると共に伸縮性に富み、ふっくらとした柔かい手触りを持つ上、優れた強度及び耐久性を有するものとなる。
【0011】
ここで、複合糸1のポリアミド繊維からなる芯糸1aは、太さ50〜100デニール程度のナイロン加工糸が好適であり、細過ぎてはストレッチループヤーンYとして充分な強度が得られず、逆に太過ぎてはストレッチループヤーンYとしての伸縮性が低下することになる。また、抑え糸1cとしては、繊維種の制約は特にないが、やはり強度及び耐劣化性の面よりナイロン加工糸の如きポリアミド繊維からなるものが好ましい。
【0012】
複合糸1の浮き糸1bとしては、ループ10…に柔らかいふくらみと好ましい毛羽立ちを持たせるために、非集束で引き延ばされた(ドラフトされた)短繊維束からなるものが好適であり、特にアクリル短繊維等で太さ0.5〜1.5デニール程度で平均繊維長30mm以上のものが推奨される。なお、短繊維の平均繊維長が短過ぎるものでは、抑え糸1cによる保持力が不充分となって脱落を生じ易くなる。また、この浮き糸1bにて形成するループ10は、充分な嵩高効果を得るために、10cm当たり7個以上で、且つ芯糸1a表面からの突出高さを2〜5mm程度に設定するのがよい。
【0013】
一方、前記伸縮性糸2としては、太さ15〜80デニールのスパンデックスフィラメント糸2aを他の繊維糸2bでカバーリングした伸縮率2〜3.5倍程度のものが好適である。しかして、他の繊維糸2bとしては、特に制約はないが、スパンデックスフィラメント糸2aが染色しにくいことから、染色性を確保するために、例えばナイロンの如きポリアミド、ポリエステル、綿等の染色性が良好な繊維からなるものが推奨される。
【0014】
また、この伸縮性糸2は、ストレッチループヤーンY全体の8〜15重量%を占める割合で用いることが望ましく、この比率が小さ過ぎては充分な伸縮性を付与できず、逆に該比率が大き過ぎては編物とした際のふっくらとした柔らかさを得にくくなる。なお、複合糸1と伸縮性糸2との混合撚り度は、100〜120T/m程度とするのがよく、小さ過ぎては両糸1,2の分離を生じ易く、逆に大き過ぎては嵩高編物としての風合いが悪くなるという問題がある。
【0015】
次に、本発明に係るストレッチループヤーンYの製造方法の一例を図2及び図3によって説明する。図2は複合糸1の製造工程、図3は複合糸1と伸縮性糸2の混成によるストレッチループヤーンYの製造工程をそれぞれ示す。
【0016】
図2において、B1は芯糸1aの巻出しボビン、B2は浮き糸1bの巻出しボビン、B3は中空スピンドル4に一体的に装着された抑え糸1cの巻出しボビン、B4はリング5及びトラベラー6を備えた巻取りボビンである。複合糸1の製造に際し、芯糸1aが給糸ローラ11の回転駆動によって巻出しボビンB1よりガイドローラ21,22,23を介して中空ガイド3へ送り出される一方、浮き糸1bは給糸ローラ12,13,14の回転駆動によって巻出しボビンB2よりガイドローラ24を介して中空スピンドル4へ送り出されるが、該中空スピンドル4の手前で中空ガイド3を通した芯糸1aと合流して絡み合わされ、これと共に巻出しボビンB3から繰り出された抑え糸1cが中空スピンドル4内に送り込まれる。
【0017】
このとき、浮き糸1b側の給糸ローラ12,13,14の回転速度は下流側ほど順次に速くなる(給糸ローラ14が最も速い)ように設定されており、これによって浮き糸1bの短繊維束が引き延ばされる(ドラフトされる)。また、給糸ローラ14の回転速度が芯糸1a側の給糸ローラ11ならびに中空スピンドル4の出口側の給糸ローラ15よりも速くなっており、もって浮き糸1bは芯糸1aに対して過剰に供給され、当該浮き糸1bが芯糸1aの周囲にだぶついた状態で巻き付くことにより、ループ10…の原形を生じる。しかして、中空スピンドル4が回転しているため、該中空スピンドル4内では絡み合わされた芯糸1aと浮き糸1bの上から抑え糸1cが巻き付き、だぶついた状態の浮き糸1bが該抑え糸1cのカバーリングによって芯糸1aに括り付けられ、給糸ローラ15の回転駆動により、ループ10…を有する一体の複合糸1として中空スピンドル4から引き出される。このループ10の高さは、前記の芯糸1aと浮き糸1bとの供給速度の差によって任意に調整でき、供給速度差が大きいほど高くなる。
【0018】
中空スピンドル4を出た複合糸1は、ガイドローラ25,26を介して巻取りボビンB4側へ誘導され、リング5とトラベラー6によって所定の撚り度を加えた上で巻取りボビンB4に巻き取られる。かくして得られた複合糸1は、伸縮性糸2との混成によってストレッチループヤーンYとする。
【0019】
図3において、B5は複合糸1の巻出しボビン、B6は伸縮性糸2の巻出しボビン、B7はリング8及びトラベラー9を備えた巻取りボビンである。複合糸1は給糸ローラ16の回転駆動によって巻出しボビンB5よりガイドローラ27,28,29を介して導出される一方、伸縮性糸2は給糸ローラ17の回転駆動によって巻出しボビンB6よりガイドローラ30,31,32,33,34を介して導出され、両糸1,2がガイド7によって合流する。そして、合流後の両糸1,2は、リング8とトラベラー9によって所定の撚り度を加えられ、ストレッチループヤーンYとして巻取りボビンB4に巻き取られる。
【0020】
しかして、伸縮性糸2側の給糸ローラ17は複合糸1側の給糸ローラ16よりも回転速度が遅く設定されており、この速度差によってストレッチループヤーンYの伸縮性と嵩高効果の程度を調整することができる。すなわち、速度差が大きいほどストレッチループヤーンYの単位長さ当たりの複合糸1の割合が多くなるから、伸縮性糸2が収縮した常態での嵩は高くなって伸縮性も大きくなり、編物の伸縮性と嵩高さが増大する。
【0021】
得られたストレッチループヤーンYは、厚地で伸縮性の大きい編物用の糸として極めて有用である。このような編物としては、例えば、保温性の高い下着類、手袋、靴下、セーター、帽子等が挙げられ、いずれも伸縮性に富む上、ふっくらとした柔かい手触りを持ち、しかも優れた強度及び耐久性を有している。
【0022】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、ストレッチループヤーンとして、ポリアミド繊維からなる芯糸と浮き糸に抑え糸が巻き付けられて浮き糸によるループを有する複合糸に対し、スパンデックスフィラメント糸を含む伸縮性糸が撚り合わされた構造を有することから、伸縮性及び嵩高効果が大きく、しかも強度及び耐久性に優れるものが提供される。
【0023】
請求項2の発明によれば、上記のストレッチループヤーンにおいて、伸縮性糸が特定の太さのスパンデックスフィラメント糸を用いた特定の伸縮率を有するものであるから、より優れた伸縮性及び嵩高効果を示すという利点がある。
【0024】
請求項3の発明によれば、上記のストレッチループヤーンにおいて、伸縮性糸が特定比率で用いられていることから、充分な強度及び耐久性を確保して且つより優れた強度及び耐久性が得られるという利点がある。
【0025】
請求項4の発明によれば、上記のストレッチループヤーンにおいて、複合糸の芯糸が特定の太さを有することから、充分な伸縮性を確保して且つより優れた強度及び耐久性が得られるという利点がある。
【0026】
請求項5の発明によれば、上記のストレッチループヤーンにおいて、複合糸の浮き糸が非集束で引き延ばされた短繊維束からなることから、柔らかいふくらみを持つループを形成できるという利点がある。
【0027】
請求項6の発明によれば、上記のストレッチループヤーンとして、ループの密度と高さが特定範囲にあることから、ふっくらとした柔らかい手触りを示す厚地の編物を提供できるという利点がある。
【0028】
請求項7の発明によれば、上記のストレッチループヤーンとして、複合糸の浮き糸が特定の太さで特定の繊維長を有する短繊維束からなるため、ループが柔らかい膨らみをもって且つ離脱しにくいものが提供される。
【0029】
請求項8の発明によれば、編物として、上記のストレッチループヤーンを用いていることから、厚地で高い保温性を備えると共に伸縮性に富み、ふっくらとした柔かい手触りを持つ上、優れた強度及び耐久性を有するものが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係るストレッチループヤーンを拡大して示す正面図である。
【図2】 同ストレッチループヤーンに用いる複合糸の製造工程を示す模式図である。
【図3】 同ストレッチループヤーンの複合糸と伸縮性糸の混成による製造工程を示す模式図である。
【図4】 従来のループヤーンを拡大して示す正面図である。
【図5】 従来のストレッチループヤーンを拡大して示す正面図である。
【符号の説明】
1 複合糸
1a 芯糸
1b 浮き糸
1c 抑え糸
10 ループ
2 伸縮性糸
2a スパンデックスフィラメント糸
2b 他の繊維糸
Y ストレッチループヤーン
Claims (8)
- 芯糸に浮き糸を過剰に絡めた上に抑え糸が巻き付けられて浮き糸によるループを有する複合糸に対し、伸縮性糸が撚り合わされてなり、前記伸縮性糸がスパンデックスフィラメント糸を含むと共に、前記複合糸の芯糸がポリアミド繊維からなるストレッチループヤーン。
- 前記伸縮性糸は、太さ15〜80デニールのスパンデックスフィラメント糸を他の繊維糸でカバーリングした伸縮率2〜3.5倍のものからなる請求項1記載のストレッチループヤーン。
- 前記伸縮性糸が全体の8〜15重量%を占める請求項1又は2に記載のストレッチループヤーン。
- 前記複合糸の芯糸の太さが50〜100デニールである請求項1〜3のいずれかに記載のストレッチループヤーン。
- 前記複合糸の浮き糸が非集束で引き延ばされた短繊維束からなる請求項1〜4のいずれかに記載のストレッチループヤーン。
- 前記複合糸の浮き糸によるループは、10cm当たり7個以上で且つ芯糸表面からの突出高さが2〜5mmである請求項1〜5のいずれかに記載のストレッチループヤーン。
- 前記複合糸の浮き糸は、太さ0.5〜1.5デニールで繊維長30mm以上の短繊維束からなる請求項1〜6のいずれかに記載のストレッチループヤーン。
- 前記請求項1〜7のいずれかに記載のストレッチループヤーンを用いた編物。
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