JP3673512B2 - 非可逆回路素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアンテナ共用器等に適用されるサーキュレータ、アイソレータ等の非可逆回路素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の非可逆回路素子の構成を図7に基づいて説明すると、従来の非可逆回路素子は、コ字状の第1のヨーク51と、この第1のヨーク51内に配置された磁石52と、この磁石52の下部に配置された円板状のフェライト部材53と、120度の間隔でフェライト部材53に取り付けられ、一部が互いに電気的絶縁状態で交叉した金属板からなり、120度の間隔で配置された3個の中心導体54、55,56と、フェライト部材53を保持する保持部材57と、コ字状の第2のヨーク58とで構成されている。
【0003】
また、保持部材57の孔57aには、中心導体54、55,56を取り付けたフェライト部材53が挿入されると共に、このフェライト部材53上に磁石52を配置した状態で、上下から第1,第2のヨーク51,58を被せる。
そして、第1,第2のヨーク51,58で磁石52,フェライト部材53、及び保持部材57を挟持した状態で、コ字状が互い違いに配置された第1,第2のヨーク51,58を結合して、第1,第2のヨーク51,58とで磁気閉回路が形成された構成となっている。
【0004】
また、図7に示すように、3個の中心導体54、55,56は、薄い金属板で形成され、一端側はそれぞれコンデンサ(図示せず)が接続され、更に外部回路(図示せず)に接続される第1導体部54a、55a、56aと、他端側がこの第1導体部54a、55a、56aに一直線状に繋がれ、接地回路に接続される第2導体部54b、55b、56bとで構成されていると共に、3個の中心導体54,55,56のそれぞれは、第1導体部54a、55a、56a、及び第2導体部54b、55b、56bがフェライト部材53上に位置した状態となっている。
【0005】
そして、例えば、図示せぬ外部回路から第1の中心導体54に信号を入力すると、前記磁気閉回路によってバイアスがかかっているため、信号はフェライト部材53状を回転し、その結果、中心導体55に電流が発生して、第1導体部55aから出力されるようになる。
また、中心導体55から入力して、中心導体56から出力する場合、及び中心導体56から入力して、中心導体54から出力する場合も、前記と同様の原理によって動作する。
【0006】
3個の中心導体54,55,56のそれぞれは120度の間隔で配置されているため、それぞれの中心導体54,55,56相互のインピーダンスがほぼ同一であるため、出力端子から入力端子への信号減衰量(アイソレーション)特性が大きくできる長所を有する。
しかし、信号が磁気閉回路によるバイアスによってフェライト部材53を伝送する際の損失は、120度では最小値ではないため、入力端子から出力端子への信号伝送による挿入損失(インサーションロス)特性が大きくなるという欠点を有する。
【0007】
また、別の従来例として、中心導体間の間隔を120度より大きな約150度に配置し、バイアスを150度に適した値にすることによって、挿入損失を最小値にできることは公知となっている。(例えば、特許文献1参照)
【0008】
しかし、このように150度に配置すると、アイソレーション特性は、120度に配置した場合に比べて悪化する。
【0009】
以上の従来例における挿入損失とアイソレーション特性を図4,図5に示す。
図4は、入力端から入力される信号に対して出力端から出力される信号の利得(符号がマイナスであるので損失)を周波数毎に示したものである。
この図4中のK2は、前記中心導体の間隔を120度に設定した従来例の特性を示し、K1は、前記中心導体の間隔を150度に設定した別の従来例の特性を示し、150度に設定した従来例の方が挿入損失が小さいので、良好な特性が得られる。
【0010】
一方、図5は、出力端から入力した信号に対して入力端から出力される信号の減衰を周波数毎に示したものである。
この図5中のL2は、前記中心導体の間隔を120度に設定した従来例の特性を示し、L1は、前記中心導体の間隔を150度に設定した別の従来例の特性を示し、120度に設定した従来例の方がアイソレーションが大きいので、良好な特性が得られる。
【0011】
【特許文献1】
特開平9−102704号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来の非可逆回路素子において、中心導体54、55,56は、それぞれ120度の間隔で配置されているため、アイソレーション特性が良好であるが、挿入損失特性が悪化する問題があり、また、別の従来例のように中心導体の間隔を150度に配置すると、挿入損失特性は良好になるが、アイソレーション特性が悪化するという問題があった。
【0013】
そこで、本発明は挿入損失特性とアイソレーション特性のバランスを、適用される回路の要求に応じて適宜調整できるようにした非可逆回路素子を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための第1の解決手段として、磁石、及びこの磁石に対向して配置された平板状のフェライト部材とで形成された直流磁界と、この直流磁界内に位置し、互いに電気的絶縁状態で上下方向の異なる面に設けられて、上下方向で一部が交叉した状態で、120度の間隔で配置された第1,第2,第3の中心導体とを備え、前記第1,第2,第3の中心導体は、外部回路と接続される入力用、或いは出力用の第1導体部と、接地回路に接続される接地用の第2導体部をそれぞれ有し、前記第1,第2,第3の中心導体の少なくとも一つの前記第2導体部は、前記直流磁界内で、前記第1導電体に対して交叉する部分で曲げられて、120度より大きな一つの第1の交叉角度を有すると共に、前記中心導体のそれぞれの前記第1導体部間には、3つの120度の第2の交叉角度を有した構成とした。
【0015】
また、第2の解決手段として、前記中心導体のそれぞれの前記第2導体部間には、120度より大きな一つの前記第1の交叉角度と、120度より小さく、同じ交叉角度の2つの第3の交叉角度を有した構成とした。
【0016】
また、第3の解決手段として、前記中心導体のそれぞれの前記第2導体部間には、120度より大きな一つの前記第1の交叉角度と、120度より小さく、互いに異なる交叉角度の2つの第3の交叉角度を有した構成とした。
また、第4の解決手段として、前記第1の交叉角度が150度に設定された構成とした。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の非可逆回路素子の図面を説明すると、図1は本発明の非可逆回路素子の分解斜視図、図2は本発明の非可逆回路素子の要部の断面図、図3は本発明の非可逆回路素子の中心導体の配置を示す説明図、図4は本発明の非可逆回路素子における挿入損失特性を示すグラフ、図5は本発明の非可逆回路素子におけるアイソレーション特性を示すグラフ、図6は本発明の非可逆回路素子をサーキュレータに適用した等価回路図である。
【0018】
次に、本発明の非可逆回路素子の構成を図1〜図5に基づいて説明すると、コ字状の磁性板(鉄板等)からなる第1のヨーク1は、四角状の上板1aと、この上板1aの対向する辺から下方に折り曲げられた対向する一対の側板1bとを有する。
円板状の磁石2は、第1のヨーク1の内面に配置され、上板1aに適宜手段によって取り付けられている。
【0019】
コ字状の磁性板(鉄板等)からなる第2のヨーク3は、四角状の底板3aと、この底板3aの対向する辺から上方に折り曲げられた対向する一対の側板3bとを有する。
そして、この第2のヨーク3は、その一対の側板3bが第1のヨーク1の一対の側板1bと結合されて、磁気閉回路が形成される。
【0020】
YIG(Yttrium iron garnet)等からなる円板状のフェライト部材4は、第2のヨーク3の底板3a上に載置された状態で、取り付けられている。
【0021】
また、チップ型のコンデンサC1は、板状のセラミック等からなる絶縁体21と、この絶縁体21の対向する平坦な二つの外面に設けられた銀等からなる第1,第2の電極部22,23とで構成され、そして、互いに対向する第1,第2の電極部22,23との間で容量が形成されている。
【0022】
そして、3個のチップ型のコンデンサC1は、第1の電極部22が第2のヨーク3の底板3aに半田付けされ、第2のヨーク3に取り付けられると共に、第2のヨーク3に接地された構成となっている。
【0023】
銅等の薄い導電板からなる第1,第2,第3の中心導体5,6、7は、それぞれ両端部に設けられた一対の折り曲げ部5a、6a、7aと、一方の折り曲げ部5a、6a、7aの端部に設けられた接続部5b、6b、7bと、他方の折り曲げ部5a、6a、7aの端部において折り曲げ形成された端子部5c、6c、7cと、端子部5c、6c、7c側に位置する入力用、或いは出力用の第1導体部5d、6d、7dと、接続部5b、6b、7b側に位置する第2導体部5e、6e、7eとを有する。
【0024】
また、第1の中心導体5の第1,第2導体部5d、5eは、一直線状に形成されると共に、第2、第3の中心導体6,7は、それぞれ第2導体部6e、7eが後述する交叉部を境として、第1導体部6d、7dに対して円周方向に曲げられている。
【0025】
そして、120度の間隔で配置された第1,第2,第3の中心導体5,6、7は、それぞれ絶縁材からなる絶縁体8を挟んで、上下方向の異なる面に配置され、且つ、第1導体部5d、6d、7dが互いに120度の間隔を置いて配設されると共に、上下方向において一部が交叉した状態となっている。
また、これ等の第1,第2,第3の中心導体5,6、7は、絶縁体8を介してフェライト部材4上に載置される。
【0026】
この時、第1,第2,第3の中心導体5,6,7の端子部5c、6c、7cは、それぞれがチップ型のコンデンサC1の第2の電極部23上に半田付けされて、電気的に接続され、また、接続部5b、6b、7bは、第2のヨーク3の底板3aに半田付けされて、接地状態で電気的に接続される。
【0027】
即ち、入力用、或いは出力用の第1導体部5d、6d、7d側には、コンデンサC1が接続され、また、接地用の第2導体部5e、6e、7e側が接地された構成となっている。
【0028】
また、フェライト部材4上に配置された第1,第2,第3の中心導体5,6、7が載置された際、図3に示すように、第1,第2,第3の中心導体5,6、7のそれぞれの第1導体部5d、6d、7d間は、120度の交叉角度で等間隔に配置されると共に、第2,第3の中心導体6,7の第2導体部6e、7eは、第1の中心導体5の第2導体部5eとの間における交叉角度が120度よりも小さい交叉角度(例えば105度)で配置された構成となっている。
【0029】
そして、第2導体部5e、6eの交叉角度(例えば105度)と第2導体部5e、7eの交叉角度(例えば105度)は、等しくなっていると共に、この実施例では、第1の中心導体5の第1導体部5dが位置する側において、第2,第3の中心導体6,7の第2導体部6e、7e間でなす交叉角度が150度となして配置されている。
【0030】
そして、第1,第2,第3の中心導体5,6,7上には、第1のヨーク1に位置決めされた磁石2が配置され、この状態で、第1,第2のヨーク1,3の側板1b、3b同士が結合されると、第1,第2のヨーク1,3間で磁石2,フェライト部材4等を挟持すると、サーキュレータ、或いはアイソレータからなる非可逆回路素子が形成される。
【0031】
また、このような構成を有する本発明の非可逆回路素子は、ここでは図示しないが、導電パターンを有する回路基板上に搭載されて、面実装されるようになっている。
【0032】
このような構成を有する本発明の非可逆回路素子は、図3に示すように、例えば、第2の中心導体6に信号を入力すると、前記磁気閉回路によってバイアスがかかっているため、信号はフェライト部材4上を回転し、その結果、第3の中心導体7に電流が発生して、第1導体部7aから出力されるようになる。
【0033】
この時、第2の中心導体6と第3の中心導体7間の第1導体部6d、7d間の交叉角度は、120度に設定され、第2導体部6e、7e間の交叉角度は、150度に設定されているので、両者の中間の特性を得ることができる。
そして、本発明の構成における特性は、図4で挿入損失特性をカーブK3で示し、また、図5でアイソレーション特性をカーブL3で示したが、何れも従来例の中間の値を示している。
【0034】
また、上記の実施例では、第2,第3の中心導体6,7との関係で説明したが、第1,第2の中心導体間、及び第3,第1の中心導体間においても同様の交叉角度に設定すれば、同様の特性を得ることができる。
また、上記実施例では、第1導体部6d、7d間の交叉角度を120度に設定し、且つ、第2導体部6e、7e間の交叉角度を150度に設定したが、逆に第1導体部6d、7d間の交叉角度を150度に設定し、第2導体部6e、7e間の交叉角度を120度に設定しても、同様の特性を得ることができる。
【0035】
また、上記実施例では、第2導体部6e、7e間の交叉角度を150度に設定したが、150度に限定することなく、120度より大きな交叉角度に設定することによって、使用される回路特性の要求に合致した特性を得ることができる。また、120度より小さい105度の2組の交叉角度は、互いに異なる交叉角度にしても良い。
【0036】
また、図5は、本発明の非可逆回路素子をサーキュレータに適用した等価回路図を示し、第1,第2,第3の中心導体5,6,7のそれぞれの一端側に入出力端子となる端子部5c、6c、7cが設けられ、また、それぞれの他端側である接続部5b、6b、7bが接地されると共に、第1,第2,第3の中心導体5,6,7の端子部5c、6c、7cには、接地されたチップ型のコンデンサC1が接続された構成となっている。
【0037】
【発明の効果】
本発明の非可逆回路素子は、磁石、及びこの磁石に対向して配置された平板状のフェライト部材とで形成された直流磁界と、この直流磁界内に位置し、互いに電気的絶縁状態で上下方向の異なる面に設けられて、上下方向で一部が交叉した状態で、120度の間隔で配置された第1,第2,第3の中心導体とを備え、第1,第2,第3の中心導体は、外部回路と接続される第1導体部と、接地回路に接続される第2導体部をそれぞれ有し、第1,第2,第3の中心導体の少なくとも一つは、直流磁界内で、第1導体部、又は第2導体部が円周方向に曲げられ、第1,第2,第3の中心導体のそれぞれの第1導体部間で形成される3つの交叉角度と第2導体部間で形成される3つの交叉角度とで構成される6組の交叉角度において、120度より大きな一つの第1の交叉角度を設けた構成とした。
このような構成によって、使用される回路特性の要求に合致した挿入損失特性とアイソレーション特性を、最も近い特性を有するものが容易な構造で任意に調整して得ることができるので、伝送効率の良い非可逆回路素子を実現できる。
【0038】
また、120度より大きな第1の交叉角度と、120度の第2の交叉角度と、120度より小さい2組の第3の交叉角度を有し、2組の第3の交叉角度が同じ交叉角度に設定されたため、第1,第2,第3の中心導体を120度の間隔で配置すれば良く、その製造が容易となる。
【0039】
また、120度より大きな第1の交叉角度と、120度の第2の交叉角度と、120度より小さい2組の第3の交叉角度を有し、2組の第3の交叉角度が互いに異なる交叉角度に設定されたため、第1,第2,第3の中心導体を120度の間隔で配置すれば良く、その製造が容易となる。
【0040】
また、第1導体部に対して第2導体部が円周方向に曲げられたため、外部回路に接続される第1導体部の位置が一定となり、セット側での配線が容易なものが得られる。
【0041】
また、第1の交叉角度が150度に設定されたため、アイソレーション特性の良好なものが得られる。
【0042】
また、第2導電体は、第1導電体に対してそれぞれ中心導体が交叉する部分で曲げられたため、他の部分で曲げられたものに比べてインダクタンス部分が長くなるので、コンデンサとによって共振回路のQ値が高くなり、周波数特性が良好な非可逆回路素子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非可逆回路素子の分解斜視図。
【図2】本発明の非可逆回路素子の要部の断面図。
【図3】本発明の非可逆回路素子の中心導体の配置を示す説明図。
【図4】本発明の非可逆回路素子における挿入損失特性を示すグラフ。
【図5】本発明の非可逆回路素子におけるアイソレーション特性を示すグラフ。
【図6】本発明の非可逆回路素子をサーキュレータに適用した等価回路図。
【図7】従来の非可逆回路素子の分解斜視図。
【符号の説明】
1 第1のヨーク
1a 上板
1b 側板
2 磁石
3 第2のヨーク
3a 底板
3b 側板
4 フェライト部材
5 第1の中心導体
5a 折り曲げ部
5b 接続部
5c 端子部
5d 第1導体部
5e 第2導体部
6 第2の中心導体
6a 折り曲げ部
6b 接続部
6c 端子部
6d 第1導体部
6e 第2導体部
7 第3の中心導体
7a 折り曲げ部
7b 接続部
7c 端子部
7d 第1導体部
7e 第2導体部
8 誘電体
C1 チップ型のコンデンサ
21 絶縁体
22 第1の電極部
23 第2の電極部
Claims (4)
- 磁石、及びこの磁石に対向して配置された平板状のフェライト部材とで形成された直流磁界と、この直流磁界内に位置し、互いに電気的絶縁状態で上下方向の異なる面に設けられて、上下方向で一部が交叉した状態で、120度の間隔で配置された第1,第2,第3の中心導体とを備え、前記第1,第2,第3の中心導体は、外部回路と接続される入力用、或いは出力用の第1導体部と、接地回路に接続される接地用の第2導体部をそれぞれ有し、前記第1,第2,第3の中心導体の少なくとも一つの前記第2導体部は、前記直流磁界内で、前記第1導電体に対して交叉する部分で曲げられて、120度より大きな一つの第1の交叉角度を有すると共に、前記中心導体のそれぞれの前記第1導体部間には、3つの120度の第2の交叉角度を有したことを特徴とする非可逆回路素子。
- 前記中心導体のそれぞれの前記第2導体部間には、120度より大きな一つの前記第1の交叉角度と、120度より小さく、同じ交叉角度の2つの第3の交叉角度を有したことを特徴とする請求項1記載の非可逆回路素子。
- 前記中心導体のそれぞれの前記第2導体部間には、120度より大きな一つの前記第1の交叉角度と、120度より小さく、互いに異なる交叉角度の2つの第3の交叉角度を有したことを特徴とする請求項1記載の非可逆回路素子。
- 前記第1の交叉角度が150度に設定されたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の非可逆回路素子。
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