JP3583201B2 - 分離膜モジュールの洗浄方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分離膜モジュールを被処理液槽内に浸漬し、ろ液側から吸引して、被処理液をろ過し、このろ過により閉塞した分離膜モジュールを洗浄する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、分離膜モジュールは、無菌水、飲料水、高純度水等の製造装置や、空気の浄化装置に用いられてきた。これらの用途に加えて、近年では、汚濁性の高い液体の処理に、この分離膜モジュールを用いることが検討され、一部実用化されている。
汚濁性の高い液体の処理とは、具体的には、下水処理における二次処理および三次処理やその浄化槽における固液分離等があげられる。
【0003】
図2は分離膜モジュールを用いたろ過装置の一例を示す概略図である。
この例のろ過装置は、被処理液槽2と、この被処理液槽2内に配置された分離膜モジュール4と、ろ液用配管8によってこの分離膜モジュール4と接続されたポンプ6によって概略構成されたものである。
このポンプ6を稼動させることにより、分離膜モジュール4内が負圧になり、被処理液槽2に満たされた被処理液は、分離膜モジュール4によってろ過され、そのろ液は、ろ液用配管8内部を通って、系外に排出される。
【0004】
上述のろ過運転によって起こる、分離膜モジュール4の閉塞による、その分離能の低下は、ろ液用配管8に設けられた圧力計10によって測定できるろ過時の差圧の上昇と、ろ過流量の低下によって知ることができる。
特に、このような汚濁性の高い液体の処理においては、分離膜モジュール4の閉塞が起こりやすく、このため、分離膜モジュール4の寿命の短期化が、問題となる。
そこで、上述のようにして閉塞した分離膜モジュール4を、薬液を満たした洗浄用タンクに移動し、一定時間薬液に浸漬して洗浄することにより、分離膜モジュール4に付着した閉塞原因物質を取り除き、その分離能を回復させることが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の分離膜モジュール4の薬液による洗浄方法においては、分離膜モジュール4を洗浄用タンクに移動しなければならない。
また、被処理液槽2内の被処理液を排出し、これにかわって薬液を満たすことによって、分離膜モジュール4を移動せずに、この分離膜モジュール4の薬液洗浄を行うことも考えられるが、この被処理液槽2の容量は、分離膜モジュール4の大きさに対して、かなり大きなものであるので、多量の薬液を必要とし、実用的ではない。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、分離膜モジュールを被処理液槽内に浸漬し、そのろ液側から吸引して、被処理液をろ過し、このろ過により閉塞した分離膜モジュールを洗浄する方法において、分離膜モジュールの移動を必要とせず、少量の薬液で、効率よく、分離膜モジュールの洗浄を行う分離膜モジュールの洗浄方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の分離膜モジュールの洗浄方法は、分離膜モジュールを被処理液槽内に浸漬し、ろ液側から吸引して、被処理液をろ過し、このろ過により閉塞した分離膜モジュールを洗浄する方法であって、被処理液槽内の被処理液を排出した後、この分離膜モジュールのろ液側から薬液を間欠的に複数回通液し、その際、1回目に通液する薬液の量を、分離膜モジュールの膜外表面全体に滲み出すのに十分な最低通液量よりも多くし、2回目以降に通液する薬液の量を、最低通液量の2〜5倍とすることにより、分離膜モジュールの洗浄を行うことを前記課題の解決手段とした。
また、この方法において、分離膜モジュールのろ液側より薬液を通液した際に、分離膜モジュール内に薬液が満たされた状態で、一定時間保持することにより、より少ない薬液量で、高い洗浄効果を得ることができる。
【0008】
また、この方法において、被処理液槽内の被処理液を排出した後、分離膜モジュールの膜外表面を圧力水で洗浄してから、この分離膜モジュールのろ液側より薬液を通液することもできる。
また、他の分離膜モジュールの洗浄方法として、分離膜モジュールのろ液側から薬液を通液した後、被処理液槽内の被処理液を排出し、再び分離膜モジュールのろ液側から薬液を通液することにより、この分離膜モジュールを洗浄することもできる。
【0009】
また、他の分離膜モジュールの洗浄方法として、被処理液槽内の被処理液を排出する際に、この被処理液を複数回に分けて排出し、この1回の排出終了毎に、分離膜モジュールのろ液側から薬液を通液する方法により、この全ての被処理液を排出することもできる。
あるいは、分離膜モジュールのろ液側から連続して薬液を通液しながら、被処理液槽内の被処理液を複数回に分けて排出する方法により、この全ての被処理液を排出することもできる。
このようにして、被処理液槽内の被処理液を排出した後、再び分離膜モジュールのろ液側から、薬液を通液することにより、この分離膜モジュールの洗浄を行うこともできる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の分離膜モジュールの洗浄方法を実施するのに好適なろ過装置の例を示すものである。
この例のろ過装置は、被処理液槽2と、この被処理液槽2内に配置された分離膜モジュール4と、この分離膜モジュール4と接続されたポンプ6と薬液槽14によって概略構成されたものである。
分離膜モジュール4、ポンプ6および薬液槽14を接続する配管7、ろ液用配管8および薬液用配管16の接続部には、三方切換弁12が設けられている。この三方切換弁12を切り換えることにより、配管7がろ液用配管8に接続された状態と、配管7が薬液用配管16に接続された状態との切り換えを行うことができる。
また、薬液用配管16には、開閉弁18が設けられている。
【0011】
ろ過を行う際には、三方切換弁12を、配管7がろ液用配管8に接続された状態として、ポンプ6を稼動させることにより、分離膜モジュール4内は負圧になり、被処理液槽2に満たされた被処理液は、分離膜モジュール4によってろ過され、そのろ液は、配管7からろ液用配管8内部を通って、系外に排出される。
【0012】
上述のようなろ過運転により閉塞した分離膜モジュール4を、以下のようにして洗浄する。
最初に、図1に基づいて、請求項1記載の分離膜モジュールの洗浄方法の例について以下に説明する。
すなわち、ろ過運転を停止した後、被処理液槽2内に満たされた被処理液を全て排出する。
つぎに、開閉弁18を閉じた状態で、薬液槽14に薬液を満たす。続いて、三方切換弁12を、薬液槽14方向に切り換え、配管7と薬液用配管16が接続された状態とし、開閉弁18を開けて薬液を通液する。このとき薬液は、薬液用配管16から配管7を通り、分離膜モジュール4内から分離膜モジュール4の膜外表面に滲み出し、被処理液槽2内に排出される。
この開閉弁18の開放割合を調節することによって、通液する薬液の流量を設定することもできる。
また、薬液槽14内の薬液は、その通液中に足すこともできる。
そして、ここでは、薬液の通液を、間欠的に複数回行う。
その操作は、例えば、配管7と薬液用配管16が接続された状態で、開閉弁18を開けて、薬液槽14に満たされた薬液の一部を通液した時点で、開閉弁18を閉じる。続いて、また開閉弁18を開けて、再び薬液槽14に満たされた薬液の一部を通液することを複数回繰り返すことによって行われる。
この場合に、1回目に通液する薬液の量は、最低通液量、すなわち、分離膜モジュール4の膜外表面全体に滲み出すのに十分な量より多ければよく、分離膜モジュール4の閉塞状態や膜面積等によって、任意に設定することができる。2回目以降は、この最低通液量の2〜5倍の範囲で設定される。
また、薬液を通液する回数は、任意に設定することができるが、通常3〜6回とされる。
これらの条件は、分離膜モジュール4の洗浄が十分に行われるように、その閉塞状態等によって、適宜に設定する必要がある。
この方法によれば、連続的に薬液を通液するよりも、分離膜モジュール4の閉塞原因物質に対する薬液の抽出効率が上昇するので、好ましい。
また、分離膜モジュール4のろ液側から薬液を通液する際に、分離膜モジュール4のろ液側よりかかる圧力による、膜外表面に吸着した閉塞原因物質をその膜外表面から引き離す力が、複数回にわたって加わるので、より効果的である。
【0013】
この薬液の通液後には、分離膜モジュール4に付着した薬液を水洗や乾燥等の方法により除去する必要がある。この除去方法は、薬液の種類等によって、任意の方法をとることができるが、例えば、薬液槽14に、薬液にかわって水を満たして、この水を、上述の薬液の通液と同様にして、通液することにより、行うこともできる。
【0014】
上述の薬液の通液方法は、上述のような水頭差による自然流下の他、公知の方法を用いることができる。例えば、薬液を満たした薬液槽から、ポンプによってこの薬液を分離膜モジュール4に送り込む方法や、加圧容器に薬液を駐留して、コンプレッサー等による圧力によって、この薬液を分離膜モジュール4に送り込む方法等を用いることができる。
【0015】
また、洗浄に用いられる薬液とその濃度は、洗浄する分離膜モジュール4の材質やそのろ過の目的や閉塞状態等に応じて、任意のものを用いることができる。一般には、次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、硫酸、シュウ酸、クエン酸、界面活性剤の水溶液や、アルコール等を用いることができる。
【0016】
このように、被処理液槽2内の被処理液を排出した後、分離膜モジュール4のろ液側より薬液を通液する方法であるので、分離膜モジュール4を被処理液槽2内から移動する必要がなく、また、少量の薬液で洗浄が可能である。
また、予め、被処理液槽2内の被処理液を排出するため、薬液を通液することにより、分離膜モジュール4のろ液側からその膜外表面に滲み出した薬液が、被処理液によって希釈されることがない。このため、薬液の洗浄能力を低下させることなく、十分な洗浄効果を引き出すことができる。
【0017】
また、分離膜モジュール4のろ液側から薬液を通液する際には、分離膜モジュール4のろ液側より圧力がかかり、その膜外表面に吸着した閉塞原因物質を膜外表面から引き離す力が働く。このため、洗浄効果において、より有利である。
上述の分離膜モジュール4のろ液側よりかかる圧力が大きい程、分離膜モジュール4の膜外表面に吸着した閉塞原因物質を、この膜外表面から引き離す力は大きくなる。しかし、この圧力が大きすぎると、分離膜モジュール4が破れたり、その強度が低下したりする可能性があるので、通常1〜4m水頭とする。この圧力は薬液の流量等によって調節することができる。
上述の圧力は、分離膜モジュール4の形状や分画性能、その閉塞状態によって変化する。分画性能の小さいものや、閉塞がひどいものは、薬液を通液する際に、分離膜モジュール4のろ液側より大きな圧力がかかる傾向がある。
【0018】
上述の分離膜モジュールの洗浄方法の例において、洗浄可能な分離膜モジュール4の形状や材質は、特に限定することはなく、セルロース、ポリオレフィン、ポリスルフォン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ四フッ化エチレン、セラミック等任意の材質よりなる、平膜タイプ、中空糸膜タイプ、管状タイプ、袋状タイプ等任意の形状のものを用いることができる。
また、この分離膜モジュール4の分画性能は、そのろ過の目的によって任意のものを選択できるが、上述の圧力の範囲内で、分離膜モジュール4のろ液側から薬液を通液できることが望ましく、通常は、0.01〜1μmのものを用いることができる。
【0019】
この分離膜モジュール4の形状によって、洗浄の際、その膜外表面からの薬液の滲み出方や、そのろ液側よりかけることのできる圧力等が異なる。
例えば、平膜タイプの分離膜モジュール4を用いた場合には、その膜外表面全体から均一に薬液が滲み出るので、洗浄むらが起こり難い。しかし、分離膜モジュール4のろ液側よりかけることのできる圧力は、中空糸膜タイプを用いた場合と比較すると、小さくなる。
また、中空糸膜タイプを分離膜モジュール4に用いた場合には、分離膜モジュール4のろ液側よりかけることのできる圧力は、平膜タイプと比較すると、大きくすることができるので、この洗浄効果を、より高めることができる。しかし、この中空糸膜の長手方向に若干の圧力分布が存在するため、やや洗浄むらが起こり易い傾向がある。
このような分離膜モジュール4の形状による洗浄効果の差を考慮して、薬液の種類や濃度およびその流量や通液量等の条件を設定する必要がある。
【0022】
また、請求項2記載の分離膜モジュールの洗浄方法は、請求項1記載の洗浄方法において被処理液槽内の被処理液を排出した後、分離膜モジュール4のろ液側より薬液を通液し、分離膜モジュール4内に薬液が満たされた状態で、一定時間保持することにより、その洗浄効果をさらに高めた方法であるので、より少ない薬液量で、この分離膜モジュール4の洗浄を行うことができる。
【0024】
すなわち、例えば、薬液槽14に満たされた薬液の一部を、分離膜モジュール4の膜外表面全体に薬液が滲み出るまで通液し、薬液槽14内あるいは、薬液槽14と開閉弁18を接続する薬液用配管16内に薬液が残っている状態で、開閉弁18を閉じると、分離膜モジュール4内に薬液が満たされた状態で保持できる。つぎに、再び、開閉弁18を開けて、薬液槽14に満たされた薬液の一部を通液させた時点で、この開閉弁18を閉じ、分離膜モジュール4内に薬液が満たされた状態で保持することを繰り返す。
最後の薬液の保持時間が終了した後、再び開閉弁18を開けて、薬液を分離膜モジュール4から排出し、この分離膜モジュール4に付着した薬液を除去する。
【0025】
このとき、複数回行われる薬液の保持時間は、5分〜48時間であれば、それぞれ任意に設定することができる。5分未満であると、薬液を連続して通液した場合との差がなく、48時間を越えると、分離膜モジュール4の膜外表面に滲み出した薬液が乾燥してしまう場合があり、好ましくない。
この薬液の通液と、その保持の回数は、この分離膜モジュール4の汚れが十分に洗浄できるように適宜に設定することができるが、通常3〜6回ずつとされる。
【0026】
請求項3記載の分離膜モジュールの洗浄方法は、請求項1または2記載の洗浄方法において、特に分離膜モジュール4の閉塞が著しい場合に有効な方法である。
すなわち、被処理液槽2内の被処理液を排出した後、分離膜モジュール4の膜外表面より、200〜1000kPaの圧力水で洗浄してから、この分離膜モジュール4のろ液側より、薬液を通液する。この圧力水の流量と洗浄時間は、分離膜モジュール4の膜面積やその閉塞状態等によって、任意に設定することができる。
このように、薬液を通液する前に、予め分離膜モジュール4の膜外表面を圧力水で洗浄することにより、より少量の薬液で洗浄することができることはもちろんであるが、薬液を分離膜モジュール4の膜面全体に均一に滲ませることができるので、洗浄むらが起こり難くなるという効果も得られる。
【0027】
請求項4記載の分離膜モジュールの洗浄方法は、この分離膜モジュール4のろ液側より薬液を通液した後、被処理液槽2内の被処理液を排出し、再び分離膜モジュール4のろ液側より薬液を通液する方法である。
【0028】
このとき、被処理液槽2内の被処理液を排出する前に行う薬液の通液は、上述の場合と同様にして行うことができる。なお、ここでの通液は1回でもよく、間欠的に複数回通液することに限定されない。
この通液量は、最低通液量、すなわち、分離膜モジュール4の膜外表面全体にこの薬液が滲み出るのに十分な量よりも多ければよい。通常はこの最低通液量の2〜5倍に設定される。また、このときの流量は、分離膜モジュール4の強度に影響を与えない程度であれば、任意に設定できるが、通常、この分離膜モジュール4のろ液側よりかかる圧力が1〜4m水頭であるように調節する。
【0029】
このように、予め、被処理液槽2内に被処理液が満たされた状態で、分離膜モジュール4のろ液側より薬液を通液することによって、分離膜モジュール4のろ液側に対して圧力がかかり、薬液が浸透することになる。このため、被処理液槽2内の被処理液を排出した後に行う洗浄において、分離膜モジュール4のろ液側から通液する薬液は、分離膜モジュール4のろ液側全体から均一に滲み出るようになる。
【0030】
この方法は、分離膜モジュール4の閉塞状態が、その部分によって差がある場合に有効な方法で、特に、分離膜モジュール4の分離膜面が、水深方向に沿うように配置されている場合にその効果が大きい洗浄方法である。
すなわち、被処理液槽2内の被処理液に含まれる分離膜モジュール4の閉塞原因物質である固体は、被処理液槽2内の下方部分に多く存在する傾向がある。このため、分離膜モジュール4の分離膜面が、水深方向に沿うように配置されている場合には、どうしても、この分離膜モジュール4の下方部分である程、この固体がより多く付着しやすく、すなわち、閉塞しやすくなる。
【0031】
このように、分離膜モジュール4の分離膜面が、水深方向に沿うように配置されている場合に、上述のように、被処理液槽2内に被処理液が満たされた状態で、分離膜モジュール4のろ液側より薬液を通液すると、この通液する薬液の水頭差により、分離膜モジュール4の下方部分である程、分離膜モジュール4のろ液側よりかかる圧力は相対的に大きくなる。
すなわち、閉塞が著しい下方部分程、分離膜モジュール4のろ液側から、より大きな圧力がかかることになる。
このため、被処理液を排出した後に行う洗浄において、分離膜モジュール4のろ液側から通液する薬液は、分離膜モジュール4のろ液側全体から均一に滲み出るようになる。
したがって、分離膜モジュール4の洗浄効果を、さらに高めることができ、洗浄むらも起こり難い。
【0032】
請求項5および請求項6記載の分離膜モジュールの洗浄方法は、被処理液槽2内の被処理液を排出する方法に特徴があるものである。
これらの分離膜モジュールの洗浄方法は、上述の請求項4記載の分離膜モジュールの洗浄方法の効果をより確実に、さらに高くするための方法である。
【0033】
請求項5記載の分離膜モジュールの洗浄方法における、被処理液槽2内の被処理液の排出方法について、以下に説明する。
すなわち、被処理液槽2に満たされた被処理液の一部を排出する。次に、分離膜モジュール4のろ液側より薬液を通液する。この被処理液の排出と薬液の通液を複数回繰り返して、被処理液を全て排出する。
【0034】
このときの薬液の通液方法およびその流量は、上述の請求項4記載の分離膜モジュールの洗浄方法の例と同様である。この複数回の薬液の通液量は、それぞれ、分離膜モジュール4のうち被処理液に浸漬している部分の膜外表面から、この薬液が滲み出るのに十分な量より多ければよい。
被処理液を排出する回数は、その分離膜モジュール4の大きさ等によって任意に設定することができるが、通常3〜6回とされる。
【0035】
分離膜モジュール4が被処理液に浸漬している場合には、その浸漬している部分の膜外表面に対して、この被処理液の水圧がかかっている。
したがって、分離膜モジュール4のろ液側より薬液を通液すると、この分離膜モジュール4のうち、被処理液に浸漬していない部分より、被処理液に浸漬している部分の方が、この分離膜モジュール4のろ液側から、より大きな圧力がかかることになる。
この被処理液は、段階的に排出するので、分離膜モジュール4の分離膜面が、水深方向に沿うように配置されている場合には、この分離膜面の水深方向の下方部分であるほど、そのろ液側より、相対的に大きな圧力がかかることになる。
【0036】
すなわち、分離膜モジュール4の分離膜面が、水深方向に沿うように配置されている場合においては、閉塞しやすい部分であるほど、この分離膜モジュール4のろ液側から、より大きな圧力がかかる回数が多くなる。
したがって、この被処理液槽2内の被処理液を排出した後に行う洗浄において、分離膜モジュール4のろ液側から通液する薬液を、そのろ過運転時の閉塞状態の差に関係なく、分離膜モジュール4の膜面全体から、より均一に滲み出させることができる。
このため、上述の洗浄において、洗浄むらが起こり難く、その洗浄効果を、さらに高めることができる。
【0037】
また、請求項6記載の分離膜モジュールの洗浄方法において、請求項5記載の分離膜モジュールの洗浄方法と異なるところは、分離膜モジュールのろ液側より連続して薬液を通液しながら、被処理液槽内の被処理液を複数回に分けて排出して、この被処理液全てを排出する点である。
【0038】
すなわち、分離膜モジュールのろ液側より連続して薬液を通液しながら、被処理液槽2に満たされた被処理液を複数回に分けて段階的に排出して、この被処理液全てを排出する。
このときの薬液の通液量は、被処理液を排出している間、連続して通液できる量であればよい。また、このときの流量は、上述の請求項4記載の分離膜モジュールの洗浄方法の例と同様である。
被処理液を排出する回数は、その被処理液量や、分離膜モジュール4の大きさ等によって任意に設定することができるが、通常3〜6回とされる。
【0039】
この場合、薬液を連続して通液するので、分離膜モジュール4のろ液側より連続的に圧力がかかることになる。また、この分離膜モジュール4のうち、被処理液に浸漬している部分の方が、被処理液に浸漬していない部分よりも、大きな圧力が、そのろ液側よりかかることになる。
この被処理液は、段階的に排出するので、分離膜モジュール4の分離膜面が、水深方向に沿うように配置されている場合には、この分離膜面の水深方向の下方部分であるほど、長い時間、より大きな圧力がかかることになる。
【0040】
ところで、上述のように、分離膜モジュール4の分離膜面が、水深方向に沿うように配置されている場合、この分離膜面の水深方向の下方部分であるほど、閉塞しやすい傾向がある。
すなわち、閉塞しやすい部分であるほど、上述のように、より大きな圧力がかかる時間が長くなる。
したがって、この被処理液槽2内の被処理液を排出した後に行う洗浄において、分離膜モジュール4のろ液側から通液する薬液を、そのろ過運転時の閉塞状態の差に関係なく、分離膜モジュール4の膜面全体から均一に滲み出させることができる。
このため、洗浄むらが起こり難く、その洗浄効果を、さらに高めることができる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を試験例を示して詳しく説明する。
(試験例1)
図1に示すような構造のろ過装置を用いて分離膜モジュールの洗浄試験を行った。
分離膜モジュール4は、三菱レイヨン(株)製“ステラポアーL”(分画性能0.1μm、中空糸膜使用)を5枚並列して設置したものである(この1枚の膜面積が2m2であるので、これら5枚を用いた場合の膜面積は10m2である)。
ポンプ6は、ダイヤフラムポンプ(商品名)を用いた。
【0042】
被処理液としては、200ppmの酵母を懸濁させた水を用いた。
ろ過流量660ml/minで、上述のろ過装置のろ過運転を行った。
この結果、実験開始時におけるろ過時の差圧は23cmHgであり、2時間運転後の差圧は60cmHgとなった。
【0043】
このようにして閉塞した分離膜モジュール4について、薬液による洗浄を行った。
すなわち、まず、被処理液槽2内に満たされた被処理液を全て排出した。
つぎに、薬液として、5lの1%水酸化ナトリウム溶液を通液し、この薬液が全て流れ落ちる直前に開閉弁18を閉じて、分離膜モジュール4内に薬液が満たされた状態とした。
このとき、この薬液を通液した際の水頭差は3mであり、この薬液の流量は400ml/minであった。
このまま、3時間保持した後、分離膜モジュール4内の薬液を排出し、この分離膜モジュール4を十分に水洗した。
【0044】
このようにして洗浄した分離膜モジュール4について、再び、被処理液として200ppmの酵母を懸濁させた水を用い、ろ過流量は660ml/min一定で、ろ過運転を行った。
この結果、初期のろ過時の差圧は22cmHgであった。
【0045】
(試験例2)
試験例2において、試験例1と異なるところは、薬液の通液を、間欠的に複数回行う点である。
すなわち、試験例1と同様にして閉塞した分離膜モジュール4を、以下のようにして洗浄した。
まず、被処理液槽2内に満たされた被処理液を全て排出した。
つぎに、5lの1%水酸化ナトリウム溶液を薬液として通液し、この薬液が全て流れ落ちる直前に開閉弁18を閉じて、分離膜モジュール4内に薬液が満たされた状態とし、この状態を3時間保持した。
つぎに、さらに3lの1%水酸化ナトリウム溶液を、上述の場合と同様にして通液し、分離膜モジュール4内に薬液が満たされた状態とし、この状態を2時間保持した。2回目と同様にして、薬液の通液とその保持を2回繰り返した後、分離膜モジュール4内の薬液を排出し、この分離膜モジュール4を十分に水洗した。このときに使用した1%水酸化ナトリウム溶液は全部で14lであった。
【0046】
このようにして、洗浄した分離膜モジュール4について、再び、被処理液として、200ppmの酵母を懸濁させた水を用い、ろ過流量は660ml/min一定で、ろ過運転を行った。
この結果、初期のろ過時の差圧は22cmHgであった。
【0047】
(試験例3)
試験例1と同様にして閉塞した分離膜モジュール4について、以下のようにして洗浄した。
すなわち、該分離膜モジュール4を被処理液槽2内より取り外し、100lの1%水酸化ナトリウム溶液を満たした洗浄用タンクに3時間浸漬した。その後、分離膜モジュール4を十分に水洗した。
【0048】
このようにして、洗浄した分離膜モジュール4を、再び被処理液槽2内に設置し、被処理液として200ppmの酵母を懸濁させた水を用い、ろ過流量660ml/minで、ろ過運転を行った。
この結果、初期のろ過時の差圧は23cmHgであった。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1記載の分離膜モジュールの洗浄方法は、分離膜モジュールを被処理液槽内に浸漬し、ろ液側から吸引して、被処理液をろ過し、このろ過により閉塞した分離膜モジュールを洗浄する方法であって、その被処理液槽内の被処理液を排出した後、分離膜モジュールのろ液側から薬液を間欠的に複数回通液し、その際、1回目に通液する薬液の量を、分離膜モジュールの膜外表面全体に滲み出すのに十分な最低通液量よりも多くし、2回目以降に通液する薬液の量を、最低通液量の2〜5倍とする方法であるので、分離膜モジュールを移動する必要がなく、少量の薬液で、かつ高い抽出効率で閉塞原因物質を洗浄することが可能である。また、膜外表面に吸着した閉塞原因物質をその膜外表面から引き離す力が、複数回にわたって加わるので、より効果的に洗浄できる。
【0051】
また、請求項2記載の分離膜モジュールの洗浄方法は、請求項1記載の洗浄方法において、分離膜モジュールのろ液側より薬液を通液した際に、この分離膜モジュール内に薬液が満たされた状態で、一定時間保持する方法であるので、より少量の薬液量で、洗浄することができる。
【0052】
また、請求項3記載の分離膜モジュールの洗浄方法は、請求項1または2記載の洗浄方法において、被処理液槽内の被処理液を排出した後、分離膜モジュールの膜外表面より、圧力水で洗浄してから、薬液を通液する方法であるので、特に分離膜モジュールの閉塞が著しい場合に有効である。また、少量の薬液で洗浄することができることはもちろんであるが、この薬液を分離膜モジュールの膜面全体に均一に滲ませることができるので、洗浄むらが起こり難くなるという効果も得られる。
【0053】
また、請求項4記載の分離膜モジュールの洗浄方法は、分離膜モジュールのろ液側から薬液を通液した後、被処理液槽内の被処理液を排出し、再び、分離膜モジュールのろ液側から薬液を通液する方法である。したがって、分離膜モジュールの膜外表面の閉塞状態が、その部分によって差がある場合、すなわち、分離膜モジュール4の分離膜面が、水深方向に沿うように配置されている場合等に、特に有効な方法であり、分離膜モジュールの洗浄効果を、さらに高めることができ、洗浄むらが起こり難いものである。
【0054】
また、請求項5および請求項6記載の分離膜モジュールの洗浄方法は、被処理液槽2内の被処理液を排出する方法に特徴があるものである。
すなわち、被処理液槽内の被処理液を複数回に分けて排出し、この1回の排出終了毎に、分離膜モジュールのろ液側から薬液を通液して、この被処理液の全ての排出を行うか、あるいは、分離膜モジュールのろ液側より連続して薬液を通液しながら、被処理液槽内の被処理液を複数回に分けて排出して、この被処理液全ての排出を行う方法であるので、上述の請求項4記載の分離膜モジュールの洗浄方法の効果をより確実にし、さらに高い効果を得ることができる。
【0055】
すなわち、分離膜モジュールの閉塞状態が、その部分によって差がある場合、すなわち、分離膜モジュール4の分離膜面が、水深方向に沿うように配置されている場合等に、特に有効な方法であり、分離膜モジュールの洗浄効果を、さらに高めることができ、洗浄むらが起こり難いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分離膜モジュールの洗浄方法を実施するのに好適なろ過装置の例を示す概略図である。
【図2】分離膜モジュールを用いたろ過装置の例を示す概略図である。
【符号の説明】
2・・・被処理液槽、4・・・分離膜モジュール、14・・・薬液槽
Claims (6)
- 分離膜モジュールを被処理液槽内に浸漬し、ろ液側から吸引して、被処理液をろ過し、このろ過により閉塞した分離膜モジュールを洗浄する方法であって、被処理液槽内の被処理液を排出した後、分離膜モジュールのろ液側から、薬液を間欠的に複数回通液し、その際、1回目に通液する薬液の量を、分離膜モジュールの膜外表面全体に滲み出すのに十分な最低通液量よりも多くし、2回目以降に通液する薬液の量を、最低通液量の2〜5倍とすることにより分離膜モジュールの洗浄を行うことを特徴とする分離膜モジュールの洗浄方法。
- 分離膜モジュールのろ液側から薬液を通液した際に、この分離膜モジュール内に薬液が満たされた状態で一定時間保持することにより、分離膜モジュールの洗浄を行うことを特徴とする請求項1に記載の分離膜モジュールの洗浄方法。
- 被処理液槽内の被処理液を排出した後、分離膜モジュールの膜外表面より、圧力水で洗浄してから、この分離膜モジュールのろ液側より薬液を通液することにより、分離膜モジュールの洗浄を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の分離膜モジュールの洗浄方法。
- 分離膜モジュールを被処理液槽内に浸漬し、ろ液側から吸引して、被処理液をろ過し、このろ過により閉塞した分離膜モジュールを洗浄する方法であって、分離膜モジュールのろ液側から薬液を通液した後、被処理液槽内の被処理液を排出し、再びこの分離膜モジュールのろ液側から薬液を通液することにより、分離膜モジュールの洗浄を行うことを特徴とする分離膜モジュールの洗浄方法。
- 分離膜モジュールを被処理液槽内に浸漬し、ろ液側から吸引して、被処理液をろ過し、このろ過により閉塞した分離膜モジュールを洗浄する方法であって、被処理液槽内の被処理液を複数回に分けて排出し、この1回の排出終了毎に、分離膜モジュールのろ液側から薬液を通液する方法により、この被処理液を全て排出した後、再びこの分離膜モジュールのろ液側から薬液を通液することにより、分離膜モジュールの洗浄を行うことを特徴とする分離膜モジュールの洗浄方法。
- 分離膜モジュールを被処理液槽内に浸漬し、ろ液側から吸引して、被処理液をろ過し、このろ過により閉塞した分離膜モジュールを洗浄する方法であって、分離膜モジュールのろ液側より連続して薬液を通液しながら、複数回に分けて被処理液槽内の被処理液を排出する方法により、この被処理液を全て排出した後、再びこの分離膜モジュールのろ液側から薬液を通液することにより、分離膜モジュールの洗浄を行うことを特徴とする分離膜モジュールの洗浄方法。
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