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JP3559061B2 - デファレンシャル装置 - Google Patents

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JP3559061B2
JP3559061B2 JP4386594A JP4386594A JP3559061B2 JP 3559061 B2 JP3559061 B2 JP 3559061B2 JP 4386594 A JP4386594 A JP 4386594A JP 4386594 A JP4386594 A JP 4386594A JP 3559061 B2 JP3559061 B2 JP 3559061B2
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泰彦 石川
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栃木富士産業株式会社
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、車両のデファレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特公平1−33701号公報に図8のようなデファレンシャル装置201が記載されている。これは、デフケース203の収納孔205,207に収納されたヘリカルピニオンギヤ209,211と、これらを介して連結されたヘリカルサイドギヤ213,215を備えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
エンジンの駆動力はデフケース203を回転させピニオンギヤ209,211からサイドギヤ213,215を介して駆動車輪側に分配される。このときピニオンギヤ209,211はサイドギヤ213,215との噛合い圧力角により生じる噛合い反力を受け、サイドギヤ213,215はこの噛合い圧力角とねじれ角とにより生じる噛合いスラスト力を受ける。これらの力により生じた摩擦抵抗によってデファレンシャル装置201の差動が制限される。
【0004】
しかし、従来各ギヤの歯は回転方向に対称形であり、従って上記のように差動制限力を左右する噛合い圧力角は車両の前進時と後進時の各噛合い側で同一であるから前進時と後進時のトランスファレシオ(空転側車輪トルクに対するグリップ側車輪トルクの比)は同一である。エンジンブレーキ作動時のABS(アンチロックブレーキシステム)との干渉を避けるためには後進時のトランスファレシオは小さくしたいが、従来はデファレンシャル装置201のような構成で後進時だけトランスファレシオを小さくすることはできなかった。
【0005】
そこで、この発明は、トランスファレシオを車両の前進時には大きく後進時には小さくできるデファレンシャル装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1発明のデファレンシャル装置は、エンジンの駆動力により回転するデフケースと、デフケースに設けられた収納孔に摺動回転自在に収納されたピニオンギヤと、ピニオンギヤを介して連結された一対の車輪側サイドギヤとを備え、車両前進時の各ギヤの噛合い圧力角αを車両後進時の各ギヤの噛合い圧力角βより大きくしたことを特徴とする。
【0007】
第2発明のデファレンシャル装置は、ピニオンギヤとサイドギヤとをヘリカルギヤで構成した請求項1記載のデファレンシャル装置である。
【0008】
第3発明のデファレンシャル装置は、車両の前進時に各サイドギヤに対向方向のスラスト力が生じるねじれ角を与えた請求項2に記載のデファレンシャル装置である。
【0009】
【作用】
車両前進時の噛合い側でのサイドギヤとピニオンギヤの噛合い圧力角αを車両後進時の噛合い側での噛合い圧力角βより大きくしたから、前進時は大きい噛合い反力と噛合いスラスト力(請求項2の構成)が生じて大きなトランスファレシオが得られ、後進時は噛合い反力と噛合いスラスト力が小さくなってトランスファレシオを小さくできる。
【0010】
こうして、前進時には充分な差動制限力が得られると共に、エンジンブレーキとABSとの干渉を防止できる。
【0011】
【実施例】
図1ないし図7により第3発明の一実施例を説明する。図1はこの実施例を示し、図7はこの実施例を用いた車両の動力系を示している。左右の方向はこの車両及び図1での左右の方向である。
【0012】
図7のように、この動力系は、エンジン1、トランスミッション3、プロペラシャフト5、リヤデフ7(後輪側に配置された実施例のデファレンシャル装置)、後車軸9,11、左右の後輪13,15、左右の前輪17,19などから構成されている。
【0013】
リヤデフ7のデフケース21はデフキャリヤ23内に配置されており、デフケース21にはリングギヤ25が固定され、リングギヤ25はドライブピニオンギヤ27と噛合っている。ドライブピニオンギヤ27はプロペラシャフト5側に連結されたドライブピニオンシャフト29と一体に形成されている。こうして、エンジン1の駆動力はトランスミッション3とプロペラシャフト5とを介してデフケース21を回転駆動する。
【0014】
図1のように、デフケース21はケーシング本体31とカバー33とをボルト35で固定して構成されている。デフケース21の内部には中空のヘリカルサイドギヤ37,39が左右に配置されている。各サイドギヤ37,39はデフケース21に形成された軸支部41,43により回転自在に支承されると共に、互いの間に形成された軸支部45により各自由端を支承し、センターリングしている。
【0015】
これらのサイドギヤ37,39はそれぞれ左右の後車軸9,11側にスプライン連結されており、サイドギヤ37の内側には各車軸9,11が突当たるスラストブロック47が配置されている。各サイドギヤ37,39の間にはスラストワッシャ49が配置され、サイドギヤ39とデフケース21との間にはワッシャ51が配置されている。
【0016】
デフケース本体31には長短の収納孔53,55が周方向に4組形成されており、これらの収納孔53,55にはそれぞれ長短のヘリカルピニオンギヤ57,59が摺動回転自在に収納されている。
【0017】
長いピニオンギヤ57は第1ギヤ部61(図2に図示)と第2ギヤ部63及びこれらを連結する小径の軸部65とからなり、第2ギヤ部63は図3のように右のサイドギヤ39と噛合っている。又、図2のように短いピニオンギヤ59の左半部67は第1ギヤ部61と噛合い、右半部69は左のサイドギヤ37と噛合っている。なお、スラストワッシャ49に形成された凸部71は上記の軸部65と回転方向に係合し、スラストワッシャ49の回り止めをしている。
【0018】
デフケース21には開口73,75,77が設けられ、オイル溜りのオイルがこれらからデフケース21に流出入し、各ギヤの噛合い部、収納孔53,55の壁面、ワッシャ49,51などの摺動部を潤滑する。
【0019】
デフケース21を回転させるエンジン1の駆動力はピニオンギヤ57,59を介してサイドギヤ39,37を押圧し回転させて左右の後輪13,15に分配される。後輪間に駆動抵抗差が生じると、ピニオンギヤ57,59の自転によりエンジン1の駆動力は左右各側に差動分配される。
【0020】
こうした、トルク伝達の間、ピニオンギヤ57,59の歯先はサイドギヤ37,39との間の噛合い圧力角により生じる噛合い反力を受け、収納孔53,55の壁面に押付けられて摩擦抵抗を発生させる。又、サイドギヤ37,39はねじれ角と噛合い圧力角とにより生じる噛合いスラスト力を受けて、ワッシャ49,51やデフケース21との間で摩擦抵抗を発生させる。各サイドギヤ37,39のねじれ角は各サイドギヤ37,39の噛合いスラスト力が車両の前進時に内向き(対向方向)になり、後進時は外向きになるような方向にされている。噛合いスラスト力をこのような方向にしたことにより、後輪13,15の一方が空転したときグリップしている車輪側サイドギヤの噛合いスラスト力と空転している車輪側サイドギヤの噛合いスラスト力との差だけ、前進時の摩擦抵抗は後進時より大きくなる。
【0021】
これらの摩擦抵抗により、トルク感応型の差動制限力が得られる。
【0022】
図4は右サイドギヤ39の左側面図であり、図5は同方向から見たサイドギヤ39の歯79のプロフィールである。又、図2,3,4,5の矢印81は車両前進時のデフケース21の回転方向を示している。従って、図5において矢印83側がピニオンギヤ57と前進時に噛合い、矢印85側が後進時に噛合うことになる。そして歯79は非対称にされ前進時噛合側の圧力角αを後進時噛合い側の圧力角βより大きくしてある。左サイドギヤ37も同様に前進時噛合側の圧力角を後進時噛合い側の圧力角より大きくしてあり、図2,3のように各ピニオンギヤ57,59もサイドギヤ37,39に合わせた圧力角を与えている。
【0023】
図6は車両の旋回時にサイドギヤ37,39に生じる噛合いスラスト力の前進時と後進時の変化を示す図面である。矢印81は前進時のデフケース21の回転方向であり、この回転方向は図2にも示すように短いピニオンギヤ59から長いピニオンギヤ57の方向に向いている。又、ロックトルクは旋回の内輪側に生じるトルクであり、スピントルクは外輪側に受けるトルクである。
【0024】
上記のように、サイドギヤ37,39は前進時圧力角αでピニオンギヤ59,57と噛合う。前進時の右旋回では左サイドギヤ37(旋回の外輪側)はデフケース21より先行回転するが路面からの抵抗により噛合いが圧力角αである前進時噛合い側に移り回転方向と逆向きの小さいスピントルクを受ける。又、右のサイドギヤ39は回転方向と同じ向きの大きなロックトルクが生じる。左旋回時は内輪と外輪が逆になりサイドギヤ37に回転方向と同じ向きのロックトルクが生じサイドギヤ39は回転方向と逆向きのスピントルクを受ける。
【0025】
また、サイドギヤ37,39は後進時圧力角βでピニオンギヤ59,57と噛み合う。後進時の右旋回では、左サイドギヤ37(旋回の外側)はデフケース21より、先行回転するが路面からの抵抗により、噛み合いが圧力角βである後進時噛み合い側に移り回転方向と逆向きの小さいスピントルクを受ける。又、右のサイドギヤ39は、大きなロックトルクが生じる。左旋回時には内輪と外輪が逆になりサイドギヤ37に回転方向と同じ向きのロックトルクが生じサイドギヤ39は回転方向と逆向きのスピントルクを受ける。
【0026】
後進時は各旋回方向で前進時と反対方向のロックトルクとスピントルクが生じる。
【0027】
上記のように、各ギヤは車両の前進時に圧力角α側で噛合い後進時に圧力角β側で噛合うから、ピニオンギヤ57,59が受ける噛合い反力やサイドギヤ37,39が受ける噛合いスラスト力は前進時は大きく後進時はそれよりも小さくなり、前進時の差動制限力を大きくし後進時の差動制限力を小さくすることができる。
【0028】
歯形が前進時と後進時とで対称であった従来のデファレンシャル装置では、例えば圧力角α,βが共に22.5°であるとトランスファレシオ(空転側車輪トルクに対するグリップ側車輪トルクの比)は前進時と後進時共に2.54である。これに対して、この実施例では前進側は圧力角αを30°にしてトランスファレシオ2.81を得、後進時は圧力角βを10°にしてトランスファを2.32まで小さくしている。
【0029】
従って、前進時は充分大きな差動制限力が得られると共に、後進時は差動制限力を小さくして、前進時のエンジンブレーキ作動中(リヤデフ7でのトルク伝達方向が後進走行時と同じ向きになる)ABSとの干渉を避けることができる。
【0030】
こうして、リヤデフ7が構成されており、図7の車両は大トルクを掛ける発進時や加速時には、従来のデファレンシャル装置201より大きな差動制限力が得られて直進安定性が向上し、旋回時は適度な差動制限力により円滑で安定な旋回性が得られる。又、上記のようにエンジンブレーキ作動時は差動制限力が小さくなりABSとの干渉が防止される。
【0031】
なお、実施例と異ってピニオンギヤを等長にし、これらをサイドギヤの両外側で噛合わせるか又はサイドギヤの間で噛合わせるように構成してもよい。
【0032】
【発明の効果】
この発明のデファレンシャル装置は、各ギヤの車両前進時の噛合い圧力角αを後進時の噛合い圧力角βより大きくしたからトランスファレシオを前進時に大きく後進時に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の断面図である。
【図2】図1のX−X断面図である。
【図3】図1のY−Y断面図である。
【図4】サイドギヤの左側面図である。
【図5】サイドギヤの歯を拡大した図面である。
【図6】実施例においてサイドギヤに生じる噛合いスラスト力の方向変化を示す図面である。
【図7】図1の実施例を用いた車両の動力系を示すスケルトン機構図である。
【図8】従来の断面図である。
【符号の説明】
7 リヤデフ
37,39 ヘリカルサイドギヤ
53,55 収納孔
57,59 ヘリカルピニオンギヤ
α,β 噛合い圧力角

Claims (3)

  1. エンジンの駆動力により回転するデフケースと、デフケースに設けられた収納孔に摺動回転自在に収納されたピニオンギヤと、ピニオンギヤを介して連結された一対の車輪側サイドギヤとを備え、車両前進時の各ギヤの噛合い圧力角αを車両後進時の各ギヤの噛合い圧力角βより大きくしたことを特徴とするデファレンシャル装置。
  2. ピニオンギヤとサイドギヤとをヘリカルギヤで構成した請求項1記載のデファレンシャル装置。
  3. 車両の前進時に各サイドギヤに対向方向のスラスト力が生じるねじれ角を与えた請求項2に記載のデファレンシャル装置。
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