JP3464309B2 - フッ素化重合体の製造方法 - Google Patents
フッ素化重合体の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フッ素化重合体の製造
方法に関する。 【0002】 【従来の技術】分子内にフッ素原子を有する重合体(以
下、フッ素化重合体と称する)は、フッ素原子に由来す
る特異な物性を有しており、広い産業分野において使用
されている。 【0003】フッ素化重合体の製造方法としては、一般
に目的とするフッ素化重合体の構造に対応する含フッ素
モノマーを用いる単独重合反応、或いは共重合反応によ
る方法がある。しかしながら、この製造方法による共重
合反応では、得られる共重合体の組成が、用いるモノマ
ーの共重合可能な組成比といった各モノマー固有の値に
支配されるために、場合によっては製造される共重合体
の組成が限定されるといった問題を生ずる。 【0004】上記問題を回避するための方法として、所
望するフッ素化重合体の原料となる、フッ素と置換し得
る基を有する重合体をフッ素ガス等のフッ素化試剤を用
いてフッ素化するといった製造方法が知られている。例
えば、特開平2−28206号公報には、テトラフルオ
ロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの
共重合体(以下PFAと称する)の製造方法として、一
旦、分子内に水素を有する含フッ素ビニルエーテルとテ
トラフルオロエチレンとの共重合をおこなった後に、フ
ッ素ガスによってフッ素化することが提案されている。 【0005】また、PFAは、その耐薬品性、溶融成形
性といった特徴から半導体製造工程に多く用いられてい
るが、このものは通常、重合体末端に不安定基(−CO
F、−COOH、−COOCH3 、−CONH2等)を
有するため、これから発生するフッ素イオンによる半導
体の汚染が問題となっている。そのため、こうした問題
への対策として、例えば、特開平4−83号公報では、
PFAをフッ素ガスと反応させ不安定基を安定化する方
法が提案されている。 【0006】また、耐薬品性、加熱性、表面物性等を改
良する目的で、ポリエチレン、ポリプロピレン等をフッ
素によりフッ素化する提案もなされている。さらには、
ポリテトラフルオロエチレンをフッ素と反応させ、末端
の不安定基をフッ素化して撥水性の改善したり、主鎖を
切断して潤滑用の低分子量のポリテトラフルオロエチレ
ンを製造すること等も提案されている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】前述したように、重合
体をフッ素で処理すると有用な機能を発見でき、多くの
応用がなされている。ところが、一般にフッ素ガスと有
機化合物は、条件によってはかなり激しい反応を起こす
ことが知られている。このため、かかる反応をプロセス
の簡略化等の目的から、固体の重合体粒子とフッ素ガス
とを反応させる、いわゆる気固反応により実施する場合
には、攪拌等を十分に行い反応熱の蓄熱防止を図ること
が必要となってくる。 【0008】しかしながら、このように攪拌等により重
合体粒子が移動する状態でフッ素化反応を進めると、重
合体粒子同士、或いは重合体粒子が反応器内壁や攪拌装
置と接触するために静電気が発生する。すると、帯電し
たフッ素化重合体が静電気の引力によって、反応器内壁
或いは攪拌装置に付着するといった問題が生じ、そのた
めに、除熱が不十分になるほかに、フッ素ガスの存在と
いった強い酸化性雰囲気下での発火性放電の危険性とい
った懸念も生じてくる。また、反応終了後においてフッ
素化重合体が静電気を帯びているために、金属器具への
付着、或いはフッ素化重合体同士の反発といった重合体
取扱い上の問題も生ずる。重合体粒子として粒子径の小
さな粒子を用いた場合、上述した静電気帯電による障害
は、非常に顕著となる。 【0009】一般に、重合体は電気絶縁性が高く、一旦
帯電した静電気を短時間で除去することは難しい。ま
た、一般的な樹脂の静電気除去方法には、加湿、帯電防
止剤の添加等いくつか方法が知られているが、フッ素ガ
スの存在といった極めて活性の高い状態においてはこれ
らの方法を用いることは出来ない。 【0010】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
重合体粒子とフッ素ガスとを気固反応によって反応する
方法において、発生する静電気量を極めて少なくするこ
とを目的として鋭意研究を重ねてきた。その結果、特定
の物性を有するパーフルオロ化合物を重合体粒子表面に
存在させることによって、静電気の発生が抑えられるこ
とを見いだし、本研究を完成するに至った。 【0011】即ち、本発明は、重合体粒子とフッ素ガス
とを気固反応により反応させフッ素化重合体を製造する
に際し、重合体粒子の表面の少なくとも一部に液状のパ
ーフルオロ化合物を存在させた状態で反応を行うことを
特徴とするフッ素化重合体の製造方法である。 【0012】本発明において、原料となる重合体は、フ
ッ素ガスと反応してフッ素化重合体が生成されるもので
あれば特に制限なく使用される。通常、分子内にフッ素
と置換し得る基を有し、フッ素ガスとの反応により、パ
ーフルオロ体や部分フッ素化体にフッ素化可能なものが
挙げられる。ここで、フッ素と置換し得る基としては、
水素原子や−COF、−COOH、−COOCH3 、−
CONH2 等が制限なく適用できる。また、本発明は、
ポリテトラフルオロエチレン等のパーフルオロ重合体に
フッ素ガスを反応させて、該重合体の主鎖をランダムに
切断し低分子量のフッ素化重合体を製造する反応にも適
用可能であり、こうした場合にはパーフルオロ重合体も
原料重合体として使用可能である。 【0013】本発明において、対象となる原料重合体を
具体的に例示すると、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリ
デン、ポリ三フッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレ
ン、テトラフルオロエチレンと下記一般式(I) CF2=CFOCaFbXcH(2a+1-b-c) (I) (但し、Xは塩素原子または臭素原子であり、aは1以
上の整数であり、bは0〜2a+1の整数であり、cは
0又は1であり、且つ0≦b+c≦2a+1の関係を有
する。)で示されるフルオロアルキルビニルエーテルと
の共重合体、テトラフルオロエチレンと下記一般式(I
I) CF2=CFCaFbH(2a+1-b) (II) (但し、Xは塩素原子または臭素原子であり、aは1以
上の整数であり、bは0〜2a+1の整数であり、且つ
0≦b≦2a+1の関係を有する。)で示されるフルオ
ロオレフィンとの共重合体、及びテトラフルオロエチレ
ンとエチレンとの共重合体等を挙げることができる。 【0014】上記一般式(I)で示されるフルオロアル
キルビニルエーテルを具体的に例示すると、 【0015】 【化1】【0016】等を挙げることができる。 【0017】また、上記テトラフルオロエチレンと一般
式(I)で示されるフルオロアルキルビニルエーテルと
の共重合体の組成は、本発明のフッ素ガスとの反応温度
において共重合体が溶融せず、実質的に形状を保つ範囲
にあれば良く、フルオロアルキルビニルエーテルに基づ
く単量体単位が0.5〜40モル%、好ましくは1〜2
0モル%であり、テトラフルオロエチレンに基づく単量
体単位が99.5〜60モル%、好ましくは99〜80
モル%である。 【0018】上記一般式(II)で示されるフルオロオレ
フィンを具体的に例示すると、 【0019】 【化2】 【0020】等を挙げることができる。 【0021】また、上記テトラフルオロエチレンと一般
式(II)で示されるフルオロオレフィンとの共重合体の
組成は、本発明のフッ素ガスとの反応温度において共重
合体が溶融せず、実質的に形状を保つ範囲にあれば良
く、フルオロオレフィンに基づく単量体単位が0.5〜
40モル%、好ましくは1〜20モル%であり、テトラ
フルオロエチレンに基づく単量体単位が99.5〜60
モル%、好ましくは99〜80モル%である。 【0022】また、−COF、−COOH、−COOC
H3 、−CONH2 等の不安定基を少なくとも一部に有
するPFAまたはテトラフルオロエチレンとヘキサフル
オロプロピレン(CF2=CFCF3)との共重合体等の
パーフルオロ重合体も、本発明に適用できる原料重合体
である。 【0023】更に、本発明の実施を阻害しない範囲にお
いて上記の重合体に、他の単量体成分が含まれていても
何等問題は無い。 【0024】こうした重合体からなる粒子の粒子径は、
特に制限されるものではないが、通常、3mm以下であ
る粒子が全体の90重量%以上であることが好適であ
る。こうした粒子径分布の場合において、最も帯電防止
の効果が顕著に発揮され、また、フッ素化反応自体も均
一に実施できる。 【0025】本発明において用いるパーフルオロ化合物
は、本発明のフッ素ガスによるフッ素化反応の条件下に
おいて、その一部又は全部が液体として存在する化合物
であれば良い。こうしたパーフルオロ化合物は、公知の
ものが特に制限なく使用できるが、好適には、炭素数8
〜20、好ましくは炭素数10〜18であるパーフルオ
ロ化合物が好ましい。この場合、分子内に炭素原子、フ
ッ素原子以外に窒素原子、又は酸素原子を含んでいても
何等問題はない。 【0026】本発明に好適に用いることの出来るパーフ
ルオロ化合物を例示すれば、上記炭素数を有する一般式
CnF2n+2で表されるパーフルオロアルカン、一般式N
(CnF2n+1)3で表されるパーフルオロアミン、一般式
CnF2n+2O、(CnF2n+2O)m又はCnF2nOで表され
る直鎖状、又は環状のパーフルオロエーテルが挙げられ
る。本発明においては上記パーフルオロ化合物を単独で
用いても良く、また、2種以上を用いても何等問題は無
い。こうしたパーフルオロ化合物は、かかるパーフルオ
ロ体の状態で重合体粒子の表面に存在させ、フッ素化反
応に供するのが一般的であるが、このフッ素化反応中に
フッ素化されて該パーフルオロ化合物となる前駆物質の
形で重合体粒子表面に存在させて供しても良い。 【0027】本発明では、前記重合体粒子の表面の少な
くとも一部に上記液状のパーフルオロ化合物を付着や吸
着させて存在させ、気固反応を実施する。その際、パー
フルオロ化合物の使用量は、気固反応が維持される量あ
れば何等制限はない。帯電防止の効果や造粒等されるこ
となく粒子の良好な流動性を維持する上では、重合体粒
子100重量部に対して0.5〜30重量部、好ましく
は1.5〜20重量部用いることが好ましい。 【0028】上記範囲でパーフルオロ化合物を用いた場
合、重合体粒子は外観は若干湿った感じにはなる。反応
器内で攪拌を行った場合、粉体としての流動性にはほと
んど差は感じられないにも拘らず、ほとんど帯電しなか
ったことは、外観からは予想されず、驚きに値する。 【0029】パーフルオロ化合物を重合体粒子表面へ存
在させる方法は、フッ素化反応に先だって、重合体粒子
とパーフルオロ化合物を混合することにより行えば良
い。また、反応条件によっては、反応途中から反応温度
を上げることがあり、既に、存在させたパーフルオロ化
合物の一部が気化する場合が考えられ、こういった場合
は反応途中にパーフルオロ化合物を添加し重合体粒子と
混合することも有効な方法である。この際、パーフルオ
ロ化合物は液体として導入しても良く、加熱することに
よりガス化して導入し反応器で冷却し液化しても何等問
題はない。また、フッ素ガスを連続的に供給する流通法
や、フッ素ガス入れ換えるバッチ法においては、パーフ
ルオロ化合物の一部が、廃ガスの流れに伴って反応器か
ら排出される事もある。こういった場合は、パーフルオ
ロ化合物を間欠的に追加導入したり、連続して導入する
ことも有効な方法である。 【0030】フッ素ガスによるフッ素化方法は、必要に
より不活性ガスで希釈したフッ素で直接、重合体粒子を
フッ素化する気固反応が採用される。この場合、フッ素
ガスに対し耐蝕性を有する材質の反応器を用いるのが好
ましい。また、反応は、重合体粒子とフッ素ガスとの接
触を良くするとともに発生する反応熱の蓄熱防止のため
に、攪拌下或いは振動下等の重合体粒子が移動する状態
で行うのが好適である。その場合において、本発明の帯
電防止の効果は最も顕著に発揮される。反応方法の例と
しては、重合体粒子の存在する反応器にフッ素ガスを流
通させつつフッ素化を行う流通法、及び所定濃度のフッ
素ガスを封じ込めてフッ素化するバッチ法等を挙げるこ
とができる。 【0031】反応条件によっては、フッ素ガスと重合体
粒子とはかなり激しい反応を起こすことが知られてい
る。従って、最初に反応器にフッ素ガスを導入する場合
は、一旦反応器を冷却し、フッ素ガスを充填した後に反
応温度まで昇温することが好ましい。バッチ法の場合、
一回のフッ素ガス導入量が重合体粒子を目的とするフッ
素化度に変換するのに十分な量でない場合は、一定の反
応時間経過後、反応器内のガスを排出した後、新たにフ
ッ素ガスを導入してもよい。この場合も、一旦反応器を
冷却してフッ素ガスを導入することが好ましい。フッ素
ガスの導入温度は、重合体粒子の種類、あるいは反応形
式等によって若干異なるが、一般には室温以下であれば
良い。また、反応途中にフッ素ガスの入れ替えを行う場
合、反応の進行程度によっては、最初のフッ素ガス導入
より高い温度でフッ素ガスを導入しても良い。また、流
通法の場合は、フッ素ガス導入開始時に反応器を冷却す
ることの他に、導入フッ素ガスの濃度を低濃度から始
め、濃度を徐々に上げて行くことも反応を穏やかに行う
ためには有効である。 【0032】反応温度は、−100℃〜200℃、好ま
しくは−50℃〜180℃であることが好ましく、反応
を効率的に行うためには、上記温度範囲内で段階的、あ
るいは連続的に昇温することも有効である。導入するフ
ッ素ガスは窒素、二酸化炭素、或いはヘリウム等の不活
性ガスで5〜100%、好ましくは10〜50%に希釈
して用いる事が好ましい。また、フッ素ガスの圧力には
特に制限は無いが、反応の安全性の観点から0.1〜2
0kg/cm2、好ましくは0.5〜10kg/cm2の
圧力下で反応を行うことが良い。更に反応時間に関して
は、反応条件によって一概には規定できないが、一般に
は1〜100時間、好ましくは5〜50時間フッ素化す
れば良い。 【0033】反応後、フッ素化重合体に含まれるパーフ
ルオロ化合物は必要により加熱、洗浄により、容易にフ
ッ素化重合体から分離することができる。 【0034】 【発明の効果】以上の説明により理解されるように、本
発明によれば、液状のパーフルオロ化合物が重合体粒子
表面に存在した状態で、該重合体粒子とフッ素ガスと反
応させてフッ素化させることにより、反応器内部の重合
体の静電気帯電量が大幅に低減するため、除熱を目的と
した十分な攪拌が可能となり、効果的にフッ素化反応を
行うことができる。 【0035】また、反応によって得られるフッ素化重合
体の帯電量が小さく、そのため、静電気による存在、反
発といった障害を避けることができるのみならず、微粉
を用いた場合においても粉塵の発生がほとんど無いとい
った効果をももたらす。 【0036】本発明においては、その反応条件によって
部分フッ素化体からパーフルオロ体までフッ素化の程度
を広く変化させることが出来、さらに、パーフルオロ体
の主鎖を切断する反応にも適用できる。また、本発明に
よって製造されるフッ素化重合体は表面特性、耐薬品
性、電気特性等のフッ素樹脂としての特性が要求される
産業分野において使用できる。 【0037】 【実施例】本発明を更に詳細に説明するために以下に実
施例を示すが、本発明はこれら実施例によって何等制限
をうけるものではない。 【0038】なお、静電気帯電量はサンプルをファラデ
ーケージに投入し、指示された電圧、及び樹脂重量より
単位重量当たりの帯電量として求めた。 【0039】実施例1 テトラフルオロエチレンと2,2,3,3,3−ペンタ
フルオロプロピルトリフルオロビニルエーテルを共重合
して得られた、6mol%の2,2,3,3,3−ペン
タフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテルに由来
する単量体単位を含む共重合体粉末(粒子径0.5〜1
mmの粉体)12g、およびパーフルオロペンチルアミ
ンの液体をモーターで回転できるようにした内容積12
0mLのニッケル製反応器に入れ、反応器内を十分脱気
した後、氷冷下で窒素で80容量%に希釈したフッ素ガ
スを3kg/cm2−Gまで導入した。次に、反応器を
10℃のオイルバスに入れ、回転しながらオイルバスの
温度を1℃/分の速度で150℃まで昇温した。150
℃で8時間反応を行った後、内部を窒素で十分置換し、
反応器をあけ、内容物をファラデーケージ中に投入し、
帯電量を測定した。この実験を繰り返し、パーフルオロ
ペンチルアミンの添加量と帯電量の関係を調べた。得ら
れた結果を表1に示す。 【0040】 【表1】 【0041】比較例1 パーフルオロトリペンチルアミンを添加しない他は実施
例1と同様な反応を行った。得られたフッ素化重合体の
帯電量は11.0〜12.3nC/kgであった。 【0042】実施例2 3mm以下の粒子径を有する、97mol%のテトラフ
ルオロエチレンと3mol%の2,2,3,3,4,
4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシルト
リフルオロビニルエーテルとの共重合体の粉20gに、
パーフルオロトリペンチルアミンの液体1.0gを混合
した後、モーターで回転できるようにした内容積120
mLのニッケル製反応器に入れ、反応器内を十分脱気し
た後、氷冷下窒素で希釈した75容量%のフッ素ガスを
2kg/cm2−Gまで導入した。次に反応器を10℃
のオイルバスに入れ、回転しながらオイルバスの温度を
1℃/分の速度で95℃まで昇温した。95℃で2時間
反応を行った後、内部を窒素を置換した。次に反応器を
氷冷した後、同様なフッ素ガス導入、昇温操作を繰り返
し、95℃で2時間、95℃で9時間、135℃で9時
間反応を行った。反応終了後、反応器内部を十分窒素置
換し、反応器をあけ、内容物をファラデーケージ中に投
入した。このとき反応器内壁への重合体粉の付着は無か
った。また帯電量は0.20nC/kgであった。 【0043】比較例2 パーフルオロトリペンチルアミンを添加しない他は実施
例2と同様な反応を行った。反応終了後内容物をファラ
デーケージにあけたところ、反応器内壁へ重合体粉が付
着し全量をファラデーケージに移すことはできなかっ
た。ファラデーケージ内へ移ったフッ素化重合体の帯電
量は21.5nC/kgであった。 【0044】実施例3 パーフルオロ化合物としてパーフルオロ−2−ブチル−
テトラヒドロフランの液体を6g用いた他は、実施例1
と同様な反応を行った。反応終了後のフッ素化重合体の
帯電量は0.31nC/kgであった。 【0045】実施例4 1mm以下の粒子径を有し、炭素原子100万個当たり
約30個の末端カルボン酸フロライド基および約120
個の末端メチルエステル基を有する、98mol%のテ
トラフルオロエチレンと2mol%のパーフルオロプロ
ピルビニルエーテルとの共重合体25gを、パーフルオ
ロトリペンチルアミンの液体1gと混合した後、モータ
ーで回転できるようにした内容積120mLのニッケル
製反応器に入れ、反応器内を十分脱気した後、氷冷下窒
素で希釈した25容量%のフッ素ガスを2kg/cm2
−Gまで導入した。次に、反応器を10℃のオイルバス
に入れ、回転しながらオイルバスの温度を1℃/分の速
度で150℃まで昇温した。150℃で8時間反応を行
った。反応終了後、反応器内部を十分窒素置換し、反応
器をあけ、内容物をファラデーケージ中に投入した。こ
のとき反応器内壁への重合体粉の付着は無かった。また
帯電圧は0.15nC/kgであった。得られたフッ素
化重合体を分析したところ、末端カルボン酸フロライド
基およびメチルエステル基は全く検出されなかった。 【0046】比較例3 パーフルオロトリペンチルアミンを用いない他は実施例
4と同様な反応をおこなった。反応終了後の重合体の帯
電量は14.2nC/kgであった。 【0047】実施例5 1mm以下の粒子径を有するポリエチレン25.5gと
パーフルオロノナンの液体0.6gを混合した後、攪拌
機を有する内容積150mLのステンレス製反応器に入
れ、反応器の圧力を大気圧(1kg/cm2)に保持し
つつ、100mL/minで窒素を導入しながら反応器
内を−20℃に冷却した。反応器内部温度が−20℃に
なった後、フッ素ガスを反応器に10mL/minの速
度で導入した。10時間経過後、フッ素ガスの導入のみ
を停止し、窒素を導入しながら反応器を室温まで昇温し
た。窒素ガスを止めて、反応器を開け、内容物をファラ
デーケージ中に投入した。このとき反応器内壁への重合
体粉の付着は無かった。また、帯電量は0.32nC/
kgであった。 【0048】比較例4 パーフルオロノナンを用いない他は実施例5と同様な反
応を行った。反応終了後の重合体の帯電量は12.5n
C/kgであった。
方法に関する。 【0002】 【従来の技術】分子内にフッ素原子を有する重合体(以
下、フッ素化重合体と称する)は、フッ素原子に由来す
る特異な物性を有しており、広い産業分野において使用
されている。 【0003】フッ素化重合体の製造方法としては、一般
に目的とするフッ素化重合体の構造に対応する含フッ素
モノマーを用いる単独重合反応、或いは共重合反応によ
る方法がある。しかしながら、この製造方法による共重
合反応では、得られる共重合体の組成が、用いるモノマ
ーの共重合可能な組成比といった各モノマー固有の値に
支配されるために、場合によっては製造される共重合体
の組成が限定されるといった問題を生ずる。 【0004】上記問題を回避するための方法として、所
望するフッ素化重合体の原料となる、フッ素と置換し得
る基を有する重合体をフッ素ガス等のフッ素化試剤を用
いてフッ素化するといった製造方法が知られている。例
えば、特開平2−28206号公報には、テトラフルオ
ロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの
共重合体(以下PFAと称する)の製造方法として、一
旦、分子内に水素を有する含フッ素ビニルエーテルとテ
トラフルオロエチレンとの共重合をおこなった後に、フ
ッ素ガスによってフッ素化することが提案されている。 【0005】また、PFAは、その耐薬品性、溶融成形
性といった特徴から半導体製造工程に多く用いられてい
るが、このものは通常、重合体末端に不安定基(−CO
F、−COOH、−COOCH3 、−CONH2等)を
有するため、これから発生するフッ素イオンによる半導
体の汚染が問題となっている。そのため、こうした問題
への対策として、例えば、特開平4−83号公報では、
PFAをフッ素ガスと反応させ不安定基を安定化する方
法が提案されている。 【0006】また、耐薬品性、加熱性、表面物性等を改
良する目的で、ポリエチレン、ポリプロピレン等をフッ
素によりフッ素化する提案もなされている。さらには、
ポリテトラフルオロエチレンをフッ素と反応させ、末端
の不安定基をフッ素化して撥水性の改善したり、主鎖を
切断して潤滑用の低分子量のポリテトラフルオロエチレ
ンを製造すること等も提案されている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】前述したように、重合
体をフッ素で処理すると有用な機能を発見でき、多くの
応用がなされている。ところが、一般にフッ素ガスと有
機化合物は、条件によってはかなり激しい反応を起こす
ことが知られている。このため、かかる反応をプロセス
の簡略化等の目的から、固体の重合体粒子とフッ素ガス
とを反応させる、いわゆる気固反応により実施する場合
には、攪拌等を十分に行い反応熱の蓄熱防止を図ること
が必要となってくる。 【0008】しかしながら、このように攪拌等により重
合体粒子が移動する状態でフッ素化反応を進めると、重
合体粒子同士、或いは重合体粒子が反応器内壁や攪拌装
置と接触するために静電気が発生する。すると、帯電し
たフッ素化重合体が静電気の引力によって、反応器内壁
或いは攪拌装置に付着するといった問題が生じ、そのた
めに、除熱が不十分になるほかに、フッ素ガスの存在と
いった強い酸化性雰囲気下での発火性放電の危険性とい
った懸念も生じてくる。また、反応終了後においてフッ
素化重合体が静電気を帯びているために、金属器具への
付着、或いはフッ素化重合体同士の反発といった重合体
取扱い上の問題も生ずる。重合体粒子として粒子径の小
さな粒子を用いた場合、上述した静電気帯電による障害
は、非常に顕著となる。 【0009】一般に、重合体は電気絶縁性が高く、一旦
帯電した静電気を短時間で除去することは難しい。ま
た、一般的な樹脂の静電気除去方法には、加湿、帯電防
止剤の添加等いくつか方法が知られているが、フッ素ガ
スの存在といった極めて活性の高い状態においてはこれ
らの方法を用いることは出来ない。 【0010】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
重合体粒子とフッ素ガスとを気固反応によって反応する
方法において、発生する静電気量を極めて少なくするこ
とを目的として鋭意研究を重ねてきた。その結果、特定
の物性を有するパーフルオロ化合物を重合体粒子表面に
存在させることによって、静電気の発生が抑えられるこ
とを見いだし、本研究を完成するに至った。 【0011】即ち、本発明は、重合体粒子とフッ素ガス
とを気固反応により反応させフッ素化重合体を製造する
に際し、重合体粒子の表面の少なくとも一部に液状のパ
ーフルオロ化合物を存在させた状態で反応を行うことを
特徴とするフッ素化重合体の製造方法である。 【0012】本発明において、原料となる重合体は、フ
ッ素ガスと反応してフッ素化重合体が生成されるもので
あれば特に制限なく使用される。通常、分子内にフッ素
と置換し得る基を有し、フッ素ガスとの反応により、パ
ーフルオロ体や部分フッ素化体にフッ素化可能なものが
挙げられる。ここで、フッ素と置換し得る基としては、
水素原子や−COF、−COOH、−COOCH3 、−
CONH2 等が制限なく適用できる。また、本発明は、
ポリテトラフルオロエチレン等のパーフルオロ重合体に
フッ素ガスを反応させて、該重合体の主鎖をランダムに
切断し低分子量のフッ素化重合体を製造する反応にも適
用可能であり、こうした場合にはパーフルオロ重合体も
原料重合体として使用可能である。 【0013】本発明において、対象となる原料重合体を
具体的に例示すると、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリ
デン、ポリ三フッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレ
ン、テトラフルオロエチレンと下記一般式(I) CF2=CFOCaFbXcH(2a+1-b-c) (I) (但し、Xは塩素原子または臭素原子であり、aは1以
上の整数であり、bは0〜2a+1の整数であり、cは
0又は1であり、且つ0≦b+c≦2a+1の関係を有
する。)で示されるフルオロアルキルビニルエーテルと
の共重合体、テトラフルオロエチレンと下記一般式(I
I) CF2=CFCaFbH(2a+1-b) (II) (但し、Xは塩素原子または臭素原子であり、aは1以
上の整数であり、bは0〜2a+1の整数であり、且つ
0≦b≦2a+1の関係を有する。)で示されるフルオ
ロオレフィンとの共重合体、及びテトラフルオロエチレ
ンとエチレンとの共重合体等を挙げることができる。 【0014】上記一般式(I)で示されるフルオロアル
キルビニルエーテルを具体的に例示すると、 【0015】 【化1】【0016】等を挙げることができる。 【0017】また、上記テトラフルオロエチレンと一般
式(I)で示されるフルオロアルキルビニルエーテルと
の共重合体の組成は、本発明のフッ素ガスとの反応温度
において共重合体が溶融せず、実質的に形状を保つ範囲
にあれば良く、フルオロアルキルビニルエーテルに基づ
く単量体単位が0.5〜40モル%、好ましくは1〜2
0モル%であり、テトラフルオロエチレンに基づく単量
体単位が99.5〜60モル%、好ましくは99〜80
モル%である。 【0018】上記一般式(II)で示されるフルオロオレ
フィンを具体的に例示すると、 【0019】 【化2】 【0020】等を挙げることができる。 【0021】また、上記テトラフルオロエチレンと一般
式(II)で示されるフルオロオレフィンとの共重合体の
組成は、本発明のフッ素ガスとの反応温度において共重
合体が溶融せず、実質的に形状を保つ範囲にあれば良
く、フルオロオレフィンに基づく単量体単位が0.5〜
40モル%、好ましくは1〜20モル%であり、テトラ
フルオロエチレンに基づく単量体単位が99.5〜60
モル%、好ましくは99〜80モル%である。 【0022】また、−COF、−COOH、−COOC
H3 、−CONH2 等の不安定基を少なくとも一部に有
するPFAまたはテトラフルオロエチレンとヘキサフル
オロプロピレン(CF2=CFCF3)との共重合体等の
パーフルオロ重合体も、本発明に適用できる原料重合体
である。 【0023】更に、本発明の実施を阻害しない範囲にお
いて上記の重合体に、他の単量体成分が含まれていても
何等問題は無い。 【0024】こうした重合体からなる粒子の粒子径は、
特に制限されるものではないが、通常、3mm以下であ
る粒子が全体の90重量%以上であることが好適であ
る。こうした粒子径分布の場合において、最も帯電防止
の効果が顕著に発揮され、また、フッ素化反応自体も均
一に実施できる。 【0025】本発明において用いるパーフルオロ化合物
は、本発明のフッ素ガスによるフッ素化反応の条件下に
おいて、その一部又は全部が液体として存在する化合物
であれば良い。こうしたパーフルオロ化合物は、公知の
ものが特に制限なく使用できるが、好適には、炭素数8
〜20、好ましくは炭素数10〜18であるパーフルオ
ロ化合物が好ましい。この場合、分子内に炭素原子、フ
ッ素原子以外に窒素原子、又は酸素原子を含んでいても
何等問題はない。 【0026】本発明に好適に用いることの出来るパーフ
ルオロ化合物を例示すれば、上記炭素数を有する一般式
CnF2n+2で表されるパーフルオロアルカン、一般式N
(CnF2n+1)3で表されるパーフルオロアミン、一般式
CnF2n+2O、(CnF2n+2O)m又はCnF2nOで表され
る直鎖状、又は環状のパーフルオロエーテルが挙げられ
る。本発明においては上記パーフルオロ化合物を単独で
用いても良く、また、2種以上を用いても何等問題は無
い。こうしたパーフルオロ化合物は、かかるパーフルオ
ロ体の状態で重合体粒子の表面に存在させ、フッ素化反
応に供するのが一般的であるが、このフッ素化反応中に
フッ素化されて該パーフルオロ化合物となる前駆物質の
形で重合体粒子表面に存在させて供しても良い。 【0027】本発明では、前記重合体粒子の表面の少な
くとも一部に上記液状のパーフルオロ化合物を付着や吸
着させて存在させ、気固反応を実施する。その際、パー
フルオロ化合物の使用量は、気固反応が維持される量あ
れば何等制限はない。帯電防止の効果や造粒等されるこ
となく粒子の良好な流動性を維持する上では、重合体粒
子100重量部に対して0.5〜30重量部、好ましく
は1.5〜20重量部用いることが好ましい。 【0028】上記範囲でパーフルオロ化合物を用いた場
合、重合体粒子は外観は若干湿った感じにはなる。反応
器内で攪拌を行った場合、粉体としての流動性にはほと
んど差は感じられないにも拘らず、ほとんど帯電しなか
ったことは、外観からは予想されず、驚きに値する。 【0029】パーフルオロ化合物を重合体粒子表面へ存
在させる方法は、フッ素化反応に先だって、重合体粒子
とパーフルオロ化合物を混合することにより行えば良
い。また、反応条件によっては、反応途中から反応温度
を上げることがあり、既に、存在させたパーフルオロ化
合物の一部が気化する場合が考えられ、こういった場合
は反応途中にパーフルオロ化合物を添加し重合体粒子と
混合することも有効な方法である。この際、パーフルオ
ロ化合物は液体として導入しても良く、加熱することに
よりガス化して導入し反応器で冷却し液化しても何等問
題はない。また、フッ素ガスを連続的に供給する流通法
や、フッ素ガス入れ換えるバッチ法においては、パーフ
ルオロ化合物の一部が、廃ガスの流れに伴って反応器か
ら排出される事もある。こういった場合は、パーフルオ
ロ化合物を間欠的に追加導入したり、連続して導入する
ことも有効な方法である。 【0030】フッ素ガスによるフッ素化方法は、必要に
より不活性ガスで希釈したフッ素で直接、重合体粒子を
フッ素化する気固反応が採用される。この場合、フッ素
ガスに対し耐蝕性を有する材質の反応器を用いるのが好
ましい。また、反応は、重合体粒子とフッ素ガスとの接
触を良くするとともに発生する反応熱の蓄熱防止のため
に、攪拌下或いは振動下等の重合体粒子が移動する状態
で行うのが好適である。その場合において、本発明の帯
電防止の効果は最も顕著に発揮される。反応方法の例と
しては、重合体粒子の存在する反応器にフッ素ガスを流
通させつつフッ素化を行う流通法、及び所定濃度のフッ
素ガスを封じ込めてフッ素化するバッチ法等を挙げるこ
とができる。 【0031】反応条件によっては、フッ素ガスと重合体
粒子とはかなり激しい反応を起こすことが知られてい
る。従って、最初に反応器にフッ素ガスを導入する場合
は、一旦反応器を冷却し、フッ素ガスを充填した後に反
応温度まで昇温することが好ましい。バッチ法の場合、
一回のフッ素ガス導入量が重合体粒子を目的とするフッ
素化度に変換するのに十分な量でない場合は、一定の反
応時間経過後、反応器内のガスを排出した後、新たにフ
ッ素ガスを導入してもよい。この場合も、一旦反応器を
冷却してフッ素ガスを導入することが好ましい。フッ素
ガスの導入温度は、重合体粒子の種類、あるいは反応形
式等によって若干異なるが、一般には室温以下であれば
良い。また、反応途中にフッ素ガスの入れ替えを行う場
合、反応の進行程度によっては、最初のフッ素ガス導入
より高い温度でフッ素ガスを導入しても良い。また、流
通法の場合は、フッ素ガス導入開始時に反応器を冷却す
ることの他に、導入フッ素ガスの濃度を低濃度から始
め、濃度を徐々に上げて行くことも反応を穏やかに行う
ためには有効である。 【0032】反応温度は、−100℃〜200℃、好ま
しくは−50℃〜180℃であることが好ましく、反応
を効率的に行うためには、上記温度範囲内で段階的、あ
るいは連続的に昇温することも有効である。導入するフ
ッ素ガスは窒素、二酸化炭素、或いはヘリウム等の不活
性ガスで5〜100%、好ましくは10〜50%に希釈
して用いる事が好ましい。また、フッ素ガスの圧力には
特に制限は無いが、反応の安全性の観点から0.1〜2
0kg/cm2、好ましくは0.5〜10kg/cm2の
圧力下で反応を行うことが良い。更に反応時間に関して
は、反応条件によって一概には規定できないが、一般に
は1〜100時間、好ましくは5〜50時間フッ素化す
れば良い。 【0033】反応後、フッ素化重合体に含まれるパーフ
ルオロ化合物は必要により加熱、洗浄により、容易にフ
ッ素化重合体から分離することができる。 【0034】 【発明の効果】以上の説明により理解されるように、本
発明によれば、液状のパーフルオロ化合物が重合体粒子
表面に存在した状態で、該重合体粒子とフッ素ガスと反
応させてフッ素化させることにより、反応器内部の重合
体の静電気帯電量が大幅に低減するため、除熱を目的と
した十分な攪拌が可能となり、効果的にフッ素化反応を
行うことができる。 【0035】また、反応によって得られるフッ素化重合
体の帯電量が小さく、そのため、静電気による存在、反
発といった障害を避けることができるのみならず、微粉
を用いた場合においても粉塵の発生がほとんど無いとい
った効果をももたらす。 【0036】本発明においては、その反応条件によって
部分フッ素化体からパーフルオロ体までフッ素化の程度
を広く変化させることが出来、さらに、パーフルオロ体
の主鎖を切断する反応にも適用できる。また、本発明に
よって製造されるフッ素化重合体は表面特性、耐薬品
性、電気特性等のフッ素樹脂としての特性が要求される
産業分野において使用できる。 【0037】 【実施例】本発明を更に詳細に説明するために以下に実
施例を示すが、本発明はこれら実施例によって何等制限
をうけるものではない。 【0038】なお、静電気帯電量はサンプルをファラデ
ーケージに投入し、指示された電圧、及び樹脂重量より
単位重量当たりの帯電量として求めた。 【0039】実施例1 テトラフルオロエチレンと2,2,3,3,3−ペンタ
フルオロプロピルトリフルオロビニルエーテルを共重合
して得られた、6mol%の2,2,3,3,3−ペン
タフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテルに由来
する単量体単位を含む共重合体粉末(粒子径0.5〜1
mmの粉体)12g、およびパーフルオロペンチルアミ
ンの液体をモーターで回転できるようにした内容積12
0mLのニッケル製反応器に入れ、反応器内を十分脱気
した後、氷冷下で窒素で80容量%に希釈したフッ素ガ
スを3kg/cm2−Gまで導入した。次に、反応器を
10℃のオイルバスに入れ、回転しながらオイルバスの
温度を1℃/分の速度で150℃まで昇温した。150
℃で8時間反応を行った後、内部を窒素で十分置換し、
反応器をあけ、内容物をファラデーケージ中に投入し、
帯電量を測定した。この実験を繰り返し、パーフルオロ
ペンチルアミンの添加量と帯電量の関係を調べた。得ら
れた結果を表1に示す。 【0040】 【表1】 【0041】比較例1 パーフルオロトリペンチルアミンを添加しない他は実施
例1と同様な反応を行った。得られたフッ素化重合体の
帯電量は11.0〜12.3nC/kgであった。 【0042】実施例2 3mm以下の粒子径を有する、97mol%のテトラフ
ルオロエチレンと3mol%の2,2,3,3,4,
4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシルト
リフルオロビニルエーテルとの共重合体の粉20gに、
パーフルオロトリペンチルアミンの液体1.0gを混合
した後、モーターで回転できるようにした内容積120
mLのニッケル製反応器に入れ、反応器内を十分脱気し
た後、氷冷下窒素で希釈した75容量%のフッ素ガスを
2kg/cm2−Gまで導入した。次に反応器を10℃
のオイルバスに入れ、回転しながらオイルバスの温度を
1℃/分の速度で95℃まで昇温した。95℃で2時間
反応を行った後、内部を窒素を置換した。次に反応器を
氷冷した後、同様なフッ素ガス導入、昇温操作を繰り返
し、95℃で2時間、95℃で9時間、135℃で9時
間反応を行った。反応終了後、反応器内部を十分窒素置
換し、反応器をあけ、内容物をファラデーケージ中に投
入した。このとき反応器内壁への重合体粉の付着は無か
った。また帯電量は0.20nC/kgであった。 【0043】比較例2 パーフルオロトリペンチルアミンを添加しない他は実施
例2と同様な反応を行った。反応終了後内容物をファラ
デーケージにあけたところ、反応器内壁へ重合体粉が付
着し全量をファラデーケージに移すことはできなかっ
た。ファラデーケージ内へ移ったフッ素化重合体の帯電
量は21.5nC/kgであった。 【0044】実施例3 パーフルオロ化合物としてパーフルオロ−2−ブチル−
テトラヒドロフランの液体を6g用いた他は、実施例1
と同様な反応を行った。反応終了後のフッ素化重合体の
帯電量は0.31nC/kgであった。 【0045】実施例4 1mm以下の粒子径を有し、炭素原子100万個当たり
約30個の末端カルボン酸フロライド基および約120
個の末端メチルエステル基を有する、98mol%のテ
トラフルオロエチレンと2mol%のパーフルオロプロ
ピルビニルエーテルとの共重合体25gを、パーフルオ
ロトリペンチルアミンの液体1gと混合した後、モータ
ーで回転できるようにした内容積120mLのニッケル
製反応器に入れ、反応器内を十分脱気した後、氷冷下窒
素で希釈した25容量%のフッ素ガスを2kg/cm2
−Gまで導入した。次に、反応器を10℃のオイルバス
に入れ、回転しながらオイルバスの温度を1℃/分の速
度で150℃まで昇温した。150℃で8時間反応を行
った。反応終了後、反応器内部を十分窒素置換し、反応
器をあけ、内容物をファラデーケージ中に投入した。こ
のとき反応器内壁への重合体粉の付着は無かった。また
帯電圧は0.15nC/kgであった。得られたフッ素
化重合体を分析したところ、末端カルボン酸フロライド
基およびメチルエステル基は全く検出されなかった。 【0046】比較例3 パーフルオロトリペンチルアミンを用いない他は実施例
4と同様な反応をおこなった。反応終了後の重合体の帯
電量は14.2nC/kgであった。 【0047】実施例5 1mm以下の粒子径を有するポリエチレン25.5gと
パーフルオロノナンの液体0.6gを混合した後、攪拌
機を有する内容積150mLのステンレス製反応器に入
れ、反応器の圧力を大気圧(1kg/cm2)に保持し
つつ、100mL/minで窒素を導入しながら反応器
内を−20℃に冷却した。反応器内部温度が−20℃に
なった後、フッ素ガスを反応器に10mL/minの速
度で導入した。10時間経過後、フッ素ガスの導入のみ
を停止し、窒素を導入しながら反応器を室温まで昇温し
た。窒素ガスを止めて、反応器を開け、内容物をファラ
デーケージ中に投入した。このとき反応器内壁への重合
体粉の付着は無かった。また、帯電量は0.32nC/
kgであった。 【0048】比較例4 パーフルオロノナンを用いない他は実施例5と同様な反
応を行った。反応終了後の重合体の帯電量は12.5n
C/kgであった。
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平6−100718(JP,A)
特開 昭57−18703(JP,A)
特開 平6−340706(JP,A)
特開 昭61−64702(JP,A)
特開 昭60−76506(JP,A)
特開 平4−20507(JP,A)
特開 平2−28206(JP,A)
特開 昭47−4261(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08F 8/00 - 8/50
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】重合体粒子とフッ素ガスとを気固反応によ
り反応させフッ素化重合体を製造するに際し、重合体粒
子の表面の少なくとも一部に液状のパーフルオロ化合物
を存在させた状態で反応を行うことを特徴とするフッ素
化重合体の製造方法。
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