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JP3179055B2 - タンパク質同定方法 - Google Patents

タンパク質同定方法

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JP3179055B2
JP3179055B2 JP25398697A JP25398697A JP3179055B2 JP 3179055 B2 JP3179055 B2 JP 3179055B2 JP 25398697 A JP25398697 A JP 25398697A JP 25398697 A JP25398697 A JP 25398697A JP 3179055 B2 JP3179055 B2 JP 3179055B2
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玄 佐藤
バック クリステンセン ダン
亮 船橋
勝利 吉里
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Japan Science and Technology Agency
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Japan Science and Technology Corp
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  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、タンパク質同定
方法に関するものである。さらに詳しくは、この発明
は、生物の細胞から分離された未知タンパク質を、簡便
かつ確実に同定するための新しい方法と、この同定に用
いる検索リストに関するものである。
【0002】
【従来の技術】生物の個体発生や組織再生、発ガン等の
生物学的な現象においては、個体を構成する個々の細胞
内で様々な変化が生じている。現在、このような変化を
遺伝子レベルで解析する試みが活発に行われているが、
そのような遺伝子レベルでの解析のみでは細胞内で生じ
ているすべての変化を理解することはできない。何故な
らば、実際の細胞を形作っているタンパク質は、染色体
上のゲノムDNAにコードされた遺伝子配列(ゲノム遺
伝子)から翻訳された後に修飾を受け(post-translati
onal modification )、成熟型の細胞タンパク質となる
からである(図1参照)。従って、ゲノム遺伝子の解析
だけではどのような翻訳後修飾がタンパク質に生じたか
を知ることはできない。また、ゲノム遺伝子のレベルで
は個々に独立して存在するタンパク質であっても、細胞
内で発現された段階で他のタンパク質によってリン酸化
されたり、あるいはタンパク質同士が複合体を形成する
こともある。そして実際に、細胞内では何種類ものタン
パク質が機能的、構造的に相互に反応しあって個々の役
割を果たし、それによって細胞の働きが営まれているの
である。
【0003】このような事情から、近年、細胞内でのタ
ンパク質の変化をパターンとして包括的に捉えようとす
る試みがなされており、細胞内の遺伝子セットを意味す
る「ゲノム」という概念に対して、細胞内のタンパク質
セットを意味する「プロテオーム」という概念が提唱さ
れている(Science 270:369-370, 1995)。ただし、細
胞内におけるタンパク質変化の包括的な解析は、遺伝子
レベルでの解析と比較すると、必ずしも順調に進展して
いる訳ではない。何故なら、一つの細胞を構成するタン
パク質は約5000〜7000程度と見積もられており、これら
を個々に同定する作業は、遺伝子の同定に比べて多大な
労力、時間を要するからである。
【0004】細胞内で発現する未知タンパク質を同定す
る方法としては、単離したタンパク質の部分アミノ酸配
列を公知の方法(例えば、プロテインシークエンサーを
用いたエドマン分解法)により決定し、既存のタンパク
質データベースからこの部分アミノ酸配列を含む既知タ
ンパク質を特定することによって、未知タンパク質を同
定する方法が知られている。しかしながら、この方法で
は、一つのタンパク質を同定するのに多くの費用と時間
を要するので、プロテオーム解析のように数千のタンパ
ク質の同定を行うための手段としては現実的でない。
【0005】これに対して、近年、新しいタンパク質同
定方法として、ペプチドマス・フィンガープリント法
(Current Biol. 3:327-332, 1993 )と呼ばれる方法が
注目を集めている。この方法は、タンパク質を構成する
アミノ酸質量のわずかな違いを測定できる質量分析装置
と、様々な種類のタンパク質についてのアミノ酸配列デ
ータベースの出現によって可能となった方法である。す
なわち、図2にそのプロトコールを示したように、先
ず、タンパク質サンプルを二次元電気泳動等で分離し、
単一のスポットから切り出した未知タンパク質を任意の
プロテアーゼ等により消化し、この消化断片の質量を質
量分析装置(例えば、MALDI−TOF−MS等の市
販装置)により測定し、未知タンパク質のプロテアーゼ
消化断片の質量パターンを得る。ところで、任意のプロ
テアーゼは常に決まったアミノ酸を認識してタンパク質
を切断するので、プロテアーゼで消化されたタンパク質
は固有の消化断片パターン(フィンガープリント)を示
す。そこで、アミノ酸配列データベースから同一プロテ
アーゼの切断する配列を探し、その質量を計算すること
によって既知タンパク質の理論的な質量パターンを推定
することができる。従って、アミノ酸配列データベース
中の既知タンパク質の消化断片の質量理論値と、未知タ
ンパク質の実際の消化断片の質量実測値を次々と比較す
ることにより、互いの質量の一致を指標として未知タン
パク質を同定することが可能となる。実際に、質量分析
装置による質量の測定は5分以内に行うことができ、コ
ンピュータによるアミノ酸配列データベースの検索は数
秒で結果を得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ペプチドマス・フィン
ガープリント法は、従来のアミノ酸配列を直接比較する
方法等に比べて、微量のタンパク質が短時間で同定可能
であるという特徴を有しており、多くのタンパク質を同
定する必要のあるプロテオーム解析等における極めて有
効な手段として期待されている。
【0007】しかしながら、従来のペプチドマス・フィ
ンガープリント法の場合には、たとえ同一のタンパク質
であっても、そのアミノ酸配列に基づいて算出された質
量の理論値と、実際に測定された質量値が一致しないこ
とが多く、正確な同定が困難であった。その理由のひと
つとしては、前記のとおり、細胞内で産生されたタンパ
ク質は種々の翻訳後修飾を受けており、修飾の種類や程
度によって各消化断片の質量実測値が様々に変化するた
め、アミノ酸配列から一義的に推定された質量理論値と
は一致しなことが考えられる。
【0008】この発明は、以上のとおりの事情に鑑みて
なされたものであって、従来のペプチドマス・フィンガ
ープリント法の問題点を解消し、消化断片の質量実測値
を指標として、未知タンパク質を簡便かつ高精度で同定
することのできる同定方法を提供することを目的として
いる。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、前記の課題
を解決するものとして、タンパク質分解試薬による消化
断片の質量実測値が既知である特定タンパク質群を検索
リストとして未知タンパク質を同定する方法であって、
(a)細胞から分離された未知タンパク質を、前記と同
一のタンパク質分解試薬で消化して断片化し、(b)消
化断片の各々の質量を測定し、(c)質量を測定した消
化断片数(x)と、検索リスト中の各タンパク質の消化
断片数(y)との間で質量値が一致した断片数(z)を
計測し、(d)以下の一致率RF1およびRF2: RF1= z/x RF2= z/y を算出し、(e)RF1とRF2の各々が0.3以上で
あり、かつ最大である検索リスト中のタンパク質を、未
知タンパク質と同一のタンパク質として同定する、こと
を特徴とするタンパク質同定方法(請求項1)を提供す
る。
【0010】また、このタンパク質同定方法において
は、前記RF1とRF2のいずれか一方が0.5以上で
ある検索リスト中のタンパク質を未知タンパク質と同一
のタンパク質として同定すること(請求項2)を好まし
い態様としている。さらに、この発明は、タンパク質分
解試薬による消化断片の質量実測値が既知である特定タ
ンパク質群からなるタンパク質同定用検索リストを構築
する方法であって、(a)生物種Aの細胞A1 から分離
された各タンパク質の種類を特定し、(b)各タンパク
質をタンパク質分解試薬で消化して断片化し、(c)各
タンパク質の消化断片の質量を測定し、(d)細胞A1
が産生するタンパク質の種類と、各々の消化断片の質量
値とからなる検索リストを作成し、(e)生物種Aの別
の細胞A2 から分離された未知タンパク質を、前記と同
一のタンパク質分解試薬で消化して断片化した後、各消
化断片の質量を測定し、(f)未知タンパク質の消化断
片数(x)と、前記(d)で作成した検索リスト中の各
タンパク質の消化断片数(y)との間で質量値が一致し
た断片数(z)を計測し、(g)以下の一致率RF1お
よびRF2: RF1= z/x RF2= z/y を算出し、(h)RF1およびRF2がいずれも0.3
未満である未知タンパク質を新規タンパク質として、そ
の種類を特定した後、各消化断片の質量値とともに検索
リストに追加し、(g)以下、生物種Aの細胞A3 から
細胞An について前記(e)から(h)の操作を順次に
繰り返すことによって、生物種Aを構成する全タンパク
質の種類と、各々の消化断片の質量値とからなる検索リ
ストを作成することを特徴とするタンパク質同定用検索
リストの作成方法(請求項3)を提供する。
【0011】そして、この検索リスト作成方法において
は、RF1およびRF2のいずれか一方が0.3未満で
あり、かつ他方が0.5未満である未知タンパク質を新
規タンパク質として検索リストに追加すること(請求項
4)を好ましい態様としてもいる。この発明は、さらに
また、以上のとおりの方法で作成されたタンパク質同定
用検索リスト(請求項5)を提供する。
【0012】以下、この発明の実施の形態について詳し
く説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】先ず、この発明の同定方法に使用
する検索リストについて、その構築方法を説明する。 (1)検索リストを構成するタンパク質の調製 任意の生物種Aの任意の細胞A1 で産生している全タン
パク質サンプルを採取し、個々のタンパク質に分離す
る。このような分離手段としては、従来法と同様の二次
元電気泳動を用いることができるが、その他、タンパク
質を個々に分離可能な方法であればどのような手段で分
離してもよい。次いで、個々に分離したタンパク質の種
類を特定する。このタンパク質の特定は、例えば、個々
のタンパク質の部分アミノ酸配列をエドマン分解法等に
より決定し、それぞれを既存のアミノ酸配列データベー
スと比較することによって行うことができる。そして、
特定したタンパク質をタンパク質分解試薬で消化し、断
片化する。タンパク質分解試薬は、常にタンパク質の同
一部分を切断するものであればどのような種類のもので
も使用することができ、微生物等から単離・精製された
プロテアーゼ(エンドペプチダーゼ)や、CNBr等の
タンパク質分解化学試薬等から適宜に選択して使用する
ことができる。また従来のペプチドマス・フィンガープ
リント法では、アミノ酸配列データベースから消化断片
を推定するために、切断するアミノ酸部分が既知である
プロテアーゼ等の使用が必須であったが、この発明の方
法では、切断するアミノ酸部分が未知のタンパク質分解
試薬を使用することもできる。 (2)第一次検索リストの作成 タンパク質分解試薬で消化処理した各タンパク質を質量
分析装置にかけ、質量パターンと、各消化断片毎の質量
値を測定する。得られた質量値を各タンパク質毎に記録
し、第一次検索リストを作成する。
【0014】このようにして作成した第一次検索リスト
は、生物種Aの細胞A1 が産生する全タンパク質につい
て、それぞれの消化断片の質量実測値を備えている。従
って、後述するタンパク質同定方法において、同定を目
的とする未知タンパク質が生物種Aの細胞A1 に由来す
るものであれば、この第一次検索リストを使用して同定
が可能である。しかしながら、異なる種類の細胞間で
は、各々が産生するタンパク質が約30%異なるため、
第一次検索リストだけでは生物種Aの全タンパク質を同
定することはできない。そこで、以下の手順により、高
次検索リストを作成する。 (3)高次検索リストの作成 生物種Aの別の細胞A2 から任意の未知タンパク質を分
離し、このタンパク質を前記と同一のタンパク質分解試
薬で消化して断片化し、各断片の質量を測定する。
【0015】次いで、未知タンパク質の消化断片数
(x)と、第一次検索リスト中の各タンパク質の消化断
片数(y)との間で質量値が一致した断片数(z)を計
測し、以下の一致率RF1およびRF2: RF1= z/x RF2= z/y を算出する。
【0016】ここで、細胞A2 から分離した未知タンパ
ク質と同一のタンパク質が第一次検索リストに存在すれ
ば、RF1およびRF2ともに高い値が得られる。一
方、未知タンパク質が第一次検索リストに存在しな場合
(理論的には、約30%のタンパク質は存在しない)、
後述の実施例で示すように、RF1およびRF2はいず
れも0.3未満となる。従って、RF1およびRF2が
0.3未満のタンパク質は新規タンパク質として、その
種類を特定した後、その消化断片の質量値を第一次検索
リストに追加する。なお、さらに正確を期すためには、
RF1およびRF2のいずれか一方が0.3未満で、か
つ他方が0.5未満のものを新規タンパク質をすること
が好ましい。
【0017】なお、一致率としてRF1とRF2の二種
類を使用する理由は、たとえ同一のタンパク質を同一分
解試薬で消化した場合であっても、消化断片数が異なる
場合があり、検索リストに質量値が登録された断片数
(y)と未知タンパク質から得られた断片数(x)が異
なる場合、どちらを基準とするかによって一致率が大き
く異なってしまうからである。そこで、このような二種
類の一致率を採用することによって、タンパク質同士が
同種のものであるか、異種であるかを高精度に判定する
ことができる。
【0018】また、分子量の大きいタンパク質は消化部
位を多く持つために、数多くの消化断片が得られる。そ
こで、高分子量のタンパク質から得られた多数の消化断
片を比較すると、タンパク質が異なる場合であっても、
質量値が偶然に一致する断片が幾つか存在し、それによ
って両者を同一タンパク質として誤って同定してしまう
危険性がある。RF1およびRF2は、このような偶然
の一致による誤同定を回避するためにも有効である。す
なわち、RF1は、未知タンパク質が高分子量タンパク
質であるために、検索リスト中の異種タンパク質の少数
データが多数一致してしまい、結果として両者を同一タ
ンパク質として誤同定することを回避するための指標で
ある。一方、RF2は、検索リスト中の高分子量タンパ
ク質のデータに、未知タンパク質データの大部分が含ま
れてしまうことによる誤同定を回避するための指標であ
る。
【0019】さらに、この発明の別の態様として、未知
タンパク質が検索リスト中のタンパク質と同一であると
判定された場合で、しかも両タンパク質に質量が一致し
ない断片が存在する場合、未知タンパク質の不一致断片
のデータを、検索リストの該当タンパク質データに追加
することもできる。これによって、再度同じタンパク質
を同定対象とした場合に、特にRF1はさらに高い一致
率が得られ、検索リストの精度が向上する。あるいはま
た、検索リスト中の不一致断片のデータを検索リストか
ら削除してもよい。不一致断片は、種々の変動要因によ
って生じる断片でる可能性が高いためである。この場合
には、再度同一タンパク質を試験した場合に、RF2は
高い一致率を示す。
【0020】そして、細胞A2 の全タンパク質について
以上の操作を行うことにより、細胞A1 と細胞A2 の双
方のタンパク質をカバーする第二次検索リストが作成さ
れる。同様にして、細胞A3 から細胞An について同様
の操作を繰り返すことにより、最終的に生物種Aを構成
する全タンパク質をカバーする検索リストを作成するこ
とができる。さらに、生物種Aについての検索リストを
作成した後、生物種B、C、D・・のタンパク質を順次
追加することもできる。
【0021】以上のとおりに作成した検索リストは、例
えば、コンピュータシステムに組み込んで、タンパク質
同定用のデータベースとして使用することもできる。次
に、この発明のタンパク質同定方法について説明する。
この発明の同定方法は、前記の方法で構築した検索リス
トを、例えばコンピュータ・データベースとして使用
し、以下の手順で未知タンパク質を同定することを特徴
とする方法である。先ず、細胞から分離された未知タン
パク質を、検索リストの作成に用いたものと同一のタン
パク質分解試薬で消化して断片化し、各消化断片の質量
を測定する。次いで、未知タンパク質の消化断片数
(x)と検索リスト中の各タンパク質の消化断片数
(y)との間で質量値が一致した断片数(z)を計測
し、以下の一致率RF1およびRF2: RF1= z/x RF2= z/y を算出する。
【0022】上述のとおり、未知タンパク質と同一のタ
ンパク質が検索リスト中に存在すれば、両者の間の一致
率RF1およびRF2はいずれも、他の検索タンパク質
と未知タンパク質との間の一致率より高い数値を示すた
め、未知タンパク質は検索タンパク質と同種のものとし
て同定される。ただし、既に説明したように、RF1お
よびRF2の各々の最大値が0.3未満である場合に
は、両者は別種である危険性が極めて高い。従って、タ
ンパク質の同一性の判定は、RF1およびRF2が最大
であって、かつ両者が0.3以上、さらに好ましくは、
いずれか一方が0.5以上とする。なお、一致率が0.
3未満の場合、すなわち、未知タンパク質が検索リスト
にない新規タンパク質でると判定された場合には、この
新規タンパク質を別の手段で特定し、その消化断片の質
量データを検索リストに追加することによって、検索リ
ストの拡充を図ることもできる。
【0023】以下、実施例を示し、この発明についてさ
らに詳細かつ具体的に説明するが、この発明は以下の例
によって限定されるものではない。
【0024】
【実施例】
実施例1 ラットのパピラ細胞が産生するタンパク質について、検
索リストを作成した。先ず、ラットのパピラ細胞の培養
シャーレから培養液を除き、尿素を含む可溶化液(9M u
rea, 3.2% NP-40, 1.8% ampholytes:pH 3-10, 120mM DT
T, 0.06% SDS,10mMTris)を加えて細胞のタンパク質を
可溶化した後、タンパク質濃度を計測し、二次元電気泳
動用のサンプルとした。電気泳動は、公知の方法(B. B
iol. Chem. 250:4007-4021, 1975)に従い、一次元目に
等電点電気泳動を行い、二次元目にSDS−ポリアクリ
ルアミド電気泳動を行った。泳動後のゲルはクマシーブ
ルーG−250で染色し、ゲルドライヤーで濾紙に貼り
付けて乾燥した。図3は、このようにして得たパピラ細
胞の二次元電気泳動ゲルのコンピュータ解析像であり、
100以上のタンパク質スポットが得られた。
【0025】次いで、ゲル上で分離された各タンパク質
のスポットを切り出し、PVDF膜に転写し、PVP−
40でブロッキングした後、トリプシン溶液(50μg/ml
modified trypsin, 0.1M Tris-HCl:pH8.5, 2mM calciu
m chloride)で消化した(37℃、17時間)。消化後
のタンパク質断片(ペプチド)を含む溶液を回収し、チ
ューブ中で乾燥した後、逆相HPLC(SMART system,
μRPC C2/C18 SC 2.1/10, 2.1mm ID x 100mm, Pharmaci
a 社製)で消化断片を分類した。これらの消化断片のア
ミノ酸配列をプトテインシークエンサーで決定し、これ
らのアミノ酸配列を指標として既存のアミノ酸配列デー
タベースを検索し、個々のタンパク質を特定した。
【0026】このようなアミノ酸配列に基づくタンパク
質の特定の結果、表1および表2に示したような186
種類のタンパク質が特定された。これらのタンパク質の
うち、約1/3は同一種のタンパク質でありながら、二
次元電気泳動では別のスポットとして分離されたもので
ある。例えば、図4に拡大して示したように、vimenti
n、peptidylprolyl、trisephate isomeraseはそれぞれ
4個、2個、2個のスポットとしてゲル上に分離され
た。これら別々のスポットとして分離されたものは、ス
プライシングやリン酸化によって生じたタンパク質のイ
ソ型であり、アミノ酸配列データに基づいて質量理論値
を算出する従来の方法では、これらのイソ形タンパク質
が検索リストに載ることはない。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】最終的に、42個のスポットとして分離さ
れた15種類のタンパク質を各々前記と同様のトリプシ
ン溶液で消化し、各消化断片の質量を質量分析装置(M
ALDI−TOF−MS)により測定した。そして、タ
ンパク質の種類毎に質量実測値をソートして検索リスト
を作成し、これらをコンピュータシステムに入力してタ
ンパク質同定用データベースとした。なお、このデータ
ベースでは、未知タンパク質の同定に際して、一致率R
F1およびRF2が算出されるようにプログラミングし
た。 実施例2 実施例1で作成したデータベースを用いて、ラットのパ
ピラ細胞から単離した未知タンパク質を同定した。未知
タンパク質の分離、トリプシン消化、および消化断片の
質量測定は実施例1と同様にして行った。
【0030】またコントロールとして、既存のアミノ酸
配列データベースを用い、実施例1で作成した検索リス
トに採用したのと同一タンパク質のトリプシン消化断片
を推定し、各々の質量理論値を算出して対象検索リスト
を作成し、上記の未知タンパク質の同定を行った。結果
は表3および表4に示したとおりである。この表3およ
び表4には、検索リストのタンパク質と未知タンパク質
との間で質量が一致した断片数と、その一致率(RF1
およびRF2)を、この発明の検索リスト(左列)と、
従来法の検索リスト(中央列)についてそれぞれ示し
た。断片数に付した**は、正しく同定されなかった場
合を示したいる。また、右列には、正しい同定結果が得
られなかった場合の最大一致断片数と一致率を示した。
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】これらの表3および表4の結果からも明ら
かなように、質量実測値データからなるこの発明の検索
リストを用いた場合には、未知タンパク質は検索リスト
中のいずれかのタンパク質に同定された。一方、質量理
論値データからなる検索リストを使用した場合には、4
2個の検索対象のうち、20個しか正しく同定されなか
った。
【0034】また、41個の検索対象では、この発明の
検索リストのほうがコントロールよりも高いRF値をし
めし、残りの1個も同じ値を示した。さらに、両方の検
索リストとも、正しく同定された場合には、RF1およ
びRF2は0.3以上を示し、一方、間違って同定され
た場合には、いずれの値も0.3未満(もしくは、いず
れか一方が0.5未満)であった。従って、RF値のこ
のような値を基準として、未知タンパク質を検索リスト
中のタンパク質と同定するか、または検索リストに存在
しない新規タンパク質として判定可能となることが確認
された。
【0035】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この発明に
よって、細胞内の多くのタンパク質を簡便かつ高精度で
同定することのできる方法が提供される。これにより、
細胞内でのタンパク質の変化を包括的に捉えるプロテオ
ーム解析が現実のものとなり、様々な生物現象の解明
や、あるいは新規タンパク質の探索、さらにはこれら新
規タンパク質を用いた新しい試薬品の開発等が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】細胞内においてタンパク質が産生される過程を
示した模式図である。
【図2】従来のペプチドマス・フィンガープリント法の
原理を示した模式図である。
【図3】パピラ細胞の二次元電気泳動ゲルのコンピュー
タ解析像である。
【図4】二次元電気泳動ゲル上で、複数のスポットとし
て分離された同一種のタンパク質を例示した電気泳動ゲ
ルの写真図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 国際公開95/25281(WO,A1) CURRENT BIOLOGY,V OL.3,NO.6,(1993),p. 327−332 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/68 G01N 27/62 G01N 33/48

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンパク質分解試薬による消化断片の質
    量実測値が既知である特定タンパク質群を検索リストと
    して未知タンパク質を同定する方法であって、(a)細
    胞から分離された未知タンパク質を、前記と同一のタン
    パク質分解試薬で消化して断片化し、(b)消化断片の
    各々の質量を測定し、(c)質量を測定した消化断片数
    (x)と、検索リスト中の各タンパク質の消化断片数
    (y)との間で質量値が一致した断片数(z)を計測
    し、(d)以下の一致率RF1およびRF2: RF1= z/x RF2= z/y を算出し、(e)RF1とRF2の各々が0.3以上で
    あり、かつ最大である検索リスト中のタンパク質を、未
    知タンパク質と同一のタンパク質として同定する、こと
    を特徴とするタンパク質同定方法。
  2. 【請求項2】 RF1とRF2のいずれか一方が0.5
    以上である検索リスト中のタンパク質を、未知タンパク
    質と同一のタンパク質として同定する請求項1のタンパ
    ク質同定方法。
  3. 【請求項3】 タンパク質分解試薬による消化断片の質
    量実測値が既知である特定タンパク質群からなるタンパ
    ク質同定用検索リストを構築する方法であって、(a)
    生物種Aの細胞A1 から分離された各タンパク質の種類
    を特定し、(b)各タンパク質をタンパク質分解試薬で
    消化して断片化し、(c)各タンパク質の消化断片の質
    量を測定し、(d)細胞A1 が産生するタンパク質の種
    類と、各々の消化断片の質量値とからなる検索リストを
    作成し、(e)生物種Aの別の細胞A2 から分離された
    未知タンパク質を、前記と同一のタンパク質分解試薬で
    消化して断片化した後、各消化断片の質量を測定し、
    (f)未知タンパク質の消化断片数(x)と、前記
    (d)で作成した検索リスト中の各タンパク質の消化断
    片数(y)との間で質量値が一致した断片数(z)を計
    測し、(g)以下の一致率RF1およびRF2: RF1= z/x RF2= z/y を算出し、(h)RF1およびRF2がいずれも0.3
    未満である未知タンパク質を新規タンパク質として、そ
    の種類を特定した後、各消化断片の質量値とともに検索
    リストに追加し、(g)以下、生物種Aの細胞A3 から
    細胞An について前記(e)から(h)の操作を順次に
    繰り返すことによって、生物種Aを構成する全タンパク
    質の種類と、各々の消化断片の質量値とからなる検索リ
    ストを作成することを特徴とするタンパク質同定用検索
    リストの作成方法。
  4. 【請求項4】 RF1およびRF2のいずれか一方が
    0.3未満であり、かつ他方が0.5未満である未知タ
    ンパク質を新規タンパク質として検索リストに追加する
    請求項3のタンパク質同定用検索リストの作成方法。
  5. 【請求項5】 請求項3または4の方法によって構築さ
    れたタンパク質同定用検索リスト。
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