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JP2025064427A - リフレクタ成形用金型の製造方法、リフレクタの製造方法及び切削工具 - Google Patents

リフレクタ成形用金型の製造方法、リフレクタの製造方法及び切削工具 Download PDF

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JP2025064427A
JP2025064427A JP2023174191A JP2023174191A JP2025064427A JP 2025064427 A JP2025064427 A JP 2025064427A JP 2023174191 A JP2023174191 A JP 2023174191A JP 2023174191 A JP2023174191 A JP 2023174191A JP 2025064427 A JP2025064427 A JP 2025064427A
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reflector
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将彦 福田
Masahiko Fukuda
遼太 比佐
Ryota Hisa
圭祐 長坂
Keisuke Nagasaka
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Shibaura Machine Co Ltd
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Abstract

【課題】切削による凹凸の形成に関して簡便性及び/又は精度が向上させる。【解決手段】光を反射するリフレクタ111を成形する金型121の製造方法は、リフレクタ111の反射面に凹凸(凹部115及び凸部117)を形成するために切削によって金型121の内面に複数の凹部125を形成する切削ステップを有する。切削ステップは、工具101の回転及び振動を伴わない工具101の金型121に対する相対移動によって複数の凹部125のそれぞれを切削するシェーパステップを有する。【選択図】図7

Description

本開示は、リフレクタ成形用金型の製造方法、リフレクタの製造方法及び切削工具に関する。
光を反射するリフレクタとして、反射面に凹凸を有するものが知られている。その具体例としては、自動車の後部に設けられ、他の自動車からの光を反射するリトロリフレクタ(日本ではリフレックスリフレクタと称されることがある。以下、リトロリフレクタを「RR」と称することがある。)が挙げられる。このようなリフレクタは、例えば、金型に成形材料(例えば樹脂)を充填することによって成形される。特許文献1~3では、RRの凹凸に対応する金型の凹凸又はこれに類する凹凸を工具の切削によって形成する技術が開示されている。
特許文献1は、先端が丸い工具によって金型の凹部を切削する技術を開示している。なお、特許文献1に明記は無いが、図示された工具の形状及び技術常識に照らして、工具は、軸回りに回転されて使用される。特許文献2は、工具を振動させることによって金型の凹部を切削する技術を開示している。特許文献3は、中心線に切れ刃が位置する工具を用いて凹部を切削する技術を開示している。工具は、回転されて使用され、又は振動が付与されて使用される。特許文献1及び2では、曲面に凹凸が形成された金型も開示されている。
特開2012-108213号公報 特開2013-202750号公報 特開2022-87422号公報
切削による凹凸の形成に関して簡便性及び/又は精度が向上する、リフレクタ成形用金型の製造方法、リフレクタの製造方法及び切削工具が待たれる。
本開示の一態様に係るリフレクタ成形用金型の製造方法は、光を反射するリフレクタを成形する金型の製造方法であって、前記リフレクタの反射面に凹凸を形成するために切削によって前記金型の内面に複数の凹部を形成する切削ステップを有し、前記切削ステップは、工具の回転及び振動を伴わない前記工具の前記金型に対する相対移動によって前記複数の凹部のそれぞれを切削するシェーパステップを有する。
本開示の一態様に係るリフレクタの製造方法は、上記リフレクタ成形用金型の製造方法によって製造された前記金型によって前記リフレクタを成形する。
本開示の一態様に係るリフレクタの製造方法は、光を反射するリフレクタの製造方法であって、前記リフレクタの反射面を構成する複数の凹部を切削によって形成する切削ステップを有し、前記切削ステップは、工具の回転及び振動を伴わない前記工具の前記リフレクタに対する相対移動によって前記複数の凹部のそれぞれを切削するシェーパステップを有する。
本開示の一態様に係る切削工具は、シャンクの中心線に対して交差する方向に延びる切れ刃を有しており、前記切れ刃の両端を第1端及び第2端と称するとき、前記第1端の前記中心線からの距離は、前記第2端の前記中心線からの距離よりも短く、前記第1端から前記シャンクの側へ延びる稜線は、前記シャンクの側ほど前記第2端の側へ位置するように傾斜している。
上記の手順及び構成によれば、リフレクタ成形用金型の製造方法及びリフレクタの製造方法において、凹凸の形成に係る簡便性及び/又は精度が向上する。
リフレクタの反射面の形状の一例を示す平面図。 リフレクタの製造方法の一例を示す断面図。 図2の製造方法で用いられるリフレクタ成形用金型を製造する加工機の一例を示す斜視図。 図3の加工機に取り付けられる工具の一例を示す側面図。 図4の工具の刃部の一例を示す斜視図。 図5の刃部のチップの一例を示す側面図。 図6のチップを用いた切削方法の一例を示す斜視図。 図7の切削方法によってRRの3平面を形成する場合の手順の一例を示す斜視図。 切削によって形成された金型の凹凸形状の第1例を示す図。 切削によって形成された金型の凹凸形状の第2例を示す図。 切削によって形成された金型の凹凸形状の第3例を示す図。 切削によって形成された金型の凹凸形状の第4例を示す平面図。 上記第4例を示す断面図。 切削によって形成された金型の凹凸形状の第5例を示す平面図。
以下の説明では、工具の位置の語は、便宜上、ワーク(例えば金型)との相対的な位置を指すことがあり、また、絶対座標系における位置を指すことがある。特に断りが無い限り、また、矛盾等が生じない限り、工具の位置は、相対的な位置及び絶対的な位置のいずれに捉えられてもよい。工具の移動の語についても同様とする。工具のシャンクの中心線の語は、シャンク内の線分だけでなく、長さ方向においてシャンクの外側へ延長された部分を含む直線を指すものとする。
加工機に関する軸の語は、座標系を規定する軸(別の観点では仮想線)を指す場合と、そのような軸に沿う移動を実現する駆動機構を指す場合とがある。また、加工機に関する軸の語は、直線移動(平行移動)に係る軸(「直線軸」と称することがある。)だけでなく、回転移動に係る軸(「回転軸」と称することがある。)を指すことがある。ここでの回転は、360°の角度範囲で回転可能であることを要しない(すなわち傾斜を含む。)。
(実施形態の概要)
図1は、実施形態に係るリフレクタ111の反射面113の一部領域を示す平面図である。反射面113は、複数の凹部115(別の観点では複数の凹部115の間に位置する複数の凸部117)を有している。図示の例では、リフレクタ111は、いわゆるコーナーキューブ型のRRとして構成されている。
図1は、別の観点では、リフレクタ111の表面(外側の面)をリフレクタ111の外部から見た図である。リフレクタ111は、透光性の材料(例えば樹脂又はガラス)によって構成され、紙面奥手側からリフレクタ111を透過した光を反射面113によって紙面奥手側へ反射するものであってよい。及び/又は、リフレクタ111は、紙面手前側(リフレクタ111の外部)からの光を反射面113によって紙面手前側へ反射するものであってもよい。
なお、紙面奥手側からリフレクタ111を透過して反射面113に到達する光にとっては、凸部117が凹部であると捉えることができる。ただし、実施形態の説明では、特に断りがない限り、また、矛盾等が生じない限り、リフレクタ111に係る凸部及び凹部の語は、リフレクタ111の外部から見た形状を指すものとする。
図2は、リフレクタ111の製造方法の一例を示す断面図である。この例では、リフレクタ111は、成形材料(例えば樹脂)が金型120と金型121との間の空間に充填されることによって形成されている。金型121は、反射面113を形成する内面123を有している。当該内面123は、凸部117に対応する凹部125(別の観点では凹部115に対応する凸部127)を有している。
図3は、金型121の製造方法の一例を示す斜視図である。この図には、機械座標系(絶対座標系と捉えられてよい。)である直交座標系XYZが付されている。+Z側は、例えば、鉛直上方である。
この例では、加工機1(例えば工作機械)によって金型121の内面123を切削することによって、内面123の複数の凹部125(図3では不図示)が形成される。図示の例では、加工機1は、回転工具(回転工具ではないが工具101を参照)を軸回りに回転させる切削(すなわち転削)を行うことが可能な工作機械によって構成されている。図3では、凹部125の形成に利用される工具101が加工機1に取り付けられている。
図7は、工具101(より詳細には工具101が先端に有するチップ103)によって凹部125を形成する切削方法の一例を示す斜視図である。この図は、具体的には、1つの凹部125が有する3つの平面(129A~129C)のうち第1平面129Aを形成している状況を示している。この図では、所定時点のチップ103が実線で示されているとともに、その後の移動中の他の時点のチップ103が2点鎖線で示されている。矢印a1は、チップ103の移動に係る軌跡を示している。
この図から理解されるように、工具101は、回転を伴わずに平行移動しつつ、金型121を切削して第1平面129Aを形成する。この際、工具101は、振動(意図的なもの)も付与されていない。すなわち、工具101は、平行移動のみで金型121を切削している。換言すれば、金型121をはつる動作(換言すればシェーパ加工)が行われる。第2平面129B及び第3平面129Cも同様にシェーパ加工によって形成される。工具101は、このような切削に適した形状を有している。
上記のようにシェーパ加工によって複数の凹部125が形成されることによって、複数の凹部125の形成に係る簡便性及び/又は精度が向上する。具体的には、以下のとおりである。
例えば、回転工具(例えばエンドミル)の回転によって(すなわち通常の転削によって)凹部125を形成する態様(例えば特許文献1参照)では、平面(129A~129C)が互いに交差する角隅部(換言すれば凹状の角部又は谷線)に丸みを付与したくない場合であっても、角隅部は、回転工具の半径と同等の大きさの丸みを帯びる。換言すれば、回転工具の半径によって角隅部の加工精度が制限される。しかし、本実施形態では、工具101は回転されないことから、そのような加工精度の制限は生じない。すなわち、加工精度が向上する。
また、例えば、工具に振動を付与することによって凹部125を形成する態様(例えば特許文献2参照)では、工具に振動を付与するための振動機構が必要である。しかし、本実施形態では、振動機構は不要である。すなわち、加工の簡便性が向上する。なお、念のために記載すると、本開示において、工具を振動させずに工具を移動させるというときの振動は、意図的なものを指し、不可避に生じる誤差的なものは含まない。
また、例えば、工具の平行移動と同期して工具を回転させて凹部125を形成する態様(例えば特許文献3参照)では、平行移動と回転との双方が切れ刃の位置及び向きに及ぼす影響を考慮して、平行移動及び回転を制御するから、制御が複雑化する。しかし、実施形態では、そのような制御は不要である。すなわち、加工の簡便性が向上する。
念のために記載すると、シェーパ加工による切削の前又は後において、通常の転削、振動を利用した切削及び/又は平行移動と回転とを同期させる切削が行われても構わない。例えば、凹部125の概略形状を通常の転削によって行い、仕上げに実施形態に係るシェーパ加工が行われてもよい。別の観点では、凹部125は、シェーパ加工のみによって形成されてもよいし、シェーパ加工と他の態様の加工(他の態様の切削だけでなく、研削及び研磨等を含む)との組み合わせによって形成されてもよい。
上記の説明では、リフレクタを成形するための金型121の凹部125が切削によって形成される態様を例に取った。上記の説明とは異なり、リフレクタ111の凹部115が切削によって直接に形成されても構わない。ただし、実施形態の説明では、便宜上、金型121が用いられる態様を例に取る。特に断りが無い限り、また、矛盾等が生じない限り、凹部125の切削に係る説明は、凹部115の切削に援用されてよい。
以上が実施形態の概要である。以下では、概略、下記のように実施形態に係る説明を行う。
1.リフレクタ(図1及び図2)
2.金型(図2)
3.加工機(図3)
4.工具(図4~図6)
4.1.工具全般(図4)
4.2.チップ(図5及び図6)
4.3.ボディの先端部(図5)
4.4.工具の他の例
5.切削方法(図7及び図8)
6.加工例
6.1.第1加工例(図9)
6.2.第2加工例(図10)
6.3.第3加工例(図11)
6.4.第4加工例、並びに凹部の向き大きさに関する補足(図12及び図13)
6.5.第5加工例(図14)
7.実施形態のまとめ
(1.リフレクタ)
リフレクタ111(図1及び図2)は、種々の用途に用いられる種々のリフレクタであってよく、その具体的な形状、寸法及び材料は任意である。図1及び図2は、比較的単純な形状のリフレクタ111を模式的に示しているに過ぎない。
例えば、リフレクタ111は、自動車に設けられるものであってもよいし、道路標識に設けられるものであってもよいし、広告媒体に設けられるものであってもよい。リフレクタ111の形状、寸法及び材料は、上記のような用途に応じたものとされてよい。例えば、リフレクタ111は、板状の部材であってもよいし、塊状の部材であってもよい。凸部117の稜線(凹部115の谷線)の長さは、例えば、0.01mm以上10mm以下である。
図1に例示されているリフレクタ111は、既述のとおり、コーナーキューブ型のRRである。図1の紙面奥手側からリフレクタ111を透過した光を反射面113によって反射する態様を例に取ると、凸部117の外面は、互いに直交する3つの平面によって三角錐状に構成されている。そして、3つの平面は、光を入射方向に反射すること(再帰反射)に寄与する。
上記では、リフレクタ111が紙面奥手側からの光を反射するものである態様を例に取ったが、リフレクタ111が紙面手前側からの光を反射するものである態様についても同様である。すなわち、凹部115の内面は、互いに直交する3つの平面によって三角錐状に構成されている。そして、3つの平面は、再帰反射に寄与する。
リフレクタ111は、図1の例とは異なり、再帰反射を生じるものでなくてもよい。別の観点では、凸部117の外面及び/又は凹部115の内面は、互いに直交する3つの平面によって構成されるものに限定されない。例えば、3つの平面が互いに直交していなかったり、1つの凸部117(又は凹部115)が4つ以上の平面を有していたり、曲面が設けられていたりしてもよい。このような複数の凸部117及び/又は複数の凹部115は、例えば、光の分散及び/又は均一化に寄与したり、集光に寄与したりしてよい。
リフレクタ111は、既述のとおり、透過性を有していてもよいし、透過性を有していなくてもよい。前者の態様の材料の例としては、樹脂及びガラスが挙げられる。後者の態様の材料の例としては金属が挙げられる。いずれにせよ、リフレクタ111は、金型によって形成されてもよいし、凹部115が切削されて形成されてもよい。
金型121によって形成されたリフレクタ111の凸部117(別の観点では凹部115)の表面は、そのまま反射面113を構成してもよいし、反射性を向上させるための反射膜(例えば金属膜)が重ねられてもよい。換言すれば、リフレクタ111の反射面113に凹凸を形成するために切削によって金型121に形成される複数の凹部125は、直接的に反射面113を形成してもよいし、形成しなくてもよい。
同様に、金型121が用いられず、リフレクタ111が直接に切削される態様において、切削された凸部117(別の観点では凹部115)の表面は、そのまま反射面113を構成してもよいし、反射性を向上させるための反射膜(例えば金属膜)が重ねられてもよい。換言すれば、反射面113を構成する複数の凹部115を切削によって形成するステップは、反射面113を最終的に形成するステップでなくてもよい。
なお、リフレクタ111の語は、反射面113を有する部材全体を指してもよいし、反射面113を有する部材のうち反射面113を含む一部を指してもよい。実施形態の説明では、便宜上、特に断りがない限り、また、矛盾等が生じない限り、前者とする。また、反射面113の語は、複数の凸部117(又は複数の凹部115)を有する反射面のうち全体を指してもよいし、一部の領域を指してもよい。実施形態の説明では、便宜上、特に断りがない限り、また、矛盾等が生じない限り、前者とする。複数の凸部117の語は、反射面113が有する全ての凸部117を指してもよいし、一部の凸部117を指してもよい。実施形態の説明では、便宜上、特に断りがない限り、また、矛盾等が生じない限り、前者とする。複数の凹部115についても同様である。反射面113、複数の凸部117及び複数の凹部115の語について述べたが、これらに対応する金型121の内面123、複数の凹部125及び複数の凸部127の語についても同様とする。
(2.金型)
金型120及び121(図2)は、金属によって構成されている。金属の具体的な種類は任意である。なお、実施形態とは異なり、金型以外の型(金属以外の材料からなる型)が用いられても構わない。金型の具体的な態様は任意である。例えば、金型は、基本的に全体が一体的に形成されている直彫り式のものであってもよいし、成形に直接に寄与する入れ子と、入れ子が嵌め込まれる母型とを有する入れ子式のものであってもよい。また、金型の組み合わせは、互いに対向する2つの金型からなるものであってもよいし(図示の例)、3つ以上の金型からなるものであってもよい。換言すれば、金型の分割数は任意である。また、金型は、中子と組み合わされるものであってもよい。
(3.加工機)
加工機1(図3)は、機械的な動作を行う機械部3と、機械部3を制御する制御装置5とを有している。機械部3の構造は、公知の構造を含む種々のものとされてよい。制御装置5のハードウェアは、公知のハードウェアを含む種々のものとされてよい。制御装置5の動作(制御)は、既述のシェーパ加工に係る制御を除いて、公知の動作を含む種々のものとされてよい。
機械部3の構成は、既述のシェーパ加工が可能である限り、任意である。例えば、機械部3の構成は、一般に工作機械の機械部に利用されている構成であってもよいし(図示の例)、一般に産業用ロボットの機械部に利用されている構成であってもよいし、そのような区分ができないものであってもよい。図示の例の機械部3は、転削が可能な構成であるが、転削が不可能な構成であっても構わない。換言すれば、機械部3は、工具を軸回りに回転させることが可能な主軸7(後述)を有していない構成であっても構わない。
機械部3は、例えば、互いに直交する3軸(X軸、Y軸及びZ軸)の方向に工具101と金型121とを相対的に平行移動させることが可能な構成とされてよい。さらに、機械部3は、上記の直線3軸に加えて、1軸以上の直線軸及び/又は1軸以上の回転軸を有していてよい(有していなくてもよい。)。回転軸は、A軸(X軸回りの軸)、B軸(Y軸回りの軸)及びC軸(Z軸回りの軸)のいずれであってもよい。例えば、加工機1は、直線3軸と回転2軸とを有する5軸加工機とされてよい(図示の例)。なお、ここでいう回転2軸は、工具101を保持する主軸7の軸回りの回転を除く。
上記のような3軸以上の軸を有する加工機1を実現する具体的な構成は任意である。例えば、各軸(直線軸又は回転軸)に係る相対移動は、工具101の絶対座標系における移動及び金型121の絶対座標系のいずれによって実現されてもよい。
図3に示されている機械部3は、直線3軸及び回転2軸を実現する構成の一例に過ぎない。ただし、以下では、参考までに、図示されている機械部3の構成を簡単に説明する。
機械部3は、X軸、Y軸、Z軸、A軸及びC軸において工具101と金型121とを相対移動させることが可能である。工具101は、主軸7に保持されており、金型121はテーブル9に保持されている。従って、別の観点では、機械部3は、上記の直線3軸及び回転2軸において、主軸7とテーブル9とを相対移動させることが可能である。
Y軸、Z軸及びA軸に係る相対移動は、これらの軸に係る工具101の絶対座標系における移動によって実現されている。当該移動(絶対座標系)を実現するため、機械部3は、例えば、以下の構成要素を有している。固定的な構成要素(符号省略)によってY軸方向に移動可能に支持されているY軸可動部11。Y軸可動部11によってZ軸方向に移動可能に支持されているZ軸可動部13。Z軸可動部13によってA軸方向に移動可能(X軸回りに回転可能)に支持されている主軸頭15。主軸頭15は、主軸7の軸心がX軸に直交するように主軸7を保持している。
X軸及びC軸に係る相対移動は、これらの軸に係る金型121の絶対座標系における移動によって実現されている。当該移動(絶対座標系)を実現するため、機械部3は、例えば、以下の構成要素を有している。固定的な構成要素(符号省略)によってX軸方向に移動可能に支持されているX軸可動部17。X軸可動部17によってC軸方向に移動可能(Z軸回りに回転可能)に支持されているテーブル9。テーブル9は、例えば、金型121の内面123が+Z軸方向に面するように金型121を保持する。ただし、テーブル9は、上記とは異なる向きで金型121を保持しても構わない。
5軸加工機の図示した構成以外の代表的な構成を例示する。主軸7がX軸、Y軸及びZ軸に移動し、テーブル9がA軸及びC軸に移動するもの。主軸7がY軸、Z軸、A軸及びB軸に移動し、テーブル9がX軸に移動するもの。主軸7がY軸、Z軸及びB軸に移動し、テーブル9がX軸及びC軸に移動するもの。
各軸(主軸7を含む。)の駆動源は、電動機、油圧機器又は空圧機器とされてよい。また、電動機は、回転式電動機又はリニアモータとされてよい。なお、直線軸の駆動源がリニアモータである場合においては、加工精度を向上させやすい。主軸7の駆動源は、例えば、比較的高速(例えば20000rpm以上)で回転可能な電動機とされてよい。これにより、例えば、通常の回転工具(工具101とは異なる工具)によって凹部125の粗加工を行ったり、金型121の凹部125以外の部分の形状を形成したりすることが容易化される。
各軸(主軸7を含む。)のリニアガイド又は軸受けは、可動部と固定部とが摺動するすべり案内であってもよいし、可動部と固定部との間で転動体が転がる転がり案内であってもよいし、可動部と固定部との間に空気又は油を介在させる静圧案内であってもよいし、これらの2以上の組み合わせであってもよい。なお、主軸7の軸受を空気静圧軸受とした場合においては、ミリング加工によって鏡面加工を行うことが容易化される。
特に図示しないが、機械部3は、使用する工具を取り換える自動工具交換装置(ATC:automatic tool changer)を有していてもよい。これにより、例えば、工具101とは異なる工具による切削(既述)を自動で行うことができる。
機械部3(加工機1)の加工精度(別の観点では位置決め精度)は適宜に設定されてよい。例えば、機械部3の直線軸は、サブミクロンメータオーダーの精度(1μm未満の誤差)、又はナノメータオーダーの精度(10nm未満の誤差)で位置決めが可能であってよい。また、例えば、回転軸(主軸7を含む)は、0.001°の精度で位置決め可能であってよい。そのような直線軸及び/又は回転軸の精度を有する工作機械は、出願人によって既に実用化されている(例えばUVMシリーズ、ULGシリーズ及びULCシリーズ。)。もちろん、加工機1の加工精度は、上記よりも低くても構わない。
制御装置5は、例えば、NCプログラムに基づく制御を行ってもよいし、ティーチングに基づく制御を行ってもよいし、上記以外の制御を行ってもよい。別の観点では、加工機1は、制御の観点において、工作機械に分類されるものであってもよいし、ロボットに分類されるものであってもよいし、そのような分類ができないものであってもよい。
(4.工具)
(4.1.工具全般)
図4は、工具101の一例を示す側面図である。この図では、便宜上、図3にも付したZ軸が付されている。また、工具101に固定的な直交座標系xyzも付されている。Z軸及びz軸は互いに平行である。z方向は、後述するシャンク105sの中心線CL1に平行に定義されている。y方向は、後述する切れ刃103aに平行に定義されている。便宜上、+z側を上方として、上端等の用語を用いることがある。
工具101の形状は、例えば、概略、z方向(主軸7の軸方向)に延びる軸状である。工具101は、当該工具101の大部分を占めるボディ105と、ボディ105の先端部105aに固定されている既述のチップ103とを有している。チップ103の固定は、例えば、ろう付けによってなされている。
ボディ105は、主軸7に着脱されるシャンク105sを有している。また、ボディ105は、シャンク105sと先端部105aとの間に先端部105aの側ほど径が小さくなるネック(符号省略)を有していてもよい。ボディ105の構成は、先端部105aの形状を除いて、公知の構成と同様とされてよく、詳細な説明を省略する。先端部105aの形状については、チップ103の説明の後に説明する。
(4.2.チップ)
図5は、工具101の先端側の部分を拡大して示す斜視図である。この図では、便宜上、図4にも付したZ軸及び直交座標系xyzが付されている。
チップ103は、先端側(-z側)に臨む切れ刃103a(換言すれば底刃)を有している。切れ刃103aを稜線として互いに交差する面は、すくい面103b及び逃げ面103cである。
例えば、図7の第1平面129Aを形成する場合において、切れ刃103aは、概略+x方向(図5の紙面右側かつ紙面手前側)へ移動することによって-z側に第1平面129Aを形成する。このとき、チップ103の-y側(図5の紙面左側かつ紙面手前側)には第3平面129Cが位置する。換言すれば、切れ刃103aの両端のうちの第1端103e(図5)は、第3平面129Cの側に位置する。第1端103eは、第1平面129Aと第3平面129Cとの第1角隅部131A(図7)を形成する切削に寄与してよい。
なお、図7から理解されるように、シェーパ加工が行われるときの切れ刃103aの移動方向は、x方向(切れ刃103aに直交する方向)に対して傾斜していても構わない。ただし、実施形態の説明では、便宜上、特に断りなく、切れ刃103aがx方向へ(x軸と平行に)移動することを前提とした表現を用いることがある。
チップ103の全体の形状は、切れ刃103a、すくい面103b及び逃げ面103cを有している限り、任意である。例えば、チップ103のボディ105への固定が好適になされるように、適宜に平面が形成されてよい。なお、図4~図7に示すチップ103の形状は、図面同士で厳密に一致していない。
図5の例では、チップ103は、切れ刃103a以外の切れ刃を有していない。ただし、第1端103eからシャンク105sの側(+z側)に延びる稜線103hのうち、第1端103e付近の部分は、切れ刃のように機能してもよい。また、図示の例とは異なり、チップ103は、2以上の切れ刃を有していても構わない。
切れ刃103aは、例えば、シャンク105sの中心線CL1(図4)に対して直交している直線状である。ただし、切れ刃103aは、中心線CL1に対して±30°、±10°又は±5°の範囲で傾斜していても構わない。また、切れ刃103aは、切削される平面に直交する方向に見て曲線状であってもよい。実施形態の説明とは異なり、切れ刃103aによって曲面を形成するのであれば、切れ刃103aは、その進行方向に見て曲線状であっても構わない。切れ刃103aの長さ(別の観点ではチップ103のy方向の長さ)は任意である。一例を挙げると、切れ刃103aの長さは、0.005mm以上30mm以下である。
すくい面103b及び逃げ面103cは、例えば、平面状である。ただし、曲面状であったり、複数の平面の組み合わせであったり、溝を有していたりしても構わない。すくい角、逃げ角及び刃物角の大きさは任意である。すくい角は、負の値であってもよいし(図5の例)、正の値であってもよいし、0°であっても構わない。念のために記載すると、すくい角が負の値の態様においては、すくい面103bは、シャンク105sの側(+z側)ほど切れ刃103aの進行方向(+x側)に位置するように傾斜する。各種の角度は、切削性を考慮して設定されてもよいし、チップ103の材料(例えばダイヤモンド)の異方性を考慮して設定されてもよい。
図6は、チップ103をx方向に見た図である。x方向は、既述のとおり、シェーパ加工のときにチップ103が移動する方向と概略同じである。
第1端103eは、例えば、シャンク105sの中心線CL1上に位置している。これにより、例えば、工具101(主軸7)の回転位置に誤差が生じても、当該誤差が第1端103eの位置の誤差に及ぼす影響は低減される(理論上は影響しない。)。ひいては、第1端103eによって形成される角隅部(131A等)の位置の精度が向上する。なお、第1端103eが中心線CL1上に位置するといっても、工具101の製造上不可避な誤差等が存在してもよいことは当然である。
ここで、第1端103eの中心線CL1からの第1距離が、切れ刃103aの他端(第2端103f)の中心線CL1からの第2距離と同じである態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)を考える。この態様に比較すれば、第1距離が第2距離よりも多少なりとも短ければ、上記の効果は多少なりとも奏される。従って、別の観点では、第1距離は、第2距離よりも適宜な差で短くされてよい。例えば、第1距離は、第2距離の1/2以下、1/5以下又は1/10以下とされてよい。
第1端103eからシャンク105sの側(+z側)に延びる稜線103hは、シャンク105sの側ほど中心線CL1から離れるように中心線CL1に対して傾斜している。別の観点では、稜線103hは、シャンク105sの側ほど第2端103fの側に位置するように傾斜している。さらに別の観点では、チップ103の移動方向(例えばx方向)に見て、チップ103は、第1端103eよりも第2端103fとは反対側(-y側)に位置する部分を有していない。
これにより、例えば、切れ刃103aによって第1平面129Aを形成しつつ、第1端103eによって第1角隅部131Aを形成するときに、稜線103h(別の観点ではチップ103の切れ刃103a以外の部分)が第3平面129Cに干渉する蓋然性が低減される。なお、稜線103hの語は、第1端103eからシャンク105sの側へ延びる尾根のうちの第1端103eの側の一部のみを指してよい。ただし、実施形態の説明では、便宜上、稜線103hの語は、上記尾根の全体を指すものとする。
稜線103hの傾斜角は任意である。また、稜線103hは、直線状であってもよいし(図示の例)、曲線状であってもよい。図示の例とは異なり、稜線103hの上端(+z側の端部)は、チップ103の上端にまで到達していなくてもよい(チップ103は、稜線103hの上方側に-y側に面する平面又は曲面を有していてもよい。)。
チップ103の材料は任意である。例えば、チップ103の材料は、ダイヤモンド(単結晶又は多結晶)、CBN(Cubic Boron Nitrides)、セラミックス(例えばアルミナ系又は窒化ケイ素系)、サーメット又は超硬合金とされてよい。
(4.3.ボディの先端部)
図4及び図5に例示するボディ105の先端部105aは、チップ103の移動方向(例えばx方向)に見たときに、チップ103の第1端103e(別の観点では中心線CL1)よりも第2端103fの側(+y側)に位置している。これにより、例えば、図7に示すように、切れ刃103aによって第1平面129Aを形成しつつ、第1端103eによって第1角隅部131Aを形成するときに、先端部105aが第3平面129Cに干渉する蓋然性が低減される。
先端部105aの具体的な形状は任意である。図5では、先端部105aの形状は、概略、中心角90°の扇状の底面を有する直柱状とされている。ただし、扇状の中心角は、90°でなくてもよい。直柱状の底面の形状は、扇状でなくてもよく、例えば、矩形状又は他の多角形であってもよい。さらに、先端部105aは、直柱状で無く、-z側ほど断面積が小さくなる、又は大きくなる錘台状であってもよい。
既述のように、切れ刃103aの移動方向は、切れ刃103a(y軸)に直交する方向(x方向)とは限らず、x方向に傾斜する方向であってもよい。先端部105aの形状は、切れ刃103aの具体的な移動方向を考慮したものであってもよい。例えば、図7に例示しているように、第1端103eの側が進行方向に対して先に位置するように切れ刃103aが傾斜して利用される場合においては、先端部105aが第3平面129Cに干渉しないように、中心角が90°よりも小さくされてよい。
(4.4.工具の他の例)
図示の例の工具101の形状は一例に過ぎない。図示の例以外の種々の工具によってシェーパ加工は可能である。以下に例を挙げる。
既に触れたように、切れ刃103aは、中心線CL1を跨いでいても構わないし、曲線状であっても構わない。切れ刃103aは、底刃ではなく、中心線CL1に沿う(中心線CL1に平行な、又は中心線CL1に傾斜する)外周刃であってもよい。
チップ103は、2以上又は3以上の切れ刃を有していてもよい。例えば、チップ103は、1つの底刃と1つの外周刃とを有していてよい。この場合、シェーパ加工によって互いに交差する2つの平面(例えば第1平面129A及び第3平面129C)を同時に形成してもよい。底刃と外周刃とは互いに直交していてよい。この場合、コーナーキューブ型のRRの2つの平面を同時に形成できる。もちろん、底刃と外周刃とは互いに直交していなくてもよい。
チップ103は、ボディ105にろう付けされるものでなく、ねじ等によってボディ105に着脱されるものであってもよい。また、工具101は、チップ103を有するものでなく、切れ刃103aとシャンク105sとが一体的に形成されているものであってもよい。このような態様も考慮したとき、実施形態の説明におけるチップ103の語は、例えば、刃部又は刃先の語に置換されてよい。
(5.切削方法)
実施形態の概要等で述べたように、例えば、凹部125の全ての平面(129A~129C)は、切れ刃103aによるシェーパ加工によって形成されてよい。また、これらの平面の間の全ての角隅部(131A~131C)は、切れ刃103aの第1端103eによって形成されてよい。工具101以外の工具によって、及び/又はシェーパ加工以外の加工(例えば転削)によって、粗加工及び/又は仕上げ加工が行われてもよい(行われなくてもよい。)。
粗加工及び/又は仕上げ加工が行われてもよいことから理解されるように、例えば、シェーパ加工によって凹部125を形成するというとき、凹部125を形成する工程の全部がシェーパ加工によって行われなくてもよい(もちろん、行われてもよい。)。
また、例えば、シェーパ加工によって凹部125が有する全ての平面(129A~129C)を形成するというとき、各平面は、その全部の領域がシェーパ加工によって形成されてもよいし、一部の領域のみがシェーパ加工によって形成されてもよい。後者の例を挙げると、例えば、工具101以外の工具による転削によって凹部125を概略形成した後、角隅部(131A~131C)及びその周辺の領域のみをシェーパ加工によって形成してもよい。
なお、実施形態の説明では、便宜上、工具101によるシェーパ加工以外の加工については無視した表現を用いることがある。また、実施形態の説明では、便宜上、特に断りなく、各平面の全体がシェーパ加工によって形成されることを前提とした表現をすることがある。
図7の例では、切れ刃103aの長さは、切れ刃103aの進行方向に見たときの第1平面129Aの幅(第2角隅部131Bの長さ)よりも短い。このような切れ刃103aは、シェーパ加工を繰り返すことによって、第1平面129Aの全部の領域の形成に寄与してもよいし、少なくとも1回のシェーパ加工によっての一部の領域(例えば上記のように第1角隅部131Aの周辺の領域)の形成のみに寄与してもよい。他の平面(129B及び129C)についても同様である。
図示の例とは異なり、切れ刃103aの長さは、第2角隅部131Bの長さよりも長くてもよい。この態様においては、1回のシェーパ加工によって第1平面129Aの全部の領域を切削できる。ただし、この態様においても、シェーパ加工が繰り返されても構わない。換言すれば、凹部125は徐々に大きくされてよい。他の平面についても同様である。
複数の凹部125を形成するとき、複数の第1平面129Aを形成し、次に複数の第2平面129Bを形成し、次に複数の第3平面129Cを形成してよい(以下、「第1手順」という。)。あるいは、複数の凹部125は、1つの凹部125の3つの平面(129A~129C)を形成する動作を繰り返してよい(以下、「第2手順」という。)。すなわち、複数の凹部125は、その全体が徐々に形成されてもよいし(第1手順)、1つ1つ順次形成されてもよい(第2手順)。
なお、金型121の形状にもよるが、通常、第1手順の方が加工時間は短くなりやすい。また、第1の領域について第1手順によって第1の数(2以上)の凹部125を形成した後、上記第1の領域に対して傾斜している第2の領域に対して第1手順によって第2の数(2以上)の凹部125を形成してもよい。
図8は、切削方法の更に詳細な事項についての一例を示す斜視図である。
この図において、矢印a1~a3は、図7の矢印a1と同様に、チップ103の軌跡を示している。チップ103は、例えば、矢印a1、a2及びa3の順に移動する。すなわち、図示の例では、3つの平面は、第1平面129A、第2平面129B及び第3平面129Cの順に形成される。
なお、図8を参照して説明する動作(矢印a1~a3の動作)は、上記の第1手順によって複数の凹部125が徐々に形成されていく過程において1つの凹部125に着目したときの動作であってもよいし、第2手順によって1つ1つの凹部125が順次形成されていく過程における動作であってもよい。
先の説明からも理解されるように、1つの凹部125を形成するにあたり、矢印a1~a3で示されるシェーパ加工は、繰り返されなくてもよいし、繰り返されてもよい。後者の態様においては、矢印a1、a2及びa3を順に行う動作が繰り返されてもよいし(以下、「第3手順」という。)、矢印a1の繰り返しと、矢印a2の繰り返しと、矢印a3の繰り返しとが順次行われてもよいし(以下、「第4手順」という。)、両者が組み合わされてもよい。
なお、念のために記載すると、第3手順又は第4手順に対して、第1手順及び第2手順のいずれが組み合わされてもよい。また、実施形態の説明では、便宜上、特に断りなく、繰り返しがない態様を前提とした表現をすることがある。
第1平面129Aの形成においては、チップ103は、第1平面129A(形成が予定されている仮想平面)に沿って、次に形成される第2平面129B(その形成予定位置)に向かって平行移動する。このとき、切れ刃103aが第1平面129Aを形成するとともに、第1端103eが第1角隅部131A(第3平面129Cと第1平面129Aとの谷線)を形成する。その後、チップ103は、第2平面129B(形成が予定されている仮想平面)に沿って凹部125(形成が予定されている仮想空間)から退避する。なお、チップ103の退避経路は、上記とは異なっていても構わない。
第2平面129B及び第3平面129Cの形成も上記と同様である。念のために、一部について述べる。第2平面129Bの形成においては、チップ103は、第2平面129B(形成が予定されている仮想平面)に沿って、次に形成される第3平面129C(その形成予定位置)に向かって平行移動する。このとき、切れ刃103aが第2平面129Bを形成するとともに、第1端103eが第2角隅部131B(第1平面129Aと第2平面129Bとの谷線)を形成する。第3平面129Cの形成においては、チップ103は、第3平面129C(形成が予定されている仮想平面)に沿って、第1平面129Aに向かって平行移動する。このとき、切れ刃103aが第3平面129Cを形成するとともに、第1端103eが第3角隅部131C(第2平面129Bと第3平面129Cとの谷線)を形成する。
もっとも、3つの平面を順次形成するときの手順(別の観点では移動方向)は、上記とは異なっていても構わない。例えば、第1平面129Aを形成するとき、チップ103は、次の次に形成される第3平面129Cに向かって移動しても構わない。
(6.加工例)
工具101によって金型121を製造する場合においては、その切削方向及び切削量を制御することによって、凹部125の種々の形状及び寸法を実現することができる。以下に複数の例に示す。以下の説明では、便宜上、複数の例を区別するために、金型121及びその各部の符号に大文字のアルファベットを付すことがある。以下に述べる複数の例は、矛盾等が生じない限り、互いに組み合わされてよい。例えば、2以上の例が1つの金型121に適用されてよい。
(6.1.第1加工例)
図9は、第1加工例に係る金型121Aを示す断面図である。金型121Aでは、複数の凹部125(125A及び125B)は、互いに向きが異なる凹部125A及び125Bを含んでいる。なお、図示の例では、複数の凹部125は、互いに同一の形状及び寸法を有している。
より詳細には、複数の凹部125Aは、平面状の第1領域に2次元的に配列されており、互いに同一の向き(より詳細には第1領域の法線方向に面する向き)である。また、複数の凹部125Bは、平面状の第2領域に2次元的に配列されており、互いに同一の向き(より詳細には第2領域の法線方向に面する向き)である。そして、複数の凹部125Aの向きと、複数の凹部125Bの向きとは互いに異なっている。別の観点では、平面状の第1領域と平面状の第2領域とは互いに異なる方向に面している。
第1領域と第2領域とが成す角度は任意である。第1領域と第2領域との間には、凹部125Aの向きと凹部125Bの向きとの間の向きの1以上の凹部125が介在していてもよい。2つ以上の平面状の領域が設けられていてもよい。なお、第1領域及び第2領域が平面状であることは、例えば、複数の凹部125A及び125Bの開口面(凹部125の開口を塞ぐような仮想平面)を考えたときに、複数の開口面が同一平面内に概ね位置するか否かによって判断されてよい。
(6.2.第2加工例)
図10は、第2加工例に係る金型121Bを示す断面図である。金型121Bでは、金型121Aと同様に、複数の凹部125は、互いに向きが異なる2以上の凹部125を含んでいる。ただし、その具体的な態様が金型121Aとは異なる。
より詳細には、複数の凹部125は、隣り合うもの同士で向きが異なっている。別の観点では、凹部125は、2次元的な配列の少なくとも1つの配列方向において、徐々に角度が変化している。さらに別の観点では、複数の凹部125は、曲面状の領域に各位置の法線方向に面するように配置されている。なお、複数の凹部125が曲面に沿って並んでいるか否かは、例えば、複数の凹部125の開口面を考えたときに、複数の開口面が連なって概ね曲面状(厳密には多角形状)を呈するか否かによって判断されてよい。
向きの変化の程度及びパターン(別の観点では曲面の曲率及び曲面の形状)は任意である。例えば、曲率は一定であってもよいし(図示の例)、変化していてもよい。第1加工例に係る金型121Aにおける互いに向きが異なる平面状の2つの領域の間には、第2加工例に係る曲面が位置していてもよい。
(6.3.第3加工例)
図11は、第3加工例に係る金型121Cを示す断面図である。金型121Cでは、複数の凹部125は、互いに大きさが異なる2以上の凹部125C及び125Dを含んでいる。なお、図示の例では、複数の凹部125の形状は互いに同じである。
より詳細には、図示の例では、大きさが互いに異なる2種の凹部125C及び125Dが同一平面に2次元的に配列されている。2種の凹部125C及び125Dは、互いに異なる領域に位置している。
図示の例とは異なり、大きさの種類は、3種以上であってもよい。互いに異なる大きさの凹部125は、互いに異なる領域に纏まって存在するのではなく、混在していてもよい。複数の凹部125は、配列方向において、1つずつ又は所定数ずつで、大きさが徐々に変化していてもよい。
大きさが互いに異なる凹部125は、第1加工例及び/又は第2加工例と組み合わされてもよい。例えば、大きさが互いに異なる凹部125は、向きが互いに異なっていてもよい。より詳細には、例えば、図9において、凹部125Aは、凹部125Bに対して、大きく又は小さくされてよい。及び/又は、凹部125Aと凹部125Bとの間にて第2加工例のように曲面に位置する複数の凹部125は、凹部125A及び/又は凹部125Bに対して、大きく又は小さくされてよい。
(6.4.第4加工例、並びに凹部の向き大きさに関する補足)
図12は、第4加工例に係る金型121Dを示す平面図である。図13は、金型121Dを示す断面図である。なお、両図は模式的なものであるので、図12と図13とで凹部125の形状は一致していない。
金型121Dでは、複数の凹部125は、互いに形状、大きさ及び/又は向きが異なる2以上の凹部125Eを含んでいる。より詳細には、複数の凹部125Eは、形状、大きさ及び向きがランダムである。なお、この場合のランダムは、疑似乱数列と同様に、厳密なものである必要はない。例えば、一般人又は当業者が金型121Dを見て規則性を見出すことができなければよい。このような複数の凹部125Eによって形成されたリフレクタ111は、例えば、光源からの光を反射するときに、光の横断面における放射量及び/又は測光量の分布を均一化することができる。
第1加工例(図9)及び第2加工例(図10)では、互いに異なる向きの凹部125は、互いに同じ形状を有していることから(大きさは異なっていてもよい。)、向きの異同の判断が容易である。第4加工例のように、複数の凹部125の形状が互いに異なる場合においては、複数の凹部125の向きの異同は、例えば、光軸LA(図13)の向きを基準に判断してよい。
光軸LAの向きは、例えば、本開示において以下のように定義されてよい。平行光が1つの凹部125に入射して反射される状況を考える。平行光の入射方向としては、反射光の放射量(例えば凹部125の開口面に平行な十分に広い平面における放射束)が最も大きくなる方向が選択されてよい。そして、反射光の放射量(例えば放射強度)が最も大きくなる方位を光軸LAの方向とする。放射強度が最も大きくなる強度が、一定程度の大きさの立体角に亘る場合においては、その中心線の向きが光軸LAの向きとされてよい。なお、コーナーキューブ型のRRの凹部125の光軸LAは、3つの平面(129A~129C)からの距離が等しい直線である。
凹部125は、金型121に形成されているものであるから、リフレクタ111の凸部117(又は凹部115)とは異なり、光の反射が意図されているものではない。しかし、便宜上、光軸LAを用いて向きの異同を判断する。また、ここでの異同の判断は、あくまで凹部の形状の向きの異同である。従って、凹部の内面を構成する複数の平面(129A~129C)の反射に係る表面性状は互いに同じであると仮定されてよい。
また、第3加工例(図11)では、互いに異なる大きさの凹部125は、互いに同じ形状を有していることから、大きさの異同の判断が容易である。第4加工例のように、複数の凹部125の形状が互いに異なる場合においては、複数の凹部125の大きさの異同は、例えば、凹部125の内面の面積を基準に判断してよい。凹部125の形状にもよるものの、内面の面積が広いほど、1つの凹部125が反射する光の放射量は大きくなるからである。なお、凹部125の空間の体積又は凹部125の開口面の面積が比較されてもよい。
図12は、三角錐状でない凹部125を例示する図ともなっている。ただし、形状、大きさ及び向きが互いに異なる(さらにはランダムな)凹部125は、図13に示すように、三角錐状であっても構わない。また、図12及び図13では、形状、大きさ及び向きの全てがランダムになっているが、いずれか1つのみ、又は2つのみがランダムになっていても構わない。形状、大きさ及び/又は向きがランダムな複数の凹部125は、平面に沿って設けられるのではなく、曲面に沿って設けられていてもよい。
(6.5.第5加工例)
図14は、第5加工例に係る金型121Eを示す断面図である。金型121Eでは、複数の凹部125は、互いに向きが異なる2以上の凹部125F及び125Gを含んでいる。
より詳細には、複数の凹部125Fは、互いに同じ形状、大きさ及び向きを有しており、また、コーナーキューブ型のRRを構成するものである。その光軸(不図示)は、複数の凹部125が配列されている平面の法線(図の上下方向)に平行である。また、複数の凹部125Fは、図1の例と同様に均等に2次元的に並んでいる。
そして、そのような複数の凹部125Fの一部が、凹部125Fとは向きが異なる凹部125Gに置換されている。凹部125Gは、例えば、コーナーキューブ型のRRを構成する三角錐状をベースとしている。ただし、複数の凹部125Fの配列を乱さないように、三角錐を構成する3つの平面に対して他の平面が付加されている。凹部125Gの三角錐の光軸(不図示)は、複数の凹部125が配列されている平面の法線(別の観点では凹部125Fの光軸)に対して図の上方ほど図の右側に位置するように傾斜している。その傾斜の程度(傾斜角度)は、下記に述べるような作用が得られるように、適宜に設定されてよい。
ここで、便宜上、金型121Eがリフレクタであると仮定して、上記のような凹部125の向きの設定による作用を説明する。また、以下の説明では、理解を容易にするために、厳密性を無視する。
目E1によって示すように、複数の凹部125が配列されている平面を当該平面の法線方向(凹部125Fの光軸の方向)に平行に上方から見る場合を想定する。この場合、視線の方向に上記平面に入射した光は、凹部125F及び125Gの双方によって視線の方向に平行に上方へ反射される。その結果、上記平面の全体に亘って反射光が視認される。
次に、目E2によって示すように、複数の凹部125が配列されている平面を凹部125Gの光軸の方向に平行に上方から見る場合を想定する。この場合、視線の方向に上記平面に入射した光は、凹部125Gによって視線の方向に平行に上方へ反射される。その一方で、視線の方向は、凹部125Fが再帰反射を生じる角度範囲の外側となる方向であり、凹部125Fは、視線の方向に光を反射しない。その結果、上記凹部125Gの位置においてのみ、(相対的に強い)反射光が視認される。
ここで、例えば、複数の凹部125Gを特定のパターン(図形及び/又は文字等)に配列する。このようにすると、複数の凹部125が配置されている平面を正面から見た場合においては視認されないパターンが、上記平面を斜めに見たときに視認されるというギミックが実現される。
上記のギミックは更に発展させることができる。具体的には、例えば、以下のとおりである。上記のギミックでは、目E1及びE2の双方が視認できる凹部125Gと、目E1が視認でき、目E2が視認できない凹部125Fとが設けられた。これに加えて、特に図示しないが、目E1及びE2の双方が視認できない凹部125と、目E1が視認できず、目E2が視認できる凹部125とを設ける。このようにすると、平面を正面から見たときと斜めに見たときとで異なるパターンを視認可能とすることができる。
(7.実施形態のまとめ)
以上のとおり、実施形態に係るリフレクタ成形用金型の製造方法は、光を反射するリフレクタ111を成形する金型121の製造方法であって、リフレクタ111の反射面に凹凸(凹部115及び凸部117)を形成するために切削によって金型121の内面に複数の凹部125を形成する切削ステップ(図7)を有する。切削ステップは、工具101の回転及び振動を伴わない工具101の金型121に対する相対移動によって複数の凹部125のそれぞれを切削するシェーパステップ(図7)を有する。
別の観点では、実施形態に係るリフレクタ111の製造方法は、上記の実施形態に係るリフレクタ成形用金型の製造方法によって製造された金型121によってリフレクタ111を成形する。
従って、実施形態の概要の説明で述べたように、例えば、回転工具を回転させる切削(転削)によって凹部125を形成する態様に比較して、凹部125の角隅部(131A~131C)の精度を向上させることができる。工具を振動させる切削によって凹部125を形成する態様に比較して、加工機1の構成を簡素化できる。工具の平行移動と回転とを同期させる態様に比較して、制御を簡素化できる。別の観点では、NCプログラム又はティーチングプログラムの作成を容易化できる。
工具101は、シャンク105sの中心線CL1に対して交差する方向に延びる切れ刃103aを有していてよい。切れ刃103aの両端を第1端103e及び第2端103fと称するとき、第1端103eの中心線CL1からの距離は、第2端103fの中心線CL1からの距離よりも短くてよい。第1端103eからシャンク105sの側へ延びる稜線103hは、シャンク105sの側ほど第2端103fの側に位置するように傾斜していてよい。
この場合、例えば、既述のように、切れ刃103aによって第1平面129Aを形成しつつ、第1端103eによって第1角隅部131Aを形成するときに、工具101の軸回りの位置決め誤差が第1角隅部131Aの精度に及ぼす影響が低減される。さらに、稜線103hが第3平面129Cに干渉する蓋然性が低減される。その結果、例えば、第1角隅部131A及び/又は第3平面129Cに、意図されていない形状が形成される蓋然性が低減され、これらの部位の精度を向上させることができる。さらに、第1端103eにて切れ刃103aと稜線103hとが成す角度が90°よりも小さくなることから、シェーパ加工のときに第1端103eによって角隅部(131A~131C)を形成する場合において、角隅部の角度を任意の大きさにすることが容易である。
第1端103eは、中心線CL1に位置していてよい。稜線103hは、シャンク105sの側ほど中心線CL1から離れるように傾斜していてよい。
この場合、例えば、上述した効果(工具101の軸回りの誤差が第1角隅部131Aの精度に及ぼす影響の低減)が向上する。
シェーパステップでは、複数の凹部125のそれぞれが有する全ての面(129A~129C)が、工具101が有する直線状の同一の切れ刃103aによって切削されてよい。
この場合、例えば、底刃と外周刃とによって2つの平面(例えば第1平面129Aと第3平面129C)とを同時に形成する態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい)に比較して、2つの平面の切削条件が近くなる。その結果、例えば、金型121の2つの平面の表面性状が同等になりやすく、ひいては、2つの平面に対応するリフレクタ111の2つの平面の表面性状が同等になりやすい。その結果、例えば、光の反射に関する均一性が向上する。
複数の凹部125のそれぞれにおいて、隣り合う面同士の間の全ての角隅部(131A~131C)が、切れ刃103aの第1端103e及び第2端103fのうちの第1端103eによって切削されてよい。
この場合、例えば、全ての角隅部が同一の第1端103eによって切削されるから、全ての角隅部の微視的な丸み(製造上不可避な誤差)が同等になりやすい。その結果、例えば、金型121の角隅部に対応するリフレクタ111の凸部117の稜線の丸みが同等になりやすい。その結果、例えば、光の反射に関する均一性が向上する。
複数の凹部125のそれぞれは、互いに直交する第1平面129A、第2平面129B及び第3平面129Cを有してよい。シェーパステップは、第1ステップ(図8の矢印a1)、第2ステップ(図8の矢印a2)及び第3ステップ(図8の矢印a3)を有してよい。第1ステップでは、切れ刃103aを第2平面129Bの形成予定位置に向かって相対移動させ、切れ刃103aによって第1平面129Aを形成しつつ、第1端103eによって第3平面129Cと第1平面129Aとの間の第1角隅部131Aを形成してよい。第2ステップでは、第1ステップの後に、切れ刃103aを第3平面129Cの形成予定位置に向かって相対移動させて、切れ刃103aによって第2平面129Bを形成しつつ、第1端103eによって第1平面129Aと第2平面129Bとの間の第2角隅部131Bを形成してよい。第3ステップでは、第2ステップの後に、切れ刃103aを第1平面129Aに向かって相対移動させて、切れ刃103aによって第3平面129Cを形成しつつ、第1端103eによって第2平面129Bと第3平面129Cとの間の第3角隅部131Cを形成してよい。
この場合、例えば、平面及び角隅部が同時に形成されるから効率的に加工がなされる。第2平面129Bに向かって切れ刃103aを移動させて第1平面129Aを形成したとき(第1ステップ)、切屑が第2角隅部131Bとなるべき位置に残る可能性が生じる。しかし、その後の第2ステップによって第2角隅部131Bを形成することから、その切屑を除去することができる。
直線3軸と回転2軸との同時制御が可能な加工機1の主軸7に工具101が取り付けられていてよい。
この場合、例えば、回転2軸によって工具101と金型121との向きを変えることによって複数の凹部125の向きを互いに異ならせることができる。従って、例えば、互いに形状及び寸法が同一の複数の凹部125を形成する場合において、各凹部125を形成するときの直線3軸の移動量(複数の凹部125の位置の相違に応じた位置決めを除く)を複数の凹部125同士で同一にすることができる。その結果、例えば、NCプログラム又はティーチングデータの作成が容易化される。また、例えば、複数の凹部125の誤差のばらつきが低減されやすい。
複数の凹部125は、光軸の向きが互いに異なる2以上の凹部125を含んでいてよい(図9、図10、図12~図14)。
複数の凹部125を形成する、実施形態とは異なる方法として、先端が三角錐状の複数のピンを束にして、その束の先端に電鋳によって金型を形成する方法が挙げられる。このような方法に比較して、実施形態に係る複数の凹部125の形成方法は、工具101を用いて複数の凹部125を個別に形成するものであることから、互いに向きが異なる2以上の凹部125を簡便に実現できる。
互いに向きが異なる凹部125を含む金型121は、例えば、図9及び図10から理解されるように、自動車の後部に設けられ、後方からの光を反射可能な凸部117と側方からの光を反射可能な凸部117とを含むRRを一体的に形成することに用いることができる。また、例えば、図12及び図13から理解されるように、互いに向きが異なる凹部125を含む金型121は、光源からの光を均一化するリフレクタ(例えば自動車のランプの光を外部に反射させる部材)に利用できる。また、例えば、図14から理解されるように、互いに向きが異なる凹部125を含む金型121は、レンチキュラーのように、見る方向によって異なるパターンを視認させる技術の実現に利用できる。
複数の凹部125は、内面の面積が互いに異なる2以上の凹部125を含んでいてよい(図11~図14)。
上記の互いに向きが異なる2以上の凹部125と同様に、実施形態に係る複数の凹部125の形成方法は、工具101を用いて複数の凹部125を個別に形成するものであることから、互いに大きさが異なる2以上の凹部125を簡便に実現できる。
互いに大きさが異なる凹部125を含む金型121は、例えば、自動車の後部に設けられ、互いに異なる大きさの凸部117を含むRRを一体的に形成することに用いることができる。複数の凸部117の大きさを互いに異ならせることによって、例えば、自動車の意匠を向上させることができる。また、例えば、向きを互いに異ならせる事項と組み合わせることによって、後方からの光の反射に適した性能と、側方からの光の反射に適した性能とを別個に設定することができる。
複数の凹部125は、形状が互いに異なる2以上の凹部125を含んでいてよい(図12~図14)。
実施形態に係る複数の凹部125の形成方法は、工具101を用いて複数の凹部125を個別に形成するものであることから、形状が互いに異なる2以上の凹部125を簡便に実現できる。このような複数の凹部125によって、例えば、複数の凹部125の反射態様にランダム性を付与することが容易化される(図12及び図13)。また、例えば、複数の凹部125の配列の規則性を維持しつつ、光軸の向きを互いに異ならせることが容易化される(図14)。
複数の凹部125は、曲面に沿って並んでいる2以上の凹部125を含んでいてよい(図10)。
実施形態に係る複数の凹部125の形成方法は、工具101を用いて複数の凹部125を個別に形成するものであることから、曲面に沿って並んでいる2以上の凹部125を簡便に実現できる。曲面に沿って並んでいる凹部125を含む金型121は、例えば、自動車の後部に設けられ、後方から側方に亘って広がるRRを一体的に形成することに用いることができる。この場合、例えば、自動車のRRを任意の曲面にすることができ、ひいては、自動車の意匠を向上させることが容易化される。
複数の凹部125は、光軸の向きがランダムであってよい(図12及び図13)。
実施形態に係る複数の凹部125の形成方法は、工具101を用いて複数の凹部125を個別に形成するものであることから、向きがランダムな複数の凹部125を簡便に実現できる。向きがランダムな複数の凹部125を含む金型121は、例えば、光を均一化する用途のリフレクタの作成に利用できる。
また、別の例では、実施形態に係るリフレクタ111の製造方法は、光を反射するリフレクタ111の製造方法であって、リフレクタ111の反射面113を構成する複数の凹部115を切削によって形成する切削ステップを有する(金型121を切削する図であるが図7を参照。)。切削ステップは、工具101の回転及び振動を伴わない工具101のリフレクタ111に対する相対移動によって複数の凹部115のそれぞれを切削するシェーパステップを有する。
この場合においても、上述した金型121を介してリフレクタ111を形成する場合と同様の効果が奏される。
なお、以上の実施形態において、金型121はリフレクタ成形用金型の一例である。工具101は切削工具の一例である。
本開示に係る技術は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。例えば、金型の凹部の内面が有する複数の面のうち、一部の面のみがシェーパ加工によって形成されても構わない。
本開示からはシェーパ加工、リフレクタ及び複数の凹部等を要件としない発明が抽出されてよい。例えば、シェーパ加工を含まない切削によって、形状及び/又は大きさが互いに異なる2以上の凹部125を形成する金型の製造方法の発明が抽出されてよい。また、例えば、実施形態の工具101を転削に用いる金型の製造方法が抽出されてよい。
111…リフレクタ、113…反射面、115…(リフレクタの)凹部、117…(リフレクタの)凸部、121…金型(リフレクタ成形用金型)、123…(金型の)内面、125…(金型の)凹部。

Claims (15)

  1. 光を反射するリフレクタを成形する金型の製造方法であって、
    前記リフレクタの反射面に凹凸を形成するために切削によって前記金型の内面に複数の凹部を形成する切削ステップを有し、
    前記切削ステップは、工具の回転及び振動を伴わない前記工具の前記金型に対する相対移動によって前記複数の凹部のそれぞれを切削するシェーパステップを有する
    リフレクタ成形用金型の製造方法。
  2. 前記工具は、シャンクの中心線に対して交差する方向に延びる切れ刃を有しており、
    前記切れ刃の両端を第1端及び第2端と称するとき、前記第1端の前記中心線からの距離は、前記第2端の前記中心線からの距離よりも短く、
    前記第1端から前記シャンクの側へ延びる稜線は、前記シャンクの側ほど前記第2端の側へ位置するように傾斜している
    請求項1に記載のリフレクタ成形用金型の製造方法。
  3. 前記第1端は、前記中心線に位置しており、
    前記稜線は、前記シャンクの側ほど前記中心線から離れるように傾斜している
    請求項2に記載のリフレクタ成形用金型の製造方法。
  4. 前記シェーパステップでは、前記複数の凹部のそれぞれが有する全ての面が、前記工具が有する直線状の同一の切れ刃によって切削される
    請求項1に記載のリフレクタ成形用金型の製造方法。
  5. 前記複数の凹部のそれぞれにおいて、隣り合う面同士の間の全ての角隅部が、前記切れ刃が有する第1端及び第2端のうちの前記第1端によって切削される
    請求項4に記載のリフレクタ成形用金型の製造方法。
  6. 前記複数の凹部のそれぞれは、互いに直交する第1平面、第2平面及び第3平面を有し、
    前記シェーパステップは、
    前記切れ刃を前記第2平面の形成予定位置に向かって相対移動させ、前記切れ刃によって前記第1平面を形成しつつ、前記第1端によって前記第3平面と前記第1平面との間の角隅部を形成する第1ステップと、
    前記第1ステップの後に、前記切れ刃を前記第3平面の形成予定位置に向かって相対移動させて、前記切れ刃によって前記第2平面を形成しつつ、前記第1端によって前記第1平面と前記第2平面との間の角隅部を形成する第2ステップと、
    前記第2ステップの後に、前記切れ刃を前記第1平面に向かって相対移動させて、前記切れ刃によって前記第3平面を形成しつつ、前記第1端によって前記第2平面と前記第3平面との間の角隅部を形成する第3ステップと、を有している
    請求項5に記載のリフレクタ成形用金型の製造方法。
  7. 直線3軸と回転2軸との同時制御が可能な加工機の主軸に前記工具が取り付けられている
    請求項4に記載のリフレクタ成形用金型の製造方法。
  8. 前記複数の凹部は、光軸の向きが互いに異なる2以上の凹部を含んでいる
    請求項1に記載のリフレクタ成形用金型の製造方法。
  9. 前記複数の凹部は、内面の面積が互いに異なる2以上の凹部を含んでいる
    請求項1に記載のリフレクタ成形用金型の製造方法。
  10. 前記複数の凹部は、形状が互いに異なる2以上の凹部を含んでいる
    請求項1に記載のリフレクタ成形用金型の製造方法。
  11. 前記複数の凹部は、曲面に沿って並んでいる2以上の凹部を含んでいる
    請求項1に記載のリフレクタ成形用金型の製造方法。
  12. 前記複数の凹部は、光軸の向きがランダムである
    請求項1に記載のリフレクタ成形用金型の製造方法。
  13. 請求項1に記載のリフレクタ成形用金型の製造方法によって製造された前記金型によって前記リフレクタを成形する
    リフレクタの製造方法。
  14. 光を反射するリフレクタの製造方法であって、
    前記リフレクタの反射面を構成する複数の凹部を切削によって形成する切削ステップを有し、
    前記切削ステップは、工具の回転及び振動を伴わない前記工具の前記リフレクタに対する相対移動によって前記複数の凹部のそれぞれを切削するシェーパステップを有する
    リフレクタの製造方法。
  15. シャンクの中心線に対して交差する方向に延びる切れ刃を有しており、
    前記切れ刃の両端を第1端及び第2端と称するとき、前記第1端の前記中心線からの距離は、前記第2端の前記中心線からの距離よりも短く、
    前記第1端から前記シャンクの側へ延びる稜線は、前記シャンクの側ほど前記第2端の側へ位置するように傾斜している
    切削工具。
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