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JP2023038181A - 酢酸亜鉛錠剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】錠剤中の酢酸亜鉛二水和物の結晶水の消失による無水化が抑制され、錠剤の崩壊性・溶出性に優れ、保存後も崩壊や溶出の遅延が生じず、好適な錠剤硬度を有する酢酸亜鉛二水和物を含有する錠剤及びその製造方法を提供する。【解決手段】酢酸亜鉛二水和物を含有する錠剤の製造方法であって、(工程1)酢酸亜鉛二水和物及び滑沢剤を混合し、乾式造粒する工程、及び(工程2)工程1で得られた造粒物及び崩壊剤を混合した後、圧縮成型する工程、を含む方法。【選択図】なし

Description

本発明は、酢酸亜鉛二水和物を含有する錠剤の製造方法及びその錠剤に関する。
酢酸亜鉛二水和物(CZn・2HO)は、銅との競合阻害によって銅の吸収を抑制することによるウィルソン病(肝レンズ核変性症)の治療剤として、また低亜鉛血症のための亜鉛製剤としてカプセル剤及び錠剤の形態で販売されている(非特許文献1)。
酢酸亜鉛二水和物を含有する錠剤に関する技術として、例えば、特許文献1には、湿式造粒で造粒した後、造粒物を40℃未満の低温で乾燥することで、該水和物中の結晶水が消失して無水物に転移することなく、剤径が小さい酢酸亜鉛水和物錠を製造できることが開示されている。しかし、この方法は、温度管理が必要であり、低温乾燥のため乾燥時間が長くなるなど、錠剤の製造において改良すべき点がある。
また特許文献2には、酢酸亜鉛二水和物を含む薬効成分と、結晶セルロースと、0.5質量%以下のステアリン酸マグネシウムとを含有する錠剤であって、薬効成分の含有量が、錠剤質量の少なくとも60%以上を占める薬物高含有量錠剤が開示され、これによれば、薬効成分の含有量が高い場合でも、成形性が難しく、製造中の薬効成分の安定性、崩壊性と溶出性とのバランスが損なわれるという課題が解決できることが記載されている。しかし、酢酸亜鉛二水和物の安定性、錠剤の溶出性や製剤均一性等については、まだ改善の余地がある。
特許文献3には、粒子径(d50)が40~600μmの酢酸亜鉛二水和物と添加剤を含む混合物を、直接打錠して得られる酢酸亜鉛二水和物の錠剤は、含量均一性が確保されていることが開示されている。また特許文献4には、結晶セルロースやトウモロコシデンプンなどの高水分含有添加剤、クロスポビドン及び酢酸亜鉛二水和物を混合し、直接打錠して得られる酢酸亜鉛二水和物の錠剤は、酢酸亜鉛二水和物の転移抑制や変色抑制効果を有することが開示されている。しかし、これらには酢酸亜鉛二水和物の錠剤の硬度や崩壊性、安定性についての開示はない。
国際公開第2016/088816号 特開2021-104941号公報 特開2022-86833号公報 特開2022-86872号公報
「ノベルジン(登録商標)錠25mg,ノベルジン(登録商標)錠50mg,ノベルジン(登録商標)顆粒5%」医薬品インタビューフォーム,2021年6月改訂(改訂第12版)
このような状況に鑑み、錠剤中の酢酸亜鉛二水和物の結晶水の消失による無水化等の不純物の生成が抑制され、錠剤の崩壊性・溶出性に優れ、保存後も崩壊や溶出の遅延が生じず、好適な錠剤硬度を有し、かつ特段の温度管理を必要としない簡便な酢酸亜鉛二水和物を含有する錠剤の製造方法が望まれる。さらに、同時に酢酸亜鉛二水和物に由来する苦みやえぐみのマスキングされた錠剤が望まれる。
本発明者らは、課題解決のため鋭意検討を行った結果、酢酸亜鉛二水和物及び滑沢剤を混合し、乾式造粒する工程、及び得られた造粒物及び崩壊剤を混合した後、圧縮成型する工程を含む製造方法により得られた酢酸亜鉛二水和物を含有する錠剤が、酢酸亜鉛二水和の安定性に優れ、また崩壊性、溶出性に優れるとともに適切な錠剤硬度を有し、かつ当該錠剤が簡便な製造方法により得られることを見出した。さらに、当該錠剤を特定の方法によりコーティングすることにより、味がマスキングされること及びコーティング工程において不純物の生成を抑制できることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
[1]酢酸亜鉛二水和物を含有する錠剤の製造方法であって、
(工程1)酢酸亜鉛二水和物及び滑沢剤を混合し、乾式造粒する工程、及び
(工程2)工程1で得られた造粒物及び崩壊剤を混合した後、圧縮成型する工程を含む方法に関するものである。
[2]また本発明は、前記[1]記載の(工程1)において、さらに結合剤を混合する、前記[1]記載の方法に関するものである。
[3]また本発明は、前記[1]又は[2]記載の(工程1)において、さらに高水分活性賦形剤を混合する、前記[1]又は[2]記載の方法に関するものである。
[4]また本発明は、前記[1]~[3]記載の(工程1)において、さらに崩壊剤を混合し、かつ(工程2)においてさらに滑沢剤を混合する、前記[1]~[3]記載の方法に関するものである。
[5]また本発明は、高水分活性賦形剤が、乳糖、乳糖水和物、マンニトール、トレハロース及びマルトースからなる1種又は2種以上である前記[3]又は[4]記載の方法に関するものである。
[6]また本発明は、さらに給気温度50℃以下で錠剤をフィルムコーティングする工程を含む前記[1]~[5]記載の方法に関するものである。
[7]また本発明は、酢酸亜鉛二水和物及び高水分活性賦形剤を含む錠剤に関するものである。
[8]また本発明は、高水分活性賦形剤が、乳糖、乳糖水和物、マンニトール、トレハロース及びマルトースからなる1種又は2種以上である前記[7]記載の錠剤に関するものである。
[9]また本発明は、酢酸亜鉛二水和物及び高水分活性賦形剤を含む造粒物に関するものである。
[10]また本発明は、さらに結合剤及び滑沢剤を含む前記[9]記載の造粒物に関するものである。
[11]また本発明は、さらに崩壊剤を含む前記[10]記載の造粒物に関するものである。
[12]また本発明は、前記[9]~[11]記載の造粒物が乾式造粒法により得られたものである前記[9]~[11]記載の造粒物に関するものである。
[13]また本発明は、前記[9]~[12]記載の造粒物を含有する錠剤に関するものである。
[14]また本発明は、フイルムコーティング錠である前記[7]、[8]又は[13]記載の錠剤に関するものである。
[15]また本発明は、不純物含量が0.5%以下の酢酸亜鉛二水和物を有効成分とする錠剤に関するものである。
本発明によれば、錠剤中の酢酸亜鉛二水和物の結晶水の消失による無水化等の不純物の生成が抑制され、錠剤の崩壊性・溶出性に優れ、保存後も崩壊や溶出の遅延が生じず、好適な錠剤硬度を有し、特段の温度管理を要さない簡便な酢酸亜鉛二水和物を含有する錠剤の製造方法及び酢酸亜鉛二水和物を含有する錠剤を提供することができる。また、特定の方法により当該錠剤をコーティングすることにより、コーティング工程による不純物の生成が抑制されるとともに酢酸亜鉛二水和物由来の苦み・えぐみがマスキングされ服用感に優れた酢酸亜鉛二水和物を含有する錠剤を提供することができる。
参考例1の酢酸亜鉛二水和物のSEM写真。 参考例1の酢酸亜鉛二水和物のXRDチャート。 実施例1、比較例1の溶出試験。 実施例5、比較例3のXRDチャート。 実施例6、比較例4の比較例3のXRDチャート(2θ:3~9°)。 実施例6、比較例4のXRDチャート(2θ:3~15°)。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いられる酢酸亜鉛二水和物は、医薬品用や食品用など市販のものを購入して使用するか、例えば、酢酸と酸化亜鉛を反応させて得る、または酸化亜鉛と酢酸を水に溶解し、この溶液にアセトンなどの貧溶媒を加え固体を析出させることにより得ることができる。
酢酸亜鉛二水和物の粒子形状及びサイズは特には制限されないが、粒子形状としては粒状や板状、長方板状のものを用いることができる。このうち、打錠性が良いことから長方板状が好ましく、粒子サイズとしては例えば、平均粒子径が2~300μm、好ましくは5~200μm、より好ましくは20~180μmのものを用いることができる。また、その厚さは0.5~40μm、好ましくは1~30μm、より好ましくは1~20μmのものを用いることができる。
また、酢酸亜鉛二水和物の板状粒子のアスペクト比は1.5~20、好ましくは2~15のものを用いることができる。
また、酢酸亜鉛二水和物の比容積は0.5~5cm/g、好ましくは1~3cm/gのものを用いることができる。
なお、平均粒子径とは、メディアン径(D50:積算分布曲線の50%に相当する粒子径)を意味し、体積を基準として算出される。
平均粒子径は公知の方法、測定機器を用いて行うことができ、例えばレーザー光散乱方式粒度分布測定や動的光散乱方式粒度分布測定などの方法により測定することができる。
酢酸亜鉛二水和物の配合量は、錠剤の全質量に対して、40~90質量%、好ましくは55~80質量%、さらに好ましくは60~75質量%である。
工程1において、造粒物は、酢酸亜鉛二水和物と滑沢剤、所望により結合剤、高水分活性賦形剤、崩壊剤及びその他の医薬品添加物を適宜選択して混合し、乾式造粒して得られる。
乾式造粒とは、造粒時に液体成分を用いずに、原料の凝集力を高めて造粒する造粒方法である。乾式造粒の方法としては、医薬品の分野で通常行われている乾式造粒法が採用でき、例えば、スラッグ法、ローラーコンパクター法などである。ローラーコンパクターの条件:ロール圧力、ロール回転数、粉体供給スクリュー回転速度などは装置によって異なる。例えば、フロイント産業社製TFminiやTF-208ではロール圧力は2~15MPa、ロール回転数は2~30rpm、粉体供給スクリュー回転速度は、5~80rpmが好ましく、これらは使用する機器のサイズによって任意に設定することができる。
ローラーコンパクターにより得られたフレークをオシレーター、コーミル、クイックミル、パワーミル等の粉砕機や解砕機で所定の粒度へ粉砕・整粒する。造粒物の粒度は打錠しやすさから、粒度は10~50meshであり、また微粉が少ないほうがよく、例えば200mesh以下が少ないほうが好ましい。
工程2では、工程1で得られた造粒物に崩壊剤、所望により結合剤、滑沢剤及びその他の医薬品添加物を適宜選択して混合した後、圧縮成型することにより錠剤が製造される。
混合は、一般に用いられる混合方法、例えば混合、練合、造粒などにより行うことができる。混合は、例えば高速攪拌混合機、万能練合機、流動層造粒機、V型混合機、タンブラー混合機、二重円錐混合機、リボン型混合機、旋回スクリュー型混合機、袋で手動混合などを用いて行うことができる。
圧縮成型は、医薬品で通常用いられるロータリー打錠機等を用いることができ、打錠時における成形圧は、錠剤の大きさにより異なるが、例えば、φ8.5mmの錠剤では2~20kNであり、好ましくは5~15kNであり、φ6.5mmの錠剤では2~15kN、好ましくは4~12kNである。この時、設定錠剤硬度は20~100N、好ましくは30~100N、より好ましくは40~90Nである。
また、本発明の錠剤は、外部滑沢法により圧縮成型することができる。外部滑沢法を用いる場合、前記乾式造粒物、崩壊剤及び結合剤などを混合した後、圧縮成型することにより、酢酸亜鉛二水和物の素錠を得る。混合方法や圧縮成型などの圧縮成形条件は、前記素錠の製造方法と同じである。
本発明で用いられる滑沢剤としては、特には制限されないが、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム等が挙げられ、好ましくはステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
滑沢剤は工程1の造粒物を製造するために配合されるが、工程2の圧縮成型の際の混合物(後末)中にも配合することができる。工程1の造粒物中への配合量は、錠剤の全質量に対して、0.1~5質量%、好ましくは0.1~3質量%、さらに好ましくは0.1~2質量%である。
また後末中への配合する場合、配合量は、錠剤の全質量に対して、0.01~5質量%、好ましくは0.05~3質量%、さらに好ましくは0.1~2質量%である。
なお、後末中への配合には外部滑沢法によって滑沢剤が素錠表面に局在することを含む。
本発明で用いられる結合剤としては、特には制限されないが、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロースフタル酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、結晶セルロース、粉末セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒプロメロース等のセルロース系結合剤、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン等のデンプン系結合剤、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム等のケイ酸系結合剤、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、デキストリン、ゼラチン、プルラン、ポビドン、カルボキシビニルポリマー等が挙げられ、好ましくはセルロース系結合剤が挙げられ、特に好ましくはヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。
ヒドロキシプロピルセルロースの分子量は20,000~200,000のものを用いることができるが、好ましくは30,000~100,000、より好ましくは40,000のものを用いることができる。
ヒドロキシプロピルセルロースの平均粒子径は10~200μmのものを用いることができるが、好ましくは10~120μm、より好ましくは10~30μmのものを用いることができる。
結合剤の配合量は、錠剤の全質量に対して、1~15質量%、好ましくは1~10質量%、さらに好ましくは1.5~7質量%である。
本発明の高水分活性賦形剤において、水分活性とは、密閉容器内の水蒸気圧とその温度における純水の蒸気圧の比を意味し、高水分活性とは水分活性値が0.96以上、1.0未満のものを意味する。高水分活性賦形剤は、水分含量の増減及び吸湿性が低く、酢酸亜鉛二水和物の脱水を抑制する。
高水分活性賦形剤の具体的な例としては、例えば、乳糖、乳糖水和物、マンニトール、トレハロース、マルトース、エリスリトール、キシリトール等が挙げられ、好ましくは、乳糖水和物、マンニトールが挙げられ、より好ましくは乳糖水和物が挙げられる
高水分活性賦形剤の粒子サイズは、医薬品として販売されているサイズのものであればいずれのサイズも使用可能であり、例えば平均粒子径は好ましくは1~300μmのものを用いることができ、より好ましくは2~200μm、さらに好ましくは5~100μmのものを用いることができる。
高水分活性賦形剤の配合量は、錠剤の全質量に対して、1~30質量%、好ましくは2~20質量%である。
本発明で用いられる崩壊剤としては、特には制限されないが、例えばカルメロースカルシウム、カルメロース、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系崩壊剤、デンプングリコール酸ナトリウム、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム等のデンプン系崩壊剤、クロスポビドン等を用いることができ、好ましくは、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドンが挙げられ、さらに好ましくはクロスポビドンが挙げられる。
崩壊剤は工程2の圧縮成型の際の混合物(後末)中に配合されるが、工程1の造粒物製造の際にも配合することができる。
後末中への配合量は、錠剤の全質量に対して、0.5~20質量%、好ましくは0.5~15質量%、さらに好ましくは1~10質量%である。
造粒物中に配合する場合、造粒物中への配合量は、錠剤の全質量に対して、1~25質量%、好ましくは2~20質量%、さらに好ましくは3~15質量%である。
本発明の錠剤を製造するために用いることができる、上記の滑沢剤、結合剤、崩壊剤、高水分活性賦形剤以外のその他の医薬品添加物としては、例えば、賦形剤、着色剤、甘味剤及び香料等が挙げられ、具体的には以下のとおりである。
賦形剤としては、例えば、白糖、乳糖、ブドウ糖などの糖類、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、ソルビトール及びキシリトール等などの糖アルコール、結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。
着色剤としては、例えば、食用青色1号、食用青色2号、食用黄色4号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用青色1号アルミニウムレーキ、食用青色2号アルミニウムレーキ、食用赤色2号アルミニウムレーキ、三二酸化鉄(赤色)、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、カラメル、タルク等が挙げられる。
甘味剤としては、例えば、砂糖、オリゴ糖、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、及びステビアから選ばれる1種又は2種以上の甘味料が挙げられる。
香料としては、例えば、アップル、オレンジ、グレープフルーツ、ストロベリー、ピーチ、レモン、ヨーグルトなどの風味の香料が挙げられる。
酢酸亜鉛二水和物は独特の苦味・えぐみを有するため、服用感の点から、本発明の錠剤は、フィルムコートされたフィルムコーティング錠であるのが好ましい。フィルムコートは、通常の医薬品でも用いられるフィルムコート剤、可塑剤、流動化剤、色素及びこれらを溶解/懸濁するための溶媒などを用いることができる。
ここで、フィルムコート剤としては、特には制限されないが、例えばカルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系フィルムコート剤、アラビアゴム末、ゼラチンプルラン、デキストリン、カルボキシメチルスターチナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられ、好ましくはセルロース系フィルムコート剤が挙げられ、より好ましくはヒプロメロースが挙げられる。
可塑剤としては、特には制限されないが、例えばポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000等)、クエン酸トリエチル、グリセリン、ヒマシ油、ポロキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、マクロゴール、ラウロマクロゴール、トリアセチン等が挙げられ、好ましくはトリアセチンが挙げられる。
フィルムコート用の滑沢剤としては、特には制限されないが、例えばタルク、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、重質無水ケイ酸、水酸化アルミナマグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸マグネシウム等が挙げられ、好ましくはタルクが挙げられる。
フィルムコート用の色素としては、上記着色剤として記載したものが挙げられ、好ましくは酸化チタンが挙げられる。
フィルムコート剤などを溶解/懸濁させる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、トルエン、ヘキサン、メチルエチルケトン及び水、又はこれらの混合溶媒等が挙げられ、エタノール及び水が好ましく、水がより好ましい。
フィルムコーティングは、通常錠剤の水系または非水系のコーティングで用いられている装置で行うことができ、例えば、パンコーティング方式のコーティング装置が挙げられる。
当該フィルムコーティング錠において、フィルムコーティング部の被覆量に明確な限定はないが、例えば、250mg/錠質量の素錠に2~20mg/錠の範囲で被覆されることが好ましく、4~12mg/錠の範囲とするのがより好ましく、また、125mg/錠質量の素錠に1~10mg/錠の範囲で被覆されることが好ましく、2~8mg/錠の範囲とするのがより好ましい。
フィルムコーティング錠は、例えば特開2020-169132開示の方法に準じて製造することができ、フィルムコート剤、可塑剤、滑沢剤、光遮蔽剤、着色剤等を水やエタノール等の溶媒に溶解・分散させた懸濁液を、素錠が入ったコーティングパンの中へ一定の給気温度を50℃以下に確保しつつスプレーし(酢酸亜鉛無水和物の生成を抑制するため)、錠剤表面に温風を送り錠剤表面から溶媒を除去乾燥させる方法により、素錠表面にフィルムコーティング部を均一に付着させ、その後必要に応じて乾燥することにより、フィルムコーティング層を形成することができる。
本発明の酢酸亜鉛二水和物錠剤及びフィルムコーティング錠中の酢酸亜鉛由来の不純物含量は、XRD(CuKα線(λ=1.5406Å)を測定することにより行うことができる。酢酸亜鉛二水和物の主ピークは2θ=12.5°付近であり、不純物、例えば酢酸亜鉛無水物は11.8°付近、その他の不純物は6°付近にピークを有するため、これらのピークを検出することで確認される。また、酢酸亜鉛の不純物の定量は、第十八改正日本薬局方の粉末X線改正津方法の定量分析により測定することができる。また簡易的には一定量の標品、例えば0.10%,0.5%、0.2%などを添加し、そのピークの高さを対比することによって含量を確認することができる。本発明の酢酸亜鉛二水和物錠剤及びフィルムコーティング錠中の個々の不純物含量は、0.50%以下、好ましくは0.2%以下、より好ましくは0.1%以下である。
上記製造方法により製造された本発明の酢酸亜鉛二水和物を含有する錠剤及びフィルムコーティング錠は、配合する酢酸亜鉛二水和物の含量により錠剤サイズは異なるが、例えば、酢酸亜鉛二水和物25mg錠、50mg錠の場合には、直径5~12mm、厚さ1~6mmの錠剤サイズとなる。
当該錠剤は、優れた崩壊性を有するが、その崩壊時間は、例えば600秒以下であり、好ましくは300秒以下であり、より好ましくは150秒以下である。当該錠剤は、溶出液をpH5とする日本薬局方の溶出試験方法において、試験開始15分後の酢酸亜鉛二水和物が85%以上溶出し、また当該錠剤を40℃で2週間保存した場合における試験開始及び2週間後の崩壊性、溶出性には遅延は生じず、錠剤硬度、類縁物質の酢酸亜鉛無水和物を生じない、安定な製剤特性を有する。また、コーティング錠とすることにより酢酸亜鉛二水和物由来の苦味等を感じない服用感に優れた性質を有する。
以下に実施例、比較例及び試験例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(参考例1)
[酢酸亜鉛二水和物の製造]
水811.9gに酸化亜鉛97.7gと氷酢酸158.5gを添加し酢酸亜鉛溶液を調製した。この酢酸亜鉛溶液をアセトン1500g添加して酢酸亜鉛二水和物の懸濁液を得、濾別・洗浄して酢酸亜鉛二水和物の湿末を得た。この湿末を乾燥して、平均粒子径70μm、嵩密度0.49g/mLの酢酸亜鉛二水和物の白色粉末を得た。得られた酢酸亜鉛二水和物のSEM写真を図1に、XRDチャートを図2に示す。SEM写真より形状は長辺30~150μm、短辺30~90μm、厚さ2~10μmの板状粒子形状であった。また、XRDチャートより12.5°付近に酢酸亜鉛二水和物のピークが確認された。一方、酢酸亜鉛無水和物由来の11.7°付近のピークは確認されなかった。
(実施例1)
[乾式造粒法による錠剤製造]
参考例1で得た酢酸亜鉛二水和物167.8質量部、乳糖水和物16.2質量部、クロスポビドン20.0質量部、ヒドロキシプロセルロース5.0質量部及びステアリン酸マグネシウム2.0質量部の割合で混合し、ローラーコンパクターで圧密化し、オシレーター(20Mesh)で解砕し造粒顆粒を得た。この造粒顆粒213.0質量部、結晶セルロース27.0質量部、クロスポビドン6.0質量部、ヒドロキシプロピルプロセルロース5.0重量及びステアリン酸マグネシウム1.0質量部の割合で混合し、ロータリー式打錠機を用い、回転数40rpmとし、錠剤径8.5mm・R13.4×1.3mmの杵で設定硬度70Nになるように打錠し、1錠250mgの素錠を得た。
この素錠に、コーティング装置において、ヒプロメロース5.5%、トリアセチン0.9%、二酸化チタン2.7%及びタルク0.9%を含むコーティング液を給気温度45℃、排気温度34~36℃で素錠に噴霧し、1錠260mgのフィルムコーティング錠を得た。錠剤硬度は69N、崩壊時間は50秒であった。
(実施例2)~(実施例4)
表1に示す平均粒径の長方板状の酢酸亜鉛二水和物を用い、実施例1と同様の方法で酢酸亜鉛水和物のフィルムコーティング錠を作成した。
Figure 2023038181000001
(比較例1)
[湿式造粒による製造]
クロスカルメロースナトリウムをクロスポドンに変更したことを除き国際公開第2016/088816号パンフレットの実施例3の方法に従い酢酸亜鉛二水和物のフイルムコーティング錠を製造した。
[溶出試験]
溶出液をpH5として日本薬局方の溶出試験方法に従い溶出試験を行った。結果を表2に示す。
乾式造粒を行った実施例1の酢酸亜鉛二水和物フイルムコーティング錠は、湿式造粒を行った比較例1の酢酸亜鉛二水和物フイルムコーティング錠よりも溶出性が優れていた。
Figure 2023038181000002
(比較例2)
[乾式造粒法による錠剤製造]
乾式造粒後にクロスポビドンの添加をしなかったことを除き、実施例1と同様に錠剤を製造した。
[安定性試験]
実施例1及び比較例2の錠剤をPVC包装しさらにピロー包装を行い40℃相対湿度75%で2週間保管した。崩壊性を表3に、溶出性を図3に示す。崩壊性試験は日本薬局方に従い、溶出性は比較例1に記載の方法で行った。
実施例1の錠剤は、崩壊時間の遅延が起こらず、溶出性で遅延も生じていないことから、良好な製剤特性を示した。一方、比較例2の錠剤は、崩壊時間・溶出性に遅延が確認された。
Figure 2023038181000003
(実施例5及び比較例3)
フィルムコーティングなしの実施例1の素錠を用意し実施例5の素錠とした。乳糖をトウモロコシデンプンに変え、フィルムコーティングなしとした以外は実施例1と同様の割合で混合打錠して素錠を作成し、比較例3の素錠とした。これらの素錠を50℃解放下で1昼夜保持した。そのXRDチャートを図4に示す。実施例5の乳糖水和物組成では酢酸亜鉛無水物の生成は確認されなかったことから、安定な製剤特性を示した。一方、比較例3のトウモロコシデンプンでは酢酸亜鉛無水物を生成が確認された。
Figure 2023038181000004
(実施例6)
[乾式造粒法による錠剤製造]
参考例1で得た酢酸亜鉛二水和物167.8質量部、乳糖水和物14.4質量部、クロスポビドン24.0質量部、ヒドロキシプロセルロース4.8質量部及びステアリン酸マグネシウム2.0質量部の割合で混合し、ローラーコンパクターで圧密化し、オシレーター(20Mesh)で解砕し造粒顆粒を得た。この造粒顆粒213.0質量部、結晶セルロース27.0質量部、ヒドロキシプロピルプロセルロース5.0重量、クロスポビドン4.0質量部及びステアリン酸マグネシウム1.0質量部の割合で混合し、ロータリー式打錠機を用い、回転数40rpmとし、錠剤径8.5mm・R13.4×1.3mmの杵で設定硬度60Nになるように打錠し、1錠250mgの素錠を得た。
この素錠に、コーティング装置において、ヒプロメロース5.5%、トリアセチン0.9%、二酸化チタン2.7%及びタルク0.9%を含むコーティング液を給気温度45℃、排気温度34~36℃で素錠に噴霧し、1錠260mgのフィルムコーティング錠を得た。錠剤硬度は73N、崩壊時間は50秒であった。
(比較例4)
[乾式造粒法/FC排気温度45℃による錠剤製造]
フィルムコーティング条件を給気温度64~75℃、排気温度45~48℃で素錠に噴霧し、1錠260mgのフィルムコーティング錠を得た。
[溶出試験]
上記と同様にして実施例6のフィルムコーティング錠について溶出試験を行った。
その結果、5分後及び10分後の溶出性は91.3及び97.0で優れた溶出性を示した。
[安定性試験]
上記と同様にして実施例6のフィルムコーティング錠について溶出試験を行った。
その結果、試験開始時の崩壊時間は66秒であったのに対し試験開始から1ヶ月後の崩壊時間は56秒であり、崩壊時間・溶出性の遅延は生じず、良好な製剤であることが示された。
[不純物確認試験]
実施例6及び比較例4のフィルムコーティング錠について不純物生成の確認試験を行った。第18日本薬局方の粉末X線回折測定法に従い錠剤を粉砕し篩過してフィルムコーティングを取り除き、粉末X線回折を行うことで不純物の生成を確認した。
その結果、実施例6のフィルムコーティング錠では不純物のピークは確認されなかったが、比較例4のフィルムコーティング錠では不純物のピークが確認された。

Claims (15)

  1. 酢酸亜鉛二水和物を含有する錠剤の製造方法であって、
    (工程1)酢酸亜鉛二水和物及び滑沢剤を混合し、乾式造粒する工程、及び
    (工程2)工程1で得られた造粒物及び崩壊剤を混合した後、圧縮成型する工程を含む方法。
  2. 請求項1記載の(工程1)において、さらに結合剤を混合する、請求項1記載の方法。
  3. 請求項1又は2記載の(工程1)において、さらに高水分活性賦形剤を混合する、請求項1又は2記載の方法。
  4. 請求項1~3記載の(工程1)において、さらに崩壊剤を混合し、かつ(工程2)においてさらに滑沢剤を混合する、請求項1~3記載の方法。
  5. 高水分活性賦形剤が、乳糖、乳糖水和物、マンニトール、トレハロース及びマルトースからなる1種又は2種以上である請求項3又は4記載の方法。
  6. さらに給気温度50℃以下で錠剤をフィルムコーティングする工程を含む請求項1~5記載の方法。
  7. 酢酸亜鉛二水和物及び高水分活性賦形剤を含む錠剤。
  8. 高水分活性賦形剤が、乳糖、乳糖水和物、マンニトール、トレハロース及びマルトースからなる1種又は2種以上である請求項7記載の錠剤。
  9. 酢酸亜鉛二水和物及び高水分活性賦形剤を含む造粒物。
  10. さらに結合剤及び滑沢剤を含む請求項9記載の造粒物。
  11. さらに崩壊剤を含む請求項10記載の造粒物。
  12. 造粒物が乾式造粒法により得られたものである請求項9~11記載の造粒物。
  13. 請求項9~12記載の造粒物を含有する錠剤。
  14. フイルムコーティング錠である請求項7、8又は13記載の錠剤。
  15. 不純物含量が0.5%以下の酢酸亜鉛二水和物を有効成分とする錠剤。
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