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JP2022035144A - ピエゾ素子及びモーションセンサ - Google Patents

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JP2022035144A
JP2022035144A JP2020139251A JP2020139251A JP2022035144A JP 2022035144 A JP2022035144 A JP 2022035144A JP 2020139251 A JP2020139251 A JP 2020139251A JP 2020139251 A JP2020139251 A JP 2020139251A JP 2022035144 A JP2022035144 A JP 2022035144A
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sensor
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秀典 奥崎
Hidenori Okuzaki
修 小瀬
Osamu Kose
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JSR Corp
University of Yamanashi NUC
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JSR Corp
University of Yamanashi NUC
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Abstract

【課題】エラストマーマトリクスの設計に基づいたセンサの高機能化や汎用性拡張が可能な、イオン液体によるピエゾイオン効果を用いた加速度センサを提供する。【解決手段】フレキシブル加速度センサ11は液体と高分子材料との混合物を含み、シート状に成形されたゲル層が熱または光によって内部に三次元の高分子ネットワークを形成し、さらにイオン液体-高分子材料ゲル層の両面にそれぞれ独立して積層された伸縮性電極2-1,2-2とを備え、イオン液体-高分子材料ゲル層に加わった加速度に応じてイオン液体-高分子材料ゲル層に生成された電荷を出力する。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年2月28日に第67回応用物理学会春季学術講演会(中止)予稿集を発行 令和2年5月12日に第69回高分子学会年次大会(中止)予稿集をWEB上で公開
本発明はピエゾ素子およびモーションセンサに関し、特に伸縮性を備えたフレキシブル加速度センサに使用されるピエゾ素子および該ピエゾ素子を用いたモーションセンサに関する。
インターネットを通じてヒトとモノ、モノとモノが繋がるシステムであるモノのインターネットIoT が注目されている。例えば、心拍センサを用いたヘルスモニタリング、ウェアラブルデバイスを用いた家電のリモートコントロール、靴底センサを用いた歩行センシングなどがある。
特許文献1には、多種多様な人体の生体情報の一括収集を可能とするウェアラブル生体情報収集装置に関する技術が開示されている。
IoT の実現と実社会への適用にはウェアラブルエレクトロニクスが不可欠であり、そのキーデバイスはフレキシブルセンサである。しかしIoT の社会実装においては1 兆個のセンサが使用されると言われており、個々のセンサに対する電力供給が大きな課題となる。そのため、外部あるいは蓄電デバイスからの電力供給が不要な圧電性高分子を用いたピエゾセンサや、摩擦帯電によるエネルギーハーベスティングに関する研究が注目を集めている。しかし、上記の既存技術での電圧発生は瞬間的で、加速度の検出には優れているが、より長いタイムスケールでの出力を要する緩慢な動きの測定には不向きである。例えば、筋肉の応答周波数は10Hz 以下と遅いことから、フレキシブルセンサの適用としては加速度よりも変位の検出がより適していることがわかる。
フレキシブルセンサとしては、例えば特許文献2の様な伸長センサ技術が開示されている。
フレキシブルセンサにおいては、成形性、伸縮性、装着性が要求される。伸縮性電極に関する報告としては、特許文献3のように導電性高分子であるPEDOT:PSSのコロイド水分散液に、ポリグリセリンを加えることで、電気伝導度と切断伸度を向上させた伸縮性電極をアクチュエータに用いた技術が開示されている。なお、特許文献3 のアクチュエータに開示されたイオン液体の輸率やイオン体積などの物理情報は、非特許文献1に開示されている。
また、加速度センサは種々の方式があるが、代表的な圧電型加速度センサではその感度は高くても0.035nC/(m/s2)程度である。
イオン液体のピエゾイオン効果を用いた加速度センサとしては、特許文献4のような熱可塑性ポリウレタンをエラストマーマトリクスとした例が開示されている。
特開2015-070917号公報 特開2014-228507号公報 特開2011-050233号公報 特開2018-031680号公報
現在提案されている種々のウェアラブル生体情報収集装置やセンサのうち、イオン液体によるピエゾイオン効果を用いた加速度センサは、成形性、伸縮性、装着性が要求されるウェアラブルセンサであって、素子の抵抗値の変化をモニタすることなく簡便に加速度を検出するフレキシブル加速度センサとして有用である。一方で加速度センサを形成するエラストマーマトリクスの高分子構造によるピエゾイオン効果への影響は限定的であり、社会実装を指向した場合エラストマーマトリクスの設計に基づいたセンサの物性制御、電気的出力の向上や汎用性拡張が必要である。
本発明のピエゾ素子は、イオン液体と高分子材料との混合物を含み、シート状に成形され、熱または光によってその内部に三次元の高分子ネットワークを形成している高分子材料層と、さらに前記高分子材料層の両面にそれぞれ独立して積層された伸縮性電極とを備え、前記高分子材料層に加わった力に応じて前記高分子材料層に生成された電荷を出力する。
また、本発明のモーションセンサは、前記ピエゾ素子を複数有し、複数のピエゾ素子による計測値を演算する演算部を具備し、さらに演算部の演算結果によりピエゾ素子が備えられたウェアラブルな被計測物の動きを数値化する数値化部を備える。
本発明のピエゾ素子は、簡便に加速度を検出し、センサの電気的、物理的機能を制御可能なフレキシブル加速度センサを構築できる。
本発明の実施例1に係るフレキシブル加速度センサの一例の断面図である。 図1に記載のフレキシブル加速度センサの上面図である。 本発明の実施例1に係るフレキシブル加速度センサの一例の作製フローを示す図である。 異なる開始剤量ごとに、貯蔵弾性率の温度に対する関係を示した図である。 開始剤量と架橋密度との関係を示した図である。 センサ応答特性を測定する測定装置を示す図である。 センサに歪みを与えたときの発生電荷、発生電圧の時間応答を示す図である。 センサの動作の考察を説明する図である。 異なる架橋密度ごとに、発生電荷および電圧の挙動を時間に対して示した図である。 架橋密度に対する電荷、キャパシタンス、電圧の値を示す図である。
本発明のピエゾ素子はフレキシブル加速度センサとして機能する。前記フレキシブル加速度センサは本発明のピエゾ素子を含んで構成される。
以下、本発明の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
(フレキシブル加速度センサの構造)
図1は、本願発明のピエゾ素子を含むフレキシブル加速度センサの一例であるフレキシブル加速度センサ11の断面図である。図1に示すように、フレキシブル加速度センサ11は、シート状に成形された高分子材料層1と、高分子材料層1の両面にそれぞれ独立して積層された伸縮性電極2-1および伸縮性電極2-2を備えるピエゾ素子10を含む。また、図2は図1で示したフレキシブル加速度センサ11の伸縮性電極2-1側からみた図(上面図)である。
高分子材料層1は、イオン液体(IL)と高分子材料との混合物からなる。高分子材料層1は、イオン液体とアクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)との混合物(以下、IL-NBRとも記す)からなる。IL-NBRの好適例として、イオン液体の1-メチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([EMI][TFSI])と高分子材料であるアクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)との混合物(イオン液体-高分子材料ゲル)を挙げることができる。
伸縮性電極2-1および伸縮性電極2-2は、それぞれが独立して高分子材料層1の両面をそれぞれ覆うよう積層される。高分子材料層の厚みは、特に制限はないが、例えば50~300μmとすることができる。伸縮性電極2-1および伸縮性電極2-2は薄膜であってもよい。図1においては、伸縮性電極2-1側を正極、伸縮性電極2-2側を負極とする。ここで、伸縮性電極2-1および伸縮性電極2-2は、たとえば、ポリグリセリン(PG)とPEDOT:PSS(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene):Poly(4-styrenesulfonicacid))との混合物(以下PEDOT:PSS-PGと称する)からなる膜(以下PEDOT:PSS-PG膜と称する)である。
本実施例においてイオン液体(IL)は、イミダゾリウム塩、ピペリジニウム塩、ピリジニウム化合物、及び、ピロリジニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましく、具体的には、1-メチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-へキシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム2-(2-メトキシエトキシ)-エチルスルファート、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスフォニル)イミドなどが挙げられる。これらの中でも、1-メチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドが、比較的イオン伝導率が高く、メチルエチルケトンに可溶で、アクリロニトリル・ブタジエンゴムとの相溶性が良好であるという観点から特に好ましい。
また、前記高分子材料としては、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)が使用される。NBRが有するアクリロニトリルに由来する構造単位の含有割合は、高い出力の素子が得られるため、NBR全体の15~50質量%であることが好ましく、18~45質量%であることがより好ましい。高分子材料としてNBRが使用されるが、NBRの一部を、イオン液体を含有できる他の高分子材料に置き換えた材料を用いることができる。このような高分子材料としては、例えばポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、N-イソプロピルアクリルアミド、アクリルゴム、エマルジョン重合によって得られるすスチレン・ブタジエンゴムラテックス(エマルジョンSBR)、水添スチレン・ブタジエンゴム(水添SBR)、スチレン・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックポリマー(SEBC)、オレフィン結晶・エチレン・オレフィン結晶ブロックポリマー(CEBC)、スチレン・エチレン・スチレンブロックポリマー(SEBS)を挙げることができる。
伸縮性電極2-1および伸縮性電極2-2としては、PEDOT:PSSにエチレングリコール(EG)を含有させたPEDOT:PSS-EG膜の他に、PEDOT:PSS膜やアルミニウム薄膜などを用いることもできる。PEDOT:PSS-EG膜は、伸縮性電極2-1および伸縮性電極2-2への高導電性と柔軟性付与の観点から特に好ましい。
また、フレキシブル加速度センサ11は、図1に示すように、伸縮性電極2-1および伸縮性電極2-2の表面の一部又は全部にそれぞれ、伸縮性電極2-1および伸縮性電極2-2と外部の測定系(不図示)とを接続するためのリード線4-1およびリード線4-2の接続用端子3-1および接続用端子3-2を備えるようにしてもよい。
(実験)
1.フレキシブル加速度センサの製造
図3は、図1に示すフレキシブルセンサ11の作製フローの一例を示している。フレキシブルセンサ11を次のように作製した。
1.1 IL-NBRゲルの作製
アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR、JSR社製N220S、アクリロニトリル41.5質量%)を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解させ均一な溶液とし、イオン液体(IL)である1-メチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([EMI][TFSI])、光開始剤(PI)であるフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Irgacure819)を加え、NBR、IL、PIの混合液を調製した。NBR、IL、PIの使用量は、NBRが10質量%、ILが20質量%、PIが0~9質量%となる量とした。容器に入った前記混合液の写真を図3の左下に示す。図3の左上は、NBRの写真および化学式を示す。図3の中上は、[EMI][TFSI]の化学式を示す。
調製した上記混合液をテフロンシャーレ上にキャストし、室温で12時間乾燥させることでMEKを除去し、自立膜を得た。これに波長365nmの紫外線(ELC-500、Fusionet LLC)を40 分間照射し、その後100℃のオーブンで30分乾燥させることでIL-NBRゲルを作製した。容器に入ったIL-NBRゲルの写真を図3の中下に示す。
1.2 PEDOT/PSS/EG 分散液の調製
PEDOT:PSS 水分散液に中和剤のアンモニアをpH メーター(F-50, HORIBA)で測定しながらpH が7になるまで滴下した。さらに、中和したPEDOT:PSS 水分散液の固形成分を水分計(MOC-120H, 島津製作所)で測定した。PEDOT:PSS 水分散液(pH7, 中和剤:アンモニア)を固形成分2.5質量%となるように水分を除去し、EGを10質量%加えた後、あわとり練太郎(AR-100、(株)シンキー)で約5分間撹拌脱泡し、PEDOT/PSS/EG分散液を調製した。図3の右上は、PEDOT:PSSの化学式を示す。
1.3 スピンコート法によるIL-NBR/PEDOT/PSS/EG 電極の形成
ガラス基板上にIL-NBRゲルを貼り付け、調製したPEDOT/PSS/EG 分散液を、opticoat(MS-A150, MIKASA(株))を用いてIL-NBRゲルの両面にスピンコートした。片面ごと水分計(Moisture Balance MOC-120H, 島津製作所)を用いて空気中100℃で、3分間乾燥させた。その後、PEDOT/PSS/EG 電極の電気伝導度を向上させるため、水分計を用いて残存水分量をモニタしながら空気中120℃で、30分間熱処理をすることでIL-NBR/PEDOT/PSS/EG電極を作製した。これにより、フレキシブル加速度センサ11が作製された。フレキシブル加速度センサ11の写真を図3の右下に示す。
2.サンプル特性の測定
2.1 IL-NBRゲルの架橋密度測定
熱機械分析装置(TMA/SS6200、日立ハイテクサイエンス、SS 制御モード: Lsin 制御モード、昇温速度: 2℃/min、サンプリングタイム:1s、温度範囲:20~100℃、引っ張り歪み:10%、振幅:1%、周波数:0.1Hz)を用いてIL-NBRゲルの動的粘弾性測定(DMA)を行った。測定に使用するIL-NBRゲルのサンプルは長さ15mm、幅1mmにカッターの刃を用いて切り出し、チャック間距離が5mmになるようにチャックに挟み、装置にセットした。サンプルの幅、膜厚、チャック間距離は工具顕微鏡(TM-500,ミツトヨ)を用いて測定した。図4は使用した異なる光開始剤量における貯蔵弾性率と温度の関係を示したものである。図4の横軸は温度、縦軸は貯蔵弾性率を示し、図中の数値は光開始剤(PI)の濃度を示す。
上記測定で得られた貯蔵弾性率(E’)と温度のプロットの傾きから、下記式(1)を用いて架橋密度νeを算出した。
Figure 2022035144000002
νe: 架橋密度(/cm3
NA:アボガドロ定数(6.02×1023 /mol)
E’:貯蔵弾性率(Pa)
R: 気体定数(8.314 J/K/mol)
T: 温度(K)
光開始剤濃度を変化させて作製したIL-NBR ゲルの貯蔵弾性率は、温度の上昇とともに増加し、その勾配と式(1)から得られたIL-NBRゲルの架橋密度νeは光開始剤濃度に比例して上昇し、光開始剤濃度9質量%で約2×1020個/cm3 であった。図5は、光開始剤量に対する架橋密度νsをプロットしたものである。
2.2 センサ応答の測定
図6(A)は、フレキシブル加速度センサ11のセンサ応答特性を測定する測定装置30を示す図である。図6(A)は、サンプルホルダ36にサンプルであるピエゾ素子10を含むフレキシブル加速度センサ11が装着された状態を示している。図6(B)は実際の測定装置の一例の写真である。フレキシブル加速度センサ11の各サンプルは、図1に示したようにシート状に成形した高分子材料層1と、その両面に積層された伸縮性を備えた伸縮性電極2-1および伸縮性電極2-2とを備えるピエゾ素子10を含む。
ここで、サンプルであるフレキシブル加速度センサ11及びサンプルホルダ36は、図6(B) に示すようにセッティングされ、測定装置30の詳細なセッティングは、図6(A)に示すようになされた。まず、図6(A)および(B)に示すように、サンプルであるピエゾ素子10を含むフレキシブル加速度センサ11をPETフィルム35にのせ、サンプルの各々の伸縮性電極が、サンプルホルダ36に装着された金電極31に接続するようにサンプルの一端を金電極31で挟んで測定装置30にセッティングした。
このように、ピエゾ素子10は、表面の全体または一部に、PETフィルムなどの非導電性材料からなるラミネート部を備えることができる。ピエゾ素子10がこのようなラミネート部を備えることにより、耐久性の向上を図ることができ、また、安定した加速度の測定が可能になる。
図6(A)および(B)のように構成されたフレキシブル加速度センサ11(IL-NBR/PEDOT/PSS/EG センサ)の応答特性は、恒温恒湿槽(SH-241,(株)ESPEC)中で、温度25℃、湿度30%に設定された環境下で、前記高温高湿槽内に設置されたポジションコントローラー(CP-100,(株)コムス)37によって、サンプルの固定されていない一端を押すことでセンサを屈曲させ、このとき出力された電荷および電圧を測定することで評価した。
電荷信号はチャージアンプ(NR-CA04)により増幅し、データ収集ユニット(NR-500, KEYENCE)でリアルタイムに収集した。また、電圧信号はAD 変換後、電荷測定と同様のデータ収集ユニットで直接収集した。さらに、その時の応答をパソコン上のソフトウェアであるWAVEROGGER で解析した。電荷信号をチャージアンプにより、電圧信号をデータ収取ユニットで直接測定することで、センサ特性を評価した。センサの測定条件を以下に示す。
屈曲速度: 100 mm/min
屈曲変位: 7 mm
ホールド時間: 30s
サンプリングタイム:500μs
図7は、フレキシブル加速度センサ11を屈曲させた時の発生電圧および電荷の時間応答を示した一例である。図7中のハイライトAはポジションコントローラー作動し、センサに連続的に歪みが与えられている期間、ハイライトBはポジションコントローラーが逆方向に作動しセンサに与えられた歪みが連続的に緩和されていく期間、ハイライトAの右端からハイライトBの左端までの時間はポジションコントローラーが停止し、センサに一定の歪みが維持されている期間を示す。
図7に示すように、センサを屈曲し始めると急激に電荷を発生し、屈曲を止めると逆電荷を発生することから、フレキシブル加速度センサ11は、典型的な加速度センサとして機能していることが分かる。さらに屈曲した状態から歪みを元の状態に戻す(復元時)と屈曲時と逆の応答を示した。
フレキシブル加速度センサ(IL-NBR/PEDOT/PSS/EG センサ)のキャパシタンス(C)は、電気化学測定システム(1255WB、Solartron、印加電圧:0~1.0V、電圧走査速度:10mV/s)を用いてサイクリックボルタンメトリー(CV)を測定し、その結果と下記式(2)を用いたキャパシタンス解析ソフトウェア(CorrView、Solartron)によって算出した。
Figure 2022035144000003
3.センサ動作の説明
3.1 ピエゾイオン効果
イオン液体により電荷を発生するメカニズムはピエゾイオン効果と言われ、一般的な圧電現象とは異なり、イオンが移動することで大きな電荷を発生する。本実施例においては、イオン液体として、1-メチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([EMI][TFSI])を用いている。非特許文献1にて明らかにされているように、本実施例におけるイオン液体[EMI]+( カチオン)と[TFSI]-( アニオン)のイオン体積は同程度だが、[EMI]+の方が高い輸率(Transfer Number)を示すことがわかっている。図8(A)に、[EMI]+および[TFSI]-の輸率(Transfer Number)およびモルイオン導電率(Molar Ionic Conductivity)を示す。図8(B)に、IL-NBRゲルおよびPEDOT:PSS-EG電極を有するピエゾ素子の模式断面図を示す。IL-NBRゲル中には、[EMI]+および[TFSI]-が存在する。本実施例の場合、センサを屈曲させると両面で約1%の歪差を生じ、輸率の高い[EMI]+が先に+極側(図8(B)のより曲率の大きい電極側)に移動することで正電荷を発生する。一方、アニオン([TFSI]-)も遅れて移動することから電荷は小さくなる。このとき、カチオンの移動に伴う電荷の総和Q+とアニオンの移動に伴う電荷の総和Q-が等しくなければ、屈曲状態においてΔQの電荷が残ることになり、これが電圧発生のメカニズムと考えられる。図8(C)は、この関係を図示したものである。IL-NBRゲルを架橋するとポリマー鎖の三次元ネットワークが形成されるため、イオンのゲル内での動きに変化現れると予想される。
3.2 電気的出力に対するIL-NBRゲルの架橋密度の影響
図9は、IL-NBRゲルの架橋密度とセンサの発生電荷および電圧の挙動を時間に対してプロットした結果を示す図である。図9の上図は、時間に対する発生電荷を異なる架橋密度ごとに示した図であり、図9の下図は、時間に対する発生電圧を異なる架橋密度ごとに示した図である。センサに与えた歪みの大きさと速度、時間は一定とした。また図10の上図は、架橋密度と電荷との関係を示した図である。図10の中図は、架橋密度とキャパシタンスとの関係を示した図である。図10の下図は、架橋密度と電圧との関係を示した図であり、黒い四角のプロットは電圧の実測値を示し、白い四角のプロットは電圧の計算値を示す。
図10の上図の結果は、架橋密度の増加とともにQ+、Q-、δQ すべてが減少することから、[EMI]+と[TFSI]-がともにゲル内を移動しにくくなったことを意味する。また、図10の中図に示されるように、IL-BRゲルのキャパシタンスも架橋により急激に低下している。これは、架橋によって高分子鎖の運動の自由度が減少し、それに伴うイオン液体の移動が低下したため分極が抑制されたものと考えられる。興味深いことに、図10の下図に示されるように、発生電圧は架橋により1.5 倍程度上昇し、約6mV に達することがわかった。これは、架橋構造によってΔQの値が低下するものの、それ以上にキャパシタンス(C)が低下するため、下記式(3)に示されるように、発生する電圧が高くなったからである。この発生電圧は高分子電解質として一般に用いられているナフィオン膜(パーフルオロアルキルスルホン酸ポリマー)を使用した場合の出力(0.2mV)に比べ一桁高い値である。
Figure 2022035144000004
発生電圧の実測値と電荷(C)、キャパシタンス(F)および式3で得られる計算値がよく一致することから、発生電圧の上昇は顕著なキャパシタンスの低下に起因すると考えられる。このように、ピエゾイオン効果において高分子鎖の架橋が重要な役割を果たすことは明らかである。
またIL-NBRゲルに対する架橋は、ゲルに対する物理的強度、特にゴム弾性を付与することができ、より高い耐久性をセンサに付与することができる。
このため、本発明のピエゾ素子においては、高分子材料層に含まれるアクリロニトリル・ブタジエンゴムが架橋構造を有することが好ましい。アクリロニトリル・ブタジエンゴムが架橋構造を有する場合、その架橋密度は、特に制限はないが、1018~1021/cm3であることが好ましい。
本発明のピエゾ素子は、上記のように直接力を計測することができる。さらに、ピエゾ素子で計測された計測値を基に、ピエゾ素子外部で、積分により速度や変位を計算することもできることから、本発明のピエゾ素子を用いてモーションセンサを製造することができる。そのようなモーションセンサとしては、例えば、複数個の前記ピエゾ素子と、前記ピエゾ素子による計測値を演算する演算部と、前記演算部が演算した複数の演算結果により、前記ピエゾ素子が備えられた被計測物の動きを数値化する数値化部とを具備するモーションセンサを挙げることができる。
1 高分子材料層
2-1、2-2 伸縮性電極
3-1、3-2 接続用電極
4-1、4-2 リード線
10 ピエゾ素子
30 測定装置
31 金電極
35 PETフィルム
36 サンプルホルダ
37 ポジションコントローラー

Claims (9)

  1. イオン液体とアクリロニトリル・ブタジエンゴムとの混合物からなる高分子材料層と、前記高分子材料層の両面にそれぞれ独立して積層された伸縮性電極とを備えるピエゾ素子。
  2. 前記アクリロニトリル・ブタジエンゴムは、アクリロニトリルに由来する構造単位の含有割合が15~50質量%である請求項1に記載のピエゾ素子。
  3. 前記アクリロニトリル・ブタジエンゴムが架橋構造を有する請求項1または2に記載のピエゾ素子。
  4. 前記イオン液体が、イミダゾリウム塩、ピペリジニウム塩、ピリジニウム化合物、及び、ピロリジニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む請求項1~3のいずれか一項に記載のピエゾ素子。
  5. 前記イオン液体が、1-メチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-へキシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム2-(2-メトキシエトキシ)-エチルスルファート、及び、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスフォニル)イミドからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である請求項1~4のいずれか一項に記載のピエゾ素子。
  6. 前記伸縮性電極は、ポリグリセリン(PG)とPEDOT:PSS (Poly(3,4-ethylenedioxythiophene):Poly(4-styrenesulfonicacid))との混合物であるPEDOT:PSS-PGからなる電極である請求項1~5のいずれか一項に記載のピエゾ素子。
  7. 表面の全体または一部に非導電性材料からなるラミネート部を備えた請求項1~6のいずれか一項に記載のピエゾ素子。
  8. 複数個の、請求項1~7のいずれか一項に記載のピエゾ素子と、
    前記ピエゾ素子による計測値を演算する演算部と、
    前記演算部が演算した複数の演算結果により、前記ピエゾ素子が備えられた被計測物の動きを数値化する数値化部と
    を具備するモーションセンサ。
  9. 請求項1~7のいずれか一項に記載のピエゾ素子を含むフレキシブル加速度センサ。
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