次に、本発明に係るマスクにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、以下の説明において、マスクを着用したときの着用者側を裏側といい、着用者と反対側を表側という場合がある。
(実施形態1)
図1~図3に示すように、実施形態1に係るマスク10は、口を含む顔面の一部を覆うマスク本体部12と、マスク本体部12の両方の側部にそれぞれ設けられた耳掛け部14とによって、マスク部分10Aが構成されている。また、マスク10は、マスク部分10Aに両端が繋がる帯状に形成されて、マスク部分10Aとの間に頭が通る空間を形成可能なストラップ16を有している。マスク10は、マスク部分10Aとストラップ16との間に頭を通してストラップ16を首掛け可能である。マスク10は、左右の耳掛け部14,14を耳にそれぞれ引っ掛けて着用した着用状態において、ストラップ16がマスク部分10Aから首の後ろに垂れるようになっている(図1参照)。また、マスク10は、左右の耳掛け部14,14を耳からそれぞれ取り外した取り外し状態において、首の後ろに引っ掛かるストラップ16によってマスク部分10Aを胸元で保持し得るようになっている(図2参照)。
図1に示すように、実施形態1のマスク10において、マスク本体部12が、着用者の鼻筋から鼻孔および口を介して顎にいたる顔中央部と、左右の両頬とを覆い得るサイズに設定されている。また、マスク10には、着用時に耳に引っ掛けるための耳掛け孔14aが形成された耳掛け部14が、マスク本体部12の左右両縁に連ねて設けられている。マスク10において、マスク部分10Aとストラップ16とが一体的に形成されている。このように、マスク10は、マスク本体部12、左右の耳掛け部14およびストラップ16を含む全体が、単一(1枚)のシートSで構成されている(図3参照)。
図3に示すように、ストラップ16は、右端が右側の耳掛け部14に繋がると共に、左端が左側の耳掛け部14に繋がっている。ここで、ストラップ16の端が、耳掛け部14の側端(左右方向における最も外側の部位)またはその近傍に繋がっていると、ストラップ16の左右方向の長さをかせぐことができるので好ましい。実施形態1では、ストラップ16の端が、耳掛け部14の側端の近傍であって該側端よりも下側部位に繋がっている。
図3に示すように、ストラップ16は、マスク部分10Aの縁に沿って延びるように形成されている。実施形態1では、ストラップ16が、線状の切れ目18を挟んで、耳掛け部14の下縁からマスク本体部12の下縁に沿って延びるように形成されている。
マスク10を構成するシートSとしては、軟質ポリウレタンフォーム、ガーゼなどの布地、不織布などを単体または組み合わせた(積層した)ものを用いることができる。この中でも、適度な通気性を確保できると共に柔軟性および弾力性に優れていることから、軟質ポリウレタンフォームからなる単層体(実施形態1)、または軟質ポリウレタンフォーム層を少なくとも含む積層体を用いることが好ましい。
軟質ポリウレタンフォームとしては、ポリエーテル系およびポリエステル系の何れであってもよい。軟質ポリウレタンフォームは、スラブ成形や抽出法やその他の成形方法によるものを用いることができる。また、軟質ポリウレタンフォームは、隣り合う気泡の間のセル壁(膜)が除去されて骨格のみになっている除膜処理品や、または、各セル壁(膜)に穴があいている連通構造や半連通構造品を用いることができる。なお、除膜処理品は、公知の除膜処理、例えば溶剤によってセル壁を溶解する方法、爆発によりセル壁を破壊する方法等により得ることができる。
軟質ポリウレタンフォームは、そのセル数(JIS K6400-1:2004付属書1(参考))が、30個/25mm~150個/25mmの範囲、好適には40個/25mm~110個/25mmの範囲にあるものを用いるとよい。セル数が前記範囲にある軟質ポリウレタンフォームであると、マスク10とした場合に、マスク10のズレ防止に関して肌との良好な摩擦抵抗を有するようになる。そして、肌に対するザラザラした感じを軽減することができる。更に、セル数が前記範囲にある軟質ポリウレタンフォームであると、マスク10とした場合に、適度な通気性を確保できるので息苦しさや蒸れを軽減することができ、良好な装着感が得られる。更にまた、セル数が前記範囲にある軟質ポリウレタンフォームであると、マスク10とした場合に、花粉などの適度な捕集効率を得ることができる。
軟質ポリウレタンフォームは、その伸び率(JIS K6400-5:2004ダンベル2号型)が、80%~500%の範囲にあるもの、150%~500%、より好適には200%~450%の範囲にあるものを用いるとよい。伸び率が前記範囲にある軟質ポリウレタンフォームであると、マスク10とした場合に、マスク本体部12の周縁を顔面に良好に密着させて顔面との間に隙間が生じ難くなる。また、口などの動きに追従して適度に伸びて、着用時の負担を軽減することができるので好ましい。伸び率が前記範囲にある軟質ポリウレタンフォームで耳掛け部14を形成すると、耳掛け部14が切れ難くなり、また耳への負担を軽減して耳が痛くなり難くすることができる。
軟質ポリウレタンフォームは、その密度(JIS K7222:2005)が、10kg/m3~100kg/m3の範囲、より好適には10kg/m3~85kg/m3の範囲にあるものを用いるとよい。密度が前記範囲にある軟質ポリウレタンフォームであると、マスク10とした場合に、軽量にすることができ、着用時の負担を軽減することができるので好ましい。
軟質ポリウレタンフォームは、その硬さ(25%ILD)が、40N~400Nの範囲、より好適には60N~300Nの範囲にあるものを用いるとよい。硬さが前記範囲にある軟質ポリウレタンフォームであると、マスク10とした場合に、マスク本体部12の周縁を顔面に良好に密着させて顔面との間に隙間が生じ難くなる。また、口などの動きに追従して、着用時の負担を軽減することができるので好ましい。硬さが前記範囲にある軟質ポリウレタンフォームで耳掛け部14を形成すると、耳掛け部14が切れ難くなり、また耳への負担を軽減して耳が痛くなり難くすることができる。なお、前述の硬さは、JIS K6400-2:2012版、直径200mmの平らな円盤の加圧板で25%圧縮時(D法)の硬さ試験方法によるものである。
軟質ポリウレタンフォームは、その通気性が、15cm3/(cm2・sec)以上の範囲にあるものを用いるとよく、100cm3/(cm2・sec)以上が好ましい。軟質ポリウレタンフォームの通気性は、より好適には150cm3/(cm2・sec)以上であり、更に好適には200cm3/(cm2・sec)以上である。なお、軟質ポリウレタンフォームの通気性は、花粉等の異物の捕集効率との関係で600cm3/(cm2・sec)以下に設定することが好ましい。通気性が前記範囲にある軟質ポリウレタンフォームであると、マスク10とした場合に、適度な通気性を確保できるので息苦しさや蒸れを軽減することができ、良好な装着感が得られる。また、通気性が前記範囲にある軟質ポリウレタンフォームであると、マスク10とした場合に、花粉などの適度な捕集効率を得ることができる。このように、通気性が前記範囲にある軟質ポリウレタンフォームであると、呼吸し易さと異物の適度な捕集効率を両立できるので好ましい。なお、前述した通気性は、所定の厚みの軟質ポリウレタンフォーム、それぞれに対して、JIS L1096-7:2010「織物及び編物の生地試験方法:A法(フラジール形法)」に記載の方法を用いて測定した値である。
軟質ポリウレタンフォームは、その厚みを、0.8mm~3mmの範囲にすることが好ましい。厚みが前記範囲にあるマスク本体部12であると、着用時に破損し難くなると共に嵩張りを抑えることができるので取り扱い易く、マスク10のコストを抑えることができる。
軟質ポリウレタンフォームは、発泡剤等の化学物質に由来する臭気を低減する処理を施してクリーン性に優れたもの(クリーン処理品)を用いるとよい。クリーン処理としては、例えば、軟質ポリウレタンフォームを水洗い等により洗浄したり、加熱処理(例えば、70~120℃、30~120分)して、脱臭したりするなど、軟質ポリウレタンフォームに残留する化学物質を除去する処理が挙げられる。ここで、クリーン処理品であるマスク本体部12は、VDA-278に準拠して測定される揮発性有機化合物(VOC)の量(トータルVOC量)が、1000ppm以下であることが望ましい。特に、トータルVOC量が、400ppm以下であると、更に臭気が少なく、クリーン性に優れるので好ましい。
シートSが複層体である場合、例えば布地を以下のようにするとよい。布地は、編物や織物や不織布等、繊維をシート状にしたものを用いることができ、この中でも織物や不織布よりも伸縮性に優れていることから編物を用いることが好ましい。布地を構成する繊維としては、ポリエチレンやポリプロピレンやナイロンやウレタンやレーヨン等の化学繊維で構成されたものや、綿やウール等の天然繊維で構成されたものを用いることができる。ポリエステル繊維は、紫外線による変色が少ないので耐久性の点から好ましい。布地は、吸湿性が少ないものであると、洗濯するときや乾燥するときに都合がよい。また、綿やレーヨンからなる布地は、吸水性があるので、マスク10に吸湿や保湿性を求める場合に採用すればよい。
布地の機能としては、接触冷感、吸水速乾、UVカット、保温、消臭、抗菌、抗ウイルスなどが挙げられ、これらの機能を2種類以上有していてもよい。接触冷感布地としては、例えば、熱伝導率が高い物質を生地に練り込み肌の熱を奪うことにより冷たく感じるものや、疎水性である内部のポリエステルが水を拡散して素早く汗を蒸発させるものや、肌側の水分拡散層が汗を素早く吸収し、生地の表面で気化促進繊維が蒸発を加速させるものや、多くの水酸基を持ち、多孔質であるため、水分を素早く吸い取ってすみやかに放出するものなどがある。
吸水速乾布地としては、例えば、毛細管現象を利用して生地の肌側についた汗を外側に移動させてから素早く拡散すると共に、生地の肌面は凹凸構造として肌への接触面積を少なくすることで肌離れ性を向上するものや、吸水ポリエステルと撥水ポリエステルを組み合わせ、汗をかいた時の衣服内をドライな状態に保つものや、アセテート繊維を使ったニット素材であって、生地が水を含むと編み目が開いて乾くと元の状態に戻るものや、直径がナノサイズの超極細のポリエステル繊維からなり、毛細管現象と繊維の吸着作用により吸水・保水性を発揮するものや、表面にスキン層がなく多孔質であって、吸放湿性に優れて蒸れやベタツキを抑えるものや、自重の数十倍の吸水能力を持つポリマーをナイロンで包み込んだ芯鞘構造繊維からなるものなどがある。
UVカット布地としては、例えば、高濃度の特殊セラミックを繊維内に練り込むことで、太陽光を吸収・乱反射するものや、特殊セラミックを練り込んだキュプラ繊維と特殊ポリエステルの双方の効果でUVをブロックするものや、糸の芯部に酸化チタンを練り込むとともに、糸断面の形状を星型にしたナイロン素材からなるものや、ポリエステルに酸化チタンを練り込むとともに、糸の断面形状を十字断面にしたものなどがある。
保温布地としては、例えば、生地内に多くの空気をため込み、暖まった空気を外に逃がさないものなどがある。消臭布地としては、例えば、ナノレベルのセラミックスがにおい成分を吸着し、金属イオンが分解するものや、アンモニアを吸着して消臭するものなどがある。
抗ウイルス布地としては、例えば、固定化抗菌成分を繊維表面に強力に固定化する抗菌・抗ウイルス機能繊維加工が施されたものなどが挙げられる。抗菌布地としては、例えば、繊維上の菌の増殖を抑制する制菌加工をしたものや、銀(イオン)を使用したものや、ナイロン1本1本の中に特殊なセラミック系抗菌剤を練り込んだ素材などからなるものなどがある。
布地としては、織り方や編み方によって構造的に伸縮性を有しているものや、伸縮性を有する弾性繊維を用いることで伸縮性を有するものなど、所謂ストレッチ布地を用いるとよい。布地が織物である場合、伸縮性を有する平織、綾織り、ジャガード織りであることが好ましい。布地が編物である場合、経編や横編やその他を使用可能であり、経編であれば、例えばトリコット、ダブルラッセルなどを挙げることができ、横編であれば、丸編みや天竺編み等を挙げることができる。なお、布地は、抗菌処理等によって抗菌性を有するもの(抗菌性布地)であってもよい。
布地が不織布である場合、ウエブを、乾式法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアレイド法などの何れで形成したものであってもよい。ウイルスのような微細な異物の捕集効率の観点から、メルトブローン法による不織布(メルトブローン不織布)やスパンボンド法による不織布(スパンボンド不織布)が好ましい。また、不織布は、ウエブの繊維結合方法が、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、水流交絡法(スパンレース)などの何れであってもよいが、マスク10の用途としてはVOCが少ない水流交絡法やニードルパンチ法が好ましい。なお、繊維シートは、表面の繊維を起毛させたものであってもよい。
布地は、その伸び率(JIS K6400-5:2004ダンベル2号型)が、50%~500%の範囲にあるものを用いるとよい。前述したようにマスク10を構成するシートSとして、軟質ポリウレタンフォームに前述した伸び率の範囲にある布地とを積層した積層体で構成することができる。この場合、シートSを構成する布地が前述した伸び率の範囲にあると、シートSをなす軟質ポリウレタンフォーム特有の伸縮性を、布地が妨げることを抑えることができる。これによりマスク10とした場合に、マスク本体部12の変形や口などの動きに追従して適度に伸びて、着用時の負担を軽減することができるので好ましい。また、シートSによって耳掛け部14を形成する場合、耳掛け部14が切れ難くなり、また耳への負担を軽減して耳が痛くなり難くすることができる。
布地は、その通気性が、15cm3/(cm2・sec)以上の範囲にあるものを用いるとよく、好適には30cm3/(cm2・sec)以上であり、更に好適には40cm3/(cm2・sec)以上である。なお、布地の通気性は、花粉等の異物の捕集効率との関係で150cm3/(cm2・sec)以下に設定することが好ましい。通気性が前記範囲にある布地であると、マスク10とした場合に、適度な通気性を確保できるので息苦しさを軽減することができ、良好な装着感が得られる。また、通気性が前記範囲にある布地であると、マスク10とした場合に、ウイルスなどの適度な捕集効率を得ることができる。このように、通気性が前記範囲にある布地であると、呼吸し易さと異物の適度な捕集効率を両立できるので好ましい。また、通気性が前記範囲にある布地であると、マスク10とした場合に、適度な通気性を確保できるので息苦しさを軽減することができ、蒸れを防いで良好な装着感が得られる。なお、前述した通気性は、JIS L1096-7:2010「織物及び編物の生地試験方法:A法(フラジール形法)」に記載の方法を用いて測定した値である。
布地は、厚さが大きくなるほど、異物の捕集効率が向上するが、自身を通過する空気の圧力損失が大きくなる(通気性が小さくなる)。布地は、厚さが小さくなるほど、異物の捕集効率が低下するが、自身を通過する空気の圧力損失が小さくなる(通気性が大きくなる)。布地は、その厚さを0.1mm~0.4mmの範囲にすることが好ましい。布地は、その厚さが前述の範囲にあると、好適な異物の捕集効率と、圧力損失の低減とを両立できる。厚みが前記範囲にある布地であると、シートSの嵩張りを押さえることができるので好ましい。
積層体の接合方法としては、軟質ポリウレタンフォームシートと布地とを、フレームラミネーション、ホットメルト接着剤を用いて接着させる方法が挙げられる。ホットメルト接着剤を用いた接着方法としては、ロールコーターやスプレー塗布により、ホットメルト接着剤等の接着剤層を挟んであるいは接着剤を塗布して、軟質ポリウレタンフォームシートと布地とを、貼り合わせることができる。また、不織布状ホットメルトシートを軟質ポリウレタンフォームシートと布地との間に挟んで、加熱圧着させ、ホットメルト材を溶融し、接着する方法(ドライラミネーション)が挙げられる。なお、上記ホットメルト材としては、熱可塑性ホットメルト材、湿気硬化型のホットメルト材を用いることができる。シートSは、軟質ポリウレタンフォームシートと布地とを全体として接合したり、例えば所定間隔の点状に接合するなど部分的に接合したり、何れであってもよいが、互いの追従性の観点からは全体的に接合したほうがよい。
マスク10は、例えば、所要の厚みのシートSを、トムソン刃などによって、打ち抜き加工することで形成することができる。このとき、マスク本体部12および耳掛け部14の外形を打ち抜き加工するだけでなく、耳掛け孔14a、ストラップ16の外形、マスク部分10Aとストラップ16との間の切れ目18も、併せて打ち抜き加工すればよい。なお、切れ目18の両端は、円形の切り欠き18a(図3参照)を形成することで、切れ目18の端から裂けることを防止することができる。
実施形態1のマスク10は、マスク部分10Aを取り外した場合、首に引っ掛けたストラップ16によってマスク部分10Aをぶら下げることができる。従って、取り外したマスク10の置き場所に困ることがなくなる。また、マスク10を置くことに起因する汚損を防止することができ、衛生的である。実施形態1のマスク10によれば、食事中や、車の運転中や、人と対面していないときなどの不要時に気軽に外すことができる一方で、必要になったときに簡単に付けることができ、使い勝手がよい。このように実施形態1のマスク10は、気軽に取り外して、口周りの蒸れを解消できると共に、着用時に上昇したマスク部分10Aの温度を冷ますことができ、夏などの温度の高いときであっても好適に用いることができる。
実施形態1のマスク10は、マスク部分10Aとストラップ16とが一体的に形成されているので、別体のストラップを取り付ける手間がかからず、使い勝手がよい。また、実施形態1のマスク10は、マスク部分10Aとストラップ16とが1枚(同じ)のシートSで形成されているので、部品点数を減らすことができ、ストラップ16を備えていてもコストの上昇を抑えることができる。しかも、前述したように、1枚のシートSから1回の打ち抜き加工によって実施形態1のマスク10を得ることが可能であり、ストラップ16を備えていても製造の手間がかからず、製造コストを抑えることができる。
実施形態1のマスク10は、ストラップ16の端が、耳掛け部14に繋がっているので、マスク本体部12の両側部から左右方向にそれぞれ延出する左右の耳掛け部14の間の左右幅を利用して、ストラップ16の左右長さを長くとることができる。また、ストラップ16の端を耳掛け部14の側端または側端近傍に繋げることで、ストラップ16を用いてマスク10を首掛けした際に、マスク部分10Aが身体(胸元)に対して立つような姿勢とすることができる(図2参照)。このようにすることで、マスク部分10Aの裏側と身体との接触を防ぐことができるので、マスク10を着脱してもマスク部分10Aの衛生状態を好適に保つことができる。特に、ストラップ16の端を耳掛け部14の側端よりも下側に繋げることで、ストラップ16を用いてマスク10を首掛けした際に、マスク部分10Aの裏側が外側へ向かない姿勢(胸元に対して直交するように立つ姿勢)とすることができる(図2参照)。このようにすることで、マスク部分10Aの裏側が他のものに接触することを防ぐことができるので、マスク10を着脱してもマスク部分10Aの衛生状態を好適に保つことができる。
実施形態1のマスク10は、ストラップ16がマスク部分10Aの縁に沿って延びるように形成されているので、マスク部分10Aおよびストラップ16をシートSから取る際のロスを最小限に抑えることができる。このようにすることで、ストラップ16を備えていてもコストの上昇を抑えることができる。
(実施形態2)
実施形態1のマスク10のように1枚のシートSで全体を構成することに限らず、図4および図5に示す実施形態2のマスク20のように、2枚以上(実施形態2では2枚)のシートSで全体を構成してもよい。
図4および図5に示すように、実施形態2に係るマスク20のマスク部分20Aは、着用者の口を覆うマスク本体部22の半分をなす半体部22Aおよび該半体部22Aの一側部に連なる耳掛け部14をそれぞれ有する2枚のマスク半体21から構成されている。マスク部分20Aは、2枚のマスク半体21,21における半体部22A,22Aの他側部(耳掛け部14と反対側の側部)を互いに接合してマスク本体部22を構成している。また、実施形態2のマスク20は、一端がマスク半体21の縁に繋がる帯状に形成されたストラップ半体26Aを備えている。ここで、マスク半体21およびストラップ半体26Aが、可撓性を有する1枚のシートSで構成されている。そして、実施形態2のマスク20は、別々のマスク半体21,21に繋がるストラップ半体26A,26Aの他端を互いに接合して構成されて、マスク部分20Aとの間に頭が通る空間を形成可能なストラップ26を有している(図4参照)。
マスク20は、2枚のシートS,Sを接合して立体形状になるようにマスク本体部22を構成している。マスク本体部22は、中央部に形成される接続部24を中心として2枚のシートS,Sを互いに離すように展開した際に、上下方向中央部へ向かうにつれて表側へ凸となると共に左右方向中央部へ向かうにつれて表側へ凸になるように湾曲した立体形状になる(図4参照)。
図5に示すように、マスク20は、各積層シートSが、マスク20の左右方向半分ずつを構成する左右対称な形状で形成されている。具体的には、マスク本体部22の左右方向半分、マスク本体部22の一側部に連なる耳掛け部14およびストラップ26の半分を、1枚のシートSで形成している。各シートSは、マスク本体部22の左右方向中央部となる耳掛け部14と反対側の他側部が、上下方向中央部が凸となる湾曲形状で形成されている。
図4に示すように、ストラップ26は、右端が右側の耳掛け部14に繋がると共に、左端が左側の耳掛け部14に繋がっている。また、ストラップ26は、ストラップ半体26Aの他端同士が中央部で接続されている。ここで、ストラップ26の端が、耳掛け部14の側端(左右方向における最も外側の部位)またはその近傍に繋がっていると、ストラップ26の左右方向の長さをかせぐことができるので好ましい。実施形態2では、ストラップ26の端が、耳掛け部14の側端の近傍であって該側端よりも下側部位に繋がっている。
図5および図6に示すように、ストラップ26は、マスク部分20Aの縁に沿って延びるように形成されている。実施形態2では、ストラップ26が、線状の切れ目18を挟んで、耳掛け部14の下縁からマスク本体部22の下縁に沿って延びるように形成されている。
実施形態2のマスク20は、例えば以下のように製造することができる。まず、2枚のシートS,Sを重ね合わせる(図7(a)参照)。次に、山形に形成される接続部24の形状に合わせて、2枚のシートS,Sをヒートシール(実施形態2)などの熱による溶着、超音波溶着、接着剤、縫製などの適宜方法によって、互いに接合する(図7(b)参照)。トムソン刃などによって、マスク半体21およびストラップ半体26Aの形状に応じて打ち抜き加工する(図7(c)参照)。ここで、2枚のシートS,Sは、同一回の打ち抜き加工において、半体部22A、耳掛け部14およびストラップ半体26Aに対応する部分を一体的に形成している。また、打ち抜き加工において、接続部24の外縁に沿って切断すると共に、半体部22Aとストラップ半体26Aとの間に切れ目18が入れられる。このように2枚のシートS,Sの一部を接続した状態で1回の打ち抜き加工を行うことで、2枚のマスク半体21,21が中央部で接続されたマスク部分20Aと、2本のストラップ半体26A,26Aが中央部で接続されたストラップ26とが形成されたマスク20が得られる。
実施形態2のマスク20であっても、実施形態1と同様に作用効果を奏する。実施形態2のマスク20のように、複数のシートS,S(2枚のマスク半体21,21)でマスク本体部22を構成することで、口および鼻を覆う主要部分を顔面の形状に合わせて形成し易くなる。従って、マスク20によれば、顔面との密着性を向上させることができる。マスク20は、口を動かしても顔面との間に隙間ができ難く、隙間から異物が侵入することを防止できる。特に、マスク本体部22の左右方向中央となる接続部24を湾曲形状とすることで、2枚のマスク半体21,21を左右に展開した際に、マスク本体部22の左右方向中央部がマスク20の表側へ膨らむ立体形状になるので好ましい。
(実施形態3)
図8に示すように、実施形態3のマスク30は、実施形態1と同様に1枚のシートSによって全体が形成されている。ここで、耳掛け部14は、耳掛け孔14aを形成するようにシートSを打ち抜き加工することで、一端がマスク本体部12の横側上部に連なると共に他端がマスク本体部12の横側下部に連なる環状に形成されている。耳掛け部14には、耳掛け孔14aの打ち抜き加工に併せて、シートSを貫通するスリット32が、耳掛け部14におけるマスク10の着用時に耳の後側となる部位(耳にかかる部位)に延在するように形成されている(図8(a)参照)。実施形態3の耳掛け部14には、耳掛け部14におけるマスク10の着用時に耳の後側となる部位にミシン目状に並ぶ複数のスリット32によって、他の部位よりも切れ易い易破断ライン34が設けられている。耳掛け部14は、耳掛け部14における易破断ライン34よりも内側部分のサイズ調節部36を、易破断ライン34に沿って破断して切り取り可能になっている(図8(b)参照)。
符号38は、シートSを貫通する開口であり、マスク本体部12の側部において、耳掛け孔14aに対して長手が沿うように形成されている。このように開口38を形成することで、耳掛け部14に連なるマスク本体部12の側部を伸び易くすることができ。これにより、マスク本体部12の側部を顔に沿わせることができると共に、耳掛け部14による耳への負担を軽減できる。なお、開口38は省略してもよい。
実施形態3のマスク30であっても、実施形態1と同様の作用効果を奏する。実施形態3のマスク30は、サイズ調節部36がある場合、耳掛け部14における耳にかかる部位とマスク本体部12の側部との距離が比較的近くなるので、比較的小さい顔に着用しても、マスク本体部12がだぶつくことなく顔に密着させることができる。また、マスク30は、サイズ調節部36を易破断ラインによって切り取った場合、耳掛け部14における耳にかかる部位とマスク本体部12の側部との距離が比較的遠くなるので、比較的大きい顔に着用しても、耳への負担をかけることなく顔に密着させることができる。このように、実施形態3のマスク30によれば、サイズ調節部36の有無により、顔のサイズの変化に適合させることができる。しかも、スリット32を耳掛け部14の形成に併せて形成可能であると共に、材料の増加を招かないので製造コストの上昇を抑えることができる。なお、実施形態3のマスク30について、実施形態2と同様に複数のシートSを接合して構成してもよい。
(参考例)
図9に示す参考例のマスク40は、実施形態3のマスク30からストラップ16を省略した形状である。なお、参考例のマスク40について、実施形態2と同様に複数のシートSを接合して構成してもよい。
従来のマスクは、顔のサイズに合わせて調節することができず、大人用、女性用、子供用など、複数のサイズのバリエーションを作る必要がある。
上記課題を解決するための構成として、本明細書には、
可撓性を有するシートにより構成されて、着用者の口を覆うマスク本体部の横側上部に一端が連なると共に該マスク本体部の横側下部に他端が連なる環状に形成された耳掛け部を有し、
前記耳掛け部は、前記シートを貫通するスリットによって、マスクの着用時に耳の後側となる部位に延在するように形成される易破断ラインを有し、
前記耳掛け部における前記易破断ラインよりも内側部分を、該易破断ラインで破断して切り取り可能であることを特徴とする参考例のマスクが開示されている。
参考例のマスクによれば、易破断ラインで耳掛け部の一部を切り取ることで、耳掛け部の内側を左右方向に広げて、切り取り前よりも大きな顔サイズに適合させることができる。
(実施形態4)
図10に示すように、実施形態4のマスク50は、マスク部分10Aにおけるマスク本体部12の上縁から中央部へ向けて延びる接続部24を備えている。実施形態4のマスク50には、1条の接続部24が、マスク本体部12における左右方向の中央部に、上縁から上下方向の途中位置まで形成され、該途中位置から下縁まで接続部24が形成されていない。マスク50は、マスク本体部12をなすシートSの上部領域の一部が左右方向中央に形成した接続部24によって寄せられて、マスク本体部12の左右方向中央が上縁から中央部へ向かうにつれて表側へ膨らんでいる(図10参照)。なお、ストラップ16の構成は、実施例1と同様なので説明を省略する。
図10および図11(c)に示すように、マスク本体部12には、上縁から下側へ向かうにつれて表側へ傾斜するように接続部24が形成されている。そして、マスク本体部12における左右方向の中央ラインは、接続部24が形成された上部領域と、接続部24が形成されていない下部領域とで角度が変わっている(図11(b)参照)。マスク本体部12は、左右方向の中央ラインにおける上下方向中央部を表側に出っ張るように形成すると、着用に際してマスク本体部12を左右へ展開したときに、表側に膨らむ立体形状になる。
マスク50は、マスク本体部12をなすシートSの下部領域に接続部24の形成などの加工を施していないが、マスク本体部12の左右方向中央が下縁から上方へ向かうにつれて表側へ膨らむ。このとき、マスク本体部12は、接続部24の下端が立体形状の頂部となる。また、マスク50は、マスク本体部12をなすシートSの上部領域の一部が左右方向中央に形成した接続部24によって寄せられて、耳掛け部14側からマスク本体部12の左右方向中央へ向かうにつれて表側へ膨らんでいる(図10参照)。このように、マスク50は、マスク本体部12の中央部が表側へ膨らむ立体形状に形成されている。
実施形態4のマスク50は、例えば以下のように製造することができる。トムソン刃などによって打ち抜き加工することで、ストラップ16を含めたマスク50の形状に応じた展開状態のシートSを作成する(図11(a)参照)。ここで、シートSは、同一回の打ち抜き加工において、ストラップ16、マスク本体部12および耳掛け部14に対応する部分を一体的に形成している。また、シートSにおけるマスク本体部12に対応する部分の上部には、切り欠きNtがシートSの打ち抜き加工に併せて形成されている。切り欠きNtは、シートSの左右方向中央に位置して、下(底)から上へ向かうにつれて広くなる形状で形成されている。なお、シートSは、切り欠きNtの底を挟んで左右対称な形状である。
次に、シートSを、切り欠きNtの底を中心として左右方向に半分に折って互いに重ね合わせる(図11(b)参照)。互いに重なった切り欠きNtの縁を、ヒートシール(実施形態4)などの熱による溶着、超音波溶着、接着剤、縫製などの適宜方法によって、互いに接合する(図11(b)参照)。これにより、マスク50を得ることができる(図11(c)参照)。
接続部24は、シートSの一部に設けられた切り欠きNtの縁同士を重ね合わせるように形成されている。また、マスク本体部12は、接続部24を通る部位の左右寸法が、該接続部24を形成する前の展開状態にあるシートSにおける対応する部位よりも短くなるように形成されている。そして、マスク50は、接続部24によって、着用時にマスク本体部12の中央部が表側へ膨らむ立体形状になるので、着用者の鼻先を圧迫することなく、周縁を顔面に密着させることができる。また、マスク50は、マスク50と口の前側との間に空間が存在する構造なので、息苦しさを軽減することができる。マスク50は、接続部24がマスク本体部12の上縁から下方へ向かうにつれて表側へ延びるように鼻梁に沿って斜めになっているので、鼻への負担を軽減することができる。しかも、マスク50は、接続部24の下端にあるマスク本体部12の頂部に鼻先を合わせることで位置決めすることができ、着用時にズレ難い。
接続部24は、マスク本体部12の上縁から中央部へ向けて上下方向に形成されている。このため、マスク50は、着用時に接続部24が鼻孔より上側に配置されることになり、鼻孔および口を、シームレスなシートSからなる下部領域で覆うことができる。マスク50は、例えば縫製によって接続部24を形成した場合、接続部24の通気性が大きくなる(異物捕集効率が低下する)おそれがあるが、鼻孔および口がシームレスなシートSで覆う構成なので、シートSの性能が適切に発揮される。
マスク50は、立体形状にするために接続部24が形成されているものの、マスク本体部12、耳掛け部14およびストラップ16が1枚のシートSで構成されているので、部品点数を抑えることができる。従って、マスク50のコストを抑えることが可能になる。しかも、マスク50は、接続部24をマスク本体部12の上下全体にわたって形成するのではなく、接続部24を上下方向の一部(上部)領域に形成する構成である。これにより、着用時等に左右へ引っ張るように力が加わった際に、接続部24が端から剥がれるなどの破損の発生を抑えることができる。
マスク50は、マスク本体部12の上部領域が接続部24によって左右方向内側へ寄せられていることで、下縁が左右方向外側へ引っ張られることになる。従って、実施形態4のように、シートSの下縁を直線的に形成しても、マスク50とした際にはあごの部分に対応する下縁が自然な円弧形状になるので、あごのラインを細く出すことができ、マスク50をつけることで顔のラインをスマートに演出することが可能になる。特に、伸び性に優れている軟質ポリウレタンフォームからなるシートSであると、あごのラインなどの個別の顔の形状に柔軟に追従することが可能になるので好ましい。
実施形態4のマスク50であっても、実施形態1と同様にストラップ16による好適な作用効果を奏する。なお、実施形態2および4において接続部24を表側に向けて着用する例を示したが、接続部24を裏側(着用者側)に向けて着用してもよい。また、実施形態4の接続部24は、マスク本体部12の下縁から中央部の途中位置まで上下に延在するように設けてもよい。
(変更例)
前述した事項に限らず、例えば以下のようにしてもよい。
(1)実施形態1および2では、マスク部分10A,20Aとストラップ16,26との間を切れ目18で分断しているが、例えば図12に示すように、マスク部分10Aとストラップ16との間に開口を設けて分断してもよい。
(2)図12に示すように、ストラップ16の端を、耳掛け部14に対して直交または直交に近い角度で繋げると、ストラップ16が耳掛け部14との繋ぎ目から切れ難くなるので好ましい。
(3)ストラップが、マスク本体部に繋がっていてもよい。
(4)ストラップをマスク部分の上側に設けてもよい。