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JP2021117164A - 皮膚炎症状態の評価方法 - Google Patents

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Tetsuya Kuwano
哲矢 桑野
准子 石川
Junko Ishikawa
准子 石川
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Abstract

【課題】皮膚中に発現する分子を用いて皮膚の炎症性症状を簡便かつ低侵襲的に評価するための方法を提供する。【解決手段】被験者から採取された皮膚中のIL−36γとIL−37の発現レベルを測定し、その比(IL−36γ/IL−37)を基準値と比較する工程を含む、皮膚の炎症状態の評価法。【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚の炎症状態を客観的に評価するための方法に関する。
皮膚は、直接外界と接し多彩な免疫機構によって生体を防御している免疫臓器である。角層は有害物質の浸透や微生物の侵入を防御する機能を有するが、角層を通過した異物に対しては表皮を構成するケラチノサイトから多種のサイトカインが分泌され、それによって周辺の細胞から抗菌物質の産生、白血球の遊走、血管透過性が亢進して炎症が惹起される。
皮膚における炎症は、丘疹、紅斑、落屑、浸潤等の症状を呈するものであり、微弱炎症から疾患に至るまでその程度は様々である。そのため、炎症状態を客観的に評価し、その程度に応じて適切な処置を行うことが求められる。また、近年の美容への関心の高まりにより、炎症性の症状が美容的に好ましくないと考えられるようになり、微弱炎症であっても症状を抑制するニーズが高まっている。
一般的に皮膚の炎症状態を正確に把握するためには、皮膚生検により調べる必要があるが、皮膚生検のような侵襲的な方法は専門医の関与が必要であることから、低侵襲に皮膚から採取可能な試料を用いた評価が求められている。
従来、皮膚の状態を低侵襲かつ客観的に評価する指標は限られ、例えば、角層中のIL−1ra/IL−1α比が、角層バリア機能異常を背景にもつ敏感肌指標として利用できることが報告されている(非特許文献1)。しかしながら、低侵襲な手法により皮膚の炎症状態を評価できる分子については未だ十分には確立できていない。
針谷 毅ら、皮膚. 2001;43:10-18
本発明は、皮膚中に発現する分子を用いて皮膚の炎症状態を簡便かつ低侵襲的に評価するための方法を提供することに関する。
本発明者らは、ヒト皮膚由来の採取物中に多く含まれるサイトカインを同定し、当該サイトカインのうち、IL−36γとIL−37の発現レベルの比(IL−36γ/IL−37)が紅斑インデックスと有意な正相関があり、これが皮膚の炎症状態を評価するためのマーカーになり得ることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の1)〜2)を提供する。
1)被験者皮膚由来の採取物中のIL−36γとIL−37の発現レベルを測定し、その比(IL−36γ/IL−37)を基準値と比較する工程を含む、皮膚の炎症状態の評価法。
2)被験物質を被験者に塗布又は摂取する工程又は被験者に物理的処理を施す工程、及び皮膚由来の採取物中のIL−36γとIL−37の発現レベルを測定し、その比(IL−36γ/IL−37)を基準値と比較する工程を含む、皮膚の炎症状態の維持若しくは改善に対する被験物質又は前記物理的処理の有効性を評価する方法。
本発明によれば、健常人における微弱炎症症状から疾患に至るまでの皮膚の炎症状態を客観的に評価できる。また、本発明の評価方法は、皮膚由来の採取物、例えば角層中に含まれるサイトカインを指標とすることから、テープストリッピング法など低侵襲で簡便な操作方法で評価試料を採取することができ、被験者の負担が少なく、簡単に実施することができる。また、本発明によれば、皮膚に適用する外用剤、内服剤等の皮膚の炎症状態への影響、温熱・冷却処理や鍼等の物理的処理の皮膚の炎症状態に対する有効性を評価することができる。
皮膚紅斑インデックスとIL−36γ/IL−37の相関。n=31 角層中インターロイキン発現の季節変動。同一個人は線でつなぎ、平均値は棒グラフで示した。n=14、*P<0.05,**P<0.01対応のあるt検定。
本発明の皮膚の炎症状態の評価方法は、被験者から採取された皮膚由来の採取物中のIL−36γとIL−37の発現レベルを測定し、その比(IL−36γ/IL−37)を基準値と比較する工程を含む。
本発明において、被験者から評価に使用する採取物を採取する皮膚部位は、皮膚の炎症状態を評価する皮膚部位であり、少なくとも低侵襲的に何らかの皮膚由来の採取物が入手できる部分であれば、炎症発症部位、その近傍部位、炎症が見られない部位のいかなる部位であってもよく、顔面、頚部、上腕部を始め、身体部位のいずれでも良い。
本発明において使用される皮膚由来の採取物は、被験者の負担軽減の点から、角層であるのが好ましい。角層の採取方法は、テープストリッピング法、擦過等、任意の方法で実施できるが、簡便性の点からテープストリッピング法を用いるのが好ましい。
テープストリッピングとは、皮膚表層に粘着テープ片を貼付し、剥がし、皮膚角層をその剥がした粘着テープに付着させることで角層試料を採取する方法である。
テープストリッピングの好ましい方法は、まず皮膚の表層の皮脂、汚れ等を取り除き、適当なサイズに切った粘着テープ片を皮膚表面の上に軽く載せ、テープ全体に均等な力を加えて平たく押さえ付け、その後均等な力で粘着テープを剥ぎ取ることで行われる。
皮膚表層の皮脂、汚れ等を取り除く方法としては、適当なペーパーでの清拭、石鹸を用いた洗浄、水又はエタノールによる浄化などが挙げられる。テープストリッピングに用いる粘着テープは、皮膚表層から角層を採取できる粘着力を有する粘着剤層とそれを支持するテープからなり、本発明の特定サイトカイン発現量の測定系に影響を与えないものであれば良く、特に限定されない。粘着剤としては、ゴム系、アクリル系、シリコーン系等のポリマーが挙げられ、支持するテープの材質としては、天然繊維若しくは合成繊維からなる紙若しくは布、又はポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロピレン等からなるプラスチックシート等を挙げることができる。粘着テープは市販品を使用することができ、例えば、アクリル系粘着剤を使用した(株)寺岡製作所のポリプロピレンフィルム粘着テープ(フィルムマスキングテープ465#40)が挙げられる。
本発明において使用される、角層以外の皮膚由来の採取物としては、皮膚表上脂質が挙げられる。皮膚表上脂質は、皮膚の表上に存在する脂溶性画分をいい、皮脂と呼ばれることもある。一般に皮膚表上脂質は、皮膚にある皮脂腺等の外分泌腺に由来する分泌物を主に含み、皮膚表面を覆う薄い層の形で皮膚表上に存在している。被験者から採取された皮膚表上脂質は、該被験体の皮膚細胞で発現したRNAやタンパク質を含む。
皮膚から皮膚表上脂質を採取する方法としては、あぶら取り紙、あぶら取りフィルム等のシート状素材へ吸収させる方法、ガラス板、テープ等へ接着させる方法、スパーテル、スクレイパー等によりこすり落として回収する方法、などが挙げられ、あぶら取り紙やあぶら取りフィルム等のシート素材へ吸収させる方法を用いるのが好ましい。
あぶら取り紙に吸収させる場合、あぶら取り紙を適度な力で皮膚表面に押し当てた状態で、採取部位全体を擦ることで皮膚表上脂質を採取することができる。
参考例1に示すように、プロテオーム解析により、角層中には、IL−1ra、IL−36ra、IL−36β、IL−36γ、及びIL−37の5種類のインターロイキンが検出された。斯かるインターロイキンは、いずれもIL−1ファミリーに属するサイトカインである。
このうち、「IL−36γ」は、IL36G遺伝子によってコードされるタンパク質である。IL−36γを含むIL−36サブファミリーはIL−36受容体に結合するとMyD88を介してNF−kB経路やMAPK経路を活性化させ、炎症性サイトカイン発現を上昇させることが知られている(J Leukoc Biol. 2015;97:645-52.)。乾癬患者の皮膚生検において、IL−36及びIL−36受容体が上昇していることが報告されている(J Immunol. 2011;186:2613-22.)。また、ケラチノサイトにIL−36サブファミリーを添加するとT細胞や抗原提示細胞を活性化させるCXCL1やCXCL8、CCL3、CCL5、CCL20といったケモカイン発現が上昇すること、IL−36αを皮内投与するとリンパ球が浸潤し表皮肥厚が起こるとの報告もされている(J Immunol. 2014;192:6053-61.)。すなわち、IL−36サブファミリーは炎症時にケラチノサイトから細胞外へ産生され炎症亢進に機能すると示唆される。
また、「IL−37」は、IL37遺伝子によってコードされるタンパク質である。IL−37は、IL−18Ra及びSIGIRRヘテロ受容体に結合し、抗炎症シグナルを伝達することが知られている(Allergy. 2015;70:366-73.)。
IL−36γ及びIL−37の発現レベルは、採取した皮膚試料中から、適宜、周知の方法によりタンパク質又は核酸を抽出した後、測定される。
例えは、タンパク質を抽出する場合は、採取した皮膚由来の採取物をTriton X−100/PBS溶液等に浸漬し、超音波破砕法、ホモジネート法等を用いてタンパク質を抽出した後、測定することができる。
また、採取した皮膚由来の採取物から核酸を抽出する場合は、生体試料からの核酸の抽出又は精製に通常使用される方法、例えば、フェノール/クロロホルム法、AGPC(acid guanidinium thiocyanate−phenol−chloroform extraction)法、又はTRIzol(登録商標)、RNeasy(登録商標)、QIAzol(登録商標)などのカラムを用いた方法、シリカをコーティングした特殊な磁性体粒子を用いる方法、Solid Phase Reversible Immobilization磁性体粒子を用いる方法、ISOGEN等の市販のRNA抽出試薬による抽出などを用いることができる。
IL−36γ及びIL−37の発現レベルは、IL−36γ及びIL−37のタンパク質の発現、当該タンパク質の活性、当該タンパク質をコードするmRNAの発現、IL−36γ遺伝子及びIL−37遺伝子のプロモーターの活性化等を指標として測定することができる。測定は、指標とするパラメータ(例えば、タンパク質発現、タンパク質の生物活性、mRNA発現、プロモーターの活性化等)の測定方法として当該分野で公知の方法に従って行えばよい。
タンパク質発現の測定方法の例としては、SDS−PAGE、クロマトグラフィー法、免疫学的測定法(例えば、免疫組織化学、ELISA、ウエスタンブロット、免疫沈降等)、比色定量法、質量分析等、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
好ましくは、例えば、IL−36γ又はIL−37に対する抗体との反応に基づくエンザイムイムノアッセイ法、ラジオイムノアッセイ法、ウエスタンブロッティング法等の免疫学的測定法が挙げられる。斯かる測定手段はすでに市販されており、代表的なIL−36γのエンザイムイムノアッセイキットとしてHuman IL−36G(IL−1F9) ELISA Kit(Thermo Fisher Scientific社)、IL−37のエンザイムイムノアッセイキットとしてHuman IL−37 uncoated ELISA Kit(Invitrogen社)を例示することができる。
mRNA発現の測定方法としては、ドットブロット法、ノーザンブロット法、RT−PCR、リアルタイムRT−PCR、マイクロアレイ、塩基配列シーケンシング等、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
IL−36γ遺伝子及びIL−37遺伝子のプロモーターの活性測定方法としては、レポーター遺伝子を用いたプロモーター活性や転写活性の蛍光・光学的測定(レポーターアッセイ)が挙げられる。
後述する実施例に示すとおり、IL−36γとIL−37のタンパク質発現量の比(IL−36γ/IL−37)が、赤味を伴う皮膚の微弱炎症の指標となる紅斑インデックスと有意な正相関が認められた(表2、図1)。ここで、紅斑インデックスとは、Mexameter MX18(Courage+Khazaka)によりヘモグロビンの吸収波長から算出された値である。炎症が起こると急性反応として皮膚に紅斑が現れ、例えば紫外線炎症では、紫外線量の増加に伴い、皮膚の赤味は上昇する(Proc Natl Acad Sci U S A. 2007;104:17500-5.)。
また、当該IL−36γ/IL−37値は、冬季(2月)に比べ春季(4月)に35%低下し(図2)、一般的に冬には肌が乾燥し、肌バリア機能は低下することと相応していた。
したがって、皮膚中のIL−36γとIL−37の発現レベルの比(IL−36γ/IL−37)から、皮膚炎症の代表的な症状である紅班の程度を客観的に把握することが可能となり、被験者の皮膚の炎症状態を評価することができる。
ここで、「皮膚の炎症状態」とは、皮膚炎症との関係における皮膚状態を意味し、具体的には、皮膚炎症の有無、皮膚炎症の程度、皮膚炎症の進行度、皮膚炎症の可能性の有無、皮膚炎症の治癒状況、皮膚炎症に対する改善もしくは予防効果が挙げられ、皮膚炎症としては、好ましくは、季節変動に伴って症状が変動する皮膚炎症が挙げられる。
なお、皮膚炎症を呈する病態としては、例えば、赤ら顔、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、はたけ、貨幣状湿疹、感染性湿疹様皮膚炎、自家感作性皮膚炎、皮脂欠乏性皮膚炎、白色粃糠疹、手足の湿疹、単純性苔癬、うっ滞性皮膚炎等の皮膚炎が挙げられる。
皮膚の炎症状態の評価は、IL−36γ/IL−37値を適宜決定された基準値と比較することにより、行うことができる。
基準値は、一態様として、紅班インデックスから判断される皮膚炎症の程度とIL−36γ/IL−37値との相関性に基づき、決定することできる。
また、別の態様として、様々な程度の炎症を呈する複数の集団(炎症群)についてIL−36γ/IL−37値を測定し、その炎症の程度とIL−36γ/IL−37値との相関性に基づき基準値を決定することも可能である。具体的には、各群に属するIL−36γ/IL−37値の統計解析結果に基づき、各群を特徴づけるIL−36γ/IL−37値の数値範囲が決定される。この数値範囲は、各群の平均値を中心とした上下の一定範囲に設定することにより決定される。ここで「一定範囲」とは、標準偏差(SD)等の統計数値や、1/2SD値、1/3SD値などを用いてもよいし、予め設定した任意の数値を用いてもよい。そして、各群を特徴づける数値範囲の上限又は下限を、基準値とする。
また、皮膚炎症の治癒状況、皮膚炎症に対する改善効果を評価する場合は、評価開始時点におけるIL−36γ/IL−37値を基準値とし、その後一定期間経過後のIL−36γ/IL−37値を測定し、基準値と比較することで評価することができる。
なお、本発明における「評価」とは、被験者の皮膚の炎症状態に関する情報提供行為であり、医師による診断等の医療行為を包含するものではない。
また、本発明の皮膚の炎症状態の評価方法によれば、皮膚外用剤の塗布試験や、何らかの機能性食品や医薬品、医薬部外品の摂取試験、温熱・冷却処理や鍼等の物理的処理等において、これらの被験物質の塗布若しくは摂取後又は物理的処理の施術後の皮膚中のIL−36γ/IL−37の発現レベルを測定し、その比(IL−36γ/IL−37)を基準値と比較することにより、その被験物質の皮膚の炎症状態に対する被験物質や物理的処理の有効性を評価すること、或いはそれに基づいて当該被験物質や物理的処理を有効成分又は有効処理として選択することができる。この場合、基準値としては、例えば被験物質の塗布若しくは摂取前又は物理的処理の施術前の皮膚中のIL−36γ/IL−37値を用いればよい。
ここで、「皮膚の炎症状態の評価」とは、例えば、炎症状態の「維持」又は「改善」について評価することである。「維持」とは、皮膚の炎症が変化しない又は予防された皮膚の状態を、定常的に維持することをいう。また、「改善」とは、皮膚の炎症状態を軽減すること、或いは炎症状態の進行(悪化)を防止又は遅延させることを意味し、「治療」を含む意である。具体的には、皮膚中のIL−36γ/IL−37値を、前述の基準値より小さい状態に維持することを指す。
参考例1
1.方法
6名の健常女性被験者に洗顔後10分間以上環境可変室(温度22℃、湿度50%)で馴化した後、右頬部に5cm×2.5cmにカットした粘着テープ(フィルムマスキングテープNo.465#40、寺岡製作所製)を貼り、一定圧で押し付けた後に剥がすという操作により、同一箇所から3枚の角層が付着した粘着テープを採取した。採取した角層付き粘着テープ(2.5cm×2.5cmを使用)3枚に、1mLの0.1%(V/V) Triton X−100/PBS溶液を添加し、Bioruptor(ソニック・バイオ株式会社)で超音波処理(High、30秒×10回、4℃)してタンパク質抽出を行った、抽出後遠心して上清をタンパク質抽出溶液として回収した。回収したタンパク質抽出溶液はBCA protein assay kit(Thermo Fisher Scientific)を用いてタンパク質濃度を測定した。被験者6名分のタンパク質抽出溶液のうち3名分のタンパク質抽出溶液を、タンパク質量が同等となるように混合して1プール(プールA)とし、残りの3名分についても同様に混合して1プール(プールB)とした。これら2プールについて分析を行った。
上記、テープストリッピング角層由来のタンパク質抽出溶液プール(A、B)を、HiPPR Detergent Removal Resin Column Kit(Thermo Fisher Scientific)に供し、界面活性剤除去を行い、nanoLC−MS/MSによるプロテオーム解析を実施した。得られた質量データはMascotを用いてデータベース検索を実施し、タンパク質同定を行った。
2.結果
プロテオーム解析の結果、テープストリッピング角層からIL−1ra、IL−36ra、IL−36β、IL−36γ、及びIL−37の5種類のインターロイキンが検出され、角層中に多く存在するサイトカインを同定することができた(表1)。
Figure 2021117164
実施例1
1.方法
健常女性被験者(31名)に洗顔後10分間以上環境可変室(温度22℃、湿度50%)で馴化してもらい、Mexameter MX18(Courage+Khazaka)により頬部の肌色を測定した。測定後、同じ頬部より参考例1と同様の手順にてテープストリッピング角層由来のタンパク質抽出溶液を調製し、分析に使用した。タンパク質抽出溶液中のIL−1ra、IL−1α、IL−36γ、及びIL−37量を、それぞれQuantikine ELISA Human IL−1ra/IL−1F3(R&D)、Quantikine ELISA Human IL−1α/IL−1F1(R&D)、Human IL−36G(IL−1F9) ELISA Kit(Thermo Fisher Scientific)、Human IL−37 uncoated ELISA Kit(Invitrogen)を用い、添付のプロトコルに従って測定した。また、BCA protein assay kit(Thermo Fisher Scientific)を用いてタンパク質抽出溶液中のタンパク質濃度を測定し、サイトカイン量の補正に用いた。肌赤味指標であるMexameter MX18の紅斑インデックスと各インターロイキンの相関係数を求めた。
2.結果
IL−1α、IL−1ra、IL−1ra/IL−1αについて紅斑インデックスと相関解析を行ったところ、いずれも有意な相関は認められなかった(表2)。一方、炎症亢進に働くIL−36γと抗炎症サイトカインIL−37については紅斑インデックスと正あるいは負に相関する傾向がみられ、IL−36γ/IL−37比については紅斑インデックスと有意な正相関が認められた(表2、図1)。すなわちIL−36γ/IL−37は赤味を伴う微弱炎症の指標になると考えられた。
Figure 2021117164
実施例2
1.方法
冬季(2月)と春季(4月)に同一健常女性被験者(14名)に試験協力を依頼した。洗顔後、環境可変室(温度22℃、湿度50%)で10分間以上馴化した後、右頬部から参考例1と同様の手順にてテープストリッピング角層由来のタンパク質抽出溶液を調製し、分析に使用した。
テープストリッピング角層由来タンパク質抽出溶液中のIL−36γ及びIL−37量は、それぞれHuman IL−36G(IL−1F9) ELISA Kit (Thermo Fisher Scientific)とHuman IL−37 uncoated ELISA Kit (Invitrogen)を用い、添付のプロトコルに従い測定した。また、BCA protein assay kit (Thermo Fisher Scientific)を用いてタンパク質濃度を測定し、サイトカイン量の補正に用いた。
2.結果
IL−36γについては有意な発現変化は認められなかったものの、IL−37は冬季(2月)に比べ春季(4月)に発現上昇が認められた(図2)。さらに、IL−36γ/IL−37は、冬季(2月)に比べ春季(4月)に35%低下した(図2)。一般的に冬は乾燥し、肌バリア機能は低下することから、IL−36γ/IL−37は季節変動に伴う皮膚炎症変化を検出できると示唆された。

Claims (4)

  1. 被験者皮膚由来の採取物中のIL−36γとIL−37の発現レベルを測定し、その比(IL−36γ/IL−37)を基準値と比較する工程を含む、皮膚の炎症状態の評価法。
  2. 被験者皮膚由来の採取物が角層である、請求項1記載の方法。
  3. 採取がテープストリッピング法による角層の採取である、請求項2記載の方法。
  4. 被験物質を被験者に塗布若しくは摂取する工程又は被験者に物理的処理を施す工程、及び皮膚由来の採取物中のIL−36γとIL−37の発現レベルを測定し、その比(IL−36γ/IL−37)を基準値と比較する工程を含む、皮膚の炎症状態の維持若しくは改善に対する被験物質又は前記物理的処理の有効性を評価する方法。
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