JP2021112749A - 摩擦攪拌接合方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】材種の異なるアルミニウム合金を好適に接合することができる摩擦攪拌接合方法を提供することを課題とする。【解決手段】先端側ピンF3の外周面を第一金属部材1の第一傾斜面13a1にわずかに接触させつつ、基端側ピンF2の外周面を第二金属部材2の外周面21bに接触させた状態で、隙間に第二アルミニウム合金を流入させながら、突合せ部J1を摩擦攪拌する本接合工程と、を含む。回転ツールFの回転中心軸線Zを鉛直軸jに対して傾斜させる傾斜角度γは、先端側ピンF3の外周面とのなす傾斜角度α1から第二金属部材2の第一傾斜面13a1の傾斜角度β1を減算した値と同じになっており(γ=α1−β1)、また、基端側ピンF2の外周面とのなす傾斜角度α2から第二金属部材2の第二傾斜面13a2の傾斜角度β2を減算した値と同じになっている(γ=α2−β2)。【選択図】図11
Description
本発明は、摩擦攪拌接合方法に関する。
例えば、特許文献1には、円柱状の第一金属部材と、円筒状の第二金属部材とを回転ツールを用いて摩擦攪拌接合する発明が開示されている。図14は、従来の摩擦攪拌接合方法を示す断面図である。
図14に示すように、従来の摩擦攪拌接合方法では、第一金属部材101と、第二金属部材102とを突き合わせて形成された突合せ部J10を摩擦攪拌接合する。回転ツールGは、円柱状のショルダ部G1と、攪拌ピンG2とを備えている。第一金属部材1には、段差側面101aと、段差底面101bとが形成されている。突合せ部J10は、第一金属部材101の段差底面101bと、第二金属部材102の端面102aとを突き合わせて形成されている。
ここで、第一金属部材101を例えば、4000系アルミニウム合金の鋳造材で形成し、第二金属部材102を1000系アルミニウム合金の展伸材で形成するというような場合がある。つまり、アルミニウム合金の材種の異なる部材同士を摩擦攪拌接合する場合がある。
例えば、第一金属部材101を鋳造材で形成し、第二金属部材102を展伸材で形成する場合、攪拌ピンG2が第二金属部材102側から受ける材料抵抗に比べて、第一金属部材101側から受ける材料抵抗が大きくなる。そのため、回転ツールGの攪拌ピンG2によって異なる材種をバランスよく攪拌することが困難となり、接合後の塑性化領域に空洞欠陥が発生し接合強度が低下するという問題がある。
このような観点から、本発明は、材種の異なるアルミニウム合金を好適に接合することができる摩擦攪拌接合方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、大径部の端部に小径部を備えた柱状の第一金属部材と、前記小径部と略同等の内径を有する筒状の第二金属部材とを端部同士で突き合わせて形成された被接合金属部材の突合せ部に対して、基端側ピンと先端側ピンとを備える回転ツールを用いて摩擦攪拌を行う摩擦攪拌接合方法であって、前記第一金属部材は、第一アルミニウム合金で形成されており、前記大径部の端面の内径側に第一傾斜面を備えるとともに、外径側に第二傾斜面を備え、前記第二金属部材は、第二アルミニウム合金で形成されており、端面は垂直面を備え、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きくなっており、前記基端側ピンの外周面には階段状のピン段差部が形成されており、前記第二金属部材の開口部に前記第一金属部材の前記小径部を挿入することにより、前記第二金属部材の内周面と前記第一金属部材の段差側面とを重ね合わせるとともに、前記第二金属部材の端面と前記第一金属部材の前記第一傾斜面とを突き合わせて突合せ部に断面V字状の隙間を形成する突合せ工程と、回転する前記回転ツールの前記先端側ピンを前記第二金属部材の外周面に挿入し、前記先端側ピンの外周面を前記第一金属部材の前記第一傾斜面にわずかに接触させつつ、前記基端側ピンの外周面を前記第二金属部材の外周面に接触させた状態で、前記隙間に前記第二アルミニウム合金を流入させながら、前記突合せ部よりも前記第二金属部材側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記第二金属部材の外周面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、前記本接合工程では、前記回転ツールの回転中心軸線の鉛直軸に対する傾斜角度をγとし、前記第一傾斜面の鉛直面に対する傾斜角度をβ1とし、前記第二傾斜面の鉛直面に対する傾斜角度をβ2とし、前記先端側ピンの外周面の前記回転中心軸線に対する傾斜角度をα1とし、前記基端側ピンの外周面の前記回転中心軸線に対する傾斜角度をα2とすると、γ=α1−β1且つγ=α2−β2にした状態で接合を行うことを特徴とする。
また、本発明は、大径部の端部に小径部を備えた円柱状の第一金属部材と、前記小径部と略同等の内径を有する円筒状の第二金属部材とを端面同士で突き合わせて形成された被接合金属部材の突合せ部に対して基端側ピンと先端側ピンとを備える回転ツールを用いて摩擦攪拌を行う摩擦攪拌接合方法であって、前記第一金属部材は、第一アルミニウム合金で形成されており、前記大径部の端面の内径側に第一傾斜面を備えるとともに、外径側に第二傾斜面を備え、前記第二金属部材は、第二アルミニウム合金で形成されており、端面は垂直面を備え、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きくなっており、前記基端側ピンの外周面には階段状のピン段差部が形成されており、前記第二金属部材の開口部に前記第一金属部材の前記小径部を挿入することにより、前記第二金属部材の内周面と前記第一金属部材の段差側面とを重ね合わせるとともに、前記第二金属部材の端面と前記第一金属部材の前記第一傾斜面とを突き合わせて突合せ部に断面V字状の隙間を形成する突合せ工程と、回転する前記回転ツールの前記先端側ピンを前記第二金属部材の外周面に挿入し、前記先端側ピンの外周面を前記第一金属部材の前記第一傾斜面にわずかに接触させつつ、前記基端側ピンの外周面を前記第二金属部材の外周面に接触させた状態で、前記隙間に前記第二アルミニウム合金を流入させながら、前記突合せ部よりも前記第二金属部材側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記第二金属部材の外周面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、前記本接合工程では、前記回転ツールの回転中心軸線の鉛直面に対する傾斜角度をγとし、前記第一傾斜面の鉛直面に対する傾斜角度をβ1とし、前記第二傾斜面の鉛直面に対する傾斜角度をβ2とし、前記先端側ピンの外周面の前記回転中心軸線に対する傾斜角度をα1とし、前記基端側ピンの外周面の前記回転中心軸線に対する傾斜角度をα2とすると、γ=α1−β1且つγ=α2−β2にした状態で接合を行うことを特徴とする。
かかる接合方法によれば、第二金属部材と先端側ピンとの摩擦熱によって突合せ部の主として第二金属部材側の第二アルミニウム合金が攪拌されて塑性流動化され、突合せ部において第一金属部材と第二金属部材とを接合することができる。また、先端側ピンの外周面を第一金属部材の第一傾斜面にわずかに接触させるに留めるため、第一金属部材から第二金属部材への第一アルミニウム合金の混入を極力少なくすることができる。これにより、突合せ部においては主として第二金属部材側の第二アルミニウム合金が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。また、基端側ピンの外周面を第二金属部材の外周面に接触させた状態で摩擦攪拌を行うため、バリの発生を抑制することができる。また、回転ツールの回転中心軸線の鉛直軸に対する傾斜角度γを、先端側ピンの外周面の回転中心軸線に対する傾斜角度α1から第一傾斜面の鉛直面に対する傾斜角度β1を減算した値及び基端側ピンの外周面の回転中心軸線に対する傾斜角度α2から第二傾斜面の鉛直面に対する傾斜角度β2を減算した値に一致させることにより、傾斜角度α1,β1,α2,β2として最適な値を選択することができると共に、先端側ピンの外周面と第一傾斜面及び基端側ピンの外周面と第二傾斜面とをそれぞれ平行にして、先端側ピン及び基端側ピンの外周面と各傾斜面との過度の接触を避けつつ、先端側ピン及び基端側ピンの外周面と各傾斜面とを高さ方向に亘って極力近接させることができる。
また、前記突合せ部に形成される塑性化領域の始端と終端とがオーバーラップしており、前記塑性化領域の一部が重複していることが好ましい。
かかる接合方法によれば、被接合金属部材の水密性及び気密性を高めることができる。
また、前記第二金属部材の外径は、前記第一金属部材の大径部の外径よりも大きいことが好ましい。
かかる接合方法によれば、接合部が金属不足になるのを防ぐことができる。
また、前記第一金属部材が前記回転ツールの進行方向左側に位置する場合、前記回転ツールを右回転させ、前記第一金属部材が前記回転ツールの進行方向右側に位置する場合、前記回転ツールを左回転させることが好ましい。
かかる接合方法によれば、塑性化領域のうち突合せ部側の摩擦攪拌が促進され、より好適に接合することができる。
また、前記本接合工程において、前記設定移動ルート上に設定した開始位置から回転する前記先端側ピンを挿入し、進行方向に移動させつつ所定の深さとなるまで徐々に前記先端側ピンを押入することが好ましい。
また、前記本接合工程において、回転する前記先端側ピンを前記設定移動ルートよりもさらに前記第一金属部材から離間した側に設定した開始位置に挿入した後、前記回転ツールの回転中心軸線を前記設定移動ルートと重複する位置まで移動させつつ前記所定の深さとなるまで前記先端側ピンを徐々に押入することが好ましい。
かかる接合方法によれば、回転ツールを設定移動ルートと重複する位置まで移動させながら所定の深さとなるまで先端側ピンを徐々に押入することにより、設定移動ルート上で摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。
また、回転ツールを設定移動ルート上で移動させつつ所定の深さとなるまで先端側ピンを徐々に押入することにより、設定移動ルート上の一点で摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。
また、回転ツールを設定移動ルート上で移動させつつ所定の深さとなるまで先端側ピンを徐々に押入することにより、設定移動ルート上の一点で摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。
また、前記本接合工程において、前記設定移動ルート上に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記先端側ピンを徐々に引き抜いて前記終了位置で前記第二金属部材から前記回転ツールを離脱させることが好ましい。
また、前記本接合工程において、前記設定移動ルートよりもさらに前記第一金属部材から離間した側に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記先端側ピンを徐々に引き抜いて前記終了位置で前記第二金属部材から前記回転ツールを離脱させることが好ましい。
かかる接合方法によれば、回転ツールを設定移動ルートと重複する位置まで移動させながら先端側ピンを徐々に引き抜くことにより、設定移動ルート上で摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。
また、回転ツールを設定移動ルート上で移動させつつ先端側ピンを徐々に引き抜くことにより、設定移動ルート上の一点で摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。
また、回転ツールを設定移動ルート上で移動させつつ先端側ピンを徐々に引き抜くことにより、設定移動ルート上の一点で摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。
また、前記本接合工程において、前記先端側ピンの先端が、前記第一金属部材の段差側面を突き抜けた状態で前記突合せ部の摩擦攪拌を行うことが好ましい。
かかる接合方法によれば、第一金属部材と第二金属部材との接合強度をより高めることができる。
本発明に係る摩擦攪拌接合方法によれば、材種の異なるアルミニウム合金を好適に接合することができる。
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。まずは、本実施形態に係る接合方法で用いる回転ツールについて説明する。回転ツールは、摩擦攪拌接合に用いられるツールである。図1に示すように、回転ツールFは、例えば工具鋼で形成されており、基軸部F1と、基端側ピンF2と、先端側ピンF3とで主に構成されている。基軸部F1は、円柱状を呈し、摩擦攪拌装置の主軸に接続される部位である。
基端側ピンF2は、基軸部F1に連続し、先端に向けて先細りになっている。基端側ピンF2は、円錐台形状を呈する。基端側ピンF2のテーパー角度Aは適宜設定すればよいが、例えば、135〜160°になっている。テーパー角度Aが135°未満であるか、又は、160°を超えると摩擦攪拌後の接合表面粗さが大きくなる。テーパー角度Aは、後記する先端側ピンF3のテーパー角度Bよりも大きくなっている。図2に示すように、基端側ピンF2の外周面には、階段状のピン段差部F21が高さ方向の全体に亘って形成されている。ピン段差部F21は、右回り又は左回りで螺旋状に形成されている。つまり、ピン段差部F21は、平面視して螺旋状であり、側面視すると階段状になっている。本第一実施形態では、回転ツールFを右回転させるため、ピン段差部F21は基端側から先端側に向けて左回りに設定している。
なお、回転ツールFを左回転させる場合は、ピン段差部F21を基端側から先端側に向けて右回りに設定することが好ましい。これにより、ピン段差部F21によって塑性流動材が先端側に導かれるため、被接合金属部材の外部に溢れ出る金属を低減することができる。ピン段差部F21は、段差底面F21aと、段差側面F21bとで構成されている。隣り合うピン段差部F21の各頂点F21c,F21cの距離X1(水平方向距離)は、後記する段差角度C及び段差側面F21bの高さY1に応じて適宜設定される。
段差側面F21bの高さY1は適宜設定すればよいが、例えば、0.1〜0.4mmで設定されている。高さY1が0.1mm未満であると接合表面粗さが大きくなる。一方、高さY1が0.4mmを超えると接合表面粗さが大きくなる傾向があるとともに、有効段差部数(被接合金属部材と接触しているピン段差部F21の数)も減少する。
段差底面F21aと段差側面F21bとでなす段差角度Cは適宜設定すればよいが、例えば、85〜120°で設定されている。段差底面F21aは、本実施形態では水平面と平行になっている。段差底面F21aは、ツールの回転軸から外周方向に向かって水平面に対して−5°〜15°内の範囲で傾斜していてもよい(マイナスは水平面に対して下方、プラスは水平面に対して上方)。距離X1、段差側面F21bの高さY1、段差角度C及び水平面に対する段差底面F21aの角度は、摩擦攪拌を行う際に、塑性流動材がピン段差部F21の内部に滞留して付着することなく外部に抜けるとともに、段差底面F21aで塑性流動材を押えて接合表面粗さを小さくすることができるように適宜設定する。
図1に示すように、先端側ピンF3は、基端側ピンF2に連続して形成されている。先端側ピンF3は円錐台形状を呈する。先端側ピンF3の先端は回転軸に対して垂直な平坦面F4になっている。先端側ピンF3のテーパー角度Bは、基端側ピンF2のテーパー角度Aよりも小さくなっている。図2に示すように、先端側ピンF3の外周面には、螺旋溝F31が刻設されている。螺旋溝F31は、右回り、左回りのどちらでもよいが、本第一実施形態では回転ツールFを右回転させるため、基端側から先端側に向けて左回りに刻設されている。
なお、回転ツールFを左回転させる場合は、螺旋溝F31を基端側から先端側に向けて右回りに設定することが好ましい。これにより、螺旋溝F31によって塑性流動材が先端側に導かれるため、被接合金属部材の外部に溢れ出る金属を低減することができる。螺旋溝F31は、螺旋底面F31aと、螺旋側面F31bとで構成されている。隣り合う螺旋溝F31の頂点F31c,F31cの距離(水平方向距離)を長さX2とする。螺旋側面F31bの高さを高さY2とする。螺旋底面F31aと、螺旋側面F31bとで構成される螺旋角度Dは例えば、45〜90°で形成されている。螺旋溝F31は、被接合金属部材と接触することにより摩擦熱を上昇させるとともに、塑性流動材を先端側に導く役割を備えている。また、回転ツールFは、先端にスピンドルユニット等の回転駆動手段を備えたロボットアームに取り付けてもよい。
回転ツールFは、適宜設計変更が可能である。図3は、本発明の回転ツールの第一変形例を示す側面図である。図3に示すように、第一変形例に係る回転ツールFAでは、ピン段差部F21の段差底面F21aと段差側面F21bとのなす段差角度Cが85°になっている。段差底面F21aは、水平面と平行である。このように、段差底面F21aは水平面と平行であるとともに、段差角度Cは、摩擦攪拌中にピン段差部F21内に塑性流動材が滞留して付着することなく外部に抜ける範囲で鋭角としてもよい。
図4は、本発明の回転ツールの第二変形例を示す側面図である。図4に示すように、第二変形例に係る回転ツールFBでは、ピン段差部F21の段差角度Cが115°になっている。段差底面F21aは水平面と平行になっている。このように、段差底面F21aは水平面と平行であるとともに、ピン段差部F21として機能する範囲で段差角度Cが鈍角となってもよい。
図5は、本発明の回転ツールの第三変形例を示す側面図である。図5に示すように、第三変形例に係る回転ツールFCでは、段差底面F21aがツールの回転軸から外周方向に向かって水平面に対して10°上方に傾斜している。段差側面F21bは、鉛直面と平行になっている。このように、摩擦攪拌中に塑性流動材を押さえることができる範囲で、段差底面F21aがツールの回転軸から外周方向に向かって水平面よりも上方に傾斜するように形成されていてもよい。上記の回転ツールの第一〜第三変形例によっても、下記の実施形態と同等の効果を奏することができる。
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法では、図6に示すように、第一金属部材1と、第二金属部材2を摩擦攪拌接合するというものである。第一金属部材1と第二金属部材2とを合わせて被接合金属部材Hとも言う。本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法では、準備工程と、突合せ工程と、本接合工程と、を行う。
本発明の第一実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法では、図6に示すように、第一金属部材1と、第二金属部材2を摩擦攪拌接合するというものである。第一金属部材1と第二金属部材2とを合わせて被接合金属部材Hとも言う。本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法では、準備工程と、突合せ工程と、本接合工程と、を行う。
準備工程は、第一金属部材1及び第二金属部材2を準備する工程である。図7及び図8に示すように、第一金属部材1は、大径部11と、小径部12を備えた中実の金属部材である。第一金属部材1は、摩擦攪拌可能な金属であれば特に制限されないが、本実施形態では第一アルミニウム合金を主に含んで形成されている。第一アルミニウム合金は、例えば、JISH5302 ADC12(Al-Si-Cu系)等のアルミニウム合金鋳造材を用いている。
大径部11は、円柱状を呈する。小径部12は、円柱状を呈し、大径部11の先端側に同心で形成されている。大径部11と小径部12とで段差部13が形成されている。段差部13は、段差傾斜面13aと、段差側面13bとで構成されている。段差傾斜面13aは、段差側面13bと接する内周部から、大径部11の外周面11bと接する外周部へと、径外方向に向かうにつれて段差側面13bから離間する方向に傾斜している。段差傾斜面13aは、内径側に形成された第一傾斜面13a1と、外径側に形成された第二傾斜面13a2とを備えている。
段差側面13bは、小径部12の外周面である。段差側面13bは、段差傾斜面13aから大径部11の先端方向に向けて立ち上がって形成されている。図8に示すように、第一金属部材1の中心軸を通過する断面から見たときに、第一傾斜面13a1は、第一金属部材1の中心軸と直交する面(鉛直面)に対して、傾斜角度β1をもって傾斜しており、第二傾斜面13a2は、第一金属部材1の中心軸と直交する面(鉛直面)に対して、傾斜角度β2をもって傾斜している(β2>β1)。
本実施形態では、第一傾斜面13a1の傾斜角度β1(図8参照)は、先端側ピンF3の傾斜角度α1(図1参照)と同一になっている。同様に、本例では、第二傾斜面13a2の傾斜角度β2(図8参照)は、基端側ピンF2の傾斜角度α2(図1参照)と同一になっている。段差側面13bは、小径部12の端面12aに対して垂直になっている。つまり、段差側面13bは、第一金属部材1の軸方向と平行になっている。
第二金属部材2は、円筒状を呈する金属部材である。第二金属部材2は、小径部と略同等の内径を有するとともに、大径部の外径よりも大きい外径を有する。第二金属部材2は、摩擦攪拌可能な金属であれば特に制限されないが、本実施形態では第二アルミニウム合金を主に含んで形成されている。第二アルミニウム合金は、第一アルミニウム合金よりも硬度の低い材料である。第二アルミニウム合金は、例えば、JIS A1050,A1100,A6063等のアルミニウム合金展伸材で形成されている。第二金属部材2の端面21aは、外周面21b及び内周面21cに対して垂直になっている。第一金属部材1の外径と第二金属部材2の外径は同一でもよいが、本実施形態では、第二金属部材2の外径を第一金属部材1の外径よりも大きく形成している。また、第二金属部材2の内周面21cの外径は、第一金属部材1の小径部12の外径と同一又は略同一になっている。なお、本明細書において硬度はブリネル硬さをいい、JIS Z 2243に準じた方法によって測定することができる。
突合せ工程は、図8に示すように、第一金属部材1の端部と、第二金属部材2の端部とを突き合わせる工程である。突合せ工程では、第一金属部材1の小径部12を、第二金属部材2の開口部に挿入する。これにより、第一金属部材1の段差傾斜面13aと、第二金属部材2の端面21aとが突き合わされて突合せ部J1が形成される。突合せ部J1の端面21aと第一傾斜面13a1との間には、周方向にわたって断面V字状の隙間が形成される。また、第一金属部材1の段差側面13bと、第二金属部材2の内周面21cとが重ね合わされて突合せ部J2が形成される。
図9に示すように、第二金属部材2の外周面21bには、設定移動ルートL1を設定する。設定移動ルートL1は、突合せ部J1よりも第二金属部材2側に設定されており、突合せ部J1と平行になっている。設定移動ルートL1は、後記する本接合工程において、突合せ部J1を接合するために必要な回転ツールFの移動ルートである。設定移動ルートL1については追って詳述する。
本接合工程は、図10及び図11に示すように、回転ツールFを用いて突合せ部J1を摩擦攪拌接合する工程である。本接合工程では、回転ツールFを固定して、被接合金属部材Hを周方向に回転させてもよいし、被接合金属部材Hを固定して被接合金属部材Hの周りに回転ツールFを移動させてもよい。
図10に示すように、本接合工程では、開始位置SP1から中間点S1までの押入区間と、設定移動ルートL1上の中間点S1から一周廻って中間点S2までの本区間と、中間点S2から終了位置EP1までの離脱区間の三つの区間を連続して摩擦攪拌接合する。中間点S1,S2は、設定移動ルートL1上に設定されている。開始位置SP1は、第二金属部材2の外周面21bにおいて、設定移動ルートL1よりも第一金属部材1から離間する側に設定されている。本実施形態では、開始位置SP1と中間点S1とを結ぶ線分と、設定移動ルートL1とのなす角度が鈍角となる位置に設定している。
本接合工程の押入区間では、図10及び図11に示すように、開始位置SP1から中間点S1までの摩擦攪拌を行う。押入区間では、外周面21bに対して回転中心軸線Zを垂直にしつつ、右回転させた先端側ピンF3を開始位置SP1に挿入し、中間点S1まで移動させる。つまり、回転ツールFが相対移動する間、回転中心軸線Zが第二金属部材2の外周面21bの法線と重なるように設定する。この際、図10に示すように、少なくとも中間点S1に到達するまでに予め設定された「所定の深さ」に達するように先端側ピンF3を徐々に押し入れていく。つまり、回転ツールFを一ヶ所に留まらせることなく、回転ツールFを設定移動ルートL1に移動させながら徐々に下降させていく。「所定の深さ」とは、設定移動ルートL1上の中間点S1から中間点S2までの本区間において、先端側ピンF3を差し込む深さをいう。
また、中間点S1に達した際に、先端側ピンF3の外周面と第一金属部材1の第一傾斜面13a1とがわずかに接触するように設定する。このとき、少なくとも先端側ピンF3の外周面と第一金属部材1との接触により、第一金属部材1側の第一アルミニウム合金がわずかに削り取られ、第一アルミニウム合金が第二金属部材2側に混入する。また、基端側ピンF2の外周面と第二金属部材2の外周面21bとが接触するように設定する。また、先端側ピンF3の平坦面F4が段差側面13bを突き抜けるように設定する。そして、そのまま本区間の摩擦攪拌接合に移行する。なお、基端側ピンF2の外周面は、第二傾斜面13a2に接触させない方が好ましい。また、先端側ピンF3の平坦面F4が、段差側面13bと接触しないように挿入深さを設定してもよい。
ここで、回転ツールFの回転中心軸線Zを鉛直軸jに対して傾斜させる傾斜角度γは、先端側ピンF3の外周面とのなす傾斜角度α1(図1)から第二金属部材2の第一傾斜面13a1の傾斜角度β1(図8)を減算した値と同じになっており(γ=α1−β1)、また、基端側ピンF2の外周面とのなす傾斜角度α2(図1)から第二金属部材2の第二傾斜面13a2の傾斜角度β2(図8)を減算した値と同じになっている(γ=α2−β2)。図11の例では、回転中心軸線Zと鉛直軸jとが一致しており、傾斜角度γ=0である。回転中心軸線Zと鉛直軸jとが所定の角度をなすように回転中心軸線Zを傾けて、傾斜角度γが0より大きく又は小さくなってもよい。第一傾斜面13a1と第一傾斜面13a1に臨む先端側ピンF3の外周面は平行である。また、第二傾斜面13a2と第二傾斜面13a2に臨む基端側ピンF2の外周面は平行である。
つまり、回転ツールFの回転中心軸線Zを傾ける方向は傾斜角度α1,β1,α2,β2の関係によって決定される。例えば、「α1>β1,α2>β2」の場合に傾斜角度γは正の値となり、第一金属部材側に回転ツールFの回転中心軸線Zを傾ける。また、「α1<β1,α2<β2」の場合に傾斜角度γは負の値となり、第二金属部材2側に回転ツールFの回転中心軸線Zを傾ける。よって、傾斜角度γが0より大きく又は小さくする場合は、それに合わせて第一傾斜面13a1、第二傾斜面13a2の傾斜角度を調整する必要がある。それによって、第一傾斜面13a1と第一傾斜面13a1に臨む先端側ピンF3の外周面は平行となるようにする。また、第二傾斜面13a2と第二傾斜面13a2に臨む基端側ピンF2の外周面は平行となるようにする。
先端側ピンF3の外周面と第一金属部材1の第一傾斜面13a1との接触代(オフセット量)Nは、例えば、0<N≦1.0mmの間で設定し、好ましくは0<N≦0.85mmの間で設定し、より好ましくは0<N≦0.65mmの間で設定する。
設定移動ルートL1は、図11に示すように、先端側ピンF3の平坦面F4の中心が通過する軌跡を示している。つまり、設定移動ルートL1は、突合せ部J1の周方向において、第一金属部材1の第一傾斜面13a1と先端側ピンF3の外周面とを平行にしつつ両者がわずかに接触するように設定されている。
本区間においては、上方から見た場合(外周面21b側から見た場合)に、平坦面F4の中心が、設定移動ルートL1と重なるように回転ツールFを相対移動させる。本区間においては、第二金属部材2の第二アルミニウム合金を突合せ部J1の隙間に流入させながら摩擦攪拌接合を行う。先端側ピンF3の外周面と第一傾斜面13a1とが接触しないように設定すると、突合せ部J1の接合強度が低くなる。一方、先端側ピンF3の外周面と第一傾斜面13a1との接触代Nが1.0mmを超えると第一金属部材1の第一アルミニウム合金が、第二金属部材2側に大量に混入して接合不良となるおそれがある。
本区間では、図6に示すように、回転ツールFを一周させて先端側ピンF3が中間点S2に到達したら、そのまま離脱区間に移行する。離脱区間では、中間点S2から終了位置EP1に向かうまでの間に先端側ピンF3を徐々に上方に移動させて、終了位置EP1で第二金属部材2から先端側ピンF3を離脱させる。つまり、回転ツールFを一ヶ所に留まらせることなく、回転ツールFを終了位置EP1に移動させながら第二金属部材2から離間する方向に徐々に引抜いていく。終了位置EP1は、終了位置EP1と中間点S2とが結ぶ線分と設定移動ルートL1とでなす角度が鈍角となる位置に設定する。回転ツールFの移動軌跡には塑性化領域Wが形成される。
以上説明した本実施形態における摩擦攪拌接合方法によれば、第二金属部材2と先端側ピンF3との摩擦熱によって突合せ部J1の主として第二金属部材2側の第二アルミニウム合金が攪拌されて塑性流動化され、突合せ部J1において第一金属部材1の段差傾斜面13aと、第二金属部材2の端面21aとを接合することができる。
また、先端側ピンF3の先端側ピンF3の外周面を第一金属部材1の第一傾斜面13a1にわずかに接触させるに留めるため、第一金属部材1から第二金属部材2への第一アルミニウム合金の混入を極力少なくすることができる。これにより、突合せ部J1においては主として第二金属部材2側の第二アルミニウム合金が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。つまり、本接合工程では、先端側ピンF3の回転中心軸線Zに対して一方側と他方側で、先端側ピンF3が受ける材料抵抗の不均衡を極力少なくすることができる。これにより、塑性流動材がバランス良く摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。
また、本接合工程において、先端側ピンF3の外周面と第一金属部材1の第一傾斜面13a1とが平行となるように回転ツールFの位置を設定することで、先端側ピンF3と第一金属部材1とをバランスよく接触させることができる。また、第二金属部材2の外径を、第一金属部材1の外径よりも大きく設定することにより、接合部が金属不足になるのを防ぐことができる。また、本実施形態では、先端側ピンF3の平坦面F4が段差側面13bを突き抜けるように設定して摩擦攪拌接合を行うことで、第一金属部材1と第二金属部材2との接合強度をより高めることができる。また、本実施形態では、第一金属部材1はダイキャスト材からなり、第二金属部材2は展伸材からなることで、被接合金属部材Hを容易に形成することができる。
また、本実施形態では、本接合工程において、基端側ピンF2の外周面と第二金属部材2の外周面21bとを接触させ、塑性流動材を押さえながら摩擦攪拌を行うため、バリの発生を抑制することができる。また、基端側ピンF2の外周面で塑性流動材を押えることができるため、接合表面(第一金属部材1の外周面11b及び第二金属部材2の外周面21b)に形成される段差凹溝を小さくすることができるとともに、段差凹溝の脇に形成される膨出部を無くすか若しくは小さくすることができる。また、基端側ピンF2の階段状のピン段差部F21は浅く、かつ、出口が広いため、塑性流動材を段差底面F21aで押えつつ塑性流動材がピン段差部F21の外部に抜けやすくなっている。そのため、基端側ピンF2で塑性流動材を押えても基端側ピンF2の外周面に塑性流動材が付着し難い。よって、接合表面粗さを小さくすることができるとともに、接合品質を好適に安定させることができる。
また、回転ツールFの回転中心軸線Zの鉛直軸jに対する傾斜角度γを、先端側ピンF3の外周面の回転中心軸線Zに対する傾斜角度α1から第一傾斜面13a1の鉛直面に対する傾斜角度β1を減算した値及び基端側ピンF2の外周面の回転中心軸線に対する傾斜角度α2から第二傾斜面13a2の鉛直面に対する傾斜角度β2を減算した値に一致させることにより、傾斜角度α1,β1,α2,β2として最適な値を選択することができると共に、先端側ピンF3の外周面と第一傾斜面13a1及び基端側ピンF2の外周面と第二傾斜面13a2とをそれぞれ平行にして、先端側ピンF3及び基端側ピンF2の外周面と各第一傾斜面13a1及び第二傾斜面13a2との過度の接触を避けつつ、先端側ピンF3及び基端側ピンF2の外周面と各第一傾斜面13a1及び第二傾斜面13a2とを高さ方向に亘って極力近接させることができる。
また、傾斜角度α1,α2は、摩擦攪拌接合(FSW=Friction Stir Welding)の技術分野による回転ツールの設計思想により決定され、傾斜角度β1,β2は、鋳造分野(例えばダイキャスト)による金型の設計思想により決定される。つまり、傾斜角度α1,α2,β1,β2は共に設計思想によって最適な値があるので、「α1=β1,α2=β2」にすることは難しい場合がある。しかし、本実施形態によれば、傾斜角度α1,α2,β1,β2を自由に選択することが可能であるので最適な値を選択することができる。
図11の例では、基端側ピンF2の外周面と第二傾斜面13a2とは接触させていない。この場合は、第一金属部材1から第二金属部材2への第一アルミニウム合金の混入を極力少なくすることができる。これにより、突合せ部J1においては主として第二金属部材2側の第二アルミニウム合金が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。
ここで、先端側ピンF3を設定移動ルートL1に挿入する際、設定移動ルートL1上に摩擦攪拌の開始位置を設定して所定の深さとなるまで鉛直方向に先端側ピンF3を押入すると、開始位置における摩擦熱が過大となる。これにより、当該開始位置において、第一金属部材1側の金属が第二金属部材2側に混入しやすくなり、接合不良の一因となるという問題がある。
これに対し、本実施形態の本接合工程の押入区間では、開始位置SP1から設定移動ルートL1と重複する位置まで回転ツールFを移動させつつ所定の深さとなるまで先端側ピンF3を徐々に押入することにより、設定移動ルートL1上で回転ツールFが停止して摩擦熱が局所的に過大になるのを防ぐことができる。
同様に、本接合工程の離脱区間では、設定移動ルートL1から終了位置EP1まで回転ツールFを移動させつつ所定の深さから先端側ピンF3を徐々に引き抜いて離脱させることにより、設定移動ルートL1上で回転ツールFが停止して摩擦熱が局所的に過大になるのを防ぐことができる。
これらにより、設定移動ルートL1上で摩擦熱が過大となり、第一金属部材1から第二金属部材2へ第一アルミニウム合金が過剰に混入して接合不良となるのを防ぐことができる。
また、本接合工程において、開始位置SP1及び終了位置EP1の位置は適宜設定すればよいが、開始位置SP1と設定移動ルートL1とのなす角度、終了位置EP1と設定移動ルートL1とのなす角度が鈍角となるように設定することにより、中間点S1,S2で回転ツールFの移動速度が低下することなくスムーズに本区間又は離脱区間に移行することができる。これにより、設定移動ルートL1上で回転ツールFが停止又は移動速度が低下することにより、摩擦熱が過大となることを防ぐことができる。なお、上方から見て回転ツールFの軌跡が円弧を描くように開始位置SP1から設定移動ルートL1に回転ツールFを移動させてもよい。同様に、上方から見て回転ツールFの軌跡が円弧を描くように設定移動ルートL1から終了位置EP1に回転ツールFを移動させてもよい。
また、本実施形態の本接合工程では、回転ツールFの回転方向及び進行方向は適宜設定すればよいが、回転ツールFの移動軌跡に形成される塑性化領域Wのうち、第一金属部材1(突合せ部J1側)がシアー側となり、第二金属部材2側がフロー側となるように回転ツールFの回転方向及び進行方向を設定した。第一金属部材1側がシアー側となるように設定することで、突合せ部J1の周囲における先端側ピンF3による攪拌作用が高まり、突合せ部J1における温度上昇が期待でき、突合せ部J1において第一金属部材1の段差傾斜面13aと、第二金属部材2の端面21aとをより確実に接合することができる。
なお、シアー側(Advancing side)とは、被接合部に対する回転ツールの外周の相対速度が、回転ツールの外周における接線速度の大きさに移動速度の大きさを加算した値となる側を意味する。一方、フロー側(Retreating side)とは、回転ツールの移動方向の反対方向に回転ツールが回動することで、被接合部に対する回転ツールの相対速度が低速になる側を言う。
また、第一金属部材1の第一アルミニウム合金は、第二金属部材2の第二アルミニウム合金よりも硬度の高い材料になっている。これにより、被接合金属部材Hの耐久性を高めることができる。また、第一金属部材1の第一アルミニウム合金をアルミニウム合金鋳造材とし、第二金属部材2の第二アルミニウム合金をアルミニウム合金展伸材とすることが好ましい。第一アルミニウム合金を例えば、JISH5302 ADC12等のAl−Si−Cu系アルミニウム合金鋳造材とすることにより、第一金属部材1の鋳造性、強度、被削性等を高めることができる。また、第二アルミニウム合金を例えば、JIS A1000系又はA6000系とすることにより、加工性、熱伝導性を高めることができる。
また、本接合工程においては、突合せ部J1の全周を摩擦攪拌接合するため、被接合金属部材Hの気密性及び水密性を高めることができる。また、本接合工程の終端部分において、回転ツールFが中間点S1を完全に通過してから終了位置EP1に向かうようにする。つまり、本接合工程によって形成された塑性化領域Wの各端部同士をオーバーラップさせることにより、より気密性及び水密性を高めることができる。
なお、本接合工程では、回転ツールFの回転速度を一定としてもよいが、可変させてもよい。本接合工程の押入区間において、開始位置SP1における回転ツールFの回転速度をV1とし、本区間における回転ツールFの回転速度をV2とすると、V1>V2としてもよい。回転速度のV2は、設定移動ルートL1における予め設定された一定の回転速度である。つまり、開始位置SP1では、回転速度を高く設定しておき、押入区間内で徐々に回転速度を低減させながら本区間に移行してもよい。
また、本接合工程の離脱区間において、本区間における回転ツールFの回転速度をV2、終了位置EP1において離脱させるときの回転ツールFの回転速度をV3とすると、V3>V2としてもよい。つまり、離脱区間に移行したら、終了位置EP1に向けて徐々に回転速度を上げながら第二金属部材2から回転ツールFを離脱させてもよい。回転ツールFを第二金属部材2に押し入れる際又は第二金属部材2から離脱させる際に、前記のように設定することで、押入区間又は離脱区間時における少ない押圧力を、回転速度で補うことができるため、摩擦攪拌を好適に行うことができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る摩擦攪拌接合方法について説明する。第二実施形態では、図12及び図13に示すように、本接合工程における開始位置SP1及び終了位置EP1の位置をいずれも設定移動ルートL1上に設定する点で第一実施形態と相違する。第二実施形態では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。
次に、本発明の第二実施形態に係る摩擦攪拌接合方法について説明する。第二実施形態では、図12及び図13に示すように、本接合工程における開始位置SP1及び終了位置EP1の位置をいずれも設定移動ルートL1上に設定する点で第一実施形態と相違する。第二実施形態では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。
第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造では、準備工程と、突合せ工程と、本接合工程とを行う。準備工程及び突合せ工程は、第一実施形態と同一である。
本接合工程では、図12に示すように、開始位置SP1を設定移動ルートL1上に設定する。本接合工程では、開始位置SP1から中間点S1までの押入区間と、設定移動ルートL1上の中間点S1から一周廻って中間点S2までの本区間と、中間点S2から終了位置EP1(図13参照)までの離脱区間の三つの区間を連続して摩擦攪拌する。
押入区間では、図12に示すように、開始位置SP1から中間点S1までの摩擦攪拌を行う。押入区間では、回転中心軸線Zを垂直となるようにしつつ、右回転させた先端側ピンF3を開始位置SP1に挿入し、中間点S1まで移動させる。この際、少なくとも中間点S1に到達するまでに予め設定された「所定の深さ」に達するように先端側ピンF3を徐々に押し入れていく。つまり、回転ツールFを一ヶ所に留まらせることなく、回転ツールFを設定移動ルートL1に移動させながら徐々に下降させていく。
また、押入区間においては、中間点S1に達した際に、先端側ピンF3の外周面と第一金属部材1の第一傾斜面13a1とがわずかに接触するように設定する。さらに、基端側ピンF2の外周面と第二金属部材2の外周面21bとが接触するように設定するとともに、基端側ピンF2の平坦面F4が第一金属部材1の段差側面13bを突き抜けるように設定する。先端側ピンF3の外周面と第一金属部材1の第二傾斜面13a2とは接触させてもよいが、接触させない方が好ましい。この回転ツールFの姿勢を維持した状態で、そのまま本区間の摩擦攪拌接合に移行する。先端側ピンF3の外周面と第一金属部材1の段差傾斜面13aとの接触代(オフセット量)N及び設定移動ルートL1の設定は第一実施形態と同一である。
本区間では、図13のように設定移動ルートL1に沿って回転ツールFを一周させる。回転ツールFを一周させて先端側ピンF3が中間点S2に到達したら、そのまま離脱区間に移行する。終了位置EP1は、設定移動ルートL1上に設定されている。離脱区間では、中間点S2から終了位置EP1に向かうまでの間に先端側ピンF3を徐々に引き抜いて、終了位置EP1で第二金属部材2から先端側ピンF3を離脱させる。つまり、回転ツールFを一ヶ所に留まらせることなく、回転ツールFを終了位置EP1に移動させながら徐々に引抜いていく。
以上説明した第二実施形態に係る摩擦攪拌接合方法によっても第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。さらに、第二実施形態に係る本接合工程の押入区間では、回転ツールFを設定移動ルートL1上で移動させつつ所定の深さとなるまで先端側ピンF3を徐々に押入することにより、設定移動ルートL1上の一点で回転ツールFが停止して摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。また、第二実施形態に係る本接合工程の離脱区間では、回転ツールFを設定移動ルート上で移動させつつ先端側ピンF3を徐々に離脱させることにより、設定移動ルートL1上の一点で回転ツールFが停止して摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。第二実施形態のように本接合工程における開始位置SP1及び終了位置EP1は、設定移動ルートL1上に設定してもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、適宜設計変更が可能である。例えば、第一金属部材1及び第二金属部材2は、矩形、多角形、楕円形等他の断面形状の柱状部材でもよい。また、両方とも中実部材でもよいし、両方とも筒状部材でもよい。
1 第一金属部材
2 第二金属部材
13a1 第一傾斜面
13a2 第二傾斜面
21a 端面
F 回転ツール
F2 基端側ピン
F3 先端側ピン
F4 平坦面
J1 突合せ部
SP1 開始位置
EP1 終了位置
W 塑性化領域
2 第二金属部材
13a1 第一傾斜面
13a2 第二傾斜面
21a 端面
F 回転ツール
F2 基端側ピン
F3 先端側ピン
F4 平坦面
J1 突合せ部
SP1 開始位置
EP1 終了位置
W 塑性化領域
Claims (10)
- 大径部の端部に小径部を備えた柱状の第一金属部材と、前記小径部と略同等の内径を有する筒状の第二金属部材とを端部同士で突き合わせて形成された被接合金属部材の突合せ部に対して、基端側ピンと先端側ピンとを備える回転ツールを用いて摩擦攪拌を行う摩擦攪拌接合方法であって、
前記第一金属部材は、第一アルミニウム合金で形成されており、前記大径部の端面の内径側に第一傾斜面を備えるとともに、外径側に第二傾斜面を備え、
前記第二金属部材は、第二アルミニウム合金で形成されており、端面は垂直面を備え、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、
前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きくなっており、前記基端側ピンの外周面には階段状のピン段差部が形成されており、
前記第二金属部材の開口部に前記第一金属部材の前記小径部を挿入することにより、前記第二金属部材の内周面と前記第一金属部材の段差側面とを重ね合わせるとともに、前記第二金属部材の端面と前記第一金属部材の前記第一傾斜面とを突き合わせて突合せ部に断面V字状の隙間を形成する突合せ工程と、
回転する前記回転ツールの前記先端側ピンを前記第二金属部材の外周面に挿入し、前記先端側ピンの外周面を前記第一金属部材の前記第一傾斜面にわずかに接触させつつ、前記基端側ピンの外周面を前記第二金属部材の外周面に接触させた状態で、前記隙間に前記第二アルミニウム合金を流入させながら、前記突合せ部よりも前記第二金属部材側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記第二金属部材の外周面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、
前記本接合工程では、前記回転ツールの回転中心軸線の鉛直軸に対する傾斜角度をγとし、前記第一傾斜面の鉛直面に対する傾斜角度をβ1とし、前記第二傾斜面の鉛直面に対する傾斜角度をβ2とし、前記先端側ピンの外周面の前記回転中心軸線に対する傾斜角度をα1とし、前記基端側ピンの外周面の前記回転中心軸線に対する傾斜角度をα2とすると、γ=α1−β1且つγ=α2−β2にした状態で接合を行うことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。 - 前記突合せ部に形成される塑性化領域の始端と終端とがオーバーラップしており、前記塑性化領域の一部が重複していることを特徴とする請求項1に記載の摩擦攪拌接合方法。
- 前記第二金属部材の外径は、前記第一金属部材の大径部の外径よりも大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の摩擦攪拌接合方法。
- 前記第一金属部材が前記回転ツールの進行方向左側に位置する場合、前記回転ツールを右回転させ、
前記第一金属部材が前記回転ツールの進行方向右側に位置する場合、前記回転ツールを左回転させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の摩擦攪拌接合方法。 - 前記本接合工程において、前記設定移動ルート上に設定した開始位置から回転する前記先端側ピンを挿入し、進行方向に移動させつつ所定の深さとなるまで徐々に前記先端側ピンを押入することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の摩擦攪拌接合方法。
- 前記本接合工程において、回転する前記先端側ピンを前記設定移動ルートよりもさらに前記第一金属部材から離間した側に設定した開始位置に挿入した後、前記回転ツールの回転中心軸線を前記設定移動ルートと重複する位置まで移動させつつ前記所定の深さとなるまで前記先端側ピンを徐々に押入することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の摩擦攪拌接合方法。
- 前記本接合工程において、前記設定移動ルート上に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記先端側ピンを徐々に引き抜いて前記終了位置で前記第二金属部材から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の摩擦攪拌接合方法。
- 前記本接合工程において、前記設定移動ルートよりもさらに前記第一金属部材から離間した側に終了位置を設定し、前記突合せ部に対する摩擦攪拌の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記先端側ピンを徐々に引き抜いて前記終了位置で前記第二金属部材から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の摩擦攪拌接合方法。
- 前記本接合工程において、前記先端側ピンの先端が、前記第一金属部材の前記段差側面を突き抜けた状態で前記突合せ部の摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の摩擦攪拌接合方法。
- 大径部の端部に小径部を備えた円柱状の第一金属部材と、前記小径部と略同等の内径を有する円筒状の第二金属部材とを端面同士で突き合わせて形成された被接合金属部材の突合せ部に対して基端側ピンと先端側ピンとを備える回転ツールを用いて摩擦攪拌を行う摩擦攪拌接合方法であって、
前記第一金属部材は、第一アルミニウム合金で形成されており、前記大径部の端面の内径側に第一傾斜面を備えるとともに、外径側に第二傾斜面を備え、
前記第二金属部材は、第二アルミニウム合金で形成されており、端面は垂直面を備え、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であり、
前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きくなっており、前記基端側ピンの外周面には階段状のピン段差部が形成されており、
前記第二金属部材の開口部に前記第一金属部材の前記小径部を挿入することにより、前記第二金属部材の内周面と前記第一金属部材の段差側面とを重ね合わせるとともに、前記第二金属部材の端面と前記第一金属部材の前記第一傾斜面とを突き合わせて突合せ部に断面V字状の隙間を形成する突合せ工程と、
回転する前記回転ツールの前記先端側ピンを前記第二金属部材の外周面に挿入し、前記先端側ピンの外周面を前記第一金属部材の前記第一傾斜面にわずかに接触させつつ、前記基端側ピンの外周面を前記第二金属部材の外周面に接触させた状態で、前記隙間に前記第二アルミニウム合金を流入させながら、前記突合せ部よりも前記第二金属部材側に設定された設定移動ルートに沿って所定の深さで前記第二金属部材の外周面の廻りに一周させて前記突合せ部を摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、
前記本接合工程では、前記回転ツールの回転中心軸線の鉛直軸に対する傾斜角度をγとし、前記第一傾斜面の鉛直面に対する傾斜角度をβ1とし、前記第二傾斜面の鉛直面に対する傾斜角度をβ2とし、前記先端側ピンの外周面の前記回転中心軸線に対する傾斜角度をα1とし、前記基端側ピンの外周面の前記回転中心軸線に対する傾斜角度をα2とすると、γ=α1−β1且つγ=α2−β2にした状態で接合を行うことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
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