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JP2020062845A - バイオマス成形材料の製造方法、バイオマス成形材料、及びバイオマス成形体の製造方法 - Google Patents

バイオマス成形材料の製造方法、バイオマス成形材料、及びバイオマス成形体の製造方法 Download PDF

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JP2020062845A JP2018197045A JP2018197045A JP2020062845A JP 2020062845 A JP2020062845 A JP 2020062845A JP 2018197045 A JP2018197045 A JP 2018197045A JP 2018197045 A JP2018197045 A JP 2018197045A JP 2020062845 A JP2020062845 A JP 2020062845A
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内藤 茂樹
Shigeki Naito
茂樹 内藤
前田 直彦
Naohiko Maeda
直彦 前田
彩乃 藤本
Ayano Fujimoto
彩乃 藤本
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Abstract

【課題】優れた耐水性及び強度を有するバイオマス成形体を、生産性良く製造するのに好適なバイオマス成形材料の製造方法を提供する。
【解決手段】バイオマス成形材料は、バイオマス成形体の材料として用いられる。バイオマス成形材料の製造方法は、糖類を含む植物の粉砕物又は単板と、多価カルボン酸とを含む未反応物を無加圧状態で加熱して硬化反応を開始させ、前記硬化反応の途中で冷却して、前記硬化反応を止める。
【選択図】なし

Description

本開示は、一般にバイオマス成形材料の製造方法、バイオマス成形材料、及びバイオマス成形体の製造方法に関する。より詳細にはバイオマス成形体の材料として用いられるバイオマス成形材料の製造方法、バイオマス成形材料、及びバイオマス成形体の製造方法に関する。
特許文献1は、成形体の製造方法を開示する。この成形体の製造方法では、加熱・加圧により硬化する組成物を、型に入れ、180℃〜250℃に加熱し、5kgf/cm〜70kgf/cmで加圧している。上記の組成物は、粉末化又は小片化された植物由来物(a)とポリカルボン酸(b)とを主成分としている。植物由来物(a)は、草木の木部、樹皮から選択される。ポリカルボン酸(b)は、クエン酸、イタコン酸、リンゴ酸から選択される。植物由来物(a)とポリカルボン酸(b)との重量比は1.0〜8.0:1.0である。
特許第5472639号公報
特許文献1では、上下の熱板を有するプレス機により、植物由来物(a)とポリカルボン酸(b)とを含む組成物をそのまま加熱・加圧して、一気に成形体を製造するようにしている。しかしながら、このようにして得られた成形体の耐水性及び強度には改良の余地がある。
また特許文献1では、ディスタンスバー(プレス機の上下の熱板の間隔を規制する厚さ規制治具)を用いて、得ようとする成形体の厚さを制御しながら、プレス機により加熱・加圧を行っている。しかしながら、このプレス機による成形時間が長いため、生産性にも改良の余地がある。
本開示の目的は、優れた耐水性及び強度を有するバイオマス成形体を、生産性良く製造するのに好適なバイオマス成形材料の製造方法、バイオマス成形材料、及びバイオマス成形体の製造方法を提供することにある。
本開示の一態様に係るバイオマス成形材料の製造方法は、バイオマス成形体の材料として用いられるバイオマス成形材料の製造方法である。糖類を含む植物の粉砕物又は単板と、多価カルボン酸とを含む未反応物を無加圧状態で加熱して硬化反応を開始させ、前記硬化反応の途中で冷却して、前記硬化反応を止める。
本開示の一態様に係るバイオマス成形材料は、バイオマス成形体の材料として用いられる。前記バイオマス成形材料は、糖類を含む植物と、多価カルボン酸との硬化反応の中間生成物である。前記中間生成物は、粉体状又は単板状であり、かつ、熱硬化性を有する。
本開示の一態様に係るバイオマス成形体の製造方法は、糖類を含む植物の粉砕物又は単板と、多価カルボン酸とを含む未反応物を無加圧状態で加熱して硬化反応を開始させ、前記硬化反応の途中で冷却して、前記硬化反応を止めることにより、バイオマス成形材料を得る工程と、前記バイオマス成形材料を加熱及び加圧して成形する工程と、を含む。
本開示によれば、優れた耐水性及び強度を有するバイオマス成形体を、生産性良く製造するのに好適なバイオマス成形材料を得ることができる。
1.概要
本実施形態に係るバイオマス成形材料は、バイオマス成形体の材料として用いられる。バイオマス成形材料の製造方法では、母材(糖類を含む植物の粉砕物又は単板)と、多価カルボン酸とを含む未反応物を無加圧状態で加熱して硬化反応を開始させ、この硬化反応を途中で冷却して止める。硬化反応時に生じる縮合水は除去される。このようにして、バイオマス成形材料が得られる。すなわち、バイオマス成形材料は、糖類を含む植物と、多価カルボン酸との硬化反応の中間生成物である。バイオマス成形材料は、粉体状又は単板状であり、かつ、熱硬化性を有する。
ここで、上記の未反応物を加熱及び加圧して、一気にバイオマス成形体を製造することも可能であるが、この場合には、未反応物の硬化反応に伴って生じる縮合水の大部分がバイオマス成形体に取り込まれるおそれがある。このような縮合水の取り込みは、バイオマス成形体の耐水性及び強度の低下の原因となり得る。
これに対して、バイオマス成形材料を用いてバイオマス成形体を製造する場合には、ある程度の縮合水がバイオマス成形材料の製造時に除去されている。そのため、上記の未反応物からバイオマス成形材料を経由してバイオマス成形体を製造する方が、バイオマス成形体の耐水性及び強度の向上につながる。
したがって、バイオマス成形材料は、優れた耐水性及び強度を有するバイオマス成形体を、生産性良く製造するのに好適である。バイオマス成形材料は、製造後直ちに使用しなくてもよく、一定期間保管した後に使用してもよい。
2.詳細
(1)バイオマス成形材料の製造方法
本実施形態に係るバイオマス成形材料は、バイオマス成形体を製造する材料として用いられる。バイオマス成形材料は、未反応物が途中まで硬化した半硬化物である。未反応物は、硬化反応前の物質である。半硬化物は、硬化反応の中間段階(Bステージ)にある物質である。バイオマス成形材料の硬化物がバイオマス成形体である。バイオマス成形体は、いわば最終製品である。硬化物は、硬化反応の終了段階にある物質である。換言すれば、硬化物は、完全に硬化した状態にある物質である。
バイオマス成形材料を製造するにあたっては、第1に、未反応物が、糖類を含む植物の粉砕物と、多価カルボン酸とを含む場合と、第2に、未反応物が、糖類を含む植物の単板と、多価カルボン酸とを含む場合と、の2つの場合がある。第1の場合に得られるバイオマス成形材料は、粉体状であり、かつ、熱硬化性を有する。第2の場合に得られるバイオマス成形材料は、単板状であり、かつ、熱硬化性を有する。以下、バイオマス成形材料の製造方法について、2つの場合に分けて説明する。
まず、第1の場合について説明する。すなわち、未反応物が、糖類を含む植物の粉砕物と、多価カルボン酸とを含む場合である。未反応物中では、糖類を含む植物の粉砕物と、多価カルボン酸とが共存するだけで、これらはまだ反応していない。
植物は、木本(いわゆる木)と草本(いわゆる草)とに大別されるが、木本でもよく、草本でもよい。植物は、ヤシ(椰子)及びサトウキビが好ましく、ヤシの中でもアブラヤシ及びココヤシが好ましい。ヤシ及びサトウキビは、他の植物に比べて糖類を比較的多く含むためである。
ところで、東南アジアではパーム油産業が盛んであるが、ヤシは20〜30年で実の付きが悪くなるため、このような古木をいかに処理するかが問題となっている。それというのも、温室効果ガスの放出を防ぐなどという目的で古木の焼却処分が禁止されており、それに加えてヤシは含水率が高いため、木材としての再利用が難しいからである。このようなことから、伐採されたヤシの古木などを有効利用することが望まれており、バイオマス成形材料の原料として容易に入手することができる。
植物の粉砕物(例えばヤシ粉砕物及びバガスなど)は、次のようにして得ることができる。まず植物の幹等を粉砕して圧搾することにより、残渣と搾汁とに分ける。次に残渣を乾燥させる。
例えば、残渣を風乾させることによって、植物の粉砕物を得ることができる。この場合、植物の粉砕物に水分が残っていてもよい。後述の未反応物の加熱処理により、水分が除去されるからである。
残渣の水分を可能な限り除去しておいてもよい。すなわち、残渣を105℃±2℃で乾燥させることによって、植物の粉砕物を得ることができる。このように残渣を乾燥させることによって、残渣中の水分を蒸発させることができる。これにより、植物の粉砕物は、絶乾状態となる。絶乾状態は、105℃±2℃の熱風乾燥機中に残渣を放置して恒量になった状態を意味する。恒量になった状態とは、15分間以上の間隔で残渣の質量を測定し、その前後の質量差が後の質量の0.1%以内となった状態を意味する。
植物の粉砕物に含まれる糖類は、単糖、二糖及び多糖(オリゴ糖を含む)である。二糖及び多糖は、複数の単糖がグリコシド結合して構成されている。
単糖として、例えば、フルクトース、リボース、アラビノース、ラムノース、キシルロース及びデオキシリボースが挙げられる。
二糖として、例えば、スクロース、マルトース、トレハロース、ツラノース、ラクツロース、マルツロース、パラチノース、ゲンチオビウロース、メリビウロース、ガラクトスクロース、ルチヌロース及びプランテオビオースが挙げられる。
多糖として、例えば、デンプン、アガロース、アルギン酸、グルコマンナン、イヌリン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、グリコーゲン及びセルロースが挙げられる。オリゴ糖として、例えば、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖及びスタキオースが挙げられる。
糖類は、植物の粉砕物に1種のみ含有されていても2種以上含有されていてもよい。
多価カルボン酸は、複数のカルボキシ基を有する化合物であれば、特に限定されない。多価カルボン酸として、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、セバシン酸、イタコン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、マロン酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸(1,5−ペンタン二酸)、グルタコン酸及びペンテン二酸が挙げられる。多価カルボン酸として、酸無水物も使用できる。
上記に列挙した多価カルボン酸のうち、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、セバシン酸、及びイタコン酸は、植物を原料として製造されているため、特に好ましい。このように植物を原料としている場合、化石資源の使用が抑制されるため、環境へ負担をかけずにバイオマス成形材料を得ることができる。多価カルボン酸は、未反応物に1種のみ含有されていても2種以上含有されていてもよい。なお、多価カルボン酸は、ポリカルボン酸と同義である。
多価カルボン酸の含有量は、未反応物の全体の質量(仕込み量)に対して、好ましくは0.3質量%以上5質量%以下、より好ましくは2.7質量%以上5質量%以下の範囲内である。これにより、バイオマス成形材料の硬化物であるバイオマス成形体の、酸による強度低下を抑制したり、酸の溶出による環境悪化を抑制したりすることができる。
未反応物は、上述の糖類を含む植物の粉砕物と、多価カルボン酸とを配合することにより得られる。植物の粉砕物も多価カルボン酸も一般に入手しやすいため、低コストでバイオマス成形材料を製造することが可能である。
未反応物は、加熱処理されると2段階の反応を経て完全に硬化する。すなわち、無加圧状態での加熱処理により第1段階の反応(以下「予備反応」という場合がある。)が進行し、途中で冷却して完了する。このとき発生した縮合水は除去される。更なる加熱処理により第2段階の反応が進行して完了する。
ここで、無加圧状態とは、未反応物に両側(例えば上下)から大きな圧力が加わっておらず、未反応物を自由に動かすことが可能な状態を意味する。換言すれば、無加圧状態には、未反応物を積み重ねたときの自重、及び未反応物を攪拌するときの攪拌力程度の圧力が加わった状態は含まれる。例えば、無加圧状態での加熱処理には、容器に未反応物を入れ、この未反応物を攪拌棒などで攪拌しながら大気圧下で加熱する加熱処理は含まれる。
未反応物は、第1段階の反応を経て半硬化物(バイオマス成形材料)となり、この半硬化物が第2段階の反応の完了により硬化物(バイオマス成形体)となる。このように、バイオマス成形材料は、糖類を含む植物と、多価カルボン酸との硬化反応の中間生成物であるといえる。無加圧状態で加熱されるため、予備反応により発生した縮合水のほとんどが除去される。縮合水を除去することで、バイオマス成形体にパンク(破裂)が発生することを抑制することができる。
バイオマス成形材料を得るためには、未反応物を無加圧状態で加熱して硬化反応を開始させ、硬化反応の途中で冷却して、硬化反応を止める。ここで、硬化反応の途中とは、第1段階の反応と第2段階の反応との間のタイミングを意味し、より詳細には、未反応物に含まれる反応生成物が、熱硬化性樹脂のBステージの性状(加熱すると溶融し、冷却すると固化する性状)を示す反応状態にあるタイミングを意味する。換言すれば、硬化反応の途中には、硬化反応がほぼ完了した時点から完全に完了した時点までの間は含まれない。具体的には、硬化反応の途中は、加熱開始から20分未満までの間であることが好ましい。この場合の加熱温度は、好ましくは110℃以上240℃以下の範囲内である。冷却には、積極的に冷風を供給すること、及び単に加熱を停止して常温下に放置することなどが含まれる。
予備反応のための加熱処理により、植物の粉砕物に含まれる糖類が加水分解し、加水分解生成物が生成される。さらに加水分解生成物は、脱水縮合して糖変性物の反応生成物が生成される。このとき発生する縮合水は除去される。
例えば、糖類がスクロースの場合、以下のように硬化反応が進行すると推測される。まず、スクロースが加水分解してグルコースとフルクトースとが生成される。次にフルクトースの脱水反応により、フルフラール(具体的には5−(ヒドロキシメチル)フルフラール)が生成される。糖変性物であるフルフラールは、更なる加熱処理により熱硬化性樹脂であるフラン樹脂となり、多価カルボン酸の存在下で硬化する。一方、グルコースは、脱水縮合反応により糖エステルポリマーとなって硬化する。バイオマス成形材料は、加熱処理による予備反応が完了した状態では、糖変性物の反応生成物を含有していると考えられる。
未反応物の加熱は、未反応物を静止させた状態で行ってもよいが、好ましくは、未反応物の加熱を、未反応物を運動させながら行う。例えば、未反応物を容器に入れ、容器内の未反応物を攪拌棒などで攪拌したり、容器を揺動させたり回転させたりして運動させながら、容器を外部から加熱する。これによって容器内の未反応物は、攪拌により動いたり、揺動又は回転したりしながら加熱される。揺動又は回転させる方法としては、例えば、遊星攪拌装置を使用した方法が挙げられる。また、未反応物を容器に入れ、容器内に熱風を吹き込んで対流させながら、容器内の未反応物を加熱してもよい。これによって容器内の未反応物は、循環しながら加熱される。
上記のように、未反応物の加熱を、未反応物を運動させながら行うことで、未反応物を静止させている場合に比べて、物性(熱硬化性など)が均一なバイオマス成形材料が得られる。換言すれば、粉体状のバイオマス成形材料を構成する個々の粒子又は小片の物性のばらつきを小さくすることができる。特に、揺動又は回転しながら加熱すると、バイオマス成形材料の凝集を抑制し、得られるバイオマス成形体の外観を向上させることもできる。
未反応物には、硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウムの少なくともいずれかを添加することが好ましい。この場合、未反応物を加熱処理すると、硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウムは、多価カルボン酸と同様に、糖類の硬化反応の触媒として機能する。これにより、バイオマス成形体に優れた耐水性を付与することができる。
通常、植物の粉砕物中のヒドロキシ基と、多価カルボン酸とのエステル化反応は、比較的ゆっくりと時間をかけて進行する。そこで、触媒として硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウムの少なくともいずれかを未反応物に添加しておくことにより、上記のエステル化の反応時間を短縮することができる。
硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウムの少なくともいずれかの含有量(両方含有する場合には合計の含有量)は、未反応物の全体の質量(仕込み量)に対して、好ましくは0.3質量%以上5質量%以下の範囲内である。これにより、エステル化の反応時間をより短縮することができる。しかもバイオマス成形体の耐水性を更に向上させることができる。なお、硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウムは比較的酸性の弱い塩であるため、バイオマス成形体の強度は維持される。
次に、第2の場合について説明する。すなわち、未反応物が、糖類を含む植物の単板と、多価カルボン酸とを含む場合である。未反応物中では、糖類を含む植物の単板と、多価カルボン酸とが共存するだけで、これらはまだ反応していない。なお、糖類を含む植物の粉砕物の代わりに、糖類を含む植物の単板を用いる以外は、第1の場合と共通するので、共通する事項については説明を省略する。
植物は、木本(いわゆる木)である。植物は、ヤシ(椰子)が好ましく、ヤシの中でもアブラヤシ及びココヤシが好ましい。ヤシは、他の植物に比べて糖類を比較的多く含むためである。
植物の単板は、植物の原木を切削機械により切削して得ることができる。切削機械として、例えば、ロータリーレース及びスライサーが挙げられる。単板の厚さは、特に限定されないが、例えば2mm以上8mm以下の範囲内である。
未反応物は、植物の単板を多価カルボン酸に浸漬させることにより得られる。つまり、未反応物は、植物の単板に多価カルボン酸が含浸したものである。植物の単板に硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウムの少なくともいずれかが更に含浸していてもよい。なお、含浸前又は含浸後において、植物の単板を乾燥させて含水量を低下させておくことが好ましい。
第1の場合と同様に、バイオマス成形材料を得るためには、未反応物を無加圧状態で加熱して硬化反応を開始させ、硬化反応の途中で冷却して、硬化反応を止める。この場合も、硬化反応の途中とは、第1段階の反応と第2段階の反応との間のタイミングを意味し、より詳細には、未反応物に含まれる反応生成物が、熱硬化性樹脂のBステージの性状を示す反応状態にあるタイミングを意味する。換言すれば、硬化反応の途中には、硬化反応がほぼ完了した時点から完全に完了した時点までの間は含まれない。具体的には、硬化反応の途中は、加熱開始から20分未満までの間であることが好ましい。この場合の加熱温度も、好ましくは110℃以上240℃以下の範囲内である。この場合も、冷却には、積極的に冷風を供給すること、及び単に加熱を停止して常温下に放置することなどが含まれる。
(2)バイオマス成形材料
本実施形態に係るバイオマス成形材料は、バイオマス成形体を製造する材料として用いられる。バイオマス成形材料は、糖類を含む植物と、多価カルボン酸との硬化反応の中間生成物である。中間生成物からは縮合水が除去されている。そのため、バイオマス成形体にパンクが発生することを抑制することができる。したがって、優れた耐水性及び強度を有するバイオマス成形体が得られやすくなる。
特に糖類を含む植物が粉砕物である場合には、中間生成物は、粉体状であり、かつ、熱硬化性を有する。換言すれば、粉体を構成する個々の粒子又は小片が熱硬化性を有している。したがって、バイオマス成形材料は、任意の形状に成形し得る。
一方、糖類を含む植物が単板である場合には、中間生成物は、単板状であり、かつ、熱硬化性を有する。したがって、複数枚のバイオマス成形材料を重ねて成形すると、合板などに加工することができる。
好ましくは、中間生成物が、粉体状及び単板状のいずれであっても、硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウムの少なくともいずれかを含有する。これにより、バイオマス成形体に優れた耐水性を付与することができる。
(3)バイオマス成形体の製造方法
本実施形態に係るバイオマス成形体の製造方法は、第1の工程と、第2の工程と、を含む。
第1の工程は、バイオマス成形材料を得る工程である。第1の工程では、上述のように、糖類を含む植物の粉砕物又は単板と、多価カルボン酸とを含む未反応物を無加圧状態で加熱して硬化反応を開始させ、前記硬化反応の途中で冷却して、前記硬化反応を止めることにより、バイオマス成形材料を得る。
第2の工程は、バイオマス成形体を得る工程である。すなわち、第2の工程では、第1の工程で得られたバイオマス成形材料を加熱及び加圧して成形する。すなわち、バイオマス成形材料を熱圧成形すると、バイオマス成形体が得られる。熱圧成形には、例えば、上下の熱板(熱盤)を有するプレス機が用いられる。
ここで、バイオマス成形材料が粉体状である場合には、バイオマス成形材料を適当な型に入れて熱圧成形を行う。得ようとするバイオマス成形体の形状は、板状などの単純な形状でもよいし、板状以外の複雑な形状でもよい。
一方、バイオマス成形材料が単板状である場合には、複数枚のバイオマス成形材料を重ねて熱圧成形を行う。このようにして合板状のバイオマス成形体が得られる。複数枚のバイオマス成形材料の繊維方向は異なっていてもよいし、同じでもよい。
1つのバイオマス成形体を製造するのに、2種以上の粉体状のバイオマス成形材料を用いてもよい。これらのバイオマス成形材料は、例えば、植物の粉砕物の大きさが異なる。所定のふるいを通過するか否かで、植物の粉砕物の大きさが異なる。
また、1つのバイオマス成形体を製造するのに、1種以上の粉体状のバイオマス成形材料と、1種以上の単板状のバイオマス成形材料と、を用いてもよい。
バイオマス成形材料が粉体状であっても単板状であっても、熱圧成形の成形条件は特に限定されない。成形温度は、例えば140℃以上230℃以下の範囲内である。成形時間は、例えば10秒以上5分以下、好ましくは10秒以上1分以下の範囲内である。成形圧力は、例えば0.5MPa以上4MPa以下の範囲内である。
バイオマス成形体は、上述のバイオマス成形材料を用いて製造されるため、加熱及び加圧するプレス機による成形時間を特許文献1に比べて短くすることができる。したがって、プレス機の使用効率が向上し、バイオマス成形体を生産性良く製造することができる。
本実施形態に係るバイオマス成形体は、バイオマス成形材料の硬化物である。バイオマス成形体は、未反応物を一気に熱圧成形して得られたものではない。すなわち、本実施形態に係るバイオマス成形体は、余分な水分量が少なく、かつ硬化反応を途中で停止させたバイオマス成形材料を熱圧成形して得られたものである。余分な水分とは、予備反応により発生する縮合水などである。
したがって、本実施形態に係るバイオマス成形体は、優れた耐水性及び強度を有しており、かつ、生産性に優れている。このようなバイオマス成形体は、例えば、建築材、家具、及び住宅内装などに広く使用することができる。
3.まとめ
上記実施形態から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。
第1の態様に係るバイオマス成形材料の製造方法は、バイオマス成形体の材料として用いられるバイオマス成形材料の製造方法である。糖類を含む植物の粉砕物又は単板と、多価カルボン酸とを含む未反応物を無加圧状態で加熱して硬化反応を開始させ、前記硬化反応の途中で冷却して、前記硬化反応を止める。
この態様によれば、優れた耐水性及び強度を有するバイオマス成形体を、生産性良く製造するのに好適なバイオマス成形材料が得られる。
第2の態様に係るバイオマス成形材料の製造方法は、第1の態様において、前記未反応物が、糖類を含む植物の粉砕物と、多価カルボン酸とを含む場合、前記未反応物の加熱を、前記未反応物を運動させながら行う。
この態様によれば、熱硬化性などの物性が均一なバイオマス成形材料が得られる。
第3の態様に係るバイオマス成形材料の製造方法は、第1又は2の態様において、前記未反応物に硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウムの少なくともいずれかを添加する。
この態様によれば、優れた耐水性をバイオマス成形体に付与することができる。
第4の態様に係るバイオマス成形材料の製造方法は、第1〜3のいずれかの態様において、前記植物が、ヤシである。
この態様によれば、ヤシの古木などを有効利用することができる。
第5の態様に係るバイオマス成形材料は、バイオマス成形体の材料として用いられる。前記バイオマス成形材料は、糖類を含む植物と、多価カルボン酸との硬化反応の中間生成物である。前記中間生成物は、粉体状又は単板状であり、かつ、熱硬化性を有する。
この態様によれば、優れた耐水性及び強度を有するバイオマス成形体を、生産性良く製造するのに好適である。
第6の態様に係るバイオマス成形材料は、第5の態様において、前記中間生成物が、硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウムの少なくともいずれかを含有する。
この態様によれば、優れた耐水性をバイオマス成形体に付与することができる。
第7の態様に係るバイオマス成形材料は、第5又は6の態様において、前記植物が、ヤシである。
この態様によれば、ヤシの古木などを有効利用することができる。
第8の態様に係るバイオマス成形体の製造方法は、糖類を含む植物の粉砕物又は単板と、多価カルボン酸とを含む未反応物を無加圧状態で加熱して硬化反応を開始させ、前記硬化反応の途中で冷却して、前記硬化反応を止めることにより、バイオマス成形材料を得る工程と、前記バイオマス成形材料を加熱及び加圧して成形する工程と、を含む。
この態様によれば、優れた耐水性及び強度を有するバイオマス成形体を、生産性良く製造することができる。
本開示を実施例によって具体的に説明するが、本開示は、以下の実施例に限定されない。
(実施例1〜3、5)
母材(糖類を含む植物)として、ヤシ(アブラヤシ)粉砕物を用いた。まずヤシの幹を粉砕して圧搾することにより、残渣と搾汁とに分けた。次に残渣を105℃で乾燥させてヤシ粉砕物を得た。
一方、多価カルボン酸として、クエン酸を用い、添加物として、硫酸アンモニウムを用いた。
そして、表1に示す配合量で各成分を配合することによって未反応物を得た。その後、この未反応物を表1に示す条件(仕込み量、温度、及び時間)で、無加圧状態で加熱して予備反応させることによって、粉体状のバイオマス成形材料を製造した。
次に、上下の熱板を有するプレス機を用いて、上記のバイオマス成形材料を表1に示す成形条件(温度、時間、及び圧力)で熱圧成形することによって、板状のバイオマス成形体(成形品)を製造した。このとき、得ようとするバイオマス成形体の厚さが表1に示す厚さとなるように、上下の熱板の間隔をディスタンスバーで規制した。さらに表1に示す密度となるように、上下の熱板間に供給するバイオマス成形材料の供給量を調整した。
(実施例4)
遊星攪拌装置を用いて、未反応物を運動させながら、無加圧状態で加熱して予備反応を行うようにした以外は、実施例1と同様にして、板状のバイオマス成形体を製造した。
(実施例6)
実施例1と同様にしてヤシ粉砕物を得た。このヤシ粉砕物をふるいにかけた。ふるいの公称目開きは、JIS Z8801−1規格で500μmである。ふるいを通過した第1残渣と、ふるいを通過しなかった第2残渣とに分けた。
そして、表1に示す配合量で各成分を配合することによって未反応物を得た。より詳細には、この場合の未反応物は、第1残渣由来の未反応物と、第2残渣由来の未反応物と、の2種類である。第1残渣由来の未反応物は、ヤシ粉砕物として第1残渣のみを含む。第2残渣由来の未反応物は、ヤシ粉砕物として第2残渣のみを含む。なお、表1中では、第1残渣由来及び第2残渣由来の未反応物の配合量を区別していない。両者の配合量は同じである。
その後、第1残渣由来及び第2残渣由来の未反応物を、表1に示す条件(仕込み量、温度、及び時間)で、無加圧状態で加熱して予備反応させることによって、粉体状の第1残渣由来及び第2残渣由来のバイオマス成形材料を製造した。
次に、粉体状の第1残渣由来及び第2残渣由来のバイオマス成形材料を用いて、3層構造の板状のバイオマス成形体を製造した。3層構造は、芯層と、芯層の両側の表層とからなる構造である。芯層は、第2残渣由来のバイオマス成形材料で形成される。表層は、第1残渣由来のバイオマス成形材料で形成される。
具体的には、第1残渣由来のバイオマス成形材料、第2残渣由来のバイオマス成形材料、及び第1残渣由来のバイオマス成形材料を、この順に上下の熱板間に供給した後、表1に示す成形条件で熱圧成形することによって、3層構造の板状のバイオマス成形体を製造した。
(実施例7)
母材として、バガスを用いた以外は、実施例1と同様にして、バイオマス成形材料を製造し、更にはこのバイオマス成形材料を用いて、板状のバイオマス成形体を製造した。なお、バガスとして、サトウキビの砂糖を搾った後の搾りかすを、粉砕機を用いて粉砕したものを用いた。
(実施例8)
母材として、ヤシ単板を用いた。ヤシ単板は、ヤシの原木を切削機械により切削して得た。ヤシ単板の厚さは4mmである。
そして、ヤシ単板にクエン酸を含浸させて未反応物を得た後、この未反応物を表1に示す条件で、無加圧状態で加熱して予備反応させることによって、単板状のバイオマス成形材料を製造した。
次に、上記の単板状のバイオマス成形材料を3枚重ね、上下の熱板の間隔が6mmとなるようにディスタンスバーで規制した上で、表1に示す成形条件で熱圧成形することによって、合板状のバイオマス成形体を製造した。なお、3枚の単板状のバイオマス成形材料を重ねる際、中央の単板状のバイオマス成形材料の繊維方向と、その上下の単板状のバイオマス成形材料の繊維方向とが交差するように、上下の熱板間に配置した。
(実施例9)
実施例6の第1残渣由来のバイオマス成形材料と同じバイオマス成形材料(表1中の「9−1」参照)と、実施例8の単板状のバイオマス成形材料と同じバイオマス成形材料(表1中の「9−2」参照)と、を用いて、3層構造の板状のバイオマス成形体を製造した。この場合も3層構造は、芯層と、芯層の両側の表層とからなる構造である。ただし、芯層は、単板状のバイオマス成形材料で形成される。表層は、第1残渣由来のバイオマス成形材料で形成される。
具体的には、第1残渣由来のバイオマス成形材料、単板状のバイオマス成形材料、及び第1残渣由来のバイオマス成形材料を、この順に上下の熱板間に供給した。その後、上下の熱板の間隔が3mmとなるようにディスタンスバーで規制した上で、表1に示す成形条件で熱圧成形することによって、3層構造の板状のバイオマス成形体を製造した。
(比較例1)
実施例1と同様の未反応物を得た後、予備反応させずに、この未反応物を表1に示す成形条件で熱圧成形することによって、板状のバイオマス成形体を製造した。
(比較例2)
実施例8と同様の未反応物を得た後、予備反応させずに、この未反応物を表1に示す成形条件で熱圧成形することによって、板状のバイオマス成形体を製造した。
(比較例3)
予備反応の時間を長くした以外は、実施例1と同様にして、バイオマス成形材料を製造し、更にはこのバイオマス成形材料を用いて、板状のバイオマス成形体を製造した。なお、予備反応の時間は、硬化反応の開始から硬化反応がほぼ完了するまでの時間である20分とした。
(比較例4)
成形条件の時間を長くした以外は、比較例1と同様にして、板状のバイオマス成形体を製造した。
<評価>
[成形性(外観)]
成形性(外観)の評価は、バイオマス成形体の外観を観察することにより行った。評価基準は、以下のとおりである。
S:バイオマス成形材料のムラ及びダマに起因する色むら(黒い斑点)及び表層の凹凸が非常に少なく、内層でのパンク(剥離)及び表面での粉体の剥がれ(崩壊)がない
A:上記の色むら及び表層の凹凸が上記のSの場合よりも若干多いが、内層でのパンク及び表面での粉体の剥がれはない
B:少なくとも内層でのパンク又は表面での粉体の剥がれがある
[吸水厚さ膨張率]
耐水性を評価するため、JIS A 5908に準拠して吸水厚さ膨張率試験を行った。
[剥離強さ]
強度を評価するため、JIS A 5908に準拠して剥離強さ試験を行った。
Figure 2020062845
表1から明らかなように、実施例1〜9では、バイオマス成形体が優れた耐水性及び強度を有していることが分かる。比較例4のバイオマス成形体も各実施例と同程度の耐水性及び強度を有しているが、成形条件の時間が2倍近く長くなり、生産性が悪いことが分かる。比較例3では、予備反応の時間が長く、硬化反応がほぼ完了した状態まで反応を進めたため、バイオマス成形材料の粉体同士が十分に接着せず、バイオマス成形体として用いるのは困難であった。

Claims (8)

  1. バイオマス成形体の材料として用いられるバイオマス成形材料の製造方法であって、
    糖類を含む植物の粉砕物又は単板と、多価カルボン酸とを含む未反応物を無加圧状態で加熱して硬化反応を開始させ、前記硬化反応の途中で冷却して、前記硬化反応を止める、
    バイオマス成形材料の製造方法。
  2. 前記未反応物が、糖類を含む植物の粉砕物と、多価カルボン酸とを含む場合、前記未反応物の加熱を、前記未反応物を運動させながら行う、
    請求項1に記載のバイオマス成形材料の製造方法。
  3. 前記未反応物に硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウムの少なくともいずれかを添加する、
    請求項1又は2に記載のバイオマス成形材料の製造方法。
  4. 前記植物が、ヤシである、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のバイオマス成形材料の製造方法。
  5. バイオマス成形体の材料として用いられるバイオマス成形材料であって、
    前記バイオマス成形材料は、糖類を含む植物と、多価カルボン酸との硬化反応の中間生成物であり、
    前記中間生成物は、粉体状又は単板状であり、かつ、熱硬化性を有する、
    バイオマス成形材料。
  6. 前記中間生成物が、硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウムの少なくともいずれかを含有する、
    請求項5に記載のバイオマス成形材料。
  7. 前記植物が、ヤシである、
    請求項5又は6に記載のバイオマス成形材料。
  8. 糖類を含む植物の粉砕物又は単板と、多価カルボン酸とを含む未反応物を無加圧状態で加熱して硬化反応を開始させ、前記硬化反応の途中で冷却して、前記硬化反応を止めることにより、バイオマス成形材料を得る工程と、
    前記バイオマス成形材料を加熱及び加圧して成形する工程と、を含む、
    バイオマス成形体の製造方法。
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