詳細な説明
I.新規または特有のT細胞エピトープを同定するためのサイトメガロウイルスベクターの使用
いくつかの局面において、標的タンパク質抗原、例えば腫瘍抗原、自己免疫抗原または病原体抗原由来のペプチドエピトープを含む、ペプチドエピトープを同定する方法が提供される。いくつかの態様において、この方法は、異種タンパク質または標的抗原をコードする核酸分子を含む(例えば、UL128および/もしくはUL130をコードするORFが改変された、ならびに/または不活性なUL128および/もしくはUL130タンパク質をコードするCMVゲノムを有する)組換えサイトメガロウイルス(CMV)ベクター粒子を細胞に導入する工程を含む。いくつかの態様において、異種抗原は、細胞内腫瘍抗原、病原体抗原(例えば、ウイルス抗原、例えば、発がんウイルス抗原)または自己免疫抗原である。いくつかの態様において、CMVベクター粒子は、少なくとも1つの活性なUL40タンパク質および/または少なくとも1つの活性なUS28タンパク質をコードおよび発現する。いくつかの態様において、活性なUL40および/またはUS28タンパク質は、UL40またはUS28のオルソログまたはホモログであり得る。いくつかの態様において、CMVベクター粒子は、活性なUS28タンパク質またはそのホモログのコード配列を2つ以上含む、例えば、活性なUS28タンパク質またはそのホモログのコード配列を2〜5つ含む。
いくつかの態様において、この方法は、該核酸分子によってコードされる発現された異種タンパク質がプロセシングを受けて、細胞により発現される主要組織適合性(MHC)に関連するペプチドエピトープを生成し、MHC-ペプチド複合体を形成することができるまたは形成する条件下で細胞を培養またはインキュベートする工程を含む。いくつかの態様において、この方法は、MHC-ペプチド複合体の一部として提示された(displayed)または提示された(presented)ペプチドエピトープを同定または検出する工程を含み、該工程は、いくつかの例において、そのようなペプチドエピトープの配列を決定することを含み得る。
いくつかの態様において、CMVベクター粒子は、細胞に感染したときに、その細胞機構が異種抗原の1種または複数種のユニバーサル、スーパートープおよび/もしくは非カノニカルエピトープをプロセシングするならびに/またはそれをMHC分子に関連させて提示する能力を示すものである。いくつかの態様において、ウイルスベクターは、ユニバーサル、スーパートープおよび/または非カノニカルエピトープのプロセシング、提示(display)および/または提示(presentation)が促進されるよう特定のオープンリーディングフレーム(ORF)の活性を欠くCMV株であるまたはそれ由来である。いくつかの態様において、この方法により、細胞表面上に非カノニカルペプチドエピトープが提示(presentation)または提示(display)される。いくつかの態様において、CMVベクター粒子は、非カノニカル、ユニバーサルおよび/またはスーパートープをプロセシングするならびにそれをMHC分子に関連させて提示することができる。
いくつかの例において、この方法により、対象、例えばヒト対象においてインビボで生成され得るまたは生成されるであろうまたは生成されたペプチドエピトープが同定される。いくつかの態様において、提供される方法は、インビトロで実施される。
いくつかの例において、異種抗原は、細胞表面上で発現されるもしくは生来的に発現されるもの、ならびに/または細胞またはその一区画(例えば、オルガネラ)の内部でおよび/もしくは膜結合タンパク質として発現されるもしくは生来的に発現されるものであり得る。いくつかの態様において、異種抗原は、宿主由来タンパク質、例えば、特定の腫瘍抗原および/または自己抗原であり得る。いくつかの態様において、異種抗原は、外部起源のもの、例えば非宿主細胞タンパク質、例えば細菌またはウイルス起源のタンパク質である。いくつかの例において、異種抗原は、病原性または疾患状態(state)または状態(condition)に関連するものである。提供される方法のいくつかの態様において、異種タンパク質または抗原は、例えばそのポリペプチドのプロセシングおよびそのようなMHC分子に関連する細胞表面上のペプチドフラグメントとしてのそのようなエピトープの提示の後に、MHC分子に関連してTCRまたはその抗原結合部分(または他のペプチド結合分子)によって認識され得る1種または複数種のペプチドエピトープを含むまたは潜在的に含むものである。
一般に、当技術分野におけるペプチドエピトープを同定する方法は、主に、古典的なMHCクラスIまたはクラスII結合に関して保存された配列モチーフおよび/または長さを示すペプチドであるカノニカルペプチドエピトープの同定に集中している。多くの局面において、バイオインフォマティクスアプローチを用いて、結合親和性、長さおよび/または1つもしくは複数のカノニカルなアンカー残基の存在に基づきペプチドエピトープが予測される。いくつかの態様において、カノニカル(または古典的)MHCクラスI拘束ペプチドエピトープは、約8〜約11残基長であり、特定のMHC対立遺伝子によってコードされるタンパク質の結合に関与する保存された残基を含む。いくつかの態様において、カノニカルMHCクラスII拘束ペプチドエピトープは、典型的に、古典的クラスIエピトープよりも長く、例えば通常約9〜25残基長、例えば15〜25残基または13〜18残基長であり、いくつかの例において、約9アミノ酸または約12アミノ酸の結合コア領域を含む。いくつかの態様において、カノニカルペプチドは、MHCに対するそれらの結合親和性に基づき同定され、それによって様々な方法は、MHC分子に対して中程度〜高度の親和性結合相互作用を示す結合体を選択する。いくつかの態様において、大部分の既知のまたはカノニカルなMHCペプチドエピトープは、500 nM未満、例えば200 nM未満または50 nM未満のIC50値を有するものとして同定される。
いくつかの例において、しかし、結合親和性、長さまたはカノニカルアンカーが常に免疫反応性を示すとは限らない。いくつかの例において、11アミノ酸長よりも長いMHCクラスIエピトープが報告されている(Tynan et al. (2005) Nat. Immunol., 6: 1114-1122; Samino et al. (2006) J. Biol. Chem., 281: 6358-6365)。他の例において、特にMHC-ペプチド複合体がT細胞刺激のために細胞表面上に十分提示されている例において、免疫応答の強い誘導は、強いペプチド結合の存在を必ずしも必要としない(Bredenbeck et al. (2005) J. Immunol., 174: 6716-6724)。いくつかの局面において、抗黒色腫免疫を誘発することができる黒色腫関連ペプチドエピトープは、保存されたアンカー残基を欠くおよび/または低い結合親和性を示す非カノニカルペプチドエピトープである(Brendenbeck et al. (2005))。
古典的MHCクラスIおよびMHCクラスII分子の混交的性質(promiscuity)のために、多くの例において、カノニカルペプチドエピトープは、1つのクラスまたはタイプの異なるMHC対立遺伝子群による幅広い認識を示さない。したがって、古典的MHC分子に拘束されたカノニカルペプチドエピトープを同定する方法は、集団中の大部分の対象において幅広く反応性を示すまたは存在するペプチドエピトープをもたらさない可能性がある。
さらに、いくつかの例において、すべてのペプチドエピトープが、古典的MHC分子に関連して提示されるわけではない。例示的な研究において、前立腺/結腸がん共通抗原は、限られた多型しか有さないまたは多型を有さない非古典的MHC I様分子上に提示されることが見出された(Housseau et al. (1999) J of Immunol., 163: 6330-6337)。MHC-E(HLA-Eとも呼ばれる)は、腫瘍細胞において過剰発現され得る非古典的MHC I様分子である。いくつかの局面において、MHC-Eは、低い親和性であるものの、MHCクラスIによっても認識されるペプチドに結合することができる(Pietra et al. (2010) Journal of Biomedicine and Biotechnology, 1-8)。いくつかの局面において、HLA-Eもまた、非カノニカルもしくは非従来的ペプチド(Pietra et al. (2010))および/またはスーパートープを提示し得る。CD8+ T細胞は、それらのαβTCRを通じてMHC-E - ペプチド複合体を認識し、HLA-E拘束CD8+ T細胞応答を誘導することができる。
抗腫瘍応答を含む免疫反応はカノニカルエピトープのプロセシングおよび提示に限定されないので、関心対象の抗原、例えば腫瘍抗原に対する免疫応答を誘発することができるエピトープを含むMHC拘束ペプチドエピトープを同定するために他のアプローチが必要とされる。いくつかの局面において、本明細書に提供される方法は、ユニバーサルペプチド、スーパートープおよび/または非従来的もしくは非カノニカルペプチドエピトープの同定を可能にする。
いくつかの態様において、異種タンパク質または標的抗原をコードする核酸分子を含む組換えサイトメガロウイルス(CMV)ベクター粒子を細胞に導入する提供される方法は、ユニバーサルペプチド、スーパートープおよび/または非従来的もしくは非カノニカルペプチドエピトープの生成および同定を促進し得る。いくつかの態様において、CMVベクター粒子は、UL128および/またはUL130オープンリーディングフレーム(ORF)の修飾、例えば変異または欠失を含むゲノムを含み、改変はいくつかの例において、そうでなければそのようなエピトープの生成を減少させるまたは妨げるCMVの免疫逃避機構を回避することができる。一般に、CMV内に機能的に活性なUL128および/またはUL130 ORFを含むCMV、例えばアカゲザルCMV(RhCMV)は、免疫応答を誘導することができず、いくつかの例において、これはユニバーサル、スーパートープおよび/または非カノニカル(もしくは非従来的)ペプチドエピトープを生成する能力の欠如に起因する(例えば、Hansen et al. (2013) Science, 340: 1237874; WO2014/138209を参照のこと)。いくつかの態様において、UL128および/またはUL130 ORFの修飾、例えば変異または欠失は、この逃避機構を回避することができる。例えば、UL128 ORFを欠き、rh157.4と命名された第2エクソンの欠失によりUL130 ORFが短縮されている68-1と命名された例示的なRhCMVベクターは、ユニバーサル、スーパートープおよび/または非カノニカル(もしくは非従来的)ペプチドエピトープを生成することができる(Hansen et al., 2013;国際公開PCT出願番号WO2014/138209)。いくつかの態様において、UL128および/またはUL130欠失CMVベクターは、異なるMHCハロタイプにまたがって広く認識され得る特定の決定基の生成を含む、ユニバーサル、スーパートープおよび/または非従来的ペプチドエピトープの生成により特徴づけられるT細胞応答を発生させる(Hansen et al., 2013)。
いくつかの態様において、CMV粒子は、活性なUL40タンパク質もしくはそのホモログを発現する1つもしくは複数の遺伝子および/または活性なUS28もしくはそのホモログを発現する1つもしくは複数の遺伝子を含む。いくつかの態様において、活性なUL40タンパク質およびUS28タンパク質は、CMVにネイティブな遺伝子によってコードされる。いくつかの態様において、CMVは、活性なUL40タンパク質、US28タンパク質および/またはそれらのホモログをコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を挿入するよう修飾される。
いくつかの態様において、発現されるUL40ポリペプチドは、MHC-E結合溝に結合することができるアミノ酸配列:
を有するVL9ペプチドを含む(Pietra et al. PNAS. 2003; 100(19): 10896-10901; Tomasec et al., Science. 2000; 287(5455): 1031-1033; WO 2016/130693)。特定の態様において、VL9ペプチドは、アミノ酸配列:
VMAPRTLIL(SEQ ID NO:9)
を有する。いくつかの態様において、コードされるUL40ポリペプチドの1種または複数種は、HLA-E発現のTAP依存的上方調節に関与するアミノ酸配列:
を含む(Prod'homme et al.,
J Immunol. 2012; 188(6): 2794-2804)。
いくつかの態様において、CMV粒子は、ケモカイン結合受容体US28またはその1つもしくは複数のホモログの1つまたは複数のコード配列を1コピーまたは複数コピー含む。
いくつかの態様において、提供される方法は、古典的MHCクラスI分子もしくはMHCクラスII分子に関連するまたは非古典的MHCクラス分子、例えばMHC-Eに関連するペプチドを同定および/または検出するために使用され得る。いくつかの態様において、提供される方法はさらに、そのようなMHC分子に関連するペプチドに結合する、例えば、そのペプチドを含むMHC-ペプチド複合体に結合するペプチド結合分子(例えば、TCRもしくはTCR様抗体またはそれらの抗原結合性フラグメント)を同定または取得する工程を含み得る。
いくつかの態様において、提供される方法は、MHCクラスII分子に関連するペプチドを同定および/または検出するために使用され得る。いくつかの態様において、活性なUL128および/またはUL130タンパク質の発現を欠くCMVベクター、例えば、68.1と命名された例示的なRhCMVベクターは、MHC-IおよびMHC-II拘束の両方のCD8+ T細胞応答を含むMHCクラスI拘束およびMHCクラスII拘束の両方のT細胞応答を発生させ得る。したがって、MHC-IIがCD4+ T細胞応答にのみ関連するという定説と異なり、いくつかの局面において、特定のCMV株は、CD4コレセプターの非存在下でMHC-II拘束CD8+ T細胞応答を促進することができる(Hansen et al., 2013)。いくつかの例において、CMVにより生成されるMHC-II拘束エピトープは、CD4+ T細胞応答およびCD8+ T細胞応答の両方を誘発し得る(Hansen et al., 2013)。
したがって、提供される方法のいくつかの局面において、この方法により、MHC-クラスII分子に関連して認識されることができ、かつCD4+およびCD8+の両T細胞応答を誘発することができるペプチドエピトープを同定または検出することができる。いくつかの態様において、そのようなペプチドエピトープを同定する能力は、同じペプチド-MHCクラスIIに対してCD4+およびCD8+の両T細胞応答を誘発または誘導することができる組換え受容体を生成および/または工学的に改変するために利用され得る。いくつかの態様において、提供される方法はさらに、MHC分子に関連するペプチドに結合する、例えば、そのペプチドを含むMHCクラスII-ペプチド複合体に結合するペプチド結合分子(例えば、TCRもしくはTCR様抗体またはそれらの抗原結合性フラグメント)を同定または取得する工程を含み得る。いくつかの態様において、ペプチドエピトープ、例えばMHC-ペプチド複合体を認識すると、TCR(または他のペプチド結合分子)は、CD4+および/またはCD8+ T細胞応答、例えばT細胞増殖、サイトカイン産生、細胞傷害性T細胞応答または他の応答を誘導するT細胞に対する活性化シグナルを生成または起動する。
いくつかの態様において、提供される方法は、非古典的MHC分子、例えばMHC-E分子に関連するペプチドを同定および/または検出するために使用され得る。いくつかの態様において、活性なUL128および/またはUL130タンパク質の発現を欠くCMVベクター、例えば、68.1と命名された例示的なRhCMVベクターは、MHC-E拘束応答であるCD8+ T細胞応答を高い比率で発生させることができる(例えば、Wu et al. "Universal, MHC-E-restricted CD8 T cell responses participate in cytomegalovirus vaccine vector-induced protection against SIV", Oral Abstract at 20th International Aids Conference. Melbourne Australia, July 20-25, 2014を参照のこと)。いくつかの局面において、提供される方法はさらに、MHC-E分子に関連するペプチドに結合する、例えば、そのペプチドを含むMHC-E - ペプチド複合体に結合するペプチド結合分子(例えば、TCRもしくはTCR様抗体またはそれらの抗原結合性フラグメント)を同定または取得する工程を含み得る。
いくつかの態様において、CMVベクター粒子は、MHCに関連するカノニカルペプチドエピトープをプロセシングおよび提示することができる。いくつかの例において、CMVは、カノニカルペプチドエピトープに対するCD8+ T細胞応答の発生を防ぐことによって免疫系を回避し得る(Hansen et al. (2013))。例えば、いくつかの態様において、カノニカルエピトープの生成または認識を防ぐCMVの能力は、UL11タンパク質によってもたらされ得る。いくつかの例において、活性なUL11タンパク質を欠くCMVウイルスベクター粒子は、カノニカルエピトープに対するCD8+ T細胞応答を誘発し得る(Hansen et al., 2013)。提供される方法の局面において、この方法は、活性なUL11タンパク質を欠き、異種抗原、例えば腫瘍抗原、例えばウイルス腫瘍抗原を発現するCMVベクターを、例えば感染または形質導入によって、細胞に導入する工程を含む。
いくつかの態様において、異種抗原をコードするCMVベクター粒子を細胞に導入した後および/または異種抗原をコードするCMVベクター粒子が導入された細胞を提供した後、この方法は、ペプチドエピトープ、例えばMHC分子に関連して細胞表面上に存在するペプチドを同定、検出および/または単離する工程を含み得る。いくつかの例において、そのような方法は、酸性化溶解産物の分析、細胞表面からのペプチドの溶出および/または、例えば界面活性剤により溶解させた細胞溶解産物からの、MHC-ペプチド複合体の免疫親和性精製を含むがこれらに限定されない、細胞からMHC結合ペプチドを単離する当業者に公知の多くの方法のいずれかを含み得る。いくつかの態様において、この方法は、提示された(presented)もしくは提示された(displayed)ペプチドの配列を同定もしくは決定する工程、提示された(presented)もしくは提示された(displayed)ペプチドのMHCに対する親和性を評価する工程、および/または提示された(presented)もしくは提示された(displayed)ペプチドエピトープの免疫反応性(例えば、CTL応答)を評価もしくは決定する工程を含む。
いくつかの局面において、MHCに関連する抗原のペプチドエピトープに結合するMHC-ペプチド結合分子(例えば、TCRまたは抗体分子)を同定する方法も提供される。いくつかの態様において、そのようにして同定される分子は、TCRまたはCARを含む組換え受容体を作製するために使用され得る。そのような組換え受容体は、いくつかの局面において、養子細胞療法用の細胞、例えばT細胞を工学的に改変するために使用され得る。
A. 異種抗原をコードするサイトメガロウイルスベクターおよびウイルス粒子
提供される方法の局面において、この方法は、UL128および/もしくはUL130をコードするORFが変更されかつ/または不活性なUL128および/もしくはUL130タンパク質をコードし、かつ異種抗原、例えば腫瘍抗原またはウイルス抗原をコードする核酸を含むゲノムを有するCMVベクターを、例えば感染または形質導入によって、細胞に導入する工程を含む。いくつかの態様において、そのような細胞は、MHCクラスIおよび/またはMHCクラスII分子に関連して細胞表面上に提示され得るユニバーサル、スーパートープおよび/または非カノニカルペプチドエピトープを生じるよう異種抗原をプロセシングし得る。
一般に、UL128およびUL130は、アカゲザルCMV(RhCMV)とヒトCMV(HCMV)の間を含む、霊長類とヒトCMVの間で構造的および機能的に保存されている。例えば、アカゲザルとヒトの両方において、UL128およびUL130は、CMVの侵入ならびに内皮および上皮細胞の感染の媒介に関与するが、線維芽細胞の感染には関与しない(Lilja et al. (2008) PNAS, 105: 19950-19955)。いくつかの例において、UL128およびUL130は、特定の細胞型、例えば内皮および上皮細胞の細胞膜に対するビリオンエンベロープの相互作用および/または融合を媒介する、gH、gL、UL128、UL130およびUL131を含む五量体複合体の一部である。いくつかの例において、この領域の欠失は、上皮または内皮細胞へのCMVの侵入効率を低下させることが示されている(Lilja et al. (2008) PNAS, 105: 19950-19955)。ヒトCMVおよびアカゲザルCMVのUL128タンパク質のコード配列は、各々、2つのイントロンおよび3つのエクソンを含む。ヒトCMVのUL130のコード配列は、イントロンを含まない非スプライス転写物であり、アカゲザルUL130は、rh157.4およびRhUL130と命名された2つのエクソンを含む。RhCMV rh157.4およびRhUL130のスプライス産物は両方とも、HCMV UL130に対して、それぞれ、2つのORFのカルボキシ末端の3分の2およびアミノ末端の3分の1で相同である(Lilaj et al. 2008)。ヒトおよびアカゲザルUL130は、荷電アミノ酸およびシステイン残基の位置的保存を共有している(Schuessler et al. (2010) J. Virol., 84: 9019)。
いくつかの態様において、提供される方法によって細胞に導入されるCMVベクター粒子は、UL128および/もしくはUL130またはそれらのオルソログをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)が改変されている。いくつかの態様において、改変されたORFは、不活性なタンパク質を生成する。いくつかの態様において、CMVベクターは、活性なUL128タンパク質を発現することができない。いくつかの態様において、CMVベクターは、活性なUL130タンパク質を発現することができない。いくつかの態様において、CMVベクターは、活性なUL128を発現することができず、かつ活性なUL130タンパク質を発現することができない。
UL128およびUL130タンパク質をコードする核酸配列は、National Center for Biotechnology Information(NCBI)の、それらを含む公開されているデータベースから入手可能である。例として、HCMVに関して、UL128配列は、例えば、GenBankアクセッション番号DQ208272〜DQ208294で提供され、UL130配列は、GenBankアクセッション番号DQ208254〜DQ208270およびDQ011966〜DQ011969で提供される。ヒトCMV UL128のオープンリーディングフレームは、約506〜526ヌクレオチド長、例えば約516ヌクレオチド長である。いくつかの例において、そのオープンリーディングフレームは、約162〜約182アミノ酸長、例えば約172アミノ酸長のタンパク質をコードする。ヒトCMV UL130のオープンリーディングフレームは、約635〜695ヌクレオチド長、例えば約645ヌクレオチド長または約690ヌクレオチド長である。そのオープンリーディングフレームは、約205〜約225アミノ酸長、例えば約215アミノ酸長のタンパク質をコードする。
いくつかの態様において、活性なUL128および/またはUL130タンパク質を欠くCMVベクターは、活性なUS11タンパク質を含み得る。いくつかの態様において、活性なUL128および/またはUL130タンパク質を欠くCMVベクターは、活性なUS11タンパク質も含む。いくつかの態様において、活性なUL128および/またはUL130タンパク質を欠くCMVベクターは、いくつかの例において、CMVによる重感染に関与し得る(WO2014/138209)、活性なUS131タンパク質を含み得る。いくつかの態様において、活性なUL128および/またはUL130タンパク質を欠くCMVベクターは、活性なUS131タンパク質を欠如し得る。
いくつかの態様において、1つまたは複数のUL40および/またはUS28のコード配列が、CMVベクター内に保存される、またはCMVベクターは、1つもしくは複数のUL40タンパク質および/または1つもしくは複数のUS28タンパク質および/またはそれらのホモログを発現させる1つまたは複数のコード配列を挿入するよう修飾される。いくつかの態様において、1つもしくは複数のUL40タンパク質および/または1つもしくは複数のUS28タンパク質、および/またはそれらのホモログの発現は、MHC-E拘束CD8+ T細胞の産生を強化する。
UL40シグナルペプチドは、HLA-EおよびgpUL18の細胞表面発現を調節する(Prod'homme et al., J Immunol. 2012; 188(6): 2794-2804)。いくつかの態様において、発現されるUL40ポリペプチドは、MHC-E結合溝に結合することができるアミノ酸配列
を有するVL9ペプチドを含む(Pietra et al. PNAS. 2003; 100(19): 10896-10901; Tomasec et al., Science. 2000; 287(5545): 1031-1033; WO 2016/130693)。特定の態様において、VL9ペプチドは、アミノ酸配列VMAPRTLIL(SEQ ID NO:9)を有する。いくつかの態様において、コードされるUL40ポリペプチドの1種または複数種は、HLA-E発現のTAP依存的調節に関与するアミノ酸配列
を含む(Prod'homme et al.,
J Immunol. 2012; 188(6): 2794-2804)。
UL40タンパク質をコードする核酸配列は、National Center for Biotechnology Information(NCBI)のそれらを含む公開されているデータベースから入手可能である。例として、HCMVに関して、UL40配列は、例えば、GenBankアクセッション番号JQ060965〜JQ060996、およびGenBankアクセッション番号AH013698の相補鎖位置32068〜32733で提供される。UL40の例示的なアミノ酸配列は、GenBankアクセッション番号AAS48945で提供される。
HCMV US28およびRhCMV US28の5つの直列のホモログ(RhUS28.1、RhUS28.2、RhUS28.3、RhUS28.4およびRhUS28.5)は、わずかな配列同一性を共有しているのみである(Penfold et al., J Virol. 203; 77(19): 10404-10413)。しかし、すべてが、有意な配列類似性を共有している保存された疎水性-親水性交互出現領域を含む、7回膜貫通タンパク質の特徴、およびG共役タンパク質受容体の「DRYボックス」モチーフを有している。US28は、HCMVを介した腫瘍形成を促進する増殖、脈管化、血管形成および代謝的再プログラミングに関与する。いくつかの態様において、活性なUS28またはUS28ホモログの発現は、MHC-E拘束T細胞応答の誘導において役割を果たし得る。US28タンパク質をコードする核酸配列は、National Center for Biotechnology Information(NCBI)の、それらを含む公開されているデータベースから入手可能である。例示的なUS28配列は、GenBankアクセッション番号AF498083、およびGenBankアクセッション番号AH013698の153091〜154155位で提供される。US28の例示的なアミノ酸配列は、GenBankアクセッション番号AAS49025およびAAA98741で提供される。
いくつかの態様において、CMVベクターは、活性なUL40および/またはUS28タンパク質を発現することができる、それぞれ、1つもしくは複数の内因性UL40および/または1つもしくは複数の内因性US28タンパク質コード配列を含む。いくつかの態様において、CMVベクターは、活性なUL40および/またはUS28タンパク質の1つまたは複数のコード配列を挿入するよう修飾される。いくつかの態様において、CMVベクターは、活性なUL40タンパク質を発現する1つまたは複数のコード配列および活性なUS28タンパク質を発現する1つまたは複数のコード配列を含む。
いくつかの態様において、CMVベクターは、動物CMVベクター、例えば哺乳動物CMVベクターである。いくつかの態様において、CMVベクターは、動物CMVベクター、例えば霊長類CMVベクター、例えばチンパンジーCMV(CCMV)、サルCMV(SCMV)、アカゲザルCMV(RhCMV)ベクターである。いくつかの態様において、CMVベクターは、ヒトCMV(HCMV)ベクターである。いくつかの態様において、CMVベクターは、細胞、例えばヒト細胞に感染することができるベクターである。いくつかの態様において、CMVベクターは、線維芽細胞、例えばヒト線維芽細胞に感染、侵入し、および/またはその中で複製することができるものである。
典型的に、CMVベクターは、感染性を有しかつ生物学的に活性なウイルス粒子を形成するようカプセル化される。いくつかの態様において、CMVベクターは、そのゲノム全体を含む必要はない。例えば、いくつかの局面において、得られるウイルスが依然として所望の宿主に感染することができる限り、例えばそのウイルスを弱毒化するために、UL128および/またはUL130に加えて特定の遺伝子が欠失され得る。
いくつかの態様において、CMVベクターは、機能的または活性なUL128および/またはUL130遺伝子座を欠いていることが分かっている単離されたCMV株である。いくつかの態様において、CMV株は、野生型株、臨床株、弱毒化株または改変株、例えば遺伝子改変株または組換え株であり得る。いくつかの態様において、CMVベクターは、臨床単離体である。いくつかの態様において、CMVベクターは、研究株である。いくつかの態様において、CMVベクターは、線維芽細胞株内で継代されたものである。例えば、線維芽細胞内での連続継代の後に、該株内でUL128またはUL130遺伝子座の一方または両方における変異が高頻度で起こり得る(例えば、Akter et al. (2003), Journal of General Virology, 84: 1117-1122; Hahn et al. (2004) Journal of Virology, 78: 10023-10033を参照のこと)。
いくつかの態様において、CMVベクターは、途中で翻訳を終結させる停止コドンを導入するフレームシフト変異をUL128遺伝子座に含むHCMV株Merlin(ATCC番号VR-1590;アクセッション番号AY446894)である。いくつかの態様において、CMVベクターは、各々UL128のエクソン2にフレームシフトを含む、Heberlingと命名されたCCMV株(アクセッション番号AF480884)またはColburnと命名されたSCMV(アクセッション番号FJ483969)である。いくつかの態様において、CMVベクターは、UL128遺伝子座における逆位によりエクソン3を欠くHCMV株Toledo(ATCC番号CRL-2631;アクセッション番号GU937742)である。いくつかの態様において、CMVベクターは、UL130の最後の11アミノ酸を変化させるフレームシフト変異を含むHCMV株Towne(ATCC番号VR-977;アクセッション番号FJ1616285)である。いくつかの態様において、CMVベクターは、UL128およびUL130の第2エクソンを欠失している68-1と命名されたRhCMVベクター(すなわち、rh157.4;ATCC番号VR-677;アクセッション番号AY186194)である。
いくつかの態様において、CMVベクターは、感染性細菌人工染色体(BAC;例えば、Paredes and Yu (2012) Curr Protoc Microbiol., Chapter 14: Unit14E 14; Burne et al. "Manipulating cytomegalovirus genome by BAC mutagenesis: Strategies and applications," in Cytomegaloviruses: Molecular Biology and Immunology, Publisher: Caister Academic Press, Editors: Matthias J. Reddehase, pp.61-69を参照のこと)としてクローン化されたCMV株から得られる。いくつかの例において、大腸菌(E.coli)内でBACとして維持されているCMVゲノムは、CMVゲノムの変異誘発の鋳型として使用され得る。感染性細菌人工染色体(BAC)としてクローン化され、配列決定されたCMV株は、当技術分野で公知である(Murphy, E et al. 2003, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100: 14976-14981)。例示的なCMV BAC配列は、GenBankアクセッション番号AC146999(研究株AD169);AC146851(研究株Towne);AC146904(臨床単離体PH);AC146905(臨床様単離体Toledo);AC146906(臨床単離体TR);AC146907(臨床単離体FIX)およびJQ795930(RhCMV 68-1)で入手可能である。いくつかの態様において、各BAC DNAを真核生物細胞、例えばMRC-5細胞にトランスフェクトすることによって、BACから再構成されたウイルスを得ることができる。
いくつかの態様において、CMVベクターは、UL128もしくはUL130をコードする核酸配列または動物CMV内の他のオルソログ遺伝子における変異の存在により、活性なUL128またはUL130タンパク質を発現しない。いくつかの態様において、変異は、活性なUL128またはUL130タンパク質の発現を欠如させる任意の変異であり得る。いくつかの態様において、そのような変異は、点変異、フレームシフト変異、そのタンパク質をコードする配列の一部の欠失(短縮変異)またはUL128もしくはUL130をコードする遺伝子のすべての核酸配列の欠失を含み得る。
いくつかの態様において、CMVベクターは、そのウイルスの親株と比較して、例えばUL128またはUL130の一方または両方をコードするORFの(例えば、ヌクレオチドの付加、欠失または置換による)変異によりコードされるタンパク質の一方または両方が不活性にされることによって、そのゲノムが改変されている修飾されたCMVベクターである。いくつかの態様において、修飾された株は、UL128およびUL130の両タンパク質が消失、欠失またはそれ以外の様式で不活性となるよう作製される。典型的に、修飾されたウイルスは、そのウイルスのゲノム内に1つまたは複数の短縮、変異、挿入または欠失を有する。修飾は、当業者に公知の任意の方法、例えば遺伝子改変および組換えDNA法を用いて行われ得る。例えば、欠失によるものを含む、CMVにおけるUL128およびUL130の一方または両方の遺伝子座の改変方法が報告されている(例えば、Hahn et al. (2000) J. Virol., 78: 10023-10033; Wang et al. (2005) PNAS, 102: 18153-18158; 米国特許第7,700,350号を参照のこと)。いくつかの例において、核酸配列内に変異を導入するまたは関心対象の標的配列に核酸分子の挿入もしくは欠失を導入するために、相同組換えが使用され得る。修飾されたウイルスは、修飾された1つもしくは複数の内因性ウイルス遺伝子および/または修飾された1つもしくは複数の遺伝子間領域を有し得る。
いくつかの態様において、修飾は、インタクトまたは活性なUL128またはUL130タンパク質を含む親CMV株に対して行われる。いくつかの態様において、改変は、不活性なUL128またはUL130を含むが、UL128またはUL130の他方が活性である親CMV株に対して行われる。いくつかの例において、親CMV株は、臨床単離体、研究株またはBACクローンであり得る。例示的な親CMV株は、HCMV株AD169(アクセッション番号BK000394またはAC146999;ATCC番号VR-537)、HCMV株Davis(ATCC番号VR-807)、HCMV臨床単離体PH(アクセッション番号AC146904)、臨床単離体FIX(アクセッション番号AC146907)、HCMV臨床単離体VR1814(例えば、Hahn et al. (2004) Journal of Virology, 78: 10023を参照のこと)を含むがこれらに限定されない。他の例示的な親CMV株は、上記の株またはBACクローンのいずれか、例えばHCMV株Merlin、ToledoもしくはTowne、RhCMV株68-1、CCMV株HeberlingまたはSCMV株Colburnを含む。
いくつかの態様において、ウイルスの親株は、UL128またはUL130タンパク質の発現を阻害する核酸配列を含むベクターのゲノム内の核酸配列の存在により修飾される。いくつかの態様において、この核酸配列は、アンチセンス、RNAi、siRNAまたはmiRNA配列である。
1. 異種核酸
いくつかの態様において、この方法を実施するために、(例えば、UL128および/もしくはUL130をコードするORFが改変された、ならびに/または不活性なUL128および/もしくはUL130タンパク質をコードするならびにまたはUL40および/もしくはUS28をコードするゲノムを有する)CMVベクターは、そのウイルスのゲノムに挿入された1つまたは複数の組換え、例えば異種核酸配列を有し得る。いくつかの態様において、異種核酸配列は、異種タンパク質を発現させるための遺伝子発現カセットの形態である。いくつかの態様において、異種核酸配列は、標的抗原をコードする。
「異種核酸」という用語は、それを発現するCMVウイルス粒子によって通常ではインビボ生成されない、したがって一般に、それが導入されたCMVウイルスにとって通常では内因性のものでない核酸を表す。いくつかの態様において、異種核酸は、CMV以外の別のウイルス由来、例えば同一の種または別の種を含む別の生命体由来の核酸分子を表し得る。いくつかの態様において、異種核酸の例は、がん抗原、病原体特異的抗原、例えば細菌抗原もしくは非CMVウイルス抗原をコードする核酸、またはその核酸を発現するCMVウイルス粒子に通常存在しない抗原をコードする任意の他の核酸を含むがこれらに限定されない。異種核酸によってコードされるタンパク質は、異種核酸が異種タンパク質として導入されたウイルス内で発現され、分泌され、またはウイルスの表面上で発現され得る。したがって、「異種タンパク質」という用語(外因性タンパク質、外因性ポリペプチド、外来タンパク質または外来ポリペプチドとも称される)は、そのCMVウイルスによって通常産生されないまたはそのCMVウイルスから得られないタンパク質抗原を表す。異種抗原をコードする例示的な異種抗原および核酸分子が、以下に記載されている。
いくつかの態様において、CMVウイルスのゲノムに挿入される核酸分子は、全長抗原性ポリペプチドまたはその免疫原性および/もしくは抗原性フラグメントであり得る抗原をコードする。いくつかの局面において、抗原は、対象において免疫応答を誘発または誘導することが既知のタンパク質またはポリペプチドであり得る。いくつかの態様において、タンパク質またはポリペプチドは、免疫系によって認識され得る1種または複数種のMHC拘束ペプチドエピトープを含むまたは潜在的に含んでいる可能性があることが分かっているものである。いくつかの局面において、フラグメントが使用される場合、適当な免疫原性配列は既知であるまたは従来的な当技術分野で公知の方法を用いて決定され得る。例えば、Ausubel, F.M., et al., 1998, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, chapter 11.15を参照のこと。典型的に、発現される異種ポリペプチドは、少なくとも6アミノ酸長、より多くの場合少なくとも約8、およびときに少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約50残基であり、または全長でさえある。
いくつかの態様において、CMVベクターは、異種抗原をコードする核酸配列を含むよう修飾され得る。CMVベクターに異種核酸を挿入する方法は、例えば欧州特許出願0 277 773 A1;米国特許第5,830,745号、同第6,713,070号、同第6,692,954号、同第5,721,354号;米国公開特許出願US2009029755;または国際PCT公開出願WO2014/138209に記載されているように、当技術分野で公知である。
いくつかの態様において、異種抗原は、任意のCMVベクター、例えば本明細書に記載されるいずれかに挿入され得る。いくつかの態様において、CMVベクターは、異種タンパク質をコードする核酸配列をウイルスのゲノムに追加することによって修飾され得る。いくつかの態様において、CMVベクターは、異種タンパク質をコードする核酸配列でウイルスのゲノムの一部を挿入置換することによって修飾され得る。いくつかの態様において、異種抗原をコードする核酸を含むウイルスを調製する方法は、ウイルスを修飾するための当技術分野で周知の標準的方法の使用を含み得る。いくつかの局面において、修飾方法は、例えば、例えばSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edition Cold Spring Harbor Laboratory Press, cold Spring Harbor NY (1989)に記載されるような、インビトロ組換え技術、合成方法、直接クローニングおよびインビボ組換え法を含む。
いくつかの態様において、修飾は、ウイルスゲノム内の特定配列に具体的に向けられ得る。修飾は、ウイルスゲノムの調節配列、遺伝子コード配列、遺伝子間配列、既知の役割を有さない配列、または非必須領域を含むがこれらに限定されない、ウイルスゲノムの様々な領域のいずれかに向けられ得る。修飾に利用できるウイルスゲノムの様々な領域は、CMVを含む多くのウイルスについて当技術分野ですでに公知となっている。いくつかの態様において、異種核酸分子は、典型的に、ウイルスゲノムの遺伝子間領域または非必須ウイルス遺伝子産物をコードする遺伝子座に挿入される。例えば、いくつかの態様において、異種抗原をコードするヌクレオチドの配列は、典型的に、ウイルスゲノム内の非必須遺伝子または領域にまたはそれに代えて挿入される。いくつかの態様において、挿入は通常、細胞培養下での複製に必須でない遺伝子、例えばpp65(UL83)遺伝子に対して行われる。いくつかの態様において、挿入は、補完細胞株によって補填することができる遺伝子内で行われ得る(例えば、IE1、Mocarski et al., 1996, PNAS 93: 11231を参照のこと)。いくつかの態様において、挿入は、内因性CMVゲノムに影響を与えないよう、非必須非コード領域に対して行われ得る。
いくつかの態様において、異種核酸は、インビボ組換えにより挿入される。いくつかの態様において、細胞は、細胞に適合する培地中、CMVゲノムの一部と相同なDNA配列に隣接して異種DNAを含むドナーDNAの存在下で、CMV DNAを用いてトランスフェクトされ得、それによって異種DNAがCMVのゲノムに導入される。いくつかの態様において、CMVゲノムの1つまたは複数の領域が欠失され得、異種抗原をコードするヌクレオチドの配列が欠失領域に挿入され得る。いくつかの態様において、異種DNAは、CMV DNAを切断して切断されたCMV DNAを得、切断されたCMV DNAに異種DNAを連結してハイブリッドCMV-異種DNAを得、ハイブリッドCMV-異種DNAを用いて細胞をトランスフェクトすることによって挿入され得る。いくつかの態様において、異種DNAは、そのDNAの安定な組み込みおよびその発現をもたらす任意の方向で、CMVに挿入され、遺伝子改変CMVベクターが生成され得る。いくつかの態様において、トランスフェクトは、線維芽細胞、例えば初代線維芽細胞、またはCMVを成長させることができることが公知の他の細胞株のトランスフェクトである。
いくつかの態様において、異種遺伝子産物を発現する工学的に改変したかまたは組換えを行ったCMVは、直接クローニングによって作製され得る。そのような方法において、例えば、任意でプロモーターに機能的に連結された異種核酸は、標的ウイルス内の特有の制限エンドヌクレアーゼ部位への挿入のために、制限エンドヌクレアーゼ切断部位に隣接して配置され得る。いくつかの局面において、ウイルスDNAは、標準的な技術を用いて精製され得、ウイルスゲノム内の特有の部位である配列に対する配列特異的制限エンドヌクレアーゼを用いて切断される。ウイルスゲノム内の任意の特有の部位が、その部位での修飾がウイルス複製と干渉しない限り、利用され得る。
いくつかの局面において、異種抗原をコードする核酸を含む工学的に改変したCMVが、回収され得る。いくつかの態様において、ドナーDNAは、選択マーカー、例えばgpt、β-ガラクトシダーゼ、GFPまたは他のマーカーを含み得る。いくつかの態様において、遺伝子改変または組換えウイルスは、選択マーカーに対する選択物質を含む培地中、例えば、ミコフェノール酸(mycophenologic acid)を含む培地中での成長によって選択され得る、または発色基質、例えばX-galの適用後の青色プラーク表現型によって同定され得る。いくつかの態様において、工学的に改変したウイルスは、プラーク精製され、そして例えば制限酵素分析またはサザンブロット法によって、特徴づけられ得る。いくつかの態様において、工学的に改変したかまたは組換えを行ったウイルスの構築および作製を促進するために、プラスミドシャッフルベクターが利用され得る(例えば、Spaete and Mocarski, (1987) Proc. Nat. Acad. Sci., 84:7213-17を参照のこと)。
いくつかの態様において、異種抗原をコードする核酸は、ウイルスに挿入された1つまたは複数の異種遺伝子の発現を制御するために使用できる1つまたは複数の核酸制御配列または調節配列を含み得る。既知の要因および設計志向にしたがう様々なそのような制御または調節配列が当業者に利用可能となっている。いくつかの態様において、追加の核酸制御または調節配列は、プロモーター、エンハンサー、IRES、イントロンおよび他の要素を含み得るがこれらに限定されない。一般に、そのような他の制御または調節配列は、異種タンパク質をコードする核酸分子に機能的に連結される。いくつかの態様において、発現カセットはさらに、機能的な短縮型ポリアデニル化シグナル、例えばSV40ポリアデニル化シグナルを含み得る。いくつかの態様において、ポリアデニル化シグナルは、短縮化されているが、なおも機能的である。
いくつかの態様において、異種抗原をコードする核酸は、プロモーターを含み得る。いくつかの態様において、異種核酸分子は、異種タンパク質の発現のためのプロモーターに機能的に連結された発現カセットとして提供され得る。例えば、いくつかの態様において、異種抗原をコードする核酸は、それ自体が、CMVベクターにおいて発現を誘導するためのプロモーターを含み得る。
いくつかの態様において、プロモーターは、ネイティブプロモーターまたは非ネイティブプロモーターである。いくつかの態様において、プロモーターは、内因性CMVプロモーター、例えばHCMV、rhCMV、マウスまたは他のCMVプロモーターであり得る。いくつかの態様において、異種核酸は、内因性CMV遺伝子に対してインフレームで、したがって内因性プロモーターの制御下となるよう融合され得る。いくつかの態様において、プロモーターは、十分なレベルの発現をもたらす他のウイルスまたは細胞プロモーターであり得る。いくつかの態様において、プロモーターは、非ウイルスプロモーター、例えばEF1αプロモーターまたはSV40初期プロモーターであり得る。いくつかの態様において、プロモーターは、短縮型転写活性プロモーター、例えば、ウイルスによって提供されるトランス活性化タンパク質によってトランス活性化される領域および短縮型転写活性プロモーターの由来となった全長プロモーターの最小プロモーター領域を含むプロモーターであり得る。一般に、プロモーターは、最小プロモーターに対応するDNA配列および上流調節配列の組み合わせから構成される。いくつかの例において、最小プロモーターは、CAP部位およびTATAボックス(基礎レベルの転写;制御されないレベルの転写のための最小配列)から構成される。いくつかの例において、上流調節配列は、上流エレメントおよびエンハンサー配列から構成される。合成および天然および改変プロモーターを含む、任意の適当なプロモーターが使用され得る。例示的なプロモーターは、合成性ウイルスおよび動物プロモーターを含む合成プロモーターを含む。
いくつかの態様において、異種核酸分子は、異種抗原のコードDNAに限定され得る。いくつかの例において、核酸分子またはコンストラクトは、内因性CMVプロモーターに対して、プロモーターに機能的に連結されそれによって発現されるような方向に配置され得る。
いくつかの態様において、異種抗原をコードする複数コピーの核酸が、ウイルスのゲノムに挿入され得る、または増幅するもしくは発現を増加させるよう、強もしくは初期プロモーターまたは初期および後期プロモーター、またはそれらの任意の組み合わせが使用され得る。したがって、いくつかの例において、異種抗原をコードする核酸は、CMV内因性プロモーターに対して適切に配置され得る、またはそれらのプロモーターは、異種抗原をコードするDNAと共に別の場所に挿入されるよう移動され得る。いくつかの局面において、2つ以上の異種抗原をコードする核酸が、CMVベクターにパッケージングされ得る。
異種抗原
いくつかの態様において、(例えば、UL128および/もしくはUL130をコードするORFが改変された、ならびに/または不活性なUL128および/もしくはUL130タンパク質をコードするCMVゲノムを有する)CMVベクターは、病原体、細胞遺伝子、腫瘍抗原またはウイルス由来の抗原を含む、ポリペプチド抗原またはそのフラグメントである異種タンパク質をコードする核酸分子を含む組換えベクターである。いくつかの態様において、抗原は、腫瘍関連抗原、自己免疫もしくは炎症疾患に関連する特定の細胞型において発現される抗原、またはウイルス病原体もしくは細菌病原体由来の抗原である。いくつかの態様において、異種抗原は、疾患に関与する抗原である。いくつかの態様において、疾患は、細胞の悪性腫瘍化または形質転換、例えばがんによって引き起こされ得る。いくつかの態様において、抗原は、腫瘍またはがん細胞由来の細胞内タンパク質抗原、例えば腫瘍関連抗原であり得る。いくつかの態様において、疾患は、感染によって、例えば細菌またはウイルス感染によって引き起こされ得る。いくつかの態様において、抗原は、ウイルス関連がん抗原である。いくつかの態様において、疾患は、自己免疫疾患であり得る。他の標的は、The HLA Factsbook(Marsh et al. (2000))に列挙されているものおよび当技術分野で公知の他のものを含む。
いくつかの態様において、異種抗原は、腫瘍またはがんに関連するものである。いくつかの態様において、腫瘍またはがん抗原は、悪性細胞上で見いだされ得るもの、悪性細胞内で見いだされるもの、または腫瘍細胞成長のメディエーターである。いくつかの態様において、腫瘍またはがん抗原は、主として腫瘍細胞またはがん細胞によって発現されるまたは過剰発現されるものである。いくつかの態様において、腫瘍抗原は、変異ペプチド、分化抗原および過剰発現抗原を含むがこれらに限定されず、これらがすべて、治療の標的として利用可能である。
いくつかの態様において、腫瘍またはがん抗原は、リンパ腫抗原(例えば、非ホジキンリンパ腫またはホジキンリンパ腫)、B細胞リンパ腫がん抗原、白血病抗原、骨髄腫(すなわち、多発性骨髄腫または形質細胞性骨髄腫)抗原、急性リンパ芽球性白血病抗原、慢性骨髄性白血病抗原、または急性骨髄性白血病抗原である。いくつかの態様において、がん抗原は、多発性骨髄腫および一部のB細胞リンパ腫を含む、腺がんであるがん、例えば膵臓がん、結腸がん、乳がん、卵巣がん、肺がん、前立腺がん、頭頸部がんにおいて過剰発現されるまたはそれらのがんに関連する抗原である。いくつかの態様において、抗原は、がん、例えば前立腺がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、膵臓がん、皮膚がん、肝臓がん(例えば、肝細胞腺がん)、腸がんまたは膀胱がんに関連する。
MHC拘束されたT細胞により定義される腫瘍抗原を含む多くの腫瘍抗原が同定され、当技術分野で公知となっている(例えば、cancerimmunity.org/peptide/; Boon and Old (1997) Curr Opin Immunol, 9, 681-3; Cheever et al. (1009) Clin Cancer Res, 15, 5323-37を参照のこと)。これらの腫瘍抗原は、変異ペプチド、分化抗原および過剰発現抗原を含み、そのすべてが治療の標的として利用可能である。
いくつかの態様において、異種抗原は、神経膠腫関連抗原、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、アルファフェトプロテイン(AFP)、B細胞成熟抗原(BCMA、BCM)、B細胞活性化因子受容体(BAFFR、BR3)および/または膜貫通活性化因子・CAML相互作用因子(TACI)、Fc受容体様5(FCRL5、FcRH5)、レクチン反応性AFP、サイログロブリン、RAGE-1、MN-CA IX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2(AS)、腸内カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、M-CSF、メラニン-A/MART-1、WT-1、S-100、MBP、CD63、MUC1(例えば、MUC1-8)、p53、Ras、サイクリンB1、HER-2/neu、がん胎児性抗原(CEA)、gp100、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A7、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A11、MAGE-A11、MAGE-B1、MAGE-B2、MAGE-B3、MAGE-B4、MAGE-C1、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、p15、チロシナーゼ(例えば、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP-1)またはチロシナーゼ関連タンパク質2(TRP-2))、β-カテニン、NY-ESO-1、LAGE-1a、PP1、MDM2、MDM4、EGVFvIII、Tax、SSX2、テロメラーゼ、TARP、pp65、CDK4、ビメンチン、S100、eIF-4A1、IFN誘導性p78、およびメラノトランスフェリン(p97)、ウロプラキンII、前立腺特異的抗原(PSA)、ヒトカリクレイン(huK2)、前立腺特異的膜抗原(PSM)、および前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、好中球エラスターゼ、エフリンB2、BA-46、β-カテニン、Bcr-ab1、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、カスパーゼ8またはB-Raf抗原であり得る腫瘍抗原である。他の腫瘍抗原は、FRa、CD24、CD44、CD133、CD166、epCAM、CA-125、HE4、Oval、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、uPA、PAI-1、CD19、CD20、CD22、ROR1、メソテリン、CD33/IL3Ra、c-Met、PSMA、糖脂質F77、GD-2インスリン成長因子(IGF)-1、IGF-II、IGF-I受容体およびメソテリン由来の任意のものを含み得る。個々の腫瘍関連抗原またはT細胞エピトープは公知である(例えば、www.cancerimmunity.org/peptide/で閲覧可能なvan der Bruggen et al. (2013) Cancer Immun; Cheever et al. (2009) Clin Cancer Res, 15, 5323-37を参照のこと)。
いくつかの態様において、異種抗原は、ウイルス抗原である。HIV、HTLVおよび他のウイルスのウイルスゲノム由来のペプチドを含む、多くのウイルス抗原標的が同定され既知となっている(例えば、Addo et al. (2007) PLoS ONE, 2, e321; Tsomides et al. (1994) J Exp Med, 180, 1283-93; Utz et al. (1996) J Virol, 70, 843-51を参照のこと)。例示的なウイルス抗原は、A型肝炎、B型肝炎(例えば、HBVコアおよび表面抗原(HBVc、HBVs))、C型肝炎(HCV)、エプスタイン・バーウイルス(例えば、EBVA)、ヒトパピローマウイルス(HPV;例えば、E6およびE7)、ヒト免疫不全ウイルス1型ウイルス(HIV1)、カポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、インフルエンザウイルス、ラッサ熱ウイルス、HTLN-1、HIN-1、HIN-II、CMN、EBNまたはHPN由来の抗原を含むがこれらに限定されない。いくつかの態様において、標的タンパク質は、細菌抗原または他の病原体抗原、例えばマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)(MT)抗原、トリパノソーム、例えばトリパノソーマ・クルージ(Tiypansoma cruzi)(T.クルージ)、表面抗原(TSA)等の抗原、またはマラリア抗原である。個々のウイルス抗原もしくはエピトープまたは他の病原体抗原もしくはペプチドエピトープは公知である(例えば、Addo et al. (2007) PLoS ONE, 2, e321; Anikeeva et al. (2009) Clin Immunol, 130, 98-109を参照のこと)。
いくつかの態様において、抗原は、がんに関連するウイルス、例えば発がんウイルス由来の抗原である。例えば、発がんウイルスは、特定のウイルスからの感染が様々なタイプのがんの発症の原因となることが知られているもの、例えばA型肝炎、B型肝炎(例えば、HBVコアおよび表面抗原(HBVc、HBVs))、C型肝炎(HCV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、肝炎ウイルス感染、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ヒトヘルペスウイルス8(HHV-8)、ヒトT細胞白血病ウイルス-1(HTLV-1)、ヒトT細胞白血病ウイルス-2(HTLV-2)またはサイトメガロウイルス(CMV)抗原である。
いくつかの態様において、ウイルス抗原は、HPV抗原であり、これはいくつかの例において、子宮頸がんを発症する高いリスクをもたらし得る。いくつかの態様において、抗原は、HPV-16抗原、およびHPV-18抗原、およびHPV-31抗原、HPV-33抗原またはHPV-35抗原であり得る。いくつかの態様において、ウイルス抗原は、HPV-16抗原(例えば、HPV-16のE1、E2、E6および/もしくはE7タンパク質の血清反応領域、例えば、米国特許第6,531,127号を参照のこと)またはHPV-18抗原(例えば、米国特許第5,840,306号に記載されるような、HPV-18のL1および/もしくはL2タンパク質の血清反応領域)である。
いくつかの態様において、ウイルス抗原は、HBVまたはHCV抗原であり、これらはいくつかの例において、HBVまたはHCV陰性対象よりも高い肝臓がんを発症するリスクをもたらし得る。例えば、いくつかの態様において、異種抗原は、HBV抗原、例えばB型肝炎コア抗原またはB型肝炎エンベロープ抗原である(US2012/0308580)。
いくつかの態様において、ウイルス抗原は、EBV抗原であり、これはいくつかの例において、EBV陰性対象よりも高いバーキットリンパ腫、上咽頭がんおよびホジキン病を発症するリスクをもたらし得る。例えば、EBVは、いくつかの例において様々な組織起源の多くのヒト腫瘍に関連することが見出されるヒトヘルペスウイルスである。主に無症状感染として見いだされるが、EBV陽性腫瘍は、ウイルス遺伝子産物、例えばEBNA-1、LMP-1およびLMP-2Aの積極的発現によって特徴づけられ得る。いくつかの態様において、異種抗原は、エプスタイン・バー核抗原(EBNA)-1、EBNA-2、EBNA-3A、EBNA-3B、EBNA-3C、EBNA-リーダータンパク質(EBNA-LP)、潜在性膜タンパク質LMP-1、LMP-2AおよびLMP-2B、EBV-EA、EBV-MAまたはEBV-VCAを含み得るEBV抗原である。
いくつかの態様において、ウイルス抗原は、HTLV-1またはHTLV-2抗原であり、これらはいくつかの例において、HTLV-1またはHTLV-2陰性対象よりも高いT細胞白血病を発症するリスクをもたらし得る。例えば、いくつかの態様において、異種抗原は、HTLV抗原、例えばTAXである。
いくつかの態様において、ウイルス抗原は、HHV-8抗原であり、これはいくつかの例において、HHV-8陰性対象よりも高いカポジ肉腫を発症するリスクをもたらし得る。いくつかの態様において、異種抗原は、CMV抗原、例えばpp65またはpp64である(米国特許第8361473号を参照のこと)。
いくつかの態様において、異種抗原は、自己抗原、例えば自己免疫疾患または障害に関連するポリペプチドの抗原である。いくつかの態様において、自己免疫疾患または障害は、多発性硬化症(MS)、関節リウマチ(RA)、シェーグレン症候群、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、全身性エリテマトーデス、若年性関節リウマチ、強直性脊椎炎、重症筋無力症(MG)、水疱性類天疱瘡(真皮-上皮接合部の基底膜に対する抗体)、天疱瘡(ムコ多糖タンパク質複合体もしくは細胞内セメント物質に対する抗体)、糸球体腎炎(糸球体基底膜に対する抗体)、グッドパスチャー症候群、自己免疫性溶血性貧血(赤血球に対する抗体)、橋本病(甲状腺に対する抗体)、悪性貧血(内因子に対する抗体)、特発性血小板減少性紫斑病(血小板に対する抗体)、グレーブス病、またはアジソン病(サイログロブリンに対する抗体)であり得る。いくつかの態様において、自己抗原、例えば上記の自己免疫疾患の1つに関連する自己抗原は、コラーゲン、例えばII型コラーゲン、マイコバクテリア熱ショックタンパク質、サイログロブリン、アセチルコリン受容体(AcHR)、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)またはプロテオリピドタンパク質(PLP)であり得る。個々の自己免疫関連エピトープまたは抗原は公知である(例えば、Bulek et al. (2012) Nat Immunol, 13, 283-9; Harkiolaki et al. (2009) Immunity, 30, 348-57; Skowera et al. (2008) J Clin Invest, 1 18, 3390-402を参照のこと)。
2.ウイルスの増殖および生成
一般に、異種タンパク質または抗原をコードする核酸を含む(例えば、UL128および/もしくはUL130をコードするORFが改変されたならびに/または不活性なUL128および/もしくはUL130タンパク質をコードするCMVゲノムを有する)組換えCMVベクターは、当技術分野で周知の方法によって感染性かつ生物学的に活性なウイルスベクター粒子を形成するよう増殖および生成され得る。いくつかの態様において、ベクターは、適当な宿主細胞内で増殖される。例えば、細胞は、培養細胞株または初代細胞を含み得る。ベクター粒子の増殖のための宿主細胞は、ウイルスによる感染が可能な任意の適当な宿主細胞または細胞群、例えば線維芽細胞、例えばヒト包皮線維芽細胞(HFF)であり得る。いくつかの例において、細胞には、その細胞内でのベクターの感染および増殖のために適当な感染多重度(MOI)、例えば0.01または約0.01 pfu/細胞のMOIでベクター粒子が感染する。一般に、細胞は、その細胞に対する細胞変性効果が観察されるまで、例えば、細胞が一カ所に集まるまで成長させられる。ベクター粒子を収集するために、細胞上清が回収され、残屑を除去するための遠心分離または沈殿が行われ得る。いくつかの例において、ベクター粒子は、例えば細胞の超音波処理後に、細胞画分から収集され得る。いくつかの態様において、ベクター粒子は、スクロース密度勾配で精製され得る。
いくつかの態様において、ウイルスストックの濃度は、当技術分野で公知の標準的手法を用いて定量または決定され得る(例えば、Boeckh and Boivin (1998) Clinical Microbiology Reviews, 11:533-554; Landry et al. (2000) Antimicrob. Agents Chemother., 44: 688-692を参照のこと)。いくつかの態様において、感染性ビリオンの数を計算する方法は、滴下したウイルスを細胞単層上で成長させ、数日から数週間後にプラークの数を計数するプラークアッセイを含む。例えば、感染力価は、例えばプラークアッセイ、例えば細胞変性効果(CPE)を評価するアッセイによって、決定される。いくつかの態様において、CPEアッセイは、アガロースに重層された細胞、例えばHFF細胞の単層上でウイルスを連続希釈することによって実施される。細胞変性効果を達成するための期間、例えば約3〜28日間、通常7〜10日間のインキュベート後、細胞は固定され、プラークの存在が決定され得る。いくつかの態様において、ウイルス力価は、細胞培養物の50%が感染するウイルスの希釈度を決定する、したがって通常、特定範囲、例えば1対数内で力価を決定することができる終点希釈(TCID50)法を用いて決定され得る。いくつかの局面において、ウイルス粒子の総数を決定することができる他の方法は、ウイルス抗原を認識する抗体を利用し、顕微鏡またはFACS分析によって可視化され得る免疫組織化学染色法;例えば260 nmでの吸光度;および例えばPCR、RT-PCRによるウイルス核酸の測定、または蛍光色素を用いた染色による定量を含むがこれらに限定されない。
いくつかの態様において、ウイルス力価は、102〜108 pfu/mLの範囲であり得る。いくつかの態様において、ウイルスは、提供される方法において使用される前に、所望の場合、後の希釈のために濃縮され得る。例えば、いくつかの例において、ウイルスは、一部のみがアッセイに必要とされるよう比較的濃縮された溶液として調製され得る。例えば、1 x 106 pfuのウイルスが、96ウェルプレート内の細胞に添加され、次いでウイルスは、10μLのみが各ウェルに添加されるよう、1 x 108 pfu/mLの濃度で調製され得る。個々の濃度は、個々の用途に依存して当業者により実験的に決定され得る。
いくつかの態様において、ベクター粒子が(所望の純度まで)精製され、力価が決定された後、ベクター粒子は、その感染能の完全性を最適に維持する条件下で保存され得る。典型的に、光はウイルスを時間と共に不活性化する作用を有するので、ベクター粒子は暗所で保存される。いくつかの例において、保存下のウイルス安定性は、温度に依存し得る。一般に、一部のウイルスは熱安定性であるが、大部分のウイルスは室温で1日を超えて安定性を保てず、生存率の低下を示す(Newman et al, (2003) J. Inf. Dis. 187: 1319-1322)。例えば最大1日、2日、4日または7日間の、ウイルスの短期的保存の場合、一般的におよそ4℃の温度が推奨される。一般に、長期的保存の場合、大部分のウイルスは、-20℃、-70℃または-80℃で維持され得、その場合、一般に、ウイルスは6月〜1年またはそれより長期間安定であり得る。いくつかの例において、ウイルスは、-190℃(液体窒素)で保存され得る。個々のウイルスの保存に適した方法および条件は、当技術分野で公知であり、本明細書に示される方法において使用されるウイルスを保存するために使用され得る。
典型的に、使用直前に、ベクター粒子は、適当な培地中、適当な条件下で調製され得、そして使用するまで低温で、例えば氷上で維持され得る。ウイルスが保存のために凍結乾燥またはそれ以外の方法で乾燥される場合、その後それは適当な水溶液中で再構成され得る。ウイルスを調製する水溶液は、典型的に、アッセイにおいて使用される培地(例えば、DMEMもしくはRPMI)または適合する培地、例えば緩衝化生理食塩水溶液(例えば、PBS、TBS、Hepes溶液)である。
B. 細胞へのCMVベクター粒子の導入およびMHC分子に関連するペプチドの生成
いくつかの態様において、本明細書に提供される方法は、組換えまたは異種抗原をコードする核酸を含む(例えば、UL128および/もしくはUL130をコードするORFが改変されたならびに/または不活性なUL128および/もしくはUL130タンパク質をコードするCMVゲノムを有する)CMVベクター粒子を細胞に接触または導入する工程を含む。いくつかの態様において、CMVベクター粒子は、いくつかの例において、発現される異種タンパク質の1種または複数種のペプチド抗原を含む、1種または複数種のペプチド抗原が細胞により発現される条件下で、細胞に導入され、プロセシングを受け、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に関連して細胞表面上に提示される。
一般に、CMVベクター粒子を接触させる細胞は、MHCを発現する細胞、すなわちMHC発現細胞である。細胞は、通常その細胞表面上にMHCを発現する、細胞表面上でMHCを発現するおよび/もしくはMHCの発現を上方調節するよう誘導されるまたは細胞表面上でMHC分子を発現するよう工学的に改変されたものであり得る。いくつかの態様において、MHC分子は、ヒト細胞において発現され、ヒト白血球抗原(HLA)分子と称される。いくつかの態様において、MHCは、いくつかの例において、その細胞機構によるプロセシングを受けたペプチド抗原を含む、ポリペプチドのペプチド抗原と複合体化することができる多様なペプチド結合部位または結合溝を含む。いくつかの例において、MHC分子は、T細胞上のTCRまたは他のペプチド結合分子により認識可能な立体配置で抗原を提示するために、ペプチドとの複合体、すなわちMHC-ペプチド複合体としてを含めて、その細胞表面上に提示または発現され得る。
いくつかの態様において、MHCは、MHCクラスII分子であり得る。いくつかの態様において、MHCは、古典的MHCクラスIまたは非古典的MHCクラスIを含む、MHCクラスI分子であり得る。一般に、MHCクラスI分子は、いくつかの例において、3つのαドメインを有する膜貫通α鎖および非共有結合により結合したβ2ミクログロブリンを有するヘテロ二量体である。一般に、MHCクラスII分子は、2つの膜貫通糖タンパク質αおよびβから構成され、これらの両方とも典型的には膜を貫通している。MHC分子は、ペプチドに結合するための抗原結合部位または部位群および適当な結合分子、例えばTCRによる認識に必要とされる配列を含むMHCの有効部分を含み得る。いくつかの態様において、MHCクラスI分子は、サイトゾルに由来するペプチドを細胞表面に送達し、そこでペプチド:MHC複合体がT細胞、例えば一般的にはCD8+ T細胞によって認識される。いくつかの態様において、MHCクラスII分子は、小胞系で生成されたペプチドを細胞表面に送達し、そこでそれらは典型的にCD4+ T細胞によって、しかしいくつかの例においてはCD8+ T細胞によって認識される。一般に、MHC分子は、マウスにおいてはH-2、ヒトにおいてはヒト白血球抗原(HLA)と集合的に呼ばれる一群の関連する遺伝子座によってコードされる。したがって、典型的に、ヒトMHCは、ヒト白血球抗原(HLA)とも称され得る。
いくつかの局面において、細胞は、MHCクラスII分子、例えばHLAクラスII分子を発現する。
いくつかの局面において、細胞は、MHCクラスI分子、例えばHLAクラスI分子を発現する。いくつかの態様において、MHCクラスI分子は、それらの多型性によって相違する古典的または非古典的MHCクラスI分子を含み得る。いくつかの例において、クラスI分子は、EBML-EBIウェブサイトである、www.ebi.ac.uk/imgt/hla/stats.htmlにおいて2015年8月に公開された情報に基づき、高多型性の古典的MHCクラスIaまたはHLAクラスIa分子(例えば、HLA-A:3129個の対立遺伝子、2245個のタンパク質;HLA-B:39779個の対立遺伝子、2938個のタンパク質;およびHLA-C(またはHLA-CW):2740個の対立遺伝子、1941個のタンパク質)ならびに低多型性の非古典的MHCクラスIbまたはHLA-Ib分子(HLA-E:17個の対立遺伝子、6個のタンパク質;HLA-F:22個の対立遺伝子、4個のタンパク質;およびHLA-G:50個の対立遺伝子、16個のタンパク質)を含む。いくつかの局面において、MHCクラスI分子は、古典的MHC、例えばHLA-A、BまたはC分子であり、この例では、いくつかの態様において、提供される方法は、古典的MHCクラスIa(例えば、HLA-A、BまたはC)に関連して提示されるペプチドエピトープ、例えば非カノニカルペプチドエピトープを同定するために使用され得る。いくつかの局面において、MHCクラスI分子は、非古典的MHC、例えばMHC-E分子、例えばHLA-E分子であり、この例では、いくつかの態様において、提供される方法は、非古典的MHCクラスIbに関連して、例えばMHC-E(例えば、HLA-E)に関連して提示されるペプチドエピトープ、例えば非カノニカルペプチドエピトープを同定するために使用され得る。
いくつかの局面において、本明細書に提供される方法は、異種抗原をコードする核酸を含む(例えば、UL128および/もしくはUL130をコードするORFが改変されたならびに/または不活性なUL128および/もしくはUL130タンパク質をコードするCMVゲノムを有する)組換えCMVベクター粒子をMHC発現細胞、例えば、MHC分子を発現する、MHC分子を発現するよう工学的に改変されたまたはMHC分子を発現するようもしくはMHC分子の発現を上方調節するよう誘導された初代細胞または細胞株に導入する工程を含む。
いくつかの態様において、細胞は、UL128および/もしくはUL130をコードするORFが改変されたならびに/または不活性なUL128および/もしくはUL130タンパク質をコードするゲノムを有するCMVウイルスを含む、CMVベクター粒子が感染することができる細胞である。いくつかの態様において、細胞は、細胞株である。いくつかの態様において、細胞は、初代細胞である。定義されたMHC分子を含む多数の細胞、例えば細胞株が、当技術分野で公知であり、容易に入手可能である。いくつかの態様において、細胞は、私的供給元または商業的供給元、例えばAmerican Type Culture Collection (ATCC)、National Institute of General Medical Sciences (NIGMS) Human Genetic Cell RepositoryもしくはASHI Repository、またはEuropean Collection of Cell Cultures (ECACC)から入手することができる。
いくつかの態様において、細胞は、有核細胞である。いくつかの態様において、細胞は、抗原提示細胞である。いくつかの態様において、細胞は、マクロファージ、樹状細胞、B細胞、内皮細胞または線維芽細胞である。いくつかの態様において、細胞は、内皮細胞、例えば内皮細胞株または初代内皮細胞である。いくつかの態様において、細胞は、線維芽細胞、例えば線維芽細胞株または初代線維芽細胞である。
例えば、いくつかの態様において、細胞は、線維芽細胞株である。いくつかの例において、線維芽細胞株は、ヒトである。個体から採取された正常な線維芽細胞および悪性の線維芽細胞から樹立されたヒト線維芽細胞株は、ATCC、ECACCまたは他の私的供給元もしくは商業的供給元から入手され得る。ヒト細胞株を含む、様々な線維芽細胞株が、当技術分野で公知である。例示的な線維芽細胞株は、HS27(ATCC番号CRL-1634)、BJ(ATCC番号CRL-2522)、Hs68(ECACC番号89051701)、Wi-38(ATCC番号CCL-75)、MRC-5(ATCC番号CCL-171)、MRC-9(ATCC番号CCL-212)またはCir du Chat(ATCC番号CCL-90)、M1DR1/Ii/DMを含むがこれらに限定されない。
初代線維芽細胞、例えば初代ヒト線維芽細胞はまた、初代組織または生検試料から取得され得る。いくつかの例において、線維芽細胞株は、組織由来、例えば皮膚、包皮または頭皮の結合組織由来の生検から取得され得る。いくつかの局面において、線維芽細胞は、皮膚線維芽細胞である。初代線維芽細胞は、直接使用され得、または使用前に培養、例えば数継代、例えば最大2、4、6、8、10またはそれ以上の継代数、培養され得る。いくつかの例において、そのような細胞は、HLA型が既知または決定されている対象から取得され得る。初代線維芽細胞はまた、商業的または個人的供給源から入手され得る。初代線維芽細胞の非限定的な例は、例えば、ThermoFisher Scientific(Carlsbad, CA;カタログ番号C-004-5CまたはC-013-5C)、ATCC(ATCC番号PCS-201-012またはPCS-201-010)、Cell Systems(Kirkland, WA;カタログ番号CSC 2FF4)から入手可能な、胎児または成体のいずれか由来のヒト皮膚線維芽細胞を含む。
いくつかの態様において、細胞は、人工抗原提示細胞(aAPC)である。典型的に、aAPCは、MHC分子、刺激および共刺激分子、Fc受容体、接着分子の発現ならびに/またはサイトカイン(例えば、IL-2)を産生もしくは分泌する能力を含む、天然APCの特徴を含む。通常、aAPCは、上記の1種または複数種の発現を欠く細胞株であり、MHC分子、低親和性Fc受容体(CD32)、高親和性Fc受容体(CD64)、共刺激シグナル(例えば、CD7、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、PD-L1、PD-L2、4-1BBL、OX40L、ICOS-L、ICAM、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、MICB、HVEM、リンホトキシンベータ受容体、ILT3、ILT4、3/TR6もしくはB7-H3のリガンド;またはCD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、LFA-1、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、Tollリガンド受容体もしくはCD83のリガンドに特異的に結合する抗体)の1種または複数種、細胞接着分子(例えば、ICAM-1またはLFA-3)および/またはサイトカイン(例えば、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-21、インターフェロンアルファ(IFNα)、インターフェロンベータ(IFNβ)、インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、腫瘍壊死因子ベータ(TNFβ)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)および顆粒球コロニー刺激因子(GCSF))の中の欠失要素の1つまたは複数の導入により(例えば、トランスフェクションまたは形質導入により)生成される。いくつかの例において、aAPCは、通常MHC分子を発現しないが、MHC分子を発現するよう工学的に改変され得る、またはいくつかの例において、例えばサイトカインによる刺激によって、MHC分子を発現するよう誘導されているもしくは誘導され得る。いくつかの例において、aAPCはまた、例えば抗CD3抗体、抗CD28抗体または抗CD2抗体を含み得る刺激性リガンドを有し得る。aAPCを作製するための骨格として使用され得る例示的な細胞株は、K562細胞株または線維芽細胞株である。様々なaAPCが当技術分野で公知となっており、例えば米国特許第8,722,400号、出願公開番号US2014/0212446;Butler and Hirano (2014) Immunol Rev., 257(1): 10.1111/imr.12129;Suhoshki et al. (2007) Mol. Ther., 15: 981-988を参照されたい。
細胞により発現される特定のMHCまたは対立遺伝子を決定または同定することは、十分に当業者の技術水準で行われることである。いくつかの態様において、細胞をCMVウイルスに接触させる前に、特定のMHC分子の発現が、例えばその特定のMHC分子に特異的な抗体を用いることによって、評価または確認され得る。MHC分子に対する抗体は、例えば以下に記載されるものが、当技術分野で公知である。
いくつかの態様において、細胞は、所望のMHC拘束性のMHC対立遺伝子を発現するよう選択され得る。いくつかの態様において、細胞、例えば細胞株のMHCタイピングは、当技術分野で周知である。いくつかの態様において、細胞、例えば対象から得られた初代細胞のMHCタイピングは、例えば、分子ハロタイプアッセイ(BioTest ABC SSPtray, BioTest Diagnostics Corp., Denville, NJ; SeCore Kits, Life Technologies, Grand Island, NY)を用いて組織タイピングを実施することによって、当技術分野で周知の手法を用いて決定され得る。いくつかの例において、例えば配列型タイピング(SBT)(Adams et al., (2004) J. Transl. Med., 2: 30; Smith (2012) Methods Mol Biol., 882: 67-86)を用いることによって、HLA遺伝子型を決定するための細胞の標準的なタイピングを実施することは、十分に当業者の技術水準で行われることである。いくつかの例において、細胞、例えば線維芽細胞のHLAタイピングが公知である。例えば、ヒト胎児肺線維芽細胞株MRC-5は、HLA-A*0201、A29、B13、B44 Cw7(C*0702)であり;ヒト包皮線維芽細胞株Hs68は、HLA-A1、A29、B8、B44、Cw7、Cw16であり;そしてWI-38細胞株は、A*6801、B*0801である(Solache et al. (1999) J Immunol, 163: 5512-5518; Ameres et al. (2013) PloS Pathog. 9: e1003383)。ヒトトランスフェクト線維芽細胞株M1DR1/Ii/DMは、HLA-DRおよびHLA-DMを発現する(Karakikes et al. (2012) FASEB J., 26: 4886-96)。
いくつかの態様において、CMVベクター粒子と接触させるまたはCMVベクター粒子を導入する細胞は、MHC分子の発現を、例えば刺激または活性化物質によって誘導または上方調節するよう刺激された細胞である。例示的な刺激または活性化物質は、IFNγ、TNFα、IL1β、マイトマイシンC、ホルボールミリステートアセテート(PMA)またはイオノマイシンの1種または複数種を含むがこれらに限定されず、例えば通常IFNγである。例えば、線維芽細胞は、ほとんどの細胞と同様、低レベルのMHCクラスI分子を発現するが、発現は通常、インターフェロンガンマによって誘導されたときに上方調節され得る(Volpi et al. (2000) Journal of Cell Science, 113: 1565-1576)。いくつかの例において、線維芽細胞は、MHCクラスII分子を発現しないが、MHCクラスII発現は、刺激物質、例えばインターフェロンガンマの存在下で誘導され得る(Volpi et al. 2000)。いくつかの態様において、MHC分子、例えばMHCクラスI、MHCクラスIIまたはMHC-E分子の細胞表面発現は、刺激量、通常は50 U/mL〜500 U/mL、例えば、通常少なくとも100 U/mLまたは少なくとも200 U/mLの刺激物質、例えばインターフェロンガンマの存在下での、細胞、例えば、30%〜60%コンフルエンスまたは約30%〜60%コンフルエンス、例えば約40%コンフルエンスの、細胞培養物のインキュベートによって誘導または上方調節され得る。いくつかの態様において、細胞、例えば線維芽細胞は、10分〜96時間の間または約10分〜96時間の間、例えば少なくとも30分間、1時間、6時間、12時間、24時間、48時間または72時間、刺激物質、例えばインターフェロンガンマと共にインキュベートされ得る。
いくつかの態様において、CMVベクター粒子と接触させるまたはCMVベクター粒子を導入する細胞は、MHC分子を発現するよう工学的に改変またはトランスフェクトされた細胞である。いくつかの態様において、細胞株は、親細胞株を遺伝子的に修飾することによって調製され得る。いくつかの態様において、細胞は通常、特定のMHC分子を欠いており、そのような特定のMHC分子を発現するよう工学的に改変される。いくつかの態様において、細胞は、組換えDNA技術を用いて遺伝子的に改変される。いくつかの態様において、MHC分子の一方または両方の鎖は、対象の血液から単離される、例えば縮重プライマーを用いるPCRによって増幅される。いくつかの態様において、MHC分子の一方または両方の鎖は、例えばMHC対立遺伝子について容易に入手可能な既知の配列情報に基づいて、合成により作製される。いくつかの態様において、特定のHLA対立遺伝子を含む核酸、例えばベクターは、商業的または個人的供給源から、例えばワールドワイドウェブihwg.org/hlaで利用可能なInternational Histocompatibility Working Groupから入手可能である。
いくつかの態様において、関心対象の特定のMHC分子、例えば特定のMHCクラスおよび/または対立遺伝子の鎖は、発現ベクター内にクローン化され得る。いくつかの態様において、発現ベクターを作製する方法は、標準的な組換えDNA技術によるものであり得る。発現ベクターの構築および適当なDNA配列からの組換え産生は、当技術分野で公知の方法によって行われる。例えば、標準的技術が、DNAおよびRNAの単離、増幅およびクローン化のために使用される。一般に、DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼおよび制限エンドヌクレアーゼを利用した酵素反応が、製造元の仕様にしたがい行われる。これらの技術および様々な他の技術は、一般に、Sambrook et al., Molecular Cloning -- A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989にしたがい行われる。そのような手法は、当技術分野で周知である。
いくつかの態様において、発現ベクターへの挿入および遺伝子配列の操作を補助するために、遺伝子配列内に制限部位が導入され得る。この配列は、発現ベクターに挿入され得る。いくつかの態様において、発現ベクターは、哺乳動物発現ベクターまたはウイルス発現ベクターである。いくつかの態様において、発現ベクターは、レトロウイルス発現ベクター、例えばレンチウイルス発現ベクターである。いくつかの態様において、発現ベクターは、pCR2.1、pLNCx、pcDNA、pEAK、pBluescriptまたはpUC18ベクターであり得る。いくつかの態様において、特定のHLA対立遺伝子をコードする核酸、例えばベクターは、商業的または個人的供給源から、例えばワールドワイドウェブ、www.ihwg.org/hlaで利用可能なInternational Histocompatibility Working Group、Sino Biological, Inc. (Beijing, CN)、GeneCopoeia (Rockville, MD)、DNASU Plasmid Repository (Arizona State University, Tempe, AZ)、Addgene (Cambridge, MA)等から入手可能である。例えば、哺乳動物およびレンチウイルス発現ベクターを含む、MHC-E、すなわちHLA-Eをコードする多くの発現プラスミドが、Sino Biological, Inc.(例えば、カタログ番号HG13375を参照のこと)、GeneCopoeia(カタログ番号LPP-Q0324)等から入手可能である。
いくつかの態様において、MHC分子の鎖をコードする発現ベクターまたは複数のベクターが、例えばトランスフェクトまたは形質導入によって細胞に導入される。一般に、トランスフェクトまたは形質導入は、使用される宿主細胞に依存して、そのような細胞に適した標準的技術を用いて行われる。一般的なトランスフェクト法は、リポフェクション、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウムを用いる方法またはウイルスベースの送達方法を含むがこれらに限定されない。いくつかの態様において、形質転換された細胞は、MHC分子の発現および細胞表面上での発現に適した条件下で培養され得る。いくつかの態様において、発現は、一過的なものである。いくつかの態様において、発現は、安定的なものである。いくつかの態様において、CMVベクター粒子と接触させるまたはCMVベクター粒子を導入されるMHC発現細胞は、MHC分子を安定的または一過的に発現する。
いくつかの態様において、特定のMHC分子を発現する細胞、例えばそのような特定のMHC分子を発現するよう工学的に改変またはトランスフェクトされた細胞は、別のクラスの別のMHC分子の発現を欠くまたは欠くようにされたものである。例えば、細胞がMHCクラスII分子またはMHC-E分子を発現するよう工学的に改変またはトランスフェクトされる場合、そのような細胞は、MHCクラスI分子、通常HLA-A、BまたはC分子の内因的発現を欠如し得るまたは欠如するようにされ得る。いくつかの態様において、MHCクラスII分子またはMHC-E分子を発現する細胞、例えば、それぞれMHCクラスIまたはMHC-E分子を発現するよう工学的に改変またはトランスフェクトされた細胞は、通常ではMHCクラスI分子、例えばHLA-A、BまたはCが発現され得るが、そのようなMHCクラスIをコードする遺伝子、例えばHLA A、BまたはC遺伝子の発現、活性および/または機能が抑制または破壊されているものである。遺伝子、例えばHLA A、BまたはC遺伝子を抑制または破壊する例示的な方法は、以下に記載されている。
いくつかの態様において、細胞は、その細胞表面上に古典的MHCクラスI分子(MHCクラスIa分子)を発現する細胞である。いくつかの態様において、提供される方法は、MHCクラスI分子に関連してペプチドエピトープを提示するために異種抗原をコードするCMVベクター粒子がMHCクラスI発現細胞に導入されているまたは導入される細胞を提供または準備する工程を含む。いくつかの態様において、この方法は、腫瘍関連抗原(TAA)由来のMHCクラスI拘束ペプチドを同定するために使用され得る。いくつかの態様において、この方法は、ウイルス関連がんにおいて見出される抗原を含む、ウイルス抗原由来のMHCクラスI拘束ペプチドを同定するために使用され得る。いくつかの態様において、MHC-I - ペプチド複合体は、CD8+細胞傷害性Tリンパ球(CTL)によって認識され得る。いくつかの態様において、同定されるMHCクラスI拘束ペプチドまたはエピトープは、MHCクラスIに関連するペプチド標的を特異的に認識する分子の開発または同定における標的として使用され得る。
いくつかの態様において、MHCクラスIa発現細胞は、初代細胞である。いくつかの態様において、MHCクラスIa発現細胞は、細胞株である。いくつかの態様において、MHCクラスIa発現細胞は、ヒト細胞である。いくつかの局面において、本明細書に提供される方法は、異種抗原をコードする核酸を含む(例えば、UL128および/もしくはUL130をコードするORFが改変された、ならびに/または不活性なUL128および/もしくはUL130タンパク質をコードするCMVゲノムを有する)組換えCMVベクター粒子をMHCクラスIa発現細胞に、例えば、MHCクラスIa分子を発現する、発現するよう工学的に改変された、または発現するようもしくはその発現を上方調節するよう誘導された初代細胞または細胞株に導入する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に提供される方法により、1種または複数種のペプチド抗原、例えばCMVベクターによってコードされる異種抗原の1種または複数種のペプチド抗原が、細胞により発現され、プロセシングを受け、そしてMHCクラスIa分子に関連して細胞表面上に提示される。
一般に、大部分の有核細胞は、MHCクラスIa分子を発現する。いくつかの態様において、細胞は、MHCクラスIa分子を発現するよう誘導され得る。いくつかの態様において、細胞は、MHCクラスIa分子、例えば特定のMHCクラスIa対立遺伝子を発現するよう工学的に改変され得る。例えば、いくつかの態様において、MHCクラスIa発現細胞は、クラスIa HLAα鎖を用いて親細胞株、例えば哺乳動物細胞株(例えば、ヒト細胞株)を遺伝子的に修飾することによって調製されたものである。いくつかの態様において、細胞株は、任意で、例えば親細胞が内因性β2-ミクログロブリンを発現しない場合、β-ミクログロブリンを用いて遺伝子的に修飾され得る。いくつかの態様において、単一のクラスIa α対立遺伝子が、例えば発現ベクターを用いることによって細胞に導入され得る。いくつかの態様において、単一のクラスIa α対立遺伝子およびβ2-ミクログロブリンが、同時にまたは任意の順序で逐次的に、のいずれかで、例えば1種または複数種の発現ベクターを用いることによって、細胞に導入され得る。
いくつかの態様において、MHCクラスIa発現細胞は、対象、例えばヒト対象に存在することが既知のいずれかであり得るMHCクラスIa対立遺伝子を発現する。いくつかの態様において、MHCクラスIa対立遺伝子は、HLA-A2、HLA-A1、HLA-A3、HLA-A24、HLA-A28、HLA-A31、HLA-A33、HLA-A34、HLA-B7、HLA-B45またはHLA-Cw8対立遺伝子である。いくつかの態様において、MHCクラスIa対立遺伝子は、表1Aに示されるいずれかであり得、これらは米国人集団で最も高頻度のMHCクラスIa対立遺伝子である。
いくつかの態様において、MHCクラスIa対立遺伝子は、HLA-A2対立遺伝子であり、これはいくつかの集団において、その集団のおよそ50%で発現される。いくつかの態様において、HLA-A2対立遺伝子は、HLA-A*0201、*0202、*0203、*0206または*0207遺伝子産物であり得る。いくつかの例において、サブタイプの頻度は、異なる集団間で相違し得る。例えば、いくつかの態様において、HLA-A2陽性カフカス人集団の95%超は、HLA-A*0201であり、一方、中国人集団において、その頻度は、およそ23%のHLA-A*0201、45%のHLA-A*0207、8%のHLA-A*0206および23%のHLA-A*0203と報告されている。いくつかの態様において、MHC分子は、HLA-A*0201である。
いくつかの態様において、細胞は、その細胞表面上にMHCクラスII分子を発現する細胞である。いくつかの態様において、この方法は、病原性または疾患状態に関連するMHCクラスII拘束ペプチド、例えばユニバーサル、スーパートープおよび/または非カノニカルペプチドを同定するために使用され得る。MHCクラスII分子は、抗原提示細胞(APC)、例えば樹状細胞、マクロファージまたはB細胞上に構成的に発現される。いくつかの局面において、APCは、腫瘍部位において、腫瘍性細胞を採取し、飲み込み、腫瘍抗原をプロセシングし、それがCD8+およびCD4+ T細胞による認識のためにMHCクラスIまたはMHCクラスII分子に関連して提示され得る。いくつかの例において、APCに加えて、多くの腫瘍細胞もまた、MHCクラスII分子を発現する。抗原特異的CD4+ Tヘルパー細胞の活性化は、抗腫瘍応答の誘導および維持において役割を果たす。いくつかの局面において、活性化されたCD4+ T細胞は、例えばCD8+ T細胞を腫瘍部位に動員するおよび/またはCD8+ T細胞のプライミングを促進することによって、CD8 Tリンパ球に対する援助を提供する因子を分泌し得る。
いくつかの態様において、提供される方法は、MHCクラスII分子に関連してペプチドエピトープを提示するために異種抗原をコードするCMVベクター粒子がMHCクラスII発現細胞に導入されたまたは導入される、細胞を提供または調製する工程を含む。いくつかの態様において、この方法は、腫瘍関連抗原(TAA)由来のMHCクラスII拘束ペプチドを同定するために使用され得る。いくつかの態様において、この方法は、ウイルス関連がんにおいて見出される抗原を含む、ウイルス抗原由来のMHCクラスII拘束ペプチドを同定するために使用され得る。いくつかの態様において、MHCクラスII - ペプチド複合体は、CD4+ T細胞によって認識される。いくつかの態様において、MHCクラスIIペプチド複合体は、CD8+ T細胞によって認識される。いくつかの態様において、MHCクラスIIペプチド複合体は、CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞によって認識される。いくつかの態様において、そのようなエピトープは、例えばウイルスに感染したがん細胞由来の、腫瘍抗原またはウイルス抗原を保有する細胞を含む、APCまたは腫瘍細胞表面上のMHCクラスIIに関連するペプチド標的を特異的に認識する分子の開発または同定における標的として使用され得る。
いくつかの態様において、MHCクラスII発現細胞は、初代細胞である。いくつかの態様において、MHCクラスII発現細胞は、細胞株である。いくつかの態様において、MhcクラスII発現細胞は、ヒト細胞である。いくつかの局面において、本明細書に提供される方法は、異種抗原をコードする核酸を含む(UL128および/もしくはUL130をコードするORFが改変された、ならびに/または不活性なUL128および/もしくはUL130タンパク質をコードするCMVゲノムを有する)組換えCMVベクター粒子をMHCクラスII発現細胞、例えば、MHCクラスII分子を発現する、発現するよう工学的に改変された、または発現するよう誘導された初代細胞または細胞株に導入する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に提供される方法により、1種または複数種のペプチド抗原、例えばCMVベクターによってコードされる異種抗原の1種または複数種のペプチド抗原が、細胞により発現され、プロセシングを受け、そしてそのようなMHCクラスII分子に関連して細胞表面上に提示される。
一般に、MHCクラスII分子は、主に免疫細胞、特に抗原提示細胞(APC)、例えばB細胞、樹状細胞、単球、マクロファージおよび、いくつかの例では、線維芽細胞において発現される。いくつかの態様において、細胞は、MHCクラスII分子を発現するよう誘導され得る。例えば、いくつかの態様において、細胞、例えば線維芽細胞は、例えばインターフェロンガンマまたは他の刺激物質を使用することによって、細胞表面上でのMHCクラスIIの発現を上方調節するよう刺激または活性化され得る。いくつかの態様において、細胞、例えば線維芽細胞は、MHCクラスII分子、例えば特定のMHCクラスII対立遺伝子を発現するよう工学的に改変され得る。例えば、いくつかの態様において、MHCクラスII発現細胞は、クラスIIα鎖およびクラスIIβ鎖を用いて親細胞株を遺伝子的に修飾することによって調製されたものである。
いくつかの態様において、MHCクラスII発現細胞は、対象、例えばヒト対象に存在することが分かっているいずれかであり得るMHCクラスII対立遺伝子を発現する。いくつかの態様において、MHC対立遺伝子は、DR1、DR3、DR4、DR7、DR52、DQ1、DQ2、DQ4、DQ8およびDP1であり得るがこれらに限定されない。いくつかの態様において、MHCクラスII対立遺伝子は、表1Bに示されるいずれかであり得、これらは米国人集団で最も高頻度のMHCクラスII対立遺伝子である。いくつかの態様において、MHCクラスII対立遺伝子は、HLA-DRB1*0101、HLA-DRB*0301、HLA-DRB*0701、HLA-DRB*0401およびHLA-DQB1*0201である。
いくつかの態様において、細胞は、非古典的MHC分子を発現する細胞である。例えば、いくつかの例において、細胞は、細胞表面上にMHC-E分子、例えばHLA-E分子を発現する細胞である。いくつかの態様において、この方法は、病原性または疾患状態に関連するMHC-E拘束ペプチド、例えばユニバーサル、スーパートープおよび/または非カノニカルペプチドを同定するために使用され得る。一般に、MHC-E(またはHLA-E)は、ヒトにおけるHLA-E遺伝子または別の種におけるオルソログもしくはホモログによってコードされる非古典的MHCクラスI分子である。例えば、マウスにおけるホモログは、Qa-1bと呼ばれる。MHCクラスI MHC-E遺伝子は、組織を通じて遍在的に、しかしいくつかの例においては、他の非古典的MHCクラスI遺伝子であるMHC-GおよびMHC-Fよりもずっと低いレベルで、発現される(Strong et al., J Biol Chem. 2003 Feb 14; 278 (7): 5082-90を参照のこと)。MHC-E対立遺伝子は、その古典的MHCクラスI(すなわち、HLA-A、BおよびC)対応物よりもずっと低い対立遺伝子多型を示す。例えば、ヒトにおいてMHC-Eの公知の対立遺伝子は、対立遺伝子E*0101およびE*0103のわずか2つしか存在せず、これらは様々な集団を通してほぼ等しい頻度で見出され、107位のアミノ酸の1つのみが相違する(Pietra et al. (2010) Journal of Biomedicine and Biotechnology)。典型的に、古典的MHC分子と同様、MHC-Eは、α重鎖および軽鎖(β-2ミクログロブリンとも呼ばれる)を含むヘテロ二量体として存在する。いくつかの例において、MHC-E分子は、細胞表面上のMHC-Eを安定化させ、いくつかの例において、NK細胞によって認識されNK細胞の活性化を調節し得る古典的MHCクラスI分子のシグナルペプチド由来のペプチド(例えば、九量体ペプチド)に結合することが公知である。例えば、いくつかの例において、MHC-Eは、阻害性NK細胞受容体CD94/NKG2Aに結合してNK細胞の活性を阻害し得る。いくつかの例において、ペプチドと複合体化したMHC-Eはまた、CD8+細胞上で発現されたTCRと相互作用し得る(Pietra et al. (2010) Journal of Biomedicine and Biotechnology, Article ID 907092)。HLA-Eの発現は、様々な腫瘍タイプにおいて増加すること、およびより悪い臨床結果に関係することが見出されている(例えば、Kruijf et al., J Immunol. 2010 Dec 15; 185 (12): 7452-9を参照のこと)。
いくつかの態様において、提供される方法は、MHCクラスE分子に関連してペプチドエピトープを提示するために異種抗原をコードするCMVベクター粒子がMHCクラスE発現細胞に導入されたまたは導入される、細胞を提供または調製する工程を含む。いくつかの態様において、この方法は、腫瘍関連抗原(TAA)由来のMHC E拘束ペプチドを同定するために使用され得る。いくつかの態様において、この方法は、ウイルス関連がんにおいて見出される抗原を含む、ウイルス抗原由来のMHC-E拘束ペプチドを同定するために使用され得る。いくつかの態様において、MHC-E - ペプチド複合体は、CD8+ T細胞によって認識されるおよび/またはCTL応答に関連する。いくつかの態様において、同定されたMHC-E拘束ペプチドまたはエピトープは、MHC-Eに関連するペプチド標的を特異的に認識する分子の開発または同定における標的として使用され得る。
いくつかの態様において、MHC-E発現細胞は、初代細胞である。いくつかの態様において、MHC-E発現細胞は、細胞株である。いくつかの態様において、MHC-E発現細胞は、ヒト細胞である。いくつかの局面において、本明細書に提供される方法は、異種抗原をコードする核酸を含む(例えば、UL128および/もしくはUL130をコードするORFが改変された、ならびに/または不活性なUL128および/もしくはUL130タンパク質をコードするCMVゲノムを有する)組換えCMVウイルスをMHC-E発現細胞、例えば、MHC-E分子を発現する、発現するよう工学的に改変された、または発現するよう誘導された初代細胞または細胞株に導入する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に提供される方法により、1種または複数種のペプチド抗原、例えばCMVベクターによってコードされる異種抗原の1種または複数種のペプチド抗原が、細胞により発現され、プロセシングを受け、そしてMHC-E分子に関連して細胞表面上に提示される。
一般に、MHC-E分子は、内皮細胞、線維芽細胞および免疫細胞(例えば、B細胞、T細胞、NK細胞、単球、マクロファージ)において広く発現される。いくつかの態様において、細胞、例えば線維芽細胞は、MHC-E分子を発現するよう誘導され得る。いくつかの局面において、CMVによる細胞の感染、例えば線維芽細胞の感染は、例えば細胞とCMVの接触または細胞へのCMVの導入後最大6時間、8時間、12時間または24時間、そのような細胞の表面においてMHC-Eの発現を誘導する(例えば、Rolle et al. (2014) J. Clin. Invest., 124: 5305-5316)。いくつかの例において、細胞、例えば線維芽細胞は、例えばインターフェロンガンマまたは他の刺激物質によって、その細胞表面上でのMHC-Eの発現を上方調節するよう刺激または活性化され得る。
いくつかの態様において、細胞は、MHC-E分子、例えば特定のMHC-E対立遺伝子を発現するよう工学的に改変され得る。いくつかの態様において、MHC-Eをコードする核酸分子は、細胞、例えば通常MHC-Eを発現しない、その細胞表面上でMHC-Eを発現しない、および/またはMHC-Eを低レベルで発現し得る細胞に導入され得る。典型的に、細胞は、組換えDNA技術を用いて、例えば上記の方法を用いて、遺伝子的に改変される。例示的なMHC-E(例えば、対立遺伝子E*01:01)の配列は、SEQ ID NO:1(GenBank番号AAH02578.1およびUniProt番号P13747.3)に示され、SEQ ID NO:2(GenBank番号BC002578)に示されるヌクレオチドの配列によってコードされる。例示的なMHC-E(例えば、対立遺伝子E*0103)の配列は、SEQ ID NO:3(GenBank番号NP_005507)に示され、SEQ ID NO:4(GenBank番号NM_005516.5)に示されるヌクレオチドの配列によってコードされる。
いくつかの態様において、細胞表面上でのMHC-Eの発現は、MHCクラスI分子由来のペプチドの付加によって安定化され得る。いくつかの態様において、ペプチドは、MHCクラスI分子リーダー配列のペプチドである。例えば、いくつかの例において、細胞表面上でのMHC-Eの発現は、MHC-E複合体の形成のためのMHCクラスIリーダー配列由来ペプチドの存在下で増加する(Lee et al. (1998) Journal of Immunology, 160: 4951-4960; Braud et al. (1998) Current Biology, 8:1-10)。いくつかの例において、ペプチドは、外部から添加され得、細胞と共にインキュベートされ得、この場合、抗原プロセシングに関連するトランスポーター(TAP)は必要とされない場合がある。いくつかの例において、ペプチドは、細胞によるプロセシングを受け、新たに生成されたMHC-E分子への結合のためにTAPによって小胞体(ER)に送達され得る。したがっていくつかの態様において、細胞は、TAPを含み得る。いくつかの態様において、細胞は、TAP欠損性であり得る。
例えば、いくつかの態様において、細胞表面上でのMHC-E発現は、MHCクラスI分子のリーダー配列に対応する外因性ペプチドを、MHC-Eでトランスフェクトされた細胞と共にインキュベートする、例えば、22℃〜30℃または約22℃〜30℃、例えば通常26℃±3℃の温度でインキュベートすることによって安定化され得る。いくつかの態様において、ペプチドは、九量体である。いくつかの態様において、ペプチドは、メチオニンが2位に存在し、ロイシンが九量体のカルボキシル末端位置に存在するMHCクラスI分子のリーダー配列由来である。いくつかの態様において、ペプチドは、HLA-A、HLA-B、HLA-CまたはHLA-GであるMHCクラスI分子のリーダー配列由来である。いくつかの態様において、ペプチドは、HLA-A*0101、HLA-A*0201、HLA-A*0211、HLA-A*0301、HLA-A*2403、HLA-A*2501、HLA-A*3601、HLA-A*0702、HLA-A*0801、HLA-B*6501、HLA-Cw*0401、HLA-Cw*1502、HLA-GであるMHCクラスI分子のリーダー配列由来である。いくつかの態様において、ペプチドは、MHCクラスIリーダー配列のアミノ酸3〜11に対応するアミノ酸の配列を有する。いくつかの態様において、ペプチドは、SEQ ID NO:5〜9のいずれかに示されるアミノ酸の配列を有する。
いくつかの態様において、細胞表面上でのMHC-E発現は、MHCクラスI分子およびMHC-Eで細胞を共トランスフェクトすることによって安定化され得る。いくつかの態様において、MHCクラスI分子は、そのリーダー配列の残基3〜11において、メチオニンが2位に存在し、ロイシンがカルボキシル末端位置に存在するものである。いくつかの態様において、MHCクラスI分子は、HLA-A、HLA-B、HLA-CまたはHLA-Gである。いくつかの態様において、MHCクラスI分子は、HLA-A*0101、HLA-A*0201、HLA-A*0211、HLA-A*0301、HLA-A*2403、HLA-A*2501、HLA-A*3601、HLA-A*0702、HLA-A*0801、HLA-B*6501、HLA-Cw*0401、HLA-Cw*1502またはHLA-Gである。
いくつかの態様において、細胞表面上でMHC-Eを発現させるために、例えばそのような細胞表面上でのMHC-Eの発現を安定化させるために、MHC-E成熟タンパク質に融合されたMHCクラスI分子のリーダー配列を含むハイブリッドMHC-E遺伝子が細胞にトランスフェクトされ得る。いくつかの態様において、このハイブリッド分子は、MHC-E成熟タンパク質に融合されたMHCクラスI分子のプロモーターおよびリーダー配列を含む。いくつかの態様において、MHCクラスI分子は、そのリーダー配列の残基3〜11において、メチオニンが2位に存在し、ロイシンがカルボキシル末端位置に存在するものである。いくつかの態様において、リーダー配列は、HLA-A、HLA-B、HLA-CまたはHLA-GであるMHCクラスI分子由来であり得る。いくつかの態様において、リーダー配列は、HLA-A*0101、HLA-A*0201、HLA-A*0211、HLA-A*0301、HLA-A*2403、HLA-A*2501、HLA-A*3601、HLA-A*0702、HLA-A*0801、HLA-B*6501、HLA-Cw*0401、HLA-Cw*1502またはHLA-GであるMHCクラスI分子由来である。例えば、そのようなハイブリッドの例は、HLA-A2プロモーターおよびシグナル配列ならびにHLA-E成熟タンパク質配列を含むAEHハイブリッド遺伝子であり、これはいくつかの例において、HLA-E遺伝子によってコードされるのと同じであるが、細胞表面上で安定的に発現され得る成熟タンパク質を生成し得る(例えば、Lee et al. (1998) Journal of Immunology, 160: 4951-4960を参照のこと)。
いくつかの態様において、細胞株は、任意で、例えば親細胞が内因性のβ2ミクログロブリンを発現しない場合、β2ミクログロブリンによって遺伝子的に修飾され得る。いくつかの態様において、単一のMHC-E重鎖が、例えば発現ベクターを用いることによって、細胞に導入される。いくつかの態様において、MHC-E重鎖およびβ2ミクログロブリンが、同時にまたは任意の順序で逐次的に、のいずれかで、例えば1種または複数種の発現ベクターを用いることによって、細胞に導入され得る。
一般に、細胞にCMVを感染させる方法は、当技術分野で周知である。典型的に、細胞は、インビトロでウイルスを導入されるまたはウイルスと接触させられる。感染は、1〜100または約1〜100のウイルスの感染多重度(MOI)、例えば通常2〜50、2〜20もしくは2〜10または約2〜50、2〜20もしくは2〜10、例えば少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20または約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20のMOIで行われ得る。
いくつかの態様において、細胞は、例えば特定のMOIで、ウイルスが細胞に取り込まれるのに適した時間、ウイルスと接触させられる。いくつかの例において、ウイルスと細胞の接触は、実質的に細胞変性効果、細胞の溶解または死滅を引き起こさない時間行われる。一般に、細胞とウイルスを接触させる個々の時間は、多くの要因、例えば感染させる個々の細胞型、ウイルスのMOI、細胞密度および当業者に公知の他の要因に依存し得る。いくつかの態様において、ウイルスは、細胞によるウイルスの吸収が可能なように、0.5〜5時間または約0.5〜5時間、例えば最大1時間、2時間もしくは3時間または約1時間、2時間もしくは3時間、細胞と接触させられる。いくつかの例において、ウイルスは、細胞から洗浄または除去され得、細胞はさらに、例えば異種抗原の発現を含むウイルスタンパク質の発現、ペプチドのプロセシングおよび/またはプロセシングを受けたペプチドの細胞表面上での提示が行われるよう、さらなる時間、培養またはインキュベートされ得る。例えば、いくつかの態様において、細胞は、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間または24時間、さらに培養またはインキュベートされ得る。
いくつかの態様において、異種抗原をコードする核酸を含む(例えば、UL128および/もしくはUL130をコードするORFが改変されたならびに/または不活性なUL128および/もしくはUL130をコードするCMVゲノムを有する)組換えCMVウイルス粒子を細胞に導入する工程の後、提供される方法は、プロセシングを受けたまたはMHC分子に関連して細胞表面上に提示されたペプチドを同定または検出する工程を含む。
細胞内のMHC遺伝子を抑制または破壊する方法
いくつかの態様において、MHC分子を発現する細胞、例えば、通常、MHCクラスII分子またはMHC-E分子を発現するよう工学的に改変またはトランスフェクトされた細胞は、通常古典的MHCクラスIa分子、例えばHLA-A、BまたはCが発現されるが、そのような古典的MHCクラスIaをコードする遺伝子、例えばHLA-A、-Bまたは-C遺伝子の発現、活性および/または機能が抑制または破壊されているものである。特定の例において、遺伝子の抑制または破壊は、MHCクラスI分子、例えばHLA-A、-Bまたは-C分子の重鎖を標的化することによってもたらされる。遺伝子を抑制または破壊する方法は、当技術分野で周知であり、いくつかの局面において、阻害性核酸分子の使用または遺伝子編集方法を含み得る。いくつかの態様において、本明細書に記載される任意のものを含む、そのような方法を用いた遺伝子の抑制または破壊の後、抑制または破壊されたMHC分子、例えばHLA-A、BまたはC分子の細胞表面上での発現は、同じMHCクラスI遺伝子が抑制または破壊されなかった同じ細胞におけるその分子の発現の50%、40%、30%、20%、10%、5%以下またはそれ未満である。いくつかの態様において、発現のレベルまたは程度は、標準的手法を通じて評価され得る。いくつかの態様において、HLA特異的抗体が、細胞を選択または同定するために使用され得る。例示的な抗体は、当技術分野で公知であり、非限定的な例は、本明細書の他所に記載されている。いくつかの態様において、個々のMHC発現は、フローサイトメトリーによって確認される。いくつかの態様において、対立遺伝子特異的PCRが、遺伝子発現、したがって遺伝子修飾のレベルを決定するために使用され得る。
いくつかの態様において、遺伝子の抑制は、遺伝子の発現を選択的に抑制(suppress)または抑制(repress)するために使用することができるRNA干渉物質である阻害性核酸分子を用いて達成される。例えば、遺伝子の抑制は、RNA干渉(RNAi)、単鎖干渉性RNA(siRNA)、ショートヘアピン(shRNA)、アンチセンスおよび/またはリボザイムを用いて行われ得る。いくつかの態様において、RNA干渉物質はまた、天然に存在するmiRNA前駆体または設計されたmiRNA様RNAの前駆体と同一のRNA種を含むがこれらに限定されない、細胞内でプロセシングを受けてshRNAを生成する他のRNA種を含み得る。
いくつかの態様において、RNA干渉物質は、RNAi機構を通じて遺伝子発現の阻害を媒介することが当技術分野で公知の分子の構造的特徴を有する少なくとも部分的に二本鎖であるRNAまたはそのような構造を形成するよう相互にハイブリダイズする少なくとも部分的に相補的な部分を含むRNA鎖である。RNAが相互にハイブリダイズする相補的領域を含む場合、そのRNAは自己ハイブリダイズすると称される。いくつかの態様において、阻害性核酸、例えばRNA干渉物質は、標的遺伝子と実質的に相補的な部分を含む。いくつかの態様において、転写物に標的化されたRNA干渉物質はまた、その転写物をコードしその合成を行う遺伝子に対しても標的化されているとみなされ得る。いくつかの態様において、標的領域は、RNA干渉物質のアンチセンス鎖とハイブリダイズする標的転写物の一領域であり得る。いくつかの態様において、標的転写物は、RNA干渉による阻害の標的となる任意のRNAであり得る。
いくつかの態様において、RNA干渉物質は、(1)RNAi物質が、転写物の約15〜29ヌクレオチド長の領域、例えば少なくともおよそ15、およそ17、およそ18もしくはおよそ19ヌクレオチド長の領域に対して少なくともおよそ80%、およそ85%、およそ90%、およそ91%、およそ92%、およそ93%、およそ94%、およそ95%、およそ96%、およそ97%、およそ98%、およそ99%もしくはおよそ100%相補的である部分、例えば鎖を含む;ならびに/または(2)典型的に哺乳動物細胞の細胞質もしくは核内で見いだされる条件(温度を除く)の下での、RNAi物質の一方の鎖の15ヌクレオチドのストレッチと転写物の15ヌクレオチド部分によって形成される二重鎖のTmが、そのRNA干渉物質の同じ15ヌクレオチドとその正確な相補鎖によって形成されるであろう二重鎖のTmよりもおよそ15℃を超えて低くならないもしくはおよそ10℃を超えて低くならない;ならびに/または(3)転写物の安定性が、RNA干渉物質の存在下で、その非存在下と比較して低下する場合、転写物および転写物をコードする遺伝子に「標的化」されているとみなされる。
いくつかの態様において、RNA干渉物質は、任意で、1つまたは複数のヌクレオチドアナログまたは修飾を含む。当業者は、RNAi物質がリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、修飾ヌクレオチドまたは骨格等を含み得ることを理解するであろう。いくつかの態様において、RNA干渉物質は、転写後に修飾され得る。いくつかの態様において、RNA干渉物質は、任意で二重鎖内に1つまたは複数の不一致または非対形成ヌクレオチドを有する約15〜29ヌクレオチド長の二重鎖部分を含む構造を形成するようハイブリダイズまたは自己ハイブリダイズする1つまたは複数の鎖を含み得る。
いくつかの態様において、RNA干渉物質は、単鎖干渉性RNA(siRNA)であり、これは典型的に、約15〜29ヌクレオチド長の二本鎖部分を含みかつ任意でいずれかまたは両方の鎖に一本鎖オーバーハング(例えば、1〜6ヌクレオチド長)をさらに含む核酸である。いくつかの態様において、二本鎖部分は、17〜21ヌクレオチド長、例えば19ヌクレオチド長であり得る。いくつかの態様において、オーバーハングは、各鎖の3’末端に存在し、約またはおよそ2〜4ヌクレオチド長であり得、DNAまたはヌクレオチドアナログから構成され得る。siRNAは、ハイブリダイズして1つにまとまった2つのRNA鎖から形成され得、あるいはより長い二本鎖RNAからもしくは自己ハイブリダイズ部分を含む単一のRNA鎖、例えばショートヘアピンRNAから生成され得る。当業者は、2つのsiRNA鎖によって形成される二重鎖内に1つまたは複数の不一致または非対形成ヌクレオチドが存在し得ることを理解するであろう。いくつかの態様において、siRNAの一方の鎖(「アンチセンス」または「ガイド」鎖)は、標的核酸、例えばmRNA転写物とハイブリダイズする部分を含む。いくつかの態様において、アンチセンス鎖は、好ましくは、約15〜29ヌクレオチド、ときに17〜21ヌクレオチド、例えば19ヌクレオチドにわたって標的に対して相補的であり、このことは、そのsiRNAがこの範囲で1つの不一致も生じずに標的転写物にハイブリダイズすることを意味する。しかし、当業者は、siRNA鎖と標的転写物の間で形成される二重鎖内に1つまたは複数の不一致または非対形成ヌクレオチドが存在し得ることを理解するであろう。
いくつかの態様において、ショートヘアピンRNA(shRNA)は、RNAiを媒介するのに十分長い(典型的には、15〜29ヌクレオチド長の)二重鎖構造を形成するようハイブリダイズしたまたはハイブリダイズすることができる少なくとも2つの相補的部分、および二重鎖を形成する2つの配列の末端をつなぐループを形成する、典型的にはおよそ1〜10ヌクレオチド長の、少なくとも1つの一本鎖部分を含む核酸分子である。いくつかの態様において、この構造はさらに、オーバーハングを含み得る。いくつかの態様において、shRNAの自己相補的部分のハイブリダイゼーションによって形成される二重鎖は、siRNAのそれらと類似の特性を有し得、いくつかの例において、shRNAは、保存された細胞RNAi機構によるプロセシングを受けてsiRNAとなり得る。したがって、shRNAは、siRNAの前駆体であり得、同様に標的転写物の発現を阻害することが可能であり得る。いくつかの態様において、shRNAは、標的核酸、例えばmRNA転写物とハイブリダイズする部分を含み、究極的には、約15〜29ヌクレオチド、ときに17〜21ヌクレオチド、例えば19ヌクレオチドにわたって標的に相補的であり得る。しかし、当業者は、shRNA鎖と標的転写物の間で形成される二重鎖内に1つまたは複数の不一致または非対形成ヌクレオチドが存在し得ることを理解するであろう。
いくつかの態様において、shRNAは、A-B-CまたはC-B-A構造のヌクレオチド(例えばDNA)配列を含む。いくつかの態様において、このカセットは、少なくとも2つのDNAセグメントAおよびCまたはCおよびAを含み、少なくとも2つのセグメントの各々は、上で定義されたような別個のプロモーター(例えば、誘導性U6、H1等を含むPol IIIプロモーター)の制御下に置かれる。上記のセグメントにおいて、Aは、ノックダウンされる遺伝子(例えば、HLA-A、BまたはC遺伝子)に少なくとも90%または100%相補的な15〜35 bpまたは19〜29 bpのDNA配列であり得、Bは、発現されるRNAヘアピン分子のループを形成する5〜9 bpを有するスペーサーDNA配列であり得、Cは、配列Aに少なくとも85%相補的な15〜35または19〜29 bpのDNA配列であり得る。
MHCクラスI分子、例えばHLA-A、-Bまたは-C分子の細胞発現を抑制するためにRNA干渉技術、例えばsiRNAまたはshRNAを用いる方法は、十分に当業者の技術水準で行われることである。いくつかの態様において、対立遺伝子特異的配列が、特定のHLA対立遺伝子の発現を特異的に抑制、下方調節および/または破壊するために使用され得る。いくつかの態様において、HLA-A、-Bまたは-Cコンセンサス配列が、HLA-A、-Bまたは-C遺伝子座の各々の発現を抑制、下方調節および/または破壊するために使用され得る。例えば、そのような分子を標的化するために対立遺伝子特異的またはコンセンサス配列を含むRNA干渉技術を用いる方法が報告されている(例えば、Gonzalez et al. (2004) Molecular Therapy, 11: 811-818; Haga et al. (2006) Transplant Proc., 38: 3184-3188; Figueiredo et al. (2006) J. Mol. Med., 84: 425-37; Figueiredo et al. (2007) Transfusion, 47: 18-27; Hacke et al. (2009) Immunol. Res., 44: 112-126; Lemp et al. (2013) Clin. Transpl., 93-101を参照のこと)。対立遺伝子特異的(例えば、HLA-A)であるsiRNA配列の非限定的な例は、SEQ ID NO:28-31に示され、汎特異的(すなわち、コンセンサス、例えばHLA-A、-B、-Cにおける保存された領域に対するもの)であるsiRNAの非限定的な例は、SEQ ID NO:32〜35に示される。対立遺伝子特異的(例えば、HLA-A)であるまたはコンセンサスHLA-A、-B、-C配列であるshRNAの非限定的な例は、それぞれ、SEQ ID NO:36または37に示される。市販の試薬、例えばsiRNAまたはshRNA試薬もまた容易に入手可能であり、例えばSanta Cruz Biotechnology製のもの(HLA-A、カタログ番号sc-42908および関連試薬;HLA-B、カタログ番号sc-42922および関連試薬;ならびにHLA-C、カタログ番号sc-105525および関連試薬)を参照されたい。
いくつかの態様において、遺伝子の抑制は、遺伝子の破壊、例えばノックアウト、挿入、ミスセンスまたはフレームシフト変異、例えば2対立遺伝子フレームシフト変異、その遺伝子のすべてもしくは一部、例えばその1つもしくは複数のエクソンもしくはその一部の欠失、および/またはノックインにより実施される。いくつかの局面において、別のMHCクラスI(例えば、HLA-A、BまたはC)の破壊は、遺伝子編集、例えば、その遺伝子の破壊のために標的化された領域に特異的に結合するまたはハイブリダイズするDNA結合タンパク質またはDNA結合核酸を用いることによって行われる。いくつかの局面において、破壊は、その遺伝子のエクソン、例えば第1または第2エクソンにおける欠失、変異およびまたは挿入により行われる。
いくつかの局面において、タンパク質または核酸は、例えばキメラまたは融合タンパク質内で、遺伝子編集ヌクレアーゼに連結されるまたは遺伝子編集ヌクレアーゼと複合体化される。そのような破壊は、いくつかの態様において、遺伝子またはその一部の配列に標的化されるよう個別に設計された、DNA結合標的化ヌクレアーゼおよび遺伝子編集ヌクレアーゼ、例えばジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)ならびに転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ならびにRNA誘導ヌクレアーゼ、例えばCRISPR関連ヌクレアーゼ(Cas)を含む配列特異的なまたは標的化されたヌクレアーゼをコードし得る阻害性核酸分子によって行われる。
ジンクフィンガー、TALEおよびCRISPR系結合ドメインは、例えば天然に存在するジンクフィンガーまたはTALEタンパク質の認識ヘリックス領域の工学的改変(1つまたは複数のアミノ酸の改変)を通じて、既定のヌクレオチド配列に結合するよう「工学的に改変」され得る。工学的に改変されたDNA結合タンパク質(ジンクフィンガーまたはTALE)は、天然に存在しないタンパク質である。合理的な設計基準は、置換ルールならびに既存のZFPおよび/またはTALE設計の情報ならびに結合データを記録したデータベースの情報の処理のための演算アルゴリズムの適用を含む。例えば、米国特許第6,140,081号;同第6,453,242号;および同第6,534,261号を参照のこと;WO 98/53058;WO 98/53059;WO98/53060;WO 02/016536およびWO 03/016496ならびに米国公開番号201103073も参照のこと。
いくつかの態様において、抑制は、エフェクタータンパク質、例えばエンドヌクレアーゼに融合された、DNA結合タンパク質、1種または複数種のジンクフィンガータンパク質(ZFP)または転写活性化因子様タンパク質(TAL)を含むDNA標的化分子を用いて行われる。例は、ZFN、TALEおよびTALENを含む。Lloyd et al., Fronteirs in Immunology, 4 (221), 1-7 (2013)を参照のこと。
ZFPまたはそのドメインは、亜鉛イオンの配位を通じてその構造が安定化される結合ドメイン内のアミノ酸配列の領域である1種または複数種のジンクフィンガーを通じて配列特異的な様式でDNAに結合するより大きなタンパク質内のタンパク質またはドメインである。ジンクフィンガーDNA結合タンパク質という用語は、しばしば、ジンクフィンガータンパク質またはZFPと省略される。特にZFPは、個々のフィンガーの結集により生成される、典型的に9〜18ヌクレオチド長の、特定のDNA配列を標的化する人工ZFPドメインである。ZFPは、単一のフィンガードメインがおよそ30アミノ酸長であるものを含み、亜鉛を通じて単一のベータターンの2つのシステインと共に配位された2つの不変ヒスチジン残基を含み、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのフィンガーを有するアルファヘリックスを含む。一般に、ZFPの配列特異性は、ジンクフィンガー認識ヘリックス上の4つのヘリックス位置(-1、2、3および6)でアミノ酸置換を行うことによって改変され得る。したがって、いくつかの態様において、ZFPまたはZFP含有分子は、天然に存在しない、例えば選択された標的部位に結合するよう工学的に改変されたものである。
いくつかの態様において、DNA標的化分子は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を形成するようDNA切断ドメインに融合されたジンクフィンガーDNA結合ドメインであるまたはそれを含む。いくつかの態様において、融合タンパク質は、少なくとも1つのType IIS制限酵素由来の切断ドメイン(または切断ハーフドメイン)および1種または複数種のジンクフィンガー結合ドメインを含み、これらは工学的に改変されている場合とされていない場合がある。いくつかの態様において、切断ドメインは、Type IIS制限エンドヌクレアーゼFok I由来である。Fok Iは、一般に、一方の鎖におけるその認識部位から9ヌクレオチド、他方におけるその認識部位から13ヌクレオチドにおける、DNAの二本鎖切断を触媒する。例えば、米国特許第5,356,802号;同第5,436,150号および同第5,487,994号;ならびにLi et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 4275-4279;Li et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 2764-2768;Kim et al. (1994a) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 883-887;Kim et al. (1994b) J. Biol. Chem. 269: 31, 978-31, 982号を参照のこと。
多くの遺伝子特異的改変人工ジンクフィンガーが市販されている。例えば、Sangamo Biosciences(Richmond,CA, USA)は、Sigma-Aldrich(St. Louis, MO, USA)との協力の下、研究者がジンクフィンガーの構築および検証をすべて省略できるようにし、数千のタンパク質に対して特異的に標的化されたジンクフィンガーを提供するジンクフィンガー構築プラットフォーム(CompoZr)を開発した。Gaj et al., Trends in Biotechnology, 2013, 31(7), 397-405。いくつかの態様において、市販のジンクフィンガーが使用されるまたは特注される(例えば、Sigma-Aldrichカタログ番号CSTZFND、CSTZFN、CTI1-1KTおよびPZD0020を参照のこと)。ZFNを用いたMHCクラスI分子の細胞発現の抑制または破壊方法は、当技術分野で公知である(例えば、HLA-A遺伝子座、例えばHLA対立遺伝子HLA-A*03:01またはHLA-A*02:01を破壊する方法を記載するTorikai et al. (2013) Blood, 122: 1341-1349を参照のこと)。
いくつかの例において、抑制は、CRISPRおよびCRISPR関連(Cas)タンパク質を用いて行われる。Sander and Joung, Nature Biotechnology, 32(4): 347-355を参照のこと。一般に、「CRISPRシステム」は、CRISPR関連(「Cas」)遺伝子の発現およびその活性の誘導に関与する転写物およびその他の要素を集合的に表し、Cas遺伝子をコードする配列、tracr(トランス活性化CRISPR)配列(例えば、tracrRNAまたはtracrRNA活性部分)、tracr-mate配列(「ダイレクトリピート」および内因性CRISPRシステムの下でtracrRNAによりプロセシングされた部分ダイレクトリピートを含む)、ガイド配列(内因性CRISPRシステムでは「スペーサー」とも称される)ならびに/またはCRISPR遺伝子座由来の他の配列および転写物を含む。
いくつかの態様において、CRISPR/CasヌクレアーゼまたはCRISPR/Casヌクレアーゼシステムは、DNAに配列特異的に結合する非コードRNA分子(ガイド)RNA(gRNA)およびヌクレアーゼ機能(例えば、2つのヌクレアーゼドメイン)を有するCasタンパク質(例えば、Cas9)を含む。通常、ガイド配列は、標的ポリヌクレオチド配列、例えばMHCクラスI分子(例えば、HLA-A、-Bまたは-C)をコードする遺伝子に対して、標的配列にハイブリダイズするのに十分な相補性を有し、かつ標的配列に対するCRISPR複合体の配列特異的結合を誘導する、任意のポリヌクレオチド配列である。典型的に、CRISPR複合体の形成に関して、「標的配列」は一般に、ガイド配列が相補性を有するよう設計される配列を表し、標的配列とガイド配列の間のハイブリダイゼーションがCRISPR複合体の形成を促進する。ハイブリダイゼーションを引き起こし、CRISPR複合体の形成を促進するのに十分な相補性がある限り、必ずしも完全な相補性は必要とされない。いくつかの態様において、ガイド配列とその相補的標的配列の間の相補性の程度は、適当なアラインメントアルゴリズムを用いて最適なアラインメントが行われる場合、約50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、97.5%、99%もしくはそれ以上、または約50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、97.5%、99%超もしくはそれ以上である。いくつかの態様において、ガイド配列は、ガイド配列内の二次構造の程度を減少させるよう選択される。二次構造は、任意の適当なポリヌクレオチドフォールディングアルゴリズムによって決定され得る。
いくつかの態様において、CRISPR酵素(例えば、Cas9ヌクレアーゼ)は、ガイド配列と共に(任意でガイド配列と複合体化されて)、細胞に送達される。いくつかの態様において、CRISPRシステムの1つまたは複数の要素は、I型、II型またはIII型CRISPRシステム由来である。いくつかの態様において、CRISPRシステムの1つまたは複数の要素は、内因性CRISPRシステムを含む特定の生物、例えば、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)由来である。
特定のMHCクラスI、例えばHLA-A、-Bまたは-CのノックアウトのためにCRISPRシステムを使用する方法は、当技術分野で公知である(例えば、Sanjana et al. (2014) Nat. Methods, 11: 783-4を参照のこと)。例示的な方法において、Cas9ヌクレアーゼ(例えば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)または化膿性連鎖球菌由来のmRNAによってコードされるもの、例えばpCW-Cas9、Addgene #50661、Wang et al. (2014) Science, 3: 343-80-4;またはApplied Biological Materials(ABM; Canada)からカタログ番号K002、K003、K005もしくはK006として入手可能なヌクレアーゼもしくはニッカーゼレンチウイルスベクター)および標的抗原遺伝子に特異的なガイドRNAが、例えば、レンチウイルス送達ベクターまたは細胞への送達のための多くの公知の送達方法もしくはビヒクルのいずれか、例えばCas9分子およびガイドRNAを送達するための多くの公知の方法もしくはビヒクルのいずれかを用いて、細胞に導入される。非特異的または空ベクター対照細胞もまた、作製され得る。(例えば、送達から24〜72時間後の)遺伝子のノックアウトの程度は、細胞内での遺伝子破壊を評価する多くの周知のアッセイのいずれかを用いて評価され得る。例えば、例示的なガイドRNA配列は、SEQ ID NO:10〜27に示されるいずれかを含み得る。CRISPRを通じた特定のMHCクラスI、例えばHLA-A、-Bまたは-Cのノックアウトのための市販のキット、gRNAベクターおよびドナーベクターもまた、容易に入手可能である。例えば、HLA-A遺伝子のノックアウトのための試薬は、例えばGeneCopoeia(例えば、カタログ番号HTN262410またはHTN208849を参照のこと)、Origene Technologies(カタログ番号KN200661)から入手可能である。別の例において、HLA-B遺伝子のノックアウトのための試薬は、例えば、Santa Cruz Biotechnology, Inc.(例えば、カタログ番号sc-400627を参照のこと)から入手可能である。さらなる例において、HLA-C遺伝子のノックアウトのための試薬は、例えば、Santa Cruz Biotechnology, Inc.(例えば、カタログ番号sc-401517を参照のこと)から入手可能である。
いくつかの態様において、遺伝子破壊、例えば、古典的MHCクラスI、例えばHLA-A、-B-または-Cをコードする遺伝子のノックダウンまたはノックアウトを誘導することができる作用物質は、複合体、例えばリボヌクレオタンパク質(RNP)複合体として導入される。RNP複合体は、リボヌクレオチドの配列、例えばRNAまたはgRNA分子、およびポリペプチド、例えばCas9タンパク質またはその変種を含む。いくつかの態様において、Cas9タンパク質は、Cas9タンパク質およびgRNA分子、例えば古典的MHCクラスI、例えばHLA-A、-B-または-Cをコードする遺伝子を標的とするgRNAを含むRNP複合体として送達される。いくつかの態様において、古典的MHCクラスをコードする遺伝子(例えばHLA-A、-B-または-Cをコードする遺伝子)を標的とする1種または複数種のgRNA分子およびCas9酵素またはその変種を含むRNPは、物理的送達(例えば、エレクトロポレーション、粒子銃、リン酸カルシウムトランスフェクション、細胞圧縮または圧搾)、リポソームまたはナノ粒子を通じて細胞に直接導入される。
いくつかの態様において、様々な時点での、例えば作用物質の導入から24〜72時間後の遺伝子(例えば、古典的MHCクラスI分子、例えばHLA-A、-B-または-Cをコードする遺伝子)のノックアウトの程度は、細胞内での遺伝子破壊を評価するための多くの周知のアッセイのいずれかを用いて評価され得る。様々な時点での、例えば作用物質の導入から24〜72時間後の遺伝子のノックダウンの程度は、細胞内での遺伝子破壊を評価するための多くの周知のアッセイのいずれか、例えば、転写またはタンパク質発現もしくは細胞表面発現のレベルを決定するアッセイを用いて評価され得る。
いくつかの態様において、異種抗原をコードするCMVベクター粒子を導入する前にまたは導入するのと同時に、MHC分子または分子群と内因性ペプチドの相互作用が、減少、反転および/または阻害される。いくつかの態様において、細胞は、細胞表面上のMHCに結合した内因性ペプチドを剥離され得る。いくつかの態様において、内因性ペプチドは、細胞を低pH、例えば2〜3または約2〜3のpHの下で短時間、例えば1分間〜1時間または約1分間〜1時間、例えば5分間〜30分間インキュベートすることによって細胞の表面から剥離され得る。いくつかの態様において、抗原提示に関連するトランスポーター(TAP)をコードする遺伝子が、細胞内で破壊および/または抑制され、それによってその分子の細胞内ペプチド供給が阻止される。例えば、いくつかの態様において、TAP遺伝子に対して相補性を示す阻害性核酸分子、例えばRNAiが、細胞に導入される。
C. ペプチドエピトープの同定および検出
いくつかの態様において、本明細書に提供される方法は、異種抗原またはタンパク質をコードする核酸を含む(例えば、UL128および/もしくはUL130をコードするORFが改変されたならびに/または不活性なUL128および/もしくはUL130タンパク質をコードするCMVゲノムを有する)組換えCMVベクター粒子が導入された細胞表面上でMHC分子と複合体化したペプチドエピトープを検出および/または同定する工程を含む。典型的に、ペプチドエピトープ(またはT細胞エピトープ)は、細胞内でCMVベクター粒子から発現された場合、細胞表面上での提示のためにプロセシングを受けてMHC分子と結合するまたはMHC分子と複合体を形成することができる、異種抗原のフラグメント由来であり得るまたは異種抗原のフラグメントに基づき得るペプチドである。いくつかの態様において、MHC分子およびペプチドエピトープは、MHC分子の結合溝または裂け目においてそのペプチドの非共有結合的相互作用を通じて複合体化または結合する。
いくつかの態様において、ペプチドエピトープの検出および/または同定は、例えば細胞溶解産物からMHC分子に関連して存在する、細胞表面のおよび/または単離されたMHC分子からペプチドを抽出または溶出することによって、結合したMHC分子からペプチドを単離する方法を含む。細胞からMHC結合ペプチドを単離するためのアプローチは、当技術分野で公知であり、酸性化された溶解産物の分析、細胞表面からのペプチドの溶出または可溶化された細胞溶解産物からのMHC-ペプチド複合体の免疫親和性精製を含むがこれらに限定されない。いくつかの態様において、ペプチドは、弱酸または希酸の存在下で単離、例えば抽出または溶出される。いくつかの態様において、ペプチドは、酸、例えばトリフルオロ酢酸(TFA)で処理された後に総細胞溶解産物から抽出され、その後に逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)または他の分画法により分画され得る。いくつかの態様において、細胞の生存性に影響を与えずに細胞表面からのペプチドの解離を促進することができる酸性緩衝液、例えば約3.3のpHのクエン酸を含む等張性緩衝液の存在下での細胞のインキュベートによって細胞表面に結合したペプチドを回収する非溶解アプローチが利用され得る。いくつかの態様において、細胞表面からのMHC分子の免疫アフィニティークロマトグラフィーおよび/または免疫沈降が、特定のMHC分子を単離するために利用され得、その後に結合ペプチドを溶解または溶出させるために酸で処理され得る。
いくつかの態様において、関心対象のペプチドは、特定のペプチドエピトープの存在を確認するまたは異なる細胞型において既知のエピトープを定量するための免疫学的読み取り、例えばT細胞アッセイの評価またはスクリーニングによって、分画物、抽出物または溶出試料から同定され得る。いくつかの態様において、ペプチドエピトープの検出および/または同定は、特定のペプチド(またはペプチドを含む分画物、抽出物もしくは溶出物)がT細胞応答、例えば細胞傷害性(例えば、CD8+)またはヘルパー(例えば、CD4+)T細胞応答を誘導することができるかどうかを決定することを含む。いくつかの態様において、MHC分子に結合もしくはMHC分子によって認識されるならびに/またはMHC分子に関連する免疫応答を誘導することができるペプチドエピトープが、単離または精製され得る。いくつかの態様において、ペプチドエピトープの配列が決定される。
いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体を検出および/または同定する方法は、細胞表面上でのMHCの安定化を評価する工程を含み得る(Terrazzano et al. (2007) Journal of Immunology, 179: 372-381)。いくつかの態様において、MHCは、MHCクラスIaまたはMHC-E分子であり、これらはいくつかの例において、ペプチドの存在下で発現増加および/または安定化を示す。いくつかの態様において、細胞へのCMVベクター粒子の導入後、プロセシングを受けたペプチドを生成する条件下で、細胞は回収され、MHCの細胞表面発現が、例えばフローサイトメトリーによって分析され得る。当業者は、安定化アッセイを熟知しており、そのようなアッセイを実施するための条件を実験的に決定することができる。いくつかの態様において、MHC分子、例えばMHCクラスIaまたはMHC-E分子の表面発現が、抗MHC特異的抗体、例えば、本明細書に記載される例示的な抗体を含む、当技術分野で公知の任意のものを用いて決定され得る。異種抗原をコードする核酸を含むCMVウイルス粒子を導入しなかった対照細胞もまた評価され得る。
いくつかの態様において、ペプチドを検出および/または同定する方法は、特定の細胞または細胞株、例えば提供される方法にしたがいCMVベクター粒子を導入された細胞の表面からのMHC分子の単離または分離、ならびにそれらに対するペプチドの結合の決定または評価を含む。例えば、ペプチドを検出、単離および/または同定する方法は、細胞の溶解、細胞溶解産物からのMHC分子の親和性精製、ならびにその後のMHCからのペプチドの溶出および分析を含み得る(Falk et al. (1991) Nature, 351: 290; Kowalewski and Stevanovic (2013). Biochemical Large-Scale Identification of Class I Ligands. In Antigen Processing: Methods and Protocols, Methods in Molecular Biology, vol.960, Ch.12 (pp.145-157; および米国特許第5,989,565号)。いくつかの例において、親和性精製は、免疫沈降またはアフィニティークロマトグラフィーを含み得る。いくつかの例において、イオン交換クロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、サイズ排除高性能液体クロマトグラフィーおよび上記の任意の組み合わせの1つまたは複数が使用され得る。
いくつかの態様において、MHC分子、例えば特定のMHCクラスまたは特定のMHC対立遺伝子を単離するために、免疫沈降が利用される。典型的に、免疫沈降法は、特定のMHCクラスまたはMHC対立遺伝子に特異的な抗体、例えばモノクローナル抗体を利用する。例えば、いくつかの局面において、対立遺伝子特異的な抗体が使用され得る。いくつかの例において、通常2つ以上のMHC対立遺伝子、例えば特定のMHCクラスまたはクラス群を認識する広範囲反応性または単一性の抗体が使用され得る。細胞によって発現される特定のMHCおよび/または望まれるMHC検出の特異性に基づいて特定の抗体を選択することは、当業者の技術水準で行われることである。抗HLA抗体を含む様々な抗MHC抗体が、当技術分野で周知であり、商業的および個人的供給源から入手可能である。例示的な抗体を表2に示す。
(表2)抗MHC抗体
いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体からペプチド画分がさらに分離され得る。いくつかの態様において、ペプチドは、当業者に周知の方法によって、例えば様々な変性方法、例えば熱、pH、界面活性剤、塩、カオトロピック剤またはそれらの組み合わせ、のいずれかへの複合体の曝露によって、MHC分子から解離され得る。例えば、いくつかの態様において、単離後、単離されたMHC分子のペプチド結合溝に結合しているペプチドは、例えば酸処理を用いて溶出され得る。
いくつかの態様において、ペプチド画分は、逆相高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によってMHC分子からさらに分離され、配列決定され得る。いくつかの態様において、ペプチドは、当業者に周知の他の方法、例えばろ過、限外ろ過、電気泳動、サイズクロマトグラフィー、特異的な抗体による沈殿、イオン交換クロマトグラフィーまたは等電点電気泳動によって分離され得る。いくつかの態様において、溶出したペプチドは、質量分析(MS)、液体クロマトグラフィーMS(LC-MS)、タンデムMS(LC-MS/MS)またはMALDI-MSによって分析され得る。
いくつかの態様において、細胞表面上でMHC分子に結合しているペプチドは、酸抽出およびHPLC分離によって分離または単離され得る。例えば、細胞は、例えばトリフルオロ酢酸、クエン酸リン酸緩衝液または他の適当な酸性緩衝液を用いて、約2±0.5〜3±0.5のpHに酸性化され得る。いくつかの例において、酸処理された細胞は均質化され、遠心分離後にペプチドが上清に溶出され得る。いくつかの例において、低分子量化合物は、サイズ排除クロマトグラフィー、固相抽出、真空遠心分離およびそれらの組み合わせを含み得る方法によって上清から抽出または取得され得る。いくつかの例において、ペプチドの分離は、HPLCによって実施され得、ペプチドは、流速、勾配のタイプおよび当業者に公知の他のパラメータを調節することによって異なる画分として溶出され得る。
いくつかの態様において、異種抗原を導入されなかった対照細胞に対して免疫親和性精製およびペプチド溶出を行うことによって減法が実施され得る。いくつかの態様において、対照細胞は、異種抗原をコードする核酸分子を含まない空のCMVベクター粒子を導入された細胞である。いくつかの態様において、対照細胞は、CMVベクター粒子を導入されずにインキュベートされる細胞である。いくつかの態様において、試験および対照細胞試料由来のペプチドが、例えば質量分析によって比較され得る。いくつかの態様において、異種抗原をコードするCMVベクター粒子を導入された細胞のプロフィールに含まれるペプチドのみが、例えばその後の配列決定によって、ペプチドエピトープを同定するために使用され得る。
いくつかの態様において、単離されたペプチドは、配列決定され得る。いくつかの態様において、単離されたペプチドの配列決定は、標準的な技術、例えばエドマン分解にしたがって行われ得る。いくつかの態様において、個々のペプチドの質量分析による配列決定が行われ得る。いくつかの態様において、配列決定されたペプチドは、標的抗原、および標的抗原内に存在することが判明している特定のペプチドの配列と比較され得る。
いくつかの態様において、ペプチドは通常、全長未満であるが2アミノ酸以上の長さのポリペプチド(例えば、異種抗原)の一部、例えば、2アミノ酸以上50または40アミノ酸以下の長さのものである。いくつかの態様において、ペプチドは、7〜50アミノ酸、11〜50アミノ酸長、11〜42アミノ酸長、8〜20アミノ酸、10〜17アミノ酸、7〜13アミノ酸または8〜10アミノ酸である。いくつかの態様において、この方法によって同定されるペプチドは、7アミノ酸超または約7アミノ酸超の長さ、例えば8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50もしくはそれ以上または約8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50もしくはそれ以上のアミノ酸長である。いくつかの態様において、ペプチドは、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20アミノ酸の長さを有する。
いくつかの態様において、同定されるペプチドエピトープは、非カノニカル(もしくは非従来型)エピトープであり得るおよび/または非カノニカルな応答を誘発し得る。いくつかの例において、非従来型エピトープまたは非カノニカルエピトープは、MHC分子上に提示(displayed)または提示(presented)されるが、例えば1つもしくは複数のアンカー残基の不存在のためにMHC結合に関して保存された配列モチーフを示さない場合がある、MHC分子に対してより低いもしくは中程度の親和性結合相互作用を示し得る、および/または従来型もしくはカノニカルペプチドエピトープよりも長い長さであり得るペプチドエピトープである。したがって、非カノニカルエピトープは、カノニカルな配列モチーフ、長さおよび/またはMHC相互作用に関する結合親和性を示さないものであり得る。
いくつかの態様において、ペプチドエピトープは、MHCクラスI、MHCクラスIIまたはMHC-E分子に結合することができる。いくつかの態様において、ペプチドは、通常そのような分子に結合されるカノニカルペプチドよりも長いものであり得る。いくつかの態様において、古典的MHC-Iaまたは非古典的MHC-E分子を含むMHC-I拘束ペプチドは、11アミノ酸よりも長い、例えば12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30アミノ酸よりも長い長さを有する。いくつかの態様において、MHC-II拘束ペプチドは、25アミノ酸よりも長い、例えば26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50またはそれ以上のアミノ酸よりも長い長さを有する。
いくつかの態様において、ペプチドは、例えばさらなる分析または試験のために調製され得る。いくつかの態様において、ペプチドは、当技術分野で公知の技術を用いて溶液中でまたは固相上で合成され得る。いくつかの態様において、ペプチドは、自動ペプチド合成装置を用いて合成され得る。様々な自動合成装置が市販されており、公知のプロトコルにしたがい使用され得る。いくつかの態様において、ペプチドは、手作業で合成され得る。ペプチド合成方法は、当技術分野で公知または報告されており、例えば、Stewart and Young, Solid Phase Peptide Synthesis, 2d. ed., Pierce Chemical Co., Rockford, IL (1984); Hunkapiller et al., (1984) Nature, 310: 105-11; Bodanszky, Principles of Peptide Synthesis, Springer Verlag (1984)を参照されたい。
いくつかの態様において、ペプチドは、MHC分子と接触させる前に単離および精製され得る。いくつかの態様において、適当な精製または単離方法は、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティー(親和性)クロマトグラフィー、サイジングカラムクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差またはペプチドもしくはタンパク質の精製のための他の適当な技術を含む。いくつかの態様において、ペプチドは、例えば精製、単離および/または活性(例えば、結合)の評価を容易にするために、(例えば、放射性標識、発光標識、化学発光標識または親和性タグを用いて)標識され得る。
いくつかの態様において、この方法は、例えば高い親和性、中程度の親和性またはいくつかの例においては低い親和性である、結合するMHCに対する、例えば最大阻害濃度(IC50)によって決定される、結合親和性を有するペプチドエピトープを同定することができる。いくつかの態様において、ペプチドの相対的な結合能または親和性は、標識されたレポーターペプチドの結合を50%低下させるのに必要とされる濃度を決定することにより結合のIC50を測定することによって評価され得る。
いくつかの態様において、ペプチドエピトープの結合親和性が決定される。MHC分子に対するペプチドの親和性を決定する方法は、当技術分野で周知である(例えば、PCT公報WO 94/20127およびWO 94/03205を参照のこと)。いくつかの態様において、結合アッセイは、放射性ヨウ素標識参照ペプチドの結合と比較する、精製されたMHC分子に対するペプチド結合の評価を含み得る。あるいは、空のMHC分子(すなわち、あらゆる結合ペプチドを欠く細胞表面HLA分子)を発現する細胞は、免疫蛍光染色および流動微小蛍光測定によりペプチド結合について評価され得る。ペプチド結合を評価するのに使用され得る他のアッセイは、ペプチド依存的クラスI構築アッセイおよび/またはペプチド競合によるCTL認識の阻害を含む。いくつかの例において、結合はまた、生きた細胞(例えば、Ceppellini et al., Nature 339; 392 (1989); Christnick et al., Nature 352: 67 (1991); Busch et al., Int. Immunol. 2: 443 (1990); Hill et al.., J Immunol. 147: 189 (1991); del Guercio et al., J Immunol. 154: 685 (1995))、界面活性剤溶解産物を使用する無細胞システム(例えば、Cerundolo et al., J Immunol. 21: 2069 (1991))、固定された精製MHC(例えば、Hill et al., J Immunol. 152, 2890 (1994); Marshall et al., J Immunol. 152: 4946 (1994))、ELISAシステム(例えば、Reay et al., EMBO J 11: 2829 (1992))、表面プラズモン共鳴(例えば、Khilko et al., J Biol. Chem. 268: 15425 (1993))を使用するもの;高流量溶解相アッセイ(Hammer et al., J. Exp. Med. 180: 2353 (1994))および変性させたMHC分子を用いるELISAベース再フォールディングアッセイ(Sylvester-Hyid et al. (2002) Tissue Antigens, 59: 251-8)を含む、他のアッセイシステムを用いて決定され得る。
いくつかの態様において、親和性は、細胞表面上で発現されたMHCクラスI分子、例えばMHCクラスIaまたはMHC-E分子を安定化させるペプチドの能力に基づく安定化アッセイによって決定される。いくつかの例において、TAP依存的細胞株、例えばT2、K562またはRMA-Sが、関心対象のMHC対立遺伝子でトランスフェクトされ得る。安定化されたMHCクラスI複合体は、様々なアッセイのいずれかにおいて、例えばフローサイトメトリーによって、抗MHC抗体、例えば汎MHCクラスI抗体を用いて検出され得る。いくつかの例において、結合は、非結合性陰性対照に対して評価または比較され得る。
いくつかの態様において、親和性は、ペプチド依存的再フォールディングアッセイを用いて決定される(Strong et al. (2013) J Biol. Chem., 278: 5082-5090; Sylvester-Hyid et al. (2002) Tissue Antigens, 59: 251-8)。例えば、例示的な態様において、MHCクラスI分子の再フォールディングは、再フォールディングを起こすのに適当な時間(例えば、4℃〜8℃または約4℃〜8℃、いくつかの例においては室温、例えば21℃〜25℃または約21℃〜25℃で、30分間〜3時間(例えば約1〜2時間))インキュベートされ得る、様々な濃度のβ2m、重鎖およびペプチドの存在下で評価される。再フォールディングしたMHCは、例えばサンドイッチELISAまたは他の同様の方法において、MHC特異的抗体を用いて検出され得る。いくつかの態様において、様々な濃度のペプチドの存在下または非存在下で再フォールディングしたMHCの相対量が、標準と比較され得る。例えば、MHC-Eの場合、再フォールディングは、MHC-Eに結合することが公知の九量体ペプチド(例えば、HLA-B7 九量体;VMAPRTLVL、SEQ ID NO:6)を用いて達成された集合物と比較され得る。いくつかの態様において、最大半数集合をもたらすペプチド濃度に基づき、相対結合親和性が決定され得る。
いくつかの態様において、結合親和性は、既知または参照ペプチドを用いる競合アッセイ、例えば競合放射免疫アッセイを用いて決定される。例えば、いくつかの局面において、漸増濃度の試験ペプチド対既知または参照結合ペプチドの比較によって、相対親和性が決定され得る。いくつかの態様において、既知または参照ペプチドの結合の50%阻害が観察される結合アッセイにおけるペプチドの濃度である、結合のIC50が決定され得る。いくつかの例において、例えばアッセイを実施する条件によって(すなわち、MHCタンパク質および標識ペプチドの濃度を限定すると)、これらの値は、KD値に近似し得る。いくつかの態様において、結合は、参照または既知ペプチドとの比較で表され得る。
いくつかの態様において、ペプチドは、特定のMHCタイプの細胞、例えば工学的に改変された細胞株、PBMC、白血病細胞株またはEBV形質転換T細胞株の表面上のMHCに対する結合について評価され得る。いくつかの態様において、同一または異なるMHC分子に結合することが既知の過剰な非標識ペプチドを用いる結合アッセイ、例えば競合アッセイが実施され得る。いくつかの態様において、結合は、同一または異なるMHC型を発現する細胞で評価され得る。いくつかの態様において、ペプチドは、同じスーパータイプの他のMHC分子への結合について試験され得る。いくつかの態様において、特定のMHCまたはMHC対立遺伝子への結合の特異性および/または選択性が決定され得る。
いくつかの態様において、ペプチドは、高い、中程度のまたは低い親和性である、MHCへの結合の親和性を有する。典型的に、MHCクラスI分子に関する「高い親和性」は、50 nMまたはそれ未満のIC50またはKD値での結合と定義され、MHCクラスI分子に関する「中程度の親和性」は、約50〜約500 nMのIC50またはKD値での結合と定義され、MHCクラスI分子に関する「低い親和性」は、500 nMを超える、例えば通常約500 nM〜約5000 nMのIC50またはKD値での結合と定義される。MHCクラスII分子の場合、典型的に、MHCクラスII分子への結合に関する「高い親和性」は、100 nMまたはそれ未満のIC50またはKD値での結合と定義され、MHCクラスII分子への結合に関する「中程度の親和性」は、約100〜約1000 nMのIC50またはKD値での結合と定義され、MHCクラスII分子への結合に関する「低い親和性」は、1000 nMを超える、例えば通常約1000 nM〜約5000 nMのIC50またはKD値での結合と定義される。
いくつかの態様において、非カノニカルペプチドは、カノニカルペプチドエピトープに関して観察されるよりも低い、MHC分子に対する親和性を示すペプチドを含み得る。いくつかの態様において、提供される方法によって同定されるペプチドエピトープは、200 nM〜5000 nMまたは約200 nM〜5000 nM、例えば通常200 nM超かつ4000 nM、2000 nM、1000 nMまたは500 nM未満のIC50の、結合親和性を有する。いくつかの態様において、ペプチドエピトープ、例えばユニバーサル、スーパータイプおよび/または非カノニカルペプチドエピトープは、5000 nM、4000 nM、3000 nM、2000 nM、1000 nM、900 nM、800 nM、700 nM、600 nM、500 nM、400 nM、300 nM、200 nM、100 nM未満または約5000 nM、4000 nM、3000 nM、2000 nM、1000 nM、900 nM、800 nM、700 nM、600 nM、500 nM、400 nM、300 nM、200 nM、100 nM未満またはそれより小さい、IC50またはKD値のMHC分子、例えばMHCクラスIa、MHC-EまたはMHCクラスII分子に対する親和性を有するペプチドを含み得る。いくつかの態様において、結合親和性は、中程度または低い親和性である。例えば、いくつかの態様において、ペプチドは、50 nMまたは100 nMまたはそれより高い値を超える、例えば200 nM、500 nMまたは1000 nMを超えるが通常5000 nM未満であるIC50またはKD値の、MHC分子、例えばMHCクラスIa、MHC-EまたはMHCクラスII分子に対する結合親和性を有する。
いくつかの態様において、ペプチドエピトープを検出および/または同定する方法は、例えば提供される方法にしたがい異種タンパク質抗原をコードするCMVベクター粒子が導入された後に、細胞表面上にMHC分子に関連して提示されるペプチドが免疫応答を誘導することができるT細胞エピトープであるかどうかを評価する工程を含む。
いくつかの態様において、例えば上記の手法のいずれかを用いて、MHC分子に結合したペプチドエピトープを検出および/または同定した後、提供される方法はさらに、そのペプチド、例えば精製または単離されたペプチドに対するT細胞応答を試験する工程を含む。いくつかの態様において、T細胞応答を誘発するペプチドエピトープが同定され得る。
いくつかの態様において、ペプチドは、ヘルパーまたは細胞媒介免疫応答を誘導するそのペプチドの機能的活性を評価することによって、免疫エピトープであることが検証され得る。いくつかの態様において、ペプチドは、インビトロでそのペプチドによって刺激された健常対象由来または感染もしくは疾患(例えば、腫瘍保有)対象由来の細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の標的として機能する能力について評価され得る。いくつかの態様において、CTL活性は、腫瘍特異的CTLクローンを用いて評価され得る。いくつかの態様において、ペプチドは、同様のアッセイを用いてヘルパーTリンパ球(HTL)応答を刺激する能力について評価され得る。いくつかの態様において、MHCクラスII分子に結合するペプチドは、HTL応答および/またはCTL応答について評価され得る。いくつかの態様において、MHCクラスI分子、例えばMHCクラスIaまたはMHC-Eに結合するペプチドは、CTL応答について評価され得る。そのようなアッセイは、インビトロまたはインビボで実施され得る。いくつかの態様において、T細胞応答を検出する方法は、増殖アッセイ、リンホカイン分泌アッセイ、直接細胞傷害性アッセイおよび限外希釈アッセイを含む。
いくつかの態様において、そのペプチドのHLA拘束性と一致する抗原提示細胞が、ペプチドと共にインキュベートされ、応答細胞集団においてCTL応答を誘導する能力についてアッセイされ得る。いくつかの態様において、そのような応答は、インビトロで、例えば組織培養物中で、抗原提示細胞の供給源および該ペプチドと共にCTL前駆体リンパ球をインキュベートすることによって誘導される。いくつかの例において、抗原提示細胞は、末梢血単核細胞、マクロファージ、樹状細胞または活性化されたB細胞であり得る。いくつかの態様において、MHC分子を用いて工学的に改変またはトランスフェクトされた細胞が使用され得る。いくつかの例において、MHC遺伝子、例えばMHCクラスI遺伝子を用いてトランスフェクトされた、かつ内部でプロセシングを受けたペプチドをクラスI分子に積載する能力を欠く変異哺乳動物細胞株が、インビトロで一次CTL応答を誘導するそのペプチドの能力を評価するために使用され得る。いくつかの例において、末梢血単核細胞(PBMC)またはCD8+細胞が、CTL前駆体または応答細胞の供給源として使用され得る。いくつかの態様において、PBMCは、抗原提示細胞および自己T細胞、例えばCD8+ T細胞の供給源を得るために分画される。あるいは、抗原提示系は、特定のT細胞株/クローンおよび/または特定の抗原提示細胞型を含み得る。多くのインビトロCTL刺激プロトコルが報告されており、どれを使用するかの選択は、十分に当業者の知識の範囲内で行われることである。
いくつかの態様において、抗原提示細胞は、ペプチドと共にインキュベートされ得、その後にペプチドが積載された抗原提示細胞が、最適化された培養条件下で応答細胞集団と共にインキュベートされる。いくつかの態様において、ペプチドは、10〜40μg/mlの濃度で提供される。いくつかの態様において、ペプチドは、1〜18時間の範囲の期間、抗原提示細胞とプレインキュベートされる。いくつかの態様において、β2-ミクログロブリン(例えば、4μg/ml)が、結合を強化するためにこの期間内に添加され得る。いくつかの態様において、抗原提示細胞は、インキュベート期間の間、室温で維持され得る(Ljunggren, H.-G. et al, Nature, 346: 476-480, (1990))、またはその後にペプチドに結合することができる変性されたクラスI MHC分子の生成を促進するために酸で前処理され得る(Zeh, H. J., Ill et al., Hum. Immunol., 39: 79-86, (1994))。抗原提示細胞にペプチドを積載させた後、ペプチドが結合した抗原提示細胞(刺激体)に前駆体CTL(応答体)が、例えば、5:1〜50:1、例えば10:1〜20:1の応答体対刺激体の比率で、添加され得る。細胞の共培養は、CTL応答細胞が生成され得る条件下、すなわち、CD8+細胞を刺激する条件下で行われる。例えば、いくつかの態様において、共培養は、IL-2または他の刺激性サイトカイン、例えばIL-1、IL-7およびIL-12の存在下で行われる。例示的な態様において、細胞の共培養は、RPMI 1640、10%ウシ胎仔血清、2 mM L-グルタミンおよびIL-2(5〜20ユニット/ml)中、37℃で行われ、任意でIL-1、IL7またはIL-12の1種または複数種が添加される。いくつかの態様において、新鮮なIL-2含有培地が、2〜4日ごとに、例えば古い培地の半分を除去し、それを等量の新鮮な培地で補充することによって、培養物に添加される。いくつかの態様において、7〜10日後に、および通常その後7〜10日ごとに、CTLが、上記のようにペプチドを結合させた抗原提示細胞によって再刺激される。いくつかの態様において、新鮮なIL-2含有培地は、上記のようにそれらの培養を通じて細胞に添加される。いくつかの態様において、3〜4回の刺激、ときに5〜8回という多数回の刺激が、その後にインビトロで測定され得るCTL応答を生成するために必要とされ得る。いくつかの態様において、このペプチドに特異的なCTLはさらに、抗CD3抗体を用いた処理によって多数に拡張され得る。例えば、(Riddell, S.R. and Greenberg, P.D., J. Immunol. Methods, 128: 189-201, (1990); Walter, E.A. et al., N. Engl. J. Med., 333: 1038-1044, (1995))を参照のこと。
いくつかの態様において、CTL活性は、インビトロ刺激を行わずに、感染または罹患対象、例えば腫瘍またはがん保有対象から単離されたPBMCから直接評価され得る(例えば、Bredenbeck et al. (2005) J. Immunol., 174: 6716-6724を参照のこと)。例えば、いくつかの態様において、ペプチドは、対象の末梢血から単離されたPBMC細胞に直接添加され得る。いくつかの例において、対照として、同じ対象からのペプチドを有さないPBMCがCTL活性に関して評価され得る。いくつかの態様において、がんは、提供される方法により同定されるペプチドの由来となる腫瘍抗原を発現することが分かっているまたは発現すると考えられる。いくつかの態様において、対象は、肉腫、黒色腫、乳がん、腎がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、結腸直腸がん、膵がん、頭頸部の扁平上皮腫瘍、または肺の扁平上皮がんを有する。
いくつかの態様において、CTL活性を評価するために、CTLクローン、例えば腫瘍特異的CTLクローンが利用され得る。CTLクローンを作製する方法は、当業者に公知である。例示的な態様において、CTLクローンは、抗原提示細胞の存在下での抗原によるCD8+ T細胞の刺激、その後の抗原特異的なCD8+ T細胞の継続的な抗原特異的拡張によるCTLクローン株の形成により取得され得る。
いくつかの態様において、CTLの活性化が決定され得る。CTLの活性をアッセイするための技術は多種存在する。いくつかの態様において、CTL活性は、放射性標識された標的細胞、例えば特定のペプチドで刺激された標的を溶解するCTLの存在について培養物をアッセイすることによって評価され得る。これらの技術は、放射性核種、例えばNa2、51CrO4または3H-チミジンを用いて標的細胞を標識する工程、および細胞死の指標として標的細胞からの放射性核種の放出またはその維持を測定する工程を含む。いくつかの態様において、CTLは、適当な標的細胞、例えば関連するMHC分子および対応するペプチドを発現する腫瘍細胞により刺激されたときに、様々なサイトカインを放出することが公知であり、そのようなエピトープ特異的なCTLの存在は、サイトカイン放出を測定することによって決定され得る。そのようなサイトカインの非限定的な例は、IFN-γ、TNF-αおよびGM-CSFを含む。これらのサイトカインのアッセイは当技術分野で周知であり、それらの選択は当業者に委ねられる。CTL反応性の尺度として標的細胞の死およびサイトカインの放出の両方を測定する方法は、Coligan, J.E. et al. (Current Protocols in Immunology, 1999, John Wiley & Sons, Inc., New York)に示されている。
いくつかの態様において、エピトープの検証は、この方法によって同定されたペプチドを、CD4+細胞を活性化(すなわち、HTL活性化)するそれらの能力について試験することを含み得る。いくつかの態様において、HTL活性化はまた、当業者に公知の技術、例えば、T細胞増殖またはリンホカイン分泌を用いて評価され得る(例えば、Alexander et al., Immunity 1: 751-761, 1994を参照のこと)。いくつかの態様において、CD4+ T細胞は、健常対象由来または感染もしくは罹患対象(例えば、腫瘍対象)由来であり得る。いくつかの態様において、総末梢血単核細胞(PBMC)がペプチドと共におよびペプチドなしで培養され得、それらの増殖応答が、例えばそれらのDNAへの3H-チミジンの取り込みによって測定され得る。いくつかの例において、増殖性T細胞がCD4+細胞であることを確認するために、そのような細胞の増殖を阻害するようT細胞上のCD4+分子に結合する阻害性抗体が添加され得る。いくつかの例において、CD4+ T細胞は、PBMCから精製され、適当なMHCクラスII分子を発現する抗原提示細胞の存在下でのそのペプチドに対する増殖応答について試験され得る。例示的な抗原提示細胞は、例えば、Bリンパ球、単球、マクロファージ、樹状細胞、それらの不死化細胞を含む、または総PBMCもしくは人工抗原提示細胞であり得る。いくつかの例において、抗原提示細胞は、関心対象のMHCクラスII分子を内因的に発現し得るまたはそのような分子をコードするポリヌクレオチドを用いてトランスフェクトされ得るかまたは工学的に改変され得る。いくつかの態様において、抗原提示細胞は、アッセイ前に、例えばイオン化放射またはマイトマイシンCを用いた処理によって非増殖性にされ得る。
いくつかの態様において、CD4+ T細胞によるサイトカイン産生が、HTL応答の指標として測定され得る。いくつかの例において、そのように測定されるサイトカインは、非限定的に、インターロイキン2(IL-2)、インターフェロンガンマ(IFNγ)、インターロイキン4(IL-4)、TNFアルファ、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン10(IL-10)、インターロイキン12(IL-12)またはTGFベータを含み得る。サイトカインを測定するアッセイは、当技術分野で周知であり、非限定的に、ELISA、細胞内サイトカイン染色、細胞数測定ビーズアレイ、RT-PCR、ELISPOT、フローサイトメトリーおよび関連サイトカインに対して応答性の細胞を試験試料の存在下での応答(例えば、増殖)について試験するバイオアッセイを含む。
いくつかの態様において、あるいは、ペプチドエピトープは、免疫応答を刺激するまたはT細胞反応を誘導するその能力に基づき同定され得る。したがって、いくつかの態様において、この方法は、ペプチドが特定のMHC分子に結合するおよび/または特定のMHC分子から溶出されるかどうかを最初に決定することを要することなく実施され得る。例えば、いくつかの態様において、ペプチドエピトープを検出および/または同定する方法は、例えば提供される方法にしたがい異種タンパク質抗原をコードするCMVベクター粒子を導入された後に、細胞表面上にMHC分子に関連して提示されるペプチドが、免疫応答を誘導することができるT細胞エピトープであるかどうかを評価または決定する工程を含む。いくつかの態様において、ペプチド抗原の供給源は、発現される異種タンパク質の1種または複数種のペプチド抗原が発現され、プロセシングを受け、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に関連して細胞表面上に提示される条件下でCMVベクター粒子を細胞に導入することによって得られる、そのペプチドを発現する細胞である。そのようにして得られるペプチド発現細胞は、健常または感染もしくは疾患(例えば、腫瘍保有対象)のいずれかから得られる応答またはエフェクター細胞、例えば総末梢血単核細胞(PBMC)、CD4+またはCD8+ T細胞の刺激を評価するための細胞供給源として直接使用され得る。細胞傷害性またはヘルパーT細胞応答は、上記のものを含む、当技術分野で公知の方法を用いて評価され得る。いくつかの態様において、T細胞応答が評価される場合、ペプチドは、例えば、上記の免疫親和性および溶出方法によって、同定、単離または精製され得る。いくつかの態様において、異種抗原をコードするCMVベクター粒子を導入されなかった細胞が、対照として使用され得る。
いくつかの態様において、同定されるペプチドまたはエピトープ、例えばユニバーサル、スーパートープおよび/または非カノニカルペプチドまたはエピトープは、T細胞応答を誘発する。いくつかの態様において、T細胞応答または反応は、そのペプチドに曝露されたまたはそのペプチドと接触したCD4+および/またはCD8+細胞を含む細胞集団に関連して誘発される。特定の例において、対象、例えば腫瘍またはがん対象から得られる末梢血単核細胞(PBMC)がそのペプチドによって刺激され、活性化についてアッセイされ得る。T細胞の活性化を評価する様々なアッセイが、当技術分野で周知である。
いくつかの態様において、同定または検出されるペプチドは、例えばT細胞アッセイを用いて、免疫学的読み取りについて評価され得る。いくつかの態様において、同定されるペプチドは、CD8+ T細胞応答を活性化し得る。1つの態様において、CD8+ T細胞応答は、例えば酵素連結免疫吸着スポットアッセイ(ELISA)、細胞内サイトカイン染色またはELISPOTによる、51Cr放出またはインターフェロンガンマ放出の検出を通じた標的細胞の溶解を含むがこれらに限定されないアッセイを用いてCTL反応をモニタリングすることによって評価され得る。いくつかの態様において、同定されるエピトープは、CD4+ T細胞応答を活性化し得る。いくつかの局面において、CD4+ T細胞応答は、例えば細胞DNAへの[3H]チミジンの取り込みにより、および/または例えばELISA、細胞内サイトカイン染色もしくはELISPOTによるサイトカインの産生により、増殖を測定するアッセイによって評価され得る。いくつかの例において、サイトカインは、例えば、インターロイキン2(IL-2)、インターフェロンガンマ(IFNガンマ)、インターロイキン4(IL-4)、TNFアルファ、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン10(IL-10)、インターロイキン12(IL-12)またはTGFベータを含み得る。いくつかの態様において、同定されるエピトープ、例えばMHCクラスIIエピトープは、CD4+ T細胞応答およびCD8+ T細胞応答を誘発または活性化し得る。
いくつかの態様において、ヒトHLA遺伝子を保有または発現するトランスジェニックマウスの免疫刺激が、ペプチドエピトープの免疫原性を決定するために使用され得る。様々なトランスジェニックマウス系統が公知であり、特徴づけられている。これらは、ヒトHLA-A2.1、HLA-A11(HLA-A3エピトープを分析するためにも使用され得る)、HLA-B7対立遺伝子、HLA-A1およびHLA-A24を有するマウスを含むがこれらに限定されず、これらが特徴づけられている。さらに、HLA-DR1およびHLA-DR3マウスモデルが開発されている。当技術分野の原理にしたがい、必要に応じて他のHLA対立遺伝子を有するさらなるトランスジェニックマウスモデルが作製される。そのようなマウスは、いくつかの例において、不完全フロイントアジュバントで乳化されたペプチドを用いて免疫刺激され得、その後に任意の得られるT細胞が、ペプチド刺激されたまたは関心対象のペプチドをコードする遺伝子でトランスフェクトされた標的細胞を認識するそれらの能力について試験され得る。いくつかの態様において、CTL応答は、上記の細胞傷害性アッセイを用いて分析され得る。いくつかの態様において、HTL応答は、例えば、例えば上記のようなT細胞増殖またはリンホカイン分泌アッセイを用いて分析され得る。
いくつかの態様において、同定されるペプチドエピトープは、ユニバーサルペプチドエピトープであり得るおよび/またはユニバーサルT細胞応答を誘発し得る。いくつかの例において、ユニバーサルペプチドエピトープは、複数のHLA/MHCによって認識および提示される、したがって、MHC遺伝子座に関して遺伝的に相違する対象を含む同じ種の大部分の対象において免疫応答、例えばCD4+またはCD8+免疫応答を誘発することができるペプチドである。いくつかの例において、ユニバーサルペプチドエピトープは、MHC遺伝子座に関して遺伝的に相違する特定種、例えば哺乳動物またはヒト種の集団中の対象の50%超で、例えば通常そのようなペプチド抗原に曝露された対象の集団の60%、70%、80%、90%超またはそれ以上でそのような免疫応答を誘発し得る。例えば、いくつかの例において、ユニバーサルエピトープ配列を有するペプチドは、MHC遺伝子座に関して遺伝的に相違する同一種の大部分の対象由来の試料からT細胞の増殖を誘導し得、細胞傷害性T細胞応答を誘導し得、および/または液性免疫応答を誘導し得る。いくつかの例において、ユニバーサルペプチドエピトープは、MHCクラスI拘束またはMHCクラスII拘束されたものであり得る。いくつかの例において、ユニバーサルペプチドエピトープは、混交した提示を示し、MHCクラスIおよびMHCクラスIIの両方の拘束を示し得る。いくつかの例において、ユニバーサルエピトープは、スーパートープである。
いくつかの態様において、同定されるペプチドエピトープは、スーパートープであり得るおよび/またはスーパートープ応答を誘発し得る。いくつかの例において、スーパートープは、例えば一次もしくは三次構造の類似性および/または重複するもしくは共有されているペプチド結合モチーフに起因して、同じMHC(またはHLA)スーパータイプの異なるMHC対立遺伝子によって認識または提示される共通のエピトープまたはペプチドである高度に混交的なエピトープであり得るペプチドエピトープである。いくつかの態様において、スーパートープは、CD8+ T細胞応答を誘発し得る。いくつかの例において、スーパートープまたはスーパートープ応答は、古典的なMHC、例えばMHCクラスIa分子よりも幅広いペプチドレパートリーを認識することができるMHC-E分子、例えばHLA-Eによる認識に関連する。いくつかの態様において、同定されるペプチドエピトープは、MHC遺伝子座に関して遺伝的に相違する特定種、例えば哺乳動物またはヒト種の集団中の対象の50%超で、例えば通常そのようなペプチド抗原に曝露された対象の集団の60%、70%、80%、90%超またはそれ以上で免疫応答、例えばCD8+および/またはCD4+免疫応答を誘発し得るものである。
いくつかの例において、提供される方法は、そのようなペプチドエピトープが通常プロセシングを受けるまたは提示される疾患または状態に関連するペプチドエピトープ、例えばユニバーサル、スーパートープまたは非カノニカルペプチドエピトープを同定するために使用され得る。いくつかの局面において、病原性の状態に関連する免疫調節機構の存在および/または免疫調節の変化は、特定の疾患または状態において、従来的なエピトープよりもユニバーサル、スーパートープおよび/または非カノニカルエピトープのプロセシングまたは提示を支持し得る。いくつかの態様において、この方法は、腫瘍またはがんに関連するペプチドエピトープを同定するために使用され得る。いくつかの態様において、この方法は、ウイルス関連がんを含む感染疾患に関連するペプチドエピトープを同定するために使用され得る。
いくつかの態様において、この方法は、病原性または疾患状態に関連するMHCクラスI拘束ペプチド、例えばユニバーサル、スーパートープおよび/または非カノニカルペプチドを同定するために使用され得る。MHCクラスI分子は、ほとんどすべての有核細胞に存在し、いくつかの局面において、細胞内病原体および腫瘍抗原由来のペプチドを提示(presenting)または提示(displaying)することによってT細胞免疫監視を行う。MHC-ペプチド複合体は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)によって認識され得、それによって細胞内に感染または腫瘍因子由来のリガンドを有するそれらの細胞が細胞傷害的に殺傷される。
II. MHC分子に関連するペプチドに結合する分子を同定する方法
いくつかの態様において、MHC分子に関連して提示されるペプチドエピトープ、すなわちMHC-ペプチド複合体に結合する分子を選択またはスクリーニングする方法も提供される。いくつかの態様において、ペプチドエピトープは、提供される方法によって同定される任意のものである。いくつかの態様において、ペプチドエピトープは、ユニバーサル、スーパートープおよび/または非カノニカルペプチドエピトープである。いくつかの態様において、ペプチド結合分子、すなわちMHC-ペプチド結合分子は、例えば細胞表面上に、MHC分子に関連して提示(presented)または提示(displayed)されるペプチドエピトープ(MHC-ペプチド複合体)に結合する、例えば特異的に結合する能力を有する分子またはその一部分である。例示的なペプチド結合分子は、MHC-ペプチド複合体に結合する特異的能力を示すそれらの単鎖免疫グロブリン可変領域(例えば、scTCR、scFv)を含む、T細胞受容体もしくは抗体またはそれらの抗原結合部分を含む。いくつかの態様において、ペプチド結合分子は、TCRまたはその抗原結合性フラグメントである。いくつかの態様において、ペプチド結合分子は、抗体、例えばTCR様抗体またはその抗原結合性フラグメントである。いくつかの態様において、ペプチド結合分子は、抗体またはその抗原結合性フラグメント、例えばTCR様抗体、例えばMHC-ペプチド複合体に結合するよう工学的に改変されたもの、を含む、TCR様CARである。いくつかの態様において、ペプチド結合分子は、天然源由来であり得る、またはそれは一部もしくは全体が合成もしくは組換えにより生成され得る。
いくつかの態様において、ペプチドエピトープに結合する結合分子は、1種または複数種の候補ペプチド結合分子、例えば1種または複数種の候補TCR分子、抗体またはそれらの抗原結合性フラグメントをMHC-ペプチド複合体と接触させ、1種または複数種の候補結合分子の各々がMHC-ペプチド複合体に結合する、例えば特異的に結合するかどうかを評価することによって同定され得る。この方法は、インビトロ、エクスビボまたはインビボで実施され得る。
いくつかの態様において、この方法は、複数の結合分子または結合分子のライブラリ、例えば複数のTCRもしくは抗体またはTCRもしくは抗体のライブラリをMHC拘束エピトープと接触させる工程およびそのようなエピトープに特異的に結合する分子を同定または選択する工程を含む。いくつかの態様において、複数の異なる結合分子、例えば複数の異なるTCRまたは複数の異なる抗体を含むライブラリまたはコレクションが、MHC拘束エピトープへの結合についてスクリーニングまたは評価され得る。いくつかの態様において、例えばMHC拘束ペプチドに特異的に結合する抗体分子を選択するために、ハイブリドーマ法が利用され得る。
いくつかの態様において、複数の候補結合分子、例えば候補結合分子のライブラリまたはコレクションを、同時または逐次的に、のいずれかでペプチド結合分子と個別に接触させるスクリーニング法が利用され得る。特定のMHC-ペプチド複合体に特異的に結合するライブラリのメンバーが、同定または選択され得る。いくつかの態様において、候補結合分子のライブラリまたはコレクションは、少なくとも2、5、10、100、103、104、105、106、107、108、109個またはそれ以上の異なるペプチド結合分子を含み得る。
いくつかの態様において、この方法は、2つ以上のMHCハロタイプまたは2つ以上のMHC対立遺伝子に対して結合性を示すペプチド結合分子、例えばTCRまたは抗体を同定するために利用され得る。いくつかの態様において、ペプチド結合分子、例えばTCRまたは抗体は、複数のMHCクラスIハロタイプまたは対立遺伝子に関連して提示されるペプチドエピトープに特異的に結合するまたはペプチドエピトープを特異的に認識する。いくつかの態様において、ペプチド結合分子、例えばTCRまたは抗体は、複数のMHCクラスIIハロタイプまたは対立遺伝子に関連して提示されるペプチドエピトープに特異的に結合するまたはペプチドエピトープを特異的に認識する。いくつかの態様において、ペプチド結合分子、例えばTCRまたは抗体は、MHC-E対立遺伝子、例えばHLA-E*0101および/またはHLA-E*0103対立遺伝子に関連して提示されるペプチドに特異的に結合するまたはペプチドを特異的に認識する。
いくつかの態様において、ペプチド結合分子は、(この結合反応についてのオンレート[kon]対オフレート[koff]の比に等しい)105 M-1以上の親和性またはKA(すなわち、1/Mの単位で表される特定の結合相互作用の平衡結合定数)で、例えばMHC分子との複合体中の、ペプチドエピトープに結合する、例えば特異的に結合する。いくつかの態様において、TCR(または他のペプチド結合分子)は、106 M-1〜1010 M-1または約106 M-1〜1010 M-1、例えば106 M-1〜108 M-1または約106 M-1〜108 M-1の範囲の結合定数KAまたは半減期で、標的ポリペプチドのT細胞エピトープに対する結合親和性を示す。いくつかの態様において、結合親和性は、高い親和性または低い親和性に分類され得る。例えば、いくつかの例において、特定のエピトープに対して高い親和性の結合を示す結合分子(例えば、TCR)は、少なくとも107 M-1、少なくとも108 M-1、少なくとも109 M-1、少なくとも1010 M-1、少なくとも1011 M-1、少なくとも1012 M-1または少なくとも1013 M-1のKAでそのようなエピトープと相互作用する。いくつかの例において、低い親和性の結合を示す結合分子(例えば、TCR)は、最大107 M-1、最大106 M-1、最大105 M-1のKAを示す。あるいは、親和性は、Mの単位(例えば、10-5 M〜10-13 M)で表される特定の結合相互作用の平衡解離定数(KD)で定義され得る。いくつかの態様において、同定されるペプチド結合分子は、10-5 M〜10-13 M、10-5 M〜10-9 Mまたは10-7 M〜10-12 M、例えば10-5 M、10-6 M、10-7 M、10-8 M、10-9 M、10-10 M、10-11 M、10-12 M、10-13 M未満もしくは約10-5 M、10-6 M、10-7 M、10-8 M、10-9 M、10-10 M、10-11 M、10-12 M、10-13 M未満またはそれより低い値であるKDで、MHC-E分子に関連するペプチドに対する結合親和性を示す。
典型的に、例えばMHCとの複合体内の、ペプチドエピトープに対するペプチド結合分子の特異的結合は、1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)を含む抗原結合部位の存在によって支配される。一般に、特異的結合は、例えばMHCとの複合体中の特定のペプチドエピトープが、そのMHC-ペプチド分子が結合し得る唯一の存在であることを意味せず、他の分子との非特異的結合も起こり得ることが理解されている。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体に対するペプチド結合分子の結合は、そのような他の分子、例えばMHC-ペプチド複合体以外の分子または無関係の(対照)MHC-ペプチド複合体への結合よりも高い、例えば、そのような他の分子への結合親和性よりも少なくとも約2倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍または少なくとも約100倍高い親和性を有する。
いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体に結合する、例えば特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分は、特定のMHC-ペプチド複合体を含む有効量の免疫原で宿主を免疫刺激することによって作製され得る。いくつかの態様において、抗体またはその一部分は、宿主から単離され得、そしてMHC-ペプチド複合体への結合が評価され、それらに対する特異的結合が確認され得る。
結合親和性を評価するおよび/または結合分子が特定のリガンド(例えば、MHC-ペプチド複合体)に特異的に結合するかどうかを決定する様々なアッセイが公知である。例えば当技術分野で周知の多数の結合アッセイのいずれかを用いることによって、標的ポリペプチドのT細胞エピトープに対するTCRの結合親和性を決定することは、当業者の技術水準で行われることである。例えば、いくつかの態様において、BIAcore機器が、2つのタンパク質の間の複合体の結合定数を決定するために使用され得る。その複合体の解離定数(KD)は、緩衝液がチップ上を通過する時間に対する屈折率の変化をモニタリングすることによって決定され得る。1つのタンパク質と別のタンパク質の結合を測定するための他の適当なアッセイは、例えば、免疫アッセイ、例えば酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)および放射免疫アッセイ(RIA)、または蛍光、UV吸収、円偏光二色性または核磁気共鳴(NMR)を通じてタンパク質の分光または光学特性の変化をモニタリングすることによる結合の決定を含む。他の例示的なアッセイは、ウェスタンブロット、ELISAおよび分析超遠心、分光分析および表面プラズモン共鳴(Biacore(登録商標))分析(例えば、Scatchard et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 51: 660, 1949; Wilson, Science 295: 2103, 2002; Wolff et al., Cancer Res. 53: 2560, 1993; および米国特許第5,283,173号、同第5,468,614号等を参照のこと)、フローサイトメトリー、配列決定および発現された核酸の検出のための他の方法を含むがこれらに限定されない。1つの例において、TCRの見かけの親和性が、例えば標識された四量体を用いたフローサイトメトリーにより、様々な濃度の四量体に対する結合を評価することによって測定される。1つの例において、TCRの見かけのKDは、一定範囲の濃度の標識された四量体の2倍希釈を用いて、非線形回帰により結合曲線を決定することによって測定され、見かけのKDは、最大半数結合をもたらすリガンドの濃度として決定される。
いくつかの態様において、この方法は、特定のペプチドが複合体内に存在する場合にのみ結合し、特定のペプチドが存在しない場合または別の重複しないまたは無関係のペプチドが存在する場合に結合しない結合分子を同定するために使用され得る。いくつかの態様において、結合分子は、結合したペプチドの非存在下でMHCと実質的に結合しない、および/またはMHCの非存在下でそのペプチドと実質的に結合しない。いくつかの態様において、結合分子は、少なくとも部分的に特異的である。いくつかの態様において、例示的な同定される結合分子は、特定のペプチドが存在する場合にMHC-ペプチド複合体に結合し得、かつ特定のペプチドとの比較で1つまたは2つの置換を有する関連ペプチドが存在する場合にも結合し得る。
いくつかの態様において、同定される抗体、例えばTCR様抗体は、MHC-ペプチド複合体に特異的に結合する非TCR抗体を含むキメラ抗原受容体(CAR)を作製または生成するために使用され得る。
いくつかの態様において、ペプチド結合分子、例えばTCRまたはTCR様抗体またはTCR様CARを同定する方法は、ペプチド結合分子を発現するまたは含む細胞を工学的に改変するために使用され得る。いくつかの態様において、細胞または工学的に改変された細胞は、T細胞である。いくつかの態様において、T細胞は、CD4+またはCD8+ T細胞である。いくつかの態様において、ペプチド結合分子は、MHCクラスIペプチド複合体、MHCクラスIIペプチド複合体および/またはMHC-Eペプチド複合体を認識する。いくつかの態様において、MHCクラスIIに関連するペプチドを特異的に認識するペプチド結合分子、例えばTCRまたは抗体またはCARは、CD4+およびCD8+細胞の両方を工学的に改変するために使用され得る。いくつかの態様において、MHCクラスIIに関連して提示されるペプチドの認識のために同じMHC結合分子、例えば同じTCR、抗体またはCARを発現するまたは含む工学的に改変されたCD4+およびCD8+ T細胞の組成物も提供される。任意のそのような態様において、細胞は、養子細胞療法において使用され得る。
A. 結合分子およびライブラリ
いくつかの態様において、ペプチド結合分子は、TCRまたはその抗原結合性フラグメントである。いくつかの態様において、ペプチド結合分子は、抗体またはその抗原結合性フラグメント、例えばTCR様抗体である。いくつかの態様において、ペプチド結合分子は、天然源由来であり得る、またはそれは一部もしくは全体が合成もしくは組換えにより生成され得る。
いくつかの態様において、1種または複数種の結合分子は、特定のペプチドエピトープ、例えば上記方法のいずれかを用いて同定されるペプチドエピトープへの結合について評価される。
いくつかの態様において、結合分子、例えばTCRまたはその抗原結合性フラグメントの多数の変種を含むライブラリが作製され得る。
いくつかの態様において、各々が対象のゲノムに存在する配列を有する結合分子を含むライブラリまたはコレクションが作製され、結合について評価され得る。いくつかの態様において、1種または複数種のメンバーが、例えば指向進化法により進化、無作為化および/または変異を導入された結合分子のライブラリまたはコレクションが作製され、結合について評価され得る。
1. T細胞受容体(TCR)
提供される方法の局面において、ペプチド結合分子は、T細胞受容体(TCR)またはその抗原結合性フラグメントである。
いくつかの態様において、「T細胞受容体」または「TCR」は、可変αおよびβ鎖(それぞれ、TCRαおよびTCRβとしても公知)もしくは可変γおよびδ鎖(それぞれ、TCRγおよびTCRδとしても公知)またはそれらの抗原結合部分を含み、MHC分子に結合したペプチドに特異的に結合することができる分子である。いくつかの態様において、TCRはαβ形態である。典型的に、αβおよびγδ形態で存在するTCRは概ね構造的に類似するが、それらを発現するT細胞は、異なる解剖学的局在性または機能性を示し得る。TCRは、細胞表面上でまたは可溶性形態で見出され得る。一般に、TCRは、T細胞(またはTリンパ球)の表面上で見出され、一般にそこで主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合した抗原の認識を担っている。
そうでないことが示されていない限り、「TCR」という用語は、完全なTCRおよびその抗原結合部分または抗原結合性フラグメントを包含するものと理解されるべきである。いくつかの態様において、TCRは、αβ形態またはγδ形態のTCRを含む、インタクトなまたは全長のTCRである。いくつかの態様において、TCRは、全長TCRより短いが、MHC分子に結合した特定のペプチドに結合する、例えばMHC-ペプチド複合体に結合する抗原結合部分である。いくつかの例において、TCRの抗原結合部分またはフラグメントは、全長またはインタクトなTCRの構造ドメインの一部のみを含み得るが、それでも全長TCRが結合するペプチドエピトープ、例えばMHC-ペプチド複合体に結合することができる。いくつかの例において、抗原結合部分は、特定のMHC-ペプチド複合体に結合する結合部位を形成するのに十分なTCRの可変ドメイン、例えばTCRの可変α鎖および可変β鎖を含む。一般に、TCRの可変鎖は、ペプチド、MHCおよび/またはMHC-ペプチド複合体の認識に関与する相補性決定領域(CDR)を含む。
いくつかの態様において、TCRの可変ドメインは、超可変ループまたはCDRを含み、これらは一般に、抗原認識ならびに結合能および特異性に対する主要な寄与因子である。いくつかの態様において、TCRのCDRまたはその組合せは、そのTCR分子のすべてまたは実質的にすべての抗原結合部位を形成する。TCR鎖の可変領域内の様々なCDRは一般に、フレームワーク領域(FR)によって分断されており、これらは一般に、TCR分子の中でCDRと比較して低い可変性を示す(例えば、Jores et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. U.S.A. 87: 9138, 1990; Chothia et al., EMBO J. 7: 3745, 1998を参照のこと;Lefranc et al., Dev. Comp. Immunol. 27: 55, 2003も参照のこと)。いくつかの態様において、CDR3は、抗原結合または特異性を担う主要なCDRである、または抗原認識および/もしくはペプチド-MHC複合体のプロセシングを受けたペプチド部分との相互作用に関してそのTCR可変領域上の3つのCDRの中で最も重要である。いくつかの状況で、アルファ鎖のCDR1は、特定の抗原性ペプチドのN末端部分と相互作用し得る。いくつかの状況で、ベータ鎖のCDR1は、そのペプチドのC末端部分と相互作用し得る。いくつかの状況で、CDR2は、MHC-ペプチド複合体のMHC部分との相互作用またはその認識に最も大きく寄与するまたはそれを担う主要なCDRである。いくつかの態様において、β鎖の可変領域は、さらなる超可変領域(CDR4またはHVR4)を含み得、これは一般に、抗原認識ではなく超抗原結合に関与する(Kotb (1995) Clinical Microbiology Reviews, 8: 411-426)。
いくつかの態様において、TCRは、可変アルファドメイン(Vα)および/もしくは可変ベータドメイン(Vβ)またはそれらの抗原結合性フラグメントを含む。いくつかの態様において、TCRのα鎖および/またはβ鎖はまた、定常ドメイン、膜貫通ドメインおよび/または短鎖細胞質尾部を含み得る(例えば、Janeway et al., Immunobiology: The Immune System in Health and Disease, 3rd Ed., Current Biology Publications, p.4: 33, 1997を参照のこと)。いくつかの態様において、α鎖定常ドメインは、TRAC遺伝子(IMGT名)によってコードされるまたはその変種である。いくつかの態様において、β鎖定常領域は、TRBC1もしくはTRBC2遺伝子(IMGT名)によってコードされるまたはその変種である。いくつかの態様において、定常ドメインは、細胞膜に隣接する。例えば、いくつかの例において、2つの鎖によって形成されるTCRの細胞外部分は、2つの膜に隣接する定常ドメインおよび2つの膜から離れた可変ドメインを含み、これらの可変ドメインが各々CDRを含む。
TCRの様々なドメインまたは領域を決定または同定することは、当業者の技術水準で行われることである。いくつかの局面において、TCRの残基は、公知であるかまたはInternational Immunogenetics Information System(IMGT)の番号付け体系にしたがい同定され得る(例えば、www.imgt.orgを参照のこと;Lefranc et al. (2003) Developmental and Comparative Immunology, 2&; 55-77;およびThe T Cell Factsbook 2nd Edition, Lefranc and LeFranc Academic Press 2011も参照のこと)。この体系を用いると、TCR Vα鎖および/またはVβ鎖内のCDR1配列は、両端を含む残基番号27〜38に存在するアミノ酸に対応し、TCR Vα鎖および/またはVβ鎖内のCDR2配列は、両端を含む残基番号56〜65に存在するアミノ酸に対応し、TCR Vα鎖および/またはVβ鎖内のCDR3配列は、両端を含む残基番号105〜117に存在するアミノ酸に対応する。
いくつかの態様において、TCRは、例えばジスルフィド結合または複数のジスルフィド結合によって連結された2つの鎖αおよびβ(または任意でγおよびδ)のヘテロ二量体であり得る。いくつかの態様において、TCRの定常ドメインは、システイン残基がジスルフィド結合を形成することによってTCRの2つの鎖を連結する短い接続配列を含み得る。いくつかの態様において、TCRが定常ドメイン内に2つのジスルフィド結合を含むよう、TCRはαおよびβ鎖の各々に追加のシステイン残基を有し得る。いくつかの態様において、定常および可変ドメインの各々が、システイン残基によって形成されたジスルフィド結合を含む。
記載されるようにいくつかの態様において、TCRは、導入されたジスルフィド結合または複数のジスルフィド結合を含み得る。いくつかの態様において、ネイティブのジスルフィド結合は存在しない。いくつかの態様において、ネイティブの鎖間ジスルフィド結合を形成する(例えば、α鎖およびβ鎖の定常ドメイン内の)ネイティブのシステインの1つまたは複数は、別の残基、例えばセリンまたはアラニンに置換される。いくつかの態様において、導入されるジスルフィド結合は、アルファおよびベータ鎖上の、例えばα鎖およびβ鎖の定常ドメイン内の非システイン残基をシステインに変異させることによって形成され得る。TCRの例示的な非ネイティブジスルフィド結合は、公開された国際PCT番号WO2006/000830およびWO2006037960に記載されている。いくつかの態様において、システインは、α鎖の残基Thr48およびβ鎖のSer57、α鎖の残基Thr45およびβ鎖のSer77、α鎖の残基Tyr10およびβ鎖のSer17、α鎖の残基Thr45およびβ鎖のAsp59ならびに/またはα鎖の残基Ser15およびβ鎖のGlu15に導入され得る。いくつかの態様において、組換えTCRにおける(例えば、1つまたは複数の非ネイティブジスルフィド結合を形成する)非ネイティブシステイン残基の存在は、それが導入された細胞において、ネイティブTCR鎖を含む不一致のTCR対の発現よりも、望ましい組換えTCRの産生を優先し得る。
いくつかの態様において、TCR鎖は、膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、正に荷電している。いくつかの例において、TCR鎖は、細胞質尾部を含む。いくつかの局面において、TCRの各鎖(例えば、アルファまたはベータ)は、1つのN末端免疫グロブリン可変ドメイン、1つの免疫グロブリン可変定常ドメイン、膜貫通領域およびそのC末端の短鎖細胞質尾部を有し得る。いくつかの態様において、TCRは、例えばその細胞質尾部を通じて、シグナル伝達に関与するCD3複合体の不変タンパク質と結合する。いくつかの例において、この構造により、TCRは、CD3等の他の分子およびそのサブユニットと結合することができる。例えば、膜貫通領域と共に定常ドメインを含むTCRは、このタンパク質を細胞膜上に係留させ、CD3シグナル伝達組織または複合体の不変サブユニットと結合する。CD3シグナル伝達サブユニット(例えば、CD3γ、CD3δ、CD3εおよびCD3ζ鎖)の細胞内尾部は、TCR複合体のシグナル伝達能に関与する1つまたは複数の免疫受容体チロシン活性化モチーフまたはITAMを含む。
いくつかの態様において、TCRまたはその抗原結合部分は、組換え生産された天然タンパク質または1つもしくは複数の特性、例えば結合特性が改変されたその変異形態であり得る。いくつかの態様において、TCRは、様々な動物種、例えばヒト、マウス、ラットまたは他の哺乳動物の1つ由来であり得る。
いくつかの態様において、TCRは全長TCRである。いくつかの態様において、TCRは抗原結合部分である。いくつかの態様において、TCRは二量体TCR(dTCR)である。いくつかの態様において、TCRは単鎖TCR(sc-TCR)である。TCRは、細胞に結合したものまたは可溶形態のものであり得る。いくつかの態様において、提供される方法の目的上、TCRは、細胞表面上で発現される細胞結合形態のものである。
いくつかの態様において、dTCRは、TCRα鎖可変領域配列に対応する配列がTCRα鎖定常領域細胞外配列に対応する配列のN末端に融合されている第1のポリペプチド、およびTCRβ鎖可変領域配列に対応する配列がTCRβ鎖定常領域細胞外配列に対応する配列のN末端に融合されている第2のポリペプチドを含み、第1および第2のポリペプチドはジスルフィド結合によって連結される。いくつかの態様において、この結合は、ネイティブの二量体αβTCRに存在するネイティブの鎖間ジスルフィド結合に対応し得る。いくつかの態様において、この鎖間ジスルフィド結合は、ネイティブのTCRには存在しない。例えば、いくつかの態様において、1つまたは複数のシステインが、dTCRポリペプチド対の定常領域細胞外配列に組み込まれ得る。いくつかの例において、ネイティブおよび非ネイティブの両方のジスルフィド結合が望ましい場合がある。いくつかの態様において、TCRは、膜に係留するための膜貫通配列を含む。
いくつかの態様において、dTCRは、可変αドメイン、定常αドメインおよび定常αドメインのC末端に付加された第1の二量体化モチーフを含むTCRα鎖、ならびに可変βドメイン、定常βドメインおよび定常βドメインのC末端に付加された第1の二量体化モチーフを含むTCRβ鎖を含み、第1および第2の二量体化モチーフは、第1の二量体化モチーフ内のアミノ酸と第2の二量体化モチーフ内のアミノ酸の間で共有結合が形成され、TCR α鎖とTCR β鎖がひとつに連結されるよう容易に相互作用する。
いくつかの態様において、TCRは、MHC-ペプチド複合体に結合することができるα鎖およびβ鎖を含む単一のアミノ酸鎖であるscTCRである。典型的に、scTCRは、当業者に公知の方法を用いて生成され得る。例えば、国際公開PCT番号WO 96/13593、WO 96/18105、WO 99/18129、WO 04/033685、WO 2006/037960、WO 2011/044186;米国特許第7,569,664号;およびSchlueter, C.J. et al. J. Mol. Biol. 256, 859 (1996)を参照のこと。
いくつかの態様において、scTCRは、TCRα鎖可変領域に対応するアミノ酸配列によって構成される第1のセグメント、TCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応するアミノ酸配列のN末端に融合されたTCRβ鎖可変領域配列に対応するアミノ酸配列によって構成される第2のセグメント、および第1のセグメントのC末端と第2のセグメントのN末端を連結するリンカー配列を含む。
いくつかの態様において、scTCRは、TCRβ鎖可変領域に対応するアミノ酸配列によって構成される第1のセグメント、TCRα鎖定常ドメイン細胞外配列に対応するアミノ酸配列のN末端に融合されたTCRα鎖可変領域配列に対応するアミノ酸配列によって構成される第2のセグメント、および第1のセグメントのC末端と第2のセグメントのN末端を連結するリンカー配列を含む。
いくつかの態様において、scTCRは、α鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合されたα鎖可変領域配列によって構成される第1のセグメント、ならびにβ鎖細胞外定常配列および膜貫通配列のN末端に融合されたβ鎖可変領域配列によって構成される第2のセグメント、ならびに任意で、第1のセグメントのC末端と第2のセグメントのN末端を連結するリンカー配列を含む。
いくつかの態様において、scTCRは、β鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合されたTCRβ鎖可変領域配列によって構成される第1のセグメント、ならびにα鎖細胞外定常配列および膜貫通配列のN末端に融合されたα鎖可変領域配列によって構成される第2のセグメント、ならびに任意で、第1のセグメントのC末端と第2のセグメントのN末端を連結するリンカー配列を含む。
いくつかの態様において、scTCRがMHC-ペプチド複合体に結合するために、αおよびβ鎖は、それらの可変領域配列がそのような結合のために配向されるよう対形成されなければならない。scTCRにおけるαおよびβの対形成を促進する様々な方法が、当技術分野で周知である。いくつかの態様において、単一のポリペプチド鎖を形成するようαおよびβ鎖を連結するリンカー配列が、含まれる。いくつかの態様において、リンカーは、α鎖のC末端とβ鎖のN末端またはその逆の間で距離をとるのに十分な長さを有するべきであり、同時に、そのリンカーの長さが、標的であるペプチド-MHC複合体に対するscTCRの結合を妨害または減少させるほど長くないことも確実にするべきである。
いくつかの態様において、第1および第2のTCRセグメントを連結するscTCRのリンカーは、TCRの結合特異性を維持しつつ単一のポリペプチド鎖を形成することができる任意のリンカーであり得る。いくつかの態様において、リンカー配列は、例えば、式-P-AA-P-を有し、ここでPはプロリンであり、AAはアミノ酸配列を表し、アミノ酸はグリシンおよびセリンである。いくつかの態様において、第1および第2のセグメントは、それらの可変領域配列がそのような結合のために配向されるよう対形成される。したがって、いくつかの例において、リンカーは、第1のセグメントのC末端と第2のセグメントのN末端またはその逆の間で距離をとるのに十分な長さを有するが、標的リガンドに対するscTCRの結合を妨害または減少させるほど長くない。いくつかの態様において、リンカーは、10〜45アミノ酸または約10〜45アミノ酸、例えば10〜30アミノ酸または26〜41アミノ酸残基、例えば29、30、31または32アミノ酸を含み得る。いくつかの態様において、リンカーは、式-PGGG-(SGGGG)
5-Pまたは-PGGG-(SGGGG)
6-P-を有し、ここでPはプロリンであり、Gはグリシンであり、Sはセリンである(SEQ ID NO:38または55)。いくつかの態様において、リンカーは、配列
を有する。
いくつかの態様において、scTCRは、単一のアミノ酸鎖の残基間のジスルフィド結合を含み、これはいくつかの例において、単一鎖分子のαおよびβ領域の間の対形成の安定性を向上させ得る(例えば、米国特許第7,569,664号を参照のこと)。いくつかの態様において、scTCRは、単一鎖分子のα鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基とβ鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基を連結する共有ジスルフィド結合を含む。いくつかの態様において、ジスルフィド結合は、ネイティブのdTCRに存在するネイティブのジスルフィド結合に対応する。いくつかの態様において、ネイティブのTCR内にジスルフィド結合は存在しない。いくつかの態様において、ジスルフィド結合は、例えば、scTCRポリペプチドの第1および第2鎖領域の定常領域細胞外配列に1つまたは複数のシステインを組み込むことによって導入された非ネイティブジスルフィド結合である。例示的なシステイン変異は、上記のいずれかを含む。いくつかの例において、ネイティブおよび非ネイティブの両方のジスルフィド結合が存在し得る。
いくつかの態様において、scTCRは、そのC末端に融合された異種ロイシンジッパーが鎖の結合を促進する、非ジスルフィド連結された短縮型TCRである(例えば、国際公開PCT番号WO99/60120を参照のこと)。いくつかの態様において、scTCRは、ペプチドリンカーを通じてTCRβ可変ドメインに共有結合により連結されたTCRα可変ドメインを含む(例えば、国際公開PCT番号WO99/18129を参照のこと)。
いくつかの態様において、TCRは、可溶性TCRである。いくつかの態様において、可溶性TCRは、WO99/60120またはWO 03/020763に記載される構造を有する。いくつかの態様において、TCRは、例えばそれを発現する細胞への膜係留を可能にする膜貫通配列に対応する配列を含まない。いくつかの態様において、TCRは、細胞質配列に対応する配列を含まない。
いくつかの態様において、dTCRまたはscTCRを含むTCRはいずれも、T細胞表面上でTCRを機能させるシグナル伝達ドメインに連結され得る。いくつかの態様において、TCRは、細胞表面上で発現される。いくつかの態様において、TCRは、膜貫通配列に対応する配列を含む。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、CαまたはCβ膜貫通ドメインであり得る。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、非TCR源由来であり得る、例えばCD3z、CD28またはB7.1由来の膜貫通領域であり得る。いくつかの態様において、TCRは、細胞質配列に対応する配列を含む。いくつかの態様において、TCRは、CD3zシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、TCRは、CD3を含むTCR複合体を形成することができる。
いくつかの態様において、TCRまたはその抗原結合性フラグメントは、10-5〜10-12 Mまたは約10-5〜10-12 Mの間ならびにその間のすべての個々の値および範囲のMHC-ペプチド複合体またはリガンドに対する平衡結合定数の親和性を示す。
いくつかの態様において、TCRは、実質的に全長のコード配列が容易に入手可能な公知のTCR配列、例えばVα,β鎖の配列から取得され得る。細胞供給源からV鎖配列を含む全長TCR配列を取得する方法は、周知である。いくつかの態様において、TCRをコードする核酸は、例えば公的に利用可能なTCR DNA配列のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅によって、様々な供給源から取得され得る。いくつかの態様において、TCRは、生物学的供給源から、例えば細胞から、例えばT細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)、T細胞ハイブリドーマまたは他の公的に利用可能な供給源から得られる。いくつかの態様において、T細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)または腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)内に存在するT細胞を含む、例えば正常(もしくは健常)対象または罹患対象由来の、インビボ単離された細胞から取得され得る。いくつかの態様において、T細胞は、培養されたT細胞ハイブリドーマまたはクローンであり得る。いくつかの態様において、TCRまたはその抗原結合部分は、TCRの配列の情報から合成により作製され得る。
いくつかの態様において、TCR、例えばαおよびβ鎖をコードする核酸または複数の核酸は、PCR、クローニングまたは他の適当な手段によって増幅され得、適当な発現ベクターまたは複数のベクターにクローニングされ得る。発現ベクターは、任意の適当な組換え発現ベクターであり得、任意の適当な宿主を形質転換またはトランスフェクトするために使用され得る。適当なベクターは、増幅および拡張のためもしくは発現のためまたはその両方のために設計されたもの、例えばプラスミドおよびウイルスを含む。
いくつかの態様において、ベクターは、pUCシリーズ(Fermentas Life Sciences)、pBluescriptシリーズ(Stratagene, La Jolla, Calif.)、pETシリーズ(Novagen, Madison, Wis.)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)またはpEXシリーズ(Clontech, Palo Alto, Calif.)のベクターであり得る。いくつかの例において、バクテリオファージベクター、例えばλG10、λGT11、λZapII(Stratagene)、λEMBL4およびλNM1149もまた使用され得る。いくつかの態様において、植物発現ベクターが使用され得、これはpBI01、pBI101.2、pBI101.3、pBI121およびpBIN19(Clontech)を含む。いくつかの態様において、動物発現ベクターは、pEUK-C1、pMAMおよびpMAMneo(Clontech)を含む。いくつかの態様において、ウイルスベクター、例えばレトロウイルスベクターが使用される。
いくつかの態様において、組換え発現ベクターは、標準的な組換えDNA技術を用いて調製され得る。いくつかの態様において、ベクターは、そのベクターがDNAベースかRNAベースかを考慮して、適宜、ベクターを導入する宿主(例えば、細菌、真菌、植物または動物)のタイプに特異的な制御配列、例えば転写および翻訳開始および終止コドンを含み得る。いくつかの態様において、ベクターは、TCRまたは抗原結合部分(または他のペプチド結合部分)をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結された非ネイティブプロモーターを含み得る。いくつかの態様において、プロモーターは、非ウイルスプロモーターまたはウイルスプロモーター、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーターおよびマウス幹細胞ウイルスの長末端反復において見出されるプロモーターであり得る。当業者に公知の他のプロモーターも想定されている。
いくつかの態様において、TCRをコードするベクターを作製するために、αおよびβ鎖は、関心対象のTCRを発現するT細胞クローンから単離された総cDNAからPCR増幅され、発現ベクターにクローニングされ得る。いくつかの態様において、αおよびβ鎖は、合成により作製され得る。いくつかの態様において、αおよびβ鎖は、同じベクターにクローニングされ得る。いくつかの態様において、転写ユニットは、単一のプロモーターからのメッセージによる(例えば、αおよびβ鎖をコードする)遺伝子産物の共発現を可能にするIRES(内部リボソーム侵入部位)を含むバイシストロニックユニットとして工学的に改変され得る。あるいは、いくつかの例において、単一のプロモーターは、単一のオープンリーディングフレーム(ORF)内に、自己切断ペプチド(例えば、2A配列)またはプロテアーゼ認識部位(例えば、フリン)をコードする配列によって相互に隔てられた(例えば、αおよびβ鎖をコードする)複数の遺伝子を含むRNAを発現させ得る。したがってORFは、翻訳中(2Aの場合)または翻訳後のいずれかに、個々のタンパク質に切断される単一のポリペプチドをコードする。いくつかの例において、ペプチド、例えばT2Aは、リボソームに、2AエレメントのC末端でのペプチド結合の合成をさせず(リボソームスキップ)、それによって2A配列の末端と次の後続ペプチドを分離する(例えば、de Felipe. Genetic Vaccines and Ther. 2: 13 (2004)およびdeFelipe et al. Traffic 5: 616-626 (2004)を参照のこと)。本明細書に開示される方法および核酸において使用され得る2A配列の例は、非限定的に、米国特許公開番号20070116690に記載される、口蹄疫ウイルス(F2A、例えばSEQ ID NO:60)、A型ウマ鼻炎ウイルス(E2A、例えばSEQ ID NO:59)、ゾセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス(T2A、例えばSEQ ID NO:46または56)およびブタテッショウウイルス1(P2A、例えばSEQ ID NO:57または58)由来の2A配列を含む。いくつかの態様において、αおよびβ鎖は、異なるベクターにクローニングされる。いくつかの態様において、生成されたαおよびβ鎖は、レトロウイルス、例えばレンチウイルスベクターに組み込まれる。
いくつかの態様において、多数のTCRまたは抗原結合性フラグメント、例えばTCRまたは抗原結合性フラグメントのライブラリが、作製または取得され得る。
いくつかの態様において、TCRライブラリは、PBMC、脾臓または他のリンパ器官に存在する細胞を含む、対象から単離されたT細胞からのVαおよびVβのレパートリーの増幅によって作製され得る。いくつかの例において、T細胞は、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)から増幅され得る。いくつかの態様において、TCRライブラリは、CD4+またはCD8+細胞から作製され得る。いくつかの態様において、TCRは、正常または健常対象のT細胞源から増幅され得る、すなわち正常TCRライブラリであり得る。いくつかの態様において、TCRは、罹患対象のT細胞源から増幅され得る、すなわち疾患TCRライブラリであり得る。いくつかの態様において、ヒトから得られた試料、例えばT細胞において、例えばRT-PCRによって、VαおよびVβの遺伝子レパートリーを増幅するために、縮重プライマーが使用される。いくつかの態様において、scTvライブラリは、増幅産物がリンカーによって隔てられるようクローニングまたは構築されるナイーブVαおよびVβライブラリから構築され得る。対象および細胞の供給源に依存して、ライブラリは、HLA対立遺伝子特異的であり得る。
あるいは、いくつかの態様において、TCRライブラリは、親または足場TCR分子の変異誘発または多様化によって作製され得る。例えば、いくつかの態様において、対象、例えばヒトまたは他の哺乳動物、例えば齧歯類が、ペプチド、例えば本発明の方法によって同定されたペプチドを用いてワクチン接種され得る。いくつかの態様において、試料、例えば血中リンパ球を含む試料が、対象から取得され得る。いくつかの例において、結合分子、例えばTCRは、試料、例えば試料中に含まれるT細胞から増幅され得る。いくつかの態様において、抗原特異的T細胞は、例えばそのペプチドに対するCTL活性を評価するスクリーニングによって選択され得る。いくつかの局面において、例えば抗原特異的T細胞上に存在するTCRは、例えば結合活性、例えば抗原に対する特定の親和性またはアビディティによって選択され得る。いくつかの局面において、TCRは、例えば、例えばαまたはβ鎖の変異誘発によって、指向進化に供される。いくつかの局面において、TCRのCDR内の特定の残基が改変される。いくつかの態様において、選択されたTCRは、親和性成熟によって工学的に改変され得る。いくつかの局面において、選択されたTCRは、抗原に対する親スキャフォールドTCRとして使用され得る。
いくつかの態様において、対象はヒト、例えばがん、例えば黒色腫を患ったヒトである。いくつかの態様において、対象は齧歯類、例えばマウスである。いくつかのそのような態様において、マウスはトランスジェニックマウス、例えばヒトMHC(すなわち、HLA)分子、例えばHLA-A2を発現するマウスである。Nicholson et. al, Adv Hematol. 2012; 2012: 404081を参照のこと。
いくつかの態様において、対象は、ヒトTCRを発現するトランスジェニックマウスまたは抗原陰性マウスである。Li et. al, Nat Med. 2010 Sep; 16(9): 1029-34; Obenaus et. al, Nat Biotechnol. 2015 Apr; 33(4): 402-7を参照のこと。いくつかの局面において、対象は、ヒトHLA分子およびヒトTCRを発現するトランスジェニックマウスである。
いくつかの態様において、例えば対象がトランスジェニックHLAマウスの場合、同定されるTCRは、例えばキメラまたはヒト化されるよう修飾されている。いくつかの局面において、TCR足場は、例えば公知の抗体ヒト化法と同様に修飾される。
いくつかの態様において、そのような足場分子は、TCRのライブラリを作製するために使用される。
例えば、いくつかの態様において、ライブラリは、その親または足場TCR分子と比較して修飾された(modified)または工学的に改変された(engineered)TCRまたはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様において、改変された(altered)特性、例えば特定のMHC-ペプチド複合体に対してより高い親和性を有するTCRを生成するために、指向進化法が使用され得る。いくつかの態様において、ディスプレイアプローチは、既知の、親のまたは参照TCRの工学的改変(engineering)または修飾(modifying)を含む。例えば、いくつかの例において、野生型TCRは、CDRの1つまたは複数の残基が変異した変異TCRを生成するための鋳型として使用され得、所望の改変された特性、例えば所望の標的抗原に対してより高い親和性を有する変異体が選択される。いくつかの態様において、指向進化は、酵母ディスプレイ(Holler et al. (2003) Nat Immunol, 4, 55-62; Holler et al. (2000) Proc Natl Acad Sci U S A, 97, 5387-92)、ファージディスプレイ(Li et al. (2005) Nat Biotechnol, 23, 349-54)またはT細胞ディスプレイ(Chervin et al. (2008) J Immunol Methods, 339, 175-84)を含むがこれらに限定されないディスプレイ法によって達成される。
いくつかの態様において、ライブラリは、可溶性であり得る。いくつかの態様において、ライブラリは、TCRがファージもしくは細胞表面上に提示されるまたは粒子もしくは分子、例えば細胞、リボソームもしくは核酸、例えばRNAもしくはDNAに付加されるディスプレイライブラリである。典型的に、正常もしくは疾患TCRライブラリまたは多様化ライブラリを含むTCRライブラリは、ヘテロ二量体としてまたは単鎖形態としてを含む任意の形態で作製され得る。いくつかの態様において、TCRの1つまたは複数のメンバーは、二鎖ヘテロ二量体であり得る。いくつかの態様において、VαおよびVβ鎖の対形成は、ジスルフィド結合の導入によって促進され得る。いくつかの態様において、TCRライブラリのメンバーは、TCR単鎖(scTvまたはScTCR)であり得、これらはいくつかの例において、リンカーによって隔てられたVαおよびVβ鎖を含み得る。さらに、いくつかの例において、ライブラリからのTCRのスクリーニングおよび選択において、選択されるメンバーは、任意の形態、例えば全長TCRヘテロ二量体もしくは単鎖形態またはそれらの抗原結合性フラグメントとして生成され得る。
2. 抗体および抗原結合性フラグメント
提供される方法の局面において、MHC-ペプチド結合分子は、MHC分子に関連して提示された(displayed)または提示された(presented)T細胞エピトープまたはペプチドエピトープに対して結合特異性を示し得る抗体または抗原結合性フラグメントである、すなわち、抗体またはその抗原結合部分は、TCR様抗体であり得る。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合部分は、特定のMHC-ペプチド複合体に対して反応性であり、その抗体または抗体フラグメントは、特定のMHC-ペプチド複合体を、MHC分子単独、特定抗体単独およびいくつかの例において、MHCと無関係のペプチドの複合体から区別し得る。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合部分は、同じMHC-ペプチド複合体に対して結合特異性を示し得るTCRを含むT細胞受容体よりも高い結合親和性を示し得る。
本明細書において「抗体」という用語は、最も広義の意味で使用され、インタクトな抗体ならびに、断片化抗原結合(Fab)フラグメント、F(ab')2フラグメント、Fab'フラグメント、Fvフラグメント、組換えIgG(rIgG)フラグメント、抗原に特異的に結合することができる可変重鎖(VH)領域、単鎖可変フラグメント(scFv)を含む単鎖抗体フラグメントおよび単一ドメイン抗体(例えば、sdAb、sdFv、ナノボディ)フラグメントを含む機能的(抗原結合)抗体フラグメントを含む、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を含む。この用語は、遺伝子改変されたおよび/または他の方法で修飾された形態の免疫グロブリン、例えばイントラボディ、ペプチボディ、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体およびヘテロコンジュゲート抗体、多特異性、例えば二特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディおよびテトラボディ、タンデムdi-scFv、タンデムtri-scFvを包含する。そうでないことが示されていない限り、「抗体」という用語は、その機能的抗体フラグメントを包含すると理解されるべきである。この用語はまた、IgGおよびそのサブクラス、IgM、IgE、IgAならびにIgDを含む、任意のクラスまたはサブクラスの抗体を含む、インタクトまたは全長抗体を包含する。
いくつかの態様において、抗体の重鎖および軽鎖は、全長であり得るまたは抗原結合部分(Fab、F(ab')2、Fvまたは単鎖Fvフラグメント(scFv))であり得る。他の態様において、抗体重鎖定常領域は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgDおよびIgEから選択される、特に、例えばIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4、特にIgG1(例えば、ヒトIgG1)から選択される。別の態様において、抗体軽鎖定常領域は、例えば、カッパまたはラムダ、特にカッパから選択される。
提供される抗体は特に、抗体フラグメントである。「抗体フラグメント」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部分を含むインタクトな抗体ではない分子を表す。抗体フラグメントの例は、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ;リニア抗体;可変重鎖(VH)領域、単鎖抗体分子、例えばscFvおよび単一ドメインVH単鎖抗体;ならびに抗体フラグメントから形成される多特異性抗体を含むがこれらに限定されない。特定の態様において、抗体は、可変重鎖領域および/または可変軽鎖領域を含む単鎖抗体フラグメント、例えばscFvである。
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体重鎖または抗体軽鎖のうち、抗原への抗体の結合に関与するドメインを指す。ネイティブ抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれVHおよびVL)は一般に類似する構造を有し、各ドメインは4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と3つのCDRとを含んでいる(例えばKindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91(2007)を参照されたい)。抗原結合特性を付与するには単一のVHドメインまたはVLドメインで十分でありうる。さらにまた、特定の抗原に結合する抗体は、その抗原に結合する抗体からのVHドメインまたはVLドメインを使って、それぞれ相補的なVLドメインまたはVHドメインのライブラリをスクリーニングすることにより、単離することができる。例えばPortolano et al., J. Immunol. 150:880-887(1993); Clarkson et al., Nature 352:624-628(1991)を参照されたい。
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部もしくは一部または抗体の軽鎖可変ドメインの全部もしくは一部を含む抗体フラグメントである。一定の態様において、単一ドメイン抗体はヒト単一ドメイン抗体である。
抗体フラグメントは、例えば限定するわけではないが、インタクトな抗体のタンパク質分解的消化および組換え宿主細胞による生産などといった、さまざまな技法によって製造することができる。いくつかの態様において、抗体は組換え生産されたフラグメント、例えば自然には見いだされない編成を含むフラグメント、例えば2つ以上の抗体領域または抗体鎖が合成リンカー(例えばペプチドリンカー)で連結されているもの、および/または天然のインタクトな抗体の酵素消化では生産され得ないものである。いくつかの局面において、抗体フラグメントはscFvである。
「ヒト化」抗体は、CDRアミノ酸残基のすべてまたは実質上すべてが非ヒトCDRに由来し、FRアミノ酸残基のすべてまたは実質上すべてがヒトFRに由来する抗体である。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体由来の抗体定常領域の少なくとも一部分を含みうる。非ヒト抗体の「ヒト化型」とは、典型的には、親非ヒト抗体の特異性および親和性を保ちつつヒトに対する免疫原性を低減するためにヒト化された、非ヒト抗体の変種を指す。いくつかの態様では、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基が、例えば抗体の特異性または親和性を回復または改良するために、非ヒト抗体(例えばCDR残基の由来源である抗体)の対応残基で置換される。
いくつかの態様では、抗体ライブラリまたは抗原結合性フラグメントライブラリが作製される。いくつかの局面において、ライブラリはポリペプチドの多様なプールを含有し、それらポリペプチドのそれぞれは、免疫グロブリンドメイン、例えば免疫グロブリン可変ドメインを含む。
いくつかの態様において、抗体ライブラリは、VHドメインおよびVLドメインを含むポリペプチドを含有する。ライブラリは抗体を、Fabフラグメント(例えば2本のポリペプチド鎖を使用するもの)として、または単鎖Fv(例えば1本のポリペプチド鎖を使用するもの)として、含むことができる。他のフォーマットも使用することができる。
Fabおよび他のフォーマットの場合のように、抗体は、軽鎖または重鎖の一部として定常領域を含むことができる。一態様では、それぞれの鎖が、例えばFabの場合のように、1つの定常領域を含む。別の態様では、追加の定常領域が含まれる。
いくつかの態様では、複数の抗体または抗原結合性フラグメント、例えば抗体または抗原結合性フラグメントのライブラリを作製し、または入手することができる。いくつかの態様において、そのような方法は、TCR様抗体または抗原結合部分を生産するために使用されている(例えば米国特許出願公開番号US 2002/0150914、US 2003/0223994、US 2004/0191260、US 2006/0034850、US 2007/00992530、US20090226474、US20090304679およびPCT国際公開WO 03/068201参照)。
いくつかの局面において、抗体ライブラリは、正常(もしくは健常)対象または罹患対象からの免疫グロブリン遺伝子を含む免疫グロブリン遺伝子の核酸から構築される。場合によっては、核酸分子はナイーブ生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子に相当することができる。核酸は、一般に、VHドメインおよび/またはVLドメインをコードする核酸を含む。免疫グロブリンコード核酸の供給源は以下に記載する。いくつかの態様では、核酸分子を増幅によって得ることができ、これは、PCR増幅法、例えば特定IgGアイソタイプ(例えばIgM)の保存された定常領域にアニールするプライマーによるもの、または他の増福方法を含みうる(例えばZhu and Dimitrov(2009)Methods Mol Biol., 525:129、Hust et al.(2012)Methods in Molecular Biology, 907:85-107参照)。いくつかの態様では、VH鎖および/またはVL鎖をコードする公知の生殖細胞系セグメントのインシリコ再編成によって、核酸分子を得ることができる(例えば公開されたPCT出願番号WO2010/054007参照)。一般に、増幅アプローチであれ、インシリコアプローチであれ、複数のVHドメインを複数のVLドメインと組み換えることができる。場合によっては、例えば最終ライブラリのサイズが十分に大きければ、新しく形成される組合せの一部が抗原特異的結合活性を呈する可能性がかなり高くなるような、可能な組合せの数となるように、多数のVH遺伝子とVL遺伝子とを得ることができる。
免疫グロブリンドメインをコードする核酸は、例えばヒト、霊長類、マウス、ウサギ、ラクダまたは齧歯類などの免疫細胞から得ることができる。任意の細胞をライブラリの供給源として使用してよい。場合によっては、免疫グロブリン遺伝子を、血中リンパ球、骨髄、脾臓または他の免疫グロブリン含有供給源から得ることができる。いくつかの態様において、ライブラリの細胞供給源は、PBMC、脾細胞または骨髄細胞でありうる。場合によっては、免疫グロブリン遺伝子がB細胞から得られる。一例では、特定の特性に関して細胞が選択される。さまざまな成熟段階にあるB細胞を選択することができる。別の一例において、B細胞はナイーブである。いくつかの態様では、ヒトドナーからのT細胞が使用されうる。
いくつかの態様において、抗体ライブラリは、一般に非免疫抗体遺伝子またはナイーブ抗体遺伝子に相当するIgM由来抗体遺伝子を含むことができ、すなわちナイーブ抗体ライブラリと呼ばれる場合がある。例えばいくつかの態様において、抗体フラグメントのナイーブライブラリは、例えば、末梢血リンパ球、骨髄細胞または脾細胞から単離された未免疫ドナーのB細胞のIgM RNAから、再編成されたV遺伝子をクローニングすることなどによって、構築されている(例えばGriffiths et al, EMBO Journal, 12(2), 725-734, 1993、Marks et al, J. Mol. Biol., 222, 581-597, 1991参照)。IgGに基づくライブラリは通例、特定抗原への偏りがあるものの、いくつかの態様では、抗体ライブラリはIgG由来抗体遺伝子を含むことができる。
一態様では、蛍光活性化細胞選別法(FACS)を使って、表面結合型IgM、IgDまたはIgG分子を発現するB細胞が選別される。さらに、IgGの異なるアイソタイプを発現するB細胞を単離することもできる。別の一態様では、B細胞またはT細胞をインビトロで培養する。これらの細胞は、例えばフィーダー細胞と共に培養することによって、またはマイトジェンもしくは他の調節物質(modulatory reagent)、例えばCD40、CD40リガンドもしくはCD20に対する抗体、酢酸ミリスチン酸ホルボール、細菌性リポ多糖、コンカナバリンA、フィトヘマグルチニンまたはヨウシュヤマゴボウマイトジェンなどによって、インビトロで刺激することができる。
いくつかの態様では、細胞が、疾患または障害、例えばがんまたは免疫障害を有する対象から単離される。対象はヒトまたはヒト以外の動物、例えばヒト疾患の動物モデルもしくは類似する障害を有する動物であることができる。いくつかの態様において、抗体ライブラリは免疫ライブラリ、例えば感染または罹患した対象から得られる抗体から構築されたものである。いくつかの態様において、免疫ライブラリは、ナイーブ抗体ライブラリまたは正常対象もしくは健常対象に由来する抗体ライブラリを使って得ることができるものよりも高い親和性を有する抗体メンバーを含有しうる。
いくつかの態様において、細胞は、体細胞超変異のプログラムを活性化している。細胞は、例えば抗免疫グロブリン抗体、抗CD40抗体および抗CD38抗体による処理などによって、免疫グロブリン遺伝子の体細胞変異を起こすように刺激することができる(例えばBergthorsdottir et al.(2001)J. Immunol. 166:2228参照)。別の一態様において、細胞はナイーブである。
免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸は、以下の例示的方法によって、天然レパートリーから単離することができる。まず、RNAを免疫細胞から単離する。完全長(すなわちキャップ構造を持つ)mRNAを(例えばキャップ構造を持たないRNAをウシ腸ホスファターゼで分解することによって)分離する。次に、タバコ酸性ピロホスファターゼでキャップを除去し、逆転写を使ってcDNAを生産する。
第1(アンチセンス)鎖の逆転写は、任意の適切なプライマーを使って、任意の方法で行うことができる。例えばde Haard et al.(1999)J. Biol. Chem. 274:18218-30参照。プライマー結合領域は、例えば異なる免疫グロブリンアイソタイプを逆転写するために、異なる免疫グロブリン間で一定にすることができる。プライマー結合領域は特定の免疫グロブリンアイソタイプに特異的であることもできる。通例、プライマーは、少なくとも1つのCDRをコードする配列に対して3'側にある領域に特異的である。別の一態様では、ポリ-dTプライマーを使用してもよい(例えば重鎖遺伝子の場合)。
逆転写された鎖の3'末に合成配列をライゲートすることができる。この合成配列は、逆転写後のPCR増幅中にフォワードプライマーを結合させるためのプライマー結合部位として使用することができる。合成配列を使用することにより、入手可能な多様性を完全に捕捉するために異なるフォワードプライマーのプールを使用する必要がなくなる。
次に、例えば1ラウンドまたは複数ラウンドを使って、可変ドメインコード遺伝子を増幅する。複数ラウンドを使用する場合は、忠実度を増加させるために、ネステッドプライマーを使用することができる。次に、増幅された核酸をライブラリベクターにクローニングする。
増幅には、核酸配列を増幅するための任意の方法を使用しうる。多様性を最大にし、かつ多様性を偏らせない方法を使用しうる。核酸増幅にはさまざまな技法を使用することができる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR;米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号、Saiki, et al.(1985)Science 230, 1350-1354)では、核酸合成のラウンドを駆動するためにさまざまな温度のサイクルを利用する。転写ベースの方法(transcription-based method)では、核酸を増幅するために、RNAポリメラーゼによるRNA合成を利用する(米国特許第6,066,457号、米国特許第6,132,997号、米国特許第5,716,785号、Sarkar et. al., Science(1989)244:331-34、Stofler et al., Science(1988)239:491)。NASBA(米国特許第5,130,238号、同第5,409,818号および同第5,554,517号)は、転写、逆転写、RnaseHに基づく分解のサイクルを利用することで、DNA試料を増幅する。その他の増幅法として、ローリングサークル増幅法(rolling circle amplification)(RCA;米国特許第5,854,033号および同第6,143,495号)ならびに鎖置換増幅法(strand displacement amplification)(SDA;米国特許第5,455,166号および同第5,624,825号)が挙げられる。
抗体ライブラリはいくつかのプロセスによって構築することができる(例えばWO 00/70023参照)。さらに、各プロセスの要素を他のプロセスの要素と組み合わせることができる。これらのプロセスは、単一の免疫グロブリンドメイン(例えばVHもしくはVL)または複数の免疫グロブリンドメイン(例えばVHおよびVL)に変異が導入されるように使用することができる。変異は、免疫グロブリン可変ドメインに、例えばCDR1、CDR2、CDR3、FR1、FR2、FR3およびFR4のうちの1つまたは複数の領域に、つまり重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインのどちらか一方または両方のそのような領域に、導入することができる。一態様では、所与の可変ドメインの3つのCDRに変異が導入される。別の一態様では、例えば重鎖可変ドメインのCDR1およびCDR2に、変異が導入される。任意の組合せを実行することができる。あるプロセスでは、CDRをコードする多様なオリゴヌクレオチドを、対応する核酸領域に挿入することによって、抗体ライブラリが構築される。単量体型ヌクレオチドまたはトリヌクレオチドを使って、オリゴヌクレオチドを合成することができる。例えばKnappik et al.(2000)J. Mol. Biol. 296:57-86には、トリヌクレオチド合成を使ってCDRをコードするオリゴヌクレオチドを構築するための方法と、そのオリゴヌクレオチドを受け入れるための工学的に改変された制限部位を持つテンプレートが記載されている。
いくつかの態様において、ライブラリは、抗体または抗体フラグメントをコードする核酸を含有する。核酸分子は、発現したときに抗体が形成されるように、別々に作製することができる。例えば、抗体のVH鎖をコードする核酸分子を作製することができ、かつ/または抗体のVL鎖をコードする核酸分子を作製することができる。いくつかの局面において、それらの核酸分子を細胞中で同時発現させると、抗体が作製される。あるいは、scFvライブラリを作製することもでき、ここでは、一般的にリンカーによって分離されている抗体の変種VH鎖および変種VL鎖の両方をコードする単一の核酸分子を作製することができる。
本明細書におけるどのライブラリにおいても、核酸分子は抗体のヒンジ領域および定常領域(例えばCLまたはCH1、CH2および/またはCH3)のためのヌクレオチドもさらに含有することができる。さらに、核酸分子は、任意で、ペプチドリンカーをコードするヌクレオチドを含むことができる。抗体を作製し発現させるための方法を本明細書に記載するが、それらは、任意の抗体ライブラリの作製に使用するために適合させることができる。したがって抗体ライブラリは、完全長抗体であるメンバーまたはその抗体フラグメントであるメンバーを含むことができる。いくつかの態様において、抗体ライブラリはscFvライブラリである。いくつかの態様において、抗体ライブラリはFabライブラリである。さらに、ライブラリからの抗体のスクリーニングおよび選択後は、選択されたメンバーを任意の形態で、例えば完全長抗体として、または抗体フラグメントとして、作製することができる。
B.スクリーニング方法
いくつかの態様において、本方法は、上述のいずれかを含む抗体ライブラリまたはTCRライブラリなどの候補結合分子のライブラリを用意する工程、およびここに提供する方法を使って同定される非カノニカルエピトープなどのペプチドエピトープ(例えばMHC-ペプチド複合体)に結合するメンバーを同定するために、ライブラリをスクリーニングする工程を含む。いくつかの態様において、ライブラリのフォーマットは、ディスプレイライブラリなどの発現ライブラリであることができる。
いくつかの態様において、本スクリーニング方法は、結合を示す活性または特性の決定に基づいて、複数の候補結合分子からの、例えばそれぞれ複数のTCR、抗体またはその一部分からの、例えばそのような分子の収集物またはライブラリなどからの、結合分子、例えばTCR、抗体またはその抗原結合性フラグメントなどの、タンパク質の同定または選択をもたらす。場合により、結合を示す活性または特性は、結合に関する絶対値および/または結合に関係する活性の調整に関する絶対値を得るという意味での、および/または結合もしくは活性のレベルの指標、比、パーセンテージ、視覚的なまたは他の値もしくは尺度を得るという意味での、結合の定量的および/または定性的決定を含むことができる。評価は直接的または間接的であることができる。スクリーニングはさまざまな方法のいずれでも行うことができる。
いくつかの態様において、スクリーニング方法は、複数の結合分子または結合分子のライブラリのメンバーを標的抗原または標的リガンド、例えばMHC-ペプチド複合体と接触させる工程、および例えば標的リガンドまたは標的抗原への直接的結合(例えば結合親和性)を評価するアッセイによって、特性または活性を評価する工程を伴う。いくつかの態様において、スクリーニング方法は、ライブラリの1つまたは複数のメンバーをMHC-ペプチド複合体と接触させる工程、非結合分子を洗浄または除去する工程、およびMHC-ペプチド複合体に結合する分子を検出または同定する工程を含む。場合によっては、ライブラリのメンバーは、検出可能に標識することができるか、検出することができ、その結果、結合物質の検出が容易になる。別の例では、続いて陽性結合物質を濃縮し、配列決定することによって、結合分子を同定することができる。
いくつかの態様において、スクリーニングアッセイはハイスループットであることができる。例えば場合によっては、多数の分子、例えば一般的には数十、数百、数千、数万、数十万の分子の結合または活性を評価することによって、スクリーニングを行うことができる。ハイスループット法は、手作業で行うか、ロボット工学またはソフトウェアを使うなどして、自動化することができる。
いくつかの態様において、ライブラリの各結合分子は、MHC-ペプチド複合体への結合について、個々別々にスクリーニングすることができる。いくつかの態様において、スクリーニングは、アドレス可能なライブラリで行うことができる。当技術分野において公知のアドレス可能アレイ技術はいずれも、抗体またはTCRを含むライブラリメンバーのスクリーニングに使用することができる。例えば候補結合分子は、1つまたは複数のマルチウェルプレートなどの空間的アレイに、プレートの個々の場所が一個の抗体またはTCRに対応するようにフォーマットすることなどによって、互いに物理的に分離することができる。マルチウェルプレートとしては、12ウェルプレート、24ウェルプレート、48ウェルプレート、96ウェルプレート、384ウェルプレートおよび1536ウェルプレートを挙げることができるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの例では、アレイのある位置にある、例えばアレイの各ウェルにある、各メンバーの実体が、分かっている。いくつかの態様では、ライブラリのメンバーと標的抗原または標的リガンドとの接触が可能になるように、MHC-ペプチド複合体を、可溶型であれ、細胞発現型であれ、アレイの各位置に存在させること、例えば添加することができる。
いくつかの態様では、例えば非アドレス可能フォーマットで、候補化合物をプールし、スクリーニングすることができる。そのような他の非アドレス可能フォーマットの例としては、ディスプレイによるもの、特に1種または複数種の活性に関する、例えば可溶型であれ細胞表現型であれMHC-ペプチド複合体などのペプチドエピトープへの結合に関する、ライブラリのメンバーのスクリーニングを容易にする、任意のディスプレイフォーマットによるものが挙げられる。いくつかの態様では、ライブラリの個々の分子(表現型)とそれらをコードする遺伝情報(遺伝子型)との間に物理的連結があるディスプレイ技法を使って、ライブラリがスクリーニングされる。いくつかの態様では、繊維状ファージ、リボソームまたは細胞などの所定の粒子において、ライブラリの各タンパク質メンバーがその核酸(例えばcDNA)に物理的に連結されているディスプレイライブラリとして、候補結合分子を用意することができる。ディスプレイライブラリ法は当技術分野において公知であり、細胞ディスプレイ、ファージディスプレイ、mRNAディスプレイ、リボソームディスプレイおよびDNAディスプレイが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
いくつかの態様では、1種または複数種の結合分子、例えば候補結合分子のライブラリを、T細胞エピトープを含有するMHC-ペプチド複合体への結合について評価する。場合によっては、例えば抗原をコードする異種核酸を含有するCMVベクター粒子の導入などによって抗原が導入されているMHC発現細胞を、前述のライブラリに対する直接的なパニングに使用することで、細胞の表面でMHC上にディスプレイされた抗原のMHC拘束性エピトープに結合する1種または複数種の分子を同定することができる。あるいは、ここに提供する方法を使ったペプチドの同定などによって、ペプチドエピトープの実体または配列が分かっている態様では、任意の無細胞法または細胞ベースの方法を使って、そのペプチドに、ペプチド拘束性(peptide restriction)と適合するMHC分子との複合体を形成させることで、安定なMHC-ペプチド複合体を作製することができる。いくつかの態様において、可溶型であるか、細胞上に発現させることができる、安定なMHC-ペプチド複合体を、前述のライブラリに対してスクリーニングすることで、そのMHC-ペプチド複合体に結合する1種または複数種の結合分子を同定することができる。
いくつかの態様では、上述した方法のいずれかを使って同定されるペプチドエピトープなどの特定ペプチドエピトープへの結合を評価するために、スクリーニングアッセイが行われる。いくつかの局面において、ペプチドは、そのペプチドのMHC拘束性と合致するMHC分子に関連して安定にディスプレイされる。場合により、ペプチドのMHC拘束性と合致するMHC分子は、上記の方法においてペプチドエピトープを選択または同定する際に使用したMHC拘束性に基づいて、分かっている。いくつかの態様では、MHC分子に対するペプチドの結合親和性を確認または決定するために、いくつかあるMHCペプチド結合アッセイをどれでも、例えば上述したアッセイをどれでも、行うことができる。
安定なMHC-ペプチド複合体を調製または作製する方法は、当技術分野において周知である。結合を評価するために、MHC-ペプチド複合体を、場合によっては、固形支持体に取り付けるか、細胞から発現させるか、可溶型で発現させるか、またはそれへの結合を評価することができるように他の形で用意することができる。いくつかの態様では、複合体のMHC構成成分を、タグ付けし、組換え発現させることができる。いくつかの態様では、組換えMHCをペプチドと、例えば合成的に生産されたペプチドと、再構成させる。いくつかの態様では、MHC-ペプチド複合体が支持体に、例えば常磁性ビーズまたは他の磁気応答粒子に取り付けられる。
いくつかの態様では、MHC分子を調製し、精製することができ、次にこれらのタンパク質をインビトロで変性させ、MHC-ペプチド複合体の特定ペプチドエピトープの存在下で、再フォールディングさせることができる。いくつかの態様では、細菌精製および再フォールディングによって、MHC-ペプチド複合体の均一性が改良される。いくつかの態様において、複合体中にインビトロで組み込まれる関心対象の特定ペプチドは、MHC複合体への結合に関して多数の細胞性ペプチドと競合する必要がなく、例えば、ディスプレイライブラリに結合させるための均一な標的をもたらす。いくつかの態様では、MHC-ペプチド複合体に結合するライブラリのメンバーを同定するために、この精製複合体をディスプレイライブラリに対してパニングすることができる。場合により、発現は細菌系で行うことができ、その場合は、MHC分子を封入体から精製することができる。MHCクラスI分子、例えば古典的MHCクラスIaまたは非古典的MHC-E分子の場合は、複合体の再フォールディングのために、β2-ミクログロブリンも調製し、精製することができる。いくつかの態様では、例えばDenkberg and Reiter(2000)Eur. J Immunol. 30:3522-32に記載されているように、例えばおよそ15アミノ酸のリンカーなどによって、α鎖およびβ2ミクログロブリンを共有結合で連結することができる。いくつかの態様において、鎖の一つ、例えばα鎖は、ビオチン化されたBirA配列またはヘキサ-ヒスチジンタグなどの精製ハンドルを含むことができる。いくつかの態様では、MHC-ペプチド複合体に結合するライブラリのメンバーを同定するために、この精製複合体をディスプレイライブラリに対してパニングすることができる。
いくつかの態様では、MHC複合体を細胞の表面に発現させることができる。いくつかの態様では、関心対象のペプチドの拘束性と合致するアレルを有するMHCタンパク質を発現する核酸を、細胞にトランスフェクトし、トランスフェクト細胞にペプチドを負荷する。いくつかの態様では、MHC-ペプチド複合体を発現する関心対象の細胞を、支持体に取り付ける。いくつかの態様では、細胞発現型MHC-ペプチド複合体を、ディスプレイライブラリに対してパニングすることで、MHC-ペプチド複合体に結合するライブラリのメンバーを同定することができる。
いくつかの態様において、標的抗原のペプチドエピトープに結合する結合分子は、例えば上述の方法に従って、CMVベクター粒子を使って導入された細胞表面のMHC-ペプチド複合体へのそのような分子の結合をアッセイすることによって、直接同定することができる。したがって、いくつかの態様では、特定MHC分子に結合されかつ/または特定MHC分子から溶離され、あるいはMHC分子に関連して表面に発現された場合に免疫応答を誘導する能力を有するペプチドエピトープの同定および/または検出が、それに結合する結合分子の解明に先だって必要となることはない。場合によっては、異種標的抗原をコードするCMVベクター粒子を導入すると細胞によって特定MHC-ペプチド複合体が作製され、それが発現され、プロセシングされ、そこからのペプチドエピトープがMHC分子に関連して細胞表面にディスプレイされる。いくつかの態様において、ディスプレイされたMHC-ペプチド複合体は、標的抗原のスーパートープ、ユニバーサルエピトープまたは非カノニカルエピトープであるエピトープを含有することができ、スクリーニングアッセイを使って、それへの結合分子を同定することができる。
例えばいくつかの態様では、ペプチドエピトープに結合する結合分子(例えばTCR、抗体またはその抗原結合性フラグメント)を同定する方法であって、a)細胞(例えばMHC発現細胞)に、標的抗原(例えば本明細書に記載するいずれか、腫瘍抗原またはウイルス抗原など)をコードする異種核酸分子を含有するCMVベクター粒子を導入する工程、b)その細胞を、1種または複数種のペプチド結合分子またはそれらの抗原結合性フラグメント、例えば複数のペプチド結合分子(例えばディスプレイライブラリ)と接触させる工程、およびc)MHC-ペプチド複合体に特異的に結合するペプチド結合分子または抗原結合性フラグメントを同定する工程を含む方法が提供される。CMVベクター粒子は、上述のいずれか、例えばUL128および/またはUL130をコードするORFにおいて改変されておりかつ/または不活性なUL128および/またはUL130タンパク質をコードするゲノムを有するCMVであることができる。いくつかの態様において、CMVベクター粒子は、1種または複数種のペプチド抗原(場合によっては、発現された異種タンパク質の1種または複数種のペプチド抗原を含む)が細胞によって発現され、プロセシングされ、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に関連して細胞表面に提示される条件下で、導入される。
いくつかの態様において、ディスプレイライブラリスクリーニング法などの、ここに提供するスクリーニング方法は、非標的分子に結合するライブラリメンバーを捨てる選択プロセスまたはスクリーニングプロセスを含むことができる。非標的分子の例として、MHCに結合しないペプチドエピトープ、ペプチドが結合しないMHC、関心対象のペプチドとは異なるペプチドが結合するMHC、および/または関心対象のペプチドが結合するが、関心対象のMHCとは異なるアレルを有するMHCを挙げることができる。陰性選択スクリーニングを使用することができる。例えばいくつかの態様では、標的MHC-ペプチド複合体と、関連する1種または複数種の非標的分子または非標的分子とを区別するために、陰性スクリーニング工程を使用することができる。いくつかの態様では、ライブラリ、例えばディスプレイライブラリなどのTCRライブラリまたは抗体ライブラリを、非標的分子に接触させることができる。非標的に結合しない試料のメンバーを収集して、標的MHC-ペプチド複合体への結合に関するその後の選択またはスクリーニングに使用し、かつ/またはその後の陰性選択にも使用することができる。陰性選択工程は、標的MHC-ペプチド複合体に結合するライブラリメンバーの選択前または選択後に行うことができる。
いくつかの態様では、収集物またはライブラリ、例えばディスプレイライブラリを、可溶型または細胞結合型のいずれかである標的MHC-ペプチド複合体と接触させることができる。いくつかの態様では、標的MHC-ペプチド複合体に結合する、例えば細胞に結合する、ライブラリのメンバーを単離し、特徴づける。
1.ディスプレイライブラリ
いくつかの態様において、本方法は、複数の多様なTCRまたは抗体-結合分子が表面にディスプレイされている多様性の高いライブラリのメンバーを、非カノニカルペプチドMHC複合体と接触させる工程、ライブラリメンバーと該所与のペプチド-MHC複合体との間の結合を検出する工程、所与のペプチド-MHC複合体への結合として検出されたライブラリメンバーを単離する工程、および任意で、単離されたライブラリメンバーを増幅プロセスにおいて増倍する工程を含む。いくつかの態様において、本方法は、複数のTCRまたは抗体様TCR結合分子を関心対象のペプチド-MHC複合体と接触させることによって行われる。
いくつかの態様では、MHC-ペプチド複合体に結合して複合体のペプチド部分を認識する結合分子を同定するために、ディスプレイライブラリが使用される。いくつかの態様において、ディスプレイライブラリは、結合分子の収集物、例えばTCRもしくは抗原結合部分のライブラリまたは抗体もしくは抗原結合部分のライブラリである。いくつかの態様において、選択では、結合分子がMHC-ペプチド複合体で探索され、結合分子がMHC-ペプチド複合体に結合した場合、そのディスプレイライブラリメンバーは、通例、支持体への保持によって同定される。
いくつかの態様では、保持されたディスプレイライブラリメンバーが支持体から回収され、分析される。いくつかの態様において、分析は、増幅と、その後の類似条件下または非類似条件下での選択を含むことができる。例えばいくつかの態様では、陽性選択と陰性選択を交互に行うことができる。いくつかの態様において、分析は、例えば詳細な特徴づけのための、結合分子のアミノ酸配列の決定および結合分子の精製も含むことができる。
ディスプレイライブラリにはさまざまなフォーマットを使用することができる。例として以下のフォーマットが挙げられる。
a.ファージディスプレイ
いくつかの態様では、ファージディスプレイライブラリ、例えばバクテリオファージなどのウイルスを利用するライブラリが使用される。いくつかの態様では、MHC-ペプチド複合体に結合する可能性がある結合分子、例えば抗体もしくはその抗原結合部分またはTCRもしくはその抗原結合部分を、ファージ抗体ライブラリを使用して生産することができる。ファージディスプレイは、潜在的結合分子のライブラリを特定の抗原に結合するそれらの能力についてスクリーニングするために、広く使用されている方法である。一般に、ファージディスプレイは、タンパク質またはペプチドがコートタンパク質への融合物としてファージ表面に個別に発現されると共に、同じファージ粒子が当該タンパク質またはペプチドをコードするDNAを保有している、細胞ベースの方法である(Smith, G. P.(1985)Science 228:1315-1317)。場合により、ファージの選択は、タンパク質またはペプチドの認識を伴う特異的結合反応によって達成され、これにより、特定ファージを単離してクローニングし、タンパク質またはペプチドのDNAを回収して増殖または発現させることが可能になる。いくつかの態様では、ファージライブラリが、可溶型抗原、固定化抗原または細胞発現抗原などの関心対象の標的抗原に対して、パニングされる。
ファージディスプレイを使用するいくつかの態様では、関心対象のタンパク質がウイルスコートタンパク質のN末に融合される(Scott and Smith(1990)Science, 249, 386-90)。そのような態様のいくつかにおいて、結合分子はバクテリオファージコートタンパク質に共有結合によって連結される。いくつかの態様において、この連結は、コートタンパク質に融合された結合分子をコードする核酸の翻訳に起因する。いくつかの態様において、この連結は、柔軟なペプチドリンカー、プロテアーゼ部位、または停止コドンを抑止した結果として組み込まれるアミノ酸を含むことができる。ファージディスプレイは、例えばLadnerらの米国特許第5,223,409号、Smith(1985)Science 228:1315-1317、WO 92/18619、WO 91/17271、WO 92/20791、WO 92/15679、WO 93/01288、WO 92/01047、WO 92/09690、WO 90/02809、de Haard et al(1999)J. Biol. Chem 274:18218-30、Hoogenboom et al.(1998)Immunotechnology 4:1-20、Hoogenboom et al.(2000)Immunol Today 2:371-8、Fuchs et al.(1991)Bio/Technology 9:1370-1372、Hay et al.(1992)Hum Antibod Hybridomas 3:81-85、Huse et al.(1989)Science 246:1275-1281、Griffiths et al.(1993)EMBO J 12:725-734、Hawkins et al.(1992)JMol Biol 226:889-896、Clackson et al.(1991)Nature 352:624-628、Gram et al.(1992)PNAS 89:3576-3580、Garrard βt al.(1991)Bio/Technology 9:1373-1377、Rebar et al(1996)Methods Enzymol 267:129-49、Hoogenboom et al.(1991)Nuc Acid Res 19:4133-4137およびBarbas et al.(1991)PNAS 88:7978-7982に記載されている。
ファージディスプレイ系は、繊維状ファージ(ファージf1、fdおよびM13)ならびに他のバクテリオファージ(例えばT7バクテリオファージおよびラムドイドファージ;例えばSantini(1998)J. Mol. Biol 282:125-135、Rosenberg et al.(1996)Innovations 6:1-6、Houshmet al.(1999)Anal Biochem 268:363-370参照)について開発されている。いくつかの態様において、繊維状ファージディスプレイ系は、マイナーコートタンパク質、遺伝子IIIタンパク質、および遺伝子VIIIタンパク質、メジャーコートタンパク質への融合物を使用するが、他のコートタンパク質、例えば遺伝子VIタンパク質、遺伝子VIIタンパク質、遺伝子IXタンパク質、またはそれらのドメインへの融合物も使用することができる(WO 00/71694参照)。いくつかの態様では、融合が、遺伝子IIIタンパク質のドメイン、例えばアンカードメインまたは「スタンプ(stump)」への融合である(遺伝子IIIタンパク質アンカードメインの説明については例えば米国特許第5,658,727号参照)。
いくつかの態様において、結合分子をディスプレイするバクテリオファージは、例えば成長培地からのPEG沈殿など、標準的なファージ調製法を使って成長させ、収穫することができる。
いくつかの態様では、個々のディスプレイファージの選択後に、例えば選択されたファージを使って細胞を感染させることなどによって、選択された結合分子をコードする核酸を同定する。いくつかの態様では、個々のコロニーまたはプラークを拾うことができ、核酸を単離および配列決定しうる。
いくつかの態様では、主として繊維状ファージ上に発現した抗体ライブラリを使用しうる。いくつかの局面では、ライブラリを作製するために、上述のように免疫グロブリン遺伝子を得ることができる。いくつかの局面において、これらのライブラリのための原材料は、免疫ヒトまたは免疫実験動物に由来するB細胞のmRNAである。いくつかの例では、VH遺伝子およびVL遺伝子のプールが、それぞれ、特異的なプライマーセットによるRT-PCRで、別々に増幅される。結果として得られるVH鎖およびVL鎖をコードする遺伝子を、次にいくつかの局面では、ランダムにシャッフルし、それらをscFvとしてまたはFabフラグメントとしてファージ上に発現させることができるベクターに、クローニングすることができる。こうして、大きな抗体レパートリーを形成させ、繊維状ファージの表面にディスプレイさせることができる。
例示的な抗体ライブラリとして、米国特許第5,969,108号に記載されているものが挙げられる。この米国特許は、抗体のVH鎖とVL鎖のような多量体型特異的結合ペアメンバーの各鎖をコードするDNAのライブラリであって、特異的結合ペアメンバーまたはそのポリペプチドが組換え遺伝子ディスプレイパッケージのキャプシド構成成分との融合物として発現されることによって、該結合ペアメンバーが該結合ペアメンバーまたはそのポリペプチド構成成分をコードするDNAを含有する分泌された組換え遺伝子ディスプレイパッケージの表面に機能的な形態でディスプレイされるライブラリを記載している。こうして、異なる鎖が、一方はキャプシド構成成分に融合された状態で発現され、他方は融合パートナーポリペプチドと会合するように遊離した形態で発現されている、抗体メンバーが得られる。発現ベクターとしてのファージミドにおけるパッケージングにより、抗体VL鎖およびVH鎖の多様性が従来の方法よりはるかに大きいといわれる抗体ライブラリが生産される。例示的な抗体ライブラリとしては、米国特許第5,498,531号および同第5,780,272号に記載されているものも挙げられる。これらの米国特許は、トランススプライシング条件下で変化に富んだ一組のスプライシングコンストラクトを混合する工程を含む、キメラ遺伝子産物をコードするリボ核酸の変化に富んだ集団を作製するためのインビトロイントロン媒介コンビナトリアル法(in vitro intron-mediated combinatorial method)を記載している。場合によっては、多様な抗体ライブラリを作製するためにそのような方法を使用することができる。
いくつかの態様では、例えばライブラリのメンバーを1つまたは複数のCDRの1つまたは複数の残基において変異させた変異型のFab、scFVまたは他の抗体形態のファージディスプレイライブラリを作製することができる。そのような方法の例は当技術分野において公知である(例えば米国特許出願公開番号US20020150914、US2014/0294841およびCohen CJ. et al.(2003)J Mol. Recogn. 16:324-332参照)。
ファージディスプレイライブラリは、TCRまたはそれらの抗原結合部分のディスプレイおよびスクリーニングにも使用することができる。場合によっては、さまざまなTCRが、そのような方法を使って、より高い親和性を持つように工学的に改変されている(Li et al.(2005)Nat Biotechnol, 23, 349-54、Sami et al.(2007)Protein Eng Des Sel, 20, 397-403、Varela-Rohena et al.(2008)Nat Med, 14, 1390-5)。いくつかの態様において、TCRのファージディスプレイは、α鎖とβ鎖のペアリングを促進するために、2つのCドメイン間に非ネイティブジスルフィド結合の導入を伴いうる。場合により、TCRのファージディスプレイのための系は完全長(VαCα/VβCβ)ヘテロ二量体タンパク質を使用する。
b.細胞ディスプレイ
いくつかの態様において、ライブラリは細胞ディスプレイライブラリである。したがっていくつかの態様において、結合分子は細胞の表面にディスプレイされる。いくつかの態様では、細胞ディスプレイライブラリを使用することによって、MHC-ペプチド複合体に結合する可能性がある結合分子、例えば抗体もしくはその抗原結合部分またはTCRもしくはその抗原結合部分を生産することができる。細胞ディスプレイは、潜在的結合分子のライブラリを特定の抗原に結合するそれらの能力についてスクリーニングするために、広く使用されている方法である。一般に、細胞ディスプレイは、タンパク質またはペプチドが細胞表面に個別に発現される、細胞ベースの方法である。細胞の選択は、タンパク質またはペプチドの認識を伴う特異的結合反応によって達成され、これにより、特定の細胞を単離してクローニングし、タンパク質またはペプチドを回収して増殖または発現させることが可能になる。いくつかの態様では、細胞ディスプレイライブラリが、可溶型抗原、固定化抗原または細胞発現抗原などの関心対象の標的抗原に対して、パニングされる。
いくつかの態様において、細胞は、例えば真核細胞または原核細胞である。例示的な原核細胞として大腸菌細胞、枯草菌(B. subtilis)の細胞または芽胞が挙げられる。例示的な真核細胞として、酵母(例えばサッカロミセス・セレビシア(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ハンゼヌラ(Hanseula)またはピキア・パストリス(Pichia pastoris)が挙げられる。酵母表面ディスプレイは、例えばBoder and Wittrup(1997)Nat. Biotechnol. 15:553-557に記載されている。2001年10月1日に出願された米国仮特許出願第60/326,320号は、Fabフラグメントなどの免疫グロブリンタンパク質をディスプレイするために使用することができる酵母ディスプレイ系を記載している。
いくつかの態様では、免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸が、酵母ディスプレイ用のベクターにクローニングされる。いくつかの態様では、このクローニングにより、可変ドメインの少なくとも1つをコードする核酸が、酵母細胞表面タンパク質、例えばFlo1、a-アグルチニン、α-アグルチニンのフラグメントまたはそれらに由来するフラグメント、例えばAga2p、Aga1pをコードする核酸と接合される。いくつかの態様において、これらのタンパク質のドメインは、GPIアンカー(例えばa-アグルチニン、α-アグルチニンまたはそれらに由来するフラグメント、例えばAga2p、Aga1p)によって、または膜貫通ドメイン(例えばFlo1)によって、多彩な核酸配列がコードするペプチドを固定する。いくつかの態様において、ベクターは、一方の鎖が酵母細胞表面タンパク質に連結されるような形で2本のポリペプチド鎖を細胞表面に発現するように、構成させることができる。例えば、2本の鎖は免疫グロブリン鎖であることができる。
いくつかの態様では、例えばUS20150191524に記載されているように、ペプチド結合分子、例えばTCRが、酵母ディスプレイ系で作製され、ディスプレイされる。例えば酵母ディスプレイは、関心対象のタンパク質がAga2融合物として細胞表面に発現することを可能にする(Boder and Wittrup(1997)Nat. Biotech., 15, 553-557、Boder and Wittrup(2000)Methods Enzymol, 328, 430-44)。酵母ディスプレイ系では、TCRを、Vβ-リンカー-VαまたはVα-リンカー-Vβの形態にある安定化された単鎖タンパク質として(Aggen et al.(2011)Protein Engineering, Design, & Selection, 24, 361-72、Holler et al.(2000)Proc Natl Acad Sci USA, 97, 5387-92、Kieke et al.(1999)Proc Natl Acad Sci USA, 96, 5651-6、Richman et al.(2009)Mol Immunol, 46, 902-16、Weber et al.(2005)Proc Natl Acad Sci USA, 102, 19033-8)または2本鎖ヘテロ二量体として(Aggen et al.(2011)Protein Engineering, Design, & Selection, 24, 361-72、Richman et al.(2009)Mol Immunol, 46, 902-16)、ディスプレイすることができる。いくつかの態様では、Vα2と呼ばれるヒトVα領域の安定性を利用して、ヒトTCR単鎖VαVβフラグメント(scTvまたはscTCRと呼ばれる)を開発することができる(Aggen et al.(2011)Protein Engineering, Design, & Selection, 24, 361-72)。いくつかの態様では、単鎖フォーマットのインビトロ改変高親和性T細胞受容体を使って、酵母表面上にも、大腸菌からの可溶型としても、安定なタンパク質として発現させることができる、ヒト安定化scTvフラグメント(Vβ-リンカー-Vα)を単離することができる。
いくつかの態様において、スクリーニング用の抗体ライブラリまたはTCRライブラリは、それらを細胞の表面に発現するタンパク質と融合することによって、細菌である大腸菌、酵母であるS.セレビシア(S. cerevisiae)および哺乳動物細胞を含む細胞の表面に発現させることができる。いくつかの態様では、細胞ディスプレイを使って抗体ライブラリまたはTCRライブラリをスクリーニングすることができ、この場合は、標的抗原の固定化が不必要である。別の態様では、所望の抗体を同定するために、蛍光活性化細胞選別法(FACS)などの技術を使用することができる。一般に、FACSは、細胞がレーザービームを通過するときの細胞の光散乱特性に基づく細胞亜集団の分離を可能にする。例えば特許出願公開番号US 2003/0100023およびUS 2003/0036092を参照されたい。単鎖抗体または単鎖TCRは、異種タンパク質を細菌表面に向かわせることが以前に示されているタンパク質にそれらを融合することによって、大腸菌の外表面に発現させることができる(Francisco et al,(1993)Proc. Natl. Acad. Sci, USA, 90:10444-10448)。単鎖抗体およびFab抗体ならびに単鎖TCRは酵母細胞の表面にディスプレイさせることができ、酵母における相同組換えを活用して形質転換体のライブラリを作製することができる(例えばKieke et al,(1997)Prot. Eng., 10:1303-1310、 Weaver-Feldhaus et al,(2004)FEBS Lett., 564:24-34およびSwers et al,(2004)Nucleic Acids Res., 32:e36参照)。いくつかの態様では、scFvライブラリならびにIgGをスクリーニングするために、哺乳動物細胞ディスプレイを利用することができる(Ho et al,(2005)J. Biol. Chem., 280:07-617)。
いくつかの態様では、TCRの工学的改変のために、哺乳動物細胞ディスプレイが使用される(Chervin et al.(2008)J Immunol Methods, 339, 175-84、Kessels et al.(2000)Proc Natl Acad Sci USA, 97, 14578-83)。場合により、このシステムは、TCRのα鎖およびβ鎖をTCR陰性T細胞ハイブリドーマに導入するために、レトロウイルスベクターを使用する。哺乳動物細胞ディスプレイ系では、導入されたTCRを、CD3サブユニットとの複合体を形成したそのネイティブコンフォメーションで表面に発現させることができ、それが、いくつかの局面においては、完全に機能的なT細胞(シグナリング能力を持つもの)を可能にする。いくつかの態様では、この方法を使って、それぞれのネイティブ宿主中の完全長ヘテロ二量体型TCRを工学的に改変することができる。
c.無細胞ディスプレイ
いくつかの態様において、ライブラリは無細胞ディスプレイライブラリである。したがっていくつかの態様では、リボソームまたは核酸、例えばDNAまたはRNAに取り付けられた結合分子が、ディスプレイされる。いくつかの態様では、MHC-ペプチド複合体に結合する可能性がある結合分子、例えば抗体またはその抗原結合部分を、無細胞ディスプレイライブラリを使用して生産することができる。無細胞ディスプレイは、潜在的結合分子のライブラリを特定の抗原に結合するそれらの能力についてスクリーニングするために、広く使用されている方法である。一般に、無細胞ディスプレイは、リボソームまたは核酸、例えばDNAまたはRNAに取り付けられたタンパク質またはペプチドが個別に発現される、無細胞法である。結合分子の選択はタンパク質またはペプチドの認識を伴う特異的結合反応によって達成され、これにより、特定結合分子を単離し、タンパク質またはペプチドを回収して増殖または発現させることが可能になる。いくつかの態様において、無細胞ディスプレイライブラリは、可溶型抗原、固定化抗原または細胞発現抗原などの関心対象の標的抗原に対して、パニングされる。
本明細書に記載する方法での使用に適したライブラリを作出するには、当技術分野において公知のライブラリ作製方法を使用しうる。いくつかのライブラリ作製方法が、米国特許第6,258,558号および同第6,261,804号、SzostakらのWO989/31700、Roberts & Szostak(1997)94:12297-12302、米国特許第6,385,581号、WO 00/32823、米国特許第6,361,943号、同第7,416,847号、同第6,258,558号、同第6,214,553号、同第6,281,344号、同第6,518,018号、同第6,416,950号、同第7,195,880号、同第6,429,300号、同第9,134,304号および米国特許出願公開番号US20140113831に記載されており、これらは参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、ディスプレイライブラリはリボソームディスプレイライブラリである。いくつかの態様では、リボソームディスプレイの使用により、結合分子、例えば抗体ライブラリのインビトロ構築が可能になる。あるいは、いくつかの局面において、リボソームディスプレイは、タンパク質またはペプチドが、コードmRNAとの安定な複合体が形成されるように、新生タンパク質の形態でリボソーム表面にディスプレイされることを伴いうる。この複合体をタンパク質またはペプチドのリガンドで選択し、単離されたmRNAの逆転写によって遺伝情報を得ることができる(例えば米国特許番号US 5,643,768およびUS 5,658,754参照)。いくつかの局面において、選択技法はファージディスプレイの場合と類似しており、ここでは、リボソームディスプレイライブラリが固定化抗原に対してパニングされる。
いくつかの態様では、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を利用することができる。共有結合DNAディスプレイ(covalent DNA display)など、いくつかの局面において、抗体フラグメントに遺伝子的に融合されたバクテリオファージP2タンパク質は、それ自身のDNA配列に結合することができる(Reiersen et al.(2005)Nucl. Acids Res. 33:e10)。あるいは、DNAとペプチドとを、例えば水中油型エマルション中に、区画化することができる。いくつかの態様において、選択技法はファージディスプレイの場合と類似しており、ここでは、DNAディスプレイライブラリが固定化抗原に対してパニングされる。例えば国際特許公開番号WO 98/037186参照。
いくつかの態様ではペプチド-核酸融合物ライブラリが使用される。ペプチド-核酸ライブラリとして、DNAディスプレイライブラリおよびmRNAディスプレイライブラリを挙げることができる。
DNAディスプレイが使用されるいくつかの局面では、ペプチドをコードするDNAがペプチドに連結される。いくつかの態様では、DNA-タンパク質連結が、細菌RepAタンパク質およびテンプレートDNAに組み込まれたそれ自身の複製起点配列の認識によって促進される、非共有結合DNAディスプレイを使用しうる(Odegrip et al.(2004)Proc. Natl. Acad. Sci, U.S.A. 101:2806-2810)。
いくつかの態様では、米国特許第9,134,304号またはUS20140113831に記載されているように、ライブラリが作製されかつ/またはスクリーニングされる。いくつかの態様では、例えばRoberts and Szostak(1997)Proc Natl. Acad. Sci. USA 94:12297-12302および米国特許第6,207,446号に記載されているように、共有結合で取り付けられたピューロマイシン基を含むmRNAのインビトロ翻訳によって、ポリペプチド-核酸融合物を作製することができる。いくつかの態様では、次に、そのmRNAをDNAに逆転写し、ポリペプチドに架橋することができる。
いくつかの態様において、ライブラリの核酸コンストラクトは、T7プロモーターを含有する。いくつかの局面において、ライブラリ中の核酸は、核酸またはその翻訳産物の生産、選択または精製に役立つ適当なプロモーター、エンハンサー、スペーサーまたはタグを加えるために、当技術分野において公知の任意の手段によって操作されうる。例えば、いくつかの態様において、ライブラリ中の配列は、TMVエンハンサー、FLAGタグをコードする配列、ストレプトアビジンスプレイ配列(streptavidin splay sequence)またはポリアデニル化配列もしくはポリアデニル化シグナルを含みうる。いくつかの態様において、核酸ライブラリ配列は、RNA配列またはDNA配列の供給源を同定するためのユニークな供給源タグを、さらに含みうる。いくつかの態様において、核酸ライブラリ配列はプールタグを含みうる。プールタグは、特定の選択ラウンド中に選択された配列を同定するために使用しうる。いくつかの局面において、これは、例えば複数の選択ラウンドからの配列をプールして、それらが由来する選択ラウンドの手掛かりを失うことなく、一回のランで配列決定することを可能にしうる。
いくつかの態様において、mRNAディスプレイライブラリなどの核酸ディスプレイライブラリの使用は、候補結合分子のライブラリ、例えば抗体ライブラリのインビトロ構築を可能にする。いくつかの局面において、mRNAディスプレイはタンパク質またはペプチドのディスプレイを可能にし、ここでは新生タンパク質がピューロマイシン連結によってそのmRNAに共有結合されることになる(Roberts et al.(1997)Proc. Natl. Acad. Sci, U.S.A. 64:12297-12302)。ピューロマイシンは、通例、アミノアシル(aminacyl)tRNAの模倣物として作用してリボソームA部位に進入し、新生タンパク質がリボソームのペプチジルトランスフェラーゼ活性によってそれに共有結合される。いくつかの態様において、選択は、リボソームの解離後に、これらのタンパク質-mRNA融合物に対して実行される。いくつかの局面において、選択技法はファージディスプレイの場合と類似しており、ここでは、mRNAディスプレイライブラリが固定化抗原に対してパニングされる。
いくつかの態様では、二本鎖DNAライブラリがインビトロで転写され、ピューロマイシンなどのペプチドアクセプターに関連づけられる。一態様では、次に、高親和性リガンド(例えばビオチン)に取り付けられたリンカー(例えばビオチン結合性リンカー)をアニールさせる。いくつかの態様では、リンカーがmRNAに光架橋される。特定の態様では、次に、リガンドアクセプター、例えばストレプトアビジンが負荷される。さらなる態様では、ペプチドアクセプターに取り付けられた第2の高親和性リガンドをストレプトアビジンに結合させる。いくつかの態様において、第2の高親和性リガンド/ペプチドアクセプターはビオチン-ピューロマイシンリンカー、例えばBPPである。
いくつかの態様では、ペプチドアクセプターが新生翻訳産物と反応するインビトロ翻訳を実行しうる。
いくつかの態様において、精製後の結果は、ペプチド-核酸複合体のライブラリである。そのような複合体は次に、いくつかの態様では精製された後で、逆転写を受けうる。複合体は、当技術分野において公知の任意の方法によって、例えばアフィニティークロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、密度勾配遠心分離、親和性タグ捕捉などによって精製しうる。一態様では、オリゴ-dTセルロース精製が使用され、この場合、複合体は、ポリAテールを持つmRNAを含むように設計されたものである。そのような態様において、オリゴ-dTはカラムまたは精製デバイス中のセルロースに共有結合される。いくつかの態様において、オリゴ-dTは、複合体中のmRNAのポリAテールとの相補的塩基対合に参加し、それによって、精製デバイスを通過するその進行を妨害する。いくつかの局面では、複合体を水または緩衝液で溶出させうる。
いくつかの態様では、逆転写によってcDNA/RNAハイブリッドが作製される。このハイブリッドは、いくつかの局面では、リンカー、高親和性リガンド、リガンドアクセプター、ペプチドアクセプター(場合によっては第2の高親和性リガンドに連結されている)との会合またはそれらの何らかの機能的な組合せによって、転写されたペプチドに非共有結合的に連結される。
いくつかの態様では、次に、残っているmRNAを分解するために、結果として得られる精製複合体をRNAseで処理してから、第二鎖DNA合成を行うことで、完全なcDNAを作製しうる。いくつかの態様において、NAリンカー中の核酸は、逆転写のためのプライマーとして役立ちうる。したがって、いくつかの局面において、cDNAは、高親和性リガンドおよび複合体の一部に取り付けられたままである。
いくつかの態様において、例えば複合体がタグを含有する様に工学的に改変されているのであれば、複合体をさらに精製しうる。複合体を精製するには、当技術分野において公知の任意のタグを使用しうる。例えばFLAGタグ、mycタグ、ヒスチジンタグ(Hisタグ)またはHAタグなどを使用することが可能である。いくつかの態様では、最終的に転写されたタンパク質がFLAGタグを含有するように、FLAGタグをコードする配列を、元のDNA配列に工学的に組み込むことができる。
いくつかの態様では、結果として得られる複合体を、次に、当技術分野において公知の任意の選択方法を使って選択する。いくつかの態様では、親和性選択が使用される。例えば所望の結合標的または抗原(例えばMHC-ペプチド複合体)を、アフィニティーカラム用の固形支持体上に固定化しうる。アフィニティークロマトグラフィーにおいて有用な方法の例は、米国特許第4,431,546号、同第4,431,544号、同第4,385,991号、同第4,213,860号、同第4,175,182号、同第3,983,001号、同第5,043,062号に記載されており、これらの文献はいずれも、参照によりそのすべてが本明細書に組み入れられる。結合活性は、標準的なイムノアッセイおよび/またはアフィニティークロマトグラフィーによって評価することができる。触媒機能、例えばタンパク質分解機能に関する複合体のスクリーニングは、例えば米国特許第5,798,208号に記載されているように、標準的なヘモグロビンプラークアッセイを使って達成することができる。候補結合分子(例えば抗体もしくはTCRまたはそれらの抗原結合部分)の結合の評価は、例えば所与の標的または抗原への抗体の結合速度を測定するBiacore計器を使って、インビトロでアッセイすることができる。いくつかの態様では、標的または抗原(例えばMHC-ペプチド複合体)を細胞表面に発現させ、候補結合化合物のディスプレイ複合体を、細胞表面への結合について評価する。いくつかの態様において、ディスプレイ複合体は、まず、例えば細胞には結合するが関心対象の標的には結合しないディスプレイ分子を除去するために、標的または抗原(例えばMHC-ペプチド複合体)を発現しない細胞に対してスクリーニングまたは選択され、次に、候補結合分子の残りのディスプレイ複合体は、例えば特異的結合物質を同定するために、関心対象の標的(例えばMHC-ペプチド複合体)を発現する細胞に対して選択される。
いくつかの態様では、選択された複合体をDNA構成成分の配列決定によって同定しうる。例えば454シーケンシング、サンガーシーケンシング、合成によるシーケンシング、または米国特許第5,547,835号、同第5,171,534号、同第5,622,824号、同第5,674,743号、同第4,811,218号、同第5,846,727号、同第5,075,216号、同第5,405,746号、同第5,858,671号、同第5,374,527号、同第5,409,811号、同第5,707,804号、同第5,821,058号、同第6,087,095号、同第5,876,934号、同第6,258,533号、同第5,149,625号に記載の方法など、当技術分野において公知の任意の配列決定技術を使用することができ、前記の文献はいずれも参照によりそのすべてが本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、選択は、より高親和性の結合物質を同定するために複数回行うことができ、さらに、競合結合物質またはよりストリンジェントな洗浄条件を使って履行することができる。本明細書に記載の手法の変形を使用しうることは、当業者には理解されるであろう。
2.反復法
いくつかの態様において、抗体もしくは抗原結合部分のライブラリまたはTCRもしくは抗原結合部分のライブラリを含む候補ペプチド結合分子のライブラリは、MHC-ペプチド複合体などの特定ペプチドエピトープに結合する結合分子を同定するために、ここに提供する方法に従ってスクリーニングしうる。関連態様では、そのような方法によって同定または選択される特定結合分子(例えば抗体もしくはTCRまたはそれらの抗原結合部分)を、親和性成熟または変異導入でさらに改変することによって、関連結合分子のライブラリを生産することができる。いくつかの態様では、より高い結合親和性で標的(例えばMHC-ペプチド複合体)に結合する潜在的結合分子を同定するために、結合分子の前記さらなるライブラリまたは関連ライブラリを、MHC-ペプチド複合体などの同じまたは類似するペプチドエピトープへの結合に関してスクリーニングすることができる。当技術分野において公知のまたは本明細書に記載する任意のライブラリ作製方法および標的選択方法を使用しうる。
いくつかの局面では、これらの方法を反復的に使用しうる。例えば本明細書に記載する方法の一つによって選択された核酸またはタンパク質は、新しいライブラリを作製するための基礎として役立ち、そこからプロセスを再び開始することができる。そのようなスキームの一例として、ある選択ラウンドの産物を使って新しいライブラリを再び作製するスキームを挙げることができる。
いくつかの態様では、ディスプレイライブラリ技術が反復的に使用される。第1ディスプレイライブラリを使って、標的に対する1種または複数種のリガンドが同定される。次に、同定されたこれらのリガンドに、変異導入法を使って変更を加えることで、第2ディスプレイライブラリを形成させる。次に、第2ライブラリから、例えばより高いストリンジェンシー条件またはより競合的な結合および洗浄条件を使うなどして、より高親和性のリガンドが選択される。
いくつかの態様において、変異導入は、結合界面にあることが公知であるか、結合界面にある可能性が高い領域を、標的にして行われる。いくつかの態様において、変異導入は、抗体の重鎖もしくは軽鎖またはTCRのα鎖もしくはβ鎖のCDR領域に向けることができる。さらに、変異導入を、CDRの近くにあるかCDRに隣接するフレームワーク領域に向けることもできる。場合によっては、例えば精密な段階的改良を行うために、変異導入を1個または数個のCDRに向けることができる。
いくつかの例示的変異導入技法として、エラープローンPCR(Leung et al.(1989)Technique 1:11-15)、組換え、ランダム切断を使ったDNAシャフリング(Stemmer(1994)Nature 389-391;「核酸シャフリング」と呼ばれる)、RACHITT(商標)(Coco et al.(2001)Nature Biotech. 19:354)、部位特異的変異導入(Zooler et al.(1987)Nucl Acids Res 10:6487-6504)、カセット変異導入(Reidhaar-Olson(1991)Methods Enzymol. 208:564-586)および縮重オリゴヌクレオチドの組込み(Griffiths et al.(1994)EMBO J. 13:3245)が挙げられる。
反復選択の一例では、本明細書に記載の方法を使って、まず、少なくとも必要な活性またはリガンドに対する結合特異性を持つ、MHC-ペプチド複合体に結合する結合分子を、ディスプレイライブラリから同定し、次に、それを以降の反復で改良することができる。いくつかの態様では、次に、同定された最初の結合分子をコードする核酸配列を、例えば最初の結合分子と比較して強化された特性(例えば結合親和性、動態または安定性)を有する第2のタンパク質リガンドを同定するために、変異導入用のテンプレート核酸として使用することができる。
C.ハイブリドーマ選択
いくつかの態様では、MHC-ペプチド複合体に結合(例えば特異的に結合)する抗体の作製に、ハイブリドーマ技術を使用することができる。いくつかの態様では、ヒト免疫グロブリンレパートリーを含有し、インビボ親和性成熟を可能にし、場合によってはハイブリドーマ技術によるヒト抗体の作製を可能にするトランスジェニックマウスを使用することができる。
いくつかの態様では、MHC-ペプチド複合体に結合する可能性がある抗体またはその抗原結合部分を、宿主、例えばマウスを、特定のMHC-ペプチド複合体を含有する有効量の免疫原で免疫することによって生産することができる。場合により、MHC-ペプチド複合体のペプチドは、MHC分子によって提示されることができる。いくつかの態様では、次に、免疫応答を誘発するために有効量の免疫原が宿主に投与されるが、ここでは免疫原が、MHC分子の結合溝におけるペプチドの三次元的提示に対する免疫応答を誘発するのに十分な期間にわたって、その三次元形状を保つ。場合によっては、血清を宿主から収集し、次にそれをアッセイして、MHC分子の結合溝におけるペプチドの三次元的提示を認識する所望の抗体が生産されているかどうかを決定する。いくつかの態様では、生産された抗体が、MHC-ペプチド複合体を、MHC分子単独、ペプチド単独およびMHCと無関係なペプチドとの複合体と区別できることを確認するために、生産された抗体を評価することができる。次に、所望の抗体を単離することができる。
いくつかの態様では、動物、例えば齧歯類が、特異的ペプチド、例えばここに提供する方法を使って同定されるペプチドを含むMHC-ペプチド複合体で免疫される。いくつかの態様において、動物、例えば齧歯類は、特異的ペプチドをMHCに結合した状態でその表面に提示する細胞、例えばここに提供する方法に従って異種抗原をコードするCMVベクターが導入されている細胞で、免疫される。細胞は、MHCタンパク質の特定アレルを有することができる。動物は、任意で、応答をさらに刺激するために、抗原(例えばMHC-ペプチド複合体)で追加免疫される。いくつかの局面では、脾細胞を動物から単離し、VHドメインおよび/またはVLドメインをコードする核酸を、例えばライブラリ中で発現させるために、増幅し、クローニングする。
いくつかの態様において、抗体または抗原結合性フラグメントは、実験用マウスまたは他の任意の齧歯類を関連抗原で免疫し、抗体産性B細胞を含む脾細胞を単離し、次にそれを骨髄腫細胞との融合によって不死化することでB細胞ハイブリドーマを生産することにより、作製される(Harlow and Lane, 1988)。一般にハイブリドーマは、抗原特異的抗体を合成するB細胞の能力を保持しており、大量の産物を得ることができる。いくつかの態様において、これは、B細胞の単離に先だって免疫応答の過程で親和性成熟によってインビボで作製され選択された高親和性抗体を与える。いくつかの態様において、ヒト免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子座のかなりの部分を内包するトランスジェニックマウスの系統を作製することができ、そうすることで、完全ヒトmAbを分泌するマウスB細胞ハイブリドーマの生産が可能になる(Bruggemann and Neuberger, 1996に総説がある)。
III.組換え受容体および遺伝子改変細胞
ここに提供する方法によって同定される結合分子を含むまたは含有する、抗原受容体などの組換え受容体が提供される。そのような結合分子として、TCR、TCR様抗体またはそれらの抗原結合性フラグメント、ならびに提供される結合分子またはその抗原結合性フラグメントを含有する他の組換え受容体を挙げることができる。例えば、そのような組換え受容体には、提供されるTCR様抗体またはその抗原結合性フラグメントを含有するキメラ受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)などの機能的非TCR抗原受容体が含まれる。いくつかの態様において、本方法は、例えばトランスジェニックTCRおよびキメラ抗原受容体を含む組換え受容体またはトランスジェニック抗原受容体を発現させるために組換え遺伝子を細胞に導入することなど、細胞の遺伝子改変を含む。
組換え抗原受容体を発現する細胞、例えばCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞、ならびに養子細胞治療における、例えば抗原に関連する疾患および障害の処置における、それらの使用も提供される。
A.組換え受容体およびキメラ抗原受容体
この工学的改変は、一般に、遺伝子改変抗原受容体を発現させるための1種または複数種の遺伝子の導入を含む。そのような組換え受容体には、遺伝子改変TCRおよびそれらの構成成分、ならびに抗体またはその抗原結合部分が組換え受容体の一部として細胞上に発現される抗原受容体が含まれる。抗原受容体には、機能的非TCR抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)が含まれる。一般に、ペプチド-MHC複合体に対してTCR様の特異性を呈する抗体または抗原結合性フラグメントを含有するCARは、TCR様CARと呼ぶこともできる。
例示的抗原受容体(CARを含む)およびそのような受容体を工学的に製作し細胞中に導入するための方法には、例えば国際特許出願公開番号WO200014257、WO2013126726、WO2012/129514、WO2014031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、米国特許出願公開番号US2002131960、US2013287748、US20130149337、米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,446,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,265,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324,353号、および同第8,479,118号、ならびに欧州特許出願番号EP2537416に記載されているもの、および/またはSadelain et al., Cancer Discov. 2013 April;3(4):388-398; Davila et al.(2013)PLoS ONE 8(4):e61338; Turtle et al., Curr. Opin. Immunol, 2012 October;24(5):633-39; Wu et al., Cancer, 2012 March 18(2):160-75によって記載されているものなどがある。いくつかの局面において、抗原受容体には、米国特許第7,446,190号に記載のCAR、および国際特許出願公開番号WO/2014055668 A1に記載されているものが含まれる。例示的なCARは、上述の刊行物のいずれか、例えばWO2014031687、US8,339,645、US7,446,179、US2013/0149337、米国特許第7,446,190号、米国特許第8,389,282号に開示されているCARであって、例えば抗原結合部分(例えばscFv)が、例えばここに提供する抗体で置き換えられているものが挙げられる。
いくつかの態様において、CARは、一般に、1つまたは複数の細胞内シグナリング構成成分に、いくつかの局面ではリンカーおよび/または膜貫通ドメインを介して連結された、TCR様抗体の細胞外抗原(またはリガンド)結合ドメインを、例えばMHC-ペプチド複合体に特異的な抗体またはその抗原結合性フラグメントとして含む。いくつかの態様において、そのような分子は、通例、TCRなどの天然抗原受容体を介したシグナルを、そして任意で、共刺激受容体と組み合わされたそのような受容体を介したシグナルを、模倣または近似することができる。
いくつかの態様において、CARは通例、その細胞外部分に、1つまたは複数の抗原結合分子、例えばここに提供する方法によって同定されるTCR様抗体の1種もしくは複数種の抗原結合性フラグメント、ドメインもしくは部分、または1種もしくは複数種の抗体可変ドメインおよび/または抗体分子を含む。いくつかの態様において、CARは、抗体分子の1つまたは複数の抗原結合部分、例えばモノクローナル抗体(mAb)の可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)に由来する単鎖抗体フラグメント(scFv)を含む。
いくつかの態様において、CARの抗体結合分子はスペーサーをさらに含み、このスペーサーは、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部分またはその変種もしくは修飾型、例えばヒンジ領域(IgG4ヒンジ領域など)、および/またはCH1/CLおよび/またはFc領域であってもよいし、それらを含んでもよいいくつかの態様において、定常領域または定常部分は、ヒトのIgGのもの、例えば、IgG4、またはIgG1である。いくつかの局面において、定常領域の前記一部分は、抗原認識構成成分(例えばscFv)と膜貫通ドメインとの間のスペーサー領域として役立つ。スペーサーは、スペーサーが存在しない場合と比較して、抗原結合後の細胞の応答性を増加させる長さであることができる。いくつかの例において、スペーサーは12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長または12アミノ酸長以下である。例示的スペーサーとして、少なくとも約10〜229アミノ酸、約10〜200アミノ酸、約10〜175アミノ酸、約10〜150アミノ酸、約10〜125アミノ酸、約10〜100アミノ酸、約10〜75アミノ酸、約10〜50アミノ酸、約10〜40アミノ酸、約10〜30アミノ酸、約10〜20アミノ酸、または約10〜15アミノ酸(列挙した範囲のいずれかの終点間の整数をいずれも含む)を有するものが挙げられる。いくつかの態様において、スペーサー領域は約12個以下のアミノ酸、約119個以下のアミノ酸、または約229個以下のアミノ酸を有する。例示的スペーサーは、IgG4ヒンジのみ、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジ、またはCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジを含む。例示的スペーサーには、Hudecek et al.(2013)Clin. Cancer Res., 19:3153、または国際特許出願公開番号WO2014031687、米国特許第8,822,647号、または出願公開番号US2014/0271635に記載されているものがあるが、それらに限定されるわけではない。
いくつかの態様において、定常領域または定常部分は、IgG4またはIgG1などといったヒトIgGのものである。いくつかの態様において、スペーサーは配列ESKYGPPCPPCP(SEQ ID NO:40に示すもの)を有し、SEQ ID NO:41に示す配列によってコードされる。いくつかの態様において、スペーサーはSEQ ID NO:42に示す配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーはSEQ ID NO:43に示す配列を有する。いくつかの態様において、定常領域または定常部分はIgDのものである。いくつかの態様において、スペーサーはSEQ ID NO:44に示す配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:40、42、43、または44のいずれかに対して少なくとも、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を呈するアミノ酸の配列を有する。
抗原認識ドメインは一般に、1つまたは複数の細胞内シグナリング構成成分、例えばCARの場合であればTCR複合体などの抗原受容体複合体による活性化を模倣しかつ/または別の細胞表面受容体を介してシグナリングするシグナリング構成成分に連結される。したがって、いくつかの態様において抗原結合分子(例えば、TCR様抗体、または抗原結合断片)は、1つまたは複数の膜貫通ドメインおよび細胞内シグナリングドメインに連結される。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは細胞外ドメインに融合される。一態様では、受容体(例えばCAR)中のドメインの一つに天然に付随している膜貫通ドメインが使用される。いくつかの例において、膜貫通ドメインは、受容体複合体の他の構成要素との相互作用を最小限に抑えるために、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへの前述のドメインの結合が回避されるように選択され、またはアミノ酸置換によって修飾される。
膜貫通ドメインは、いくつかの態様において、天然供給源または合成供給源に由来する。供給源が天然である場合、ドメインは、いくつかの局面において、任意の膜結合型タンパク質または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域には、T細胞受容体のアルファ、ベータまたはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154に由来するもの(すなわち、少なくともその膜貫通領域を含むもの)が含まれる。あるいは、膜貫通ドメインは、いくつかの態様において、合成物である。いくつかの局面において、合成膜貫通ドメインは、主として、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を含む。いくつかの局面において、合成膜貫通ドメインの各末端にはフェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンのトリプレットが見いだされるであろう。いくつかの態様では、連結が、リンカー、スペーサー、および/または膜貫通ドメインによる。
いくつかの態様では、短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカー、例えば2〜10アミノ酸長のリンカー、例えばグリシンおよびセリン(例えばグリシン-セリンダブレット)を含有するものが存在し、それがCARの膜貫通ドメインと細胞質シグナリングドメインとの間の連結部を形成している。
CARは一般に、少なくとも1つの細胞内シグナリング構成成分または細胞内シグナリング構成成分群を含む。細胞内シグナリングドメインには、天然抗原受容体によるシグナル、共刺激受容体と組み合わせされたそのような受容体によるシグナル、および/または共刺激受容体のみによるシグナルを模倣し、またはそれらとほぼ同じであるものが含まれる。いくつかの態様において、CARは、TCR複合体の細胞内構成成分、例えばT細胞活性化および細胞傷害性を媒介するTCR CD3鎖、例えばCD3ゼータ鎖を含む。したがっていくつかの局面において、抗原結合分子は1つまたは複数の細胞シグナリングモジュールに連結される。いくつかの態様において、細胞シグナリングモジュールは、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナリングドメイン、および/または他のCD膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、CARは、1つまたは複数の追加分子、例えばFc受容体γ、CD8、CD4、CD25、またはCD16などの一部分を、さらに含む。例えば、いくつかの局面において、CARは、CD3-ゼータ(CD3-ζ)またはFc受容体γとCD8、CD4、CD25またはCD16とのキメラ分子を含む。
いくつかの態様では、CARのライゲーション時に、CARの細胞質ドメインまたは細胞内シグナリングドメインが、免疫細胞、例えば細胞で発現するように工学的に改変されたT細胞の正常なエフェクター機能または応答の少なくとも1つを活性化する。例えば、いくつかの状況では、CARが、細胞溶解活性またはTヘルパー活性などといったT細胞の機能、例えばサイトカインまたは他の因子の分泌などを誘導する。いくつかの態様では、例えば、もし抗原受容体構成成分または共刺激分子の細胞内シグナリングドメインの切断された一部分が、エフェクター機能シグナルを伝達するのであれば、それがインタクトな免疫刺激鎖の代わりに使用される。いくつかの態様において、1つまたは複数の細胞内シグナリングドメインは、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列を含み、いくつかの局面では、自然状況下で前述の受容体と強調して作用することで抗原受容体エンゲージメントに続くシグナル伝達を開始させる補助受容体の細胞質配列、および/またはそのような分子の任意の誘導体または変種、および/または同じ機能的能力を有する任意の合成配列も含む。
天然TCRの場合、完全な活性化は一般に、TCRによるシグナリングを必要とするだけでなく、共刺激シグナルも必要とする。したがって、いくつかの態様では、完全な活性化を促進するために、二次シグナルまたは共刺激シグナルを生成するための構成成分も、CARに含まれる。別の態様において、CARは、共刺激シグナルを生成するための構成成分を含まない。いくつかの局面では、同じ細胞中で別のCARが発現し、それが二次シグナルまたは共刺激シグナルを生成するための構成成分を提供する。いくつかの局面において、細胞は、一次シグナルを誘導するためのシグナリングドメインを含有する第1CARと、第2抗原に結合し、共刺激シグナルを生成させるための構成成分を含有する、第2CARとを含む。例えば、第1CARは活性化CARであることができ、第2CARは共刺激CARであることができる。いくつかの局面において、細胞中で特定エフェクター機能を誘導するには両CARが連結されなければならず、そのことが、標的とする細胞タイプに対する特異性および選択性を与えうる。
T細胞活性化は、いくつかの局面において、2種類の細胞質シグナリング配列、すなわちTCRによる抗原依存性一次活性化を開始するもの(一次細胞質シグナリング配列)および抗原非依存的に作用して二次シグナルまたは共刺激シグナルを与えるもの(二次細胞質シグナリング配列)によって媒介されると記述される。いくつかの局面において、CARは、そのようなシグナリング構成成分の一方または両方を含む。
いくつかの局面において、CARは、TCR複合体の一次活性化を調節する一次細胞質シグナリング配列を含む。刺激性に作用する一次細胞質シグナリング配列は、免疫受容体チロシン活性化モチーフすなわちITAMとして公知のシグナリングモチーフを含有しうる。ITAM含有一次細胞質シグナリング配列の例は、TCRゼータ(CD3ゼータ)、FcRガンマ、CD3ガンマ、CD3デルタ、およびCD3イプシロン、に由来するものを含む。いくつかの態様において、CAR中の細胞質シグナリング分子は、CD3ゼータ由来の細胞質シグナリングドメイン、その一部分、または配列を含有する。
いくつかの態様において、CARは、CD28、4-1BB、OX40、DAP10、およびICOSなどの共刺激受容体のシグナリングドメインおよび/または膜貫通部分を含む。いくつかの局面では、同じCARが活性化構成成分と共刺激構成成分との両方を含む;別の局面では、活性化ドメインは1つのCARから提供され、一方で共刺激構成成分は、別の抗原を認識する別のCARから提供される。
いくつかの態様において、活性化ドメインは、1つのCAR内に含まれるが、共刺激構成成分は、別の抗原を認識する別のCARによって提供される。いくつかの態様において、CARは活性化CAR、すなわち刺激CAR、および共刺激CARを含み、両者は同じ細胞上に発現する(WO2014/055668参照)。いくつかの局面では、TCR様CARが刺激CAR、すなわち活性化CARであり、他の局面では、それが共刺激CARである。いくつかの態様において、細胞はさらに、例えばTCR様抗体によって認識される特定のMHC-ペプチド複合体以外の抗原を認識するCARなどの阻害性CAR(iCAR、Fedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215)(December, 2013)参照)を含み、阻害性CARがそのリガンドに結合することによって、TCR様CARから送達される活性化シグナルが削減または阻害されて、例えばオフターゲット効果を低減する。
一定の態様において、細胞内シグナリングドメインは、CD3(例えばCD3-ゼータ)細胞内ドメインに連結されたCD28膜貫通およびシグナリングドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナリングドメインは、CD3ゼータ細胞内ドメインに連結されたキメラCD28およびCD137(4-1BB、TNFRSF9)共刺激ドメインを含む。
いくつかの態様において、TCR様CARは、細胞質部分に2つ以上の、活性化ドメインと組み合わされた共刺激ドメイン、例えば一次活性化ドメインを包含する。1つの事例は、CD3-ゼータ、CD28、および4-1BBの細胞内構成成分を含む、受容体である。
いくつかの態様において、CARまたは他の抗原受容体は、受容体を発現させるための細胞の形質導入または工学的改変を確認するために使用しうるマーカーをさらに含む。いくつかの態様において、マーカーは、T細胞上に天然には見いだされない分子またはT細胞表面上に天然には見いだされない分子、例えば細胞表面タンパク質、またはその一部分である。いくつかの態様において、分子は非自己分子、例えば非自己タンパク質、すなわち細胞の養子移入を受ける宿主の免疫系によって「自己」と認識されないものである。いくつかの態様において、マーカーは、治療的機能を果たさず、かつ/または遺伝子光学用のマーカーとして、例えばうまく工学的に改変された細胞を選択するために使用されること以外の効果を生じない。別の態様において、マーカーは治療分子であるか、または他の形で何らかの望ましい効果を発揮する分子、例えばインビボで出会う細胞のリガンド、例えば養子移入されてリガンドと出会った時の細胞の応答を強化および/または減弱するための共刺激分子または免疫チェックポイント分子でありうる。
いくつかの局面において、マーカーは、CD34、NGFRまたは上皮成長因子受容体の全部または一部(例えば切断型)(例えばtEGFR)を含む。いくつかの態様において、マーカーは、切断型の細胞表面受容体、例えば切断型EGFR、すなわちtEGFRである。切断型EGFR(例えばtEGFR)に関する例示的ポリペプチドは、SEQ ID NO:45または61に示すアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:45もしくは61に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を呈するアミノ酸の配列を含む。いくつかの態様において、マーカーをコードする核酸は、切断可能リンカー配列などのリンカー配列、例えばT2Aをコードするポリヌクレオチドに機能的に連結される。例えば、マーカーおよび任意でリンカー配列は、特許出願公開番号WO2014031687に開示されている、いずれであることもできる。例えばマーカーは、任意でT2A切断可能リンカー配列などのリンカー配列に連結された、切断型EGFR(tEGFR)であることができる。例示的T2Aリンカー配列は、SEQ ID NO:46または56に示すアミノ酸の配列またはSEQ ID NO:46もしくは56に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を呈するアミノ酸の配列を含む。
場合により、CARは、第1、第2、および/または第3世代CARと呼ばれる。いくつかの局面において、第1世代CARは、抗原結合時にCD3鎖誘発性シグナルを与えるだけのものであり、いくつかの局面において、第2世代CARはそのようなシグナルと共シグナル、例えばCD28またはCD137など共刺激受容体からの細胞内シグナリングドメインとを与えるものであり、いくつかの局面において、第3世代CARは、いくつかの局面において、異なる共刺激受容体の複数の共刺激ドメインを含むものである。
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、提供される方法において特定されるTCR様抗体またはフラグメント、および胞内シグナリングドメインを含有する細胞外部分を含む。いくつかの態様において、抗体またはフラグメントは、scFvとITAMを含有する細胞内ドメインとを含む。いくつかの局面において、細胞内シグナリングドメインは、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖のゼータ鎖のシグナリングドメインを含む。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナリングドメインとを連結する膜貫通ドメインを含む。いくつかの局面において、膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通部分を含有する。細胞外ドメインと膜貫通ドメインは直接的または間接的に連結することができる。いくつかの態様において、細胞外ドメインと膜貫通部は、スペーサー(例えば本明細書に記載するスペーサーのいずれか)によって連結される。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子の細胞内ドメインを、膜貫通ドメインと細胞内シグナリングドメインとの間に含有する。いくつかの局面において、T細胞共刺激分子はCD28または41BBである。
例えばいくつかの態様において、CARは、ここに提供するTCR様抗体、例えば抗体フラグメント、CD28の膜貫通部分またはその機能的変種であるかそれを含有する膜貫通ドメイン、ならびにCD28のシグナリング部分またはその機能的変種およびCD3ゼータのシグナリング部分またはその機能的変種を含有する細胞内シグナリングドメインを含有する。いくつかの態様において、CARは、ここに提供するTCR様抗体、例えば抗体フラグメント、CD28の膜貫通部分またはその機能的変種であるかそれを含有する膜貫通ドメイン、ならびに4-1BBのシグナリング部分またはその機能的変種およびCD3ゼータのシグナリング部分またはその機能的変種を含有する細胞内シグナリングドメインを含有する。いくつかのそのような態様において、受容体は、Ig分子(ヒトIg分子など)の一部分、例えばIgヒンジ(例えばIgG4ヒンジ)を含有するスペーサー、例えばヒンジのみのスペーサーを、さらに含む。
いくつかの態様において、受容体(例えばTCR様CAR)の膜貫通ドメインは、ヒトCD28(例えばアクセッション番号P01747.1)の膜貫通ドメインまたはその変種、例えばSEQ ID NO: 47に示すアミノ酸の配列を含むかSEQ ID NO:47に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を呈するアミノ酸の配列を含む膜貫通ドメインであり、いくつかの態様において、組換え受容体の膜貫通ドメイン含有部分は、SEQ ID NO:48に示すアミノ酸の配列を含むかSEQ ID NO:48に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上または少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む。
いくつかの態様において、組換え受容体(例えばTCR様CAR)の細胞内シグナリング構成成分は、ヒトCD28の細胞内共刺激シグナリングドメインまたはその機能的変種もしくは一部分、例えばネイティブCD28タンパク質の位置186〜187にLL→GG置換を持つドメインを含有する。例えば、細胞内シグナリングドメインは、SEQ ID NO:49もしくは50に示すアミノ酸の配列を含むか、SEQ ID NO:49もしくは50に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を呈するアミノ酸の配列を含むことができる。いくつかの態様において、細胞内ドメインは、4-1BB(例えば、アクセッション番号Q07011.1)の細胞内共刺激シグナリングドメインを含むか、その機能的変種またはその一部分、例えばSEQ ID NO:51に示すアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:51に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を呈するアミノ酸の配列を含む。
いくつかの態様において、組換え受容体(例えばCAR)の細胞内シグナリングドメインは、ヒトCD3ゼータ刺激シグナリングドメインまたはその機能的変種、例えばヒトCD3ζのアイソフォーム3(アクセッション番号P20963.2)の112AA細胞質ドメインまたは米国特許第7,446,190号もしくは米国特許第8,911,993号に記載のCD3ゼータシグナリングドメインを含む。例えば、いくつかの態様において、細胞内シグナリングドメインは、アミノ酸の配列52、53、もしくは54、またはSEQ ID NO:52、53、もしくは54に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を呈するアミノ酸の配列を含む。
いくつかの局面において、スペーサーは、IgGのヒンジ領域だけ、例えばIgG4またはIgG1のヒンジだけ、例えばSEQ ID NO:40に示すヒンジのみのスペーサーを含有する。別の態様では、スペーサーは、任意でCH2および/またはCH3ドメインに連結されているIgヒンジ(例えばIgG4由来のヒンジ)であるか、それを含有する。いくつかの態様において、スペーサーは、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgヒンジ(例えばIgG4ヒンジ)、例えばSEQ ID NO:43に示すものである。いくつかの態様において、スペーサーは、CH3ドメインのみに連結されたIgヒンジ(例えばIgG4ヒンジ)、例えばSEQ ID NO:42に示すものである。いくつかの態様において、スペーサーは、グリシン-セリンリッチ配列または他の柔軟なリンカー、例えば公知の柔軟なリンカーであるか、それを含む。
例えば、いくつかの態様において、TCR様CARは、TCR様抗体またはフラグメント、例えばscFvを含むここに提供する方法で同定されるいずれか、スペーサー、例えばIgヒンジ含有スペーサーのいずれか、CD28膜貫通ドメイン、CD28細胞内シグナリングドメインおよびCD3ゼータシグナリングドメインを含む。いくつかの態様において、TCR様CARは、TCR様抗体またはフラグメント、例えばscFvを含むここに提供する方法で同定されるいずれか、スペーサー、例えばIgヒンジ含有スペーサーのいずれか、CD28膜貫通ドメイン、CD28細胞内シグナリングドメインおよびCD3ゼータシグナリングドメインを含む。いくつかの態様において、そのようなTCR様CARコンストラクトは、T2Aリボソームスキップ要素および/またはtEGFR配列を、例えばCARの下流に、さらに含む。
いくつかの態様において、そのようなCARコンストラクトは、例えばCARの下流に、T2Aリボソームスキップ要素および/またはtEGFR配列、例えばSEQ ID NO:46もしくは61(tEGFRの場合)およびSEQ ID NO:45もしくは56(T2Aの場合)またはSEQ ID NO:46もしくは61(tEGFRの場合)およびSEQ ID NO:45もしくは56(T2Aの場合)に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を呈するアミノ酸の配列を、さらに含む。
B.工学的に改変された細胞
細胞、例えば工学的に改変された細胞であって、MHC分子との関連におけるペプチドエピトープの特異的認識、すなわちMHC-ペプチド複合体の特異的認識のための結合分子を含有するトランスジェニック抗原受容体を含有するように工学的に改変された細胞も、提供される。そのような細胞には、トランスジェニックTCRまたはTCR様CARで工学的に改変された細胞が含まれる。いくつかの態様において、ペプチドエピトープは、細胞内抗原を含む抗原のMHC拘束性エピトープ、例えば悪性疾患もしくは細胞の形質転換(例えばがん)、自己免疫疾患もしくは炎症性疾患、または感染性疾患に由来する抗原、例えばウイルス病原体もしくは細菌病原体に関連する任意のMHC拘束性抗原である。そのような細胞の集団および前記細胞または前記細胞集団を含有する組成物も提供される。組成物には、投与のための薬学的組成物および製剤、例えば養子細胞治療用のものが含まれる。前記細胞および治療方法を対象、例えば患者に投与するための治療方法も提供される。
細胞は一般に、哺乳動物細胞などの真核細胞であり、典型的にはヒト細胞である。いくつかの態様において、細胞は血液、骨髄、リンパ、またはリンパ器官に由来し、免疫系の細胞、例えば自然免疫または適応免疫の細胞、例えばリンパ球を含む骨髄系細胞またはリンパ系細胞、典型的にはT細胞および/またはNK細胞である。他の例示的細胞として、幹細胞、例えば誘導多能性幹細胞s(iPSC)を含む複能性幹細胞および多能性幹細胞が挙げられる。いくつかの態様において、細胞は単球または顆粒球、例えば骨髄性細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、肥満細胞、好酸球、および/または好塩基球である。細胞は典型的には初代細胞、例えば対象から直接単離されたものおよび/または対象から単離され凍結されたものである。処置しようとする対象に関して、細胞は同種異系および/または自家である。本方法には既製(off-the-shelf)の方法が含まれる。いくつかの局面において、例えば既製技術に関して、細胞は多能性および/または複能性であり、例えば幹細胞、例えば誘導多能性幹細胞(iPSC)である。いくつかの態様において、本方法は、対象から細胞を単離し、調製し、処理し、培養し、かつ/または本明細書に記載するようにそれらを工学的に改変し、それらを凍結保存せずに、または凍結保存後に、患者に再導入する工程を含む。
いくつかの態様において、細胞は、T細胞または他の細胞タイプの1つまたは複数のサブセット、例えば全T細胞集団、CD4+ 細胞、CD8+ 細胞、およびそれらの亜集団、例えば活性化状態、成熟度、分化能、増殖能、再循環能、局在能、および/または存続能、抗原特異性、抗原受容体のタイプ、特定器官または特定コンパートメントにおける存在、マーカーまたはサイトカイン分泌プロファイル、および/または分化度によって規定されるものを含む。T細胞ならびに/またはCD4+および/もしくはCD8+ T細胞のサブタイプおよび亜集団には、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞およびそのサブタイプ、例えば幹細胞メモリーT(TSCM)、中枢メモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)、または最終分化エフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)、未熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連不変T(MAIT)細胞、天然および適応制御性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えばTH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞ヘルパーT細胞、アルファ/ベータT細胞、およびデルタ/ガンマT細胞がある。
いくつかの態様において、細胞はCD8+T細胞であり、そのような細胞は、MHCクラスI分子に関連するペプチドエピトープに特異的に結合する抗原受容体、例えばTCRまたはTCR様CARで、工学的に改変される。場合により、MHCクラスI分子は古典的MHCクラスI分子または非古典的MHCクラスI分子である。いくつかの態様において、MHCクラスI分子はMHC-Eである。いくつかの態様では、MHCクラスI分子、例えばMHCクラスIa分子および/またはMHC-E分子に関連するペプチドエピトープに特異的なTCRまたはTCR様CARをコードする1種または複数種の核酸分子をCD8+細胞中に導入することによって、工学的に改変された抗原受容体を発現するようにCD8+細胞を工学的に改変するための方法も提供される。
いくつかの態様において、細胞はCD8+T細胞であり、そのような細胞は、MHCクラスII分子に関連するペプチドエピトープに特異的に結合する抗原受容体、例えばTCRまたはTCR様CARで、工学的に改変される。いくつかの態様では、MHCクラスII分子に関連するペプチドエピトープに特異的なTCRまたはTCR様CARをコードする1種または複数種の核酸分子をCD8+細胞中に導入することによって、工学的に改変された抗原受容体を発現するようにCD8+細胞を工学的に改変するための方法が提供される。
いくつかの態様において、細胞はCD4+T細胞であり、そのような細胞は、MHCクラスII分子に関連するペプチドエピトープに特異的に結合する抗原受容体、例えばTCRまたはTCR様CARで、工学的に改変される。いくつかの態様では、MHCクラスII分子に関連するペプチドエピトープに特異的なTCRまたはTCR様CARをコードする1種または複数種の核酸分子をCD4+細胞中に導入することによって、工学的に改変された抗原受容体を発現するようにCD4+細胞を工学的に改変するための方法が提供される。
いくつかの態様では、MHCクラスII分子に関連するペプチドエピトープに特異的に結合する抗原受容体、例えばTCRまたはTCR様CARで工学的に改変されたCD4+細胞およびCD8+細胞が提供される。いくつかの態様において、CD4+細胞およびCD8+細胞上に発現される抗原受容体は同じである。いくつかの態様において、CD4+細胞上に発現される抗原受容体は、CD8+細胞上に発現される抗原受容体とは異なるが、発現した抗原受容体はどちらも、MHCクラスII分子に関連するペプチドエピトープを特異的に結合する。いくつかの態様では、MHCクラスII分子に関連するペプチドエピトープに特異的なTCRまたはTCR様CARをコードする1種または複数種の核酸分子をCD4+細胞および/またはCD8+細胞中に導入することによって、工学的に改変された抗原受容体を発現するように、CD4+細胞および/またはCD8+細胞の集団を工学的に改変するための方法が提供される。
いくつかの態様において、工学的に改変された抗原受容体、例えばTCRもしくはTCR様抗体またはそれらの抗原結合性フラグメントの結合分子は、ここに提供する方法によって同定されるものである。
1.工学的改変用の細胞の調製
いくつかの態様において、工学的に改変された細胞の調製は、1つまたは複数の培養および/または調製工程を含む。抗原受容体、例えばTCRまたはTCR様CARを導入するための細胞は、生物学的試料などの試料、例えば対象から得られるものまたは対象に由来するものから単離しうる。いくつかの態様において、細胞の単離源となる対象は、疾患または状態を有する者、または細胞療法の必要がある者、または細胞療法が施行される予定である者である。対象は、いくつかの態様において、特定の治療的介入を必要とするヒト、例えばその治療のために細胞が単離され、処理され、かつ/または工学的に改変されている養子細胞療法を必要とするヒトである。
したがって細胞は、いくつかの態様において、初代細胞、例えば初代ヒト細胞である。試料としては、対象から直接採取された組織、体液、および他の試料、ならびに例えば分離、遠心分離、遺伝子改変(例えばウイルスベクターによる形質導入)、洗浄、および/またはインキュベーションなどといった1つまたは複数の処理工程の結果として得られる試料が挙げられる。生物学的試料は、生物学的供給源から直接的に得られる試料であるか、処理された試料であることができる。生物学的試料としては、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗などの体液試料、組織試料および器官試料(それらに由来する処理済み試料を含む)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
いくつかの局面において、細胞の由来源または単離源となる試料は、血液または血液由来の試料であるか、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシス産物であるか、またはそれに由来する。例示的試料として、全血、末梢血単核細胞(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸管関連リンパ組織、粘膜関連リンパ組織、脾臓、他のリンパ組織、肝臓、肺、胃、腸、大腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸、精巣、卵巣、扁桃、もしくは他の器官、および/またはそれらに由来する細胞が挙げられる。細胞療法、例えば養子細胞療法との関連において、試料には、自家供給源および同種異系供給源からの試料が包含される。
いくつかの態様において、細胞は、細胞株、例えばT細胞株に由来する。細胞は、いくつかの態様において、異種供給源、例えばマウス、ラット、非ヒト霊長類、およびブタから得られる。
いくつかの態様において、細胞の単離は、1つまたは複数の調製工程および/または非親和性系細胞分離工程を含む。いくつかの例では、例えば不要な構成成分を除去し、所望の構成成分を濃縮し、特定の試薬に対して感受性である細胞を溶解または除去するために、1つまたは複数の試薬の存在下で、細胞を洗浄し、遠心分離し、かつ/またはインキュベートする。いくつかの例では、細胞が、1つまたは複数の性質、例えば密度、付着性、サイズ、特定の構成成分に対する感受性および/または耐性に基づいて単離される。
いくつかの例では、対象の循環血からの細胞が、例えばアフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる。試料は、いくつかの局面において、リンパ球、例えばT細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球および/または血小板を含有し、いくつかの局面において、赤血球および血小板以外の細胞を含有する。
いくつかの態様では、例えば血漿画分を除去したり、後続の処理工程に適した緩衝液または培地に細胞を入れたりするために、対象から収集した血球を洗浄する。いくつかの態様では、細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄する。いくつかの態様では、洗浄溶液がカルシウムおよび/またはマグネシウムおよび/または多くのもしくはすべての二価カチオンを欠く。いくつかの局面では、洗浄工程が半自動「フロースルー」遠心分離機(例えばCobe2991細胞処理装置、Baxter)により、製造者の指示に従って達成される。いくつかの局面では、洗浄工程がタンジェンシャルフロー濾過(TFF)により、製造者の指示に従って達成される。いくつかの態様では、洗浄後に、例えばCa++/Mg++非含有PBSなどのさまざまな生物適合性緩衝液に、細胞を再懸濁する。一定の態様では、血球試料の構成成分を取り出し、細胞を培養培地に直接再懸濁する。
いくつかの態様において、本方法は、密度に基づく細胞分離方法、例えば赤血球の溶解およびPercollまたはFicoll勾配での遠心分離による末梢血からの白血球の調製を含む。
いくつかの態様において、単離方法は、細胞における1つまたは複数の特異的分子、例えば表面マーカー、例えば表面タンパク質、細胞内マーカー、または核酸の発現または存在に基づく、異なる細胞タイプの分離を含む。いくつかの態様では、そのようなマーカーに基づいて分離するための任意の公知方法を使用しうる。いくつかの態様では、分離が親和性またはイムノ親和性に基づく分離である。例えば単離は、いくつかの局面において、例えば細胞をそのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーと共にインキュベートし、続いて一般に洗浄工程を行い、抗体または結合パートナーに結合した細胞を抗体または結合パートナーに結合しなかった細胞から分離することなどによる、1つまたは複数のマーカー(典型的には細胞表面マーカー)の細胞発現または発現レベルに基づく細胞および細胞集団の分離を含む。
そのような分離工程は、試薬に結合した細胞をその後の使用のためにとっておく陽性選択および/または抗体もしくは結合パートナーに結合しなかった細胞をとっておく陰性選択に基づくことができる。いくつかの例では、両方のフラクションをその後の使用のためにとっておく。いくつかの局面において、不均一な集団中の一細胞タイプを特異的に同定する抗体を利用できず、所望の集団以外の細胞が発現するマーカーに基づいて分離を実行することが最善である場合に、陰性選択は特に役立ちうる。
分離が、特定マーカーを発現する特定の細胞集団または細胞の100%の濃縮または除去をもたらす必要はない。例えば、ある特定タイプの細胞(例えばあるマーカーを発現するもの)の陽性選択または濃縮とは、そのような細胞の数またはパーセンテージを増加させることを指し、当該マーカーを発現しない細胞が全く存在しない状態をもたらす必要はない。同様に、特定タイプの細胞(例えばあるマーカーを発現するもの)の陰性選択、除去、または枯渇とは、そのような細胞の数またはパーセンテージを減少させることを指し、すべてのそのような細胞の完全な除去をもたらす必要はない。
いくつかの例では、分離工程を複数回実行し、1つの工程で陽性選択または陰性選択されたフラクションを別の分離工程(例えば後続の陽性選択または陰性選択)に供する。いくつかの例では、例えば陰性選択のための標的となるマーカーにそれぞれ特異的な複数の抗体または結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることなどにより、単一の分離工程で、複数のマーカーを発現する細胞を同時に枯渇させることができる。同様に、さまざまな細胞タイプ上での発現物と複数の抗体または結合パートナーを共に細胞をインキュベートすることにより、複数の細胞タイプを同時に陽性選択することもできる。
例えば、いくつかの局面では、T細胞の特定亜集団、例えば1つまたは複数の表面マーカーが陽性であるか高レベルに発現する細胞、例えばCD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+、および/またはCD45RO+ T細胞が、陽性選択技法または陰性選択技法によって単離される。
例えば、CD3+、CD28+ T細胞は、抗CD3/抗CD28コンジュゲート磁気ビーズ(例えばDYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を使って、陽性選択することができる。
いくつかの態様では、陽性選択で特定細胞集団を濃縮することによって、または陰性選択で特定細胞集団を枯渇させることによって、単離が実行される。いくつかの態様において、陽性選択または陰性選択は、それぞれ陽性選択または陰性選択される細胞上に発現しているか(マーカー+)、比較的高レベルに発現している(マーカーhigh)、1つまたは複数の表面マーカーに特異的に結合する1種または複数種の抗体または他の結合作用物質と共に、細胞をインキュベートすることによって達成される。
いくつかの態様において、T細胞は、B細胞、単球、または他の白血球などの非T細胞上に発現するマーカー(例えばCD14)の陰性選択によって、PBMC試料から分離される。いくつかの局面では、CD4+ヘルパーT細胞とCD8+細胞傷害性T細胞とを分離するために、CD4+またはCD8+選択工程が使用される。そのようなCD4+集団およびCD8+集団はさらに、1つまたは複数のナイーブT細胞亜集団、メモリーT細胞亜集団、および/またはエフェクターT細胞亜集団上に発現しているマーカーまたは比較的高度に発現しているマーカーに関する陽性選択または陰性選択によって亜集団に選別することができる。
いくつかの態様では、CD8+細胞を、ナイーブ細胞、中枢メモリー細胞、エフェクターメモリー細胞、および/または中枢メモリー幹細胞について、例えば各亜集団に関連する表面抗原に基づく陽性選択または陰性選択などによって、さらに濃縮するか、または枯渇させる。いくつかの態様では、効力を増加させるために、例えば投与後の長期生存、増殖および/または定着を改良するために、中枢メモリーT(TCM)細胞の濃縮が実行される(いくつかの局面において、前記の性質はそのような亜集団では特にロバストである)。Terakuraら(2012)Blood.1:72-82; Wang et al.(2012)J Immunother. 35(9):689-701参照。いくつかの態様では、TCM濃縮CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞を組み合わせることによって、効力がさらに強化される。
諸態様において、メモリーT細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+サブセットとCD62L-サブセットの両方に存在する。抗CD8抗体および抗CD62L抗体を使用するなどして、PBMCを、CD62L-CD8+フラクションおよび/またはCD62L+CD8+フラクションについて、濃縮し、または枯渇させることができる。
中枢メモリーT(TCM)細胞の濃縮は、いくつかの態様では、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、および/またはCD127の陽性発現または高表面発現に基づき、いくつかの局面では、CD45RAおよび/またはグランザイムBを発現または高度に発現する細胞の陰性選択に基づく。いくつかの局面において、TCM細胞が濃縮されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇およびCD62Lを発現する細胞の陽性選択または濃縮によって実行される。一局面において、中枢メモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD4発現に基づいて選択される細胞の陰性フラクションから出発して実行され、それが、CD14およびCD45RAの発現に基づく陰性選択およびCD62Lに基づく陽性選択に付される。そのような選択は、いくつかの局面では同時に実行され、別の局面では逐次的に、いずれかの順序で実行される。いくつかの局面では、CD8+細胞集団または亜集団の調製に使用したものと同じCD4発現に基づく選択工程を、CD4+細胞集団または亜集団を作製するためにも使用することで、CD4に基づく分離からの陽性フラクションおよび陰性フラクションの両方をとっておき、任意で1つまたは複数のさらなる陽性選択工程または陰性選択工程後に、本方法の後続の工程において使用する。
特定の一例では、PBMCの試料または他の白血球試料をCD4+細胞の選択に付し、陰性フラクションと陽性フラクションの両方をとっておく。次に、陰性フラクションを、CD14およびCD45RAまたはCD19の発現に基づく陰性選択およびCD62LまたはCCR7などの中枢メモリーT細胞に特有のマーカーに基づく陽性選択に供する。この場合、前記陽性選択と陰性選択はいずれかの順序で行われる。
細胞表面抗原を有する細胞集団を同定することによって、CD4+ Tヘルパー細胞を、ナイーブ細胞、中枢メモリー細胞、およびエフェクター細胞に選別する。CD4+リンパ球は標準的方法によって得ることができる。いくつかの態様において、ナイーブCD4+ Tリンパ球は、CD45RO-、CD45RA+、CD62L+、CD4+ T細胞である。いくつかの態様において、中枢メモリーCD4+細胞はCD62L+かつCD45RO+である。いくつかの態様において、エフェクターCD4+細胞はCD62L-かつCD45RO-である。
一例では、CD4+細胞を陰性選択によって濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルが、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。いくつかの態様では、陽性選択および/または陰性選択のための細胞の分離に備えて、抗体または結合パートナーを磁気ビーズまたは常磁性ビーズなどの固形支持体またはマトリックスに結合させる。例えば、いくつかの態様では、免疫磁気(または親和性磁気)分離技法を使って、細胞および細胞集団が分離または単離される(Methods in Molecular Medicine, vol. 58: Metastasis Research Protocols, Vol. 2: Cell Behavior In Vitro and In Vivo, p 17-25 Edited by: S.A. Brooks and U. Schumacher(c)Humana Press Inc., Totowa, NJに概説されている)。
いくつかの局面では、分離しようとする細胞の試料または組成物を、小さな磁化可能材料または磁気応答材料、常磁性ビーズなどの磁気応答粒子または微粒子(例えばDynalビーズまたはMACSビーズなど)と共にインキュベートする。磁気応答材料、例えば粒子は、一般に、分離することが望まれる(例えば陰性選択または陽性選択することが望まれる)1つまたは複数の細胞または細胞の集団上に存在する分子(例えば表面マーカー)に特異的に結合する結合パートナー(例えば抗体)に、直接的または間接的に取り付けられる。
いくつかの態様において、磁気粒子または磁気ビーズは、抗体または他の結合パートナーなどの特異的結合構成要素に結合した磁気応答材料を含む。磁気分離法において使用される周知の磁気応答材料は数多くある。適切な磁気粒子には、Moldayの米国特許第4,452,773号および欧州特許明細書EP452342Bに記載されているものがあり、これらの文献は参照により本明細書に組み入れられる。他の例には、コロイドサイズの粒子、例えばOwenの米国特許第4,795,698号およびLibertiらの米国特許第5,200,084号に記載されているものがある。
インキュベーションは一般に、抗体もしくは結合パートナー、またはそのような抗体もしくは結合パートナーに特異的に結合する分子、例えば二次抗体または他の試薬であって、磁気粒子または磁気ビーズに取り付けられているものが、細胞表面分子に(それがもし試料内の細胞上に存在するのであれば)特異的に結合するような条件下で実行される。
いくつかの局面において、試料を磁場に入れると、磁気応答粒子または磁化可能粒子が取り付けられている細胞は磁石に引きつけられ、非標識細胞から分離されるであろう。陽性選択の場合は、磁石に引きつけられた細胞をとっておき、陰性選択の場合は、磁石に引きつけられなかった細胞(非標識細胞)をとっておく。いくつかの局面では、同じ選択工程中に陽性選択と陰性選択との組み合わせを実施して、陽性フラクションと陰性フラクションとをとっておいて、さらに処理するか、さらなる分離工程に供する。
一定の態様において、磁気応答粒子は、一次抗体もしくは他の結合パートナー、二次抗体、レクチン、酵素、またはストレプトアビジンで被覆される。一定の態様において、磁気粒子は、1つまたは複数のマーカーに特異的な一次抗体のコーティングを介して細胞に取り付けられる。一定の態様では、ビーズではなく細胞を一次抗体または結合パートナーで標識してから、細胞タイプ特異的二次抗体被覆磁気ビーズまたは他の結合パートナー(例えばストレプトアビジン)被覆磁気ビーズを加える。一定の態様では、ストレプトアビジン被覆磁気ビーズをビオチン化一次または二次抗体と共に使用する。
いくつかの態様では、磁気応答粒子を細胞に取り付けたままにしておき、その細胞を引き続いてインキュベートし、培養し、かつ/または工学的に改変する。また、いくつかの局面では、患者に投与するために粒子を細胞に取り付けたままにしておく。いくつかの態様では、磁化可能粒子または磁気応答粒子を細胞から取り除く。磁化可能粒子を細胞から取り除くための方法は公知であり、例えば競合非標識抗体の使用、切断可能なリンカーにコンジュゲートされた磁化可能粒子または抗体などがある。いくつかの態様において、磁化可能粒子は生分解性である。
いくつかの態様において、親和性に基づく選択は、磁気活性化細胞選別法(magnetic-activated cell sorting: MACS)(Miltenyi Biotech、カリフォルニア州オーバン)による。磁気活性化細胞選別(MACS)システムでは、磁気粒子が取り付けられている細胞の高純度選択が可能である。一定の態様において、MACSは、外部磁場の適用後に非標的種と標的種とが逐次的に溶出するモードで作動する。すなわち、磁化粒子に取り付けられた細胞はその場に保持され、一方、取り付けられていない種は溶出する。次に、この第1溶出工程が完了した後に、磁場に捕らわれて溶出が妨げられていた種が、溶出して回収されうるような何らかの方法で解放される。一定の態様では、非標的細胞を標識して、不均一な細胞集団から枯渇させる。
一定の態様では、単離または分離が、本方法の単離、細胞調製、分離、処理、インキュベーション、培養、および/または製剤工程のうちの1つまたは複数を実行するシステム、デバイス、または装置を使って実行される。いくつかの局面では、例えばエラー、ユーザー操作および/または汚染を最小限に抑えるために、システムを使って、閉鎖環境または無菌環境においてこれらの工程のそれぞれを実行する。一例において、システムは、国際特許出願公開番号WO2009/072003またはUS20110003380A1に記載のシステムである。
いくつかの態様では、システムまたは装置が、単離、処理、工学的改変、および製剤化工程のうちの1つまたは複数、例えば全てを、統合型システムまたは自己完結型システムにおいて、かつ/または自動化されたもしくはプログラム可能な形で実行する。いくつかの局面において、システムまたは装置は、システムまたは装置と通信するコンピュータおよび/またはコンピュータプログラムであって、ユーザーが処理工程、単離工程、工学的改変工程、および製剤化工程のさまざまな局面をプログラムし、制御し、その成果を評価し、かつ/または調節することを可能にするものを含む。
いくつかの局面において、分離工程および/または他の工程は、例えば閉鎖された無菌系における臨床スケールレベルでの細胞の自動分離のために、CliniMACSシステム(Miltenyi Biotec)を使って実行される。構成部品には、組み込みマイクロコンピュータ、磁気分離ユニット、蠕動ポンプ、およびさまざまなピンチ弁が含まれうる。組み込みコンピュータは、いくつかの局面において、計器のすべての構成部品を制御し、標準化されたシーケンスで反復手順を行うようにシステムに指示する。磁気分離ユニットは、いくつかの局面において、可動永久磁石および選択カラム用の保持具を含む。蠕動ポンプは管系セット全体の流速を制御し、ピンチ弁と共に、システムを通る緩衝液の制御された流れと細胞の絶え間ない懸濁とを保証する。
CliniMACSシステムは、いくつかの局面において、無菌非発熱性溶液に入れて供給される抗体カップリング磁化可能粒子を使用する。いくつかの態様では、磁気粒子による細胞の標識化後に、細胞を洗浄して過剰の粒子を除去する。次に、細胞調製バッグを管系セットに接続し、そしてその管系セットを緩衝液を含有するバッグおよび細胞収集バッグに接続する。管系セットは組み立て済みの無菌管系(プレカラムおよび分離カラムを含む)からなり、1回限りの使い捨て用である。分離プログラムの開始後に、システムは自動で細胞試料を分離カラムに適用する。標識細胞はカラム内に保持され、一方、非標識細胞は一連の洗浄工程によって除去される。いくつかの態様では、本明細書に記載する方法で使用するための細胞集団が標識されておらず、カラム中に保持されない。いくつかの態様では、本明細書に記載する方法で使用するための細胞集団が標識されており、カラム中に保持される。いくつかの態様では、磁場の除去後に、本明細書に記載する方法で使用するための細胞集団をカラムから溶出させて、細胞収集バッグ内に収集する。
一定の態様では、CliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を使って、分離および/または他の工程が実行される。CliniMACS Prodigyシステムは、いくつかの局面において、遠心分離による細胞の自動洗浄および分画を可能にする細胞処理ユニットを装備している。CliniMACS Prodigyシステムは、ソース細胞産物(source cell product)の肉眼的層を識別することによって最適な細胞分画終点を決定する内蔵カメラおよび画像認識ソフトウェアも含むことができる。例えば末梢血は、赤血球、白血球および血漿層へと自動的に分離される。CliniMACS Prodigyシステムは、例えば細胞の分化および増殖、抗原負荷、および長期細胞培養などの細胞培養プロトコルを遂行する組み込み細胞培養チャンバーも含むことができる。投入口は、培地の無菌的取り出しおよび補充を可能にすることができ、組み込み顕微鏡を使って細胞を監視することができる。例えばKlebanoff et al.(2012)J Immunother. 35(9):651-660、Terakura et al.(2012)Blood.1:72-82、およびWang et al.(2012)J Immunother. 35(9):689-701を参照されたい。
いくつかの態様では、複数種の細胞表面マーカーについて染色された細胞が流体流にのせて運ばれるフローサイトメトリーによって本明細書に記載する細胞集団が収集され、濃縮(または枯渇)される。いくつかの態様では、調製用(FACS)選別法によって、本明細書に記載する細胞集団が収集され、濃縮(または枯渇)される。一定の態様では、微小電気機械システム(MEMS)チップをFACSベースの検出システムと併用することによって、本明細書に記載する細胞集団が収集され、濃縮(または枯渇)される(例えばWO 2010/033140、Cho et al.(2010)Lab Chip 10, 1567-1573、およびGodin et al.(2008)J Biophoton. 1(5):355-376を参照されたい)。どちらの場合も、細胞を複数種のマーカーで標識して、高純度の明確なT細胞サブセットの単離を可能にすることができる。
いくつかの態様では、陽性選択および/または陰性選択のための分離が容易になるように、抗体または結合パートナーが、1つまたは複数の検出可能マーカーで標識される。例えば分離は蛍光標識抗体への結合に基づきうる。いくつかの例では、1つまたは複数の細胞表面マーカーに特異的な抗体または他の結合パートナーの結合に基づく細胞の分離が、流体流中で、例えば蛍光活性化細胞選別法(FACS)(例えばフローサイトメトリー検出システムと組み合わせされた分取用(FACS)および/または微小電気機械システム(MEMS)チップを含む)によって行われる。そのような方法により、複数種のマーカーに基づく陽性選択および陰性選択が同時に可能になる。
いくつかの態様において、調製方法は、単離、インキュベーション、および/または工学的改変の前または後に、細胞を凍結するための方法、例えば冷凍保存するための方法を含む。いくつかの態様では、凍結とそれに続く融解の工程によって、細胞集団中の顆粒球が除去され、ある程度は単球も除去される。いくつかの態様では、例えば血漿および血小板を除去するための洗浄工程後に、細胞が凍結溶液に懸濁される。さまざまな公知の凍結溶液およびパラメータはどれでも、いくつかの局面において使用しうる。一例では、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBSまたは他の適切な細胞凍結培地が使用される。次に、DMSOおよびHSAの最終濃度がそれぞれ10%および4%になるように、これを培地で1:1希釈する。次に細胞を、毎分1°の速度で-80℃まで凍結し、液体窒素貯蔵タンクの気相中で保存する。
2.細胞の調製、ベクターおよび工学的改変の方法
いくつかの態様において、遺伝子改変は、一般に、組換え構成成分または工学的に改変された構成成分をコードする核酸を、レトロウイルス形質導入、トランスフェクションまたは形質転換などによって、細胞中に導入することを伴う。いくつかの態様において、遺伝子導入は、細胞を、例えばサイトカインまたは活性化マーカーの発現によって測定される増殖、生存および/または活性化などの応答を誘導する刺激と混合することなどによって、まず細胞を刺激してから、活性化された細胞の形質導入、臨床応用に十分な数への拡大培養を行うことによって達成される。
いくつかの態様では、遺伝子改変の前に、または遺伝子改変との関連で、細胞をインキュベートし、かつ/または培養する。インキュベーション工程は、培養(culture)、培養(cultivation)、刺激、活性化、および/または増殖を含むことができる。いくつかの態様では、組成物または細胞を、刺激条件または刺激作用物質の存在下でインキュベートする。そのような条件には、集団中の細胞の増殖、拡大、活性化および/または生存を誘導し、抗原曝露を模倣し、かつ/または遺伝子改変のために、例えば組換え抗原受容体を導入するために、細胞をプライミングするように意図されたものが含まれる。インキュベーションおよび/または工学的改変は、培養槽中で、例えばユニット、チャンバー、ウェル、カラム、チューブ、管系、バルブ、バイアル、培養ディッシュ、バッグ、または他の培養容器もしくは細胞培養用容器中で実行しうる。
条件は、特定の培地、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、作用物質、例えば栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオンおよび/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、および細胞を活性化することを意図した他の任意の作用物質のうちの1つまたは複数を含むことができる。
いくつかの態様において、刺激条件または刺激作用物質は、TCR複合体の細胞内シグナリングドメインを活性化する能力を有する1つまたは複数の作用物質、例えばリガンドを含む。いくつかの局面では、作用物質が、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナリングカスケードを作動、すなわち開始させる。そのような作用物質として、抗体、例えばTCRに特異的なもの、例えば抗CD3を挙げることができる。いくつかの態様において、刺激条件は、共刺激受容体を刺激する能力を有する1つまたは複数の作用物質、例えばリガンド、例えば抗CD28を含む。いくつかの態様において、そのような作用物質および/またはリガンドはビーズなどの固形支持体に結合させることができ、かつ/または1種または複数種のサイトカインであることができる。任意で、拡大方法は、抗CD3および/または抗CD28抗体を培養培地に(例えば少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)加える工程をさらに含みうる。いくつかの態様において、刺激作用物質はIL-2、IL-15および/またはIL-7を含む。いくつかの局面において、IL-2濃度は少なくとも約10単位/mLである。
いくつかの局面において、インキュベーションは、Riddellらの米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al.(2012)J Immunother. 35(9):651-660、Terakura et al.(2012)Blood.1:72-82および/またはWang et al.(2012)J Immunother. 35(9):689-701に記載されているものなどの技法に従って実行される。
いくつかの態様では、組成物に非分裂末梢血単核細胞(PBMC)などのフィーダー細胞を(例えば結果として生じる細胞の集団が、拡大される初期集団中の各Tリンパ球につき少なくとも約5、10、20もしくは40またはそれ以上のPBMCフィーダー細胞を含有するように)加え、その培養物を(例えばT細胞の数を拡大するのに十分な時間にわたって)インキュベートすることによって、T細胞が拡大される。いくつかの局面において、非分裂フィーダー細胞は、ガンマ照射PBMCフィーダー細胞を含むことができる。いくつかの態様では、細胞分裂を防止するために、約3000〜3600ラドの範囲のガンマ線がPBMCに照射される。いくつかの局面では、T細胞の集団を加える前に、フィーダー細胞が培養培地に加えられる。
いくつかの態様において、刺激条件には、ヒトTリンパ球の成長に適した温度、例えば少なくとも摂氏約25度、一般的には少なくとも約30度、一般的には摂氏37度または摂氏約37度が含まれる。任意で、インキュベーションは、非分裂EBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)をフィーダー細胞として加えることを、さらに含みうる。LCLは、約6000〜10,000ラドの範囲のガンマ線で照射することができる。LCLフィーダー細胞は、いくつかの局面において、少なくとも約10:1のLCLフィーダー細胞対初期Tリンパ球の比など、任意の適切な量で与えることができる。
いくつかの局面では、細胞がさらに、サイトカインまたは他の因子の発現を促進するように工学的に改変される。
状況によっては、刺激因子(例えばリンホカインまたはサイトカイン)の過剰発現は、対象にとって毒性でありうる。したがって状況によっては、工学的に改変された細胞は、例えば養子免疫療法において投与されたときに、細胞がインビボで陰性選択を受けうるようにする遺伝子セグメントを含む。例えば、いくつかの局面において、細胞は、それらが投与された患者のインビボ条件の変化の結果として排除されうるように、工学的に改変される。陰性選択可能表現型は、投与される作用物質、例えば化合物への感受性を付与する遺伝子の挿入に起因しうる。陰性選択可能遺伝子としては、ガンシクロビル感受性を付与する単純ヘルペスウイルスI型チミジンキナーゼ(HSV-I TK)遺伝子(Wigler et al., Cell II:223, 1977)、細胞ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)遺伝子、細胞アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)遺伝子、細菌シトシンデアミナーゼ(Mullen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 89:33(1992))が挙げられる。
遺伝子改変構成成分、例えば抗原受容体、例えばCARを導入するためのさまざまな方法は周知であり、ここに提供する方法および組成物と共に使用しうる。例示的な方法として、ウイルス(例えばレトロウイルスまたはレンチウイルス)形質導入、トランスポゾンおよびエレクトロポレーションによる方法などといった、受容体をコードする核酸を導入するための方法が挙げられる。
いくつかの態様において、組換え核酸は、例えばシミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するベクターなどの組換え感染性ウイルス粒子を使って細胞に導入される。いくつかの態様において、組換え核酸は、組換えレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター、例えばガンマ-レトロウイルスベクターを使って、T細胞に導入される(例えばKoste et al.(2014)Gene Therapy 2014 Apr 3. doi:10.1038/gt.2014.25、Carlens et al.(2000)Exp Hematol 28(10):1137-46、Alonso-Camino et al.(2013)Mol Ther Nucl Acids 2, e93、Park et al., Trends Biotechnol. 2011 November 29(11):550-557参照)。
いくつかの態様において、例えばモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)、マウス胚性幹細胞ウイルス(MESV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するレトロウイルスベクターなどの、レトロウイルスベクターは、長末端反復配列(LTR)を有する。大半のレトロウイルスベクターはマウスレトロウイルスに由来する。いくつかの態様では、レトロウイルスとして、任意の鳥類細胞供給源または哺乳動物細胞供給源に由来するものが挙げられる。レトロウイルスは典型的にはアンホトロピックである。つまり、それらは、ヒトを含むいくつかの種の宿主細胞に感染する能力を有する。一態様では、発現させようとする遺伝子で、レトロウイルスのgag、polおよび/またはenv配列を置き換える。実例となるレトロウイルス系はいくつか記述されている(例えば米国特許第5,219,740号、同第6,207,453号、同第5,219,740号、Miller and Rosman(1989)BioTechniques 7:980-990、Miller, A. D.(1990)Human Gene Therapy 1:5-14、Scarpa et al.(1991)Virology 180:849-852、Burns et al.(1993)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033-8037およびBoris-Lawrie and Temin(1993)Cur. Opin. Genet. Develop. 3:102-109参照)。
レンチウイルス形質導入の方法は公知である。例示的方法は、例えばWang et al.(2012)J. Immunother. 35(9):689-701、Cooper et al.(2003)Blood. 101:1637-1644、Verhoeyen et al.(2009)Methods Mol Biol. 506:97-114およびCavalieri et al.(2003)Blood. 102(2):497-505に記載されている。
いくつかの態様において、組換え核酸は、エレクトロポレーションによってT細胞に導入される(例えばChicaybam et al,(2013)PLoS ONE 8(3):e60298およびVan Tedeloo et al.(2000)Gene Therapy 7(16):1431-1437参照)。いくつかの態様において、組換え核酸は、トランスポジションによってT細胞に導入される(例えばManuri et al.(2010)Hum Gene Ther 21(4):427-437、Sharma et al.(2013)Molec Ther Nucl Acids 2, e74およびHuang et al.(2009)Methods Mol Biol 506:115-126参照)。免疫細胞において遺伝物質を導入し発現させる方法としては、他にも、リン酸カルシウムトランスフェクション(例えばCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y.に記載されているもの)、プロトプラスト融合、カチオン性リポソームによるトランスフェクション、タングステン粒子によるマイクロパーティクルボンバードメント(Johnston, Nature, 346:776-777(1990))、およびリン酸ストロンチウムDNA共沈殿(Brash et al., Mol. Cell Biol., 7:2031-2034(1987))が挙げられる。
組換え産物をコードする核酸を導入するための他のアプローチおよびベクターは、例えば国際特許出願公開番号WO2014055668および米国特許第7,446,190号に記載されているものである。
追加の核酸、例えば導入用遺伝子には、治療の効力を、例えば移植された細胞の生存性および/または機能を促進することなどによって改良するもの、細胞を選択しかつ/または評価するための遺伝子マーカーを提供するための遺伝子、例えばインビボでの生存または局在化を評価するための遺伝子、例えばLupton S.D. et al., Mol. and Cell Biol., 11:6(1991)およびRiddell et al., Human Gene Therapy 3:319-338(1992)に記載されているように細胞をインビボでの陰性選択を受けうるようにすることなどによって、安全性を改良するための遺伝子が含まれる。また、優性陽性選択可能マーカーを陰性選択可能マーカーと融合することによって得られる二官能性選択可能融合遺伝子の使用を記載しているLuptonらによるPCT/US91/08442およびPCT/US94/05601の公開公報も参照されたい。例えばRiddellらの米国特許第6,040,177号の第14〜17欄を参照されたい。
IV.組成物、製剤および投与方法
TCR、TCR様抗体結合分子またはそれらの抗原フラグメント、キメラ受容体(例えばCAR)を含有する組成物、および工学的に改変された細胞を含有する組成物、例えば薬学的組成物および薬学的製剤も、提供される。抗原が発現する疾患、状態および障害の処置、検出方法、診断方法および予後方法における、前記分子および組成物を使用する方法、ならびに前記分子および組成物の使用も提供される。
A.薬学的組成物および薬学的製剤
キメラ受容体(例えばCAR)を含むTCR、TCR様抗体結合分子もしくはそれらの抗原フラグメントおよび/またはそれらの分子もしくは抗原受容体を発現する工学的に改変された細胞を含む薬学的製剤が提供される。例えばいくつかの態様では、抗原受容体またはキメラ抗原受容体、例えばMHCクラスIa、MHC-EまたはMHCクラスII拘束性エピトープなどのMHC拘束性エピトープを標的とするTCRまたはTCR様CARを発現する、工学的に改変されたCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞を含む薬学的組成物および薬学的製剤が提供される。それらの例は、同じMHCクラスII拘束性エピトープを標的とする抗原受容体、例えばTCRまたはTCR様CARを発現するように工学的に改変されたCD4+細胞およびCD8+細胞を含む、薬学的組成物および薬学的製剤である。
「薬学的製剤」という用語は、そこに含有される活性成分の生物学的活性が有効であることを許すような形態にあって、その製剤が投与されるであろう対象にとって許容できないほどに毒性な追加の構成成分を含有しない調製物を指す。
「薬学的に許容される担体」とは、対象にとって非毒性である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝液、賦形剤、安定剤、または保存剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
いくつかの局面において、担体の選択は、一つには、その特定の細胞、結合分子、および/または抗体によって、かつ/または投与の方法によって決まる。したがって適切な製剤はさまざまである。例えば、薬学的組成物は保存剤を含むことができる。適切な保存剤としては、例えばメチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムを挙げることができる。いくつかの局面では、2つ以上の保存剤の混合物が使用される。保存剤またはその混合物は、典型的には、組成物全体の約0.0001〜約2重量%の量で存在する。担体は、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed.(1980)によって記載されている。薬学的に許容される担体は使用する投薬量および濃度において一般に受容者にとって非毒性であり、これには例えば、リン酸、クエン酸および他の有機酸などの緩衝剤;酸化防止剤、例えばアスコルビン酸およびメチオニン;保存剤(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコール、またはベンジルアルコール;メチルパラベンまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンなどのアミノ酸;単糖、二糖、および他の糖質、例えばグルコース、マンノース、またはデキストリン;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えばZn-タンパク質複合体);および/またはポリエチレングリコール(PEG)などのノニオン界面活性剤があるが、それらに限定されるわけではない。
いくつかの局面では、緩衝作用物質が組成物に含まれる。適切な緩衝作用物質には、例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、および他のさまざまな酸および塩がある。いくつかの局面では、2種以上の緩衝作用物質の混合物を使用する。緩衝作用物質またはその混合物は、典型的には組成物全体の約0.001〜約4重量%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製するための方法は公知である。例示的方法は、例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed.(May 1, 2005)に詳述されている。
抗体の製剤として、凍結乾燥製剤および水溶液を挙げることができる。
製剤または組成物は、当該結合分子または細胞で処置されるその特定適応症、疾患、または状態に有用な2種以上の他の活性成分、好ましくは当該結合分子または細胞に対して相補的な活性を持ち、それぞれの活性が互いに有害な影響を及ぼさないものも含有しうる。そのような活性成分は意図した目的に有効な量で組み合わせされて適切に存在する。したがって、いくつかの態様において、薬学的組成物は、他の薬学的に活性な作用物質または薬物、例えば化学療法剤、例えばアスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどを、さらに含む。いくつかの態様において、細胞または抗体は、塩の形態、例えば薬学的に許容される塩の形態で投与される。適切な薬学的に許容される酸付加塩には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、および硫酸などの鉱酸、および酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、およびアリールスルホン酸、例えばp-トルエンスルホン酸などの有機酸から誘導されるものがある。
活性成分は、マイクロカプセル、コロイド状薬物送達システム(例えばリポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルションに封入してもよい。一定の態様では、薬学的組成物が、シクロデキストリン包接複合体などの包接複合体として、またはリポソームとして、製剤化される。リポソームは、宿主細胞(例えばT細胞またはNK細胞)を特定組織に誘導するのに役立ちうる。リポソームの調製には、例えばSzoka et al., Ann. Rev. Biophys. Bioeng., 9: 467(1980)および米国特許第4,235,871号、第4,501,728号、第4,837,028号、および第5,019,369号に記載されているものなど、数多くの方法を利用することができる。
組成物の送達が、処置しようとする部位の増感に先だって、その増感を引き起こすのに十分な時間で起こるように、薬学的組成物は、いくつかの局面において、持効性送達システム、遅延放出性送達システム、および徐放性送達システムを使用することができる。数多くのタイプの放出送達システムを利用することができ、それらは公知である。そのようなシステムは、組成物の反復投与を回避し、よって対象および医師の利便性を増加させることができる。
薬学的組成物は、いくつかの態様において、疾患または状態を処置または防止するのに有効な量で、例えば治療有効量で、または予防有効量で、結合分子および/または細胞を含有する。治療効力または予防効力は、いくつかの態様において、処置された対象の周期的評価によって監視される。状態に依存して数日またはそれ以上にわたる繰り返し投与の場合、疾患症状の望ましい抑制が起こるまで、処置を繰り返す。しかし、他の用量用法が役立つ場合もあり、他の用量用法を決定することができる。望ましい投薬量は、組成物の単回ボーラス投与によって、または組成物の複数回ボーラス投与によって、または組成物の持続注入投与によって送達することができる。
組成物または細胞は、標準的な投与技法、製剤、および/またはデバイスを使って投与しうる。組成物の貯蔵および投与のために、シリンジおよびバイアルなどの製剤およびデバイスが提供される。細胞の投与は、自家投与であるか、異種投与であることができる。例えば免疫応答細胞または前駆細胞を対象から得て、それを同じ対象または異なる適合対象に投与することができる。末梢血由来免疫応答細胞またはそれらの子孫(例えばインビボ、エクスビボまたはインビトロ派生物)は、限局的注射(カテーテル投与を含む)、全身注射、限局的注射、静脈内注射、または非経口投与によって投与することができる。治療用組成物(例えば遺伝子修飾免疫応答細胞を含有する薬学的組成物)を投与する場合、治療組成物は一般に注射可能な単位剤形(溶液、懸濁液、エマルション)に製剤化されるであろう。
製剤には、経口投与用、静脈内投与用、腹腔内投与用、皮下投与用、肺投与用、経皮投与用、筋肉内投与用、鼻腔内投与用、口腔粘膜投与用、舌下投与用、または坐剤投与用のものが含まれる。いくつかの態様において、細胞集団は非経口投与される。本明細書において使用する「非経口」という用語は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸投与、腟投与、および腹腔内投与を包含する。いくつかの態様では、細胞集団が、静脈内注射、腹腔内注射、または皮下注射による末梢全身送達を使って対象に投与される。
組成物は、いくつかの態様において、無菌液状調製物として、例えば等張性水溶液、懸濁液、エマルション、分散液、または粘性組成物として提供され、それらは、いくつかの局面において、選択されたpHに緩衝化されている。液状調製物は、通常、ゲル、他の粘性組成物、および固形組成物よりも調製が容易である。加えて、液状組成物は、投与(特に注射によって投与)するのに多少便利である。一方、粘性組成物は、特定組織との接触期間が長くなるように、適当な粘度範囲内で製剤化することができる。液状組成物または粘性組成物は担体を含むことができ、それらは、例えば水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコール)およびそれらの適切な混合物などを含有する溶媒または分散媒であることができる。
無菌注射可能溶液は、結合分子を溶媒に組み入れることによって、例えば無菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどの適切な担体、希釈剤、または賦形剤と混合して調製することができる。組成物は凍結乾燥することもできる。組成物は、投与経路および所望の調製物に依存して、湿潤剤、分散剤、または乳化剤(例えばメチルセルロース)、pH緩衝作用物質、ゲル化または増粘性添加剤、保存剤、香味剤、着色剤などの補助物質を含有することができる。いくつかの局面では、標準的な教本を参照することで、適切な調製物を調製することができる。
抗微生物保存剤、酸化防止剤、キレート剤、および緩衝剤など、組成物の安定性および無菌性を強化するさまざまな添加剤を加えることができる。微生物作用の防止は、さまざまな抗細菌および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって確保することができる。注射可能な薬学的形態の長時間にわたる吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によって引き起こすことができる。
徐放性調製物を調製してもよい。徐放性調製物の好適例は、造形品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態にある、抗体を含有する固形疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを含む。
インビボ投与に使用される製剤は一般に無菌である。無菌性は例えば無菌濾過膜による濾過などによって容易に達成されうる。
B.養子細胞療法における細胞の投与方法および使用
キメラ受容体(例えばCAR)を含むTCRもしくはTCR様結合分子もしくは抗原結合性フラグメントおよび/または前記分子もしくは抗原受容体を発現する工学的に改変された細胞の使用方法および使用も提供される。そのような方法および使用には、治療方法および治療的使用、例えば、悪性疾患もしくは細胞の形質転換(例えばがん)、自己免疫疾患または炎症性疾患に関与する抗原、またはウイルス病原体もしくは細菌病原体に由来する抗原を含む、疾患、状態または障害に関連する抗原の、MHC拘束性ペプチドエピトープを標的とするために、前記分子、細胞またはそれらを含有する組成物を対象に投与することを伴うものが含まれる。
いくつかの態様において、分子、細胞、および/または組成物は、疾患または障害の処置を達成するために、有効量で投与される。使用としては、そのような方法および処置ならびにそのような治療方法を実行するための医薬の調製における、前記分子または細胞の使用が挙げられる。いくつかの態様において、本方法は、疾患または状態を有するか、それらを有すると疑われる対象に、前記分子もしくは細胞またはそれらを含む組成物を投与することによって実行される。いくつかの態様において、本方法は、それによって、対象における疾患または状態または障害を処置する。
本明細書にいう「処置」(およびその文法上の変形、例えば「処置する」または「処置すること」)は、疾患もしくは状態もしくは障害、またはそれに伴う症状、有害作用もしくはアウトカム、もしくは表現型の完全なまたは部分的な改善または低減を指す。処置の望ましい効果には、疾患の発生または再発の防止、症状の軽減、疾患の何らかの直接的または間接的な病理学的結果の減縮、転移の防止、疾患進行速度の減少、疾患状態の改善または緩和、ならびに寛解または予後の改良などがあるが、それらに限定されるわけではない。これらの用語は、疾患の完全な治癒も、何らかの症状またはすべての症状もしくはアウトカムに対する何らかの効果の完全な排除も含意しない。
本明細書において「疾患の発達を遅延させる」とは、疾患(例えばがん)の発達を延期し、妨げ、減速し、遅延させ、安定化し、抑制し、かつ/または先延ばしにすることを意味する。この遅延は、処置される疾患および/または個体の履歴に依存して、さまざまな長さの期間であることができる。当業者には明白であるように、十分な遅延または著しい遅延は、その個体では疾患が発達しないという点で、実際上、防止を包含することができる。例えば末期がん(転移の発達など)を遅延させうる。
本明細書にいう「防止する」には、ある疾患に対する素因を有しうるがまだその疾患とは診断されていない対象における当該疾患の発生または再発に関して、予防が含まれる。いくつかの態様において、ここに提供する分子および組成物は、疾患の発達を遅延させるためまたは疾患の発達を遅くするために使用される。
本明細書において使用する場合、機能または活性を「抑制する」とは、関心対象の条件またはパラメータを除く他の点では同じ条件と比較して、あるいは別の条件と比較して、その機能または活性を低減することである。例えば、腫瘍成長を抑制する抗体または組成物または細胞は、その抗体または組成物または細胞が存在しない場合の腫瘍の成長速度と比較して、腫瘍の成長速度を低減する。
投与との関連において、作用物質、例えば薬学的製剤、結合分子、抗体、もしくは細胞、または組成物の「有効量」とは、所望の結果、例えば治療結果または予防結果を達成するのに、必要な投薬量/量および期間において、有効な量を指す。
作用物質、例えば薬学的製剤、抗体、または細胞の「治療有効量」とは、例えば疾患、状態または障害の処置に関して所望の治療結果、および/または処置の薬物動態的もしくは薬力学的効果を達成するのに、必要な投薬量および期間において、有効な量を指す。治療有効量は、対象の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに投与される細胞集団などの因子に応じて変動しうる。いくつかの態様において、ここに提供する方法は、分子、細胞、および/または組成物を有効量で、例えば治療有効量で投与することを伴う。
「予防有効量」とは、所望の予防結果を達成するのに、必要な投薬量および期間において、有効な量を指す。予防用量は疾患に先だってまたは疾患の初期段階において対象に使用されるので、典型的には、予防有効量は治療有効量より少ないであろうが、必ずしもそうとは限らない。
処置される疾患または状態は、抗原の発現が疾患状態または障害の病因に関連しかつ/または関与しているもの、例えばそのような疾患、状態、または障害を引き起こし、悪化させ、または他の形で関与しているものであれば、どれでもよい。例示的な疾患および状態としては、悪性疾患もしくは細胞の形質転換(例えばがん)、自己免疫疾患もしくは炎症性疾患、または感染性疾患、例えば細菌病原体、ウイルス病原体または他の病原体が引き起こすものに関連する疾患または状態を挙げることができる。処置することができるさまざまな疾患および状態に関連する抗原を含む例示的抗原については、上述した。特定の態様では、キメラ抗原受容体またはトランスジェニックTCRが、疾患または状態に関連する抗原に特異的に結合する。
いくつかの態様において、本方法は、MHC拘束性エピトープを標的とするここに提供する分子を発現する遺伝子改変細胞(例えばTCRまたはTCR様CARを発現する細胞)が対象に投与される養子細胞療法を含む。そのような投与は、疾患または障害の細胞が破壊の標的になるように抗原を標的とする、細胞の活性化(例えばT細胞活性化)を促進することができる。
したがって、ここに提供する方法および使用は、養子細胞療法のための方法および使用を含む。いくつかの態様において、本方法は、対象、組織、または細胞、例えば疾患、状態もしくは障害を有するもの、または疾患、状態もしくは障害のリスクがあるもの、または疾患、状態もしくは障害を有すると疑われるものへの、細胞または細胞を含む組成物の投与を含む。いくつかの態様では、細胞、集団、および組成物を、例えば養子T細胞療法などの養子細胞療法によって処置しようとする特定の疾患または状態を有する対象に投与する。いくつかの態様では、細胞または組成物を対象に(例えば疾患または状態を有する対象または疾患もしくは状態のリスクがある対象に)投与する。いくつかの局面において、本方法は、それにより、疾患または状態の1つまたは複数の症状を処置(例えば改善)する。
養子細胞療法のために細胞を投与する方法は公知であり、ここに提供する方法および組成物との関連において使用しうる。例えば養子T細胞療法は、Gruenberg et alの米国特許出願公開番号2003/0170238号;Rosenbergの米国特許第4,690,915号; Rosenberg(2011)Nat Rev Clin Oncol. 8(10):577-85などに記載されている。例えばThemeli et al.(2013)Nat Biotechnol. 31(10):928-933; Tsukahara et al.(2013)Biochem Biophys Res Commun 438(1):84-9; Davila et al.(2013)PLoS ONE 8(4):e61338を参照されたい。
いくつかの態様において、細胞療法、例えば養子細胞療法、例えば養子T細胞療法は、細胞療法を受ける対象からまたはそのような対象に由来する試料から細胞を単離しかつ/または他の形で調製する自家移植によって実行される。したがって、いくつかの局面において、細胞は処置を必要としている対象、例えば患者に由来し、細胞は単離および処理後に同じ対象に投与される。
いくつかの態様において、細胞療法、例えば養子細胞療法、例えば養子T細胞療法は、細胞療法を受ける予定の対象または最終的に細胞療法を受ける対象とは異なる対象(例えば第1対象)から細胞を単離しかつ/または他の形で調製する同種異系移植によって実行される。そのような態様では、次に細胞が、同じ種の異なる対象(例えば第2対象)に投与される。いくつかの態様において、第1対象と第2対象は遺伝子的に同一である。いくつかの態様において、第1対象と第2対象は遺伝子的に類似している。いくつかの態様において、第2対象は第1対象と同じHLAクラスまたはスーパータイプを発現する。
いくつかの態様において、細胞、細胞集団、または組成物の投与を受ける対象は、ヒトなどの霊長類である。いくつかの態様において、霊長類はサルまたは類人猿である。対象は男性または女性であることができ、幼児対象、若年対象、青年対象、成人対象、および老齢対象を含む任意の適切な年齢であることができる。いくつかの態様において、対象は、齧歯類などの非霊長類哺乳動物である。いくつかの例において、患者または対象は、疾患の、養子細胞療法の、および/またはサイトカイン放出症候群(CRS)などの毒性のアウトカムを評価するための、有効な動物モデルである。
結合分子、例えばTCR、TCR様抗体およびTCR様抗体を含有するキメラ受容体(例えばCAR)、ならびにそれらを発現する細胞は、任意の適切な手段によって、例えば注射によって、例えば静脈内注射または皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、サブコンジェクトバル(subconjectval)注射、結膜下注射、テノン鞘下注射、眼球後注射、眼球周囲注射、または強膜近傍後部送達によって、投与することができる。いくつかの態様では、投与が非経口投与、肺内投与、および鼻腔内投与によって行われ、局所処置にとって望ましい場合には、病巣内投与によって行われる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与が含まれる。投薬および投与は、一つには、投与が短期間であるか慢性であるかに依存しうる。さまざまな投薬計画には、単回またはさまざまな時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、およびパルス注入が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
疾患の防止または処置にとって、結合分子または細胞の適当な投薬量は、処置しようとする疾患のタイプ、結合分子のタイプ、疾患の重症度および経過、結合分子が防止目的で投与されるか治療目的で投与されるか、それまでの治療法、患者の病歴および結合分子に対する応答、ならびに担当医の裁量に依存しうる。組成物および分子および細胞は、いくつかの態様において、一度にまたは一連の処置によって、患者に適切に投与される。
結合分子(例えば、TCRまたはTCR様抗体)の投薬量としては、疾患のタイプおよび重症度に依存して、約1μg/kg〜15mg/kg(例えば0.1mg/kg〜10mg/kg)、約1μg/kg〜100mg/kgまたはそれ以上、約0.05mg/kg〜約10mg/kg、0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kgまたは10mg/kgを挙げることができる。間欠的に、例えば1週間ごとまたは3週間ごとに、複数回、投与を行ってもよい。最初は高い初回負荷量を投与し、続いて低用量を1回または複数回投与してもよい。
一定の態様では、細胞、またな細胞のサブタイプの個々の集団が、約100万〜約1000億個の範囲の細胞、および/または体重1キログラムにつきその量の細胞が、例えば100万〜約500億個の細胞(例えば約500万個、約2500万個、約5億個、約10億個、約50億個、約200億個、約300億個、約400億個、または前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲の細胞)、例えば約1000万〜約1000億個の細胞(例えば約2000万個、約3000万個、約4000万個、約6000万個、約7000万個、約8000万個、約9000万個、約100億個、約250億個、約500億個、約750億個、約900億個、または前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲の細胞)、そして場合によっては約1億個〜約500億個の細胞(例えば約1億2000万個、約2億5000万個、約3億5000万個、約4億5000万個、約6億5000万個、約8億万個、約9億個、約30億個、約300億個、約450億個の細胞)またはこれらの範囲の間にある任意の値が、かつ/または体重1キログラムにつき、対象に投与される。投薬量は、疾患もしくは障害および/または患者および/または他の処置に特有の属性に依存して変動しうる。
例えば対象がヒトであるいくつかの態様において、用量は、約1×108個未満の総組換え受容体(例えばCAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)、例えば約1×106〜1×108個の範囲にある前述の細胞、例えば全部で2×106、5×106、1×107、5×107もしくは1×108個の、または前述の値のいずれか2つの間の範囲内にある、前述の細胞を含む。
いくつかの態様において、細胞または結合分子(例えば、TCRまたはTCR様抗体)は併用処置の一部として、例えば別の治療的介入、例えば別の抗体または工学的に改変された細胞または受容体または作用物質、例えば細胞毒性剤または治療剤と同時に、または任意の順序で逐次的に、投与される。
細胞または結合分子(例えば、TCRまたはTCR様抗体)は、いくつかの態様において、1つまたは複数の追加治療剤と、または別の治療的介入とともに、同時に、または任意の順序で逐次的に、共投与される。いくつかの状況下において、細胞は、細胞集団が1つまたは複数の追加治療剤の効果を強化するように、またはその逆になるように十分に近い時間間隔で、別の治療法と共投与される。いくつかの態様において、細胞または結合分子(例えば、TCRまたはTCR様抗体)は、1つまたは複数の追加治療剤に先だって投与される。いくつかの態様において、細胞または結合分子(例えば、TCRまたはTCR様抗体)は、1つまたは複数の追加治療剤の後に投与される。
細胞を哺乳動物(例えばヒト)に投与したら、いくつかの局面では、工学的に改変された細胞の集団および/または結合分子(例えば、TCRまたはTCR様抗体)の生物学的活性を、いくつかある公知の方法のいずれかによって測定する。評価するパラメータには、例えばイメージングによるインビボでの、または例えばELISAもしくはフローサイトメトリーによるエクスビボでの、抗原に対する工学的に改変されたT細胞もしくは天然T細胞または他の免疫細胞の特異的結合が含まれる。一定の態様では、例えばKochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7):689-702(2009)およびHerman et al. J. Immunological Methods, 285(1):25-40(2004)などに記載の細胞傷害性アッセイなど、当技術分野において公知である任意の適切な方法を使って、標的細胞を破壊する工学的に改変された細胞の能力を測定することができる。一定の態様において、細胞の生物学的活性は、CD107a、IFNγ、IL-2、およびTNFなどといった一定のサイトカインの発現および/または分泌をアッセイすることによって測定することもできる。いくつかの局面において、生物学的活性は、腫瘍量または腫瘍負荷量の低減などといった臨床アウトカムを評価することによって測定される。
一定の態様では、工学的に改変された細胞を、それらの治療的または予防的効力が増加するように、いくつかの方法で修飾する。例えば、その集団によって発現される工学的に改変されたCARまたはTCRは、ターゲティング部分に直接的に、またはリンカーを介して間接的に、コンジュゲートすることができる。化合物(例えばCARまたはTCR)をターゲティング部分にコンジュゲートする手法は当技術分野において公知である。例えばWadwa et al., J.Drug Targeting 3:111(1995)および米国特許第5,087,616号を参照されたい。
V.定義
本明細書において使用する単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈上そうでないことが明確である場合を除き、複数の指示対象を包含する。例えば「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味する。本明細書に記載する局面および変形は、局面および変形「からなる」ならびに/または局面および変形「から本質的になる」を包含すると理解される。
この開示の全体を通して、特許請求の範囲に記載する内容のさまざまな局面は、範囲形式で提示される。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、特許請求の範囲に記載する内容に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解すべきである。したがって範囲の記載は、可能な部分範囲およびその範囲内の個々の数値をすべて具体的に開示しているとみなすべきである。例えば、値の範囲が与えられた場合、その範囲の上限および下限と、他の任意の明示された値またはその明示された範囲内の中間値との間にある中間値は、特許請求の範囲の内容に包含される。これら小範囲の上端および下端は独立してその小範囲に含まれてよく、それらもまた、特許請求の範囲の内容に包含される。ただし、明示されたその範囲内にあって特に除外された端点はいずれも除く。明示された範囲が端点の一方または両方を含む場合、それら含まれた端点の一方または両方を除外した範囲も特許請求の範囲の内容に含まれる。これは範囲の幅とは無関係に適用される。
本明細書において使用する「約」という用語は、当業者にとっては明白な、各値に関する通常の誤差範囲を指す。本明細書において「約」がつく値またはパラメータは、その値またはパラメータそのものに向けられた態様を包含する(そしてそのような態様を記載している)。例えば「約X」という記載は「X」の記載を包含する。
本明細書において、ペプチド、タンパク質またはポリペプチドに関して「単離された」または「精製された」とは、他のポリペプチド、夾雑物、出発試薬もしくは他の材料を実質的に含まない分子、または化学合成された場合には、化学的前駆体もしくは他の化学薬品を実質的に含まない分子を指す。当業者がそのような純度を評価するために使用する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)またはキャピラリー電気泳動(CE)などの標準的分析方法で決定した場合に、調製物が容易に検出できる不純物を含まないと思われるか、または調製物が十分に純粋であって、さらなる精製を行ってもその物質の物理的特性および化学的特性が検出できるほどには変化しないであろう場合に、調製物は不純物を実質的に含まないと決定することができる。
本明細書において使用する場合、「組換え」という用語は、外因性の、例えば異種の、核酸分子の導入によって修飾されている細胞、微生物、核酸分子またはベクターを指すか、内在性の核酸分子または遺伝子の発現が制御され、調節解除され、または構成的になるように改変されている細胞または微生物を指し、ここで、そのような改変または修飾は遺伝子工学によって導入されうる。遺伝子改変には、例えば1つまたは複数のタンパク質または酵素をコードする核酸分子(プロモーターなどの発現制御要素を含みうる)を導入する修飾、あるいは他の核酸分子の付加、欠失、置換、または細胞の遺伝物質の他の機能的破壊もしくは細胞の遺伝物質への他の機能的付加が含まれうる。例示的な修飾として、リファレンス分子または親分子からの異種または相同ポリペプチドのコード領域またはその機能的フラグメントにおける修飾が挙げられる。
本明細書にいう組成物とは、2種類以上の製品、物質、または化合物(細胞を含む)の任意の混合物を指す。これは溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性、またはそれらの任意の組み合わせでありうる。
本明細書において、ある細胞または細胞の集団がある特定マーカーに関して「陽性」であるとは、その細胞上またはその細胞中における特定マーカー(典型的には表面マーカー)の検出可能な存在を指す。表面マーカーに関する場合、この用語は、フローサイトメトリーによって(例えばマーカーに特異的に結合する抗体で染色し、該抗体を検出することによって)検出される表面発現の存在を指し、この場合、前記染色は、アイソタイプ対応対照を他の点では同一な条件下で使って同じ手順を実行することで検出される染色を実質的に上回るレベル、および/またはそのマーカーに関して陽性であることがわかっている細胞でのレベルと類似するレベルで、および/またはそのマーカーに関して陰性であることがわかっている細胞でのレベルより実質的に高いレベルで、フローサイトメトリーによって検出されうる。
本明細書において、ある細胞または細胞の集団が特定マーカーに関して「陰性」であるとは、その細胞上またはその細胞中における特定マーカー(典型的には表面マーカー)の検出可能な実質的存在がないことを指す。表面マーカーに関する場合、この用語は、フローサイトメトリーによって(例えばマーカーに特異的に結合する抗体で染色し、該抗体を検出することによって)検出される表面発現の非存在を指し、この場合、前記染色は、アイソタイプ対応対照を他の点では同一な条件下で使って同じ手順を実行することで検出される染色を実質的に上回るレベル、および/またはそのマーカーに関して陽性であることがわかっている細胞でのレベルより実質的に低いレベル、および/またはそのマーカーに関して陰性であることがわかっている細胞でのレベルと比較して実質的に類似するレベルでは、フローサイトメトリーによって検出されない。
本明細書において使用する「ベクター」という用語は、それが連結された別の核酸を増殖させる能力を有する核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクターも、それが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターも包含する。一定のベクターは、それらが機能的に連結された核酸の発現を指示する能力を有する。そのようなベクターを本明細書では「発現ベクター」という。ベクターには、別の核酸を保有するゲノムを有し、その増殖のために宿主ゲノムに挿入する能力を有するものを含む、CMVベクターなどのウイルスベクターが含まれる。
本明細書にいう「機能的に連結される」とは、コード配列(例えば異種核酸)および核酸制御配列(例えば調節配列)などの構成成分の連係であって、コード配列の発現または転写および/もしくは翻訳を核酸制御配列の影響下または制御下に置くような形でそれらが共有結合で連結されたときに、遺伝子発現が可能になるような方法での連係を指す。したがってこれは、記載された構成成分が、それぞれの意図どおりに機能することを可能にする関係にあることを意味する。
本明細書において使用する「発現」という用語は、遺伝子などの核酸分子のコード配列に基づいてポリペプチドが生産されるプロセスを指す。このプロセスは、転写、転写後制御、転写後修飾、翻訳、翻訳後制御、翻訳後修飾、またはそれらの任意の組合せを含みうる。
細胞への核酸分子の挿入との関連において「導入された」という用語は、「トランスフェクション」または「形質転換」または「形質導入」を意味し、核酸分子が細胞のゲノム(例えば染色体、プラスミド、プラスチドまたはミトコンドリアDNA)に組み込まれ、または自律レプリコンに変換され、または一過性に発現される(例えばトランスフェクトされたmRNA)、真核細胞または原核細胞への核酸分子の組込みへの言及を含む。
本明細書にいう「対象」とは、哺乳動物、例えばヒトまたは他の動物であり、典型的にはヒトである。
本明細書にいう対照とは、試験パラメータで処理されていない点、またはそれが血漿試料である場合は、それが関心対象の状態に冒されていない正常ボランティアからのものでありうる点以外は、試験試料と実質的に同一である試料を指す。対照は内部対照であることもできる。
別段の定義がある場合を除き、本明細書において使用する専門用語、表記ならびに他の技術用語および科学用語または用語法は、特許請求の範囲の内容が関係する技術分野の当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有するものとする。場合により、一般に理解されている意味を持つ用語を、明快さのために、かつ/またはいつでも参照できるように、本明細書において定義するが、本明細書にそのような定義を含めることは、必ずしも、当技術分野において一般に理解されているものとの実質的な相違を表すと解釈すべきでない。
本願において言及する刊行物は、特許文書、科学論文およびデータベースを含めてすべて、個々の刊行物が個別に参照により本明細書に組み入れられた場合と同じ程度に、参照によりその全体があらゆる目的で本明細書に組み入れられる。本明細書に示す定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、出願、出願公開および他の刊行物において示された定義に反するか、または他の形で一致しない場合は、本明細書に示す定義が、参照により本明細書に組み入れられる定義に優先する。
本明細書において使用する項見出しには構成上の目的しかなく、記載する内容をそれらが限定するとみなしてはならない。
VI.例示的態様
本明細書において提供する態様には、以下に挙げるものがある:
1.
(a) 標的抗原をコードする異種核酸を含む組換えサイトメガロウイルス(CMV)ベクター粒子を細胞中に導入する工程;および
(b) 標的抗原のペプチドエピトープを含む、細胞表面上のMHC分子に関連する1種または複数種のペプチドを、検出または同定する工程
を含む、ペプチドエピトープを同定する方法。
2.
細胞上のMHC分子に関連する1種または複数種のペプチドのうちの少なくとも1つに結合するペプチド結合分子またはその抗原結合性フラグメントを同定する工程をさらに含む、態様1記載の方法。
3.
(a) 標的抗原をコードする異種核酸を含む組換えサイトメガロウイルス(CMV)ベクター粒子を細胞中に導入する工程;および
(b) 細胞上のMHC分子に関連する少なくとも1種のペプチドに結合するペプチド結合分子またはその抗原結合性フラグメントを同定する工程
を含む、ペプチドエピトープに結合するペプチド結合分子またはその抗原結合性フラグメントを同定する方法。
4.
工程(b)の前または後に、細胞表面上のMHC分子に関連する1種または複数種のペプチドを検出または同定することによってペプチドエピトープを同定する工程を含む、態様3記載の方法。
5.
CMVベクター粒子が、活性なUL128および/もしくはUL130タンパク質またはそれらのオルソログを発現しない、態様1〜4のいずれかに記載の方法。
6.
CMVベクター粒子が、UL128および/もしくはUL130をコードするオープンリーディングフレームまたはUL128および/もしくはUL130のオルソログをコードするオープンリーディングフレームにおいて改変されている、態様1〜5のいずれかに記載の方法。
7.
CMVベクター粒子が、活性なUL128およびUL130タンパク質またはUL128およびUL130タンパク質のオルソログを発現しない、または
CMVベクター粒子が、UL128およびUL130をコードするオープンリーディングフレームまたはUL128およびUL130のオルソログをコードするオープンリーディングフレームにおいて改変されている、
態様1〜6のいずれかに記載の方法。
8.
CMVベクター粒子が、UL128および/もしくはUL130またはそれらのオルソログをコードするオープンリーディングフレームに、点変異、フレームシフト変異または欠失を含む、態様1〜7のいずれかに記載の方法。
9.
CMVベクター粒子が哺乳動物CMVベクター粒子である、態様1〜8のいずれかに記載の方法。
10.
CMVベクター粒子が霊長類またはヒトCMVベクター粒子である、態様1〜9のいずれかに記載の方法。
11.
CMVベクター粒子がアカゲザルCMVベクター粒子である、態様1〜10のいずれかに記載の方法。
12.
CMVベクター粒子がRhCMV68-1である、態様11記載の方法。
13.
CMVベクター粒子がヒトCMVベクター粒子である、態様1〜10のいずれかに記載の方法。
14.
CMVベクター粒子が、親CMVゲノムと比較して、UL128および/またはUL130をコードするオープンリーディングフレーム内が修飾されたゲノムを含む、態様1〜13のいずれかに記載の方法。
15.
親CMVゲノムと比較して、UL128および/またはUL130をコードするオープンリーディングフレームの全部または機能的に活性な部分が欠失している、態様14記載の方法。
16.
親CMVゲノムが、AD169、Davis、Toledo、TowneまたはMerlin、それらの感染性細菌人工染色体(BAC)または臨床分離株から選択されるヒトCMVゲノムである、態様14または態様15記載の方法。
17.
CMVベクター粒子が、さらに、活性なUL11タンパク質またはUL11タンパク質のオルソログを発現しない、あるいはUL11またはUL11のオルソログをコードするオープンリーディングフレームにおいて改変されている、態様1〜16のいずれかに記載の方法。
18.
MHC分子が、MHCクラスIa、MHCクラスIIまたはMHC-E分子である、態様1〜17のいずれかに記載の方法。
19.
細胞が初代細胞または細胞株である、態様1〜18のいずれかに記載の方法。
20.
細胞がCMVベクター粒子による感染を受ける能力を有する、態様1〜19のいずれかに記載の方法。
21.
細胞が、線維芽細胞、内皮細胞、B細胞、樹状細胞、マクロファージおよび人工抗原提示細胞の中から選択される、態様1〜20のいずれかに記載の方法。
22.
細胞が線維芽細胞である、態様1〜21のいずれかに記載の方法。
23.
線維芽細胞が細胞株または初代線維芽細胞である、態様22記載の方法。
24.
細胞がヒト細胞である、態様1〜23のいずれかに記載の方法。
25.
MHC分子がヒトの分子である、態様1〜24のいずれかに記載の方法。
26.
MHC分子が、HLA-A2、HLA-A1、HLA-A3、HLA-A24、HLA-A28、HLA-A31、HLA-A33、HLA-A34、HLA-B7、HLA-B45およびHLA-Cw8の中から選択されるMHCクラスIa分子である、態様1〜25のいずれかに記載の方法。
27.
MHC分子が、HLA-A*24、HLA-A*02またはHLA-A*01であるMHCクラスIa分子である、態様1〜26のいずれかに記載の方法。
28.
MHC分子が、HLA-DR1、HLA-DR3、HLA-DR4、HLA-DR7、HLA-DR52、HLA-DQ1、HLA-DQ2、HLA-DQ4、HLA-DQ8およびHLA-DP1の中から選択されるMHCクラスII分子である、態様1〜25のいずれかに記載の方法。
29.
MHC分子が、HLA E*01:01またはHLA E*0103のMHC-E分子である、態様1〜25のいずれかに記載の方法。
30.
細胞が、MHC分子を発現するように遺伝子的または組換え的に改変されている、態様1〜29のいずれかに記載の方法。
31.
(1)細胞が、細胞中にCMVベクター粒子を導入する前にまたは細胞中にCMVベクター粒子を導入すると同時に、活性化剤または刺激剤と共にインキュベートされた、または
細胞が、細胞中にCMVベクター粒子を導入する前にまたは細胞中にCMVベクター粒子を導入すると同時に、活性化剤または刺激剤と共にインキュベートされる;あるいは
(2)細胞中にCMVベクター粒子を導入する前に、または細胞中にCMVベクター粒子を導入すると同時に、細胞を活性化剤または刺激剤と共にインキュベートする工程をさらに含む、
態様1〜30のいずれかに記載の方法。
32.
活性化条件または刺激条件でのインキュベーションが、該活性化も該刺激も存在しない場合の細胞表面上のMHC分子の存在と比較して、細胞表面上のMHC分子の存在を増加させる、態様31記載の方法。
33.
発現が少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍増加する、態様31または態様32記載の方法。
34.
活性化または刺激がインターフェロンガンマの存在下で達成される、態様31〜33のいずれかに記載の方法。
35.
細胞が、細胞中のMHCクラスIa分子をコードする遺伝子において抑制されておりかつ/または破壊されており、かつ/または細胞がMHCクラスIa分子を発現しない、態様1〜25および28〜34のいずれかに記載の方法。
36.
MHCクラスIa分子をコードする遺伝子がHLA-A、HLA-BまたはHLA-C遺伝子である、態様35記載の方法。
37.
抑制が阻害性核酸分子によって達成される、態様35または態様36記載の方法。
38.
阻害性核酸分子がRNA干渉剤を含む、態様37記載の方法。
39.
阻害性核酸分子が、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA適合shRNA、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、ヘアピンsiRNA、マイクロRNA(miRNA前駆体)またはマイクロRNA(miRNA)である、それらを含む、またはそれらをコードする、態様37または態様38記載の方法。
40.
遺伝子の破壊が、遺伝子編集ヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列核酸(clustered regularly interspaced short palindromic nucleic acid)(CRISPR)/Cas9および/またはTAL-エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)によって媒介される、態様35または態様36記載の方法。
41.
細胞におけるMHCクラスIa分子の発現が、前記破壊が存在しない場合の細胞における発現と比較して、少なくとも50、60、70、80、90または95%低減される、態様35〜40のいずれかに記載の方法。
42.
標的抗原がタンパク質またはポリペプチドである、態様1〜41のいずれかに記載の方法。
43.
標的抗原が腫瘍抗原、自己免疫抗原、炎症性抗原または病原体抗原である、態様1〜42のいずれかに記載の方法。
44.
病原体抗原が細菌抗原またはウイルス抗原である、態様43記載の方法。
45.
標的抗原が、公知である、または予め決定されている、態様1〜44のいずれかに記載の方法。
46.
標的抗原が腫瘍抗原であり、腫瘍抗原が、神経膠腫関連抗原、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、アルファフェトプロテイン(AFP)、レクチン反応性AFP、チログロブリン、RAGE-I、MN-CA IX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2(AS)、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、M-CSF、メラニン-A/MART-1、WT-1、S-100、MBP、CD63、MUC1(例えばMUC1-8)、p53、Ras、サイクリンB1、HER-2/neu、がん胎児性抗原(CEA)、gp100、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A7、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A11、MAGE-A11、MAGE-B1、MAGE-B2、MAGE-B3、MAGE-B4、MAGE-C1、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、p15、チロシナーゼ(例えばチロシナーゼ関連タンパク質1(TRP-1)またはチロシナーゼ関連タンパク質2(TRP-2))、β-カテニン、NY-ESO-1、LAGE-1a、PP1、MDM2、MDM4、EGVFvIII、Tax、SSX2、テロメラーゼ、TARP、pp65、CDK4、ビメンチン、S100、eIF-4A1、IFN誘導性p78およびメラノトランスフェリン(p97)、ウロプラキンII、前立腺特異抗原(PSA)、ヒトカリクレイン(huK2)、前立腺特異的膜抗原(PSM)および前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、好中球エラスターゼ、エフリンB2、BA-46、Bcr-abl、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、カスパーゼ8、FRa、CD24、CD44、CD133、CD166、epCAM、CA-125、HE4、Oval、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、uPA、PAI-1、CD19、CD20、CD22、ROR1、CD33/IL3Ra、c-Met、PSMA、糖脂質F77、GD-2、インスリン成長因子(IGF)-I、IGF-II、IGF-I受容体およびメソテリンの中から選択される、態様1〜43のいずれかに記載の方法。
47.
標的抗原が、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、肝炎ウイルス感染、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ヒトヘルペスウイルス8(HHV-8)、ヒトT細胞白血病ウイルス-1(HTLV-1)、ヒトT細胞白血病ウイルス-2(HTLV-2)およびサイトメガロウイルス(CMV)から選択されるウイルス抗原である、態様1〜44のいずれかに記載の方法。
48.
ウイルス抗原が、HPV-16、HPV-18、HPV-31、HPV-33およびHPV-35の中から選択されるHPV抗原である、態様47記載の方法。
49.
ウイルス抗原が、エプスタイン・バー核抗原(EBNA)-1、EBNA-2、EBNA-3A、EBNA-3B、EBNA-3C、EBNA-リーダータンパク質(EBNA-LP)、潜伏感染膜タンパク質LMP-1、LMP-2AおよびLMP-2B、EBV-EA、EBV-MAおよびEBV-VCAの中から選択されるEBV抗原である、態様47記載の方法。
50.
ウイルス抗原が、TAXであるHTLV抗原である、態様47記載の方法。
51.
ウイルス抗原が、B型肝炎コア抗原またはB型肝炎エンベロープ抗原であるHBV抗原である、態様47記載の方法。
52.
MHC分子に関連する1種または複数種のペプチドを検出または同定する工程が、細胞の溶解物からペプチドを抽出すること、または細胞表面からペプチドを溶離させることを含む、態様1〜2および4〜51のいずれかに記載の方法。
53.
MHC分子に関連する1種または複数種のペプチドを検出または同定する工程が、1種または複数種のMHC分子を細胞から単離すること、および該MHC分子から1種または複数種の会合したペプチドを溶離させることを含む、態様1〜2および4〜51のいずれかに記載の方法。
54.
1種または複数種のMHC分子を単離する工程が、細胞を可溶化することおよび免疫沈降または免疫アフィニティークロマトグラフィーによってMHC分子を選択することを含む、態様53記載の方法。
55.
1種または複数種のペプチドが細胞の溶解物から抽出されるか、穏和な酸または希酸の存在下で細胞表面またはMHC分子から溶離される、態様52〜54のいずれかに記載の方法。
56.
1種または複数種のペプチドを分画、分離、または精製する工程を含む、態様52〜55のいずれかに記載の方法。
57.
1種または複数種のペプチドを配列決定する工程を含む、態様56記載の方法。
58.
MHC分子に関連する同定されたペプチドエピトープが抗原特異的免疫応答を誘発するかどうかを決定する工程を含む、態様1〜2および4〜57のいずれかに記載の方法。
59.
抗原特異的免疫応答が細胞傷害性T細胞応答または液性T細胞応答である、態様58記載の方法。
60.
T細胞が初代T細胞またはT細胞クローンである、態様59記載の方法。
61.
T細胞が、健常対象もしくは正常対象または病原体保有対象もしくは腫瘍保有対象に由来する、態様60記載の方法。
62.
病原体保有対象または腫瘍保有対象が、標的抗原に曝露された対象または標的抗原に曝露された可能性がある対象である、態様61記載の方法。
63.
対象が腫瘍保有対象であり、腫瘍が黒色腫、肉腫、乳がん、腎臓がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、結腸直腸がん、膵臓がん、頭頸部の扁平上皮腫瘍または肺の扁平上皮がんである、態様61または態様62記載の方法。
64.
T細胞が正常対象または健常対象に由来し、T細胞が、前記同定されたペプチドエピトープにより、インビトロでプライミングされる、態様63記載の方法。
65.
CMVベクター粒子が導入されていないかまたは標的抗原をコードする異種核酸を欠くCMVベクター粒子が導入されている、対照細胞表面上で形成された、MHC分子に関連する1種または複数種のペプチドを検出または同定する工程、および
対照細胞と比較して、異種核酸を含有するCMVベクター粒子が導入された細胞に特有の、MHC分子に関連する1種または複数種のペプチドを同定する工程
を含み、それによって標的抗原の1種または複数種のペプチドエピトープを同定する、態様1〜64のいずれかに記載の方法。
66.
ペプチドエピトープが非カノニカルペプチドエピトープである、態様1〜65のいずれかに記載の方法。
67.
ペプチドエピトープが、8〜50アミノ酸、8〜13アミノ酸、9〜22アミノ酸または11〜42アミノ酸の長さを有する、態様1〜66のいずれかに記載の方法。
68.
ペプチドエピトープが、
結合するMHCに対するIC50が、200nM超、300nM超、400nM超、500nM超、600nM超、700nM超、800nM超、900nM超、1000nM超であるかまたはそれより大きい、結合親和性
を有する、態様1〜67のいずれかに記載の方法。
69.
ペプチドエピトープが、
結合するMHCに対するIC50が、500nm未満、400nM未満、300nM未満、200nM未満、100nM未満、50nM未満であるかまたはそれより小さい、結合親和性
を有する、態様1〜68のいずれかに記載の方法。
70.
ペプチドエピトープが、対象におけるCD4+および/またはCD8+免疫応答を誘導する能力を有する、態様1〜69のいずれかに記載の方法。
71.
ペプチドエピトープが、対象におけるCD8+免疫応答を誘導する能力を有する、態様1〜70のいずれかに記載の方法。
72.
ペプチドエピトープがユニバーサルペプチドエピトープおよび/またはスーパートープである、態様1〜71のいずれかに記載の方法。
73.
ペプチドエピトープが、同じタイプまたは同じスーパータイプの少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種またはそれより多いMHC分子に結合する、態様1〜72のいずれかに記載の方法。
74.
MHC遺伝子座が遺伝的に多様である集団中の大部分の対象において免疫応答が誘発される、態様70〜73のいずれかに記載の方法。
75.
集団中の50%超、60%超、70%超、80%超、90%超またはそれより多い対象において免疫応答が誘発される、態様74記載の方法。
76.
対象の集団がヒトの集団である、態様74または態様75記載の方法。
77.
ユニバーサルペプチドエピトープまたはスーパートープがMHCクラスII分子に結合する能力を有する、態様72〜76のいずれかに記載の方法。
78.
ユニバーサルペプチドエピトープまたはスーパートープがCD8+T細胞応答および/またはCD4+T細胞応答を誘導する能力を有する、態様77記載の方法。
79.
ユニバーサルペプチドエピトープまたはスーパートープがCD8+T細胞応答を誘導する能力を有する、態様77または態様78記載の方法。
80.
ユニバーサルペプチドエピトープまたはスーパートープがMHCクラスE分子に結合する能力を有する、態様72〜76のいずれかに記載の方法。
81.
インビトロで行われる、態様1〜80のいずれかに記載の方法。
82.
態様1〜2、4〜81および138〜140のいずれかに記載の方法によって同定される、ペプチドエピトープ。
83.
MHCクラスIa分子に結合する能力を有する、態様82記載のペプチドエピトープ。
84.
MHCクラスII分子に結合する能力を有する、態様82記載のペプチドエピトープ。
85.
MHC E分子に結合する能力を有する、態様82記載のペプチドエピトープ。
86.
態様82〜85のいずれかに記載のMHC分子に関連するペプチドエピトープを含む、安定なMHC-ペプチド複合体。
87.
細胞表面上に存在する態様86記載の安定なMHC-ペプチド複合体。
88.
ペプチド結合分子またはその抗原結合性フラグメントを同定する工程が、
(i) 細胞上のMHC分子に関連する少なくとも1種のペプチドへの複数の候補ペプチド結合分子またはそれらの抗原結合性フラグメントの結合を評価すること;および
(ii) 該複数の中から、MHC分子に関連する少なくとも1種のペプチドに結合する1種または複数種のペプチド結合分子を同定すること
を含む、態様2〜81および138〜140のいずれかに記載の方法。
89.
(a) 態様86または態様87記載のMHC-ペプチド複合体への複数の候補ペプチド結合分子またはそれらの抗原結合性フラグメントの結合を評価する工程;および
(b)該複数の中から、該複合体に結合する1種または複数種のペプチド結合分子を同定する工程
を含む、MHC-ペプチド複合体に結合するペプチド結合分子またはその抗原結合性フラグメントを同定する方法。
90.
(a) 態様1〜2、4〜81および138〜140のいずれかに記載の方法によって標的抗原のペプチドエピトープを同定する工程;
(b) 該ペプチドエピトープを含む安定なMHC-ペプチド複合体への複数の候補ペプチド結合分子またはそれらの抗原結合性フラグメントの結合を評価する工程;および
(c) 該複数の中から、該MHC-ペプチド複合体に結合する1種または複数種のペプチド結合分子またはそれらの抗原結合性フラグメントを同定する工程
を含む、MHC-ペプチド複合体に結合するペプチド結合分子またはその抗原結合性フラグメントを同定する方法。
91.
複数の候補ペプチド結合分子が、1種または複数種のT細胞受容体(TCR)、TCRの1種もしくは複数種の抗原結合性フラグメントまたは1種もしくは複数種の抗体もしくはそれらの抗原結合性フラグメントを含む、態様88〜90のいずれかに記載の方法。
92.
複数の候補ペプチド結合分子が、少なくとも2、5、10、100、103、104、105、106、107、108、109種またはそれ以上の異なる分子を含む、態様89〜91のいずれかに記載の方法。
93.
複数の候補ペプチド結合分子が、対象または対象の集団からの試料から得られる1種または複数種の候補ペプチド結合分子を含む、または
複数の候補ペプチド結合分子が、対象からの試料から得られる親スキャフォールドペプチド結合分子中に変異を含む1種または複数種の候補ペプチド結合分子を含む、
態様88〜92のいずれかに記載の方法。
94.
対象または対象の集団が、正常対象もしくは健常対象である、または罹患対象である、態様93記載の方法。
95.
罹患対象が腫瘍保有対象である、態様94記載の方法。
96.
候補ペプチド結合分子がTCRまたはそれらの抗原結合性フラグメントを含み、対象が標的抗原のペプチドエピトープによるワクチン接種を受けたことがある、態様93〜95のいずれかに記載の方法。
97.
対象がヒトまたは齧歯類である、態様93〜96のいずれかに記載の方法。
98.
対象が、HLAトランスジェニックマウスである、かつ/またはヒトTCRトランスジェニックマウスである、態様93〜97記載の方法。
99.
候補ペプチド結合分子がTCRまたはそれらの抗原結合性フラグメントを含み、試料がT細胞を含む、態様93〜98のいずれかに記載の方法。
100.
試料が末梢血単核細胞(PBMC)または腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)を含む、態様99記載の方法。
101.
TCRの抗原結合性フラグメントが単鎖TCR(scTCR)である、態様91〜100のいずれかに記載の方法。
102.
複数の候補ペプチド結合分子が抗体またはそれらの抗原結合性フラグメントを含み、試料がB細胞を含む、態様93〜97のいずれかに記載の方法。
103.
試料が血液、骨髄および脾臓の中から選択され、かつ/または試料がPBMC、脾細胞または骨髄細胞を含む、態様102記載の方法。
104.
抗体またはそれらの抗原結合性フラグメントがIgM由来の抗体または抗原結合性フラグメントである、態様102または態様103記載の方法。
105.
候補ペプチド結合分子がネイティブ抗体ライブラリ中に存在する、態様88〜100および102〜104のいずれかに記載の方法。
106.
候補ペプチド結合分子が単鎖可変フラグメント(scFv)である、態様88〜100および102〜105のいずれかに記載の方法。
107.
候補ペプチド結合分子が、親ペプチド結合分子と比較して1つまたは複数のアミノ酸変異を含む、態様88〜106のいずれかに記載の方法。
108.
1つまたは複数のアミノ酸変異が、分子の1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)における1つまたは複数の変異を含む、態様107記載の方法。
109.
候補ペプチド結合分子がディスプレイライブラリ中に存在する、態様88〜108のいずれかに記載の方法。
110.
ディスプレイライブラリが、細胞表面ディスプレイライブラリ、ファージディスプレイライブラリ、リボソームディスプレイライブラリ、mRNAディスプレイライブラリおよびdsDNAディスプレイライブラリの中から選択される、態様109記載の方法。
111.
MHC-ペプチド複合体への複数の候補ペプチド結合分子またはそれらの抗原結合性フラグメントの結合を評価する前に、
MHC-ペプチド複合体を含む免疫原で宿主を免疫する工程、および
候補ペプチド結合分子を含む試料を宿主から収集する工程
を含む、態様88〜92のいずれかに記載の方法。
112.
宿主がヒトまたは齧歯類である、態様111記載の方法。
113.
試料が血液、血清または血漿である、態様112記載の方法。
114.
同定されたペプチド結合分子またはその抗原結合性フラグメントが、
MHC-ペプチド複合体に対する解離定数(KD)が、10-5M〜10-13M、10-5M〜10-9Mもしくは10-7M〜10-12Mまたは約10-5M〜10-13M、10-5M〜10-9Mもしくは10-7M〜10-12Mである、結合親和性
を呈する;あるいは
同定されたペプチド結合分子が、
MHC-ペプチド複合体に対するKDが、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M未満もしくは約10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M未満であるかまたはそれより低い、結合親和性
を呈する、
態様88〜113のいずれかに記載の方法。
115.
態様88〜114のいずれかに記載の方法によって同定される、ペプチド結合分子またはその抗原結合性フラグメント。
116.
TCRまたはその抗原結合性フラグメントである、態様115記載のペプチド結合分子またはその抗原結合性フラグメント。
117.
抗体またはその抗原結合性フラグメントである、態様116記載のペプチド結合分子またはその抗原結合性フラグメント。
118.
態様115〜117のいずれかに記載のペプチド結合分子またはその抗原結合性フラグメントを含む、組換え抗原受容体。
119.
キメラ抗原受容体(CAR)である、態様118記載の組換え抗原受容体。
120.
態様116〜118のいずれかに記載のペプチド結合分子もしくはその抗原結合性フラグメントまたは態様118もしくは態様119記載の組換え抗原受容体を発現する、遺伝子改変細胞。
121.
T細胞である、態様120記載の遺伝子改変細胞。
122.
T細胞がCD4+T細胞またはCD8+T細胞である、態様121記載の遺伝子改変細胞。
123.
ペプチド結合分子もしくはその抗原結合性フラグメントまたはペプチド結合分子もしくはその抗原結合性フラグメントを含む組換え抗原受容体を発現し、該ペプチド結合分子またはその抗原結合性フラグメントがMHCクラスII分子に関連して提示されるペプチドエピトープに特異的に結合する、CD8+遺伝子改変細胞。
124.
ペプチド結合分子が抗体またはその抗原結合性フラグメントである、態様123記載のCD8+遺伝子改変細胞。
125.
組換え抗原受容体がT細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)である、態様124記載のCD8+遺伝子改変細胞。
126.
CD8+T細胞が、第2のペプチド結合分子もしくはその抗原結合性フラグメントまたは第2のペプチド結合分子もしくはその抗原結合性フラグメントを含む組換え抗原受容体をさらに発現し、第2のペプチド結合分子またはその抗原結合性フラグメントが、MHCクラスIa分子またはMHC-E分子に関連して提示されるペプチドエピトープに特異的に結合する、態様123〜125のいずれかに記載のCD8+遺伝子改変細胞。
127.
態様115〜117のいずれかに記載のペプチド結合分子もしくはその抗原結合性フラグメント、態様118もしくは態様119記載の組換え抗原受容体、または態様120〜126のいずれかに記載の遺伝子改変細胞を含む、組成物。
128.
MHCクラスII分子に関連して提示されたペプチドエピトープに結合するペプチド結合分子またはその抗原結合性フラグメントを含む組換え抗原受容体を発現するようにそれぞれ工学的に改変されたCD4+T細胞およびCD8+T細胞を含む、組成物。
129.
CD4+細胞およびCD8+細胞が、同じペプチド結合分子またはその抗原結合性フラグメントを発現する、態様128記載の組成物。
130.
ペプチド結合分子またはその抗原結合性フラグメントが、T細胞受容体(TCR)、TCRの抗原結合性フラグメント、抗体または抗体の抗原結合性フラグメントである、態様128または態様129記載の組成物。
131.
組換え抗原受容体がキメラ抗原受容体(CAR)である、態様128〜130のいずれかに記載の組成物。
132.
組成物中のCD8+T細胞が、MHCクラスIa分子またはMHC-E分子に関連して提示されるペプチドエピトープに特異的に結合する第2のペプチド結合分子またはその抗原結合性フラグメントを含む組換え抗原受容体で、さらに工学的に改変されている、態様128〜131のいずれかに記載の組成物。
133.
組成物中のCD4+細胞対CD8+細胞の比率が、5:1もしくは約5:1〜1:5もしくは約1:5、1:3もしくは約1:3〜3:1もしくは約3:1、2:1もしくは約2:1〜1:5もしくは約1:5、または2:1もしくは約2:1〜1:5もしくは約1:5である、態様128〜132のいずれかに記載の組成物。
134.
薬学的に許容される担体を含む、態様127〜133のいずれかに記載の組成物。
135.
態様127〜134のいずれかに記載の組成物を対象に投与する工程を含む、疾患または状態を処置する方法。
136.
組換え抗原受容体が疾患または状態に関連する抗原に結合する、態様135記載の方法。
137.
疾患または状態ががんである、態様135または態様136記載の方法。
138.
CMVベクター粒子がUL40およびUS28をコードする、態様1〜81のいずれかに記載の方法。
139.
CMVベクター粒子が1つまたは複数の活性なUL40タンパク質および/または活性なUS28タンパク質を発現する、態様1〜81および138のいずれかに記載の方法。
140.
活性なUL40をコードする1つもしくは複数のオープンリーディングフレームおよび/または活性なUS28をコードする1つもしくは複数のオープンリーディングフレームを含有する異種核酸がCMVベクター粒子に挿入されている、態様1〜81、138および139のいずれかに記載の方法。
141.
疾患または状態の処置における使用のための態様127〜134のいずれかに記載の薬学的組成物。
142.
組換え抗原受容体が疾患または状態に関連する抗原に結合する、態様141記載の使用のための薬学的組成物。
143.
疾患または状態ががんである、態様141または態様142記載の使用のための薬学的組成物。
いくつかの態様において、そのようなCARコンストラクトは、例えばCARの下流に、T2Aリボソームスキップ要素および/またはtEGFR配列、例えばSEQ ID NO:45もしくは61(tEGFRの場合)およびSEQ ID NO:46もしくは56(T2Aの場合)またはSEQ ID NO:45もしくは61(tEGFRの場合)およびSEQ ID NO:46もしくは56(T2Aの場合)に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を呈するアミノ酸の配列を、さらに含む。