本発明は、補体成分C5遺伝子のRNA転写物のRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を介した切断をもたらすiRNA剤を提供する。
本発明のiRNAは、約30ヌクレオチド長以下、例えば、15〜30、15〜29、15〜28、15〜27、15〜26、15〜25、15〜24、15〜23、15〜22、15〜21、15〜20、15〜19、15〜18、15〜17、18〜30、18〜29、18〜28、18〜27、18〜26、18〜25、18〜24、18〜23、18〜22、18〜21、18〜20、19〜30、19〜29、19〜28、19〜27、19〜26、19〜25、19〜24、19〜23、19〜22、19〜21、19〜20、20〜30、20〜29、20〜28、20〜27、20〜26、20〜25、20〜24,20〜23、20〜22、20〜21、21〜30、21〜29、21〜28、21〜27、21〜26、21〜25、21〜24、21〜23、又は21〜22ヌクレオチド長の領域を有するRNA鎖(アンチセンス鎖)を含み得、この領域は、C5遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部に実質的に相補的である。
特定の実施形態において、本発明のiRNAは、補体成分C5遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部に実質的に相補的な少なくとも19連続ヌクレオチドの領域を有する、より長い長さ、例えば、最大で66ヌクレオチド、例えば、36〜66、26〜36、25〜36、31〜60、22〜43、27〜53ヌクレオチド長を含み得るRNA鎖(アンチセンス鎖)を含む。より長い長さのアンチセンス鎖を有するこれらのiRNAは、好ましくは、20〜60ヌクレオチド長の第2のRNA鎖(センス鎖)を含み、ここで、センス及びアンチセンス鎖は、18〜30連続ヌクレオチドの二本鎖を形成する。
これらのiRNAの使用は、哺乳動物のC5遺伝子のmRNAの標的化された分解を可能にする。特に、非常に低い用量のC5 iRNAは、特異的に且つ効率的にRNA干渉(RNAi)を媒介し、C5遺伝子の発現のかなりの阻害をもたらし得る。本発明者らは、C5を標的とするiRNAが、インビトロ及びインビボでRNAiを媒介し、C5遺伝子の発現のかなりの阻害をもたらし得ることを実証した。したがって、これらのiRNAを含む方法及び組成物が、発作性夜間血色素尿症(PNH)などの補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象などの、C5タンパク質のレベル及び/又は活性の低下によって利益を得られ得る対象を処置するのに有用である。
本発明は、補体成分C5遺伝子のRNA転写物のRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を介した切断をもたらすiRNA組成物を用いて、C5遺伝子の発現を阻害するか又は低下させることから利益を得られ得る障害、例えば、発作性夜間血色素尿症(PNH)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、視神経脊髄炎(NMO)及び重症筋無力症などの補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象を処置するための方法及び併用療法も提供する。
本発明は、C5遺伝子の発現を阻害するか又は低下させることから利益を得られ得る障害、例えば、発作性夜間血色素尿症(PNH)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、視神経脊髄炎(NMO)及び重症筋無力症などの補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象の少なくとも1つの症状、例えば、溶血を予防するための方法も提供する。本発明は、補体成分C5遺伝子のRNA転写物のRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を介した切断をもたらすiRNA組成物を更に提供する。C5遺伝子は、細胞、例えば、ヒトなどの対象内の細胞内にあり得る。
本発明の併用療法は、本発明のRNAi剤及び抗補体成分C5抗体、又はその抗原結合フラグメント、例えば、エクリズマブなどの更なる治療剤を補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象に投与する工程を含む。本発明の併用療法は、本発明のiRNA剤を用いて、C5 mRNAを標的とすることによって、(例えば、約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は約99%だけ)対象におけるC5レベルを減少させ、したがって、対象を処置するのに必要なエクリズマブの治療的に(又は予防的に)有効な量を減少させ、それによって、治療費を低減し、皮下投与などの、エクリズマブを投与するより容易で且つ好都合な方法を可能にする。
以下の詳細な説明は、C5遺伝子の発現を阻害するためにiRNAを含有する組成物を作製し、使用する方法、並びにこの遺伝子の発現の阻害及び/又は低下から利益を得られ得る疾病及び障害に罹患している対象を処置するための組成物、使用、及び方法を開示する。
I.定義
本発明がより容易に理解され得るように、いくつかの用語がまず定義される。更に、変数の値又は値の範囲が記載されるときは常に、記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図されることに留意されたい。
冠詞「a」及び「an」は、その冠詞の文法的目的語の1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書において使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素又は2つ以上の要素、例えば、複数の要素を意味する。
「〜を含む(including)」という用語は、「〜を含むがこれらに限定されない(including but not limited to)」という語句を意味するために本明細書において使用され、この語句と同義的に使用される。
「又は」という用語は、文脈上明らかに他の意味を示さない限り、「及び/又は」という用語を意味するために本明細書において使用され、この用語と同義的に使用される。
本明細書において使用される際、「C5」という用語と同義的に使用される「補体成分C5」は、当該技術分野において、CPAMD4、C3及びPZP様α−2−マクログロブリンドメイン含有タンパク質、アナフィラトキシンC5a類似体、溶血性補体(Hc)、及び補体C5としても知られている周知の遺伝子及びポリペプチドを指す。ヒトC5 mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank登録番号GI:38016946(NM_001735.2;配列番号1)に見られる。アカゲザルC5 mRNAの配列は、例えば、GenBank登録番号GI:297270262(XM_001095750.2;配列番号2)に見られる。マウスC5 mRNAの配列は、例えば、GenBank登録番号GI:291575171(NM_010406.2;配列番号3)に見られる。ラットC5 mRNAの配列は、例えば、GenBank登録番号GI:392346248(XM_345342.4;配列番号4)に見られる。C5 mRNA配列の更なる例が、公開されているデータベース、例えば、GenBankを用いて容易に利用可能である。
本明細書において使用される際の「C5」という用語は、C5遺伝子における一塩基ヌクレオチド多型などのC5遺伝子の天然DNA配列の変異も指す。C5遺伝子中の多くのSNPが、同定されており、例えば、NCBI dbSNPに見られる(例えば、ncbi.nlm.nih.gov/snpを参照)。C5遺伝子内のSNPの非限定的な例は、NCBI dbSNP登録番号rs121909588及びrs121909587に見られる。
本明細書において使用される際、「標的配列」は、一次転写産物のRNAプロセシングの産物であるmRNAを含む、C5遺伝子の転写の際に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列の連続する部分を指す。一実施形態において、配列の標的部分は少なくとも、C5遺伝子の転写の際に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列の該当部分で又はその近くでiRNA指向性切断のための基質として働くのに十分な長さであろう。
標的配列は、約9〜36ヌクレオチド長、例えば、約15〜30ヌクレオチド長であり得る。例えば、標的配列は、約15〜30ヌクレオチド、15−29、15〜28、15〜27、15〜26、15〜25、15〜24、15〜23、15〜22、15〜21、15〜20、15〜19、15〜18、15〜17、18〜30、18〜29、18〜28、18〜27、18〜26、18〜25、18〜24、18〜23、18〜22、18〜21、18〜20、19〜30、19〜29、19〜28、19〜27、19〜26、19〜25、19〜24、19〜23、19〜22、19〜21、19〜20、20〜30、20〜29、20〜28、20〜27、20〜26、20〜25、20〜24,20〜23、20〜22、20〜21、21〜30、21〜29、21〜28、21〜27、21〜26、21〜25、21〜24、21〜23、又は21〜22ヌクレオチド長であり得る。上に記載される範囲及び長さの中間の範囲及び長さも、本発明の一部であると考えられる。
本明細書において使用される際、「配列を含む鎖」という用語は、標準的なヌクレオチドの命名法を用いて示される配列によって表されるヌクレオチドの鎖を含むオリゴヌクレオチドを指す。
「G」、「C」、「A」及び「U」はそれぞれ、一般に、それぞれ、塩基としてグアニン、シトシン、アデニン、及びウラシルを含むヌクレオチドを表す。しかしながら、「リボヌクレオチド」又は「ヌクレオチド」という用語は、以下に更に詳述されるように、修飾ヌクレオチド、又は代理置換部分(surrogate replacement moiety)も指し得ることが理解されよう(例えば表2を参照)。当業者は、グアニン、シトシン、アデニン、及びウラシルが、このような置換部分を有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基対合特性をそれほど変化させずに他の部分によって置換されてもよいことを十分に認識している。例えば、限定はされないが、その塩基としてイノシンを含むヌクレオチドが、アデニン、シトシン、又はウラシルを含むヌクレオチドと塩基対合し得る。したがって、ウラシル、グアニン、又はアデニンを含むヌクレオチドは、本発明において特徴づけられるdsRNAのヌクレオチド配列において、例えば、イノシンを含むヌクレオチドによって置換されてもよい。別の例では、オリゴヌクレオチド中のどこかのアデニン及びシトシンが、それぞれグアニン及びウラシルで置換されて、標的mRNAとのG−Uゆらぎ塩基対合が形成され得る。このような置換部分を含有する配列は、本発明に取り上げられる組成物及び方法に好適である。
本明細書において同義的に使用される「iRNA」、「RNAi剤」、「iRNA剤」、「RNA干渉剤」という用語は、その用語が本明細書において定義されるように、RNAを含有し、且つRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)経路を介してRNA転写物の標的化された切断を仲介する剤を指す。iRNAは、RNA干渉(RNAi)として公知のプロセスによってmRNAの配列に特異的な分解を導く。iRNAは、細胞、例えば、哺乳動物対象などの対象中の細胞内でのC5の発現を調節する(例えば阻害する)。
一実施形態において、本発明のRNAi剤は、標的RNA配列、例えば、C5標的mRNA配列と相互作用して、標的RNAの切断を導く一本鎖RNAを含む。理論に制約されるのを望むものではないが、細胞中に導入される長い二本鎖RNAが、Dicerとして公知のIII型エンドヌクレアーゼによってsiRNAに分解されると考えられる(Sharp et al.(2001)Genes Dev.15:485)。リボヌクレアーゼIII様酵素であるDicerは、dsRNAをプロセシングして、特徴的な2つの塩基3’オーバーハングを有する19〜23塩基対の短干渉RNAにする(Bernstein,et al.,(2001)Nature 409:363)。次に、siRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれ、ここで、1つ又は複数のヘリカーゼが、siRNA二本鎖をほどいて、相補的なアンチセンス鎖が、標的認識を導くことを可能にする(Nykanen,et al.,(2001)Cell 107:309)。適切な標的mRNAに結合すると、RISC中の1つ又は複数のエンドヌクレアーゼが標的を切断して、サイレンシングを誘導する(Elbashir,et al.,(2001)Genes Dev.15:188)。ここで、一態様において、本発明は、細胞中で生成され、且つ標的遺伝子、すなわち、C5遺伝子のサイレンシングをもたらすRISC複合体の形成を促進する一本鎖RNA(siRNA)に関する。したがって、「siRNA」という用語はまた、上記のRNAiを指すために本明細書において使用される。
別の実施形態において、RNAi剤は、標的mRNAを阻害するために細胞又は生物に導入される一本鎖siRNAであり得る。一本鎖RNAi剤は、RISCエンドヌクレアーゼArgonaute 2に結合し、これが、次に、標的mRNAを切断する。一本鎖siRNAは、一般に、15〜30のヌクレオチドであり、化学的に修飾される。一本鎖siRNAの設計及び試験が、米国特許第8,101,348号明細書及びLima et al.,(2012)Cell 150:883−894に記載され、それぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。本明細書に記載されるアンチセンスヌクレオチド配列のいずれかが、本明細書に記載されるような又はLima et al.,(2012)Cell 150;:883−894に記載される方法によって化学的に修飾される一本鎖siRNAとして使用され得る。
別の実施形態において、本発明の組成物、使用及び方法に使用するための「iRNA」は、二本鎖RNAであり、本明細書において「二本鎖RNAi剤」、「二本鎖RNA(dsRNA)分子」、「dsRNA剤」、又は「dsRNA」と呼ばれる。「dsRNA」という用語は、標的RNA、すなわち、C5遺伝子に対する「センス」及び「アンチセンス」配向を有することが示される、2本の逆平行で且つ実質的に相補的な核酸鎖を含む二本鎖構造を有するリボ核酸分子の複合体を指す。本発明のある実施形態において、二本鎖RNA(dsRNA)は、本明細書においてRNA干渉又はRNAiと呼ばれる、転写後遺伝子サイレンシング機構による、標的RNA、例えば、mRNAの分解を引き起こす。
一般に、dsRNA分子のそれぞれの鎖のヌクレオチドの大部分は、リボヌクレオチドであるが、本明細書において詳細に記載されるように、それぞれの又は両方の鎖は、1つ又は複数の非リボヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチド及び/又は修飾ヌクレオチドも含み得る。更に、本明細書において使用される際、「RNAi剤」は、化学的修飾を有するリボヌクレオチドを含んでいてもよく;RNAi剤は、複数のヌクレオチドにおける実質的な修飾を含み得る。本明細書において使用される際、「修飾ヌクレオチド」という用語は、独立して、修飾糖部分、修飾ヌクレオチド間結合、及び/又は修飾核酸塩基を有するヌクレオチドを指す。したがって、修飾ヌクレオチドという用語は、ヌクレオシド間結合、糖部分、又は核酸塩基に対する、例えば、官能基又は原子の置換、付加又は除去を包含する。本発明の剤に使用するのに好適な修飾は、本明細書に開示されるか又は当該技術分野において公知のあらゆるタイプの修飾を含む。siRNAタイプの分子に使用される際のいずれのこのような修飾も、本明細書及び特許請求の範囲の目的のために「RNAi剤」によって包含される。二本鎖領域は、RISC経路を介した所望の標的RNAの特異的な分解を可能にする任意の長さのものであってもよく、約9〜36塩基対の長さ、例えば、約15〜30塩基対の長さの範囲、例えば、約15〜30、15〜29、15〜28、15〜27、15〜26、15〜25、15〜24、15〜23、15〜22、15〜21、15〜20、15〜19、15〜18、15〜17、18〜30、18〜29、18〜28、18〜27、18〜26、18〜25、18〜24、18〜23、18〜22、18〜21、18〜20、19〜30、19〜29、19〜28、19〜27、19〜26、19〜25、19〜24、19〜23、19〜22、19〜21、19〜20、20〜30、20〜29、20〜28、20〜27、20〜26、20〜25、20〜24,20〜23、20〜22、20〜21、21〜30、21〜29、21〜28、21〜27、21〜26、21〜25、21〜24、21〜23、又は21〜22塩基対の長さなどの、約9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、又は36塩基対の長さであり得る。上に記載される範囲及び長さの中間の範囲及び長さも、本発明の一部であると考えられる。
二本鎖構造を形成する2本の鎖は、1つのより大きいRNA分子の異なる部分であってもよく、又はそれらは別個のRNA分子であってもよい。2本の鎖が、1つのより大きい分子の一部であり、したがって、二本鎖構造を形成する1本の鎖の3’末端とその他方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの連続した鎖によって結合された場合、結合するRNA鎖は、「ヘアピンループ」と呼ばれる。ヘアピンループは、少なくとも1つの不対ヌクレオチドを含み得る。ある実施形態において、ヘアピンループは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも23個又はそれ以上の不対ヌクレオチドを含み得る。
dsRNAの2つの実質的に相補的な鎖が、別個のRNA分子によって構成される場合、それらの分子は、共有結合され得るが、共有結合されていなくてもよい。2本の鎖が、二本鎖構造を形成する1本の鎖の3’末端とその他方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの連続した鎖以外の手段によって共有結合された場合、結合構造は、「リンカー」と呼ばれる。RNA鎖は、同じか又は異なる数のヌクレオチドを有し得る。塩基対の最大数は、dsRNAの最も短い鎖のヌクレオチドの数から、二本鎖に存在するオーバーハングを引いた数である。二本鎖構造に加えて、RNAi剤は、1つ又は複数のヌクレオチドオーバーハングを含み得る。
一実施形態において、本発明のRNAi剤は、標的RNA配列、例えば、C5標的mRNA配列と相互作用して、標的RNAの切断を導く24〜30のヌクレオチドのdsRNAである。理論に制約されるのを望むものではないが、細胞中に導入される長い二本鎖RNAは、Dicerとして公知のIII型エンドヌクレアーゼによってsiRNAに分解される(Sharp et al.(2001)Genes Dev.15:485)。リボヌクレアーゼIII様酵素であるDicerは、dsRNAをプロセシングして、特徴的な2つの塩基3’オーバーハングを有する19〜23塩基対短干渉RNAにする(Bernstein,et al.,(2001)Nature 409:363)。次に、siRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれ、ここで、1つ又は複数のヘリカーゼが、siRNA二本鎖をほどいて、相補的なアンチセンス鎖が、標的認識を導くことを可能にする(Nykanen,et al.,(2001)Cell 107:309)。適切な標的mRNAに結合すると、RISC中の1つ又は複数のエンドヌクレアーゼが標的を切断して、サイレンシングを誘導する(Elbashir,et al.,(2001)Genes Dev.15:188)。
本明細書において使用される際、「ヌクレオチドオーバーハング」という用語は、iRNA、例えば、dsRNAの二本鎖構造から突出する少なくとも1つの不対ヌクレオチドを指す。例えば、dsRNAの1本の鎖の3’末端が、他方の鎖の5’末端を越えて延びるか又はその逆である場合、ヌクレオチドオーバーハングが存在する。dsRNAは、少なくとも1つのヌクレオチドのオーバーハングを含み得るか;あるいはオーバーハングは、少なくとも2つのヌクレオチド、少なくとも3つのヌクレオチド、少なくとも4つのヌクレオチド、少なくとも5つのヌクレオチド又はそれ以上を含み得る。ヌクレオチドオーバーハングは、デオキシヌクレオチド/ヌクレオシドを含むヌクレオチド/ヌクレオシド類似体を含むか又はそれからなり得る。オーバーハングは、センス鎖、アンチセンス鎖又はそれらの任意の組合せであり得る。更に、オーバーハングのヌクレオチドは、dsRNAのアンチセンス鎖又はセンス鎖のいずれかの5’末端、3’末端又は両方の末端に存在し得る。
一実施形態において、dsRNAのアンチセンス鎖は、3’末端及び/又は5’末端に、1〜10個のヌクレオチド、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のヌクレオチドのオーバーハングを有する。一実施形態において、dsRNAのセンス鎖は、3’末端及び/又は5’末端に、1〜10のヌクレオチド、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のヌクレオチドのオーバーハングを有する。別の実施形態において、オーバーハング中のヌクレオチドの1つ又は複数が、ヌクレオシドチオリン酸で置換される。
特定の実施形態において、センス鎖又はアンチセンス鎖、又はその両方におけるオーバーハングは、10ヌクレオチド長超、例えば、1〜30ヌクレオチド、2〜30ヌクレオチド、10〜30ヌクレオチド、又は10〜15ヌクレオチド長の拡張された長さを含み得る。特定の実施形態において、拡張されたオーバーハングは、二本鎖のセンス鎖上にある。特定の実施形態において、拡張されたオーバーハングは、二本鎖のセンス鎖の3’末端上に存在する。特定の実施形態において、拡張されたオーバーハングは、二本鎖のセンス鎖の5’末端上に存在する。特定の実施形態において、拡張されたオーバーハングは、二本鎖のアンチセンス鎖上にある。特定の実施形態において、拡張されたオーバーハングは、二本鎖のアンチセンス鎖の3’末端上に存在する。特定の実施形態において、拡張されたオーバーハングは、二本鎖のアンチセンス鎖の5’末端上に存在する。特定の実施形態において、オーバーハング中のヌクレオチドの1つ又は複数が、ヌクレオシドチオリン酸で置換される。特定の実施形態において、オーバーハングは、生理学的条件下で安定なヘアピン構造を形成することが可能であるように自己相補的な部分を含む。
「平滑な」又は「平滑末端」は、二本鎖RNAi剤の該当する末端に不対ヌクレオチドが存在しない、即ち、ヌクレオチドオーバーハングが存在しないことを意味する。「平滑末端」RNAi剤は、その全長にわたって二本鎖である、即ち、分子のいずれの末端にもヌクレオチドオーバーハングが存在しないdsRNAである。本発明のRNAi剤は、一方の末端にヌクレオチドオーバーハングを有するRNAi剤(即ち、1つのオーバーハング及び1つの平滑末端を有する剤)又は両方の末端にヌクレオチドオーバーハングを有するRNAi剤を含む。
「アンチセンス鎖」又は「ガイド鎖」という用語は、例えば、標的配列、例えば、C5 mRNAに実質的に相補的な領域を含むiRNA、例えば、dsRNAの鎖を指す。本明細書において使用される際、「相補性の領域」という用語は、本明細書において定義されるように、配列、例えば標的配列、例えば、C5ヌクレオチド配列に実質的に相補的なアンチセンス鎖の領域を指す。相補性の領域が、標的配列と完全には相補的でない場合、その分子の内部領域又は末端領域にミスマッチが存在し得る。一般に、ほとんどの許容されるミスマッチは、末端領域、例えば、iRNAの5’末端及び/又は3’末端の5、4、3、又は2つのヌクレオチド中に存在する。
本明細書において使用される際の「センス鎖」、又は「パッセンジャー鎖」という用語は、その用語が本明細書において定義されるように、アンチセンス鎖の領域と実質的に相補的な領域を含むiRNAの鎖を指す。
本明細書において使用される際、「切断領域」という用語は、切断部位に直接隣接して位置する領域を指す。切断部位は、標的における、切断が生じる部位である。ある実施形態において、切断領域は、切断部位のいずれかの末端で、切断部位に直接隣接した3つの塩基を含む。ある実施形態において、切断領域は、切断部位のいずれかの末端で、切断部位に直接隣接した2つの塩基を含む。ある実施形態において、切断部位は、アンチセンス鎖のヌクレオチド10及び11によって結合される部位で特異的に生じ、切断領域は、ヌクレオチド11、12及び13を含む。
本明細書において使用される際、特に示されない限り、「相補的な」という用語は、当業者により理解されるように、第1のヌクレオチド配列を第2のヌクレオチド配列と関連して記載するのに使用される場合、第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが、所定の条件下で、第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドとハイブリダイズし、二本鎖構造を形成する能力を指す。このような条件は、例えば、ストリンジェントな条件であり得、ここで、ストリンジェントな条件は、400mMのNaCl、40mMのPIPES(pH6.4)、1mMのEDTA、50℃又は70℃で12〜16時間と、それに続く洗浄を含み得る(例えば“Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Sambrook,et al.(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照)。生物の内部で起こり得る生理学的に関連した条件などの他の条件を適用することができる。当業者は、ハイブリダイズされたヌクレオチドの最終的な用途に従って、2つの配列の相補性の試験に最も適切な条件の組を決定することができるであろう。
本明細書に記載されるiRNA中、例えば、dsRNA中の相補的な配列は、第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドへの第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドの、一方又は両方のヌクレオチド配列の全長にわたる塩基対合を含む。このような配列は、本明細書において互いに対して「完全に相補的な」と称され得る。しかしながら、第1の配列が、本明細書において第2の配列に対して「実質的に相補的な」と称される場合、2つの配列は、完全に相補的であり得、又は、それらの最終的な適用、例えば、RISC経路を介した遺伝子発現の阻害に最適な条件下でハイブリダイズする能力を保持しながら、最大で30塩基対の二本鎖に対するハイブリダイゼーションを行うと、それらは、1つ又は複数であるが、一般に、5つ以下、4つ以下、3つ以下又は2つ以下のミスマッチ塩基対を形成し得る。しかしながら、2つのオリゴヌクレオチドがハイブリダイゼーション後に1つ又は複数の一本鎖オーバーハングを形成するように設計されている場合、このようなオーバーハングは、相補性の決定に関してはミスマッチと見なされないものとする。例えば、本明細書に記載する目的のために、21ヌクレオチド長の一方のオリゴヌクレオチドと、23ヌクレオチド長の他方のオリゴヌクレオチドとを含むdsRNAは、長い方のオリゴヌクレオチドが、短い方のオリゴヌクレオチドに対して完全に相補的な21ヌクレオチドの配列を含む場合、「完全に相補的」と称されてもよい。
本明細書において使用される際の「相補的な」配列は、それらのハイブリダイズする能力に関連した上記の要求が満たされる限り、非ワトソン−クリック塩基対及び/又は非天然及び修飾ヌクレオチドから形成される塩基対も含むことができ、又はこのような塩基対から完全に形成され得る。このような非ワトソン−クリック塩基対としては、限定はされないが、G:Uゆらぎ又はフーグスティーン型塩基対が挙げられる。
本明細書における「相補的な」、「完全に相補的な」及び「実質的に相補的な」という用語は、それらの使用の状況から理解されるように、dsRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との間で、又はdsRNAのアンチセンス鎖と標的配列との間で、一致する塩基に関連して使用され得る。
本明細書において使用される際、メッセンジャーRNA(mRNA)「の少なくとも一部に実質的に相補的な」ポリヌクレオチドは、5’UTR、オープン・リーディング・フレーム(ORF)、又は3’UTRを含む目的のmRNA(例えば、PCSK9をコードするmRNA)の連続する部分に実質的に相補的なポリヌクレオチドを指す。例えば、ポリヌクレオチドは、その配列がPCSK9をコードするmRNAの連続する部分と実質的に相補的である場合、PCSK9 mRNAの少なくとも一部に相補的である。
したがって、ある実施形態において、本明細書に開示されるセンス鎖ポリヌクレオチド及びアンチセンスポリヌクレオチドは、補体成分C5遺伝子配列に完全に相補的である。
一実施形態において、本明細書に開示されるアンチセンスポリヌクレオチドは、標的補体成分C5配列に完全に相補的である。他の実施形態において、本明細書に開示されるアンチセンスポリヌクレオチドは、標的補体成分C5配列に実質的に相補的であり、配列番号1、又は配列番号1のフラグメントのヌクレオチド配列の同等の領域に対して、その全長にわたって少なくとも約80%相補的である、例えば、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約%91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%相補的である連続ヌクレオチド配列を含む。
他の実施形態において、本明細書に開示されるアンチセンスポリヌクレオチドは、標的補体成分C5配列に実質的に相補的であり、表3、4、5、6、18、19、20、21、及び23のいずれか1つ中のセンス鎖ヌクレオチド配列のいずれか1つ、又は表3、4、5、6、18、19、20、21、及び23のいずれか1つ中のアンチセンス鎖ヌクレオチド配列のいずれか1つのフラグメントに対して、その全長にわたって少なくとも約80%相補的である、例えば、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約%91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%相補的である連続ヌクレオチド配列を含む。
一実施形態において、本発明のRNAi剤は、標的補体成分C5配列に相補的であり、かつ表3、4、5、6、18、19、20、21、及び23のいずれか1つ中のアンチセンス鎖ヌクレオチド配列のいずれか1つ、又は表3、4、5、6、18、19、20、21、及び23のいずれか1つ中のアンチセンス鎖ヌクレオチド配列のいずれか1つのフラグメントに対して、その全長にわたって少なくとも約80%相補的である、例えば、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約%91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%相補的である連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスポリヌクレオチドに実質的に相補的なセンス鎖を含む。
一般に、それぞれの鎖のヌクレオチドの大部分は、リボヌクレオチドであるが、本明細書において詳細に記載されるように、それぞれの又は両方の鎖は、1つ又は複数の非リボヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチド及び/又は修飾ヌクレオチドも含み得る。更に、「iRNA」は、化学的修飾を有するリボヌクレオチドを含み得る。このような修飾は、本明細書に開示されるか又は当該技術分野において公知のあらゆるタイプの修飾を含み得る。iRNA分子に使用される際のいずれのこのような修飾も、本明細書及び特許請求の範囲の目的のために「iRNA」によって包含される。
本発明の一態様において、本発明の方法及び組成物に使用するための薬剤は、アンチセンス阻害機構を介して標的mRNAを阻害する一本鎖アンチセンスRNA分子である。一本鎖アンチセンスRNA分子は、標的mRNA中の配列に相補的である。一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、mRNAに塩基対合し、翻訳機構を物理的に妨害することによって、化学量論的に翻訳を阻害し得る(Dias,N.et al.,(2002)Mol Cancer Ther 1:347−355を参照)。一本鎖アンチセンスRNA分子は、約15〜約30ヌクレオチド長であり、標的配列に相補的な配列を有し得る。例えば、一本鎖アンチセンスRNA分子は、本明細書に記載されるアンチセンス配列のいずれか1つからの少なくとも約15、16、17、18、19、20個、又はそれ以上の連続するヌクレオチドである配列を含み得る。
「脂質ナノ粒子」又は「LNP」という用語は、核酸分子、例えば、iRNA又はiRNAが転写されるプラスミドなどの薬学的に有効な分子を封入する脂質層を含むベシクルである。LNPは、例えば、全内容が参照により本明細書に援用される、米国特許第6,858,225号明細書、同第6,815,432号明細書、同第8,158,601号明細書、及び同第8,058,069号明細書に記載されている。
本明細書において使用される際、「対象」は、霊長類(ヒト、非ヒト霊長類、例えば、サル、及びチンパンジーなど)、非霊長類(ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、マウス、ウマ、及びクジラなど)を含む哺乳動物、又は鳥類(例えば、アヒル又はガチョウ)などの動物である。一実施形態において、対象は、本明細書に記載されるように、C5の発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害又は病態について処置又は評価されているヒト;C5の発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害又は病態のリスクがあるヒト;C5の発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害又は病態に罹患しているヒト;及び/又はC5の発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害又は病態について処置されているヒトなどのヒトである。
本明細書において使用される際、「処置する」又は「処置」という用語は、限定はされないが、好ましくない補体経路活性化に関連する1つ又は複数の症状(例えば、溶血及び/又は慢性炎症)の緩和又は改善;好ましくない補体経路活性化の程度の減少;慢性炎症及び/又は溶血の状態の安定化(即ち、悪化しないこと);検出可能であるか又は検出不可能であるかにかかわらず好ましくない補体経路活性化(例えば、慢性炎症及び/又は溶血)の改善又は緩和を含む有益な又は所望の結果を指す。「処置」は、処置をしない場合の予測される生存期間と比較した生存期間の延長も意味し得る。
対象における補体成分C5又は疾病マーカー又は症状の文脈における「低下させる」という用語は、このようなレベルの統計的に有意な低下を指す。低下は、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上であり得、このような障害を有さない個体の正常範囲内であると認められるレベルまで低下されるのが好ましい。
本明細書において使用される際、「予防」又は「予防する」は、C5遺伝子の発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害又はその病態に関連して使用される場合、対象が、このような疾病、障害、又は病態に関連する症状を発症する可能性の低下、又はこのような疾病、障害又は病態に関連する症状、例えば、慢性炎症、溶血及び/又は血栓症などの好ましくない補体活性化の症状の頻度及び/又は持続時間の減少を指す。血栓症を発症する可能性は、例えば、血栓症の1つ又は複数の危険因子を有する個体が、血栓症を発症しない場合、又は同じ危険因子を有し、本明細書に記載される処置を受けない集団と比べてより軽度の血栓症を発症する場合のいずれかに低下される。疾病、障害又は病態を発症しないこと、又はこのような疾病、障害又は病態に関連する症状の発生の低下(例えば、その疾病又は障害の臨床的に認められた尺度で少なくとも約10%)、又は症状の遅延の現れ(例えば、数日、数週間、数カ月又は数年だけ)が、有効な予防とみなされる。
本明細書において使用される際、「補体成分C5に関連する疾病」という用語は、補体活性化によって引き起こされるか又はそれに関連する疾病又は障害である。このような疾病は、典型的に、炎症及び/又は免疫系活性化、例えば、膜侵襲複合体による溶解、アナフィラキシー、及び/又は溶血に関連している。補体成分C5に関連する疾病の非限定的な例としては、発作性夜間血色素尿症(PNH)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、喘息、関節リウマチ(RA);抗リン脂質抗体症候群;ループス腎炎;虚血−再かん流傷害;典型又は感染性溶血性尿毒症症候群(tHUS);デンスデポジット糸球体腎炎(DDD);視神経脊髄炎(NMO);多巣性運動ニューロパチー(MMN);多発性硬化症(MS);黄斑変性症(例えば、加齢黄斑変性症(AMD));溶血、肝逸脱酵素上昇、及び血小板低下(HELLP)症候群;血栓性血小板減少性紫斑病(TTP);自然流産;微量免疫型血管炎;表皮水疱症;習慣性流産;妊娠高血圧腎症、外傷性脳損傷、重症筋無力症、寒冷凝集素症、皮膚筋炎、水疱性類天疱瘡、志賀毒素産生性大腸菌(E.coli)に関連する溶血性尿毒症症候群、C3腎症、抗好中球細胞質抗体関連血管炎(例えば、多発性血管炎を伴う肉芽腫症(以前にウェゲナー肉芽腫症として知られていた)、チャーグ・ストラウス症候群、及び顕微鏡的多発性血管炎)、液性及び血管性移植拒絶反応、移植片機能不全、心筋梗塞(例えば、心筋梗塞における組織損傷及び虚血)、同種移植、敗血症(例えば、敗血症における転帰不良)、冠動脈疾患、皮膚筋炎、グレーブス病、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、全身性炎症反応敗血症、敗血症性ショック、脊髄損傷、糸球体腎炎、橋本甲状腺炎、1型糖尿病、乾癬、天疱瘡、自己免疫溶血性貧血(AIHA)、ITP、グッドパスチャー症候群、ドゴー病、抗リン脂質症候群(APS)、劇症型APS(CAPS)、心血管疾患、心筋炎、脳血管障害、末梢(例えば、筋骨格)血管障害、腎血管障害、腸間膜/腸血管障害、血管炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病性腎炎、全身性エリテマトーデス関連性血管炎、関節リウマチに関連する血管炎、免疫複合体性血管炎、高安病、拡張型心筋症、糖尿病性血管症、川崎病(動脈炎)、静脈ガス塞栓症(VGE)、及びステント留置後の再狭窄、回転性粥腫切除術、膜性腎症、ギラン・バレー症候群、及び経皮経管冠動脈形成(PTCA)が挙げられる(例えば、Holers(2008)Immunological Reviews 223:300−316;Holers and Thurman(2004)Molecular Immunology 41:147−152;米国特許出願公開第20070172483号明細書を参照)。
一実施形態において、補体成分C5に関連する疾病は、発作性夜間血色素尿症(PNH)である。PNHは、古典的PNH又は別の骨髄不全症候群及び/又は骨髄異形成症候群(MDS)、例えば、血球減少症の場合のPNHであり得る。別の実施形態において、補体成分C5に関連する疾病は、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)である。別の実施形態において、補体成分C5に関連する疾病は、視神経脊髄炎(NMO)である。更に別の実施形態において、補体成分C5に関連する疾病は、重症筋無力症である。
II.本発明のiRNA
本発明は、補体成分C5遺伝子の発現を阻害するiRNAを提供する。一実施形態において、iRNA剤は、補体成分C5に関連する疾病、例えば、PNHに罹患している対象、例えば、ヒトなどの哺乳動物内の細胞などの細胞中のC5遺伝子の発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子を含む。dsRNAは、C5遺伝子の発現中に形成されるmRNAの少なくとも一部に相補的な相補性の領域を有するアンチセンス鎖を含む。相補性の領域は、約30ヌクレオチド長以下(例えば、約30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、又は18ヌクレオチド長以下)である。C5遺伝子を発現する細胞と接触すると、iRNAは、例えば、PCR又は分岐DNA(bDNA)法、あるいは例えば、ウエスタンブロット法又はフローサイトメトリー技術を用いた免疫蛍光分析などによるタンパク質に基づいた方法によってアッセイした際に少なくとも約10%、C5遺伝子(例えば、ヒト、霊長類、非霊長類、又は鳥類のC5遺伝子)の発現を阻害する。
dsRNAは、2本のRNA鎖を含み、この2本のRNA鎖は、相補的であり、dsRNAが使用される条件下で二本鎖構造を形成するようにハイブリダイズする。dsRNAの1本の鎖(アンチセンス鎖)は、標的配列に実質的に相補的な、一般に完全に相補的な、相補性の領域を含む。標的配列は、C5遺伝子の発現中に形成されるmRNAの配列に由来し得る。他方の鎖(センス鎖)は、アンチセンス鎖に相補的な領域を含み、2本の鎖がハイブリダイズして、好適な条件下で組み合わされた際に二本鎖構造を形成するようになっている。本明細書のどこかに記載されるように、及び当該技術分野において公知であるように、dsRNAの相補的配列はまた、別個のオリゴヌクレオチド上にあるのではなく、1つの核酸分子の自己相補的な領域として含まれることもある。
一般に、二本鎖構造は、約15〜30塩基対の長さ、例えば、約15〜29、15〜28、15〜27、15〜26、15〜25、15〜24、15〜23、15〜22、15〜21、15〜20、15〜19、15〜18、15〜17、18〜30、18〜29、18〜28、18〜27、18〜26、18〜25、18〜24、18〜23、18〜22、18〜21、18〜20、19〜30、19〜29、19〜28、19〜27、19〜26、19〜25、19〜24、19〜23、19〜22、19〜21、19〜20、20〜30、20〜29、20〜28、20〜27、20〜26、20〜25、20〜24,20〜23、20〜22、20〜21、21〜30、21〜29、21〜28、21〜27、21〜26、21〜25、21〜24、21〜23、又は21〜22塩基対の長さである。上に記載される範囲及び長さの中間の範囲及び長さも、本発明の一部であると考えられる。
同様に、標的配列の相補性の領域は、約15〜30ヌクレオチド長、例えば、約15〜29、15〜28、15〜27、15〜26、15〜25、15〜24、15〜23、15〜22、15〜21、15〜20、15〜19、15〜18、15〜17、18〜30、18〜29、18〜28、18〜27、18〜26、18〜25、18〜24、18〜23、18〜22、18〜21、18〜20、19〜30、19〜29、19〜28、19〜27、19〜26、19〜25、19〜24、19〜23、19〜22、19〜21、19〜20、20〜30、20〜29、20〜28、20〜27、20〜26、20〜25、20〜24,20〜23、20〜22、20〜21、21〜30、21〜29、21〜28、21〜27、21〜26、21〜25、21〜24、21〜23、又は21〜22ヌクレオチド長である。上に記載される範囲及び長さの中間の範囲及び長さも、本発明の一部であると考えられる。
ある実施形態において、dsRNAは、約15〜約20ヌクレオチド長、又は約25〜約30ヌクレオチド長である。一般に、dsRNAは、Dicer酵素のための基質として働くのに十分に長い。例えば、約21〜23ヌクレオチド長より長いdsRNAがDicerのための基質として働き得ることが当該技術分野において周知である。当業者がやはり認識するように、切断のために標的化されたRNAの領域は、ほとんどの場合、より大きいRNA分子(mRNA分子であることが多い)の一部である。関連する場合、mRNA標的の「一部」は、RNAi指向性の切断(即ち、RISC経路を介した切断)のための基質であるのが可能であるほど十分な長さのmRNA標的の連続する配列である。
二本鎖領域が、dsRNAの一次機能部分、例えば、約9〜36塩基対、例えば、約10〜36、11〜36、12〜36、13〜36、14〜36、15〜36、9〜35、10〜35、11〜35、12〜35、13〜35、14〜35、15〜35、9〜34、10〜34、11〜34、12〜34、13〜34、14〜34、15〜34、9〜33、10〜33、11〜33、12〜33、13〜33、14〜33、15〜33、9〜32、10〜32、11〜32、12〜32、13〜32、14〜32、15〜32、9〜31、10〜31、11〜31、12〜31、13〜32、14〜31、15〜31、15〜30、15〜29、15〜28、15〜27、15〜26、15〜25、15〜24、15〜23、15〜22、15〜21、15〜20、15〜19、15〜18、15〜17、18〜30、18〜29、18〜28、18〜27、18〜26、18〜25、18〜24、18〜23、18〜22、18〜21、18〜20、19〜30、19〜29、19〜28、19〜27、19〜26、19〜25、19〜24、19〜23、19〜22、19〜21、19〜20、20〜30、20〜29、20〜28、20〜27、20〜26、20〜25、20〜24,20〜23、20〜22、20〜21、21〜30、21〜29、21〜28、21〜27、21〜26、21〜25、21〜24、21〜23、又は21〜22塩基対の二本鎖領域であることも当業者は認識するであろう。ここで、一実施形態において、所望のRNAを切断のために標的とする例えば、15〜30塩基対の機能性二本鎖にプロセシングされる程度まで、RNA分子又は30塩基対を超える二本鎖領域を有するRNA分子の複合体はdsRNAである。したがって、当業者は、一実施形態において、miRNAがdsRNAであることを認識するであろう。別の実施形態において、dsRNAは、天然miRNAではない。別の実施形態において、C5の発現を標的とするのに有用なiRNA剤は、より大きいdsRNAの切断によって標的細胞中に生成されない。
本明細書に記載されるdsRNAは、1つ又は複数の一本鎖ヌクレオチドオーバーハング、例えば、1、2、3、又は4つのヌクレオチドを更に含み得る。少なくとも1つのヌクレオチドオーバーハングを有するdsRNAは、その平滑末端の同等物と比べて予想外に優れた阻害特性を有し得る。ヌクレオチドオーバーハングは、デオキシヌクレオチド/ヌクレオシドを含むヌクレオチド/ヌクレオシド類似体を含むか又はそれからなり得る。オーバーハングは、センス鎖、アンチセンス鎖又はそれらの任意の組合せ上にあり得る。更に、オーバーハングのヌクレオチドは、dsRNAのアンチセンス鎖又はセンス鎖のいずれかの5’末端、3’末端又は両方の末端上に存在し得る。
dsRNAは、例えば、自動DNA合成装置(例えば、Biosearch,Applied Biosystems,Inc.から市販されているものなど)の使用によって、更に後述されるように、当該技術分野において公知の標準的な方法によって合成され得る。
本発明のiRNA化合物は、2工程の手順を用いて調製され得る。まず、二本鎖RNA分子の個々の鎖が別個に調製される。次に、構成要素の鎖はアニールされる。siRNA化合物の個々の鎖は、溶液相又は固相有機合成又は両方を用いて調製され得る。有機合成は、非天然又は修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド鎖が容易に調製され得るという利点を提供する。本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、溶液相又は固相有機合成又は両方を用いて調製され得る。
一態様において、本発明のdsRNAは、少なくとも2つのヌクレオチド配列、センス配列及びアンチセンス配列を含む。センス鎖は、表3、4、5、6、18、19、20、21、及び23のいずれか1つに示される配列の群から選択され、センス鎖の対応するアンチセンス鎖は、表3、4、5、6、18、19、20、21、及び23のいずれか1つの配列の群から選択される。この態様において、2つの配列の一方が2つの配列の他方に相補的であり、配列の一方が、C5遺伝子の発現中に生成されるmRNAの配列に実質的に相補的である。したがって、この態様において、dsRNAは、2つのオリゴヌクレオチドを含むことになり、ここで、1つのオリゴヌクレオチドが、表3、4、5、6、18、19、20、21、及び23のいずれか1つ中のセンス鎖として表され、第2のオリゴヌクレオチドが、表3、4、5、6、18、19、20、21、及び23のいずれか1つ中のセンス鎖の対応するアンチセンス鎖として表される。一実施形態において、dsRNAの実質的に相補的な配列は、別個のオリゴヌクレオチドに含まれる。別の実施形態において、dsRNAの実質的に相補的な配列は、1つのオリゴヌクレオチドに含まれる。
表3、4、5、6、18、19、20、21、及び23中の配列のいくつかが、修飾及び/又はコンジュゲート配列として表されるが、本発明のiRNAのRNA、例えば、本発明のdsRNAは、表中に記載されるのと異なって、非修飾、非コンジュゲート、及び/又は修飾及び/又はコンジュゲートされる、表3、4、5、6、18、19、20、21、及び23に記載される配列のいずれか1つを含み得ることが理解されるであろう。
当業者は、約20〜23個の塩基対、例えば、21個の塩基対の二本鎖構造を有するdsRNAが、RNA干渉を誘導するのに特に有効であることが認められたことを十分に認識している(Elbashir et al.,EMBO 2001,20:6877−6888)。しかしながら、他の当業者が、より短い又はより長いRNA二本鎖構造も有効であり得ることを見出した(Chu and Rana(2007)RNA 14:1714−1719;Kim et al.(2005)Nat Biotech 23:222−226)。上記の実施形態において、表3、4、5、6、18、19、20、21、及び23のいずれか1つに示されるオリゴヌクレオチド配列の性質によって、本明細書に記載されるdsRNAは、最小限の21ヌクレオチド長の少なくとも1本の鎖を含み得る。一端又は両端におけるごくわずかな数のヌクレオチドを差し引いた、表3、4、5、6、18、19、20、21、及び23のいずれか1つの配列のうちの1つを有するより短い二本鎖が、上記のdsRNAと比較して、同様に有効であり得ることが当然予測され得る。したがって、表3、4、5、6、18、19、20、21、及び23のいずれか1つの配列のうちの1つからの、少なくとも15、16、17、18、19、20、又はそれ以上の連続するヌクレオチド配列を有するdsRNAであって、C5遺伝子の発現を阻害する能力が、完全な配列を含むdsRNAとは約5、10、15、20、25、又は30%以下の阻害だけ異なるdsRNAが、本発明の範囲内にあるものと考えられる。
更に、表3、4、5、6、18、19、20、21、及び23のいずれか1つに示されるRNAは、RISCを介した切断を受けやすい、C5転写物における部位を特定する。したがって、本発明は、これらの部位の1つ内を標的とするiRNAを更に取り上げる。本明細書において使用される際、iRNAが、その特定の部位内のいずれかの箇所で転写物の切断を促す場合、iRNAは、RNA転写物の特定の部位内を標的とするとされている。このようなiRNAは、一般に、C5遺伝子中の選択された配列に隣接する領域から取られた更なるヌクレオチド配列に結合された、表3、4、5、6、18、19、20、21、及び23のいずれか1つに示される配列のうちの1つからの少なくとも約15連続ヌクレオチドを含むであろう。
標的配列は、一般に、約15〜30ヌクレオチド長であるが、任意の所与の標的RNAの切断を導くために、この範囲内の特定の配列の適合性は様々である。本明細書に記載される様々なソフトウェアパッケージ及び指針は、任意の所与の遺伝子標的のために最適な標的配列の特定のための指針を与えるが、所与のサイズ(非限定的な例として、21ヌクレオチド)の「ウインドウ」又は「マスク」が、標的配列として働き得るサイズ範囲内の配列を特定するために、標的RNA配列上に文字通りに又は比喩的に(例えば、インシリコを含む)置かれる、経験的手法を取ることもできる。完全な一連の可能な配列が、選択された任意の所与の標的サイズについて特定されるまで、初期の標的配列位置の1ヌクレオチド上流又は下流に徐々に配列「ウインドウ」を移動させることによって、次の潜在的な標的配列を特定することができる。このプロセスは、最適に機能する配列を特定するために(本明細書に記載されるか又は当該技術分野において公知のアッセイを用いて)特定された配列の系統的合成及び試験とともに、iRNA剤を用いて標的化されるとき、標的遺伝子の発現の最良の阻害を仲介するRNA配列を特定することができる。したがって、例えば、表3、4、5、6、18、19、20、21、及び23のいずれか1つ中で特定される配列が、有効な標的配列を表すが、同等の又はより良好な阻害特性を有する配列を特定するために、所与の配列の1ヌクレオチド上流又は下流に徐々に「ウインドウを移動させる」ことによって、阻害効率の更なる最適化が達成され得ると考えられる。
更に、例えば、表3、4、5、6、18、19、20、21、及び23のいずれか1つ中で特定される任意の配列について、より長い又はより短い配列を生成するためにヌクレオチドを系統的に加えるか又は除去し、より長い又は短いサイズのウインドウをその点から標的RNAの上方又は下方に移動させることによって生成される配列を試験することによって、更なる最適化が達成され得ると考えられる。また、当該技術分野において公知の及び/又は本明細書に記載される阻害アッセイにおいて、新規な候補標的を生成するためのこの手法を、それらの標的配列に基づいたiRNAの有効性の試験と結び付けることで、阻害の効率が更に向上され得る。更にまた、このような最適化された配列は、例えば、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において公知の修飾ヌクレオチドの導入、オーバーハングの追加又は変更、あるいは発現阻害因子として分子を更に最適化するための当該技術分野において公知の及び/又は本明細書に説明される他の修飾(例えば、血清安定性の又は循環半減期の増加、熱安定性の増加、膜透過送達の向上、特定の位置又は細胞型への標的化、サイレンシング経路酵素との相互作用の増加、エンドソームからの放出の増加)によって調整され得る。
本明細書に記載されるiRNAは、標的配列との1つ又は複数のミスマッチを含み得る。一実施形態において、本明細書に記載されるiRNAは、3つ以下のミスマッチを含む。iRNAのアンチセンス鎖が、標的配列とのミスマッチを含む場合、ミスマッチの領域が相補性の領域の中心に位置しないのが好ましい。iRNAのアンチセンス鎖が標的配列とのミスマッチを含む場合、ミスマッチが、相補性の領域の5’末端又は3’末端のいずれかからの最後の5ヌクレオチド内に制限されるのが好ましい。例えば、23個のヌクレオチドのiRNA剤について、C5遺伝子の領域に相補的な鎖は、一般に、中央の13個のヌクレオチド内にミスマッチを全く含まない。本明細書に記載される方法又は当該技術分野において公知の方法を用いて、標的配列とのミスマッチを含むiRNAがC5遺伝子の発現を阻害するのに有効であるかどうかを決定することができる。C5遺伝子の発現を阻害する際のミスマッチを有するiRNAの有効性を考慮することは、特に、C5遺伝子における特定の相補性の領域が集団内に多型配列変異を有することが分かっている場合に重要である。
III.本発明の修飾iRNA
一実施形態において、本発明のiRNAのRNA、例えば、dsRNAは、修飾されておらず、例えば、当該技術分野において公知の及び本明細書に記載される化学的修飾及び/又はコンジュゲートを含まない。別の実施形態において、本発明のiRNAのRNA、例えば、dsRNAは、安定性又は他の有益な特性を向上させるために化学的に修飾される。本発明の特定の実施形態において、本発明のiRNAのヌクレオチドの実質的に全てが修飾される。本発明の他の実施形態において、本発明のiRNAのヌクレオチドの全てが修飾される。「ヌクレオチドの実質的に全てが修飾される」本発明のiRNAは、大部分は修飾されるが、完全に修飾されるわけではなく、5つ以下、4つ以下、3つ以下、2つ以下、又は1つ以下の非修飾ヌクレオチドを含み得る。
本発明に取り上げられる核酸は、参照により本明細書に援用される“Current protocols in nucleic acid chemistry,”Beaucage,S.L.et al.(Edrs.),John Wiley & Sons,Inc.,New York,NY,USAに記載されるものなどの当該技術分野において十分に確立された方法によって合成及び/又は修飾され得る。修飾としては、例えば、末端修飾、例えば、5’末端修飾(リン酸化、コンジュゲート、逆結合(inverted linkage))又は3’末端修飾(コンジュゲート、DNAヌクレオチド、逆結合など);塩基修飾、例えば、安定塩基、不安定塩基、又は広範なパートナーと塩基対合する塩基による置換、塩基の除去(非塩基性ヌクレオチド)、又はコンジュゲート塩基;糖修飾(例えば、2’位又は4’位で)又は糖の置換;及び/又はホスホジエステル結合の修飾又は置換を含む骨格修飾が挙げられる。本明細書に記載される実施形態に有用なiRNA化合物の具体例としては、限定はされないが、修飾された骨格を含むか又は天然のヌクレオシド間結合を含まないRNAが挙げられる。修飾された骨格を有するRNAとしては、特に、骨格中にリン原子を有さないものが挙げられる。本明細書の目的のために、及び当該技術分野において時折言及されるように、ヌクレオシド間骨格中にリン原子を有さない、修飾RNAは、オリゴヌクレオシドであるとみなすこともできる。ある実施形態において、修飾iRNAは、そのヌクレオシド間骨格中にリン原子を有する。
修飾RNA骨格としては、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルホスホネート並びに3’−アルキレンホスホネート及びキラルホスホネートを含む他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’−アミノホスホロアミデート及びアミノアルキルホスホロアミデートを含むホスホロアミデート、チオノホスホロアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、及び通常の3’−5’結合を有するボラノホスフェート、これらの2’−5’結合類似体、及び、ヌクレオシド単位の隣接する対が、3’−5’〜5’−3’又は2’−5’〜5’−2’に結合する、反転極性を有するものが挙げられる。様々な塩、混合塩及び遊離酸形態も含まれる。
上記のリン含有結合の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第3,687,808号明細書;同第4,469,863号明細書;同第4,476,301号明細書;同第5,023,243号明細書;同第5,177,195号明細書;同第5,188,897号明細書;同第5,264,423号明細書;同第5,276,019号明細書;同第5,278,302号明細書;同第5,286,717号明細書;同第5,321,131号明細書;同第5,399,676号明細書;同第5,405,939号明細書;同第5,453,496号明細書;同第5,455,233号明細書;同第5,466,677号明細書;同第5,476,925号明細書;同第5,519,126号明細書;同第5,536,821号明細書;同第5,541,316号明細書;同第5,550,111号明細書;同第5,563,253号明細書;同第5,571,799号明細書;同第5,587,361号明細書;同第5,625,050号明細書;同第6,028,188号明細書;同第6,124,445号明細書;同第6,160,109号明細書;同第6,169,170号明細書;同第6,172,209号明細書;同第6、239,265号明細書;同第6,277,603号明細書;同第6,326,199号明細書;同第6,346,614号明細書;同第6,444,423号明細書;同第6,531,590号明細書;同第6,534,639号明細書;同第6,608,035号明細書;同第6,683,167号明細書;同第6,858,715号明細書;同第6,867,294号明細書;同第6,878,805号明細書;同第7,015,315号明細書;同第7,041,816号明細書;同第7,273,933号明細書;同第7,321,029号明細書;及び米国再発行特許第RE39464号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
内部にリン原子を含まない修飾RNA骨格は、短鎖アルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子及びアルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、又は1つ又は複数の短鎖ヘテロ原子若しくは複素環式ヌクレオシド間結合によって形成される骨格を有する。これらとしては、モルホリノ結合(一部がヌクレオシドの糖部分から形成された)を有するもの;シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシド及びスルホン骨格;ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格;スルホネート及びスルホンアミド骨格;アミド骨格;並びに混合N、O、S及びCH2構成要素部分を有する他のものが挙げられる。
上記のオリゴヌクレオシドの調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第5,034,506号明細書;同第5,166,315号明細書;同第5,185,444号明細書;同第5,214,134号明細書;同第5,216,141号明細書;5,同第235,033号明細書;同第5,64,562号明細書;同第5,264,564号明細書;同第5,405,938号明細書;同第5,434,257号明細書;同第5,466,677号明細書;同第5,470,967号明細書;同第5,489,677号明細書;同第5,541,307号明細書;同第5,561,225号明細書;同第5,596,086号明細書;同第5,602,240号明細書;同第5,608,046号明細書;同第5,610,289号明細書;同第5,618,704号明細書;同第5,623,070号明細書;同第5,663,312号明細書;同第5,633,360号明細書;5,677,437号明細書;及び同第5,677,439号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
他の実施形態において、好適なRNA模倣体が、iRNAにおける使用のために考えられ、ここで、糖及びヌクレオシド間結合の両方、即ち、ヌクレオチド単位の骨格が、新規な基で置換される。塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されている、このようなオリゴマー化合物の1つであるRNA模倣体は、ペプチド核酸(PNA)と呼ばれる。PNA化合物において、RNAの糖骨格が、アミド含有骨格、特に、アミノエチルグリシン骨格で置換される。核酸塩基は、保持され、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接又は間接的に結合される。PNA化合物の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第5,539,082;同第5,714,331号明細書;及び同第5,719,262号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。本発明のiRNAに使用するのに好適な更なるPNA化合物が、例えば、Nielsen et al.,Science,1991,254,1497−1500に記載されている。
本発明に取り上げられるある実施形態は、ホスホロチオエート骨格を有するRNA及びヘテロ原子骨格を有するオリゴヌクレオシドを含み、特に、上述した米国特許第5,489,677号明細書の−−CH2−−NH−−CH2−、−−CH2−−N(CH3)−−O−−CH2−−[メチレン(メチルイミノ)又はMMI骨格として知られている]、−−CH2−−O−−N(CH3)−−CH2−−、−−CH2−−N(CH3)−−N(CH3)−−CH2−−及び−−N(CH3)−−CH2−−CH2−−[式中、天然のホスホジエステル骨格は、−−O−−P−−O−−CH2−−として表される]、及び上述した米国特許第5,602,240号明細書のアミド骨格を含む。ある実施形態において、本明細書に取り上げられるRNAは、上述した米国特許第5,034,506号明細書のモルホリノ骨格構造を有する。
修飾RNAは、1つ又は複数の置換された糖部分も含有し得る。本明細書に取り上げられるiRNA、例えば、dsRNAは、2’位において、OH;F;O−、S−、又はN−アルキル;O−、S−、又はN−アルケニル;O−、S−又はN−アルキニル;又はO−アルキル−O−アルキルのうちの1つを含むことができ、ここで、アルキル、アルケニル及びアルキニルは、置換又は非置換のC1〜C10アルキル又はC2〜C10アルケニル及びアルキニルであり得る。例示的な好適な修飾は、O[(CH2)nO]mCH3、O(CH2).nOCH3、O(CH2)nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2)nONH2、及びO(CH2)nON[(CH2)nCH3)]2を含み、式中、n及びmが、1〜約10である。他の実施形態において、dsRNAは、2’位において、C1〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリル又はO−アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、挿入基(intercalator)、iRNAの薬力学的特性を向上させる基、又はiRNAの薬物動態特性を向上させる基、及び同様の特性を有する他の置換基のうちの1つを含む。ある実施形態において、修飾は、2’−メトキシエトキシ(2’−O−(2−メトキシエチル)又は2’−MOEとしても知られている2’−O−−CH2CH2OCH3)(Martin et al.,Helv.Chim.Acta,1995,78:486−504)、即ち、アルコキシ−アルコキシ基を含む。別の例示的な修飾は、本明細書において以下の実施例に記載される、2’−DMAOEとしても知られている2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、即ち、O(CH2)2ON(CH3)2基、及び2’−ジメチルアミノエトキシエトキシ(当該技術分野において、2’−O−ジメチルアミノエトキシエチル又は2’−DMAEOEとしても知られている)、即ち、2’−O−−CH2−−O−−CH2−−N(CH2)2である。
他の修飾は、2’−メトキシ(2’−OCH3)、2’−アミノプロポキシ(2’−OCH2CH2CH2NH2)及び2’−フルオロ(2’−F)を含む。同様の修飾を、iRNAのRNAにおける他の位置、特に、3’末端ヌクレオチド上又は2’−5’結合dsRNA中の糖の3’位及び5’末端ヌクレオチドの5’位で行うこともできる。iRNAはまた、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分などの糖模倣体を有し得る。このような修飾された糖構造の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第4,981,957号明細書;同第5,118,800号明細書;同第5,319,080号明細書;同第5,359,044号明細書;同第5,393,878号明細書;同第5,446,137号明細書;同第5,466,786号明細書;同第5,514,785号明細書;同第5,519,134号明細書;同第5,567,811号明細書;同第5,576,427号明細書;同第5,591,722号明細書;同第5,597,909号明細書;同第5,610,300号明細書;同第5,627,053号明細書;同第5,639,873号明細書;同第5,646,265号明細書;同第5,658,873号明細書;同第5,670,633号明細書;及び同第5,700,920号明細書が挙げられ、これらのうちのいくつかは、本出願と所有者が同一である。上記のそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
iRNAは、核酸塩基(当該技術分野において多くの場合、単に「塩基」と称される)修飾又は置換も含み得る。本明細書において使用される際、「非修飾」又は「天然」核酸塩基は、プリン塩基アデニン(A)及びグアニン(G)、並びにピリミジン塩基チミン(T)、シトシン(C)及びウラシル(U)を含む。修飾核酸塩基は、デオキシ−チミン(dT)、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6−メチル及び他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニンの2−プロピル及び他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミン及び2−チオシトシン、5−ハロウラシル及びシトシン、5−プロピニルウラシル及びシトシン、6−アゾウラシル、シトシン及びチミン、5−ウラシル(シュードウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシル及び他の8−置換アデニン及びグアニン、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチル及び他の5−置換ウラシル及びシトシン、7−メチルグアニン及び7−メチルアデニン、8−アザグアニン及び8−アザアデニン、7−デアザグアニン及び7−ダアザアデニン(daazaadenine)並びに3−デアザグアニン及び3−デアザアデニンなどの他の合成及び天然核酸塩基を含む。更なる核酸塩基としては、米国特許第3,687,808号明細書に開示されるもの、Modified Nucleosides in Biochemistry,Biotechnology and Medicine,Herdewijn,P.ed.Wiley−VCH,2008に開示されるもの;Concise Encyclopedia Of Polymer Science and Engineering,pp.858−859,Kroschwitz,J.L,ed.John Wiley & Sons,1990に開示されるもの、Englisch et al.,Angewandte Chemie,International Edition,1991,30,613によって開示されるもの、及びSanghvi,Y S.,Chapter 15,dsRNA Research and Applications,pp.289−302,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,Ed.,CRC Press,1993によって開示されるものが挙げられる。これらの核酸塩基のいくつかは、本発明に取り上げられるオリゴマー化合物の結合親和性を高めるのに特に有用である。これらとしては、2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル及び5−プロピニルシトシンを含む、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン及びN−2、N−6及び0−6置換プリンが挙げられる。5−メチルシトシン置換基が、核酸二本鎖安定性を0.6〜1.2℃だけ増加させることが示されており(Sanghvi,Y.S.,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,Eds.,dsRNA Research and Applications,CRC Press,Boca Raton,1993,pp.276−278)、例示的な塩基置換であり、特に2’−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わされる場合は尚更である。
上記の修飾核酸塩基並びに他の修飾核酸塩基のいくつかの調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、上記の米国特許第3,687,808号明細書、同第4,845,205号明細書;同第5,130,30号明細書;5,134,066号明細書;同第5,175,273号明細書;同第5,367,066号明細書;同第5,432,272号明細書;5,457,187号明細書;同第5,459,255号明細書;同第5,484,908号明細書;同第5,502,177号明細書;同第5,525,711号明細書;同第5,552,540号明細書;同第5,587,469号明細書;同第5,594,121号明細書、同第5,596,091号明細書;同第5,614,617号明細書;同第5,681,941号明細書;同第5,750,692号明細書;同第6,015,886号明細書;同第6,147,200号明細書;同第6,166,197号明細書;同第6,222,025号明細書;同第6,235,887号明細書;同第6,380,368号明細書;同第6,528,640号明細書;同第6,639,062号明細書;同第6,617,438号明細書;同第7,045,610号明細書;同第7,427,672号明細書;及び同第7,495,088号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
iRNAのRNAはまた、1つ又は複数の二環式糖部分を含むように修飾され得る。「二環式糖」は、2個の原子の架橋によって修飾されたフラノシル環である。「二環式ヌクレオシド」(「BNA」)は、糖環の2個の炭素原子を結合し、それによって、二環式環系を形成する架橋を含む糖部分を有するヌクレオシドである。特定の実施形態において、架橋は、糖環の4’−炭素及び2’−炭素を結合する。したがって、ある実施形態において、本発明の剤は、1つ又は複数のロックト核酸(LNA)を含むように同様に修飾され得るiRNAのRNAを含んでもよい。ロックト核酸は、修飾されたリボース部分を有するヌクレオチドであり、リボース部分は、2’及び4’炭素を結合する追加の架橋を含む。言い換えると、LNAは、4’−CH2−O−2’架橋を含む二環式糖部分を含むヌクレオチドである。この構造は、3’−endo構造的立体配置におけるリボースを有効に「ロックする」。siRNAにロックト核酸を加えると、血清中のsiRNA安定性が増加し、オフターゲット効果が低下されることが示されている(Elmen,J.et al.,(2005)Nucleic Acids Research 33(1):439−447;Mook,OR.et al.,(2007)Mol Canc Ther 6(3):833−843;Grunweller,A.et al.,(2003)Nucleic Acids Research 31(12):3185−3193)。
本発明のポリヌクレオチドに使用するための二環式ヌクレオシドの例としては、限定はされないが、4’及び2’リボシル環原子の間の架橋を含むヌクレオシドが挙げられる。特定の実施形態において、本発明のアンチセンスポリヌクレオチド剤は、4’−2’架橋を含む1つ又は複数の二環式ヌクレオシドを含む。このような4’−2’架橋された二環式ヌクレオシドの例としては、限定はされないが、4’−(CH2)−O−2’(LNA);4’−(CH2)−S−2’;4’−(CH2)2−O−2’(ENA);4’−CH(CH3)−O−2’(「拘束(constrained)エチル」又は「cEt」とも呼ばれる)及び4’−CH(CH2OCH3)−O−2’(及びその類似体;例えば、米国特許第7,399,845号明細書を参照);4’−C(CH3)(CH3)−O−2’(及びその類似体;例えば、米国特許第8,278,283号明細書を参照);4’−CH2−N(OCH3)−2’(及びその類似体;例えば、米国特許第8,278,425号明細書を参照);4’−CH2−O−N(CH3)−2’(例えば、米国特許出願公開第2004/0171570号明細書を参照);4’−CH2−N(R)−O−2’(ここで、Rが、H、C1〜C12アルキル、又は保護基である)(例えば、米国特許第7,427,672号明細書を参照);4’−CH2−C(H)(CH3)−2’(例えば、Chattopadhyaya et al.,J.Org.Chem.,2009,74,118−134を参照);及び4’−CH2−C(=CH2)−2’(及びその類似体;例えば、米国特許第8,278,426号明細書を参照)が挙げられる。上記のそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
ロックト核酸ヌクレオチドの調製を教示する更なる代表的な米国特許及び米国特許公報としては、限定はされないが、米国特許第6,268,490号明細書;同第6,525,191号明細書;同第6,670,461号明細書;同第6,770,748号明細書;同第6,794,499号明細書;同第6,998,484号明細書;同第7,053,207号明細書;同第7,034,133号明細書;7,084,125号明細書;同第7,399,845号明細書;同第7,427,672号明細書;同第7,569,686号明細書;同第7,741,457号明細書;同第8,022,193号明細書;同第8,030,467号明細書;同第8,278,425号明細書;同第8,278,426号明細書;同第8,278,283号明細書;米国特許出願公開第2008/0039618号明細書;及び米国特許出願公開第2009/0012281号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
上記の二環式ヌクレオシドのいずれも、例えばα−L−リボフラノース及びβ−D−リボフラノースを含む1つ又は複数の立体化学的な糖立体配置を有して調製され得る(国際公開第99/14226号パンフレットを参照)。
iRNAのRNAはまた、1つ又は複数の拘束エチルヌクレオチドを含むように修飾され得る。本明細書において使用される際、「拘束エチルヌクレオチド」又は「cEt」は、4’−CH(CH3)−0−2’架橋を含む二環式糖部分を含むロックト核酸である。一実施形態において、拘束エチルヌクレオチドは、本明細書において「S−cEt」と呼ばれるS立体配座にある。
本発明のiRNAは、1つ又は複数の「立体配座的に制限されたヌクレオチド」(「CRN」)も含み得る。CRNは、リボースのC2’及びC4’炭素又はリボースのC3及びC5’炭素を結合するリンカーを有するヌクレオチド類似体である。CRNは、リボース環を、安定した立体配座へとロックし、mRNAに対するハイブリダイゼーション親和性を増大させる。リンカーは、リボース環パッカリングを少なくするように安定性及び親和性のために最適な位置に酸素を配置するのに十分な長さのものである。
上記のCRNのいくつかの調製を教示する代表的な公報としては、限定はされないが、米国特許出願公開第2013/0190383号明細書;及びPCT公報国際公開第2013/036868号パンフレットが挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
本発明のiRNAのヌクレオチドの1つ又は複数は、ヒドロキシメチル置換ヌクレオチドも含み得る。「ヒドロキシメチル置換ヌクレオチド」は、「非ロックト(unlocked)核酸」(「UNA」)修飾とも呼ばれる非環状2’−3’−seco−ヌクレオチドである。
UNAの調製を教示する代表的な米国特許公報としては、限定はされないが、米国特許第8,314,227号明細書;及び米国特許出願公開第2013/0096289号明細書;同第2013/0011922号明細書;及び同第2011/0313020号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
RNA分子の末端に対する潜在的に安定した修飾は、N−(アセチルアミノカプロイル)−4−ヒドロキシプロリノール(Hyp−C6−NHAc)、N−(カプロイル4−ヒドロキシプロリノール(Hyp−C6)、N−(アセチル−4−ヒドロキシプロリノール(Hyp−NHAc)、チミジン−2’−0−デオキシチミジン(エーテル)、N−(アミノカプロイル)−4−ヒドロキシプロリノール(Hyp−C6−アミノ)、2−ドコサノイル−ウリジン−3”−ホスフェート、逆方向塩基(inverted base)dT(idT)などを含み得る。この修飾の開示は、PCT公開番号国際公開第2011/005861号パンフレットに見られる。
A.本発明のモチーフを含む修飾iRNA
本発明の特定の態様において、本発明の二本鎖RNAi剤としては、例えば、それぞれ全内容が参照により本明細書に援用される、2011年11月18日に出願された米国仮特許出願第61/561,710号明細書、又は2012年11月16日に出願されたPCT/米国特許出願公開第2010/065691号明細書に開示される化学的修飾を有する薬剤が挙げられる。
本明細書及び米国仮特許出願第61/561,710号明細書又はPCT出願番号PCT/米国特許出願公開第2010/065691号明細書に示されるように、より優れた結果が、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つ又は複数のモチーフを、RNAi剤のセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖中、特に、切断部位又はその近傍に導入することによって得られる。ある実施形態において、RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖は、あるいは完全に修飾され得る。これらのモチーフの導入により、存在する場合、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖の修飾パターンが中断される。RNAi剤は、例えば、センス鎖上で、GalNAc誘導体リガンドと任意選択でコンジュゲートされ得る。得られたRNAi剤は、より優れた遺伝子サイレンシング活性を示す。
より詳細には、二本鎖RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖が、RNAi剤の少なくとも1つの鎖の切断部位又はその近傍に3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つ又は複数のモチーフを有するように完全に修飾される場合、RNAi剤の遺伝子サイレンシング活性が優位に向上されたことが意外にも発見された。
したがって、本発明は、インビボでの標的遺伝子(即ち、補体成分C5(C5)遺伝子)の発現を阻害することが可能な二本鎖RNAi剤を提供する。RNAi剤は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含む。RNAi剤の各鎖は、12〜30ヌクレオチド長の範囲であり得る。例えば、各鎖は、14〜30ヌクレオチド長、17〜30ヌクレオチド長、25〜30ヌクレオチド長、27〜30ヌクレオチド長、17〜23ヌクレオチド長、17〜21ヌクレオチド長、17〜19ヌクレオチド長、19〜25ヌクレオチド長、19〜23ヌクレオチド長、19〜21ヌクレオチド長、21〜25ヌクレオチド長、又は21〜23ヌクレオチド長であり得る。
センス鎖及びアンチセンス鎖は、典型的に、本明細書において「RNAi剤」とも呼ばれる二本鎖RNA(「dsRNA」)を形成する。RNAi剤の二本鎖領域は、12〜30ヌクレオチド対長であり得る。例えば、二本鎖領域は、14〜30ヌクレオチド対長、17〜30ヌクレオチド対長、27〜30ヌクレオチド対長、17〜23ヌクレオチド対長、17〜21ヌクレオチド対長、17〜19ヌクレオチド対長、19〜25ヌクレオチド対長、19〜23ヌクレオチド対長、19〜21ヌクレオチド対長、21〜25ヌクレオチド対長、又は21〜23ヌクレオチド対長であり得る。別の例では、二本鎖領域は、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、及び27ヌクレオチド長から選択される。
一実施形態において、RNAi剤は、1つ又は両方の鎖の3’末端、5’末端、又は両方の末端において1つ又は複数のオーバーハング領域及び/又はキャッピング基を含み得る。オーバーハングは、1〜6ヌクレオチド長、例えば、2〜6ヌクレオチド長、1〜5ヌクレオチド長、2〜5ヌクレオチド長、1〜4ヌクレオチド長、2〜4ヌクレオチド長、1〜3ヌクレオチド長、2〜3ヌクレオチド長、又は1〜2ヌクレオチド長であり得る。オーバーハングは、1つの鎖が他の鎖より長い結果であるか、又は同じ長さの2つの鎖が互い違いになっている結果であり得る。オーバーハングは、標的mRNAとのミスマッチを形成し得るか、又はオーバーハングは、標的とされる遺伝子配列に相補的であり得るか、又は別の配列であり得る。第1及び第2の鎖がまた、例えば、ヘアピンを形成するように更なる塩基によって、又は他の非塩基リンカーによって結合され得る。
一実施形態において、RNAi剤のオーバーハング領域中のヌクレオチドはそれぞれ、独立して、限定はされないが、2−F、2’−Oメチル、チミジン(T)、2’−O−メトキシエチル−5−メチルウリジン(Teo)、2’−O−メトキシエチルアデノシン(Aeo)、2’−O−メトキシエチル−5−メチルシチジン(m5Ceo)、及びそれらの任意の組合せなどの、2’−糖修飾を含む、修飾又は非修飾ヌクレオチドであり得る。例えば、TTは、いずれかの鎖上のいずれかの末端のためのオーバーハング配列であり得る。オーバーハングは、標的mRNAとのミスマッチを形成し得るか、又はオーバーハングは、標的とされる遺伝子配列に相補的であり得るか、又は別の配列であり得る。
RNAi剤のセンス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖における5’−又は3’−オーバーハングは、リン酸化され得る。ある実施形態において、オーバーハング領域は、2つのヌクレオチド間にホスホロチオエートを有する2つのヌクレオチドを含み、ここで、2つのヌクレオチドは、同じか又は異なり得る。一実施形態において、オーバーハングは、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の3’末端に存在する。一実施形態において、この3’−オーバーハングは、アンチセンス鎖中に存在する。一実施形態において、この3’−オーバーハングは、センス鎖中に存在する。
RNAi剤は、その全体的安定性に影響を与えずに、RNAiの干渉活性を強化し得る1つのみのオーバーハングを含み得る。例えば、一本鎖オーバーハングは、センス鎖の3’末端、あるいは、アンチセンス鎖の3’末端に位置し得る。RNAiは、アンチセンス鎖の5’末端(又はセンス鎖の3’末端)又はその逆に位置する平滑末端も有し得る。一般に、RNAiのアンチセンス鎖は、3’末端にヌクレオチドオーバーハングを有し、5’末端は平滑である。理論に制約されるのを望むものではないが、アンチセンス鎖の5’末端及びアンチセンス鎖の3’末端オーバーハングにおける非対称の平滑末端は、RISCプロセスへのガイド鎖導入に有利に働く。
一実施形態において、RNAi剤は、19ヌクレオチド長の平滑末端二本鎖(double ended bluntmer)であり、センス鎖は、5’末端から7位、8位、9位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−F修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−O−メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。
別の実施形態において、RNAi剤は、20ヌクレオチド長の平滑末端二本鎖であり、センス鎖は、5’末端から8位、9位、10位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−F修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−O−メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。
更に別の実施形態において、RNAi剤は、21ヌクレオチド長の平滑末端二本鎖であり、センス鎖は、5’末端から9位、10位、11位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−F修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−O−メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。
一実施形態において、RNAi剤は、21ヌクレオチドセンス鎖及び23ヌクレオチドアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、5’末端から9位、10位、11位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−F修飾の少なくとも1つのモチーフを含み;アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−O−メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含み、RNAi剤の一方の末端が平滑である一方、他方の末端は、2つのヌクレオチドオーバーハングを含む。好ましくは、2つのヌクレオチドオーバーハングは、アンチセンス鎖の3’末端にある。2つのヌクレオチドオーバーハングが、アンチセンス鎖の3’末端にある場合、末端の3つのヌクレオチドの間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合があり得、3つのうちの2つのヌクレオチドが、オーバーハングヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドは、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。一実施形態において、RNAi剤は、センス鎖の5’末端及びアンチセンス鎖の5’末端の両方における末端の3つのヌクレオチドの間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を更に有する。一実施形態において、モチーフの一部であるヌクレオチドを含む、RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖中の全てのヌクレオチドが、修飾ヌクレオチドである。一実施形態において、各残基が、独立して、例えば、交互のモチーフ中で、2’−O−メチル又は3’−フルオロで修飾される。任意選択で、RNAi剤は、リガンド(好ましくは、GalNAc3)を更に含む。
一実施形態において、RNAi剤は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、25〜30ヌクレオチド残基長であり、5’末端ヌクレオチド(1位)を起点として、第1の鎖の1〜23位が、少なくとも8つのリボヌクレオチドを含み;アンチセンス鎖は、36〜66ヌクレオチド残基長であり、3’末端ヌクレオチドを起点として、センス鎖の1〜23位と対合される位置において少なくとも8つのリボヌクレオチドを含んで、二本鎖を形成し;アンチセンス鎖の少なくとも3’末端ヌクレオチドが、センス鎖と対合されず、最大で6連続の3’末端ヌクレオチドが、センス鎖と対合されず、それによって、1〜6つのヌクレオチドの3’一本鎖オーバーハングを形成し;アンチセンス鎖の5’末端は、センス鎖と対合されない10〜30連続ヌクレオチドを含み、それによって、10〜30個のヌクレオチド一本鎖5’オーバーハングを形成し;少なくともセンス鎖5’末端及び3’末端ヌクレオチドは、センス鎖及びアンチセンス鎖が最大の相補性のために整列される場合、アンチセンス鎖のヌクレオチドと対合される塩基であり、それによって、センス鎖とアンチセンス鎖との間に実質的に二本鎖の領域を形成し;アンチセンス鎖は、二本鎖核酸が哺乳動物細胞中に導入されたときに標的遺伝子の発現を低下させるように、アンチセンス鎖長の少なくとも19個のリボヌクレオチドに沿って標的RNAに十分に相補的であり;センス鎖は、3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−F修飾の少なくとも1つのモチーフを含み、ここで、モチーフのうちの少なくとも1つが、切断部位又はその近傍に存在する。アンチセンス鎖は、切断部位又はその近傍に3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−O−メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。
一実施形態において、RNAi剤は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、RNAi剤は、少なくとも25且つ29以下のヌクレオチド長を有する第1の鎖と、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’−O−メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む、30ヌクレオチド長以下を有する第2の鎖とを含み;第1の鎖の3’末端及び第2の鎖の5’末端が、平滑末端を形成し、第2の鎖は、その3’末端で第1の鎖より1〜4ヌクレオチド長く、二本鎖領域は、少なくとも25ヌクレオチド長であり、第2の鎖は、RNAi剤が哺乳動物細胞中に導入されたときに標的遺伝子の発現を低下させるように、第2の鎖長の少なくとも19のヌクレオチドに沿って標的mRNAに十分に相補的であり、RNAi剤のダイサー切断(dicer cleavage)が、第2の鎖の3’末端を含むsiRNAを優先的にもたらし、それにより、哺乳動物における標的遺伝子の発現を低下させる。任意選択で、RNAi剤は、リガンドを更に含む。
一実施形態において、RNAi剤のセンス鎖は、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含み、モチーフの1つは、センス鎖の切断部位に存在する。
一実施形態において、RNAi剤のアンチセンス鎖も、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含むことができ、モチーフの1つは、アンチセンス鎖の切断部位又はその近傍に存在する。
17〜23ヌクレオチド長の二本鎖領域を有するRNAi剤では、アンチセンス鎖の切断部位は、典型的に、5’末端から10位、11位及び12位の付近である。したがって、3つの同一の修飾のモチーフは、アンチセンス鎖の5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて、又は、アンチセンス鎖の5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、アンチセンス鎖の9位、10位、11位;10位、11位、12位;11位、12位、13位;12位、13位、14位;又は13位、14位、15位に存在し得る。アンチセンス鎖中の切断部位はまた、5’末端からのRNAiの二本鎖領域の長さに応じて変化し得る。
RNAi剤のセンス鎖は、鎖の切断部位に3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含んでいてもよく;アンチセンス鎖は、鎖の切断部位又はその近傍に3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを有し得る。センス鎖及びアンチセンス鎖がdsRNA二本鎖を形成する場合、センス鎖及びアンチセンス鎖は、センス鎖における3つのヌクレオチドの1つのモチーフ及びアンチセンス鎖における3つのヌクレオチドの1つのモチーフが、少なくとも1つのヌクレオチドの重複を有し、即ち、センス鎖中のモチーフの3つのヌクレオチドのうちの少なくとも1つが、アンチセンス鎖中のモチーフの3つのヌクレオチドのうちの少なくとも1つと塩基対を形成するように整列され得る。あるいは、少なくとも2つのヌクレオチドが重複してもよく、又は全ての3つのヌクレオチドが重複してもよい。
一実施形態において、RNAi剤のセンス鎖は、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の2つ以上のモチーフを含み得る。第1のモチーフは、鎖の切断部位又はその近傍に存在してもよく、他のモチーフは、ウイング修飾(wing modification)であり得る。本明細書における「ウイング修飾」という用語は、同じ鎖の切断部位又はその近傍のモチーフから離れた鎖の別の部分に存在するモチーフを指す。ウイング修飾は、第1のモチーフに隣接するか、又は少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドによって隔てられている。モチーフが、互いに直接隣接している場合、モチーフの化学構造は、互いに異なり、モチーフが、1つ又は複数のヌクレオチドによって隔てられている場合、化学構造は、同じか又は異なり得る。2つ以上のウイング修飾が存在し得る。例えば、2つのウイング修飾が存在する場合、各ウイング修飾は、切断部位又はその近傍の第1のモチーフに対して1つの端部に又はリードモチーフ(lead motif)のいずれかの側に存在し得る。
センス鎖と同様に、RNAi剤のアンチセンス鎖は、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の2つ以上のモチーフを含んでいてもよく、モチーフの少なくとも1つが、鎖の切断部位又はその近傍に存在する。このアンチセンス鎖はまた、センス鎖に存在し得るウイング修飾と同様の配列で1つ又は複数のウイング修飾を含み得る。
一実施形態において、RNAi剤のセンス鎖又はアンチセンス鎖におけるウイング修飾は、典型的に、鎖の3’末端、5’末端又は両方の末端に第1の1つ又は2つの末端ヌクレオチドを含まない。
別の実施形態において、RNAi剤のセンス鎖又はアンチセンス鎖におけるウイング修飾は、典型的に、鎖の3’末端、5’末端又は両方の末端の二本鎖領域内に第1の1つ又は2つの対合ヌクレオチドを含まない。
RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖がそれぞれ、少なくとも1つのウイング修飾を含む場合、ウイング修飾は、二本鎖領域の同じ末端に位置してもよく、1つ、2つ又は3つのヌクレオチドの重複を有し得る。
RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖がそれぞれ、少なくとも2つのウイング修飾を含む場合、センス鎖及びアンチセンス鎖は、1つの鎖からの2つの修飾がそれぞれ、二本鎖領域の1つの末端に位置して、1つ、2つ又は3つのヌクレオチドの重複を有し;1つの鎖からの2つの修飾がそれぞれ、二本鎖領域の他方の末端に位置して、1つ、2つ又は3つのヌクレオチドの重複を有し;1つの鎖からの2つの修飾がリードモチーフの各側に位置して、二本鎖領域中に1つ、2つ又は3つのヌクレオチドの重複を有するように整列され得る。
一実施形態において、モチーフの一部であるヌクレオチドを含む、RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖中の全てのヌクレオチドが修飾され得る。各ヌクレオチドは、同じ又は異なる修飾で修飾されてもよく、この修飾は、非結合リン酸酸素及び/又は結合リン酸酸素の1つ又は複数の一方又は両方の1つ又は複数の変更;リボース糖の成分、例えば、リボース糖の2’ヒドロキシルの変更;「脱リン(dephospho)」リンカーによるリン酸部分の大規模な置換;天然の塩基の修飾又は置換;及びリボース−リン酸骨格の置換又は修飾を含み得る。
核酸が、サブユニットのポリマーであるため、例えば、塩基、又はリン酸部分、又はリン酸部分の非結合Oの修飾といった修飾の多くは、核酸内の繰り返される位置に存在する。場合によっては、修飾は、核酸中の目的の位置の全てに存在し得るが、多くの場合、そうではない。例として、修飾は、3’又は5’末端位置のみに存在してもよく、末端領域、例えば、末端ヌクレオチド上の位置又は鎖の最後の2、3、4、5、又は10のヌクレオチドのみに存在してもよい。修飾は、二本鎖領域、一本鎖領域、又はその両方に存在してもよい。修飾は、RNAの二本鎖領域のみに存在してもよく、又はRNAの一本鎖領域のみに存在してもよい。例えば、非結合O位置におけるホスホロチオエート修飾は、一方又は両方の末端のみに存在してもよく、末端領域、例えば、末端ヌクレオチド上の位置又は鎖の最後の2、3、4、5、又は10のヌクレオチドのみに存在してもよく、又は二本鎖及び一本鎖領域、特に、末端に存在してもよい。5’末端又は両方の末端が、リン酸化され得る。
例えば、安定性を高めること、オーバーハング中に特定の塩基を含むこと、又は一本鎖オーバーハング、例えば、5’又は3’オーバーハング、又はその両方に修飾ヌクレオチド又はヌクレオチド代用物(surrogate)を含むことが可能であり得る。例えば、オーバーハング中にプリンヌクレオチドを含むことが望ましいことがある。ある実施形態において、3’又は5’オーバーハング中の塩基の全て又は一部が、例えば、本明細書に記載される修飾で修飾されてもよい。修飾は、例えば、当該技術分野において公知の修飾によるリボース糖の2’位における修飾の使用、例えば、核酸塩基のリボ糖の代わりにデオキシリボヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロ(2’−F)又は2’−O−メチル修飾の使用、及びリン酸基の修飾、例えば、ホスホロチオエート修飾を含み得る。オーバーハングは、標的配列と相同である必要はない。
一実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖の各残基は、独立して、LNA、HNA、CeNA、2’−メトキシエチル、2’−O−メチル、2’−O−アリル、2’−C−アリル、2’−デオキシ、2’−ヒドロキシル、又は2’−フルオロで修飾される。鎖は、2つ以上の修飾を含み得る。一実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖の各残基は、独立して、2’−O−メチル又は2’−フルオロで修飾される。
少なくとも2つの異なる修飾が、典型的に、センス鎖及びアンチセンス鎖に存在する。それらの2つの修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾、又は他のものであり得る。
一実施形態において、Na及び/又はNbは、交互のパターンの修飾を含む。本明細書において使用される際の「交互のモチーフ」という用語は、1つ又は複数の修飾を有するモチーフを指し、各修飾が、1つの鎖の交互のヌクレオチドに存在する。交互のヌクレオチドは、1つおきのヌクレオチドに1つ又は3つおきのヌクレオチドに1つ、又は同様のパターンを指し得る。例えば、A、B及びCがそれぞれ、ヌクレオチドに対する1つのタイプの修飾を表す場合、交互のモチーフは、「ABABABABABAB・・・」、「AABBAABBAABB・・・」、「AABAABAABAAB・・・」、「AAABAAABAAAB・・・」、「AAABBBAAABBB・・・」、又は「ABCABCABCABC・・・」などであり得る。
交互のモチーフに含まれる修飾のタイプは、同じか又は異なり得る。例えば、A、B、C、Dがそれぞれ、ヌクレオチド上の1つのタイプの修飾を表す場合、交互のパターン、即ち、1つおきのヌクレオチドにおける修飾は、同じであってもよいが、センス鎖又はアンチセンス鎖のそれぞれが、「ABABAB・・・」、「ACACAC・・・」「BDBDBD・・・」又は「CDCDCD・・・」などの交互のモチーフ内の修飾のいくつかの可能性から選択され得る。
一実施形態において、本発明のRNAi剤は、アンチセンス鎖における交互のモチーフの修飾パターンに対してシフトされた、センス鎖における交互のモチーフの修飾パターンを含む。このシフトは、センス鎖のヌクレオチドの修飾基が、アンチセンス鎖のヌクレオチドの異なる修飾の基に対応するか、その逆であるようなシフトであり得る。例えば、センス鎖は、dsRNA二本鎖におけるアンチセンス鎖と対合される場合、センス鎖における交互のモチーフは、鎖の5’から3’へと「ABABAB」から開始してもよく、アンチセンス鎖における交互のモチーフは、二本鎖領域内の鎖の5’から3’へと「BABABA」から開始され得る。別の例として、センス鎖における交互のモチーフは、鎖の5’から3’へと「AABBAABB」から開始してもよく、アンチセンス鎖における交互のモチーフは、二本鎖領域内の鎖の5’から3’へと「BBAABBAA」から開始してもよく、それにより、センス鎖とアンチセンス鎖との間の修飾パターンの完全な又は部分的なシフトが存在する。
一実施形態において、RNAi剤は、センス鎖における2’−O−メチル修飾及び2’−F修飾の交互のモチーフのパターンを含み、このパターンは、最初に、アンチセンス鎖における2’−O−メチル修飾及び2’−F修飾の交互のモチーフのパターンに対するシフトを有し、即ち、センス鎖における2’−O−メチル修飾ヌクレオチドが、アンチセンス鎖における2’−F修飾ヌクレオチドと塩基対を形成し、その逆も同様である。センス鎖の1位は、2’−F修飾から開始してもよく、アンチセンス鎖の1位は、2’−O−メチル修飾から開始してもよい。
センス鎖及び/又はアンチセンス鎖への、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つ又は複数のモチーフの導入は、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖中に存在する最初の修飾パターンを中断する。センス鎖及び/又はアンチセンス鎖に3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つ又は複数のモチーフを導入することによる、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖の修飾パターンのこの中断は、標的遺伝子の対する遺伝子サイレンシング活性を意外にも高める。
一実施形態において、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾のモチーフが、鎖のいずれかに導入される場合、モチーフに隣接するヌクレオチドの修飾は、モチーフの修飾と異なる修飾である。例えば、モチーフを含む配列の一部は、「・・・NaYYYNb・・・」であり、ここで、「Y」は、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾のモチーフの修飾を表し、「Na」及び「Nb」は、Yの修飾と異なる、モチーフ「YYY」に隣接するヌクレオチドの修飾を表し、Na及びNbは、同じか又は異なる修飾であり得る。あるいは、Na及び/又はNbは、ウイング修飾が存在する場合、存在していても又は存在していなくてもよい。
RNAi剤は、少なくとも1つのホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合を更に含み得る。ホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合の修飾は、鎖のいずれかの位置の、センス鎖又はアンチセンス鎖又は両方の鎖の任意のヌクレオチドに存在し得る。例えば、ヌクレオチド間結合の修飾は、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖における全てのヌクレオチドに存在してもよく;各ヌクレオチド間結合の修飾は、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖において交互のパターンで存在してもよく;又はセンス鎖又はアンチセンス鎖は、交互のパターンで両方のヌクレオチド間結合の修飾を含み得る。センス鎖におけるヌクレオチド間結合の修飾の交互のパターンは、アンチセンス鎖と同じか又は異なっていてもよく、センス鎖におけるヌクレオチド間結合の修飾の交互のパターンは、アンチセンス鎖におけるヌクレオチド間結合の修飾の交互のパターンに対するシフトを有し得る。一実施形態において、二本鎖RNAi剤は、6〜8つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。一実施形態において、アンチセンス鎖は、5’末端における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合及び3’末端における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み、センス鎖は、5’末端又は3’末端における少なくとも2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。
一実施形態において、RNAiは、オーバーハング領域にホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合の修飾を含む。例えば、オーバーハング領域は、2つのヌクレオチド間にホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合を有する2つのヌクレオチドを含み得る。ヌクレオチド間結合の修飾はまた、オーバーハングヌクレオチドを、二本鎖領域内の末端の対合ヌクレオチドと結合するために形成され得る。例えば、少なくとも2、3、4、又は全てのオーバーハングヌクレオチドが、ホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合によって結合されてもよく、任意選択で、オーバーハングヌクレオチドを、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドと結合する更なるホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合が存在し得る。例えば、末端の3つのヌクレオチド間に少なくとも2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合が存在してもよく、3つのヌクレオチドのうちの2つが、オーバーハングヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドが、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。これらの末端の3つのヌクレオチドは、アンチセンス鎖の3’末端、センス鎖の3’末端、アンチセンス鎖の5’末端、及び/又はアンチセンス鎖の5’末端に存在し得る。
一実施形態において、2つのヌクレオチドオーバーハングは、アンチセンス鎖の3’末端にあり、末端の3つのヌクレオチド間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合が存在し、3つのヌクレオチドのうちの2つが、オーバーハングヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドが、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。任意選択で、RNAi剤は、センス鎖の5’末端及びアンチセンス鎖の5’末端の両方において、末端の3つのヌクレオチド間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を更に有し得る。
一実施形態において、RNAi剤は、標的とのミスマッチ、二本鎖内のミスマッチ、又はそれらの組合せを含む。ミスマッチは、オーバーハング領域又は二本鎖領域で生じ得る。塩基対は、解離又は融解(例えば、特定の対合の結合又は解離の自由エネルギーに対してであり、最も簡単な手法は、個々の対ごとに対を調べることであるが、類似の又は同様の分析も使用され得る)を促進する傾向に基づいて評価され得る。解離の促進に関して:A:Uが、G:Cより好ましく;G:Uが、G:Cより好ましく;I:Cが、G:Cより好ましい(I=イノシン)。ミスマッチ、例えば、非正準又は正準以外の対合(本明細書の他の箇所に記載される)が、正準な(A:T、A:U、G:C)対合より好ましく;ユニバーサル塩基を含む対合が、正準な対合より好ましい。
一実施形態において、RNAi剤は、A:U、G:U、I:Cの群から独立して選択されるアンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の最初の1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの塩基対のうちの少なくとも1つ、及び二本鎖の5’末端におけるアンチセンス鎖の解離を促進するためのミスマッチ対、例えば、非正準又は正準以外の対合又はユニバーサル塩基を含む対合を含む。
一実施形態において、アンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の1位におけるヌクレオチドは、A、dA、dU、U、及びdTからなる群から選択される。あるいは、アンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の最初の1、2又は3塩基対のうちの少なくとも1つは、AU塩基対である。例えば、アンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の第1の塩基対は、AU塩基対である。
別の実施形態において、センス鎖の3’末端におけるヌクレオチドは、デオキシ−チミン(dT)である。別の実施形態において、アンチセンス鎖の3’末端におけるヌクレオチドは、デオキシ−チミン(dT)である。一実施形態において、デオキシ−チミンヌクレオチドの短配列、例えば、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖の3’末端における2つのdTヌクレオチドが存在する。
一実施形態において、センス鎖配列は、式(I):
5’np−Na−(XXX)i−Nb−YYY−Nb−(ZZZ)j−Na−nq3’(I)
(式中:
i及びjがそれぞれ、独立して、0又は1であり;
p及びqがそれぞれ、独立して、0〜6であり;
各Naが、独立して、0〜25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み;
各Nbが、独立して、0〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
各np及びnqが、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し;
ここで、Nb及びYが、同じ修飾を有さず;
XXX、YYY及びZZZがそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す)
によって表され得る。好ましくは、YYYが、全て2’−F修飾ヌクレオチドである。
一実施形態において、Na及び/又はNbは、交互のパターンの修飾を含む。
一実施形態において、YYYモチーフは、センス鎖の切断部位又はその近傍に存在する。例えば、RNAi剤が、17〜23ヌクレオチド長の二本鎖領域を有する場合、YYYモチーフは、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;又は任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、センス鎖の切断部位又はその近傍に存在し得る(例えば:6位、7位、8位、7位、8位、9位、8位、9位、10位、9位、10位、11位、10位、11位、12位又は11位、12位、13位に存在し得る)。
一実施形態において、iが1であり、jが0であり、又はiが0であり、jが1であり、又はi及びjの両方が1である。したがって、センス鎖は、以下の式によって表され得る:
5’np−Na−YYY−Nb−ZZZ−Na−nq3’(Ib);
5’np−Na−XXX−Nb−YYY−Na−nq3’(Ic);又は
5’np−Na−XXX−Nb−YYY−Nb−ZZZ−Na−nq3’(Id)。
センス鎖が、式(Ib)によって表される場合、Nbは、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
センス鎖が、式(Ic)として表される場合、Nbは、0〜10、0〜7、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
センス鎖が、式(Id)として表される場合、各Nbは、独立して、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。好ましくは、Nbは、0、1、2、3、4、5又は6である。各Naは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
X、Y及びZのそれぞれが、互いに同じか又は異なり得る。
他の実施形態において、iが0であり、jが0であり、センス鎖は、以下の式によって表され得る:
5’np−Na−YYY−Na−nq3’(Ia)。
センス鎖が、式(Ia)によって表される場合、各Naは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
一実施形態において、RNAiのアンチセンス鎖配列は、式(II):
5’nq’−Na’−(Z’Z’Z’)k−Nb’−Y’Y’Y’−Nb’−(X’X’X’)l−N’a−np’3’(II)
(式中:
k及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり;
p’及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり;
各Na’が、独立して、0〜25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み;
各Nb’が、独立して、0〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
各np’及びnq’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し;
ここで、Nb’及びY’が、同じ修飾を有さず;
X’X’X’、Y’Y’Y’及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す)
によって表され得る。
一実施形態において、Na’及び/又はNb’は、交互のパターンの修飾を含む。
Y’Y’Y’モチーフは、アンチセンス鎖の切断部位又はその近傍に存在する。例えば、RNAi剤が、17〜23ヌクレオチド長の二本鎖領域を有する場合、Y’Y’Y’モチーフは、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;又は任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、アンチセンス鎖の9位、10位、11位;10位、11位、12位;11位、12位、13位;12位、13位、14位;又は13位、14位、15位に存在し得る。好ましくは、Y’Y’Y’モチーフは、11位、12位、13位に存在する。
一実施形態において、Y’Y’Y’モチーフは、全て2’−OMe修飾ヌクレオチドである。
一実施形態において、kが1であり、lが0であり、又はkが0であり、lが1であり、又はk及びlの両方が1である。
したがって、アンチセンス鎖は、以下の式によって表され得る:
5’nq’−Na’−Z’Z’Z’−Nb’−Y’Y’Y’−Na’−np’3’(IIb);
5’nq’−Na’−Y’Y’Y’−Nb’−X’X’X’−np’3’(IIc);又は
5’nq’−Na’−Z’Z’Z’−Nb’−Y’Y’Y’−Nb’−X’X’X’−Na’−np’3’(IId)。
アンチセンス鎖が、式(IIb)によって表される場合、Nb ’は、0〜10、0〜7、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na’は、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
アンチセンス鎖が、式(IIc)として表される場合、Nb’は、0〜10、0〜7、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na’は、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
アンチセンス鎖が、式(IId)として表される場合、各Nb’は、独立して、0〜10、0〜7、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na’は、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。好ましくは、Nbは、0、1、2、3、4、5又は6である。
他の実施形態において、kが0であり、lが0であり、アンチセンス鎖は、以下の式によって表され得る:
5’np’−Na’−Y’Y’Y’−Na’−nq’3’(Ia)。
アンチセンス鎖が、式(IIa)として表される場合、各Na’は、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
X’、Y’及びZ’のそれぞれが、互いに同じか又は異なり得る。
センス鎖及びアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、独立して、LNA、HNA、CeNA、2’−メトキシエチル、2’−O−メチル、2’−O−アリル、2’−C−アリル、2’−ヒドロキシル、又は2’−フルオロで修飾され得る。例えば、センス鎖及びアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、独立して、2’−O−メチル又は2’−フルオロで修飾される。各X、Y、Z、X’、Y’及びZ’は、特に、2’−O−メチル修飾又は2’−フルオロ修飾を表し得る。
一実施形態において、RNAi剤のセンス鎖は、二本鎖領域が21のヌクレオチドである場合、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;又は任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、鎖の9位、10位及び11位に存在するYYYモチーフを含んでいてもよく;Yは、2’−F修飾を表す。センス鎖は、二本鎖領域の反対側の末端にウイング修飾としてXXXモチーフ又はZZZモチーフを更に含んでいてもよく;XXX及びZZZはそれぞれ、独立して、2’−OMe修飾又は2’−F修飾を表す。
一実施形態において、アンチセンス鎖は、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;又は任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、鎖の11位、12位、13位に存在するY’Y’Y’モチーフを含んでいてもよく;Y’は、2’−O−メチル修飾を表す。アンチセンス鎖は、二本鎖領域の反対側の末端にウイング修飾としてX’X’X’モチーフ又はZ’Z’Z’モチーフを更に含んでいてもよく;X’X’X’及びZ’Z’Z’はそれぞれ、独立して、2’−OMe修飾又は2’−F修飾を表す。
上の式(Ia)、(Ib)、(Ic)、及び(Id)のいずれか1つによって表されるセンス鎖はそれぞれ、式(IIa)、(IIb)、(IIc)、及び(IId)のいずれか1つによって表されるアンチセンス鎖と二本鎖を形成する。
したがって、本発明の方法に使用するためのRNAi剤は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含んでいてもよく、各鎖は、14〜30のヌクレオチドを有し、RNAi二本鎖は、式(III):
センス:5’np−Na−(XXX)i−Nb−YYY−Nb−(ZZZ)j−Na−nq3’
アンチセンス:3’np ’−Na ’−(X’X’X’)k−Nb ’−Y’Y’Y’−Nb ’−(Z’Z’Z’)l−Na ’−nq ’5’
(III)
(式中:
i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり;
p、p’、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0〜6であり;
各Na及びNa ’が、独立して、0〜25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み;
各Nb及びNb ’が、独立して、0〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
ここで、
それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各np’、np、nq’、及びnqが、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し;
XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上に3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す)
によって表される。
一実施形態において、iが0であり、jが0であり;又はiが1であり、jが0であり;又はiが0であり、jが1であり;又はi及びjの両方が0であり;又はi及びjの両方が1である。別の実施形態において、kが0であり、lが0であり;又はkが1であり、lが0であり;kが0であり、lが1であり;又はk及びlの両方が0であり;又はk及びlの両方が1である。
RNAi二本鎖を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖の例示的な組合せは、以下の式を含む:
5’np−Na−YYY−Na−nq3’
3’np ’−Na ’−Y’Y’Y’−Na ’nq ’5’
(IIIa)
5’np−Na−YYY−Nb−ZZZ−Na−nq3’
3’np ’−Na ’−Y’Y’Y’−Nb ’−Z’Z’Z’−Na ’nq ’5’
(IIIb)
5’np−Na−XXX−Nb−YYY−Na−nq3’
3’np ’−Na ’−X’X’X’−Nb ’−Y’Y’Y’−Na ’−nq ’5’
(IIIc)
5’np−Na−XXX−Nb−YYY−Nb−ZZZ−Na−nq3’
3’np ’−Na ’−X’X’X’−Nb ’−Y’Y’Y’−Nb ’−Z’Z’Z’−Na−nq ’5’
(IIId)
RNAi剤が、式(IIIa)によって表される場合、各Naは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
RNAi剤が、式(IIIb)によって表される場合、各Nbは、独立して、1〜10、1〜7、1〜5又は1〜4の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
RNAi剤が、式(IIIc)として表される場合、各Nb、Nb’は、独立して、0〜10、0〜7、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
RNAi剤が、式(IIId)として表される場合、各Nb、Nb’は、独立して、0〜10、0〜7、0〜10、0〜7、0〜5、0〜4、0〜2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na、Na ’は、独立して、2〜20、2〜15、又は2〜10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。Na、Na’、Nb及びNb ’のそれぞれは、独立して、交互のパターンの修飾を含む。
式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)中のX、Y及びZのそれぞれは、互いに同じか又は異なり得る。
RNAi剤が、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)によって表される場合、Yヌクレオチドの少なくとも1つが、Y’ヌクレオチドの1つと塩基対を形成し得る。あるいは、Yヌクレオチドの少なくとも2つが、対応するY’ヌクレオチドと塩基対を形成し;又はYヌクレオチドの全ての3つが全て、対応するY’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
RNAi剤が、式(IIIb)又は(IIId)によって表される場合、Zヌクレオチドの少なくとも1つが、Z’ヌクレオチドの1つと塩基対を形成し得る。あるいは、Zヌクレオチドの少なくとも2つが、対応するZ’ヌクレオチドと塩基対を形成し;又はZヌクレオチドの全ての3つが全て、対応するZ’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
RNAi剤が、式(IIIc)又は(IIId)として表される場合、Xヌクレオチドの少なくとも1つが、X’ヌクレオチドの1つと塩基対を形成し得る。あるいは、Xヌクレオチドの少なくとも2つが、対応するX’ヌクレオチドと塩基対を形成し;又はXヌクレオチドの全ての3つが全て、対応するX’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
一実施形態において、Yヌクレオチド上の修飾は、Y’ヌクレオチド上の修飾と異なり、Zヌクレオチド上の修飾は、Z’ヌクレオチド上の修飾と異なり、及び/又はXヌクレオチド上の修飾は、X’ヌクレオチド上の修飾と異なる。
一実施形態において、RNAi剤が、式(IIId)によって表される場合、Na修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾である。別の実施形態において、RNAi剤が、式(IIId)によって表される場合、Na修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり、np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合される。更に別の実施形態において、RNAi剤が、式(IIId)によって表される場合、Na修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり、np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され、センス鎖は、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる(以下に記載)。別の実施形態において、RNAi剤が、式(IIId)によって表される場合、Na修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり、np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され、センス鎖は、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含み、センス鎖は、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる。
一実施形態において、RNAi剤が、式(IIIa)によって表される場合、Na修飾は、2’−O−メチル又は2’−フルオロ修飾であり、np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され、センス鎖は、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含み、センス鎖は、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる。
一実施形態において、RNAi剤は、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)によって表される少なくとも2つの二本鎖を含む多量体であり、この二本鎖は、リンカーによって結合される。リンカーは、切断可能又は切断不可能であり得る。任意選択で、多量体は、リガンドを更に含む。二本鎖のそれぞれは、同じ遺伝子又は2つの異なる遺伝子を標的とすることができ;又は二本鎖のそれぞれは、2つの異なる標的部位において同じ遺伝子を標的とすることができる。
一実施形態において、RNAi剤は、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)によって表される3つ、4つ、5つ、6つ又はそれ以上の二本鎖を含む多量体であり、この二本鎖は、リンカーによって結合される。リンカーは、切断可能又は切断不可能であり得る。任意選択で、多量体は、リガンドを更に含む。二本鎖のそれぞれは、同じ遺伝子又は2つの異なる遺伝子を標的とすることができ;又は二本鎖のそれぞれは、2つの異なる標的部位において同じ遺伝子を標的とすることができる。
一実施形態において、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)によって表される2つのRNAi剤は、5’末端、及び3’末端の一方又は両方で互いに結合され、任意選択で、リガンドにコンジュゲートされる。RNAi剤のそれぞれは、同じ遺伝子又は2つの異なる遺伝子を標的とすることができ;又はRNAi剤のそれぞれは、2つの異なる標的部位において同じ遺伝子を標的とすることができる。
様々な刊行物に、本発明の方法に使用され得る多量体RNAi剤が記載されている。このような刊行物としては、国際公開第2007/091269号パンフレット、米国特許第7858769号明細書、国際公開第2010/141511号パンフレット、国際公開第2007/117686号パンフレット、国際公開第2009/014887号パンフレット及び国際公開第2011/031520号パンフレットが挙げられ、それぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
以下により詳細に説明されるとおり、RNAi剤に対する1つ又は複数の炭水化物部分のコンジュゲーションを含むRNAi剤は、RNAi剤の1つ又は複数の特性を最適化することができる。多くの場合、炭水化物部分は、RNAi剤の修飾サブユニットに結合される。例えば、dsRNA剤の1つ又は複数のリボヌクレオチドサブユニットのリボース糖は、別の部分、例えば、炭水化物リガンドが結合される非炭水化物(好ましくは環状の)担体で置換され得る。サブユニットのリボース糖がこのように置換されたリボヌクレオチドサブユニットは、本明細書において、リボース置換修飾サブユニット(RRMS)と呼ばれる。環状担体は、炭素環系であってもよく、即ち、全ての環原子が、炭素原子であり、又は複素環系、即ち、1つ又は複数の環原子が、ヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、硫黄であり得る。環状担体は、単環系であってもよく、又は2つ以上の環、例えば縮合環を含み得る。環状担体は、完全に飽和した環系であってもよく、又は1つ又は複数の二重結合を含み得る。
リガンドは、担体を介してポリヌクレオチドに結合され得る。担体は、(i)少なくとも1つの「骨格結合点」、好ましくは、2つの「骨格結合点」及び(ii)少なくとも1つの「テザー結合点(tethering attachment point)」を含む。本明細書において使用される際の「骨格結合点」は、官能基、例えば、ヒドロキシル基、又は一般に、骨格、例えば、リン酸塩、又は修飾リン酸塩、例えば、硫黄を含有する、リボ核酸の骨格中への担体の組み込みに利用可能であり且つそれに適した結合を指す。「テザー結合点」(TAP)は、ある実施形態において、選択された部分を接続する環状担体の構成環原子、例えば、炭素原子又はヘテロ原子(骨格結合点を提供する原子と異なる)を指す。この部分は、例えば、炭水化物、例えば、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖及び多糖であり得る。任意選択で、選択された部分は、介在するテザー(intervening tether)によって環状担体に接続される。したがって、環状担体は、多くの場合、官能基、例えば、アミノ基を含み、又は一般に、構成環への別の化学成分、例えば、リガンドの組み込み又は連結(tethering)に適した結合を提供する。
RNAi剤は、担体を介してリガンドにコンジュゲートされてもよく、この担体は、環式基又は環式基であり得;好ましくは、環式基は、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[1,3]ジオキソラン、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル(pyridazinonyl)、テトラヒドロフリル及びデカリンから選択され;好ましくは、環式基は、セリノール骨格又はジエタノールアミン骨格から選択される。
ある特定の実施形態において、本発明の方法に使用するためのRNAi剤は、表3、4、5、6、18、19、20、21、及び23のいずれか1つに列挙される薬剤の群から選択される薬剤である。これらの薬剤は、リガンドを更に含み得る。
IV.リガンドにコンジュゲートされたiRNA
本発明のiRNAのRNAの別の修飾は、iRNAの活性、細胞分布又は細胞取り込みを向上させる1つ又は複数のリガンド、部分又はコンジュゲートをRNAに化学的に結合することを含む。このような部分としては、限定はされないが、コレステロール部分(Letsinger et al.,Proc.Natl.Acid.Sci.USA,1989,86:6553−6556)、コール酸(Manoharan et al.,Biorg.Med.Chem.Let.,1994,4:1053−1060)、チオエーテル、例えば、ベリル−S−トリチルチオール(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660:306−309;Manoharan et al.,Biorg.Med.Chem.Let.,1993,3:2765−2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20:533−538)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオール又はウンデシル残基(Saison−Behmoaras et al.,EMBO J,1991,10:1111−1118;Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259:327−330;Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75:49−54)、リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロール又はトリエチル−アンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−ホスホネート(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651−3654;Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18:3777−3783)、ポリアミン又はポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides & Nucleotides,1995,14:969−973)、又はアダマンタン酢酸(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651−3654)、パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264:229−237)、又はオクタデシルアミン又はヘキシルアミノ−カルボニルオキシコレステロール部分(Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277:923−937)などの脂質部分が挙げられる。
一実施形態において、リガンドは、それが組み込まれるiRNA剤の分布、標的化又は寿命を変化させる。好ましい実施形態において、リガンドは、例えば、このようなリガンドのない種と比較して、選択された標的(例えば、分子、細胞又は細胞型)、区画(例えば、細胞又は器官の区画)、身体の組織、器官又は領域に対する向上した親和性を提供する。好ましいリガンドは、二本鎖核酸における二本鎖の対合に関与しない。
リガンドは、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低比重リポタンパク(LDL)、又はグロブリン);炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、N−アセチルガラクトサミン又はヒアルロン酸);又は脂質などの天然の物質を含み得る。リガンドはまた、合成ポリマー、例えば、合成ポリアミノ酸などの、組み換え又は合成分子であり得る。ポリアミノ酸の例としては、ポリアミノ酸は、ポリリジン(PLL)、ポリL−アスパラギン酸、ポリL−グルタミン酸、スチレン−マレイン酸無水物コポリマー、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー、ジビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマー、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2−エチルアクリル酸)、N−イソプロピルアクリルアミドポリマー、又はポリホスファジンである。ポリアミンの例としては、ポリエチレンイミン、ポリリジン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、擬似ペプチド−ポリアミン、ペプチド模倣ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの第四級塩、又はα−へリックスペプチドが挙げられる。
リガンドはまた、標的基、例えば、細胞又は組織標的剤、例えば、レクチン、糖タンパク質、脂質又はタンパク質、例えば、腎細胞などの特定の細胞型に結合する抗体を含み得る。標的基は、サイロトロピン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク質、界面活性剤タンパク質A、ムチン炭水化物、多価ラクトース、多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン、多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタメート、ポリアスパルテート、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、フォレート、ビタミンB12、ビタミンA、ビオチン、又はRGDペプチド、又はRGDペプチド模倣体又はアプタマーであり得る。
リガンドの他の例としては、色素、挿入剤(例えばアクリジン)、架橋剤(例えばソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ又はキレート剤(例えばEDTA)、親油性分子、例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1−ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3−ビス−O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3−プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3−(オレオイル)リトコール酸、O3−(オレオイル)コレン酸(cholenic acid)、ジメトキシトリチル、又はフェノキサジン)及びペプチド複合体(例えば、アンテナペディア(antennapedia)ペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG−40K)、MPEG、[MPEG]2、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射性標識マーカー、酵素、ハプテン(例えばビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター(cluster)、アクリジン−イミダゾール複合体、Eu3+テトラアザ大員環複合体)、ジニトロフェニル、HRP、又はAPが挙げられる。
リガンドは、タンパク質、例えば、糖タンパク質、又はペプチド、例えば、コリガンド(co−ligand)、又は抗体、例えば、肝細胞などの特定の細胞型に結合する抗体に対する特異親和性を有する分子であり得る。リガンドはまた、ホルモン及びホルモン受容体を含んでもよい。リガンドはまた、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補因子、多価ラクトース、多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン、又は多価マンノース、多価フコース又はアプタマーなどの非ペプチド種を含み得る。リガンドは、例えば、リポ多糖、38MAPキナーゼの活性化因子、又はNF−κBの活性化因子であり得る。
リガンドは、例えば、細胞の微小管、マイクロフィラメント、及び/又は中間径フィラメントを破壊することによって、例えば、細胞骨格を破壊することによって、細胞中へのiRNA剤の取り込みを向上させ得る物質、例えば、薬剤であり得る。薬剤は、例えば、タクソン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャスプラキノリド、ラトランクリンA、ファロイジン、スウィンホリドA、インダノシン、又はミオセルビンであり得る。
ある実施形態において、本明細書に記載されるiRNAに結合されたリガンドは、薬物動態学的調節剤(pharmacokinetic modulator)(PK調節剤)として働く。PK調節剤としては、親油性物質(lipophile)、胆汁酸、ステロイド、リン脂質類似体、ペプチド、タンパク質結合剤、PEG、ビタミンなどが挙げられる。例示的なPK調節剤としては、限定はされないが、コレステロール、脂肪酸、コール酸、リトコール酸、ジアルキルグリセリド、ジアシルグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、ナプロキセン、イブプロフェン、ビタミンE、ビオチンなどが挙げられる。いくつかのホスホロチオエート結合を含むオリゴヌクレオチドはまた、血清タンパク質に結合することが知られており、したがって、短いオリゴヌクレオチド、例えば、骨格中に複数のホスホロチオエート結合を含む、約5塩基、10塩基、15塩基又は20塩基のオリゴヌクレオチドも、リガンド(例えばPK調節リガンド)として本発明に適している。更に、血清成分(例えば血清タンパク質)に結合するアプタマーも、本明細書に記載される実施形態においてPK調節リガンドとして使用するのに好適である。
本発明のリガンドコンジュゲートオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドへの結合分子の結合から誘導されるものなどの反応性のペンダント官能基を有するオリゴヌクレオチドの使用によって合成され得る(後述される)。この反応性オリゴヌクレオチドは、市販のリガンド、様々な保護基のいずれかを有する、合成されたリガンド、又は結合部分が結合されたリガンドと直接反応されてもよい。
本発明のコンジュゲートに使用されるオリゴヌクレオチドは、固相合成の周知の技術によって好都合に及び日常的に作製され得る。このような合成のための装置は、例えば、Applied Biosystems(Foster City,Calif.)を含むいくつかの業者によって販売されている。当該技術分野において公知のこのような合成のための任意の他の手段が、それに加えて又はその代わりに用いられてもよい。ホスホロチオエート及びアルキル化誘導体などの他のオリゴヌクレオチドを調製するための同様の技術を使用することも公知である。
本発明の配列特異的結合ヌクレオシドを有するリガンドコンジュゲートオリゴヌクレオチド及びリガンド分子において、オリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオシドは、標準的なヌクレオチド又はヌクレオシド前駆体、あるいは結合部分を既に有するヌクレオチド又はヌクレオシドコンジュゲート前駆体、リガンド分子を既に有するリガンド−ヌクレオチド又はヌクレオシドコンジュゲート前駆体、あるいは非ヌクレオシドリガンド含有ビルディングブロックを用いて、好適なDNA合成装置において組み立てられ得る。
結合部分を既に有するヌクレオチドコンジュゲート前駆体を用いる場合、配列特異的結合ヌクレオシドの合成が、典型的に、完了されてから、リガンド分子が、結合部分と反応されて、リガンドコンジュゲートオリゴヌクレオチドが形成される。ある実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチド又は結合ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチド合成に通例使用される市販の、標準的なホスホロアミダイト及び非標準的なホスホロアミダイトに加えて、リガンド−ヌクレオシドコンジュゲートから誘導されるホスホロアミダイトを用いて、自動合成装置によって合成される。
A.脂質コンジュゲート
一態様において、リガンド又はコンジュゲートは、脂質又は脂質ベースの分子である。このような脂質又は脂質ベースの分子は、好ましくは、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合する。HSA結合リガンドは、身体の標的組織、例えば、非腎臓標的組織へのコンジュゲートの分配を可能にする。例えば、標的組織は、肝臓の実質細胞を含む肝臓であり得る。HSAに結合し得る他の分子も、リガンドとして使用され得る。例えば、ナプロキセン又はアスピリンが使用され得る。脂質又は脂質ベースのリガンドは、(a)コンジュゲートの分解に対する耐性を増大し、(b)標的細胞又は細胞膜への標的化又は輸送を増大し、及び/又は(c)血清タンパク質、例えば、HSAへの結合を調整するのに使用され得る。
脂質ベースのリガンドを用いて、標的組織へのコンジュゲートの結合を阻害すること、例えば、制御することができる。例えば、より強くHSAに結合する脂質又は脂質ベースのリガンドは、腎臓に対して標的化される可能性が低く、したがって、身体から除去される可能性が低い。より弱くHSAに結合する脂質又は脂質ベースのリガンドを用いて、コンジュゲートを腎臓に対して標的化することができる。
好ましい実施形態において、脂質ベースのリガンドは、HSAに結合する。好ましくは、脂質ベースのリガンドは、コンジュゲートが好ましくは非腎臓組織に分配されるような十分な親和性でHSAに結合する。しかしながら、親和性は、HSA−リガンド結合が反転され得ないほど強力でないのが好ましい。
別の好ましい実施形態において、コンジュゲートが好ましくは腎臓に分配されるように、脂質ベースのリガンドは、HSAに弱く結合するか又は全く結合しない。腎細胞を標的とする他の部分も、脂質ベースのリガンドの代わりに又はそれに加えて使用され得る。
別の態様において、リガンドは、標的細胞、例えば、増殖細胞によって取り込まれる部分、例えば、ビタミンである。これらは、例えば、悪性又は非悪性の望ましくない細胞増殖、例えば、癌細胞を特徴とする障害を処置するのに特に有用である。例示的なビタミンは、ビタミンA、E、及びKを含む。他の例示的なビタミンは、ビタミンB、例えば、葉酸、B12、リボフラビン、ビオチン、ピリドキサール又は他のビタミンあるいは肝細胞などの標的細胞によって取り込まれる栄養素を含む。HAS及び低比重リポタンパク(LDL)も含まれる。
B.細胞透過剤
別の態様において、リガンドは、細胞透過剤(cell−permeation agent)、好ましくは、らせん状細胞透過剤である。好ましくは、この剤は両親媒性である。例示的な剤は、tat又はアンテノペディア(antennopedia)などのペプチドである。この剤がペプチドである場合、それは、ペプチジル模倣体、逆転異性体、非ペプチド又は擬ペプチド結合、及びD−アミノ酸の使用を含めて修飾され得る。らせん状剤は、好ましくはα−へリックス剤であり、これは、好ましくは、親油性及び疎油性相を有する。
リガンドは、ペプチド又はペプチド模倣体であり得る。ペプチド模倣体(本明細書においてオリゴペプチド模倣体とも呼ばれる)は、天然ペプチドと類似した明確な三次元構造に折り畳まれることが可能な分子である。ペプチド及びペプチド模倣体のiRNA剤への結合は、例えば細胞認識及び吸収を強化することにより、iRNAの薬物動態分布に影響を及ぼし得る。ペプチド又はペプチド模倣体部分は、約5〜50個のアミノ酸の長さ、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50個のアミノ酸の長さであり得る。
ペプチド又はペプチド模倣体は、例えば、細胞透過性ペプチド、カチオン性ペプチド、両親媒性ペプチド、又は疎水性ペプチド(例えば、主にTyr、Trp又はPheからなる)であり得る。ペプチド部分は、デンドリマーペプチド、構造規制(constrained)ペプチド又は架橋ペプチドであり得る。別の代替例において、ペプチド部分は、疎水性膜輸送配列(MTS)を含み得る。例示的な疎水性MTS含有ペプチドは、アミノ酸配列AAVALLPAVLLALLAP(配列番号9)を有するRFGFである。疎水性MTSを含有するRFGF類似体(例えば、アミノ酸配列AALLPVLLAAP(配列番号10)も、標的部分であり得る。ペプチド部分は、細胞膜を介してペプチド、オリゴヌクレオチド、及びタンパク質を含む大型極性分子を運搬することができる「送達」ペプチドであり得る。例えば、HIV Tatタンパク質に由来する配列(GRKKRRQRRRPPQ(配列番号11)及びショウジョウバエアンテナペディア(Drosophila Antennapedia)タンパク質(RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号12)は、送達ペプチドとして機能することが可能であることが分かっている。ペプチド又はペプチド模倣体は、ファージディスプレイライブラリー、又は1ビーズ1化合物(one−bead−one−compound)(OBOC)コンビナトリアルライブラリーから特定されたペプチドなどの、DNAのランダム配列によってコードされ得る(Lam et al.,Nature,354:82−84、1991)。細胞標的の目的のために組み込まれたモノマー単位を介してdsRNA剤に結合されたペプチド又はペプチド模倣体の例は、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)−ペプチド、又はRGD模倣体などのペプチドである。ペプチド部分は、約5つのアミノ酸から約40個のアミノ酸の長さの範囲であり得る。ペプチド部分は、安定性又は直接配座特性を高めるためなどの構造修飾を有し得る。後述される構造修飾のいずれも用いられ得る。
本発明の組成物及び方法において使用するためのRGDペプチド部分は、直鎖状又は環状であり得、特定の組織に対する標的化を促進するために、修飾、例えば、グリコシル化又はメチル化されてもよい。RGD含有ペプチド及びペプチド模倣体は、D−アミノ酸、ならびに合成RGD模倣体を使用し得る。RGDに加えて、インテグリンリガンドを標的とする他の部分を使用することができる。このリガンドの好ましいコンジュゲートは、PECAM−1又はVEGFを標的とする。
「細胞透過性ペプチド」は、細胞、例えば、細菌又は真菌細胞などの微生物細胞、あるいはヒト細胞などの哺乳動物細胞を透過することが可能である。微生物細胞を透過するペプチドは、例えば、α−へリックス直鎖状ペプチド(例えば、LL−37又はCeropin P1)、ジスルフィド結合含有ペプチド(例えば、α−デフェンシン、β−デフェンシン又はバクテネシン(bactenecin))、又は1つ若しくは2つの支配的アミノ酸のみを含有するペプチド(例えば、PR−39又はインドリシジン)であり得る。細胞透過性ペプチドはまた、核局在化シグナル(NLS)を含み得る。例えば、細胞透過性ペプチドは、HIV−1 gp41の融合ペプチドドメイン及びSV40大型T抗原のNLSに由来する、MPGなどの二分両親媒性ペプチドであり得る(Simeoni et al.,Nucl.Acids Res.31:2717−2724,2003)。
C.炭水化物コンジュゲート
本発明の組成物及び方法のある実施形態において、iRNAオリゴヌクレオチドは、炭水化物を更に含む。炭水化物コンジュゲートiRNAは、本明細書に記載されるように、インビボでの核酸の送達に有利であり、また組成物は、インビボでの治療的使用に好適である。本明細書において使用される際、「炭水化物」は、少なくとも6個の炭素原子(直鎖状、分枝鎖状又は環状であってもよい)を有し、各炭素原子に酸素、窒素又は硫黄原子が結合している1つ又は複数の単糖単位から構成されている炭水化物それ自体である化合物;又はその一部として、1つ又は複数の単糖単位から構成されている炭水化物部分を有し、単糖単位の各々が、少なくとも6個の炭素原子(直鎖状、分枝鎖状又は環状であってもよい)を有し、各炭素原子に酸素、窒素又は硫黄原子が結合している化合物のいずれかを指す。代表的な炭水化物としては、糖(単糖、二糖、三糖及び約4、5、6、7、8、又は9つの単糖単位を含むオリゴ糖)、並びにデンプン、グリコーゲン、セルロース及び多糖ゴムなどの多糖が挙げられる。特定の単糖としては、C5以上(例えば、C5、C6、C7、又はC8)の糖が挙げられ;二糖及び三糖としては、2つ又は3つの単糖単位(例えば、C5、C6、C7、又はC8)を有する糖が挙げられる。
一実施形態において、本発明の組成物及び方法に使用するための炭水化物コンジュゲートは、単糖である。別の実施形態において、本発明の組成物及び方法に使用するための炭水化物コンジュゲートは、
からなる群から選択される。
一実施形態において、単糖は、
などのN−アセチルガラクトサミンである。
本明細書に記載される実施形態に使用するための別の代表的な炭水化物コンジュゲートとしては、限定はされないが、
が挙げられ、X又はYの一方がオリゴヌクレオチドである場合、他方は水素である。
本発明の特定の実施形態において、GalNAc又はGalNAc誘導体は、一価リンカーを介して、本発明のiRNA剤に結合される。ある実施形態において、GalNAc又はGalNAc誘導体は、二価リンカーを介して、本発明のiRNA剤に結合される。本発明の更に他の実施形態において、GalNAc又はGalNAc誘導体は、三価リンカーを介して、本発明のiRNA剤に結合される。
一実施形態において、本発明の二本鎖RNAi剤は、iRNA剤に結合された1つのGalNAc又はGalNAc誘導体を含む。別の実施形態において、本発明の二本鎖RNAi剤は、複数の一価リンカーを介して、二本鎖RNAi剤の複数のヌクレオチドにそれぞれ独立して結合された、複数(例えば、2、3、4、5、又は6つ)のGalNAc又はGalNAc誘導体を含む。
ある実施形態において、例えば、本発明のiRNA剤の2本の鎖が、一方の鎖の3’末端とそれぞれの他方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの連続した鎖によって連結されて、複数の不対ヌクレオチドを含むヘアピンループを形成する1つのより大きな分子の一部である場合、ヘアピンループ内の各不対ヌクレオチドは、独立して、一価リンカーを介して結合されたGalNAc又はGalNAc誘導体を含み得る。
ある実施形態において、炭水化物コンジュゲートは、限定はされないが、PK調節剤及び/又は細胞透過性ペプチドなどの、上述したような1つ又は複数の更なるリガンドを更に含む。
D.リンカー
ある実施形態において、本明細書に記載されるコンジュゲート又はリガンドは、切断可能又は切断不可能であり得る様々なリンカーを用いて、iRNAオリゴヌクレオチドに結合され得る。
「リンカー」又は「結合基」という用語は、化合物の2つの部分を接続し、例えば、化合物の2つの部分を共有結合する有機部分を意味する。リンカーは、典型的に、直接結合又は酸素若しくは硫黄などの原子、NR8、C(O)、C(O)NH、SO、SO2、SO2NHなどの単位、又は、限定はされないが、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘテロアリール(1つ又は複数のメチレンがO、S、S(O)、SO2、N(R8)、C(O)、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環式により中断又は終端され得る)などの原子の鎖を含み;ここでR8は、水素、アシル、脂肪族又は置換された脂肪族である。一実施形態において、リンカーは、約1〜24個の原子、2〜24、3〜24、4〜24、5〜24、6〜24、6〜18、7〜18、8〜18個の原子、7−17、8〜17、6〜16、7〜16、又は8〜16個の原子である。
切断可能な結合基は、細胞の外部では十分安定であるが、標的細胞内に入った後、切断されて、リンカーが一緒に保持する2つの部分を解放するものである。好ましい実施形態において、切断可能な結合基は、標的細胞内又は第一の参照条件(例えば、細胞内条件を模倣し又は表すよう選択され得る)下で、対象の血液中、又は第二の参照条件(例えば、血液又は血清に見出される条件を模倣し又は表すよう選択され得る)下の少なくとも約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍又はそれ以上、又は少なくとも約100倍速く切断される。
切断可能な結合基は、切断剤、例えば、pH、酸化還元電位又は分解性分子の存在に敏感である。一般に、切断剤は、血清又は血液中と比較して細胞内部に広く存在し、又はより高いレベル若しくは活性で見出される。このような分解剤の例としては、例えば、細胞内に存在する酸化若しくは還元酵素又は還元により酸化還元切断可能な結合基を分解できるメルカプタンなどの還元剤を含む、特定の基質用に選択され又は基質特異性を有さない酸化還元剤、;エステラーゼ;エンドソーム又は酸性環境を形成可能な薬剤、例えば、5以下のpHをもたらす薬剤;一般的な酸として作用することにより、酸切断可能な結合基を加水分解又は分解できる酵素、ペプチダーゼ(基質特異的であり得る)、及びホスファターゼが挙げられる。
ジスルフィド結合などの切断可能な結合基は、pHに敏感であり得る。ヒト血清のpHは7.4である一方、平均細胞内pHは、僅かに低く、約7.1〜7.3の範囲である。エンドソームは、5.5〜6.0の範囲内のより酸性のpHを有し、リソソームは、ほぼ5.0の、更により酸性のpHを有する。いくつかのリンカーは、好ましいpHで切断される切断可能な結合基を有することによって、細胞内部でリガンドからカチオン性脂質を放出し、又は細胞の所望の区画内へ放出するであろう。
リンカーは、特定の酵素により切断可能な、切断可能な結合基を含み得る。リンカーに組み込まれる切断可能な結合基のタイプは、標的とされる細胞に依存し得る。例えば、肝臓を標的とするリガンドは、エステル基を含むリンカーを介して、カチオン性脂質に結合され得る。肝細胞はエステラーゼに富んでいるため、このリンカーは、エステラーゼに富んでいない細胞型内と比較して、肝細胞内でより効率的に切断されるであろう。エステラーゼに富んだ他の細胞型としては、肺、腎皮質、及び精巣の細胞が挙げられる。
ペプチド結合を含むリンカーは、肝細胞及び滑膜細胞などの、ペプチダーゼに富んだ細胞型を標的とする際に使用することができる。
一般に、切断可能な候補結合基の適切性は、分解剤(又は分解条件)の候補結合基を切断する能力を試験することにより評価することができる。血液中、又は他の非標的組織との接触の際に、切断可能な候補結合基が切断に抵抗する能力を試験することも望ましいであろう。したがって、第一の条件と第二の条件との間の、切断に対する相対的な感受性を決定することができ、第一の条件は標的細胞内での切断を示すよう選択され、第二の条件は他の組織内又は生体液、例えば血液又は血清中での切断を示すよう選択される。この評価は、無細胞系内、細胞内、細胞培養物中、器官内若しくは組織培養物中、又は全動物内で行うことができる。無細胞又は培養物条件内で最初の評価を行い、全動物内での更なる評価によって確認することが有用であり得る。好ましい実施形態において、有用な候補化合物は、血液又は血清(又は細胞外条件を模倣するよう選択された、インビトロでの条件下)と比較して、細胞内(又は細胞内条件を模倣するよう選択された、インビトロでの条件下)で少なくとも約2、4、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は約100倍速く切断される。
i.酸化還元切断可能な結合基
一実施形態において、切断可能な結合基は、還元又は酸化後に切断される酸化還元切断可能な結合基である。還元的に切断可能な結合基の例は、ジスルフィド結合基(−S−S−)である。切断可能な候補結合基が好適な「還元的に切断可能な結合基」であるか、又は例えば特定のiRNA部分及び特定の標的化剤との使用に好適であるかを決定するために、本明細書に記載される方法に注目し得る。例えば、候補は、ジチオスレイトール(DTT)、又は当該技術分野において公知の試薬を用いた他の還元剤とのインキュベーションによって評価することができ、これは、細胞、例えば標的細胞内で観察され得る切断の速度を模倣する。候補は血液又は血清条件を模倣するよう選択された条件下でも評価され得る。その1つにおいて、候補化合物は、血液中で約10%以下切断される。他の実施形態において、有用な候補化合物は、血液中(又は、細胞外条件を模倣するように選択されたインビトロでの条件下)と比較して、細胞内(又は、細胞内条件を模倣するように選択されたインビトロでの条件下)で少なくとも約2、4、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は約100倍速く分解される。候補化合物の切断速度は、細胞内媒体を模倣するように選択された条件下での標準的な酵素動力学アッセイを用いて決定され、細胞外媒体を模倣するように選択された条件と比較され得る。
ii.リン酸塩ベースの切断可能な結合基
別の実施形態において、切断可能なリンカーは、リン酸塩ベースの切断可能な結合基を含む。リン酸塩ベースの切断可能な結合基は、リン酸基を分解又は加水分解する薬剤によって切断される。細胞内でリン酸基を切断する薬剤の一例は、細胞内のホスファターゼなどの酵素である。リン酸塩ベースの結合基の例は、−O−P(O)(ORk)−O−、−O−P(S)(ORk)−O−、−O−P(S)(SRk)−O−、−S−P(O)(ORk)−O−、−O−P(O)(ORk)−S−、−S−P(O)(ORk)−S−、−O−P(S)(ORk)−S−、−S−P(S)(ORk)−O−、−O−P(O)(Rk)−O−、−O−P(S)(Rk)−O−、−S−P(O)(Rk)−O−、−S−P(S)(Rk)−O−、−S−P(O)(Rk)−S−、−O−P(S)(Rk)−S−である。好ましい実施形態は、−O−P(O)(OH)−O−、−O−P(S)(OH)−O−、−O−P(S)(SH)−O−、−S−P(O)(OH)−O−、−O−P(O)(OH)−S−、−S−P(O)(OH)−S−、−O−P(S)(OH)−S−、−S−P(S)(OH)−O−、−O−P(O)(H)−O−、−O−P(S)(H)−O−、−S−P(O)(H)−O、−S−P(S)(H)−O−、−S−P(O)(H)−S−、−O−P(S)(H)−S−である。好ましい実施形態は、−O−P(O)(OH)−O−である。これらの候補は、上述した方法と類似した方法を用いて評価することができる。
iii.酸切断可能な結合基
別の実施形態において、切断可能なリンカーは、酸切断可能な結合基を含む。酸切断可能な結合基は、酸性条件下で切断される結合基である。好ましい実施形態において、酸切断可能な結合基は、約6.5以下(例えば、約6.0、5.75、5.5、5.25、5.0、又はそれ以下)のpHを有する酸性環境内で、又は一般的な酸として作用し得る酵素などの薬剤により、切断される。細胞内では、エンドソーム及びリソソームなどの、特定の低pH小器官は、酸切断可能な結合基のための切断環境を提供し得る。酸切断可能な結合基の例には、限定はされないが、ヒドラゾン、エステル、及びアミノ酸のエステルが挙げられる。酸切断可能な基は、一般式−C=NN−、C(O)O、又は−OC(O)で表され得る。好ましい実施形態は、エステルの酸素に結合した炭素(アルコキシ基)が、アリール基、置換アルキル基、又はジメチルペンチル若しくはt−ブチルなどの第三級アルキル基である場合である。これらの候補は、上述した方法と類似した方法を用いて評価することができる。
iv.エステルベースの結合基
別の実施形態において、切断可能なリンカーは、エステルベースの切断可能な結合基を含む。エステルベースの切断可能な結合基は、細胞内のエステラーゼ及びアミラーゼなどの酵素により切断される。エステルベースの切断可能な結合基の例としては、限定はされないが、アルキレン、アルケニレン及びアルキニレン基のエステルが挙げられる。エステル切断可能な結合基は、一般式−C(O)O−、又は−OC(O)−で表される。これらの候補は、上述した方法と類似した方法を用いて評価することができる。
v.ペプチドベースの切断基
更に別の実施形態において、切断可能なリンカーは、ペプチドベースの切断可能な結合基を含む。ペプチドベースの切断可能な結合基は、細胞内のペプチダーゼ及びプロテアーゼなどの酵素により切断される。ペプチドベースの切断可能な基は、アミノ酸間で形成されてオリゴペプチド(例えば、ジペプチド、トリペプチドなど)及びポリペプチドを与えるペプチド結合である。ペプチドベースの切断可能な基は、アミド基(−C(O)NH−)を含まない。アミド基は、任意のアルキレン、アルケニレン又はアルキニレンの間で形成され得る。ペプチド結合は、アミノ酸間で形成されてペプチド及びタンパク質を与えるアミド結合の特別なタイプである。ペプチドベースの切断基は、一般に、アミノ酸間で形成されてペプチド及びタンパク質を与えるペプチド結合(即ち、アミド結合)に限定され、アミド官能基全部は含まない。ペプチドベースの切断可能な結合基は、一般式−NHCHRAC(O)NHCHRBC(O)−で表され、式中、RA及びRBは、隣接する2つのアミノ酸のR基である。これらの候補は、上述した方法と類似した方法を用いて評価することができる。
一実施形態において、本発明のiRNAは、リンカーを介して炭水化物とコンジュゲートされる。本発明の組成物及び方法のリンカーとのiRNA炭水化物コンジュゲートの非限定的な例としては、限定はされないが、
が挙げられ、X又はYの一方がオリゴヌクレオチドである場合、他方は水素である。
本発明の組成物及び方法の特定の実施形態において、リガンドは、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc(N−アセチルガラクトサミン)誘導体である。
一実施形態において、本発明のdsRNAは、式(XXXII)〜(XXXV):
のいずれかに示される構造の群から選択される二価又は三価の分枝鎖状リンカーにコンジュゲートされ、
式中:
q2A、q2B、q3A、q3B、q4A、q4B、q5A、q5B及びq5Cが、出現するごとに独立して、0〜20を表し、繰返し単位は、同一又は異なっていてもよく;
P
2A、P
2B、P
3A、P
3B、P
4A、P
4B、P
5A、P
5B、P
5C、T
2A、T
2B、T
3A、T
3B、T
4A、T
4B、T
4A、T
5B、T
5Cがそれぞれ、出現するごとに独立して、存在しないか、CO、NH、O、S、OC(O)、NHC(O)、CH
2、CH
2NH又はCH
2Oであり;
Q
2A、Q
2B、Q
3A、Q
3B、Q
4A、Q
4B、Q
5A、Q
5B、Q
5Cが、出現するごとに独立して、存在しないか、アルキレン、置換アルキレンであり、ここで1つ又は複数のメチレンが、O、S、S(O)、SO
2、N(R
N)、C(R’)=C(R”)、C≡C又はC(O)のうちの1つ又は複数により中断又は終端されてもよく;
R
2A、R
2B、R
3A、R
3B、R
4A、R
4B、R
5A、R
5B、R
5Cがそれぞれ、出現するごとに独立して、存在しないか、NH、O、S、CH
2、C(O)O、C(O)NH、NHCH(R
a)C(O)、−C(O)−CH(R
a)−NH−、CO、CH=N−O、
又はヘテロシクリルであり;
L
2A、L
2B、L
3A、L
3B、L
4A、L
4B、L
5A、L
5B及びL
5Cが、リガンドを表し;即ち、それぞれ、出現するごとに独立して、単糖(GalNAcなど)、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖、又は多糖であり;R
aが、H又はアミノ酸側鎖である。三価コンジュゲートGalNAc誘導体は、RNAi剤とともに使用されて、式(XXXVI):
のものなどの標的遺伝子の発現を阻害するのに特に有用であり、
式中、L
5A、L
5B及びL
5Cが、GalNAc誘導体などの単糖を表す。
GalNAc誘導体にコンジュゲートする好適な二価及び三価の分枝鎖状結合基の例としては、限定はされないが、式II、VII、XI、X、及びXIIIとして上に列挙される構造が挙げられる。
RNAコンジュゲートの調製を教示する代表的な特許としては、限定はされないが、米国特許第4,828,979号;4,948,882号;5,218,105号;5,525,465号;5,541,313号;5,545,730号;5,552,538号;5,578,717号、5,580,731号;5,591,584号;5,109,124号;5,118,802号;5,138,045号;5,414,077号;5,486,603号;5,512,439号;5,578,718号;5,608,046号;4,587,044号;4,605,735号;4,667,025号;4,762,779号;4,789,737号;4,824,941号;4,835,263号;4,876,335号;4,904,582号;4,958,013号;5,082,830号;5,112,963号;5,214,136号;5,082,830号;5,112,963号;5,214,136号;5,245,022号;5,254,469号;5,258,506号;5,262,536号;5,272,250号;5,292,873号;5,317,098号;5,371,241号、5,391,723号;5,416,203号、5,451,463号;5,510,475号;5,512,667号;5,514,785号;5,565,552号;5,567,810号;5,574,142号;5,585,481号;5,587,371号;5,595,726号;5,597,696号;5,599,923号;5,599,928号及び5,688,941号;6,294,664号;6,320,017号;6,576,752号;6,783,931号;6,900,297号;7,037,646号;8,106,022号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
所与の化合物の全ての位置が均一に修飾されている必要はなく、実際には、上記の修飾のうちの2つ以上を、単一の化合物中に又は更にはiRNA内の単一のヌクレオシドに組み込むことができる。本発明は、キメラ化合物であるiRNA化合物も含む。
本発明の文脈における「キメラ」iRNA化合物又は「キメラ」は、少なくとも1つのモノマー単位、即ち、dsRNA化合物の場合はヌクレオチドからそれぞれ構成される2つ以上の化学的に異なる領域を含むiRNA化合物、好ましくは、dsRNAである。これらのiRNAは、典型的に、少なくとも1つの領域を含み、ここで、RNAは、ヌクレアーゼ分解に対する耐性の増加、細胞取り込みの増加、及び/又は標的核酸に対する結合親和性の増加をiRNAに与えるように修飾される。iRNAの更なる領域は、RNA:DNA又はRNA:RNAハイブリッドを切断することが可能な酵素のための基質として働き得る。例として、RNアーゼHは、RNA:DNA二本鎖のRNA鎖を切断する細胞エンドヌクレアーゼである。したがって、RNアーゼHの活性化は、RNA標的の切断をもたらし、それによって、遺伝子発現のiRNA阻害の効率を大幅に高める。その結果として、キメラdsRNAが使用される場合、同じ標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシdsRNAと比較して、より短いiRNAによって同等の結果が得られることが多い。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動によって、及び必要に応じて、当該技術分野において公知の関連する核酸ハイブリダイゼーション技術によって、通例検出され得る。
場合によっては、iRNAのRNAは、非リガンド基によって修飾され得る。いくつかの非リガンド分子が、iRNAの活性、細胞分布又は細胞取り込みを向上させるためにiRNAにコンジュゲートされており、このようなコンジュゲートを行うための手順は、科学文献で入手可能である。このような非リガンド部分は、コレステロール(Kubo,T.et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2007,365(1):54−61;Letsinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86:6553)、コール酸(Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,4:1053)、チオエーテル、例えば、ヘキシル−S−トリチルチオール(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660:306;Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Let.,1993,3:2765)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20:533)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオール又はウンデシル残基(Saison−Behmoaras et al.,EMBO J.,1991,10:111;Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259:327;Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75:49)、リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロール又はトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651;Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18:3777)、ポリアミン又はポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides & Nucleotides,1995,14:969)、又はアダマンタン酢酸(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651)、パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264:229)、又はオクタデシルアミン又はヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分(Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277:923)などの脂質部分を含んでいた。このようなRNAコンジュゲートの調製を教示する代表的な米国特許が上に列挙されている。典型的なコンジュゲートプロトコルは、配列の1つ又は複数の位置にアミノリンカーを有するRNAの合成を含む。次に、適切なカップリング剤又は活性化試薬を用いて、アミノ基をコンジュゲートされた分子と反応させる。コンジュゲート反応は、固体担体に依然として結合されたRNAを用いて、又は溶液相中のRNAの切断の後に行うことができる。HPLCによるRNAコンジュゲートの精製により、典型的に、純粋なコンジュゲートが得られる。
IV.本発明のiRNAの送達
細胞、例えば、ヒト対象(例えば、補体成分Cに関連する疾患に罹患している対象などの、iRNA剤を必要とする対象)などの対象中の細胞への本発明のiRNAの送達は、いくつかの様々な方法で行うことができる。例えば、送達は、細胞を、本発明のiRNAとインビトロ又はインビボのいずれかで接触させることによって行われ得る。インビボ送達はまた、iRNA、例えば、dsRNAを含む組成物を対象に投与することによって直接行われ得る。あるいは、インビボ送達は、iRNAの発現をコードし、それを導く1つ又は複数のベクターを投与することによって、間接的に行われ得る。これらの代替例は、以下に更に説明される。
一般に、核酸分子を(インビトロ又はインビボで)送達する任意の方法は、本発明のiRNAとともに使用するために適合され得る(例えば、全体が参照により本明細書に援用される、Akhtar S.and Julian RL.,(1992)Trends Cell.Biol.2(5):139−144及び国際公開第94/02595号パンフレットを参照)。インビボ送達の場合、iRNA分子を送達するために考慮される因子としては、例えば、送達される分子の生物学的安定性、非特異的効果の防止、及び標的組織における送達される分子の蓄積が挙げられる。iRNAの非特異的効果は、局所投与によって、例えば、組織への直接注入又は移植によって、あるいは製剤を局所的に投与することによって、最小限に抑えられ得る。処置部位への局所投与は、剤の局所濃度を最大にし、剤によって悪影響を受け得るか又は剤を分解し得る、全身組織への剤の曝露を制限し、投与されるiRNA分子の総投与量を少なくすることができる。いくつかの研究が、iRNAが局所投与される場合の遺伝子産物のノックダウンの成功を示している。例えば、カニクイザルの硝子体内注射によるVEGF dsRNAの眼内送達(Tolentino,MJ.et al.,(2004)Retina 24:132−138)及びマウスの網膜下注射(Reich,SJ.et al.(2003)Mol.Vis.9:210−216)は両方とも、加齢性黄斑変性症の実験モデルにおける新血管形成を防ぐことを示した。更に、マウスにおけるdsRNAの直接腫瘍内投与が腫瘍容積を減少させ(Pille,J.et al.(2005)Mol.Ther.11:267−274)、担癌マウスの生存を延長することができる(Kim,WJ.et al.,(2006)Mol.Ther.14:343−350;Li,S.et al.,(2007)Mol.Ther.15:515−523)。RNA干渉は、直接注入による中枢神経系への局所送達(Dorn,G.et al.,(2004)Nucleic Acids 32:e49;Tan,PH.et al.(2005)Gene Ther.12:59−66;Makimura,H.et al.(2002)BMC Neurosci.3:18;Shishkina,GT.,et al.(2004)Neuroscience 129:521−528;Thakker,ER.,et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.101:17270−17275;Akaneya,Y.,et al.(2005)J.Neurophysiol.93:594−602)及び鼻腔内投与による肺への局所送達(Howard,KA.et al.,(2006)Mol.Ther.14:476−484;Zhang,X.et al.,(2004)J.Biol.Chem.279:10677−10684;Bitko,V.et al.,(2005)Nat.Med.11:50−55)による成功も示している。疾病の処置のためにiRNAを全身投与するために、RNAは、修飾され得るか、あるいは薬剤送達システムを用いて送達され得;両方の方法は、インビボでのエンドヌクレアーゼ及びエキソヌクレアーゼによるdsRNAの急速な分解を防ぐ働きをする。RNA又は医薬担体の修飾は、標的組織へのiRNA組成物の標的化を可能にし、望ましくないオフターゲット効果を回避することもできる。iRNA分子は、細胞取り込みを向上させ、分解を防ぐコレステロールなどの親油基への化学的結合によって修飾され得る。例えば、親油性コレステロール部分にコンジュゲートされるApoBに対するiRNAを、マウスに全身投与し、肝臓及び空腸の両方においてapoB mRNAのノックダウンを得た(Soutschek,J.et al.,(2004)Nature 432:173−178)。アプタマーへのiRNAのコンジュゲートは、前立腺癌のマウスモデルにおける腫瘍増殖を阻害し、腫瘍退縮を仲介することが示されている(McNamara,JO.et al.,(2006)Nat.Biotechnol.24:1005−1015)。代替的な実施形態において、iRNAは、ナノ粒子、デンドリマー、ポリマー、リポソーム、又はカチオン性送達システムなどの薬剤送達システムを用いて送達され得る。正に帯電したカチオン性送達システムは、iRNA分子(負に帯電した)の結合を促進し、また、負に帯電した細胞膜における相互作用を向上させて、細胞によるiRNAの効率的な取り込みを可能にする。カチオン性脂質、デンドリマー、又はポリマーは、iRNAに結合され得るか、又はiRNAを包む小胞又はミセル(例えば、Kim SH.et al.,(2008)Journal of Controlled Release 129(2):107−116を参照)を形成するように誘導され得る。小胞又はミセルの形成は、全身投与される場合のiRNAの分解を更に防ぐ。カチオン性iRNA複合体を作製し、投与するための方法は、十分当業者の能力の範囲内である(例えば、全体が参照により本明細書に援用される、Sorensen、DR.,et al.(2003)J.Mol.Biol 327:761−766;Verma,UN.et al.,(2003)Clin.Cancer Res.9:1291−1300;Arnold,AS et al.,(2007)J.Hypertens.25:197−205を参照)。iRNAの全身送達に有用な薬剤送達システムのいくつかの非限定的な例としては、DOTAP(Sorensen,DR.,et al(2003)、上記参照;Verma,UN.et al.,(2003)、上記を参照)、Oligofectamine、「固体核酸脂質粒子」(Zimmermann,TS.et al.,(2006)Nature 441:111−114)、カルジオリピン(Chien,PY.et al.,(2005)Cancer Gene Ther.12:321−328;Pal,A.et al.,(2005)Int J.Oncol.26:1087−1091)、ポリエチレンイミン(Bonnet ME.et al.,(2008)Pharm.Res.Aug 16 Epub ahead of print;Aigner,A.(2006)J.Biomed.Biotechnol.71659)、Arg−Gly−Asp(RGD)ペプチド(Liu,S.(2006)Mol.Pharm.3:472−487)、及びポリアミドアミン(Tomalia,DA.et al.,(2007)Biochem.Soc.Trans.35:61−67;Yoo,H.et al.,(1999)Pharm.Res.16:1799−1804)が挙げられる。ある実施形態において、iRNAは、全身投与のためにシクロデキストリンとともに複合体を形成する。投与のための方法及びiRNAs及びシクロデキストリンの医薬組成物が、全体が参照により本明細書に援用される米国特許第7,427,605号明細書に見出され得る。
A.ベクターでコードされた本発明のiRNA
C5遺伝子を標的とするiRNAは、DNA又はRNAベクターに挿入された転写単位から発現され得る(例えば、Couture,A,et al.,TIG.(1996),12:5−10;Skillern,A.らの国際PCT公開番号国際公開第00/22113号パンフレット、Conradの国際PCT公開番号国際公開第00/22114号パンフレット、及びConradの米国特許第6,054,299号明細書を参照)。発現は、使用される特定の構築物及び標的組織又は細胞型に応じて、一時的(およそ数時間から数週間)であるか又は持続され得る(数週間から数カ月又はそれ以上)。これらの導入遺伝子は、線状構築物、環状プラスミド、又はウイルスベクターとして導入することができ、これらは、組み込み又は非組み込みベクターであり得る。導入遺伝子は、染色体外プラスミドとして継承されるのを可能にするように構築することもできる(Gassmann,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1995)92:1292)。
iRNAの個々の1つ又は複数の鎖は、発現ベクターにおけるプロモーターから転写され得る。2本の別個の鎖が発現されて、例えば、dsRNAを生成する場合、2つの別個の発現ベクターが、(例えば、トランスフェクション又は感染によって)標的細胞中に共導入され得る。あるいは、dsRNAの各個々の鎖が、同じ発現プラスミド上に位置するプロモーターによって転写され得る。一実施形態において、dsRNAは、ステム・ループ構造を有するように、リンカーポリヌクレオチド配列によって接合される逆方向反復ポリヌクレオチドとして発現される。
iRNA発現ベクターは、一般に、DNAプラスミド又はウイルスベクターである。真核細胞と適合する発現ベクター、好ましくは、脊椎動物細胞と適合する発現ベクターを用いて、本明細書に記載されるiRNAの発現のための組み換え構築物を産生することができる。真核細胞の発現ベクターは、当該技術分野において周知であり、多くの商業的供給源から入手可能である。通常、所望の核酸セグメントを挿入するのに好都合な制限部位を含むこのようなベクターが提供される。iRNA発現ベクターの送達は、例えば、静脈内又は筋肉内投与によるか、患者から移植された標的細胞に投与した後に患者に再導入することによるか、又は所望の標的細胞への導入を可能にする任意の他の手段などによる全身送達であり得る。
iRNA発現プラスミドは、カチオン性脂質担体(例えば、Oligofectamine)又は非カチオン性の脂質ベースの担体(例えば、Transit−TKO(商標))との複合体として標的細胞中にトランスフェクトされ得る。1週間以上の期間にわたる標的RNAの異なる領域を標的とするiRNAを介したノックダウンのための複数回の脂質のトランスフェクションも、本発明によって想定される。宿主細胞中へのベクターの導入の成功は、様々な公知の方法を用いて監視され得る。例えば、一過性のトランスフェクションは、緑色蛍光タンパク質(GFP)などの蛍光マーカーなどのレポーターを用いて示され得る。エクスビボでの細胞の安定したトランスフェクションは、トランスフェクト細胞に、ハイグロマイシンB耐性などの、特定の環境因子(例えば、抗生物質及び薬剤)に対する耐性を与えるマーカーを用いて確実にすることができる。
本明細書に記載される方法及び組成物とともに用いられ得るウイルスベクター系としては、限定はされないが、(a)アデノウイルスベクター;(b)レンチウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルスなどを含むがこれらに限定されないレトロウイルスベクター;(c)アデノ随伴ウイルスベクター;(d)単純ヘルペスウイルスベクター;(e)SV40ベクター;(f)ポリオーマウイルスベクター;(g)パピローマウイルスベクター;(h)ピコルナウイルスベクター;(i)オルソポックス(orthopox)、例えば、ワクシニアウイルスベクター又は鳥ポックス、例えばカナリア痘又は鶏痘などのポックスウイルスベクター;及び(j)ヘルパー依存性又は弱毒アデノウイルスが挙げられる。複製欠損ウイルスも有利であり得る。異なるベクターが、細胞のゲノムに組み込まれるか又は組み込まれないであろう。構築物は、必要に応じて、トランスフェクションのためのウイルス配列を含み得る。あるいは、構築物は、エピソーム複製が可能なベクター、例えばEPV及びEBVベクターに組み込まれ得る。iRNAの組み換え発現のための構築物は、一般に、標的細胞内でのiRNAの発現を確実にするために、調節要素、例えば、プロモーター、エンハンサーなどを必要とする。ベクター及び構築物について考慮される他の態様が、更に後述される。
iRNAの送達に有用なベクターは、所望の標的細胞又は組織におけるiRNAの発現に十分な調節要素(プロモーター、エンハンサーなど)を含むであろう。調節要素は、構成的発現又は調節性/誘導性発現のいずれかを提供するように選択され得る。
iRNAの発現は、例えば、特定の生理的調節因子、例えば、血中グルコースレベル、又はホルモンに対して感受性がある誘導性調節配列を使用することによって、正確に調節され得る(Docherty et al.,1994,FASEB J.8:20−24)。細胞又は哺乳動物におけるdsRNAの発現の制御に好適なこのような誘導性発現系は、例えば、エクジソン、エストロゲン、プロゲステロン、テトラサイクリン、二量化の化学誘導物質、及びイソプロピル−β−D1−チオガラクトピラノシド(IPTG)による調節を含む。当業者は、iRNA導入遺伝子の目的とする使用に基づいて、適切な調節/プロモーター配列を選択することができるであろう。
iRNAをコードする核酸配列を含むウイルスベクターが使用され得る。例えば、レトロウイルスベクターが使用され得る(Miller et al.,Meth.Enzymol.217:581−599(1993)を参照)。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムの適切なパッケージング及び宿主細胞DNAへの組み込みに必要な構成要素を含有する。iRNAをコードする核酸配列は、患者への核酸の送達を促進する、1つ又は複数のベクターにクローニングされる。レトロウイルスベクターについての更なる詳細は、例えば、Boesen et al.,Biotherapy 6:291−302(1994)に見出すことができ、これには、造血幹細胞を化学療法に対してより耐性にするために、造血幹細胞にmdr1遺伝子を送達するレトロウイルスベクターの使用が記載されている。遺伝子療法におけるレトロウイルスベクターの使用を示す他の参照文献は、Clowes et al.,J.Clin.Invest.93:644−651(1994);Kiem et al.,Blood 83:1467−1473(1994);Salmons and Gunzberg,Human Gene Therapy 4:129−141(1993);及びGrossman and Wilson,Curr.Opin.in Genetics and Devel.3:110−114(1993)である。使用のために考えられるレンチウイルスベクターとしては、例えば、参照により本明細書に援用される、米国特許第6,143,520号明細書;同第5,665,557号明細書;及び同第5,981,276号明細書に記載されるHIVに基づいたベクターが挙げられる。
アデノウイルスも、本発明のiRNAの送達における使用のために考えられる。アデノウイルスは、例えば、呼吸上皮に遺伝子を送達するための特に魅力的なビヒクルである。アデノウイルスは、本来、呼吸上皮に感染し、軽度の疾病を引き起こす。アデノウイルスに基づいた送達システムの他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮細胞、及び筋肉である。アデノウイルスには、非分裂細胞に感染することが可能であるという利点がある。Kozarsky and Wilson,Current Opinion in Genetics and Development 3:499−503(1993)には、アデノウイルスに基づいた遺伝子療法の概説が示されている。Bout et al.,Human Gene Therapy 5:3−10(1994)は、アカゲザルの呼吸上皮に遺伝子を移送するアデノウイルスベクターの使用を示した。遺伝子療法におけるアデノウイルスの使用の他の例は、Rosenfeld et al.,Science 252:431−434(1991);Rosenfeld et al.,Cell 68:143−155;Mastrangeli et al.(1992),J.Clin.Invest.91:225−234(1993);PCT公報の国際公開第94/12649号パンフレット;及びWang et al.,Gene Therapy 2:775−783(1995)に見出すことができる。本発明に取り上げられるiRNAを発現するのに好適なAVベクター、組み換えAVベクターを構築するための方法、及びベクターを標的細胞中に送達するための方法が、Xia H et al.(2002),Nat.Biotech.20:1006−1010に記載されている。
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターも、本発明のiRNAを送達するのに使用され得る(Walsh et al.,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.204:289−300(1993);米国特許第5,436,146号明細書)。一実施形態において、iRNAは、例えば、U6若しくはH1 RNAプロモーター、又はサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターのいずれかを有する組み換えAAVベクターから、2つの別個の相補的な一本鎖RNA分子として発現され得る。本発明に取り上げられるdsRNAを発現するのに好適なAAVベクター、組み換えAVベクターを構築するための方法、及びベクターを標的細胞中に送達するための方法が、全開示内容が参照により本明細書に援用される、Samulski R et al.(1987),J.Virol.61:3096−3101;Fisher K J et al.(1996),J.Virol,70:520−532;Samulski R et al.(1989),J.Virol.63:3822−3826;米国特許第5,252,479号明細書;米国特許第5,139,941号明細書;国際特許出願番号国際公開第94/13788号パンフレット;及び国際特許出願番号国際公開第93/24641号パンフレットに記載されている。
本発明のiRNAの送達に好適な別のウイルスベクターは、ワクシニアウイルス、例えば、改変ウイルスアンカラ(Modified Virus Ankara)(MVA)又はNYVACなどの弱毒化ワクシニア、鶏痘又はカナリア痘などの鳥ポックスなどのポックスウイルスである。
ウイルスベクターの指向性は、エンベロープタンパク質又は他のウイルスからの他の表面抗原を用いてベクターをシュードタイピングする(pseudotype)ことによって、又は異なるウイルスカプシドタンパク質を必要に応じて置換することによって、改変され得る。例えば、レンチウイルスベクターは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、狂犬病、エボラ、モコラなどからの表面タンパク質を用いてシュードタイピングされ得る。AAVベクターは、異なるカプシドタンパク質血清型を発現するようにこのベクターを操作することによって、異なる細胞を標的とするように作製され得る。例えば、全開示内容が参照により本明細書に援用されるRabinowitz J E et al.(2002),J Virol 76:791−801を参照。
ベクターの医薬製剤は、許容できる希釈剤中のベクターを含むことができ、又は遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれる徐放性マトリックスを含むことができる。あるいは、組み換え細胞から、完全な遺伝子送達ベクター、例えば、レトロウイルスベクターが無傷で産生され得る場合、医薬製剤は、遺伝子送達システムを産生する1つ又は複数の細胞を含むことができる。
V.本発明の医薬組成物
本発明は、本発明のiRNAを含む医薬組成物及び製剤も含む。一実施形態において、本明細書に記載されるiRNAと、薬学的に許容され得る担体とを含有する医薬組成物も本明細書に提供される。
「薬学的に許容され得る」という語句は、妥当な医学的判断の範囲内で、妥当なベネフィット・リスク比に見合って、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、あるいは他の問題又は合併症を伴わずに、ヒト対象及び動物対象の組織と接触して使用するのに好適な、化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指すために本明細書において用いられる。
本明細書において使用される際の「薬学的に許容され得る担体」という語句は、身体の1つの器官、又は部分から、身体の別の器官、又は部分へと対象に化合物を運ぶ又は輸送するのに関与する、液体又は固体充填剤、希釈剤、賦形剤、製造助剤(例えば、潤滑剤、タルク、マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸亜鉛、又はステアリン酸)、又は溶媒封入材料などの、薬学的に許容され得る材料、組成物又はビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合し、処置される対象に有害でないという意味で「許容でき」なければならない。薬学的に許容され得る担体として働き得る材料のいくつかの例としては:(1)ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖類;(2)トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース、及びその誘導体;(4)トラガカント末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)マグネシウムステート(state)、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクなどの滑沢剤;(8)カカオ脂及び坐薬ワックスなどの賦形剤;(9)ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及び大豆油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどのポリオール;(12)オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱性物質除去蒸留水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝液;(21)ポリエステル、ポリカーボネート及び/又はポリ無水物;(22)、ポリペプチド及びアミノ酸などの増量剤(23)血清アルブミン、HDL及びLDLなどの血清成分;並びに(22)医薬製剤に用いられる他の非毒性の適合する物質が挙げられる。
iRNAを含有する医薬組成物は、C5遺伝子の発現又は活性に関連する疾病又は障害、例えば、補体成分C5に関連した疾病を処置するのに有用である。このような医薬組成物は、送達様式に基づいて製剤化される。一例は、非経口投与を介した、例えば、皮下(SC)又は静脈内(IV)送達による全身投与用に製剤化される組成物である。別の例は、例えば、持続性ポンプ注入などによる脳への注入による、脳実質への直接送達用に製剤化される組成物である。本発明の医薬組成物は、C5遺伝子の発現を阻害するのに十分な投与量で投与され得る。
一実施形態において、本発明のiRNA剤は、重量基準の用量として対象に投与される。「重量基準の用量」(例えば、mg/kg単位の用量)は、対象の体重に応じて変化するiRNA剤の用量である。別の実施形態において、iRNA剤は、固定用量として対象に投与される。「固定用量」(例えば、mg単位の用量)は、iRNA剤のある用量が、体重などの、任意の特定の対象に関連する因子にかかわらず、全ての対象に使用されることを意味する。特定の一実施形態において、本発明のiRNA剤の固定用量が、所定の体重又は年齢に基づいている。
一般に、本発明のiRNAの好適な用量は、1日当たりレシピエントの体重1キログラムにつき約0.001〜約200.0ミリグラムの範囲、一般に、1日当たり体重1キログラムにつき約1〜50mgの範囲である。例えば、dsRNAは、単回投与当たり約0.01mg/kg、約0.05mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約10mg/kg、約20mg/kg、約30mg/kg、約40mg/kg、又は約50mg/kgで投与され得る。
例えば、dsRNAは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8.8、9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、又は約10mg/kgの用量で投与され得る。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。
別の実施形態において、dsRNAは、約0.1〜約50mg/kg、約0.25〜約50mg/kg、約0.5〜約50mg/kg、約0.75〜約50mg/kg、約1〜約50mg/mg、約1.5〜約50mg/kb、約2〜約50mg/kg、約2.5〜約50mg/kg、約3〜約50mg/kg、約3.5〜約50mg/kg、約4〜約50mg/kg、約4.5〜約50mg/kg、約5〜約50mg/kg、約7.5〜約50mg/kg、約10〜約50mg/kg、約15〜約50mg/kg、約20〜約50mg/kg、約20〜約50mg/kg、約25〜約50mg/kg、約25〜約50mg/kg、約30〜約50mg/kg、約35〜約50mg/kg、約40〜約50mg/kg、約45〜約50mg/kg、約0.1〜約45mg/kg、約0.25〜約45mg/kg、約0.5〜約45mg/kg、約0.75〜約45mg/kg、約1〜約45mg/mg、約1.5〜約45mg/kb、約2〜約45mg/kg、約2.5〜約45mg/kg、約3〜約45mg/kg、約3.5〜約45mg/kg、約4〜約45mg/kg、約4.5〜約45mg/kg、約5〜約45mg/kg、約7.5〜約45mg/kg、約10〜約45mg/kg、約15〜約45mg/kg、約20〜約45mg/kg、約20〜約45mg/kg、約25〜約45mg/kg、約25〜約45mg/kg、約30〜約45mg/kg、約35〜約45mg/kg、約40〜約45mg/kg、約0.1〜約40mg/kg、約0.25〜約40mg/kg、約0.5〜約40mg/kg、約0.75〜約40mg/kg、約1〜約40mg/mg、約1.5〜約40mg/kb、約2〜約40mg/kg、約2.5〜約40mg/kg、約3〜約40mg/kg、約3.5〜約40mg/kg、約4〜約40mg/kg、約4.5〜約40mg/kg、約5〜約40mg/kg、約7.5〜約40mg/kg、約10〜約40mg/kg、約15〜約40mg/kg、約20〜約40mg/kg、約20〜約40mg/kg、約25〜約40mg/kg、約25〜約40mg/kg、約30〜約40mg/kg、約35〜約40mg/kg、約0.1〜約30mg/kg、約0.25〜約30mg/kg、約0.5〜約30mg/kg、約0.75〜約30mg/kg、約1〜約30mg/mg、約1.5〜約30mg/kb、約2〜約30mg/kg、約2.5〜約30mg/kg、約3〜約30mg/kg、約3.5〜約30mg/kg、約4〜約30mg/kg、約4.5〜約30mg/kg、約5〜約30mg/kg、約7.5〜約30mg/kg、約10〜約30mg/kg、約15〜約30mg/kg、約20〜約30mg/kg、約20〜約30mg/kg、約25〜約30mg/kg、約0.1〜約20mg/kg、約0.25〜約20mg/kg、約0.5〜約20mg/kg、約0.75〜約20mg/kg、約1〜約20mg/mg、約1.5〜約20mg/kb、約2〜約20mg/kg、約2.5〜約20mg/kg、約3〜約20mg/kg、約3.5〜約20mg/kg、約4〜約20mg/kg、約4.5〜約20mg/kg、約5〜約20mg/kg、約7.5〜約20mg/kg、約10〜約20mg/kg、又は約15〜約20mg/kgの用量で投与される。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。
例えば、dsRNAは、約0..01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、又は約10mg/kgの用量で投与され得る。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。
別の実施形態において、dsRNAは、約0.5〜約50mg/kg、約0.75〜約50mg/kg、約1〜約50mg/mg、約1.5〜約50mg/kb、約2〜約50mg/kg、約2.5〜約50mg/kg、約3〜約50mg/kg、約3.5〜約50mg/kg、約4〜約50mg/kg、約4.5〜約50mg/kg、約5〜約50mg/kg、約7.5〜約50mg/kg、約10〜約50mg/kg、約15〜約50mg/kg、約20〜約50mg/kg、約20〜約50mg/kg、約25〜約50mg/kg、約25〜約50mg/kg、約30〜約50mg/kg、約35〜約50mg/kg、約40〜約50mg/kg、約45〜約50mg/kg、約0.5〜約45mg/kg、約0.75〜約45mg/kg、約1〜約45mg/mg、約1.5〜約45mg/kb、約2〜約45mg/kg、約2.5〜約45mg/kg、約3〜約45mg/kg、約3.5〜約45mg/kg、約4〜約45mg/kg、約4.5〜約45mg/kg、約5〜約45mg/kg、約7.5〜約45mg/kg、約10〜約45mg/kg、約15〜約45mg/kg、約20〜約45mg/kg、約20〜約45mg/kg、約25〜約45mg/kg、約25〜約45mg/kg、約30〜約45mg/kg、約35〜約45mg/kg、約40〜約45mg/kg、約0.5〜約40mg/kg、約0.75〜約40mg/kg、約1〜約40mg/mg、約1.5〜約40mg/kb、約2〜約40mg/kg、約2.5〜約40mg/kg、約3〜約40mg/kg、約3.5〜約40mg/kg、約4〜約40mg/kg、約4.5〜約40mg/kg、約5〜約40mg/kg、約7.5〜約40mg/kg、約10〜約40mg/kg、約15〜約40mg/kg、約20〜約40mg/kg、約20〜約40mg/kg、約25〜約40mg/kg、約25〜約40mg/kg、約30〜約40mg/kg、約35〜約40mg/kg、約0.5〜約30mg/kg、約0.75〜約30mg/kg、約1〜約30mg/mg、約1.5〜約30mg/kb、約2〜約30mg/kg、約2.5〜約30mg/kg、約3〜約30mg/kg、約3.5〜約30mg/kg、約4〜約30mg/kg、約4.5〜約30mg/kg、約5〜約30mg/kg、約7.5〜約30mg/kg、約10〜約30mg/kg、約15〜約30mg/kg、約20〜約30mg/kg、約20〜約30mg/kg、約25〜約30mg/kg、約0.5〜約20mg/kg、約0.75〜約20mg/kg、約1〜約20mg/mg、約1.5〜約20mg/kb、約2〜約20mg/kg、約2.5〜約20mg/kg、約3〜約20mg/kg、約3.5〜約20mg/kg、約4〜約20mg/kg、約4.5〜約20mg/kg、約5〜約20mg/kg、約7.5〜約20mg/kg、約10〜約20mg/kg、又は約15〜約20mg/kgの用量で投与される。一実施形態において、dsRNAは、約10mg/kg〜約30mg/kgの用量で投与される。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。
例えば、対象に、約0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.225、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、0.4、0.425、0.45、0.475、0.5、0.525、0.55、0.575、0.6、0.625、0.65、0.675、0.7、0.725、0.75、0.775、0.8、0.825、0.85、0.875、0.9、0.925、0.95、0.975、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、31、32、33、34、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は約50mg/kgなどの単一治療量のiRNAを、例えば皮下又は静脈内に、投与してもよい。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。
ある実施形態において、対象には、例えば、約0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.225、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、0.4、0.425、0.45、0.475、0.5、0.525、0.55、0.575、0.6、0.625、0.65、0.675、0.7、0.725、0.75、0.775、0.8、0.825、0.85、0.875、0.9、0.925、0.95、0.975、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、31、32、33、34、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は約50mg/kgの用量などの、治療量のiRNAが、複数回投与で皮下又は静脈内投与される。複数回投与の投薬計画は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、又はそれ以上などにわたって毎日の治療量のiRNAの投与を含み得る。
他の実施形態において、対象には、例えば、約0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.225、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、0.4、0.425、0.45、0.475、0.5、0.525、0.55、0.575、0.6、0.625、0.65、0.675、0.7、0.725、0.75、0.775、0.8、0.825、0.85、0.875、0.9、0.925、0.95、0.975、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、31、32、33、34、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は約50mg/kgの用量などの、治療量のiRNAが、反復投与で皮下又は静脈内投与される。反復投与の投薬計画は、1日おき、3日ごと、4日ごと、週に2回、週に1回、隔週、又は月に1回などの、定期的な治療量のiRNAの投与を含み得る。
特定の実施形態において、例えば、本発明の組成物が、本明細書に記載されるdsRNA及び脂質を含む場合、対象には、約0.01mg/kg〜約5mg/kg、約0.01mg/kg〜約10mg/kg、約0.05mg/kg〜約5mg/kg、約0.05mg/kg〜約10mg/kg、約0.1mg/kg〜約5mg/kg、約0.1mg/kg〜約10mg/kg、約0.2mg/kg〜約5mg/kg、約0.2mg/kg〜約10mg/kg、約0.3mg/kg〜約5mg/kg、約0.3mg/kg〜約10mg/kg、約0.4mg/kg〜約5mg/kg、約0.4mg/kg〜約10mg/kg、約0.5mg/kg〜約5mg/kg、約0.5mg/kg〜約10mg/kg、約1mg/kg〜約5mg/kg、約1mg/kg〜約10mg/kg、約1.5mg/kg〜約5mg/kg、約1.5mg/kg〜約10mg/kg、約2mg/kg〜約約2.5mg/kg、約2mg/kg〜約10mg/kg、約3mg/kg〜約5mg/kg、約3mg/kg〜約10mg/kg、約3.5mg/kg〜約5mg/kg、約4mg/kg〜約5mg/kg、約4.5mg/kg〜約5mg/kg、約4mg/kg〜約10mg/kg、約4.5mg/kg〜約10mg/kg、約5mg/kg〜約10mg/kg、約5.5mg/kg〜約10mg/kg、約6mg/kg〜約10mg/kg、約6.5mg/kg〜約10mg/kg、約7mg/kg〜約10mg/kg、約7.5mg/kg〜約10mg/kg、約8mg/kg〜約10mg/kg、約8.5mg/kg〜約10mg/kg、約9mg/kg〜約10mg/kg、又は約9.5mg/kg〜約10mg/kgなどの、治療量のiRNAが投与され得る。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。
例えば、dsRNAは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、又は約10mg/kgの用量で投与され得る。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。
本発明の特定の実施形態において、例えば、二本鎖RNAi剤が、修飾(例えば、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つ又は複数のモチーフ)(剤の切断部位又はその近傍における1つのこのようなモチーフを含む)、6つのホスホロチオエート結合、及びリガンドを含む場合、このような剤は、約0.01〜約0.5mg/kg、約0.01〜約0.4mg/kg、約0.01〜約0.3mg/kg、約0.01〜約0.2mg/kg、約0.01〜約0.1mg/kg、約0.01mg/kg〜約0.09mg/kg、約0.01mg/kg〜約0.08mg/kg、約0.01mg/kg〜約0.07mg/kg、約0.01mg/kg〜約0.06mg/kg、約0.01mg/kg〜約0.05mg/kg、約0.02〜約0.5mg/kg、約0.02〜約0.4mg/kg、約0.02〜約0.3mg/kg、約0.02〜約0.2mg/kg、約0.02〜約0.1mg/kg、約0.02mg/kg〜約0.09mg/kg、約0.02mg/kg〜約0.08mg/kg、約0.02mg/kg〜約0.07mg/kg、約0.02mg/kg〜約0.06mg/kg、約0.02mg/kg〜約0.05mg/kg、約0.03〜約0.5mg/kg、約0.03〜約0.4mg/kg、約0.03〜約0.3mg/kg、約0.03〜約0.2mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、約0.03mg/kg〜約0.09mg/kg、約0.03mg/kg〜約0.08mg/kg、約0.03mg/kg〜約0.07mg/kg、約0.03mg/kg〜約0.06mg/kg、約0.03mg/kg〜約0.05mg/kg、約0.04〜約0.5mg/kg、約0.04〜約0.4mg/kg、約0.04〜約0.3mg/kg、約0.04〜約0.2mg/kg、約0.04〜約0.1mg/kg、約0.04mg/kg〜約0.09mg/kg、約0.04mg/kg〜約0.08mg/kg、約0.04mg/kg〜約0.07mg/kg、約0.04mg/kg〜約0.06mg/kg、約0.05〜約0.5mg/kg、約0.05〜約0.4mg/kg、約0.05〜約0.3mg/kg、約0.05〜約0.2mg/kg、約0.05〜約0.1mg/kg、約0.05mg/kg〜約0.09mg/kg、約0.05mg/kg〜約0.08mg/kg、又は約0.05mg/kg〜約0.07mg/kgの用量で投与される。上に記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図され、例えば、RNAi剤は、約0.015mg/kg〜約0.45mg/kgの用量で対象に投与され得る。
例えば、RNAi剤、例えば、医薬組成物中のRNAi剤は、約0.01mg/kg、0.0125mg/kg、0.015mg/kg、0.0175mg/kg、0.02mg/kg、0.0225mg/kg、0.025mg/kg、0.0275mg/kg、0.03mg/kg、0.0325mg/kg、0.035mg/kg、0.0375mg/kg、0.04mg/kg、0.0425mg/kg、0.045mg/kg、0.0475mg/kg、0.05mg/kg、0.0525mg/kg、0.055mg/kg、0.0575mg/kg、0.06mg/kg、0.0625mg/kg、0.065mg/kg、0.0675mg/kg、0.07mg/kg、0.0725mg/kg、0.075mg/kg、0.0775mg/kg、0.08mg/kg、0.0825mg/kg、0.085mg/kg、0.0875mg/kg、0.09mg/kg、0.0925mg/kg、0.095mg/kg、0.0975mg/kg、0.1mg/kg、0.125mg/kg、0.15mg/kg、0.175mg/kg、0.2mg/kg、0.225mg/kg、0.25mg/kg、0.275mg/kg、0.3mg/kg、0.325mg/kg、0.35mg/kg、0.375mg/kg、0.4mg/kg、0.425mg/kg、0.45mg/kg、0.475mg/kg、又は約0.5mg/kgの用量で投与され得る。上に記載される値の中間の値も、本発明の一部であることが意図される。
ある実施形態において、RNAi剤は、約25mg〜約900mg、例えば、約25mg〜約850mg、約25mg〜約500mg、約25mg〜約400mg、約25mg〜約300mg、約50mg〜約850mg、約50mg〜約500mg、約50mg〜約400mg、約50mg〜約300mg、約100mg〜約850mg、約100mg〜約500mg、約100mg〜約400mg、約100mg〜約300mg、約200mg〜約850mg、約200mg〜約500mg、約200mg〜約400mg、約200mg〜約300mg、約100mg〜約800mg、約100mg〜約750mg、約100mg〜約700mg、約100mg〜約650mg、約100mg〜約600mg、約100mg〜約550mg、約100mg〜約500mg、約200mg〜約850mg、約200mg〜約800mg、約200mg〜約750mg、約200mg〜約700mg、約200mg〜約650mg、約200mg〜約600mg、約200mg〜約550mg、約200mg〜約500mg、約300mg〜約850mg、約300mg〜約800mg、約300mg〜約750mg、約300mg〜約700mg、約300mg〜約650mg、約300mg〜約600mg、約300mg〜約550mg、約300mg〜約500mg、約400mg〜約850mg、約400mg〜約800mg、約400mg〜約750mg、約400mg〜約700mg、約400mg〜約650mg、約400mg〜約600mg、約400mg〜約550mg、又は約400mg〜約500mgの固定用量として投与される。
ある実施形態において、RNAi剤は、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約525mg、約550mg、約575mg、約600mg、約625mg、約650mg、約675mg、約700mg、約725mg、約750mg、約775mg、約800mg、約825mg、約850mg、約875mg、又は約900mgの固定用量として投与される。
医薬組成物は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、及び21、22、23、24分間、又は約25分間などの期間にわたって、静脈内注入によって投与され得る。投与は、例えば、毎週、隔週(即ち、2週間ごと)で1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間又はそれ以上などにわたって、定期的に繰り返され得る。最初の処置計画の後、治療剤は、より少ない頻度で投与され得る。例えば、毎週又は隔週で3ヶ月間の投与後、投与は、月に1回で6ヶ月間又は1年間又はそれ以上にわたって繰り返され得る。
医薬組成物は、一日1回投与することができ、又はiRNAは、1日を通して適切な間隔で、2、3以上のサブ用量として投与され、又は更には、連続注入若しくは徐放製剤を介した送達を用いて投与されてもよい。その場合、各サブ用量に含まれるiRNAは、総一日投与量を達成するように、対応してより少量である必要がある。投与単位はまた、例えば数日間の期間に亘るiRNAの持続放出を提供する従来の持続放出製剤を使用して、数日間に亘る送達用に配合されてもよい。持続放出製剤は当技術分野にて周知であり、薬剤を特定の部位に送達するのに特に有用であるため、本発明の薬剤と共に使用することができる。この実施形態において、投与単位は、一日用量の対応する倍数を含む。
他の実施形態において、医薬組成物の単回投与は、長続きすることができるため、その後の用量は、3、4、又は5日以下の間隔、あるいは1、2、3、又は4週間以下の間隔で投与される。本発明のある実施形態において、本発明の医薬組成物の単回投与は、週に1回投与される。本発明の他の実施形態において、本発明の医薬組成物の単回投与は、月に2回(bi−monthly)(すなわち、2週間毎)で1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間又はそれ以上投与される。最初の処置計画の後、治療剤は、より少ない頻度で投与され得る。例えば、毎週又は隔週で3ヶ月間の投与後、投与は、月に1回で6ヶ月間又は1年間又はそれ以上にわたって繰り返され得、例えば、長期間投与され得る。
当業者は、非限定的に疾病又は疾患の重篤さ、以前の処置、対象の全体的な健康及び/又は年齢、並びに存在する他の疾病を含む所定の因子が対象を効果的に処置するのに必要な投与量及び時間に影響し得ることを認識するであろう。更に、治療的有効量の組成物による対象の処置は、単一の処置又は一連の処置を含み得る。本発明により包含される個々のiRNAに関する有効な投与量、及びインビボでの半減期は、従来の方法論を用いて、又は、本明細書の他の箇所に記載されるような適切な動物モデルを使用したインビボでの試験に基づいて概算することができる。
マウス遺伝学の進歩により、C5の発現の低下から利益を得られ得る障害などの、様々なヒトの疾病の研究用の多くのマウスモデルが生成された。このようなモデルは、iRNAのインビボ試験のために、並びに治療に有効な用量を決定するために使用され得る。好適なマウスモデルは、当該技術分野において公知であり、これらとしては、例えば、コラーゲン誘導関節炎マウスモデル(Courtenay,J.S.,et al.(1980)Nature 283,666−668)、心筋虚血(Homeister JW and Lucchesi BR(1994)Annu Rev Pharmacol Toxicol 34:17−40)、オボアルブミン誘導喘息マウスモデル(例えば、Tomkinson A.,et al.(2001).J.Immunol.166,5792−5800)、(NZB×NZW)F1、MRL/Faslpr(MRL/lpr)及びBXSBマウスモデル(Theofilopoulos,A.N.and Kono,D.H.1999.Murine lupus models:gene−specific and genome−wide studies.In Lahita R.G.,ed.,Systemic Lupus Erythematosus,3rd edn,p.145.Academic Press,San Diego,CA)、マウスaHUSモデル(Goicoechea de Jorge et al.(2011)The development of atypical hemolytic uremic syndrome depeds on complement C5,J Am Soc Nephrol 22:137−145が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、局所的又は全身的処置が必要かどうか及び処置される部位に応じて、いくつかの方法で投与され得る。投与は、局所投与(例えば、経皮パッチによる)、例えば、噴霧器などによる、粉末又はエアロゾルの吸入又は吹送による経肺投与;気管内、鼻腔内、表皮及び経皮、経口又は非経口投与であり得る。非経口投与としては、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内又は筋肉内注射又は注入;例えば、埋め込みデバイスによる皮下投与;又は例えば、実質内、髄腔内若しくは脳室内投与による頭蓋内投与が挙げられる。
iRNAは、肝臓(例えば、肝臓の肝細胞)などの特定の組織を標的とするように送達され得る。
局所投与用の医薬組成物及び製剤には、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、液滴、坐薬、噴霧剤、液剤及び散剤が挙げられる。従来の医薬担体、水性、粉末又は油性基剤、増粘剤などが必要であり、又は所望され得る。被覆コンドーム、手袋なども有用であり得る。好適な局所製剤は、本発明を特徴付けるiRNAが、脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート化剤及び界面活性剤などの局所送達薬剤との混合物であるものを含む。好適な脂質及びリポソームは、中性(例えば、ジオレイルホスファチジルDOPEエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリンDMPC、ジステアロイルホスファチジルコリン)、陰イオン性(例えば、ジミリストイルホスファチジルグリセロールDMPG)及び陽イオン性(例えば、ジオレイルテトラメチルアミノプロピルDOTAP及びジオレイルホスファチジルエタノールアミンDOTMA)を含む。本発明を特徴付けるiRNAは、リポソーム中に封入されることができ、又はリポソームに対して、特に陽イオン性リポソームに対して錯体を形成することができる。代替的に、iRNAは、脂質に対して、特に陽イオン性脂質に対して錯体化されてもよい。好適な脂肪酸及びエステルには、非限定的にアラキドン酸、オレイン酸、エイコサン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、又はC1〜20アルキルエステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピルIPM)、モノグリセリド、ジグリセリド又はこれらの薬学的に許容され得る塩が挙げられる)。局所製剤は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,747,014号明細書に詳細に記載されている。
A.膜分子集合体を含むiRNA製剤
本発明の組成物及び方法に使用するためのiRNAは、膜分子集合体、例えば、リポソーム又はミセル中の送達用に製剤化され得る。本明細書において使用される際、「リポソーム」という用語は、少なくとも1つの二重層、例えば、1つの二重層又は複数の二重層に配置された両親媒性の脂質から構成される小胞を指す。リポソームは、親油性材料及び水性内部から形成される膜を有する単層及び多層小胞を含む。水性部分は、iRNA組成物を含有する。親油性材料は、水性外部から水性内部を分離し、通常、iRNA組成物を含まないが、場合によっては、含むことがある。リポソームは、作用部位への活性成分の移送及び送達に有用である。リポソーム膜は生体膜と構造が類似しているため、リポソームが組織に付着されると、リポソームの二重層が、細胞膜の二重層と融合する。リポソーム及び細胞の融合が進むにつれて、iRNAを含む内部の水性内容物が、細胞に送達され、ここで、iRNAは、標的RNAに特異的に結合することができ、RNAiを仲介することができる。場合によっては、リポソームはまた、例えば、iRNAを特定の細胞型に指向するように、特異的に標的化される。
RNAi剤を含有するリポソームは、様々な方法によって調製され得る。一例において、リポソームの脂質成分は、ミセルが脂質成分で形成されるように、洗剤に溶解される。例えば、脂質成分は、両親媒性のカチオン性脂質又は脂質コンジュゲートであり得る。洗剤は、高い臨界ミセル濃度を有することができ、非イオン性であり得る。例示的な洗剤としては、コール酸塩、CHAPS、オクチルグルコシド、デオキシコール酸塩、及びラウロイルサルコシンが挙げられる。次に、RNAi剤の調製物は、脂質成分を含むミセルに加えられる。脂質におけるカチオン性基は、RNAi剤と相互作用し、RNAi剤の周りで縮合して、リポソームを形成する。縮合の後、洗剤は、例えば透析によって除去されて、RNAi剤のリポソーム製剤が得られる。
必要に応じて、縮合を補助する担体化合物が、例えば、制御添加によって、縮合反応中に加えられ得る。例えば、担体化合物は、核酸以外のポリマー(例えば、スペルミン又はスペルミジン)であり得る。縮合を補助するためにpHも調整され得る。
送達ビヒクルの構成成分としてポリヌクレオチド/カチオン性脂質複合体を組み込む安定したポリヌクレオチド送達ビヒクルを生成するための方法が、例えば、全内容が参照により本明細書に援用される国際公開第96/37194号パンフレットに更に記載されている。リポソーム形成は、Felgner,P.L.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8:7413−7417,1987;米国特許第4,897,355号明細書;米国特許第5,171,678号明細書;Bangham et al.,M.Mol.Biol.23:238,1965;Olson et al.,Biochim.Biophys.Acta 557:9,1979;Szoka et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.75:4194,1978;Mayhew et al.,Biochim.Biophys.Acta 775:169,1984;Kim et al.,Biochim.Biophys.Acta 728:339,1983;及びFukunaga et al.,Endocrinol.115:757,1984に記載される例示的な方法の1つ又は複数の態様も含み得る。送達ビヒクルとして使用するのに適切なサイズの脂質集合体を調製するための一般的に使用される技術としては、超音波処理ならびに凍結融解及び押し出しが挙げられる(例えば、Mayer et al.,Biochim.Biophys.Acta 858:161,1986を参照)。一貫して小さく(50〜200nm)且つ比較的均一な集合体が所望される場合、顕微溶液化(microfluidization)が使用され得る(Mayhew et al.,Biochim.Biophys.Acta 775:169,1984)。これらの方法は、RNAi剤の調製物をリポソームにパッケージングするのに容易に適合される。
リポソームは、2つの大きなクラスに分かれる。陽イオン性リポソームは、負に帯電された核酸分子と相互作用して安定な複合体を形成する正に帯電されたリポソームである。正に帯電された核酸/リポソーム複合体は負に帯電された細胞表面に結合し、エンドソーム内に移行される。エンドソーム内の酸性pHによって、リポソームが破裂され、それらの内容物を細胞質内に放出する(Wang et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,1987,147,980−985)。
pH感受性かつ負に帯電されたリポソームは、核酸と複合するのではなく、核酸を捕捉する。核酸及び脂質の両方は同様に帯電されるため、複合体形成ではなく反発が起こる。にも係わらず、いくつかの核酸はこれらのリポソームの水性内部内に捕捉される。pH感受性リポソームは、チミジンキナーゼ遺伝子をコードする核酸を培養物中の細胞単層に送達するよう使用されている。標的細胞内で外来遺伝子の発現が検出された(Zhou et al.,Journal of Controlled Release,1992,19,269〜274)。
リポソーム組成物の主要な一タイプは、天然由来のホスファチジルコリン以外のリン脂質を含む。例えば中性リポソーム組成物は、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)又はジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成され得る。陰イオン性リポソーム組成物は一般に、ジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成される一方、陰イオン性膜融合リポソームは、主としてジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成される。他のタイプのリポソーム組成物は、例えば、大豆PC、及び卵PCなどのホスファチジルコリン(PC)から形成される。他のタイプは、リン脂質及び/又はホスファチジルコリン及び/又はコレステロールの混合物から形成される。
リポソームを細胞中にインビトロ及びインビボで導入するための他の方法の例としては、米国特許第5,283,185号明細書;米国特許第5,171,678号明細書;国際公開第94/00569号パンフレット;国際公開第93/24640号パンフレット;国際公開第91/16024号パンフレット;Felgner,J.Biol.Chem.269:2550,1994;Nabel,Proc.Natl.Acad.Sci.90:11307,1993;Nabel,Human Gene Ther.3:649,1992;Gershon,Biochem.32:7143,1993;及びStrauss,EMBO J.11:417,1992が挙げられる。
非イオン性リポソーム系、特に非イオン性界面活性剤及びコレステロールを含む系も試験されて、皮膚への薬物の送達におけるそれらの有用性が決定されている。Novasome(商標)I(ジラウリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)及びNovasome(商標)II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム製剤を使用して、シクロスポリン−Aをマウス皮膚の真皮に送達した。結果はそのような非イオン性リポソーム系が皮膚の異なる層中へのシクロスポリン−Aの堆積を促進するのに有効であることを示した(Hu et al.S.T.P.Pharma.Sci.,1994,4(6)466)。
リポソームは、「立体的に安定化された」リポソームも含み、本明細書で使用されるこの用語は、1つ又は複数の特定化脂質を含むリポソームを指し、該特定化脂質は、リポソームに組み込まれた際、そのような特定化脂質を欠いたリポソームと比較して増強された循環寿命をもたらす。立体的に安定化されたリポソームの例は、リポソームのベシクル形成脂質部分の一部が、(A)モノシアロガングリオシドGM1などの1つ又は複数の糖脂質を含むもの、又は(B)ポリエチレングリコール(PEG)部分などの1つ又は複数の親水性ポリマーにより誘導体化されているものである。任意の特定の理論に束縛されるものではないが、当技術分野では、少なくともガングリオシド、スフィンゴミエリン、又はPEG−誘導体化脂質を含む立体的に安定化されたリポソームに関しては、これらの立体的に安定化されたリポソームの増強された循環半減期は、細網内皮系(RES)の細胞内への取り込みの低下に由来すると考えられている(Allen et al.,FEBS Letters,1987,223,42;Wu et al.,Cancer Research,1993,53,3765)。
1つ又は複数の糖脂質を含む様々なリポソームが、当技術分野にて既知である。Papahadjopoulos et al.(Ann.N.Y.Acad.Sci.,1987,507,64)は、リポソームの血中半減期を改善するモノシアロガングリオシドGM1、硫酸ガラクトセレブロシド及びホスファチジルイノシトールの能力を報告している。これらの発見は、Gabizon et al.により詳説されている(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1988,85,6949)。両方ともAllen et al.に付与された米国特許第4,837,028号明細書及び国際公開第88/04924号パンフレットは、(1)スフィンゴミエリン及び(2)ガングリオシドGM1又は硫酸ガラクトセレブロシドエステルを含むリポソームを開示している。米国特許第5,543,152号明細書(Webb et al.)は、スフィンゴミエリンを含むリポソームを開示している。1,2−sn−ジミリストイルホスファチジルコリンを含むリポソームは、国際公開第97/13499号パンフレット(Lim et al.)に開示されている。
一実施形態において、カチオン性リポソームが使用される。カチオン性リポソームには、細胞膜に融合することができるという利点がある。非カチオン性リポソームは、それほど効率的に細胞膜と融合することができないが、インビボでマクロファージによって取り込まれ、RNAi剤をマクロファージに送達するのに使用され得る。
リポソームの更なる利点としては以下が挙げられる:天然のリン脂質から得られるリポソームは、生体適合性があり且つ生分解性可能であり;リポソームは、広範囲の水溶性及び脂溶性薬剤を組み込むことができ;リポソームは、その内部の区画中に封入されたRNAi剤を代謝及び分解から保護することができる(Rosoff,in “Pharmaceutical Dosage Forms,”Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,volume1,p.245)。リポソーム製剤の調製における重要な考慮事項は、脂質表面電荷、小胞サイズ及びリポソームの水性容積である。
正に帯電した合成カチオン性脂質である、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)を用いて、核酸と自発的に相互作用して、組織培養細胞の細胞膜の負に帯電した脂質と融合し、RNAi剤の送達をもたらすことが可能な脂質−核酸複合体を形成する、小さいリポソームを形成することができる(例えば、Felgner,P.L.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8:7413−7417,1987、及びDOTMA及びDNAとのその使用の説明については米国特許第4,897,355号明細書を参照)。
DOTMA類似体である、1,2−ビス(オレイルオキシ)−3−(トリメチルアンモニア)プロパン(DOTAP)は、リン脂質と組み合わせて使用して、DNA複合小胞を形成することができる。Lipofectin(商標)Bethesda Research Laboratories,Gaithersburg,Md.)は、負に帯電したポリヌクレオチドと自発的に相互作用して、複合体を形成する正に帯電したDOTMAリポソームを含む生体組織培養細胞中に高度にアニオン性の核酸を送達するための効果的な薬剤である。十分に正に帯電したリポソームが使用される場合、得られる複合体の正味電荷も正である。このように調製される正に帯電した複合体は、負に帯電した細胞表面に自発的に付着し、細胞膜と融合し、機能性核酸を、例えば、組織培養細胞中に効率的に送達する。別の市販のカチオン性脂質である、1,2−ビス(オレイルオキシ)−3,3−(トリメチルアンモニア)プロパン(「DOTAP」)(Boehringer Mannheim,Indianapolis,Indiana)は、オレオイル部分がエーテル結合ではなく、エステルによって結合された点でDOTMAとは異なる。
他の報告されているカチオン性脂質化合物としては、2つのタイプの脂質のうちの1つにコンジュゲートされ、5−カルボキシスペルミルグリシンジオクタオレオイルアミド(「DOGS」)(Transfectam(商標),Promega,Madison,Wisconsin)及びジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン5−カルボキシスペルミル−アミド(「DPPES」)などの化合物を含む、例えば、カルボキシスペルミンを含む様々な部分にコンジュゲートされたものが挙げられる(例えば、米国特許第5,171,678号明細書を参照)。
別のカチオン性脂質コンジュゲートは、DOPEと組み合わせてリポソームに製剤化されたコレステロール(「DC−Chol」)による脂質の誘導体化を含む(Gao,X.及びHuang,L.,Biochim.Biophys.Res.Commun.179:280,1991を参照)。ポリリジンをDOPEにコンジュゲートすることによって作製されるリポポリリジンは、血清の存在下におけるトランスフェクションに有効であると報告されている(Zhou,X.et al.,Biochim.Biophys.Acta 1065:8,1991)。特定の細胞株では、コンジュゲートされたカチオン性脂質を含有するこれらのリポソームは、DOTMA含有組成物より低い毒性を示し、より効率的なトランスフェクションを提供するとされている。他の市販のカチオン性脂質製品としては、DMRIE及びDMRIE−HP(Vical,La Jolla,California)及びLipofectamine(DOSPA)(Life Technology,Inc.,Gaithersburg,Maryland)が挙げられる。オリゴヌクレオチドの送達に好適な他のカチオン性脂質が、国際公開第98/39359号パンフレット及び国際公開第96/37194号パンフレットに記載されている。
リポソーム製剤は、局所投与に特に適しており、リポソームは、他の製剤に優るいくつかの利点を示す。このような利点としては、投与される薬剤の高い全身性吸収率に関連する副作用の減少、所望の標的における投与される薬剤の蓄積の増加、及びRNAi剤を皮膚に投与する能力が挙げられる。ある実施において、RNAi剤を表皮細胞に送達するために、また、真皮組織、例えば、皮膚へのRNAi剤の浸透を促進するために、リポソームが使用される。例えば、リポソームは、局所的に適用され得る。リポソームとして製剤化される薬剤の皮膚への局所送達が報告されている(例えば、Weiner et al.,Journal of Drug Targeting,1992,vol.2,405−410及びdu Plessis et al.,Antiviral Research,18,1992:259−265;Mannino,R.J.and Fould−Fogerite,S.,Biotechniques 6:682−690,1988;Itani,T.et al.,Gene 56:267−276,1987;Nicolau,C.et al.(1987)Meth.Enz.149:157−176,1987;Straubinger,R.M.and Papahadjopoulos,D.Meth.Enz.101:512−527,1983;Wang,C.Y.and Huang,L.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7851−7855,1987を参照)。
また、非イオン性リポソーム系、特に、非イオン性界面活性剤及びコレステロールを含む系は、皮膚への薬剤の送達におけるそれらの有用性を決定するために調べられた。Novasome I(ジラウリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)及びNovasome II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム製剤が、マウス皮膚の真皮に薬剤を送達するのに使用された。RNAi剤を含むこのような製剤は、皮膚疾患を処置するのに有用である。
iRNAを含むリポソームは、高度に変形可能に作製され得る。このような変形性は、リポソームが、リポソームの平均半径より小さい孔を透過するのを可能にし得る。例えば、トランスフェルソーム(transfersome)は、変形可能なリポソームの一種である。トランスフェルソームは、表面縁活性化因子、通常、界面活性剤を、標準的なリポソーム組成物に加えることによって作製され得る。RNAi剤を含むトランスフェルソームは、皮膚のケラチノサイトにRNAi剤を送達するために、例えば、皮下感染によって送達され得る。無傷の哺乳動物皮膚を横断するために、脂質小胞は、好適な経皮勾配の影響下で、50nm未満の直径をそれぞれ有する一連の微細孔を透過しなければならない。更に、脂質特性のため、これらのトランスフェロソームは、自己最適化(例えば、毛穴の形状に適応可能)、自己修復性であり得、多くの場合、破砕せずにそれらの標的に到達し、多くの場合、自己充填性(self−loading)であり得る。
本発明に適した他の製剤が、2008年1月2日に出願された米国仮特許出願第61/018,616号明細書;2008年1月2日に出願された同第61/018,611号明細書;2008年3月26日に出願された同第61/039,748号明細書;2008年4月22日に出願された同第61/047,087号明細書及び2008年5月8日に出願された同第61/051,528号明細書に記載されている。2007年10月3日に出願されたPCT出願第PCT/US2007/080331号明細書にも、本発明に適した製剤が記載されている。
トランスファーソームは、リポソームの更なる別の一タイプであり、薬物送達ビヒクルの候補として魅力的な、高く変形可能な脂質凝集体である。トランスファーソームは、脂質小滴として記載することもでき、この脂質小滴は、高く変形可能であるため、小滴よりも小さい孔内を容易に透過することができる。トランスファーソームは、それらが使用される環境に適合可能であり、例えば自己最適性(皮膚内の孔の形状に適応する)であり、自己修復性であり、しばしば細分化することなくそれらの標的に到達し、また多くの場合、自己負荷性である。トランスファーソームを作製するためには、通常は界面活性剤である表面縁部活性化因子を標準的なリポソーム組成物に加えることが可能である。トランスファーソームは、皮膚に血清アルブミンを送達するのに使用されている。トランスファーソーム仲介による血清アルブミンの送達は、血清アルブミンを含む溶液の皮下注射と同様に効果的であることが示されている。
界面活性剤は、エマルション(マイクロエマルションを含む)及びリポソームなどの製剤に広い用途を見出している。天然及び合成の両方の多数の異なるタイプの界面活性剤を分類及び順位付けする最も一般的な方法は、親水性/親油性バランス(HLB)の使用によるものである。親水性基(「頭部」としても既知)の性質は、製剤中に使用される異なる界面活性剤を類別する最も有用な手段を提供する(Rieger,“Pharmaceutical Dosage Forms”,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,p.285)。
界面活性剤分子がイオン化されていない場合、この界面活性剤は非イオン性界面活性剤に分類される。非イオン性界面活性剤は、医薬及び美容製品に広い用途を見出し、広い範囲のpH値に亘って使用可能である。一般に、それらのHLB値は、それらの構造に応じて2〜約18の範囲である。非イオン性界面活性剤には、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグリセリルエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、及びエトキシル化エステルなどの非イオン性エステルが挙げられる。非イオン性アルカノールアミド、及び、脂肪アルコールエトキシレート、プロポキシル化アルコール、及びエトキシル化/プロポキシル化ブロックポリマーなどのエーテルも、このクラスに含まれる。ポリオキシエチレン界面活性剤は、非イオン性界面活性剤クラスの最も人気のあるメンバーである。
界面活性剤分子が水中に溶解又は分散した際に負電荷を保有する場合、この界面活性剤は陰イオン性に分類される。陰イオン性界面活性剤には、せっけんなどのカルボキシレート、アシルラクチレート、アミノ酸のアシルアミド、アルキルスルフェート及びエトキシル化アルキルスルフェートなどの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホネートなどのスルホネート、アシルイセチオネート、アシルタウレート及びスルホスクシネート、並びにホスフェートが挙げられる。陰イオン性界面活性剤クラスの最も重要なメンバーは、アルキルスルフェート及びせっけんである。
界面活性剤分子が水中に溶解又は分散した際に正電荷を保有する場合、この界面活性剤は陽イオン性に分類される。陽イオン性界面活性剤には、第四級アンモニウム塩及びエトキシル化アミンが挙げられる。第四級アンモニウム塩は、最も使用されているこのクラスのメンバーである。
界面活性剤分子が正又は負電荷のいずれかを保有する能力を有する場合、この界面活性剤は両性に分類される。両性界面活性剤には、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N−アルキルベタイン及びホスファチドが挙げられる。
薬物製品、製剤及びエマルション中での界面活性剤の使用は、概説されている(Rieger,“Pharmaceutical Dosage Forms”,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,p.285)。
本発明の方法に使用するためのiRNAはまた、ミセル製剤として提供され得る。「ミセル」は、分子の全ての疎水性部分が内側を向いて、親水性部分を周囲の水相と接触したままにするように、両親媒性分子が球体構造で配置される、特定のタイプの分子集合体として本明細書において定義される。環境が疎水性である場合、逆の配置が存在する。
経皮膜を介した送達に好適な混合ミセル製剤は、siRNA組成物の水溶液、アルカリ金属C8〜C22アルキル硫酸塩、及びミセル形成化合物を混合することによって調製され得る。例示的なミセル形成化合物としては、レシチン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の薬学的に許容され得る塩、グリコール酸、乳酸、カモミール抽出物、キュウリ抽出物、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モノオレイン、モノオレエート、モノラウレート、ルリヂサ油、月見草油、メントール、トリヒドロキシオキソコラニルグリシン及びその薬学的に許容され得る塩、グリセリン、ポリグリセリン、リジン、ポリリジン、トリオレイン、ポリオキシエチレンエーテル及びその類似体、ポリドカノールアルキルエーテル及びその類似体、ケノデオキシコール酸塩、デオキシコール酸塩、及びそれらの混合物が挙げられる。ミセル形成化合物は、アルカリ金属アルキル硫酸塩の添加と同時に又はその後に加えられてもよい。混合ミセルは、成分の実質的に任意の種類の混合で形成されるが、より小さいサイズのミセルを提供するためには激しい混合で形成される。
一方法において、siRNA組成物及び少なくともアルカリ金属アルキル硫酸塩を含有する第1のミセル組成物が調製される。次に、第1のミセル組成物は、少なくとも3つのミセル形成化合物と混合されて、混合ミセル組成物が形成される。別の方法において、ミセル組成物は、siRNA組成物、アルカリ金属アルキル硫酸塩及びミセル形成化合物の少なくとも1つを混合し、続いて、激しく混合しながら残りのミセル形成化合物を加えることによって調製される。
フェノール及び/又はm−クレゾールが、混合ミセル組成物に加えられて、製剤を安定化し、細菌増殖から保護してもよい。あるいは、フェノール及び/又はm−クレゾールは、ミセル形成成分とともに加えられてもよい。グリセリンなどの等張剤も、混合ミセル組成物の形成後に加えられてもよい。
スプレーとしてのミセル製剤の送達では、製剤は、エアロゾルディスペンサーに入れることができ、ディスペンサーに噴射剤が充填される。圧力下にある噴射剤は、ディスペンサー中で液体形態である。成分の比率は、水相及び噴射剤相が1つになるように、すなわち、1つの相が存在するように調整される。2つの相が存在する場合、例えば、定量弁によって、内容物の一部を投薬する前にディスペンサーを振とうする必要がある。医薬品の投薬用量は、微細なスプレー状で定量弁から噴射される。
噴射剤は、水素含有クロロフルオロカーボン、水素含有フルオロカーボン、ジメチルエーテル及びジエチルエーテルを含み得る。特定の実施形態において、HFA 134a(1,1,1,2テトラフルオロエタン)が使用されてもよい。
必須成分の特定の濃度は、比較的単純な実験によって決定され得る。口腔を介した吸収では、注射又は胃腸管を介した投与のための投与量の、例えば、少なくとも2倍又は3倍に増加させることが望ましいことが多い。
B.脂質粒子
本発明のiRNAすなわちdsRNAは、脂質製剤中、例えばLNP中に完全に封入されてもよく、又は他の核酸−脂質粒子を形成してもよい。
本明細書で使用される用語「LNP」は、安定な核酸−脂質粒子を指す。LNPは、典型的には、陽イオン性脂質、非陽イオン性脂質、及び粒子の凝集を防止する脂質(例えば、PEG−脂質コンジュゲート)を含む。LNPは、静脈内(i.v.)注射後に延長された循環寿命を有し、かつ遠位部位(例えば、投与部位から物理的に分離された部位)に蓄積するため、全身適用に極めて有用である。LNPは「pSPLP」を含み、pSPLPは、PCT公開第国際公開第00/03683号パンフレットに示されているように、封入された縮合剤−核酸複合体を含む。本発明の粒子は、典型的には、約50nm〜約150nm、より典型的には約60nm〜約130nm、より典型的には約70nm〜約110nm、最も典型的には約70nm〜約90nmの平均粒径を有し、かつ実質的に無毒である。加えて、核酸は、本発明の核酸−脂質粒子中に存在する場合、水性溶液中で、ヌクレアーゼによる分解に耐性である。核酸−脂質粒子、及びそれらの調製方法は、例えば米国特許第5,976,567号明細書;米国特許第5,981,501号明細書;米国特許第6,534,484号明細書;米国特許第6,586,410号明細書;米国特許第6,815,432号明細書;米国特許出願公開第2010/0324120号明細書及びPCT公開国際公開第96/40964号パンフレットに開示されている。
一実施形態において、脂質対薬物の比(質量/質量比)(例えば、脂質対dsRNAの比)は、約1:1〜約50:1、約1:1〜約25:1、約3:1〜約15:1、約4:1〜約10:1、約5:1〜約9:1、又は約6:1〜約9:1の範囲内であろう。上記の範囲の中間の範囲も、本発明の一部であるものと考えられる。
陽イオン性脂質は、例えば、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N−(I−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP)、N−(I−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2−ジリノレイルカルバモイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−C−DAP)、1,2−ジリノレイ(Dilinoley)オキシ−3−(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin−DAC)、1,2−ジリノレイ(Dilinoley)オキシ−3−モルホリノプロパン(DLin−MA)、1,2−ジリノレオイル−3−ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2−ジリノレイルチオ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−S−DMA)、1−リノレオイル−2−リノレイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−2−DMAP)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin−TMA.Cl)、1,2−ジリノレオイル−3−トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin−TAP.Cl)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−(N−メチルピペラジノ)プロパン(DLin−MPZ)、又は3−(N,N−ジリノレイルアミノ)−1,2−プロパンジオール(DLinAP)、3−(N,N−ジオレイルアミノ)−1,2−プロパンジオ(DOAP)、1,2−ジリノレイルオキソ−3−(2−N,N−ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin−EG−DMA)、1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)又はその類似体、(3aR,5s,6aS)−N,N−ジメチル−2,2−ジ((9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエニル)テトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−5−アミン(ALN100)、(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノエート(MC3)、1,1’−(2−(4−(2−((2−(ビス(2−ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2−ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン−1−イル)エチルアザネジイル)ジドデカン−2−オール(Tech G1)、又はこれらの混合物であってもよい。陽イオン性脂質は、粒子中に存在する全脂質の約20mol%〜約50mol%、又は約40mol%からなり得る。
別の実施形態において、化合物2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソランが、脂質−siRNAナノ粒子を調製するのに使用され得る。2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソランの合成は、参照により本明細書に援用される、2008年10月23日に出願された米国仮特許出願第61/107,998号明細書に記載されている。
一実施形態において、脂質−siRNA粒子は、40%の2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン:10%のDSPC:40%のコレステロール:10%のPEG−C−DOMG(モルパーセント)を含み、63.0±20nmの粒度及び0.027siRNA/脂質比を有する。
イオン性/非陽イオン性脂質は、非限定的にジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレイル−ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレイル−ホスファチジルエタノールアミン4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(DOPE−mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル−ホスファチジル−エタノールアミン(DSPE)、16−O−モノメチルPE、16−O−ジメチルPE、18−1−トランスPE、1−ステアロイル−2−オレオイル−ホスファチジ(phosphatidy)エタノールアミン(SOPE)、コレステロール、又はこれらの混合物を含む陰イオン性脂質又は中性脂質とすることができる。非陽イオン性脂質は、コレステロールが含まれる場合、粒子中に存在する全脂質の約5mol%〜約90mol%、約10mol%、又は約58mol%であってもよい。
粒子の凝集を阻害するコンジュゲート脂質は、例えば、非限定的にPEG−ジアシルグリセロール(DAG)、PEG−ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG−リン脂質、PEG−セラミド(Cer)、又はそれらの混合物を含むポリエチレングリコール(PEG)−脂質とすることができる。PEG−DAAコンジュゲートは、例えば、PEG−ジラウリルオキシプロピル(Ci2)、PEG−ジミリスチルオキシプロピル(Ci4)、PEG−ジパルミチルオキシプロピル(Ci6)、又はPEG−ジステアリルオキシプロピル(C]8)とすることができる。粒子の凝集を防止するコンジュゲート脂質は、粒子中に存在する全脂質の0mol%〜約20mol%、又は2mol%とすることができる。
いくつかの実施形態において、核酸−脂質粒子は更に、粒子中に存在する全脂質の例えば約10mol%〜約60mol%又は約48mol%のコレステロールを含む。
一実施形態において、リピドイド(lipidoid)ND98・4HCl(MW 1487)(参照により本明細書に援用される、2008年3月26日に出願された米国特許出願第12/056,230号明細書を参照)、コレステロール(Sigma−Aldrich)、及びPEG−Ceramide C16(Avanti Polar Lipids)が、脂質−dsRNAナノ粒子(すなわち、LNP01粒子)を調製するのに使用され得る。エタノール中のそれぞれの原液が、以下のとおりに調製され得る:ND98、133mg/ml;コレステロール、25mg/ml、PEG−Ceramide C16、100mg/ml。次に、ND98、コレステロール、及びPEG−Ceramide C16原液は、例えば、42:48:10のモル比で組み合わせられ得る。組み合わされた脂質溶液は、最終的なエタノール濃度が約35〜45%であり、最終的な酢酸ナトリウム濃度が約100〜300mMであるようにdsRNA水溶液(例えば酢酸ナトリウム(pH5)中)と混合され得る。脂質−dsRNAナノ粒子は、通常、混合時に自然に形成される。所望の粒度分布に応じて、得られるナノ粒子混合物が、例えば、Lipex Extruder(Northern Lipids,Inc)などのサーモバレル押出機(thermobarrel extruder)を用いて、ポリカーボネート膜(例えば、100nmのカットオフ)を通して押し出され得る。場合によっては、押し出し工程は省略され得る。エタノール除去及び同時の緩衝液交換は、例えば、透析又は接線流ろ過によって達成され得る。緩衝液は、例えば、約pH7、例えば、約pH6.9、約pH7.0、約pH7.1、約pH7.2、約pH7.3、又は約pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)と交換され得る。
LNP01製剤が、例えば、参照により本明細書に援用される国際出願公開番号国際公開第2008/042973号パンフレットに記載されている。
更なる例示的な脂質−dsRNA製剤が、表1に記載される。
DSPC:ジステアロイルホスファチジルコリン
DPPC:ジパルミトイルホスファチジルコリン
PEG−DMG:PEG−ジジミリストイル(didimyristoyl)グリセロール(C14−PEG、又はPEG−C14)(2000の平均分子量を有するPEG)
PEG−DSG:PEG−ジスチリルグリセロール(C18−PEG、又はPEG−C18)(2000の平均分子量を有するPEG)
PEG−cDMA:PEG−カルバモイル−1,2−ジミリスチルオキシプロピルアミン(2000の平均分子量を有するPEG)
SNALP(l,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミンプロパン(DLinDMA))を含む製剤が、参照により本明細書に援用される、2009年4月15日に出願された国際公開第2009/127060号パンフレットに記載されている。
XTCを含む製剤は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2009年1月29日出願の米国特許仮出願第61/148,366号明細書;2009年3月2日出願の米国特許仮出願第61/156,851号明細書;2009年6月10日出願の米国特許仮出願第 号明細書;2009年7月24日出願の米国特許仮出願第61/228,373号明細書2009年9月3日出願米国特許仮出願第61/239,686号明細書、及び2010年1月29日出願の国際出願第PCT/US2010/022614号明細書に記載されている。
MC3を含む製剤が、例えば、全内容が参照により本明細書に援用される、2010年6月10日に出願された米国特許出願公開第2010/0324120号明細書に記載されている。
ALNY−100を含む製剤は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2009年11月10日出願の国際特許出願第PCT/US09/63933号明細書に記載されている。
C12−200を含む製剤は、参照により本明細書に組み込まれる、2009年5月5日出願の米国特許仮出願第61/175,770号明細書及び2010年5月5日出願の国際出願第PCT/US10/33777号明細書に記載されている。
イオン性/カチオン性脂質の合成
本発明の核酸−脂質粒子に使用される、例えば、カチオン性脂質などの化合物のいずれも、実施例により詳細に記載される方法を含む公知の有機合成技術によって調製され得る。全ての置換基は、特に示されない限り、以下に定義されるとおりである。
「アルキル」は、1〜24個の炭素原子を含有する、直鎖状又は分枝鎖状、非環状又は環状の、飽和脂肪族炭化水素を意味する。代表的な飽和直鎖状アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどを含む一方;飽和分枝鎖状アルキルは、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチルなどを含む。代表的な飽和環状アルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む一方;不飽和環状アルキルは、シクロペンテニル及びシクロヘキセニルなどを含む。
「アルケニル」は、隣接する炭素原子間に少なくとも1つの二重結合を含有する、上で定義されるアルキルを意味する。アルケニルは、シス及びトランス異性体の両方を含む。代表的な直鎖状及び分枝鎖状アルケニルは、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニルなどを含む。
「アルキニル」は、隣接する炭素間に少なくとも1つの三重結合を更に含有する、上で定義される任意のアルキル又はアルケニルを意味する。代表的な直鎖状及び分枝鎖状アルキニルは、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1ブチニルなどを含む。
「アシル」は、結合点における炭素が以下に規定されるオキソ基で置換される、任意のアルキル、アルケニル、又はアルキニルを意味する。例えば、−C(=O)アルキル、−C(=O)アルケニル、及び−C(=O)アルキニルが、アシル基である。
「複素環」は、飽和、不飽和、又は芳香族のいずれかであり、且つ窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1又は2つのヘテロ原子(ここで、窒素及び硫黄ヘテロ原子は、任意選択で酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は、任意選択で四級化されていてもよい)を含有する5員〜7員の単環式、又は7員〜10員の二環式の複素環を意味し、この複素環には、上記の複素環のいずれかがベンゼン環に縮合された二環式の環が含まれる。複素環は、任意のヘテロ原子又は炭素原子を介して結合され得る。複素環は、以下に規定されるヘテロアリールを含む。複素環は、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizynyl)、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどを含む。
「任意選択で置換されるアルキル」、「任意選択で置換されるアルケニル」、「任意選択で置換されるアルキニル」、「任意選択で置換されるアシル」、及び「任意選択で置換される複素環」という用語は、置換されるとき、少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されることを意味する。オキソ置換基(=O)の場合、2つの水素原子が置換される。これに関して、置換基は、オキソ、ハロゲン、複素環、−CN、−ORx、−NRxRy、−NRxC(=O)Ry、−NRxSO2Ry、−C(=O)Rx、−C(=O)ORx、−C(=O)NRxRy、−SOnRx及び−SOnNRxRyを含み、式中、nが、0、1又は2であり、Rx及びRyが、同じか又は異なっており、独立して、水素、アルキル又は複素環であり、前記アルキル及び複素環置換基のそれぞれが、オキソ、ハロゲン、−OH、−CN、アルキル、−ORx、複素環、−NRxRy、−NRxC(=O)Ry、−NRxSO2Ry、−C(=O)Rx、−C(=O)ORx、−C(=O)NRxRy、−SOnRx及び−SOnNRxRyのうちの1つ又は複数で更に置換され得る。
「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味する。
ある実施形態において、本発明の方法は、保護基の使用を必要とし得る。保護基の方法は、当業者に周知である(例えば、Protective Groups in Organic Synthesis,Green,T.W.et al.,Wiley−Interscience,New York City,1999を参照)。簡潔には、本発明の文脈における保護基は、官能基の望ましくない反応性を低下させるか又はなくす任意の基である。保護基は、官能基に加えられて、特定の反応中のその反応性を遮蔽し、その後、除去されることで、元の官能基が現れ得る。ある実施形態において、「アルコール保護基」が使用される。「アルコール保護基」は、アルコール官能基の望ましくない反応性を低下させるか又はなくす任意の基である。保護基は、当該技術分野において周知の技術を用いて、加えられ、除去され得る。
式Aの合成
ある実施形態において、本発明の核酸−脂質粒子は、式A:
のカチオン性脂質を用いて製剤化され、式中、R1及びR2が、独立して、アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、それぞれが任意選択で置換されていてもよく、R3及びR4が、独立して、低級アルキルであり、又はR3及びR4が、一緒になって、任意選択で置換される複素環を形成することができる。ある実施形態において、カチオン性脂質は、XTC(2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン)である。一般に、上の式Aの脂質は、以下の反応スキーム1又は2によって作製され得、ここで、全ての置換基は、特に示されない限り、上で定義されるとおりである。
脂質A(式中、R1及びR2が、独立して、アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、それぞれが任意選択で置換されていてもよく、R3及びR4が、独立して、低級アルキルであり、又はR3及びR4が、一緒になって、任意選択で置換される複素環を形成することができる)は、スキーム1にしたがって調製され得る。ケトン1及び臭化物2は、購入されるか又は当業者に公知の方法にしたがって調製され得る。1及び2の反応により、ケタール3が得られる。アミン4によるケタール3の処理により、式Aの脂質が得られる。式Aの脂質は、式5(式中、Xが、ハロゲン、水酸化物、ホスフェート、サルフェートなどから選択されるアニオン対イオンである)の有機塩を用いて、対応するアンモニウム塩に転化され得る。
あるいは、ケトン1の出発材料は、スキーム2にしたがって調製され得る。グリニャール試薬6及びシアン化物7は、購入されるか又は当業者に公知の方法にしたがって調製され得る。6及び7の反応により、ケトン1が得られる。式Aの対応する脂質へのケトン1の転化は、スキーム1に表される。
MC3の合成
DLin−M−C3−DMA(すなわち、(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノエート)の調製は以下のとおりであった。ジクロロメタン(5mL)中の(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−オール(0.53g)、4−N,N−ジメチルアミノ酪酸塩酸塩(0.51g)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(0.61g)及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.53g)の溶液を、室温で一晩撹拌した。溶液を、希塩酸で洗浄し、続いて、希炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機画分を、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を回転蒸発器において除去した。残渣を、1〜5%のメタノール/ジクロロメタン溶出勾配を用いてシリカゲルカラム(20g)に通した。精製された生成物を含有する画分を組み合わせて。溶媒を除去し、無色油(0.54g)を得た。ALNY−100の合成
ケタール519[ALNY−100]の合成を、スキーム3にしたがって行った:
515の合成
二口丸底フラスコ(1L)中で、200mlの無水THF中のLiAlH4(3.74g、0.09852mol)の撹拌懸濁液に、70mLのTHF中の514(10g、0.04926mol)の溶液を、窒素雰囲気下で、00Cでゆっくりと加えた。完全に加えた後、反応混合物を室温まで温め、次に、4時間加熱還流させた。反応の進行をTLCによって監視した。(TLCによる)反応の完了後、混合物を00Cに冷却し、飽和Na2SO4溶液の慎重な添加によってクエンチした。反応混合物を室温で4時間撹拌し、ろ過して取り除いた。残渣をTHFで十分に洗浄した。ろ液及び洗浄液を混合し、400mLのジオキサン及び26mLの濃HClで希釈し、室温で20分間撹拌した。揮発性物質を、減圧下で取り除いて、白色の固体として515の塩酸塩を得た。収量:7.12g 1H−NMR(DMSO、400MHz):δ=9.34(broad,2H)、5.68(s,2H)、3.74(m,1H)、2.66〜2.60(m,2H)、2.50〜2.45(m,5H)。
516の合成
250mLの二口丸底フラスコ中で、100mLの乾燥DCM中の化合物515の撹拌溶液に、NEt3を加え(37.2mL、0.2669mol)、窒素雰囲気下で0℃に冷却した。50mLの乾燥DCM中のN−(ベンジルオキシ−カルボニルオキシ)−スクシンイミド(20g、0.08007mol)をゆっくりと加えた後、反応混合物を、室温まで温めた。反応(TLCによって2〜3時間)の完了後、混合物を、1NのHCl溶液(1×100mL)及び飽和NaHCO3溶液(1×50mL)で連続して洗浄した。次に、有機層を、無水Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を蒸発させて、粗材料を得て、それを、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、粘着性の塊として516を得た。収量:11g(89%)。1H−NMR(CDCl3、400MHz):δ=7.36〜7.27(m,5H)、5.69(s,2H)、5.12(s,2H)、4.96(br.,1H)2.74(s,3H)、2.60(m,2H)、2.30〜2.25(m,2H)。LC−MS[M+H]−232.3(96.94%)。
517A及び517Bの合成
シクロペンテン516(5g、0.02164mol)を、500mLの一口丸底フラスコ中で、220mLのアセトン及び水(10:1)の溶液に溶解させ、それに、N−メチルモルホリン−N−オキシド(7.6g、0.06492mol)、続いて、4.2mLの、tert−ブタノール中のOsO4(0.275g、0.00108mol)の7.6%溶液を室温で加えた。反応(約3時間)の完了の後、混合物を、固体Na2SO3の添加によってクエンチし、得られた混合物を、室温で1.5時間撹拌した。反応混合物を、DCM(300mL)で希釈し、水(2×100mL)、続いて、飽和NaHCO3(1×50mL)溶液、水(1×30mL)及び最後に塩水(1×50mL)で洗浄した。有機相を、無水Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗材料のシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製により、ジアステレオマーの混合物を得て、それを、分取HPLCによって分離した。
収量:−6gの粗517A−ピーク−1(白色の固体)、5.13g(96%)。1H−NMR(DMSO、400MHz):δ=7.39〜7.31(m,5H)、5.04(s,2H)、4.78〜4.73(m,1H)、4.48〜4.47(d,2H)、3.94〜3.93(m,2H)、2.71(s,3H)、1.72〜1.67(m,4H)。LC−MS−[M+H]−266.3、[M+NH4+]−283.5存在、HPLC−97.86%。X線により確認された立体化学。
518の合成
化合物505の合成について記載されるのと同様の手順を用いて、化合物518(1.2g、41%)を無色油として得た。1H−NMR(CDCl3、400MHz):δ=7.35〜7.33(m,4H)、7.30〜7.27(m,1H)、5.37〜5.27(m,8H)、5.12(s,2H)、4.75(m,1H)、4.58〜4.57(m,2H)、2.78〜2.74(m,7H)、2.06〜2.00(m,8H)、1.96〜1.91(m,2H)、1.62(m,4H)、1.48(m,2H)、1.37〜1.25(br m,36H)、0.87(m,6H)。HPLC−98.65%。
化合物519の合成のための一般的な手順
ヘキサン(15mL)中の化合物518(1当量)の溶液を、THF(1M、2当量)中のLAHの氷冷した溶液に滴下して加えた。完全に加えた後、混合物を、0.5時間にわたって40℃で加熱し、次に、氷浴上で再度冷却した。混合物を、飽和Na2SO4水溶液を用いて慎重に加水分解し、次に、セライトを通してろ過し、還元して油にした。カラムクロマトグラフィーにより、純粋な519(1.3g、68%)が得られ、これは、無色油として得られた。13C NMR δ=130.2、130.1(×2)、127.9(×3)、112.3、79.3、64.4、44.7、38.3、35.4、31.5、29.9(×2)、29.7、29.6(×2)、29.5(×3)、29.3(×2)、27.2(×3)、25.6、24.5、23.3、226、14.1;エレクトロスプレーMS(+ve):C44H80NO2についての分子量(M+H)+計算値654.6、実測値654.6。
標準的な又は押し出しフリー(extrusion−free)方法のいずれかにより調製された製剤は、同様の方法で特徴付けることができる。例えば、製剤は典型的には視認検査により特徴付けられる。製剤は凝集体又は沈殿物を含まない白みがかった半透明溶液である筈である。脂質−ナノ粒子の粒子サイズ及び粒子サイズ分布は、例えば、Malvern Zetasizer Nano ZS(Malvern,USA)を使用した光散乱により測定することができる。粒子は、そのサイズが約20〜300nm、例えば40〜100nmである必要がある。粒子サイズ分布は、単峰形である必要がある。製剤中の総dsRNA濃度、及び捕捉された割合は、色素排除アッセイを用いて概算される。処方されたdsRNAのサンプルは、製剤崩壊界面活性剤、例えば0.5%トリトン−X100の存在又は不在下、Ribogreen(Molecular Probes)などのRNA結合染料と共にインキュベートされてもよい。製剤中の総dsRNAは、標準的な曲線に対する界面活性剤を含むサンプルからの信号により決定され得る。捕捉された割合は、総dsRNA含有量から「遊離」dsRNA含有量(界面活性剤の不在下で信号により測定した)を減算することにより決定される。捕捉されたdsRNAのパーセントは、典型的には>85%である。SNALP製剤の場合、粒子サイズは、少なくとも30nm、少なくとも40nm、少なくとも50nm、少なくとも60nm、少なくとも70nm、少なくとも80nm、少なくとも90nm、少なくとも100nm、少なくとも110nm、及び少なくとも120nmである。好適な範囲は、典型的には少なくとも約50nm〜少なくとも約110nm、少なくとも約60nm〜少なくとも約100nm、又は少なくとも約80nm〜少なくとも約90nmである。
経口投与用の組成物及び製剤には、散剤又は顆粒、微粒子、ナノ粒子、縣濁剤、又は水若しくは非水性媒体中の液剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、薬袋、錠剤又は小型錠剤が挙げられる。増粘剤、風味剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤又は結合剤は、所望され得る。いくつかの実施形態では、経口製剤は、本発明を特徴付けるdsRNAが、1種又は複数種の透過促進剤界面活性剤及びキレート剤と共に投与されるものである。好適な界面活性剤には、脂肪酸及び/若しくはエステル又はその塩、胆汁酸及び/又はその塩が挙げられる。好適な胆汁酸/塩には、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びウルソデオキシケノデオキシコール酸(UDCA)、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、グルコール酸、グリコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロ−24,25−ジヒドロ−フシジン酸ナトリウム及びグリコジヒドロフシジン酸ナトリウムが挙げられる。好適な脂肪酸には、アラキドン酸、ウンデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、若しくはモノグリセリド、ジグリセリド、又はこれらの薬学的に許容され得る塩(例えば、ナトリウム)が挙げられる。いくつかの実施形態において、浸透促進剤の組み合わせ、例えば胆汁酸/塩と組み合わせた脂肪酸/塩が使用される。例示的な1つの組み合わせは、ラウリン酸、カプリン酸及びUDCAのナトリウム塩である。更なる浸透促進剤には、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−20−セチルエーテルが挙げられる。本発明を特徴付けるDsRNAは、噴霧乾燥粒子、又はマイクロ若しくはナノ粒子を形成するために錯体化されたものを含む顆粒形態で経口的に送達され得る。dsRNA錯体化剤には、ポリ−アミノ酸;ポリイミン;ポリアクリレート;ポリアルキルアクリレート、ポリオキセタン、ポリアルキルシアノアクリレート;陽イオン化ゼラチン、アルブミン、澱粉、アクリレート、ポリエチレングリコール(PEG)及び澱粉;ポリアルキルシアノアクリレート;DEAE−誘導体化ポリイミン、プルラン、セルロース及び澱粉が挙げられる。好適な錯体化剤には、キトサン、N−トリメチルキトサン、ポリ−L−リシン、ポリヒスチジン、ポリオルニチン、ポリスペルミン、プロタミン、ポリビニルピリジン、ポリチオジエチルアミノメチルエチレンP(TDAE)、ポリアミノスチレン(例えば、p−アミノ)、ポリ(メチルシアノアクリレート)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソヘキシルシアノ(cynao)アクリレート)、DEAE−メタクリレート、DEAE−ヘキシルアクリレート、DEAE−アクリルアミド、DEAE−アルブミン及びDEAE−デキストラン、ポリメチルアクリレート、ポリヘキシルアクリレート、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(DL−乳酸−コ−グリコール酸(PLGA)、アルギン酸塩、及びポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。dsRNA用の経口製剤、及びそれらの製剤は、その各々が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,887,906号明細書、米国特許出願公開第20030027780号明細書及び米国特許第6,747,014号明細書に記載されている。
非経口、実質内(脳内へ)、くも膜下腔内、脳室内又は肝内投与用の組成物及び製剤には、無菌水性溶液を挙げることができ、該無菌水性溶液は、緩衝液、希釈剤、並びに、非限定的に浸透促進剤、担体化合物、及び他の薬学的に許容され得る担体又は賦形剤などの他の好適な添加剤も含み得る。
本発明の医薬組成物は、非限定的に、液剤、乳剤、及びリポソーム含有製剤を含む。これらの組成物は、非限定的に予め形成された液剤、自己乳化型固体及び自己乳化型半固体を含む多様な構成成分から生成され得る。肝癌腫などの肝疾患を処置する際、肝臓を標的とする製剤が特に好ましい。
単位剤形にて都合よく存在し得る本発明の医薬製剤は、医薬産業にて周知の従来の技術に従って調製することができる。そのような技術は、活性成分を医薬担体又は賦形剤と関連させるステップを含む。一般に、製剤は、活性成分を液体担体又は微粉化固体担体又は両方と均一かつ親密に関連させた後、必要であれば、製品を成形することにより調製される。
本発明の組成物は、非限定的に錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、液体シロップ剤、ソフトゲル剤、坐薬、及び浣腸などの多数の可能な剤形のいずれかに処方され得る。本発明の組成物はまた、水性、非水性又は混合媒体中の懸濁液として処方され得る。水性縣濁液は、更に、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール及び/又はデキストランを含む、縣濁液の粘度を増大させる物質を含んでもよい。縣濁液はまた、安定剤を含み得る。
C.更なる製剤
i.エマルション
本発明の組成物は、エマルションとして、調製され、製剤化され得る。エマルションは、典型的に、1つの液体が、通常、直径が0.1μmを超える液滴の形態の別の液体中に分散された不均一系である(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,Volume 1,p.245;Block in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 2,p.335;Higuchi et al.,in Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1985,p.301を参照)。エマルションは、多くの場合、互いに親密に混合され及び分散された2つの非混和性液体相を含む二層系である。一般に、エマルションは、油中水(w/o)又は水中油(o/w)の種類のいずれかであり得る。水性相が微小液滴として塊の油相中に微細に分割され及び分散された場合、得られた組成物は、油中水(w/o)エマルションと呼ばれる。代替的に、油相が微小液滴として塊の水性相中に微細に分割され及び分散された場合、得られた組成物は、水中油(o/w)エマルションと呼ばれる。エマルションは、分散相及び活性薬物に加えて追加の構成成分を含むことができ、該構成成分は、水性相、油相中の溶液として、又はそれ自体が別個の相として存在し得る。必要に応じてエマルション中に乳化剤、安定剤、染料、及び抗酸化剤などの医薬賦形剤も存在し得る。医薬エマルションは、例えば、油中水中油(o/w/o)及び水中油中水(w/o/w)エマルションの場合など、3つ以上の相からなる多エマルションであり得る。そのような複合製剤は、多くの場合、単純な二成分エマルションが提供しない所定の利点を提供する。o/wエマルションの個々の油小滴が小さい水小滴を囲い込む多エマルションは、w/o/wエマルションを構成する。同様に、油の連続相中で安定化された水の小球中に囲い込まれた油小滴の系は、o/w/oエマルションを提供する。
エマルションは、熱力学的安定性を殆ど又は全く有さないことにより特徴付けられる。多くの場合、エマルションの分散又は不連続相は、外部又は連続相中に良好に分散され、乳化剤の手段、又は製剤の粘度を介してこの形態に維持される。エマルションの相のいずれかは、エマルション型軟膏ベース及びクリームの場合のように半固体又は固体であり得る。エマルションを安定化させる他の手段には、エマルションのいずれかの相に組み込まれ得る乳化剤の使用が含まれる。乳化剤は、合成界面活性剤、天然乳化剤、吸収基剤、及び微細に分散した固体の4つのカテゴリーに大きく分類され得る(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199を参照)。
表面活性剤としても知られている合成界面活性剤は、エマルションの製剤化に広範な適用性が見出されており、文献に概説されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.285;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,volume 1,p.199を参照)。界面活性剤は、通常、両親媒性であり、親水性部分及び疎水性部分を含む。界面活性剤の疎水性に対する親水性の比率は、親水性/親油性バランス(HLB)と称されており、製剤の調製の際の界面活性剤の分類及び選択の際の貴重な手段である。界面活性剤は、親水性基の性質に基づいて、異なる種類、すなわち、非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性に分類され得る(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.285を参照)。
エマルション製剤中に使用される、天然に存在する乳化剤には、ラノリン、蜜蝋、ホスファチド、レシチン及びアカシアが挙げられる。吸収ベースは、無水ラノリン及び親水性ワセリンのように、水を取り入れてw/oエマルションを形成するが、尚それらの半固体稠度を維持する親水性特性を所有する。微粉化固体は、特に界面活性剤の組み合わせ中、及び粘稠な製剤中で、良好な乳化剤として使用されている。これらには、重金属水酸化物などの極性無機固体、ベントナイト、アタパルジャイト、ヘクトライト、カオリン、モンモリロナイト、コロイド状ケイ酸アルミニウム及びコロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどの非膨潤粘土、顔料、及び炭素などの非極性固体又はトリステアリン酸グリセリルが挙げられる。
非常に多様な非乳化材料もエマルション製剤中に含まれ、エマルションの特性に寄与する。それらには、脂肪、油、蝋、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪エステル、湿潤剤、親水性コロイド、保存剤及び抗酸化剤が挙げられる(Block,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.335;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199)。
親水性コロイド又は親水コロイドには、多糖(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、カラゲナン、グァーガム、カラヤガム、及びトラガカント)などの天然に存在するゴム及び合成ポリマー、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース及びカルボキシプロピルセルロース)、及び合成ポリマー(例えば、カルボマー、セルロースエーテル、及びカルボキシビニルポリマー)が挙げられる。これらは水中に分散し又は水中で膨潤して、分散相の小滴の周囲に強力な界面フィルムを形成することにより、また、外部相の粘度を増大させることにより、エマルションを安定化するコロイド溶液を形成する。
エマルションは、多くの場合、微生物の増殖を容易に支持し得る炭水化物、タンパク質、ステロール及びホスファチドなどの多数の成分を含むため、これらの製剤は、多くの場合、保存剤を組み込んでいる。製剤に含まれる、通常使用される保存剤には、メチルパラベン、プロピルパラベン、第四級アンモニウム塩、塩化ベンズアルコニウム、p−ヒドロキシ安息香酸のエステル、及びホウ酸が挙げられる。抗酸化剤も、通常、エマルション製剤に加えられて、製剤の変質を防止する。使用される抗酸化剤は、トコフェロール、没食子酸アルキル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンなどの遊離基スカベンジャー、又はアスコルビン酸及びメタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤、並びにクエン酸、酒石酸及びレシチンなどの抗酸化剤共力剤であり得る。
皮膚、経口及び非経口経路を介したエマルション製剤の適用ならびにそれらの製造方法は、文献に概説されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199を参照)。経口送達用のエマルション製剤は、製剤化の容易さ、ならびに吸収及び生物学的利用能の観点からの有効性のため、非常に広範に使用されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199を参照)。鉱油基剤の緩下剤、油溶性ビタミン及び高脂肪栄養製剤が、o/w型エマルションとして一般的に経口投与されている材料に含まれる。
ii.マイクロエマルション
本発明の一実施形態において、iRNA及び核酸の組成物は、マイクロエマルションとして製剤化される。マイクロエマルションは、単一の光学的に等方性で且つ熱力学的に安定した液体溶液である、水、油及び両親媒性物質の系として定義され得る(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245を参照)。典型的には、マイクロエマルションは、最初に油を水性界面活性剤溶液中に分散した後、十分な量の第四の構成成分、一般に中間の鎖長のアルコールを加えて透明系を形成することにより調製される。従って、マイクロエマルションは、表面活性分子の界面フィルムにより安定化されている2つの非混和性液体からなる熱力学的に安定な、等方的に透明な分散物として記載されている(Leung and Shah,in:Controlled Release of Drugs:Polymers and Aggregate Systems,Rosoff,M.,Ed.,1989,VCH Publishers,New York,pp.185−215)。マイクロエマルションは通常、油、水、界面活性剤、補助界面活性剤及び電解質を含む3〜5つの構成成分の組み合わせを用いて調製される。マイクロエマルションが油中水(w/o)タイプ又は水中油(o/w)タイプのいずれのものであるかは、使用される油及び界面活性剤の特性と、界面活性剤分子の極性頭部及び炭化水素尾部の構造及び幾何学的充填(geometric packing)とに依存する(Schott,in Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1985,p.271)。
状態図を用いる現象論的手法が広範に研究されており、マイクロエマルションを製剤化する方法についての広範な知識を当業者に与えている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245;Block,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.335を参照)。従来のエマルションと比較して、マイクロエマルションは、自発的に形成する熱力学的に安定な小滴の製剤中で水不溶性薬物を可溶化する利点を提供する。
マイクロエマルションの調製に使用される界面活性剤には、単独で又は補助界面活性剤との組み合わせで、非限定的に、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、Brij 96、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、モノラウリン酸テトラグリセロール(ML310)、モノオレイン酸テトラグリセロール(MO310)、モノオレイン酸ヘキサグリセロール(PO310)、ペンタオレイン酸ヘキサグリセロール(PO500)、モノカプリン酸デカグリセロール(MCA750)、モノオレイン酸デカグリセロール(MO750)、セスキオレイン酸(sequioleate)デカグリセロール(SO750)、デカオレイン酸デカグリセロール(DAO750)が挙げられる。通常、エタノール、1−プロパノール、及び1−ブタノールなどの短鎖アルコールである補助界面活性剤は、界面活性剤フィルム中に浸透し、その結果、界面活性剤分子間に生成された空隙空間によって不規則フィルムを形成することにより、界面流動性を増大させる役割を果たす。しかしながら、マイクロエマルションは、補助界面活性剤を使用することなく調製されることができ、アルコールフリー自己乳化型マイクロエマルション系は、当技術分野にて既知である。水性相は、典型的には、非限定的に水、薬物の水性溶液、グリセロール、PEG300、PEG400、ポリグリセロール、プロピレングリコール、及びエチレングリコールの誘導体とすることができる。油相は、非限定的にCaptex 300、Captex 355、Capmul MCM、脂肪酸エステル、中鎖(C8〜C12)モノ、ジ、及びトリ−グリセリド、ポリオキシエチル化グリセリル脂肪酸エステル、脂肪アルコール、ポリグリコール化グリセリド、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、植物油及びシリコーン油などの材料を含むことができる。
マイクロエマルションは、薬物可溶化及び薬物吸収向上の観点から特に興味深い。脂質ベースのマイクロエマルション(o/w及びw/oの両方)は、ペプチドを含む薬物の経口バイオアベイラビリティの向上に提案されている(例えば米国特許第6,191,105号明細書、米国特許第7,063,860号明細書、米国特許第7,070,802号明細書、米国特許第7,157,099号明細書、Constantinides et al.,Pharmaceutical Research,1994,11,1385−1390;Ritschel,Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol.,1993,13,205を参照されたい)。マイクロエマルションは、薬物可溶化の改善、酵素加水分解からの薬物の保護、界面活性剤誘導による膜流動性及び透過性の変更に起因する薬物吸収の可能な向上、調製の容易さ、固体剤形を超える経口投与の容易さ、臨床的効能の改善、及び毒性の低下の利点を提供する(例えば米国特許第6,191,105号明細書、米国特許第7,063,860号明細書、米国特許第7,070,802号明細書、米国特許第7,157,099号明細書、Constantinides et al.,Pharmaceutical Research,1994,11,1385;Ho et al.,J.Pharm.Sci.,1996,85,138−143を参照されたい)。多くの場合、マイクロエマルションは、マイクロエマルションの構成成分が周囲温度で一緒にされた際に自発的に形成され得る。このことは、易熱性薬物、ペプチド又はiRNAを処方する際に特に有利であり得る。マイクロエマルションはまた美容及び医薬用途の両方において活性構成成分の経費送達に有効である。本発明のマイクロエマルション組成物及び製剤が胃腸管からのiRNA及び核酸の全身吸収の増大、並びにiRNA及び核酸の局部細胞取り込みの改善を促進することが期待される。
本発明のマイクロエマルションはまた、モノステアリン酸ソルビタン(Grill 3)、ラブラソール(Labrasol)、及び透過促進剤などの追加の構成成分及び添加剤を含んで、製剤の特性を改善し、かつ本発明のiRNA及び核酸の吸収を向上させ得る。本発明のマイクロエマルション中で使用される浸透促進剤は、5つの広いカテゴリーの1つに属するものとして分類され得る−−界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート化剤、及び非キレート化非界面活性剤(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92)。これらのクラスの各々は、上記に論じられている。
iii.微粒子
本発明のRNAi剤は、粒子、例えば、微粒子に組み込まれてもよい。微粒子は、噴霧乾燥によって生成され得るが、凍結乾燥、蒸発、流体床乾燥、真空乾燥、又はこれらの技術の組合せを含む他の方法によって生成されてもよい。
iv.浸透促進剤
一実施形態において、本発明は、動物の皮膚への、核酸、特にiRNAの効率的な送達を行うために様々な浸透促進剤を用いる。ほとんどの薬剤が、イオン化及び非イオン化の両方の形態で溶液中に存在する。しかしながら、通常、脂溶性又は親油性の薬剤のみが、細胞膜を容易に横断する。横断される膜が浸透促進剤で処理されている場合、非親油性薬剤でも細胞膜を横断することができることが発見されている。細胞膜をわたる非親油性薬剤の拡散の補助に加えて、浸透促進剤は、親油性薬剤の浸透性も向上させる。
浸透促進剤は、すなわち、界面活性剤、脂肪酸、胆汁塩、キレート剤、及び非キレート非界面活性剤の5つの大きいカテゴリーのうちの1つに属するものとして分類され得る(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92を参照)。浸透促進剤の上記の種類のそれぞれが、以下により詳細に記載される。
界面活性剤(又は「表面活性剤」)は、水溶液に溶解されると、溶液の表面張力又は水溶液と別の液体との間の界面張力を低下させ、粘膜を通るiRNAの吸収が向上されるという結果を生じる化学物質である。胆汁塩及び脂肪酸に加えて、これらの浸透促進剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル及びポリオキシエチレン−20−セチルエーテル)(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92を参照);及びFC−43などのペルフルオロ化合物エマルション(Takahashi et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1988,40,252)が挙げられる。
浸透促進剤として作用する様々な脂肪酸及びそれらの誘導体としては、例えば、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸(n−デカン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン(1−モノオレイル−rac−グリセロール)、ジラウリン、カプリル酸、アラキドン酸、グリセロール1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、それらのC1〜20アルキルエステル(例えば、メチル、イソプロピル及びt−ブチル)、ならびにそれらのモノグリセリド及びジグリセリド(すなわち、オレエート、ラウレート、カプレート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、リノレエートなど)が挙げられる(例えば、Touitou,E.,et al.Enhancement in Drug Delivery,CRC Press,Danvers,MA,2006;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33;El Hariri et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1992,44,651−654を参照)。
胆汁の生理学的役割には、脂質及び脂溶性ビタミンの分散及び吸収の促進が含まれる(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Brunton,Chapter 38 in:Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,9th Ed.,Hardman et al.Eds.,McGraw−Hill,New York,1996,pp.934−935を参照)。様々な天然の胆汁塩、及びそれらの合成誘導体が、浸透促進剤として作用する。したがって、「胆汁塩」という用語は、胆汁の天然成分のいずれかならびにそれらの合成誘導体のいずれかを含む。好適な胆汁塩としては、例えば、コール酸(又はその薬学的に許容され得るナトリウム塩、コール酸ナトリウム)、デヒドロコール酸(デヒドロコール酸ナトリウム)、デオキシコール酸(デオキシコール酸ナトリウム)、グルコール酸(glucholic acid)(グルコール酸ナトリウム(sodium glucholate))、グリコール酸(グリココール酸ナトリウム)、グリコデオキシコール酸(グリコデオキシコール酸ナトリウム)、タウロコール酸(タウロコール酸ナトリウム)、タウロデオキシコール酸(タウロデオキシコール酸ナトリウム)、ケノデオキシコール酸(ケノデオキシコール酸ナトリウム)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、ナトリウムタウロ−24,25−ジヒドロ−フシデート(STDHF)、グリコジヒドロフシジン酸ナトリウム及びポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(POE)が挙げられる(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92;Swinyard,Chapter 39 In:Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1990,pp.782−783;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33;Yamamoto et al.,J.Pharm.Exp.Ther.,1992,263,25;Yamashita et al.,J.Pharm.Sci.,1990,79,579−583を参照)。
本発明に関連して使用されるキレート剤は、金属イオンとの錯体を形成することによって溶液から金属イオンを除去し、粘膜を通るiRNAの吸収が向上されるという結果を生じる化合物として定義され得る。本発明における浸透促進剤としてのキレート剤の使用に関して、ほとんどの特徴付けられたDNAヌクレアーゼが触媒作用のために二価金属イオンを必要とし、したがって、キレート剤によって阻害されるため、キレート剤は、DNアーゼ阻害剤としても作用するという更なる利点を有する(Jarrett,J.Chromatogr.,1993,618,315−339)。好適なキレート剤としては、限定はされないが、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、クエン酸、サリチレート(例えば、サリチル酸ナトリウム、5−メトキシサリチレート及びホモバニレート(homovanilate))、コラーゲンのN−アシル誘導体、ラウレス−9及びβ−ジケトンのN−アミノアシル誘導体(エナミン)が挙げられる(例えば、Katdare,A.et al.,Excipient development for pharmaceutical,biotechnology,and drug delivery,CRC Press,Danvers,MA,2006;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33;Buur et al.,J.Control Rel.,1990,14,43−51を参照)。
本明細書において使用される際、非キレート非界面活性剤の浸透促進化合物は、キレート剤又は界面活性剤としてのわずかな活性を示すが、それにもかかわらず、消化器粘膜を通るiRNAの吸収を促進する化合物として定義され得る(例えば、Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33を参照)。この種類の浸透促進剤としては、例えば、不飽和環状尿素、1−アルキル−及び1−アルケニルアザシクロ−アルカノン誘導体(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92);ならびにジクロフェナクナトリウム、インドメタシン及びフェニルブタゾンなどの非ステロイド性抗炎症剤(Yamashita et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1987,39,621−626)が挙げられる。
細胞レベルにおけるiRNAの取り込みを促進する剤も、本発明の医薬組成物及び他の組成物に加えられ得る。例えば、リポフェクチン(lipofectin)などのカチオン性脂質(Junichiらの米国特許第5,705,188号明細書)、カチオン性グリセロール誘導体、及びポリリジンなどのポリカチオン性分子(LolloらのPCT出願の国際公開第97/30731号パンフレット)も、dsRNAの細胞取り込みを促進することが知られている。市販のトランスフェクション試薬の例としては、特に、例えば、Lipofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Lipofectamine 2000(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、293fectin(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Cellfectin(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、DMRIE−C(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、FreeStyle(商標)MAX(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Lipofectamine(商標)2000 CD(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Lipofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、RNAiMAX(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Oligofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Optifect(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、X−tremeGENE Q2 Transfection Reagent(Roche;Grenzacherstrasse,Switzerland)、DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Grenzacherstrasse,Switzerland)、DOSPER Liposomal Transfection Reagent(Grenzacherstrasse,Switzerland)、又はFugene(Grenzacherstrasse,Switzerland)、Transfectam(登録商標)Reagent(Promega;Madison,WI)、TransFast(商標)Transfection Reagent(Promega;Madison,WI)、Tfx(商標)−20 Reagent(Promega;Madison,WI)、Tfx(商標)−50 Reagent(Promega;Madison,WI)、DreamFect(商標)(OZ Biosciences;Marseille,France)、EcoTransfect(OZ Biosciences;Marseille,France)、TransPassa D1 Transfection Reagent(New England Biolabs;Ipswich,MA,USA)、LyoVec(商標)/LipoGen(商標)(Invitrogen;San Diego,CA,USA)、PerFectin Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、NeuroPORTER Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、GenePORTER Transfection reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、GenePORTER 2 Transfection reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、Cytofectin Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、BaculoPORTER Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、TroganPORTER(商標)transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、RiboFect(Bioline;Taunton,MA,USA)、PlasFect(Bioline;Taunton,MA,USA)、UniFECTOR(B−Bridge International;Mountain View,CA,USA)、SureFECTOR(B−Bridge International;Mountain View,CA,USA)、又はHiFect(商標)(B−Bridge International,Mountain View,CA,USA)が挙げられる。
エチレングリコール及びプロピレングリコールなどのグリコール、2−ピロールなどのピロール、アゾン、ならびにリモネン及びメントンなどのテルペンを含む、他の剤を用いて、投与される核酸の浸透を促進することができる。
v.担体
本発明の所定の組成物は、製剤中に担体化合物も組み込んでいる。本明細書で使用される「担体化合物」又は「担体」は、不活性(即ち、生物学的活性perseを所有しない)であり得るが、例えば、生物学的に活性な核酸を分解し、又は循環からの核酸の除去を促進することによる、生物学的活性を有する核酸のバイオアベイラビリティを低下させるインビボでのプロセスによって、核酸であると認識される核酸又はその類似体を指すことができる。核酸及び担体化合物の共投与、典型的には過剰な後者の物質による共投与により、おそらくは共通の受容体に対する担体化合物と核酸との競合に起因して、肝臓、腎臓又は他の循環外リザーバ(extracirculatory reservoir)中で回収される核酸の量が実質的に低下し得る。例えば、肝組織内での部分的ホスホロチオエートの回収は、それがポリイノシン酸、デキストラン硫酸塩、ポリシチジル酸(polycytidic acid)又は4−アセトアミド−4’イソチオシアノ−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸と共投与された際、低下され得る(Miyao et al.,DsRNA Res.Dev.,1995,5,115−121;Takakura et al.,DsRNA&Nucl.Acid Drug Dev.,1996,6,177−183。
vi.賦形剤
担体化合物とは対照的に、「医薬担体」又は「賦形剤」は、動物に1つ又は複数の核酸を送達するための薬学的に許容され得る溶媒、懸濁剤、又は任意の他の薬理学的に不活性なビヒクルである。賦形剤は、液体又は固体とすることができ、計画された投与方法を考慮に入れて、核酸及び医薬組成物の他の所定の構成成分と組み合わされた際に、所望の嵩、稠度などを提供するように選択される。典型的な医薬担体には、非限定的に、結合剤(例えば、α化トウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロースなど);充填剤(例えば、乳糖及び他の糖、微結晶セルロース、ペクチン、ゼラチン、硫酸カルシウム、エチルセルロース、ポリアクリレート又はリン酸水素カルシウムなど);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、金属ステアリン酸塩、水素化植物油、トウモロコシ澱粉、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど);錠剤崩壊剤(例えば、澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウムなど);及び湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)が挙げられる。
核酸と有害に反応しない、非−非経口投与に薬学的に許容され得る好適な有機又は無機賦形剤も本発明の組成物の処方に使用され得る。薬学的に許容され得る好適な担体には、非限定的に、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
核酸の局所投与用の製剤には、アルコールなどの通常の溶媒中の無菌及び非無菌水性溶液、非水性溶液、又は液体若しくは固体油ベース中の核酸溶液を挙げることができる。溶液は、緩衝剤、希釈剤及び他の好適な添加剤も含み得る。核酸と有害に反応しない、非−非経口投与に薬学的に許容され得る好適な有機又は無機賦形剤を使用し得る。
薬学的に許容され得る好適な賦形剤には、非限定的に、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
vii.他の構成成分
本発明の組成物は更に、医薬組成物中に従来見出される他の補助構成成分も、当技術分野にて確立されたそれらの使用レベルで含有し得る。それ故、例えば、組成物は、例えば、鎮痒薬、収斂薬、局所麻酔薬若しくは抗炎症薬剤などの更なる、適合可能な、医薬的に活性な材料を含有することができ、又は、染料、風味剤、保存剤、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤及び安定剤などの、本発明の組成物の様々な剤形を物理的に処方するのに有用な更なる材料を含有することができる。しかしながら、それらの材料は、加えられた際、本発明の組成物の構成成分の生物学的活性を過度に妨害しない必要がある。製剤は滅菌されてもよく、また所望の場合、製剤の核酸と有害に相互作用しない補助剤、例えば滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝液、着色料、調味料及び/又は芳香性物質などと混合される。
水性縣濁液は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール及び/又はデキストランを含む、縣濁液の粘度を増大させる物質を含み得る。縣濁液は、安定剤も含み得る。
ある実施形態において、本発明に取り上げられる医薬組成物は、(a)1つ又は複数のiRNA化合物と、(b)非RNAi機構によって機能し、溶血性疾患を処置するのに有用な1つ又は複数の剤とを含む。このような剤の例としては、限定はされないが、抗炎症剤、抗脂肪症剤、抗ウイルス剤、及び/又は抗線維症剤が挙げられる。更に、シリマリンなどの、肝臓を保護するのに一般的に使用される他の物質も、本明細書に記載されるiRNAとともに使用され得る。肝疾患を処置するのに有用な他の剤としては、テルビブジン、エンテカビル、及びテラプレビルなどのプロテアーゼ阻害剤ならびに、例えば、Tungらの米国特許出願公開第2005/0148548号明細書、同第2004/0167116号明細書、及び同第2003/0144217号明細書;及びHaleらの米国特許出願公開第2004/0127488号明細書に開示されている他の剤が挙げられる。
このような化合物の毒性及び処置効果は、例えば、LD50(個体群の50%の致死量)及びED50(個体群の50%に治療に有効な用量)を決定するための、細胞培養物又は実験動物における標準的な薬学的手順によって決定され得る。毒性作用と処置効果との間の用量比は、処置指数であり、LD50/ED50比として表され得る。高い処置指数を示す化合物が好ましい。
細胞培養アッセイ及び動物試験から得られるデータは、ヒトに使用するためのある範囲の投与量を製剤化するのに使用され得る。本発明における本明細書に取り上げられる組成物の投与量は、一般に、ほとんど又は全く毒性を伴わずにED50を含む血中濃度の範囲内である。投与量は、用いられる剤形及び用いられる投与経路に応じて、この範囲内で変化し得る。本発明に取り上げられる方法に使用される任意の化合物では、治療に有効な用量は、細胞培養アッセイから最初に推測され得る。用量は、細胞培養物中で測定して、IC50(即ち、症状の最大阻害の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む、化合物の、又は、適切な場合、標的配列のポリペプチド産物の循環血漿濃度範囲を動物モデル内で達成する(例えば、ポリペプチドの濃度の低下を達成する)ように処方され得る。そのような情報を使用して、ヒトでの有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
上記に述べたそれらの投与に加えて、本発明を特徴付けるiRNAは、C5発現により仲介される病理過程の処置に有効な他の既知の薬剤と組み合わせて投与されてもよい。いずれの場合でも、投与する医師は、観察された結果に基づいて、当技術分野にて既知の又は本明細書に記載される標準的な有効性の尺度を使用して、iRNAの量及び投与時間を調整することができる。
VI.C5発現の阻害方法
本発明は、細胞内でのC5の発現の阻害方法を提供する。本方法は、細胞を、細胞内でのC5の発現を阻害するのに有効な量のRNAi剤、例えば、二本鎖RNAi剤と接触させ、それにより、細胞内でのC5の発現を阻害する工程を含む。
細胞を二本鎖RNAi剤と接触させる工程は、インビトロ又はインビボで行われ得る。細胞をRNAi剤とインビボで接触させる工程は、対象、例えば、ヒト対象内の細胞又は細胞群を、RNAi剤と接触させる工程を含む。インビトロ及びインビボでの接触方法の組合せも可能である。接触は、上述されるように、直接又は間接的に行われ得る。更に、細胞を接触させる工程は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において公知の任意のリガンドを含む標的化リガンドによって行われ得る。好ましい実施形態において、標的化リガンドは、炭水化物部分、例えば、GalNAc3リガンド、又はRNAi剤を目的の部位、例えば、対象の肝臓に指向する任意の他のリガンドである。
本明細書において使用される際の「阻害する」という用語は、「低下させる」、「サイレンシングする」、「下方制御する」及び他の類似語と同義的に使用され、任意のレベルの阻害を含む。
「C5の発現を阻害する」という語句は、任意のC5遺伝子(例えば、マウスC5遺伝子、ラットC5遺伝子、サルC5遺伝子、又はヒトC5遺伝子など)並びにC5遺伝子の変異体又は突然変異体の発現の阻害を指すことが意図される。したがって、C5遺伝子は、野生型C5遺伝子、突然変異体C5遺伝子、又は遺伝子組み換えされた細胞、細胞群、又は生物の文脈におけるトランスジェニックC5遺伝子であり得る。
「C5遺伝子の発現を阻害する」は、C5遺伝子の任意のレベルの阻害、例えば、C5遺伝子の発現の少なくとも部分的な抑制を含む。C5遺伝子の発現は、C5遺伝子発現に関連する任意の変数のレベル、又はレベルの変化、例えば、C5 mRNAレベル、C5タンパク質レベル、又は例えば、全溶血性補体の尺度としてのCH50活性、補体の代替経路の溶血活性を測定するためのAH50及び/又は血管内溶血の尺度としての乳酸脱水素酵素(LDH)レベル、及び/又はヘモグロビンレベルに基づいて評価され得る。C5a、C5b、及び可溶性C5b−9複合体のレベルも、C5の発現を評価するために測定され得る。このレベルは、例えば、対象に由来する試料を含む、個々の細胞又は細胞群中で評価され得る。
阻害は、対照のレベルと比較したC5発現に関連する1つ又は複数の変数の絶対的又は相対的レベルの低下によって評価され得る。対照のレベルは、当該技術分野において用いられる任意のタイプの対照のレベル、例えば、投与前ベースライン(pre−dose baseline)レベル、又は非処理又は対照(例えば、緩衝液のみの対照又は不活性な剤の対照など)で処理された同様の対象、細胞、又は試料から測定されるレベルであり得る。
本発明の方法のある実施形態において、C5遺伝子の発現は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%.少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%だけ阻害される。
C5遺伝子の発現の阻害は、C5遺伝子が転写され、C5遺伝子の発現が阻害されるように(例えば、1つ又は複数の細胞を、本発明のRNAi剤と接触させることによって、又は本発明のRNAi剤を、細胞が存在する又は存在していた対象に投与することによって)処理されている第1の細胞又は細胞群(このような細胞は、例えば、対象に由来する試料中に存在し得る)によって発現されるmRNAの量の、そのように処理されていない以外は第1の細胞又は細胞群と実質的に同一の第2の細胞又は細胞群(対照細胞)と比較した際の低下に現れる。好ましい実施形態において、阻害は、以下の式を用いて、対照細胞中のmRNAのレベルにおけるパーセンテージとして、処理された細胞中のmRNAのレベルを表すことによって評価される:
あるいは、C5遺伝子の発現の阻害は、例えば、組織内又は血清内の、C5遺伝子の発現、へプシジン遺伝子若しくはタンパク質発現、又は鉄レベルなどの、C5タンパク質の発現に機能的に関連するパラメータの低下に関して評価され得る。C5遺伝子サイレンシングは、構造的に又はゲノム工学によって、及び当該技術分野において公知の任意のアッセイによって、C5を発現する任意の細胞中で測定され得る。肝臓は、C5発現の主要部位である。発現の他の実質的な部位は、腎臓及び子宮を含む。
C5タンパク質の発現の阻害は、細胞又は細胞群によって発現されるC5タンパク質のレベル(例えば、対象に由来する試料中で発現されるタンパク質のレベル)の低下に現れる。mRNAの抑制の評価について上で説明されるように、処理された細胞又は細胞群中のタンパク質の発現レベルの阻害は、対照細胞又は細胞群中のタンパク質のレベルにおけるパーセンテージとして同様に表され得る。
C5遺伝子の発現の阻害を評価するのに使用され得る対照細胞又は細胞群は、本発明のRNAi剤とまだ接触されていない細胞又は細胞群を含む。例えば、対照細胞又は細胞群は、RNAi剤による対象の処理の前に、個々の対象(例えば、ヒト又は動物対象)から得られる。
細胞又は細胞群によって発現されるC5 mRNAのレベルは、mRNAの発現を評価するために当該技術分野において公知の任意の方法を用いて測定され得る。一実施形態において、試料中のC5の発現のレベルは、転写されたポリヌクレオチド、又はその一部、例えば、C5遺伝子のmRNAを検出することによって測定される。RNAは、例えば、酸フェノール/グアニジンイソチオシアネート抽出(RNAzol B;Biogenesis)、RNeasy RNA調製キット(Qiagen)又はPAX遺伝子(PreAnalytix,Switzerland)の使用を含む、RNA抽出技術を用いて、細胞から抽出され得る。リボ核酸のハイブリダイゼーションを用いる典型的なアッセイ形式としては、核ランオンアッセイ(nuclear run−on assay)、RT−PCR、RNase保護アッセイ(Melton et al.,Nuc.Acids Res.12:7035)、ノーザンブロット法、インサイチュハイブリダイゼーション、及びマイクロアレイ分析が挙げられる。
一実施形態において、C5の発現のレベルは、核酸プローブを用いて測定される。本明細書において使用される際の「プローブ」という用語は、特定のC5に選択的に結合することが可能な任意の分子を指す。プローブは、当業者によって合成可能であり、又は適切な生物学的調製から得られる。プローブは、標識されるように特に設計され得る。プローブとして用いられ得る分子の例としては、限定はされないが、RNA、DNA、タンパク質、抗体、及び有機分子が挙げられる。
単離されたmRNAは、サザン又はノーザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析及びプローブアッセイを含むがこれらに限定されない、ハイブリダイゼーション又は増幅アッセイに使用され得る。mRNAレベルを測定するための一方法は、単離されたmRNAを、C5 mRNAにハイブリダイズし得る核酸分子(プローブ)と接触させる工程を含む。一実施形態において、mRNAは、固体表面に固定され、例えば、アガロースゲル上に単離されたmRNAを流し、ゲルからニトロセルロースなどの膜へとmRNAを転写することによって、プローブと接触される。代替的な実施形態において、プローブは、固体表面に固定され、mRNAは、例えば、Affymetrix遺伝子チップアレイ中で、プローブと接触される。当業者は、C5 mRNAのレベルを測定するのに使用するための公知のmRNA検出方法を容易に適合させることができる。
試料中のC5の発現のレベルを測定するための代替的な方法は、例えば、RT−PCR(Mullis、1987、米国特許第4,683,202号明細書に記載される実験実施形態)、リガーゼ連鎖反応(Barany(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:189−193)、自家持続配列複製法(Guatelli et al.(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874−1878)、転写増幅システム(Kwoh et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173−1177)、Q−βレプリカーゼ(Q−Beta Replicase)(Lizardi et al.(1988)Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製(Lizardiらの米国特許第5,854,033号明細書)又は任意の他の核酸増幅方法による、例えば、試料中のmRNAの(cDNAを調製するための)核酸増幅及び/又は逆転写酵素のプロセス、続いて、当業者に周知の技術を用いた増幅分子の検出を含む。これらの検出スキームは、核酸分子がごく少数で存在する場合、核酸分子の検出に特に有用である。本発明の特定の態様において、C5の発現のレベルは、定量的な蛍光性RT−PCR(即ち、TaqMan(商標)System)によって測定される。
C5 mRNAの発現レベルは、膜ブロット(ノーザン、サザン、ドットなどのハイブリダイゼーション分析に使用されるものなど)、又はマイクロウェル、試料チューブ、ゲル、ビーズ又は繊維(又は結合された核酸を含む任意の固体担体)を用いて監視され得る。参照により本明細書に援用される、米国特許第5,770,722号明細書、同第5,874,219号明細書、同第5,744,305号明細書、同第5,677,195号明細書及び同第5,445,934号明細書を参照されたい。C5発現レベルの測定は、溶液中での核酸プローブの使用も含み得る。
好ましい実施形態において、mRNAの発現のレベルは、分岐DNA(bDNA)アッセイ又はリアルタイムPCR(qPCR)を用いて評価される。これらの方法の使用は、本明細書に提供される実施例に記載され、例示される。
C5タンパク質の発現のレベルは、タンパク質レベルの測定のための当該技術分野において公知の任意の方法を用いて測定され得る。このような方法としては、例えば、電気泳動、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、超拡散(hyperdiffusion)クロマトグラフィー、流体又はゲル内沈降素反応、吸光分光法、比色分析法、分光光度アッセイ、フローサイトメトリー、(単純又は二重)免疫拡散法、免疫電気泳動、ウエスタンブロット法、放射免疫定量法(RIA)、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、免疫蛍光アッセイ、電気化学発光アッセイなどが挙げられる。
本明細書において使用される際の「試料」という用語は、対象から単離された類似の体液、細胞、又は組織、ならびに対象中に存在する体液、細胞、又は組織の集合体を含む。生体液の例としては、血液、血清及び漿膜液、血漿、リンパ液、尿、脳脊髄液、唾液、眼液などが挙げられる。組織試料は、組織、器官又は局所領域に由来する試料を含み得る。例えば、試料は、特定の器官、器官の部分、あるいはそれらの器官中の体液又は細胞に由来し得る。特定の実施形態において、試料は、肝臓(例えば、全肝臓又は肝臓の特定の部分又は、例えば、肝細胞などの肝臓中の特定のタイプの細胞)に由来し得る。好ましい実施形態において、「対象に由来する試料」は、対象から得られる血液又は血漿を指す。更なる実施形態において、「対象に由来する試料」は、対象から得られる肝臓組織を指す。
本発明の方法のある実施形態において、RNAi剤は、RNAi剤が対象内の特定の部位に送達されるように、対象に投与される。C5の発現の阻害は、対象内の特定の部位からの体液又は組織に由来する試料中のC5 mRNA又はC5タンパク質のレベル又はレベルの変化の測定を用いて評価され得る。好ましい実施形態において、部位は肝臓である。部位はまた、上記の部位のいずれか1つからの細胞の小区分(subsection)又は部分群(subgroup)であり得る。部位は、特定のタイプの受容体を発現する細胞も含み得る。
本明細書において使用される際の「細胞を(dsRNAなどの)RNAi剤と接触させる」という語句は、任意の可能な手段によって細胞を接触させる工程を含む。細胞をRNAi剤と接触させる工程は、細胞をiRNAとインビトロで接触させる工程又は細胞をiRNAとインビボで接触させる工程を含む。接触は、直接又は間接的に行われ得る。したがって、例えば、RNAi剤は、方法を個々に行うことによって細胞と物理的に接触されてもよく、あるいは、RNAi剤は、それを後に細胞と接触させるのを可能にするか又はそれを後に細胞と接触させる状況に置かれてもよい。
細胞をインビトロで接触させる工程は、例えば、RNAi剤とともに細胞をインキュベートすることによって行われ得る。細胞をインビボで接触させる工程は、RNAi剤が接触される細胞が位置する組織に後に到達するように、例えば、RNAi剤を、細胞が位置する組織中又は組織の近傍に注入することによって、又はRNAi剤を、別の領域、血流又は皮下腔中に注入することによって行われ得る。例えば、RNAi剤は、目的の部位、例えば、肝臓にRNAi剤を指向するリガンド、例えば、GalNAc3を含んでいてもよく、及び/又はそれに結合され得る。インビトロ及びインビボでの接触方法の組合せも可能である。例えば、細胞はまた、RNAi剤とインビトロで接触され、その後、対象に移植されてもよい。
一実施形態において、細胞をiRNAと接触させる工程は、細胞中への取り込み又は吸収を促進するか又は行うことによって、「導入する」又は「iRNAを細胞中に送達する」工程を含む。iRNAの吸収又は取り込みは、補助されない拡散(unaided diffusive)又は活性な細胞プロセスによって、又は補助的な薬剤又はデバイスによって行われ得る。細胞中へのiRNAの導入は、インビトロ及び/又はインビボであってもよい。例えば、インビボでの導入の場合、iRNAは、組織部位に注入されるか又は全身投与され得る。インビボでの送達は、全内容が参照により本明細書に援用される、米国特許第5,032,401号明細書及び同第5,607,677号明細書、及び米国特許出願公開第2005/0281781号明細書に記載されるものなどのβ−グルカン送達系によって行うこともできる。細胞中へのインビトロでの導入は、エレクトロポレーション及びリポフェクションなどの、当該技術分野において公知の方法を含む。更なる手法が、本明細書において後述され、及び/又は当該技術分野において公知である。
VII.補体成分C5に関連する障害を処置又は予防するための方法
本発明は、補体成分C5に関連する疾病、例えば、PNH、aHUS、視神経脊髄炎(NMO)、又は重症筋無力症に罹患している対象に、iRNA剤、iRNA剤を含む医薬組成物、又は本発明のiRNAを含むベクターを投与する工程を含む処置及び予防方法も提供する。本発明のある態様において、本方法は、抗補体成分C5抗体、又はその抗原結合フラグメント(例えば、エクリズマブ)などの更なる治療剤を対象に投与する工程を更に含む。
一態様において、本発明は、C5の発現の低下から利益を得られ得る障害、例えば、補体成分C5に関連する疾病、例えば、PNH、aHUS、視神経脊髄炎(NMO)又は重症筋無力症に罹患している対象を処置する方法を提供する。本発明の処置方法(及び使用)は、治療有効量の、C5遺伝子を標的とするiRNA剤又はC5遺伝子を標的とするiRNA剤を含む医薬組成物を、対象、例えば、ヒトに投与し、それによって、C5の発現の低下から利益を得られ得る障害に罹患している対象を処置する工程を含む。
別の態様において、本発明は、C5の発現の低下から利益を得られ得る障害、例えば、補体成分C5に関連する疾病、例えば、PNH、aHUS、視神経脊髄炎(NMO)又は重症筋無力症に罹患している対象を処置する方法であって、治療有効量の、C5遺伝子を標的とするiRNA剤又はC5遺伝子を標的とするiRNA剤を含む医薬組成物、及び抗補体成分C5抗体、又はその抗原結合フラグメント(例えば、エクリズマブ)などの更なる治療剤を、対象、例えば、ヒトに投与し、それによって、C5の発現の低下から利益を得られ得る障害に罹患している対象を処置する工程を含む方法を提供する。
一態様において、本発明は、C5の発現の低下から利益を得られ得る障害、例えば、補体成分C5に関連する疾病、例えば、PNH、aHUS、視神経脊髄炎(NMO)又は重症筋無力症に罹患している対象の少なくとも1つの症状を予防する方法を提供する。本方法は、予防的に有効な量の、本発明のiRNA剤、例えば、dsRNA、又はベクターを対象に投与し、それによって、C5の発現の低下から利益を得られ得る障害に罹患している対象の少なくとも1つの症状を予防する工程を含む。例えば、本発明は、C5の発現の低下から利益を得られ得る障害、例えば、補体成分C5に関連する疾病、例えば、PNH、aHUS、視神経脊髄炎(NMO)又は重症筋無力症に罹患している対象における溶血を予防するための方法を提供する。
別の態様において、本発明は、C5の発現の低下から利益を得られ得る障害、例えば、補体成分C5に関連する疾病、例えば、PNH、aHUS、視神経脊髄炎(NMO)又は重症筋無力症に罹患している対象の少なくとも1つの症状を予防する方法を提供する。本方法は、予防的に有効な量の、本発明のiRNA剤、例えば、dsRNA、又はベクター、及び抗補体成分C5抗体、又はその抗原結合フラグメント(例えば、エクリズマブ)などの更なる治療剤を対象に投与し、それによって、C5の発現の低下から利益を得られ得る障害に罹患している対象の少なくとも1つの症状を予防する工程を含む。
本明細書において使用される際の「治療有効量」は、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象に投与される場合、(例えば、既存の疾病又は疾病の1つ又は複数の症状を軽減し、改善し、又は維持することによって)この疾病の処置を行うのに十分な、RNAi剤又は抗補体成分C5抗体、又はその抗原結合フラグメント(例えば、エクリズマブ)の量を含むことが意図される。「治療有効量」は、RNAi剤又は抗体、又はその抗原結合フラグメント、薬剤が投与される方法、疾病及びその重症度及び病歴、年齢、体重、家族歴、遺伝子構造、もしあれば、以前の処置又は併用処置のタイプ、及び処置される対象の他の個体特性に応じて変化し得る。
本明細書において使用される際の「予防的に有効な量」は、疾病の症状をまだ(又は現在のところ)生じても又は示してもいないが、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象、及び/又は補体成分C5に関連する疾病を発症するリスクがある対象、例えば、移植片及び/又は移植を有する対象、例えば、感作又は同種異系レシピエント、敗血症に罹患している対象、及び/又は心筋梗塞に罹患している対象に投与される場合、この疾病又はこの疾病の1つ又は複数の症状を予防又は改善するのに十分な、iRNA剤又は抗補体成分C5抗体、又はその抗原結合フラグメント(例えば、エクリズマブ)の量を含むことが意図される。疾病の改善は、この疾病の経過を遅らせること又は後から発症する疾病の重症度を軽減することを含む。「予防的に有効な量」は、iRNA剤又は抗補体成分C5抗体、又はその抗原結合フラグメント、薬剤又は抗補体成分C5抗体、又はその抗原結合フラグメントが投与される方法、疾病に罹患する危険度、並びに処置される患者の病歴、年齢、体重、家族歴、遺伝子構造、もしあれば、以前の処置又は併用処置のタイプ、及び他の個体特性に応じて変化し得る。
「治療有効量」又は「予防的に有効な量」はまた、任意の処置に適用される妥当なベネフィット・リスク比である所望の局所又は全身的作用を生じる、RNAi剤又は抗補体成分C5抗体、又はその抗原結合フラグメント(例えば、エクリズマブ)の量も含む。本発明の方法に用いられるiRNA剤は、このような処置に適用される妥当なベネフィット・リスク比を得るのに十分な量で投与され得る。
別の態様において、本発明は、対象、例えば、C5の発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る対象を処置するための、治療有効量の、本発明のiRNA剤の使用を提供する。
別の態様において、本発明は、対象、例えば、C5の発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る対象を処置するための、治療有効量の、本発明のiRNA剤及び抗補体成分C5抗体、又はその抗原結合フラグメント(例えば、エクリズマブ)などの更なる治療剤の使用を提供する。
更に別の態様において、本発明は、C5の発現の低下から利益を得られ得る障害、例えば、補体成分C5に関連する疾病、例えば、PNH、aHUS、視神経脊髄炎(NMO)又は重症筋無力症に罹患している対象などの、対象、例えば、C5の発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る対象を処置するための薬剤の製造における、C5遺伝子を標的とする本発明のiRNA剤、例えば、dsRNA又はC5遺伝子を標的とするiRNA剤を含む医薬組成物の使用を提供する。
別の態様において、本発明は、対象、例えば、C5の発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る対象、例えば、補体成分C5に関連する疾病、例えば、PNH、aHUS、視神経脊髄炎(NMO)又は重症筋無力症を処置するための、抗補体成分C5抗体、又はその抗原結合フラグメント(例えば、エクリズマブ)などの更なる治療剤と併用するための薬剤の製造における、C5遺伝子を標的とする本発明のiRNA剤、例えば、dsRNA又はC5遺伝子を標的とするiRNA剤を含む医薬組成物の使用を提供する。
別の態様において、本発明は、補体成分C5に関連する疾病、例えば、PNH、aHUS、視神経脊髄炎(NMO)又は重症筋無力症などの、C5の発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る障害に罹患している対象の少なくとも1つの症状を予防するための、本発明のiRNA、例えば、dsRNAの使用を提供する。
更に別の態様において、本発明は、補体成分C5に関連する疾病、例えば、PNH、aHUS、視神経脊髄炎(NMO)又は重症筋無力症などの、C5の発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る障害に罹患している対象の少なくとも1つの症状を予防するための、本発明のiRNA剤、例えば、dsRNA、及び抗補体成分C5抗体、又はその抗原結合フラグメント(例えば、エクリズマブ)などの更なる治療剤の使用を提供する。
更なる態様において、本発明は、補体成分C5に関連する疾病、例えば、PNH、aHUS、視神経脊髄炎(NMO)又は重症筋無力症などの、C5の発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る障害に罹患している対象の少なくとも1つの症状を予防するための薬剤の製造における、本発明のiRNA剤の使用を提供する。
更なる態様において、本発明は、補体成分C5に関連する疾病、例えば、PNH、aHUS、視神経脊髄炎(NMO)又は重症筋無力症などの、C5の発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る障害に罹患している対象の少なくとも1つの症状を予防するための、抗補体成分C5抗体、又はその抗原結合フラグメント(例えば、エクリズマブ)などの更なる治療剤と併用するための薬剤の製造における、本発明のiRNA剤の使用を提供する。
一実施形態において、C5を標的とするiRNA剤は、例えば、対象の細胞、組織、血液、尿又は他の組織若しくは体液中のC5レベルが、少なくとも約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、62%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%又はそれ以上だけ低下されるように、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象に投与され、その後、更なる治療剤(後述される)が、対象に投与される。
更なる治療剤は、抗補体成分C5抗体、又は抗原結合フラグメント又はその誘導体であり得る。一実施形態において、抗補体成分C5抗体は、エクリズマブ(SOLIRIS(登録商標))、又は抗原結合フラグメント又はその誘導体である。エクリズマブは、高い親和性で補体成分C5と特異的に結合し、C5〜C5a及びC5bの切断を阻害し、それによって、終末補体複合体C5b−9の生成を阻害するヒト化モノクローナルIgG2/4、κ軽鎖抗体である。エクリズマブは、全内容が参照により本明細書に援用される米国特許第6,355,245号明細書に記載されている。
対象への本発明のiRNA剤及びエクリズマブの投与を含む本発明の方法は、対象への髄膜炎菌ワクチンの投与を更に含み得る。
更なる治療剤、例えば、エクリズマブ及び/又は髄膜炎菌ワクチンは、C5を標的とするiRNA剤と同時に又は異なる時点で対象に投与され得る。
更に、更なる治療剤、例えば、エクリズマブは、C5を標的とするiRNA剤と同じ製剤中で、又はC5を標的とするiRNA剤と異なる製剤中で対象に投与され得る。
一実施形態において、dsRNA剤は、抗補体成分C5抗体、又はその抗原結合フラグメントの前に対象に投与され、対象に投与される。一実施形態において、dsRNA剤は、まず、対象における補体成分C5のレベルを低下させるのに十分な期間にわたって対象に投与される。
エクリズマブ投薬計画は、例えば、エクリズマブ(SOLIRIS(登録商標))の添付文書及び米国特許出願公開第2012/0225056号明細書に記載されており、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。補体成分C5に関連する疾病、例えば、PNH、aHUS、視神経脊髄炎(NMO)又は重症筋無力症を処置するための本発明の例示的な方法において、C5を標的とするiRNA剤は、まず、対象におけるC5レベルが、(例えば、少なくとも約20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、62%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%又はそれ以上だけ)低下されるように、対象に(例えば、皮下)投与され、その後、エクリズマブは、SOLIRIS(登録商標)の添付文書に記載されている用量より低い用量で投与される。例えば、エクリズマブは、4週間にわたって約600mg未満の用量で週に1回、その後、5回目の投与は約1週間後に約900mg未満、その後、約2週間ごとに約900mg未満の用量で、対象に投与され得る。エクリズマブはまた、4週間にわたって約900mg未満の用量で週に1回、その後、5回目の投与は約1週間後に約1200mg未満、その後、約2週間ごとに約1200mg未満の用量で、対象に投与され得る。対象が、18歳未満である場合、エクリズマブは、4週間にわたって約900mg未満の用量で週に1回、その後、5回目の投与は約1週間後に約1200mg未満、その後、約2週間ごとに約1200mg未満の用量で、対象に投与されてもよく;又は対象が、18歳未満である場合、エクリズマブは、2週間にわたって約600mg未満の用量で週に1回、その後、3回目の投与は約1週間後に約900mg未満、その後、約2週間ごとに約900mg未満の用量で、対象に投与されてもよく;又は対象が、18歳未満である場合、エクリズマブは、2週間にわたって約600mg未満の用量で週に1回、その後、3回目の投与は約1週間後に約600mg未満、その後、約2週間ごとに約600mg未満の用量で、対象に投与されてもよく;又は対象が、18歳未満である場合、エクリズマブは、1週間にわたって約600mg未満の用量で週に1回、その後、2回目の投与は約1週間後に約300mg未満、その後、約2週間ごとに約300mg未満の用量で、対象に投与されてもよく;又は対象が、18歳未満である場合、エクリズマブは、1週間にわたって約300mg未満の用量で週に1回、その後、2回目の投与は約1週間後に約300mg未満、その後、約2週間ごとに約300mg未満の用量で、対象に投与され得る。対象が、プラスマフェレーシス即ち血漿交換を受けている場合、エクリズマブは、約300mg未満(例えば、エクリズマブの直近の投与が、約300mgであった場合)又は約600mg未満(例えば、エクリズマブの直近の投与が、約600mg以上であった場合)の用量で、対象に投与され得る。対象が、血漿注入を受けている場合、エクリズマブは、約300mg未満(例えば、エクリズマブの直近の投与が、約300mg以上であった場合)の用量で対象に投与され得る。低用量のエクリズマブは、エクリズマブの皮下又は静脈内投与を可能にする。
エクリズマブを含む本発明の併用療法において、対象を処置するためのエクリズマブの有効量が減少され得る。
エクリズマブを含む本発明の併用療法の一実施形態において、エクリズマブは、約0.01mg/kg〜約10mg/kg、又は約5mg/kg〜約10mg/kg、又は約0.5mg/kg〜約15mg/kgの用量で、対象に、例えば、皮下投与され得る。例えば、エクリズマブは、0.5mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、2mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、3.5mg/kg、4mg/kg、4.5mg/kg、5mg/kg、5.5mg/kg、6mg/kg、6.5mg/kg、7mg/kg、7.5mg/kg、8mg/kg、8.5mg/kg、9mg/kg、9.5mg/kg、10mg/kg、10.5mg/kg、11mg/kg、11.5mg/kg、12mg/kg、12.5mg/kg、13mg/kg、13.5mg/kg、14mg/kg、14.5mg/kg、又は15mg/kgの用量で、対象に、例えば、皮下投与され得る。
エクリズマブを含む本発明の併用療法の一実施形態において、処置された対象における乳酸脱水素酵素(LDH)血清中レベルは、正常値上限の約1.5倍未満である。
本発明の方法及び使用は、標的C5遺伝子の発現が、約1、2、3、4、5、6、7、8、12、16、18、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、又は約80時間などにわたって低下されるように、本明細書に記載される組成物を投与することを含む。一実施形態において、標的C5遺伝子の発現は、例えば、少なくとも約2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間又はそれ以上、例えば、約1週間、2週間、3週間、又は約4週間又はそれ以上の長期間にわたって低下される。
本発明の方法及び使用に係るdsRNAの投与は、補体成分C5に関連する疾病の患者における、このような疾病又は障害の重症度、兆候、症状、及び/又はマーカーを低下させ得る。この文脈における「低下」とは、このようなレベルの統計的に有意な低下を意味する。低下は、例えば、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は約100%であり得る。
疾病の処置又は予防の有効性は、例えば、疾病の進行、疾病の寛解、症状の重症度、痛みの減少、クオリティ・オブ・ライフ、処置効果を持続させるのに必要な薬剤の用量、疾病マーカーのレベル、又は処置されている若しくは予防にターゲティングされる所定の疾病に適切な、測定可能な任意の他のパラメータを測定することによって評価され得る。このようなパラメータのいずれか1つ、又はパラメータの任意の組合せを測定することによって処置又は予防の有効性を監視することは、十分当業者の能力の範囲内である。例えば、溶血性疾患の処置の有効性は、例えば、LDH及びCH50レベルの定期的な監視によって評価され得る。初期の読み取り値と後の読み取り値との比較は、処置が有効かどうかの指標を医師に与える。このようなパラメータのいずれか1つ、又はパラメータの任意の組合せを測定することによって処置又は予防の有効性を監視することは、十分当業者の能力の範囲内である。C5を標的とするiRNA又はその医薬組成物の投与と関連して、補体成分C5に関連する疾病「に対して有効」は、臨床的に適切な方法での投与が、症状の改善、治癒、疾病の軽減、寿命の延長、クオリティ・オブ・ライフの改善、又は補体成分C5に関連する疾病及び関連する原因の処置に精通した医師によって好ましいと一般に認識される他の効果などの、少なくとも統計的に有意な割合の患者に対する有益な効果をもたらすことを示す。
処置又は予防の効果は、疾病状態の1つ又は複数のパラメータの統計的に有意な改善がある場合、又は悪化若しくは本来予想されていた症状が発生しないことにより明らかである。一例として、疾病の測定可能なパラメータの少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、30%、40%、50%又はそれ以上の好ましい変化は、有効な処置を示し得る。所定のiRNA薬剤又はその薬剤の製剤の有効性も、当該技術分野において公知であるように、所定の疾病に関して実験動物モデルを用いて判断することができる。実験動物モデルを用いる場合、処置の有効性は、マーカー又は症状の統計的に有意な低下が観察された場合に証明される。
あるいは、有効性は、一例を挙げれば関節リウマチ重症度分類(RASS)などの、臨床的に許容される疾病の重症度の評価尺度に基づいて診断の当業者により決定された疾病の重症度の低減により測定することができる。適切な尺度を使用して測定された、例えば疾病の重症度の減少をもたらす任意の正の変化は、本明細書に記載されるiRNA又はiRNA製剤を用いた十分な処置を表す。
対象には、約0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.15mg/kg、0.2mg/kg、0.25mg/kg、0.3mg/kg、0.35mg/kg、0.4mg/kg、0.45mg/kg、0.5mg/kg、0.55mg/kg、0.6mg/kg、0.65mg/kg、0.7mg/kg、0.75mg/kg、0.8mg/kg、0.85mg/kg、0.9mg/kg、0.95mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、2.1mg/kg、2.2mg/kg、2.3mg/kg、2.4mg/kg、2.5mg/kg dsRNA、2.6mg/kg dsRNA、2.7mg/kg dsRNA、2.8mg/kg dsRNA、2.9mg/kg dsRNA、3.0mg/kg dsRNA、3.1mg/kg dsRNA、3.2mg/kg dsRNA、3.3mg/kg dsRNA、3.4mg/kg dsRNA、3.5mg/kg dsRNA、3.6mg/kg dsRNA、3.7mg/kg dsRNA、3.8mg/kg dsRNA、3.9mg/kg dsRNA、4.0mg/kg dsRNA、4.1mg/kg dsRNA、4.2mg/kg dsRNA、4.3mg/kg dsRNA、4.4mg/kg dsRNA、4.5mg/kg dsRNA、4.6mg/kg dsRNA、4.7mg/kg dsRNA、4.8mg/kg dsRNA、4.9mg/kg dsRNA、5.0mg/kg dsRNA、5.1mg/kg dsRNA、5.2mg/kg dsRNA、5.3mg/kg dsRNA、5.4mg/kg dsRNA、5.5mg/kg dsRNA、5.6mg/kg dsRNA、5.7mg/kg dsRNA、5.8mg/kg dsRNA、5.9mg/kg dsRNA、6.0mg/kg dsRNA、6.1mg/kg dsRNA、6.2mg/kg dsRNA、6.3mg/kg dsRNA、6.4mg/kg dsRNA、6.5mg/kg dsRNA、6.6mg/kg dsRNA、6.7mg/kg dsRNA、6.8mg/kg dsRNA、6.9mg/kg dsRNA、7.0mg/kg dsRNA、7.1mg/kg dsRNA、7.2mg/kg dsRNA、7.3mg/kg dsRNA、7.4mg/kg dsRNA、7.5mg/kg dsRNA、7.6mg/kg dsRNA、7.7mg/kg dsRNA、7.8mg/kg dsRNA、7.9mg/kg dsRNA、8.0mg/kg dsRNA、8.1mg/kg dsRNA、8.2mg/kg dsRNA、8.3mg/kg dsRNA、8.4mg/kg dsRNA、8.5mg/kg dsRNA、8.6mg/kg dsRNA、8.7mg/kg dsRNA、8.8mg/kg dsRNA、8.9mg/kg dsRNA、9.0mg/kg dsRNA、9.1mg/kg dsRNA、9.2mg/kg dsRNA、9.3mg/kg dsRNA、9.4mg/kg dsRNA、9.5mg/kg dsRNA、9.6mg/kg dsRNA、9.7mg/kg dsRNA、9.8mg/kg dsRNA、9.9mg/kg dsRNA、9.0mg/kg dsRNA、10mg/kg dsRNA、15mg/kg dsRNA、20mg/kg dsRNA、25mg/kg dsRNA、30mg/kg dsRNA、35mg/kg dsRNA、40mg/kg dsRNA、45mg/kg dsRNA、又は約50mg/kg dsRNAなどの治療量のiRNAが投与され得る。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。
特定の実施形態において、例えば、本発明の組成物が、本明細書に記載されるdsRNA及び脂質を含む場合、対象には、約0.01mg/kg〜約5mg/kg、約0.01mg/kg〜約10mg/kg、約0.05mg/kg〜約5mg/kg、約0.05mg/kg〜約10mg/kg、約0.1mg/kg〜約5mg/kg、約0.1mg/kg〜約10mg/kg、約0.2mg/kg〜約5mg/kg、約0.2mg/kg〜約10mg/kg、約0.3mg/kg〜約5mg/kg、約0.3mg/kg〜約10mg/kg、約0.4mg/kg〜約5mg/kg、約0.4mg/kg〜約10mg/kg、約0.5mg/kg〜約5mg/kg、約0.5mg/kg〜約10mg/kg、約1mg/kg〜約5mg/kg、約1mg/kg〜約10mg/kg、約1.5mg/kg〜約5mg/kg、約1.5mg/kg〜約10mg/kg、約2mg/kg〜約約2.5mg/kg、約2mg/kg〜約10mg/kg、約3mg/kg〜約5mg/kg、約3mg/kg〜約10mg/kg、約3.5mg/kg〜約5mg/kg、約4mg/kg〜約5mg/kg、約4.5mg/kg〜約5mg/kg、約4mg/kg〜約10mg/kg、約4.5mg/kg〜約10mg/kg、約5mg/kg〜約10mg/kg、約5.5mg/kg〜約10mg/kg、約6mg/kg〜約10mg/kg、約6.5mg/kg〜約10mg/kg、約7mg/kg〜約10mg/kg、約7.5mg/kg〜約10mg/kg、約8mg/kg〜約10mg/kg、約8.5mg/kg〜約10mg/kg、約9mg/kg〜約10mg/kg、又は約9.5mg/kg〜約10mg/kgなどの、治療量のiRNAが投与され得る。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。
例えば、dsRNAは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、又は約10mg/kgの用量で投与され得る。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。
他の実施形態において、例えば、本発明の組成物が、本明細書に記載されるdsRNA及びN−アセチルガラクトサミンを含む場合、対象には、約0.1〜約50mg/kg、約0.25〜約50mg/kg、約0.5〜約50mg/kg、約0.75〜約50mg/kg、約1〜約50mg/mg、約1.5〜約50mg/kb、約2〜約50mg/kg、約2.5〜約50mg/kg、約3〜約50mg/kg、約3.5〜約50mg/kg、約4〜約50mg/kg、約4.5〜約50mg/kg、約5〜約50mg/kg、約7.5〜約50mg/kg、約10〜約50mg/kg、約15〜約50mg/kg、約20〜約50mg/kg、約20〜約50mg/kg、約25〜約50mg/kg、約25〜約50mg/kg、約30〜約50mg/kg、約35〜約50mg/kg、約40〜約50mg/kg、約45〜約50mg/kg、約0.1〜約45mg/kg、約0.25〜約45mg/kg、約0.5〜約45mg/kg、約0.75〜約45mg/kg、約1〜約45mg/mg、約1.5〜約45mg/kb、約2〜約45mg/kg、約2.5〜約45mg/kg、約3〜約45mg/kg、約3.5〜約45mg/kg、約4〜約45mg/kg、約4.5〜約45mg/kg、約5〜約45mg/kg、約7.5〜約45mg/kg、約10〜約45mg/kg、約15〜約45mg/kg、約20〜約45mg/kg、約20〜約45mg/kg、約25〜約45mg/kg、約25〜約45mg/kg、約30〜約45mg/kg、約35〜約45mg/kg、約40〜約45mg/kg、約0.1〜約40mg/kg、約0.25〜約40mg/kg、約0.5〜約40mg/kg、約0.75〜約40mg/kg、約1〜約40mg/mg、約1.5〜約40mg/kb、約2〜約40mg/kg、約2.5〜約40mg/kg、約3〜約40mg/kg、約3.5〜約40mg/kg、約4〜約40mg/kg、約4.5〜約40mg/kg、約5〜約40mg/kg、約7.5〜約40mg/kg、約10〜約40mg/kg、約15〜約40mg/kg、約20〜約40mg/kg、約20〜約40mg/kg、約25〜約40mg/kg、約25〜約40mg/kg、約30〜約40mg/kg、約35〜約40mg/kg、約0.1〜約30mg/kg、約0.25〜約30mg/kg、約0.5〜約30mg/kg、約0.75〜約30mg/kg、約1〜約30mg/mg、約1.5〜約30mg/kb、約2〜約30mg/kg、約2.5〜約30mg/kg、約3〜約30mg/kg、約3.5〜約30mg/kg、約4〜約30mg/kg、約4.5〜約30mg/kg、約5〜約30mg/kg、約7.5〜約30mg/kg、約10〜約30mg/kg、約15〜約30mg/kg、約20〜約30mg/kg、約20〜約30mg/kg、約25〜約30mg/kg、約0.1〜約20mg/kg、約0.25〜約20mg/kg、約0.5〜約20mg/kg、約0.75〜約20mg/kg、約1〜約20mg/mg、約1.5〜約20mg/kb、約2〜約20mg/kg、約2.5〜約20mg/kg、約3〜約20mg/kg、約3.5〜約20mg/kg、約4〜約20mg/kg、約4.5〜約20mg/kg、約5〜約20mg/kg、約7.5〜約20mg/kg、約10〜約20mg/kg、又は約15〜約20mg/kgの用量などの、治療量のiRNAが投与され得る。一実施形態において、本発明の組成物が、本明細書に記載されるdsRNA及びN−アセチルガラクトサミンを含む場合、対象には、治療量の約10〜約30mg/kgのdsRNAが投与され得る。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。
例えば、対象には、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、31、32、33、34、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は約50mg/kgなどの、治療量のiRNAが投与され得る。記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図される。
ある実施形態において、RNAi剤は、約25mg〜約900mg、例えば、約25mg〜約850mg、約25mg〜約500mg、約25mg〜約400mg、約25mg〜約300mg、約50mg〜約850mg、約50mg〜約500mg、約50mg〜約400mg、約50mg〜約300mg、約100mg〜約850mg、約100mg〜約500mg、約100mg〜約400mg、約100mg〜約300mg、約200mg〜約850mg、約200mg〜約500mg、約200mg〜約400mg、約200mg〜約300mg、約100mg〜約800mg、約100mg〜約750mg、約100mg〜約700mg、約100mg〜約650mg、約100mg〜約600mg、約100mg〜約550mg、約100mg〜約500mg、約200mg〜約850mg、約200mg〜約800mg、約200mg〜約750mg、約200mg〜約700mg、約200mg〜約650mg、約200mg〜約600mg、約200mg〜約550mg、約200mg〜約500mg、約300mg〜約850mg、約300mg〜約800mg、約300mg〜約750mg、約300mg〜約700mg、約300mg〜約650mg、約300mg〜約600mg、約300mg〜約550mg、約300mg〜約500mg、約400mg〜約850mg、約400mg〜約800mg、約400mg〜約750mg、約400mg〜約700mg、約400mg〜約650mg、約400mg〜約600mg、約400mg〜約550mg、又は約400mg〜約500mgの固定用量として投与される。
ある実施形態において、RNAi剤は、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約525mg、約550mg、約575mg、約600mg、約625mg、約650mg、約675mg、約700mg、約725mg、約750mg、約775mg、約800mg、約825mg、約850mg、約875mg、又は約900mgの固定用量として投与される。
iRNAは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は約25分間などの所定の期間にわたって、静脈内注入によって投与され得る。投与は、例えば、毎週、隔週(即ち、2週間ごと)で1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間又はそれ以上などにわたって、定期的に繰り返され得る。最初の処置計画の後、治療剤は、より少ない頻度で投与され得る。例えば、毎週又は隔週で3ヶ月間の投与後、投与は、月に1回で6ヶ月間又は1年間又はそれ以上にわたって繰り返され得る。
iRNAの投与は、例えば、患者の細胞、組織、血液、尿又他の区画におけるC5レベルを、少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%又はそれ以上だけ低下させ得る。
iRNAの完全用量を投与する前に、5%の注入などのより少ない用量を患者に投与し、アレルギー反応などの有害作用を監視してもよい。別の例では、サイトカイン(例えば、TNF−α又はINF−α)レベルの増大などの好ましくない免疫賦活作用に関して患者を観察してもよい。
C5の発現の阻害効果により、本発明に係る組成物又はそれから調製される医薬組成物は、クオリティ・オブ・ライフを向上させ得る。
本発明のiRNAは、「裸の(naked)」形態で、又は「遊離iRNA」として投与され得る。裸のiRNAは、医薬組成物の非存在下で投与される。裸のiRNAは、好適な緩衝液中にあり得る。緩衝液は、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、又はリン酸塩、又はそれらの任意の組合せを含み得る。一実施形態において、緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。iRNAを含有する緩衝液のpH及び浸透圧は、対象に投与するのに好適なように調整され得る。
あるいは、本発明のiRNAは、dsRNAリポソーム製剤などの医薬組成物として投与され得る。
C5遺伝子発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る対象は、本明細書に記載される補体成分C5に関連する疾病又は障害に罹患している対象である。一実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、発作性夜間血色素尿症(PNH)に罹患している。別の実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、喘息に罹患している。別の実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、関節リウマチに罹患している。更に別の実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、全身性エリテマトーデスに罹患している。一実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、糸球体腎炎に罹患している。別の実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、乾癬に罹患している。更に別の実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、皮膚筋炎、水疱性類天疱瘡に罹患している。一実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、非典型溶血性尿毒症症候群に罹患している。別の実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、志賀毒素産生性大腸菌(E.coli)に関連する溶血性尿毒症症候群に罹患している。別の実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、重症筋無力症に罹患している。更に別の実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、視神経脊髄炎に罹患している。一実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、デンスデポジット糸球体腎炎に罹患している。一実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、C3神経障害に罹患している。別の実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、加齢黄斑変性症に罹患している。別の実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、寒冷凝集素症に罹患している。一実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、抗好中球細胞質抗体関連血管炎に罹患している。別の実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、液性及び血管性移植拒絶反応を有する。一実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、移植片機能不全を有する。一実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、心筋梗塞に罹患している。別の実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、移植の感作レシピエントである。更に別の実施形態において、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象は、敗血症に罹患している。
一実施形態において、補体成分C5に関連する疾病、例えば、PNH、aHUS、視神経脊髄炎(NMO)、又は重症筋無力症に罹患している対象は、抗補体成分C5抗体(例えば、エクリズマブ)治療に対する不完全著効者(incomplete responder)又は非著効者(non−responder)である。例えば、不完全著効者又は非著効者は、慢性持続性血管外溶血のため、輸血依存性であり得る。対象は、CD55欠損であり得る。抗補体成分C5抗体(例えば、エクリズマブ)治療に対する「非著効者」は、6〜8週間の治療の後、少なくとも血液学的反応を有することができない対象、例えば、輸血依存性のままである対象である。一実施形態において、抗補体成分C5抗体(例えば、エクリズマブ)治療に対する不完全著効者又は非著効者は、ラベル用量(label dose)のエクリズマブを投与されている対象及びLDH>1.5×ULNをもたらす継続的な非制御血管内溶血又は以下の1つ又は複数のいずれかを起こしている対象である:任意の臨床PNH症状(例えば、疲労、腹痛、呼吸困難、嚥下障害又は勃起障害);輸血依存性のままである;HGB<10g/dLで貧血のままである;大きな血管イベント(例えば、血栓症)を生じる。
C5遺伝子発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る対象の処置は、治療及び予防(例えば、対象は、感作(又は同種異系)移植手術を受ける予定である)処置を含む。
本発明は、C5の発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る対象、例えば、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象を処置するための、他の医薬品及び/又は他の治療方法、例えば、これらの障害を処置するのに現在用いられているものなどの公知の医薬品及び/又は公知の治療方法と組み合わされた、iRNA剤又はその医薬組成物の方法及び使用(iRNA剤又はiRNA剤及び抗補体成分C5抗体を含む、又はその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物の方法及び使用を含む)を更に提供する。例えば、特定の実施形態において、C5を標的とするiRNAは、例えば、本明細書のどこかに記載される補体成分C5に関連する疾病を処置するのに有用な薬剤と組み合わされて投与される。
例えば、C5の発現の低下から利益を得られ得る対象、例えば、補体成分C5に関連する疾病に罹患している対象を処置するのに好適な更なる治療剤及び治療方法としては、プラスマフェレーシス、血栓溶解療法(例えば、ストレプトキナーゼ)、抗血小板薬、葉酸、コルチコステロイド;免疫抑制剤;エストロゲン、メトトレキサート、6−MP、アザチオプリン、スルファサラジン、メサラジン、オルサラジン、クロロキニン/ヒドロキシクロロキン、ペニシラミン、金チオリンゴ酸塩(筋肉内及び経口)、アザチオプリン、コルヒチン、コルチコステロイド(経口、吸入及び局所注射)、β−2アドレナリン受容体アゴニスト(サルブタモール、テルブタリン、サルメテロール)、キサンチン(テオフィリン、アミノフィリン)、クロモグリク酸塩、ネドクロミル、ケトチフェン、イプラトロピウム及びオキシトロピウム、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、レフルノミド、NSAID、例えば、イブプロフェン、プレドニゾロンなどのコルチコステロイド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、アデノシンアゴニスト、抗血栓剤、補体阻害剤、アドレナリン作動薬、TNF−α又はIL−1などの炎症誘発性サイトカインによるシグナル伝達に干渉する薬剤(例えば、IRAK、NIK、IKK、p38又はMAPキナーゼ阻害剤)、IL−1β転化酵素阻害剤、TNFα転化酵素(TACE)阻害剤、キナーゼ阻害剤などのT細胞シグナル伝達阻害剤、メタロプロティナーゼ阻害剤、スルファサラジン、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、アンジオテンシン転化酵素阻害剤、可溶性サイトカイン受容体及びその誘導体(例えば、可溶性p55又はp75 TNF受容体及び誘導体p75TNFRIgG(Enbrel(商標)及びp55TNFRIgG(Lenercept))、sIL−1RI、sIL−1RII、及びsIL−6R)、抗炎症性サイトカイン(例えば、IL−4、IL−10、IL−11、IL−13及びTGFβ)、セレコキシブ、葉酸、ヒドロキシクロロキン硫酸塩、ロフェコキシブ、エタネルセプト、インフリキシモノクローナル抗体(infliximonoclonal antibody)、ナプロキセン、バルデコキシブ、スルファサラジン、メチルプレドニゾロン、メロキシカム、酢酸メチルプレドニゾロン、金チオリンゴ酸ナトリウム、アスピリン、トリアムシノロンアセトニド、プロポキシフェンナプシレート/apap、葉酸塩、ナブメトン、ジクロフェナク、ピロキシカム、エトドラク、ジクロフェナクナトリウム、オキサプロジン、オキシコドンhcl、重酒石酸ヒドロコドン/apap、ジクロフェナクナトリウム/ミソプロストール、フェンタニル、アナキンラ、ヒト組換え体、トラマドールhcl、サルサラート、スリンダク、シアノコバラミン/fa/ピリドキシン、アセトアミノフェン、アレンドロン酸ナトリウム、プレドニゾロン、モルヒネ硫酸塩、リドカイン塩酸塩、インドメタシン、グルコサミン硫酸塩(glucosamine sulf)/コンドロイチン、アミトリプチリンhcl、スルファジアジン、オキシコドンhcl/アセトアミノフェン、オロパタジンhcl、ミソプロストール、ナプロキセンナトリウム、オメプラゾール、シクロホスファミド、リツキシモノクローナル抗体(rituximonoclonal antibody)、IL−1 TRAP、MRA、CTLA4−IG、IL−18 BP、抗IL−18、抗IL15、BIRB−796、SCIO−469、VX−702、AMG−548、VX−740、ロフルミラスト、IC−485、CDC−801、メソプラム、シクロスポリン、サイトカイン抑制抗炎症性薬剤(CSAID);CDP−571/BAY−10−3356(ヒト化抗TNFα抗体;Celltech/Bayer);cA2/インフリキシモノクローナル抗体(キメラ抗TNFα抗体;Centocor);75 kdTNFR−IgG/エタネルセプト(75 kD TNF受容体−IgG融合タンパク質;Immunex;例えば、(1994)Arthr.Rheum.37:S295;(1996)J.Invest.Med.44:235Aを参照);55 kdTNF−IgG(55 kD TNF受容体−IgG融合タンパク質;Hoffmann−LaRoche);IDEC−CE9.1/SB 210396(非消失性(non−depleting)霊長類化抗CD4抗体;IDEC/SmithKline;例えば、(1995)Arthr.Rheum.38:S185を参照);DAB 486−IL−2及び/又はDAB 389−IL−2(IL−2融合タンパク質;Seragen;例えば、(1993)Arthrit.Rheum.36:1223を参照);抗Tac(ヒト化抗IL−2Rα;Protein Design Labs/Roche);IL−4(抗炎症性サイトカイン;DNAX/Schering);IL−10(SCH 52000;組み換えIL−10、抗炎症性サイトカイン;DNAX/Schering);IL−4;IL−10及び/又はIL−4アゴニスト(例えば、アゴニスト抗体);IL−1RA(IL−1受容体アンタゴニスト;Synergen/Amgen);アナキンラ(Kineret(登録商標)/Amgen);TNF−bp/s−TNF(可溶性TNF結合タンパク質;例えば、(1996)Arthr.Rheum.39(9(補遺)):S284;(1995)Amer.J.Physiol.−Heart及びCirc.Physiol.268:37−42を参照);R973401(IV型ホスホジエステラーゼ阻害剤;例えば、(1996)Arthr.Rheum.39(9(補遺):S282を参照);MK−966(COX−2阻害剤;例えば、(1996)Arthr.Rheum.39(9(補遺):S81を参照);イロプロスト(例えば、(1996)Arthr.Rheum.39(9(補遺):S82を参照);メトトレキサート;サリドマイド(例えば、(1996)Arthr.Rheum.39(9(補遺):S282を参照)及びサリドマイド関連薬剤(例えば、Celgen);レフルノミド(抗炎症及びサイトカイン阻害剤;例えば、(1996)Arthr.Rheum.39(9(補遺):S131;(1996)Inflamm.Res.45:103−107を参照);トラネキサム酸(プラスミノーゲン活性化の阻害剤;例えば、(1996)Arthr.Rheum.39(9(補遺):S284を参照);T−614(サイトカイン阻害剤;例えば、(1996)Arthr.Rheum.39(9(補遺):S282を参照);プロスタグランジンE1(例えば、(1996)Arthr.Rheum.39(9(補遺):S282を参照);テニダップ(非ステロイド性抗炎症薬;例えば、(1996)Arthr.Rheum.39(9(補遺):S280を参照);ナプロキセン(非ステロイド性抗炎症薬;例えば、(1996)Neuro.Report 7:1209−1213を参照);メロキシカム(非ステロイド性抗炎症薬);イブプロフェン(非ステロイド性抗炎症薬);ピロキシカム(非ステロイド性抗炎症薬);ジクロフェナク(非ステロイド性抗炎症薬);インドメタシン(非ステロイド性抗炎症薬);スルファサラジン(例えば、(1996)Arthr.Rheum.39(9(補遺):S281を参照);アザチオプリン(例えば、(1996)Arthr.Rheum.39(9(補遺):S281を参照);ICE阻害剤(酵素インターロイキン−1β転化酵素の阻害剤);zap−70及び/又はlck阻害剤(チロシンキナーゼzap−70又はlckの阻害剤);VEGF阻害剤及び/又はVEGF−R阻害剤(血管内皮細胞増殖因子又は血管内皮細胞増殖因子受容体の阻害剤;血管新生の阻害剤);コルチコステロイド抗炎症剤(例えば、SB203580);TNF−転換酵素阻害剤;抗IL−12抗体;抗IL−18抗体;インターロイキン−11(例えば、(1996)Arthr.Rheum.39(9(補遺):S296を参照);インターロイキン−13(例えば、(1996)Arthr.Rheum.39(9(補遺):S308を参照);インターロイキン−17阻害剤(例えば、(1996)Arthr.Rheum.39(9(補遺):S120を参照);金;ペニシラミン;クロロキン;クロラムブシル;ヒドロキシクロロキン;シクロスポリン;シクロホスファミド;全身リンパ節照射法;抗胸腺細胞グロブリン;抗CD4抗体;CD5−トキシン;経口投与されるペプチド及びコラーゲン;ロベンザリット二ナトリウム;サイトカイン調節剤(CRA)HP228及びHP466(Houghten Pharmaceuticals,Inc.);ICAM−1アンチセンスホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチド(ISIS 2302;Isis Pharmaceuticals,Inc.);可溶性補体受容体1(TP10;T Cell Sciences,Inc.);プレドニゾン;オルゴテイン;硫酸化グリコサミノグリカン(glycosaminoglycan polysulphate);ミノサイクリン;抗IL2R抗体;海産及び植物脂質(魚及び植物種子脂肪酸;例えば、DeLuca et al.(1995)Rheum.Dis.Clin.North Am.21:759−777を参照);オーラノフィン;フェニルブタゾン;メクロフェナム酸;フルフェナム酸;静脈内免疫グロブリン;ジレウトン;アザリビン;ミコフェノール酸(RS−61443);タクロリムス(FK−506);シロリムス(ラパマイシン);アミプリロース(セラフェクチン);クラドリビン(2−クロロデオキシアデノシン);メトトレキサート;bcl−2阻害剤(Bruncko,M.et al.(2007)J.Med.Chem.50(4):641−662を参照);抗ウイルス薬及び免疫調節剤、KDRの小分子阻害剤、Tie−2の小分子阻害剤;メトトレキサート;プレドニゾン;セレコキシブ;葉酸;ヒドロキシクロロキン硫酸塩;ロフェコキシブ;エタネルセプト;インフリキシモノクローナル抗体;レフルノミド;ナプロキセン;バルデコキシブ;スルファサラジン;メチルプレドニゾロン;イブプロフェン;メロキシカム;酢酸メチルプレドニゾロン;金チオリンゴ酸ナトリウム;アスピリン;アザチオプリン;トリアムシノロンアセトニド;プロポキシフェンナプシレート/apap;葉酸塩;ナブメトン;ジクロフェナク;ピロキシカム;エトドラク;ジクロフェナクナトリウム;オキサプロジン;オキシコドンhcl;重酒石酸ヒドロコドン/apap;ジクロフェナクナトリウム/ミソプロストール;フェンタニル;アナキンラ、ヒト組換え体;トラマドールhcl;サルサラート;スリンダク;シアノコバラミン/fa/ピリドキシン;アセトアミノフェン;アレンドロン酸ナトリウム;プレドニゾロン;モルヒネ硫酸塩;リドカイン塩酸塩;インドメタシン;グルコサミン硫酸塩/コンドロイチン;シクロスポリン;アミトリプチリンhcl;スルファジアジン;オキシコドンhcl/アセトアミノフェン;オロパタジンhcl;ミソプロストール;ナプロキセンナトリウム;オメプラゾール;ミコフェノール酸モフェチル;シクロホスファミド;リツキシモノクローナル抗体;IL−1 TRAP;MRA;CTLA4−IG;IL−18 BP;IL−12/23;抗IL 18;抗IL 15;BIRB−796;SCIO−469;VX−702;AMG−548;VX−740;ロフルミラスト;IC−485;CDC−801;メソプラム、アルブテロール、サルメテロール/フルチカゾン、モンテルカストナトリウム、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニド、プレドニゾン、サルメテロールキシナホ酸塩、レバブテロールhcl、アルブテロール硫酸塩/イプラトロピウム、リン酸プレドニゾロンナトリウム、トリアムシノロンアセトニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、イプラトロピウム臭化物、アジスロマイシン、酢酸ピルブテロール、プレドニゾ
ロン、無水テオフィリン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、クラリスロマイシン、ザフィルルカスト、フマル酸ホルモテロール、インフルエンザウイルスワクチン、メチルプレドニゾロン、アモキシシリン三水和物、フルニソリド、アレルギー注射、クロモリンナトリウム、塩酸フェキソフェナジン、フルニソリド/メントール、アモキシシリン/クラブラン酸塩、レボフロキサシン、吸入支援装置、グアイフェネシン、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、モキシフロキサシンhcl、ドキシサイクリンヒクレート、グアイフェネシン/d−メトルファン、p−エフェドリン/cod/クロルフェニル(chlorphenir)、ガチフロキサシン、塩酸セチリジン、フランカルボン酸モメタゾン、サルメテロールキシナホ酸塩、ベンゾナテート、セファレキシン、pe/ヒドロコドン/クロルフェニル(chlorphenir)、セチリジンhcl/プソイドエフェド(pseudoephed)、フェニレフリン/cod/プロメタジン、コデイン/プロメタジン、セフプロジル、デキサメタゾン、グアイフェネシン/プソイドエフェドリン、クロルフェニラミン/ヒドロコドン、ネドクロミルナトリウム、テルブタリン硫酸塩、エピネフリン、メチルプレドニゾロン、硫酸メタプロテレノール、アスピリン、ニトログリセリン、酒石酸メトプロロール、エノキサパリンナトリウム、ヘパリンナトリウム、クロピドグレル二硫酸塩、カルベジロール、アテノロール、モルヒネ硫酸塩、コハク酸メトプロロール、ワルファリンナトリウム、リシノプリル、一硝酸イソソルビド、ジゴキシン、フロセミド、シンバスタチン、ラミプリル、テネクテプラーゼ、エナラプリルマレイン酸塩、トルセミド、レタバーゼ(retavase)、ロサルタンカリウム、キナプリルhcl/mag carb、ブメタニド、アルテプラーゼ、エナラプリラト、アミオダロン塩酸塩、チロフィバンhcl m−水和物、ジルチアゼム塩酸塩、カプトプリル、イルベサルタン、バルサルタン、プロプラノロール塩酸塩、フォシノプリルナトリウム、リドカイン塩酸塩、エプチフィバチド、セファゾリンナトリウム、アトロピン硫酸塩、アミノカプロン酸、スピロノラクトン、インターフェロン、ソタロール塩酸塩、塩化カリウム、ドキュセートナトリウム、ドブタミンhcl、アルプラゾラム、プラバスタチンナトリウム、アトルバスタチンカルシウム、ミダゾラム塩酸塩、メペリジン塩酸塩、二硝酸イソソルビド、エピネフリン、ドーパミン塩酸塩、ビバリルジン、ロスバスタチン、エゼチミブ/シンバスタチン、アバシミブ、及びカリポリドが挙げられる。
iRNA剤(及び/又は抗補体成分C5抗体)及び更なる治療剤及び/又は処置剤は、同時に及び/又は同じ組み合わせで、例えば、非経口的に投与されてもよく、又は更なる治療剤が、別個の組成物の一部として、又は別の時点で、及び/又は当該技術分野において公知の又は本明細書に記載される別の方法によって、投与され得る。
一実施形態において、対象には、初期用量及び1つ又は複数の維持用量のRNAi剤が投与される。1つ又は複数の維持用量は、初期用量と同じか又は初期用量より少なく、例えば、初期用量の2分の1であり得る。維持計画は、週に約10mg〜約900mg、例えば、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約525mg、約550mg、約575mg、約600mg、約625mg、約650mg、約675mg、約700mg、約725mg、約750mg、約775mg、約800mg、約825mg、約850mg、約875mg、又は約900mgの範囲の1つ又は複数の用量で、対象を処置する工程を含み得る。維持用量は、例えば、7日に1回以下、10日に1回、14日に1回、21日に1回、又は30日に1回、投与される。更に、処置計画は、具体的な疾病の性質、その重症度及び患者の全身状態に応じて変動する期間にわたって持続し得る。
本発明は、細胞中の補体成分C5の発現を低下させ、及び/又は阻害するために、本発明のiRNA剤及び/又は本発明のiRNA剤を含有する組成物を使用する方法も提供する。他の態様において、本発明は、細胞中のC5の発現を低下させ、及び/又は阻害するのに使用するための、本発明のiRNA及び/又は本発明のiRNAを含む組成物を提供する。更に他の態様において、細胞中のC5の発現を低下させ、及び/又は阻害するための薬剤の製造のための、本発明のiRNA及び/又は本発明のiRNAを含む組成物の使用が提供される。
方法及び使用は、細胞を、本発明のiRNA、例えば、dsRNAと接触させる工程と、細胞を、C5遺伝子のmRNA転写物の分解を得るのに十分な時間にわたって維持し、それによって、細胞中のC5遺伝子の発現を阻害する工程とを含む。
遺伝子発現の低下は、当該技術分野において公知の任意の方法によって評価され得る。例えば、C5の発現の低下は、当業者に周知の方法、例えば、ノーザンブロット法、qRT−PCRを用いてC5のmRNA発現レベルを決定することによって、ウエスタンブロット法、免疫学的方法、フローサイトメトリー法、ELISAなどの当業者に周知の方法を用いてC5のタンパク質レベルを決定することによって、及び/又はCH50又はAH50溶血アッセイなどの、C5の生物学的活性を決定することによって、及び/又は補体系、例えば、C5a及びC5bなどのC5産物(又は、インビボ設定(in vivo setting)で、例えば、溶血)に関連する1つ又は複数の分子の生物学的活性を決定することによって、決定され得る。
本発明の方法及び使用において、細胞は、インビトロ又はインビボで接触されてもよく、即ち、細胞は、対象中にあり得る。細胞が対象中にある本発明の実施形態において、本方法は、細胞を、抗補体成分C5抗体、例えば、エクリズマブと更に接触させる工程を含み得る。
本発明の方法を用いた処置に好適な細胞は、C5遺伝子を発現する任意の細胞であり得る。本発明の方法及び使用に使用するのに好適な細胞は、哺乳動物細胞、例えば、霊長類細胞(ヒト細胞又は非ヒト霊長類細胞、例えば、サル細胞又はチンパンジー細胞など)、非霊長類細胞(ウシ細胞、ブタ細胞、ラクダ細胞、ラマ細胞、ウマ細胞、ヤギ細胞、ウサギ細胞、ヒツジ細胞、ハムスター、モルモット細胞、ネコ細胞、イヌ細胞、ラット細胞、マウス細胞、ライオン細胞、トラ細胞、クマ細胞、又は水牛細胞など)、鳥類細胞(例えば、アヒル細胞又はガチョウ細胞)、又はクジラ細胞であり得る。一実施形態において、細胞は、ヒト細胞、例えばヒト肝細胞である。
C5の発現は、細胞内で、少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は約100%阻害され得る。
本発明のインビボ方法及び使用は、iRNAを含有する組成物を対象に投与することを含んでいてもよく、iRNAは、処置される哺乳動物のC5遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部に相補的なヌクレオチド配列を含む。処置される生物がヒトなどの哺乳動物である場合、組成物は、限定はされないが、皮下、静脈内、経口、腹腔内、又は、頭蓋内(例えば、脳室内、実質内及びくも膜下腔内)、筋肉内、経皮、気道(エアゾール)、経鼻、直腸、及び局所(口腔及び舌下を含む)投与を含む非経口経路を含む、当該技術分野において公知の任意の手段によって投与され得る。特定の実施形態において、組成物は、皮下又は静脈内注入又は注射によって投与される。
ある実施形態において、投与は、デポー注射による。デポー注射は、長時間にわたってiRNAを一貫して放出することができる。したがって、デポー注射は、所望の効果、例えば、C5の所望の阻害、又は治療又は予防効果を得るのに必要な投与の頻度を低減し得る。デポー注射はまた、より一貫した血清濃度を提供することができる。デポー注射は、皮下注射又は筋肉内注射を含み得る。好ましい実施形態において、デポー注射は、皮下注射である。
ある実施形態において、投与は、ポンプによる。ポンプは、外部ポンプ又は手術により埋め込まれたポンプであってもよい。特定の実施形態において、ポンプは、皮下に埋め込まれた浸透圧ポンプである。他の実施形態において、ポンプは、注入ポンプである。注入ポンプは、静脈内、皮下、動脈内、又は硬膜外注入に使用され得る。好ましい実施形態において、注入ポンプは、皮下注入ポンプである。他の実施形態において、ポンプは、iRNAを肝臓に送達する、手術により埋め込まれたポンプである。
投与方法は、局所又全身処置のいずれが所望されるかに基づいて、及び処置される領域に基づいて選択され得る。投与の経路及び部位は、標的化を向上させるように選択され得る。
一態様において、本発明は、哺乳動物、例えば、ヒトにおけるC5遺伝子の発現を阻害するための方法も提供する。本発明は、哺乳動物におけるC5遺伝子の発現を阻害するのに使用するための、哺乳動物の細胞中のC5遺伝子を標的とするiRNA、例えば、dsRNAを含む組成物も提供する。別の態様において、本発明は、哺乳動物におけるC5遺伝子の発現を阻害するための薬剤の製造における、哺乳動物の細胞中のC5遺伝子を標的とするiRNA、例えば、dsRNAの使用を提供する。
方法及び使用は、哺乳動物の細胞中のC5遺伝子を標的とするiRNA、例えば、dsRNAを含む組成物を、哺乳動物、例えば、ヒトに投与する工程と、C5遺伝子のmRNA転写物の分解を得るのに十分な時間にわたって哺乳動物を維持し、それによって、哺乳動物におけるC5遺伝子の発現を阻害する工程とを含む。ある実施形態において、本方法は、抗補体成分C5抗体、例えば、エクリズマブを対象に投与する工程を更に含む。
遺伝子発現の低下は、当該技術分野において公知の任意の方法によって、及び例えば、本明細書に記載されるqRT−PCRといった方法によって評価され得る。タンパク質産生の減少は、当該技術分野において公知の任意の方法によって、及び例えば、本明細書に記載されるELISA又はウエスタンブロット法といった方法によって評価され得る。一実施形態において、肝穿刺生検試料が、C5遺伝子及び/又はタンパク質発現の低下を監視するための組織材料として役立つ。別の実施形態において、血液試料が、C5遺伝子及び/又はタンパク質発現の低下を監視するための組織材料として役立つ。他の実施形態において、C5遺伝子の発現の阻害は、例えば、C5a、C5b、及び可溶性C5b−9を含む、C5経路における遺伝子の発現及び/又は活性を決定することによって、間接的に監視される(例えば、図1を参照)。例えば、CD59の活性は、C5遺伝子の発現の阻害を決定するために監視され得る。試料、例えば、血液又は肝臓試料におけるCH50、AH50、血栓形成及び/又は血清乳酸脱水素酵素(LDH)も測定され得る。好適なアッセイが、以下の実施例項に更に記載される。
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者により通常に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載したものと同様の又は等価な方法及び材料を、本発明を特徴付けるiRNA及び方法の実践又は試験に使用できるが、好適な方法及び材料は下記に記載されている。本明細書に言及した全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本明細書が支配する。加えて、材料、方法及び実施例は、単なる例示であり、限定を意図するものではない。
実施例1.iRNA合成
試薬供給源
本明細書に試薬供給源が特に示されていない場合、このような試薬は、分子生物学用の試薬の任意の供給業者から、分子生物学における用途のための品質/純度基準で得ることができる。
転写物
NCBI Gene database(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/)において注釈付けされたヒト、アカゲザル(アカゲザル(Macaca mulatta))、マウス、及びラットC5転写物を標的とするsiRNAを特定するために、siRNA設計を行った。設計には、NCBI RefSeq collectionからの以下の転写物を使用した:ヒト−NM_001735.2;アカゲザル−XM_001095750.2;マウス−NM_010406.2;ラット−XM_345342.4。限定はされないが、ヒト及びアカゲザル転写物のみ;ヒト、アカゲザル、及びマウス転写物のみ;ヒト、アカゲザル、マウス、及びラット転写物のみ;及びマウス及びラット転写物のみと一致する二本鎖を含むバッチを含むいくつかのバッチで、SiRNA二本鎖を設計した。各設計バッチ(上記)において考慮される、列挙されるヒト転写物及び他の種の転写物と100%の同一性を共有する全てのsiRNA二本鎖を設計した。
siRNA設計、特異性、及び有効性の予測
全ての可能な19量体(19mer)の予測される特異性を、各配列から予測した。次に、7ヌクレオチドより長い反復がない候補19量体を選択した。これらの2971の候補ヒト/アカゲザル、142のヒト/アカゲザル/マウス、54のヒト/アカゲザル/マウス/ラット、及び807のマウス/ラットsiRNAを、パイソンスクリプト(python script)「BruteForce.py」で実施される包括的な「力まかせ(brute−force)」アルゴリズムを用いて、適切なトランスクリプトーム(ヒト、アカゲザル、イヌ、マウス、又はラットNCBI Refseqセット内のNM_及びXM_レコードのセットとして定義される)に対する包括的検索に使用した。次に、スクリプトが、転写物−オリゴのアライメントを解析して、siRNAと、あらゆる可能性のある「オフターゲット」転写物とのミスマッチの位置及び数に基づいてスコアを生成する。オフターゲットスコアを重み付けして、分子の5’末端から2〜9位にある、siRNAの「シード」領域の差異を強調する。
力まかせ探索(brute−force search)による各オリゴ−転写物対に、個々のミスマッチスコアを合計することによってミスマッチスコアを与え;2〜9位にあるミスマッチを、2.8とみなし、切断部位10〜11位にあるミスマッチを、1.2とみなし、領域12〜19のミスマッチを、1.0とみなした。更なるオフターゲット予測を、各オリゴの3つの異なる、シード指向性の6量体から誘導される7量体及び8量体の頻度を比較することによって行った。5’開始点に対して2〜7位からの6量体を用いて、2つの7量体及び1つの8量体を生成した。3’−Aを6量体に加えることによって「7量体1」を生成し;5’−Aを6量体に加えることによって「7量体2」を生成し;Aを6量体の5’及び3’末端の両方に加えることによって、8量体を生成した。ヒト、アカゲザル、マウス、又はラット3’−UTRome(コード領域「CDS」の末端が明確に定義されたNCBIのRefseqデータベースからのトランスクリプトームの部分列として定義される)における8量体及び7量体の頻度を予め計算した。8量体の頻度の範囲からの中央値を用いて、8量体の頻度を7量体の頻度に対して標準化した。次に、「mirSeedScore」を、((3×標準化された8量体の数値)+(2×7量体2の数値)+(1×7量体1の数値))の和を計算することによって計算した。
両方のsiRNA鎖を、計算されたスコアにしたがって、特異性のカテゴリーに割り当てた:3を超えるスコアは、高度の特異性があり、3に等しいスコアは、特異性があり、2.2〜2.8のスコアは中程度の特異性があるとみなす。二本鎖を、アンチセンス鎖の特異性によって並べ替え、アンチセンスオリゴが、1番目の位置でGCを欠き、13及び14番目の位置の両方でGを欠き、シード領域における3以上のUs又はAsを有する二本鎖を選択した。
GalNaCコンジュゲート二本鎖について、アンチセンス19量体(上記)を、標的と相補的な配列(target−complementary sequence)の23ヌクレオチドへと伸長することによって、センス21量体(21mer)及びアンチセンス23量体(23mer)オリゴを設計した。設計バッチに含まれる全ての種の転写物の相補性を調べた。少なくとも2つの種で100%の配列相補性を保った23量体のみを使用した。各二本鎖について、センス21量体を、アンチセンス鎖の最初の21ヌクレオチドの逆補体として特定した。
siRNA配列の選択
合計で23のセンス及び23のアンチセンスに由来するヒト/アカゲザル、6つのセンス及び6つのアンチセンスに由来するヒト/アカゲザル/マウス、6つのセンス及び6つのアンチセンスに由来するヒト/アカゲザル/マウス/マウス/ラット、及び13のセンス及び13のアンチセンスに由来するマウス/ラットsiRNA19量体オリゴを合成し、二本鎖に形成した。
上記の19量体セットを、GalNacコンジュゲート設計のために21/23量体二本鎖へと伸長し、それらの新たな種の一致にしたがって再分類した。27のセンス及び27のアンチセンスに由来するヒト/アカゲザル、1つのセンス及び1つのセンスに由来するヒト/アカゲザル/マウス、3つのセンス及び3つのアンチセンスに由来するヒト/アカゲザル/ラット、4つのセンス及び4つのアンチセンスに由来するヒト/アカゲザル/マウス/ラット、及び13のセンス及び13のアンチセンスに由来するマウス/ラット21量体(センス)及び23量体(アンチセンス)オリゴを合成し、二本鎖に形成した。
C5センス鎖及びアンチセンス鎖配列の詳細なリストが、表3〜6に示される。
siRNAの合成
一般的な小規模及び中規模のRNA合成手順
標準的な固相オリゴヌクレオチド合成プロトコルにしたがって、市販されている、ウリジンの5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−t−ブチルジメチルシリル−3’−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピル)ホスホロアミダイトモノマー、4−N−アセチルシチジン、6−N−ベンゾイルアデノシン及び2−N−イソブチリルグアノシン及び対応する2’−O−メチル及び2’−フルオロホスホロアミダイトを用いて、0.2〜500μmolの規模で、RNAオリゴヌクレオチドを合成した。アミダイト溶液を、0.1〜0.15Mの濃度で調製し、5−エチルチオ−1H−テトラゾール(アセトニトリル中0.25〜0.6M)を、活性剤として使用した。酸化工程のために、ルチジン:アセトニトリル(1:1)(v;v)中の0.2Mのフェニルアセチルジスルフィド(PADS)又はピリジン中の0.1Mの3−(ジメチルアミノメチレン)アミノ−3H−1,2,4−ジチアゾール−5−チオン(DDTT)を用いて、合成中にホスホロチオエート骨格修飾を導入した。合成の完了後、配列を固体担体から切断し、メチルアミン、続いてトリエチルアミン.3HFを用いて脱保護して、存在する2’−O−t−ブチルジメチルシリル保護基を除去した。
5〜500μmolの規模の合成及び完全2’修飾配列(2’−フルオロ及び/又は2’−O−メチル又はその組合せ)の場合、35℃で16時間又は55℃で5.5時間のいずれかで3:1(v/v)のエタノール及び濃縮(28〜32%)アンモニア水溶液を用いて、オリゴヌクレオチドを脱保護した。アンモニア脱保護の前に、オリゴヌクレオチドを、固体担体上で20分間にわたってアセトニトリル中0.5Mのピペリジンで処理した。粗製のオリゴヌクレオチドを、LC−MS及びアニオン交換HPLC(IEX−HPLC)によって分析した。20mMのリン酸塩、10%〜15%のACN、pH=8.5(緩衝液A)及び20mMのリン酸塩、10%〜15%のACN、1MのNaBr、pH=8.5(緩衝液B)を用いて、IEX HPLCによって、オリゴヌクレオチドの精製を行った。分析的HPLCによって、画分の純度を分析した。好適な純度を有する生成物含有画分をプールし、脱塩の前にロータリーエバポレータにおいて濃縮した。試料を、サイズ排除クロマトグラフィーによって脱塩し、凍結乾燥した。等モル量のセンス鎖及びアンチセンス鎖を、1×PBS緩衝液中でアニールして、対応するsiRNA二本鎖を調製した。
小規模(0.2〜1μmol)の場合、96ウェルフォーマットでMerMade 192合成装置で合成を行った。完全2’−修飾配列(2’−フルオロ及び/又は2’−O−メチル又はその組合せ)の場合、オリゴヌクレオチドを、室温で30〜60分間にわたってメチルアミンを用いて脱保護し、続いて、60℃で30分間又は室温で30〜60分間にわたって3:1(v/v)のエタノール及び濃縮(28〜32%)アンモニア水溶液を用いてインキュベートし、続いて、40℃で1.5時間インキュベートした。次に、粗製のオリゴヌクレオチドを、アセトニトリル:アセトン(9:1)の溶液中で沈殿させ、遠心分離及び上清のデカントによって単離した。粗製のオリゴヌクレオチドペレットを、20mMのNaOAc緩衝液に再懸濁させ、LC−MS及びアニオン交換HPLCによって分析した。粗製のオリゴヌクレオチド配列を、5mLのHiTrap Sephadex G25カラム(GE Healthcare)上の96ディープウェルプレートにおいて脱塩した。各ウェル中、個々の配列に対応する約1.5mLの試料を採取した。これらの精製された脱塩オリゴヌクレオチドを、LC−MS及びアニオン交換クロマトグラフィーによって分析した。Tecan製ロボットにおいて等モル量のセンス及びアンチセンス配列をアニールすることによって、二本鎖を調製した。二本鎖の濃度を、1×PBS緩衝液中10μMに調整した。
インビボ分析のためのGalNAcコンジュゲートオリゴヌクレオチドの合成
3’末端でGalNAcリガンドとコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドを、オリゴヌクレオチド合成のための4,4’−ジメトキシトリチル(DMT)保護第一級ヒドロキシ基を有するY字型のリンカー及びテザーを介して結合されたGalNAcリガンドが予め充填された固体担体を用いて、0.2〜500μmolの規模で合成した。
5〜500μmolの規模のGalNAcコンジュゲートの合成の場合、RNAのための上記の合成プロトコルの後、以下の適応を行った:ポリスチレンベースの合成担体の場合、トルエン中5%のジクロロ酢酸を、合成中、DMT切断に使用した。担体からの切断及び脱保護を、上述したように行った。ホスホロチオエートに富んだ配列(通常、5つを超えるホスホロチオエート)を、最終的な5’−DMT基を除去せずに合成し(「DMT−on」)、上記の切断及び脱保護の後、水中50mMの酢酸アンモニウム(緩衝液A)及び80%のアセトニトリル中の50mMの酢酸アンモニウム(緩衝液B)を用いて逆相HPLCによって精製した。分析的HPLC及び/又はLC−MSによって、画分の純度を分析した。好適な純度を有する生成物含有画分をプールし、ロータリーエバポレータにおいて濃縮した。DMT基を、水中20%〜25%の酢酸を用いて、完了するまで除去した。試料をサイズ排除クロマトグラフィーによって脱塩し、凍結乾燥した。等モル量のセンス鎖及びアンチセンス鎖を、1×PBS緩衝液中でアニールして、対応するsiRNA二本鎖を調製した。
複数のホスホロチオエート結合を有する配列を含む、GalNAcコンジュゲート(0.2〜1μmol)の小規模合成の場合、MerMadeプラットフォームにおけるRNA又は完全2’−F/2’−OMe−含有配列の合成のための上記のプロトコルを適用した。GalNAc官能化制御多孔性ガラス(controlled pore glass)担体を含む予め充填されたカラムにおいて合成を行った。
実施例2.インビトロスクリーニング
細胞培養及びトランスフェクション
Hep3B細胞(ATCC,Manassas,VA)を、10%のFBS、ストレプトマイシン、及びグルタミン(ATCC)が補充されたイーグル最小必須培地(Eagle’s Minimum Essential Medium)(ATCC)中、5%のCO2の雰囲気下、37℃でほぼコンフルエンスまで増殖させた後、トリプシン処理によりプレートから解放した。細胞を洗浄し、0.25×106個の細胞/mlで再懸濁させた。トランスフェクションの際、細胞を、ウェル当たり約20,000個の細胞を含む96ウェルプレート上に平板培養した。
初代マウス肝細胞(PMH)を、トランスフェクションの1時間未満前にC57BL/6雌マウス(Charles River Labortories International,Inc.Willmington,MA)から新たに単離し、初代肝細胞培地中で増殖させた。細胞を、InVitroGRO CP Rat(平板培養)培地(Celsis In Vitro Technologies,カタログ番号S01494)中で、0.11×106個の細胞/mlで再懸濁させた。トランスフェクションの際、細胞を、ウェル当たり10,000個の細胞のBD BioCoat 96ウェルコラーゲンプレート(BD、356407)上に平板培養し、5%のCO2の雰囲気中、37℃でインキュベートした。
凍結保存された初代カニクイザル(Cynomolgus)肝細胞(Celsis In Vitro Technologies,M003055−P)を、使用の直前に37℃の水浴で解凍し、InVitroGRO CP(平板培養)培地(Celsis In Vitro Technologies、カタログ番号Z99029)中で、0.26×106個の細胞/mlで再懸濁させた。トランスフェクションの際、細胞を、ウェル当たり25,000個の細胞のBD BioCoat96ウェルコラーゲンプレート(BD、356407)上に平板培養し、5%のCO2の雰囲気中、37℃でインキュベートした。
Hep3B、PMH、及び初代カニクイザル(Cynomolgus)肝細胞の場合、ウェル当たり14.8μlのOpti−MEM及び0.2μlのLipofectamine RNAiMax(Invitrogen,Carlsbad CA.カタログ番号13778−150)を、96ウェルプレート中の個々のウェルへの5μlの各siRNA二本鎖に加えることによって、トランスフェクションを行った。次に、混合物を、室温で20分間インキュベートした。次に、適切な細胞数を含む、抗生物質なしの80μlの完全増殖培地を、siRNA混合物に加えた。RNA精製の前に、細胞を24時間インキュベートした。
単回用量実験を、GalNAc修飾配列については10nM及び0.1nMの最終二本鎖濃度で、又は全ての他の配列については1nM及び0.01nMの最終二本鎖濃度で行った。用量反応実験を、初代マウス肝細胞については3、1、0.3、0.1、0.037、0.0123、0.00412、及び0.00137nMの最終二本鎖濃度で行い、Hep3B細胞については3、1、0.3、0.1、0.037、0.0123、0.00412、0.00137、0.00046、0.00015、0.00005、及び0.000017nMの最終二本鎖濃度で行った。
自由取り込みトランスフェクション
ウェル当たり10μlの、PBS中のsiRNA二本鎖を96ウェルプレート中に加えることによって、自由取り込み実験を行った。次に、細胞型に適切な細胞数を含む90μlの完全増殖培地をsiRNAに加えた。RNA精製の前に、細胞を24時間インキュベートした。500nM及び5nMの最終二本鎖濃度で単回用量実験を行い、1000、333、111、37、12.3、4.12、1.37、0.46nMの最終二本鎖濃度で用量反応実験を行った。
DYNABEADS mRNA単離キット(Invitrogen,part #:610−12)を用いた総RNA単離
細胞を採取し、150μlの溶解/結合緩衝液中に溶解させた後、エッペンドルフサーモミキサー(Eppendorf Thermomixer)を用いて、850rpmで5分間混合した(混合速度は、プロセス全体を通して同一であった)。10マイクロリットルの磁気ビーズ及び80μlの溶解/結合緩衝液混合物を丸底プレートに加え、1分間混合した。磁気スタンドを用いて磁気ビーズを捕捉し、ビーズを乱すことなく上清を除去した。上清の除去後、溶解した細胞を残りのビーズに加え、5分間混合した。上清の除去後、磁気ビーズを150μlの洗浄緩衝液Aで2回洗浄し、1分間混合した。ビーズを再度捕捉し、上清を除去した。次に、ビーズを150μlの洗浄緩衝液Bで洗浄し、捕捉し、上清を除去した。次に、ビーズを150μlの溶出緩衝液で洗浄し、捕捉し、上清を除去した。最後に、ビーズを2分間乾燥させた。乾燥後、50μlの溶出緩衝液を加え、70℃で5分間混合した。ビーズを磁石上で5分間捕捉した。45μlの上清を除去し、別の96ウェルプレートに加えた。
ABI高容量cDNA逆転写キット(Applied Biosystems,Foster City,CA,Cat #4368813)を用いたcDNA合成
反応当たり2μlの10倍緩衝液、0.8μlの25倍dNTP、2μlのランダムプライマー、1μlの逆転写酵素、1μlのRNアーゼ阻害剤及び3.2μlのH2Oのマスターミックスを調製した。等体積のマスターミックス及びRNAを、インビトロスクリーニング試料のために12μl又はインビボスクリーニング試料のために20μlの最終体積になるように混合した。Bio−Rad C−1000又はS−1000サーモサイクラー(Hercules,CA)を用いて、以下の工程によってcDNAを生成した:25℃で10分間、37℃で120分間、85℃で5秒間、及び4℃で保持。
リアルタイムPCR
2μlのcDNAを、384ウェルプレート(Roche カタログ番号04887301001)中、ウェル当たり、2μlのH2O、0.5μlのGAPDH TaqManプローブ(Hep3B細胞についてはLife Technologiesカタログ番号4326317E、初代マウス肝細胞についてはカタログ番号352339E又はカニクイザル(cynomolgus)初代肝細胞についてはカスタムプローブ)、0.5μlのC5 TaqManプローブ(Hep3B細胞についてはLife Technologiesカタログ番号Hs00156197_m1又は初代マウス肝細胞についてはmm00439275_m1又はカニクイザル(cynomolgus)初代肝細胞についてはカスタムプローブ)及び5μlのLightcycler 480プローブマスターミックス(Rocheカタログ番号04887301001)を含有するマスターミックスに加えた。リアルタイムPCRを、ΔΔCt(RQ)アッセイを用いて、Roche LC480 Real Time PCRシステム(Roche)において行った。インビトロスクリーニングの場合、特に断りのない限り、各二本鎖を、2回の生物学的反復(biological replicate)で試験し、各リアルタイムPCRを、2回の技術的反復(duplicate technical replicate)で行った。インビボスクリーニングの場合、各二本鎖を、1回又は複数回の実験(群当たり3匹のマウス)で試験し、各リアルタイムPCRを、二回の技術的反復で行った。
C5 mRNAレベルの相対的な倍加変化を計算するために、ΔΔCt方法を用いてリアルタイムデータを分析し、10nMのAD−1955でトランスフェクトした細胞、又は疑似トランスフェクト細胞を用いて行ったアッセイに対して正規化した。XLFitを用いて4パラメータ適合モデルを用いてIC50を計算し、AD−1955でトランスフェクトした細胞に対して、同じ用量範囲にわたって正規化し、又はそれ自体の最低用量に対して正規化した。
AD−1955のセンス及びアンチセンス配列は以下のとおりである:
センス:cuuAcGcuGAGuAcuucGAdTsdT(配列番号13);
アンチセンス:UCGAAGuACUcAGCGuAAGdTsdT(配列番号14).
表7は、示されるGalNACコンジュゲート修飾iRNAでトランスフェクトしたHep3B細胞における単回用量スクリーンの結果を示す。データが、非処理の細胞に対して残るメッセージのパーセントとして表される。
表8は、示されるGalNACコンジュゲート修飾iRNAでトランスフェクトした初代マウス肝細胞における単回用量トランスフェクションスクリーンの結果を示す。データが、非処理の細胞に対して残るメッセージのパーセントとして表される。
表9は、示されるGalNACコンジュゲート修飾iRNAによる、初代カニクイザル(Cynomolgus)肝細胞における単回用量自由取り込みスクリーンの結果を示す。データが、非処理の細胞に対して残るメッセージのパーセントとして表される。
表10は、示されるGalNACコンジュゲート修飾iRNAによる、初代マウス肝細胞における単回用量自由取り込みスクリーンの結果を示す。データが、非処理の細胞に対して残るメッセージのパーセントとして表される。
表11は、示されるGalNACコンジュゲート修飾iRNAによる、初代カニクイザル(Cynomolgus)肝細胞における自由取り込みスクリーンの用量反応を示す。示されるIC50値が、非処理の細胞に対するIC50値を表す。
表12は、示されるGalNACコンジュゲート修飾iRNAによる、初代マウス肝細胞における自由取り込みスクリーンの用量反応を示す。示されるIC50値が、非処理の細胞に対するIC50値を表す。
表13は、示される修飾及び非修飾iRNAでトランスフェクトしたHep3B細胞における単回用量スクリーンの結果を示す。データが、非処理の細胞に対して残るメッセージのパーセントとして表される。0.01nMの用量が、単回の生物学的トランスフェクションであり、1nMの用量が、二重の生物学的トランスフェクションであった。
表14は、示される修飾及び非修飾iRNAでトランスフェクトした初代マウス肝細胞における単回用量スクリーンの結果を示す。データが、非処理の細胞に対して残るメッセージのパーセントとして表される。
表15は、示される修飾及び非修飾iRNAでトランスフェクトしたHep3B細胞における用量反応を示す。示されるIC50値が、非処理の細胞に対するIC50値を表す。
表16は、示される修飾及び非修飾iRNAでトランスフェクトした初代マウス肝細胞における用量反応を示す。示されるIC50値が、非処理の細胞に対するIC50値を表す。
実施例3.インビボスクリーニング
7つのGalNACコンジュゲートiRNAのサブセットを、更なるインビボ評価のために選択した。
C57BL/6マウス(群当たりN=3)に、10mg/kgのGalNAcコンジュゲート二本鎖又は等体積の1×ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)(Life Technologies,Cat# 14040133)を皮下注射した。48時間後、マウスを安楽死させ、肝臓を解剖し、液体窒素中で急速冷凍した。肝臓を、2000 Geno/Grinder(SPEX SamplePrep,Metuchen,NJ)において粉砕した。試料当たり約10mgの肝臓粉末をRNA単離に使用した。試料を、まず、TissueLyserII(Qiagen Inc,Valencia,CA)において均質化し、次に、RNAを、真空/回転技術を用いて、製造業者のプロトコルにしたがって、RNeasy 96 Universal Tissue Kit(Qiagen Inc,Cat#74881)を用いて抽出した。RNA濃度を、NanoDrop 8000(Thermo Scientific,Wilmington,DE)によって測定し、100ng/μlに調整した。cDNA及びRT−PCRを、上述したように行った。
単回用量スクリーンの結果が、図2に示される。表17は、示されるGalNACコンジュゲート修飾iRNAによるインビボ単回用量スクリーンの結果を示す。データが、DPBSで処置されたマウスに対して残るmRNAのパーセントとして表される。「実験」の縦列は、平均を計算する実験の数を列挙している。分析される全ての実験にわたって群中の全てのマウスからの標準偏差を計算する。
最も有効なGalNACコンジュゲートiRNAのうちの2つを、更なるホスホロチオエート結合を含むように更に修飾し(表18)、これらの二本鎖の有効性を、上述したようにインビボで決定した。単回用量スクリーンの結果が、図3に示され、更なるホスホロチオエート結合を有するiRNA剤が、ホスホロチオエート結合を有さないか又はより少ないホスホロチオエート結合を有するiRNA剤より有効であることを示す。
上記のiRNA剤のサイレンシング能力に対する更なるホスホロチオエート結合の影響を考えて、ホスホロチオエート結合を含む更なるGalNACコンジュゲートiRNA二本鎖の有効性(表19)を、上述したようにインビボで決定した。この単回用量スクリーンの結果が、図4に示される。
インビボでのAD−58642のサイレンシングの持続時間を、ラットに単回の2.5mg/kg、10mg/kg、又は25mg/kgの用量を投与し、7日目に存在するC5タンパク質の量(図5B)及び4及び7日目に存在するC5タンパク質の活性(図5A)を決定することによって決定した。図5に示されるように、25mg/kgの用量で及び4日目までにC5タンパク質の活性の50%の低下があり、7日目に、C5タンパク質の活性の70%を超える低下がある。
C5タンパク質の量を、全血清のウエスタンブロット分析によって決定した。C5タンパク質の活性を、溶血アッセイによって決定した。簡潔には、ヒトC5欠失ヒト血清の一定の希釈物を、マウス血清と混合し、抗体被覆羊赤血球とともに1時間インキュベートした。ヘモグロビン吸光度を測定し、基準曲線(マウス血清の希釈系列を用いて調製される)と比較した溶血%を計算した。
また、インビボでのAD−58642の有効性を、1.25mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、及び25mg/kgのAD−58642の単回の皮下注射の後に、マウスにおいてアッセイした。5日目に、C5 mRNAを、qPCRを用いて肝臓試料においてアッセイし、C5活性を、溶血についてアッセイし、C5タンパク質の量を、全血清のウエスタンブロット分析によって決定した。
図6A及び6Bに示されるように、10mg/kgの用量と比較して25mg/kgの用量でC5 mRNAを阻害するAD−58642の有効性のわずかな改善(即ち、約5%)があるに過ぎないが、25mg/kgの用量で平均85%のサイレンシングがある。更に、約2.5mg/kgのIC50を有する用量反応効果がある。
図7A及び7B及び8は、AD−58642が、C5タンパク質の量(図8)及びC5タンパク質活性(図7A及び7B)を減少させるのに有効であることを示す。
また、インビボでのAD−58641のサイレンシングの持続時間を、単回の0.625mg/kg、1.25mg/kg、2.5mg/kg、5.0mg/kg、又は10mg/kgの用量のAD−58641を、C57Bl/6(n=3)マウスに皮下投与し、ELISAによって5及び9日目にこれらの動物中に存在するC5タンパク質の量を決定することによって決定した。簡潔には、血清を、0日目(前採血)、5日目、及び9日目に採取し、C5タンパク質のレベルを、ELISAによって定量化した。C5タンパク質レベルを、0日目の前採血レベルに対して正規化した。図9に示されるように、結果は、C5血清タンパク質の用量依存的な強力で持続的なノックダウンがあることを示す。(単回用量ED50は、0.6mg/kgであった)。
また、化合物AD−58641を、複数回投与プロトコルを用いて、C57Bl/6マウスにおける有効性について試験した。マウスに、0、1、2、及び3日目に、0.625mg/kg、1.25mg/kg、又は2.5mg/kgの用量の化合物AD−58641を皮下投与した。図10に示されるように、血清を、0及び8日目に採取し、ELISAによってC5タンパク質レベルを分析した。C5レベルを、0日目の前採血レベルに対して正規化した。図10は、AD−58641の複数回投与により、2.5mg/kgの用量でのC5タンパク質の90%を超えるサイレンシングを含め、試験される全ての用量でC5タンパク質のサイレンシングが達成されることを示す。
化合物AD−58641を、反復投与プロトコルを用いて、ラットにおける化合物の有効性について、及び累積効果を評価するために更に試験した。野生型のスプラグドーリーラットに、3週間にわたって週に2回(q2w×3)、2.5mg/kg/投与又は5.0mg/kg/投与の化合物AD−58641を皮下注射した。血清を、0、4、7、11、14、18、25、及び32日目に採取した。血清の溶血活性を、溶血アッセイを用いて定量化し、ここで、ラット血清の1:150の希釈物を、1時間にわたってGVB++緩衝液中の感作羊赤血球とともにインキュベートし、ヘモグロビン放出を、415nmにおける吸光度を測定することによって定量化した(図11Aを参照)。また、試料中に存在するC5タンパク質の量を、ELISAによって決定した(図11B)。結果は、約90%の溶血活性阻害を達成する、溶血活性の用量依存的な強力で持続的な低下を示す。
実施例4:更なるsiRNAの設計、合成、及びインビトロスクリーニング
siRNA設計
センス鎖及びアンチセンス鎖の両方について、C5二本鎖、19ヌクレオチド長を、GenBank登録番号NM_001735.2に記載されるヒトC5 mRNA配列を用いて設計した。実質的に5480ヌクレオチド転写物全体にわたる、7ヌクレオチドより長い反復を含まない569の二本鎖を最初に同定した。次に、全ての569の二本鎖を、各二本鎖位置におけるヌクレオチド対、並びにスクリーニングに使用される用量及び細胞株を評価する線形モデルにしたがって、予測される有効性について採点した。また、二本鎖を、特注の力まかせアルゴリズムを用いて、ヒトRefSeq collectionにおける全ての転写物に対してマッチングさせ、C5以外の転写物に対する(鎖当たりの)ミスマッチの最低数を採点した。次に、合成され、スクリーニングされる二本鎖を、以下のスキームにしたがって、569から選択した:転写物の5’末端から開始して、二本鎖が、
1)最も高い予測有効性を有し、
2)SERPINC1以外の全ての転写物に対する両方の鎖における少なくとも1つのミスマッチを有し、
3)他の二本鎖組の一部として既に合成及びスクリーニングされていない
全ての10±2ヌクレオチドの「ウインドウ」内で選択される。
全ての基準を満たす二本鎖が、所与のウインドウ内で同定されない場合、そのウインドウを飛ばした。
569 C5センス鎖及びアンチセンス鎖配列の詳細なリストが、表20に示される。
表20に列挙されるセンス及びアンチセンス配列を含む二本鎖のインビボ有効性を、以下の方法を用いて決定する。
細胞培養及びトランスフェクション
HepG2細胞(ATCC,Manassas,VA)を、10%のFBS、ストレプトマイシン、及びグルタミン(ATCC)が補充されたイーグル最小必須培地(ATCC)中、5%のCO2の雰囲気下、37℃でほぼコンフルエンスまで増殖させた後、トリプシン処理によりプレートから解放する。ウェル当たり14.8μlのOpti−MEM及び0.2μのLipofectamine RNAiMax(Invitrogen,Carlsbad CA.cat # 13778−150)を、96ウェルプレート中の個々のウェルへの5μlの164 siRNA二本鎖のそれぞれに加えることによって、トランスフェクションを行う。次に、混合物を、室温で15分間インキュベートする。次に、約2.5×104個のHepG2細胞を含む、抗生物質なしの80μlの完全増殖培地を、siRNA混合物に加える。RNA精製の前に、細胞を24時間インキュベートする。実験は、20nMで行われ、未感作細胞及び陰性対照としてルシフェラーゼを標的とするsiRNAであるAD−1955でトランスフェクトした細胞を含んでいた。
DYNABEADS mRNA単離キット(Invitrogen,part #:610−12)を用いた全RNA単離
細胞を採取し、150μlの溶解/結合緩衝液に溶解させ、次に、プラットフォームシェーカーにおいて700rpm(混合速度は、プロセス全体にわたって同じであった)で5分間混合する。10マイクロリットルの電磁ビーズ及び80μlの溶解/結合緩衝液混合物を、丸底プレートに加え、1分間混合する。電磁ビーズを、磁気スタンドを用いて捕捉し、上清を、ビーズを乱さずに除去する。上清を除去した後、溶解された細胞を、残りのビーズに加え、5分間混合する。上清を除去した後、電磁ビーズを、150μlの洗浄緩衝液Aで2回洗浄し、1分間混合する。ビーズを再度捕捉し、上清を除去する。次に、ビーズを、150μlの洗浄緩衝液Bで洗浄し、捕捉し、上清を除去する。次に、ビーズを、150μlの溶出緩衝液で洗浄し、捕捉し、上清を除去する。ビーズを2分間乾燥させる。乾燥後、50μlの出緩衝液を加え、70℃で5分間混合する。ビーズを、5分間にわたって磁石に捕捉する。単離されたRNAを含有する50μlの上清を除去し、別の96ウェルプレートに加える。
ABI高容量cDNA逆転写キット(Applied Biosystems,Foster City,CA,Cat #4368813)を用いたcDNA合成
反応当たり2μlの10倍緩衝液、0.8μlの25倍dNTP、2μlのランダムプライマー、1μlの逆転写酵素、1μlのRNアーゼ及び3.2μlのH2Oのマスターミックスを、10μlの全RNAに加える。Bio−Rad C−1000又はS−1000サーモサイクラー(Hercules,CA)を用いて、以下の工程によってcDNAを生成する:25℃で10分間、37℃で120分間、85℃で5秒間、及び4℃で保持。
リアルタイムPCR
2μlのcDNAを、384ウェルプレート(Roche cat # 04887301001)中、ウェル当たり、0.5μlのヒトGAPDH TaqManプローブ(Applied Biosystems Cat #4326317E)、0.5μlのヒトSERPINC1 TaqManプローブ(Applied Biosystems cat # Hs00892758_m1)及び5μlのLightcycler 480プローブマスターミックス(Roche Cat #04887301001)を含有するマスターミックスに加える。リアルタイムPCRを、LC480 Real Time PCR機械(Roche)において行う。
相対的な倍加変化を計算するために、ΔΔCt方法を用いてリアルタイムデータを分析し、20nMのAD−1955でトランスフェクトした細胞を用いて行ったアッセイに対して正規化した。
実施例5:インビボC5サイレンシング
3匹の雌カニクイザル(cynomolgus macaque)の群を、肩甲骨及び背中の中央部分の皮下において、2.5mg/kg又は5mg/kgの用量のC5−siRNA AD−58641又はビヒクル対照で処理した。2回の投与を、3日ごとに与えられる各回中8回の投与で行った。血清C5を採取し、示される時点(図13)でC5検出に特異的なELISAアッセイ(Abcam)を用いて評価した。C5レベルを、3つの投与前試料の平均に対して正規化した。投与前、及び23日目(第1回の処理において最後の用量を投与した24時間後)に採取された試料を、完全な血清化学、血液学及び凝固パネルによって分析した。
前処理血清C5タンパク質レベルに対する血清C5タンパク質レベルの分析は、5mg/kgのAD−58641投与計画が、血清C5タンパク質レベルを最大で98%低下させたことを示した(図12)。平均血清C5レベルが、最低で97%減少され、これは、血中C5の大部分が肝臓由来であることを示す。AD−58641の皮下投与による血清C5タンパク質レベルの強力な、用量依存的な持続的なノックダウンがあった。血液学、血清化学又は凝固パラメータの変化が、第1回の投与の24時間後に確認されなかった。
また、古典経路活性を測定するために、感作羊赤血球アッセイを用いて血清の溶血活性を分析した。溶血パーセントを、対照試料における最大溶血及びバックグラウンド溶血に対して計算した。3匹の動物の平均の溶血値±SEMを計算し、分析した(図13)。溶血が、最低で92%の平均阻害で、5mg/kgの投与計画において最大で94%減少した。溶血の減少は、最後の投与の後、2週間超にわたって維持された。
実施例6:更なるsiRNAのインビトロスクリーニング
表20に示されるC5センス鎖及びアンチセンス鎖配列を、3’末端において、デオキシ−チミンヌクレオチド(dT)の短配列で修飾した(表21)。表21に列挙されるセンス及びアンチセンス配列を含む二本鎖のインビトロ有効性を、以下の方法を用いて決定した。
細胞培養及びトランスフェクション
Hep3B細胞(ATCC,Manassas,VA)を、10%のFBSが補充されたEMEM(ATCC)中、5%のCO2の雰囲気下、37℃でほぼコンフルエンスまで増殖させた後、トリプシン処理によりプレートから解放した。ウェル当たり5μlのOpti−MEM及び0.1μlのLipofectamine RNAiMax(Invitrogen,Carlsbad CA.cat # 13778−150)を、384ウェルプレート中のウェル当たり5μlのsiRNAの二本鎖に加えることによって、トランスフェクションを行い、室温で15分間インキュベートした。次に、約5×103個のHep3B細胞を含む40μlの完全増殖培地を、siRNA混合物に加えた。RNA精製の前に、細胞を24時間インキュベートした。10nMの最終二本鎖濃度で実験を行った。
DYNABEADS mRNA単離キット(Invitrogen,part #:610−12)を用いた全RNA単離
RNAの単離を、Biotek EL 405洗浄装置の半自動プロセスを用いて行った。簡潔には、細胞を、2ulのDynabeadsを含む75μlの溶解/結合緩衝液に溶解させ、次に、電磁振とう機(Union Scientific)の設定7で10分間混合した。電磁ビーズを、磁気スタンドを用いて捕捉し、上清を除去した。上清を除去した後、電磁ビーズを、90μlの洗浄緩衝液A、続いて、90μlの洗浄緩衝液Bで洗浄した。次に、ビーズを、100ulの溶出緩衝液で2回洗浄し、次に、それを吸引したところ、cDNAが、384ウェルプレートにおけるビーズ結合RNA上で直接生成された。
ABI高容量cDNA逆転写キット(Applied Biosystems,Foster City,CA,Cat #4368813)を用いたcDNA合成
反応当たり2μlの10倍緩衝液、0.8μlの25倍dNTPs、2μlのランダムプライマー、1μlの逆転写酵素、1μlのRNアーゼ阻害剤及び3.2μlのH2Oのマスターミックスを、RNA単離に使用される384ウェルプレートにおけるビーズ結合RNAに直接加えた。次に、プレートを、電磁振とう機において10分間振とうし、次に、2時間にわたって37℃のインキュベータ中に入れた。このインキュベーションの後、プレートを、7分間にわたって80℃のインキュベータ中に入れて、酵素を失活させ、ビーズからRNA/cDNAを溶出した。
リアルタイムPCR
2μlのcDNAを、384ウェルプレート(Roche cat # 04887301001)中、ウェル当たり、0.5μlのGAPDH TaqManプローブ(Applied Biosystems Cat #4326317E)、0.5μlのC5 TaqManプローブ(Applied Biosystems cat # Hs00156197_M1)及び5μlのLightcycler 480プローブマスターミックス(Roche Cat #04887301001)を含有するマスターミックスに加えた。リアルタイムPCRを、Roche LC480 Real Time PCRシステム(Roche)において行った。各二本鎖を、少なくとも2つの独立したトランスフェクションにおいて試験し、各トランスフェクションを2回アッセイした。
相対的な倍加変化を計算するために、ΔΔCt方法を用いてリアルタイムデータを分析し、10nMのAD−1955でトランスフェクトした細胞、又は模擬トランスフェクト細胞を用いて行ったアッセイに対して正規化した。
表22は、示されるdT修飾iRNAでトランスフェクトしたHep3B細胞における単回用量スクリーンの結果を示す。データが、非処理の細胞に対して残るメッセージのパーセントとして表される。
実施例7:更なるsiRNAのインビトロスクリーニング
AD−58643の配列に基づいて、更なる4つのセンス及び3つのアンチセンス配列を合成し、12の、21/25量体化合物を調製するのに使用した(表23)。一般に、これらの化合物のアンチセンス鎖を、dTdTを用いて伸長し、二本鎖は、より少ないフルオロ−修飾ヌクレオチドを有していた。
C57BL/6マウス(群当たりN=3)に、1mg/kgのこれらのGalNAcコンジュゲート二本鎖を皮下注射し、血清を、0日間(前採血)、及び5日目に採取し、C5タンパク質のレベルを、ELISAによって定量化した。C5タンパク質レベルを、0日目の前採血レベルに対して正規化した。
図14は、示されるiRNAによるインビボ単回用量スクリーンの結果を示す。データが、前採血レベルに対して残るC5タンパク質のパーセントとして表される。親化合物と比較して向上した有効性を有するiRNAは、AD−62510、AD−62643、AD−62645、AD−62646、AD−62650、及びAD−62651を含んでいた。これらのiRNAはまた、同様の有効性(約23〜59pMのIC50)を示した。
また、これらのiRNAの有効性を、単回投与プロトコルを用いて、C57Bl/6マウスにおいて試験した。マウスに、0.25mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、又は2.5mg/kgの用量で、AD−62510、AD−62643、AD−62645、AD−62646、AD−62650、及びAD−62651を皮下投与した。血清を、0及び5日目に採取し、ELISAによってC5タンパク質レベルについて分析した。C5レベルを、0日目の前採血レベルに対して正規化した。
図15は、試験されるiRNAの全てによる用量反応があること、及びこれらのiRNAの全ての単回投与により、AD−58641と同様又はそれより良好なC5タンパク質のサイレンシングが達成されたことを示す。
インビボでのAD−62510、AD−62643、AD−62645、AD−62646、AD−62650、及びAD−62651のサイレンシングの持続時間を、単回の10mg/kgの用量を、C57Bl/6マウスに投与し、ELISAによって6、13、20、27、及び34日目に存在するC5タンパク質の量を決定することによって決定した。C5レベルを、0日目の前採血レベルに対して正規化した。
図16に示されるように、試験されるiRNAのそれぞれが、アッセイの誤差の範囲内ではあるが、最良のサイレンシングを達成する傾向があるAD−62643と同じ回復動態を有する。
AD−62510、AD−62643、AD−62645、AD−62646、AD−62650、及びAD−62651を、反復投与プロトコルを用いて、ラットにおけるiRNAの有効性について、及び累積効果を評価するために更に試験した。野生型のスプラグドーリーラットに、0、4、及び7日目に5.0mg/kg/投与のiRNAのそれぞれを皮下注射した。血清を、0、4、7、11、14、18、25、28、及び32日目に採取した。血清の溶血活性を、上述したように定量化した。
図17に示される結果は、試験されるiRNAの全てが、溶血活性の強力で持続的な低下及びAD−58641処理で見られるのと同様の溶血の回復を有することを示す。
実施例8:非ヒト霊長類における持続的なC5タンパク質ノックダウン
AD−62643を、長期処置後のC5タンパク質の血清中レベルを低下させるその能力について試験した。カニクイザル(群当たりN=3)に、2つの投与計画を用いて、皮下注射によってAD−62643を投与した。第1の投与計画(2週間に1回(Q2W))において、AD−62643を、5mg/kgの用量で8週間にわたって週1回投与し、その後、5mg/kgの用量で2週間に1回投与した(5mg/kg、週1回(qw)×8、その後2週間に1回(q2w))。第2の投与計画(月1回(QM))において、AD−62643を、5日間にわたって5mg/kgの用量で毎日投与し、続いて、5mg/kgの用量で8週間にわたって週1回投与し、その後、10mg/kgの用量で月1回投与した(5mg/kg、1日1回(qd)×5、週1回(qw)×8/その後10mg/kgを月1回(qm))。C5タンパク質のレベルを、ELISAによって定量化し、C5タンパク質レベルを、0日目の前採血レベルに対して正規化した。古典経路活性を測定するために、感作ヒツジ赤血球アッセイを用いて血清溶血活性を分析した。溶血パーセントを、最大溶血及び対照試料におけるバックグラウンド溶血に対して計算した。代替補体経路(CAP)活性も測定した。
図19Aは、2つの試験される投与計画について、前採血レベルに対する平均%血清C5レベルを示す。図19Bは、試験される各個々の動物について、前採血レベルに対する%血清C5レベルを示す。データは、両方の投与計画が、低い動物間の変動で、血清C5の、平均して最大で約99%(98.2±0.8%)のノックダウンを達成し、維持することができることを実証している。
図20Aは、月1回(QM)投与計画での、対照に対する%溶血及び%CAP活性を示し、図20Bは、2週間に1回(Q2W)投与計画での、対照に対する%溶血及び%CAP活性を示す。図20Cは、C5ノックダウンのレベルとの、溶血及びCAP活性の相関を示す。データは、補体活性の古典及び代替経路の両方の強固な阻害を実証しており;具体的には、C5ノックダウンが、補体血清溶血活性の80%超(最大で96.2%)の低下及びCAP活性の90%超(最大で96.9%)の低下に関連している。
実施例9:関節炎のマウスモデルにおけるC5サイレンシング及び臨床疾患活動性
AD−61679を、血清C5レベルを低下させ、臨床疾患活動性を阻害するその能力について、抗C5抗体と比較して、抗コラーゲン抗体誘導性関節炎(CAIA)のマウスモデルにおいて試験した。CAIAマウスに、AD−61679(5mg/kg、N=7)、対照siRNA(10mg/kg、N=6)、抗C5抗体(50mg/kg、N=7)及びPBS(N=7)を投与した。AD−61679及びsiRNA対照を、3回投与した一方(5日毎−−5、0、5日目);抗C5抗体を、0日目に1回投与した。C5タンパク質の血清中レベルを、ELISAを用いて測定し、それが図21に示される。臨床疾患活動性(CDA)を、0日目から開始して10日間隔の日毎に採点し、結果が、図22に示される。関節炎症、パンヌス、及び軟骨及び骨損傷を、ヘマトキシリン及びエオジン(H&E)及びトルイジンブルー組織学的染色の採点によって測定した(図23A)。また、C3堆積を、抗C3抗体を用いて、免疫組織化学によって測定した(図23B)。
図21に示されるように、10日の処理期間にわたるC5レベルの上方制御が、PBS、及び対照siRNA及び抗C5抗体で処理されたマウスにおいて観察される一方、血漿C5タンパク質の強固なノックダウンが、AD−61679で処理された動物において観察される。3日目に注入された、LPSによるC5ノックダウンの調節は観察されない。循環している肝臓由来C5が、CAIAマウスにおける病変の重要な要素であるようであり、局所的に産生されるC5は、ほとんど又は全く役割を果たさない。図22A及び22B中のデータは、AD−61679による処理が、抗C5抗体による処理と同様に、関節の組織構造を保ち、例えば、炎症、軟骨損傷、骨損傷及びパンヌスを防ぎ、滑膜及び軟骨におけるC3堆積を防ぐことを実証している。
実施例10:膜性腎症のラットモデルにおけるC5タンパク質ノックダウンの影響
AD−61679を、タンパク尿を減少させるその能力について、受動型Neymann腎炎のラットモデルにおいて試験した。腎炎を、0日目及び1日目に、ヒツジ抗ラット腎臓分画抗血清(抗Fx1A)の注入によって誘導した。対照ラットに、AD−61679なし又は抗Fx1A処理を受けさせた。抗Fx1Aの注入の前に、ラットに、−10日目、−7日目及び−3日目にAD−61679を投与した。AD−61679を、0、1及び4日目にも投与した。対照ラット、並びに抗Fx1a単独で又は抗Fx1a及びAD−61679で処理されたラットにおける血清溶血活性を測定し、それが図23Aに示される。尿を、2及び5日目に収集し、その日における尿タンパク質のレベルを測定し、それが図23Bに示される。データは、AD−61679が、受動型Neymann腎炎のラットモデルにおいて血清溶血活性及びタンパク尿を減少させるのに効率的であることを示す。
実施例11:AD−62643のフェーズI/II−パートA臨床試験
フェーズI/II、無作為化二重盲検、プラセボを対照とした、単回投与、用量漸増試験を、後述されるように皮下投与されるAD−62643の安全性、忍容性、薬物動態及び薬力学を評価するために、健常な被験者(n=20)において行った。
4人の対象をそれぞれ含む5つのコホートが、この試験に参加した。1つのコホートに、単回の50mgの用量のAD−62643を皮下投与し;第2のコホートに、単回の200mgの用量のAD−62643を皮下投与し;第3のコホートに、単回の400mgの用量のAD−62643を皮下投与し;第4のコホートに、単回の600mgの用量のAD−62643を皮下投与し;第5のコホートに、単回の900mgの用量のAD−62643を皮下投与した。AD−62643の200mg/mlの溶液を、投与に使用した。試験に参加している対象の人口構成及び基本特性が、表24に示される。
注射部位反応、重篤な有害事象、又は試験中断はなく、かつバイタルサイン、身体検査、臨床検査(血液学、生化学、凝固、及び尿検査)、又はECGの臨床的に有意な変化はなかった。
ベースラインに対する平均C5ノックダウンとして示される、単回固定用量50mg、200mg、400mg、600、及び900mgのコホートにおけるC5レベルのノックダウンが、図24に示される。ベースラインに対する最大C5ノックダウンは、99%であり、平均最大C5ノックダウンは、98±0.9%(平均±SEM)であった。96±1.0%(平均±SEM)の平均C5ノックダウンが、900mgのコホートにおいて98日目に観察され;97±1.1%(平均±SEM)の平均C5ノックダウンが、600mgのコホートにおいて98日目に観察され;94±1.1%(平均±SEM)の平均C5ノックダウンが、600mgのコホートにおいて182日目に観察された。
代替補体経路(CAP)活性として及び古典補体経路(CCP)活性として測定される、補体活性を阻害するための単回の50mg、200mg、400mg、600、及び900mgの用量のAD−62643の投与の効果を、活性C5b−9形成の量を決定することによって評価した。CCP及びCAP活性化は、ELISAに基づくアッセイであり、ここで、血清試料中の補体が、プレートに存在する経路に特異的な活性化因子によって活性化され、膜侵襲複合体(MAC)(C5b−9)の形成が、抗体に基づく検出を用いて検出される。
図25に示されるように、ベースラインに対する最大CAP阻害は、最大で95%であり、阻害の平均最大は、93±1.3%(平均±SEM)であった。図26は、ベースラインに対する最大CCP阻害が、最大で97%であり、阻害の平均最大が、96±0.7%(平均±SEM)であったことを示す。
血清溶血活性によって測定した際の、補体活性を阻害するための単回の50mg、200mg、400mg、600、及び900mgの用量のAD−62643の投与の効果を、CCP活性化を測定するための感作ヒツジ赤血球アッセイを用いて評価した。図27に示されるように、ベースラインに対する最大血清溶血阻害は、最大で79%であり、平均最大溶血阻害は、74±4.2%(平均±SEM)であった。
ヒト及び非ヒト霊長類におけるC5ノックダウンの相関分析も行った。相関分析は、ヒトにおける50mgの用量が、NHPにおける1mg/kgの用量に相当し、ヒトにおける400mgの用量が、NHPにおける5mg/kgの用量に相当すると仮定した。単回の50mg又は400mgのAD−62643を皮下投与されたヒト及び単回の1mg/kg又は5mg/kgのAD−62643を皮下投与されたNHPにおけるC5レベルのノックダウンが、図28Bに示され、NHPに対するヒトにおけるC5ノックダウンの相関を示すグラフが、図28Aに示される。この分析は、ヒト及びNHPにおけるC5ノックダウン間に統計的に有意な相関があること(r=0.83及びp<0.0001)、及びNHPと比較してヒトにおけるC5ノックダウンに対するdsRNAi剤の3〜5倍増加した有効性があることを実証した。
図29及び表25は、C5レベルのノックダウンに加えて、AD−62643がまた、上述されるように活性C5b−9形成の量によって評価される古典補体経路(CCP)活性として測定される補体活性を阻害することを示す。
血清溶血活性によって測定される補体活性を、上述される古典経路活性を測定するために、感作ヒツジ赤血球アッセイを用いて分析した。溶血パーセントを、最大溶血及び対照試料におけるバックグラウンド溶血に対して計算した。
図30Aは、AD−62643を単回皮下投与された対象における対照に対する%溶血を示し、図30Bは、AD−62643を単回皮下投与されたNHPにおける%溶血を示す。これらのデータは、AD−62643の単回皮下投与でヒトにおける血清溶血活性の最大で61%の阻害及び43±9.1%の平均最大阻害があることを実証している。更に、図30A及び30B中のデータの比較は、単回用量のAD−62643を投与されたヒト及びNHPにおいて同等の溶血阻害があることを実証している。
このフェーズI/II臨床試験の結果の概要が、表26に示される。
要約すれば、これらのデータは、単回用量のAD−62643で、血清C5の強固な、用量依存的な、統計的に有意な、かつ持続的なノックダウンがあることを実証している。単回の固定用量後に98±9%(平均±SEM)の平均最大ノックダウンとともに最大で99%のC5ノックダウンがあり、これは、持続的であり、数ヶ月間続いた。更に、単回用量のAD−62643は、補体活性としての補体活性の臨床的に重要な低下をもたらした。更に、これらのデータは、NHP試験からの優れた変換があったことを実証し、これは、ヒトにおける3〜5倍増加した有効性を示唆している。
実施例12:AD−62643のフェーズI/II−パートB臨床試験
フェーズI/II、無作為化二重盲検、プラセボを対照とした、複数回投与、用量漸増試験を、後述されるように皮下投与されるAD−62643の安全性、忍容性、薬物動態及び薬力学を評価するために、健常な被験者(n=24)において行った。
4人の対象をそれぞれ含む6つのコホートが、この試験に参加した。1つのコホートに、5週間にわたって週1回、100mgの用量のAD−62643(週1回(q1W)×5)を皮下投与し;第2のコホートに、5週間にわたって週1回、200mgの用量のAD−62643(週1回(q1W)×5)を皮下投与し;第3のコホートに、5週間にわたって週1回、400mgの用量のAD−62643(週1回(q1W)×5)を皮下投与し;第4のコホートに、7週間にわたって2週間に1回、600mgの用量のAD−62643(2週間に1回(q2W)×7)を投与し;第5のコホートに、5週間にわたって週1回、200mgの用量のAD−62643、続いて、4週間にわたって2週間に1回、200mgの用量のAD−62643(週1回(qW)×5、2週間に1回(q2w)×4)を投与し;第6のコホートに、5週間にわたって週1回、200mgの用量のAD−62643、続いて、2ヶ月間にわたって月1回、200mgの用量のAD−62643(週1回(qW)×5、月1回(qM)×2)を投与した。AD−62643の200mg/mlの溶液を、投与に使用した。試験に参加している対象の人口構成及び基本特性が、表27に示される。
注射部位反応、重篤な有害事象、又は試験中断はなく、かつバイタルサイン、身体検査、臨床検査(血液学、生化学、凝固、及び尿検査)、又はECGの臨床的に有意な変化はなかった。
ベースラインに対する平均C5ノックダウンとして示される、6つのコホートにおけるC5レベルのノックダウンが、図31に示される。ベースラインに対する最大C5ノックダウンは、99%であり、平均最大C5ノックダウンは、99±0.2%(平均±SEM)であった。99±0.2%(平均±SEM)の平均C5ノックダウンが、600mgの2週間に1回(q2w)×7コホートにおいて112日目に観察された。
代替補体経路(CAP)活性として及び古典補体経路(CCP)活性として測定される、補体活性を阻害するためのAD−62643の複数回用量の投与の効果も、上述されるように、活性C5b−9形成の量を決定することによって評価した。
図32に示されるように、ベースラインに対する最大CAP阻害は、最大で99.5%であり、阻害の平均最大は、97±1.5%(平均±SEM)であった。図33は、ベースラインに対する最大CCP阻害が、最大で99.4%であり、阻害の平均最大が、97.3±1.0%(平均±SEM)であったことを示す。第2〜第6のコホート(200mgを週1回(qW)×5及びそれ以上)におけるCAP及びCAP活性の阻害の観察されたレベルは、C5のホモ接合体欠失を有する対象において観察されるCAP及びCCP活性の阻害のレベルと同等であった(Seelen,et al.(2005)J Immunol Methods 296:187−198)。
CCP活性化(上述される)を測定するために感作ヒツジ赤血球アッセイを用いて血清溶血活性によって測定した際に、補体活性を阻害するためのAD−62643の複数回の週1回用量の投与の効果も評価した。図34に示されるように、ベースラインに対する最大血清溶血阻害は、最大で98%であり、平均最大溶血阻害は、86±1.5%(平均±SEM)であった。
このフェーズI/II臨床試験の結果の概要が、表28に示される。
複数回用量のAD−62643を投与された健常なヒト被験者の血清中の残留C5レベル及びエクリズマブを投与されたaHUS対象における遊離C5のレベルの間接的な比較を行った。遊離C5を、有効な電気化学発光免疫測定法を用いて測定し、残留C5を、有効な液体クロマトグラフィー−質量分析法(LCMS)アッセイを用いて測定した。この分析の結果は、AD−62643の複数回投与で達成される残留C5レベルが、エクリズマブを投与された患者における遊離C5のレベルと同等であることを実証し;エクリズマブの投与後の遊離C5の最大パーセント阻害は、93.5%(図35A)であり、AD−62643の投与後の、ベースラインに対する残留C5の最大パーセント阻害は、100%(図35B)であり、平均最大阻害は、100%±0.2%(平均±SEM)であった。
要約すれば、これらのデータは、AD−62643の複数回用量の皮下投与で、血清C5の強固な、用量依存的な、統計的に有意な、かつ持続的なノックダウンがあることを実証している。AD−62643の5回の週1回投与の後、99±0.2%の平均最大ノックダウンとともに、最大で99%のC5ノックダウンがあり、これは、持続的であり、数ヶ月間続いた。更に、非常に少ない対象間の変動が観察された。
更に、複数回用量のAD−62643は、補体活性の臨床的に重要な低下をもたらした。残留C5の観察された底値は、0.6マイクログラム(mcg)/mL程度であり、AD−62643の5回の週1回投与の後、補体活性(CAP及びCCP活性)は、最大で99.5%だけ低下し、平均最大阻害は、CAPについて97±1.5%及びCCPについて99±0.2%であった。86±1.5%の平均最大阻害とともに、血清溶血活性の最大で98%の低下も、AD−62643の5回の週1回投与の後、観察された。
実施例13:AD−62643のフェーズI/II−パートC臨床試験
AD−62643のフェーズI/II臨床試験のパートCは、皮下投与されるAD−62643及びPNHの処理についての肝臓C5ノックダウンの予備評価であった。AD−62643を、エクリズマブ未投与PNH患者(n=3)への単独療法として、又はエクリズマブに対する不十分な反応を有する患者を含む、エクリズマブで処理されているPNH患者(n=3)への併用療法として投与した。
試験に参加している対象の人口構成及び基本特性が、表29に示される。
3人の対象をそれぞれ含む2つのコホートが、この試験に参加した。第1のコホートは、エクリズマブ未投与対象を含んでいた。第1のコホートにおける2人の対象に、12週間にわたって週1回、200mgの用量のAD−62643(週1回(q1W)×12)、続いて、3週間にわたって週1回、400mgの用量(週1回(q1W)×3)を皮下投与した。第1のコホートにおける第3の対象に、7週間にわたって週1回、400mgの用量(週1回(qW)×7)を皮下投与した。AD−62643投与が完了した後、第1のコホートにおける全ての対象に、残留溶血のために単回の600mgの用量のエクリズマブを投与した。
第2のコホートは、隔週で900mgのエクリズマブを投与されている2人の対象(バックグラウンドエクリズマブ対象)及び隔週で1200mgのエクリズマブを投与されている1人の対象(エクリズマブに対する効果不十分患者)を含んでいた。900mgのエクリズマブにおける第1の対象に、3週間にわたって週1回、400mgの用量のAD−62643(週1回(q1W)×3)を皮下投与し;900mgのエクリズマブにおける第2の対象に、2週間にわたって週1回、400mgの用量のAD−62643(週1回(q1W)×2)を皮下投与し;1200mgのエクリズマブにおける第3の対象に、11週間にわたって週1回、200mgの用量のAD−62643(週1回(q1W)×11)を皮下投与した。各患者のための投与スケジュールが、以下の表30に要約されている。
重篤な有害事象又は有害事象による試験中断はなかった。6人全ての患者が、少なくとも1つの有害事象を報告し、報告された有害事象の大部分は、軽度ないし中等度の重症度であった。バイタルサイン、EKG、身体検査又は臨床検査(血液学、生化学、凝固、及び尿検査)の他の臨床的に有意な変化は観察されなかった。
C5レベルのノックダウンを、エクリズマブ未投与対象において測定し、データが、ベースラインに対する平均C5ノックダウンとして図36Aに示される。これらの対象において、ベースラインに対する最大C5ノックダウンは、最大で98.7%であり、平均最大C5ノックダウンは、98.2±0.3%(平均±SEM)であり、最小残留C5レベルは、0.9mcg/mLであった。
C5レベルのノックダウンは、エクリズマブを投与されている対象においても測定され、データが、ベースラインに対する平均C5ノックダウンとして図36Bに示される。これらの対象において、ベースラインに対する最大C5ノックダウンは、最大で97.8%であり、平均最大C5ノックダウンは、86.7±5.6%(平均±SEM)であり、最小残留C5レベルは、7.9mcg/mLであった。興味深いことに、エクリズマブを投与されている対象における総C5の開始レベルは、エクリズマブ未投与患者におけるレベルより著しく高く、これは、エクリズマブによる処理が、増加した総C5レベルをもたらし得ることを示唆している。
古典補体経路(CCP)活性及び代替補体経路(CAP)活性として測定される、補体活性に対するAD−62643投与の効果も、上述されるように、活性C5b−9形成の量を決定することによって評価した。エクリズマブ未投与対象についての結果が、図37Aに示される。これらの対象において、ベースラインに対する最大CCP阻害は、最大で96.7%であり、阻害の平均最大は、94.2±1.7%(平均±SEM)であった。同様の結果が、代替経路アッセイ(CAP C5b−9 ELISA)で観察された。エクリズマブを投与されている対象についての結果が、図37Bに示される。これらの対象において、残留補体活性が、21日以降2%未満であると測定された。
感作ヒツジ赤血球アッセイ(上述される)を用いて血清溶血活性によって測定した際の、補体活性に対するAD−62643投与の効果も評価した。エクリズマブ未投与対象についての結果が、図38Aに示される。これらの対象において、ベースラインに対する最大血清溶血阻害は、最大で81.5%であり、平均最大溶血阻害は、75.6±4.5%(平均±SEM)であった。バックグラウンドエクリズマブ対象についての結果が、図38Bに示される。これらの対象において、残留ヒツジ赤血球(sRBC)溶血は、21日以降3%未満であった。
AD−62643による対象の処理の間、LDHレベルはまた、全ての患者において監視された。図39は、エクリズマブ未投与患者において測定されるLDHのレベルを示す。これらの患者において、ベースラインに対する、37%及び50%の最大LDHの低下が、それぞれ患者0082及び0081において観察されたが、LDHレベルは、ULNの1.5倍超のままであった。ベースラインにおいてより低いLDHを有し、AD−62643のわずか8回の投与を受けた患者0061において、LDHの低下は観察されなかった。LDHレベルはまた、単回の600mgの用量のエクリズマブの投与後のエクリズマブ未投与対象において監視された。3人全ての対象において、LDH<1.5ULNの低下が観察され、4週間になるまで維持された。単回用量のエクリズマブの投与後のLDHレベルについてのデータが、以下の表31に示される。
LDHレベルはまた、エクリズマブを投与されている対象において測定された。2人のバックグラウンドエクリズマブ対象(患者0063及び0064)において、ベースラインにおける正常なLDHが、AD−62643による処理の間、維持された。エクリズマブ効果不十分患者(患者0083)において、0日目のLDHは、966IU/Lであったが、この患者には、隔週で1200mgの上に指示された用量でエクリズマブを投与した。AD−62643によるこの対象の処理は、35日目まで、参照範囲内への、LDHレベルの低下をもたらした。56日目に、エクリズマブ用量は、指示された用量の、隔週で900mgに減少された。図40に示されるデータから明らかであるように、LDH制御は、エクリズマブ効果不十分患者において11日目まで維持された。
図41に示されるのは、AD−62643による処理の間、エクリズマブを投与されている1人の対象におけるエクリズマブの血漿濃度である。図41中の結果は、1人の対象において、AD−62643によるC5レベルの血清ノックダウンが、レベルを通してエクリズマブ投与前の3倍超の増加をもたらすことを実証している。
フェーズI/II臨床試験のパートCの結果は、AD−62643が、忍容性良好であり、最も有害な事象が、軽度ないし中等度の重症度であることを示す。エクリズマブ未投与対象において、AD−62643は、C5レベルの強固なノックダウン、補体活性の阻害及びLDHの適度な低下を達成したが、ULNの1.5倍超のレベルであった。これらの患者において、LDHレベルの正常化が、AD−62643による処理の後、単回の600mgの用量のエクリズマブで4週間にわたって達成され、これは、エクリズマブ誘導レベル用量の25%を表す。したがって、実験データは、この処理がAD−62643投与と組み合わされる場合、エクリズマブ投与の用量及び頻度の減少を裏付ける。
エクリズマブを投与されている対象において、AD−62643による処理はまた、C5レベルの強固なノックダウン及び補体活性の阻害を達成した。エクリズマブ効果不十分患者において、AD−62643は、LDHレベルをULNの1.5倍未満に正常化し、ヘモグロビンレベルを向上させ、レベルを通してより高いエクリズマブ血漿濃度を達成することによって、臨床活性の予備的証拠を実証した。これは、隔週で投与される1200mg〜900mgの初期のエクリズマブ用量の低下を可能にした。
実施例14:フェーズI/II−AD−62643のパートC臨床試験の延長
実施例13に記載される試験においてAD−62643の投与の完了後、調査者は、エクリズマブ投与の用量及び頻度を減少させるための可能性を検討するために、エクリズマブ未投与PNH患者において、現行のAD−62643薬理学の状況における(すなわち、AD−62643の更なる投与なしでの)エクリズマブ処理を開始した(本明細書において「Ecu用量減量試験」と呼ばれる)。更に、調査者は、エクリズマブを以前に投与された患者における投与の頻度の減少を開始した。
試験のこのパートに参加している患者は、実施例13において上述される患者であり、3人のエクリズマブ未投与患者、2人のバックグラウンドエクリズマブ患者、及び1人のエクリズマブ効果不十分対象(本明細書においてバックグラウンドエクリズマブ対象とも呼ばれる)を含んでいた。実施例13に記載されるAD−62643の複数回投与試験の開始時のこれらの患者についての人口構成及びバックグラウンド特性が、上記の表29に要約され、各対象についての実施例13に記載されるAD−62643の複数回投与試験のための投与スケジュールが、上記の表30に要約されている。AD−62643の最後の投与とEcu用量減量試験の開始との間の時間は、対象間で変動し、数週間から数ヶ月の範囲であった。具体的には、3人のエクリズマブ未投与対象では、最後のAD−62643投与とecu用量減量試験の開始との間に28、28、又は7日間あった。3人のバックグラウンドエクリズマブ対象では、最後のエクリズマブ投与とecu用量減量試験の開始との間に63、70又は70日間あった。この間隔中に、バックグラウンドエクリズマブ患者に、エクリズマブの月1回投与が開始されるecu用量減量試験の開始まで、2週間に1回(q2W)900mgのエクリズマブが投与された。
図42に示されるように、Ecu用量減量試験において、Ecu未投与患者に、4週間に1回、単回の600mgの用量のエクリズマブを投与し(Ecu 600mgを4週間に1回(q4W))、バックグラウンドエクリズマブ患者を、4週間に1回、単回の900mgの用量のエクリズマブ(Ecu 900mgを4週間に1回(q4W))の用量減量エクリズマブ投与計画に移行させた。エクリズマブのこれらの用量、4週間に1回、600mg又は900mgは、それぞれエクリズマブのレベル維持用量の33%又は50%を表す。患者を、試験280日目まで2週間毎に追跡し、LDH、PD及びEcu PKを含む安全性及び実験パラメータについて監視した。図42はまた、患者、Ecu用量減量試験の開始前に受けたAD−62643投与の回数、及びEcu用量減量試験の開始時のC5ノックダウンの%を要約している。
重篤な有害事象又は有害事象による試験中断はなかった。6人全ての患者が、少なくとも1つの有害事象を報告し、報告された有害事象の大部分は、軽度ないし中等度の重症度であった。バイタルサイン、EKG、身体検査又は臨床検査(血液学、生化学、凝固、及び尿検査)の他の臨床的に有意な変化は観察されなかった。
LDHレベルを、対象において測定し、図43に示されるように、4週間に1回(q4W)、単回の600mgの用量のエクリズマブを投与されているEcu未投与患者は、ULNの約1.5倍以下のLDHレベルを達成し、維持した。図43はまた、4週間に1回(q4W)、単回の900mgの用量のエクリズマブを投与されているバックグラウンドエクリズマブ患者が、ULNの約1.5倍以下のLDHレベルを維持したことを実証している。更に、過去の不十分なエクリズマブ著効を有するバックグラウンドエクリズマブ患者において、LDH正常化は、一般に、4週間に1回(q4W)、900mgの用量のエクリズマブで維持された。
古典補体経路(CCP)活性として測定される、補体活性に対するEcu用量減量の効果も、上述されるように、活性C5b−9形成の量を決定することによって評価した。図44Aにおいて実証されるように、Ecu用量減量試験の開始から84日目におけるCCPレベルは、600mgを4週間に1回(q4W)の患者について0.3±0.3%であり、900mgを4週間に1回(q4W)の患者について、CCPレベルは、0.4±0.2%であった。同様の結果が、代替経路アッセイ(CAP C5b−9 ELISA)で観察された。
感作ヒツジ赤血球アッセイ(上述される)を用いて血清溶血活性によって測定した際の、補体活性に対するEcu用量減量の効果も評価した。図44Bに示されるように、Ecu用量減量の開始から84日目における残留ヒツジ赤血球(sRBC)溶血は、600mgを4週間に1回(q4W)の患者について0%であり、900mgを4週間に1回(q4W)の患者について0.4±0.4%であった。
図45に示されるのは、Ecu用量減量試験に参加している患者におけるエクリズマブの血漿濃度であり、これは、レベルを通したエクリズマブが、600mg又は900mgのエクリズマブの月1回投与で維持されることを実証している。
要約すれば、試験は、エクリズマブEcu未投与患者において、LDHレベルの正常化が、4週間に1回(q4W)、600mgのエクリズマブの投与で、最大で6ヶ月間にわたって、達成され、維持されたことを実証している。この用量のエクリズマブは、エクリズマブレベル維持用量の67%の減少を表す。バックグラウンドエクリズマブ患者において、LDHレベルの維持が、4週間に1回(q4W)、900mgのエクリズマブの投与で、5ヶ月間にわたって達成された。この用量のエクリズマブは、エクリズマブレベル維持用量の50%の減少を表す。2週間に1回(q2W)、1200mgのエクリズマブにおける以前の不十分な著効を有するバックグラウンドエクリズマブ患者において、LDH正常化が、4週間に1回(q4W)、900mgで維持された。したがって、この試験は、未投与及びバックグラウンドエクリズマブ患者におけるエクリズマブの用量及び頻度を減少させ、エクリズマブ不十分著効者における疾病管理を向上させるための治療パラダイムの一環として、PNHに罹患している患者に対するAD−62643処理の有効性を実証している。