本発明はとりわけ、(i)皮内、皮下または筋肉内に初回免疫としてとして適用される、1つ以上のウイルス関連抗原または癌関連抗原(または両方)を発現する樹状細胞標的レンチウイルスベクター粒子(LV)、(ii)抗原なしで、所望により繰り返し、腫瘍内または腫瘍周辺に単独で、または別の治療薬と組み合わせて適用される、合成TLR4アゴニストグルコピラノシルリピドA(GLA)(他の治療薬は、腫瘍内、腫瘍周辺のいずれかで、または別の経路で、GLAと組み合わせて投与される;例えば、免疫チェックポイント阻害または共刺激抗体、オートファジー阻害剤、放射線治療等)を含む、ウイルス誘発性癌等の癌の一体化免疫療法を提供する。
本発明は、ウイルス誘発性癌、例えばメルケル細胞癌(メルケルポリオーマウイルス;大型T抗原)、頭頸癌(HPV;E6及びE7抗原)、子宮頚癌(HPV;E6及びE7抗原)、肝癌(肝炎B−大型、中型及び小型S抗原;C型肝炎ウイルス)、鼻咽頭癌(EBV;EB核抗原1(EBNA1)、潜在的膜タンパク質−1及び−2(LMP−1)、LMP−2)、カポジ肉腫(HHV8)、並びにグリア芽腫(ヒトサイトメガロウイルス、pp65、IE1、us28)を含む任意の癌環境に使用することができる。
理論に束縛されるものではないが、1つもしくは複数のウイルス性抗原、または1つもしくは複数の腫瘍抗原を発現する、ウイルスベクターを含む発現ベクターを、TLR4アゴニスト、例えば本明細書で記載するGLAの腫瘍内適用と組み合わせて、新規用途(プライム/プル)において使用することにより、腫瘍内または周辺でcxcl9及びcxcl10を含むサイトカインの局所産生が行われ、このことは、全身または局所で誘発された腫瘍特異的細胞障害性T細胞を、癌の部位に向ける。再び、理論に束縛されるものではないが、このメカニズム、及びGLA等のTLR4アゴニストの免疫刺激効果(例えば、TLR4受容体刺激による、樹状細胞による抗原提示の向上及び樹状細胞の成熟)を通して、ウイルス誘発性癌を含む癌の免疫療法の効果は、著しく向上する。
全身レンチベクタープライムを使用してCD8 T細胞を誘発した後、Toll様受容体リガンドを腫瘍内投与して治療効果を高める、プライム−プルの最初の報告は、2013年にXiaoらにより出版された(J.Immunotherapy,2013 June 1;190(11):5866−5873)。これらの実験では、VSV偽型レンチベクターを免疫付与に用い、Toll様受容体アゴニスト3(ポリI:C)及び9(CpG)を腫瘍内投与(i.t.)した。発明者らは治療効果を観察したが、本開示とは異なり、TLR3/9リガンドの腫瘍内投与は、レンチウイルスベクターのみの免疫付与と比較して、CD8及びCD4 TILの絶対数を低下させた(Xiaoらを参照、図2A)。このことは、TLR3/9リガンドの注射による抗腫瘍効果の向上は、CD8及びCD4 TILの数の増加によるものではなかったことを示している。したがって、当業者は、本研究に鑑みて、T細胞を腫瘍部位に動員するためにTLRアゴニストを腫瘍内または局所投与するに至らなかった。
一態様では、ウイルス誘発性癌(膀胱癌、メルケル細胞癌、カポジ肉腫 バーキットリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、移植後リンパ増殖性疾患、鼻咽頭癌、子宮頚癌、頭頸癌、肝細胞癌、成人T細胞白血病/リンパ腫を含むがこれらに限定されない)に対する既存の治療法の満たされていないニーズを解決するために、本開示は、腫瘍にリダイレクトされる特異的抗ウイルスCD8 T細胞応答を誘発する及び/または向上させるための組成物及び方法を提供する。この目的で、例えば組み換え発現ベクター(例えば、本明細書に記載した、特異的ウイルス性抗原を発現する樹状細胞標的レンチベクター)、もしくは幾つかの実施形態では、癌関連腫瘍抗原、または両方(即ち「免疫原」)、による免疫付与、その後、本明細書に記載したTLR4アゴニストのグルコピラノシルリピドA(GLA)等のTLRアゴニストによる、局所投与(例えば腫瘍内、リンパ節内、粘膜または膀胱内治療)。これは、ウイルス性抗原特異的CD8 T細胞の誘発、及びこれらのリダイレクション、または腫瘍への動員もしくはホーミングをもたらし、現在の免疫療法に優る治療効果をもたらす。これに関し、また理論に束縛されるものではないが、本明細書で記載したもの(例えばHPV−E6/E7)等の、腫瘍関連ウイルス性抗原は外来抗原であるため、内因性腫瘍関連抗原よりも免疫原性が高く、免疫療法の効果を増加させる。
ある種の実施形態において、(例えば膀胱癌に対する)局所投与は所望により、本明細書に記載したBCGを含んでよく、ある種の実施形態において、抗原特異的CD8 T細胞応答は、膀胱の粘膜にリダイレクトされる。
したがって、本開示は、一実施形態において、「プライム−プル」免疫付与を提供し、ここでは、CD8 T細胞応答を誘発するために、例えば、特異的免疫原(例えば1つ以上の腫瘍関連抗原;ウイルスが癌に関連する発癌性ウイルスである1つ以上のウイルス性抗原)を発現する、組み換え発現ベクターを含む最初の「プライム」、またはある種の実施形態においては「プライム/ブースト」組成物に続いて、CD8 T細胞を腫瘍に動員するための、GLA等のTLR4アゴニストを含む「プル」組成物が続く。上記の通り、腫瘍関連ウイルス性抗原は内因性腫瘍関連抗原よりも免疫原性が高く、免疫療法の効果を高める。しかし、ある種の実施形態において、免疫原は発癌性ウイルスに関係しない癌関連抗原であってよい。本開示の種々の実施形態に従うと、発現ベクター及びTLR4アゴニストは、本明細書に記載するように、種々の部位において、種々の経路を用いて複数回投与されてよい。プライム−プル免疫付与はまた、国際公開第2013/172927号にも記載されており、本明細書に参照として組み込まれる。
一実施形態において、本開示は一実施形態において、例えば、CD8 T細胞応答を含む免疫応答を誘発するために、膀胱癌に関連する特異的腫瘍抗体(複数可)または免疫源(複数可)を発現する組み換え発現ベクターを含む最初の「プライム」または「プライム/ブースト」組成物、及び、CD8 T細胞を含む抗原特異的T細胞を膀胱の粘膜に動員するための、BCGを含むかまたは含まないGLA等のTLR4アゴニストを含む「プル」組成物を提供する。本開示の種々の実施形態に従うと、発現ベクター及び(BCGを含むかまたは含まない)TLRアゴニストを、本明細書に記載するように、種々の部位にて、かつ種々の経路を用いて、複数回投与してよい。したがって、本開示は、膀胱で確立された癌に対する、一体化した第1選択免疫療法を提供する。
一実施形態では、本開示は、(i)1つ以上の発癌性ウイルス抗原または免疫原(例えば、癌を含む、関係するウイルスからの1つ以上の抗原)を発現する、初回免疫として皮内、皮下または筋肉内で適用される樹状細胞標的レンチベクターワクチン、(ii)追加免疫として腫瘍内で適用される同一のワクチン、(iii)単独で、または幾つかの実施形態では、維持療法として発癌性ウイルス抗原または腫瘍関連抗原と組み合わせて腫瘍内で繰り返し適用し、全身または局所的にプライミングされた細胞障害性T細胞を腫瘍に向ける合成GLAを投与すること、を含む方法を提供する。
一実施形態では、本開示は、(i)初回免疫として皮内、皮下または筋肉内で適用される、1つ以上の発癌性ウイルス抗原及び1つ以上の腫瘍関連抗原または免疫原を発現する、樹状細胞標的レンチベクター由来のワクチン、(ii)追加免疫として膀胱内で適用される同一のワクチン、(iii)維持療法として、単独または所望によりBCGと組み合わせて粘膜、腫瘍内または膀胱内で繰り返し適用され、全身または局所的にプライミングされた細胞障害性T細胞を膀胱粘膜に向ける合成GLAを投与することを含む方法を提供する。かかる方法は、ウイルス誘発性癌の治療に用いられる。ある種の実施形態において、本明細書における方法を、膀胱癌の治療に用いる。
GLAの局所投与を用いることにより、Cxcl9及びCxcl10を含むがこれらに限定されないサイトカインの、腫瘍内での局所産生をもたらし、このことが、全身または局所的に誘発されたウイルス特異的細胞障害性T細胞または腫瘍特異的細胞障害性T細胞を、ウイルス性抗原が腫瘍細胞により発現される腫瘍に向かわせる。理論に束縛されるものではないが、GLAによるTLR4受容体の刺激のメカニズムにより、ウイルス誘発性癌の免疫療法の効果が著しく向上する。
本開示の別の態様では、「プライム」免疫応答は、免疫細胞を患者内に養子移入することにより達成されてよい。これに関し、細胞は対象から単離され、ex vivoで改変し、後患者内に移入し直してもよい。好適な組成物、例えば、TLR4アゴニスト(例えばGLA)、または本明細書に記載した他のアジュバント組成物の局所投与をその後使用し、養子移入した細胞を、腫瘍または投与の局所部位に「プル」する。免疫細胞は、当業者に既知の種々の方法でex vivoで改変することができる。例えば、細胞を、種々の技術により増殖させ、抗原特異的またはポリクロナールT細胞を産生することができ(例えばRidell et al.,J.Immunol.Meth.(1990)128:189−201;Riddell et al.,Science(1992)257:238−241;US5,827,642;US6,040,177;US6,692,964;US6,352,694を参照);キメラ抗原受容体技術を使用した遺伝子組み換え(例えば米国特許第8,906,682号;同8,916,381号;同7,741,465号;同5,843,728号;同7,446,190号;同6,392,013号;WO2012/079000を参照);キメラTCR技術または他の遺伝子組み換え(例えばUS8,741,814;US20130189309)がある。ある種の実施形態において、細胞は対象以外のドナーから単離してもよいし、または他の実施形態では、細胞は好適な細胞株、もしくは対象と適合するように改変された人工細胞に由来してもよい。
したがって、本開示の別の態様は、1)対象に、ex vivoで増殖もしくは改変された腫瘍関連抗原特異的T細胞、腫瘍関連抗原を認識するように遺伝子組み換えされたCAR−T細胞、または、MHCとの関係において癌に関連するエピトープを認識する特異的キメラT細胞受容体(TCR)を発現するように遺伝子組み換えされたT細胞を含む第1組成物を投与すること、2)対象に、本明細書に記載した薬学的に好適なアジュバントを含む第2組成物を局所(例えば腫瘍内)投与して、養子移入した細胞を腫瘍にプルすることで、対象における癌を治療すること、による、対象における癌の治療方法を提供する。ある種の実施形態において、第2組成物の局所投与前に、本明細書に記載した発現ベクターを対象に投与することにより、養子移入した細胞をブーストし、養子移入(そしてその後、ブーストした)細胞を局所部位(例えば腫瘍)にプルしてよい。
癌
本明細書に記載されるプライム−プルレジメンは、種々の癌の治療に有用であり得る。一実施形態では、本明細書に記載の方法は、種々の充実性腫瘍、即ち癌、肉腫及びリンパ腫の治療に有用であり得る。ある種の実施形態において、癌は原発充実性腫瘍であり、特定の他の実施形態において、癌は転移性または二次性充実性腫瘍である。関連するある種の実施形態において、癌は、黒色腫、肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、子宮癌、乳癌、肝臓癌、胃癌、大腸癌、前立腺癌、膵臓癌、腎臓癌、膀胱癌、脳腫瘍、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、腹膜偽性粘液腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、メルケル細胞癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胎児性癌、及びウィルムス腫瘍から選択される。関係するある種の他の実施形態において、癌細胞は、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、膠腫、多形性膠芽腫、星状細胞腫、形質細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症またはその他の癌から選択される癌に由来する。したがって、本明細書記載の方法は、「プライム−プル」免疫付与の投与を含む、癌の治療及び症状の緩和方法、並びに癌の転移の阻害方法を含み、ここで、第1の「プライム」、またはある種の実施形態においては「プライム/ブースト」組成物は、例えば、特異的免疫原(例えば1つ以上の腫瘍関連抗原)を発現する組み換え発現ベクターを含み、「プル」組成物は、免疫細胞を腫瘍に動員するための、GLA等のTLRアゴニストを含む。
ある種の実施形態において、本明細書に記載されるプライム−プルレジメンは癌の治療に有用であり、この癌は、腫瘍が特に免疫原性であり、かつ、腫瘍が、非限定的に黒色腫、メルケル細胞癌(MCC)、子宮頚癌、頭頸癌、膀胱癌、肉腫及び食道癌となることが可能である。幾つかの実施形態では、免疫原性は、癌精巣抗原の変異不均質性及び/もしくは発現、並びに/またはウイルス性抗原の発現(例えば特異的抗原/ネオ抗原のワクチン接種アプローチ)に基づいて測定することができる。例えば、Chen et al.,CancerImmunol Res. 2014 May;2(5):480−6;及びLawrence et al.,2013 Nature 499:214−218を参照のこと。
特定の実施形態では、ウイルス誘発性癌は、本明細書記載の方法により治療または緩和されやすい。発癌性ウイルスにより誘発される多数の癌は、当技術分野において既知である。本明細書記載の方法により治療または緩和可能な代表的なウイルス誘発性癌としては、膀胱癌、メルケル細胞癌、カポジ肉腫、肝臓癌、バーキットリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、移植後リンパ増殖性疾患、鼻咽頭癌、子宮頚癌、頭頸癌、肝細胞癌、及び成人T細胞白血病/リンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない(例えばMesri et al.,Cell Host & Microbe 15:266−282を参照)。他の癌が、特定の既知及び未知のウイルスにより誘発されると判断され得る。発癌性ウイルスに誘発されない癌もまた、本明細書で記載されるプライム−プル法を用いて治療され得る。
膀胱癌
近年の研究は、膀胱癌は、ヒトヘルペスウイルス8としても知られているカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)、KSHVと関係していることを示唆している。特に、KSHV DNAは患者の55%で検出された(M.Paradzik et al.,Tumor Biology,2014,35(1),pp 567−572)。BCGは、サイトカインの放出、並びに好中球及びT細胞による浸潤により測定されるように、膀胱粘膜において強力な先天性反応及び炎症反応を誘発する。ヒトにおいては、BCGを膀胱内で適用することは、多数のプロ炎症性サイトカイン及びケモカイン、例えばIL−2、IL−6、IL−8、IL−12、TNF−α、IFN−γ、及びGM−CSFの誘導をもたらすことが示されている(Kitamura,H.,and Tsukamoto,T.,Cancers(3):3055−3072(2011)、及びAgarwal,A.,et al.,Immunopharmacol Immunotoxicol 32(2):384−356(2010))。マウスにおいては、4回の毎週の点滴投与後すぐに、BCGは著しく、T−ヘルパー1型(Th1)ケモカイン(Cxcl2、Cxcl9、Cxcl10、Xcl1)に対する遺伝子を上方制御し、Th1/Th2ケモカイン(RANTES、Ccl6及びCcl7)、並びにTh1極性化サイトカイン(IL−1β及びTNF−α)、並びにFc−γ−R1及びiNOSに対する遺伝子の発現を増加させた。これらの遺伝子の大部分は、6週間後に高く発現したままであった(Seow,S.W.,et al.,Immunology.2008 Jul;124(3):419−27(2008))。BCGを抗癌剤として使用する更なる開示は例えば、米国特許第5,712,123号に見出すことができ、本明細書に参照として組み込まれている。
GLAは、マウスPBMCの生体外において、強力なサイトカイン/ケモカイン応答を誘発し、これらには、TH1型T細胞(CXCL9及びCXCL10)並びに単核白血球(CCL2、CCL3)に対するケモカイン、並びにMCP−1、TNFα、IFN−c及びIP−10が挙げられる(Lambert,S.L.,et al.,PLoS One;7(12)2012))。
組み換えタンパク質と共に粘膜に適用したGLAは、局所及び全身の両方での特異的抗体反応、並びに特異的な全身の、特にTh17表現型のCD4細胞、及び幾つかのCD8細胞を誘発する(Arias,M.A.,et al.,PLoS One.2012;7(7):e41144(2012))。
腫瘍浸潤リンパ球(TIL)は、1978年には膀胱癌における独立した予後因子として確認されており、CD8 TILは筋層浸潤性癌における生残を予測することが分かっている(Mostofi,F.K.,and Sesterhenn,I.,Natl Cancer Inst Monogr;49:133−141(1978);Lopez−Beltran,a.et al.,Urol Int;44:205−209(1989);Morita,t.,et al.,Cancer Immunol Immunother;32:191−194(1990);Ikemoto,S.,et al.,Br J Urol;65:333−338(1990);Lipponen,P.K.,et al.,Eur J Cancer;29:69−75(1993);及びSharma,P.,et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.,Mar 6;104(10):3967−72(2007))。重要なことに、CD4及びCD8細胞は共に、BCGが仲立ちする抗腫瘍活性に不可欠であり、優勢なTh1免疫応答は効果的なBCG両方と関係している一方で、Th2応答は失敗と関係しているようである(Ratliff,T.L.,et al.,J Urol;150:1018−23(1993);Riemensberger,J.,et al.,Clin Exp Immunol;127:20−6(2002);Saint,f.et al.,J Urol;167:364−7(2002);de Reijke,t.M.,et al.J Urol;155:477−82(1996);Nadler,R.,et al.,.Clin Exp Immunol;131:206−16(2003),Luo,Y.,et al.,Cytokine;21:17−26(2003);及びBockholt,N.A.,et al.,J Urol;187:2228−35(2012))。樹状細胞(CD1α+、CD1)もまた、移行膀胱癌で検出されているが、これらは従来の活性化マーカーを低量でのみ発現した(Troy,A.J.,et al.,J Urol.,Jun;161(6):1962−7(1999))。
癌精巣抗原(CTA)であるNY−ESO−1、LAGE−1、MAGE−A1、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A10、CT7、CT10及びGAGEは、膀胱癌により発現されることが見出されており、少なくとも1つのCTAはサンプルの77%で発現しており、2つのCTAは腫瘍の61%で発現している(Sharma,P.,et al.,Cancer Immun.,Dec 18;3:19(2003);及びSharma,P.,et al.,Clin Cancer Res.,Sep 15;12(18):5442−7(2006))。重要なことに、腫瘍内CD8 T細胞の存在下で泌尿生殖器癌を患い、MHCクラスI抗原の発現及びNY−ESO−1の発現を有する69名の患者の調査は、進行癌を患い、CD8 TILの数が多い患者は、類似の段階の癌を患い、CD8 TILが少ない患者よりも、病気を有しない生残が良好であり(P<0.001)、全体の生残も良好であった(P=0.018)ことを示した(Sharma,P.,et al.,Clin Cancer Res.,Sep 15;12(18):5442−7(2006))。
NY−ESO−1を発現する膀胱癌を患う6名の患者のうち6名、及び6名の患者のうち1名がそれぞれ、GM−CSF及びBCGをアジュバント化した組み換えNY−ESO−1を用いる皮内免疫付与の際に、CD4及びCD8応答を開始した(Sharma,P.,et al.,J Immunother.,Nov−Dec;31(9):849−57 92008))。
マウスでは、抗原特異的CD8 T細胞を膀胱にホーミングし、腫瘍の退行をもたらす抗原特異的CD8 T細胞は、CpGをアジュバント化したペプチドを用いる、皮下及び経鼻免疫付与の両方により誘発されることができる(Domingos−Pereira,S.,et al.,J Urol.,Aug 13,5347(13)05123−9(2013))。しかす、マウスでは、皮下免疫付与した後でケモカインCXCL9及びCXCL10を生殖路の粘膜に局所適用することで、活性化CD8 T細胞の動員、及びこの解剖学的位置における、メモリーT細胞のプールの確立が得られたこともまた示されている。この種類の免疫付与について、用語「プライム−プル」は著者らにより作り出されている(Shin,H.,et al.,Nature,Nov 15;491(7424):463−7(2012))。したがって、免疫付与の経路を通したインプリンティング、及びケモカインの局所作用の両方が、活性化CD8 T細胞の膀胱粘膜への動員をもたらし得ることが示されている。
組み換え発現ベクター
一実施形態では、少なくとも1つの免疫原であって、該免疫原に対して免疫応答を誘発する免疫原をコードするポリヌクレオチド配列を含む組み換え発現ベクターを提供する。免疫原の効率的な転写及び翻訳を得るために、各ベクターでコードするポリヌクレオチド配列は、少なくとも1つの適切な発現制御配列(制御発現配列または機能(feature))(例えばプロモーター、エンハンサー、リーダー)を含まなければならず、これらは、本明細書でより詳細に説明され、コードするポリヌクレオチド配列(複数可)に作用可能に結合している。したがって、これらの組み換え発現ベクターは、組み換え発現ベクターと共に形質転換、形質導入もしくはトランスフェクションされた、または、組み換え発現ベクターを含有するベクター粒子が導入された、任意の適切な宿主細胞において、免疫原の発現を指示するため、または、少なくとも2つの免疫原の同時発現を指示するために提供される。
本明細書で記載される組み換え発現ベクターは、1つ以上の免疫原(即ち少なくとも1つの、少なくとも2つの、少なくとも3つの免疫原等)をコードしてよく、これらの免疫原は本明細書の他の場所において更に詳細に記載されている。特定の実施形態では、発癌性ウイルス(例えばEBV、HPV、HBV、HCV、HTLV、及びKSHV)からの少なくとも1つ、2つ、もしくは3つまたはそれ以上の免疫原は、組み換え発現ベクターによりコードされてよい。代表的な免疫原は発癌性ウイルス抗原であり、EBV:EBNA−1、LMP−1、LMP−2A;HPV:E6、E7、E5;HBV:HBx、大型、中型、小型S抗原;HCV:Core、NS3、Ns5A;HTLV:Tax、HBZ;KSHV:vFLIP、LANA、vGPCR、vIRF−1;メルケルポリオーマウイルス:大型T抗原;hCMV:pp65、IE1、US28が挙げられるがこれらに限定されない。別の特定の実施形態において、本明細書で記載される組み換え発現ベクターは、少なくとも1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の腫瘍関連抗原をコードすることができる。これらの腫瘍関連抗原は、本明細書で更に詳細に記載されており、例えば、膀胱癌抗原、メルケル細胞癌抗原、腎細胞癌抗原、前立腺癌抗原(例えば前立腺酸性リン酸化酵素、前立腺特異的抗原、NKX3.1及び前立腺特異的膜抗原)、中皮腫抗原、膵臓癌抗原、黒色腫抗原、乳癌抗原、結腸直腸癌抗原、肺癌抗原、卵巣癌抗原、または、本明細書で記載されており、当該技術分野における任意の癌もしくは腫瘍関連抗原からの腫瘍関連抗原であってよい。
組み換え発現ベクターを、本明細書で記載される任意の1つ以上の免疫原を発現させるために使用してよい。特定の実施形態では、組み換え発現ベクターは、所望の免疫応答(即ち、特異的体液性応答(即ちB細胞応答)及び/または特異的細胞が仲立ちする免疫応答の誘発であり、免疫原特異的CTL応答を含んでよい)を誘発する適切な細胞(例えば抗原提示細胞、即ち、樹状細胞等の細胞表面にペプチド/MHC複合体を提示する細胞)、または組織(例えばリンパ組織)に送達される。したがって、組み換え発現ベクターはまた、例えば、リンパ組織特異的転写制御因子(TRE)、例えばBリンパ球、Tリンパ球、または樹状細胞特異的TREも含んでよい。リンパ組織特異的TREは、当技術分野において既知である(例えば、Thompson et al.(1992),Mol.Cell.Biol.12,1043−1053;Todd et al.(1993),J.Exp.Med.177,1663−1674;Penix et al.(1993),J.Exp.Med.178,1483−1496を参照)。
特定の実施形態では、組み換え発現ベクターはプラスミドDNAまたはコスミドDNAである。本明細書に記載した免疫原をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含有するプラスミドDNAまたはコスミドDNAは、当該技術分野において周知の標準的な技術を用いて容易に構築される。ベクターは典型的にはプラスミド形態で構築することができ、次いで、パッケージング細胞株またはプロデューサー細胞株にトランスフェクションすることができる。プラスミドは一般に、細菌内でのプラスミドの複製に有用な配列を含む。かかるプラスミドは当該技術分野において周知である。更に、原核細胞の複製開始点を含むベクターはまた、発現が、薬剤耐性等の検出マーカーまたは選択マーカーを付与する遺伝子も含み得る。典型的な細菌薬剤耐性製品は、アンピシリンまたはテトラサイクリンへの耐性を付与するものである。正しいヌクレオチド配列がプラスミドに導入されたことを確認するための分析に関して、プラスミドを大腸菌内で複製して精製し、制限エンドヌクレアーゼ消化、及び/または従来の方法により決定したヌクレオチド配列により分析してよい。
他の特定の実施形態において、組み換え発現ベクターはウイルスベクターである。代表的な組み換え発現ウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルス随伴ウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、及びアルファウイルスベクターが挙げられる。ウイルスベクターは生きていても、弱毒化しても、複製条件的または複製不能であってもよく、通常、非病原性(欠失)で、複製能力のあるウイルスベクターである。
例として、特定の実施形態では、ウイルスベクターがワクシニアウイルスベクターを含む場合、対象の免疫原をコードするポリヌクレオチドを、ワクシニアウイルスベクターゲノムの非必須部位(non−essential site)に挿入してよい。かかる非必須部位は例えば、Perkus et al.,Virology 152:285(1986);Hruby et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:3411(1983);Weir et al.,J.Virol.46:530(1983))に記載されている。ワクシニアウイルスと共に用いるのに好適なプロモーターとしては、P7.5(例えば、Cochran et al.,J.Virol.54:30(1985)を参照);P11(例えば、Bertholet, et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:2096(1985)を参照);及びCAE−1(例えばPatel et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:9431(1988)を参照)が挙げられるが、これらに限定されない。非常に弱毒化したワクシニア株は、Lister、ヒトでの使用に一層許容され、特定のゲノム欠失を含むNYVAC(例えば、Guerra et al.,J.Virol.80:985−98(2006);Tartaglia et al.,AIDS Research and Human Retroviruses 8:1445−47(1992)を参照)、またはMVA(例えば、Gheradi et al.,J.Gen.Virol.86:2925−36(2005);Mayr et al.,Infection 3:6−14(1975)を参照)が挙げられる。Hu et al.(J.Virol.75:10300−308 (2001)、Yaba様疾患ウイルスを癌治療用ベクターとして使用することを記載);米国特許第5,698,530号及び同6,998,252号もまた参照のこと。例えば、米国特許第5,443,964号も参照のこと。また、米国特許第7,247,615号及び同7,368,116号も参照のこと。
ある種の実施形態において、アデノウイルスベクターまたはアデノウイルス随伴ウイルスベクターを、対象の免疫原を発現させるために使用してよい。幾つかのアデノウイルスベクター系、及びベクターの投与方法について説明されてきた(例えばMolin et al.,J.Virol.72:8358−61(1998);Narumi et al.,Am J.Respir.Cell Mol.Biol.19:936−41(1998);Mercier et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:6188−93(2004);米国特許第6,143,290号、同6,596,535号、同6,855,317号、同6,936,257号、同7,125,717号、同7,378,087号、同7,550,296号を参照)。
レトロウイルスベクターは、マウス白血病ウイルス(MuLV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、同種指向性レトロウイルス、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、及び組み合わせに基づくものを含んでよい(例えば、Buchscher et al.,J.Virol.66:2731−39(1992);Johann et al.,J.Virol.66:1635−40(1992);Sommerfelt et al.,Virology 176:58−59(1990);Wilson et al.,J.Virol.63:2374−78(1989);Miller et al.,J.Virol.65:2220−24(1991);Miller et al.,Mol.Cell Biol.10:4239(1990);Kolberg,NIH Res.4:43 1992;Cornetta et al.,Hum.Gene Ther.2:215(1991)を参照)。
更に特定の実施形態において、組み換え発現ベクターはウイルスベクターである。ある種の実施形態において、ウイルスベクターはレトロウイルスベクターであり、別の実施形態において、レトロウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。当業者により理解されるように、ウイルスベクター(例えばレンチウイルスベクター)とは通常、ウイルスベクターゲノムを含むウイルスベクター粒子を意味する。例えば、レンチウイルスベクター粒子はレンチウイルスベクターゲノムを含んでよい。レンチウイルスベクターに関して、ベクターゲノムは、多数の好適で利用可能な、レンチウイルスゲノム系ベクターのいずれかに由来することができ、ヒト遺伝子治療用途のために識別されたものを含む(例えば、Pfeifer et al.,Annu.Rev.Genomics Hum.Genet.2:177−211(2001)を参照)。好適なレンチウイルスベクターゲノムとしては、ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1)、HIV−2、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウマ感染性貧血ウイルス、サル免疫不全ウイルス(SIV)、及びマエディ/ビスナウイルスに基づくものが挙げられる。レンチウイルスの所望の特徴は、分化細胞及び非分化細胞の両方に感染可能であることであるが、標的細胞は分化細胞である必要はなく、分化のために刺激される必要もない。通常、ゲノム及びエンベロープ糖タンパク質は、得られるウイルスベクター粒子が偽型となるように、異なるウイルスに基づく。ウイルスベクターの安全機能が、望ましく導入される。安全機能としては、本明細書で詳細に記載しているように、自己不活性化LTR、及び組込の欠如が挙げられる。ある種の実施形態において、組込の欠如は、ベクターゲノムのエレメントにより付与され得るが、パッケージ系(例えば、ベクターゲノムの一部ではないが、トランスに供給される非官能性インテグラーゼタンパク質)のエレメントからもまた由来してよい。代表的なベクターは、パッケージングシグナル(psi)、Rev応答エレメント(RRE)、スプライスドナー、スプライスアクセプター、所望によりセントラルポリプリン帯(cPPT)、及びWPREエレメントを含有する。ある種の代表的実施形態では、ウイルスベクターゲノムは、レンチウイルスゲノム(例えばHIV−1ゲノムまたはSIVゲノム)からの配列を含む。ウイルス性ゲノム構築物は、レンチウイルスの5’及び3’LTRからの配列を含んでよく、並びに特に、レンチウイルスの5’LTRからのR及びU5配列、並びにレンチウイルスからの不活性化、または自己不活性化3’LTRを含んでよい。LTR配列は、任意の種の任意のレンチウイスからのLTR配列であってよい。例えば、これらはHIV、SIV、FIVまたはBIVからのLTR配列であってよい。通常は、LTR配列はHIV LTR配列である。
ベクターゲノムは不活性化または自己不活性化3’LTRを含んでよい(例えば、Zufferey et al.,J.Virol.72:9873,1998;Miyoshi et al.,J.Virol.72:8150,1998を参照のこと、共にそれら全体が組み込まれている)。自己不活性化ベクターは一般に3’長末端反復(LTR)からのエンハンサー及びプロモーター配列の欠失を有し、これはベクターの組込の間に5’LTR内に複製される。一例として、3’LTRのU3エレメントは、エンハンサー配列、TATAボックス、Sp1及びNFκ B部位の欠失を含有する。自己不活性化3’LTRの結果として、侵入及び逆転写の後で生成されるプロウイルスは、不活性化5’LTRを含む。原理的説明は、ベクターゲノムの可動化のリスク、及び近くの細胞プロモーターにおけるLTRの影響を低減することにより安全性を向上させることである。自己不活性化3’LTRは、当該技術分野において公知の任意の方法により構築可能である。
所望により、レンチウイルス5’LTRからのU3配列を、ウイルス性構築物中のプロモーター配列、例えば異種プロモーター配列で置き換えてよい。これは、パッケージング細胞株から回収したウイルスの力価を増大させることができる。エンハンサー配列もまた含んでよい。パッケージング細胞株内でのウイルスRNAゲノムの発現を増加させる任意のエンハンサー/プロモーターの組み合わせを使用してよい。一実施例において、CMVエンハンサー/プロモーター配列を使用する(例えば米国特許第5,385,839号及び同5,168,062号を参照)。
ある種の実施形態において、レンチウイルスベクターを組込不能に構築することにより、挿入突然変異誘発のリスクを最小限に抑える。種々のアプローチに従い、非組込ベクターゲノムを産生することができる。これらのアプローチは、pol遺伝子が不活インテグラーゼによりタンパク質をコードするように、pol遺伝子のインテグラーゼ酵素成分に突然変異(複数可)を導入することを包含する。ベクターゲノムそのものを改変して、例えば結合部位の一方もしくは両方を突然変異もしくは欠失させることにより、または欠失もしくは改変により、3’LTR近位ポリプリン帯(PPT)を非機能的にすることにより、組込を防止することができる。更に、非遺伝子的アプローチが利用可能である。これらは、インテグラーゼの1つ以上の機能を阻害する薬理学的作用物質を含む。このアプローチは相互排他的ではない。すなわち、これらの1つ以上を同時に使用することができる。例えば、インテグラーゼ及び結合部位が共に非機能的であることができ、または、インテグラーゼ及びPPT部位が非機能的であることができ、または、結合部位及びPPT部位が非機能的であることができ、またはこれら全てが非機能的であることができる。
インテグラーゼは、平滑末端のウイルス性二本鎖DNAの切断、及び、その末端の、染色体標的部位の2つの鎖にある5’ホスフェートへの結合に関与する。インテグラーゼは3つの機能的ドメイン、亜鉛結合モチーフ(HHCC)を含有するN末端ドメイン;触媒コア及び保存DD35Eモチーフ(HIV−1内のD64、D116、E152)を含有する、中央ドメインコア;及びDNA結合性能を有するC末端ドメインを有する。インテグラーゼに導入された点変異は、通常の機能を阻害するのに十分である。多くのインテグラーゼ突然変異が構築され、特性決定されている(例えば、Philpott and Thrasher,Human Gene Therapy 18:483,2007;Apolonia,Thesis submitted to University College London,April 2009,pp,82−97;Engelman et al.,J.Virol.69:2729,1995;Nightingale et al.,Mol.Therapy,13:1121,2006を参照)。インテグラーゼタンパク質をコードする配列を、好ましくは、逆転写酵素活性または核の標的化を著しく損なうことなく、欠失または突然変異させてタンパク質を不活化させることにより、標的細胞ゲノム内へのプロウイルスの組み込みのみを防止することができる。許容される突然変異は、インテグラーゼ触媒、鎖の移動、att部位への結合、宿主染色体DNAへの結合、及び他の機能を低下させることができる。例えば、HIVまたはSIVインテグラーゼの残基35において、1つのアスパラギン酸をアスパラギンに置換することにより、ウイルス性DNAの組込を完全になくす。インテグラーゼの欠失は一般に、C末端ドメインに限定される。残基235〜288のコード配列の欠失は、有用な非機能的インテグラーゼをもたらす(例えば、Engelman et al.,J.Virol.69:2729,1995を参照)。更なる例として、突然変異は作製することができ、例えば、Asp64(残基番号はHIV−1について与え、対応する、他のレンチウイルス、またはレトロウイルスからのインテグラーゼの残基番号は、当業者により容易に決定することができる)(例えばD64E、D64V)、Asp116(例えばD116N)、Asn120(例えばN120K)、Glu152、Gln148(例えばQ148A)、Lys156、Lys159、Trp235(例えばW235E)、Lys264(例えばK264R)、Lys266(例えばK266R)、Lys273(例えばK273R)である。他の突然変異を構築し、組込、導入遺伝子発現、及び他の所望のパラメーターについて試験することができる。これらの機能に関するアッセイが良く知られている。突然変異は、部位特異的突然変異誘発、及び核酸配列の化学合成を含む様々な技術のいずれかにより作製することができる。インテグラーゼで1つの突然変異を作製することができ、または2つ以上のこれらの突然変異を存在させることができる。例えば、インテグラーゼは2つのアミノ酸、3つのアミノ酸、4つのアミノ酸等にて突然変異を有してよい。
あるいは、またはインテグラーゼ変異体(複数可)の使用を組み合わせて、U3及びU5の結合部位(att)を突然変異させることもできる。インテグラーゼはこれらの部位に結合し、3’末端ジヌクレオチドが、ベクターゲノムの両端で切断される。CAジヌクレオチドは陥凹3’末端に位置する。CAはプロセシングに必要であり、ヌクレオチドの突然変異は、宿主染色体への組込をブロックする。CAジヌクレオチドのAは、組込に最も不可欠なヌクレオチドであり、ゲノムの両端で突然変異が行われることで、最良の結果が得られる(例えば、Brown et al.,J.Virol.73:9011(1999)を参照)。一実例において、各末端におけるCAがTGに変更される。別の実例において、各末端におけるCAが、一方の末端ではTGに、他方ではGTに変更される。別の実例において、各末端のCAが欠失される。別の実例において、CAのAが各末端で欠失される。
組込は、3’LTR近くに位置するポリプリン帯(PPT)の突然変異または欠失により阻害することも可能である(例えばWO2009/076524を参照)。PPTは、+鎖DNA合成におけるプライマー結合部位として機能することができる、約15ヌクレオチドのポリプリン配列である。この例においては、PPTの突然変異または欠失は、逆転写プロセスを標的とする。特定のメカニズムにとらわれるものではないが、PPTの突然変異または欠失により、直鎖DNAの作製は著しく減少し、実質的に1−LTR DNAサークルのみが作製される。組込には直鎖二本鎖DNAベクターゲノムが必要であり、組込は実質的に、このゲノム無しでは行われない。本明細書で述べるように、PPTは突然変異により、または欠失により非機能的とすることができる。通常は、約15ntのPPT全体が欠失されるが、幾つかの実施形態では、14nt、13、nt、12nt、11nt、10nt、9nt、8nt、7nt、6nt、5nt、4nt、3nt及び2ntのより短い欠失が行われる。突然変異が行われる際、通常は、特にPPTの5’ハーフにおいて複数の突然変異が行われる(例えば、McWilliams et al.,J.Virol.77:11150,2003を参照)が、最初の4つの塩基における単一及び二重突然変異も依然として、転写を低減する。PPTの3’末端で行われた突然変異は通常、より劇的な効果を有する(例えばPowell et al.,J.Virol.70:5288,1996を参照)。
ベクターゲノムを非組込型にするためのこれらの異なるアプローチは、個別に、または組み合わせて使用することができる。2つ以上のアプローチを使用して、重複するメカニズムによりフェイルセーフベクター(fail−safe vector)を構築してよい。したがって、PPT突然変異または欠失を、att部位での突然変異もしくは欠失、もしくはインテグラーゼ突然変異と組み合わせることが可能であり、または、PPT突然変異もしくは欠失は、att部位での突然変異もしくは欠失、及びインテグラーゼ突然変異の両方と組み合わせることが可能である。同様に、att部位での突然変異または欠失、及びインテグラーゼ突然変異を互いに、またはPPT突然変異もしくは欠失と組み合わせてよい。
本明細書に記載されるように、レンチウイルスベクター構築物は、哺乳類細胞内での発現のためのプロモーターを含有する。本明細書で更に詳細に論じられるプロモーターとしては、例えば、ヒトユビキチンCプロモーター(UbiC)、サイトメガロウイルス前初期プロモーター(CMV)、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターが挙げられる。U3領域は、すぐ上流にPPT(ポリプリン帯)配列を含んでよい。ある種の実施形態において、(3’末端にある)少なくとも3つの異なるU3領域のいずれか1つが、レンチウイルスベクターに含まれてよい(配列番号21〜23を参照)。構築物はU3領域に欠失を含む。SIN構築物はU3に約130ヌクレオチドの欠失を有し(例えば、Miyoshi,et al.J.Virol.72: 8150,1998;Yu et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:3194,1986を参照)、この欠失はTATAボックスが取り除かれているので、LTRプロモーター活性がなくなる。構築物703及び704における欠失は、レンチウイルスベクターからの発現を増大させる(例えば、Bayer et al.,Mol.Therapy 16:1968,2008を参照)。更に、構築物704は3’PPTの欠失を含み、この欠失はベクターの組込を低下させる(例えばWO2009/076524を参照)。米国特許出願第12/842,609号、及び国際特許出願第PCT/US10/042870号もまた参照のこと(これらそれぞれの全体が参照として組み込まれる)。
制御発現配列
本明細書に記載されるように、組み換え発現ベクターは少なくとも1つの制御発現配列を含む。ある種の実施形態において、組み換え発現ベクターがウイルスベクターゲノムを含む場合、特定の標的細胞内で少なくとも1つの免疫原が発現することが望ましい。通常、例えば、レンチウイルスベクターにおいて、免疫原をコードするポリヌクレオチド配列は、5’LTRと3’LTR配列との間に位置する。更に、コードヌクレオチド配列(複数可)は、他の遺伝子配列または調節配列または機能(feature)、例えば、特定の方法で免疫原の発現を制御する、プロモーターまたはエンハンサーを含む転写調節配列と機能的な関係で作用可能に結合しているのが好ましい。ある特定の場合において、有用な転写制御配列は、時間的活性及び空間的活性の両方が大幅に制御された配列である。コードされたポリペプチドの発現を制御するために使用され得る発現制御因子は、当技術分野において既知であり、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、分泌シグナル、エンハンサー、及び他の調節配列が挙げられるが、これらに限定されない。
免疫原、及び任意の他の発現可能配列をコードするポリヌクレオチドは通常、内部のプロモーター/エンハンサー調節配列と機能的関係にある。レンチウイルスベクター構築物に関して、「内部」プロモーター/エンハンサーは、ウイルスベクターの5’LTR配列と3’LTR配列の間に位置しており、対象のコードポリヌクレオチド配列に作用可能に結合しているものである。内部プロモーター/エンハンサーは、機能的関係にある遺伝子の発現を増大させることが知られている、任意のプロモーター、エンハンサー、またはプロモーター/エンハンサーの組み合わせであってよい。「機能的関係」及び「作用可能に結合した」とは、非限定的に、配列が、プロモーター及び/またはエンハンサーが適切な分子と接触した場合に対象の配列が発現されるように、プロモーター及び/またはエンハンサーに対して、正しい位置及び方向にあることを意味する。
内部プロモーター/エンハンサーの選択は、免疫原の所望の発現パターン、及び既知のプロモーター/エンハンサーの特定の性質に基づく。したがって、内部プロモーターは構成的に活性であってよい。使用可能な構成的プロモーターの非限定例としては、ユビキチンに対するプロモーター(例えば米国特許第5510474号;WO98/32869を参照);CMVに対するプロモーター(例えば、Thomsen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:659,1984;米国特許第5168062号を参照);βアクチンに対するプロモーター(Gunning et al.1989 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:4831−4835);及びpgkに対するプロモーター(例えば、Adra et al.1987 Gene 60:65−74;Singer−Sam et al.1984 Gene 32:409−417;並びにDobson et al.1982 Nucleic Acids Res.10:2635−2637を参照)が挙げられる。
あるいは、プロモーターは組織特異的プロモーターであってよい。幾つかの実施形態では、プロモーターは標的細胞特異的プロモーターである。例えば、プロモーターは、樹状細胞により発現される任意の生成物に由来してよく、CD11c、CD103、TLR、DC−SIGN、BDCA−3、DEC−205、DCIR2、マンノース受容体、デクチン−1、Clec9A、MHCクラスIIが挙げられる。更に、プロモーターは、免疫原の誘発性発現を可能にするように選択してよい。誘発性発現のための多数のシステムが当技術分野において既知であり、テトラサイクリン応答系、ラクトースオペレーター−リプレッサー系、及び、熱ショックを含む種々の環境的または生理学的変化に応答するプロモーター、金属イオン(例えばメタロチオネインプロモーター)、インターフェロン、低酸素、ステロイド(例えばプロゲステロンまたはグルココルチコイド受容体プロモーター)、放射線(例えばVEGFプロモーター)が挙げられる。プロモーターの組み合わせもまた使用して、免疫原をコードするポリヌクレオチド配列のそれぞれを望み通りに発現させてもよい。当業者は、対象の生命体または標的細胞におけるポリヌクレオチド配列の所望の発現パターンに基づきプロモーターを選択することが可能である。
ウイルスベクターゲノムを含む組み換え発現ベクターは、少なくとも1つのRNAポリメラーゼIIまたはIII応答性プロモーターを含んでよい。このプロモーターは対象のポリヌクレオチド配列に作用可能に結合することができ、終止配列にもまた結合可能である。更に、2つ以上のRNAポリメラーゼIIまたはIIIプロモーターを導入してよい。RNAポリメラーゼII及びIIIプロモーターは、当業者に周知である。好適な範囲のRNAポリメラーゼIIIプロモーターは、例えば、Paule and White,Nucleic Acids Res.,Vol.28,pp 1283−1298(2000)に見出すことができる。RNAポリメラーゼIIまたはIIIプロモーターはまた、RNAポリメラーゼIIまたはIIIに、下流のRNAコード配列を転写するように指令可能な、任意の合成または組み換えDNA断片も含む。更に、ウイルスベクターゲノムの一部として使用される(1つまたは複数の)RNAポリメラーゼIIまたはIII(Pol IIまたはIII)プロモーターも誘発可能である。任意の好適な誘発可能Pol IIまたはIIIプロモーターを、本明細書記載の方法と共に用いることができる。特に好適なPol IIまたはIIIプロモーターとしては、Ohkawa and Taira,Human Gene Therapy,Vol.11,pp 577−585(2000)及びMeissner et al.,Nucleic Acids Research,Vol.29,pp 1672−1682(2001)で提供されている、テトラサイクリン応答性プロモーターが挙げられる。
対象のポリヌクレオチド配列の発現を増大させるために、内部エンハンサーが、ウイルスベクターゲノムを含む組み換え発現ベクター内にも存在してよい。例えば、CMVエンハンサー(例えば、Boshart et al.,Cell 41:521,1985を参照)を使用してよい。ウイルスゲノム(例えばHIV、CMV)及び哺乳類ゲノムにおける多くのエンハンサーが同定され特性決定されている(例えばGenBank等の、一般に入手可能なデータベースを参照)。エンハンサーを異種プロモーターと組み合わせて使用することができる。当業者は、所望の発現パターンに基づいて適切なエンハンサーを選択することが可能である。
ウイルスベクターゲノムを含む組み換え発現ベクターを、特定の標的細胞を標的にして送達する場合、ベクターゲノムは通常、標的細胞により認識され、対象の配列に作用可能に結合しているプロモーター、ウイルス成分(ベクターがウイルスベクターである場合)、及び本明細書で論じる他の配列を含有する。プロモーターは、RNAポリメラーゼの結合、及び転写が行われることを可能にする核酸配列により形成される発現制御因子である。プロモーターは誘導性、構造的、時間的に活性、または組織特異的であってよい。誘導性プロモーターの活性は、生物的因子または非生物的因子の有無により誘発されてよい。作用可能に結合している遺伝子の発現が、生命体のある特定の成長段階、生命体の製造、または特定の組織においてオン・オフ可能であるため、誘導性プロモーターは、遺伝子組み換えにおいて有用なツールとなることができる。誘導性プロモーターは、化学的に制御されたプロモーター、及び物理的に制御されたプロモーターに分類することができる。典型的な化学的に制御されたプロモーターとしては、アルコール制御されたプロモーター(例えばアルコールデヒドロゲナーゼI(alcA)遺伝子プロモーター)、テトラサイクリン制御されたプロモーター(例えばテトラサイクリン応答性プロモーター)、ステロイド制御されたプロモーター(例えばラットグルココルチコイド受容体(GR)系プロモーター、ヒトエストロゲン受容体(ER)系プロモーター、ガエクジソン(moth ecdysone)受容体系レセプター、及びステロイド/レチノイド/甲状腺受容体スーパーファミリーに基づくプロモーター)、金属制御されたプロモーター(例えばメタロチオネイン遺伝子系プロモーター)、並びに病因関連プロモーター(例えばアラビドプシス及びトウモロコシ病原体関連(PR)タンパク質系プロモーター)が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な物理的に制御されたプロモーターとしては、温度制御されたプロモーター(例えば熱ショックプロモーター)、及び光制御されたプロモーター(例えばダイズSSUプロモーター)が挙げられるが、これらに限定されない。他の代表的なプロモーターは他の場所、例えば、米国特許商標庁のデータベースを検索することにより特定可能な、特許及び公開特許出願に記載されている。
当業者は、特定の状況に基づき適切なプロモーターを選択することができる。多くの異なるプロモーターが当該技術分野において周知であり、プロモーターをポリヌクレオチド配列と作用可能に結合させて発現させる方法についてもまた、同様である。ネイティブなプロモーター配列及び多くの異種プロモーターの両方を使用して、パッケージング細胞及び標的細胞における発現を指示することができる。一般的に、ネイティブなプロモーターと比較して、より多くの転写、及び所望のタンパク質のより高い収率を可能にすることから、異種プロモーターが通常使用される。
プロモーターは例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス、ウシ乳頭腫ウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、及びサルウイルス40(SV40)等の、ウイルスのゲノムから入手できる。プロモーターはまた、かかるプロモーターが標的細胞と適合性であれば、例えば、異種哺乳類プロモーター(例えば、アクチンプロモーターもしくは免疫グロブリンプロモーター、熱ショックプロモーター、または天然配列と通常関係するプロモーター)であってもよい。一実施形態では、プロモーターは、ウイルス発現系における天然のウイルス性プロモーターである。幾つかの実施形態では、プロモーターは樹状細胞特異的プロモーターである。樹状細胞特異的プロモーターは例えば、CD11cプロモーターとすることができる。
転写は、エンハンサー配列をベクター(複数可)に挿入することにより増大されてもよい。エンハンサーは典型的に、通常、長さが10〜300bpであり、転写を増大させるようにプロモーター上で作用するDNAのシス作用エレメントである。現在、哺乳類遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン、及びインスリン)、並びに真核細胞ウイルスからの、多くのエンハンサー配列が知られている。例としては、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(bp100〜270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーが含まれる。エンハンサーは抗原特異的ポリヌクレオチド配列に対して5’または3’位にてスプライシングされベクターとなってよいが、プロモーターの5’位に位置するのが好ましい。
発現ベクターはまた、転写の終結、及びmRNAの安定化に必要な配列を含有してよい。これらの配列は多くの場合、真核細胞またはウイルスDNAまたはcDNAの、5’、及び場合により3’の非翻訳領域に見出され、当該技術分野において周知である。
ウイルスベクターゲノムを含む組み換え発現構築物はまた、更なる遺伝因子を含有してよい。構築物中に含まれてよい因子の種類は、いかなる方法でも限定されず、特定の結果を得るために選択されてよい。例えば、標的細胞内の組み換え発現ベクターまたはウイルスゲノムの核内移行(nuclear entry)を容易にするシグナルを含んでよい。かかるシグナルの一例は、HIV−1フラップシグナルである。標的細胞内のプロウイルス組込部位の特質決定を容易にする、更なる調節配列が含まれてよい。例えば、tRNAアンバー抑圧遺伝子配列が構築物中に含まれてよい。例えばニワトリβ−グロビンからのインスレーター配列もまた、ウイルスゲノム構築物に含まれてよい。この因子は、メチル化効果、及びヘテロクロマチン化効果により、標的細胞内に組み込まれたプロウイルスのサイレンシングの可能性を低下させる。更に、インスレーターは、内部エンハンサー、プロモーター、及び外因性ポリヌクレオチド配列を、染色体の組込位置における、周囲のDNAからの正の、または負の位置効果から保護し得る。更に、ベクターゲノムを含む組み換え構築物は、対象の遺伝子の発現を向上させるように設計された1つ以上の遺伝因子を含有してよい。例えば、ウッドチャック肝炎ウイルス応答因子(WRE)が構築物内に配置されてよい(例えば、Zufferey et al.1999.J.Virol.74:3668−3681;Deglon et al.,2000.Hum.Gene Ther.11:179−190を参照)。
組み換え発現ベクターがウイルスベクターゲノムである場合、ウイルスベクターゲノムは通常、ウイルスベクターゲノム構築物の作製のために、パッケージング細胞株またはプロデューサー細胞株内にトランスフェクションされ得るプラスミド形態で構築される。プラスミドは一般に、細菌内でのプラスミドの複製に有用な配列を含む。かかるプラスミドは当該技術分野において周知である。更に、原核細胞の複製開始点を含むベクターはまた、発現が、薬剤耐性等の検出マーカーまたは選択マーカーを付与する遺伝子も含み得る。典型的な細菌薬剤耐性製品は、アンピシリンまたはテトラサイクリンへの耐性を付与するものである。
ある特定の構成において、組み換え発現ベクターは、樹状細胞(DC)成熟/刺激因子をコードするポリヌクレオチド配列を含有する。代表的な刺激分子としては、GM−CSF、IL−2、IL−4、IL−6、IL−7、IL−15、IL−21、IL−23、TNFα、B7.1、B7.2、4−1BB、CD40リガンド(CD40L)、薬剤誘発性CD40(iCD40)等が挙げられる。これらのポリヌクレオチドは通常、樹状細胞内においてコード配列の発現を指令する1つ以上の制御因子の制御下にある。樹状細胞の成熟は、好結果の免疫付与に寄与する(例えば、Banchereau et al.,Nat.Rev.Immunol.5:296−306(2005);Schuler et al.,Curr.Opin.Immunol.15:138−147(2003);Figdor et al.,Nat.Med.10:475−480(2004)を参照)。成熟により、DCは、抗原補足に積極的に関与する細胞から、T細胞のプライミング専用の細胞に形質転換することが可能である。例えば、CD4ヘルパーT細胞上のCD40LによるCD40との関わりは、DC成熟のための決定的なシグナルであり、CD8+ T細胞の強力な活性化をもたらす。かかる刺激分子はまた、成熟因子、または成熟刺激因子とも称される。
免疫チェックポイントは、癌において、機能的細胞免疫の活性化に対して著しい障壁を示し、また、CTLA4及びプログラム死1(PD−1)を含む、T細胞における阻害リガンドに特異的なアンタゴニスト抗体は、臨床的に評価されている標的作用物質の例である。慢性的感染症及び癌における、著しい耐性メカニズムは、多量のPD−1を発現する抗原特異的T細胞の機能的消耗である。治療用の免疫付与の潜在能が、免疫チェックポイント制御の組み合わせにより著しく向上していることが示されているため、非限定例として、これは、免疫チェックポイントを阻害するための代替アプローチは、当業者により、プログラム細胞死(PD)リガンド1及び2(PD−L1/L2)の発現を阻害することと理解されることができる。阻害を達成するための1つの方法は、本明細書で記載されるもの等のRNA分子を発現することであり、この分子は、関係する1つ以上の分子をコードする、レンチウイルスベクターゲノム等のウイルスベクターゲノムで形質導入されたDC内において、PD−L1/L2の発現を抑制する。DCの成熟、または免疫チェックポイント等の特定の因子、例えばPD−1リガンドの発現は、MHC II等の表面マーカーの上方制御のフローサイトメトリー分析、及び発現したケモカイン及びサイトカインを、例えば本明細書で記載される技術及び方法を実施することによりプロファイリングすることで特質決定することができる。
別の実施形態において、本明細書で記載されるレンチウイルスベクター等の、本明細書で記載されるレトロウイルスベクターに関して、レンチウイルスベクターは免疫原をコードする核酸を含んでよく、同一、または別のレンチウイルスベクターは、チェックポイント阻害剤に結合し、この活性をブロックする一本鎖抗体(例えばscFv)をコードする核酸を含んでよい。別の実施形態において、樹状細胞を標的にする、本明細書で記載されるレンチウイルスベクターは、免疫原をコードする核酸を含んでよく、同一、または別のレンチウイルスベクターは、樹状細胞により発現される免疫チェックポイント分子の発現を下方制御するか、もしくは別様においては阻害する核酸を含んでよい。
ブロッキングまたは阻害のために標的化され得る、例示的な免疫チェックポイント分子としては、CTLA−4、4−1BB(CD137)、4−1BBL(CD137L)、PDL1、PDL2、PD1、B7−H3、B7−H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、TIM3、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4(CD2ファミリーの分子に属し、NK、γδ、及びメモリーCD8+(αβ)T細胞上全てに発現する)、CD160(BY55とも称される)、並びにCGEN−15049が挙げられるが、これらに限定されない。免疫チェックポイント阻害剤としては、抗体、もしくはその抗原結合断片、または、CTLA−4、PDL1、PDL2、PD1、B7−H3、B7−H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、TIM3、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4、CD160及びCGEN−15049の1つ以上に結合し、かつこれらの活性をブロックもしくは阻害する、他の結合タンパク質が挙げられる。例示的な免疫チェックポイント阻害剤としては、トレメリムマブ(CTLA−4遮断抗体)、抗OX40、PD−L1モノクローナル抗体(抗B7−H1;MEDI4736)、イピリムマブ、MK−3475(PD−1遮断剤)、ニボルマブ(抗PD1抗体)、CT−011(抗PD1抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PDL1抗体)、BMS−936559(抗PDL1抗体)、MPLDL3280A(抗PDL1抗体)、MSB0010718C(抗PDL1抗体)、及びヤーボイ/イピリムマブ(抗CTLA−4チェックポイント阻害剤)が挙げられる。
検出可能な生成物、通常はタンパク質をコードする配列を含めることで、所望の免疫原を発現する細胞の同定を可能にすることができる。例えば、蛍光マーカータンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP))が、対象の(即ち、少なくとも1つの免疫原をコードする)ポリヌクレオチド配列と共に組み換え発現構築物内に組み込まれる。別の場合において、タンパク質は抗体により検出可能であってよいし、または、タンパク質は、検出可能な生成物を得るための基質上で作用する酵素であってもよいし、もしくはトランスフェクションされた、もしくは形質導入された標的細胞の選択を可能にする、例えば、ハイグロマイシン耐性などの薬剤耐性を付与することが可能なタンパク質生成物であってもよい。典型的な選択遺伝子は、真核細胞内での使用が好適な抗生物質もしくは他の毒素、例えば、当該技術分野において公知のものでもとりわけ、ネオマイシン、メトトレキサート、ブラストサイジンに耐性を付与するタンパク質をコードするか、または、栄養要求性不足(auxotrophic deficiencies)を補う、もしくは培地内から失われる重要な栄養素を補給する。選択マーカーは所望により、別々のプラスミドに存在することができ、同時トランスフェクションにより導入されることができる。
本明細書で記載されるベクター粒子に関して、免疫原をコードする2つ以上のポリヌクレオチド配列、及び、本明細書に記載したエンベロープ分子をコードする配列、または、パッケージング細胞内での所望のベクター粒子の産生に必要な、1つ以上のDC成熟因子を含む、1つ以上のマルチシストロン発現ユニットを使用してよい。マルチシストロンベクターを使用することで、必要な核酸分子の総数が減少し、このため、複数のベクターゲノムからの協調発現に関連する、起こりうる課題を避けることができる。マルチシストロンベクターにおいては、発現する各種因子は、1つ以上のプロモーター(及び、必要に応じて他の発現制御因子)に作用可能に結合している。幾つかの構成においては、マルチシストロンベクターは、少なくとも1つの(即ち1つ以上の)対象の免疫原をコードする配列、レポーター生成物をコードする配列、及び、1つ以上のベクター粒子成分をコードする配列を含む。組み換え構築物が、免疫原をコードするポリヌクレオチドを含むある種の実施形態において、構築物は所望により、DC成熟因子をコードする。ある種の実施形態において、組み換え構築物は、発癌性ウイルス性抗原及び腫瘍関連抗原をコードするポリヌクレオチドを含む。ある種の他の実施形態において、マルチシストロンベクターは、免疫原のそれぞれをコードするポリヌクレオチド配列、DC成熟因子、及び所望により、発現ベクターがウイルス性発現ベクターである場合はウイルス成分を含む。
マルチシストロン発現ベクター内で発現する各エレメントは、例えば、内部リボソーム侵入部位(IRES)エレメントまたはウイルス性2Aエレメントにより分離され、同一のプロモーターから種々のタンパク質の別々の発現を可能することができる。IRESエレメント及び2Aエレメントは、当技術分野において既知である(例えば米国特許第4,937,190号、de Felipe et al.2004.Traffic 5:616−626を参照)。一実施形態では、口蹄疫ウイルス(FMDV);ウマ鼻炎Aウイルス(ERAV);及びthosea asignaウイルス(TaV)からの2A様配列(例えば、Szymczak et al.2004 Nat.Biotechnol.22:589−594を参照)と結合した、フーリン切断部位配列(RAKR)(例えばFang et al.2005 Nat.Biotech.23:584−590を参照)等のオリゴヌクレオチドを使用し、マルチシストロンベクター内で遺伝因子を分離する。特定のマルチシストロンベクターの有効性を、標準的なプロトコールを使用して、それぞれの遺伝子の発現を検出することにより、容易に試験することができる。
特定の実例においては、ウイルスベクターゲノムは、サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー/プロモーター配列;HIV 5’LTRからのR及びU5配列;パッケージング配列(ψ);所望によりHIV−1フラップシグナル;内部エンハンサー;内部プロモーター;対象の遺伝子;ウッドチャック肝炎ウイルス応答性因子;tRNAアンバー抑圧遺伝子配列;エンハンサー配列が欠失したU3因子;ニワトリβ−グロビンインスレーター;並びに、3’ HIV LTRのR及びU5配列を含む。幾つかの実例において、ベクターゲノムは、インタクトなレンチウイルス5’LTR及び自己不活性化3’LTRを含む(例えば、Iwakuma et al.Virology 15:120,1999を参照)。
ベクターゲノムの構築は、非限定的に例えば、Sambrook et al.(1989年及び2001年版;Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY);Coffin et al.(Retroviruses.Cold Spring Harbor Laboratory Press,N.Y.(1997));及び「RNA Viruses:A Practical Approach」(Alan J.Cann,Ed.,Oxford University Press,(2000)、前述のそれぞれは、その全体が本明細書に参照として組み込まれる)に記載されているような、制限エンドヌクレアーゼ消化、ライゲーション、形質転換、プラスミド精製、及びDNA塩基配列決定法といった標準的な技術を含む、任意の好適な当該技術分野において既知の遺伝子工学技術を用いて達成することができる。
哺乳類細胞における一時的発現のために構築されたベクターを使用してもよい。一時的発現には、宿主細胞が発現ベクターの多数のコピーを蓄積することで、発現ベクター内で免疫原特異的ポリヌクレオチドによりコードされる多量のポリペプチドが合成されるように、宿主細胞内で効率的に複製可能な発現ベクターを使用することを伴う。Sambrook et al.,supra,pp.16.17−16.22,1989を参照のこと。ポリペプチドの発現に適合させるのに好適な、他のベクター及び方法が当該技術分野において周知であり、特定の状況に容易に適合される。
本明細書において提供する教示、及び当該技術分野における知識を用いることで、当業者は、特定の発現系の有効性は、レポータータンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含むベクターによりパッケージング細胞をトランスフェクションし、好適な技術を用いた発現を測定、例えば緑色蛍光タンパク質コンジュゲートからの蛍光を測定することにより試験可能であることを理解するであろう。その他の好適なレポーター遺伝子が当該技術分野において周知である。
免疫原をコードするポリヌクレオチド配列を含む組み換え発現ベクターを、免疫原の産生のために使用してよい。組み換え発現ベクターは、少なくとも1つの制御発現配列、例えば免疫原をコードするポリヌクレオチドに作用可能に結合しているプロモーターまたはエンハンサーを含む。それぞれの発現ベクターを使用して、対応する免疫原の組み換え産生のために、適切な宿主細胞を形質転換、形質導入またはトランスフェクションしてよい。免疫原を産生するための好適な宿主細胞としては、原核生物、酵母菌並びに高等真核細胞(例えばCHO及びCOS)が挙げられる。タンパク質技術分野において既知の、かつ日常的に実践される、種々の単離方法(例えば濾過、膜分離精製法、クロマトグラフィー(親和性クロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィーを含む)、及び分取電気泳動)のいずれか1つを使用して、それぞれの宿主細胞または宿主細胞培養液から免疫原をそれぞれ単離してよい。ある種の実施形態において、本明細書に記載されるように、単離免疫原を次いで、薬学的に好適な賦形剤と配合して免疫原性組成物を提供してよい。
組み換えによりポリペプチドを作製する特定の方法は、通常周知であり日常的に用いられている。例えば、Sambrook et al.(Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,New York,1989;またSambrook et al.,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,New York,(2001)も参照のこと)により、分子生物学的手順が説明されている。DNA塩基配列決定は、Sanger et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463(1977))、及びAmersham International plc配列決定ハンドブック(これらの改良を含む)に記載されているとおりに実施することができる。
ベクター粒子
別の実施形態において、ベクター粒子を提供する。ベクター粒子は、少なくとも1つの免疫原をコードするポリヌクレオチド配列を含む、本明細書で記載される組み換え発現ベクターのいずれか1つを含む。ある種の他の実施形態において、ベクター粒子は、特異的な免疫応答を誘発する少なくとも1つの免疫原をコードするポリヌクレオチド配列を含む1つの組み換え発現ベクター(第1の組み換え発現ベクターとも称される)を含む、組み換え発現系を含む。本明細書においては、(本明細書に記載した)少なくとも1つの免疫原をコードするポリヌクレオチドを標的細胞に送達する方法もまた提供される。特定の実施形態では、標的細胞は、抗原提示細胞である免疫細胞である。より特定の実施形態では、本明細書に記載するように、標的細胞は樹状細胞である。かかる方法は、標的細胞を、ポリヌクレオチドを送達するビヒクルと接触させること(即ち、相互作用を可能にすること)を含む。特定の実施形態では、本明細書で詳述するように、ポリヌクレオチドの送達方法は、免疫原をコードするポリヌクレオチド配列を含有する組み換え発現ベクターを含むベクター粒子を、対象に投与することにより、細胞を接触させることを含む。ベクター粒子、組み換え発現ベクター、ポリヌクレオチド、及び免疫原を、本明細書で更に詳細に論ずる。
樹状細胞(DC)は、免疫応答の開始及び制御に不可欠な抗原提示細胞である。DCは2つの経路で成長することができる。1つ目の経路は単球から独立し、2つ目の経路は単球に由来する(Mo−DC)。血液単球は、GM−CSF及びIL−4による培養の際に、樹状形状、及び適応免疫を開始させる強い能力を獲得し(例えば、Bender,et al.,J.Immunol.Methods 196(2),121(1996);Sallusto et al.,J.Exp.Med.179(4),1109(1994)を参照)、これはヒトのin vivoを含む(例えば、Dhodapkar,et al.,J.Clin.Invest 104(2),173(1999);Schuler−Thurner,et al.,J.Immunol.165(6),3492(2000)を参照)。より効果的な免疫原特異的T細胞応答は、ベクター粒子ワクチン、特に、ex vivoでの細胞操作を必要とすることなく、in vivoで免疫原を効果的に直接Mo−DCに送達する、レンチウイルスベクター粒子系を使用することにより達成され得る。ヒトMo−DCは、多量の2つのC型レクチン受容体、マンノース受容体(MMR)、及びDC特異的細胞間接着分子−3−結合ノンインテグリン(DC−SIGN)を発現する。本明細書でより詳細に記載されるように、DC−SIGNを標的にするように操作した組み換えレンチウイルスベクターを用いて、免疫原の発現を、Mo−DCを標的としてよい。
DC−SIGNと選択的に結合する、組み換えシンドビスウイルス(SIN)糖タンパク質からなる、DC−SIGN標的化エンベロープ(SVGmu)が、記載の通り改変されている(本明細書の記載、並びに米国特許出願第12/842,609号、及び国際特許出願公開第10/042870号を参照)。レンチウイルスベクターは、マウスへの単回の免疫付与の後、高機能性CD8 T細胞免疫応答を誘発した(例えば、Dai,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A(2009);Yang,et al.,Nat.Biotechnol.26(3),326(2008)を参照)。このプロトタイプは、2つの主な改変により著しく進歩した。本明細書で記載されるこのレンチウイルスベクターは、遍在するヘパラン硫酸受容体への結合を防止するように改変された(例えばKlimstra et al.,J.Virol.72(9),7357(1998)を参照)、DC−SIGN受容体を介して、皮膚DCに感染することが知られているアルボウイルスである、ネイティブなSINに基づく糖タンパク質エンベロープ(SINvar1と称される)を含む(例えば、Gardner,et al.,J.Virol.74(24),11849(2000);Klimstra,et al.,J.Virol.77(22),12022(2003)を参照)。SINvar1エンベロープは、親SVGmuエンベロープと比較して、生産性の向上、及びin vivo機能の向上を付与する。ベクターはまた、ベクターを非機能的にする変異インテグラーゼ(polD64V)(例えば、Apolonia,et al.,Mol.Ther.15(11),1947(2007)を参照)と、並びに、LTRのU3領域(attまで)及び3’LTRポリプリン帯(PPT)が欠失したベクター骨格の組み合わせにより重複して組込能力がない。したがって、無効化インテグラーゼに加えて、ベクター骨格の組成物が、完全長ベクターゲノムの転写を防止し(自己不活性化変異)、これにより、感染DC内で単一LTR逆転写エピソームdsDNAサークルが形成され、このサークルは、染色体組込用のテンプレートではない(例えば、Bayer,et al.,Mol.Ther.16(12),1968(2008);Breckpot et al.,J. Virol.(2010);Ma et al., Mol. Ther.10(1):139 (2004)を参照)。親HIVゲノムの約75%がDC−NILVから取り除かれ、この部分には、Revを除く制御及びアクセサリータンパク質を全て含む。単回注射の後、DC−NILVは、大変強固な腫瘍抗原特異的CD8 T細胞応答を誘発する。レンチベクター免疫付与の潜在能は、部分的には少なくともTLR3及びTLR7パターン認識受容体の関与に依存している(例えば、Beignon et al.,J.Virol.(2009);Breckpotら(上記)を参照)。DC−NILVは、組込を行った対応物と同等の程度の免疫応答を誘発することが可能であり、相同プライムブーストレジメンで使用可能である。
ある種の実施形態において、ベクター粒子はウイルスベクター粒子であり、他のある種の実施形態では、ベクター粒子は、例えばリステリア・モノサイトゲネス、サルモネラ属菌、ウシ型結核菌、大腸菌、赤痢属菌、及びエルシニア属菌等の細菌に由来する粒子である(例えば、Paterson,Semin.Immunol(2010)22:183;Loessner,Expert Opin.Biol.Ther.(2004)4:157;Daudel,Expert Rev.Vaccines(2007)6:97を参照)。代表的なウイルスベクター粒子としては、レンチウイルスベクターゲノムを含むレンチウイルスベクター粒子;ポックスウイルスベクターゲノムを含むポックスウイルスベクター粒子;ワクシニアウイルスベクターゲノムを含むワクシニアウイルスベクター粒子;アデノウイルスベクターゲノムを含むアデノウイルスベクター粒子;アデノウイルス随伴ウイルスベクターを含むアデノウイルス随伴ウイルスベクター;ヘルペスウイルスベクターゲノムを含むヘルペスウイルスベクター粒子(例えば単純ヘルペスウイルスIもしくはII);またはアルファウイルスベクターゲノムを含むアルファウイルスベクター粒子が挙げられる。
より特定の実施形態においては、ベクター粒子は、レンチウイルスベクターゲノムを含むレンチウイルスベクター粒子(上記で詳述)である。少なくとも1つの免疫原をDCにコードする配列を送達するために、レンチウイルスベクター粒子(レンチウイルス粒子であるビリオンとも称されて良い)を使用することで、細胞、特に樹状細胞(DC)を標的化する方法及び組成物を本明細書において提供する。レンチウイルスベクター粒子は、シンドビスウイルスE2に由来するエンベロープ糖タンパク質変異体、並びに、対象の配列を含むゲノム、及び所望により他の成分を含む組み換え発現構築物を含む。糖タンパク質変異体は、対照シンドビスウイルス株であるHRからの糖タンパク質と比較して、ヘパラン硫酸への結合の低下を示す。エンベロープ糖タンパク質は、レンチウイルスベクター粒子により樹状細胞の感染を容易にする。感染を「容易にする」とは、本明細書で使用する場合、形質導入を容易にすることと同一であり、エンベロープ糖タンパク質が単独で、または他の分子と共に作用して、偽型レトロウイルスまたはレンチウイルス粒子の、受容体が仲立ちすることによる標的細胞内への導入を促進または向上させる役割を意味する。
一般に、レンチウイルスベクター粒子は、機能的ベクター粒子を作製するために必要な成分を一緒にコードする、1つ以上のプラスミドベクター、及び/または組込エレメントを含有する細胞株により作製される。これらのレンチウイルスベクター粒子は通常、複製能力がなく、即ち、感染は単一ラウンドしか可能でない。ほとんどの場合、プロデューサー細胞染色体内に安定的に組み込まれた複数のプラスミドベクター、または個々の発現カセットを利用して、レンチウイルスベクター粒子を作製する種々の遺伝子成分を分離する。しかし、レンチウイルス成分全てを有する単一のプラスミドベクターを使用することができる。一実例において、パッケージング細胞株に、LTRを含むウイルスベクターゲノム、シス作用パッケージング配列、並びに、対象の配列(即ち、1つの免疫原をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列)を含有する1つ以上のプラスミドがトランスフェクションされ、少なくとも1つのプラスミドはウイルス酵素及び構造成分(例えばgag及びpol)をコードし、並びに、少なくとも1つのプラスミドがアルボウイルスエンベロープ糖タンパク質をコードする。ウイルス粒子は細胞膜から成長し、対象の配列を含有する、通常は2つのRNAゲノムを含む芯、及び、樹状細胞を標的にするアルボウイルスエンベロープ糖タンパク質を含む。ある種の実施形態において、アルボウイルス糖タンパク質はシンドビスウイルスE2糖タンパク質であり、糖タンパク質は操作され、対照株HRからのE2と比較して、ヘパラン硫酸への結合が低下している。これは通常、HR E2糖タンパク質配列と比較して、少なくとも1つのアミノ酸の変更を伴う。同様に、E2糖タンパク質を操作して、樹状細胞への標的特異性を増加させてもよい。
理論に束縛されるものではないが、ウイルス粒子が細胞表面に結合することで、エンドサイトーシスが誘発され、ウイルスをエンドソームに運び、膜融合を誘発し、ウイルスの芯を細胞基質に入れることが可能と考えられている。レンチウイルスベクター粒子の組込を利用するある種の実施形態に関して、逆転写を行い生成物を核に移動させた後、ウイルスのゲノムは標的細胞ゲノム内に組み込まれ、対象の配列が標的細胞のゲノム内に取り込まれる。しかし、挿入突然変異誘発の可能性を減らし、指定した免疫原(複数可)の一時的発現を促進するために、他の実施形態では非組込レンチウイルスベクター粒子(即ち、標的細胞ゲノムに組み込まれないもの)を利用するが、代わりに、対象の配列をエピソームから発現させる。いずれかの例において、感染DCは次いで、対象の配列(例えば免疫原、及び所望により刺激分子)を発現する。次いで、免疫原を樹状細胞によりプロセシングしてT及びB細胞に提示し、抗原特異的免疫応答を生成することができる。上記の特異的経路は、樹状細胞が抗原特異的免疫応答を刺激することができる限り必要ない。
予防または治療効果を付与するために、ウイルス粒子を対象に投与することができる。樹状細胞の感染、及び免疫原生成物の発現の後、免疫応答が生成物に対して生成される。
ウイルスベクターエンベロープ
節足動物媒介ウイルス(アルボウイルス)は、蚊などの感染した節足動物ベクターにより、ヒト、ウマ、またはトリ等の宿主に伝播するウイルスである。アルボウイルスは更に、アルファウイルス及びフラビウイルスを含むウイルスのサブファミリーに分割され、これらは正極性の一本鎖RNAゲノム、及び糖タンパク質含有エンベロープを有する。例えば、デング熱ウイルス、黄熱ウイルス及びウエストナイルウイルスはフラビウイルスファミリーに属し、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス及びベネズエラウマ脳炎ウイルスは、アルファウイルスファミリーのメンバーである(例えば、Wang et al.,J.Virol.66,4992(1992)を参照)。シンドビスウイルスのエンベロープは、2つの膜貫通糖タンパク質を含む(例えば、Mukhopadhyay et al.Nature Rev.Microbiol.3,13(2005)を参照)。E1は融合を担うと考えられており、E2は細胞結合を担うと考えられている。シンドビスウイルスエンベロープ糖タンパク質は、オンコレトロウイルス及びレンチウイルスを含む、他のレトロウイルスを偽型化することが知られている。
本明細書で論ずる通り、アルボウイルスエンベロープ糖タンパク質を使用して、レンチウイルス系ベクターゲノムを偽型化することができる。「偽型化」レンチウイルスとは、レンチウイルスゲノムとは異なるウイルスによりコードされた、1つ以上のエンベロープ糖タンパク質を有するレンチウイルス粒子である。エンベロープ糖タンパク質は、本明細書に記載するように改変、突然変異または操作されてよい。したがって、本明細書で記載されるレンチウイルスベクター粒子は、例えば、アルファウイルスまたはフラビウイルスエンベロープ糖タンパク質(例えば、改変、突然変異もしくは操作され得るE2糖タンパク質)といった、アルボウイルスエンベロープ糖タンパク質で偽型化したレンチウイルスを含む。レンチウイルスはまた、VSV−G、インフルエンザウイルス、アレナウイルス、ラブドウイルス、オルトミクソウイルス、HIV1、HIV2、及びSIVを含む、他のエンベロープにより偽型化されてもよい。
シンドビスウイルス及び他のアルファウイルスのエンベロープは、ウイルス粒子膜の脂質二分子膜内に組み込まれ、通常は2つの糖タンパク質(E1及びE2)の複数のコピーを含む。各糖タンパク質は膜貫通領域を有し、E2は約33残基の細胞質ドメインを有する一方で、E1の細胞質尾部は大変短い(約2残基)。E1及びE2の両方は、膜貫通領域内、またはその近くに結合したパルミチン酸を有する。E2は最初、フーリンまたは他のCa2+依存性セリンプロテイナーゼによりE2、及びE3と称される小糖タンパク質へと切断される前駆体タンパク質として合成される。E2及びE1をコードする配列間に位置するのは、6Kと呼ばれるタンパク質をコードする配列である。E3及び6Kは、E2及びE1糖タンパク質をそれぞれ、膜内に移動させる役割を果たすシグナル配列である。シンドビスウイルスゲノムにおいて、シンドビスエンベロープタンパク質のコード領域は、E3、E2、6K及びE1をコードする配列を含む。本明細書で使用する場合、アルボウイルスウイルスの「エンベロープ」は、少なくともE2を含み、かつ、E1、6K及びE3もまた含んでよい。シンドビスウイルス(HR株)のエンベロープ糖タンパク質の代表的な配列は、配列番号17として表される。他のアルボウイルスのエンベロープ糖タンパク質の配列は、GenBank等の一般に入手可能なデータベースに見出すことができる。例えば、デングウイルス糖タンパク質をコードする配列は(GenBank内でもとりわけ)受託番号GQ252677.1、及びNCBIにおけるウイルスバリエーションデータベース(GenBank受託及びウイルスバリエーションデータベースは、エンベロープ糖タンパク質配列用に参照として組み込まれている)に見出すことができ、ベネズエラウマ脳炎ウイルスエンベロープ糖タンパク質をコードする代表的な配列は、受託番号NP_040824.1にある(エンベロープ糖タンパク質の配列に関して、参照として組み込まれている)。
アルファウイルス、及び特にシンドビスウイルスに関して、今日まで、樹状細胞上の細胞受容体(複数可)は決定的に同定されていないが、1つの受容体はDC−SIGNであるようである(例えば、Klimstra et al.,J.Virol.77:12022,2003を参照)。用語「付着」「結合」「標的化」等は同じ意味で用いられ、シンドビスウイルスエンベロープ糖タンパク質と細胞成分との相互作用のメカニズムを示すことを意味するものではない。DC−SIGN(樹状細胞特異的ICAM−3(細胞内付着分子3)結合ノンインテグリン;CD209としてもまた知られている)は、物質の急速な結合とエンドサイトーシスが可能な、C型レクチン様受容体である(例えば、Geijtenbeek et al.Annu.Rev.Immunol.22:33−54,2004を参照)。E2は、DC−SIGNを通してウイルスを樹状細胞に標的化するようである。本明細書で示すように、DC−SIGNを発現する細胞は、シンドビスウイルスE2で偽型化したウイルスベクター粒子により、DC−SIGNを発現しない同質遺伝細胞よりも良好に(少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、または少なくとも10倍良好に)形質導入される。E2糖タンパク質がウイルス感染を容易にするメカニズムでは、場合によっては、DC−SIGNへの直接結合により、または構造、もしくは他の幾つかのメカニズムの変更を引き起こすことで、DC−SIGNが関与しているようである。実際のメカニズムに関係なく、E2による標的化は、DC−SIGNを発現する細胞、即ち樹状細胞に対して好ましい。
シンドビスウイルスはまた、ヘパラン硫酸を介して細胞に結合するようである(例えば、Klimstra et al.,J.Virol.72:7357,1998;Burmes et al.,J.Virol.72: 7349,1998を参照)。ヘパラン硫酸、及び他の細胞表面グリコサミノグリカンは最も多くの細胞型の表面で見出されるため、ヘパラン硫酸と、シンドビスエンベロープ糖タンパク質との相互作用を低減するのが望ましい。これは、シンドビスウイルスエンベロープのヘパラン硫酸への結合を減少させるか、もしくはシンドビスウイルスエンベロープの、樹状細胞への結合を増加させる(例えば結合活性を増加させる)ことにより、またはその両方により達成することができる。結果として、他の細胞型により発現され得る、かつ、エンベロープがDC−SIGNに特異的であっても生じる得る、他の分子への非特異的結合は減少し、特異性の増加が、望ましくない副作用(例えば、所望の免疫応答を低下させ得る副作用)、または他の細胞型の不適切な形質導入に関連する副作用を避けるように機能することができる。DC−SIGNを発現する細胞の、相対的な特異的形質導入の利点に代えて、またはそれに加えて、シンドビスウイルスエンベロープE2糖タンパク質により偽型化したウイルス粒子は、VSV−G等の糖タンパク質により偽型化したウイルス粒子に優る他の利点を付与し得る。かかる利点の例としては、補体が仲立ちする細胞溶解の減少、及び/または神経細胞標的化の減少が挙げられ、これらは共に、VSV−G偽型化ウイルス粒子の投与と関係があると考えられている。
種々の実例において、レンチウイルスベクター粒子は、DC−SIGNを発現する細胞に特異的に結合し、ヘパラン硫酸への結合は低下、または無効化している。即ち、シンドビスウイルスエンベロープE2糖タンパク質を改変し、他の細胞型と比較して、DC−SIGNを発現する樹状細胞にウイルスを優先的に向けるようにしてよい。かかるエンベロープ糖タンパク質は、ヘパリン硫酸を遍在的に発現する他の細胞型(例えば骨髄細胞またはリンパ系細胞)と比較して、樹状細胞、特にDC−SIGNを発現する樹状細胞に優先的に結合する。後述のように、この優先的な結合は、樹状細胞、特にDC−SIGNを発現する樹状細胞の優先的な感染を理想的にもたらす。とりわけ、構造研究、及び他の研究の分子モデリングから入手した情報に基づき、エンベロープタンパク質、特にE2及びE1糖タンパク質の変異体配列は、糖タンパク質がエンベロープタンパク質としてその機能を維持する一方、所望の結合特異性、結合活性、または結合度を有するように設計及び作製される。候補の変異体配列を各糖タンパク質について作製し、以下に記載した方法、または当該技術分野において公知の他の方法を用いてアッセイし、最も所望の特性を有するエンベロープ糖タンパク質を識別することができる。
シンドビスE2のある特定の変異体配列は、配列番号1と比較して、残基160に少なくとも1つのアミノ酸改変を有する。残基160は欠失されているか、またはグルタミン酸以外のアミノ酸に改変されている。改変は、最も一般的には少なくとも1つのアミノ酸置換であるが、代わりに、1つ以上のアミノ酸の付加または欠失とすることもできる。任意の追加のアミノ酸は数が少なく、安全性を損ね得る抗原エピトープ(例えばヘマグルチニンタグ配列)を含まないことが好ましい。2つ以上の改変がある場合、それらは共に同一の種類(例えば置換)であるか、または異なる種類(例えば置換と欠失)とすることができる。複数の改変はタンパク質配列内で分散していても、連続して位置していてもよい。
例として、変異体配列は、配列番号1のおよそ残基50からおよそ残基180の領域内に、少なくとも1つのアミノ酸改変を含む。この領域内には、ヘパラン硫酸への結合に関与するアミノ酸が存在する。E2の正味の正電荷を減少させることにより、ヘパラン硫酸による静電相互作用を低下させて、ヘパラン硫酸への結合の減少をもたらすことができる。本領域内の候補となる正荷電アミノ酸としては、残基63、70、76、84、97、104、129、131、133、139、148、149、159におけるリジン、及び残基65、92、128、137、157、170、172におけるアルギニンが挙げられる(例えば、Bear et al.,Virology 347:183−190,2006を参照)(配列番号1を参照)。これらのアミノ酸の少なくとも幾つかは、E2のヘパラン硫酸への結合に直接関与している。正味の正電荷は、リジンもしくはアルギニンの欠失、または、リジンもしくはアルギニンを、中性もしくは負電荷のアミノ酸で置換することにより減少させることができる。例えば、これらのリジン及びアルギニンの1つ以上は、グルタミン酸またはアスパラギン酸で置換されていてもよい。ある種の実施形態は、リジン70、76、または159の、少なくとも1つの置換を有する。E2糖タンパク質の代表的なアミノ酸配列は、配列番号3(例えば残基66〜488)、4(例えば残基66〜488)、及び5(例えば残基66〜486)に記載されている。E2がE3とのポリタンパク質として発現する場合には、天然E3/E2切断部位に隣接した位置にあるリジンは維持される。即ち、認識配列及び切断部位は改変されない。あるいは、ネイティブなエンドペプチダーゼ切断部位配列が、異なるエンドペプチダーゼに対する認識配列で置き換えられる。
E2のある特定の変異体もまた、樹状細胞の結合に良い影響を与える方法で改変される。対照HR配列の残基160に見出されるグルタミン酸を改変することにより、樹状細胞への結合を改善することができる(例えば、Gardner et al.,J.Virol.74,11849,2000を参照)。残基160の欠失または残基160の置換といった改変は、ある特定の変異体で見出される。特定の変異体において、非荷電のアミノ酸でGluを置換し、別の変異体においては、非酸性アミノ酸でGluを置換する。通常、Glu160が、グリシン、アラニン、バリン、ロイシンまたはイソロイシンを含む小さな、または脂肪族アミノ酸の1つで置き換えられる。
他の変異体は、2つ以上のアミノ酸改変を含む。通常、これらの変異体においては、改変の1つはGlu160であり、残りの改変(複数可)は、配列番号1のおよそ50〜およそ180残基にわたる領域における、リジン及びアルギニンの1つ以上の変更である。ある特定の変異体は、Glu160の非酸性残基への変更または欠失、及び、リジン70、リジン76、もしくはリジン159の、非塩基性アミノ酸への1つ以上の変更を含む。幾つかの特異的変異体は、Glu160のGlyへの、Lys70のGluへの、及びLys159のGluへの置換;Glu160のGlyへの、Lys70、76、及び159のGluへの置換;Glu160の欠失及びLys70並びに159のGluへの置換;並びに、Glu160の欠失及びLys70、76並びに159のGluへの置換を含む。本明細書で使用する位置の番号付けは、例えば、アミノ酸が欠失されるかまたは挿入される場合、番号付けをそれに応じて調節するように、配列番号1を参照して行われていると理解されている。例えば、残基1が存在しない場合、位置160は位置159を意味する。
ある種の実施形態において、E2タンパク質は、少なくともE3と融合した、またはリーダー配列と融合したポリタンパク質として最初に発現する。リーダー配列がE3であるか他の配列であるかに関わらず、ウイルスエンベロープ内のE2は、E3、または他のリーダー配列を含んではならない。即ち、E2は、E3/E2融合タンパク質(即ち、SVGmuと称されるE3/E2融合タンパク質)でないことが好ましい。ある種の実施形態において、E2は、E3−E2−6K−E1ポリタンパク質の一部として発現する。シンドビスウイルスはポリタンパク質の一部としてE2を自然に発現し、E3/E2、E2/6K、及び6K/E1の結合領域は、エンドペプチダーゼにより認識され切断される配列を有する。通常、E3/E2結合は、残基65と66の間で、フーリンまたはフーリン様セリンエンドペプチダーゼにより切断される。フーリンは、2つのアミノ酸により分離される一対のアルギニン残基に特異性を有する。フーリンによるE3/E2切断を維持するために、残基62〜66(RSKRS;配列番号26)は、2つのアミノ酸分離を有する2つのアルギニン残基、及びセリン残基を維持しなければならない。あるいは、E3/E2フーリン切断配列、またはいずれかの他の切断配列の代わりに、異なる切断配列を使用することができる。認識及び切断部位は、非限定的に、アスパラギンエンドペプチダーゼ(例えばカテプシンD、キモシン、HIVプロテアーゼ)、システインエンドペプチダーゼ(ブロメライン、パパイン、カルパイン)、メタロエンドペプチダーゼ(例えばコラゲナーゼ、サーモリシン)、セリンエンドペプチダーゼ(例えばキモトリプシン、第IXa因子、第X因子、トロンビン、トリプシン)、ストレプトキナーゼを含むエンドペプチダーゼに組み込むことができる。これらの酵素に対する認識及び切断部位配列が良く知られている。
既に述べたもの以外の、E2内のアミノ酸もまた改変してよい。通常、変異体E2配列は、参照E2配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するか、または、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、もしくは少なくとも98%の配列同一性を有してもよい。したがって、上記の突然変異(非限定的に、位置160での突然変異、または、およそ50〜およそ180の残基にわたる領域(例えば70、76、及び/もしくは159)における、リジン及びアルギニンの1つ以上の突然変異を含む)のいずれかを有する、該変異E2糖タンパク質のいずれかは、参照E2配列(例えば、成熟E2糖タンパク質配列の配列番号1、3(例えば残基66〜488)、4(例えば残基66〜488)、または5(例えば残基66〜486))のいずれかに少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有し得る。変異糖タンパク質は、E2を含むエンベロープを有するウイルス粒子により、樹状細胞の感染を容易にする能力等の、生物学的機能を示さなければならない。実験では、ウイルス構築、細胞表面への付着、及び感染といった種々の側面において重要な役割を有すると思われる、エンベロープ糖タンパク質の領域が特定された。変異体を作製する場合、以下の情報をガイドラインとして使用することができる。E2の細胞質尾部(およそ、残基408〜415)がウイルス構築に重要である(たとえば、West et al.J.Virol.80:4458−4468,2006を参照;その全体が組み込まれる)。他の領域は二次構造の形成に関与しており(およそ、残基33〜53)、また、輸送及びタンパク質安定性に関与している(およそ、残基86〜119)(例えば、Navaratmarajah et al.,J.Virol.363:124−147,2007を参照;その全体が組み込まれる)。変異体は、膜を貫通する、およそ残基370〜380にわたる領域の疎水性特質を保持してよい。変異体は、N結合グリコシル化部位残基NIT(残基196〜198)、及びNFT(残基318〜320)の1つ、または両方を保持してよく、かつ、パルミトイル化された部位(C−396、C416及びC417)の1つ以上を保持してよい(例えば、Strauss et al.,Microbiol.Rev.58,491−562,1994;pp.499−509を参照、その全体が本明細書に参照として組み込まれる)。他方、E2の多くの領域を、有害な事象を起こすことなく改変してよい。例えば、E2内に、多くの異なる位置におけるトランスポゾンを挿入すると、依然として生存可能なウイルスがもたらされる(例えば、上記Navaratmarajahを参照)。
ある種の実施形態において、タグペプチドを、E3、6K、またはE1タンパク質に組み込んでよい。幾つかの目的のために、タグをE2内に組み込んでよいが、タグをヒト患者への投与用の生成物で使用するのは望ましくない。短い配列(例えば5〜30アミノ酸)であるタグペプチドを使用して、エンベロープ発現、及びそのウイルス粒子内での存在の検出を容易にすることができる。検出目的のために、タグ配列は通常、抗体または化学物質により検出可能であってよい。タグの別の使用法は、ウイルス粒子の精製を容易にすることである。タグ用の結合パートナーを含有する基質を使用して、ウイルスを吸収することができる。ウイルスの溶出は、タグを結合パートナーから取り除く部位の処理により達成することができるか、または、タグ配列が切断可能配列と結合している場合は、適切なエンドペプチダーゼによる処理で、ウイルスを都合よく放出することが可能となる。(例えば、QiaGEN(登録商標)カタログ、第Xa因子プロテアーゼ系を参照)。タグペプチドの除去は通常、動物対象でウイルス粒子を使用する場合の安全目的のために望ましい。タグが除去されない場合、タグに対して免疫応答が生じ得る。
好適なタグとしては、とりわけ、抗体が市販されているFLAG(DYKDDDDK)(配列番号35)(米国特許第4,703,004号、その全体が組み込まれている)、キチン結合タンパク質、マルトース結合タンパク質、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、ポリ(His)(米国特許第4,569,794号、その全体が組み込まれている)、チオレドキシン、HA(ヘマグルチニン)タグが挙げられるが、これらに限定されない。ポリ(His)は、結合金属イオン(例えばニッケルまたはコバルト)を含有する親和性培地に吸着され、低pH培地により溶出することができる。
ベクター粒子を評価して、樹状細胞を標的化するウイルスに組み込まれたエンベロープ糖タンパク質の特異性を測定してよい。例えば、骨髄細胞の混合種集団を、対象から入手し、in vitroで培養することができる。あるいは、DC−SIGNを発現する、または発現しない同質遺伝細胞系を入手し、使用することができる。組み換えウイルスを、骨髄細胞または同質遺伝細胞系の混合集団に投与することが可能であり、ウイルス内に組み込まれたレポーター遺伝子の発現を、培養細胞内でアッセイすることができる。ある種の実施形態では、限界希釈分析を用いることができる。この分析では、細胞の混合集団を別々のパートに分け、これらを別々に、ウイルスの量を減らして(例えば、各パートで2倍、5倍、10倍少ないウイルスで)インキュベーションする。幾つかの実施形態では、混合細胞集団内の感染細胞の少なくとも約50%、または少なくとも約60%、70%、80%、もしくは90%、または少なくとも約95%が、DC−SIGNを発現する樹状細胞である。ある種の実施形態において、感染した非樹状細胞(またはDC−SIGNを発現しない細胞)に対する感染樹状細胞の比は、少なくとも約2:1、少なくとも約3:1、少なくとも約4:1、少なくとも約5:1、少なくとも約6:1、少なくとも約7:1、少なくとも約8:1、少なくとも約9:1、少なくとも約10:1、少なくとも約20:1、少なくとも約30:1、少なくとも約40:1、少なくとも約50:1、少なくとも約100:1、少なくとも約200:1、少なくとも約500:1、少なくとも約1000:1、少なくとも約5000:1、少なくとも約10,000:1、またはそれ以上である。限界希釈に関して、入力ウイルスをより高希釈すると(即ち、入力ウイルスがより少量)、通常はより大きな選択性が確認される。
偽型化ウイルス粒子の活性は、様々な技術のいずれかにより測定することができる。例えば、感染効率(infectivity efficiency)(IU、感染単位)を測定する好ましい方法は、ウイルス粒子を細胞に投与し、ベクターゲノム内でコードされた生成物の発現を測定することによるものである。アッセイ可能な任意の生成物を使用してよい。便利な生成物の一種類は、緑色蛍光タンパク質(GFP)等の蛍光タンパク質である。使用可能な他の生成物としては、細胞表面に発現したタンパク質(例えば、抗体結合による検出)、酵素等が挙げられる。生成物が抗原であり、細胞が樹状細胞である場合、感染性/活性は、免疫応答を測定することにより評価可能である。更に、哺乳類での副作用を確認することが可能である。樹状細胞を特異的に標的化する能力はまた、例えば後述のように細胞内で直接試験することも可能である。
ベクター粒子(本明細書で記載されるウイルス粒子を含む)もまた、調製し、その選択性、及び/または標的細胞膜の貫通を容易化する能力を試験することができる。非改変糖タンパク質を含むエンベロープを有するウイルス粒子を、比較用の対照として用いることができる。手短に言えば、エンベロープ糖タンパク質用の受容体を発現する細胞は、標準的な感染アッセイを用いることで、ウイルスにより感染する。所定の時間の後、例えば感染の48時間後、細胞を収集し、ウイルスにより感染した細胞の百分率を、例えばフローサイトメトリーにより測定することができる。ウイルスにより感染した細胞の百分率を計算することにより、選択性を評点化することができる。同様に、変異エンベロープ糖タンパク質のウイルス力価への影響は、変異エンベロープを含むウイルスにより感染した細胞の百分率を、対応する野生型(非改変)エンベロープ糖タンパク質を含むウイルスにより感染した細胞の百分率で除することにより定量化可能である。特に好適な変異体は、選択性と感染力価の最良の組み合わせを有する。変異体を選択すれば、ウイルス濃度アッセイを実施し、これらのウイルスが、活性を損なうことなく濃縮されることが可能であることを確認してよい。ウイルス上清を収集し、超遠心分離により濃縮する。ウイルスの力価は、ウイルス原液を限界希釈し、エンベロープ糖タンパク質に対する受容体を発現する細胞を感染させて、上述のウイルスにより発現された生成物の発現を測定することにより決定することができる。
レンチウイルスベクター粒子を標的細胞に導入することは、別の種類の活性評価である。BlaM−Vpr(β−ラクタマーゼVpr)融合タンパク質を使用して、HIV−1ウイルス侵入を評価した。BlaM、及びシンドビスウイルスエンベロープ(例えばE1、またはE2/E1融合タンパク質)の融合を使用して、エンベロープタンパク質が融合、及び標的細胞内への侵入を促進する効果を評価することができる。ウイルス粒子は例えば、パッケージング細胞を、ウイルス成分、BlaM−Vpr、及び対象の変異エンベロープ(及び、適切な場合親和性分子)を含む1つ以上のベクターにより一過性トランスフェクションすることにより調製してよい。得られるウイルスを使用して、結合遊離阻害剤(例えば抗体)の存在下または不存在下において特異的に結合する分子、標的分子(または親和性分子)を発現する細胞を感染させることができる。次いで、細胞をCO2独立性媒体(CO2−independent medium)で洗浄し、CCF2染料(Aurora Bioscience)をロードした。室温でのインキュベーションの後、切断反応を完了させるため、細胞をパラホルムアルデヒドで固定し、フローサイトメトリー及び顕微鏡検査法で分析することができる。青色細胞の存在は、ウイルスの細胞質への侵入を示す。遮断抗体が加えられた際には、青色細胞が少なくなると予想される(例えば、Cavrois et al.,Nat.Biotechnol.20:1151−54,2002を参照)。
侵入が低pHに依存するかどうかを調査するため、及び、所望のpH依存性を有するエンベロープ糖タンパク質を同定するため、pHを変更する、NH4Clまたは他の化合物を感染ステップで添加することができる(NH4Clは、エンドソームの酸性区画を中和する)。NH4Clの場合、青色細胞が消失することは、ウイルスの侵入が低pH依存性であることを示す。更に、活性がpH依存性であることを確認するために、リソソーム作用剤(例えば塩化アンモニウム、クロロキン、コンカナマイシン、バフィロマイシンA1、モネンシン、ナイジェリシン等)をインキュベーション緩衝液に加えてよい。これらの作用物質は、エンドソーム区画内のpHを高める(例えば、Drose et al.,J.Exp.Biol.200,1−8,1997を参照)。これらの作用物質の阻害効果は、ウイルス融合及び侵入におけるpHの役割を明らかにするであろう。異なる膜融合性分子を示すウイルス間での異なる侵入速度を比較してよく、最も好適なものを特定用途のために選択する。
PCR系の侵入アッセイを利用して、逆転写を監視し、ウイルス侵入の反応速度論の指標として、ウイルスDNA合成の速度を測定することができる。例えば、特定のエンベロープタンパク質分子を含むウイルス粒子を、293T細胞、DC、または、エンベロープタンパク質分子の好適な結合パートナー(受容体)を発現するように操作された、もしくは自然に発現する、任意の他の細胞等の標的細胞と共にインキュベーションする。ただちに、または(感染を生じさせるための)一定時間の経過後、結合していないウイルスを取り除き、細胞のアリコートをウイルス核酸について分析する。これらのアリコートからDNAを抽出し、通常は、LTR特異的プライマーでプライミングした半定量アッセイでの、増幅分析にかける。LTR特異的DNA生成物の外観は、ウイルス侵入が成功したことを示す。
ウイルスベクター粒子によるウイルス感染の後、標的樹状細胞により免疫原を発現させる。ex vivoで接触させる場合、標的樹状細胞を次に、例えば注射により患者に移し戻す。ここでは、樹状細胞は、所望の抗原に対する免疫応答を産生可能な免疫細胞と相互作用する。好ましい実施形態では、組み換えウイルスが患者に注射され、ここで、標的樹状細胞をin situで形質導入する。次いで、樹状細胞は、治療されるべき病気または疾患に関係する特定の抗原を発現し、患者は、病気または疾患に対して効果的な免疫応答を開始することができる。
ウイルスベクターゲノムは、2つ以上の免疫原をコードするポリヌクレオチド配列を含有してよく、標的樹状細胞の形質導入の際に、細胞に送達される各免疫原に対して免疫応答を産生する。幾つかの実施形態では、免疫原は単一の病気または疾患に関係する。他の実施形態では、免疫原は複数の病気または疾患に関係する。
幾つかのベクター粒子において、DCの成熟化を活性及び/または刺激するDC成熟因子を、対象の免疫原をコードする配列と共に送達する。ある種の代替実施形態において、DCは、ベクター粒子の送達前、送達と同時、または後に、DC成熟因子の送達により活性化される。DC成熟因子は、ベクター粒子の投与とは別々に提供されてもよい。
本明細書に記載されるように、1つ以上の免疫調節またはDC成熟因子は、ベクター粒子内に含有される1つ以上の配列によりコードされ、粒子が樹状細胞に侵入するかまたは感染した後に発現することが可能である。免疫調節因子をコードする配列は、パッケージング細胞株内で1つ以上の免疫原をコードするベクター粒子と共に同時トランスフェクションされる別々のベクター内にも提供されることができる。
本明細書記載の方法を、対象における養子免疫療法に使用してよい。上述の通り、免疫応答が望まれる免疫原が同定される。所望の免疫原(複数可)をコードするポリヌクレオチドを入手し、ベクター粒子内にパッケージングしてよい。標的樹状細胞を患者から入手し、所望の免疫原をコードするポリヌクレオチドを含有するベクター粒子で形質導入する。次いで、樹状細胞を患者に移し戻す。
ベクター粒子(例えば、本明細書で記載されるウイルスベクター粒子)をin vivoで注射してよい。この場合、粒子がDCに感染し、対象の免疫原をコードするヌクレオチド配列を送達する。ウイルス粒子の量は、少なくとも3×106感染単位(IU)であり、少なくとも1×107IU、少なくとも3×107IU、少なくとも1×108IU、少なくとも3×108IU、少なくとも1×109IU、または少なくとも3×109IUとすることができる。選択した間隔において、レシピエントのリンパ器官からのDCを使用して、例えば、マーカー(例えばGFPまたはルシフェラーゼ)が、ベクター粒子に含まれる組み換え発現ベクターに存在するポリヌクレオチド配列により同時発現したかどうかを観察することにより、発現を測定してよい。ベクター粒子がレンチウイルスベクター粒子である場合、核酸監視技術、及び逆転写酵素(RT)活性の測定もまた使用して、ベクター粒子の生体内分布を分析することができる。末梢血単核球、リンパ節、脾臓からのT細胞、または悪性もしくは標的病原体で感染した組織のベクター粒子(レンチウイルスベクター粒子を含む)を処理したレシピエントを、抗原刺激応答の程度及び耐久性について測定してよい。DC以外の組織細胞(例えば上皮細胞及びリンパ系細胞)を、in vivo遺伝子送達の特異性について分析してよい。
アジュバント及びアジュバント組成物
本明細書記載の方法は、プライミングした免疫細胞を、投与の局所部位、特に腫瘍部位に「プル」する目的のアジュバントを含む少なくとも1つの組成物を、対象に投与することを含む。別の実施形態において、アジュバントを含む組成物は更に、免疫原、ある種の実施形態においては「プライム」の免疫原を含む。アジュバントを含むかかる組成物は免疫原を含まない場合があるため、ある種の実施形態においては、アジュバントを含む組成物は実質的に、免疫源を欠いている。ある種の実施形態において、アジュバントは、免疫原への免疫応答を高める(または向上させる、増大させる)(即ち、アジュバントの投与を欠いている得意的免疫応答の量と比較して、統計学的、生物学的、または臨床的に有意な方法で、免疫原に対する特異的な免疫応答の量を増加させる)。免疫応答の量を測定するための方法及び技術は本明細書で更に詳細に論じており、当該技術分野において日常的に実践される。
本明細書に記載される方法において使用され得る代表的なアジュバントとしては、以下が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。本明細書に記載される方法において使用され得るアジュバントとしては、免疫原(もしくは、免疫原含有細胞もしくは粒子)に対するCTL応答を向上させる、及び/またはメモリーCD4 T細胞応答を向上させるのに有用であり得るアジュバントが挙げられる。ある種の実施形態において、本明細書の方法で使用するためのアジュバントは、サイトカイン応答を誘発し、T細胞、特に、抗原特異的T細胞を、局所投与部位に動員する。別の実施形態において、本明細書の方法で使用するためのアジュバントは、定性的形態の応答に悪影響を与え得る免疫原の構造的変化を引き起こすことなく、免疫原の応答を増大させる。好適なアジュバントとしては、アルミニウム塩(例えばミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム))、または他のアルミニウム含有アジュバント;無毒性リピドA関連アジュバント(例えば、非限定的例としては無毒性モノホスホリルリピドA(例えば、Tomai et al.,J.Biol.Response Mod.6:99−107(1987)を参照)、本明細書で記載されるGLA);3脱−O−アシル化モノホスホリルリピドA(MPL)(例えば、英国特許出願第2220211号を参照);南アメリカで発見されたQuillaja saponaria Molinaの木の樹皮から単離されたトリテルペングリコシドまたはサポニンを含む、QS21及びQuilA等のアジュバント(例えば、Kensil et al.,in Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(eds.Powell and Newman,Plenum Press,NY,1995);米国特許第5,057,540号を参照)が挙げられる。他の好適なアジュバントとしては、所望により、モノホスホリルリピドA等の免疫刺激剤と組み合わせた水中油型エマルション(スクアレンまたはピーナッツオイル等)が挙げられる(例えば、Stoute et al.,N.Engl.J.Med.336,86−91(1997)を参照)。別の好適なアジュバントは、CpGである(Bioworld Today,Nov.15,1998)。他の好適なアジュバントとしては、Toll様受容体アゴニスト、及びアミノアルキルアミノグルコサミニド4−フォスフェート(AGP)等のリピドA模倣物質が挙げられる(例えば、Baldridge et al.,Expert Opin.Biol.Ther.,4(7):1129−1138(2004)に記載されているRC527、及びPersing et al.,Trends in Microbiology,10(10)(suppl.):S32−S37(2002)に記載されているRC−544、を参照)。
本明細書に記載されるように、好適なアジュバントはアルミニウム塩(例えば水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム)である。かかるアジュバントは、他の特異的免疫刺激剤、例えばMPLまたは3−DMP、QS21、ポリマーまたはモノマーアミノ酸(例えばポリグルタミン酸またはポリリジン)と共に、またはこれらなしで用いることができる。好適なアジュバントの別部類は、水中油型エマルション配合物である(本明細書では安定した水中油型エマルションとも称される)。かかるアジュバントは所望により、他の特異的な免疫刺激剤、例えばムラミルペプチド(例えば、N−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2(1’−2’ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)、N−アセチルグルコサミニル−N−アセチルムラミル−L−Al−D−イソグル−L−Ala−ジパルミトキシプロピルアミド(DTP−DPPテラミド(商標))、または他の細菌細胞壁成分と共に用いることが可能である。水中油型エマルションは、(1)モデル110Yマイクロフルイダイザー(Microfluidics,Newton Mass.)等のマイクロフルイダイザーを使用してサブミクロン粒子にした、スクアレンを5%、Tween80を0.5%、及びSpan 85を0.5%含有(所望により、様々な量のMTP−PEを含有)する、MF59(WO90/14837);(2)マイクロ流体化してサブミクロンエマルションにしたか、またはボルテックス処理で大きな粒径のエマルションを作製したかのいずれかの、スクアランを10%、Tween80を0.4%、プルロニックブロックポリマー L121を5%、及びthr−MDPを含有するSAF、並びに、(3)スクアレンを2%、Tween80を0.2%、並びに、モノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジマイコレート(TDM)、及び細胞壁骨格(CWS)、好ましくはMPL+CWS(Detox(商標))からなる群からの、1つ以上の細菌細胞壁成分を含有するRibiアジュバント系(RAS)(Ribi Immunochem,Hamilton,MT)を含む。また、上述のように、好適なアジュバントとしては、サポニンアジュバント、例えばStimulon(商標)(QS21,Aquila,Worcester,Mass.)、またはこれらから作製される粒子、例えばISCOM(免疫刺激複合体)及びISCOMATRIXが挙げられる。他のアジュバントとしては、完全フロイントアジュバント(CFA)(非ヒトでの使用においては好適であるが、ヒトでの使用には好適でない)、及び不完全フロイントアジュバント(IFA)が挙げられる。他のアジュバントとしては、インターロイキン(IL−1、IL−2、及びIL−12)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、並びに腫瘍壊死因子(TNF)等のサイトカインが挙げられる。
本明細書で記載される組成物中で使用してよい別のアジュバントは、化学式(I)により定義され、グルコピラノシルリピドA(GLA)と称される:
式中、部位A1及びA2は、水素、ホスフェート、及びリン酸塩からなる群から独立して選択される。ナトリウム及びカリウムが、リン酸塩の代表的な対イオンである。部位R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、C3〜C23で表される、3〜23個の炭素を有するヒドロカルビル基からなる群から独立して選択される。明確性を加えると、部位が複数の要素を有する特定の基「から独立して選択される」場合、第1部位に選択される要素が、第2部位に選ばれる要素の選択にいかなる方法においても影響を与えない、またはこれを制限しないと理解されるべきであると説明される。R1、R3、R5及びR6が結合する炭素原子は非対称であるため、RまたはS立体化学のいずれかで存在してよい。一実施形態において、これらの炭素原子は全てR立体化学であるが、別の実施形態においては、これらの炭素原子は全て、S立体化学である。
「ヒドロカルビル」とは、水素及び炭素で完全に形成される化学部位を意味する。炭素原子の配置は直鎖または分枝鎖、非環式または環状であってよく、隣接する炭素原子間の結合は、全てが単結合である、即ち飽和ヒドロカルビルを提供してもよく、または、隣接する任意の2つの炭素原子間に、二重もしくは三重結合が存在する、即ち、不飽和ヒドロカルビルを提供してもよく、ヒドロカルビル基中の炭素原子数は、3〜24個である。ヒドロカルビルはアルキルであってよく、代表的な直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられ、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル等を含む。一方、分枝鎖アルキルとしては、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチル等が挙げられる。代表的な飽和環式ヒドロカルビルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられ、不飽和環式ヒドロカルビルとしては、シクロペンテニル及びシクロヘキセニル等が挙げられる。不飽和ヒドロカルビルは、隣接する炭素原子間に少なくとも1つの二重または三重結合を含有する(ヒドロカルビルが非環式である場合はそれぞれ「アルケニル」または「アルキニル」と呼ばれ、ヒドロカルビルが少なくとも部分的に環式である場合は、それぞれシクロアルケニル及びシクロアルキニルと呼ばれる)。代表的な直鎖及び分枝鎖アルケニルとしては、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル等が挙げられる。一方で、代表的な直鎖及び分枝鎖アルキニルとしては、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニル等が挙げられる。
式(I)のアジュバントは、当該技術分野において公知の合成方法、例えば、PCT国際公開第WO2009/035528(参照により本明細書に組み込まれている)及び、WO2009/035528に記載されている公報(これらの出版物のそれぞれもまた、参照により本明細書に組み込まれている)に開示されている合成方法論により入手してよい。ある種のアジュバントもまた、商業的に入手してよい。好ましいアジュバントは、Avanti Polar Lipids,Alabaster ALのカタログに記載されている製品番号699800である(以下のE10と合わせて、E1を参照)。
本発明の各種実施形態では、アジュバントは式(I)の化学構造を有するが、部位A1、A2、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、これらの部位に関して前に提供した選択肢の部分集合から選択され、ここで、これらの部分集合は以下でE1、E2等により識別される。
E1: A1はホスフェートまたはリン酸塩であり、A2は水素である。
E2: R1、R3、R5及びR6はC3〜C21アルキルであり、R2及びR4はC5〜C23ヒドロカルビルである。
E3: R1、R3、R5及びR6はC5〜C17アルキルであり、R2及びR4はC7〜C19ヒドロカルビルである。
E4: R1、R3、R5及びR6はC7〜C15アルキルであり、R2及びR4はC9〜C17ヒドロカルビルである。
E5: R1、R3、R5及びR6はC9〜C13アルキルであり、R2及びR4はC11〜C15ヒドロカルビルである。
E6: R1、R3、R5及びR6はC9〜C15アルキルであり、R2及びR4はC11〜C17ヒドロカルビルである。
E7: R1、R3、R5及びR6はC7〜C13アルキルであり、R2及びR4はC9〜C15ヒドロカルビルである。
E8: R1、R3、R5及びR6はC11〜C20アルキルであり、R2及びR4はC12〜C20ヒドロカルビルである。
E9: R1、R3、R5及びR6はC11アルキルであり、R2及びR4はC13ヒドロカルビルである。
E10: R1、R3、R5及びR6はウンデシルであり、R2及びR4はトリデシルである。
ある種の実施形態において、E1は、E2〜E10のそれぞれと組み合わせてもよい。E2〜E9のヒドロカルビル基はアルキル基、好ましくは直鎖アルキル基であってよい。ある種の実施形態において、E1はE2〜E10のそれぞれと組み合わせてよく、E2〜E9のそれぞれはアルキル基である。ある種の実施形態において、E1はE2〜E10のそれぞれと組み合わせてよく、E2〜E9のそれぞれは直鎖アルキル基である。式(I)のアジュバントを、所望によりコアジュバントと共に医薬組成物内に配合してよい(それぞれは以下で論じる)。これに関し、GLAアジュバントに対する水性配合物(AF)、及び安定したエマルション配合物(SE)等の配合物(これらの配合物は式(I)のアジュバントのいずれに用いてもよい)を提供する、米国特許出願第2008/0131466号を参照する。
別の実施形態において、アジュバントは、PCT国際公開第2010/141861号に記載されている、合成リピドA型アジュバント、であり、以下の化学式(II)
であって、
式中、L1、L2、L3、L4、L5、及びL6は同一または異なっており、−O−、−NH−、及び−(CH2)−から独立して選択され、L7、L8、L9及びL10は同一または異なっており、かつ、任意の場所が存在していなくても、または−C(=O)−であってもよく、Y1は酸性官能基であり、Y2及びY3は同一または異なっており、−OH、−SH、及び酸性官能基からそれぞれ独立して選択され、Y4は−OHまたは−SHであり、R1、R3、R5及びR6は同一または異なっており、C8〜C13アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、R2及びR4は同一または異なっており、C6〜C11アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される、該化学式から選択される構造を有するか、または薬剤として許容されるその塩である。
所望により、以下、及び本明細書内により詳細に記載するとおり、2つ以上の異なるアジュバントを、同時に使用することができ、例えば、非限定例としては、アルミニウム塩とMPL、アルミニウム塩とQS21、MPLとQS21、及びアルミニウム塩、QS21ならびにMPLを合わせてがある。また、不完全フロイントアジュバントを、所望によりアルミニウム塩、QS21及びMPLのいずれかと組み合わせて、並びにこれら全てと組み合わせて、使用することができる(例えば、Chang et al.,Advanced Drug Delivery Reviews 32,173−186(1998)を参照)。
ある種の実施形態において、式(I)のアジュバントは、所望により上述のコアジュバント、または本明細書で記載される、もしくは当該技術分野において入手可能な任意の他のアジュバントと共に薬剤(またはアジュバント組成物)に配合されてよく、それぞれは以下で論じられる。これに関し、GLAアジュバントの水性配合物(AF)及び安定したエマルション配合物(SE)等の配合物を提供する米国特許出願公開第2008/0131466号を参照し、これらの配合物を、式(I)のアジュバントのいずれかに対して使用してよい。
本明細書にて提供される場合、式(I)のアジュバントを、第2のアジュバント(本明細書ではコアジュバントと称する)と組み合わせて使用してよい。3つの代表的実施形態において、コアジュバントは送達系であってよいか、または免疫賦活剤であってよいか、または送達系と免疫賦活剤の両方として機能する組成物であってよい(例えば、O’Hagan et al.,Pharm.Res.21(9):1519−30(2004)を参照)。コアジュバントは、Toll様受容体ファミリー生体分子のメンバーを介して作動する免疫賦活剤であってよい。例えば、コアジュバントは作用の主な形態に対して、TLR4アゴニスト、またはTLR8アゴニスト、またはTLR9アゴニストのいずれかとして選択されてよい。あるいは、または補助的に、コアジュバントはそのキャリアの性質に対して選択されてよい。例えば、コアジュバントはエマルション、リポソーム、微小粒子、またはミョウバンであってよい。
一実施形態では、コアジュバントはミョウバンであり、この用語は、リン酸アルミニウム(AlPO4)及び水酸化アルミニウムAl(OH)3等のアルミニウム塩を意味する。ミョウバンをコアジュバントとして使用する場合、ミョウバンは、約100〜1,000μg、または200〜800μg、または300〜700μg、または400〜600μgの料で投与量のワクチンに存在してよい。式(1)のアジュバントは通常、ミョウバンの量未満の量で存在し、種々の特定の実施形態においては、式(1)のアジュバントは、重量ベースで、ミョウバンの重量にたいして0.1〜1%、または1〜5%、または1〜10%、または1〜100%で存在する。
1つの特定の実施形態では、アジュバントは、ワクチンを補助する性質を有するエマルションである。かかるエマルションとしては、水中油型エマルションが挙げられる。不完全フロイントアジュバント(IFA)は、かかるアジュバントの1つである。別の好適な水中油型エマルションはMF−59(商標)アジュバントであり、スクアレン、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween(商標)80界面活性剤としても知られている)、及びトリオレイン酸ソルビタンを含有する。スクアレンは、サメ肝油から通常入手される天然有機化合物であるが、アマランス種子、コメヌカ、小麦胚及びオリーブを含む植物源(主として植物油)からもまた入手可能である。他の好適なアジュバントはMontanide(商標)アジュバント(Seppic Inc.,Fairfield NJ)であり、鉱油系アジュバントであるMontanide(商標)ISA 50V;Montanide(商標)ISA 206;及びMontanide(商標)IMS 1312が挙げられる。鉱油がコアジュバント中に存在してよいが、一実施形態において、本発明のワクチン組成物の油成分(複数可)は全て、代謝可能な油である。
本明細書記載の方法の実践において、コアジュバントとして使用してよい免疫賦活剤の例としては、MPL(商標);MDP及び誘導体;オリゴヌクレオチド;二本鎖RNA;代替の病原体関連分子パターン(PAMPS);サポニン;小分子免疫増強因子(SMIP);サイトカイン;及びケモカインが挙げられる。
一実施形態では、コアジュバントはMPL(商標)アジュバントであり、これはGlaxoSmithKlineから市販されている(もともとは、Ribi ImmunoChem Research,Inc.Hamilton,MTにより開発)。例えば、Ulrich and Myers,Chapter 21 from Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach,Powell and Newman,eds.Plenum Press,New York(1995)を参照のこと。MPL(商標)アジュバントに関連した、及び、本明細書に記載される組成物及び方法で使用するためのコアジュバントとしてもまた好適なアジュバントは、AS02(商標)アジュバント及びAS04(商標)アジュバントである。AS02(商標)アジュバントは、MPL(商標)アジュバント、及びQS−21(商標)アジュバント(本明細書の他の場所で論じているサポニンアジュバント)を含有する水中油型エマルションである。AS04(商標)アジュバントは、MPL(商標)アジュバントとミョウバンを含有する。MPL(商標)アジュバントは、サルモネラ菌ミネソタR595のリポ多糖体(LPS)を、弱酸性及び塩基性加水分解し、続いて変性LPSを精製することで調製される。
別の実施形態において、コアジュバントは、Quillaja saponariaの木の種の樹皮に由来するもの、または変性サポニン等のサポニンである(例えば、米国特許第5,057,540号;同5,273,965号;同5,352,449号;同5,443,829号;及び同5,560,398号を参照)。Antigenics,Inc.Lexington,MAにより販売されている製品のQS−21(商標)アジュバントは、式(1)のアジュバントと共に使用してもよい、代表的なサポニン含有コアジュバントである。サポニンに関連した代替のコアジュバントは、ISCOM(商標)ファミリーのアジュバントであり、もともとはIscotec(Sweden)により開発され、通常、Quillaja saponariaまたは合成類似体、コレステロール、及びリン脂質に由来するサポニンから形成され、全てがハニカム構造で形成されている。
更に別の実施形態では、コアジュバントは、コアジュバントとして機能するサイトカインである(例えば、Lin et al.,Clin.Infect.Dis.21(6):1439−49(1995);Taylor,Infect.Immun.63(9):3241−44(1995);及びEgilmez,Chap.14 in Vaccine Adjuvants and Delivery Systems,John Wiley & Sons,Inc.(2007)を参照)。様々な実施形態において、サイトカインは例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)(例えば、Change et al.,Hematology 9(3):207−15(2004);Dranoff,Immunol.Rev.188:147−54(2002);及び米国特許第5,679,356号を参照);I型インターフェロン(例えばインターフェロンα(IFN−α)もしくはインターフェロンβ(IFN−β))もしくはII型インターフェロン(例えばインターフェロンγ(IFN−γ))といったインターフェロン(例えば、Boehm et al.,Ann.Rev.Immunol.15:749−95(1997);及びTheofilopoulos et al.,Ann.Rev.Immunol.23:307−36(2005)を参照);特にインターロイキン−1α(IL−1α)、インターロイキン−1β(IL−1β)、インターロイキン−2(IL−2)(例えばNelson,J.Immunol.172(7):3983−88(2004)を参照)、インターロイキン−4(IL−4)、インターロイキン−7(IL−7)、インターロイキン−12(IL−12)(例えば、Portielje et al.,Cancer Immunol.Immunother.52(3):133−44(2003);及びTrinchieri,Nat.Rev.Immunol.3(2):133−46(2003)を参照)、インターロイキン−15(IL−15)、インターロイキン−18(IL−18)を含むインターロイキン;胎児肝臓チロシンキナーゼ3リガンド(Flt3L)、または腫瘍壊死因子α(TNFα)であってよい。式(I)のアジュバントは、ワクチン抗原と組み合わせる前にサイトカインと同時配合してもよいし、または、抗原、式(I)のアジュバント及びサイトカインコアジュバントを別々に配合した後で組み合わせてもよい。
ある種の実施形態において、本明細書において提供するように、本明細書で記載される式IまたはIIのアジュバントを、別の治療薬と組み合わせて使用してよい。一実施形態では、本明細書のアジュバント組成物を、特定の実施形態においては、腫瘍部位等の局所部位に、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与する。免疫チェックポイントとは、自己寛容を維持し、免疫応答の持続及び規模を制御するのに重要な、免疫系の種々の阻害経路を意味する。腫瘍は、ある特定の免疫チェックポイント経路を、特に腫瘍抗原に特異的なT細胞に対する免疫耐性の主要なメカニズムとして使用する(例えば、Pardoll,2012 Nature 12:252;Chen and Mellman 2013 Immunity 39:1を参照)。本開示は、アジュバント組成物と組み合わせて、特に抗原なしで投与可能な免疫チェックポイント阻害剤を提供する。かかる併用療法は協力して、抗癌免疫応答を高めるように作用する。ある種のウイルスもまた、免疫チェックポイント経路を取り込む、発展したメカニズムを有する。したがって、ある種の実施形態において、かかる併用療法を使用して、抗ウイルス免疫応答を高めてよい。
免疫チェックポイント阻害剤としては、統計学的、臨床的、または生物学的に有意な方法で、免疫系の阻害経路をブロックまたは阻害する任意の作用物質が挙げられる。かかる阻害剤としては、低分子阻害剤を挙げてもよいし、または、免疫チェックポイント受容体に結合してこれをブロックもしくは阻害する、抗体もしくはその抗原結合断片、または、免疫チェックポイント受容体リガンドに結合してこれをブロックもしくは阻害する抗体を含んでよい。ブロッキングまたは阻害のために標的化され得る、例示的な免疫チェックポイント分子としては、CTLA−4、4−1BB(CD137)、4−1BBL(CD137L)、PDL1、PDL2、PD1、B7−H3、B7−H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、TIM3、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4(CD2ファミリーの分子に属し、NK、γδ、及びメモリーCD8+(αβ)T細胞上全てに発現する)、CD160(BY55とも称される)、並びにCGEN−15049が挙げられるが、これらに限定されない。免疫チェックポイント阻害剤としては、抗体、もしくはその抗原結合断片、または、CTLA−4、PDL1、PDL2、PD1、B7−H3、B7−H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、TIM3、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4、CD160及びCGEN−15049の1つ以上に結合し、かつこれらの活性をブロックもしくは阻害する、他の結合タンパク質が挙げられる。例示的な免疫チェックポイント阻害剤としては、トレメリムマブ(CTLA−4遮断抗体)、抗OX40、PD−L1モノクローナル抗体(抗B7−H1;MEDI4736)、MK−3475(PD−1遮断剤)、ニボルマブ(抗PD1抗体)、CT−011(抗PD1抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PDL1抗体)、BMS−936559(抗PDL1抗体)、MPLDL3280A(抗PDL1抗体)、MSB0010718C(抗PDL1抗体)、及びヤーボイ/イピリムマブ(抗CTLA−4チェックポイント阻害剤)が挙げられる。
更なる実施形態において、本明細書のアジュバント組成物を、サイトカインと組み合わせて投与する。「サイトカイン」とは、ある細胞集団より放出される、別の細胞上で細胞内メディエーターとして作用するタンパク質に関する総称を意味する。かかるサイトカインの例としては、リンホカイン、モノカイン、及び従来のポリペプチドホルモンがある。サイトカインに含まれるものとしては、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン及びウシ成長ホルモン等の成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体形成ホルモン(LH)等の糖タンパク質ホルモン;肝細胞増殖因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子α及びβ;ミュラー管抑制因子;マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF−β等の神経成長因子;血小板増殖因子;TGF−α及びTGF−β等のトランスホーミング増殖因子(TGF);インスリン様成長因子I及びII;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロンα、β及びγ等のインターフェロン;マクロファージCSF(M−CSF)等のコロニー刺激因子(CSF);顆粒球マクロファージCSF(GM−CSF);並びに顆粒球CSF(G−CSF);インターロイキン(IL)、例えばIL−1、IL−1α、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−15、腫瘍壊死因子(例えばTNF−αまたはTNF−β);並びに、LIF及びkitリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子がある。本明細書で使用する場合、サイトカインという用語は、天然源または組み換え細胞培養液からのタンパク質、及び天然配列サイトカインの生物学的に活性な等価物を含む。
ある種の実施形態において、本明細書に記載したアジュバントを含む組成物は、エンドソームの酸性化を防止し、腫瘍細胞により誘発される自食作用を阻害して、細胞増殖の加速、及び栄養分の不足を切り抜けさせるリソソーム作用剤である、クロロキンまたはヒドロキシクロロキンと組み合わせて投与してもよい。更に一般的には、本明細書に記載したアジュバントを含む組成物を、クロロキン、ミソニダゾール、メトロニダゾール、及び低酸素細胞毒素(例えばチラパザミン)等の自食作用阻害剤、放射線増感剤または化学増感剤として作用する治療薬と組み合わせて投与してよい。これに関し、クロロキンまたは他の放射線もしくは化学増感剤、もしくは自食作用阻害剤とのかかる組み合わせを、他の癌治療薬または放射線療法と更に組み合わせて使用することができる。
別の実施形態において、本明細書に記載したアジュバントを含む組成物を、「免疫原性細胞死」と称される、免疫応答の同時活性化による腫瘍細胞の殺傷をもたらすことが既知の低分子剤(シクロホスファミド、ドキソルビシン、オキサリプラチン及びマイトキサントロン等)と組み合わせて投与してもよい。更に、パツピロン(patupilone)(エポチロンB)、上皮成長因子受容体(EGFR)標的化モノクローナル抗体7A7.27、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えばボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、ベリノスタット、及びエンチノスタット)、n3−ポリ不飽和脂肪酸ドコサヘキサエン酸、更にはプロテアソーム阻害剤(例えばボルテゾミブ)、シコニン(Lithospermum erythrorhizonの根の主要成分)、及び腫瘍崩壊ウイルス(例えばTVec:(タリモゲンタヘルパレプベツ:talimogene laherparepvec))等の、腫瘍細胞の免疫原性を高めることが知られている作用物質との組み合わせ。他の実施形態では、本明細書に記載したアジュバントを含む組成物は、局所的または全身に投与してよい、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えばデシタビン、5−アザ−2’−デオキシシチジン)等のエピジェネティック治療薬と組み合わせて投与してよい。
別の実施形態において、本明細書に記載したアジュバント組成物は、DCによる、腫瘍のADCC取り込みを増加させる1つ以上の抗体と組み合わせて投与してよい。したがって、本発明は、GLAを含む組成物を、抗原提示細胞、及びその後の、腫瘍抗原の免疫系への提示による、腫瘍細胞の摂食を誘発するかまたは向上させる任意の分子、またはその断片と組み合わせることを企図する。これらの分子は、受容体(Fcまたはマンノース受容体)結合を誘発し、例えば抗体、抗体様分子、多特異的多価分子及びポリマー等を抗原提示細胞に輸送する作用物質を含む。かかる分子は、GLAを含む組成物と共に腫瘍内投与されるか、異なる経路で投与されるかのいずれかであってよい。例えば、本明細書に記載した、GLAを含む組成物は、リツキシマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、キャンパス、パニツムマブ、オファツムマブ、ブレンツキシマブ、ペルツズマブ、アドトラスツズマブエムタンシン、オビヌツズマブ、抗HER1、HER2、もしくはHER3抗体(例えばMEHD7945A;MM−111;MM−151;MM−121;AMG888)、抗EGFR抗体(例えばニモツズマブ、ABT−806)、または他の同様の抗体の腫瘍内注射と共に腫瘍内投与されてよい。内部移行を誘発可能なFc受容体及び他の受容体と関与可能な任意の多価足場(例えば、受容体を関与させることができるFc断片またはポリマーに結合した標的を結合可能なペプチド及び/またはタンパク質)を、本明細書で記載される併用療法で使用してよい。
ある種の実施形態において、かかる抗体とアジュバントとの組み合わせを、更に、共刺激シグナルを(例えば、阻害経路をブロックすることにより)促進する抗体、例えば抗CTLA−4、または共刺激経路を活性化する抗体、例えば抗CD40、抗CD28、抗ICOS、抗OX40、抗CD27抗体等と組み合わせてもよい。
アジュバントを含む組成物を、単独で、または、他の既知の癌治療、例えば放射線治療、免疫チェックポイント阻害剤、化学療法または他の癌治療剤、組織移植、免疫療法、ホルモン療法、光線力学的治療と組み合わせて投与してよい。組成物は、抗生物質と組み合わせて投与されてもよい。
本明細書で記載される実施形態の組み合わせにおいて、本明細書で記載されるアジュバントと組み合わせて用いられる治療薬を別々の組成物として投与してもよいし、または、本明細書で記載されるアジュバントと同一の組成物中で投与してもよい。ある種の実施形態において、併用療法が同一部位において同時に投与されるが、異なる時間で(アジュバント組成物の前後)、かつある特定の場合には異なる部位で投与されてもよい。
免疫原を含む組成物、または、免疫原をコードする組み換え発現ベクター、もしくはベクターを含むベクター粒子を含む組成物をパッケージングし、アジュバントを含有するものとは異なるバイアル瓶に供給する。各組成物と共に、適切なラベルを通常パッケージングして意図する治療用途を示す。アジュバント及び/または賦形剤の選択は、免疫原、組み換え発現ベクター、及び/またはベクター粒子の安定性;投与経路;投与スケジュール;並びに、免疫付与される種に対するアジュバントの有効性に依存する。ヒトへの投与に関し、製薬上許容できるアジュバントは、関係する規制機関により、ヒトへの投与が承認されているか、または承認可能であるものである。例えば、本明細書で論じられるように、及び、当該技術分野において公知であるとおり、完全フロイントアジュバントはヒトへの投与に適していない。
本明細書に記載される方法において有用であるアジュバントは、アジュバントが投与される対象に対して生理学的または薬学的に好適なアジュバントである。アジュバント組成物は、少なくとも1つのアジュバント(即ち1つ以上のアジュバント)、及び所望により、少なくとも1つの生理学的または薬学的に好適な(または許容される)賦形剤を含む。医薬組成物での使用に関して当業者に知られている、任意の生理学的または薬学的に好適な賦形剤またはキャリア(即ち、有効成分の活性に干渉しない非毒性物質)を、本明細書で記載されるアジュバント組成物に用いてよい。代表的賦形剤としては、アジュバント成分(複数可)の安定性及び完全性を維持する希釈剤及びキャリアが挙げられる。治療のために使用する賦形剤は周知であり、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy(Gennaro,21st Ed.Mack Pub.Co.,Easton,PA(2005))に記載されており、本明細書でより詳細に記載されている。
免疫原及び免疫原性組成物
これらの方法で使用してよい免疫原としては、特異的免疫応答の誘発が望ましい任意の免疫原が挙げられる。免疫原は、体液性応答(即ち、B細胞応答)もしくは細胞性応答(細胞障害性T細胞応答を含む)、または両方を誘発することが可能である。特に、本明細書の方法での使用が企図されている免疫原は、1つ以上の発癌性ウイルス抗原を含む。ある種の実施形態において、免疫原は、1つ以上の発癌性ウイルス抗原、及び1つ以上の腫瘍関連抗原を含む。ある種の実施形態において、1つ以上の発癌性ウイルス抗原を、プライム−プル免疫付与のための免疫原として使用する。別の実施形態において、1つ以上の発癌性ウイルス抗原はプライムでの免疫原であり、1つ以上の腫瘍関連抗原は、局所投与されるプル用の免疫原である。ある種の実施形態において、1つ以上の発癌性ウイルス抗原及び1つ以上の腫瘍関連抗原は、プライムでの免疫原として使用され、1つ以上の発癌性ウイルス抗原及び1つ以上の腫瘍関連抗原は、プル用に局所投与される免疫原として使用される。特定の実施形態では、アジュバント組成物(「プル」組成物)は免疫原を含まないか、実質的に欠いている。
細胞性免疫反応は、ヘルパーT細胞応答(例えばCD4 T細胞応答)、もしくは細胞障害性Tリンパ球応答(例えばCD8 T細胞応答)、または両方を含み、この応答は、免疫原を産生または発現する、細胞(例えば腫瘍細胞、細菌細胞、ウイルス、寄生生物、もしくは真菌細胞)または感染粒子(例えばウイルス粒子)を破壊、または損傷し得る。体液性応答もしくは細胞性免疫反応、または両方が免疫付与した対象にとって有益である、癌の誘発と関係する発癌性ウイルスからの任意の抗原を、免疫原として使用することができる。発癌性ウイルス抗原は、当技術分野において既知である。抗原は、以前に発癌性ウイルスから同定された抗原であってもよく、または、当該技術分野において公知の任意の方法で同定されてよい。例えば、患者が患っている癌の種類と関係のある発癌性ウイルスからの抗原は既知であってもよく、または、当該技術分野において公知の種々の方法のいずれかにより、発癌性ウイルス、もしくは腫瘍そのものから同定されてもよい。1つ以上のかかる発癌性ウイルス抗原は、本明細書に記載したウイルス誘発性癌の免疫治療法にとって有用であり得る。代表的な発癌性ウイルスとしては、EBV、HPV、HBV、HCV、HTLV、及びKSHVが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用可能な、発癌性ウイルスからの代表的なウイルス性抗原としては、EBV:EBNA−1、LMP−1、LMP−2A;HPV:E6、E7、E5;HBV:HBx;HCV:Core、NS3、Ns5A;HTLV:Tax、HBZ;KSHV:vFLIP、LANA、vGPCR、vIRF−1が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、組み換え発現ベクターを含む、本明細書で記載されるベクター粒子を使用して、これらの免疫原を抗原提示細胞、特に樹状細胞に送達してよい。
ある種の実施形態において、免疫原は発癌性ウイルスからの抗原、及び腫瘍関連抗原を含む。癌、例えば膀胱癌もしくはメルケル細胞癌、または本明細書に記載した他のウイルス誘発性癌と関係のある抗原が、当該技術分野において周知である。かかる抗原は、癌に関係することが予め知られていてもよいし、または、当該技術分野において公知の任意の方法によって同定されてよい。例えば、患者が患っている癌の種類と関係のある抗原、例えば腫瘍関連抗原は既知であってもよいし、または、当該技術分野において公知の種々の方法のいずれかにより、腫瘍そのものから同定されてもよい。ある種の実施形態において、免疫原は癌細胞(即ち腫瘍細胞)に由来する腫瘍関連抗原(本明細書では腫瘍抗原とも呼ばれる)であり、1つ以上のかかる腫瘍抗原は、ウイルス誘発性癌の免疫治療法に有用であり得る。
本明細書に記載した免疫原として有用であり得る、それ故に任意の癌(膀胱癌または他の泌尿生殖器癌を含む)として有用であり得る腫瘍抗原としては、腫瘍関連抗原の発現、例えばHER−2/neuの発現を特徴とする癌に由来する腫瘍抗原が挙げられる。免疫原として使用してよい腫瘍関連抗原としては、系統特異的腫瘍抗原、例えばメラノサイト黒色腫系統抗原であるMART−1/Melan−A、gp100、gp75、mda−7、チロシナーゼ及びチロシナーゼ関連タンパク質が挙げられる。例示的な腫瘍関連抗原としては、NY−ESO−1、LAGE−1、CT7、CT10、MAGE1、3、及びMAGE4(もしくは、国際特許出願公開第WO99/40188号に開示されているもの等の、他のMAGE抗原)、PRAME;BAGE;RAGE、Lage(NY ESO 1としても知られている);SAGE;及びHAGE(例えば国際特許出願公開第WO99/53061号を参照)、またはGAGE、p53、Ras、c−Myc、細胞質セリン/スレオニンキナーゼ(例えばA−Raf、B−Raf、及びC−Raf、サイクリン依存性キナーゼ)、MAGE−A1、MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A6、MAGE−A10、MAGE−A12、MART−1、BAGE、DAM−6、−10、GAGE−1、−2、−8、GAGE−3、−4、−5、−6、−7B、MPHOSPH1(M期リンタンパク質−1)、DEPDC1(DEPドメイン含有−1タンパク質)、デコリン、癌胎児性タンパク質IMP3、ポリオーマウイルスBK T抗原、NA88−A、MART−1、MC1R、Gp100、PSA、PSM、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2、ART−4、CAMEL、CEA、Cyp−B、hTERT、hTRT、iCE、MUC1、MUC2、ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)、TRK受容体、PRAME、P15、RU1、RU2、SART−1、SART−3、ウィルムス腫瘍抗原(WT1)、AFP、β−カテニン/m、カスパーゼ−8/m、CEA、CDK−4/m、ELF2M、GnT−V、G250、HSP70−2M、HST−2、KIAA0205、MUM−1、MUM−2、MUM−3、ミオシン/m、RAGE、SART−2、TRP−2/INT2、707−AP、アネキシンII、CDC27/m、TPI/mbcr−abl、BCR−ABL、インターフェロン制御因子4(IRF4)、ETV6/AML、LDLR/FUT、Pml/RARα、腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1(TACSTD1)TACSTD2、受容体型チロシンキナーゼ(例えば上皮成長因子受容体(EGFR)(特に、EGFRvIII)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、血管内皮成長因子(VEGFR))、細胞質チロシンキナーゼ(例えばsrc−ファミリー、syk−ZAP70ファミリー)、インテグリン結合キナーゼ(ILK)、シグナル伝達兼転写活性化因子STAT3、STAT5、及びSTAT6、低酸素誘導因子(例えばHIF−1α及びHIF−2α)、核因子κB(NF−κB)、ノッチ受容体(例えばノッチ1〜4)、c−Met、ラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)、WNT、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)、及びこれらの調節サブユニット、PMSA、PR−3、MDM2、メソテリン、腎細胞癌−5T4、SM22−アルファ、カルボニックアンヒドラーゼI(CAI)及びIX(CAIX)(G250としても知られている)、STEAD、TEL/AML1、GD2、プロテイナーゼ3、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、ML−IAP、EpCAM、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、RhoC、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、GLoboH、NY−BR−1、RGs5、SART3、STn、PAX5、OY−TES1、精子タンパク質17、LCK、HMWMAA、AKAP−4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、TIE2、Page4、MAD−CT−1、FAP、MAD−CT−2、fos関連抗原1、及びイディオタイプのいずれか1つ以上に由来するかまたはこれらを含む腫瘍抗原が挙げられるが、これらに限定されない。
代表的な腫瘍、または腫瘍細胞由来の膀胱癌抗原としては、癌精巣抗原(CTA)、NY−ESO−1、LAGE−1、MAGE−A1、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A10、CT7、CT10、及びGAGE;MAGE1、3、及びMAGE4(もしくは、国際特許出願公開第WO99/40188号に開示されているもの等の、他のMAGE抗原)、PRAME;BAGE;RAGE、Lage(NY ESO 1としても知られている);SAGE;及びHAGE(例えば、国際特許出願公開WO第99/53061号を参照)、またはGAGE(Robbins et al.,Curr.Opin.Immunol.8:628−36(1996);Van den Eynde et al.,Int.J.Clin.Lab.Res.27:81−86(1997);Van den Eynde et al.,Curr.Opin.Immunol.9:648−93(1997);Correale et al.J.Natl.Cancer Inst.89:293(1997)が挙げられる。更に、最近同定された、膀胱癌内で非常に発現し、患者内でCTL応答を誘発可能な癌タンパク質MPHOSPH1(M期リンタンパク質−1)、及びDEPDC1(DEPドメイン含有−1タンパク質)(Obara,W.,et al.,Jpn J Clin Oncol.2012 Jul;42(7):591−600)、及び、膀胱癌細胞の侵襲性が示唆されているデコリン(El Behi,M.,et al.,EMBO Mol Med.2013 Dec;5(12):1835−51)。更に、癌胎児性タンパク質IMP3及びMAGE−A(Xylinas,E.,et al.,J Urol.2013 Aug 28.pii:S0022−5347(13)05275−0)並びにポリオ−マウイルスBK T抗原(Alexiev,B.A.,et al.,Hum Pathol.2013 May;44(5):908−17)。
免疫原としてはまた、腫瘍細胞内で突然変異した遺伝子、または通常の細胞と比較して、腫瘍細胞内で異なるレベルで転写された遺伝子に由来するエピトープ領域またはエピトープペプチドを含む腫瘍抗原、例えばテロメラーゼ酵素、スルビビン、メソテリン、突然変異RAS、bcr/abl再配列、Her2/neu、変異または野生型p53、シトクロムP450 1B1、及び異常発現したイントロン配列(例えばN−アセチルグルコサミン転移酵素−V);骨髄腫及びB細胞リンパ腫内で独自のイディオタイプを産生する免疫グロブリン遺伝子のクローン再配列;オンコウイルスプロセスに由来するエピトープ領域またはエピトープペプチドを含む腫瘍抗原(例えばヒトパピローマ・ウイルスタンパク質E6及びE7);エプスタインバーウイルスタンパク質LMP2;腫瘍選択的発現を有する非変異型癌胎児性タンパク質(例えば癌胎児性抗原及びαフェトプロテイン)も含まれる。Boon et al.,Ann.Rev.Immunol.12:337−65(1994);Renkvist et al.,Cancer Immunol.Immunother.50:3−15(2001)もまた参照のこと。
免疫原はまた、発癌性ウイルスタンパク質の、少なくとも1つの免疫原性断片を含むかまたはそれで構成される、発癌性ウイルス抗原も含む。
免疫原性ポリペプチドの少なくとも1つの免疫原性断片を含むポリペプチドは、本明細書に記載したアジュバントと共に投与される、かつ/または本明細書で記載される組み換え発現ベクターによりコードされる免疫原として使用してよい。免疫原性断片は、少なくとも1つのT細胞エピトープ、または少なくとも1つのB細胞エピトープを含む。免疫原性断片は、少なくとも8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100個、またはそれ以上の、免疫原性ポリペプチドの連続アミノ酸から構成されてよい。免疫原性断片は、直鎖エピトープを形成する十分な数の連続アミノ酸を含んでよいし、または、断片を、断片が由来する完全長ポリペプチドと同一(または十分に類似した)三次元構造にフォールディングし、(1つまたは複数の)非直線状エピトープ(当該技術分野においては立体構造エピトープとも称される)を提供することが可能な、十分な数の連続アミノ酸を含んでもよい。ポリペプチド断片の三次元構造は、結合能、及び完全長ポリペプチドに特異的に結合する抗体の結合量が、完全長ポリペプチドの断片と実質的に同一である場合、完全長ポリペプチドに十分に類似している。
免疫原性断片が、完全長ポリペプチドに相当する構造にフォールディングされたかどうかを評価するためのアッセイとしては、例えば、タンパク質が、ネイティブなまたはフォールディングされていないエピトープに特異的なモノまたはポリクロナール抗体と反応する能力、他のリガンドを結合する機能の保持、及び、ポリペプチド断片の、プロテアーゼによる消化に対する感受性または耐性が挙げられる(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY(2001)を参照)。エピトープ領域を識別するための更なる方法としては、Hoffmeister et al.,Methods 29:270−281(2003);Maecker et al.,J. Immunol. Methods 255:27−40(2001)に記載されている方法が挙げられる。エピトープを識別するためのアッセイは本明細書で記載されており、当事者に既知であって、例えば、Current Protocols in Immunology,Coligan et al.(Eds),John Wiley & Sons,New York,NY(1991)に記載されているものが挙げられる。
対象の免疫原性領域、及び/または免疫原のエピトープの識別は、当業者により日常的に実践されている方法及び技術を使用して、当業者により、または、コンピューター分析及びコンピュータモデリングにより、実験的に容易に測定可能である。実験方法としては、例えば、タンパク質の特定の長さの連続アミノ酸を含むポリペプチド断片の合成、または、1つ以上のプロテアーゼを使用した断片の作製、及びその後、断片の免疫原性を、当該技術分野において日常的に実践されている、多数の結合アッセイまたはイムノアッセイ法のいずれか1つを用いた測定が挙げられる。断片に特異的に結合する抗体(ポリクロナール、モノクロナール、またはその抗原結合断片)の能力を測定するための代表的な方法としては、ELISA、ラジオイムノアッセイ、イムノブロット、競合結合アッセイ、蛍光標示式細胞分取器分析(FACS)、及び表面プラズモン共鳴が挙げられるが、これらに限定されない。
対象のポリペプチド、またはその免疫原性断片の三次元構造の測定は、免疫原性断片が、完全長ポリペプチドに見出されるアミノ酸の空間位置を保持しているかどうかを測定するための、定常的な方法論により測定してよい。例えば、Bradley et al.,Science 309:1868−1871(2005);Schueler−Furman et al.,Science 310:638(2005);Dietz et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 103:1244(2006);Dodson et al.,Nature 450:176(2007);Qian et al.,Nature 450:259(2007)を参照のこと。当該技術分野において入手可能なものとしてはまた、ソフトウエアツール、例えば、細胞膜を貫通することが知られている、またはそのように考えられているポリペプチドの、膜貫通部分及び膜トポロジーを予想するのに有用である、PSORTまたはPSORT II、及びSpscan(Wisconsin Sequence Analysis Package,Genetics Computer Group)もある(例えば、Nakai et al.,Trends Biochem.Sci.24:34−36(1999)を参照)。
上述の技術とは別に、またはこれらと組み合わせて、及び対象ポリペプチドの代表的なアミノ酸配列を考慮して、当業者は、ポリペプチドの潜在的なエピトープを識別することができる(例えば、Jameson and Wolf, Comput.Appl.Biosci.4:181−86(1988)を参照)。別の例として、Hopp及びWoodsは親水性法について説明しており、この方法は、ポリペプチド領域の親水性と、その抗原性との密接な相関を実験的に立証していることに基づいている(例えば、Hopp,Pept.Res.6:183−90(1993);Hofmann et al.,Biomed.Biochim.Acta 46:855−66(1987)を参照)。コンピュータープログラムもまた、B細胞またはT細胞エピトープの識別に利用可能である。EPIPLOTと呼ばれるBASICプログラムは、13の異なるスケールを使用して、柔軟性、親水性及び抗原性プロファイルを計算及びプロットすることにより、タンパク質の一次構造から、その中にあるB細胞抗原性部位を予測する(例えば、Menendez et al.,Comput.Appl.Biosci.6:101−105(1990)を参照)。また、Van Regenmortel,Methods:a companion to Methods in Enzymology,9:465−472(1996);Pellequer et al.,“Epitope predictions from the primary structure of proteins,”In Peptide antigens:a practical approach(ed.G.B.Wisdom),pp.7−25;Oxford University Press,Oxford(1994);Van Regenmortel,“Molecular dissection of protein antigens”In Structure of antigens(ed.M.H.V. Van Regenmortel),Vol.1,pp.1−27.CRC Press,Boca Raton(1992)等も参照のこと。
免疫原のT細胞エピトープはまた、Rammenseeら(Immunogenetics 50:213−219(1999))により開発されたアルゴリズムをベースにするペプチドモチーフ調査プログラムを使用して、Parkerら(上述)により、または、Doytchinova and Flower in Immunol.Cell Biol.80(3):270−9(2002);Blythe et al.,Bioinformatics 18:434−439(2002);Guan et al.,Applied Bioinformatics 2:63−66(2003);Flower et al.,Applied Bioinformatics 1:167−176(2002);Mallios,Bioinformatics 17:942−48(2001);Schirle et al.,J.Immunol.Meth.257:1−16(2001)により説明されているもの等の方法を用いて識別してもよい。T細胞エピトープはまた、当該技術分野において公知のスクリーニングアッセイ、例えば、重複ペプチドのプールを用いて、in vitroでT細胞を刺激し、細胞増殖を測定するアッセイ(増殖アッセイ)、及び/または細胞毒性殺傷を測定するアッセイ(CTLアッセイ)を使用して識別されてもよい。
本明細書に記載される方法において免疫原として使用され得る、腫瘍または発癌性ウイルス抗原のエピトープ領域も、当該技術分野において説明されている。例えば、Lamb et al.,Rev.Infect.Dis.Mar−Apr:Suppl 2:s443−447(1989);Lamb et al.,EMBO J.6:1245−49(1987);Lamb et al.,Lepr.Rev.Suppl 2:131−137(1986);Mehra et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:7013−27(1986);Horsfall et al.,Immunol.Today 12:211−13(1991);Rothbard et al.,Curr.Top.Microbiol.Immunol.155:143−52(1990);Singh et al.,Bioinformatics 17:1236−37(2001);DeGroot et al.,Vaccine 19:4385−95(2001);DeLalla et al.,J.Immunol.163:1725−29(1999);Cochlovius et al.,J.Immunol.165:4731− 41(2000);Consogno et al.,Blood 101:1039−44(2003);Roberts et al.,AIDS Res.Hum.Retrovir.12:593−610(1996);Kwok et al.,Trends Immunol.22:583−88(2001);Novak et al.,J.Immunol.166:6665−70(2001)を参照のこと。
抗原特異的T細胞系またはクローンが利用可能である特定の場合には、例えば腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、ウイルス特異的または細菌特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)といった細胞を使用して特異的抗原により調製した標的細胞を用いて、関係のあるエピトープの存在をスクリーニングしてよい。かかる標的は、CTLによる細胞溶解のために標的細胞を感作させるのに使用される、無作為の、または選択された合成ペプチドライブラリーを使用して調製可能である。T細胞系またはクローンを利用可能な場合に関係するエピトープを識別するための別のアプローチは、組み換えDNA方法論を用いることである。CTLに感染しやすい標的からの遺伝子またはcDNAライブラリーをまず調製し、感染しにくい標的細胞にトランスフェクションする。これにより、CTLエピトープを含有するペプチドのタンパク質前駆体をコードする遺伝子の識別、及びクローニングが可能になる。本プロセスの第2のステップは、少なくとも1つのCTLエピトープをコードする領域を狭めるために、関係するクローン遺伝子から短縮された遺伝子を調製することである。このステップは、遺伝子が大きすぎない場合に任意選択的である。第3のステップは、例えば、CTLに対して標的を感作させるために使用される、約10〜20個の長さのアミノ酸(5〜10個の残基が重複している)の合成ペプチドを調製することである。(1つまたは複数の)ペプチドが関係するエピトープを含有することが示される場合、かつ所望する場合、より小さなペプチドを調製して、エピトープを含有する最小サイズのペプチドを構築してよい。これらのエピトープは通常、CTLエピトープについては9〜10個の残基中、及び、ヘルパーTリンパ球(HTL)エピトープについては20〜30個以下の残基中に含有されるが、必ずしもそうではない。
あるいは、エピトープは、特定の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子により非共有結合しているペプチドの直接溶出、続いて、溶出したペプチド類のアミノ酸シーケンシングによって規定されてもよい(例えば、Engelhard et al.,Cancer J.2000 May;6 Suppl 3:S272−80を参照)。手短に言えば、溶出したペプチドを、HPLC等の精製法を用いて分離し、個々の画分を、CTL細胞溶解に対して標的を感作する能力、または、HTL内でサイトカイン分泌の増加を誘発する能力について試験する。画分がペプチドを含有していると同定された場合、これを更に精製し、配列分析に通す。ペプチド配列はまた、タンデム質量分析を用いて決定することもできる。次いで、合成ペプチドを調製し、CTLまたはHTLに関して試験し、正しい配列及びペプチドが同定されたことを確認する。
Th応答を誘発する潜在能を有するペプチドモチーフについて調査するTsitesプログラム等のコンピューター分析を使用して、エピトープを同定してもよい(例えば、Rothbard and Taylor,EMBO J.7:93−100,1988;Deavin et al.,Mol.Immunol.33:145−155,1996を参照)。マウス及びヒトクラスIまたはクラスII MHCに結合するのに好適なモチーフを有するCTLペプチドを、BIMAS(Parker et al.,J.Immunol.152:163,1994)、及び他のHLAペプチド結合予測分析に従い同定してよい。手短に言えば、例えば微生物成分もしくは抗原、または腫瘍細胞成分もしくは腫瘍抗原からのタンパク質配列を、MHC結合モチーフの存在について調査する。各MHC対立遺伝子に存在するこれらの結合モチーフは、通常は9〜10個の長さの残基であるMHCクラスI結合ペプチドに対して、一般に2(または3)位、及び9(または10)位に存在する、保存アミノ酸残基である。次いで、MHC結合モチーフを有するこれらの配列を含む合成ペプチドを調製し、その後、かかるペプチドを、MHC分子への結合能について試験する。MHC結合アッセイは、多量の空の(占有されていない)MHC分子を発現する細胞を使用する(細胞結合アッセイ)か、または精製MHC分子を用いるかのいずれかにより、実施することができる。最後に、MHC結合ペプチドを、ヒトリンパ球を使用してin vitroで、またはHLAトランスジェニック動物を使用してin vivoで、ナイーブ個体でのCTL応答を誘発する能力について試験する。これらのCTLを、ペプチド感作標的細胞、及び、自然に抗原を処理する標的(例えばウイルス感染細胞または腫瘍細胞)を使用して、試験する。免疫原性を更に確認するために、HLA A2トランスジェニックマウスモデル、及び/または種々のin vitro刺激アッセイのいずれかを使用して、ペプチドを試験してよい。
ある種の実施形態において、免疫原(即ち、発癌性ウイルス抗原または腫瘍関連抗原)は、既知であり、対応する免疫原に対して当該技術分野において入手可能なアミノ酸配列に、1つ以上のアミノ酸置換、挿入、または欠失を有するポリペプチド種を含む。アミノ酸の保存的置換は周知であり、ポリペプチド内で自然に生じてもよいし、または、ポリペプチドを組み換えにより作製する際に導入してよい。アミノ酸置換、欠失、及び付加を、周知であり、日常的に実践される突然変異誘発法を用いてポリペプチド内に導入してよい(例えば、Sambrook etal.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY 2001)を参照)。オリゴヌクレオチド指定部位特異的(または部分特異的)突然変異誘発の手順を用いて、所望の置換、欠失または挿入に従って変更した特定のコドンを有する、改変ポリヌクレオチドを提供してよい。免疫原の欠失または切断変異体もまた、所望の欠失に隣接する、便利な制限エンドヌクレアーゼ部位を用いて構築してよい。制限の後にはオーバハングを入れ、DNAを再びライゲーションしてよい。あるいは、ランダム突然変異誘発技術(例えばアラニンスキャニング突然変異誘発、エラープローン(error prone)ポリメラーゼ連鎖反応突然変異誘発、及びオリゴヌクレオチド指定突然変異誘発)を使用して、免疫原ポリペプチド変異体を調製してよい(例えば、上述のSambrookを参照)。特定の免疫原の変異体(またはそのポリペプチド断片)は、当該技術分野において公知の代表的なアミノ酸配列のいずれかに、少なくとも85%、90%、95%、または99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド免疫原を含む。
これらのポリペプチド免疫原変異体は統計学的、臨床的、または生物学的に有意な方法で、対象における、免疫応答(例えば体液性応答(即ちB細胞応答))、細胞性応答(即ちT細胞応答(細胞障害性Tリンパ球応答を含む))、または体液性及び細胞性応答の両方を誘発する能力を維持する。多くの分子生物学、タンパク質発現、及びタンパク質単離技術、並びにポリペプチド内に突然変異を導入するための、ポリペプチド断片を調製するための、断片及び変異体を単離するための、並びに、それらを分析するための当該技術分野において日常的に実践される方法を考慮すると、免疫応答を誘発する所望の能力を有する、同一の免疫原ポリペプチド変異体及び断片を、速やかかつ過度な実験をすることなく作製することができる。
当業者に既知の種々の基準は、ペプチドまたはポリペプチドの特定の位置で置換されているアミノ酸が保存的である(または類似している)かどうかを示している。例えば、類似のアミノ酸または保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基と置換されているものである。類似のアミノ酸は、以下のカテゴリーに含まれてよい:塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン);酸性側鎖を有するアミノ酸(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸);非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、ヒスチジン);非極性側鎖を有するアミノ酸(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン);β分岐側鎖を有するアミノ酸(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン);及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン)。分類が一層難しいと考えられているプロリンは、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(例えばロイシン、バリン、イソロイシン、及びアラニン)と性質を共有している。ある特定の状況において、グルタミン酸のグルタミンへの置換、またはアスパラギン酸のアスパラギンへの置換は、グルタミン及びアスパラギンが、それぞれグルタミン酸及びアスパラギン酸のアミド誘導体であるという点で、類似の置換と考えてよい。当該技術分野において理解されているように、2つのポリペプチドの「類似性」は、ポリペプチドのアミノ酸配列、及びその保存アミノ酸置換を、第2のポリペプチドの配列と(例えば、GENEWORKS、Align、BLASTアルゴリズム、または本明細書で記載され、当該技術分野において実践される他のアルゴリズムを用いて)比較することにより決定される。
免疫原性断片に関して本明細書に記載されるように、それぞれの変異体が、変異体でないポリペプチドまたは断片に相当する構造にフォールディングされるかどうかを評価するアッセイとしては、例えば、タンパク質が、ネイティブなまたはフォールディングされていないエピトープに特異的なモノまたはポリクロナール抗体と反応する能力、リガンド結合機能の保持、及び、変異タンパク質の、プロテアーゼによる消化に対する感受性または耐性が挙げられる(上述のSambrookを参照)。かかる変異体は、本明細書で記載される方法、または、当業者により日常的に実践されている、当該技術分野において公知の他の方法に従って同定、特性決定、及び/または作製することが可能である。
本明細書記載の方法に従い対象に投与される免疫原性組成物は、少なくとも1つの薬学的(または生理学的)に好適な賦形剤を含んでよい。医薬組成物での使用に関して当業者に知られている、任意の生理学的または薬学的に好適な賦形剤またはキャリア(即ち、有効成分の活性に干渉しない非毒性物質)を、本明細書で記載される免疫原性組成物に使用してよい。代表的賦形剤としては、タンパク質の安定性及び完全性を維持する希釈剤及びキャリアが挙げられる。治療のために使用する賦形剤は周知であり、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy(Gennaro,21st Ed.Mack Pub.Co.,Easton,PA(2005))に記載されており、本明細書でより詳細に記載されている。
癌を治療するための方法及び組成物
本明細書で記載される組成物のいずれかを、ヒトまたは動物の対象の治療方法に使用することができる。この方法は、組成物を、本明細書に記載した対象に投与することを含んでよい。
一実施形態では、所望により1つ以上の他の抗原と組み合わせて、癌関連抗原に特異的な免疫応答を誘発することにより癌を治療する方法を、本明細書において提供する。特に、本明細書において提供する方法は、組み換え発現ベクターを含むベクター粒子を含む組成物を、必要な対象に投与することにより免疫原に特異的な免疫応答を誘発することを含み、この組み換え発現ベクターは免疫原をコードするポリヌクレオチド(本明細書では第1組成物または免疫原性組成物とも称される)を含み、ポリヌクレオチドは少なくとも1つの制御発現配列に作用可能に結合している。同時に、または逐次的に、抗原を実質的に欠いている、薬学的に好適なアジュバントを含む第2組成物(本明細書ではアジュバント組成物とも称される)を対象に投与する。ある種の実施形態において、薬学的に好適なアジュバントを含む第2組成物は免疫原を含んでもよい。通常、第1の「プライム」組成物は(例えば皮内、筋肉内、または皮下注射により)全身投与され、第2組成物(例えばアジュバント組成物)は、腫瘍内、腫瘍周辺、リンパ節内、傍リンパ節内、粘膜または膀胱内等、局所投与される。
一実施形態では、所望により、癌が発癌性ウイルスに関連する腫瘍関連抗原を組み合わせた、発癌性ウイルス抗原に特異的な免疫応答を誘発することによりウイルス誘発性癌を治療する方法を、本明細書において提供する。特に、本明細書において提供する方法は、組み換え発現ベクターを含むベクター粒子を含む組成物を、必要な対象に投与することにより免疫原に特異的な免疫応答を誘発することを含み、この組み換え発現ベクターは免疫原をコードするポリヌクレオチド(本明細書では第1組成物または免疫原性組成物とも称される)を含み、ポリヌクレオチドは少なくとも1つの制御発現配列に作用可能に結合している。同時に、または逐次的に、薬学的に好適なアジュバントを含む第2組成物(本明細書ではアジュバント組成物とも称される)を対象に投与する。ある種の実施形態において、薬学的に好適なアジュバントを含む第2組成物は免疫原を含んでもよい。ある種の実施形態において、第1組成物は発癌性ウイルス抗原を含み、(例えば皮内、筋肉内、または皮下注射により)全身投与される。第2組成物(例えばアジュバント組成物)は、ある種の実施形態においては、腫瘍内または膀胱内等、局所投与され、所望により、本明細書に記載した発癌性ウイルス抗原、もしくは第1組成物中で投与される抗原、及び/または腫瘍関連抗原を含んでよい。
一実施形態では、組み換え発現ベクターを含むベクター粒子を含む組成物を、必要な対象に投与することにより免疫原に特異的な免疫応答を誘発することにより膀胱癌を治療する方法を本明細書において提供し、この組み換え発現ベクターは免疫原をコードするポリヌクレオチド(本明細書では第1組成物または免疫原性組成物とも称される)を含み、ポリヌクレオチドは少なくとも1つの制御発現配列に作用可能に結合している。同時に、または逐次的に、薬学的に好適なアジュバントを含む第2組成物(本明細書ではアジュバント組成物とも称される)を対象に投与する。
本明細書に記載される方法において、アジュバント組成物は、本開示の種々の実施形態に従いBCGを含んでもよいし、含んでいなくてもよい。アジュバント組成物は、アジュバントが免疫原に対する免疫応答を向上させるのに十分な時間及び方法で投与されてよい。すなわち、免疫原に特異的な免疫応答(即ち、体液性応答、細胞性応答、または体液性応答と細胞性応答の両方)の量が、アジュバントの不存在下で投与された場合の、免疫原に特異的な免疫応答の量と比較して、統計学的、臨床的、及び/または生物学的に有意な方法で、より大きい(または増加している)。抗原がアジュバントの不存在下で、検出可能な特異的免疫応答を誘発できないこれらの場合において、検出可能な特異的免疫応答が誘発されることは、免疫応答の向上を示す。他の実施形態では、アジュバント組成物は、アジュバントが、T細胞(例えば第1の免疫原性組成物の投与後に誘発されるCD8 T細胞)を、局所投与部位(例えば膀胱の腫瘍または粘膜)に動員するのに十分な時間及び方法で投与される。
本開示の種々の実施形態によると、第1の免疫原性組成物は、「プライミング」組成物、または所望により「プライム/ブースト」組成物として作用する(例えば、本明細書で有用なプライムブーストレジメンについて記載しているWO2012/141984を参照)。第1の免疫原性組成物は、ベクター粒子及び/または組み換え発現ベクター、並びに、所望により本明細書で記載されるTLRアゴニスト等のアジュバントを含む。本明細書に記載されるように、ベクター粒子/発現ベクター、及び所望によりアジュバントは、同一または異なった組成物であってよく、同一または異なる部位、時間、及び経路で投与されてよい。ある種の実施形態において、第2組成物、即ちアジュバント組成物は、アジュバント、及び所望によりBCGを含む。種々の実施形態によれば、アジュバント及びBCGは、同一または異なった組成物であってよく、同一または異なる部位、時間、及び経路で投与されてよい。ある種の実施形態において、第2組成物、即ちアジュバント組成物は、アジュバント、並びに所望によりBCG、及び/または腫瘍関連抗原、例えば膀胱癌に関連する抗原を含む。
本明細書で記載されるプライム−プル免疫付与法、及び免疫原性組成物を使用して免疫応答を誘発することは、種々の異なるレジメンを使用して達成されてもよい。免疫付与レジメンの代表的な、非包括的一覧としては、
a)免疫原をコードし発現する発現ベクターを含む第1組成物;並びに/または
b)免疫原をコードし発現する発現ベクター、及びアジュバントもまた含む第1組成物;
c)ex vivoで増殖され、キメラ抗原受容体により遺伝子組み換えされて、腫瘍関連抗原を認識する自己由来もしくは腫瘍抗原特異的T細胞(CAR−T細胞)、または、遺伝子組み換えされ、MHCとの関係において、癌関連エピトープを認識する特異的なキメラT細胞受容体を発現するT細胞(CAR−TCR細胞)を含む第1組成物;
を投与することを含み、a)またはb)またはc)は、(互いに関して)任意の順で複数回投与され、かつ、以下の第2組成物と異なる、または同一の投与部位及び経路において、同時に、または逐次的に投与されてよい。
i)免疫原を有しないアジュバントを含む組成物;
ii)BCGと共にアジュバントを含む組成物;
iii)免疫原と共にアジュバントを含む組成物;並びに/または
iv)免疫原及びBCGと共にアジュバントを含む組成物。
本明細書で記載される代表的なレジメンは「プライム−プル」レジメンと説明されているが、上で提供した組成物は、任意の順で複数回投与されてよく、また、異なる、または同一の投与部位及び経路にて同時に、逐次的に投与されてよいことが理解されるであろう。非限定的実施例として、本開示は、上記組成物a)またはb)またはc)のいずれかの「プライム」投与、所望により、上記組成物a)またはb)またはc)のいずれかの1つ以上の「ブースト」投与、及び、上記組成物i)〜iv)の「プル」投与を企図する。プライム、ブースト及びプル投与/組成物は任意の順で複数回投与されてよく、また、異なる、または同一の投与部位及び経路にて同時に、逐次的に投与されてよい。ある種の実施形態において、「ブースト」組成物は、免疫原、特定の実施形態においては、免疫原をコードし発現する第1組成物(プライム)内での発現ベクターにより発現される同一の免疫原を組み合わせた、本明細書に記載したアジュバントを含む。
ある種の実施形態において、本明細書記載の方法は、同一組成物中のアジュバント及び組み換え発現ベクターを投与することを含む。他の実施形態では、本明細書記載の方法は、2つの別の組成物中のアジュバント及び組み換え発現ベクターを、異なる時間、異なる部位、及び/または異なる投与経路のいずれかにより投与することを含む。ある種の実施形態において、対象の免疫原(複数可)をコードする組み換え発現ベクター、及びアジュバントを含むベクター粒子は、単一組成物中で組み合わされない。即ち、免疫原をコードする組み換え発現ベクターを含むベクター粒子を含む組成物(即ち免疫原性組成物)はアジュバントを欠いており、アジュバントを含む組成物は組み換え発現ベクターを欠いているか、または対象の免疫原をコードするベクターを含むベクター粒子を欠いている。本明細書記載の方法の他の特定の実施形態において、免疫原をコードするベクターを含む組成物、及びアジュバントを含む組成物が同時に(即ち、時を同じくして)投与される場合、各組成物は異なる部位に投与される。各組成物が異なる部位に投与される場合、各組成物は同一または異なる経路で投与されてよい。あるいは、各組成物は同一部位に異なる経路で投与されてよい。更なる実施形態では、同一組成物中のアジュバント及び組み換え発現ベクターが投与される。
ある種の実施形態において、「プル」組成物(例えばTLR4アゴニストを含む組成物)は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれ以上の局所部位に、同時または逐次的のいずれか(互いに同時にもしくは逐次的であるか、もしくは「プライム」投与に対して同時もしくは逐次的であるか、または両方)で投与されてよい。一例として、「プライム」投与により生み出された抗原特異的免疫応答は、好適なアジュバント(例えば本明細書で記載されるGLA等のTLR4アゴニスト)を含む組成物の局所(例えば腫瘍周囲または腫瘍内)投与により、原発腫瘍部位及び/または1つ以上の転移性腫瘍部位において、1つ以上の腫瘍に「プル」されることができる。更なる非限定的例としては、ある種の実施形態において、原発腫瘍部位は「プル」組成物の投与では到達不可能である場合があるが、1つ以上の転移性部位は到達可能であり得る。ある種の実施形態において、1つ以上の局所腫瘍部位での投与は、抗原特異的T細胞の、「プル」組成物が投与された腫瘍への浸潤を引き起こし、幾つかの実施形態においては、アブスコパル効果も観察され、これにより、1つの局所主要部位における投与が、離れた腫瘍部位でのT細胞の浸潤をも引き起こし、離れた腫瘍のサイズの低下を引き起こす。
ある種の実施形態において、免疫原性「プライム」組成物(例えば、癌関連抗原をコードするレンチウイルスベクターを含み、所望により1つ以上の他の抗原を含む組成物;または、養子移入したT細胞、抗原特異的もしくは遺伝子組み換えしたCAR−T細胞を含む組成物)、及び「プル」アジュバント組成物(例えばTLR4アゴニストを含む組成物)を、対象に同時投与する。「プライム」及び「プル」組成物が同時投与される場合、組成物は互いに5〜120分以内に投与される。ある種の実施形態において、免疫原性組成物(「プライム」)は、アジュバント組成物(「プル」)の1時間以内に投与される。通常、同時投与は短時間内に行われるが、これは患者及び臨床職員にとって安全な許容できる投与のために適しているからである。プライム組成物が養子移入したT細胞を含む実施形態において、T細胞を含む組成物の投与は、一定の期間にわたってよく(例えば、T細胞の投入は1時間、2時間または3時間にわたってよい)、プル組成物の同時投与は、細胞の投入の完了後に続くが、通常、投入の5〜120分後以内であるか、または患者にとって安全であれば、熟練の臨床医により決定される。
プライム及びプル組成物が同時投与される実施形態において、免疫原性組成物(プライム)はある経路(即ち第1経路)で投与されてよく、アジュバント組成物は第2の異なる経路で投与される。一実施形態では、プライム組成物は(例えば皮内、筋肉内または皮下注射により)全身投与され、プル組成物は局所(例えば腫瘍内、腫瘍周辺、リンパ節内、または膀胱内)投与される。第1及び第2経路が独立して選択される投与経路としては、局所、経口、経腸、鼻(即ち鼻腔内)、吸入、髄腔内、直腸、膣内、眼内、結膜下、舌下、皮内、経皮、または非経口的投与が挙げられ、皮下、経皮、静脈内、筋肉内、腫瘍内、リンパ節内、胸骨内、静脈洞内、膀胱内、管内(intrameatal)または尿道内注射または注入を含むが、これらに限定されない。更なるある種の特定の実施形態において、第1及び第2経路は異なり、それぞれ、非経口、経口、経腸、舌下、鼻腔内、筋肉内、皮内、皮下、腫瘍内、リンパ節内、経皮(percutaneous)、経皮(transdermal)、膀胱内及び局所から選択される。更に特定の実施形態において、第1及び第2経路は異なり、筋肉内、皮下、経皮、腫瘍内、リンパ節内、鼻孔内、膀胱内及び経口から選択される。更に別の実施形態において、第1の免疫原性組成物はアジュバントなしで皮内、筋肉内または皮下投与され、アジュバント組成物は、免疫原有りまたは無しで、癌の部位に局所(例えば腫瘍内または膀胱内)投与され、ある種の実施形態においては、BCG有りまたは無しで、膀胱癌の治療等のために投与される。免疫原性及びアジュバント組成物は、当該技術分野において説明され、本明細書で更に詳細に論じられている異なる経路による送達のために適切に配合される。
本明細書で記載される他の実施形態では、「プライム」免疫原性組成物及びアジュバント組成物が、それぞれ対象に同時投与される場合、組成物は対象の異なる部位にて投与されてよい。異なる部位は、互いに物理的に十分離れており、免疫原への免疫応答の誘発または向上を可能にする。各組成物が異なる部位に投与される場合、組成物は同一経路で投与されてもよく、異なる経路で投与されてもよい。例として、また説明を目的としてのみであるが、免疫原性組成物は対象の四肢(例えば腕)に皮下または筋肉内投与されてよく、アジュバント組成物は対象の異なる四肢(例えば脚)に、それぞれ皮下または筋肉内投与されてよい。更なる例として、同時経路ではあるが異なる部位での各組成物の同時投与は、免疫原性組成物の四肢(例えば腕または脚)への投与、及び、アジュバント組成物の、同じ種類の別の(即ち第2の)四肢への投与を含んでよい。他の特定の実施形態において、免疫原性組成物及びアジュバント組成物が同一部位で同時投与される場合、免疫原性及びアジュバント組成物のそれぞれの投与経路は異なり、それぞれ、経口、経腸、非経口、筋肉内、皮内、皮下、腫瘍内、リンパ節内、経皮、経皮、舌下、膀胱内及び局所から選択される。例として、一方の組成物は経口送達されて消化されてよく、第2組成物は舌下投与されてよい。別の例として、一方の組成物は部位で筋肉内投与されてよく、第2組成物は、およそ同一部位(例えば同一の腕または同一の脚)にて、皮下または経皮投与される。
投与経路の選択は、送達される組成物、対象の年齢、及び対象の体重を含む多数の因子に依存するであろう。投与経路及び投与部位は通常、最も安全な方法で対象に送達される組成物中の有効成分の量が最大となるように選択される。免疫原性組成物及び/またはアジュバント組成物の筋肉内投与の典型的な部位としては、大腿前外側筋(anterolateral thigh muscle)及び三角筋が挙げられる。ヒトにおいては、三角筋での筋肉注射を、ワクチン技術分野の当業者が用いて、ワクチンを成人に、及び、ある特定の例においては子供及び10代、並びに1〜2歳の幼児に送達する。大腿前外側筋内の外側広筋が、乳児(即ち、1歳未満)への筋肉注射で通常推奨され、より高齢の子供、及び成人での筋肉内送達部位でもあることができる。あるいは、ヒトにおける筋肉注射部位は腹側臀部(ventrogluteal)領域であってよい。当業者は、免疫原性組成物が背側臀部(dorsogluteal)部位、または臀部の上部外側四半部に送達される場合、ワクチンの最適下限送達が生じ得ることを理解している。
例として、本明細書で記載されるアジュバント組成物の膀胱内投与は、組成物を、経口投与または静脈内注射するのではなく、膀胱内に(例えばカテーテルを通して)直接投与することを含む。この方法により与えられる組成物は、膀胱(粘膜)内の細胞に主に影響を及ぼす。尿路上皮層の浸透性は大変低く、点滴投与した薬液が尿により希釈され、排尿中に膀胱外に洗い流され得るため、アジュバント組成物の複数投与が必要であり得る。各種実施形態では、キトサン及びジメチルスルホキシド等の浸透促進剤を一時的に使用し、尿路上皮における強力な詰め込みを妨げ、リポソーム、ゼラチンナノ粒子、ポリマーナノ粒子等のナノキャリア及び磁気粒子を使用して、膀胱及び標的となる疾患細胞での局所作用物質の濃度を向上させることができる。他の実施形態では、尿路上皮細胞の内側に強力に付着する粘膜付着性生体材料を使用して、膀胱内作用物質キャリアを改善することで、キャリアが排尿中に洗い流されることを防ぐ。感温性PEG−PLGA−PEGポリマー等のポリマーハイドロゲルを使用して、膀胱腔内へ作用物質を送達するためのin situゲル化系が開発されている(GuhaSarkar,S.,et al.,J Control Release.2010 Dec 1;148(2):147−59)。
例として、免疫原性またはアジュバント組成物を皮下投与するための典型的な部位としては、大腿前外側筋の脂肪組織、または三頭筋の脂肪組織が挙げられる。ヒト乳児への組成物の皮下投与に関しては、大腿筋が好ましい部位である。経皮投与は、三角筋にて、または大腿前外側筋で行われてもよい。
別の実施形態において、少なくとも1つの免疫原をコードするポリヌクレオチドを含む組み換え発現ベクターを含むベクター粒子を含む第1組成物、及びアジュバントを含む第2組成物を、同時に投与する。ある種の実施形態において、免疫原性組成物をアジュバント組成物の前に投与する(即ち、免疫原性組成物の投与後にアジュバント組成物を投与する)。他のある種の実施形態においては、アジュバント組成物を免疫原性組成物の投与前に投与する(即ち、アジュバント組成物の投与後に免疫原性組成物を投与する)。
「プライム」組成物が養子移入したT細胞を含むある種の実施形態において、プライム組成物、及び好適な「プル」組成物(例えばTLR4アゴニスト(例えばGLA))、または本明細書に記載した他の組成物は、同時に投与されるか、または、逐次的に投与されてよい。養子移入した細胞の複数投与を、「プル」組成物の投与前に行ってよい。
したがって、ある種の実施形態では、本開示は、1)対象に、ex vivoで増殖もしくは改変された腫瘍関連抗原特異的T細胞、腫瘍関連抗原を認識するように遺伝子組み換えされたCAR−T細胞、または、MHCとの関係において癌に関連するエピトープを認識する特異的キメラT細胞受容体(TCR)を発現するように遺伝子組み換えされたT細胞を含む第1組成物を投与すること、2)本明細書に記載した薬学的に好適なアジュバントを含む第2組成物を対象に、同時または逐次的のいずれかにより、局所または腫瘍内投与して、養子移入した細胞を腫瘍にプルすることにより、対象における癌を治療することによる、対象の癌治療方法を提供する。ある種の実施形態において、第2組成物の局所投与前に、本明細書に記載した発現ベクターを対象に投与することにより、養子移入した細胞をブーストし、養子移入(そしてその後、ブーストした)細胞を局所部位(例えば腫瘍)にプルしてよい。
免疫原性組成物及びアジュバント組成物が必要な対象にそれぞれ逐次投与される、本明細書で記載される実施形態において、各投与は数時間、または数日で分離される。アジュバント組成物が免疫原性組成物に逐次的に投与される場合、アジュバント組成物は、アジュバント組成物により投与部位に動員される免疫応答が検出可能であるような時間間隔で投与される。ある種の実施形態において、免疫原性組成物は、アジュバント組成物を投与する少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、または少なくとも12時間、または少なくとも18時間前に投与される。他の特定の実施形態において、免疫原性組成物は、アジュバント組成物を投与する少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、または少なくとも7日前に投与される。他の実施形態では、免疫原性組成物は、アジュバント組成物を投与する1日〜36日前の間に投与される。免疫原性組成物を、アジュバント組成物を投与する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、または36日前に投与してよい。更に他のある種の実施形態では、アジュバント組成物は免疫原性組成物の前に投与され、免疫原性組成物の投与の少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、または少なくとも12時間、または少なくとも18時間前に投与される。本明細書で記載される更に他の実施形態では、アジュバント組成物は免疫原性組成物の前に投与され、免疫原性組成物の投与の少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、または少なくとも7日前に投与される。他の実施形態では、アジュバント組成物は、免疫原性組成物の投与の1〜36日前に投与される。アジュバント組成物は、免疫原性組成物の投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、または36日前に投与されてよい。各組成物の投与の最適な時間間隔は、当業者により、適切に設計された前臨床及び臨床治験により決定されてよい。最適な時間間隔は、対象の免疫原及び/または投与される特定のアジュバントに依存し得る。
更にその他の実施形態では、免疫原性組成物及びアジュバント組成物はそれぞれ、必要な対象に2回以上(例えば2回、3回、または4回)、逐次的に投与される。特定の実施形態では、アジュバント組成物を免疫原性組成物と同じ回数投与してよい。更に別の実施形態では、アジュバント組成物を免疫原性組成物よりも少ない回数投与してよい。非限定的例として、免疫原性組成物が2回以上投与される場合、アジュバント組成物は、免疫原性組成物の投与前またはいずれか(即ち第2、第3または第4)の投与後ではなく、免疫原性組成物の第1投与の投与前または後のみに投与されてよい。更に別の特定の実施形態では、アジュバント組成物を免疫原性組成物の投与よりも多くの回数投与する。
他の実施形態では、アジュバント組成物を、免疫原性組成物よりも少なくとも1回以上多く投与する。例えば、アジュバントは先天性(または非特異的)免疫応答を誘発可能であり、免疫原性組成物の投与前または後に十分な時間間隔で投与され、先天性免疫応答を誘発または刺激してよい。理論に束縛されるものではないが、この応答には、抗原特異的T細胞を投与部位に動員するサイトカイン及びケモカインの局所誘導を含む。次いで、アジュバント組成物を、免疫原性組成物の第1投与と同時に(同時投与は異なる部位でも、異なる経路であってもよい)、または逐次的に投与してもよい。
アジュバント組成物及び免疫原性組成物が逐次的に投与される場合、組成物のそれぞれは同一経路により投与されてもよいし、または異なる経路により投与されてもよい。独立して選択され得る、アジュバント及び免疫原性組成物のそれぞれの送達のための投与経路としては、局所、経口、経腸、鼻(即ち鼻腔内)、吸入、髄腔内、直腸、膣内、眼内、結膜下、舌下、皮内、腫瘍内、腫瘍周囲、リンパ節内、傍リンパ節内、経皮または非経口的投与が挙げられ、皮下、経皮、静脈内、筋肉内、胸骨内、静脈洞内、管内または尿道内注射または注入を含むが、これらに限定されない。ある種の実施形態において、第1及び第2経路は異なり、それぞれ、非経口、経口、経腸、舌下、鼻孔内、筋肉内、皮内、腫瘍内、リンパ節内、皮下、経皮、経皮、及び局所から選択される。
免疫原性組成物及びアジュバント組成物が同一経路で対象に投与される場合、組成物のそれぞれは、同一部位で対象に投与されてもよく、または異なる部位で対象に投与されてもよい。他の特定の実施形態において、アジュバント組成物及び免疫原性組成物が逐次的に投与される場合、各組成物は異なる経路で送達されてよい(ただし、十分に近接する部位は同一部位とみなす)。非限定的例として、免疫原性組成物は、対象の四肢(例えば腕(三角筋)または足(大腿筋))に筋肉内投与されてよく、免疫原性組成物の投与前または後に、アジュバント組成物が対象の四肢の同一部位(例えば、それぞれ同一の腕(三角筋)または同一の脚(大腿筋))に皮下投与される。第2の非限定的例として、アジュバント組成物は対象の四肢(例えば腕(三角筋)または脚(大腿筋))に筋肉内投与されてよく、アジュバント組成物の投与前または後に、免疫原性組成物が対象の四肢の同一部位(例えば、それぞれ同一の腕(三角筋)または同一の脚(大腿筋))に皮下投与されてよい。
本明細書で論ずる通り、部位及び投与経路の選択は、免疫付与される対象の年齢、健康状態及び/もしくは大きさ;ベクターを含む組み換え発現ベクターまたはベクター粒子;組み換え発現ベクターによりコードされる免疫原(複数可);並びに/またはアジュバントを含むが必ずしもこれらに限定されない因子に依存し得る。免疫原性組成物の投与により治療または予防される状態、病気または疾患、及び、所望の免疫応答の種類は、免疫原性及びアジュバント組成物の治療的及び/または予防的利点を最大化するための投与経路及び投与部位の決定において、当業者により考慮される更なる因子であり得る。
免疫付与プロトコールまたはレジメンの過程において、免疫原に対する免疫応答の程度を監視してよい。したがって、対象にそれぞれ投与される免疫原性組成物及びアジュバント組成物の回数は、免疫原性組成物の各投与後の、免疫原に対する免疫応答の程度を監視することにより決定してよい。免疫応答を監視するための技術及び方法は、当該技術分野において日常的に実践されており、本明細書及び当該技術分野において記載されている。
免疫応答
本明細書に記載されるように、免疫原に対する免疫応答を誘発する、また特定の実施形態においては、誘発した細胞を対象の部位(例えば腫瘍;感染の粘膜部位)に引きつける、または動員する方法を提供する。免疫応答に関与する免疫系の細胞は通常、免疫細胞と称され、リンパ球、及びアクセサリー細胞等の非リンパ系細胞を含む。リンパ球は外来抗原を特異的に認識し、これに特異的に応答する細胞であり、アクセサリー細胞は、ある種の抗原に特異的ではないが、免疫応答の認識及び活性化フェーズに関与する細胞である。例えば、単核食細胞(マクロファージ)、他の白血球(例えば顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球を含む))、及び樹状細胞は、免疫応答の誘発時にアクセサリー細胞として機能する。外来抗原によるリンパ球の活性化は、抗原を除去するように機能する多数のエフェクター機構の誘導または誘発をもたらす。エフェクター機構に影響を及ぼす、またはエフェクター機構に関与する、単核食細胞等のアクセサリー細胞もまた、エフェクター細胞と呼ばれる。
リンパ球の主な部類としては、Bリンパ球(B細胞)、Tリンパ球(T細胞)、及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられ、これらは大型の顆粒リンパ球である。B細胞は抗体の作製が可能である。Tリンパ球は、更にヘルパーT細胞(CD4+(本明細書、及び当該技術分野においてはCD4とも称される))、及び細胞溶解性または細胞障害性T細胞(CD8+(本明細書及び当該技術分野においてはCD8とも称される))に細分される。T細胞は、当該技術分野においては、抗原特異的CD4及び/もしくはCD8 T細胞、エフェクタ−メモリーT細胞(TEM)、セントラルメモリーT細胞(TCM)、並びに/または組織常在型メモリーT細胞(TRM)としても説明されている。ヘルパー細胞は、T細胞、並びにB細胞及びマクロファージを含む他の細胞の増殖及び分化を促進し、炎症性白血球を動員及び活性化するサイトカインを分泌する。制御性T細胞またはサプレッサーT細胞と呼ばれるT細胞の別の小群は、免疫系の活性化を積極的に抑制し、病理学的自己反応、即ち自己免疫疾患を予防する。
免疫応答を誘発するための、本明細書記載の方法は、本明細書及び当該技術分野においてB細胞応答とも称される体液性応答を誘発し得るか、または、様々な種類のT細胞(即ちTリンパ球)が関与する細胞性免疫反応を誘発し得る。体液性応答は、抗原(または免疫原)に特異的に結合する抗体の産生を含む。抗体は、形質細胞として知られている分化Bリンパ球により産生される。細胞性応答において、様々な種類のTリンパ球は、多数の機構により抗原を取り除くように作用する。例えば、特異的抗原を認識可能なヘルパーT細胞は、サイトカイン等の可溶性メディエーターを放出することで応答し、免疫系の更なる細胞を動員して免疫応答に関与する。また、細胞障害性T細胞は抗原を特異的に認識することが可能であり、抗原を有する細胞または粒子に結合し、かつこれらを破壊または損傷することにより応答してよい。
宿主または対象における免疫応答は、本明細書で記載され、当業者が精通している任意の数の、周知の免疫学的方法により測定されてよい。本明細書に記載されるように、免疫応答の存在及び程度を測定するための方法及び技術としては、例えば、蛍光共鳴エネルギー移動、蛍光偏光、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動、シンチレーション近接アッセイ、レポーター遺伝子アッセイ、蛍光クエンチ酵素基質、色素体酵素基質及び電気化学発光、イムノアッセイ(例えば酵素結合免疫吸着法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ、免疫ブロット法、免疫組織化学等)、表面プラズモン共鳴、レポーター遺伝子を使うもの等の細胞系アッセイ、並びに機能アッセイ(例えば、免疫機能及び免疫応答性を測定するアッセイ)が挙げられる。
かかるアッセイとしては、可溶性抗体、可溶性メディエーター、例えばサイトカイン(例えばIFN−γ、IL−2、IL−4、IL−10、IL−12、IL−6、IL−23、TNF−α及びTGF−β)、リンホカイン、ケモカイン、ホルモン、成長因子等、並びに他の可溶性小ペプチド、炭水化物、ヌクレオチド及び/または脂質メディエーターの存在及び量の、in vivoまたはin vitro測定が挙げられるが、これらに限定される必要はない。イムノアッセイには、免疫系細胞の、変化した機能的または構造的性質(例えば細胞増殖、変化した運動性、特別な活性(例えば特異的遺伝子の発現または細胞溶解性挙動)の誘発)を測定することによる、細胞活性化状態の変化の測定;細胞の成熟(例えば、刺激に応答した樹状細胞の成熟);Th1応答及びTh2応答の関係の変化;表面抗原の発現プロファイルの変化、またはアポトーシスの開始(プログラム細胞死)を含む、免疫系細胞による細胞分化も含まれる。他の方法もまた、細胞表面マーカーの測定に利用可能であり、これにより、非限定的に、抗原特異的CD4及び/もしくはCD8 T細胞、エフェクタ−メモリーT細胞(TEM)、セントラルメモリーT細胞(TCM)、並びに/または組織常在型メモリーT細胞(TRM)を含む、免疫細胞の種々の集団を識別する。これら、及び類似の分析を実施する手順は、例えば、Lefkovits(Immunology Methods Manual:The Comprehensive Sourcebook of Techniques,1998)に見出すことができる。Current Protocols in Immunology;Weir,Handbook of Experimental Immunology,Blackwell Scientific,Boston,MA(1986);Mishell and Shigii(eds.)Selected Methods in Cellular Immunology,Freeman Publishing,San Francisco,CA(1979);Green and Reed,Science 281:1309(1998)(及びこれらで引用されている参考文献)もまた参照のこと。
対象の免疫原に特異的に結合する抗体の存在及び/または量の測定は、ELISA、免疫沈降、免疫ブロット法、対向流免疫電気泳動、ラジオイムノアッセイ、ドットブロットアッセイ、阻害または競合アッセイ等を含むがこれらに限定されない、当該技術分野において日常的に実践される幾つかのイムノアッセイのいずれか1つを使用して測定してもよい(例えば、米国特許第4,376,110号及び同4,486,530号;Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1988)を参照)。イムノアッセイを実施して、免疫原に特異的に結合する抗体のクラス及びアイソタイプもまた測定してよい。免疫原に特異的に結合し、免疫付与した対象において抗体特異的免疫応答を検出するためのイムノアッセイにおいて対照として使用され得る抗体(ポリクロナール及び/もしくはモノクロナール、またはこれらの抗原結合断片)は通常、当業者に既知の様々な技術のいずれかにより調製されてよい。例えば、Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1988);Peterson,ILAR J.46:314−19(2005);(Kohler et al.,Nature,256:495−97(1976);Kohler et al.,Eur.J.Immunol.6:511−19(1975);Coligan et al.(eds.),Current Protocols in Immunology,1:2.5.1−2.6.7(John Wiley & Sons 1991);米国特許第4,902,614号,同4,543,439号及び同4,411,993号;Monoclonal Antibodies,Hybridomas:A New Dimension in Biological Analyses,Plenum Press,Kennett et al.(eds.)(1980);Antibodies:A Laboratory Manual,Harlow and Lane(eds.),Cold Spring Harbor Laboratory Press(1988)を参照;例えば、Brand et al.,Planta Med.70:986−92(2004);Pasqualini et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:257−59(2004)もまた参照のこと。免疫原もしくはその免疫原性断片、または免疫原もしくはその免疫原性断片を有する細胞もしくは粒子を、ポリクロナール抗体またはモノクローナル抗体のいずれかを産生するための、動物の免疫付与に使用してよい。
サイトカインの量は、例えばELISA、ELISPOT、細胞内サイトカイン染色、及びフローサイトメトリー、並びにこれらの組み合わせ(例えば細胞内サイトカイン染色及びフローサイトメトリー)を含む、本明細書で記載され、当該技術分野において実践されている方法に従い測定してよい。免疫応答の抗原特異的誘発及び刺激により生じる免疫細胞増殖及びクローン増殖は、脾臓細胞または末梢血からの細胞、アフェレーシスサンプル、リンパ節等のリンパ球を単離し、細胞を抗原により刺激し、例えばトリチウム標識チミジンの組込、または非放射性アッセイ(例えばMTTアッセイ等)により、細胞表面マーカー、サイトカイン産生、細胞増殖及び/または細胞生存能を測定することにより測定してよい。本明細書で記載される免疫原の、Th1免疫応答とTh2免疫応答とのバランスにおける効果は、例えば、Th1サイトカイン(例えばIFN−γ、IL−12、IL−2、及びTNF−β)、及び2型サイトカイン(例えばIL−4、IL−5、IL−9、IL−10、及びIL−13)の量を測定することにより調査してよい。
抗原特異的T細胞応答の量、例えばCTL免疫応答の量及び/またはメモリーCD4 T細胞応答の量は、本明細書で記載され、当該技術分野において日常的に実践されている多数の免疫学的方法のいずれか1つにより測定してよい。CTL免疫応答の量は、本明細書で記載される組成物、ベクター、またはベクター粒子のいずれか1つの投与前に測定してよく、次いで、メモリーCD4 T細胞を助ける組成物、ベクター、またはベクター粒子の1つ以上の投与後に、適切な時点及び/または位置でのCTL免疫応答の量との比較に用いてよい。CTL活性を測定するための細胞毒性アッセイは、当該技術分野において日常的に実践される幾つかの技術及び方法のいずれか1つを用いて実施してよい(例えば、Henkart et al.,「Cytotoxic T−Lymphocytes」 in Fundamental Immunology,Paul(ed.)(2003 Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,PA)、1127〜50ページ、及びこの中で引用される参考文献を参照)。
例えば、免疫原をコードするポリヌクレオチドを含有するベクター粒子を含むプライム組成物、及びアジュバント組成物を含むプル組成物を本明細書記載の方法に従い投与した場合、特にアジュバントを含むプル組成物の投与部位において、CTL免疫応答の量、またはCD8+ T細胞応答の量が向上する(改善される)。例えば、細胞内サイトカイン染色;ELISPOT;または両組成物の投与の1〜4週間後での、Luminexによる可溶性サイトカイン分泌の測定等の機能的T細胞アッセイにより測定した場合、50%の改善が観察され得る。これに関し、改善は、一般に、本明細書に記載したアジュバントを含む組成物の投与を欠いているといった、適切な対照と比較したものである。
特定の実施形態では、局所的浸潤抗原特異的T細胞の2〜50倍の増加が、本明細書記載の方法の後で観察される。ある種の実施形態において、局所浸潤(例えば腫瘍浸潤)抗原特異的T細胞の2〜40倍の増加、2〜30倍の増加、2〜20倍の増加、2〜10倍の増加、3〜8倍の増加、4〜7倍の増加、または5〜6倍の増加が観察される。通常、局所浸潤抗原特異的T細胞の増加は、「プル」投与を欠いている局所浸潤抗原特異的T細胞の数と比較した、または適切な対照投与と比較したものである。通常、本明細書の方法は、アジュバントの投与を欠いている適切な対照と比較して、局所浸潤抗原特異的T細胞の、統計学的、生物学的、及び/または臨床的に有意な増加を提供する。
本明細書で使用する場合、抗体が、その免疫原または免疫原性断片と検出可能なレベル、好ましくは、約104M−1以上、または約105M−1以上、または約106M−1以上、または約107M−1以上、または約108M−1以上の親和定数(Ka)にて反応する場合、結合パートナーまたは抗体は、対照の免疫原に対して「免疫特異的」、「特異的」、または「特異的に結合する」と言われる。同種抗原に対する抗体の親和性は一般に解離定数(KD)で表され、抗体は、10−4M以下、10−5M以下、10−6M以下、10−7M以下、または10−8M以下のKDで結合する場合、対象の免疫原に特異的に結合する。
結合パートナーまたは抗体の親和性は、従来技術、例えば、Scatchardら(Ann.N.Y.Acad.Sci.USA 51:660(1949))により説明されているもの、及び表面プラズモン共鳴(SPR; BIAcore(商標),Biosensor,Piscataway,NJ)を使用して容易に測定することができる。表面プラズモン共鳴に関して、標的分子は固相に不動化され、フローセルに沿って移動する移動相中の結合パートナー(またはリガンド)に曝露される。不動化標的に結合しているリガンドが現れると、局部的な屈折率が変化し、SPR角の変化をもたらす。これは、反射光の強度の変化を検出することにより、リアルタイムで監視することができる。SPRシグナルの変化率を分析し、結合反応の会合及び解離段階での見かけの速度定数を得ることができる。これらの値の比により、見かけの平衡定数(親和性)が得られる(例えば、Wolff et al.,Cancer Res.53:2560−2565(1993)を参照)。
少なくとも1つの免疫原をコードするポリヌクレオチドを含む組み換え発現ベクターを含有するベクター粒子を含む組成物、及び本明細書記載の方法に従ったアジュバントを含む組成物を受けた対象における、免疫原に対する免疫応答の存在及び量を測定するために、対象から生体サンプルを入手してよい。本明細書で使用する場合、「生体サンプル」とは(血清またはプラズマが調製される)血液サンプル、アフェレーシスサンプル、生検材料、体液(例えば胃液(lung lavage)、腹水、粘膜洗浄液、滑液)、骨髄、リンパ節、外植組織、臓器培養物、または対象もしくは生物源からの、任意の他の組織もしくは細胞調製物であってよい。
免疫応答を測定するための、本明細書で記載される全てのイムノアッセイ及び方法に関して、当業者は、これらの方法を実践する際に、どの対照が好適に含まれるかを容易に認識及び理解もするであろう。反応成分を相互作用させるのに十分な、反応成分の濃度、緩衝液、温度及び期間は、本明細書で記載され、かつ当業者が精通している方法に従い測定及び/または調整されることができる。
使用方法及び組成物
抗原が同定され、免疫応答を誘発するための免疫原として選択されると、所望の免疫原をコードするポリヌクレオチド配列が同定及び選択される。次いで、ポリヌクレオチド配列を含む組み換え発現ベクター、またはベクターを含むベクター粒子を、少なくとも1つの薬学的に好適な賦形剤またはキャリアと共に、免疫原性組成物に配合する。本明細書に記載されるように、アジュバントは少なくとも1つの薬学的に好適な賦形剤またはキャリアと共に配合される。免疫原性組成物及びアジュバント組成物は共に、免疫原及びアジュバントにとって、並びに投与経路(または方法)に対して、それぞれ好適な方法で配合される。
本明細書に記載されるように、少なくとも1つの免疫原または免疫原性組成物が、効果的な免疫応答を誘発するのに十分な量で、必要な対象に投与される。この免疫応答は、効果的な体液性応答及び/または効果的な(細胞障害性T細胞応答を誘発し得る)細胞性免疫反応であってよい。理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載したように、対象に投与されるアジュバントまたはアジュバント組成物は、CD8 T細胞の(例えば、腫瘍部位もしくは膀胱等の投与局所部位)への動員、及び/または少なくとも1つの免疫原に対する免疫応答を向上もしくは改善するサイトカイン(例えばCxcl9、Cxcl10、CCL2、CCL3、MCP−1、TNFα、IFNc及びIP−10)の発現を含む。
免疫原性組成物、アジュバント組成物、組み換え発現ベクター及びベクター粒子はそれゆえ、病気もしくは疾患、例えば癌、特にウイルス誘発性癌の予防(即ち、病気もしくは疾患の発生もしくは再発の可能性の減少)方法、及び/またはこれらの治療方法において有用であり得る。免疫原は、特定の癌細胞の1つ以上により発現されると考えられているかまたは知られている、発癌性ウイルス抗原または腫瘍関連抗原である。
本発明は、本明細書で記載されるプライム−プル投与レジメンにより癌を予防、緩和または治療する方法を提供し、本方法は、免疫原(例えば1つ以上の癌関連抗原)を発現する組み換え発現ベクターを含む第1のプライム組成物の投与、続いて、抗原の不存在下にて(しかし、所望により1つ以上の腫瘍関連抗原と共に)、癌または腫瘍部位に局所的(例えば腫瘍内、腫瘍周辺、リンパ節内、傍リンパ節内、粘膜、膀胱内)に投与される、TLR4アゴニスト(例えばGLA)を含むプル組成物の投与を含む。
ある種の実施形態において、本明細書記載の方法は、癌の予防、緩和または治療に有用であり、癌は、本明細書に記載したTLR4アゴニストを含むプル組成物の腫瘍内または周辺のいずれかに接近可能であり、直接注射が可能な1つ以上の腫瘍を含む。ある種の実施形態において、癌は充実性腫瘍を含む。幾つかの実施形態では、充実性腫瘍は癌、肉腫またはリンパ腫である。これに関し、リンパ腫は通常液性腫瘍と考えられるが、接近可能な「充実性」腫瘍は、リンパ節内で形成され得るため、本明細書で記載されるプライム−プルレジメンを使用して治療することができる。
本発明は、本明細書で記載されるプライム−プル投与レジメンによりウイルス誘発性癌を予防、緩和または治療する方法を提供し、本方法は、免疫原(例えば、ウイルスが癌に関連する発癌性ウイルスである1つ以上のウイルス性抗原)を発現する組み換え発現ベクターを含む第1のプライム組成物を投与すること、続いて、TLR4アゴニスト(例えばGLA)を含むプル組成物を、所望により1つ以上のウイルス性抗原及び/または1つ以上の腫瘍関連抗原と共に投与することを含み、これらは癌または腫瘍の部位に局所(例えば腫瘍内、粘膜、膀胱内)投与される。本明細書記載の方法で治療または緩和することができる代表的なウイルス誘発性癌としては、膀胱癌、メルケル細胞癌、カポジ肉腫、肝癌、グリア芽腫、バーキットリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、移植後リンパ増殖性疾患、鼻咽頭癌、子宮頚癌、頭頸癌、肝細胞癌、及び成人T細胞白血病/リンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。
ある種の実施形態において、本明細書で記載されるプライム−プル投与レジメンは、1つ以上の他の治療薬と組み合わせて投与される。したがって、ある種の実施形態においては、1つ以上の他の治療薬(例えば他の抗癌剤、または他の緩和もしくは補助療法)と組み合わせた、本開示のGLAを含む組成物の投与もまた企図される。ある種の実施形態において、かかる治療薬は、本明細書に記載した特定の癌の標準的な治療として当該技術分野において許容され得る。企図される代表的な治療薬としては、サイトカイン、成長因子、ステロイド、NSAID、DMARD、抗炎症剤、免疫チェックポイント阻害剤、化学療法、放射線療法、または他の活性及び補助剤が挙げられる。
一実施形態では、本明細書記載の方法は、1つ以上の化学療法剤を含む、1つ以上の癌治療薬と組み合わせて使用される。癌治療薬の例としては、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(商標))等のアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン等のアルキルスルホネート;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパ等のアジリジン;アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチロロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン及びメチラメラミン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニマスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード等のナイトロジェンマスタード;カルマスティン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン等のニトロソウレア;アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン等の抗生物質;メトトレキサート及び5−フルオロウラシル(5−FU)等の代謝拮抗薬;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセート等の葉酸類似体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等のプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジネン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクシウリジン、5−FU等のピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン等のアンドロゲン;アミノグルテチミド、マイトテイン、トリロスタン等の抗副腎剤;フロリン酸(frolinic acid)等の葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルチン;ジアジクオン;エフロルニチン;エリプチニウムアセテート;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;マイトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)及びドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhne−Poulenc Rorer,Antony,France);クロラムブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチン等の白金類似体;ビンブラスチン;トラスツズマブ、ドセタキセル、白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;マイトマイシンC;マイトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオミチン(DMFO);レチノイン酸誘導体、例えばTargretin(商標)(ベキサロテン)、Panretin(商標)(アリトレチノイン);ONTAK(商標)(デニロイキンディフィティトクス(denileukin diftitox));エスペラミシン;カペシタビン;並びに上述のいずれかの製薬上許容できる塩、酸または誘導体が挙げられる。本定義に含まれるものとしては、腫瘍でのホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば抗エストロゲン剤(例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)イミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン及びトレミフェン(フェアストン));並びに抗アンドロゲン剤(例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド及びゴセレリン);並びに上述のいずれかの製薬上許容できる塩、酸または誘導体もある。更なる癌治療薬としては、ソラフェニブ、並びに他のキナーゼ阻害剤、例えばアファチニブ、アキシチニブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、フォスタマチニブ(fostamatinib)、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ムブリチニブ(mubritinib)、ニロチニブ、パニツムマブ、パゾパニブ、ペガプタニブ(pegaptanib)、ラニビズマブ、ルキソリチニブ、トラスツズマブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、及びスニチニブ;シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス並びに他のmTOR阻害剤が挙げられる。
別の実施形態において、本明細書の方法を、別の免疫刺激剤と組み合わせて投与する。かかる免疫刺激剤としては、N−アセチルムラミル−L−アラニン−D−イソグルタミン(MDP)、グルカン、IL−12、GM−CSF、インターフェロン−γ及び抗CD40抗体、または、共刺激経路に結合し、これを活性化する他の抗体(例えばCD28、ICOS、OX40、CD27等)が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態では、本明細書の方法を、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用する。免疫チェックポイントとは、自己寛容を維持し、免疫応答の持続及び規模を制御するのに重要な、免疫系の種々の阻害経路を意味する。腫瘍は、ある特定の免疫チェックポイント経路を、特に腫瘍抗原に特異的なT細胞に対する免疫耐性の主要なメカニズムとして使用する(例えば、Pardoll,2012 Nature 12:252;Chen and Mellman 2013 Immunity 39:1を参照)。本開示は、抗原を有しないGLA組成物と組み合わせて投与可能な免疫チェックポイント阻害剤を提供する。かかる併用療法は協力して、抗癌免疫応答を高めるように作用する。ある種のウイルスもまた、免疫チェックポイント経路を取り込む、発展したメカニズムを有する。したがって、ある種の実施形態において、かかる併用療法を使用して、抗ウイルス免疫応答を高めてよい。
免疫チェックポイント阻害剤としては、統計学的、臨床的、または生物学的に適切な方法で、免疫系の阻害経路をブロックまたは阻害する任意の作用物質が挙げられる。かかる阻害剤としては、低分子阻害剤を挙げてもよいし、または、免疫チェックポイント受容体に結合してこれをブロックもしくは阻害する、抗体もしくはその抗原結合断片、または、免疫チェックポイント受容体リガンドに結合してこれをブロックもしくは阻害する抗体を含んでよい。ブロッキングまたは阻害のために標的化され得る、例示的な免疫チェックポイント分子としては、CTLA−4、4−1BB(CD137)、4−1BBL(CD137L)、PDL1、PDL2、PD1、B7−H3、B7−H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、TIM3、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4(CD2ファミリーの分子に属し、NK、γδ、及びメモリーCD8+(αβ)T細胞上全てに発現する)、CD160(BY55とも称される)、並びにCGEN−15049が挙げられるが、これらに限定されない。免疫チェックポイント阻害剤としては、抗体、もしくはその抗原結合断片、または、CTLA−4、PDL1、PDL2、PD1、B7−H3、B7−H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、TIM3、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4、CD160及びCGEN−15049の1つ以上に結合し、かつこれらの活性をブロックもしくは阻害する、他の結合タンパク質が挙げられる。例示的な免疫チェックポイント阻害剤としては、トレメリムマブ(CTLA−4遮断抗体)、抗OX40、PD−L1モノクローナル抗体(抗B7−H1;MEDI4736)、MK−3475(PD−1遮断剤)、ニボルマブ(抗PD1抗体)、CT−011(抗PD1抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PDL1抗体)、BMS−936559(抗PDL1抗体)、MPLDL3280A(抗PDL1抗体)、MSB0010718C(抗PDL1抗体)、及びヤーボイ/イピリムマブ(抗CTLA−4チェックポイント阻害剤)が挙げられる。
更なる実施形態において、本明細書のプライム−プル投与を、他のTLR4アゴニスト、またはTLR8アゴニスト、またはTLR9アゴニストと組み合わせて使用する。かかるアゴニストは、ペプチドグリカン、polyI:C、CpG、3M003、フラジェリン、並びに真核細胞リボソーム伸長及び開始因子4aのリーシュマニア類似体(LeIF)から選択してよい。
更なる実施形態において、本明細書のプライム−プル投与レジメンを、他の1つ以上のサイトカインと組み合わせて使用する。「サイトカイン」とは、ある細胞集団より放出される、別の細胞上で細胞内メディエーターとして作用するタンパク質に関する総称を意味する。かかるサイトカインの例としては、リンホカイン、モノカイン、及び従来のポリペプチドホルモンがある。サイトカインに含まれるものとしては、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン及びウシ成長ホルモン等の成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体形成ホルモン(LH)等の糖タンパク質ホルモン;肝細胞増殖因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子α及びβ;ミュラー管抑制因子;マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF−β等の神経成長因子;血小板増殖因子;TGF−α及びTGF−β等のトランスホーミング増殖因子(TGF);インスリン様成長因子I及びII;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロンα、β及びγ等のインターフェロン;マクロファージCSF(M−CSF)等のコロニー刺激因子(CSF);顆粒球マクロファージCSF(GM−CSF);並びに顆粒球CSF(G−CSF);インターロイキン(IL)、例えばIL−1、IL−1α、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−15、腫瘍壊死因子(例えばTNF−αまたはTNF−β);並びに、LIF及びkitリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子がある。本明細書で使用する場合、サイトカインという用語は、天然源または組み換え細胞培養液からのタンパク質、及び天然配列サイトカインの生物学的に活性な等価物を含む。
ある種の実施形態において、本明細書のプライム−プル投与法を、エンドソームの酸性化を防ぎ、腫瘍細胞により誘発される自食作用を阻害し、細胞増殖の加速、及び栄養分の不足を切り抜けさせるリソソーム作用剤であるクロロキンと組み合わせて使用する。更に一般的には、本明細書に記載したGLAを含む組成物を、クロロキン、ミソニダゾール、メトロニダゾール、及び低酸素細胞毒素(例えばチラパザミン)等の自食作用阻害剤、放射線増感剤または化学増感剤として作用する治療薬と組み合わせて投与してよい。これに関し、クロロキン、または他の放射線もしくは化学増感剤、もしくは自食作用阻害剤のGLAとのかかる組み合わせを、他の癌治療薬または放射線療法と更に組み合わせて使用することができる。
別の実施形態において、本明細書のプライム−プル投与法を、「免疫原性細胞死」と呼ばれる、免疫応答の付随活性化による腫瘍細胞の殺傷をもたらすことが知られている、シクロホスファミド、ドキソルビシン、オキサリプラチン及びマイトキサントロン等の他の小分子剤と組み合わせて使用する。更に、パツピロン(patupilone)(エポチロンB)、上皮成長因子受容体(EGFR)標的化モノクローナル抗体7A7.27、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えばボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、ベリノスタット、及びエンチノスタット)、n3−ポリ不飽和脂肪酸ドコサヘキサエン酸、更にはプロテアソーム阻害剤(例えばボルテゾミブ)、シコニン(Lithospermum erythrorhizonの根の主要成分)、及び腫瘍崩壊ウイルス(例えばTVec:(タリモゲンタヘルパレプベツ:talimogene laherparepvec))等の、腫瘍細胞の免疫原性を高めることが知られている作用物質との組み合わせ。他の実施形態では、本明細書に記載したGLAを含む組成物は、局所的または全身に投与してよい、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えばデシタビン、5−アザ−2’−デオキシシチジン)等のエピジェネティック治療薬と組み合わせて投与してよい。
別の実施形態において、本明細書のプライム−プル投与法を、DCによる腫瘍のADCC取り込みを増加させる他の1つ以上の抗体と組み合わせて使用する。したがって、本発明は、GLAを含む組成物を、抗原提示細胞、及びその後の、腫瘍抗原の免疫系への提示による、腫瘍細胞の摂食を誘発するかまたは向上させる任意の分子、またはその断片と組み合わせることを企図する。これらの分子は、受容体(Fcまたはマンノース受容体)結合を誘発し、例えば抗体、抗体様分子、多特異的多価分子及びポリマー等を抗原提示細胞に輸送する作用物質を含む。かかる分子は、GLAを含む組成物と共に腫瘍内投与されるか、異なる経路で投与されるかのいずれかであってよい。例えば、本明細書に記載した、GLAを含む組成物は、リツキシマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、キャンパス、パニツムマブ、オファツムマブ、ブレンツキシマブ、ペルツズマブ、アドトラスツズマブエムタンシン、オビヌツズマブ、抗HER1、HER2、もしくはHER3抗体(例えばMEHD7945A;MM−111;MM−151;MM−121;AMG888)、抗EGFR抗体(例えばニモツズマブ、ABT−806)、または他の同様の抗体の腫瘍内注射と共に腫瘍内投与されてよい。内部移行を誘発可能なFc受容体及び他の受容体と関与可能な任意の多価足場(例えば、例えば、受容体を関与させることができるFc断片またはポリマーに結合した標的を結合可能なペプチド及び/またはタンパク質)を、本明細書で記載される併用療法で使用してよい。
ある種の実施形態において、本明細書のプライム−プル投与法を、(例えば阻害経路をブロックすることにより)共刺激シグナルを促進する他の抗体(例えば抗CTLA−4)、または共刺激経路を活性化する他の抗体(例えば抗CD40、抗CD28、抗ICOS、抗OX40、抗CD27抗体等)と組み合わせて使用する。
本明細書のプライム−プル投与法は、単独、または他の既知の癌治療、例えば放射線治療、免疫チェックポイント阻害剤、化学療法または他の癌治療剤、組織移植、免疫療法、ホルモン療法、光線力学的治療と組み合わせて使用してよい。組成物は、抗生物質と組み合わせて投与されてもよい。
医学当業者により理解されるように、用語「治療する」及び「治療」は、対象(即ち患者)の病気、疾患または状態の医学的管理を意味する(例えばStedman’s Medical Dictionaryを参照)。一般に、適切な用量及び治療レジメンは、治療的及び/または予防的利点をもたらすのに十分な量の免疫原及びアジュバントを提供する。治療的及び/または予防的利点としては、例えば、治療的処置及び予防的(prophylactic)または予防的(preventative)手段の両方での、改善した臨床的アウトカムが挙げられ、ここでは、対象は望ましくない生理学的変化または疾患を予防もしくは減速もしくは遅延(減少)させるか、またはかかる病気もしくは疾患の拡大もしくは重症度を予防もしくは減速もしくは遅延(減少)させようとしている。対象を治療することにより得られる利益または所望の臨床結果としては、治療される病気もしくは疾患から生じる、もしくはこれらに関連する症状の軽減、減少、もしくは緩和;症状の発生の減少;生活の質の改善;病気を有しない状態がより長くなること(即ち、病気の診断に基づく、対象が症状を示す可能性もしくは傾向の低下);病気の規模の縮小;病気の安定(即ち悪化しない)状態;病気の進行の遅延または減速;病状の緩和もしくは軽減;及び検出可能もしくは不可能な(部分的もしくは全体的)寛解;並びに/または全体的な生残が挙げられるが、これらに限定されない。「治療」は、対象が治療を受けない場合の生存予想と比較しての、生存の延長を意味することもできる。治療が必要な対象としては、病気または疾患を既に有するもの、及び病気もしくは疾患を有する傾向にあるか、またはこれらの進行のリスクを有する対象が挙げられる。予防的治療が必要な対象としては、病状または疾患を予防(即ち、病気または疾患の発生または再発の可能性を低下)されなければならない対象が挙げられる。
組み換え発現ベクター及びベクター粒子は、薬学的または生理学的に許容できる、または好適な賦形剤またはキャリアで対象に投与されてよい。製薬上許容できる賦形剤は、本明細書で更に詳細に説明され、ヒトまたは非ヒト哺乳類対象を含む非ヒト対象への投与に好適である、生物学的に適合性のあるビヒクル、例えば生理食塩水である。治療的有効量は、治療したヒトまたは非ヒト動物において、医学的に望ましい結果をもたらす(即ち、十分な量の免疫原が発現して、統計学的、生物学的、及び/または有意な方法で、免疫源に対して特異的な免疫応答(体液及び/または細胞障害性T細胞応答を含む細胞性応答)を誘発または向上させる)ことが可能なポリヌクレオチドの量を提供する。医学分野では周知のように、任意の一患者への用量は、患者のサイズ、身体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、時間及び投与経路、総体的な健康、並びに、同時に投与される他の作用物質を含む多くの因子に依存する。用量は変化するが、組み換え発現ベクターを含むベクター粒子を投与するための好ましい用量は、ベクターポリヌクレオチド分子の約106〜1012コピーをもたらすのに十分なものである。
本明細書で記載される免疫原性及びアジュバント組成物を含む医薬組成物を、医学当業者により決定される、病気を治療(または予防)するのに適切な方法で投与してよい。好適な用量、及び好適な期間、及び投与の頻度は、患者の状態、患者の病気の種類及び重症度、有効成分の特定の形態、並びに投与方法等の因子により決定される。一般に、適切な用量及び治療レジメンは、治療及び/または予防効果(臨床的アウトカムの改善、例えばより頻繁な完全寛解もしくは部分的寛解、または病気を有しない、及び/もしくは全体的な生残が長くなること、または症状の重症度の減少を含む、本明細書に記載したもの等)をもたらすのに十分な量の組成物(複数可)を提供する。予防的使用に関して、用量は、病気または疾患に関連する病気を予防、開始を遅延、またはその重症度を低下させるの十分でなければならない。
一般に、用量内に存在する、または用量内に存在するコードポリヌクレオチドによりin situで作製される、本明細書に記載した融合ポリペプチドを含む免疫原の量は、宿主1kgあたり約0.01μg〜約1000μgの範囲である。効果的治療を提供するのに十分な、最小限の用量を用いることが通常好ましい。患者は通常、治療または予防される状態に対して好適なアッセイを使用して、治療または予防効果を監視されるが、このアッセイは当業者によく知られており、本明細書で記載されている。液体形態で投与される場合、好適な用量サイズは患者のサイズにより異なるが、通常、10〜60kgの対象に対して、約1mL〜約500mL(1kgあたり約0.01μg〜約1000μgを含む)の範囲である。最適の用量は通常、実験モデル及び/または臨床試験を用いて測定してよい。最適用量は、対象の体格、体重、または血液体積に依存し得る。本明細書に記載されるように、適切な用量は、患者(例えばヒト)の条件、即ち病気の段階、総体的な健康状態、並びに年齢、性別、及び体重、並びに医学当業者によく知られている他の因子に依存してもよい。
医薬組成物は、例えば、皮下、経皮、静脈内、筋肉内、胸骨内、静脈洞内、管内、または尿道内注射または注入を含む、局所、経口、経腸、鼻(即ち鼻腔内)、吸入、髄腔内、直腸、膣内、眼内、結膜下、舌下、皮内、リンパ節内、腫瘍内、経皮、または非経口的投与を含む、任意の適切な投与方法のために配合されてよい。投与方法は、本明細書で更に詳細に記載されている。
非経口的投与に関して、キャリアは水、生理食塩水、アルコール、脂肪、ワックス、または緩衝液を含むのが好ましい。経口投与の場合、該賦形剤、または固体賦形剤、またはキャリアのいずれか、例えば、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、カオリン、グリセリン、デンプンデキストリン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、グルコース、スクロース、及び/または炭酸マグネシウムを使用してよい。
免疫原性組成物、組み換えベクター構築物またはベクター粒子を含む及び組成物は、有効量の免疫原を提供する任意の経路により送達するために配合してよい。かかる投与方法は、送達または注射による経口投与を含み、液体の形態であってもよい。液体医薬組成物としては例えば、以下の1つ以上を挙げてよい:滅菌希釈剤、例えば注射用水、食塩水(好ましくは生理食塩水)、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウム、溶液もしくは懸濁媒として機能し得る不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の溶媒;抗菌剤;酸化防止剤;キレート剤;張度調節用緩衝剤及び作用物質、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロース。非経口用調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または複数投与バイアル瓶内に封入することができる。生理食塩水を使用するのが好ましく、注射可能な医薬組成物は、滅菌されているのが好ましい。
本明細書で記載される組み換え発現ベクター等の核酸分子を含む医薬組成物に関して、核酸分子は当業者に既知の種々の送達系のいずれかの中に存在してよく、核酸、並びに、例えば本明細書において提供するベクター粒子及び組み換え発現構築物といった、細菌、ウイルス及び哺乳類発現系を含む。ポリヌクレオチド(例えばDNA)をかかる発現系に導入する技術は、当業者によく知られている。他のある種の実施形態においては、DNAは、例えばUlmer et al.,Science 259:1745−49,1993に記載され、Cohen,Science 259:1691−1692,1993に確認されるように、「裸」であってもよい。裸のDNAの取り込みは、生分解性ビーズをDNA上にコーディングすることにより増加させることができ、これにより細胞内にDNAが効率的に輸送される。
核酸分子は、当該技術分野で説明されている幾つかの方法のいずれか1つに従い、細胞内に送達することができる(例えば、Akhtar et al.,Trends Cell Bio.2:139(1992); Delivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics,ed.Akhtar,1995,Maurer et al.,Mol.Membr.Biol.16:129−40(1999);Hofland and Huang,Handb.Exp.Pharmacol.137:165−92(1999);Lee et al.,ACS Symp.Ser.752:184−92(2000);米国特許第6,395,713号;国際特許出願公開第WO94/02595号;Selbo et al.,Int.J.Cancer 87:853−59(2000);Selbo et al.,Tumour Biol.23:103−12(2002);米国特許出願第2001/0007666号、及び同2003/077829号を参照)。当業者に既知のかかる送達法としては、リポソーム内での封入、イオントフォレシス、または例えば生分解性ポリマー;ヒドロゲル;シクロデキストリン等の他のビヒクルへの導入(例えば、Gonzalez et al., Bioconjug. Chem. 10:1068−74 (1999); Wang et al.,国際出願公開第WO03/47518号及び同WO03/46185号);ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)及びPLCA微粒子(ペプチド及びポリペプチド、並びに他の物質の送達にも有用である)(例えば、米国特許第6,447,796号;米国特許出願公開第2002/130430号を参照);生分解性ナノカプセル、並びに生体接着性微粒子、またはタンパク質ベクター(国際特許出願公開第00/53722号)を参照)が挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態において、核酸分子は、ポリエチレンイミン及びその誘導体、例えば、ポリエチレンイミン−ポリエチレングリコール−N−アセチルガラクトースアミン(PEI−PEG−GAL)、またはポリエチレンイミン−ポリエチレングリコール−トリ−N−アセチルガラクトースアミン(PEI−PEG−triGAL)誘導体と共に配合されるか、または複合体を形成することもできる(例えば米国特許出願公開第2003/0077829号も参照のこと)。
本明細書記載の方法の特定の実施形態において、対象はヒトまたは非ヒト動物である。本明細書で記載される治療を必要とする対象は、本明細書で記載される病気、疾患もしくは状態の症状または続発症を示してもよく、または病気、疾患もしくは状態の進行のリスクを有していてもよい。治療可能な非ヒト動物としては、哺乳類、例えば非ヒト霊長類(例えばサル、チンパンジー、ゴリラ等)、齧歯類(例えばラット、マウス、アレチネズミ、ハムスター、フェレット、ウサギ)、ウサギ目の動物、ブタ(例えばブタ、ミニブタ)、ウマ、イヌ科動物、ネコ科動物、ウシ、並びに他の家畜及び動物園動物が挙げられる。
本明細書にて提供される組成物は種々の形態、例えば固体、液体、粉末、水性、または凍結乾燥形態とすることができる。ウイルスベクター粒子及び細菌ベクター粒子、免疫原性組成物、並びに組み換え発現ベクターを含むベクター粒子を投与するための、好適な医薬品賦形剤及びキャリアの例は、当技術分野において既知である。かかる賦形剤、キャリア、及び/または添加剤は従来の方法により配合可能であり、好適な用量で対象に投与することができる。本明細書で記載される組成物内に含まれ得る、脂質、ヌクレアーゼ阻害剤、ポリマー、及びキレート剤等の安定化剤は、組成物及び組成物の成分の、体内での分解からの保護を補助することができる。
本明細書において提供するウイルスベクター粒子及び細菌ベクター粒子、免疫原性組成物、アジュバント組成物、並びに組み換え発現ベクターを含むベクター粒子は、キットとしてパッケージングされることができる。キットは所望により、使用のための取扱説明書、デバイス、及び追加の試薬、並びに構成部品(例えばチューブ、容器(例えば方法を実施するためのバイアル瓶及びシリンジ))といった、1つ以上の構成要素を含むことができる。代表的なキットは、所望により、使用のための取扱説明書、対象内でベクター粒子、組み換え発現ベクター、免疫原を検出するためのデバイスもしくは試薬、及び、対象に組成物を投与するための装置を含むことができる。
免疫原をコードするポリヌクレオチドを含むキットも、本明細書で検討される。かかるキットは、ウイルス含有成分をコードする少なくとも1つのプラスミド、及びシンドビスウイルスE2糖タンパク質変異体をコードするベクターを含んでもよい。幾つかのキットは、ウイルス含有成分をコードする少なくとも1つのプラスミド、シンドビスウイルスE2糖タンパク質変異体をコードするベクター、及び少なくとも1つのDC成熟因子をコードするベクターを含有する。
対象の配列をコードする(通常は抗原または免疫源をコードする)ウイルスベクター、及び所望により、DC成熟因子をコードするポリヌクレオチド配列を含むキットもまた、本明細書で企図される。幾つかのキットでは、キットは、ウイルス含有成分をコードする少なくとも1つのプラスミド、及びシンドビスウイルスE2糖タンパク質変異体をコードするベクターを含む。
キットはまた、取扱説明書を含んでもよい。取扱説明書は通常、組成物を投与するための、対象の適切な状態、適切な投与量、及び適切な投与方法の決定法を含む、投与方法について記載している。取扱説明書はまた、治療期間における、対象を監視するための手引きを含むことができる。
本明細書において提供するキットは、組み換え発現ベクターを含むベクター粒子を含む免疫原性組成物、及び/またはアジュバント組成物を対象に投与するための装置もまた含むことができる。薬剤またはワクチンを投与するための、当該技術分野において公知の種々の装置のいずれかを、本明細書において提供するキットに含めることができる。代表的なデバイスとしては、皮下注射針、静脈内注射針、カテーテル、無針注射デバイス、吸入器、及び液体散布器(例えば点眼器)が挙げられるが、これらに限定されない。通常、組成物を投与するための装置は、キットの有効成分と適合性である。例えば、高圧注射デバイス等の無針注射デバイスを、高圧注射により損傷を受けないベクター粒子、ポリヌクレオチド及びポリペプチドと共にキットに含めることができるが、通常、高圧注射により損傷を受け得るベクター粒子、ポリヌクレオチド及びポリペプチドを含むキットには含まれない。
他の実施形態及び使用法は、本開示の見地から当業者に明らかとなるであろう。以下の実施例は種々の実施形態を単に例示するものとして提供され、本発明を制限するようにいかなる方法でも解釈してはならない。
実施例1:CD8 T細胞の膀胱への動員
マウスで研究を行い、皮下免疫付与により産生されたCD8 T細胞が膀胱に動員されることが可能であることを示す。BALB/Cマウスの群(適切な対照群を含む:群あたり5匹のマウス)を、最大3つの時点(例えば0週、2週、4週)で、本明細書に記載した組み換えレンチベクターを異なる用量(10E8、10E9、10E10)で尻尾の付け根から免疫付与する。最後の免疫付与の1週間後、確立した手順に従い、5〜8×10E7 CFU/mgを含むBCG(TICE株)1mg/mlを用いて、1週間毎に6回の点滴をするか、または2%の安定したエマルションとして配合したGLA5μgを1週間に2回のいずれかでマウスに点滴する。最後のBCG/GLA点滴の1週間後、マウスを犠牲にし、膀胱を取り除く。確立した手順に従い、各膀胱から、組織学部位を調製して固定し、免疫細胞(例えばNK細胞、樹状細胞、T細胞、B細胞等)を検出及び分類するための好適な抗体で染色する。加えて、確立した手順に従い、各膀胱の一部をコラゲナーゼ分解にさらし、磁気ビーズを用いてT細胞を単離し、NY−ESO−1エピトープ特異的なCD8 T細胞についてペンタマーで染色してフローサイトメトリーで分析する。
マウス腫瘍細胞株MB−49に基づく、確立した同所性マウス膀胱癌モデルを使用し、治療の免疫学的及び臨床的有効性を測定する(Durek 2002;and Kang,M.R.,et al.,J.Vis.Exp.(65),e4207,(2012))。NY−ESO−1をコードする、本明細書に記載した組み換えレンチベクターの導入を用いて、NY−ESO−1を発現するMB−49の組み換えクローンを作製し、膀胱への植え込みの後で腫瘍成長速度を試験する。確立した腫瘍を有するマウスを、(1)で概説した治療に通し、腫瘍への臨床効果を、in vivoでの適切な方法(例えば超音波イメージング)、マウスの犠牲後の、所定の時点での形態測定、及び腫瘍浸潤リンパ球の分析により監視する(Watkins,S.K.,et al.,J.Vis.Exp.(64),e3952,(2012))。
実施例2:腫瘍内GLA投与後のレンチウイルスベクターのプライミングは、抗原特異的CD8 T細胞を腫瘍に効果的に「プル」する
本実施例は、ベクターワクチンでの免疫付与後にGLAを腫瘍内投与することは、ベクター誘発性抗原特異的CD8 T細胞を腫瘍に「プル」することを示す。
本研究では、0日目に、C57BL/6マウス(群あたり5匹のマウス)を1×106個のB16F10−OVA細胞を足蹠に皮下播種した。10日目に、尾部の付け根から2×1010個のVP02/OVA(または対照ベクター、VP02/GFP)のゲノムを投与してマウスを免疫付与した。21日目に、マウスに5.0μgのGLA/2% SEを腫瘍内投与した。腫瘍を回収し、フローサイトメトリーにより容易に、GLA投与前(D+0)、投与1日後(D+1)、または投与2日後(D+2)の腫瘍浸潤リンパ球を分析した。
予想通り、対照ベクターVP02/GFPで免疫付与したマウスの腫瘍では、OVA特異的CD8 T細胞は殆ど見られなかった(図1A、上パネル)。0日目には、平均1.9%のOVA特異的CD8 T細胞がVP02/OVAで免疫付与したマウスの腫瘍内で発見されたが、このことは、ベクターによりプライミングされた幾つかのCD8陽性抗原特異的細胞が腫瘍に浸潤したことを示す。GLA投与の1日後及び2日後には、GLA投与前の1.9%と比較して、それぞれ平均2.7%及び3.4%のOVA特異的CD8 T細胞が、VP02/OVAで免疫付与したマウスの腫瘍で発見された(図1B)。このことは、GLAの腫瘍内投与が、CD8抗原特異的T細胞を腫瘍内へのプルをもたらしたことを示している。GLA投与の48時間以内に、未治療の腫瘍と比較して、治療した腫瘍のAg特異的CD8 T細胞のパーセントは、平均7倍増加した(n=5)。非免疫付与マウスに対する、ベクターで免疫付与したマウスで見出されるOVA特異的CD8 T細胞の割合(%)は、GLA投与の1日後及び2日後で1.8倍に増加した。
上記のデータは、抗原特異的CD8 T細胞が全身で作製されると(「プライム」)、腫瘍部位でのアジュバントの局所投与がこれらのCD8 T細胞を腫瘍に「プル」し、防御免疫を仲立ちしたことを示している。これらのデータは、「プライム−プル」の、癌免疫療法での有望なワクチン戦略としての使用を支持している。
実施例3:プライム−プル戦略の治療効果の評価
本実施例は、ベクターワクチンでの免疫付与後にGLAを腫瘍内投与することは、ベクター誘発抗原特異的CD8 T細胞を腫瘍に「プル」することを示し、プライム−プル戦略の治療効果も更に示している。
本研究では、0日目に、C57BL/6またはBalb/cメスマウス(群あたり5匹のマウス)に、それぞれ、1×105個のB16F10−OVA細胞またはCT26細胞を、脇腹に皮下播種した。7日目には、尾部の付け根への投与により、マウスを、2×1010個の、VP02/OVA(C57BL/6)もしくはVP02/AH1A5(Balb/C)(または対照ベクターのVP02/GFP)のゲノムで免疫付与した。7日目または14日目に開始して、マウスに3〜4日毎に、5.0μgGLA/2% SEを腫瘍内投与した。18日目(最終のGLA/SE治療の1日後)に、B16F10−OVA腫瘍を回収し、フローサイトメトリーにより腫瘍浸潤リンパ球について分析した。
対照ベクター(VP02/GFP)で免疫付与したマウスは、腫瘍を浸潤したリンパ球を1.8%有した(図2A)。GLA/SE単独では、リンパ球の浸潤パーセントが増加しなかった。VP02/OVA単独では、リンパ球の湿潤パーセントが3.2%に増加したが、VP02/OVA+GLA/SEは、リンパ球の浸潤パーセントを更に7.5%まで増加させ、これは腫瘍浸潤リンパ球の基準を合計4倍超える増加であった。腫瘍内で見出されたリンパ球においては、VP02/OVA単独では、対照マウスの0.9%と比較して16.6%のOVA特異的CD8 T細胞を産生したが、GLA/SE単独では、対照マウスの9.7%と比較して、14.7%の制御性T細胞を産生した。これらの発見は、ベクター生成抗原特異的CD8 T細胞が腫瘍に遊走され、抗原特異的プライムの不存在下で、GLA/SEが主に制御性T細胞を部位にプルしたことを示している。しかし、抗原特異的プライムの存在下において、GLA/SEは制御性T細胞を腫瘍にプルし続けたが、より多くの抗原特異的CD8 T細胞をも腫瘍にプルした(図2B)。
B16−OVA及びCT26腫瘍モデルの両方において、プライム−プル戦略は、マウスにおいて最良の腫瘍制御を達成した(図3)。驚くべきことに、プライム−プル戦略は、少なくとも腫瘍播種の60日後(実験は依然として継続)まで、CT26モデルにおいて完全な退縮を達成した(図3B、中ヌキの菱形)。
上記のデータは、抗原特異的CD8 T細胞が全身で作製されると(「プライム」)、腫瘍部位でのTLR4アゴニストの局所投与がこれらのCD8 T細胞を腫瘍に「プル」し、腫瘍増殖に対して防御免疫を介在させたことを示している。これらのデータは、「プライム−プル」の、癌免疫療法での有望なワクチン戦略としての使用を支持している。
実施例4:プライム−プル戦略の速度の調査
プライム−プル戦略の速度を調査する研究が現在進行中である。本研究では、0日目に、C57BL/6マウス(群あたりn=5)を、1×105個のB16OVA細胞を、右脇腹に皮下で播種する。測定した腫瘍が4mm2を超えていれば(7日目)、尾部の付け根から、マウスをVP02/OVAまたは対照ビヒクルで一度免疫付与した。測定した腫瘍が4mm2を超えている(7日目)場合、または21日目に、5μgGLA/2% SEのみの腫瘍内投与を開始し、その後、研究終了まで3〜4日毎に継続した。22日目、23日目、及び24日目に脾細胞及び腫瘍を回収し、どの時点(GLA/SE投与の1日後、2日後または3日後)で腫瘍浸潤リンパ球の百分率が最大であったかを測定した。
実施例5:基準の腫瘍浸潤リンパ球と比較した、GLAプルにより得られる腫瘍浸潤リンパ球の表現型の測定
方法:腫瘍細胞をマウスに播種する。次いで、腫瘍を有するマウスにVP02/Aを尾部の付け根から投与して免疫付与し、その後GLAを腫瘍内投与した。腫瘍を回収し、フローサイトメトリー、及びGLA投与後分析により腫瘍浸潤リンパ球の表現型について分析した。マーカーの表現型検査をペンタマー陽性細胞で行った一方、ペプチド再刺激を用いて、多分化能と応答バランスの表現型を評価した。
実施例6:GLAプルが抗原特異的CD8 T細胞に特異的であるかどうかの測定
方法:CFSEで標識化した脾細胞を、非免疫付与またはVP02/OVA免疫付与マウスから、B16/OVA腫瘍を播種したナイーブマウスに養子移入した後、GLAを腫瘍内投与する。腫瘍を回収し、GLA投与後のフローサイトメトリーにより、抗原A特異的腫瘍浸潤リンパ球について分析する。シグナルを増加させ、CD8及びCD4細胞のプル効果を研究するため、OT−I(CD8)またはOT−II(CD4)マウスを免疫付与し、養子移入実験でのドナーとして使用する。
実施例7:GLAプルが抗原依存性であるかどうかの評価
方法:腫瘍細胞(抗原Aを発現するかまたは発現しない)をマウスに播種する。次いで、腫瘍を有するマウスを、尾部の付け根からVP02/A(抗原A含有)を投与することで免疫付与する。次いで、免疫付与したマウスにGLAを腫瘍内投与する。腫瘍を回収し、GLA投与後のフローサイトメトリーにより、抗原A特異的腫瘍浸潤リンパ球について分析する。
実施例8:GLAプルの規模及び速度を監視する。
方法:OT−I−lucマウスは、ルシフェラーゼの存在下で発光するOVA特異的CD8 T細胞を有するトランスジェニックマウスである。それ故、これらのマウスはVP02/OVAで免疫付与してOVA特異的CD8 T細胞を生成する必要はないが、T細胞を活性化するために免疫付与は通常必要である。マウスに腫瘍細胞を播種した後VP02/OVAで免疫付与し、その後、GLAを腫瘍内投与する。研究の対照群はVP02/IrrAgで偽プライミングする。マウスに腫瘍細胞を播種した後、GLAを腫瘍内投与する。腫瘍を有する動物をIVISシステムでイメージングし、腫瘍内の生物発光シグナルを評価する。OT−I−luc CD8 T細胞のみが生物発光特性を有するため、シグナルの規模が腫瘍内のOVA特異的CD8 T細胞数に直接関係する。速度研究に関しては、腫瘍播種は任意である。
実施例9:プライム−プルのT細胞受容体レパートリーの多様性を、「プライム」のみ、「プル」のみ、または未治療のマウスと比較して調査する。
方法:マウスに腫瘍細胞を播種する。次いで、腫瘍を有するマウスを(1)VP02/Aを尾部の付け根から投与して免疫付与した後、GLAを腫瘍内投与するか、または(2)VP02/Aで免疫付与だけするか、または(3)GLAを腫瘍内注射するだけで治療するか、または(4)未治療のままとする。腫瘍及び脾臓を回収し、ディープシーケンシングにより腫瘍浸潤リンパ球及び脾細胞のT細胞受容体分析により、これらを分析する。プライム−プルで治療したマウスは、脾臓リンパ球及びTILの両方で最大のクローン多様性を示すことが予想される。
上記種々の実施形態を組み合わせて、更なる実施形態を提供することができる。本明細書で参照される、及び/または出願データシートに記載される全ての米国特許、米国特許出願広報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許公報は、それら全体が、本明細書に参考として組み込まれる。必要であれば、種々の特許、出願及び広報の概念を用いて実施形態の態様を変更し、また更なる実施形態を提供することができる。
実施形態の例
1. 癌の治療方法であって、
a)ウイルスベクター粒子を含む第1組成物を対象に投与することであって、該ウイルスベクター粒子が組み換え発現ベクターを含むみ、該組み換え発現ベクターは癌関連抗原をコードするポリヌクレオチドを含み、かつ該ポリヌクレオチドが少なくとも1つの制御発現配列に作用可能に結合していることで、該対象における該癌関連抗原に対する免疫応答を誘発する、該投与すること;及び
b)該対象に、薬学的に好適なアジュバントを含む第2組成物を局所投与することであって、該組成物は抗原を含まない、該投与すること;
を含み、
該第1組成物及び該第2組成物はそれぞれ、更に薬学的に好適な賦形剤を含み、該第1組成物及び第2組成物は同時または逐次的に投与される、該方法。
2. 該癌はウイルス誘発性癌である、実施形態1に記載の方法。
3. 該癌関連抗原は、発癌性ウイルスに由来する抗原である、先行実施形態のいずれかに記載の方法。
4.該第1組成物が第1経路により全身投与され、該第2組成物が第2経路により局所投与される、先行実施形態のいずれかに記載の方法。
5. 該第1経路は筋肉内、皮内または皮下であり、該第2経路は腫瘍内、リンパ節内、粘膜または膀胱内である、先行実施形態のいずれかに記載の方法。
6. 該薬学的に好適なアジュバントはTLR4アゴニストである、先行実施形態のいずれかに記載の方法。
7. 該TLR4アゴニストは無毒性リピドA関連アジュバントである、実施形態6に記載の方法。
8. 該無毒性リピドA関連アジュバントはグルコピラノシルリピドA(GLA)である、先行実施形態のいずれかに記載の方法。
9. GLAは安定した水中油型エマルション中に配合される、先行実施形態のいずれかに記載の方法。
10. 該GLAは式
(I)
であって、
式中、R1、R3、R5及びR6はC11〜C20アルキルであり、R2及びR4はC12〜C20アルキルである、該式を有する、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
11. R1、R3、R5及びR6はウンデシルに相当し、R2及びR4はトリデシルに相当する、実施形態10に記載の方法。
12. 該GLAは式
(II)
であって、
L1、L2、L3、L4、L5、及びL6は同一または異なっており、−O−、−NH−、及び−(CH2)−から独立して選択され、L7、L8、L9及びL10は同一または異なっており、かつ、任意の場所が存在していなくても、または−C(=O)−であってもよく、Y1は酸性官能基であり、Y2及びY3は同一または異なっており、−OH、−SH、及び酸性官能基からそれぞれ独立して選択され、Y4は−OHまたは−SHであり、R1、R3、R5及びR6は同一または異なっており、C8〜C13アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、R2及びR4は同一または異なっており、C6〜C11アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される、該式を有するか、または薬剤として許容されるその塩である、先行実施形態のいずれかに記載の方法。
13. 該第1組成物は該第2組成物の投与前に投与される、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
14. 該第1組成物及び/または該第2組成物は2、3、4、5、6、7、8、9または10回投与される、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
15. 該組み換え発現ベクターはレトロウイルスベクターゲノム、レンチウイルスベクターゲノム、ポックスウイルスベクターゲノム、ワクシニアウイルスベクターゲノム、アデノウイルスベクターゲノム、アデノウイルス随伴ウイルスベクターゲノム、ヘルペルウイルスベクターゲノム、アルファウイルスベクターゲノム、プラスミドDNA及びRNAから選択される、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
16. 該ウイルスベクター粒子は、該レンチウイルスベクターゲノムを含むレンチウイルスベクター粒子;該ポックスウイルスベクターゲノムを含むポックスウイルスベクター粒子;該ワクシニアウイルスベクターゲノムを含むワクシニアウイルスベクター粒子;該アデノウイルスベクターゲノムを含むアデノウイルスベクター粒子;該アデノウイルス随伴ウイルスベクターゲノムを含むアデノウイルス随伴ウイルスベクター粒子;該ヘルペスウイルスベクターゲノムを含むヘルペスウイルスベクター粒子;または、該アルファウイルスベクターゲノムを含むアルファウイルスベクター粒子である、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
17. 該ウイルスベクター粒子は該レンチウイルスベクター粒子であり、該レンチウイルスベクターゲノムを含む、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
18. 該レンチウイルスベクター粒子は、配列番号1と比較して少なくとも1つのアミノ酸の変更を有するシンドビスウイルスE2糖タンパク質を含むエンベロープを更に含み、残基160は欠失しているか、またはグルタミン酸以外のアミノ酸であり、E2糖タンパク質は、シンドビスウイルスE3タンパク質を有する融合タンパク質の一部ではない、先の実施形態に記載の方法。
19. 該ウイルスベクター粒子は該組み換え発現ベクターを樹状細胞に送達する、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
20. 該癌関連抗原は、p53、Ras、c−Myc、A−Raf、B−Raf、C−Raf、サイクリン依存性キナーゼ、MAGE−A1、MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A6、MAGE−A10、MAGE−A12、MART−1、BAGE、DAM−6、−10、GAGE−1、−2、−8、GAGE−3、−4、−5、−6、−7B、NA88−A、MART−1、MC1R、Gp100、PSA、PSM、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2、ART−4、CAMEL、CEA、Cyp−B、hTERT、hTRT、iCE、MUC1、MUC2、ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)、TRK受容体、PRAME、P15、RU1、RU2、SART−1、SART−3、ウィルムス腫瘍抗原(WT1)、AFP、β−カテニン/m、カスパーゼ−8/m、CEA、CDK−4/m、ELF2M、GnT−V、G250、HSP70−2M、HST−2、KIAA0205、MUM−1、MUM−2、MUM−3、ミオシン/m、RAGE、SART−2、TRP−2/INT2、707−AP、アネキシンII、CDC27/m、TPI/mbcr−abl、BCR−ABL、インターフェロン制御因子4(IRF4)、ETV6/AML、LDLR/FUT、Pml/RARα、腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1(TACSTD1)TACSTD2、受容体型チロシンキナーゼ、上皮成長因子受容体(EGFR)、EGFRvIII、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、細胞質チロシンキナーゼ、src−ファミリー、syk−ZAP70、インテグリン結合キナーゼ(ILK)、シグナル伝達兼転写活性化因子STAT3、STAT5、及びSTAT6、低酸素誘導因子(HIF−1α及びHIF−2α)、核因子κB(NF−κB)、ノッチ受容体(ノッチ1〜4)、c−Met、ラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)、WNT、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)、PMSA、PR−3、MDM2、メソテリン、腎細胞癌−5T4、SM22−アルファ、カルボニックアンヒドラーゼI(CAI)及びIX(CAIX)、STEAD、TEL/AML1、GD2、プロテイナーゼ3、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、ML−IAP、EpCAM、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、RhoC、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、GLoboH、NY−BR−1、RGs5、SART3、STn、PAX5、OY−TES1、精子タンパク質17、LCK、HMWMAA、AKAP−4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、TIE2、Page4、MAD−CT−1、FAP、MAD−CT−2、及びfos関連抗原1から選択される、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
21. 該癌関連抗原は、CTA、NY−ESO−1、LAGE−1、MAGE−A1、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A10、CT7、CT10、GAGE、PRAME;BAGE;RAGE、SAGE、HAGE、MPHOSPH1、DEPDC1、IMP3、並びにMAGE−A及びBK T抗原、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
22. 該癌は膀胱癌である、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
23. 薬学的に好適なアジュバントを含む該第2組成物は、BCGを更に含む、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
24. 該第2組成物は、チェックポイント阻害剤(例えば抗PD1、抗PDL1、抗CTLA4等)、サイトカイン、クロロキン、ADCCを増加させる抗体、共刺激シグナルを促進する抗体、または抗CD40抗体からなる群から選択される1つ以上の治療薬を含む組成物と組み合わせて投与される、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
25. 該第1組成物がアジュバントを更に含む、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
26. ポリペプチドと組み合わせたアジュバントを含むブースト組成物を投与することを更に含み、該ポリペプチドは該癌関連抗原、またはその免疫原性断片を含む、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
27. 該誘発した免疫応答は細胞障害性Tリンパ球免疫応答を含む、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
28. 該第2組成物の局所投与が、投与の局所部位にてCD8+ T細胞の増大を誘発させる、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
29. 先行実施形態のいずれか1つに従った、第1組成物及び第2組成物を含むキット。
30. 癌の治療方法であって、
a)対象において、該癌に関連する免疫原に特異的な免疫応答を誘発することであって、該対象に、レンチウイルスベクター粒子を含む第1組成物を投与することを含み、該レンチウイルスベクター粒子は組み換え発現ベクターを含み、該組み換え発現ベクターは該免疫原をコードするポリヌクレオチドを含み、該ポリヌクレオチドは少なくとも1つの制御発現配列に作用可能に結合しており、該レンチウイルスベクター粒子は、配列番号1と比較して少なくとも1つのアミノ酸の変更を有するシンドビスウイルスE2糖タンパク質を含むエンベロープを更に含み、残基160は欠失しているか、またはグルタミン酸以外のアミノ酸であり、E2糖タンパク質はシンドビスウイルスE3タンパク質を有する融合タンパク質の一部ではない、該誘発すること;並びに、
b)薬学的に好適なアジュバントを含む第2組成物を腫瘍内投与することであって、該第2組成物は免疫原を含まず、該アジュバントは、安定した水中油型エマルション内で配合されるグルコピラノシルリピドA(GLA)である無毒性リピドA関連アジュバントであり、該GLAは式
であって、式中、R1、R3、R5及びR6はウンデシルに相当し、R2及びR4はトリデシルに相当する、該式を有する、該投与すること、を含み、
該癌と関連する該免疫原は、CTA、NY−ESO−1、LAGE−1、MAGE−A1、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A10、CT7、CT10、GAGE、PRAME;BAGE;RAGE、SAGE、HAGE、MPHOSPH1、DEPDC1、IMP3及びMAGE−Aから選択され、
該第1組成物及び該第2組成物はそれぞれ、薬学的に好適な賦形剤を更に含み、該第1組成物及び第2組成物は同時または逐次的に投与され、該第1組成物は筋肉内、皮内または皮下投与される、該方法。
31. 対象における癌の治療方法であって、
a)該対象に、
i.癌関連抗原に特異的な抗原特異的T細胞であって、前述の抗原特異的T細胞はex vivoで増殖されている、該抗原特異的T細胞、
ii.該癌関連抗原を認識するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子組み換えされたT細胞、または
iii.MHCとの関係において、該癌関連抗原を認識する特異的キメラT細胞受容体(TCR)を発現するように遺伝子組み換えされたT細胞、
を含む第1組成物を投与すること、及び、
b)該対象に、薬学的に好適なアジュバントを含む第2組成物を腫瘍内投与することであって、該第2組成物は抗原を含まないか、または所望により、先行実施形態のいずれかに記載されている癌関連抗原等の抗原を含む、該投与すること、
を含み、
該第1組成物及び該第2組成物はそれぞれ、更に薬学的に好適な賦形剤を含み、該第1組成物及び第2組成物は同時または逐次的に投与される、該方法。
32. 該アジュバントは無毒性リピドA関連アジュバントである、実施形態31に記載の方法。
33. 該アジュバントはグルコピラノシルリピドA(GLA)である、実施形態31に記載の方法。
34. GLAは安定した水中油型エマルション中に配合される、実施形態33に記載の方法。
35. 該GLAは式
であって、
式中、R1、R3、R5及びR6はC11〜C20アルキルであり、R2及びR4はC12〜C20アルキルである、該式を有する、実施形態33または実施形態34に記載の方法。
36. R1、R3、R5及びR6はウンデシルに相当し、R2及びR4はトリデシルに相当する、実施形態35に記載の方法。
37.
a)ウイルスベクター粒子を含む第1組成物であって、該ウイルスベクター粒子は組み換え発現ベクターを含み、該組み換え発現ベクターは癌関連抗原をコードするポリヌクレオチドを含み、かつ該ポリヌクレオチドは少なくとも1つの制御発現配列に作用可能に結合していることで、該対象における該癌関連抗原に対する免疫応答を誘発する、該第1組成物;及び
b)薬学的に好適なアジュバントを含む第2組成物であって、該第2組成物は抗原を含まない、該第2組成物
を含む、組成物であって、
該第1組成物及び該第2組成物はそれぞれ、薬学的に好適な賦形剤を更に含み、癌の治療方法での使用に関し、該第1組成物は該対象に全身投与され、かつ、該第2組成物は該対象に局所投与され、該第1組成物及び該第2組成物は、同時または逐次的に投与される、該組成物。
38. 該癌はウイルス誘発性癌である、実施形態37に記載の組成物。
39. 該癌関連抗原は、該発癌性ウイルスに由来する抗原である、実施形態38に記載の組成物。
40. 該第1組成物が第1経路により全身投与され、該第2組成物が第2経路により局所投与される、実施形態37に記載の組成物。
41. 該第1経路は筋肉内、皮内または皮下であり、該第2経路は腫瘍内、リンパ節内、粘膜または膀胱内である、実施形態40に記載の組成物。
42. 該薬学的に好適なアジュバントはTLR4アゴニストである、実施形態37に記載の組成物。
43. 該TLR4アゴニストは無毒性リピドA関連アジュバントである、実施形態42に記載の組成物。
44. 該無毒性リピドA関連アジュバントはグルコピラノシルリピドA(GLA)である、実施形態43に記載の組成物。
45. GLAは安定した水中油型エマルション中に配合される、実施形態44に記載の組成物。
46. 該GLAは式
(I)
であって、
式中、R1、R3、R5及びR6はC11〜C20アルキルであり、R2及びR4はC12〜C20アルキルである、該式を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
47. R1、R3、R5及びR6はウンデシルに相当し、R2及びR4はトリデシルに相当する、実施形態46に記載の組成物。
48. 該GLAは、式
(II)
であって、
式中、L1、L2、L3、L4、L5、及びL6は同一または異なっており、−O−、−NH−、及び−(CH2)−から独立して選択され、L7、L8、L9及びL10は同一または異なっており、かつ、任意の場所が存在していなくても、または−C(=O)−であってもよく、Y1は酸性官能基であり、Y2及びY3は同一または異なっており、−OH、−SH、及び酸性官能基からそれぞれ独立して選択され、Y4は−OHまたは−SHであり、R1、R3、R5及びR6は同一または異なっており、C8〜C13アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、R2及びR4は同一または異なっており、C6〜C11アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される、該式を有するか、または薬剤として許容されるその塩である、実施形態44〜45のいずれか1つに記載されている組成物。
49. 該第1組成物は該第2組成物の投与前に投与される、実施形態37〜45のいずれか1つに記載の組成物。
50. 該第1組成物及び/または該第2組成物は2、3、4、5、6、7、8、9または10回投与される、実施形態37〜45のいずれか1つに記載の組成物。
51. 該組み換え発現ベクターはレトロウイルスベクターゲノム、レンチウイルスベクターゲノム、ポックスウイルスベクターゲノム、ワクシニアウイルスベクターゲノム、アデノウイルスベクターゲノム、アデノウイルス随伴ウイルスベクターゲノム、ヘルペルウイルスベクターゲノム、アルファウイルスベクターゲノム、プラスミドDNA及びRNAから選択される、先の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
52. 該ウイルスベクター粒子は、該レンチウイルスベクターゲノムを含むレンチウイルスベクター粒子;該ポックスウイルスベクターゲノムを含むポックスウイルスベクター粒子;該ワクシニアウイルスベクターゲノムを含むワクシニアウイルスベクター粒子;該アデノウイルスベクターゲノムを含むアデノウイルスベクター粒子;該アデノウイルス随伴ウイルスベクターゲノムを含むアデノウイルス随伴ウイルスベクター粒子;該ヘルペスウイルスベクターゲノムを含むヘルペスウイルスベクター粒子;または、該アルファウイルスベクターゲノムを含むアルファウイルスベクター粒子である、先の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
53. 該ウイルスベクター粒子は該レンチウイルスベクター粒子であり、該レンチウイルスベクターゲノムを含む、先の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
54. 該レンチウイルスベクター粒子は、配列番号1と比較して少なくとも1つのアミノ酸の変更を有するシンドビスウイルスE2糖タンパク質を含むエンベロープを更に含み、残基160は欠失しているか、またはグルタミン酸以外のアミノ酸であり、E2糖タンパク質は、シンドビスウイルスE3タンパク質を有する融合タンパク質の一部ではない、先の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
55. 該ウイルスベクター粒子は該組み換え発現ベクターを樹状細胞に送達する、先の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
56. 該癌関連抗原は、CTA、NY−ESO−1、LAGE−1、MAGE−A1、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A10、CT7、CT10、GAGE、PRAME;BAGE;RAGE、SAGE、HAGE、MPHOSPH1、DEPDC1、IMP3MAGE−A、BK T抗原、p53、Ras、c−Myc、A−Raf、B−Raf、C−Raf、サイクリン依存性キナーゼ、MAGE−A1、MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A6、MAGE−A10、MAGE−A12、MART−1、BAGE、DAM−6、−10、GAGE−1、−2、−8、GAGE−3、−4、−5、−6、−7B、NA88−A、MART−1、MC1R、Gp100、PSA、PSM、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2、ART−4、CAMEL、CEA、Cyp−B、hTERT、hTRT、iCE、MUC1、MUC2、ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)、TRK受容体、PRAME、P15、RU1、RU2、SART−1、SART−3、ウィルムス腫瘍抗原(WT1)、AFP、β−カテニン/m、カスパーゼ−8/m、CEA、CDK−4/m、ELF2M、GnT−V、G250、HSP70−2M、HST−2、KIAA0205、MUM−1、MUM−2、MUM−3、ミオシン/m、RAGE、SART−2、TRP−2/INT2、707−AP、アネキシンII、CDC27/m、TPI/mbcr−abl、BCR−ABL、インターフェロン制御因子4(IRF4)、ETV6/AML、LDLR/FUT、Pml/RARα、腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1(TACSTD1)TACSTD2、受容体型チロシンキナーゼ、上皮成長因子受容体(EGFR)、EGFRvIII、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、細胞質チロシンキナーゼ、src−ファミリー、syk−ZAP70、インテグリン結合キナーゼ(ILK)、シグナル伝達兼転写活性化因子STAT3、STAT5、及びSTAT6、低酸素誘導因子(HIF−1α及びHIF−2α)、核因子κB(NF−κB)、ノッチ受容体(ノッチ1〜4)、c−Met、ラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)、WNT、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)、PMSA、PR−3、MDM2、メソテリン、腎細胞癌−5T4、SM22−アルファ、カルボニックアンヒドラーゼI(CAI)及びIX(CAIX)、STEAD、TEL/AML1、GD2、プロテイナーゼ3、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、ML−IAP、EpCAM、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、RhoC、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、GLoboH、NY−BR−1、RGs5、SART3、STn、PAX5、OY−TES1、精子タンパク質17、LCK、HMWMAA、AKAP−4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、TIE2、Page4、MAD−CT−1、FAP、MAD−CT−2、及びfos関連抗原1から選択される、先の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
58. 該癌は膀胱癌である、先の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
59. 薬学的に好適なアジュバントを含む該第2組成物は、BCGを更に含む、先の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
60. 該第2組成物は、チェックポイント阻害剤、サイトカイン、クロロキン、ADCCを増加させる抗体、共刺激シグナルを促進する抗体、抗CD40抗体からなる群から選択される治療薬を含む組成物と組み合わされて投与される、先の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
61. 該第1組成物がアジュバントを更に含む、先の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
62. ポリペプチドと組み合わせたアジュバントを含むブースト組成物を投与することを更に含み、該ポリペプチドは該癌関連抗原、またはその免疫原性断片を含む、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
63. 該誘発した免疫応答は細胞障害性Tリンパ球免疫応答を含む、先の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
64. 該第2組成物の局所投与が、投与の局所部位にてCD8+ T細胞の増大を誘発させる、先の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
65. 先の実施形態のいずれか1つに記載の、第1組成物及び第2組成物を含むキット。
66.
a)レンチウイルスベクター粒子を含む第1組成物であって、該レンチウイルスベクター粒子は組み換え発現ベクターを含み、該組み換え発現ベクターは癌に関連する免疫原をコードするポリヌクレオチドを含み、該ポリヌクレオチドは少なくとも1つの制御発現配列に作用可能に結合しており、該レンチウイルスベクター粒子が、配列番号1と比較して少なくとも1つのアミノ酸の変更を有するシンドビスウイルスE2糖タンパク質を含むエンベロープを更に含み、残基160は欠失しているか、またはグルタミン酸以外のアミノ酸であり、E2糖タンパク質はシンドビスウイルスE3タンパク質を有する融合タンパク質の一部ではない、該第1組成物;並びに、
b)薬学的に好適なアジュバントを含む第2組成物であって、該第2組成物は免疫原を含まず、該アジュバントは、安定した水中油型エマルション内で配合されるグルコピラノシルリピドA(GLA)である無毒性リピドA関連アジュバントであり、該GLAは式
であって、
式中、R1、R3、R5及びR6はウンデシルに相当し、R2及びR4はトリデシルに相当する、該式を有する、該第2組成物、
を含む、組成物であって、
癌に関連する該免疫原は、CTA、NY−ESO−1、LAGE−1、MAGE−A1、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A10、CT7、CT10、GAGE、PRAME;BAGE;RAGE、SAGE、HAGE、MPHOSPH1、DEPDC1、IMP3及びMAGE−Aから選択され、
該第1組成物及び該第2組成物はそれぞれ、薬学的に好適な賦形剤を更に含み、対象における癌の治療方法に関して、該第1組成物は筋肉内、皮内または皮下投与され、該対象において、該癌に関連する該免疫原に特異的な免疫応答を誘発し、該第2組成物は腫瘍内投与され、該第1組成物及び該第2組成物は、同時または逐次的に投与される、該組成物。
67.
a)i.癌関連抗原に特異的な自己由来もしくは異種抗原特異的T細胞であって、前述の抗原特異的T細胞はex vivoで増殖されている、該細胞、
ii.該癌関連抗原を認識するようにキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子組み換えされた、自己由来もしくは異種T細胞、または
iii.MHCとの関係において、該癌関連抗原を認識する特異的キメラT細胞受容体(TCR)を発現するように遺伝子組み換えされたT細胞、
を含む第1組成物、及び、
b)薬学的に好適なアジュバントを含む第2組成物であって、該第2組成物が免疫原を含まない、該第2組成物、
を含む組成物であって、
該第1組成物及び該第2組成物はそれぞれ、薬学的に好適な賦形剤を更に含み、
対象における癌の治療方法での使用に関し、該第1組成物は該対象に全身投与され、該第2組成物は腫瘍内投与され、該第1組成物及び該第2組成物は、同時または逐次的に投与される、該組成物。
68. 該アジュバントは無毒性リピドA関連アジュバントである、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
69. 該アジュバントはグルコピラノシルリピドA(GLA)である、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
70. GLAは安定した水中油型エマルション中に配合される、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
71. 該GLAは式
であって、
式中、R1、R3、R5及びR6はC11〜C20アルキルであり、R2及びR4はC12〜C20アルキルである、該式を有する、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
72. R1、R3、R5及びR6はウンデシルに相当し、R2及びR4はトリデシルに相当する、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
73.
a)腫瘍を有する対象に、ベクター粒子を含む第1組成物を投与することであって、該ベクター粒子は組み換え発現ベクターを含み、該組み換え発現ベクターは癌関連抗原をコードするポリヌクレオチドを含み、かつ該ポリヌクレオチドが少なくとも1つの制御発現配列に作用可能に結合していることで、該対象における該癌関連抗原に対する免疫応答を誘発する、該投与すること;及び、
b)TLR4アゴニストを含む第2組成物を該対象に腫瘍内または腫瘍周辺投与することであって、該組成物は抗原を含まない、該投与すること、
を含む、腫瘍微小環境においてT細胞を増大させる方法であって、
該第1組成物及び該第2組成物はそれぞれ、薬学的に好適な賦形剤を更に含み、かつ、該第1組成物及び該第2組成物は、同時または逐次的に投与される
ことで、該腫瘍微小環境においてT細胞を増加させる、該方法。