[導電性接着剤の概要]
導電性パターン(配線パターン)を有する所定の基材上に所定の電子素子等を搭載する場合、電子素子等は導電性接着剤を介して導電性パターンに固定される。複数の電子素子等を基材上に搭載する場合や複数の基材を製造する場合、製造コスト低下等の観点から、電子素子等の搭載スピードを向上させることが要求される。この場合において、ディスペンサを用いて基材上に高速で次々と導電性接着剤を吐出、塗布することで、電子素子等の搭載スピードを向上させることができる。
ここで、導電性接着剤が適切な粘度を有していない場合(例えば、粘度が高すぎる場合等)、ディスペンサのノズルから導電性接着剤を吐出できない場合がある。また、ディスペンサを用いて導電性接着剤を基材上のある位置(第1の位置)に吐出し、次に導電性接着剤を吐出させるべき位置(第2の位置)にディスペンサのノズルを移動させると、導電性接着剤のキレが悪く、第1の位置の導電性接着剤と第2の位置の導電性接着剤とが導電性接着剤によりつながることもある。更に、導電性接着剤のキレを良好にする観点から導電性接着剤のSVI値を適切に調整しない場合、基材上に吐出された導電性接着剤が基材上で拡がってしまい、隣接する他の導電性接着剤に接触する場合がある。これらの課題は、ディスペンサが高速ディスペンサである場合に、より顕著に発生し得る。例えば、導電性接着剤として粘度が100Pa・sを超えるような導電性接着剤を用いた場合、通常のノズル(ニードル型)を有するディスペンサを用いると、1点への導電性接着剤の塗布に5秒程度もかかり、場合によってはノズルから導電性接着剤が吐出しないことがある。なお、本発明における高速ディスペンサとは、例えば、1ショット1秒以下の速さで組成物を吐出できるディスペンサである。
そこで、本発明者は、導電性接着剤の特性を様々な観点から検討した結果、導電性接着剤の粘度だけではなく、導電性接着剤のチクソ性に関連するStructural Viscosity Index(SVI)値と粘度とのバランスを適正な範囲にすることが、上記複数の課題を同時に解決する点から有効であることを見出した。なお、本発明において粘度は、B型粘度計を用いて、JIS K6833−1に準拠し、23℃の温度条件下、回転数20r/minで測定することができる。また、SVI値は、B型粘度計を用い、JIS K6833−1に準拠し、23℃の温度条件下での測定において、低回転速度(回転数2r/min)時の粘度Aと高回転速度(回転数20r/min)時の粘度Bとの比(A/B)で表される値である。
すなわち、本発明に係る導電性接着剤は、高速ディスペンサで用いることができ、低温での硬化が可能な導電性接着剤であって、Structural Viscosity Index(SVI)値が、2.5以上6以下であり、23℃における粘度が、1Pa・s以上20Pa・s以下である導電性接着剤である。なお、本発明に係る導電性接着剤のSVI値は3以上5以下がより好ましく、粘度は、1Pa・s以上15Pa・s以下がより好ましい。また、「低温」とは、例えば、80℃程度の温度であるが、少なくとも、ハンダ等で用いるリフロー炉における温度(約250℃)より低い温度である。
なお、導電性接着剤としては、粘度及びSVI値が上記の範囲を満たすものであれば特に限定されず従来公知の導電性接着剤を用いることができる。導電性接着剤のバインダー樹脂としては、例えば湿気硬化型、水分散型、溶剤揮散型、加熱硬化型のバインダー樹脂を用いることができる。湿気硬化型のバインダー樹脂としては、例えばシリコーン系、変成シリコーン系等が挙げられ、水分散型のバインダー樹脂としては、PVA系やウレタン系、アクリル系等が挙げられ、溶剤揮散型としては、ゴム系やアクリル樹脂系等が挙げられ、加熱硬化型のバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
より具体的に、本発明の導電性接着剤は、(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体と、(B)導電性フィラーと、(C)チクソ性付与剤とを含有する湿気硬化型の変成シリコーン系導電性接着剤であることが好ましい。また、(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体の主鎖骨格は、ポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体、及び(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる群から選択される1種以上であることが好ましく、(B)導電性フィラーは、(b1)第一の銀粉及び銀メッキ粉と、(b2)第二の銀粉及び銀メッキ粉とを含むことが好ましい。そして、(C)チクソ性付与剤は、シリカ系化合物、又はアマイドワックス系化合物であることが好ましい。また、(C)チクソ性付与剤であるシリカ系化合物が、表面処理剤により疎水化処理された疎水性シリカ、及び表面にシラノール基が存在するヒュームドシリカである親水性シリカからなる群から選択される1種以上のシリカであることがより好ましい。
[(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体]
(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体としては、架橋性ケイ素基を有する有機重合体であれば特に制限はなく、例えば、変成シリコーン系樹脂が挙げられる(以下、(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体を「(A)成分」という場合がある。)。
架橋性ケイ素基含有有機重合体の架橋性ケイ素基は、ケイ素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうる基である。架橋性ケイ素基としては、例えば、一般式(1)で示される基が好ましい。
式(1)中、R1は、有機基を示す。なお、R1は、炭素数が1〜20の炭化水素基が好ましい。これらの中でR1は、特にメチル基が好ましい。R1は、置換基を有していてもよい。Xは水酸基、又は加水分解性基を示し、Xが2個以上存在する場合、複数のXは同一であっても、異なっていてもよい。aは1、2又は3の整数のいずれかである。なお、硬化性の観点からは、aは2以上が好ましく、aが3であることがより好ましい。
Xで示される加水分解性基としては、F原子以外であれば特に限定されない。例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノオキシ基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの中では、加水分解性が穏やかで取扱やすいという観点からアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基の中では炭素数の少ない基の方が反応性が高く、メトキシ基>エトキシ基>プロポキシ基の順のように炭素数が多くなるほどに反応性が低くなる。目的や用途に応じて選択できるが、通常、メトキシ基やエトキシ基が用いられる。
架橋性ケイ素基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基、−Si(OR)3、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基等のジアルコキシシリル基、−SiR1(OR)2が挙げられる。ここでRはメチル基やエチル基等のアルキル基である。また、架橋性ケイ素基は1種で用いても、2種以上併用してもよい。架橋性ケイ素基は、主鎖又は側鎖、若しくはいずれに結合していてもよい。架橋性ケイ素基含有有機重合体において、架橋性ケイ素基は、架橋性ケイ素基含有有機重合体1分子中に平均して1.0個以上5個以下存在することが好ましく、1.1〜3個存在することがより好ましい。
架橋性ケイ素基含有有機重合体の主鎖骨格としては、具体的には、ポリオキシプロピレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体等のポリオキシアルキレン系重合体;エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、これらのポリオレフィン系重合体に水素添加して得られる水添ポリオレフィン系重合体等の炭化水素系重合体;アジピン酸等の2塩基酸とグリコールとの縮合、又は、ラクトン類の開環重合で得られるポリエステル系重合体;エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のモノマーをラジカル重合して得られる(メタ)アクリル酸エステル系重合体;(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等のモノマーをラジカル重合して得られるビニル系重合体;有機重合体中でのビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体;ポリサルファイド系重合体;ポリアミド系重合体;ポリカーボネート系重合体;ジアリルフタレート系重合体等が挙げられる。これらの骨格は、架橋性ケイ素基含有有機重合体の中に単独で含まれていても、2種類以上がブロック若しくはランダムに含まれていてもよい。
更に、ポリイソブチレン、水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエン等の飽和炭化水素系重合体や、ポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体は比較的ガラス転移温度が低く、得られる硬化物が耐寒性に優れることから好ましい。また、ポリオキシアルキレン系重合体、及び(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、透湿性が高く1液型組成物にした場合に深部硬化性に優れることから特に好ましい。
なお、比較的ガラス転移温度が低く、得られる接着剤が耐寒性に優れていると共に、低分子環状シロキサンを含有しておらず、シロキサンフリーであり、接点障害を防止する観点から、主鎖骨格は、ポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体、及び(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる群から選択される1種以上を含有することが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の主鎖を構成する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、各種のモノマーを用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸系モノマー;(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー;脂環式(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;芳香族(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン等のシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体では、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと共に、以下のビニル系モノマーを共重合することもできる。ビニル系モノマーを例示すると、スチレン、無水マレイン酸、酢酸ビニル等が挙げられる。また、単量体単位(以下、他の単量体単位とも称する。)として、これら以外にアクリル酸、グリシジルアクリレートを含有してもよい。
これらは、単独で用いても、複数を共重合させてもよい。生成物の物性等の観点からは、(メタ)アクリル酸系モノマーからなる重合体が好ましい。また、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを用い、必要に応じて他の(メタ)アクリル酸モノマーを併用した(メタ)アクリル酸エステル系重合体がより好ましい。更に、シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを併用することで、(メタ)アクリル酸エステル系重合体中のケイ素基の数を制御できる。接着性が良いことからメタクリル酸エステルモノマーからなるメタクリル酸エステル系重合体が特に好ましい。また、低粘度化、柔軟性を付与する場合、アクリル酸エステルモノマーを適宜用いることが好ましい。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法は、例えば、ラジカル重合反応を用いたラジカル重合法を用いることができる。ラジカル重合法としては、重合開始剤を用いて所定の単量体単位を共重合させるラジカル重合法(フリーラジカル重合法)や、末端等の制御された位置に反応性シリル基を導入できる制御ラジカル重合法が挙げられる。ただし、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物等を用いるフリーラジカル重合法で得られる重合体は、分子量分布の値が一般に2以上と大きく、粘度が高くなる。したがって、分子量分布が狭く、粘度の低い(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を得る場合には、制御ラジカル重合法を用いることが好ましい。
制御ラジカル重合法としては、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いたフリーラジカル重合法やリビングラジカル重合法が挙げられる。原子移動ラジカル重合法(Atom Transfer Radical Polymerization;ATRP)等のリビングラジカル重合法を採用することが好ましい。なお、主鎖骨格が(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、その一部がテレケリックポリマーである重合体(以下、「疑似テレケリックポリマー」という。)を合成する反応として、反応性シリル基を有するチオール化合物を用いた反応や、反応性シリル基を有するチオール化合物、及びメタロセン化合物を用いた反応が挙げられる。
これらの架橋性ケイ素基含有有機重合体は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。具体的には、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体、架橋性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体、並びに架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる群から選択される2種以上をブレンドした架橋性ケイ素基含有有機重合体を用いることができる。特に、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体とをブレンドした架橋性ケイ素基含有有機重合体が優れた特性を有する。
架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体とをブレンドした架橋性ケイ素基含有有機重合体の製造方法としては、様々な方法が挙げられる。例えば、架橋性ケイ素基を有し、分子鎖が実質的に、一般式(2):
−CH2−C(R2)(COOR3)− ・・・(2)
(式中、R2は水素原子又はメチル基、R3は炭素数が1〜6のアルキル基を示す。好ましくは、炭素数が1〜2のアルキル基が挙げられる。なお、R3は単独でもよく、2種以上混合していてもよい。)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体単位と、一般式(3):
−CH2−C(R2)(COOR4)− ・・・(3)
(式中、R2は前記に同じ、R4は炭素数が8以上のアルキル基を示す。好ましくは2−エチルヘキシル基、ステアリル基等の炭素数が8〜20の長鎖のアルキル基が挙げられる。なお、R4は単独でもよく、2種以上混合していてもよい。)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなる共重合体に、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体をブレンドして製造する方法が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の分子鎖は実質的に式(2)及び式(3)の単量体単位からなる。ここで、「実質的に」とは、共重合体中に存在する式(2)及び式(3)の単量体単位の合計が50質量%を越えることを意味する。式(2)及び式(3)の単量体単位の合計は好ましくは70質量%以上である。また、式(2)の単量体単位と式(3)の単量体単位との存在比は、質量比で95:5〜40:60が好ましく、90:10〜60:40が更に好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の数平均分子量は、600以上10,000以下が好ましく、1,000以上5,000以下がより好ましく、1,000以上4,500以下が更に好ましい。数平均分子量をこの範囲にすることにより、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体との相溶性が向上する。(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体との配合比に特に制限はないが、(メタ)アクリル酸エステル系重合体とポリオキシアルキレン系重合体との合計100質量部に対して、(メタ)アクリル酸エステル系重合体が10〜60質量部の範囲内であることが好ましく、20〜50質量部の範囲内がより好ましく、25〜45質量部の範囲内が更に好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系重合体が60質量部より多いと粘度が高くなり、作業性が悪化するため好ましくない。
更に、本発明においては架橋性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体と架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体とをブレンドした有機重合体も用いることができる。架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体をブレンドして得られる有機重合体の製造方法としては、他にも、架橋性ケイ素基を有する有機重合体の存在下で(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合する方法を利用できる。
主鎖骨格がオキシアルキレン系重合体であり末端に加水分解性基等の官能基を有するポリマー(以下、「ポリオキシアルキレン系重合体」という。)は、本質的に一般式(4)で示される繰り返し単位を有する重合体である。
−R5−O− ・・・(4)
一般式(4)中、R5は炭素数が1〜14の直鎖状若しくは分岐アルキレン基であり、炭素数が2〜4の直鎖状若しくは分岐アルキレン基が好ましい。
一般式(4)で示される繰り返し単位の具体例としては、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH2CH2CH2O−等が挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特にオキシプロピレンを主成分とする重合体からなる主鎖骨格が好ましい。
架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の分子量は、硬化物の初期の引張特性である引張モジュラスを小さくし、破断時伸びを大きくするため高い分子量が好ましい。本発明においては、ポリオキシアルキレン系重合体の数平均分子量の下限としては15,000が好ましく、18,000以上が更に好ましく、20,000以上がより好ましい。また、数平均分子量の上限は50,000、更には40,000が好ましい。なお、本発明に係る数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算分子量である。数平均分子量が15,000未満の場合、引張モジュラスや破断時伸びが十分でない場合があり、50,000を超えると組成物の粘度が大きくなり作業性が低下することがある。
ポリオキシアルキレン系重合体において架橋性ケイ素基の含有量を適度に低下させると、硬化物における架橋密度が低下するので、初期においてより柔軟な硬化物になり、モジュラス特性が小さくなると共に破断時伸び特性が大きくなる。ポリオキシアルキレン系重合体において架橋性ケイ素基は、重合体1分子中に平均して1.2個以上2.8個以下存在することが好ましく、1.3個以上2.6個以下存在することがより好ましく、1.4個以上2.4個以下存在することが更に好ましい。分子中に含まれる架橋性ケイ素基の数が1個未満になると硬化性が不十分になり、また、多すぎると網目構造があまりに密になるため良好な機械特性を示さなくなる。そして、主鎖骨格が直鎖である2官能の重合体の場合、当該重合体の架橋性ケイ素基は、重合体1分子中に平均して1.2個以上1.9個未満存在することが好ましく、1.25個以上1.8個以下存在することがより好ましく、1.3個以上1.7個未満存在することが更に好ましい。
架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は直鎖状でも分岐を有してもよい。引張モジュラスを小さくする観点からは、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は直鎖状の重合体が好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体の合成法としては、例えば、KOHのようなアルカリ触媒による重合法や複金属シアン化物錯体触媒による重合法等が挙げられるが、特に限定されない。複金属シアン化物錯体触媒による重合法によれば数平均分子量6,000以上、Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が1.6以下の高分子量で分子量分布が狭いポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格中にはウレタン結合成分等の他の成分を含んでいてもよい。ウレタン結合成分としては、例えば、トルエンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートと水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体との反応から得られる成分を挙げることができる。
分子中に不飽和基、水酸基、エポキシ基、又はイソシアネート基等の官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を有する官能基、及び架橋性ケイ素基を有する化合物を反応させることで、ポリオキシアルキレン系重合体へ架橋性ケイ素基を導入できる(以下、高分子反応法という。)。
高分子反応法の例として、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体に架橋性ケイ素基を有するヒドロシランや、架橋性ケイ素基を有するメルカプト化合物を作用させてヒドロシリル化やメルカプト化し、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を得る方法を挙げることができる。不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体は、水酸基等の官能基を有する有機重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基及び不飽和基を有する有機化合物を反応させることで得ることができる。
また、高分子反応法の他の例として、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体とイソシアネート基、並びに架橋性ケイ素基を有する化合物とを反応させる方法や、末端にイソシアネート基を有するポリオキシアルキレン系重合体と水酸基やアミノ基等の活性水素基、並びに架橋性ケイ素基を有する化合物とを反応させる方法を挙げることができる。イソシアネート化合物を用いると、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を容易に得ることができる。
なお、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
[(B)導電性フィラー]
(B)導電性フィラーは、電気導電性を有する材料を用いて形成される。導電性フィラーとしては、例えば、銀粉、銅粉、ニッケル粉、アルミ粉、及びこれらの銀メッキ粉や、銀コートガラス、銀コートシリカ、銀コートプラスチック等の金属粉;酸化亜鉛、酸化チタン、ITO、ATO、カーボンブラック等が挙げられる。体積抵抗率を低下させる観点から、導電性フィラーは、銀粉又は銀メッキ粉が好ましく、導電性の信頼性及びコストの観点から、銀粉及び銀メッキ粉を併用することがより好ましい(以下、(B)導電性フィラーを「(B)成分」という場合がある。)。
(B)導電性フィラーの形状としては、種々の形状(例えば、粒状、球形状、楕円、円筒形、フレーク状、平板状、又は粒塊等)を採用できる。導電性フィラーは、やや粗いか、又はぎざぎざの表面を有することもできる。導電性フィラーの粒子形状、大きさ、及び/又は硬度を組み合わせて本発明の導電性接着剤に用いることができる。また、導電性接着剤の硬化物の導電性をより向上させることを目的として、(B)導電性フィラーの粒子形状、大きさ、及び/又は硬度が互いに異なる複数の導電性フィラーを組み合わせることもできる。なお、組み合わせる導電性フィラーは2種類に限られず、3種類以上であってもよい。本発明においては、フレーク状の導電性フィラーと、粒状等の導電性フィラーとを併用することが好ましい。
ここで、フレーク状とは、扁平状、薄片状、若しくは鱗片状等の形状を含み、球状や塊状等の立体形状の銀粉を一方向に押し潰した形状を含む。また、粒状とは、フレーク状を有さない全ての導電性フィラーの形状を意味する。例えば、粒状としては、ブドウの房状に粉体が凝集した形状、球状、略球状、塊状、樹枝状、またこれらの形状を有する銀粉の混合物等が挙げられる。
また、(B)導電性フィラーとして銀粉及び銀メッキ粉を用いる場合、この導電性フィラーは様々な方法により製造できる。例えば、フレーク状の銀粉を導電性フィラーとして用いる場合、球状銀粉、塊状銀粉、及び/又は粒状銀粉等の銀粉をジェットミル、ロールミル若しくはボールミル等の装置を用いて機械的に粉砕等することで製造できる。また、粒状の銀粉を導電性フィラーとして用いる場合、電解法、粉砕法、熱処理法、アトマイズ法、又は還元法等により製造できる。これらの中では、還元方法をコントロールすることによりタップ密度の小さい粉末が得やすいため、還元法が好ましい。
(B)導電性フィラーに用いられる銀粉及び銀メッキ粉は、公知の銀粉及び銀メッキ粉を広く用いることができる。また、銀粉及び銀メッキ粉は、それぞれ所定の比表面積及びタップ密度を有する(b1)第一の銀粉及び銀メッキ粉と(b2)第二の銀粉及び銀メッキ粉とを含むことが好ましい。(b1)と(b2)との混合割合[(b1)/(b2)]は、質量比で1/10以上10/1以下であり、1/4以上4/1以下が好ましく、3/2以上4/1以下がより好ましい。また、(b1)成分において、第一の銀粉と銀メッキ粉との混合割合は1/10以上10/1以下であり、(b2)成分において、第二の銀粉と銀メッキ粉との混合割合は1/10以上10/1以下である。
(b1)第一の銀粉及び銀メッキ粉の比表面積は0.5m2/g以上2.0m2/g未満が好ましく、1.0m2/g以上2.0m2/g未満がより好ましい。また、(b1)第一の銀粉及び銀メッキ粉のタップ密度は2.5g/cm3以上6.0g/cm3以下が好ましく、3.0g/cm3以上5.0g/cm3以下がより好ましい。また、(b1)第一の銀粉の50%平均粒径は、0.5μm以上15μm以下が好ましい。なお、(b1)第一の銀粉及び銀メッキ粉の形状は様々な形状であってよく、フレーク状、粒状等の種々の形状を用いることができる。中でも、フレーク状の銀粉及び銀メッキ粉が好ましい。
なお、本発明において、銀粉及び銀メッキ粉のタップ密度は、JIS K5101−1991の20.2タップ法に準じた方法により測定できる。また、50%平均粒径は、レーザー回析散乱式粒度分布測定法により測定される体積累積50%における粒径である。
(b2)第二の銀粉及び銀メッキ粉の比表面積は2.0m2/g以上7.0m2/g以下が好ましく、2.0m2/g以上3.0m2/g以下がより好ましい。また、(b2)第二の銀粉及び銀メッキ粉のタップ密度は1.0g/cm3以上3.0g/cm3以下であることが好ましい。また、(b2)第二の銀粉及び銀メッキ粉の50%平均粒径は、0.5μm以上20μm以下が好ましい。なお、(b2)第二の銀粉及び銀メッキ粉の形状は様々な形状であってよく、フレーク状、粒状等の種々の形状を用いることができる。中でも、粒状の銀粉及び銀メッキ粉が好ましい。
本発明において、(B)導電性フィラーの含有率は、導電性接着剤の全含有量の50質量%以上85質量%以下であり、65質量%以上85質量%以下が好ましく、70質量%以上80質量%以下がより好ましい。十分な導電性を得る観点から、含有率は50質量%以上が好ましく、優れた導電性と共に接着性及び作業性を確保する観点から85質量%以下が好ましい。特に、接着性や作業性を確保する観点から、(b2)第二の銀粉及び銀メッキ粉の含有率が増加しすぎないようにすることが好ましい。
(b1)成分、及び(b2)成分のタップ密度が上記の範囲内であることで、銀粉及び銀メッキ粉を多量に添加することなく、十分な導電性を発揮することができる。コスト抑制の観点からは、特に、(b1)成分と(b2)成分のうち、一方がフレーク状の銀粉及び/又は銀メッキ粉であり、もう一方が粒状の銀粉及び/又は銀メッキ粉を組み合わせて用いることが好ましい。
[(C)チクソ性付与剤]
本発明の導電性接着剤は、(C)チクソ性付与剤を用いることにより、チクソ性を確保することができる。(C)チクソ性付与剤としては、シリカ系化合物、及び/又はアマイドワックス系化合物等が挙げられる(以下、(C)チクソ性付与剤を「(C)成分」という場合がある。)。
本発明では、(A)成分及び(B)成分と共に、特定の表面処理剤により疎水化処理された疎水性シリカ及び親水性シリカからなる群から選択される1種以上のシリカを用いることが好ましく、この場合、特に導電性の安定性に優れた導電性接着剤を得ることができる。(C)成分としてのシリカの粒径は特に制限はないが、シリカ微粉末が好ましく、平均粒径7nm以上16nm以下のシリカ微粉末がより好ましく、平均粒径7nm以上14nm以下のシリカ微粉末が最も好ましい。
親水性シリカとしては、公知の親水性シリカを広く用いることができ、中でも表面にシラノール基(Si−OH基)が存在するヒュームドシリカが好ましい。親水性シリカを用いることにより、粘度を上げずフロー性を確保しながらブリードを防止することができる。フロー性を有する導電性接着剤は、フロー性を要求される用途、例えば、スクリーン印刷方式で基板へ塗布し、50μm程度の薄膜でパターンを作成する用途等への応用に適している。
疎水性シリカとしては、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、(メタ)アクリルシラン、オクチルシラン(例えば、トリメトキシオクチルシラン等)、及びアミノシランからなる群から選択される1種以上の表面処理剤により疎水化処理された疎水性シリカが用いられる。このような特定の表面処理剤により疎水化処理された疎水性シリカを用いることにより、吐出性や形状保持を確保しながらブリードを防止することができる。本発明において、形状保持性を有する導電性接着剤は、形状保持性を要求される用途、例えば、スクリーン印刷方式で基板へ塗布しパターンを作製する場合において、100μm以上の膜厚が要求される場合やハンダによる接続部分を本発明の導電性接着剤で代替する用途等への応用に適している。
表面処理剤を用いたシリカの疎水化処理方法は公知の方法を選択可能であり、例えば、未処理のシリカに前述した表面処理剤を噴霧し、又は気化した表面処理剤を混合し、加熱処理する方法が挙げられる。なお、この疎水化は窒素雰囲気下の乾式で処理することが好ましい。
(C)成分の配合割合は特に制限はないが、(A)成分100質量部に対して3質量部以上20質量部以下用いることが好ましく、5質量部以上10質量部以下用いることがより好ましい。(C)成分であるシリカは、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
[(D1)アミン化合物、(D2)アミン化合物を生成する化合物]
本発明の導電性接着剤は、(D1)一分子中に少なくとも一個のアルコキシシリル基を有するアミン化合物や、(D2)水と反応して(D1)アミン化合物を生成する化合物を更に含むこともできる(以下、D1)一分子中に少なくとも一個のアルコキシシリル基を有するアミン化合物を「(D1)成分」と、(D2)水と反応して(D1)アミン化合物を生成する化合物を「(D2)成分」という場合がある。)。導電性接着剤が(D1)成分及び/又は(D2)成分を含有することにより、接着性をより向上させることができる。(D1)化合物の製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
(D1)一分子中に少なくとも一個のアルコキシシリル基を有するアミン化合物としては、例えば、一般式(5)で示される化合物が挙げられる。
一般式(5)において、0≦n≦2(ただし、nは整数)を満たし、nは0又は1が好ましい。また、R6及びR7は、互いに同一、若しくは異なる官能基であってよい。例えば、R6及びR7はそれぞれ、炭素数が1個以上4個以下の炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基等が好ましく、特にアルキル基が好ましい。R8は炭素数が1個以上10個以下の炭化水素基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、アルキレンアリーレン基等が好ましく、特にアルキレン基が好ましい。Zは、水素原子、又は炭素数が1個以上4個以下のアミノアルキル基である。
(D1)一分子中に少なくとも一個のアルコキシシリル基を有するアミン化合物としては、一例として、下記式(6)〜(13)で示される化合物や、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類等を挙げることができる。これらの中では、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が、導電性接着剤の接着性を向上させる観点から特に好ましい。
(D2)水と反応して一般式(5)で示されるアミン化合物を生成する化合物としては、具体的には、原料入手の容易性、貯蔵安定性の良好性、水との反応性等の観点から、一分子中に少なくとも1個のアルコキシシリル基を有するアミン化合物のケチミン化合物、エナミン化合物、及び/又はアルジミン化合物等が挙げられる。ケチミン化合物、エナミン化合物及びアルジミン化合物はそれぞれ、一分子中に少なくとも1個のアルコキシシリル基を有する一般式(5)で示されるアミン化合物とカルボニル化合物との脱水反応により製造できる。
このようなカルボニル化合物としては、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−アミルアルデヒド、イソヘキシルアルデヒド、ジエチルアセトアルデヒド、グリオキサール、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド等のアルデヒド類;シクロペンタノン、トリメチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、トリメチルシクロヘキサノン等の環状ケトン類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−tert−ブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジブチルケトン、ジイソブチルケトン等の脂肪族ケトン類;アセトフェノン、ベンゾフェノン、プロピオフェノン等の芳香族ケトン;アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸メチルエチル、ジベンゾイルメタン等の下記一般式(14)で示されるβ−ジカルボニル化合物等が挙げられる。これらのうち、メチルイソブチルケトン、ジプロピルケトン、フェニルアセトアルデヒド、及び/又は活性メチレン基を有するβ−ジカルボニル化合物がより好ましい。
一般式(14)において、R9及びR10は、互いに同一、若しくは異なる官能基であってよい。例えば、R9及びR10はそれぞれ、炭素数が1個以上16個以下のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ヘキサデシル基等)、炭素数が6個以上12個以下のアリール基(例えば、フェニル基、トリル基、ヘキシル基、ナフチル基等)、又は炭素数が1個以上4個以下のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロキシ基、プトキシ基等)である。
上述した(D2)水と反応することにより一般式(5)で示されるアミン化合物を生成する化合物は特に限定されない。例えば、本発明においては、一般式(5)で示されるアミン化合物を生成する化合物として、モノマー純度が50%以上95%以下、好ましくは70%以上95%以下、更に好ましくは80%以上95%以下で、かつ、アミノ基封鎖率が90%以上、好ましくは95%以上の化合物を用いることが好ましい。なお、係る化合物は、公知の製法により製造できる。
(D1)一般式(5)で示されるアミン化合物、及び(D2)一般式(5)で示されるアミン化合物を生成する化合物の配合割合に特に制限はない。本発明では、(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体100質量部に対してこれらのアミン化合物を1質量部以上20質量部以下添加することが好ましい。なお、(D1)一般式(5)で示されるアミン化合物、及び(D2)水と反応することにより一般式(5)で示されるアミン化合物を生成する化合物は、導電性接着剤に1種類のみ添加することも、2種類以上添加することもできる。
[希釈剤]
本発明の導電性接着剤は、粘度を調整する観点から希釈剤を含むこともできる。希釈剤を含有することにより、粘度等の物性を調整できる。希釈剤としては、様々な希釈剤を用いることができる。希釈剤としては、例えば、ノルマルパラフィン、イソパラフィン等の飽和炭化水素系溶剤、リニアレンダイマー(出光興産株式会社商品名)等のα−オレフィン誘導体、芳香族炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、クエン酸アセチルトリエチル等のクエン酸エステル系溶剤、ケトン系溶剤等の各種溶剤が挙げられる。
本発明の導電性接着剤の安全性、希釈効果の双方を考慮する場合、希釈剤としては、飽和炭化水素系溶剤が好ましく、ノルマルパラフィン、イソパラフィンがより好ましい。ノルマルパラフィン、イソパラフィンの炭素数は10〜16であることが好ましい。
希釈剤の配合割合は、(A)成分100質量部に対して、0〜50質量部の範囲で配合することが好ましく、0.1〜40質量部の範囲で配合することがより好ましく、0.1〜30質量部の範囲で配合することが更に好ましい。希釈剤は単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
[その他の添加剤]
本発明に係る導電性接着剤には、導電性接着剤の導電性や粘度、及びチクソ性等の機能を損なわない範囲で物性等を調整する観点から、必要に応じ、硬化触媒、充填剤、可塑剤、接着付与剤、安定剤、着色剤、物性調整剤、揺変剤、脱水剤(保存安定性改良剤)、粘着付与剤、垂れ防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、ラジカル重合開始剤等の物質やトルエンやアルコール等の各種溶剤を配合してもよい。また、相溶する他の重合体をブレンドしてもよい。
(硬化触媒)
硬化触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、ナフテン酸錫等の有機錫化合物:オクチル酸鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物、又はこれらとカルボン酸等との塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;r−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤等のシラノール複合触媒等が挙げられる。これらの触媒は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、変成シリコーン樹脂末端をフッ素で置換してフルオロシリル基としたポリマーも硬化触媒として有用である。
(可塑剤)
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等の非芳香族二塩基酸エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシリノール酸メチル等の脂肪族エステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;トリメリット酸エステル類;塩素化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル、等の炭化水素系油;プロセスオイル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類を挙げることができる。
また、高分子可塑剤を用いてもよい。高分子可塑剤を用いると、重合体成分を分子中に含まない可塑剤である低分子可塑剤を用いた場合に比較して、初期の物性を長期にわたり維持する。高分子可塑剤の具体例としては、ビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のポリアルキレングリコールのエステル類;セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコールから得られるポリエステル系可塑剤;分子量500以上、更には1,000以上のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール若しくはこれらポリエーテルポリオールの水酸基をエステル基、エーテル基等に変換した誘導体等のポリエーテル類;ポリスチレンやポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリクロロプレン等が挙げられる。
これらの高分子可塑剤のうちで、(A)成分と相溶する可塑剤が好ましい。この点から、ポリエーテル類やビニル系重合体が好ましい。また、ポリエーテル類を可塑剤として用いると、表面硬化性及び深部硬化性が改善され、貯蔵後の硬化遅延も起こらないことから好ましく、中でもポリプロピレングリコールがより好ましい。また、相溶性、耐候性、及び耐熱性の点からビニル系重合体が好ましい。ビニル系重合体の中でもアクリル系重合体及び/又はメタクリル系重合体が好ましく、ポリアクリル酸アルキルエステル等のアクリル系重合体が更に好ましい。この重合体の合成法は、分子量分布が狭く、低粘度化ができることからリビングラジカル重合法が好ましく、原子移動ラジカル重合法が更に好ましい。また、アクリル酸アルキルエステル系単量体を高温、高圧で連続塊状重合によって得られる、いわゆるSGOプロセスによる重合体を用いることが好ましい。
高分子可塑剤の数平均分子量は、500〜15,000が好ましく、800〜10,000がより好ましく、1,000〜8,000が更に好ましく、1,000〜5,000が特に好ましく、1,000〜3,000が最も好ましい。分子量が低すぎると熱等により可塑剤が経時的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できない。また、分子量が高すぎると粘度が高くなり、作業性が悪くなる。高分子可塑剤の分子量分布は特に限定されないが、狭いことが好ましく、1.80未満が好ましい。1.70以下がより好ましく、1.60以下がなお好ましく、1.50以下が更に好ましく、1.40以下が特に好ましく、1.30以下が最も好ましい。数平均分子量はビニル系重合体の場合はGPC法で、ポリエーテル系重合体の場合は末端基分析法で測定できる。また、分子量分布(Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量))は、GPC法(ポリスチレン換算)で測定できる。
また、高分子可塑剤は、架橋性ケイ素基を有さない可塑剤を用いることもできるものの、架橋性ケイ素基を有してもよい。架橋性ケイ素基を有する場合、反応性可塑剤として作用し、硬化物からの可塑剤の移行を防止できる。架橋性ケイ素基を有する場合、1分子あたり平均して1個以下、更には0.8個以下が好ましい。架橋性ケイ素基を有する可塑剤、特に架橋性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体を用いる場合、その数平均分子量は(A)成分より低いことを要する。
可塑剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。また、低分子可塑剤と高分子可塑剤とを併用してもよい。なお、これらの可塑剤は、導電性接着剤の製造時に配合することもできる。可塑剤の使用量は、(A)成分100質量部に対して5〜150質量部、好ましくは10〜120質量部、更に好ましくは20〜100質量部である。5質量部未満では可塑剤としての効果が発現しなくなり、150質量部を越えると硬化物の機械強度が不足する。
(充填剤)
充填剤としては、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸、及びカーボンブラック等の補強性充填剤;重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、アルミニウム微粉末、フリント粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン、ガラスミクロバルーン、フェノール樹脂や塩化ビニリデン樹脂の有機ミクロバルーン、PVC粉末、PMMA粉末等の樹脂粉末等の充填剤;石綿、ガラス繊維、及びフィラメント等の繊維状充填剤等が挙げられる。
充填剤を用いる場合、その使用量は(A)成分100質量部に対して1〜250質量部であり、10〜200質量部が好ましい。これらの充填剤は、単独で用いることも、2種類以上を混合して用いることもできる。
充填剤は、酸化カルシウム等の脱水剤と均一に混合した後、気密性素材で構成された袋に封入し、適当な時間放置することにより、予め脱水乾燥することもできる。この低水分量充填剤を用いることにより、特に、一液型組成物とする場合、貯蔵安定性を改良することができる。
これら充填剤を用いることにより強度の高い硬化物を得たい場合には、主にヒュームシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、焼成クレー、クレー、及び活性亜鉛華等から選ばれる充填剤が好ましく、(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体100質量部に対し、1〜200質量部の範囲で用いることで好ましい結果が得られる。また、低強度で破断伸びが大である硬化物を得たい場合には、主に酸化チタン、重質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛、及びシラスバルーン等から選ばれる充填剤を、(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体100質量部に対して5〜200質量部の範囲で用いることで好ましい結果が得られる。なお、一般的に炭酸カルシウムは、比表面積の値が大きいほど硬化物の破断強度、破断伸び、接着性の改善効果が大きくなる。炭酸カルシウムを用いる場合、表面処理微細炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウム等の粒径が大きい炭酸カルシウムとを併用することが好ましい。表面処理微細炭酸カルシウムの粒径は0.5μm以下が好ましく、表面処理は脂肪酸や脂肪酸塩で施すことが好ましい。また、粒径が大きい炭酸カルシウムの粒径は1μm以上が好ましく、表面処理されていない炭酸カルシウムを用いることもできる。
組成物の作業性(キレ等)向上や硬化物表面を艶消し状にする観点から、有機バルーン、無機バルーンを添加することが好ましい。これらの充填剤に表面処理を施すこともでき、単独で用いることも、2種類以上を混合して用いることもできる。作業性(キレ等)向上には、バルーンの粒径は0.1mm以下が好ましい。硬化物表面を艶消し状にする観点からは、5〜300μmが好ましい。
(接着付与剤、安定剤、着色剤)
接着付与剤としてシランカップリング剤等、安定剤としてヒンダードフェノール系化合物、トリアゾール系化合物等を用いることができる。着色剤としては、チタンホワイト、カーボンブラック、ベンガラ等が挙げられる。
[導電性接着剤の製造方法]
導電性接着剤は、以下の手順により製造できる。まず、(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体、(B)導電性フィラー、(C)チクソ性付与剤、及び/又はその他の添加剤のそれぞれを所定量秤量し、準備する(準備工程)。次に、準備した化合物を所定の容器に投入し、所定時間撹拌する(混合工程)。これにより、本発明に係る導電性接着剤を製造できる。なお、各工程、若しくはいずれかの工程において、他の添加物を適宜添加してもよい。
本発明の導電性接着剤は、必要に応じて1液型とすることができ、また、2液型にすることもできる。本発明の導電性接着剤は、特に1液型として用いることに適している。また、本発明の導電性接着剤は、大気中の湿気により常温で硬化するので常温湿気硬化型導電性接着剤として用いることに適している。なお、導電性接着剤の硬化において、必要に応じて、適宜、加熱(例えば、80℃〜100℃程度の低温での加熱)により硬化を促進させてもよい。
本発明の導電性接着剤は、基材に塗布又は印刷して硬化させることにより、高い導電性を有し、ハンダの代わりに用いることができる。したがって、導電性接着剤の硬化物を有する製品を提供できる。また、導電性接着剤は、半導体素子チップ部品、ディスクリート部品等の電子部品の接合や実装、回路接続、水晶振動子や圧電素子の接着・固定、パッケージのシーリング等の用途に用いることに適している。導電性接着剤を用いて、半導体素子(発光ダイオードやレーザーダイオード等の発光素子を含む)、チップ部品、ディスクリート部品等の電子部品の1種又は2種以上を接合させた回路を、基材表面に形成させることができる。
また、本発明の導電性接着剤は、粘性とチクソ性とのバランスを、粘度とSVI値とを所定の範囲にすることで良好にすることができるので、高速ディスペンサを用いて複数個所に高速で吐出したとしても、複数個所同士が導電性接着剤でつながることを防止できる。また、本発明の導電性接着剤はチクソ性が所定の範囲内であるので、所定の基材に塗布した場合に導電性接着剤が拡がることを抑制できることから、狭小ピッチ(例えば、0.5mmピッチ)で導電性接着剤を塗布できる。更に、本発明の導電性接着剤は、例えば、80℃での低温で硬化させることができるので、ハンダのリフロー炉での温度(例えば、250℃程度の温度)に耐えることができない基材(例えば、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム)を用いることもできる。したがって、本発明の導電性接着剤は、IOT等に用いるフィルムデバイスに用いることに適している。
[デバイスの製造方法]
本発明の導電性接着剤を用いたデバイスの製造方法の一例としては、以下の工程が挙げられる。まず、本発明の導電性接着剤を、所定の基材の所定の箇所に塗布する(塗布工程)。塗布工程においては、高速ディスペンサを用いることができる。ディスペンサの吐出速度に特に制限はないが、例えば、1ショット1秒以下の速さで組成物を吐出できるディスペンサであればよく、製造コスト低減等の観点から、吐出速さは1ショット0.85秒以下であることがより好ましく、1ショット0.75秒以下であることが更に好ましい。
また、ディスペンサによる導電性接着剤の塗布間隔に特に制限はなく、製造するデバイスに応じ、塗布間隔は適宜設定することができる。例えば、塗布間隔は、0.8mmピッチにすることができ、0.5mmピッチにすることもできる。更に、ディスペンサが備えるノズルの内径は、所定の基材に接着すべき部材の平面視におけるサイズ以下程度の領域に導電性接着剤が塗布されるのであれば特に制限はなく、例えば、ノズル内径は、0.1mm以上0.4mm以下が好ましく、0.2mm以上0.4mm以下にすることもできる。
所定の基材としては特に制限はなく、プリント基板やフィルム基材等、様々な基板・基材を用いることができる。なお、本発明の導電性接着剤は低温・短時間で硬化可能であることから、本発明のデバイス製造方法は、耐熱性に劣る樹脂フィルム等のフィルム基材を用いた場合に好適に用いることもできる。
次に、基材上の導電性接着剤の上に所定の素子をマウントする(マウント工程)。所定の素子としては、例えば、半導体素子、チップ部品、及び/又はディスクリート部品等が挙げられる。素子のマウントには、各種の自動マウンター等を用いることができる。
そして、導電性接着剤を介して基材上にマウントされた素子を有する基材を加熱する(加熱工程)。例えば、80℃で所定時間(一例として、5分)の加熱処理を施すことで、導電性接着剤が硬化する。これにより、所定の基材の所定箇所に所定の素子が搭載されたデバイスが製造される。なお、空気中の湿気により本発明の導電性接着剤は硬化することから、導電性接着剤を介して基材上にマウントされた素子は加熱工程を経なくても、時間の経過に応じ、基材上に徐々に強固に固定される。
<実施の形態の効果>
本発明に係る導電性接着剤は、粘度とSVI値とを所定の範囲にすることで、粘性及びチクソ性のバランスを良好にすることができるので、高速ディスペンサで導電性接着剤を複数個所に連続して塗布した場合であっても、塗布された導電性接着剤同士がつながることを防止できると共に、基材上に塗布された導電性接着剤が拡がることを抑制できる。すなわち、本発明に係る導電性接着剤は、高速ディスペンサのノズルから吐出させやすく、かつ、キレが良いという特性を有すると共に、塗布後に適切なチクソ性を発揮し、意図した形状を保持する接着剤である。
更に、本発明の導電性接着剤は、80℃等の低温で短時間(例えば、5分間)で硬化するので、耐熱性に乏しい基材に対しても、電子素子等を搭載することができる。また、本発明の導電性接着剤の硬化物は柔軟性を発揮するだけでなく、耐熱性にも優れている(例えば、本発明に係る導電性接着剤の硬化物は、120℃程度の温度下であっても適切な導電性、強度等を発揮する)という、優れた効果を発揮する。これらの効果は、特に(A)成分として変成シリコーン系樹脂を用いた場合に、より良好に発揮される。
以下に実施例を挙げて更に具体的に説明する。なお、これらの実施例は例示であり、限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
(合成例1)
フラスコに溶剤である酢酸エチル40質量部、メチルメタクリレート59質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート25質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン22質量部、及び金属触媒としてルテノセンジクロライド0.1質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら80℃に加熱した。次いで、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン8質量部をフラスコ内に添加し、80℃で6時間反応させた。室温に冷却後、ベンゾキノン溶液(95%THF溶液)を20質量部添加して重合を停止した。溶剤及び未反応物を留去し、ポリスチレン換算の質量平均分子量が約6,000であり、ガラス転移点(Tg)が61.2℃であるトリメトキシシリル基を有するアクリル酸エステル系重合体を得た。
(実施例1〜2、比較例1〜2)
表1に示す配合割合で各配合物質をそれぞれ添加し、上記「導電性接着剤の製造方法」の説明に則り、導電性接着剤を調製した。具体的に、表1に示す配合割合になるように、A成分、B成分、C成分、及びその他の添加剤のそれぞれを秤量して準備した。次に、これらを混合して撹拌した。これにより、実施例1〜2、及び比較例1〜2に係る導電性接着剤を得た。
表1において、各配合物質の配合量の単位は「質量部」である。また、配合物質の詳細は下記のとおりである。なお、A成分のアクリル酸エステル系重合体は、上記合成例1で合成した重合体を用いた。
(A成分)
SPUR+1050MM(モメンティブ社製)
サイリルMA440((株)カネカ製)
(B成分)
シルコートAgC−B(福田金属箔粉工業社製)
シルコートAgC−G(福田金属箔粉工業社製)
(C成分)
アエロジルR972(日本アエロジル社製)
(酸化防止剤)
イルガノックス245(BASF社製)
(希釈剤)
ノルマルパラフィンN−11(JX日鋼日石社製)
イソプロパノール(和光純薬社製)
ジメトキシエタン(日本乳化剤社製)
(脱水剤)
シリコーンKBM−1003(信越化学社製)
(接着性付与剤)
シリコーンKBM−903(信越化学社製)
(硬化触媒)
ネオスタンU−830(日東化成社製)
ネオスタンS−1(日東化成社製)
(粘度測定)
実施例1に係る導電性接着剤の粘度は、BH型回転粘度計(No.7)を用いて、JIS K6833−1に準拠し、23℃の温度条件下、回転数20r/minで測定した。実施例2、及び比較例1〜2についても同様に測定した。
(SVI値測定)
実施例1に係る導電性接着剤について、B型粘度計を用いて、JIS K6833−1に準拠し、23℃の温度条件下での測定において、低回転速度(回転数2r/min)時の粘度Aと高回転速度(回転数20r/min)時の粘度Bとを測定し、それらの比(A/B)をSVI値として算出した。実施例2、及び比較例1〜2についても同様にSVI値を算出した。
(体積抵抗率の測定)
実施例1に係る導電性接着剤を、厚さ100μmのマスキングテープをスペーサーとし、ガラス板上に70mm×100mmのサイズで塗布し、80℃20分間乾燥させた。その後、室温まで冷却し、乾燥した導電性接着剤のテストピースを得た。そして、ロレスターMCP−T360(三菱アナリテック製)を用い、このテストピースの体積抵抗率(乾燥直後の体積抵抗率)を測定した。実施例2、及び比較例1〜2についても同様に体積抵抗率を測定した。
(ディスペンス精度試験)
ヤマハ発動機製のオートマティックディスペンサー YGDを用い、ノズル径を1.0mmとし、吐出圧力を0.1MPa、flow 10の条件でディスペンス速度が0.5秒/箇所になるよう装置を調整し、インクジェットでLED(発光ダイオード)の回路を印刷したPETフィルム(以下、「試験フィルム」という。)の各電極へ実施例1に係る導電性接着剤を吐出した。吐出後、目視にて電極間のブリッジがない場合を「〇」、ブリッジがある場合を「×」と評価した。実施例2、及び比較例1〜2についても同様に評価した。なお、比較例2に係る導電性接着剤については、上記のディスペンス条件では1点も塗布することができなかったので、評価は「×」とした。
図1は、ディスペンス精度試験に用いた試験フィルムを示す。具体的に、図1(a)は、実施例1に係る導電性接着剤を用いた場合の試験フィルムの裏面の一部を示し、図1(b)は比較例1に係る導電性接着剤を用いた場合の試験フィルムの表面の一部を示す。
図1(a)に示すように、実施例1に係る導電性接着剤20を用いた場合、電極10から導電性接着剤20がはみ出ないこと、及び電極間にブリッジが生じないことが確認された。すなわち、図1(a)の試験フィルムの裏から観察した状態において、LEDチップ60の裏面(図1(a)中、十字状の目印がついている部分)が電極10間に観察されていることから、導電性接着剤20が試験フィルム表面の電極10上の領域に適切に塗布されており、電極10間におけるブリッジの発生や電極10からのはみ出しの発生がないと判断できた。なお、図1(a)においてLEDチップ60の周囲に観察される略円形状若しくは略楕円状の領域50は、PETフィルムの表面側に搭載したLEDチップ60を封止する封止樹脂が透けて見えているものである。一方、図1(b)に示すように、比較例1に係る導電性接着剤30を用いた場合、電極10から導電性接着剤30がはみ出たり、電極間にブリッジ40が生じることが確認された。
以上より、実施例に係る導電性接着剤はいずれも、粘度とSVI値とが適切な値の範囲内であると共に、良好な体積抵抗率を有し、かつ、ディスペンサによる高速塗布でも、塗布後に所定の形状を保ち、適切に塗布できることが示された。なお、図1(a)の実施例1においては、LEDの点灯も確認された。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点、及び本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能である点に留意すべきである。