[go: up one dir, main page]

JP2019031644A - ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019031644A
JP2019031644A JP2017154860A JP2017154860A JP2019031644A JP 2019031644 A JP2019031644 A JP 2019031644A JP 2017154860 A JP2017154860 A JP 2017154860A JP 2017154860 A JP2017154860 A JP 2017154860A JP 2019031644 A JP2019031644 A JP 2019031644A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyolefin resin
aqueous dispersion
group
resin
unsaturated carboxylic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017154860A
Other languages
English (en)
Inventor
昌平 坂下
Shohei Sakashita
昌平 坂下
矢野 拓磨
Takuma Yano
拓磨 矢野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP2017154860A priority Critical patent/JP2019031644A/ja
Publication of JP2019031644A publication Critical patent/JP2019031644A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】カチオン性のポリオレフィン樹脂水性分散体であって、耐熱水性や耐薬品性に優れた塗膜を形成することが可能な水性分散体を提供する。【解決手段】ポリオレフィン樹脂(A)および架橋剤(B)が水性媒体中に分散されてなる水性分散体であって、ポリオレフィン樹脂(A)が、N−置換環状イミド単位を含有し、前記単位のN−置換基が、1級および/または2級アミノ基を含むことを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法に関する。
ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン樹脂は、機械的特性、透明性、電気特性、表面光沢性、耐薬品性、耐水性、耐溶剤性などの種々の特性に優れ、自動車、電気、包装、日用雑貨など幅広い用途で大量に使用されている。
ポリオレフィン樹脂の利用法として、ポリオレフィン樹脂を溶液や水性分散体などに加工し、コート剤として利用することが知られている。ポリオレフィン樹脂のコート剤においては、環境保全の観点から、非ハロゲン化やVOC低減が推し進められており、溶剤系のコート剤を、水性分散体などの水性のコート剤におきかえる試みが盛んになっている。
ポリオレフィン樹脂の水性分散体として、酸成分を含むポリオレフィン樹脂を塩基性化合物で中和することで得られる、アニオン性の水性分散体が一般的に知られている。しかしながら、アニオン性の水性分散体は、酸性域では、水性分散体中の樹脂粒子同士が凝集しやすく、安定な形態を保持することができないことがあった。
一方、カチオン性のポリオレフィン樹脂水性分散体としては、特許文献1に、側鎖にアミノ基を含有するポリオレフィン樹脂を酸性化合物で中和した水性分散体が開示されている。
国際公開第2010/098331号
しかしながら、特許文献1に開示された水性分散体を用いて形成される塗膜は、耐熱水性や耐薬品性が十分でないことがあった。
本発明は、これらの課題を解決し、カチオン性のポリオレフィン樹脂水性分散体であって、耐熱水性や耐薬品性に優れた塗膜を形成することが可能な水性分散体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリオレフィン樹脂として、側鎖に1級および/または2級アミノ基を有するものを使用し、水性分散体に架橋剤を含有させることにより、上記課題が解決できることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(7)を要旨とするものである。
(1)ポリオレフィン樹脂(A)および架橋剤(B)が水性媒体中に分散されてなる水性分散体であって、ポリオレフィン樹脂(A)が、N−置換環状イミド単位を含有し、前記単位のN−置換基が、1級および/または2級アミノ基を含むことを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体。
(2)N−置換基が、下記一般式(I)で表される置換基であることを特徴とする(1)記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
−C2n−m+1(NRR) (I)
(式中、nおよびmは1〜10の自然数を表し、Rは任意の原子団であり、N−置換基中の全てのRにおいて1つ以上がHである。)
(3)ポリオレフィン樹脂(A)におけるN−置換環状イミド単位の含有量が、0.1〜30質量%であることを特徴とする(1)または(2)記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(4)ポリオレフィン樹脂が、さらに(メタ)アクリル酸エステル単位を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(5)架橋剤(B)が、アミノ基と反応する官能基を含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(6)アミノ基と反応する官能基が、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基およびカルバミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(5)記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(7)上記(1)記載のポリオレフィン樹脂水性分散体を製造するための方法であって、ポリオレフィン樹脂(A)の合成において、保護された1級および/または保護された2級アミノ基と、保護されていない1級アミノ基とを含むアミノ化合物(Q)を、不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)の不飽和カルボン酸無水物単位と反応させる工程を含有することを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体の製造方法。
本発明の水性分散体を構成するポリオレフィン樹脂は、N−置換環状イミド単位のN−置換基が反応性の1級および/または2級アミノ基を含むので、水性分散体中の架橋剤による改質が可能である。そして、これらを含有する本発明の水性分散体は、多種多様な基材に対して、均一に塗布することが可能であり、得られる塗膜は、密着性、接着性、耐熱水性、耐薬品性に優れるとともに、耐熱性にも優れる。さらに、本発明の水性分散体は、水系であるため、環境保全性にも優れている。
以下、本発明を詳細に説明する。
<ポリオレフィン樹脂(A)>
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、ポリオレフィン樹脂(A)および架橋剤(B)を水性媒体中に分散させたものである。
本発明におけるポリオレフィン樹脂(A)は、オレフィン系炭化水素単位と、N−置換環状イミド単位とを有し、水性分散化を容易にする点、架橋剤と反応性を有する点から、N−置換環状イミド単位のN−置換基中に1級および/または2級アミノ基を含むものである。
ポリオレフィン樹脂(A)を構成するオレフィン系炭化水素単位は、炭素数が2〜6であることが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−へキセンなどのアルケン類や、ブタジエン、イソプレンなどのジエン類が挙げられ、これらの単位を複数有してもよい。中でも、樹脂の製造のし易さ、各種材料に対する密着性などの点から、オレフィン系炭化水素単位は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンが好ましく、エチレン、プロピレンがより好ましい。
ポリオレフィン樹脂(A)におけるN−置換環状イミド単位の含有量は、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.2〜25質量%であることがより好ましく、0.3〜20質量%であることがさらに好ましく、0.5〜15質量%であることが特に好ましい。N−置換環状イミド単位の含有量が0.1質量%未満であると、ポリオレフィン樹脂(A)は、水性分散化が困難となり、30質量%を超えると、得られる塗膜は、耐水性や耐溶剤性が低下する傾向にある。
N−置換環状イミド単位におけるN−置換基は、1級および/または2級アミノ基を含むものであれば任意に利用できる。中でも、下記一般式(I)で表される置換基であることが、分散性の観点から好ましい。
−C2n−m+1(NRR) (I)
式中、nおよびmは1〜10の自然数を表し、Rは任意の原子団であり、N−置換基中の全てのRにおいて1つ以上がHである。
nが11以上の場合、ポリオレフィン樹脂(A)は、疎水性成分が多すぎることにより、水性分散体へと加工することが困難となることがあり、mが11以上の場合、ポリオレフィン樹脂(A)の親水性成分が多すぎることにより、得られる塗膜は、耐水性が低下することがある。
H以外のRとしては、例えば、アルキル基、フェニル基、アルケニル基などが挙げられ、アルキル基であることが好ましい。また、これらは側鎖または鎖中にアミノ基、アミド基、ヒドロキシ基、カルボニル基、エーテル結合などを有していても構わない。
前記一般式(I)で表されるN−置換基の具体例としては、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基、アミノペンチル基、N−メチルアミノエチル基、N−エチルアミノエチル基、N−プロピルアミノエチル基などのモノアミノアルキル基や、ジアミノプロピル基、N−メチル−N′,N′−エチルプロピルジアミノプロピル基、トリアミノプロピル基などの多価アミノアルキル基、アミノフェニルブチル基などの含芳香族アルキル基など、炭素鎖上にアミノ基を含むものや、N−(アミノプロピル)アミノメチル基、N−エチルアミノメチル基、(N′,N′−ジメチルアミノエチル)アミノメチル基、N−エチルアミノ−2−アミノエチル基など、炭素鎖中にアミノ基が含まれるものでもよく、また、上述した置換基の構造異性体となるものでもよく、これらを複数用いてもよい。
中でも、分散性の観点から、アミノエチル基、アミノプロピル基、N−メチルアミノエチル基、N−エチルアミノエチル基、N−(アミノプロピル)アミノメチル基が好ましく、アミノプロピル基が最も好ましい。
N−置換環状イミド単位を与える化合物としては、不飽和カルボン酸無水物と前記一般式(I)の置換基を有する1級アミノ化合物が挙げられる。
不飽和カルボン酸無水物の具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられ、オレフィン系炭化水素単位と共重合しやすいことから無水マレイン酸であることが好ましい。
本発明におけるポリオレフィン樹脂(A)は、上記オレフィン系炭化水素単位、N−置換環状イミド単位に加えて、その他のモノマー単位を構成成分として有してもよい。
その他のモノマー単位としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸などの不飽和カルボン酸やその無水物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステルならびにビニルエステルを塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコールなどのモノマー単位が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを表す。
中でも、本発明におけるポリオレフィン樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸エステルを含有していることが好ましい。ポリオレフィン樹脂(A)が(メタ)アクリル酸エステルを含有することで、得られる塗膜は、密着性や接着性がより向上する。
ポリオレフィン樹脂(A)における(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量は、0.1〜25質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましく、1〜15質量%であることがさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量が25質量%を超えると、得られる塗膜の強度が低下する傾向にあり、一方、含有量が0.1質量%未満であると、上記の効果が得られにくくなる。
ポリオレフィン樹脂(A)の質量平均分子量は5000〜500000であることが好ましく、10000〜200000であることがより好ましく、15000〜100000であることがさらに好ましく、20000〜80000であることが特に好ましい。ポリオレフィン樹脂(A)の質量平均分子量が5000未満であると、得られる塗膜は、密着性、接着性や耐溶剤性が低下する傾向にある。また、ポリオレフィン樹脂(A)は、質量平均分子量が500000を超えると、水性分散化が困難となる傾向がある。
一般にポリオレフィン樹脂は、溶剤に対して難溶であるため、分子量測定が困難となる場合がある。その様な場合においては、溶融樹脂の流動性を示すメルトフローレート値が分子量の目安とされる。
本発明におけるポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレート値(JIS K7210:1999に準ずる)は、0.1〜2000g/10分であることが好ましく、0.5〜1000g/10分であることがよりに好ましく、1〜500g/10分であることがさらに好ましく、2〜200g/10分であることが特に好ましい。ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレート値が2000g/10分を超えると、得られる塗膜は、密着性、接着性や耐溶剤性が低下する傾向にある。また、ポリオレフィン樹脂(A)は、メルトフローレート値が0.1g/10分未満であると、水性分散化が困難となる傾向がある。
本発明におけるポリオレフィン樹脂(A)は、優れた水分散性を有するので、溶解性や水分散性を向上させるなどの目的で、塩素化する必要はなく、環境保全の観点から、ハロゲン化しないことが好ましい。
<ポリオレフィン樹脂(A)の製造方法>
次に、ポリオレフィン樹脂(A)の製造方法について説明する。
本発明におけるポリオレフィン樹脂(A)の製造方法は、(1)不飽和カルボン酸無水物と、前記一般式(I)で表される置換基を有する1級アミンとをイミド化反応させてN−置換環状イミドを予め調製し、これと、オレフィン系炭化水素と、必要に応じて不飽和カルボン酸やその他のモノマーとを共重合する方法、(2)予め調製したN−置換環状イミドを、ポリオレフィン樹脂やオレフィン共重合体にグラフトする方法、(3)オレフィン系炭化水素単位および不飽和カルボン酸無水物単位を構成成分とする共重合体(以下、不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P))と、前記一般式(I)で表される置換基を有する1級アミノ化合物(以下、アミノ化合物(Q))とを反応させ、イミド化する方法などが挙げられる。
中でも(3)の方法は、不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)が市場から安価に入手することが可能であり、しかも、特殊な装置を用いることなく、イミド化反応することができ、好適に水性分散体へ加工することができるため好ましい。
以下、(3)の方法について詳しく説明する。
(3)の方法で用いる不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)において、これを構成するオレフィン系炭化水素単位の種類や不飽和カルボン酸無水物単位の含有量は、得られるポリオレフィン樹脂(A)の構成を満足するものであればよい。また不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂は、オレフィン系炭化水素単位や不飽和カルボン酸無水物単位以外に、その他のモノマー単位を有してもよく、分子量等の物性もポリオレフィン樹脂(A)を満足するものであればよい。
不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)の共重合の状態は、特に限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。
不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)の重合方法は、公知の方法を採用することが可能である。例えば、酸素、有機過酸化物、ジアゾ化合物などの重合開始剤と共に、温度100〜300℃、圧力50〜400MPaの条件で重合する高圧ラジカル重合法や、ポリオレフィン樹脂またはポリオレフィン共重合体に不飽和カルボン酸無水物をグラフトする方法が挙げられる。中でも、高圧ラジカル重合法が、共重合体の各モノマー単位含有量の設計がしやすいことからより好ましい。
不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)の具体例としては、エチレン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸プロピル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸ブチル−無水マレイン酸三元共重合体などのエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体、プロピレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−ブテン−エチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
これらの中でも、イミド化後のポリオレフィン樹脂(A)を含有する水性分散体から得られる塗膜が、基材への密着性や接着性がより向上することから、不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)は、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸プロピル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸ブチル−無水マレイン酸三元共重合体などのエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体が好ましい。
これらの無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂は、アルケマ社製「ボンダイン」、「ロタダー」、「オレバック」、日本ポリエチレン社製「レクスパールET」、「アドテクス」、日油社製「モディパ」、三洋化成社製「ユーメックス」、三井化学社製「アドマー」、日本製紙ケミカル社製「アウローレン」として入手することが可能である。
上記(3)の製造方法においては、上記不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)と、下記一般式(II)で表されるアミノ化合物(Q)とを、イミド化反応させることによってポリオレフィン樹脂(A)が得られる。下記一般式(II)で表されるアミノ化合物(Q)は、前記一般式(I)で表される置換基を有する1級アミンである。
N−C2n−m+1(NRR) (II)
式中、nおよびmは1〜10の自然数を表し、Rは任意の原子団であり、アミノ化合物(Q)中の全てのRにおいて1つ以上がHである。
アミノ化合物(Q)の具体例としては、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンなどのポリエチレンアミン、エチレンジアミンやプロパンジアミンなどのアルキルポリアミンなどが挙げられる。
次にイミド化反応について説明する。
上述の不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)と、アミノ化合物(Q)とを混合し、加熱することによりイミド化反応させ、ポリオレフィン樹脂(A)を製造することができる。すなわち、アミノ化合物(Q)の分子内の1級アミノ基が、不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂の不飽和カルボン酸無水物単位とイミド化反応を行うことで、式(I)で表される置換基を有するN−置換環状イミドが生成する。
この際、不飽和カルボン酸無水物単位と反応するアミノ化合物(Q)の1級アミノ基以外の、1級および/または2級アミノ基は、適当な保護基で保護されていることが好ましい。保護基の具体例としては、カルバメート系保護基、アミド系保護基、イミド系保護基、スルホンアミド系保護基などが挙げられる。保護の方法は、公知の方法を使用することができる。
イミド化の反応温度は、50〜300℃が好ましく、70〜250℃がより好ましく、90〜200℃がさらに好ましく、100〜170℃が特に好ましい。反応温度が50℃未満であると、反応速度が遅すぎることがある。一方、300℃を超える温度は、イミド化反応には必要とされず、また、着色を生じる原因となる場合がある。
イミド化反応の際は、両者を撹拌などの方法で混ぜ合わせることが好ましい。イミド化反応に要する時間は特に限定されず、例えば、30秒〜1時間が好ましく、1〜45分がより好ましい。なお、イミド化反応は反応性が高いため、反応を促進するための触媒の添加は通常必要としない。
イミド化反応におけるアミノ化合物(Q)の添加量は、不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)中の不飽和カルボン酸無水物単位に対して、0.6〜10当量程度の範囲であればよい。後述する反応率の観点から、0.6〜5倍当量モルが好ましく、0.7〜4倍当量モルがより好ましく、0.8〜3倍当量モルがさらに好ましく、0.9〜2倍当量が最も好ましい。
ポリオレフィン樹脂(A)は、構成成分として、イミド化反応していない不飽和カルボン酸無水物単位が少量残存していても何ら問題はなく、水性分散体のpHを調整する目的などのため、本発明の効果を損ねない範囲で、未反応の不飽和カルボン酸無水物酸単位を残存させてもよい。
不飽和カルボン酸無水物単位からN−置換環状イミドへの反応率は、反応後と反応前の酸価を測定して求めることが可能である。酸価は、JIS K 0070:1992に準じて測定することができる。本発明において、反応率は60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。反応率が60%未満である場合、得られるポリオレフィン樹脂(A)は、水性分散化が困難となる場合がある。
次にイミド化反応の具体的な方法について説明する。
イミド化反応は、公知の装置、方法で行うことができる。例えば、不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)とアミノ化合物(Q)とを、反応容器内で加熱、撹拌する方法や、押出機で連続的に加熱、撹拌する方法などが挙げられる。
不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)とアミノ化合物(Q)を反応容器内で加熱、撹拌する方法としては、撹拌翼と必要に応じて凝縮器を備えた反応容器を用いる方法が挙げられる。
イミド化反応の際は、反応容器が耐圧性であれば密閉してもよく、反応容器が耐圧性でなければ加熱によって発生した蒸気を、凝縮器を介して反応容器内に還流してもよい。
原料である不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)とアミノ化合物(Q)は、反応前に一括して反応容器内に投入してもよいし、予め不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)だけを投入しておいて、加熱後、アミノ化合物(Q)を投入し、攪拌してもよい。
撹拌翼の形状は限定されるものではない。また、撹拌速度も限定されるものではなく、反応容器の容積や撹拌翼の形状によって一概には言えないが、通常200rpmを超えるような高速回転は必要としないため、200rpm以下が一般的である。また、攪拌は間欠であってもよい。また、イミド化反応の際は、ポリオレフィン樹脂の酸化を抑えるために、反応容器内のガスを窒素ガスに置換してもよい。
イミド化反応の際は、不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)とアミノ化合物(Q)とを50〜300℃に加熱することにより、不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)を溶融させることが好ましい。
また、不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)の溶融粘度が高く、撹拌機の負荷が大きい場合や、撹拌効率が低い場合は、溶媒を加えてもよい。
溶媒としては、撹拌効率を上げる点で、不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)を溶解するものが好ましいが、水のように不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)に対して溶解性がないものであってもよい。だたし、溶媒として、不揮発性であるもの、高沸点のもの、および原料の不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)やアミノ化合物(Q)と反応性のあるものは好ましくない。なお、上記の溶媒の沸点は、溶媒を除去しやすくするため、150℃以下が好ましい。上記の溶媒の好適な具体例としては、トルエンやキシレンなどが挙げられる。
溶媒の投入量は、状況によって適宜選択すればよいが、樹脂量100質量部に対して100質量部程度であれば、攪拌効率を十分向上させることができる。
イミド化反応後は、反応容器内の未反応アミノ化合物や溶媒を除く工程を設けることが望ましい。未反応アミノ化合物や溶媒を除く方法としては、反応容器内を加熱撹拌し、必要に応じて減圧にして、発生した蒸気を凝縮器を介して反応容器の外に留去する方法が好ましい。この際の反応容器内の温度は、アミノ化合物や溶媒の沸点より高めに設定することが好ましい。
イミド化反応後、得られたポリオレフィン樹脂(A)は、反応容器より払いだす際、樹脂の粒径が10mm以下のペレットとすることが好ましい。
押出機を用いてイミド化反応を行う場合は、不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)とアミノ化合物(Q)を押出機で連続的に加熱、撹拌することが好ましい。押出機は、ホッパーと液注入装置を備えた2軸押出機であることが好ましい。
押出機を用いる方法では、樹脂の温度が50〜300℃になるように加熱された押出機に、ホッパーより不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)を定量的に供給し、さらにバレル途中に設けられた液注ノズルからアミノ化合物(Q)を定量的に投入することでイミド化反応を行うことができる。スクリューの回転速度は限定されず、通常20〜500rpmの範囲であればよい。
押出機内でイミド化反応をした後も、上述の反応容器を用いてイミド化反応を行う場合と同様に、未反応のアミノ化合物を除く工程を設けることが望ましい。未反応のアミノ化合物を除く方法としては、押出機のバレル後半に設けられたベントより押出機内を減圧にして、発生した蒸気を、凝縮器を介して押出機の外に留去する方法が好ましい。
以上の方法で得られたポリオレフィン樹脂(A)は、必要に応じてさらに未反応のアミノ化合物(Q)を除く工程を設けてもよい。未反応のアミノ化合物(Q)を除く方法としては、得られたポリオレフィン樹脂(A)を加熱乾燥する方法、加熱真空乾燥する方法、抽出する方法などが挙げられる。
アミノ化合物(Q)として、不飽和カルボン酸無水物単位と反応する1級アミノ基以外の、1級および/または2級アミノ基が保護基で保護されているものを使用した場合、イミド化反応後から、後述する水性分散体への加工前までに、脱保護することが好ましい。あるいは、水性分散体への加工と同時に脱保護してもよい。脱保護は、公知の方法を使用できる。
<架橋剤(B)>
本発明の水性分散体は、上記ポリオレフィン樹脂(A)および架橋剤(B)を含有する。
水性分散体が架橋剤(B)を含有することで、得られる塗膜に、より優れた耐熱水性、耐薬品性や耐熱性などの性能を付与することが可能となる。
架橋剤(B)としては、アミノ基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物や、自己架橋性を有する架橋剤、多価の配位座を有する金属錯体等を用いることができる。
具体的には、カルボン酸化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、尿素化合物、カルボニル化合物、カルボン酸無水物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤、有機過酸化物等が利用できる。
中でも、アミノ基との反応性の観点から、架橋剤(B)は、アミノ基と反応する官能基として、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基およびカルバミド基を有している化合物が好ましく、これらの架橋剤を組み合わせて使用してもよい。
架橋剤(B)の含有量(固形分)は、水性分散体中のポリオレフィン樹脂(A)固形分100質量部に対して、0.01〜300質量部の範囲が好ましく、0.1〜100質量部の範囲がより好ましく、0.2〜50質量部の範囲がさらに好ましく、0.5〜30質量部の範囲が特に好ましい。
<水性分散体>
次に、本発明の水性分散体について説明する。本発明の水性分散体は、ポリオレフィン樹脂(A)と架橋剤(B)が水性媒体中に分散したものである。
本発明における水性媒体とは、水、または水と有機溶媒との混合液をいう。本発明の水性分散体は、水性媒体を用いているため、環境への影響、作業者や作業環境への安全性を向上させたものである。
有機溶媒は、20℃における水に対する溶解性が50g/L以上であることが好ましく、500g/L以上であることがより好ましい。さらに、水と任意の割合で溶解するものが特に好ましい。このような有機溶媒を用いることで、水性分散化の促進効果や粒子径を小さくする効果などを良好とすることができる。
また、有機溶媒の沸点は50〜200℃であることが好ましい。有機溶媒の沸点が50℃未満の場合は、水性分散化時に揮発する割合が多くなり、分散化の効率が十分に向上しない場合がある。沸点が200℃を超える場合は、水性分散体から得られる塗膜に残留しやすく、耐水性や耐溶剤性が低下する傾向にある。
20℃における水に対する溶解性が50g/L以上でかつ50〜200℃の沸点を有する有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチルのエステル類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体;さらには、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル等が挙げられる。なお、これら有機溶媒は2種以上を混合して使用してもよい。
上記の中でも、水性分散化の促進効果が高く、しかも後述する方法で水性媒体中から有機溶媒を除去し易いという点から、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフランが特に好ましい。
水性媒体中における有機溶媒の含有量は、50質量%以下が好ましく、1〜40質量%がより好ましく、2〜35質量%がさらに好ましく、3〜30質量%が特に好ましい。有機溶媒の含有量が50質量%を超える場合には、水性分散化の促進効果が変わらないかもしくは低下する傾向にある。
水性分散化の際に添加された上記のような有機溶媒は、水性分散化された後に、水性分散体から除くことができる。例えば、ストリッピングと呼ばれる脱溶剤操作で、その一部を水性分散体から除くことができる。このようなストリッピングによって有機溶媒の含有量は必要に応じて0.1質量%以下まで低減することが可能である。有機溶媒の含有量が0.1質量%以下となっても、水性分散体の性能は影響を受けない。ストリッピングの方法としては、常圧または減圧下で水性分散体を攪拌しながら加熱し、有機溶媒を留去する方法を挙げることができる。また、水性媒体が留去されることにより、水性分散体中の樹脂固形分濃度が高くなるため、樹脂固形分濃度を後述する好ましい範囲に調整することが可能である。
本発明の水性分散体は、酸性化合物を含有して、水性分散体中のポリオレフィン樹脂(A)における前記一般式(I)で表される置換基の一部または全てが、酸性化合物で中和されていることが好ましい。置換基の中和によってポリオレフィン樹脂(A)にアミノカチオンが生成し、アミノカチオン間の電気反発力によってポリオレフィン樹脂(A)が微粒子化され、かつ微粒子間の凝集が解れる。その結果、水性分散体に安定性が付与され、水性分散体は、酸性域で安定になる。
すなわち、酸性化合物を含有する水性媒体中では、ポリオレフィン樹脂(A)中のN−置換環状イミド単位におけるN−置換基の一部または全てが下記一般式(III)で表される置換基となることで、ポリオレフィン樹脂(A)を水性媒体中に分散させることができる。
−C2n−m+1(NHRR) (III)
式中、nおよびmは1〜10の自然数を表し、Rは任意の原子団であり、置換基中の全てのRにおいて1つ以上がHであり、Xはアニオン性対イオンを示す。
水性分散体における酸性化合物の含有量は、ポリオレフィン樹脂(A)に含有される前記一般式(I)で表される置換基中の全アミノ基に対して0.5〜5当量が好ましく、0.8〜3当量がより好ましく、1〜2.5当量がさらに好ましい。酸性化合物の含有量が0.5当量モル未満であると、水性分散体は安定した形態を保てないことがあり、5当量を超えると、水性分散体は着色したり、塗膜の乾燥に要する時間が長くなることがある。
酸性化合物は、前記一般式(I)で表される置換基を中和することが可能なものであり、水中における酸解離定数(pK)が−9〜8であるものが好ましく、pKが−9〜7であるものがより好ましく、pKが−5〜6であるものがさらに好ましく、pKが0〜5であるものが特に好ましい。酸解離定数(pK)が8を超えると、置換基が中和されにくくなり、水性分散化することが困難となる傾向がある。酸解離定数が−9未満であると、水性分散体を得る際の作業が困難となりやすい。
また、酸性化合物は、揮発性であることが好ましく、具体的には、沸点が20〜250℃であることが好ましく、30〜200℃であることがより好ましく、50〜150℃であることがさらに好ましく、50〜120℃であることが特に好ましい。酸性化合物が不揮発性であると、得られる塗膜は、酸性化合物が残留し、密着性や耐水性が低下する傾向にある。一方、酸性化合物の沸点が低すぎると、水性分散化の際に揮発する割合が多くなり、中和の効率が高まらないことがある。
酸性化合物の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、乳酸、クエン酸などの有機酸;塩酸、硫酸、リン酸、硝酸などの無機酸が挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。中でも置換基の中和に優れることから、有機酸が好ましく、その中でもギ酸、酢酸がさらに好ましい。
また、本発明の水性分散体は、不揮発性水性分散化助剤を実質的に含有していないことが好ましい。不揮発性水性分散化助剤は、水性分散体から得られる塗膜に残存し、塗膜を可塑化したり親水化したりする。そのため、基材への密着性、耐水性や耐溶剤性など膜特性を低下させる。本発明の水性分散体は、本発明におけるポリオレフィン樹脂(A)を用いた水性分散体であるため、水分散性に優れており、不揮発性水性分散化助剤を実質的に含有しない水性分散体とすることが可能となる。
ここで「不揮発性水性分散化助剤を実質的に含有しない」とは、不揮発性水性分散化助剤を積極的には系に添加しないことにより、ポリオレフィン樹脂(A)成分100質量部に対して不揮発性水性分散化助剤の含有量が0.1質量部未満であることを言う。好ましくは、不揮発性水性分散化助剤の含有量がゼロである。また、不揮発性とは、常圧での沸点を有さないか、もしくは、常圧で300℃以上の高沸点であることを指す。
本発明において不揮発性水性分散化助剤とは、水性分散化において、水性分散化促進や水性分散体の安定化の目的で添加される不揮発性の薬剤や化合物を指す。具体的には、乳化剤、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高アミノ変性化合物、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子などが挙げられる。乳化剤としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、あるいは両性乳化剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、界面活性剤類も含まれる。例えば、アニオン性乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられ、ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体等が挙げられ、カチオン性乳化剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩などの第四級アンモニウム塩類やアルキルアミン塩類などが挙げられ、両性乳化剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高アミノ変性化合物、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、アミノ変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、アミノ基含有ポリエチレンワックス、アミノ基含有ポリプロピレンワックス、アミノ基含有ポリエチレン−プロピレンワックスなどの数平均分子量が通常は5000以下のアミノ変性ポリオレフィンワックス類およびその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン等、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物が挙げられる。
本発明の水性分散体は、効果を損なわない範囲であれば、使用する用途によって必要とされる性能を得るために、様々な添加剤を混合することが可能である、添加剤としては、例えば、本発明におけるポリオレフィン樹脂(A)以外の他の樹脂、無機微粒子等を、本発明の水性分散体に添加することができる。
上述したポリオレフィン樹脂(A)以外の他の樹脂(以下、他の樹脂と称する場合がある)は、特に限定されない。他の樹脂としては、例えばポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、エチレン−アミノアクリルアミド共重合体、エチレン−アミノアクリレート共重合体、ポリ塩化ビリニデン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−アミノアルキル環状イミド共重合体、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン系エラストマー、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンイミン、UV硬化型樹脂等や、それらの水性分散体またはそれらの水溶液を挙げることができる。これらは、2種以上を混合して使用してもよい。
上述した無機微粒子としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、雲母、タルク、擬ベーマイト、アルミナ、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウムなどの無機化合物の微粒子が挙げられる。これらは2種以上を混合して使用してもよい。
無機微粒子の平均粒子径は、水性分散体の安定性の面から、0.0005〜100μmが好ましく、0.005〜10μmがより好ましい。
さらに、必要に応じてレベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、触媒、光触媒、UV硬化剤、帯電防止剤等の各種薬剤、顔料あるいは染料、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどを添加してもよい。また、水性分散体の安定性を損なわない範囲で上記以外の有機もしくは無機の化合物を水性分散体に添加することも可能である。
上記の他の樹脂、無機粒子、各種薬剤、顔料あるいは染料などの添加剤は、単独で用いてもよいし、あるいは2種類以上、組み合わせて用いてもよい。
本発明の水性分散体における、ポリオレフィン樹脂(A)の数平均粒子径は1000nm以下であることが好ましく、中でも750nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることが最も好ましい。数平均粒子径が1000nmを超えると、水性分散体の保存安定性が低下したり、塗布した際の造膜性に劣るため、塗膜が不均一となったりする傾向がある。
さらに、水性分散体におけるポリオレフィン共重合体の体積平均粒子径は、水性分散体の保存安定性、水性分散体を塗布した際の造膜性に優れる観点から、1000nm以下であることが好ましく、中でも750nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることが特に好ましい。
粒子径の分布度(体積平均粒子径/数平均粒子径)は、水性分散体の保存安定性や水性分散体を塗布した際の濡れ性の観点から、1〜3が好ましく、1〜2.5がより好ましく、1〜2がさらに好ましい。粒子径の分布度が3を超えると、水性分散体の保存安定性が低下する場合がある。一方、粒子径の分布度が1未満であると、水性分散体を塗布した際の濡れ性が低下する場合がある。
本発明の水性分散体は、酸性域で安定なものであり、水性分散体のpHは2〜6であることが好ましく、中でも2.5〜4.5であることが好ましい。本発明における水性分散体の安定性とは、分散樹脂粒子の凝集や沈殿が外観上認められず、均一に分散した状態を保つ、相分離のない性質のことをいう。
本発明の水性分散体の固形分濃度は、使用目的や保存方法などにあわせて適宜選択できる。いずれの場合も固形分濃度は、水性分散体の2〜60質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜45質量%がさらに好ましい。固形分濃度をこのような範囲とすることで、水性分散体を塗布した際の厚みを良好に保持することができる。
本発明の水性分散体の、B型粘度計で20℃条件下にて測定した粘度は、100000mPa・s以下が好ましく、10000mPa・s以下がより好ましく、5000mPa・s以下がさらに好ましく、1000mPa・s以下が特に好ましく、500mPa・s以下が最も好ましい。水性分散体の粘度が100000mPa・sを超えると水性分散体を塗布することが困難となる。
本発明の水性分散体から得られる塗膜は、ポリオレフィン樹脂(A)が環状イミド構造を有するとともに、架橋しているため、耐熱水性、耐薬品性、耐熱性に優れている。
また、本発明の水性分散体は、造膜性(塗膜形成性)に優れており、各種基材に塗布後、各種乾燥工程に付されることによって、透明な塗膜を形成することができる。さらに、形成された塗膜は、金属、ガラス、プラスチックの成形体、フィルム、繊維、不織布、木材、合成紙、紙等の多種多様な基材に対しての密着性に優れており、接着剤として使用することができる。
本発明の水性分散体は、接着剤の他に、プライマー、アンカーコート剤、表面改質剤、表面保護剤、繊維改質剤、電着用塗料、防錆塗料、建築材料塗料、インク受容層、インクバインダー、電池用バインダー、帯電防止剤、滑剤、濡れ剤、離型塗料、防曇塗料、防水塗料、撥水塗料、抗菌塗料など各種の用途に用いることができる。
<水性分散体の製造方法>
次に、本発明の水性分散体の製造方法について説明する。
本発明の水性分散体を製造する方法として、ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体と架橋剤(B)とを混合する方法が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体は、例えば、ポリオレフィン樹脂(A)と、水性媒体と、酸性化合物とを密閉可能な容器中で80〜250℃で攪拌することにより調製することができる。
上記密閉可能な容器は、液体を投入できる槽を備え、槽内に投入されたポリオレフィン樹脂(A)や水性媒体や酸性化合物を、適度に攪拌できるものであればよく、固/液攪拌装置や乳化機を使用することができ、耐圧性であることがさらに好ましい。
前記容器に、ポリオレフィン樹脂(A)と水性媒体と酸性化合物を投入し、次いで、槽内の温度を80〜250℃、好ましくは90〜200℃、さらに好ましくは100〜190℃に保ちつつ、5〜180分間攪拌を続けることにより、ポリオレフィン樹脂(A)を十分に分散化させることができる。槽内の温度が80℃未満の場合は、ポリオレフィン樹脂(A)の分散効果が低く、250℃を超えても水性分散化の効果はそれ以上向上しない。
攪拌の方法、攪拌の回転速度は特に限定されない。本発明においては、ポリオレフィン樹脂(A)が水性媒体中で浮遊状態となる程度の低速の攪拌でも、十分水性化が達成されるため、高速攪拌(例えば、1000rpm以上)は必須ではない。このため、簡便な装置でも水性分散体の製造が可能である。
その後、例えば、攪拌下で40℃以下に冷却することにより、水性分散体を得ることができる。
上記方法により、不揮発性水性化助剤を実質的に添加しなくとも、ポリオレフィン樹脂(A)が水性媒体中に分散され、安定な水性分散体が調製される。
本発明におけるポリオレフィン樹脂(A)は、水性分散化がきわめて良好であり、水性媒体中には未分散樹脂がほとんどまたは全く残存することがない。しかしながら、容器内の異物や少量の未分散樹脂を除くために、水性分散体を払い出す際は、濾過工程を設けてもよい。濾過方法は限定されず、例えばステンレス製フィルターなどで加圧濾過する方法が挙げられる。このような濾過工程を設けることで、異物や未分散樹脂が存在した場合であっても除去でき、水性分散体を以降の工程で、問題なく使用することができる。
また濾過後、フィルター上に残存する未分散樹脂量を測定することで、水性分散化収率を求めることができる。水性分散化収率は、生産性を良好に保つ観点から、50%以上であることが好ましく、70%以上がより好ましく、85%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましく、100%が最も好ましい。
<塗膜の形成>
本発明の水性分散体は、造膜性に優れている。そのため、公知の成膜方法、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等により、各種基材表面に均一にコーティングすることができる。そして、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥または乾燥と焼き付けのための加熱処理に供することにより、均一な塗膜(樹脂層)を基材表面に密着させて積層体を形成することができる。
加熱処理のための装置として、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーター等を使用することができる。また、加熱温度や加熱時間は、基材の特性や添加剤の種類、配合量等により、適宜選択され、経済性を考慮した場合、加熱温度は、30〜250℃が好ましく、60〜200℃がより好ましく、80〜180℃が特に好ましく、加熱時間は、1秒〜20分が好ましく、5秒〜15分がより好ましく、5秒〜10分が特に好ましい。
また、塗膜の厚さは、その用途によって適宜選択され、中でも、0.01〜1000μmが好ましく、0.1〜100μmがより好ましく、0.1〜50μmが特に好ましい。また、塗膜の厚みは、用途によっては不均一であってもよいが、一般には均一であることが好ましい。
塗膜の厚さを調節するために、コーティングに用いる装置やその使用条件を適宜選択することに加えて、目的とする塗膜の厚さに適した固形分濃度の水性分散体を使用することが好ましい。水性分散体の固形分濃度は、水性分散体の調製時の仕込み組成により調節することができ、また、得られた水性分散体を適宜希釈、あるいは濃縮して調節してもよい。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
各種の特性について、以下の方法で測定または評価した。
1.樹脂組成
H−NMR分析機(日本電子社製、ECA500、500MHz)を用いて求めた。テトラクロロエタン(d)を溶媒とし、120℃で測定した。
2.反応率
不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)の酸価と、アミノ化合物(Q)と反応して得られたポリオレフィン樹脂(A)の酸価とを、それぞれJIS K 0070:1992に記載の方法で求め、下記式から、イミド化の反応率を算出した。
反応率(%)=(樹脂(P)の酸価−樹脂(A)の酸価)/樹脂(P)の酸価×100
3.変性ポリオレフィン樹脂の粒子径
マイクロトラック粒度分布計(日機装株式会社製、UPA150、MODEL No.9340、動的光散乱法)を用いて求めた。粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.50とした。
4.重量平均分子量
GPC装置(東ソー社製、HLC−8020GPC、カラム:TSK−GEL、溶離液:オルトジクロロベンゼン)を用い、40℃で重量平均分子量を測定し、TSK標準ポリスチレン換算より求めた。
5.メルトフローレート値(MFR)
JIS K7210:1999記載の方法で測定した。
6.融点
無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製 DSC7)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
7.接着強度
基材として二軸延伸ポリエステルフィルム(ユニチカ社製、PET)を用い、そのコロナ処理面に水性分散体を塗布し、その後100℃で30秒間乾燥することで、厚さ0.3μmの塗膜からなる接着層を形成した。続いて、シーラント樹脂としてポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、ノバテックLC600A)を、押出機を備えたラミネート装置を用いて、上記接着層の表面に280℃で溶融押出し、厚さ30μmのシーラント層を備えたラミネートフィルムを得た。
得られたラミネートフィルムを15mm幅で切り出し、引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機2020型)を用い、室温、引張速度200mm/分、T型剥離で剥離強度を測定した。測定は5回行い、平均値を求めた。
8.耐熱水性
基材としてガラス板(スタンダードテストピース社製、フロート板ガラス、厚み1.5mm)を用い、水性分散体を、該ガラス板にメイヤーバーで塗布した後、90℃で2分間乾燥させ、厚さ10μmの塗膜を有する積層体を得た。
得られた積層体を98℃の熱水に24時間浸漬した。取り出した積層体を、60℃の乾燥機で24時間静置し乾燥させた後、積層体の状態を目視で確認し、下記基準にて耐熱水性を評価した。
○:塗膜に変化が全く認められず、透明な状態を維持した。
△:塗膜に白化、膨潤、一部剥離などが見られた。
×:塗膜が完全に剥がれ落ちた。
9.耐薬品性
上記「8.耐熱水性」に記載された方法により積層体を作成した。得られた積層体をトルエンに浸漬し、室温で24時間静置後、取り出した積層体を、60℃の乾燥機で24時間静置し乾燥させた後、厚み計(HEIDENHAIN社製、MT12B)を用いて、厚みを測定した。塗膜の残存率を下記計算式で算出した。
[(試験後の塗膜厚み、μm)/(試験前の塗膜厚み(10μm))]×100
10.塗膜の均一性
上記「8.耐熱水性」に記載されたガラス板に、水性分散体をメイヤーバーで塗布した後、90℃で2分間乾燥させ、厚さ0.3μmの塗膜を有する積層体を得た。得られた積層体の状態を目視で確認し、下記基準にて均一性を評価した。
○:塗膜に異物が全く認められず、完全に透明である。
△:塗膜に少量の異物が存在し、塗膜がわずかに濁っている。
×:塗膜に多量の異物が存在し、塗膜が濁っている。
ポリオレフィン樹脂水性分散体の原料を以下に示す。
1.不飽和カルボン酸無水物酸変性ポリオレフィン樹脂(P)
P1〜P6:
英国特許2091745号明細書、米国特許4617366号明細書および米国特許4644044号明細書に記載された方法に従って、エチレン、アクリル酸エチル、および無水マレイン酸を高圧ラジカル重合して製造した。
P7:
WO2004/104090の製造例に記載された方法に従って、プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体に無水マレイン酸をグラフトして製造した。
P8:
P7と同様の方法で、ポリプロピレンに無水マレイン酸をグラフトして製造した。
無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(P1)〜(P8)の組成と特性を表1に示す。
Figure 2019031644
2.アミノ化合物(Q)
Q1(N−(2−アミノエチル)マレイミド):
ディーン・スターク装置を備えた容積500mlの丸底フラスコに、エチレンジアミン60g、無水マレイン酸117.6g、トルエン200mlを加え、窒素置換を行った。オイルバスにて丸底フラスコを125℃に加熱し、1時間還流を行った後、減圧し、トルエンと未反応のエチレンジアミンを除去した。蒸留残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、N−(2−アミノエチル)マレイミドを得た。
Q2(N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル−3−アミノプロピルアミン):
ディーン・スターク装置を備えた容積500mlの丸底フラスコに、1,3−プロパンジアミン89g、無水マレイン酸117.6g、トルエン200mlを加え、窒素置換を行った。オイルバスにて丸底フラスコを125℃に加熱し、1時間還流を行った後、減圧し、トルエンと未反応の1,3−プロパンジアミンを除去した。蒸留残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、N−(3−アミノプロピル)マレイミドを得た。
容積500mlの丸底フラスコに、N−(3−アミノプロピル)マレイミド154g、ジクロロメタン100mlを加え、常温下で撹拌しながら、二炭酸ジ−tert−ブチル218gを30分かけて添加した。1時間撹拌後減圧し、ジクロロメタンを除去した。蒸留残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、N−(3−N′,N′−ジ−tert−ブトキシカルボニルアミノプロピル)マレイミドを得た。
容積500mlの丸底フラスコに、N−(3−N′,N′−ジ−tert−ブトキシカルボニル−3−アミノプロピル)マレイミド50g、ヒドラジン水和物20.4ml、エタノール400mlを加え、65℃で4時間加熱撹拌した。その後減圧し、エタノールを除去し、蒸留残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル−3−アミノプロピルアミンを得た。
Q3(N′,N′−ジ−tert−ブトキシカルボニルアミノエチル−N−tert−ブトキシカルボニル−2−アミノエチルアミン):
ディーン・スターク装置を備えた容積500mlの丸底フラスコに、ジエチレントリアミン103g、無水マレイン酸117.6g、トルエン200mlを加え、窒素置換を行った。オイルバスにて丸底フラスコを125℃に加熱し、1時間還流を行った後、減圧し、トルエンと未反応のジエチレントリアミンを除去した。蒸留残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、N−((N′−アミノエチル)−2−アミノエチル)マレイミドを得た。
容積500mlの丸底フラスコに、N−((N′−アミノエチル)−2−アミノエチル)マレイミド50g、ジクロロメタン100mlを加え、常温下で撹拌しながら、二炭酸ジ−tert−ブチル89gを30分かけて添加した。1時間撹拌後減圧し、ジクロロメタンを除去した。蒸留残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、N−(N″,N″−ジ−tert−ブトキシカルボニルアミノエチル−N′−tert−ブトキシカルボニル−2−アミノエチル)マレイミドを得た。
容積500mlの丸底フラスコに、N−(N″,N″−ジ−tert−ブトキシカルボニルアミノエチル−N′−tert−ブトキシカルボニル−2−アミノエチル)マレイミド50g、ヒドラジン水和物30ml、エタノール400mlを加え、65℃で4時間加熱撹拌した。その後減圧しエタノールを除去し、蒸留残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製してN′,N′−ジ−tert−ブトキシカルボニルアミノエチル−N−tert−ブトキシカルボニル−2−アミノエチルアミンを得た。
Q4として、n−プロピルアミンを使用した。
Q5として、N,N−ジメチル−3−アミノプロピルアミンを使用した。
架橋剤(B)は下記のものを使用した。
B1:ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート
B2:プロピレングリコールジグリシジルエーテル
B3: 3,3′−4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
B4:ヒドロキシエチル尿素
実施例1
温度計、撹拌機、液注器、ジムロートを備えた1リットルのセパラブルフラスコに、無水マレイン酸性ポリオレフィン樹脂(P1)250g、トルエン500gを仕込み、撹拌機を100rpmで回転させた状態で、フラスコを125℃のオイルバスに投入した。トルエンを還流させ、樹脂(P1)が完全に溶解したのを確認した後、アミノ化合物(Q1)を、樹脂(P1)の無水マレイン酸単位のモル数に対して1.05当量添加した。その後、125℃で1時間保持し、イミド化反応を行った。
反応液を500mlのアセトンで再沈殿させたのち、得られた樹脂に、ヒドラジン水和物30ml、エタノール400mlを加え、65℃で4時間撹拌し、アミノ基の保護基を除去した。その後、減圧真空乾燥を16時間行い、N−置換環状イミド単位を含有し、N−置換基が2−アミノエチル基であるポリオレフィン樹脂を得た。
撹拌機及びヒーターを備えた密閉できる1リットルの耐圧ガラス容器に、上記の方法で得られたポリオレフィン樹脂140g、酸性化合物としてポリオレフィン樹脂中の全アミノ基量に対して4.0当量のギ酸、有機溶媒として2−プロパノール245g、蒸留水を加えて、総量を700gとした。次いで、容器を密閉し、撹拌翼の回転速度を200rpmとして撹拌混合した。ヒーターの電源を入れ、容器内温度を130℃にし、さらに120分間撹拌した後に40℃まで自然冷却し、容器内の内容物を300メッシュのステンレス製フィルターでろ過し、ポリオレフィン樹脂の水性分散体を得た。
ポリオレフィン樹脂の水性分散体に、架橋剤(B1)をポリオレフィン樹脂100質量部に対し10質量部となるように加え、水性分散体(E1)を得た。
実施例2〜8
無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(P1)を表2に記載の樹脂に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、水性分散体(E2)〜(E8)を得た。
実施例9
温度計、撹拌機、液注器、ジムロートを備えた1リットルのセパラブルフラスコに、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(P2)250g、トルエン500g仕込み、撹拌機を100rpmで回転させた状態で、フラスコを125℃のオイルバスに投入した。トルエンを還流させ、樹脂(P2)が完全に溶解したのを確認した後、アミノ化合物(Q2)を、樹脂(P2)の無水マレイン酸単位のモル数に対して1.05当量添加した。その後、125℃で1時間保持しイミド化反応を行った。
反応液を500mlのアセトンで再沈殿させたのち、減圧真空乾燥を16時間行い、N−置換環状イミド単位を含有し、N−置換基がN,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル−3−アミノプロピル基であるポリオレフィン樹脂を得た。
その後、実施例1と同様の水性分散化の操作を行うことにより、N−置換基のN,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル−3−アミノプロピル基が3−アミノプロピル基に変換されたポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体を得、次いで架橋剤を加えて、水性分散体(E9)を得た。
実施例10
アミノ化合物(Q2)を(Q3)に変更した以外は実施例9と同様の方法で、N−置換環状イミド単位を含有し、N−置換基がN−アミノエチル−2−アミノエチル基であるポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体(E10)を得た。
実施例11〜13
架橋剤(B1)を表2に記載のものに変更した以外は実施例2と同様の方法で水性分散体(E11)〜(E13)を得た。
比較例1
架橋剤を加えない以外は、実施例9と同様の方法で水性分散体(E14)を得た。
比較例2
アミノ化合物(Q1)をn−プロピルアミン(Q4)に変更した以外は、実施例2と同様の方法を行ったところ、ポリオレフィン樹脂は、膨潤した状態で容器内に存在し、その水性分散体を得ることができなかった。
比較例3
アミノ化合物(Q2)をN,N−ジメチル−3−アミノプロピルアミン(Q5)に変更した以外は、実施例9と同様の方法で、N−置換基がN,N−ジメチル−3−アミノプロピル基であるポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体(E15)を得た。
比較例4
ポリアリルアミンの水溶液(日東紡社製、PAA−25)を用い、ポリアリルアミンの固形成分100質量部に対し、架橋剤(B1)10質量部を加え、水性分散体(E16)を得た。
上記の方法で得られた水性分散体について、得られた塗膜の接着強度、耐熱水性、耐薬品性、均一性の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2019031644
表2から明らかなように、実施例1〜13の水性分散体は、N−置換基中に1級および/または2級アミノ基を含むポリオレフィン樹脂(A)と架橋剤(B)を含むため、均一に塗布することができ、得られた塗膜は、接着性、耐熱水性、耐薬品性いずれにおいても優れた性能を示した。
一方、比較例1の水性分散体は、架橋剤を有していないため、得られた塗膜は、耐熱水性、耐薬品性に劣っていた。
比較例2では、ポリオレフィン樹脂が、N−置換基中にアミノ基が含まないため、水性分散体を得ることができなかった。
比較例3の水性分散体は、ポリオレフィン樹脂が、N−置換基中に1級アミノ基も2級アミノ基も含まないため、架橋剤を含有しても、塗膜の耐熱水性や耐薬品性を向上させる効果が得られなかった。
比較例4では、ポリオレフィン樹脂が、N−置換環状イミド単位を含まないため、得られた塗膜は、耐熱水性、耐薬品性、均一性に劣っていた。

Claims (7)

  1. ポリオレフィン樹脂(A)および架橋剤(B)が水性媒体中に分散されてなる水性分散体であって、ポリオレフィン樹脂(A)が、N−置換環状イミド単位を含有し、前記単位のN−置換基が、1級および/または2級アミノ基を含むことを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体。
  2. N−置換基が、下記一般式(I)で表される置換基であることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
    −C2n−m+1(NRR) (I)
    (式中、nおよびmは1〜10の自然数を表し、Rは任意の原子団であり、N−置換基中の全てのRにおいて1つ以上がHである。)
  3. ポリオレフィン樹脂(A)におけるN−置換環状イミド単位の含有量が、0.1〜30質量%であることを特徴とする請求項1または2記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
  4. ポリオレフィン樹脂が、さらに(メタ)アクリル酸エステル単位を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
  5. 架橋剤(B)が、アミノ基と反応する官能基を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
  6. アミノ基と反応する官能基が、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基およびカルバミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項5記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
  7. 請求項1記載のポリオレフィン樹脂水性分散体を製造するための方法であって、ポリオレフィン樹脂(A)の合成において、保護された1級および/または保護された2級アミノ基と、保護されていない1級アミノ基とを含むアミノ化合物(Q)を、不飽和カルボン酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(P)の不飽和カルボン酸無水物単位と反応させる工程を含有することを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体の製造方法。

JP2017154860A 2017-08-10 2017-08-10 ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法 Pending JP2019031644A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017154860A JP2019031644A (ja) 2017-08-10 2017-08-10 ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017154860A JP2019031644A (ja) 2017-08-10 2017-08-10 ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019031644A true JP2019031644A (ja) 2019-02-28

Family

ID=65523054

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017154860A Pending JP2019031644A (ja) 2017-08-10 2017-08-10 ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019031644A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3699182A1 (en) 2019-02-25 2020-08-26 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Organic silicon compound, method for producing the same, and curable composition
CN113024774A (zh) * 2021-03-18 2021-06-25 三棵树(上海)新材料研究有限公司 含马来酰亚胺结构的环氧固化剂及其制备方法
WO2022210053A1 (ja) * 2021-04-02 2022-10-06 住友化学株式会社 変性ポリオレフィン系樹脂
WO2022210054A1 (ja) * 2021-04-02 2022-10-06 住友化学株式会社 水性分散体
JP2022180028A (ja) * 2021-05-24 2022-12-06 凸版印刷株式会社 紙容器及びその製造方法
CN115820048A (zh) * 2022-12-09 2023-03-21 江阴通利光电科技有限公司 一种抗静电超重离型力涂布液、离型膜及制备方法
KR20230091402A (ko) * 2021-12-16 2023-06-23 (주)이지켐 폴리올레핀 수분산체 및 이의 제조방법

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3699182A1 (en) 2019-02-25 2020-08-26 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Organic silicon compound, method for producing the same, and curable composition
CN113024774A (zh) * 2021-03-18 2021-06-25 三棵树(上海)新材料研究有限公司 含马来酰亚胺结构的环氧固化剂及其制备方法
WO2022210053A1 (ja) * 2021-04-02 2022-10-06 住友化学株式会社 変性ポリオレフィン系樹脂
WO2022210054A1 (ja) * 2021-04-02 2022-10-06 住友化学株式会社 水性分散体
JP2022180028A (ja) * 2021-05-24 2022-12-06 凸版印刷株式会社 紙容器及びその製造方法
JP7683322B2 (ja) 2021-05-24 2025-05-27 Toppanホールディングス株式会社 紙容器及びその製造方法
KR20230091402A (ko) * 2021-12-16 2023-06-23 (주)이지켐 폴리올레핀 수분산체 및 이의 제조방법
KR102796125B1 (ko) * 2021-12-16 2025-04-18 (주)이지켐 폴리올레핀 수분산체 및 이의 제조방법
CN115820048A (zh) * 2022-12-09 2023-03-21 江阴通利光电科技有限公司 一种抗静电超重离型力涂布液、离型膜及制备方法
CN115820048B (zh) * 2022-12-09 2023-11-14 江阴通利光电科技有限公司 一种抗静电超重离型力涂布液、离型膜及制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2019031644A (ja) ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法
JP3699935B2 (ja) ポリオレフィン樹脂水性分散体及びその製造方法
JP2009091426A (ja) 水性分散体、その製造法および積層体
JP5618979B2 (ja) ポリオレフィン共重合体を用いた水性分散体とその製造方法、ポリオレフィン共重合体を用いた積層体
JP5174057B2 (ja) 塩素化ポリオレフィン樹脂水性分散体
JP2005126482A (ja) ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法
JP4451084B2 (ja) ポリオレフィン樹脂分散体およびその製造方法
JP4005392B2 (ja) 水性分散体および積層フィルム
JP3995523B2 (ja) 水性分散体
JP4270790B2 (ja) 紙用水性接着剤及び積層体
JP5037012B2 (ja) ポリオレフィン樹脂水性分散体の製造方法
JP4014446B2 (ja) 水性分散体およびその製造法、紫外線遮蔽フィルム
JP4873828B2 (ja) 塩素化ポリオレフィン樹脂水性分散体の製造方法
JP2015086229A (ja) 樹脂成形体用プライマー
CN117715972A (zh) 聚烯烃树脂水性分散体及其制造方法
JP2018012743A (ja) ポリビニルアセタール樹脂水性分散体およびその製造方法
JP6587375B2 (ja) ポリオレフィン樹脂水性分散体及びその製造方法
JP4270791B2 (ja) 合成紙用水性接着剤及び積層体
JP7800854B2 (ja) ポリオレフィン樹脂水性分散体、およびその製造方法
JP7535347B1 (ja) ポリオレフィン樹脂水性分散体、その製造方法、及び塗膜
JP2009242504A (ja) 水性分散体の製造方法
JP2023119571A (ja) ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法
JP2005008647A (ja) 塩素化ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法
JP5279314B2 (ja) ポリオレフィン樹脂分散体
JP2003261726A (ja) ポリオレフィン樹脂水性分散体及びその製造方法