JP2019027484A - 流体封入式防振装置と流体封入式防振装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】非圧縮性流体中での組立作業を少ない部品点数で容易に行うことができる、新規な構造の流体封入式防振装置と新規な流体封入式防振装置の製造方法とを提供すること。
【解決手段】第一の取付部材12と第二の取付部材14が本体ゴム弾性体16によって弾性連結されていると共に、壁部の一部が本体ゴム弾性体16によって構成された受圧室74と、壁部の一部が可撓性膜46で構成された平衡室76とが、第二の取付部材14に対する内挿状態で配設された仕切部材34の両側に形成されており、受圧室74と平衡室76に非圧縮性流体が封入されていると共に、受圧室74と平衡室76がオリフィス通路78を通じて相互に連通されている流体封入式防振装置10において、可撓性膜46の外周部分が、可撓性膜46の仕切部材34と反対側を覆うように配設される可撓性膜保護部材60の外周面に重ね合わされた状態で、第二の取付部材14に取り付けられている。
【選択図】図1
【解決手段】第一の取付部材12と第二の取付部材14が本体ゴム弾性体16によって弾性連結されていると共に、壁部の一部が本体ゴム弾性体16によって構成された受圧室74と、壁部の一部が可撓性膜46で構成された平衡室76とが、第二の取付部材14に対する内挿状態で配設された仕切部材34の両側に形成されており、受圧室74と平衡室76に非圧縮性流体が封入されていると共に、受圧室74と平衡室76がオリフィス通路78を通じて相互に連通されている流体封入式防振装置10において、可撓性膜46の外周部分が、可撓性膜46の仕切部材34と反対側を覆うように配設される可撓性膜保護部材60の外周面に重ね合わされた状態で、第二の取付部材14に取り付けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、自動車のエンジンマウント等に適用される防振装置に係り、特に内部に封入された流体の流動作用に基づく防振効果を利用する流体封入式防振装置と、流体封入式防振装置の製造方法とに関するものである。
従来から、自動車のパワーユニットと車両ボデーのような振動伝達系を構成する部材間に介装されて、それら部材を相互に防振連結乃至は防振支持する防振装置が知られている。この防振装置は、例えば特開2014−47897号公報(特許文献1)に記載されており、振動伝達系を構成する一方の部材に取り付けられる第1取付け部材と、振動伝達系を構成する他方の部材に取り付けられる筒状部材が、防振基体によって弾性連結された構造を有している。また、特許文献1のように、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用を利用する流体封入式防振装置も、防振装置の一種として提案されている。流体封入式防振装置は、特許文献1のように、内部に形成された第1液室と第2液室に液が封入されていると共に、それら第1液室と第2液室がオリフィスで相互に連通された構造を有している。
ところで、流体封入式防振装置では、第1液室と第2液室に液を封入する方法としては、第1液室と第2液室を大気中で形成した後で液を注入する方法の他に、液で満たされた水槽中で第1液室と第2液室を形成する方法がある。即ち、特許文献1の図6にも示されているように、第1取付け部材と筒状部材を防振基体によって弾性連結した加硫成形体を液中に沈めて、仕切り部材とダイヤフラムを液中で加硫成形体に取り付けることにより、液が封入された第1液室と第2液室を形成する。
このように加硫成形体と仕切り部材とダイヤフラムを液中で組み立てて液を封入する場合には、ゴム膜であるダイヤフラムの変形を制限して液中での組付け作業を可能とするために、ダイヤフラムの外周端部に硬質の取付け板が設けられている。しかしながら、この取付け板は、例えばダイヤフラムの外周端部が上下に挟み込まれて支持されるような構造であれば、ダイヤフラムを液中で組み付ける作業の後には不要な部品となっていた。
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、非圧縮性流体中での組立作業を簡単に行うことができる、新規な構造の流体封入式防振装置をより少ない部品点数で実現して提供することにある。
また、本発明は、非圧縮性流体中での組立作業を少ない部品点数で容易に行うことができる、新規な流体封入式防振装置の製造方法を提供することも、目的とする。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
すなわち、本発明の第一の態様は、第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体によって弾性連結されていると共に、壁部の一部が該本体ゴム弾性体によって構成された受圧室と、壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室とが、該第二の取付部材に対する内挿状態で配設された仕切部材の両側に形成されており、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体が封入されていると共に、それら受圧室と平衡室がオリフィス通路を通じて相互に連通されている流体封入式防振装置において、前記可撓性膜の外周部分が該可撓性膜の前記仕切部材と反対側を覆うように配設される可撓性膜保護部材の外周面に重ね合わされた状態で前記第二の取付部材に取り付けられていることを、特徴とする。
このような第一の態様に従う構造とされた流体封入式防振装置によれば、可撓性膜の外周部分が可撓性膜保護部材の外周面に重ね合わされることにより、可撓性膜の外周部分の変形量が可撓性膜保護部材によって制限されている。それ故、可撓性膜の外周部分の変形によって可撓性膜の第二の取付部材に対する組み付けが困難になるなどの不具合を回避することができる。
しかも、可撓性膜を保護する機能を有する可撓性膜保護部材によって可撓性膜の外周部分の変形量が制限されることから、可撓性膜の外周部分に変形量を制限するための特別な拘束部材を固着する必要がなく、部品点数の削減や軽量化などが図られる。
本発明の第二の態様は、第一の態様に記載された流体封入式防振装置において、前記可撓性膜保護部材がカップ形状とされており、該可撓性膜保護部材の開口端部には外周側へ突出する係止突起が一体形成されていると共に、該係止突起に引っ掛けられるフック部が前記可撓性膜の外周部分に設けられているものである。
第二の態様によれば、可撓性膜に設けられたフック部が可撓性膜保護部材に設けられた係止突起に引っ掛けられるようになっていることで、可撓性膜の外周部分が可撓性膜保護部材に対して被せ付けられた状態に保持されて、可撓性膜の外周部分が可撓性膜保護部材によって安定して拘束される。
本発明の第三の態様は、第二の態様に記載された流体封入式防振装置において、前記可撓性膜の外周部分が前記係止突起における前記可撓性膜保護部材の開口側の面に重ね合わされていると共に、該可撓性膜の外周部分に設けられた前記フック部が、該係止突起の外周面に重ね合わされる第一の係止部と、該係止突起における該可撓性膜保護部材の開口と反対側の面に重ね合わされる第二の係止部とを備えているものである。
第三の態様によれば、フック部を含む可撓性膜の外周部分が係止突起を包むような態様で係止突起に引っ掛けられていることにより、可撓性膜の外周部分が高い信頼性で可撓性膜保護部材に被せ付けられた状態に保持されて、可撓性膜が可撓性膜保護部材から外れにくくなる。それ故、可撓性膜保護部材に被せ付けられた可撓性膜を非圧縮性流体中で第二の取付部材に組み付ける作業時に、可撓性膜の外周部分の形状が可撓性膜保護部材によって安定して保持される。
本発明の第四の態様は、第二又は第三の態様に記載された流体封入式防振装置において、前記可撓性膜の外周部分に前記仕切部材に向けて延び出す筒状部が一体で設けられていると共に、該筒状部の端部には外周へ向けて突出するフランジ状部が一体で設けられており、前記フック部が該フランジ状部の外周端部から突出して設けられていると共に、該フック部が該フランジ状部よりも薄肉とされているものである。
第四の態様によれば、薄肉とされたフック部を変形させることで、フック部を可撓性膜保護部材に設けられた係止突起の表面を覆うように重ね合わせ易くなる。また、フランジ状部がフック部よりも厚肉とされていることにより、可撓性膜の外周部分の変形剛性が確保されて、可撓性膜が可撓性膜保護部材から外れ難くなる。
本発明の第五の態様は、第一〜第四の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記可撓性膜保護部材が前記第二の取付部材と前記仕切部材の間に差し入れられており、前記可撓性膜の外周部分に設けられた筒状部が該仕切部材と該可撓性膜保護部材の間で挟まれているものである。
第五の態様によれば、仕切部材と可撓性膜保護部材の重ね合わせ面間が、可撓性膜に設けられた筒状部を挟むことで流体密に封止されることから、特別なシールゴムなどを設けることなく、少ない部品点数で仕切部材と可撓性膜保護部材の間の流体密性を確保することができる。
本発明の第六の態様は、第一〜第五の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記可撓性膜保護部材が内挿状態で取り付けられる前記第二の取付部材の内周面が、シールゴム層によって覆われているものである。
第六の態様によれば、第二の取付部材と可撓性膜保護部材がシールゴム層を介して重ね合わされることにより、可撓性膜保護部材が第二の取付部材に対してシールゴム層を介して流体密に取り付けられる。
本発明の第七の態様は、流体封入式防振装置の製造方法であって、第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体によって弾性連結して一体加硫成形品を形成する工程と、予め準備された可撓性膜の外周部分を別途に予め準備されて該可撓性膜を覆う可撓性膜保護部材の外周面に重ね合わせて被せ付ける工程と、予め準備された仕切部材と、該可撓性膜を被せ付けた該可撓性膜保護部材とを、非圧縮性流体で満たされた水槽中で該一体加硫成形品の該第二の取付部材に対して内挿して、該仕切部材と該可撓性膜を被せ付けた該可撓性膜保護部材とを該第二の取付部材に流体密に組み付けることで、非圧縮性流体が封入された受圧室と平衡室を該仕切部材の両側に形成する工程とを、含むことを特徴とする。
このような第七の態様に従う流体封入式防振装置の製造方法によれば、可撓性膜を第二の取付部材に対して非圧縮性流体中で組み付ける前に、可撓性膜の外周部分を可撓性膜保護部材の外周面に重ね合わせて被せ付けておくことにより、非圧縮性流体中における可撓性膜の外周部分の変形量が可撓性膜保護部材によって制限されて、可撓性膜の第二の取付部材への組付けが容易になる。
本発明によれば、平衡室の壁部を構成する可撓性膜の外周部分が可撓性膜保護部材の外周面に重ね合わされて、可撓性膜の外周部分の変形量が可撓性膜保護部材によって制限されていることから、可撓性膜の外周部分の変形によって可撓性膜の第二の取付部材に対する組み付けが困難になるなどの不具合を回避することができる。しかも、可撓性膜を保護する可撓性膜保護部材によって可撓性膜の外周部分の変形量が制限されることから、可撓性膜の外周部分に変形量を制限するための特別な拘束部材を固着する必要がなく、部品点数の削減や軽量化などが図られる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1には、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置の第一の実施形態として、自動車用のエンジンマウント10が示されている。エンジンマウント10は、第一の取付部材12と第二の取付部材14が本体ゴム弾性体16によって相互に弾性連結された構造を有している。以下の説明において、上下方向とは、原則として、軸方向である図1中の上下方向を言う。
より詳細には、第一の取付部材12は、金属や合成樹脂などで形成された高剛性の部材であって、略円柱形状を有していると共に、下端部には外周に向けて広がる環状板部18が一体形成されている。更に、第一の取付部材12には、上下に延びるねじ穴20が上面に開口するように形成されている。
第二の取付部材14は、第一の取付部材12と同様に高剛性の部材であって、薄肉大径の略円筒形状を有しており、本実施形態では上下方向の中間部分に段差部22が設けられて、段差部22よりも上側が大径筒部24とされていると共に、段差部22よりも下側が小径筒部26とされている。更に、小径筒部26の下端部には内周へ突出する端部突起27が設けられており、本実施形態の端部突起27は、小径筒部26の下端部を内周へ向けて湾曲させることで第二の取付部材14に一体形成されている。
そして、第一の取付部材12が第二の取付部材14の上方に離れて配置されており、第一の取付部材12と第二の取付部材14が本体ゴム弾性体16によって相互に弾性連結されている。本体ゴム弾性体16は、厚肉大径の略円錐台形状を有しており、小径側の端部である上端部が第一の取付部材12に加硫接着されていると共に、大径側の端部である下端部の外周部分が第二の取付部材14の段差部22および大径筒部24に加硫接着されている。本実施形態の本体ゴム弾性体16は、図2,3にも示すように、第一の取付部材12と第二の取付部材14を備える一体加硫成形品28として形成されている。
さらに、本体ゴム弾性体16には、下面に開口する大径凹所30が形成されている。大径凹所30は、下方へ向けて拡開する逆向きの略すり鉢形状を有している。更にまた、本体ゴム弾性体16における大径凹所30の開口周縁部には、下方へ延び出す筒状のシールゴム層32が一体形成されており、シールゴム層32が第二の取付部材14の小径筒部26の内周面に固着されて、小径筒部26の内周面がシールゴム層32によって覆われている。
また、一体加硫成形品28には、仕切部材34が組み付けられている。仕切部材34は、金属や合成樹脂などで形成された硬質の部材であって、図4〜6に示すように、厚肉の略円板形状とされている。更に、仕切部材34は、外周面が段付き形状とされており、上部が大径の嵌着部36とされていると共に、下部が小径のカップ嵌合部38とされている。更にまた、仕切部材34の嵌着部36には、外周面に開口して一周に満たない長さで周方向へ延びる周溝40が形成されている。この周溝40の両端部は、一方が上連通孔42を通じて仕切部材34の上側に開放されていると共に、他方が下連通孔44を通じて仕切部材34の下側に開放されている。
この仕切部材34は、図1に示すように、一体加硫成形品28の第二の取付部材14の小径筒部26に対して内挿状態で配設されている。本実施形態では、第二の取付部材14の小径筒部26の内周面がシールゴム層32で覆われていることから、第二の取付部材14が仕切部材34の嵌着部36の外周面に対してシールゴム層32を介して押し付けられることによって、仕切部材34が第二の取付部材14に対して内挿状態で間接的に取り付けられている。そして、仕切部材34の嵌着部36の外周面がシールゴム層32に押し付けられていることにより、第二の取付部材14の内周面と仕切部材34の嵌着部36の外周面との重ね合わせ面間がシールゴム層32によって流体密に封止されている。
また、一体加硫成形品28には、可撓性膜46が取り付けられている。可撓性膜46は、図7〜10に示すように、全体として上側へ向けて開口する略カップ形状を有する薄肉のゴム膜であって、底壁部48が略波打ち円板形状とされることで変形を容易に許容されるようになっている。即ち、可撓性膜46は、ゴム膜の単品で構成されており、加硫接着などで固着された金具を備えていない。
さらに、可撓性膜46は、略円筒形状の筒状部50を一体で備えており、筒状部50が底壁部48の外周端部から上側へ向けて延び出すように設けられている。この筒状部50の上端部には、図10に示すように、外周へ向けて突出する略円環板形状のフランジ状部52が一体で設けられている。
更にまた、可撓性膜46におけるフランジ状部52の外周端部には、フック部54が一体で設けられている。フック部54は、フランジ状部52の外周端部から下方へ突出して筒状部50の外周側に対向するように設けられた第一の係止部56と、第一の係止部56の下端部から内周へ突出してフランジ状部52の下側に対向するように設けられた第二の係止部58とを、備えている。したがって、フック部54は、全体として略L字断面で周方向に全周に亘って延びる環状とされている。
なお、フック部54を構成する第一の係止部56の厚さt1と第二の係止部58の厚さt2は、筒状部50の厚さTaおよびフランジ状部52の厚さTbよりも小さくされており、好適にはフランジ状部52の厚さTbの半分以下の厚さとされている。本実施形態では、フランジ状部52の厚さTbが筒状部50の厚さTaよりも大きくされている。
この可撓性膜46は、可撓性膜保護部材としての保護カップ60に取り付けられる。保護カップ60は、金属や合成樹脂などで形成された硬質の部材であって、図11〜14に示すように、全体として上側に向けて開口するカップ形状を有しており、底壁62に近い周壁下部64が上方へ行くに従って次第に大径となるテーパ形状とされていると共に、開口に近い周壁上部66が略一定の直径で上下に延びる円筒形状とされている。
さらに、保護カップ60には、複数の通気孔68が貫通形成されており、本実施形態では、一つの通気孔68が底壁62の中央に形成されていると共に、六つの通気孔68がテーパ形状とされた周壁下部64に形成されて、周方向で等間隔に配置されている。尤も、通気孔68の形成位置や形成数、孔断面形状などは、特に限定されるものではなく、好適には、可撓性膜46と保護カップ60の間で空気ばねが作用するのを回避できるように設けられる。
更にまた、保護カップ60の周壁上部66の開口端部には、外周へ突出する係止突起70が一体形成されている。本実施形態では、保護カップ60がプレス金具とされており、保護カップ60の周壁上部66の上端部をプレス曲げ加工して外周へ曲げることにより係止突起70が全周に亘って形成されている。
ここにおいて、図15に示すように、可撓性膜46が保護カップ60に対して非接着で取り付けられており、保護カップ60が可撓性膜46の下方を覆うように配設されている。即ち、可撓性膜46の外周部分に設けられた筒状部50が、保護カップ60の周壁上部66に内挿状態で重ね合わされていると共に、筒状部50の上端に設けられたフランジ状部52が保護カップ60の周壁上部66における上面に重ね合わされている。更に、フック部54の第一の係止部56が係止突起70の外周面に重ね合わされていると共に、第二の係止部58が係止突起70の下面に重ね合わされており、フック部54が保護カップ60の係止突起70の外周側および下側に配されている。これにより、フランジ状部52とフック部54が係止突起70の周囲を囲むように配されて、フック部54が係止突起70に引っ掛けられており、フランジ状部52とフック部54を備える可撓性膜46の外周部分が、係止突起70を備える保護カップ60に対して、保護カップ60の外周面に重ね合わされた状態で被せ付けられている。なお、保護カップ60の開口側が上側とされていると共に、保護カップ60の開口と反対側が下側とされている。
このように可撓性膜46を被せ付けられた保護カップ60は、図1に示すように、第二の取付部材14に取り付けられている。即ち、保護カップ60の周壁上部66と可撓性膜46の筒状部50が第二の取付部材14の小径筒部26と仕切部材34のカップ嵌合部38との径方向間に差し入れられて挟まれている。これにより、保護カップ60とそれに被せ付けられた可撓性膜46の各外周部分が第二の取付部材14に対して組み付けられている。なお、保護カップ60は、保護カップ60および可撓性膜46が第二の取付部材14に組み付けられた状態において、底壁62と周壁下部64が可撓性膜46の底壁部48に対して軸方向で仕切部材34と反対側に配されており、可撓性膜46の下側を覆うように配設されている。更に、可撓性膜46と保護カップ60の間の空間は、保護カップ60の通気孔68を通じて外部に連通されており、可撓性膜46の変形が空気ばねによって制限されることなく許容されるようになっている。
さらに、本実施形態では、第二の取付部材14の小径筒部26の内周面がシールゴム層32で覆われていることから、保護カップ60が第二の取付部材14に対してシールゴム層32を介して間接的に取り付けられていると共に、第二の取付部材14と保護カップ60の間がシールゴム層32によって流体密に封止されている。また、本実施形態では、可撓性膜46のフック部54がシールゴム層32と保護カップ60の間に介在していることから、フック部54によるシールも期待できる。なお、シールゴム層32は、保護カップ60およびフック部54が押し付けられて変形することにより、第二の取付部材14の端部突起27とフック部54との軸方向間にも存在している。
更にまた、可撓性膜46を被せ付けられた保護カップ60の開口部が、仕切部材34のカップ嵌合部38に外嵌状態で組み付けられていると共に、可撓性膜46の筒状部50とフランジ状部52が、保護カップ60と仕切部材34の間に配されている。そして、保護カップ60とカップ嵌合部38との径方向間に配された筒状部50が、保護カップ60とカップ嵌合部38の間で挟まれることにより、保護カップ60とカップ嵌合部38の径方向の重ね合わせ面間が筒状部50によって流体密に封止されている。更に、保護カップ60の上面と仕切部材34の嵌着部36との軸方向間に配されたフランジ状部52が、保護カップ60と嵌着部36の間で挟まれることにより、保護カップ60と嵌着部36の軸方向の重ね合わせ面間がフランジ状部52によって流体密に封止されている。
なお、可撓性膜46が保護カップ60に被せ付けられた状態において、可撓性膜46のフランジ状部52の基端部と保護カップ60の周壁上部66の開口縁部との間に空間71が形成されており、筒状部50とフランジ状部52の圧縮変形時に空間71によってゴムの逃げが許容されて、シール性の安定化が図られ得る。尤も、この空間71は無くても良い。
このように、本実施形態では、仕切部材34と保護カップ60の間を流体密に封止するシールゴムが、可撓性膜46に一体で設けられた筒状部50とフランジ状部52で構成されていることから、部品点数の削減や構造の簡単化などが図られる。尤も、保護カップ60と仕切部材34の重ね合わせ面間の流体密性は、保護カップ60と仕切部材34の間で筒状部50とフランジ状部52の何れか一方が挟まれることで確保されていても良い。
また、可撓性膜46が一体加硫成形品28に取り付けられることにより、本体ゴム弾性体16と可撓性膜46の間には外部から流体密に隔てられた流体封入領域72が形成されており、この流体封入領域72に非圧縮性流体が封入されている。流体封入領域72に封入される流体は、特に限定されるものではないが、例えば、水やエチレングリコール、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、シリコーン油、或いはそれらの混合液などの液体が採用される。更に、流体封入領域72に封入される非圧縮性流体は、後述する流体の流動作用に基づく防振効果を効率的に得るために、0.1Pa・s以下の低粘性流体であることが望ましい。
さらに、仕切部材34が流体封入領域72において軸直角方向に広がるように配設されており、流体封入領域72が仕切部材34によって上下に二分されている。これにより、仕切部材34よりも上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16によって構成されて、振動入力時に内圧変動が惹起される受圧室74が形成されている。一方、仕切部材34よりも下側には、壁部の一部が可撓性膜46によって構成されて、可撓性膜46の変形による容積変化が許容された平衡室76が形成されている。なお、受圧室74と平衡室76には、それぞれ非圧縮性流体が封入されている。
また、仕切部材34の上部の外周面がシールゴム層32に押し付けられて、周溝40の外周開口がシールゴム層32で覆われた第二の取付部材14の小径筒部26によって閉塞されていることにより、周方向に延びるトンネル状の流路が形成されており、トンネル状流路の両端部が上連通孔42を通じて受圧室74に連通されていると共に、下連通孔44を通じて平衡室76に連通されている。これにより、受圧室74と平衡室76を相互に連通するオリフィス通路78が、周溝40によって形成されている。オリフィス通路78は、通路断面積Aと通路長Lの比A/Lを適宜に調節することによって、流動流体の共振周波数がチューニングされており、本実施形態では、エンジンシェイクに相当する10Hz程度の低周波にチューニングされている。
このような構造とされたエンジンマウント10は、例えば、第一の取付部材12が図示しないパワーユニットに取り付けられると共に、第二の取付部材14が同じく図示しない車両ボデーに取り付けられることにより、それらパワーユニットと車両ボデーを防振連結するようになっている。
かくの如き車両への装着状態において、第一の取付部材12と第二の取付部材14の間にエンジンシェイクなどの低周波振動が軸方向に入力されると、本体ゴム弾性体16が弾性変形することで受圧室74の内圧が変動せしめられて、受圧室74と平衡室76の間でオリフィス通路78を通じた流体の流動が生ぜしめられる。これにより、流体の共振作用などの流動作用に基づいて、目的とする防振効果(高減衰効果など)が発揮されるようになっている。
ところで、本実施形態に係るエンジンマウント10は、例えば、以下のような製造方法によって製造される。
先ず、予め準備された第一の取付部材12と第二の取付部材14を本体ゴム弾性体16の加硫成形用金型(図示せず)にセットして、本体ゴム弾性体16を加硫成形することにより、第一の取付部材12と第二の取付部材14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品28を形成する工程を完了する。
次に、可撓性膜46を加硫成形して準備すると共に、保護カップ60をプレス加工で形成して別途に準備する。なお、可撓性膜46の外周部分には、筒状部50とフランジ状部52とフック部54が一体で設けられている。また、保護カップ60の上端部には、係止突起70が設けられている。
そして、可撓性膜46の外周部分を保護カップ60の外周面に重ね合わせた状態で被せ付ける工程を完了する。より具体的には、可撓性膜46の筒状部50を保護カップ60の周壁上部66に内挿すると共に、フック部54を外周へ広げるように弾性変形させながらフランジ状部52を保護カップ60の開口端面(上面)に重ね合わせる。その後、フック部54の変形を解除して、フック部54の第一の係止部56を保護カップ60の係止突起70の外周面に重ね合わせると共に、フック部54の第二の係止部58を保護カップ60の係止突起70の下面に重ね合わせる。これにより、フック部54を備える可撓性膜46の外周部分を、係止突起70を備える保護カップ60の上端部に対して取外し可能な状態で被せ付ける。
また次に、図16に示すように、非圧縮性流体で満たされた水槽80を準備して、水槽80内に一体加硫成形品28を入れることで、一体加硫成形品28を非圧縮性流体中に沈める。なお、一体加硫成形品28は、例えば、非圧縮性流体中において回転させたり、噴流を吹き付けたり、衝撃を与えたりすることで、空気を取り除いた後、大径凹所30の開口が鉛直上側に位置するように、水槽80中で上下逆向きとされる。
さらに、可撓性膜46を被せ付けた保護カップ60と、予め準備した仕切部材34とを、一体加硫成形品28と同じ水槽80に入れて、非圧縮性流体中で一体加硫成形品28に組み付ける。即ち、可撓性膜46を被せ付けた保護カップ60を仕切部材34のカップ嵌合部38に外挿状態で嵌合させた後、相互に組み合わされた仕切部材34と可撓性膜46と保護カップ60を、図17(a)に示すように、一体加硫成形品28を構成する第二の取付部材14の小径筒部26に上側から差し入れる。その後、第二の取付部材14に対して八方絞りなどの縮径加工を施すことにより、図17(b)に示すように、小径筒部26の内周面を覆うシールゴム層32を仕切部材34の外周面と保護カップ60に押し付ける。これにより、仕切部材34と可撓性膜46と保護カップ60を第二の取付部材14に対して同時に組み付けて、内部に非圧縮性流体が封入された受圧室74と平衡室76を仕切部材34の両側に形成する工程を完了する。
なお、仕切部材34と可撓性膜46は、一体加硫成形品28と同様に、水槽80中において衝撃や噴流、回転などによって組付け前に空気を除去することが望ましい。また、可撓性膜46と保護カップ60の間の空間に入った非圧縮性流体は、エンジンマウント10を水槽80から取り出す際に通気孔68を通じて排出される。また、第二の取付部材14の縮径時に保護カップ60の係止突起70とシールゴム層32で覆われた第二の取付部材14との間で強く挟み込まれる可撓性膜46のフック部54は、例えば、可撓性膜46の第二の取付部材14への組付け時又は組付け後に、第一の係止部56において破断しても良い。
さらに、第二の取付部材14の縮径加工前において、第二の取付部材14における端部突起27の内径寸法D0は、保護カップ60における係止突起70の外径寸法D2よりも大きくされたフック部54の外径寸法D1よりも、更に大きくされている(D0>D1>D2)。また、第二の取付部材14の縮径加工後には、第二の取付部材14における端部突起27の内径寸法D0’が縮径前の内径寸法D0よりも小さくなる(D0’<D0)と共に、フック部54の外径寸法D1’がシールゴム層32への押付けによって圧縮されることで縮径前の外径寸法D1よりも小さくなる(D1’<D1)。そして、第二の取付部材14の縮径加工後において、第二の取付部材14における端部突起27の内径寸法D0’は、フック部54の外径寸法D1’よりも小さい係止突起70の外径寸法D2以下となる(D0’≦D2<D1’)。
かくの如き製造方法によって得られる本実施形態のエンジンマウント10は、可撓性膜46の外周部分が保護カップ60の開口部の外周面に重ね合わされて被せ付けられていることから、可撓性膜46の外周部分の変形量が保護カップ60によって制限されている。それ故、可撓性膜46を非圧縮性流体中で第二の取付部材14に組み付ける場合にも、可撓性膜46の外周部分が液圧によって変形するのを防いで、第二の取付部材14に対する組付け作業を容易にすることができる。
本実施形態では、可撓性膜46の外周端部に設けられたフック部54が、保護カップ60の開口部に設けられた係止突起70に被せ付けられていることから、可撓性膜46と保護カップ60の分離がフック部54が係止突起70に引っ掛かることで防止されて、可撓性膜46の外周部分が保護カップ60に取り付けられた状態に保持される。
しかも、フック部54を備える可撓性膜46の外周部分は、保護カップ60の内周面に重ね合わされる筒状部50と、筒状部50の上端から外周へ延び出すフランジ状部52と、フランジ状部52の外周端から下方へ延び出す第一の係止部56と、第一の係止部56の下端から内周へ延び出す第二の係止部58とを、備えている。これにより、保護カップ60の上端部が筒状部50と第一の係止部56の間で径方向に挟まれていると共に、保護カップ60の係止突起70がフランジ状部52と第二の係止部58の間で軸方向に挟まれており、可撓性膜46の外周部分が保護カップ60に対してより強く取り付けられている。
さらに、フック部54における第一の係止部56の厚さt1と第二の係止部58の厚さt2が、筒状部50の厚さTaとフランジ状部52の厚さTbよりも小さくされていることにより、薄肉の第一の係止部56と第二の係止部58を変形させながらフック部54を保護カップ60に装着する作業が容易になる。しかも、筒状部50の厚さTaとフランジ状部52の厚さTbが、末端に設けられるフック部54の厚さt1,t2よりも大きくされていることにより、可撓性膜46の外周部分の形状安定性が確保されて、保護カップ60への装着状態が安定して保持されると共に、仕切部材34と保護カップ60の間のシール性能も確保される。
また、可撓性膜46の外周部分の変形量が、可撓性膜46を他の部材から保護するために設けられる保護カップ60によって制限されることから、可撓性膜46の変形量を制限するためだけに特別な部品を設ける場合に比して、部品点数の削減や軽量化などを実現することができる。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、第一の係止部56と第二の係止部58を備えるL字断面のフック部54は、可撓性膜46の外周部分において必須の構造ではなく、例えば、フランジ状部52の外周端部が下方へ筒状に延び出す形状を有していることによって、可撓性膜46の外周部分が保護カップ60の外周面に重ね合わされるようにしても良い。
さらに、可撓性膜46が略板形状とされて、可撓性膜46の外周部分に筒状部50がない構造も採用され得る。即ち、例えば、略板形状とされた可撓性膜46の外周端部が前記実施形態のフランジ状部52に相当する部分とされて、可撓性膜46の外周端部にフック部54が一体で設けられる。なお、可撓性膜保護部材は、可撓性膜46の変形を許容する形状であればカップ形状に限定されず、例えば筒状部50のない可撓性膜46を採用する場合には、略皿形状などの浅底の可撓性膜保護部材を採用することもできる。
保護カップ60の開口部分に設けられた係止突起70は必須ではなく、例えば、係止突起70のない保護カップ60とフック部54のない可撓性膜46を組み合わせて採用することができる。
仕切部材34と可撓性膜46と保護カップ60は、一体加硫成形品28の第二の取付部材14に対して、必ずしも第二の取付部材14を縮径して組み付けられなくても良い。具体的には、例えば、相互に組み合わされた仕切部材34と可撓性膜46と保護カップ60を、第二の取付部材14に対して圧入することで、第二の取付部材14に組み付けることもできる。
前記実施形態に示す仕切部材34の構造は、あくまでも一例であって、例えば、チューニング周波数の異なる複数のオリフィス通路が設けられていても良いし、高周波小振幅振動に対する防振効果を発揮する可動部材や、キャビテーションを防止するための短絡機構などを設けることもできる。
前記実施形態では、本発明をエンジンマウント10に適用する例について説明したが、本発明は、例えばサブフレームマウントのような他の流体封入式防振装置にも適用可能である。更に、本発明は、自動車用の流体封入式防振装置にのみ適用されるものではなく、自動二輪車や鉄道用車両、産業用車両などに用いられる流体封入式防振装置にも適用され得る。
10:エンジンマウント(流体封入式防振装置)、12:第一の取付部材、14:第二の取付部材、16:本体ゴム弾性体、28:一体加硫成形品、32:シールゴム層、34:仕切部材、46:可撓性膜、50:筒状部、52:フランジ状部、54:フック部、56:第一の係止部、58:第二の係止部、60:保護カップ(可撓性膜保護部材)、70:係止突起、74:受圧室、76:平衡室、78:オリフィス通路、80:水槽
Claims (7)
- 第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体によって弾性連結されていると共に、壁部の一部が該本体ゴム弾性体によって構成された受圧室と、壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室とが、該第二の取付部材に対する内挿状態で配設された仕切部材の両側に形成されており、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体が封入されていると共に、それら受圧室と平衡室がオリフィス通路を通じて相互に連通されている流体封入式防振装置において、
前記可撓性膜の外周部分が該可撓性膜の前記仕切部材と反対側を覆うように配設される可撓性膜保護部材の外周面に重ね合わされた状態で前記第二の取付部材に取り付けられていることを特徴とする流体封入式防振装置。 - 前記可撓性膜保護部材がカップ形状とされており、該可撓性膜保護部材の開口端部には外周側へ突出する係止突起が一体形成されていると共に、該係止突起に引っ掛けられるフック部が前記可撓性膜の外周部分に設けられている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
- 前記可撓性膜の外周部分が前記係止突起における前記可撓性膜保護部材の開口側の面に重ね合わされていると共に、該可撓性膜の外周部分に設けられた前記フック部が、該係止突起の外周面に重ね合わされる第一の係止部と、該係止突起における該可撓性膜保護部材の開口と反対側の面に重ね合わされる第二の係止部とを備えている請求項2に記載の流体封入式防振装置。
- 前記可撓性膜の外周部分に前記仕切部材に向けて延び出す筒状部が一体で設けられていると共に、該筒状部の端部には外周へ向けて突出するフランジ状部が一体で設けられており、前記フック部が該フランジ状部の外周端部から突出して設けられていると共に、該フック部が該フランジ状部よりも薄肉とされている請求項2又は3に記載の流体封入式防振装置。
- 前記可撓性膜保護部材が前記第二の取付部材と前記仕切部材の間に差し入れられており、前記可撓性膜の外周部分に設けられた筒状部が該仕切部材と該可撓性膜保護部材の間で挟まれている請求項1〜4の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
- 前記可撓性膜保護部材が内挿状態で取り付けられる前記第二の取付部材の内周面が、シールゴム層によって覆われている請求項1〜5の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
- 第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体によって弾性連結して一体加硫成形品を形成する工程と、
予め準備された可撓性膜の外周部分を別途に予め準備されて該可撓性膜を覆う可撓性膜保護部材の外周面に重ね合わせて被せ付ける工程と、
予め準備された仕切部材と、該可撓性膜を被せ付けた該可撓性膜保護部材とを、非圧縮性流体で満たされた水槽中で該一体加硫成形品の該第二の取付部材に対して内挿して、該仕切部材と該可撓性膜を被せ付けた該可撓性膜保護部材とを該第二の取付部材に流体密に組み付けることで、非圧縮性流体が封入された受圧室と平衡室を該仕切部材の両側に形成する工程と
を、含むことを特徴とする流体封入式防振装置の製造方法。
Priority Applications (1)
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| JP2017145874A JP2019027484A (ja) | 2017-07-27 | 2017-07-27 | 流体封入式防振装置と流体封入式防振装置の製造方法 |
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| JP2017145874A Pending JP2019027484A (ja) | 2017-07-27 | 2017-07-27 | 流体封入式防振装置と流体封入式防振装置の製造方法 |
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