JP2008163970A - 流体封入式防振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】オリフィス通路の閉塞状態に起因する高動ばね化が抑えられて、所期の防振効果が安定して得られることに加え、部品点数の増加を伴うことなく可撓性ゴム膜が保護されることによって、製造の容易化や低コスト化が有利に図られ得る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供する。
【解決手段】スリーブ部材18が軸方向他方に開口する溝形断面で周方向に延びる筒状とされ、その内周壁26の内側に受圧室66が、スリーブ部材18の溝部50内に平衡室68が形成されていると共に、本体ゴム弾性体16と一体形成された可動ゴム膜48がスリーブ部材18の内周壁26に設けられて、可動ゴム膜48の弾性変形に基づき受圧室66の圧力が吸収されるようになっており、更に第一の取付部材12と第二の取付部材14のリバウンド方向のストッパ機構における筒状のストッパ部材60によって可撓性ゴム膜46が覆われている。
【選択図】図1
【解決手段】スリーブ部材18が軸方向他方に開口する溝形断面で周方向に延びる筒状とされ、その内周壁26の内側に受圧室66が、スリーブ部材18の溝部50内に平衡室68が形成されていると共に、本体ゴム弾性体16と一体形成された可動ゴム膜48がスリーブ部材18の内周壁26に設けられて、可動ゴム膜48の弾性変形に基づき受圧室66の圧力が吸収されるようになっており、更に第一の取付部材12と第二の取付部材14のリバウンド方向のストッパ機構における筒状のストッパ部材60によって可撓性ゴム膜46が覆われている。
【選択図】図1
Description
本発明は、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置に係り、特に、非圧縮性流体が封入された受圧室と平衡室をオリフィス通路を通じて相互に連通せしめた流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体や防振支持体の一種として、内部に封入された非圧縮性流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式の防振装置が知られている。この流体封入式防振装置は、第一の取付部材と筒状の第二の取付部材が該第二の取付部材の軸方向一方の開口部側において本体ゴム弾性体で連結されていると共に、第二の取付部材の軸方向他方の開口部側に可撓性膜が配設されて、本体ゴム弾性体と可撓性膜の間に非圧縮性流体が封入された流体室を備えている。また、第二の取付部材に支持された仕切部材で流体室が仕切られて、流体室における仕切部材を挟んだ両側に壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成された受圧室と壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室が形成され、それら受圧室と平衡室が、仕切部材に形成されたオリフィス通路を通じて相互に連通された構造を呈している。このような構造によれば、振動入力に伴い受圧室と平衡室の間に相対的な圧力変動の差が生じて、オリフィス通路を通じての流体の流動量が確保されることとなり、かかる流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果が得られるようになっている。例えば、特許文献1(特開平06−174005号公報)の図8に示されているものが、それであり、自動車用のエンジンマウントやボデーマウント、デフマウントの他サスペンションメンバマウント等への適用が検討されている。
ところで、上述の従来構造の流体封入式防振装置では、仕切部材や可撓性膜が、第一及び第二の取付部材を備えた本体ゴム弾性体の加硫成形品と、それぞれ別体形成されて、該加硫成形品の第二の取付部材に固定的に組み付けられている。具体的に例えば、可撓性膜の外周部分に固定部材が設けられて、固定部材が加硫成形品の第二の取付部材に固定されることに基づき、可撓性膜が第二の取付部材に配設されている。また、仕切部材の第二の取付部材への組み付けに際しては、第二の取付部材の軸方向他方の開口部から仕切部材と可撓性膜の固定部材を順次に嵌め入れて、仕切部材が本体ゴム弾性体と可撓性膜の軸方向間の所定の位置に位置決めされるように、係止構造を設けたり、必要に応じて第二の取付部材に縮径加工を施すことに基づき仕切部材を第二の取付部材に対して軸直角方向に締付け固定したりする等の特別な構造が採用されている。そのため、部品点数や製造工程の増加に伴い、製造の複雑化やコスト上昇が避けられ難い問題があった。
そこで、特許文献1には、上述の問題に対処するための一つの方策としての流体封入式防振装置が示されている(特許文献1の図1参照。)。かかる流体封入式防振装置では、本体ゴム弾性体における第一の取付部材が固着された側と反対の端部に略逆U字状断面で周方向に延びるスリーブ部材(連結材)が固着されて、スリーブ部材の外周側の壁部に形成された窓部が可撓性膜で覆蓋されていると共に、第二の取付部材がスリーブ部材の下端部分にかしめ固定されてスリーブ部材の開口部が流体密に閉塞されていることによって、スリーブ部材の内周側の壁部の内側に受圧室が形成されていると共に、スリーブ部材の内周壁と外周壁の間に平衡室が形成されている。また、かかる内周壁に受圧室と平衡室を相互に連通せしめるオリフィス通路(開口部)が貫設されている。このような防振装置においては、前述の従来構造の流体封入式防振装置に見られるような、可撓性膜の外周部分に固定部材を設けて該加硫成形品の第二の取付部材に別途固定したり、本体ゴム弾性体と可撓性膜の軸方向間に仕切部材を位置決め配置したりする必要がないことから、部品点数の増加や組み付けの煩雑化が抑えられる。加えて、受圧室と平衡室が軸直角方向に並列的に設けられていることによって、防振装置の軸方向寸法が抑えられることによる低重心化に基づき、特に支持荷重が軸方向に入力される装着下にあっての装着状態の安定性が向上される。
ところが、特許文献1の図1に示される流体封入式防振装置においては、可撓性膜が第二の取付部材の窓部から外部に露出されていることから、例えば可撓性膜の物性に影響を及ぼすガスや液体、或いは何らかの小片物等が可撓性膜に直接に接触することで、可撓性膜の耐久性が問題となる場合があった。
このような問題に対処するために、特許文献1の図4や図6には、可撓性膜を保護することを目的として、可撓性膜を外部から全体に亘って覆うようにして保護カバーが設けられている構造が提案されているが、このような保護カバーを特別に設けると、部品点数が増えて、製造効率の低下や高コスト化が惹起されるおそれがあった。しかも、保護カバーが設けられる分だけ、軸直角方向の寸法が大きくなるため、装着スペースの小形化が図られ難い問題があった。
また、特許文献1に記載の構造を含む従来構造の流体封入式防振装置においては、オリフィス通路を通じての流体の共振作用により発揮される防振効果が、予めオリフィス通路がチューニングされた比較的に狭い周波数域に限られるため、要求される高度な防振特性に対応することが難しいという問題を内在していた。具体的に例えば、オリフィス通路のチューニング周波数よりも高周波数域の振動の入力時には、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の反共振的な作用によって、オリフィス通路における流体の流通抵抗が著しく大きくなって、オリフィス通路が実質的に閉塞状態とされることとなり、それに起因して高動ばね化が惹起されることから、目的とする防振効果が安定して得られ難かったのである。
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであり、その解決課題とするところは、オリフィス通路のチューニング周波数よりも高周波数域の振動入力時に、該通路の閉塞状態に起因する高動ばね化が抑えられて、所期の防振効果が安定して得られることに加え、部品点数の増加を伴うことなく可撓性ゴム膜が保護されることによって、製造の容易化や低コスト化が有利に図られ得る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
以下、前述の課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明の特徴とするところは、第一の取付部材をスリーブ部材の軸方向一方の開口部側に離隔配置して、それら第一の取付部材とスリーブ部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、スリーブ部材の軸方向他方の開口部側に第二の取付部材を固定して軸方向他方の開口部を流体密に覆蓋し、壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成された受圧室と壁部の一部が可撓性ゴム膜で構成された平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通せしめるオリフィス通路を形成した流体封入式防振装置において、スリーブ部材が軸方向他方に開口する溝形断面で周方向に延びる筒状とされてスリーブ部材の内周壁と外周壁の間の溝部の開口部分が第二の取付部材で流体密に覆蓋されており、スリーブ部材の内周壁の内側に受圧室が形成されていると共に、スリーブ部材の外周壁の一部に開口窓が形成され開口窓が本体ゴム弾性体と一体形成された可撓性ゴム膜で閉塞されて、スリーブ部材の溝部内に平衡室が形成されていると共に、オリフィス通路が溝部内を周方向に延びるように形成され、更にスリーブ部材における可撓性ゴム膜と軸直角方向で対向位置せしめられた内周壁には本体ゴム弾性体と一体形成された可動ゴム膜が設けられて、可動ゴム膜の一方の面に受圧室の圧力が及ぼされ且つ可動ゴム膜の他方の面に平衡室の圧力が及ぼされるようにして圧力変動吸収機構が構成されており、更に第一の取付部材には軸直角方向に広がる第一当接部が設けられていると共に、第二の取付部材の外周部分には筒状のストッパ部材が固定されて第一当接部の外側を軸方向に延び、ストッパ部材の先端部分が内周側に屈曲して第一当接部に対して軸方向外方に離隔して対向位置せしめられる第二当接部を構成していると共に、それら第一当接部と第二当接部の少なくとも一方に緩衝ゴムが設けられていることによって、リバウンド方向のストッパ機構が構成されていると共に、可撓性ゴム膜がストッパ部材で覆われている構造にある。
このような本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、オリフィス通路のチューニング周波数よりも高周波数域の振動入力時に、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の反共振的な作用によりオリフィス通路が実質的に閉塞状態とされるが、受圧室と平衡室を仕切るスリーブ部材の内周壁に設けられた可動ゴム膜の弾性変形によって、受圧室の圧力が吸収される。これにより、オリフィス通路の閉塞状態に起因する高動ばね化が抑えられて、目的とする防振効果が有利に発揮され得る。
また、本構造では、上述の圧力変動吸収機構の一部を構成する可動ゴム膜に加えて、平衡室の壁部の一部を構成する可撓性ゴム膜が、本体ゴム弾性体と一体形成されている。これにより、可撓性ゴム膜や可動ゴム膜が本体ゴム弾性体の加硫成形品に固定されるための新たな部品や製造工程の増加を伴うことなく加硫成形品に直接に設けられることから、製造効率の向上や低コスト化が有利に図られ得る。
さらに、本構造の流体封入式防振装置には、リバウンド方向のストッパ機構が設けられていることによって、第一の取付部材と第二の取付部材の少なくとも一方が軸方向で互いに離隔する方向(所謂、リバウンド方向)に変位した際に、第一当接部と第二当接部が緩衝ゴム層を介して互いに打ち当たることで、第一の取付部材と第二の取付部材のリバウンド方向の相対的な変位量が緩衝的に制限されるようになっている。これにより、第一の取付部材と第二の取付部材を連結する本体ゴム弾性体の応力が軽減されて、耐久性が向上され得る。しかも、本体ゴム弾性体のリバウンド方向の過大な変形に伴い受圧室の過負圧状態下で生じるおそれのある、キャビテーション気泡も抑えられることから、該気泡の破裂に起因する衝撃的な振動や異音の発生が有利に抑えられる。
そこにおいて、可撓性ゴム膜が、リバウンド方向のストッパ機構の一部を構成する筒状のストッパ部材で覆われていることによって、可撓性ゴム膜への異物や他部材等の干渉が防止されて、可撓性ゴム膜の損傷が回避される。これにより、例えば、特許文献1(特開平06−174005号公報)の図4,6に示されているような可撓性ゴム膜を保護する部材を特別に設ける必要がなくなる。それ故、部品点数や製造工程の増加が抑えられて、製造効率の向上や低コスト化が有利に図られ得るのであり、しかも、可撓性ゴム膜の外方に別部材が設けられることに起因する外形寸法の増大が抑えられることから、可撓性ゴム膜の外方に配されるストッパ部材の大型化が避けられることと相俟って、装置のコンパクト化が有利に達成され得るのである。
従って、本発明に係る流体封入式防振装置においては、液圧吸収機能やストッパ機能、可撓性ゴム膜の保護機能等の多機能を備えた防振装置が、比較的に低コストに且つコンパクトに実現され得る点に、大きな技術的効果がある。
また、本発明に係る流体封入式防振装置においては、スリーブ部材における外周壁の開口端部に外フランジ状部が一体形成されて、外フランジ状部と第二の取付部材の外周部分が軸方向に互いに重ね合わせられていると共に、ストッパ部材の軸方向他方の開口端部にリング状のかしめ部が一体形成されて、外フランジ状部および第二の取付部材の外周部分がかしめ部に嵌め込まれて、かしめ部にかしめ加工が施されていることにより、第二の取付部材やスリーブ部材、ストッパ部材が相互に固定されている構造が、好適に採用され得る。このような構造によれば、固定構造の容易化および固定に伴う部品点数の増加が抑えられることから、製造効率や低コスト性の更なる向上が図られ得る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置においては、第一の取付部材におけるストッパ部材の第二当接部を挟んで第一当接部と反対側の部分に蓋部材が配設されて、蓋部材の外周部分が第二当接部の内周縁部よりも軸直角方向外方に延び出していることにより、第二当接部の内周縁部が蓋部材で全体に亘って覆われている構造が、好適に採用され得る。このような構造によれば、可撓性ゴム膜の軸方向外方に位置する第二当接部の内周縁部から可撓性ゴム膜にかけて異物が侵入することが抑えられ、可撓性ゴム膜が一層有利に保護され得る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置においては、自動車用エンジンマウントに適用されて、オリフィス通路が走行時に入力されるエンジンシェイクに相当する低周波数域で減衰効果を発揮するようにチューニングされていると共に、停車時のアイドリング振動や走行時の低速こもり音に相当する中周波数域の振動入力に際しては可動ゴム膜の弾性変形に基づき受圧室の圧力が吸収されるように可動ゴム膜の固有振動数がチューニングされている構造が、採用されても良い。このような構造によれば、自動車において問題となるエンジンシェイクやアイドリング振動乃至は低速こもり音等の各種の振動が有利に低減されることとなり、且つ前述の如きストッパ機能や可撓性ゴム膜のシールド機能を備えている構造が低コストに実現されることで、自動車用エンジンマウントとして有利に採用され得る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置においては、本体ゴム弾性体の第一の取付部材を挟んだ軸直角方向一方向に一対のすぐり部を設けて、一対のすぐり部が対向位置せしめられる軸直角方向一方向が車両前後方向となり且つ軸直角方向一方向に直交する方向が車両左右方向となるようにして自動車に装着されて自動車用エンジンマウントが構成されている構造が、採用されても良い。このような構造によれば、自動車用エンジンマウントにおける車両前後方向と車両左右方向のばね比が大きくされて、車両の乗り心地や操向安定性が有利に向上され得る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について説明する。先ず、図1,2には、本発明の流体封入式防振装置に係る一実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。自動車用エンジンマウント10においては、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が、スリーブ部材としてのスリーブ金具18を介して本体ゴム弾性体16で連結された構造を呈している。第一の取付金具12がパワーユニット側に取り付けられると共に、第二の取付金具14が車両ボデー側に取り付けられることにより、パワーユニットがボデーに対して防振支持されるようになっている。
なお、図1では、自動車に装着する前のエンジンマウント10の単体での状態が示されているが、本実施形態では、装着状態において、パワーユニットの分担支持荷重がマウント軸方向(図1中、上下)に入力される。従って、マウント装着状態下では、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づき第一の取付金具12と第二の取付金具14が軸方向で互いに接近する方向に変位する。また、かかる装着状態下、防振すべき主たる振動は、略マウント軸方向に入力されることとなる。以下の説明中、特に断りのない限り、上下方向は、マウント軸方向となる図1中の上下方向をいう。
より詳細には、第一の取付金具12が、小径の略円柱形状乃至は円錐台形状を呈していると共に、その中央部分には上端面に開口する螺子穴20が設けられている。螺子穴20には、固定用ボルト22が螺設されている。また、第一の取付金具12の軸方向中間部分には、軸直角方向に略平坦に広がる、外フランジ状の第一当接部24が一体形成されている。また、第一の取付金具12の下方に所定距離を隔ててスリーブ金具18が設けられている。換言すると、スリーブ金具18の軸方向一方(図1中、上)の開口部側に第一の取付金具12が離隔配置されている。
スリーブ金具18は、図3,4にも示されているように、全体として下方に開口する略逆U字状断面で周方向の全周に亘って連続して延びる大径の筒状を呈しており、小径の円筒形状の内周壁26の径方向外方に所定距離を隔てて大径の円筒形状の外周壁28が設けられて、それら内周壁26と外周壁28の両上端部分が、上方に凸となる略円弧状断面の連結部30を介して互いに連結された構造とされている。これにより、スリーブ金具18の内側において、内周壁26、外周壁28および連結部30により画設された空間が、周方向の全周に亘って下方に開口する略一定の断面で連続して延びる溝部32とされている。
スリーブ金具18における外周壁28の下端部分には、軸直角方向に略平坦に広がる外フランジ状部としての鍔状部34が一体的に設けられている。
また、スリーブ金具18の周上の一箇所には、開口窓36が設けられている。開口窓36は、軸直角方向視略矩形状を呈しており、スリーブ金具18の外周壁28を厚さ方向(図1,3中、左右)に貫通して、周方向に所定の長さ(本実施形態では外周壁28の1/4〜1/3周の長さ)で延びている。開口窓36の上縁部が、外周壁28の上端部分と一体形成された連結部30の外周縁部を切り欠いて、連結部30の径方向中間部分に位置せしめられていると共に、開口窓36の下縁部が、外周壁28の下端部分と一体形成された鍔状部34の内周縁部を切り欠いて、鍔状部34の径方向中間部分に位置せしめられている。
さらに、内周壁26において溝部32を挟んで開口窓36と軸直角方向で対向位置せしめられた部分には、透孔38が設けられている。透孔38は、軸直角方向視略矩形状を呈しており、スリーブ金具18の内周壁26を厚さ方向に貫通して、周方向に所定の長さ(本実施形態では内周壁26の1/8〜1/4周の長さ)で延びている。透孔38の上縁部が内周壁26の軸方向中間部分に位置せしめられていると共に、透孔38の下縁部が内周壁26の下端部付近に位置せしめられている。それによって、透孔38の大きさが開口窓36の大きさよりも小さくされている。
また、内周壁26の周上の一箇所には、下端部分を切り欠くようにして連通孔40が貫設されている。
このようなスリーブ金具18の連結部30が形成された一方(図1中、上)の開口部側に第一の取付金具12が離隔配置されて、両金具12,18の中心軸が略同一線上に位置せしめられている。第一の取付金具12とスリーブ金具18の間には、本体ゴム弾性体16が配されている。
本体ゴム弾性体16は、略円錐台形状を有しており、その大径側端面には、下方に開口するすり鉢形状の大径凹所42が設けられている。本体ゴム弾性体16の小径側端面には、第一の取付金具12の第一当接部24および第一当接部24から軸方向下端部にかけての略全体が埋設された状態で加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側端部外周面には、スリーブ金具18の内周壁26の内周面や連結部30の外周面が略全体に亘って加硫接着されている。要するに、本体ゴム弾性体16が、図5,6にも示されているように、第一の取付金具12とスリーブ金具18を備えた一体加硫成形品44として形成されている。これにより、第一の取付金具12とスリーブ金具18が、本体ゴム弾性体16によって相互に弾性的に連結されていると共に、スリーブ金具18の軸方向一方(図1中、上)の開口部が本体ゴム弾性体16によって流体密に閉塞されている。特に本実施形態では、スリーブ金具18の溝部32にも本体ゴム弾性体16の一部が充填されている。なお、溝部32において開口窓36と透孔38が軸直角方向で対向位置せしめられた空間は、本体ゴム弾性体16を充填しておらず、中空とされている。
ここで、スリーブ金具18の開口窓36には、可撓性ゴム膜としてのダイヤフラム46が設けられている。ダイヤフラム46は、本体ゴム弾性体16と一体形成された薄肉のゴム膜からなり、スリーブ金具18の外方から開口窓36を覆うようにして、即ちスリーブ金具18の外方に膨出変形するようにして、ダイヤフラム46の外周部分が開口窓36の縁部に加硫接着されている。特に、図1,2に示されているように、ダイヤフラム46は、変形していない初期状態において、その外周壁部がスリーブ金具18における鍔状部34の外周縁部よりも径方向内方に位置し、且つその上壁部がスリーブ金具18における連結部30の上端部分よりも下方に位置して、全体としてスリーブ金具18の外周壁28よりも径方向及び軸方向の外方に膨らみ出した形状とされている。それによって、開口窓36がダイヤフラム46で流体密に覆蓋されている。
さらに、スリーブ金具18の透孔38には、可動ゴム膜としての弾性ゴム膜48が設けられている。弾性ゴム膜48は、本体ゴム弾性体16と一体形成されていると共に、透孔38の枠内の形状に沿った略円弧板形状を呈しており、弾性ゴム膜48の外周縁部が透孔38の縁部に全体に亘って加硫接着されていることによって、透孔38を流体密に覆蓋せしめている。特に本実施形態では、弾性ゴム膜48の厚さ寸法がダイヤフラム46の厚さ寸法に比して大きくされていることに加え、弾性ゴム膜48が、ダイヤフラム46が固着される開口窓36よりも小さな透孔38の枠内に収まるように固着されていることで、ダイヤフラム46よりも小さくされている。これにより、弾性ゴム膜48のばね剛性が、ダイヤフラム46のばね剛性に比して十分に大きくされている。
また、スリーブ金具18の溝部32内に充填された本体ゴム弾性体16には、周溝50が形成されている。周溝50は、充填された本体ゴム弾性体16の軸方向中間部分から下方に延びて該本体ゴム弾性体16の下端面に開口する略一定の凹状断面で、周方向に所定の長さ(本実施形態では溝部32の2/3周〜一周弱の長さ)で延びており、周溝50の周方向一方の端部(図6中、下方に位置する周方向右回りの端部)が連通孔40に接続されていると共に、周溝50の周方向他方の端部がダイヤフラム46と弾性ゴム膜48の間の空所に接続されている。また、周溝50が溝部32の幅方向中間部分に形成されていると共に、周溝50の幅寸法が溝部32の幅寸法よりも小さくされていることで、本体ゴム弾性体16が充填された溝部32において周溝50が形成されて本体ゴム弾性体16が除かれた部分の幅方向両側壁部、換言すれば周溝50を挟んで軸直角方向で対向せしめられた内周壁26の外周面と外周壁28の内周面には、本体ゴム弾性体16と一体形成された薄肉のゴム層が被着された形態とされている。
また、スリーブ金具18における内周壁26や外周壁28、開口窓36の縁部の下端部分には、本体ゴム弾性体16と一体形成された薄肉のシールゴム層52が略全体に亘って被着形成されている。更に、本体ゴム弾性体16の大径凹所42における周上の二箇所には、凹所42の底面に開口して軸方向に所定の長さで延びるすぐり部54の一対が形成されて、それら一対のすぐり部54,54が軸直角方向一方向(図6中、上下)で対向位置せしめられている。即ち、一対のすぐり部54,54が設けられた軸直角方向一方向の静的ばね定数が、該軸直角方向に直交する方向の静的ばね定数に比して小さくされている。更にまた、第一の取付金具12における第一当接部24の上面には、本体ゴム弾性体16と一体形成された緩衝ゴムとしての緩衝ゴム層56が被着形成されている。
このような第一の取付金具12とスリーブ金具18を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品44に対して、第二の取付金具14が軸方向下側から重ね合わせられるように配設されている。第二の取付金具14は大径の略円板形状を有しており、その径寸法がスリーブ金具18における鍔状部34の外径寸法と略同じとされている。第二の取付金具14の中央部分には、固定用ボルト58が一体形成されて下方に向かって突出している。この第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品44と同心軸上に位置せしめられて、第二の取付金具14の外周部分が、シールゴム層52を介して鍔状部34乃至はスリーブ金具18の外周壁28の下端部分に重ね合わせられていると共に、第二の取付金具14の径方向中間部分が、シールゴム層52を介してスリーブ金具18の内周壁26の下端部分に重ね合わせられている。
これら本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品44と第二の取付金具14の組付け体には、筒状のストッパ部材としてのストッパ金具60が配設されている。ストッパ金具60は大径の円筒形状を有していると共に、下端部に大径リング状のかしめ部62が一体形成されている。また、ストッパ金具60の上端部が内周側に屈曲して、軸直角方向に略平坦に広がる内フランジ状の第二当接部64が構成されている。特に、ストッパ金具60の内径寸法が、スリーブ金具18のダイヤフラム46が固着された外周壁28の外径寸法よりも大きくされている。また、ストッパ金具60の第二当接部64の内径寸法が、第一の取付金具12における第一当接部24の外径寸法よりも小さくされている。
軸方向に互いに重ね合わせられたスリーブ金具18の鍔状部34と第二の取付金具14の外周部分が、ストッパ金具60のかしめ部62に嵌め込まれて、かしめ部62にかしめ加工が施されている。これにより、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品44や第二の取付金具14、ストッパ金具60が略同心軸上に位置せしめられた形態で、それらが互いに固定されている。
また、かしめ部62のかしめ固定力に基づき、第二の取付金具14の径方向中間部分とスリーブ金具18の内周壁26の下端部分の間のシールゴム層52が軸方向に圧縮変形しつつ、第二の取付金具14と内周壁26が軸方向に重ね合わせられていることにより、スリーブ金具18における内周壁26の内側の開口部分が、第二の取付金具14で流体密に覆蓋されている。更に、第二の取付金具14の外周部分とスリーブ金具18の鍔状部34乃至は開口窓36の縁部の間のシールゴム層52が軸方向に圧縮変形しつつ、第二の取付金具14と鍔状部34が軸方向に重ね合わせられていることにより、スリーブ金具18における内周壁26と外周壁28の間の溝部32の開口部分が、第二の取付金具14で流体密に覆蓋されている。このことからも明らかなように、スリーブ金具18の軸方向他方(図1中、下)の開口部、即ち内周壁26の開口部と外周壁28の開口部が第二の取付金具14で流体密に覆蓋されている。
従って、スリーブ金具18の内周壁26の内側における本体ゴム弾性体16の大径凹所42と第二の取付金具14の間の空間が、内周壁26や本体ゴム弾性体16、第二の取付金具14で画設されて、該空間には本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づき圧力変動が生ぜしめられる受圧室66が形成されている。また、スリーブ金具18の溝部32においてダイヤフラム46や弾性ゴム膜48が形成された部分と第二の取付金具14の間の空間が、ダイヤフラム46や弾性ゴム膜48、第二の取付金具14で画設されて、該空間にはダイヤフラム46の弾性変形に基づき容積変化が容易に許容される平衡室68が形成されている。即ち、平衡室68が、スリーブ金具18における弾性ゴム膜48を挟んだ受圧室66の外周側に形成されている。なお、上述の説明からも明らかなように、受圧室66の壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されていると共に、平衡室68の壁部の一部がダイヤフラム46で構成されている。
これら受圧室66や平衡室68には、非圧縮性流体が封入されている。封入流体としては、例えば水やアルキレングリコール, ポリアルキレングリコール, シリコーン油等が採用されるが、特に流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果を有効に得るためには、0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。受圧室66や平衡室68への非圧縮性流体の封入は、例えば、第一の取付金具12とスリーブ金具18を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品44に対して、第二の取付金具14やストッパ金具60の組み付けを非圧縮性流体中で行うことによって、好適に実現される。
また、かしめ部62のかしめ固定力に基づき、溝部32に充填された本体ゴム弾性体16の下端部分やシールゴム層52が軸方向に圧縮変形しつつ、第二の取付金具14に重ね合わせられていることで、該充填された本体ゴム弾性体16に形成された周溝50の開口部分が第二の取付金具14で流体密に覆蓋されている。その結果、受圧室66の外周側に配設されたスリーブ金具18の溝部32内を周方向に所定の長さで延びるオリフィス通路70が形成されており、オリフィス通路70の周方向一方の端部がスリーブ金具18の連通孔40を通じて受圧室66に接続されていると共に、オリフィス通路70の周方向他方の端部が平衡室68に接続されていることによって、かかるオリフィス通路70を通じて受圧室66と平衡室68が相互に連通せしめられて、それら両室66,68間で、オリフィス通路70を通じての流体流動が許容されるようになっている。
本実施形態では、オリフィス通路70を通じて流動せしめられる流体の共振周波数が、該流体の共振作用に基づいてエンジンシェイク等に相当する10Hz前後の低周波数域の振動に対して有効な防振効果(高減衰効果)が発揮されるようにチューニングされている。オリフィス通路70のチューニングは、例えば、受圧室66や平衡室68の各壁ばね剛性、即ちそれら各室66,68を単位容積だけ変化させるのに必要な圧力変化量に対応する本体ゴム弾性体16やダイヤフラム46等の各弾性変形量に基づく特性値を考慮しつつ、オリフィス通路70の通路長さと通路断面積を調節することによって行うことが可能であり、一般に、オリフィス通路70を通じて伝達される圧力変動の位相が変化して略共振状態となる周波数を、当該オリフィス通路70のチューニング周波数として把握することが出来る。
また、スリーブ金具18の内周壁26に配設された弾性ゴム膜48を厚さ方向に挟んだ一方(図1中、右)に受圧室66が設けられていると共に、他方(図1中、左)に平衡室68が設けられている。それによって、弾性ゴム膜48の一方の面に受圧室66の圧力が及ぼされ、且つ弾性ゴム膜48の他方の面に平衡室68の圧力が及ぼされるようにして圧力変動吸収機構が構成されている。特に本実施形態では、アイドリング振動や低速こもり音等に相当する20〜40Hz程度の中周波数域の振動入力に際して、弾性ゴム膜48の弾性変形による受圧室66の圧力変動吸収効果に基づく防振効果(低動ばね特性に基づく振動絶縁効果)が有効に発揮されるように、弾性ゴム膜48の固有振動数がチューニングされている。
また、ストッパ金具60が本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品44や第二の取付金具14に固定されていることに伴い、ストッパ金具60の第二当接部64の内周縁部から第一の取付金具12の軸方向上端部が軸方向外方に突出していると共に、第二当接部64が第一の取付金具12の第一当接部24の上方に所定距離を隔てて配されて、それら第一当接部24と第二当接部64が、第一当接部24に被着された緩衝ゴム層56を挟んで軸方向で対向位置せしめられている。従って、マウント10の自動車への装着状態下、第一の取付金具12と第二の取付金具14の少なくとも一方が軸方向で互いに離隔する方向(所謂、リバウンド方向)に変位した際に、第一当接部24と第二当接部64が緩衝ゴム層56を介して互いに打ち当たることによって、第一の取付金具12と第二の取付金具14のリバウンド方向の相対的な変位量が緩衝的に制限されるようになっている。このことからも明らかなように、第一の取付金具12と第二の取付金具14のリバウンド方向のストッパ機構が、第一当接部24や第二当接部64を備えたストッパ金具60、緩衝ゴム層56を含んで構成されている。
そこにおいて、スリーブ金具18の本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品44への組み付け状態下、ストッパ金具60の筒状部がスリーブ金具18の外周壁28の軸直角方向外方に所定距離を隔てて配されており、特に、図1〜2に示されている如きダイヤフラム46が変形していない初期状態において、ダイヤフラム46の外周壁部とストッパ金具60の筒状部も軸直角方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられて、それらの間に隙間が設けられている。
また、ストッパ金具60の第二当接部64が、ダイヤフラム46が固着されたスリーブ金具18の上方に位置せしめられた第一の取付金具12の第一当接部24の上方に位置せしめられていることによって、ダイヤフラム46の上壁部の遙か上方に第二当接部64が位置せしめられて、それらダイヤフラム46の上壁部と第二当接部64が軸方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられている。
さらに、第二当接部64の内径寸法が、ダイヤフラム46が固着されたスリーブ金具18の外周壁28の外径寸法よりも小さな第一当接部24の径寸法よりも小さくされていることで、外周壁28の径寸法に比して十分に小さくされている。これにより、第二当接部64の内周縁部が、ダイヤフラム46よりも軸直角方向内方に入り込まされた形態で、ダイヤフラム46の上方に位置せしめられている。
すなわち、スリーブ金具18の外周壁28とストッパ金具60の筒状部の軸直角方向対向面間における第二の取付金具14とストッパ金具60の第二当接部64の軸方向対向面間において、ダイヤフラム46の弾性変形が許容されつつ、ダイヤフラム46の全体が第二当接部64を備えたストッパ金具60で覆われている。その結果、ダイヤフラム46が、ストッパ金具60によって外部から保護されているのである。
特に、ダイヤフラム46と第二当接部64の軸方向間に第一当接部24が位置せしめられて、第一当接部24と第二当接部64が、第一及び第二の取付金具12,14のリバウンド方向のストッパ機構を構成するために、互いに軸直角方向でオーバーラップされていることに加えて、第一当接部24と第二当接部64の軸方向間に緩衝ゴム層56が配設されている。これにより、当該ストッパ機構を利用して、エンジンオイルや泥水、小石等の異物が第二当接部64の内周縁部からストッパ金具60とスリーブ金具18の間に侵入することが抑えられている。
また、本実施形態では、第一の取付金具12におけるストッパ金具60の第二当接部64を挟んで第一当接部24の反対側に位置せしめられた上端部分には、軸直角方向に円環形状に広がるようにして、ゴム弾性材からなる蓋部材72が配設されている。この蓋部材72の外径寸法は第二当接部64の外径寸法よりも大きくされていることで、該第二当接部64の内径寸法に比して十分に大きくされており、それによって、蓋部材72が第二当接部64の内周縁部を上方から覆い隠すように配設されている。これにより、異物が、第二当接部64の内周縁部からストッパ金具60とスリーブ金具18の間に一層侵入され難くされている。
上述の如き構造とされた自動車用エンジンマウント10においては、第一の取付金具12に固設された固定用ボルト22が図示しないパワーユニット側の取付部材に螺着固定されることによって、第一の取付金具12がパワーユニットに取り付けられるようになっている一方、第二の取付金具14に突設された固定用ボルト58が図示しない車両ボデー側の取付部材に螺着固定されることによって、第二の取付金具14が車両ボデーに取り付けられるようになっている。これにより、自動車用エンジンマウントが、自動車におけるパワーユニットとボデーの間に装着されて、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめることとなる。
特に本実施形態に係るエンジンマウント10では、本体ゴム弾性体16に形成された一対のすぐり部54,54がマウント中心軸を挟んで対向位置せしめられた軸直角方向一方向(図6中、上下)が車両前後方向となり、且つマウント中心軸を通って該軸直角方向一方向に直交する方向(図6中、左右)が車両左右方向となるようにして、自動車に装着されている。その結果、マウント10における車両前後方向と車両左右方向のばね比が大きくされて、車両の乗り心地や操向安定性が向上される。
このような装着状態下の自動車用エンジンマウント10において、走行時に問題となるエンジンシェイク等の低周波数域の振動が入力されると、受圧室66に比較的に大きな圧力変動が生ぜしめられる。この圧力は大きいため、微振幅にチューニングされた弾性ゴム膜48では、受圧室66の圧力を実質的に吸収し得ない。従って、受圧室66と平衡室68の間に生ぜしめられる相対的な圧力変動の差によりオリフィス通路70を通じての流体の流動量が効果的に確保されて、該流体の共振作用等の流動作用に基づいて、エンジンシェイク等の低周波数域の振動に対して有効な防振効果(高減衰効果)が発揮されるのである。
また、停車時に問題となるアイドリング振動や走行時に問題となる低速こもり音等の中周波数域の振動の入力では、受圧室66に対して小さな振幅の圧力変動が惹起されることとなる。その際、当該振動の周波数域がオリフィス通路70のチューニング周波数よりも高いことから、オリフィス通路70が反共振的な作用によって流体流通抵抗が著しく大きくなって、実質的に閉塞状態となる。そこで、当該中周波数域にチューニングされた弾性ゴム膜48の弾性変形に基づいて、受圧室66の圧力変動が吸収されることにより、オリフィス通路70の実質的な閉塞化に起因する著しい高動ばね化が回避されることとなる。それ故、中周波数域の振動に対する良好な防振効果(低動ばね特性に基づく振動絶縁効果)が発揮されるのである。
また、ダイヤフラム46の全体がストッパ金具60で覆われていることにより、ダイヤフラム46への異物や他部材等の干渉が防止されて、ダイヤフラム46の損傷が回避される。
そこにおいて、このストッパ金具60は、上端部に第二当接部64を備え、リバウンド方向のストッパ機構の一部として構成されているため、ダイヤフラム46を保護する部材とストッパ部材の両機能を果たしていることから、部品点数の削減や製造工程の短縮化が図られる。
しかも、軸直角方向で互いにオーバーラップする第一当接部24および第二当接部64がダイヤフラム46の上方に配されていることから、異物が第二当接部64の内周縁部からストッパ金具60と本体ゴム弾性体16乃至はスリーブ金具18の間に侵入することが好適に防止され、ダイヤフラム46に対する異物の干渉防止が高度に実現される。加えて、本実施形態では、第二当接部64の上方に蓋部材72が配設されていることにより、第二当接部64の内周縁部からの異物侵入が一層有利に抑えられる。
また、本実施形態では、ダイヤフラム46や弾性ゴム膜48が、それぞれ本体ゴム弾性体16と一体形成されて、該本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品44に組み込まれていることから、ダイヤフラム46や弾性ゴム膜48に固定部材を別途固着して、一体加硫成形品44に組み付ける必要がなくなる。これにより、部品点数や製造工程の削減が図られる。
従って、本実施形態に係る自動車用エンジンマウント10においては、弾性ゴム膜48による液圧吸収機能や第一及び第二当接部24,64等によるストッパ機能、更にはストッパ金具60等によるダイヤフラム46の保護機能が、それぞれ有効に発揮されつつ、低コスト化が有利に達成され得るのである。
また、本実施形態では、オリフィス通路70の壁部の一部が、スリーブ金具18の溝部32内の本体ゴム弾性体16に形成された周溝50を含んで構成されていることから、該本体ゴム弾性体16の形状や大きさ等を設定変更することで、周溝50の断面積や長さ、延いてはオリフィス通路70の形状や大きさ等を容易に設定変更することが出来る。それ故、オリフィス通路70を通じて流動せしめられる流体の共振周波数のチューニング性能が向上されて、目的とする防振効果がより高度に得られる。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
例えば、スリーブ金具18やダイヤフラム46、弾性ゴム膜48、オリフィス通路70、更にはリバウンドストッパ機構を構成する第一当接部24や、ストッパ金具60、第二当接部64等における形状や大きさ、構造、配置、数等の形態は、要求される防振性能やストッパ機能、製作性等に応じて設定変更されるものであり、例示の如きものに限定されない。具体的に例えばスリーブ金具18の周方向に離隔して複数のダイヤフラム46を配設することによって複数の平衡室を形成したり、スリーブ金具18の溝部32内にオリフィス通路を複数形成して、それらオリフィス通路のチューニング周波数をそれぞれ異ならせても良い。
また、前記実施形態では、第一当接部24や第二当接部64が周方向の全周に亘って連続して延びる円環形状とされていたが、周方向に所定の長さで延びる円弧形状とされたり、周方向に離隔して複数形成されても良い。
さらに前記実施形態では、スリーブ金具18において内周壁26と外周壁28が、上方に向かって凸となる円弧状断面の連結部30によって連結された構造を呈していたが、例えば連結部が、上方から下方に向かって径寸法が次第に小さくなるテーパ筒状や軸直角方向に平坦に広がる円環板形状等とされていても良い。
さらに、前記実施形態では、ストッパ金具60が第二の取付金具14やスリーブ金具18に固定されるに際して、第二の取付金具14の外周部分やスリーブ金具18の鍔状部34がストッパ金具60のかしめ部62に嵌め込まれて、該かしめ部62にかしめ加工が施されるようになっていたが、例えば、ストッパ金具60にかしめ部62を設けずに、ストッパ金具60の外周縁部に形成したフランジ状部とスリーブ金具18の鍔状部34と第二の取付金具14の外周部分を軸方向に重ね合わせて、溶接やボルト等で固定するようにしても良い。
加えて、前記実施形態では、本発明を自動車用エンジンマウントに適用したものの具体例について説明したが、本発明は、自動車用ボデーマウントやデフマウント等の他、自動車以外の各種振動体の防振マウントに対して、何れも、適用可能である。
10:自動車用エンジンマウント、12:第一の取付金具、14:第二の取付金具、16:本体ゴム弾性体、18:スリーブ金具、24:第一当接部、26:内周壁、28:外周壁、36:開口窓、46:ダイヤフラム、48:弾性ゴム膜、56:緩衝ゴム層、60:ストッパ金具、64:第二当接部、66:受圧室、68:平衡室、70:オリフィス通路
Claims (5)
- 第一の取付部材をスリーブ部材の軸方向一方の開口部側に離隔配置して、それら第一の取付部材とスリーブ部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該スリーブ部材の軸方向他方の開口部側に第二の取付部材を固定して該軸方向他方の開口部を流体密に覆蓋し、壁部の一部が該本体ゴム弾性体で構成された受圧室と壁部の一部が可撓性ゴム膜で構成された平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通せしめるオリフィス通路を形成した流体封入式防振装置において、
前記スリーブ部材が軸方向他方に開口する溝形断面で周方向に延びる筒状とされて該スリーブ部材の内周壁と外周壁の間の溝部の開口部分が前記第二の取付部材で流体密に覆蓋されており、該スリーブ部材の内周壁の内側に前記受圧室が形成されていると共に、該スリーブ部材の外周壁の一部に開口窓が形成され該開口窓が前記本体ゴム弾性体と一体形成された前記可撓性ゴム膜で閉塞されて、該スリーブ部材の該溝部内に前記平衡室が形成されていると共に、前記オリフィス通路が該溝部内を周方向に延びるように形成され、更に該スリーブ部材における該可撓性ゴム膜と軸直角方向で対向位置せしめられた該内周壁には該本体ゴム弾性体と一体形成された可動ゴム膜が設けられて、該可動ゴム膜の一方の面に該受圧室の圧力が及ぼされ且つ該可動ゴム膜の他方の面に該平衡室の圧力が及ぼされるようにして圧力変動吸収機構が構成されており、更に前記第一の取付部材には軸直角方向に広がる第一当接部が設けられていると共に、該第二の取付部材の外周部分には筒状のストッパ部材が固定されて該第一当接部の外側を軸方向に延び、該ストッパ部材の先端部分が内周側に屈曲して該第一当接部に対して軸方向外方に離隔して対向位置せしめられる第二当接部を構成していると共に、それら第一当接部と第二当接部の少なくとも一方に緩衝ゴムが設けられていることによって、リバウンド方向のストッパ機構が構成されていると共に、該可撓性ゴム膜が該ストッパ部材で覆われていることを特徴とする流体封入式防振装置。 - 前記スリーブ部材における前記外周壁の開口端部に外フランジ状部が一体形成されて、該外フランジ状部と前記第二の取付部材の外周部分が軸方向に互いに重ね合わせられていると共に、前記ストッパ部材の軸方向他方の開口端部にリング状のかしめ部が一体形成されて、該外フランジ状部および該第二の取付部材の外周部分が該かしめ部に嵌め込まれて、該かしめ部にかしめ加工が施されていることにより、該第二の取付部材や該スリーブ部材、該ストッパ部材が相互に固定されている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
- 前記第一の取付部材における前記ストッパ部材の前記第二当接部を挟んで前記第一当接部と反対側の部分に蓋部材が配設されて、該蓋部材の外周部分が該第二当接部の内周縁部よりも軸直角方向外方に延び出していることにより、該第二当接部の内周縁部が該蓋部材で全体に亘って覆われている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
- 自動車用エンジンマウントに適用されて、前記オリフィス通路が走行時に入力されるエンジンシェイクに相当する低周波数域で減衰効果を発揮するようにチューニングされていると共に、停車時のアイドリング振動や走行時の低速こもり音に相当する中周波数域の振動入力に際しては前記可動ゴム膜の弾性変形に基づき前記受圧室の圧力が吸収されるように該可動ゴム膜の固有振動数がチューニングされている請求項1乃至3の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
- 前記本体ゴム弾性体の前記第一の取付部材を挟んだ軸直角方向一方向に一対のすぐり部を設けて、該一対のすぐり部が対向位置せしめられる軸直角方向一方向が車両前後方向となり且つ該軸直角方向一方向に直交する方向が車両左右方向となるようにして自動車に装着されて自動車用エンジンマウントが構成されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
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|---|---|---|---|
| JP2006351407A JP2008163970A (ja) | 2006-12-27 | 2006-12-27 | 流体封入式防振装置 |
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2006351407A JP2008163970A (ja) | 2006-12-27 | 2006-12-27 | 流体封入式防振装置 |
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Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR101092369B1 (ko) | 2009-12-04 | 2011-12-09 | 평화산업주식회사 | 자동차의 엔진 마운트 |
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| CN112901092A (zh) * | 2021-02-26 | 2021-06-04 | 中煤科工集团重庆研究院有限公司 | 一种硬质骨架式密封胶套 |
| CN115199700A (zh) * | 2022-09-09 | 2022-10-18 | 山西润世华新能源技术服务有限公司 | 复合调谐阻尼器和风力发电机组 |
-
2006
- 2006-12-27 JP JP2006351407A patent/JP2008163970A/ja active Pending
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