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JP2019007900A - 可食物の検査方法 - Google Patents

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聡一郎 森川
Soichiro MORIKAWA
聡一郎 森川
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Screen Holdings Co Ltd
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Abstract

【課題】潜像が設けられた可食物において、当該潜像の検査や判別等を低コストにて簡便に行うことが可能な可食物の検査方法を提供する。【解決手段】本発明の可食物の検査方法は、表面の少なくとも一部に潜像が設けられた可食物としての固体製剤10は、波長域が200nm以上400nm未満の範囲の紫外線を吸収するインク層11により潜像が形成された潜像領域Aと、紫外線照射により可視光域の蛍光を少なくとも発する非潜像領域Bとを少なくとも有するものであり、潜像領域A及び非潜像領域Bに紫外線を少なくとも含む照射光を照射することにより、非潜像領域Bで波長が可視光域の蛍光を発生させると共に、潜像領域Aのインク層11で紫外線を吸収させることにより、潜像領域Aの潜像を顕像化する顕像化工程と、顕像化工程で顕像化された潜像を、目視で、又は受光波長が可視光域の撮像手段により撮像して検査する検査工程とを含む。【選択図】 図1

Description

本発明は可食物の検査方法に関し、より詳細には、医薬品等の可食物に、特定の波長域の紫外線照射により顕像化することが可能な潜像が印刷された可食物の検査方法に関する。
近年、医薬品等の錠剤に対し、直接インクジェット方式で薬剤名を印刷して表示することが増えつつある。特に、インクジェット方式は被記録媒体毎に異なる情報を印刷する可変印刷(バリアブル印刷)が可能なため、錠剤に対しても、薬剤名の他に、錠剤のロット番号や錠剤の消費期限、偽薬防止のためのセキュリティコード等を可変的に印刷する試みがなされている。
一方、薬剤名以外の製品情報は、一般消費者や患者が認識する必要のない情報である。そのため、例えば、可視光の下では一般消費者等に視認されないのが望ましい。このような印刷を可能にするインクとしては、例えば、リボフラビン類等を含み、紫外線が照射された場合にのみ色相変化して印刷画像を識別することが可能な可食性のインクが挙げられる(下記特許文献1参照)。また、可食性の蛍光染料を溶媒に溶かしたインクや、当該蛍光染料を溶媒に対し不溶性にしてレーキ化し、レーキ有機顔料として溶媒中に分散させたレーキ顔料インクも挙げられる。
しかし、これらのインクは、酸化鉄等の無機顔料を用いた可食性のインクと比較して、耐光性に劣るという問題がある。
2011−241312号公報
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、潜像が設けられた可食物において、当該潜像の検査や判別等を低コストにて簡便に行うことが可能な可食物の検査方法を提供することにある。
本願発明者等は、上記問題点を解決すべく、可食物の検査方法について検討した結果、下記構成を採用することにより上記の問題点を解決できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明に係る可食物の検査方法は、上記の課題を解決する為に、表面の少なくとも一部に潜像が設けられた可食物の検査方法であって、上記可食物は、波長域が200nm以上400nm未満の範囲の紫外線を吸収するインク層により上記潜像が形成された潜像領域と、上記波長域の紫外線の照射により可視光域の蛍光を発する非潜像領域とを少なくとも有するものであり、上記潜像領域及び非潜像領域に上記波長域の紫外線を少なくとも含む照射光を照射することにより、上記非潜像領域で上記蛍光を発生させると共に、上記潜像領域のインク層で上記紫外線を吸収させることにより、当該潜像領域の潜像を顕像化する顕像化工程と、上記顕像化工程で顕像化された潜像を、目視で、又は受光波長が可視光域の撮像手段により撮像して検査する検査工程とを含むことを特徴とする。
上記構成によれば、検査対象となる可食物の表面には、前記波長域の紫外線が照射された場合、可視光域の蛍光を発生させる領域である非潜像領域と、波長域が200nm以上400nm未満の範囲の紫外線を吸収するインク層により潜像が形成された潜像領域が設けられている。そのため、紫外線の照射下において、目視で観察し、又は受光波長が可視光域(400nm〜760nm)の撮像手段を用いて撮像した場合、非潜像領域では蛍光が発生するために、明度の高い領域として識別される。一方、潜像領域では、紫外線が吸収されるため、蛍光励起が行われない。そのため、潜像領域では蛍光が発生せず、非潜像領域に比べて明度の低い領域として識別される。従って、潜像領域及び非潜像領域に紫外線を照射すると、潜像領域の潜像を良好なコントラストで顕像化させることができ(顕像化工程)、その後に行う検査工程での簡便な検査を可能にしている。ここで、顕像化工程は、非潜像領域で可視光域の蛍光を発生させることにより潜像を顕像化させるものであることから、検査工程においては潜像の検査を目視にて行うことが可能になる。あるいは、受光波長が可視光域の撮像手段を用いて行うことが可能になる。そのため、撮像手段として紫外線カメラ等の特殊な装置を用いる必要がなくなり、潜像の検査等を容易に行うことができる。また、例えば、需要者等が潜像として印刷された製品情報等の画像を確認したい場合や、製品の真贋等を確認したい場合には、低コストにて簡便にこれを識別することができる。
上記構成に於いて、上記顕像化工程は、上記照射光として波長域が200nm以上400nm未満の範囲の紫外線のみを用いる工程であることが好ましい。インク層は波長域が200nm以上400nm未満の範囲の紫外線を吸収するものであるため、顕像化工程で使用する照射光を当該波長域の紫外線のみとすることで、非潜像領域に対する潜像領域のコントラストをさらに向上させることができ、一層良好な顕像化を可能にする。
上記構成に於いては、上記可食物のインク層が、顔料としての酸化チタン粒子及び/又は酸化亜鉛粒子を少なくとも含むことが好ましい。インク層に顔料としての酸化チタン粒子及び/又は酸化亜鉛粒子を少なくとも含有させることにより、当該インク層に紫外線に対する良好な光吸収性を発現させることが可能になる。また、酸化チタン及び酸化亜鉛は薬事法で定める医薬品添加物、日本薬局方又は食品添加物公定書の基準に適合しているため、生体為害性が低い。その結果、医薬品や食品等の錠剤等からなる固体製剤を可食物として用いることができ、これに潜像を直接印刷したものを検査対象とすることができる。さらに、染料を用いたインク層と比較して耐光性の向上も図れる。
上記構成に於いては、上記可食物のインク層が、水性インクからなる乾燥前又は乾燥後の塗膜であることが好ましい。インク層が、乾燥前の水性インクからなる塗膜である場合、当該塗膜の印刷状態の良否を容易に確認し判別することができる。例えば、インクジェット方式により水性インクを用いて印刷する場合、インクジェットヘッドから吐出される水性インクの液滴の着弾位置に誤差が生じ、印刷位置にズレが生じていないか否かを容易に検査することができる。また、インクジェットヘッドのノズル欠けにより、印刷不良が生じているか否かも容易に検査することができる。その結果、従来よりも歩留まりを向上させた可食物の潜像印刷物の提供が可能になる。また、インク層が、乾燥後の水性インクからなる塗膜である場合、潜像として印刷された製品情報等や製品の真贋等を、使用時等に容易に確認することができる。
上記構成に於いては、上記可食物のインク層が可視光に対し光透過性を有することが好ましい。インク層が可視光に対し光透過性を有することにより、可視光照射下における潜像の識別性を一層低下させることができる。
上記構成に於いては、上記顕像化工程の照射光に含まれる紫外線の波長が、上記インク層で吸収される紫外線の波長と少なくとも重複することが好ましい。
本発明によれば、検査対象となる可食物は、200nm以上400nm未満の波長域の紫外線を吸収するインク層により潜像が形成された潜像領域と、当該紫外線の照射により可視光域の蛍光を発生する非潜像領域とを有する潜像印刷物である。このような潜像印刷物に対し本願発明においては、顕像化工程で紫外線を照射することにより、非潜像領域で可視光域の蛍光を発生させる。これにより、非潜像領域では明度の高い領域として識別される。一方、潜像領域では紫外線を吸収する結果、蛍光が発生せず、そのため非潜像領域と比べて明度の低い領域として識別される。その結果、潜像領域の潜像が良好なコントラスト差により顕像化される。これにより、紫外線カメラ等の特殊な撮像手段を用いることなく、潜像の検査等を容易に行うことができる。また、例えば、需要者等が潜像として印刷された製品情報等の画像を確認したい場合や、製品の真贋等を確認したい場合には、低コストにて簡便に潜像を識別することができる。
本発明の実施の形態に係る固体製剤の潜像印刷物を模式的に表す説明図である。 実施例1及び2で用いた水性インク組成物の190nm〜500nmの範囲における吸収スペクトルを表すグラフである。
本実施の形態に係る可食物の検査方法は、当該可食物の表面の少なくとも一部に設けられた潜像を、紫外線カメラ等の特殊な撮像装置を用いることなく、蛍光灯等の可視光が照射される通常の環境下で、簡便に識別し検査することを可能にするものである。
本明細書において「可食性」とは、医薬品若しくは医薬品添加物として経口投与が認められている物質、及び/又は食品若しくは食品添加物として認められている物質のみからなることを意味する。また、本明細書において「可食物」とは、可食性を有する固形物を意味し、具体的には、例えば、固体状の食品の他、可食性フィルム、可食性シート等が挙げられる。さらに、可食物には固体製剤も含まれる。
また、本明細書において「潜像」とは、可視光(波長域400nm〜760nm)が照射された環境下において識別が困難であり、特定の条件下において顕像化する画像を意味する。
(固体製剤の潜像印刷物)
以下、可食物として固体製剤の潜像印刷物について説明する。図1は本実施の形態に係る固体製剤の潜像印刷物を模式的に表す説明図である。
図1に示すように、本実施の形態の潜像印刷物は、固体製剤10の表面の少なくとも一部にインク層11が設けられている。インク層11は潜像としての印刷画像を形成する。そして、本実施の形態の潜像印刷物は、インク層11が潜像を形成する潜像領域Aと、潜像が形成されていない非潜像領域Bとを少なくとも有している。
ここで、本明細書において「固体製剤」とは、食品製剤及び医薬製剤を含む意味であり、その形態としては、例えばOD錠、素錠、FC錠、糖衣錠等の錠剤又はカプセル剤が挙げられる。固体製剤10は、医薬品用途であってもよく、食品用途であってもよい。食品用途の錠剤の例としては、錠菓やサプリメント等の健康食品が挙げられる。固体製剤10のうち、錠剤は常温下において固体状であり、例えば、有効成分を含む錠剤材料を一定の形状に圧縮及び/又は成形により製造されたものが好ましい。錠剤の形状は特に限定されず、任意の形状を採用することができる。また、錠剤は、医薬品用途の錠剤であってもよく、食品用途の錠剤であってもよい。食品用途の錠剤の例としては、錠菓やサプリメント等の健康食品が挙げられる。
また、本明細書において「潜像印刷物」とは、固体製剤に潜像が印刷画像として印刷されたものを意味する。ここで、潜像として印刷される画像は、例えば、後述するインクジェット用水性インクを用いてインクジェット方式等により印刷可能である。また、固体製剤以外の可食物に対しては、インクジェット方式の他に、グラビア印刷やフレキソ印刷等を採用してもよい。尚、インクジェット方式による印刷とは、インクジェット用水性インク液を微細なインクジェットヘッドより液滴として吐出して、その液滴を固体製剤に定着させ、画像を形成させる方式を意味する。
(潜像領域)
潜像領域Aは波長域が200nm以上400nm未満の範囲の紫外線を吸収するインク層11により潜像が形成された領域である。上記波長域は、260nm以上380nm以下の範囲がより好ましく、280nm以上360nm以下の範囲が特に好ましい。また、インク層11は可視光に対し光透過性を有することが好ましい。尚、本明細書における「光透過性」とは、入射した可視光の少なくとも一部を透過する性質を意味する。また光透過性には、インク層11が無色である場合の他、有色である場合も含む意味である。
潜像領域Aには、可視光下で視認可能な画像を形成する他のインク層や、コーティング層が設けられていてもよい。インク層11が可視光に対し光透過性を有することで、たとえ他のインク層が当該インク層11の下層に設けられている場合であっても、その視認性を確保することができる。コーティング層としては、例えば、インク層11を被覆して保護するためのオーバーコート層や、アンダーコート層が挙げられる。
インク層11としては、インクジェット用水性インク(詳細については後述する。)の乾燥被膜(乾燥後の塗膜)からなるものが好ましい。乾燥被膜は、インクジェット用水性インクを用いて、例えばインクジェット方式等により固体製剤10表面に直接印刷されることにより形成することができる。また、インク層11には、上記波長域の範囲の紫外線に対し光吸収性を有する成分(以下、「紫外線吸収成分」という場合がある。)が少なくとも含まれていることが好ましい。さらに、紫外線吸収成分はインク層11中に均一に含まれていることが好ましい。紫外線吸収成分としては、例えば顔料としての酸化チタン(TiO)粒子や酸化亜鉛粒子等が挙げられる。尚、インク層11の厚さとしては特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
(非潜像領域)
非潜像領域Bは、上記波長域の紫外線を少なくとも含む光(以下、「照射光」という。)が照射された場合に、紫外線を励起光として吸収し、可視光域の蛍光を発する領域である。
ここで本明細書における「蛍光」とは、200nm以上400nm未満の波長域の紫外線(励起光)が照射された場合に、当該紫外線を吸収して波長変換し、可視光(400nm〜760nm)を蛍光として発することを意味する。また、紫外線の照射後においても発せられる残光のうち減衰時間の短い成分の蛍光も含む意味である。また、減衰時間とは、上記成分の発光開始から基底状態に戻る(蛍光が消失する)までの遷移に要する時間を意味する。
非潜像領域Bが、上記波長域の範囲の紫外線が照射された場合に蛍光性を示す性質を備えるためには、固体製剤10に当該波長域の紫外線を励起光として吸収し、可視光域の蛍光を発する蛍光成分が含まれていることが好ましい。そのような蛍光成分としては可食性を有するものであれば特に限定されず、具体的には、例えばNAD(P)H(励起光波長340nm、蛍光波長450nm)、クロロフィル(励起光波長465nm又は665nm、蛍光波長673nm又は726nm)、コラーゲン(励起光波長域270nm〜370nm、蛍光波長域305nm〜450nm)、ジチロシン(励起光波長325nm、蛍光波長400nm)、グリコシル化付加体(励起光波長370nm、蛍光波長450nm)、フラビン(励起光波長域380〜490nm、蛍光波長域520〜560nm)、メラニン(励起光波長域340〜400、蛍光波長域360〜560)、エラスチン(励起光波長360nm、蛍光波長410nm)等の自家蛍光成分が挙げられる。これらの自家蛍光成分は、動物又は植物由来の原料(具体的には、デンプン、糖、タンパク質類等)に含まれるものであり、当該原料は、通常、市販の錠剤等に使用されるものである。尚、上記に例示した蛍光成分は1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
尚、固体製剤10自体に酸化チタン等の紫外線吸収成分が含まれる場合であっても、上記波長域の紫外線に対し蛍光成分を含む蛍光層を固体製剤10表面に設けることにより、非潜像領域Bを形成することが可能である。ここで、本明細書における「蛍光性」とは、蛍光を発する性質を意味する。
また、非潜像領域Bは、可視光の照射下において当該可視光の少なくとも一部を反射又は吸収する場合も含み得る。また、非潜像領域Bにおいても、コーティング層等が設けられていてもよい。
(潜像用水性インク)
潜像領域Aを形成するインク層11の構成材料として、本実施の形態においては可食性を有する潜像用水性インクを用いるのが好ましい。潜像用水性インクは潜像用水性インク組成物を含み、当該潜像用水性インク組成物は顔料組成物(詳細については後述する。)と、主溶媒としての水とを少なくとも含む。また、本実施の形態の潜像用水性インク組成物は可食性を有し、インクジェット記録用として好適に用いられるものである。さらに、潜像用水性インク組成物は色材として顔料が用いられることから、染料を用いたインク組成物と比較して発色性や耐光性、耐水性等の点で優れている。
顔料組成物の含有量は、潜像用水性インク組成物の全質量に対し顔料分換算で2質量%〜40質量%の範囲が好ましく、5質量%〜30質量%の範囲内がより好ましい。顔料組成物の含有量を2質量%以上にすることにより、着色力を向上させることができる。その一方、顔料組成物の含有量を40質量%以下にすることにより、分散性を向上させることができる。
本実施の形態に係る潜像用水性インク組成物に於いては、水(主溶媒としての水)を含有する。水としては、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水等のイオン性不純物を除去したものを用いるのが好ましい。特に、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間にわたってカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。また、水の含有量としては特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
本実施の形態の潜像用水性インク組成物においては、その他の添加剤が配合されていてもよい。但し、医薬品等の錠剤に対するインクジェット用インクとして用いる場合には、薬事法等の基準に適合するものであることが好ましい。
添加剤としては、表面張力調整剤、湿潤剤(乾燥防止剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、粘度調整剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤の含有量は特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
表面張力調整剤としては、薬事法等の基準に適合するものであれば特に限定されず、具体的には、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。グリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、カプリル酸デカグリセリル、ラウリン酸デカグリセリル等が挙げられる。
表面張力調整剤の添加量は、潜像用水性インク組成物の表面張力を25〜40mN/mに調整できる範囲が好ましく、27〜36mN/mに調整できる範囲がより好ましい。添加量が上記範囲内であると、インクジェット方式での印刷の際の吐出安定性の確保等が図れる。
湿潤剤としては、薬事法等の基準に適合するものであれば特に限定されず、具体的には、例えば、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
湿潤剤の添加量は、潜像用水性インク組成物の全質量に対し、3質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜40質量%がより好ましい。
本実施の形態の潜像用水性インク組成物の粘度は、インクジェットノズルからの吐出安定性を考慮すると、インクジェットノズル吐出時において、2mPa・s〜7mPa・sが好ましく、3mPa・s〜5mPa・sがより好ましい。潜像用水性インク組成物の粘度を上記数値範囲内にすることにより、インクジェットノズルでの目詰まりの発生を抑制して良好な吐出安定性の維持が図れ、飛翔性の低下を抑制することができる。尚、潜像用水性インク組成物の粘度は、例えば、粘度計(商品名:VISCOMATE MODEL VM−10A、(株)セコニック製)を用いて、測定温度25℃の条件下で測定することにより得られる。
本実施の形態の潜像用水性インク組成物は、前述の各成分を適宜な方法で混合することよって製造することができる。即ち、例えば、顔料組成物の分散液に、別途添加剤等を加え、更に水にて希釈する。その後、十分に撹拌し、必要に応じて目詰まりの原因となる粗大粒子及び異物を除去するための濾過を行う。これにより、本実施の形態に係る潜像用水性インク組成物を得ることができる。
尚、各材料の混合方法としては特に限定されず、例えば、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合を行う。また、濾過方法としては特に限定されず、例えば、遠心濾過、フィルター濾過等を採用することができる。
本実施の形態の潜像用水性インク組成物は薬事法等の基準に適合した成分からなるので、可食性を有しており、医薬品やサプリメント等の錠剤の表面に直接印刷することが可能である。また、素錠やOD錠など表面の平滑性が悪い錠剤に対しても、インクジェット方式による非接触印刷を可能にする。さらに、潜像用水性インク組成物は耐光性にも優れているので、医薬品やサプリメント等の錠剤の表面に直接印刷しても滲みの発生を防止することができる。
(顔料組成物)
潜像用水性インク組成物に含まれる顔料組成物は、酸化チタン(TiO)粒子及び/又は酸化亜鉛粒子からなる顔料(紫外線吸収成分)と、顔料分散剤としてのポリアクリル酸ナトリウムとを少なくとも含む顔料分散体の組成物である。先ず、紫外線吸収成分としての機能を有する顔料として、酸化チタン粒子を用いる場合について説明する。
酸化チタン粒子からなる顔料は白色顔料であり、他の公知の白色顔料と比較して比重が小さく、屈折率が大きい。また、酸化チタンの顔料は化学的・物理的にも安定である。そのため、酸化チタン粒子からなる顔料は隠蔽性や着色性に優れ、更に酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。尚、本実施の形態の顔料組成物には顔料以外に、公知の顔料が含まれていてもよい。
本実施の形態において、酸化チタン粒子としては結晶構造がアナターゼ型(正方晶)、ルチル型(正方晶)又はブルーカイト型(斜方晶)の何れのものも使用可能である。但し、印刷画像の隠蔽性向上の観点からは、ルチル型結晶構造の酸化チタンが好ましい。これにより、印刷画像が、その被印刷(形成)面から目視にて観察されるのを防止することができる。尚、本発明に於いて酸化チタン粒子とは、特に断らない限り結晶性の酸化チタン粒子を意味する。
酸化チタン粒子の表面は親水性であることが好ましい。これにより、分散した酸化チタン粒子の平均分散粒子径を、当該酸化チタン粒子の平均一次粒子径に近づけることが可能になる(詳細については後述する。)。酸化チタン粒子の表面には、通常、ヒドロキシル基が存在しており、これにより酸化チタン粒子の表面は親水性を示す。尚、本発明において「親水性」とは、酸化チタン粒子の表面において水に対する親和性を有する官能基等が存在することをいう。
また、本発明に於いては、酸化チタン粒子の表面の親水性を向上させ、又は維持させるとの観点から、親水化処理を行ってもよい。酸化チタン粒子の表面を親水化処理する場合、例えば、無機化合物及び/又は有機化合物の表面処理剤を用いることが可能である。
無機化合物の表面処理剤としては特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、シリカ、酸化セリウム等が挙げられる。また、有機化合物の表面処理剤としては特に限定されず、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、(ジメチコン/メチコン)コポリマー、メチルフェニルシリコーン、アミノ変性シリコーン、ハイドロゲンジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン等のシリコーンオイル;ステアリン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、トリプロパノールエタン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンエトキシレート等の多価アルコール;トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン等のアルカノールアミン、又はそれらの塩酸塩若しくは有機酸塩等の誘導体;カプリリルシラン、デシルシラン、パーフルオロオクチルシランといったアルキルシラン、アルキルチタネート、アルキルアルミネート、ポリオレフィン、ポリエステル、ラウロイルリシン等のアミノ酸;チタニウム系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等の有機金属化合物等が挙げられる。これらの有機化合物から選択される少なくとも1の化合物で表面処理を行うことができる。また、無機化合物と有機化合物を組み合わせて親水化処理を行ってもよい。
酸化チタン粒子としては市販品を用いることも可能であり、そのような市販品としては、例えば、STR−100N(商品名、堺化学工業(株)製、ルチル型)、TTO−51A(商品名、石原産業(株)、ルチル型)、TTO−55A(商品名、石原産業(株)、ルチル型)、TTO−55A(商品名、石原産業(株)、ルチル型)、TTO−80A(商品名、石原産業(株)、ルチル型)、MPT−140(商品名、石原産業(株)、ルチル型)、MPT−141(商品名、石原産業(株)、ルチル型)、MKR−1(商品名、堺化学工業(株)、ルチル型)、KA−10(商品名、チタン工業(株)、アナターゼ型)等が挙げられる。
次に、紫外線吸収成分としての機能を有する顔料として、酸化亜鉛粒子を用いる場合について説明する。酸化亜鉛粒子からなる顔料は白色顔料であり、紫外線遮蔽性を有する無機顔料である。
酸化亜鉛粒子の表面は親水化処理されていてもよい。但し、酸化亜鉛粒子の表面は、二酸化ケイ素の水和物(含水シリカ)により親水化処理されていないものが好ましい。すなわち、表面に二酸化ケイ素の水和物(含水シリカ)からなる被膜を形成して親水化処理した酸化亜鉛粒子を、顔料分散剤として後述のポリアクリル酸ナトリウムと共に用いた場合、当該酸化亜鉛粒子からなる顔料の平均分散粒子径は大きくなり、保存安定性が低下することがある。酸化亜鉛粒子として、その表面が二酸化ケイ素の水和物により親水化処理されていないものを用いることにより、分散した酸化亜鉛粒子の平均分散粒子径を、当該酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径に近づけることが可能になる。尚、本発明に於いて酸化亜鉛粒子とは、特に断らない限り結晶性の酸化亜鉛粒子を意味する。また、酸化亜鉛粒子においては、二酸化ケイ素の水和物以外の化合物により表面が被覆されて親水化処理されたものを用いることができる。
酸化亜鉛粒子としては市販品を用いることも可能であり、そのような市販品としては、例えば、FINEX−50(商品名、堺化学工業(株)製)、FINEX−30(商品名、堺化学工業(株)製)、FINEX−25(商品名、堺化学工業(株)製)等が挙げられる。
酸化チタン粒子及び/又は酸化亜鉛粒子(以下、「酸化チタン粒子等」という場合がある。)の顔料は、本実施の形態の顔料組成物を医薬品やサプリメント等の錠剤表面への印刷用として用いる場合、薬事法で定める医薬品添加物、日本薬局方又は食品添加物公定書の基準(以下、「薬事法等の基準」という。)に適合するものであることが好ましい。
酸化チタン粒子等の平均一次粒子径(体積平均粒子径)としては、20nm〜400nmが好ましく、30nm〜200nmがより好ましく、40nm〜100nmが特に好ましい。平均一次粒子径を20nm以上にすることにより、印刷画像の耐光性の低下を抑制すると共に、顔料の濃度を大きくすることができ、透明性の向上が図れる。また、十分な隠蔽性を確保することもできる。その一方、平均一次粒子径を400nm以下にすることにより、高色彩化が図れると共に、酸化チタン粒子等の沈降やノズルの目詰まりの防止が可能になる。また、通常、平均一次粒子径が大きい顔料粒子を選択した場合、インクジェット方式での印刷に求められる平均分散粒子径のレベルでの顔料分散を可能にするために、顔料粒子を十分に摩砕するための工程時間が長くなる。しかし、上述の通り、平均一次粒子径を400nm以下にすることにより、工程時間の長期化も抑制することができる。
尚、本発明において「平均一次粒子径」とは一次粒子の平均粒子径を意味し、一次粒子とは一般的に粉末を構成する最も小さい粒子のことをいい、単結晶又はそれに近い結晶子が集まって形成している粒子を含む意味である。
また、平均一次粒子径は酸化チタン粒子等を電子顕微鏡で観察して求めた算術平均径である。本実施の形態に於いては、単分散の粒径分布を持つ酸化チタン粒子等を用いるが、本発明はこれに限定されず、多分散の粒径分布を持つ酸化チタン粒子を用いてもよい。また、単分散の粒径分布を持つ顔料を2種以上混合して使用してもよい。
酸化チタン粒子等の形状は特に限定されず、球状、棒状、針状、紡錘状、板状等の任意の形状のものを使用することができる。本実施の形態においては同種の形状の酸化チタン粒子等を用いてもよく、2種以上の異なる形状のものを混合して用いてもよい。尚、棒状、針状、紡錘状粒子である場合の平均一次粒子径は長軸の長さ(又は高さ)と短軸の長さ(又は幅)の相乗平均値で規定する。
顔料の含有量は画像濃度に直接影響するものであり、潜像用水性インク組成物の保存性や粘度、pH等に影響を及ぼすものであることから、これらの点を考慮して適宜設定すればよい。通常は、顔料組成物の全質量に対し2質量%〜20質量%の範囲内が好ましく、5質量%〜15質量%の範囲内がより好ましい。酸化チタン粒子等からなる顔料の含有量を2質量%以上にすることにより、画像濃度の低下を抑制することができる。その一方、酸化チタン粒子等からなる顔料の含有量を20質量%以下にすることにより、光沢性の低下やノズルの目詰まり、吐出安定性の低下を防止することができる。
ポリアクリル酸ナトリウムは、本実施の形態の顔料に対し顔料分散剤として機能する。ポリアクリル酸ナトリウムを配合することにより、顔料の分散性の向上が図れる。また、ポリアクリル酸ナトリウムを用いることにより、顔料組成物及び潜像用水性インク組成物に気泡が発生するのを抑制することができる。その結果、消泡剤の添加が省略可能である。さらに、インクジェットヘッドから本実施の形態の潜像用水性インク組成物を吐出させる際には、当該気泡が当該潜像用水性インク組成物中に存在しないことから、ノズル抜けや吐出不良、オープンタイムの低下も抑制することができる。尚、ポリアクリル酸ナトリウムは、薬事法等で定める基準に適合するものである。従って、ポリアクリル酸ナトリウムは、医薬品又は食品等の錠剤等への印刷に好適に用いることができる。
ポリアクリル酸ナトリウムの質量平均分子量は10000以下であり、好ましくは1500〜10000、より好ましくは2000〜8000である。ポリアクリル酸ナトリウムの質量平均分子量を10000以下にすることにより、酸化チタン粒子等の表面に吸着するポリアクリル酸ナトリウムの分子鎖が過度に長くなるのを防止する。その結果、酸化チタン粒子等からなる顔料同士が架橋されて凝集するのを低減することができる。尚、ポリアクリル酸ナトリウムの質量平均分子量を1500以上にすることにより、酸化チタン粒子等の表面に吸着したポリアクリル酸ナトリウムが立体障害等による反発力を十分に発揮させることを可能にする。その結果、酸化チタン粒子等同士が再凝集するのを抑制することができる。尚、ポリアクリル酸ナトリウムの質量平均分子量は、例えば、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値である。
本実施の形態の顔料とポリアクリル酸ナトリウムとの含有比は、質量基準で1:0.05〜1:1.5であることが好ましく、1:0.1〜1:1であることがより好ましい。含有比を1:0.05以上にすることにより、酸化チタン粒子等の顔料の分散性低下を防止することができる。その一方、含有比を1:1.5以下にすることにより、例えば、潜像用水性インク組成物に用いた場合に、ノズルプレートへの付着に起因する吐出安定性の低下を防止することができる。
尚、ポリアクリル酸ナトリウムは、例えば、後述する分散媒に添加する際に、他の従来の顔料分散剤と比べ、比較的気泡が発生しにくい。そのため、本実施の形態の顔料組成物においては消泡剤の添加を省略することができる。
本実施の形態に係る顔料組成物に於いては、酸化チタン粒子及び/又は酸化亜鉛粒子の顔料を分散させるための分散媒が含まれる。分散媒としては水が挙げられ、より詳細には、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水等のイオン性不純物を除去したものが挙げられる。特に、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間にわたってカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。また、分散媒の含有量としては特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
また、分散媒としては、水と水溶性有機溶剤の混合溶液を用いてもよい。水溶性有機溶剤としては、薬事法等の基準に適合するものであれば特に限定されない。具体的には、例えば、エチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を混合して用いてもよい。さらに、分散媒に水溶性有機溶剤を用いる場合の配合量としては特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
分散状態にある酸化チタン粒子等の平均分散粒子径D50は、20nm〜500nmの範囲内が好ましく、40nm〜100nmの範囲内がより好ましい。また、顔料の分散粒子径D99(体積積算粒度分布における積算粒度で99%の粒径)は、1000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましい。D50を20nm以上にすることにより、保存安定性、耐光性及び吐出安定性の悪化を防止し、印刷濃度の低下も防止することができる。その一方、D50を500nm以下、又はD99を1000nm以下にすることにより、顔料の分離や沈降及び凝集を防止し、保存安定性の維持が図れる。尚、顔料の平均分散粒子径D50及びD99は、マイクロトラックUPA−EX150(商品名、日機装(株)製)を用いて動的光散乱法により測定した値である。
また、酸化チタン粒子等の平均一次粒子径と、分散媒に分散した酸化チタン粒子等の平均分散粒子径D50の比は1:0.3〜1:3の範囲内であることが好ましい。本実施の形態においては、酸化チタン粒子等の顔料に対し、顔料分散剤として質量平均分子量が10000以下のポリアクリル酸ナトリウムを用いることにより、酸化チタン粒子等の平均分散粒子径を酸化チタン粒子等の平均一次粒子径とほぼ同様のレベルにすることができる。その結果、例えば、平均一次粒子径が小さい酸化チタン粒子等を用いた場合には、平均分散粒子径D50の小さい顔料組成物を得ることができ、顔料の分離や沈降及び凝集を防止し、保存安定性の維持が図れる。尚、酸化チタン粒子等の平均一次粒子径と、酸化チタン粒子等の平均分散粒子径D50の比は、より好ましくは1:0.5〜1:2.5、特に好ましくは1:0.8〜1:2である。
本実施の形態の顔料組成物の製造方法において、酸化チタン粒子等からなる顔料、ポリアクリル酸ナトリウム、分散媒及び必要に応じて配合するその他の添加剤の混合方法や添加順序は、特に限定されない。例えば、酸化チタン粒子の顔料、ポリアクリル酸ナトリウム及び分散媒としての水等を一度に混合し、この混合液に対し通常の分散機を用いて分散処理を施してもよい。
但し、本実施の形態に於いては、顔料分散剤としてのポリアクリル酸ナトリウムを用いることにより、顔料組成物及び当該顔料組成物を含む潜像用水性インク組成物に気泡が発生するのを抑制することができる。そのため、当該気泡を低減又は消失させるための消泡工程を省略することができ、製造効率の向上が図れる。また、消泡剤の含有も省略できるので、薬事法等の基準に適合した顔料組成物及び潜像用水性インク組成物の製造が一層容易になる。
分散処理における分散時間は特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。顔料の分散処理の際に使用される分散機としては、一般に使用される分散機であれば特に限定されない。具体的には、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、ナノマイザー等が挙げられる。
尚、本実施の形態の顔料組成物は、最終製品たる潜像用水性インク組成物の形態のほか、当該潜像用水性インク組成物を調製するための顔料分散液の形態をも包含するものである。
(固体製剤の潜像印刷物の印刷方法)
本実施の形態に係る固体製剤の潜像印刷物の印刷方法は、固体製剤10の表面上に潜像を印刷する潜像印刷工程とを少なくとも含む。
固体製剤10の表面に潜像(インク層11)を印刷する方法としては、例えば、潜像用水性インク組成物からなる潜像用水性インクを用いたインクジェット記録方法が挙げられる。上述の通り、本実施の形態の潜像用水性インク組成物は耐光性に優れ、滲みの発生もないので、固体製剤10の製品情報等を顕像化可能な潜像として印刷することができる。
錠剤の表面に対するインクジェット記録方法については、特に限定されない。具体的には、例えば、微細なノズルより潜像用水性インク組成物を液滴として吐出し、その液滴を錠剤表面に付着させることにより行うことができる。吐出方法としては特に限定されず、例えば、連続噴射型(荷電制御型、スプレー型等)、オンデマンド型(ピエゾ方式、サーマル方式、静電吸引方式等)等の公知の方法を採用することができる。
また、潜像印刷工程には、固体製剤10の表面に付着して形成された、潜像用水性インクの液滴からなる塗膜(被膜)を乾燥させる乾燥工程を含むことができる。乾燥方法としては特に限定されず、熱風乾燥の他、自然乾燥等を行うことができる。また、乾燥時間や乾燥温度等の乾燥条件についても特に限定されず、液滴の吐出量や潜像用水性インク組成物の種類等に応じて適宜設定することができる。
(固体製剤の潜像印刷物の検査方法)
次に、本実施の形態に係る固体製剤の潜像印刷物の検査方法について以下に説明する。
本実施の形態の検査方法は、潜像を顕像化する顕像化工程と、当該顕像化工程で顕像化された潜像を検査する検査工程とを少なくとも含む。
顕像化工程は、潜像領域A及び非潜像領域Bに紫外線を少なくとも含む照射光を照射することにより行われる。照射光の照射により、潜像領域Aのインク層11では紫外線を吸収する。その一方、非潜像領域Bでは紫外線を励起光として、可視光域の蛍光を発する。これにより、蛍光を発する非潜像領域Bに対して、潜像領域Aでは潜像を明度の低い領域として視認させることが可能になり、インク層11が形成する潜像の顕像化を可能にする。
紫外線の波長域は200nm以上400nm未満の範囲内であり、インク層11に含まれる紫外線吸収成分の種類に応じて適宜設定することができる。また、照射光の出射の際の光強度(μW/cm)は、紫外線吸収成分の種類やインク層11中の含有量、紫外線の光吸収性の程度等に応じて適宜設定することができる。例えば、紫外線吸収成分として酸化チタンや酸化亜鉛を用いた場合、光強度は4000μW/cm〜35000μW/cmの範囲であり、より好ましくは5000μW/cm〜30000μW/cm、特に好ましくは10000μW/cm〜20000μW/cmである。さらに、照射光の固体製剤10に対する照射角度は特に限定されず、適宜設定することができる。尚、「照射角度」とは、固体製剤10に対して照射される照射光の照射方向と、当該固体製剤10が載置された水平面とのなす角度を意味する。
検査工程は、顕像化工程で顕像化された潜像を目視で、又は受光波長が可視光域の撮像手段を用いて撮像することにより行われる。本実施の形態において目視による検査が可能となるのは、非潜像領域Bで可視光域の蛍光を発する一方、潜像領域Aではインク層11が紫外線を吸収して、非潜像領域Bよりも明度の低い領域として視認されるためである。
また、撮像手段を用いる場合は、非潜像領域Bで発生した蛍光を受光し、顕像化工程で顕像化された潜像領域Aと非潜像領域Bを撮像することにより行われる。受光条件は非潜像領域Bで発生する蛍光の波長域(400nm〜760nm)に対し最大感度を示す様に設定することが好ましい。これにより、受光量の増大が図られ、潜像領域Aと非潜像領域Bを良好なコントラストで撮像することが可能になる。蛍光の波長域に対し受光感度が低い、あるいはない場合には、顕像化された潜像領域Aと非潜像領域Bを撮像することが困難になる場合がある。
蛍光を受光する際の受光角度は特に限定されず、蛍光の受光量が最大となる様に適宜設定すればよい。尚、「受光角度」とは、非潜像領域Bにおける蛍光の光量が最大となる光線と、水平面に対する法線とのなす角度を意味する。
また、検査工程において、インク層11の印刷不良の有無を確認する場合には、従来公知の検査方法を採用することができる。例えば、印刷不良がないインク層に紫外線を照射し、紫外線を吸収しているインク層と、蛍光を発している非潜像領域Bを予め撮像して基準インク層とする。そして、検査対象であるインク層(以下、「被検査インク層」という)に対しても、基準インク層と同じ照射条件で紫外線を照射し、かつ、基準インク層と同じ撮像条件で撮像する。その後、基準インク層と被検査インク層の撮像データを対比して、被検査インク層に印刷不良が存在するか否かを判別する。これにより、インク層11の印刷不良の有無を検査することができる。
照射光を照射した場合の潜像領域A及び非潜像領域Bにおけるコントラストは、例えば当該照射光の光強度を調節することにより制御可能である。具体的には、照射光の光強度を適切に制御することにより潜像領域Aと非撮像領域Bのコントラストの差を最大化し、潜像の識別等を良好に行うことができる。例えば照射光の光源の光強度が弱すぎるために潜像領域Aと非潜像領域Bのコントラストの差が小さい場合は、光源の光強度を大きくすることによりコントラストの差を大きくすることが可能になる。また、撮像手段を用いる場合に、光源の光強度が大きすぎて、撮像が露出オーバーとなり潜像領域Aと非潜像領域Bのコントラストを識別できない場合は、光源の光強度を小さくすることにより、コントラストの差を大きくすることが可能になる。また、潜像領域Aと非潜像領域Bのコントラストの差は、照射光の光強度に加えて、照射光に少なくとも含まれる紫外線の波長との最適な組み合わせにより制御可能である。具体的には、紫外線の波長を、インク層11で吸収される紫外線の波長と少なくとも重複する様に設定することが好ましい。あるいは、インク層11に含まれる紫外線吸収成分の濃度を調節することにより、潜像領域Aにおける紫外線吸収能を向上又は低下させ、潜像領域Aと非潜像領域Bのコントラストの差を制御してもよい。
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、下記の実施例に記載されている材料や含有量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
(潜像用水性インク組成物Aの調製)
先ず、顔料として酸化チタンナノ粒子を用いた顔料組成物の作製を行った。すなわち、顔料として酸化チタンナノ粒子、顔料分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム及び分散媒としての純水を容器に入れ、分散機(ペイントシェーカー、浅田鉄工株式会社製)にて、常温下で24時間(分散時間)分散させた。また、分散の際にはジルコニアビーズを混合させて行った。これにより、顔料組成物を作製した。尚、酸化チタンナノ粒子としては、石原産業(株)製のTTO−55A(型番、結晶構造;ルチル型、平均一次粒子径40nm)を用いた。さらに、酸化チタンナノ粒子の形状は略球状であった。また、ポリアクリル酸ナトリウムとしては、Evonik社製のTEGO Dispers 715W(質量平均分子量3000)を用いた。
次に、顔料組成物に、表面張力調整剤としてのポリグリセリン脂肪酸エステル(商品名:SYグリスター、阪本薬品工業(株)製)、湿潤剤としてのプロピレングリコール及び純水を加え、下記表1に示す配合割合となる様に調製し、ディスパーにて撹拌した。これにより、潜像用水性インク組成物を作製した。
尚、顔料組成物及び潜像用水性インク組成物の作製過程においては、いずれも気泡が発生しなかったことから消泡剤の添加による消泡工程は行わなかった。また、下記表1中の数値は、特に表記がない限り、潜像用水性インク組成物の全質量に対する質量%で表したものである。また、各材料は何れも薬事法で定める医薬品添加物、日本薬局方又は食品添加物公定書の基準に適合するものである。
(潜像用水性インク組成物Bの調製)
先ず、顔料として酸化亜鉛ナノ粒子を用いた顔料組成物の作製を行った。すなわち、顔料として酸化亜鉛ナノ粒子、顔料分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム及び分散媒としての純水を容器に入れ、分散機(ペイントシェーカー、浅田鉄工株式会社製)にて、常温下で24時間(分散時間)分散させた。また、分散の際にはジルコニアビーズを混合させて行った。これにより、顔料組成物を作製した。尚、酸化亜鉛ナノ粒子としては、堺化学工業(株)製のFINEX−30(型番、平均一次粒子径35nm、表面が二酸化ケイ素の水和物(含水シリカ)により親水化処理されていない)を用いた。さらに、酸化亜鉛ナノ粒子の形状は略球状であった。また、ポリアクリル酸ナトリウムとしては、Evonik社製のTEGO Dispers 715W(質量平均分子量3000)を用いた。
次に、顔料組成物に、表面張力調整剤としてのポリグリセリン脂肪酸エステル(商品名:SYグリスター、阪本薬品工業(株)製)、湿潤剤としてのプロピレングリコール及び純水を加え、下記表2に示す配合割合となる様に調製し、ディスパーにて撹拌した。これにより、潜像用水性インク組成物を作製した。
尚、顔料組成物及び潜像用水性インク組成物の作製過程においては、いずれも気泡が発生しなかったことから消泡剤の添加による消泡工程は行わなかった。また、下記表2中の数値は、特に表記がない限り、潜像用水性インク組成物の全質量に対する質量%で表したものである。また、各材料は何れも薬事法で定める医薬品添加物、日本薬局方又は食品添加物公定書の基準に適合するものである。
(潜像用水性インク組成物の光吸収スペクトル)
潜像用水性インク組成物A及びBについて、紫外−可視光域(260nm〜760nm)における吸収スペクトルを、分光光度計(商品名:UVmini−1240、島津製作所(株)製)を用いて確認した。尚、調製した潜像用水性インク組成物を原液の状態で測定するには濃度が高すぎるため、純水で4000倍に希釈したもので測定を行った。また、測定には光路長1cmの石英セルを用いた。結果を図2に示す。
(ポリアクリル酸ナトリウムの質量平均分子量の測定)
アルギン酸ナトリウムの質量平均分子量は、ポリエチレンオキサイド(PEO)/ポリエチレングリコール(PEG)を標準品として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる値である。
(酸化チタンナノ粒子及び酸化亜鉛ナノ粒子の平均一次粒子径及び平均分散粒子径の測定)
酸化チタンナノ粒子及び酸化亜鉛ナノ粒子の平均一次粒子径、並びに平均分散粒子径D50及びD99は、マイクロトラックUPA−EX150(商品名、日機装(株)製)を用いて動的光散乱法により測定した。
(実施例1)
前述の潜像用水性インク組成物Aからなる潜像用水性インクを用いて、インクジェット記録方法により素錠(京都薬品工業(株)製、商品名:プラセボ錠)に対し潜像の印刷を行った。印刷は、素錠の一方の面にのみ行い、かつ、インクジェットプリンタ(KC 600dpiヘッド搭載印字治具)を用いてシングルパス(ワンパス)方式にて行った。印刷条件は、液滴1滴当たりの質量を7ng、液適量を7plとした。また、印刷後は、印刷画像面を24時間の自然乾燥により乾燥させた。
次に、蛍光灯が照射されている室内環境下において、潜像を印刷した素錠に対し波長260nm〜400nmの紫外線を照射して潜像を顕像化させ(顕像化工程)、さらに顕像化させた潜像の識別性の評価を行った(検査工程)。照射手段としては、朝日分光(株)製のキセノン光源(商品名;MAX−303)を用いた。照射手段の光源の光強度は約100000μW/cmとした。また、潜像の識別性は、潜像が室内環境下で読み取り可能な場合を○、読み取り不可の場合を×とした。結果を下記表3に示す。
(実施例2)
本実施例においては、実施例1と比較して、潜像用水性インク組成物Aを潜像用水性インク組成物Bに変更した。それ以外は実施例1と同様にして、素錠表面に印刷した潜像の識別性の評価を行った。結果を下記表3に示す。
(結果)
表3に示す通り、各実施例の素錠に印刷された素錠は、蛍光灯が照射された室内環境下では識別することができなかった。さらに、室内環境下で素錠に対し紫外線を照射すると、各実施例の素錠に印刷された潜像領域Aの潜像では、当該紫外線が吸収された結果、黒色の印刷画像が目視で確認された。その一方、潜像が印刷されていない非潜像領域Bにおいては、照射した紫外線を励起光として可視光域の蛍光が発生するのが確認された。これにより、酸化チタンナノ粒子を含む潜像用水性インク組成物Aや、酸化亜鉛ナノ粒子を含む潜像用水性インク組成物Bを用いて潜像を印刷した各素錠においては、特に紫外線カメラ等の撮像装置を用いることなく、可視光が照射される通常の室内環境下で潜像を容易に識別できることが確認された。
10 固体製剤
11 インク層
A 潜像領域
B 非潜像領域

Claims (6)

  1. 表面の少なくとも一部に潜像が設けられた可食物の検査方法であって、
    前記可食物は、
    波長域が200nm以上400nm未満の範囲の紫外線を吸収するインク層により前記潜像が形成された潜像領域と、
    前記波長域の紫外線の照射により可視光域の蛍光を発する非潜像領域とを少なくとも有するものであり、
    前記潜像領域及び非潜像領域に前記波長域の紫外線を少なくとも含む照射光を照射することにより、前記非潜像領域で前記蛍光を発生させると共に、前記潜像領域のインク層で前記紫外線を吸収させることにより、当該潜像領域の潜像を顕像化する顕像化工程と、
    前記顕像化工程で顕像化された潜像を、目視で、又は受光波長が可視光域の撮像手段により撮像して検査する検査工程とを含む可食物の検査方法。
  2. 前記顕像化工程は、前記照射光として波長域が200nm以上400nm未満の範囲の紫外線のみを用いる工程である請求項1に記載の可食物の検査方法。
  3. 前記可食物のインク層が、顔料としての酸化チタン粒子及び/又は酸化亜鉛粒子を少なくとも含む請求項1又は2に記載の可食物の検査方法。
  4. 前記可食物のインク層が、水性インクからなる乾燥前又は乾燥後の塗膜である請求項1〜3の何れか1項に記載の可食物の検査方法。
  5. 前記可食物のインク層が可視光に対し光透過性を有する請求項1〜4の何れか1項に記載の可食物の検査方法。
  6. 前記顕像化工程の照射光に含まれる紫外線の波長が、前記インク層で吸収される紫外線の波長と少なくとも重複する請求項1〜5の何れか1項に記載の可食物の検査方法。

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