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JP2019001200A - 自動傾斜車両 - Google Patents

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JP2019001200A
JP2019001200A JP2017115085A JP2017115085A JP2019001200A JP 2019001200 A JP2019001200 A JP 2019001200A JP 2017115085 A JP2017115085 A JP 2017115085A JP 2017115085 A JP2017115085 A JP 2017115085A JP 2019001200 A JP2019001200 A JP 2019001200A
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有司 滝
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Abstract

【課題】段差に乗り上げる前輪の支持荷重を、車両の傾斜に伴う横方向の荷重移動によって低下させることにより、従来に比して前輪が段差を乗り越す性能が改善された自動傾斜車両を提供する。【解決手段】横方向に隔置された一対の前輪と、一対の前輪を車体に対し互いに逆方向へ上下動させることにより車両を傾斜させるよう構成された車両傾斜装置と、制御装置とを含む自動傾斜車両であり、制御装置は、車両の横加速度を推定し、推定された車両の横加速度に応じて車両の目標傾斜角を演算し、目標傾斜角になるように車両の傾斜角を制御するよう構成されており、車両には運転者により操作される段差スイッチが設けられ、制御装置は、段差スイッチがオンにされると、運転者による操舵操作量に応じて予め設定された傾斜角になるように車両の傾斜角を制御するよう構成されている。【選択図】図3

Description

本発明は、旋回時に自動的に旋回内側へ傾斜(リーン)する自動傾斜車両に係る。
自動傾斜車両は、車両傾斜装置を有し、旋回時に車両傾斜装置によって自動的に旋回内側へ傾斜される。例えば、下記の特許文献1には、横方向に隔置された一対の前輪と、一つの後輪と、揺動型の車両傾斜装置と、車両傾斜装置を制御する制御装置とを含む自動傾斜車両が記載されている。
車両傾斜装置は、揺動部材がアクチュエータによって揺動軸線の周りに揺動されることにより、一対のコネクティングロッドを介して一対の前輪、即ち左右の前輪を車体に対し互いに逆方向へ上下動させ、これにより車両を横方向へ傾斜させる。制御装置は、例えば操舵角及び車速に基づいて車両の横加速度を推定し、推定された横加速度に基づいて車両を安定的に旋回させるための車両の目標傾斜角を演算し、車両の傾斜角が目標傾斜角になるように車両を傾斜させるよう構成されている。
国際公開第2012/049724号
〔発明が解決しようとする課題〕
上記特許文献1に記載されているような自動傾斜車両においては、左右の前輪にインホイールモータが組み込まれ、インホイールモータにより走行用の駆動力が発生される。インホイールモータは車輪に組み込まれる大きさに制限されるため、それらが発生し得る駆動力も制限される。そのため、ガソリンエンジンなどを駆動源とする通常の車両が問題なく乗り越せる段差であっても、自動傾斜車両が乗り越せない場合がある。
本発明の主要な課題は、段差に乗り上げる前輪の支持荷重を、車両の傾斜に伴う横方向の荷重移動によって低下させることにより、従来に比して前輪が段差を乗り越す性能が改善された自動傾斜車両を提供することである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
本発明によれば、横方向に隔置された一対の前輪(12L、12R)と、一対の前輪を車体(24)に対し互いに逆方向へ上下動させることにより車両を傾斜させるよう構成された車両傾斜装置(18)と、制御装置(20)とを含む自動傾斜車両(10)であって、制御装置(20)は、車両の走行状況に基づいて車両旋回用の目標傾斜角(θt)を演算し、車両の傾斜角(θ)が車両旋回用の目標傾斜角になるように車両傾斜装置(18)を制御するよう構成された自動傾斜車両が提供される。
車両には運転者により操作される段差スイッチ(62)が設けられており、制御装置(20)は、段差スイッチがオンであるときには、車両の傾斜角(θ)が運転者による操舵操作量に応じて予め設定された段差乗り越し用の目標傾斜角(θst)になるように車両傾斜装置(18)を制御するよう構成される。
上記の構成によれば、段差スイッチがオフであるときには、車両の走行状況に基づいて車両旋回用の目標傾斜角が演算され、車両の傾斜角が車両旋回用の目標傾斜角になるように車両傾斜装置が制御される。これに対し、段差スイッチがオンであるときには、車両の傾斜角が運転者による操舵操作量に応じて予め設定された段差乗り越し用の目標傾斜角になるように車両傾斜装置が制御される。
よって、段差スイッチがオフの状態にて前輪が段差を乗り越すことが困難であるときには、運転者は段差スイッチをオンに切り替え、車両の傾斜に伴う横方向の荷重移動によって段差に乗り上げる前輪の支持荷重が低下するよう操舵操作することにより、前輪が段差に乗り上げ易くすることができる。従って、段差スイッチが設けられておらず、車両の傾斜角が車両旋回用の目標傾斜角になるように制御される従来の自動傾斜車両に比して、前輪が段差を乗り越す性能を改善することができる。
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いられた符号が括弧書きで添えられている。しかし、本発明の各構成要素は、括弧書きで添えられた符号に対応する実施形態の構成要素に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。また、本願において、「前後方向」及び「横方向」は、それぞれ車両の前後方向及び車両の横方向であり、「前方」及び「後方」は、それぞれ車両の前後方向についての前方及び後方である。
本発明による自動傾斜車両の実施形態を、車両の後方から見た状態にて示す背面図である。 前輪が上下変位の中立位置にある状況について、実施形態の自動傾斜車両を車両の左側から見た状態にて示す側面図である。 実施形態における車両の傾斜角の制御ルーチンを示すフローチャートである。 操舵角δ及び車速Vに基づいて段差乗り越し時の車両の目標傾斜角θstを演算するためのマップである。 車両が左方へ傾斜されたときの左右前輪の位置の変化を示す平面図である。 車両が右方へ傾斜されたときの左右前輪の位置の変化を示す平面図である。 車両が左方へ傾斜されて右前輪が段差に乗り上げる直前の状況を示す側面図(A)、及び車両が左方へ傾斜されて右前輪が段差に乗り上げ始めた状況を示す側面図(B)である。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1及び図2において、本発明の実施形態にかかる自動傾斜車両10は、非操舵駆動輪である一対の前輪12L及び12Rと、操舵従動輪である一つの後輪14とを含む三輪車両である。前輪12L及び12Rは、横方向に互いに隔置され、それぞれ対応する車輪キャリア16L及び16Rにより回転軸線15L及び15Rの周りに回転可能に支持されている。自動傾斜車両10は、更に車両傾斜装置18及び電子制御装置20を含んでいる。なお、後輪14も駆動輪であってもよく、前輪よりもトレッドが小さい二つの車輪よりなっていてもよい。
実施形態においては、前輪12L及び12Rのキャンバは、ニュートラルキャンバであるが、ネガティブキャンバ又はポジティブキャンバであってもよい。後輪14は、前輪に対し後方に位置し、図には示されていないが、後輪サスペンションにより、車体24に対し上下方向に変位可能であると共に、車体24に対する横方向への変位及び傾斜が制限されるよう、支持されている。更に、後輪14は、操舵装置が運転者によるステアリングホイール17の操作量に応じて電子制御装置20によって制御されることにより、ステアバイワイヤ式に操舵されるようになっている。
図示の実施形態においては、図には示されていないが、車輪キャリア16L及び16Rは、駆動装置としてのインホイールモータを内蔵している。インホイールモータの回転方向及び出力は、運転者によるシフトレバー及びアクセルペダル(何れも図示せず)の操作に応じて電子制御装置20により制御される。前輪12L、12R及び後輪14の制動力は、図には示されていないが運転者によるブレーキペダルの操作に応じて作動する制動装置が、電子制御装置20によって制御されることにより制御される。
車輪キャリア16L及び16Rは、それぞれ対応するサスペンションアーム22L及び22Rにより、車体24に対し上下方向に変位可能であると共に、車体24に対する横方向への変位及び傾斜が制限されるよう、支持されている。図示のサスペンションアーム22L及び22Rは、それぞれ一対のジョイント26L及び26Rにより前端にて車輪キャリア16L及び16Rに一体的に連結され、後端にてジョイント28L及び28Rにより車体24に連結されたリーディングアームである。
一対のジョイント26L及び26Rは、それぞれ前後方向に隔置され例えば実質的に上下方向に延在する軸線を有するゴムブッシュ装置のようなジョイントであってよい。ジョイント28L及び28Rは、それぞれ例えば実質的に横方向に延在する軸線29L及び29Rを有するゴムブッシュ装置のようなジョイントであってよい。軸線29L及び29Rの位置は、車両の横方向に見て前輪12L及び12Rの上下変位の瞬間中心の位置である。なお、車輪キャリア16L及び16Rに関する上記要件が満たされる限り、サスペンションアーム22L及び22Rは、トレーリングアーム、アッパアーム及びロアアームの組合せのような他のアームであってもよい。
車両傾斜装置18は、僅かに後傾して前後方向に延在する揺動軸線34の周りに揺動する揺動部材36と、揺動軸線34の周りに揺動部材36を揺動させるアクチュエータ38と、一対のコネクティングロッド40L及び40Rとを含んでいる。なお、図1においては、説明の便宜上、電子制御装置20は車両傾斜装置18の上方に図示されているが、例えば前輪12L及び12Rの間に設けられた内部構造体41内に収容されていてよい。
コネクティングロッド40L及び40Rは、揺動軸線34に対し横方向両側において実質的に上下方向に延在し、それぞれ上端にてジョイント42L及び42Rにより揺動部材36の対応する外端に枢動可能に連結されている。なお、ジョイント42L及び42Rは、実質的に車両前後方向に延在する軸線を有するゴムブッシュ付の枢軸ピンを含むジョイントであることが好ましいが、ボールジョイントのようなジョイントであってもよい。図示のコネクティングロッド40L及び40Rは直線状をなしているが、少なくとも部分的に湾曲していてもよい。
更に、コネクティングロッド40L及び40Rは、それぞれ下端にてボールジョイントのようなジョイント44L及び44Rにより車輪キャリア16L、16Rに枢動可能に連結されている。ジョイント44L及び44Rの中心の横方向の間隔は、ジョイント42L及び42Rの中心の横方向の間隔よりも大きい。なお、上下方向に延在する一対の補助アームが設けられ、それらの補助アームの下端が対応するサスペンションアーム22L及び22Rに固定されている場合には、コネクティングロッド40L及び40Rは、対応する補助アームの上端に枢動可能に連結されてもよい。その場合には、コネクティングロッド40L、40Rの下端は、それぞれ対応する補助アーム及びサスペンションアーム22L、22Rを介して車輪キャリア16L、16Rに一体的に連結される。
揺動部材36は、揺動軸線34の周りに回転可能なボス部36Bと、ボス部36Bと一体をなしボス部36Bから互いに逆方向へ延在するアーム部36AL及び36ARとを有し、揺動軸線34の周りに揺動可能なスイングアーム部材として機能する。アーム部36AL及び36ARの有効長さ、即ち軸線34とジョイント42Lの中心との間の距離及び軸線34とジョイント42Rの中心との間の距離は同一である。
アクチュエータ38は、図には示されていない例えば直流ブラシレスモータなどの電動機及びハーモニックドライブ(登録商標)のような減速歯車装置を含む回転型の電動アクチュエータであってよい。アクチュエータ38の出力回転軸は後方へ突出し、出力回転軸の先端にボス部36Bが固定的に取り付けられており、これにより電動機の回転運動が揺動部材36へ揺動運動として伝達されるようになっている。なお、アクチュエータ38は、往復動型又は揺動型のアクチュエータであってもよく、前者の場合にはアクチュエータの往復動が運動変換機構により揺動運動に変換されて揺動部材36へ伝達されるようになっていてよい。
図2に示されているように、アクチュエータ38は、横方向に隔置され車体24に固定された一対のブラケット46の間に配置されている。アクチュエータ38は横方向に互いに離れるよう突出する一対の枢軸48を有し、枢軸48がブラケット46によって回転可能に支持されることにより、枢軸48の周りに揺動可能に支持されている。アクチュエータ38の前端部とその下方の車体24との間には、ショックアブソーバ50及びサスペンションスプリング(図示せず)が介装されている。よって、アクチュエータ38は、車体に対する横方向への変位及び傾斜が制限されるが、前端部及び後端部にて車体24に対し上下方向に変位可能であるよう、ショックアブソーバ50及びサスペンションスプリングを介して車体に連結されている。なお、サスペンションスプリングは例えば圧縮コイルばねのような弾性部材であってよい。
ショックアブソーバ50及びサスペンションスプリングは、サスペンションアーム22L及び22Rなどと共働して前輪サスペンション52を構成している。前輪12L、12R及び車両傾斜装置18は、車体24に対し上下方向へ相対変位可能であるが、車体に対する横方向への変位及び傾斜が制限されるよう、前輪サスペンション52により車体24から懸架されている。車両の走行時に生じる前輪12L、12Rと車体24との間の相対上下振動は、ショックアブソーバ50により減衰され、前輪12L、12Rが路面から受け車体24へ伝達される衝撃は、図には示されていないサスペンションスプリングによって緩和される。
図には示されていないが、揺動部材36が揺動軸線34の周りに揺動すると、コネクティングロッド40L及び40Rが互いに逆方向へ上下動することにより、前輪12L及び12Rが車体24に対し互いに逆方向へ上下動し、これにより車両10が横方向へ傾斜する。特に、揺動部材36は旋回内側のコネクティングロッドが上昇し旋回外側のコネクティングロッドが下降するように揺動し、これにより車両10は旋回内側へ傾斜する。
前輪12L及び12Rは、上下動する際にはそれぞれジョイント28L及び28Rの軸線29L及び29Rの周りに回動するので、前輪12L及び12Rの回転軸線15L及び15Rは、図2において一点鎖線64にて示された軌跡を描く。前輪12L及び12Rは、上方へ移動する際には図2に示された中立の位置に対し後方へ変位し、逆に下方へ移動する際には図2に示された中立の位置に対し前方へ変位する。
車両10の傾斜角θは、ジャイロスコープのような傾斜角センサ56により検出されるようになっており、車両の傾斜角θを示す信号は、電子制御装置20へ入力される。なお、傾斜角θは、揺動部材36の揺動角が0で、中心平面30が鉛直方向と一致するときに0になり、車両10が左方向へ傾斜するときに正の値になる。更に、車両10の傾斜角θは、車体24のロール角(図示せず)と実質的に同一であるので、車体のロール角がロール角センサにより車両10の傾斜角θとして検出されてもよい。
アクチュエータ38の電動機46には、該電動機の回転角度φを検出するロータリエンコーダのような回転角センサ58が設けられており、回転角度φを示す信号は、電子制御装置20へ入力される。なお、回転角センサ58により検出される回転角φは、揺動部材36の揺動角が0のときに0になり、車両10が左方向へ傾斜するよう揺動部材36が揺動するときに正の値になる。
車両10には、操舵角センサ60及び運転者により操作される段差スイッチ62が設けられている。操舵角センサ60により検出された操舵角δを示す信号及び段差スイッチ62がオンであるか否かを示す信号は、電子制御装置20へ入力される。なお、図1には示されていないが、電子制御装置20には、アクセルポジションセンサからアクセルポジションを示す信号が入力され、シフトポジションセンサからシフトポジションを示す信号が入力される。更に、電子制御装置20には、踏力センサからブレーキペダル(図示せず)に対する踏力を示す信号が入力され、車速センサから車速Vを示す信号が入力される。
車両10の傾斜角は、電子制御装置20によって車両傾斜装置18のアクチュエータ38が制御されることにより制御される。車両10の通常の走行時には、電子制御装置20は、操舵角δ及び車速Vに基づいて車両の推定横加速度Gyhを演算し、推定横加速度に基づいて車両10の旋回用の目標傾斜角θtを演算する。電子制御装置20は、目標傾斜角θtに基づいてアクチュエータ38の電動機の目標回転角φtを演算し、電動機の回転角φが目標回転角になるように電動機を制御する。更に、電子制御装置20は、操舵角δ及び車速Vに基づいて後輪14の目標転舵角を演算し、後輪の転舵角が目標転舵角になるよう、図には示されていない転舵アクチュエータを制御することにより、後輪14をステアバイワイヤ式に転舵する。
車両10が段差を乗り越す際には、運転者は必要に応じて段差スイッチ62を操作する。段差スイッチ62がオンであるときには、電子制御装置20は、通常の走行時とは異なり、操舵角δ及び車速Vに基づいて車両10の段差乗り越し用の目標傾斜角θstを演算する。更に、電子制御装置20は、目標傾斜角θstに基づいてアクチュエータ38の電動機の目標回転角φstを演算し、電動機の回転角φが目標回転角φstになるように電動機を制御する。
電子制御装置20は、例えばCPU、ROM、RAM及び入出力ポート装置を有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータを含んでいてよい。電子制御装置20は、図3に示されたフローチャートに従って車両10の傾斜角を制御する。図3に示されたフローチャートに対応する制御プログラムは、ROMに格納されており、車両10の傾斜角は、制御プログラムに従ってCPUにより制御される。
次に、図3に示されたフローチャートを参照して車両10の傾斜角の制御について説明する。図3に示されたフローチャートによる制御は、図には示されていないイグニッションスイッチがオンであるときに所定の時間毎に繰返し実行される。
まず、ステップ10においては、傾斜角センサ56により検出された車両10の傾斜角θを示す信号などの読み込みが行われる。
ステップ20においては、段差スイッチ62がオンであるか否かの判別、即ち運転者が段差を乗り越すための車両の傾斜角の制御を希望しているか否かの判別が行われる。肯定判別が行われたときには傾斜角の制御はステップ40へ進み、否定判別が行われたときには傾斜角の制御はステップ30へ進む。
ステップ30においては、車両10の通常走行時の傾斜角θの制御が行われる。即ち、操舵角δ及び車速Vに基づいて車両の推定横加速度Gyhが演算され、推定横加速度に基づいて車両10の旋回用の目標傾斜角θtが演算され、目標傾斜角に基づいてアクチュエータ38の電動機の目標回転角が演算され、電動機の回転角が目標回転角になるように電動機が制御される。なお、車両の通常走行時の傾斜角θの制御は、本発明の要旨をなすものではなく、当技術分野において公知の任意の要領にて行われてよい。
ステップ40においては、操舵角δ及び車速Vに基づいて図4において実線にて示されたマップが参照されることにより、車両の段差乗り越し用の目標傾斜角θstが演算される。図4に示されているように、目標傾斜角θstは、操舵角δの絶対値が第一の基準値δ1(正の定数)以下であるときには0であり、操舵角δの絶対値が第一の基準値δ1よりも大きい第二の基準値δ2以上であるときには正の一定の最大値である。操舵角δの絶対値が第一の基準値δ1と第二の基準値δ2との間の値であるときには、目標傾斜角θstは操舵角δの絶対値が大きくなるにつれて大きくなる。
図1、図5及び図6に示されているように、車両10の重心66は、前輪12L及び12Rの僅かに後方且つ後輪14の前方にて車両の中心平面30内に位置する。車両10が傾斜しても転倒しないためには、車両の重心から路面に下した垂線の足が、前輪12L、12R及び後輪14の接地点Pfl、Pfr及びPrを結ぶ三角形68の内側に位置していなければならない。目標傾斜角θstの最大値が設定されているのは、車両の傾斜角を制御する際に垂線の足が三角形68の外に出ることがないよう、車両の傾斜角を制限するためである。なお、車速Vが高いほど、前輪が段差に衝当することの反力に起因して車両の傾斜角が増大され易いので、目標傾斜角θstの最大値の絶対値及び第二の基準値δ2は車速Vが高いほど小さい。
ステップ50においては、車両10の傾斜角θと目標傾斜角θstとの偏差θ−θstを0にするための揺動部材36の目標揺動角φstが演算される。
ステップ60においては、目標揺動角φstを達成するためのアクチュエータ38の電動機の目標回転角φmtが演算される。更に、電動機の回転角φmが目標回転角φmtになるよう電動機が制御されることにより、揺動部材36の揺動角φが目標揺動角φstになるよう制御され、これにより車両10の傾斜角θが段差乗り越し用の目標傾斜角θstになるよう制御される。
以上の説明から解るように、段差スイッチ62がオフであり運転者が段差を乗り越すための車両の傾斜角の制御を希望していないときには、ステップ20において否定判別が行われるので、ステップ30において車両10の通常走行時の傾斜角θの制御が行われる。よって、車両10を旋回内側へ傾斜させて、車両を安定的に旋回させることができる。
これに対し、段差スイッチ62がオンであり運転者が段差を乗り越すための車両の傾斜角の制御を希望しているときには、ステップ20において肯定判別が行われるので、ステップ40〜60が実行される。即ち、ステップ40において、操舵角δの絶対値が大きいほど大きく、車速Vが高いほど小さくなるよう、段差乗り越し用の車両の段差乗り越し用の目標傾斜角θstが演算され、ステップ50及び60において、車両10の傾斜角θが目標傾斜角θstになるようアクチュエータ38が制御される。
ステアリングホイール17が左旋回方向へ操舵され、車両10が左方へ傾斜される場合には、図5に示されているように、左前輪12Lが上方へ移動し右前輪12Rが下方へ移動するので、右前輪12Rが左前輪12Lに対し前方に位置する。また、車両10は後輪14が転舵されることにより実線の矢印にて示されているように左旋回し、車両は段差70に対し左向きに傾斜する。よって、このことによっても右前輪12Rが左前輪12Lよりも段差70に近くなる。車両の重心66は、破線の矢印にて示されているように路面における車両の中心平面30′に対し左方に位置するので、右前輪12Rの支持荷重Wfrが低減され、左前輪12Lの支持荷重Wflが増大される。
逆に、ステアリングホイール17が右旋回方向へ操舵され、車両10が右方へ傾斜される場合には、図6に示されているように、左前輪12Lが下方へ移動し右前輪12Rが上方へ移動するので、左前輪12Lが右前輪12Rに対し前方に位置する。また、車両10は後輪14が転舵されることにより実線の矢印にて示されているように右旋回し、車両は段差70に対し右向きに傾斜する。よって、このことによっても左前輪12Lが右前輪12Rよりも段差70に近くなる。車両の重心66は、路面における車両の中心平面30′に対し右方に位置するので、左前輪12Lの支持荷重Wflが低減され、右前輪12Rの支持荷重Wfrが増大される。
車両10の目標傾斜角θstは、操舵角δの絶対値が大きいほど大きい。よって、車両10の傾斜に伴う左右前輪の前後方向の変位量及び左右前輪の支持荷重の変化量は、操舵角δの絶対値が大きいほど大きい。また、車両10の目標傾斜角θstは、車速Vが低いほど大きい。よって、車両10の傾斜に伴う左右前輪の前後方向の変位量及び左右前輪の支持荷重の変化量は、車速Vが低いほど大きい。
図7(A)に示されているように、右前輪12Rが段差70に乗り上げる前の状況においては、右前輪12Rの駆動力Ffrの路面72からの反力として右前輪12Rに駆動力Ffrrが作用する。しかし、図7(B)に示されているように、右前輪12Rが段差70に乗り上げて路面72から離脱すると、路面72からの反力としての駆動力Ffrrは右前輪12Rに作用しなくなる。右前輪12Rの駆動力Ffrは段差70の角部Pに作用し、右前輪12Rは角部Pからの反力Ffrrを受ける。
右前輪12Rが段差70に乗り上げるためには、右前輪12Rは角部Pに対し滑ることなく角部Pの周りに図7(A)で見て時計回り方向へ回転しなければならない。反力Ffrrは右前輪12Rを角部Pの周りに回転させるトルクを発生させることができないので、右前輪12Rの回転軸線15Rに作用する左前輪12Lの駆動力Fflの反力Fflrによって必要なトルクが発生されなければならない。必要なトルクを発生させるためには、反力Fflrによる角部Pの周りの時計回り方向のトルクが、右前輪12Rの回転軸線15Rに作用する支持荷重Wfrに起因する反時計回り方向のトルクに打ち勝たなければならない。
よって、下記の式(1)が成立しなければならない。同様に、左前輪12Lが段差70に乗り上げるためには、下記の式(2)が成立しなければならない。なお、下記の式(1)及び(2)において、Rは右前輪12R及び左前輪12Lの半径であり、Hは路面72に対する段差70の高さである。角度αは車輪の回転軸線と段差70の角部Pとを結ぶ線分が上下方向に対しなす角度である。
Fflr>(Wfr・R・sinα)/(R−H) (1)
Ffrr>(Wfl・R・sinα)/(R−H) (2)
式(1)及び(2)から、左右前輪の一方が段差に乗り上げるために必要な左右反対の前輪の駆動力は、段差に乗り上げる車輪の支持荷重が低いほど小さいことが解る。よって、左右前輪の駆動力が制限されている状況において左右前輪の一方が段差に乗り上げるためには、当該車輪の支持荷重を低下させることが有用である。左右前輪の一方が段差に乗り上げる状況においては、当該一方の前輪が段差の乗り上げを実質的に完了し自らの駆動力によって前進することができるようになるまで、左右反対の前輪の駆動力の反力が当該一方の前輪に駆動力として作用することが好ましい。そのためには、一方の前輪とは左右反対の前輪が、一方の前輪に対しできるだけ進行方向遅れ側に位置していることが好ましい。
実施形態によれば、段差乗り越し時の車両の目標傾斜角θstが、操舵角δ及び車速Vに基づいて演算され、車両10の傾斜角θが目標傾斜角θstになるようアクチュエータ38が制御される。傾斜側の前輪が左右反対の前輪に対し後方に位置するよう、左右前輪が前後方向に移動され、傾斜に伴う横方向の荷重移動により、傾斜側とは左右反対の前輪、即ち前方側に位置する前輪の支持荷重が低減される。更に、車両は傾斜される方向と同一の方向へ旋回し、段差70までの左右前輪の距離の差が大きくなる。
従って、段差乗り越し時の車両の傾斜角の制御が行われない場合に比して、車両が段差を乗り越し易くすることができる。また、運転者は、車両10の通常走行によっては段差を乗り越すことができない場合に、段差スイッチ62をオンに切り替え、必要な操舵操作を行うだけでよい。
なお、左右前輪のうちの先行する車輪が段差に乗り上げると、当該車輪とは左右反対の車輪が段差に乗り上げる際に、先行する車輪の駆動力の反力が左右反対の車輪に駆動力として与えられる。また、先行する車輪が段差に乗り上げた後に操舵角が例えば0になるよう低減され、或いは操舵方向が反転されると、左右前輪の前後方向の位置の差が減少するので、遅れ側の車輪は先行する車輪に近づくよう移動される。この場合、操舵方向が反転されると、遅れ側の車輪の支持荷重が減少し、当該車輪が段差に乗り上げ易くなるので、先行する車輪が段差に乗り上げた後に操舵方向が反転されることが好ましい。
また、実施形態によれば、段差乗り越し時の車両の目標傾斜角θstは、操舵角δの絶対値が大きいほど大きい値に演算される。よって、車両10の傾斜に伴う左右前輪の前後方向の変位量及び左右前輪の支持荷重の変化量は、操舵角δの絶対値が大きいほど大きい。従って、運転者は目測により段差の高さを判定し、その判定結果に応じて操舵操作によって操舵角δを制御することにより、段差の高さに応じて左右前輪の前後方向の変位量及び左右前輪の支持荷重の変化量を適宜に制御することができる。
更に、実施形態によれば、車両10の目標傾斜角θstは、車速Vが高いほど小さい値に演算される。よって、車両10の傾斜に伴う左右前輪の前後方向の変位量及び左右前輪の支持荷重の変化量は、車速Vが高いほど小さい。よって、車速Vが低いときには、左右前輪の前後方向の変位量及び左右前輪の支持荷重の変化量を大きくして車両が段差を乗り越し易くすることができる。逆に、車速Vが高いときには、左右前輪の前後方向の変位量及び左右前輪の支持荷重の変化量を小さくし、車両が段差を乗り越す際に先行する前輪が段差から受ける衝撃荷重に起因して車両の傾斜角が過大になる虞を低減することができる。
以上においては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば、上述の実施形態においては、車両傾斜装置18は、揺動部材36が揺動軸線34の周りに揺動され、揺動部材36の揺動が一対のコネクティングロッド40L及び40Rにより左右の前輪12L及び12Rへ伝達されるようになっている。しかし、車両傾斜装置は、左右の前輪を逆相にて車体24に対し上下動させることができる限り、当技術分野において公知の任意の構成を有していてよい。
また、上述の実施形態においては、目標傾斜角θstの最大値の絶対値及び第二の基準値δ2は車速Vが高いほど小さいが、目標傾斜角θstの最大値の絶対値及び第二の基準値δ2の少なくとも一方は、車速Vに関係なく一定の値であってもよい。また、車両10の目標傾斜角θstは、車速Vが高いほど小さくなるよう、車速Vに応じて可変設定される。しかし、目標傾斜角θstは、車速Vに関係なく、操舵角δの絶対値が大きいほど大きくなるよう、操舵角δの絶対値に応じて可変設定されるよう修正されてもよい。
また、上述の実施形態においては、左右前輪12L及び12Rの瞬間中心である軸線29L及び29Rは、それぞれ前輪12L及び12Rが中立位置にあるときの回転軸線15L及び15Rに対し後方且つ下方にある。しかし、左右前輪12L及び12Rの瞬間中心は、それらの前輪が中立位置にあるときの回転軸線15L及び15Rに対し前方且つ上方にあってもよい。その場合にも、前輪12L及び12Rは、上方へ移動する際には中立の位置に対し後方へ変位し、逆に下方へ移動する際には中立の位置に対し前方へ変位する。
また、上述の実施形態においては、操舵角δ及び車速Vに基づいて図4において実線にて示されたマップが参照されることにより、車両の段差乗り越し用の目標傾斜角θstが演算される。しかし、先行する車輪が段差に乗り上げると、車両は左右前輪の接地面の高さが異なることに起因して傾斜する。よって、遅れ側の車輪が段差に乗り上げる際に車両を先行する車輪の側へ傾斜させて遅れ側の車輪の支持荷重が効果的に低減されることが好ましい。従って、先行する車輪が段差に乗り上げた後で操舵方向が反転されたときには、段差乗り越し用の目標傾斜角θstは図4において破線にて示されたマップが参照されることにより、絶対値が大きい値に演算されるよう修正されてもよい。
更に、上述の実施形態においては、段差スイッチ60がオンであるときにも、後輪の操舵伝達比は段差スイッチ60がオフであるとき、即ち車両10の通常の走行時と同一である。しかし、前輪が段差を乗り越す際には、車両が傾斜されることにより、左右前輪の位置が前後方向にずらされ、前方側に位置する前輪の支持荷重が低減されればよく、後輪は必ずしも車両の通常走行時の操舵伝達比にて転舵されなくてもよい。よって、段差スイッチ60がオンであるときには、段差スイッチ60がオフであるときに比して、後輪の操舵伝達比が低下されてもよい。
また、例えば運転者により操作されるダイヤル式又はスライダ式の操作装置により、段差スイッチ60がオンであるときの後輪の操舵伝達比を可変設定することができるよう修正されてもよい。その場合、設定可能な後輪の操舵伝達比は、逆相操舵の領域を含んでいてもよい。
例えば車両の前後方向が段差に対し傾斜している場合には、段差から遠い側の車輪が車体に対し上昇するよう車両が傾斜されるので、旋回によって段差に対する車両の前後方向の傾斜角が小さくなるよう後輪が転舵される。よって、状況によっては、段差に対する前方側の前輪の傾斜角が小さくなり、当該車輪が段差から受ける横力が大きくなって却って段差に乗り上げ難くなる場合がある。このような状況において、後輪の操舵伝達比が逆相操舵の値に設定されれば、段差に対する前方側の前輪の傾斜角を大きくし、当該車輪が段差から受ける横力を低減することができる。
10…自動傾斜車両、12L,12R…前輪、16L,16R…車輪キャリア、18…車両傾斜装置、20…電子制御装置、24…車体、34…揺動軸線、36…揺動部材、38…アクチュエータ、40L,40R…コネクティングロッド、56…傾斜角センサ、58…回転角センサ、60…操舵角センサ、62…段差スイッチ

Claims (1)

  1. 横方向に隔置された一対の前輪と、一対の前輪を車体に対し互いに逆方向へ上下動させることにより車両を傾斜させるよう構成された車両傾斜装置と、制御装置とを含む自動傾斜車両であって、前記制御装置は、車両の走行状況に基づいて車両旋回用の目標傾斜角を演算し、車両の傾斜角が前記車両旋回用の目標傾斜角になるように前記車両傾斜装置を制御するよう構成された自動傾斜車両において、
    車両には運転者により操作される段差スイッチが設けられており、前記制御装置は、前記段差スイッチがオンであるときには、車両の傾斜角が運転者による操舵操作量に応じて予め設定された段差乗り越し用の目標傾斜角になるように前記車両傾斜装置を制御するよう構成された自動傾斜車両。

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