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JP2019000984A - 自己修復性フィルム - Google Patents

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JP2019000984A
JP2019000984A JP2015216253A JP2015216253A JP2019000984A JP 2019000984 A JP2019000984 A JP 2019000984A JP 2015216253 A JP2015216253 A JP 2015216253A JP 2015216253 A JP2015216253 A JP 2015216253A JP 2019000984 A JP2019000984 A JP 2019000984A
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film
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healing
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JP2015216253A
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陽明 森田
Takaaki Morita
陽明 森田
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Konica Minolta Inc
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Konica Minolta Inc
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    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J7/00Adhesives in the form of films or foils
    • C09J7/20Adhesives in the form of films or foils characterised by their carriers
    • C09J7/29Laminated material
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin

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Abstract

【課題】本発明の課題は、成形された場合であっても層間剥離の発生が抑制され、光学性能及び耐候性に優れた自己修復性フィルムを提供することである。
【解決手段】本発明の自己修復性フィルムRFは、機能性フィルム1と、機能性フィルム1上に設けられた自己修復層5と、機能性フィルム1と自己修復層5との間に設けられた成形密着層4と、を備え、成形密着層4が、紫外線安定性モノマーから選ばれる少なくとも1種と紫外線吸収性モノマーから選ばれる少なくとも1種とを含むモノマー組成物が重合したポリマーを含有し、表面自由エネルギーが50mN/m以上、表面自由エネルギーの水素結合成分が3mN/m以上であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、自己修復性フィルムに関する。特に、成形された場合であっても層間剥離の発生が抑制され、光学性能及び耐候性に優れた自己修復性フィルムに関する。
近年、自動車の窓ガラス、自動車用部材、建築用部材及びトラフ型太陽熱発電装置等の曲面形状体に沿って貼合させる積層フィルムにおいて、耐候性、熱成形容易性及び層間密着性等の向上が求められている。
これに対し、例えば、基材上に、電離放射線硬化性樹脂、光安定剤及び紫外線吸収剤等を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなる自己修復可能な表面保護層を設けることで、耐候性及び加工適性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
しかしながら、上記従来の技術のように自己修復層を最表面に配置する場合、防汚性の観点から当該自己修復層を低活性にする必要がある。したがって、フィルム製造時点においては自己修復層とその下層との密着性が良好であっても、加熱延伸等により成形された際に、低活性な自己修復層と下層との密着性が低減し、層間剥離が発生してしまうという問題がある。層間剥離が発生すると、成形後のフィルムの光学性能及び耐候性が低下してしまう。
特開2012−206375号公報 特開2012−206376号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、成形された場合であっても層間剥離の発生が抑制され、光学性能及び耐候性に優れた自己修復性フィルムを提供することである。
本発明に係る上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、機能性フィルムと、当該機能性フィルム上に設けられた自己修復層と、機能性フィルムと自己修復層との間に設けられた成形密着層とを備える自己修復性フィルムにおいて、成形密着層が、紫外線安定性モノマーから選ばれる少なくとも1種と紫外線吸収性モノマーから選ばれる少なくとも1種とを含むモノマー組成物が重合したポリマーを含有し、表面自由エネルギー及びその水素結合成分が所定の数値範囲を満たすので、成形された場合であっても層間剥離の発生が抑制され、光学性能及び耐候性に優れた自己修復性フィルムとすることができることを見いだした。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.機能性フィルムと、
前記機能性フィルム上に設けられた自己修復層と、
前記機能性フィルムと前記自己修復層との間に設けられた成形密着層と、を備え、
前記成形密着層が、紫外線安定性モノマーから選ばれる少なくとも1種と紫外線吸収性モノマーから選ばれる少なくとも1種とを含むモノマー組成物が重合したポリマーを含有し、表面自由エネルギーが50mN/m以上、表面自由エネルギーの水素結合成分が3mN/m以上であることを特徴とする自己修復性フィルム。
2.前記成形密着層と前記機能性フィルムとの表面自由エネルギーの水素結合成分の差が2mN/m以上であり、
前記成形密着層と前記自己修復層との表面自由エネルギーの水素結合成分の差が2mN/m以上であることを特徴とする第1項に記載の自己修復性フィルム。
本発明によれば、成形された場合であっても層間剥離の発生が抑制され、光学性能及び耐候性に優れた自己修復性フィルムを提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
成形密着層の表面自由エネルギーが50mN/m以上であることで、成形密着層の活性が高く、隣接する樹脂との結合力が高くなるため、成形された場合であっても、機能性フィルム及び自己修復層との密着性を高い状態に維持することができる。
また、水素結合力は、ファンデルワールス力や双極子間力と比較して強い結合力であり、成形密着層の表面自由エネルギーの水素結合成分が3mN/m以上であることで、延伸等の成形が施された際に、樹脂同士の結合が切断されることなく自己修復性フィルムが伸びることができるため、成形された場合であっても光学性能の低下を抑制することができる。
本発明の自己修復性フィルムの構成を示す概略断面図 (a)hを算出するための、除荷保持時間0秒での負荷試験力−押し込み深さ曲線、(b)hを算出するための、除荷保持時間60秒での負荷試験力−押し込み深さ曲線 機能性フィルムとして赤外線反射フィルムを具備する自己修復性フィルムの構成の一例を示した概略断面図 機能性フィルムとして赤外線反射フィルムを具備する自己修復性フィルムの構成の別の一例を示した概略断面図 機能性フィルムとしてフィルムミラーを具備する自己修復性フィルムの構成を示す概略断面図
本発明の自己修復性フィルムは、機能性フィルムと、前記機能性フィルム上に設けられた自己修復層と、前記機能性フィルムと前記自己修復層との間に設けられた成形密着層と、を備え、前記成形密着層が、紫外線安定性モノマーから選ばれる少なくとも1種と紫外線吸収性モノマーから選ばれる少なくとも1種とを含むモノマー組成物が重合したポリマーを含有し、表面自由エネルギーが50mN/m以上、表面自由エネルギーの水素結合成分が3mN/m以上であることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項2までの請求項に共通する又は対応する技術的特徴である。
また、本発明においては、前記成形密着層と前記機能性フィルムとの表面自由エネルギーの水素結合成分の差が2mN/m以上であり、前記成形密着層と前記自己修復層との表面自由エネルギーの水素結合成分の差が2mN/m以上であることが好ましい。これにより、成形された場合であっても歪みや微小なボイドが発生することがなく、残留歪みによる耐候性劣化とボイドによる光学性能劣化を防ぐことができ、結果として自己修復性フィルムの光学性能及び耐候性を更に向上させることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《本発明の自己修復性フィルムの概要》
本発明の自己修復性フィルムは、機能性フィルムと、当該機能性フィルム上に設けられた自己修復層と、機能性フィルムと自己修復層との間に設けられた成形密着層と、を備え、成形密着層が、紫外線安定性モノマーから選ばれる少なくとも1種と紫外線吸収性モノマーから選ばれる少なくとも1種とを含むモノマー組成物が重合したポリマーを含有し、表面自由エネルギーが50mN/m以上、表面自由エネルギーの水素結合成分が3mN/m以上であることを特徴とする。
《本発明の自己修復性フィルムの具体的な構成》
図1に本発明の自己修復性フィルムRFの最小構成を示す。
本発明の自己修復性フィルムRFは、基材フィルム2の少なくとも一方の面に光反射層3を有する機能性フィルム1の、光反射層3のある面に自己修復層5、及び機能性フィルム1と自己修復層5との間に成形密着層4を配置する構成である。
それぞれの各層間及び自己修復層5上には、図示はしないが必要に応じて機能性層が設けられていても良く、また、基材フィルム2の自己修復層5とは反対側の面に粘着層又は接着層が設けられて、自己修復性フィルムが他の基板に貼合されていても良い。
以下、各構成層について詳細に説明する。
〔1〕自己修復層
本発明に係る自己修復層は、修復度(A)が、0.02以上であることが好ましい。前記修復度(A)は、0.02〜0.90の範囲内であることが好ましく、0.20〜0.70の範囲内であることが好ましい。0.02以上であれば、自己修復層が本発明の自己修復性を発現することができ、0.90以下であれば、ハードコート性等の機械的膜強度に優れる。
ここで、修復度(A)は、押し込み深さ設定負荷−除荷試験によって定義される式によって求められる値であり、一例として、以下の方法によって求められる。
図2は、本実施形態に係る自己修復性フィルムを測定することによって得られる、押し込み深さで圧子を押し込んだときの負荷試験力−押し込み深さ曲線(押し込み深さ設定負荷−除荷試験により得られた曲線)の一例を示すグラフであり、h及びhを算出する。
図2(a)は、除荷保持時間0秒での負荷試験力−押し込み深さ曲線を表し、hを算出する。図2(b)は、除荷保持時間60秒での負荷試験力−押し込み深さ曲線を表し、hを算出する。
(押し込み深さ設定負荷−除荷試験)
ビッカース圧子及び稜線同士の角度が115度の三角錐圧子を用いた微小硬度計を用いて、自己修復性フィルム表面について、設定された押し込み深さhmax(μm)で圧子を押し込んだときの負荷試験力−押し込み深さ曲線を作成する。そして、自己修復性フィルムについて除荷保持時間0秒又は60秒で測定した際に求められる残留深さ(h、h)より、A=(h−h)/hmaxを算出する。以上の測定を試料の異なる箇所で5回行い、その平均値を求め、修復度(A)とする。
具体的な測定条件の一例としては、ダイナミック超微小硬度計DUH−211S(島津製作所社製)を用い、下記の測定条件で測定することができる。
圧子形状:三角錐圧子(稜間角115°)
測定環境:温度23℃、相対湿度50%
最大試験荷重:196.13mN
荷重速度:6.662mN/10秒
除荷速度:6.662mN/10秒
前記式で得られた修復度(A)の大きさは、自己修復性を示しており、0.02以上であれば、本発明でいう自己修復性を有するといえる。すなわち、残留深さhに対して残留深さhの値が小さく、その差が大きいほど、自己修復層の弾性が高いといえ、自己修復度が大きいことを表す。
前記押し込み深さ設定負荷−除荷試験の修復度(A)は、0.02〜0.90の範囲内であることが好ましく、0.20〜0.70の範囲内であることが好ましい。0.90を超えない範囲であるとハードコート性と自己修復度の両立を図ることができる。
このような修復度(A)は、自己修復層の材料及び層厚、並びに、自己修復層の下層(機能性フィルム又は成形密着層等)の材料及び厚さを適宜変更することによって、制御することができる。
(自己修復層の主な構成材料)
本発明に係る自己修復層は、紫外線や電子線のような活性線(活性エネルギー線ともいう。)照射により、架橋反応を経て硬化する活性線硬化性樹脂を主たる成分とする層であることが好ましい。
本発明に係る自己修復層に用いることのできる活性線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて活性線硬化性樹脂層が形成される。中でも自己修復性を発現できる観点から、エポキシ骨格を有する活性エネルギー線硬化型樹脂、又はアルキル鎖骨格又はアルキレンオキサイド骨格を有する活性エネルギー線硬化型樹脂が好ましい。
エポキシ骨格を有する活性エネルギー線硬化型樹脂としては例えばエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートとしては、下記(i)又は(ii)で示されるトリカルボン酸と、下記(iii)又は(iv)で示されるモノオキシラン環を有する(メタ)アクリレートとを反応させてなるものである。
(i)で示されるトリカルボン酸と(ii)で示されるトリカルボン酸とは、それぞれ単独で用いることができ、また併用することもできる。(iii)で示されるモノオキシラン環を有する(メタ)アクリレートと(iv)で示されるモノオキシラン環を有する(メタ)アクリレートとは、それぞれ単独で用いることができ、また併用することもできる。
(i):下記一般式(a)で表される脂肪族トリカルボン酸
Figure 2019000984
(一般式(a)中、Rは水素又はヒドロキシ基を表す。a、b及びdはそれぞれ独立に0〜8の整数、cは0〜9の整数を表し、0≦a+b+c+d≦9かつ〔a<d又は(a=dかつb≦c)〕である。)
(ii):トリメリット酸
(iii):下記一般式(b)で表されるモノオキシラン環を有する脂肪族(メタ)アクリレート
Figure 2019000984
(一般式(b)中、Rは水素又はメチル基を表し、nは1〜5の整数、mは1〜3の整数を表す。)
(iv):下記一般式(c)で表されるモノオキシラン環を有する脂環族(メタ)アクリレート
Figure 2019000984
(一般式(c)中、Rは水素又はメチル基を表し、sは1〜10の整数を表す。)
エポキシ(メタ)アクリレートはソフトセグメントとハードセグメントとのバランスが良く、外部応力を緩和しやすい特性が得られやすい。
(i)のトリカルボン酸としては、1,2,4−ブタントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=0、c=1及びd=0)、1,3,5−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=1、c=2及びd=0)、1,2,4−ペンタントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=0、c=1及びd=1)、1,2,5−ペンタントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=0、c=2及びd=0)、1,3,4−ペンタントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=1、c=0及びd=1)、1,2,5−ペンタントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=1、c=1及びd=0)、1,2,6−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=0、c=3及びd=0)、1,2,4−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=0、c=1及びd=2)、1,4,5−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=2、c=0及びd=1)、1,3,4−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=1、c=0及びd=2)、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=1、c=2及びd=0)、2,3,5−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=1、b=0、c=1及びd=1)、1,4,8−オクタントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=2、c=3及びd=0)、1,5,10−ノナントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=3、c=3及びd=0)、1,6,12−ドデカントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=4、c=5及びd=0)、クエン酸(Rはヒドロキシ基、a=b=c=d=0)等が挙げられる。
(ii)のトリメリット酸としては、1,2,4−トリメリット酸のほか、1,3,5−トリメリット酸及び1,2,3−トリメリット酸が挙げられる。
(iii)のモノオキシラン環を有する脂肪族(メタ)アクリレートとしては、4−ヒドロキシブチルアクリレートモノグリシジルエーテル〔4−HBAGE、一般式(b)においてn=4、m=1の化合物〕、2−ヒドロキシエチルアクリレートモノグリシジルエーテル〔2−HEAGE、一般式(b)においてn=2、m=1の化合物〕等が挙げられる。
(iv)の一般式(c)で表されるモノオキシラン環を有する脂環族(メタ)アクリレートとしては、脂環式エポキシ基含有アクリレート(s=6)等が挙げられる。
以下に、脂環式エポキシ基含有アクリレートの合成例を挙げる。
撹拌機、温度計及びコンデンサーを備えた四ツ口フラスコにトルエン415.8質量部、1,2,4−ブタントリカルボン酸(酸価:886)100質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレートモノグリシジルエーテル〔日本化成(株)製、4−HBAGE〕315.8質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部を仕込み100℃まで昇温した。その後、1,2,4−トリカルボン酸が完全に溶解したことを確認し、TPP(トリフェニルホスフィン)2質量部を仕込み、同温度で24時間保持して反応を終了した。その結果、固形分50質量%、酸価4.2mgKOH/g(固形分換算)のエポキシアクリレートが得られた。収率は96.1%であった。
アルキル鎖骨格又はアルキレンオキサイド骨格を有する活性エネルギー線硬化型樹脂としては、例えば、分子内に1個のヒドロキシ基及び3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜20モル付加して得られるアルキレンオキサイド骨格を有する(メタ)アクリレート(下記(P1))と、ポリイソシアネート(下記(P2))とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートを挙げることができる。
分子内に1個のヒドロキシ基及び3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、キシリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらのうち、分子内に1個のヒドロキシ基及び3〜5個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、キシリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。更に好ましくはペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートである。
付加重合に用いるアルキレンオキサイドの種類としては、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを使用することができる。具体例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらアルキレンオキサイドは、単独で用いても2種以上を併用しても良く、2種以上を併用する場合にはランダム状又はブロック状に付加重合しても良い。これらのうち、テトラヒドロフランが好ましく、アルキレンオキサイドの平均付加モル数は1〜20であり、2〜12であることが好ましい。
アルキレンオキサイド骨格を有する(メタ)アクリレート(P1)成分の製造方法としては、通常の開環重合と同様の方法で行うことができる。例えば、反応容器に分子内に1個のヒドロキシ基及び3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート及び触媒、必要に応じて重合禁止剤及び有機溶剤を仕込んだ後、反応容器内を窒素ガスなどの不活性ガスで置換し、アルキレンオキサイドを圧入して付加重合させる。反応温度としては通常−30〜120℃であり、好ましくは0〜80℃、より好ましくは20〜60℃である。−30℃より低い場合には反応速度が遅くなり、120℃より高い場合には副反応又は重合が進行し過ぎたり、生成物が着色したりするおそれがある。反応時間としては通常0.3〜20時間であり、より好ましくは1〜10時間である。
ポリイソシアネート(P2)は、分子内に少なくとも2個以上のイソシアネート基を含有する脂肪族、脂環式及び芳香族イソシアネートである。2官能イソシアネートの具体例としては、1,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂肪族及び脂環式ジイソシアネートが挙げられる。3官能イソシアネートの具体例としては、1,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどのジイソシアネートを重縮合してイソシアヌレート変性させたイソシアヌレート体、前記ジイソシアネートをアダクト変性させたアダクト体、前記ジイソシアネートとグリセリンやトリメチロールプロパンなどの三価アルコールをビウレット変性させたビウレット体が挙げられる。多官能イソシアネートの具体例としては、前記ジイソシアネートとポリオール又はポリアミンとの反応により得られるイソシアネート化合物が挙げられる。
これらのうち、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートモノマーを重縮合して変性した3官能イソシアネートが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂肪族及び脂環式ジイソシアネート及びこれらジイソシアネートのイソシアヌレート変性させた3官能イソシアネートがより好ましい。これらポリイソシアネートは、単独で用いても2種以上を併用しても良い。
以下に、合成例を挙げる。
撹拌装置、温度計、圧力ゲージを備えたステンレス製オートクレーブに、ペンタエリスリトールトリアクリレート(以下、「PE3A」という。)/ペンタエリスリトールテトラアクリレート(以下、「PE4A」という。)混合物(質量比で70/30の混合物、ヒドロキシ基価:137mgKOH/g)307質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、四塩化スズ3.2質量部を投入し、反応系内を窒素ガスで置換した。次に、エチレンオキサイド(以下、「EO」という。)100質量部を45℃にてゲージ圧が0.1〜0.3MPaとなるよう維持しながら3時間かけて導入し、同温度で2時間反応を継続した。更に、45℃にて減圧して30分間保持した後、常圧に戻して冷却することにより粘調性液体402質量部を得た。その後、吸着剤(キョーワード1000:協和化学工業(株)製)を投入し、空気を吹き込みながら70℃にて撹拌した後、吸着剤を濾別することにより粘調性液体370部を得た。得られた粘調性液体のヒドロキシ基価は106mgKOH/gであり、ヒドロキシ基価から算出すると、PE3AにEOが3モル付加した数平均分子量430の(メタ)アクリレートが得られ、PE3AのEO3モル付加物/PE4A混合物の質量比は77/23であった。
また、活性線硬化性樹脂としては、上記した樹脂以外に、紫外線硬化性アクリレート系樹脂、紫外線硬化性ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化性ポリオールアクリレート系樹脂、及び紫外線硬化性エポキシ樹脂等を挙げることができる。
中でも、本発明に係る自己修復層には、他の活性線硬化性樹脂としてポリロタキサンを用いることができる。当該ポリロタキサンの市販品として、例えばSM3405P、SM1315P、SA3405P、SA2405P、SA1315P、SM3400C、SA3400C、SA2400C(以上、アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製)等を好ましく用いることができる。
更に、熱硬化性樹脂ではあるが同様にポリロタキサンの市販品として、例えばSH3400P、SH2400P、SH1310P、熱硬化性エラストマーとして、例えばSH3400S、SH3400M(以上、アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製)等を好ましく用いることもできる。
(光重合開始剤)
また、自己修復層には、活性線硬化性樹脂の硬化促進のため、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤量としては、質量比で、光重合開始剤:活性線硬化性樹脂=20:100〜0.01:100で含有することが好ましい。光重合開始剤としては、具体的には、具体的には、アルキルフェノン系、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及び、これらの誘導体を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
このような光重合開始剤は市販品を用いても良く、例えば、BASFジャパン(株)製のイルガキュア184、イルガキュア907、イルガキュア651等が好ましい例示として挙げられる。
(添加剤)
自己修復層には、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アニオン界面活性剤、フッ素−シロキサングラフト化合物、フッ素系化合物、アクリル共重合物等の添加剤を含有させても良い。
(微粒子)
自己修復層表面の滑り性を高めるため、必要に応じて微粒子(マット剤)を更に含有しても良い。
微粒子は、無機微粒子であっても有機微粒子であっても良い。無機微粒子の例には、二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムなどが含まれる。中でも、二酸化ケイ素や酸化ジルコニウムが好ましく、得られるフィルムのヘイズの増大を少なくするためには、より好ましくは二酸化ケイ素である。
二酸化ケイ素の微粒子の例には、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600、NAX50(以上日本アエロジル(株)製)、シーホスターKE−P10、KE−P30、KE−P50、KE−P100(以上、日本触媒(株)製)などが含まれる。中でも、アエロジルR972V、NAX50、シーホスターKE−P30などが、得られる自己修復層の濁度を低く保ちつつ、摩擦係数を低減させるため特に好ましい。
微粒子の一次粒子径は、5〜50nmの範囲であることが好ましく、7〜20nmの範囲であることがより好ましい。一次粒子径が大きい方が、滑り性を高める効果は大きいが、透明性が低下しやすい。そのため、微粒子は、粒子径0.05〜0.3μmの範囲の二次凝集体として含有されていても良い。微粒子の一次粒子又はその二次凝集体の大きさは、透過型電子顕微鏡にて倍率50〜200万倍で一次粒子又は二次凝集体を観察し、一次粒子又は二次凝集体100個の粒子径の平均値として求めることができる。
微粒子の含有量は、自己修復層を形成する樹脂に対して0.05〜1.0質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜0.8質量%の範囲であることがより好ましい。
(溶剤)
自己修復層は、上記した成分を、溶剤で希釈して自己修復層組成物として、以下の方法で後述する成形密着層を介して機能性フィルム上に塗布、乾燥、硬化して形成されることが好ましい。
溶剤としては、ケトン(メチルエチルケトン、アセトンなど)及び/又は酢酸エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、アルコール(エタノール、メタノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどが好ましい。自己修復層のドライ層厚は、平均層厚5〜30μmの範囲が好ましく、より好ましくは10〜20μmの範囲である。この範囲内であれば、自己修復性を発現することができ、耐傷性も向上する。
自己修復層の塗布方法としては、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等の公知の方法を用いることができる。
(自己修復層の形成方法)
自己修復層組成物を塗布後、乾燥し、硬化(活性線を照射(UV硬化処理ともいう。))し、更に必要に応じて、UV硬化後に加熱処理しても良い。UV硬化後の加熱処理温度としては80℃以上が好ましく、更に好ましくは100℃以上であり、特に好ましくは120℃以上である。このような高温でUV硬化後の加熱処理を行うことで、膜強度に優れた自己修復層を得ることができる。
乾燥は、前記塗布工程後15秒未満の間の乾燥温度が15〜70℃の範囲であり、15秒以上36秒未満の乾燥温度が60〜120℃の範囲であり、36秒以上40秒未満の乾燥温度が30〜80℃の範囲であることが望ましい。
照射条件は、それぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常30〜1000mJ/cmの範囲、好ましくは70〜300mJ/cmの範囲である。また、UV硬化処理では酸素による反応阻害を防止するため、酸素除去(例えば、窒素パージ等の不活性ガスによる置換。)を行うこともできる。酸素濃度の除去量を調整することで、表面の硬化状態を制御できる。
活性線を照射する際には、自己修復層の下地の層に張力を付与しながら行うと、平面性が向上し好ましい。
〔2〕成形密着層
本発明に係る成形密着層は、耐光性を向上する観点から、好ましくは紫外線安定性モノマーから選ばれる少なくとも1種と紫外線吸収性モノマーから選ばれる少なくとも1種とを含むモノマー組成物が重合したポリマーを含有する。
また、本発明に係る成形密着層は、表面自由エネルギーが50mN/m以上、表面自由エネルギーの水素結合成分が3mN/m以上である。
また、成形密着層と後述する機能性フィルムとの表面自由エネルギーの水素結合成分の差が2mN/m以上であり、成形密着層と上記自己修復層との表面自由エネルギーの水素結合成分の差が2mN/m以上であることが好ましい。これにより、自己修復性フィルムが成形された場合であっても歪みや微小なボイドが発生することがなく、残留歪みによる耐候性劣化とボイドによる光学性能劣化を防ぐことができ、結果として自己修復性フィルムの光学性能及び耐候性を更に向上させることができる。
本発明においては、自己修復性フィルムの機能性フィルム、成形密着層及び自己修復層の表面自由エネルギー及びその水素結合成分を次のように測定することができる。
測定装置:固液界面解析装置(DropMaster500、協和界面科学株式会社製)
測定方法:液滴法
環境 :温度23℃、55%RH
3種の標準液体:純水、ニトロメタン、ヨウ化メチレンと、被測定固体(機能性フィルム、成形密着層又は自己修復層)との接触角を、JIS R3257で規定される方法に準拠して前記標準液体を被測定固体上に約3μL滴下して、固液界面解析装置(DropMaster500、協和界面科学株式会社製)により5回測定し、測定値の平均から平均接触角を得る。接触角測定までの時間は試薬を滴下してから60秒後に測定する。
次に、Young−Dupreの式及び拡張Fowkesの式に基づき、固体の表面自由エネルギーの3成分を算出する。
この場合、表面自由エネルギー解析ソフトEG−11(協和界面科学株式会社製)を用いて計算することができる。
Young−Dupreの式:WSL=γL(1+cosθ)
SL:液体/固体間の付着エネルギー
γL:液体の表面自由エネルギー
θ:液体/固体の接触角
拡張Fowkesの式:
SL=2{(γsdγL1/2+(γspγL1/2+(γshγL1/2
γL=γL+γL+γL:液体の表面自由エネルギー
γ=γsd+γsp+γsh:固体の表面自由エネルギー
γsd、γsp、γsh:表面自由エネルギーの分散、双極子、水素結合の各成分
標準液体の表面自由エネルギー各成分値(mN/m)は、表1のように既知であるので、接触角の値から3元連立方程式を解くことにより、被測定固体表面の表面自由エネルギー各成分値(γsd、γsp、γsh)を求めることができる。
Figure 2019000984
また、自己修復層の弾性領域を拡大するために、後述する加飾成型加工を行う前の成形密着層における未硬化モノマーの割合が、5質量%以上であることが好ましい。加飾成型加工する前の成形密着層における未硬化モノマーの割合は5〜80質量%の範囲内であることが好ましく、5〜60質量%の範囲内であることがより好ましい。5質量%以上にすることで緩衝性が高くなるため、曲面体に貼合する時の応力緩和が良好で、80質量%以下であれば自己修復層の塑性化を防ぐ上で、より効果的である。
また、加飾成型加工した後の前記成形密着層における前記未硬化モノマーの割合は、3質量%以下であることが好ましい。3質量%以下にすることで成形密着層が硬化し、外部応力がかかった時に成形密着層の変形を抑制することができ、光学反射率が劣化することを防ぐことができる。
成形密着層に用いることのできるポリマーは、紫外線安定性モノマーから選ばれる少なくとも1種と紫外線吸収性モノマーから選ばれる少なくとも1種とを含むモノマー組成物が重合した重合性アクリルポリマーであることが好ましく、成形密着層に当該化合物を用いることで、自己修復層に紫外線吸収剤や光安定剤を添加して用いることよりも、自己修復層の自己修復性及び耐傷性を高めながら、自己修復性フィルム全体の耐光性を向上することができる。
本発明でいう紫外線安定性モノマーは、一般にHALS(ヒンダードアミン系光安定剤)と呼称される化合物をいい、下記一般式(1)及び(2)で表される紫外線安定性モノマーであることが好ましく、当該モノマーから選ばれる少なくとも1種を含むモノマー組成物をラジカル重合してなるポリマーの側鎖に重合性二重結合を有することが好ましい。
Figure 2019000984
(一般式(1)中、Rは水素原子又はシアノ基を表す。R、Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基を表し、Xは酸素原子又はイミノ基を表す。)
Figure 2019000984
(一般式(2)中、Rは水素原子又はシアノ基を表す。R、Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。Xは酸素原子又はイミノ基を表す。)
また、本発明に係るポリマーは、モノマー組成物が下記一般式(3)、(4)で表される紫外線吸収性モノマー、及び(5)で表されるモノマーから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
Figure 2019000984
(一般式(3)中、Rは水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表す。Rは低級アルキレン基を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。Yは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の炭化水素基、低級アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基を表す。)
Figure 2019000984
(一般式(4)中、Rは炭素数2又は3のアルキレン基を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。)
Figure 2019000984
(一般式(5)中、R10は水素原子又はメチル基を表す。Zは置換基を有しても良いシクロアルキル基を表す。)
本発明に係る成形密着層に用いられる重合性アクリルポリマーは、一般式(1)及び(2)で表される紫外線安定性モノマーから選ばれる少なくとも1種と、官能基を有するモノマーとを含むモノマー組成物をラジカル重合して得られたポリマーに、該官能基と反応する官能基及び重合性二重結合を有する化合物を反応させて製造することが好ましい。
成形密着層に用いられる重合性アクリルポリマーは、上記特定構造の紫外線安定性モノマーを含有していることによって、優れた耐光性を示す。かかる作用については未だ十分には解明されていないが、おそらく、ピペリジン骨格のN−置換基が酸化されて生成するN−オキシラジカルによって、ポリマーの光開始反応で生じるアルキルラジカルが捕捉されることが当該作用の主ではないかと推測される。
また、従来と同様に重合可能な紫外線安定剤を使用することによって、紫外線安定剤の重合組成物からのブリードアウトといった問題を解消することもできる。更に、当該ポリマーは側鎖に重合性二重結合を有するので、自己架橋性ポリマーとなり、耐傷性に優れる。また、アクリルポリマーであることから、共重合されるモノマーの側鎖アルキル基の長さや芳香環の有無により物性バランスをとりやすい。
また、上記重合性アクリルポリマーは、一般式(3)、(4)で表される特定構造を有する紫外線吸収性モノマーを併用することにより耐光性の点において著しい相乗効果を奏する。また、特定構造の不飽和モノマーを更に含有しても良い。当該不飽和モノマーは、立体的に嵩高い置換基を持つために、電子線又は紫外線による硬化のような塗膜に内部ひずみを生じやすい硬化方法において、塗膜の内部ひずみを緩和させる効果があり、塗膜にクラックを生じさせることなく、長期耐光性が更に向上する。
本発明で用いられる一般式(1)、(2)の紫外線安定性モノマーにおいて、式中、Rで示される置換基は水素原子又はシアノ基で構成され、R、Rで示される置換基はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基で構成され、Rで示される置換基が水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基で構成され、Xで示される置換基が酸素原子又はイミノ基で構成されるピペリジン類である。
上記一般式(1)において、Rで示される置換基とは、具体的には水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基など鎖式炭化水素基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの脂環式炭化水素基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基などの芳香族炭化水素基などである。
前記一般式(1)で表される紫外線安定性モノマーとしては、具体的には4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられ、これらの1種のみを用いても良く、また2種以上を適宜混合して用いても良い。もちろん一般式(1)の紫外線安定性モノマーはこれら化合物に限定されるものではない。
前記一般式(2)で表される紫外線安定性モノマーとして、具体的には、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられ、これら1種のみを用いても良く、また2種以上を適宜混合して用いても良い。なお、一般式(2)の紫外線安定性モノマーはこれらに限定されるものではない。
本発明における前記一般式(3)で表される紫外線吸収性モノマーは、式中、Rは水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基で構成され、Rは低級アルキレン基で構成され、Rは水素原子又はメチル基で構成され、Yは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の炭化水素基、低級アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で構成されるベンゾトリアゾール類である。
上記一般式(3)において、Rで表される置換基は、具体的には水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などの鎖式炭化水素基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの脂環式炭化水素基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基などの芳香族炭化水素基である。Rで表される置換基は、具体的には炭素数1〜6のアルキレン基であって、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などの直鎖状アルキレン基及びイソプロピレン基、イソブチレン基、s−ブチレン、t−ブチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基などの分枝鎖状アルキレン基である。Yで表される置換基は、水素原子;フッ素原子、塩素原子、シュウ素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などの鎖式炭化水素基:シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの脂環式炭化水素基:フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基などの芳香族炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘプトキシ基など炭素数1〜6の低級アルコキシ基;シアノ基;ニトロ基である。
前記一般式(3)で表される紫外線吸収性モノマーとしては、具体的には2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチル−3′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾールなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。一般式(3)で表されるこれら紫外線吸収性モノマーは1種類のみを用いても良く、また2種類以上を適宜混合して用いても良い。
また、前記一般式(4)で表される紫外線吸収性モノマーは、式中、Rで表される置換基は炭素数2又は3のアルキレン基で構成され、Rで表される水素原子又はメチル基で構成されるベンゾトリアゾール類である。
上記一般式(4)において、Rで表される置換基は、具体的にはエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基などである。
前記一般式(4)で表される紫外線吸収性モノマーとしては、例えば、2−〔2′ヒドロキシ−5′−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)−3′−t−ブチルフェニル〕−4−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾールが挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。一般式(4)で表されるこれら紫外線吸収性モノマーは1種類のみを用いても良く、また2種類以上を適宜混合しても良い。
本発明に用いられる一般式(5)で表される不飽和モノマーは、式中、R10で示される置換基が水素原子又はメチル基で構成され、Zで示される置換基が置換基を有しても良いシクロアルキル基で構成される不飽和モノマーである。
上記一般式(5)において、Zで表される置換基は、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、シクロドデシル基などである。
本発明に用いられる一般式(5)で表される不飽和モノマーとしては、具体的には、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用できる。
本発明に用いられる重合性アクリルポリマーは、アクリル系モノマーを主たるモノマーとし、その他の共重合可能な不飽和モノマーとの共重合ポリマーであっても良い。
本発明で使用するアクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸などのアクリル系カルボン酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリルトリデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート(例えば、(株)ダイセル製「プラクセルFM」)、フタル酸とプロピレングリコールから得られるエステルジオールの(メタ)アクリル酸モノエステルなどのヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、2−スルホン酸エチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート及びその塩などのその他アクリル系モノマーなどを挙げることができ、これらの1種又は2種以上が使用される。これらの中でも、機能性フィルムとの密着性の点からイミド(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。
その他の共重合可能な不飽和モノマーとしては、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン含有不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族不飽和モノマー;酢酸ビニルなどのビニルエステル;ビニルエーテルなどが挙げられ、必要に応じてこれらの1種又は2種以上が使用できる。
各種モノマーの使用量は、特に限定されるものではないが、一般式(1)、(2)で表される紫外線安定性モノマーの合計使用量は、ポリマー組成物全量に対して0.1〜30質量%とすることが望まれる。より好ましい範囲について述べると、下限側として好ましくは0.5質量%、更に好ましくは1質量%である。他方上限側として好ましくは20質量%、更に好ましくは15質量%である。紫外線安定性モノマーの合計使用量がこの範囲内であれば、重合性アクリルポリマーの耐光性が十分となる。
一般式(3)、(4)で表される紫外線吸収性モノマーの合計使用量は、ポリマー組成物全量に対して0.1〜30質量%とすることが望まれる。より好ましい範囲について述べると、下限側として好ましくは0.5質量%、更に好ましくは1質量%である。他方上限側として好ましくは20質量%、更に好ましくは15質量%である。この範囲内であれば、紫外線安定性モノマーとの相乗効果が十分となり、耐光性も十分となる。また、着色の原因となるおそれもない。
一般式(5)で表される不飽和モノマーの使用量は、ポリマー組成物全量に対して5〜80質量%とすることが望まれる。より好ましい範囲について述べると、下限側として好ましくは10質量%、更に好ましくは15質量%である。他方上限側として好ましくは70質量%、更に好ましくは50質量%である。この範囲内であれば、硬化の際にクラックが生じにくく、耐光性が十分となり、硬化塗膜が脆くなるおそれもない。
本発明の重合性アクリルポリマーは、一般式(1)及び(2)で表される紫外線安定性モノマーから選ばれる少なくとも1種と、官能基を有するモノマーとを含むモノマー組成物をラジカル重合して得られたポリマーに、該官能基と反応する官能基及び重合性二重結合を有する化合物を反応させて製造することができる。
重合性二重結合を導入するために用いる官能基の具体例としては、エポキシ基、オキサゾリン基、イソシアネート基、酸アミド基(アミノカルボニル基)、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基等が挙げられる。これらの官能基を有する共重合可能なモノマーの具体例は、グリシジル(メタ)アクリレート、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、エチルイソシアネート(メタ)アクリレート、N−アクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、イタコン酸ジアミド、フマル酸アミド、フタル酸アミド、(メタ)アクリレート、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
重合性官能基を導入するために用いられる化合物の具体例としては、官能基がエポキシ基、オキサゾリン基の場合には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシ基を有する化合物;官能基がイソシアネート基の場合には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有モノマー;官能基がカルボキシ基の場合には、グリシジル(メタ)アクリレート、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマー、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有モノマー;官能基がヒドロキシ基の場合には、エチルイソシアネート(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有モノマー、(メタ)アクリレート、イタコン酸等のカルボキシ基含有モノマー;官能基が酸アミド基の場合には、グリシジル(メタ)アクリレート、4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基又はヒドロキシ基含有モノマー;官能基がアミノ基の場合には、(メタ)アクリル酸等のカルボキシ基含有モノマー等が挙げられる。
本発明のアクリルポリマーの二重結合当量は、200〜3000が好ましく、より好ましくは300〜1500、更に好ましくは350〜1000が良い。二重結合当量が3000以下であれば、硬度及び耐傷性が十分となる。200以上であると、経時的に硬化塗膜にクラックが生じにくく、耐光性が向上する。
また、モノマー成分を共重合させる際の重合方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の重合方法が採用され得る。例えば、溶液重合、分散重合、懸濁重合、乳化重合などの重合方法が使用できる。溶液重合法を用いてモノマー成分を重合させる場合に用いることができる溶媒としては、トルエン、キシレン、その他高沸点の芳香族系溶媒;酢酸ブチル、酢酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒などが挙げられる。もちろん使用し得る溶媒がこれら溶媒に限定されるものではない。これら溶媒は1種のみを使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。なお、溶媒の使用量は生成物の濃度などを考慮し適宜定めれば良い。
また、モノマー組成物を共重合させる際には重合開始剤を用いる。重合開始剤としては、例えば2,2′−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの通常のラジカル重合開始剤が挙げられる。重合開始剤の使用量は、要求されるポリマーの特性値などから適宜決定されるべきものであり、特に限定はないが、モノマー成分全量に対して0.01〜50質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.05〜20質量%の範囲である。
反応温度は、特に限定されるものではないが、室温〜200℃の範囲が好ましく、40〜140℃がより好ましい。なお、反応時間は、用いるモノマー組成物の組成や重合開始剤の種類などに応じて、重合反応が完結するように適宜設定すれば良い。
(成形密着層のその他の成分)
成形密着層を形成するその他の成分として、硬化剤、硬化促進剤、その他添加剤等を用いることができ、それらの詳細については、例えば、特開2009−269984号公報に記載されているような材料を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
(成形密着層の形成方法)
成形密着層の形成方法としては、上記ポリマー及び必要に応じて各種添加剤を有機溶剤等に溶解して成形密着層塗布液とし、当該塗布液を機能性フィルム上に塗布する方法が好ましい。塗布は、浸漬、吹き付け、刷毛塗り、カーテンフローコーター、ロールコート、スピンコート、バーコートなどの方法により行うことができる。
成形密着層の層厚は特に制限されるものではないが、1〜10μmの範囲内であることが好ましく、3〜7μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲内であれば、自己修復層の外部からの応力を成形密着層で緩和することができ、自己修復層の弾性変形領域を広げることで、より強い外部応力に対しても、自己修復性を保ちながら、耐傷性を向上させることができる。
前記重合性アクリルポリマーの硬化は、加熱することによって行うことが好ましく、前記成形密着層塗布液を機能性フィルム上に塗布し、次いで熱硬化する。ポリマーの種類、硬化剤、硬化促進剤等の割合を適宜調整することにより、80〜200℃の温度範囲で硬化することが好ましい。80〜150℃の温度範囲であることがより好ましく、80〜120℃の温度範囲であることが更に好ましい。熱硬化の時間は適宜調整されるものであるが、0.5〜10分間の範囲内であることが、未硬化モノマーの割合の調整と成形密着層の機械的強度を維持する上で好ましい。
本発明に係る成形密着層は、加飾成型加工前の当該成形密着層に未硬化モノマーの割合が、5質量%以上であることが、自己修復層の弾性変形領域を広げることに効果がある。特に、加飾成型加工前及び本発明の自己修復性フィルムが曲面形状に延伸され、貼合されるような加飾成型時のハンドリングにおける耐傷性を向上する観点からは、モノマー成分を意図的に残留させることが好ましく、前記熱硬化の温度及び時間を上記の範囲内で制御することが好ましい。また、熱硬化した後にエージング等の後加熱工程を施すことなく、当該成形密着層上に自己修復層を形成することが好ましい。
すなわち、本発明の自己修復性フィルムの製造方法は、前記成形密着層を形成するための成形密着層塗布液を前記機能性フィルム上に塗布し、次いで熱硬化した後にエージング処理を施すことなく、当該成形密着層上に自己修復層を形成することが好ましい。ここでいう、エージング処理とは、成形密着層を形成した後に比較的低温で長時間加熱することをいい、加熱温度や加熱時間の組み合わせによって行われるため、一概にはいえないが、例えば35〜50℃の範囲の温度で、0.5〜7日の範囲内で行われる加熱処理をいう。
また、自己修復層を形成した後に当該自己修復層の硬化を促進する意図で、自己修復性フィルムにエージング処理を行っても良いが、その場合において、加飾成型加工前の当該成形密着層の未硬化モノマーの割合が5質量%以上となるような、比較的マイルドなエージング処理条件で行うことが好ましい。
加飾成型加工前の未硬化モノマーの割合は、5〜80質量%の範囲内であることが好ましく、5〜60質量%の範囲内であることがより好ましい。5質量%以上にすることで緩衝性が高くなるため、曲面形状体に貼合する時の応力緩和が良好で、80質量%以下であれば自己修復層の塑性化を防ぐ上で、より効果的である。
更に、加飾成型後の当該未硬化モノマーの割合は、3質量%以下であることが好ましく、当該範囲に制御するのに、加飾成型時の温度は80℃以上で行うことが好ましく、80〜200℃の温度範囲で行うことが好ましい。80〜150℃の温度範囲であることがより好ましく、80〜120℃の温度範囲であることが更に好ましい。加飾成型の時間は上記未硬化モノマーの割合になるように適宜調整されることが好ましい。
上記の温度及び時間の範囲内で加飾成型を行うことによって、加飾成型後の当該未硬化モノマーの割合は、0.1〜3質量%以下に制御することが好ましく、0.1〜1.0質量%の範囲内であることが、より好ましい。加飾成型後の当該未硬化モノマーの割合が0.1質量%以上であれば成型後の耐傷性が高く、3質量%以下であれば成型後の耐光性が向上する。
加飾成型工程前後の成形密着層中の未硬化モノマーの割合を、以上のような特定の範囲に調整することによって、自己修復層の弾性変形領域を更に広げることができ、例えば本発明の自己修復性フィルムが曲面形状に延伸され、貼合されるような加飾成型加工時においても、成型時、及び成型後の基材からの変形応力を吸収し、自己修復層の延伸部の耐傷性の劣化を抑制することができるものと推察される。
<成形密着層中の未硬化モノマーの定量方法>
成形密着層中の未硬化モノマーの含有量は、以下の方法で測定できる。
自己修復性フィルム試料を切削し、成形密着層のATR(Attenuated Total Reflection:全反射測定法)を測定する。ATR装置としては、一例として、FT/IR−4100(日本分光(株)製)を用いることができる。
(方法とデータ処理)
自己修復性フィルム試料を切削し、出てきた成形密着層の固形分をATRとして400〜6000cm−1の波数の範囲で測定する。それぞれ以下の波数の反射光強度R1及びR2が得られる。
R1:2270cm−1の反射光強度:これはイソシアネート結合のピークであり、未硬化成分のピークである。
R2:2950cm−1の反射光強度:これは、C−H結合のピークであり、材料そのもの(硬化/未硬化で変化しない)のピークである。
R1/R2を算出することで、未硬化成分を定量することができる。
ここで、
A:成形密着層塗布後のR1/R2;熱硬化性樹脂は塗布後溶媒が揮発した段階では未硬化モノマー100%である。
B:成形密着層塗布後、150℃、30minの硬化処理後のR1/R2;熱硬化性樹脂が完全に硬化して未硬化モノマー0%である。
以上のデータから、未硬化モノマーの割合MMは次式で求めることができる。
(未硬化モノマーの割合MM(質量%))=(R1/R2−B)/(A−B)×100
上式で、(R1/R2−B)とは、測定時のR1/R2からベース強度を引いた値を表す。
また、(A−B)とは、全モノマー量(ポリマー及びモノマーの合算量)を示す。
したがって、(R1/R2−B)/(A−B)は、測定時における(未硬化モノマー量)/(全モノマー量)である。
〔3〕機能性フィルム
本発明に係る機能性フィルムには、その上層として本発明に係る成形密着層及び自己修復層が積層され、これら各層によって自己修復性フィルムが構成される。当該機能性フィルムとしては、光波長1000〜1500nmの範囲の光反射率が、50%以上であることが好ましい。また、別の形態の機能性フィルムとしてとしては、光波長450〜650nmの範囲の光反射率が、50%以上であることが好ましい。
前者は一般に赤外光を選択的に反射する赤外線反射フィルムと総称されるフィルムであり、後者は可視光を選択的に反射する反射フィルム(フィルムミラーともいう。)又は光沢フィルム(金属光沢調フィルムともいう。)と総称されるフィルムであり、それぞれに様々な種類がある。
以下、本発明に係る機能性フィルムとして好ましい実施態様である、窓貼り用の赤外線反射フィルム、太陽熱反射フィルム用の反射フィルム(フィルムミラー)及び金属光沢調フィルムについて詳細に説明する。
〔3.1〕赤外線反射フィルム
本発明に係る機能性フィルムである赤外線反射フィルムの光学特性としては、JIS R3106(1998)で測定される可視光透過率として、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。また、波長1000〜1500nmの近赤外から赤外領域の反射率が、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましく、90%以上であることが特に好ましい。反射率は、分光光度計(積分球使用、(株)日立ハイテクノロジーズ製、U−4000型)を用い、23℃、55%RHの環境下、赤外反射フィルムの1000〜1500nmの領域における反射率を測定し、その平均反射率を求め、これを赤外反射率とする。
また、赤外線反射フィルムの総厚としては、特に制限はないが、100〜1500μmの範囲内であり、好ましくは100〜1000μmの範囲内であり、更に好ましくは100〜700μmの範囲内であり、特に好ましくは100〜500μmの範囲内である。
赤外線反射フィルムの代表的な構成例について、図を交えて説明する。
赤外線反射フィルムは、機能性層として1000〜1500nmの光波長範囲内の光を80%以上、更に好ましくは90%以上反射する機能を有する赤外線反射層を有することが好ましい。また、好ましくは、当該赤外線反射層が、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子を含有する高屈折率反射層と、第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子を含有する低屈折率反射層とを交互に積層し、特定の波長の光を選択的に反射する反射層積層体である構成である。
本発明におけるこれらの層構成は、少なくとも透明基材フィルムと赤外線反射層を有していれば、特に限定されるものではなく、それぞれの目的に応じて適正な層構成を選択することができる。
図3及び図4は赤外線反射層を具備する、本発明の自己修復性フィルムの構成の例を示した断面図である。
前記赤外線反射層は、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子を含有する高屈折率反射層と、第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子を含有する低屈折率反射層とが交互に積層され、特定の波長の光を選択的に反射する反射層積層体であることが好ましく、例えば図3で示す構成であることが好ましい態様である。
図3に示す自己修復性フィルムWFでは、基材フィルム2上に、赤外線反射層として、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子を含有する高屈折率の反射層と、第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子を含有する低屈折率の反射層とを交互に積層した反射層積層体ML1を有している。反射層積層体ML1は、基材フィルム2側から反射層T〜Tのn層で構成される。例えば、T、T、T、(中略)、Tn−2、Tを屈折率が1.10〜1.60の範囲内にある低屈折率層とし、T、T、T、(中略)、Tn−1を屈折率が1.80〜2.50の範囲内にある高屈折率層とする構成が一例として挙げられる。本発明でいう屈折率とは、25℃の環境下で測定した値である。
図4は、自己修復性フィルムで、ポリマー層積層体により構成される赤外線反射層を有する構成の一例を示す概略断面図である。
図4に示す自己修復性フィルムWFでは、基材フィルム2上に、赤外線反射層としてポリマー層積層体ML2が、それぞれ素材の異なる2種のポリマーフィルムを積層して構成されている。構成の一例としては、基材フィルム2側から、ポリエチレンナフタレートフィルムで形成されているPEN、ポリメチルメタアクリレートフィルムで形成されているPMMA、PEN、PMMA、PEN、PMMA、(中略)、PENn−1、PMMAn−1、PENと積層してポリマー層積層体ML2が形成されている。積層されるフィルム総数は150〜1000層の範囲内であることが好ましい。これらポリマー層積層体の詳細については、例えば、米国特許第6049419号明細書に記載の内容を参考とすることができる。
本発明に係る赤外線反射フィルムとしては、上記の構成層のほかに、必要に応じて、各種機能層を設けても良い。
また、本発明の自己修復性フィルムは、上記反射層積層体ML1又はポリマー層積層体ML2の最上層である、反射層T若しくはポリエチレンナフタレートフィルムPEN上に直接又は他の機能層を介して、本発明に係る成形密着層4及び自己修復層5がこの順に形成されるものである。
<基材フィルム>
本発明に係る機能性フィルムに適用可能な基材フィルムとしては、透明樹脂フィルム等を挙げることができる。本発明でいう「透明」とは、可視光領域における平均光線透過率が50%以上であることをいい、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。
基材フィルムの厚さは、30〜200μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは30〜100μmの範囲内であり、更に好ましくは35〜70μmの範囲内である。基材フィルムの厚さが30μm以上であれば、取り扱い中にシワ等が発生しにくくなり、200μm以下であれば、例えば合わせガラス作製時、ガラス基材と貼り合わせる際のガラス曲面への追従性が良くなる。
透明樹脂フィルムは、二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましいが、未延伸又は少なくとも一方に延伸されたポリエステルフィルムを用いることもできる。強度向上及び熱膨張抑制の点から延伸フィルムが好ましい。特に、本発明の自己修復性フィルムを具備した合わせガラスが、自動車のフロントガラスとして用いられる際には、延伸フィルムがより好ましい。
透明樹脂フィルムは、自己修復性フィルムのシワの生成や赤外線反射層の割れを防止する観点から、温度150℃において、熱収縮率が0.1〜3.0%の範囲内であることが好ましく、1.5〜3.0%の範囲内であることがより好ましく、1.9〜2.7%であることが更に好ましい。
本発明に適用可能な透明樹脂フィルムとしては、上述のように、透明であれば特に制限されることはないが、例えば、ポリオレフィンフィルム(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロースフィルム等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルム、トリアセチルセルロースフィルムである。
ポリエステルフィルム(以降、単にポリエステルと称す。)としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、及びこれらのポリエステルの2種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
本発明に透明樹脂フィルムを用いる場合、取り扱いを容易にするために、透明性を損なわない範囲内で粒子を含有させても良い。当該透明樹脂フィルムに採用可能な粒子の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子や、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子を挙げることができる。また、粒子を添加する方法としては、原料とするポリエステル中に粒子を含有させて添加する方法、押出機に直接添加する方法等を挙げることができ、このうちいずれか一方の方法を採用しても良く、二つの方法を併用しても良い。本発明では必要に応じて上記粒子のほかにも添加剤を加えても良い。このような添加剤としては、例えば、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、染料、顔料、紫外線吸収剤などが挙げられる。
透明樹脂フィルムは、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の透明樹脂フィルムを製造することができる。また、未延伸の透明樹脂フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、透明樹脂フィルムの流れ(縦軸)方向、又は透明樹脂フィルムの流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸透明樹脂フィルムを製造することができる。この場合の延伸倍率は、透明樹脂フィルムの原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
透明樹脂フィルムは、製膜過程で片面又は両面にインラインで下引層塗布液を塗布することが好ましい。本発明に有用な下引層塗布液に使用する樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンイミンビニリデン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂及びゼラチン等が挙げられ、いずれも好ましく用いることができる。上記の下引層は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法によりコーティングすることができる。上記の下引層の塗布量としては、0.01〜2g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
<赤外線反射層>
赤外線反射層の代表的な構成としては、前記図3を用いて説明した水溶性バインダー樹脂と金属酸化物粒子を含有する反射層が多層積層された反射層積層体ML1、又は図4を用いて説明したポリマー層が多層積層されたポリマー層積層体ML2が挙げられる。特に、水溶性バインダー樹脂と金属酸化物粒子を含有する屈折率の異なる反射層が複数積層された反射層積層体が好ましい。
<反射層積層体:ML1>
反射層積層体は、少なくとも1層の反射層を有していれば良いが、日射に対する優れた断熱効果及び電磁波透過性を発現させる観点からは、図3で例示したような反射層積層体であることが、特に好ましい態様である。
すなわち、基材フィルム上の少なくとも一つの面側に、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子を含有する高屈折率の反射層(以下、高屈折率層ともいう。)と、第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子を含有する低屈折率の反射層(以下、低屈折率層ともいう。)を、交互に積層した反射層積層体を有する構成である。
反射層積層体において、高屈折率層の1層当たりの厚さは、20〜800nmの範囲内であることが好ましく、50〜350nmの範囲内であることがより好ましい。また、低屈折率層の1層当たりの厚さは、20〜800nmの範囲内であることが好ましく、50〜350nmの範囲内であることがより好ましい。
ここで、1層当たりの各層の厚さを測定する場合、高屈折率層と低屈折率層は、これらの間に明確な界面をもっていても、徐々に変化していても良い。界面が徐々に変化している場合には、それぞれの層が混合し屈折率が連続的に変化する領域中で、最大屈折率−最小屈折率=Δnとした場合、2層間の最小屈折率+Δn/2の地点を層界面とみなす。
高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層して形成された反射層積層体の金属酸化物濃度プロファイルは、スパッタ法を用いて表面から深さ方向へエッチングを行い、XPS表面分析装置を用いて、最表面を0nmとして、0.5nm/minの速度でスパッタし、原子組成比を測定することで得ることができる。また、反射層積層体を切断して、切断面をXPS表面分析装置で原子組成比を測定することにより求めることも可能である。混合領域において、金属酸化物の濃度が不連続に変化している場合には、電子顕微鏡(TEM)で撮影した断層写真により、その境界を確認することができる。
XPS表面分析装置としては、特に制限はなく、いかなる機種も使用することができるが、例えば、VGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いることができる。X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定する。
反射層積層体は、生産性の観点から、好ましい高屈折率層及び低屈折率層の総層数の範囲としては、6〜100層の範囲内であり、より好ましくは8〜40層の範囲内であり、更に好ましくは9〜30層の範囲内である。
反射層積層体は、高屈折率層と低屈折率層との屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で近赤外線反射率を高くすることができるという観点から好ましい。したがって、隣接する高屈折率層と低屈折率層との屈折率差は0.1以上が好ましく、より好ましくは0.3以上であり、更に好ましくは0.35以上であり、特に好ましくは0.4以上である。ただし、最表層や最下層に関しては、上記好適な範囲外の構成であっても良い。
赤外線反射層においては、透明樹脂フィルムに対する密着性の観点から、透明樹脂フィルムに隣接する最下層が低屈折率層である層構成が好ましい。また、機能性層、例えば本発明に係る成形密着層に隣接する最上層も、金属酸化物粒子として二酸化ケイ素を10〜60質量%の範囲内で含有する低屈折率層であることが好ましい。
また、高屈折率層又は低屈折率層に含まれる第1及び第2の水溶性バインダー樹脂は、ポリビニルアルコールであることが好ましい。また、高屈折率層に含まれるポリビニルアルコールのケン化度と、低屈折率層に含まれるポリビニルアルコールのケン化度とは異なることが好ましい。更に、高屈折率層に含まれる第1の金属酸化物粒子は、酸化チタン粒子であることが好ましく、更には、含ケイ素の水和酸化物で表面処理された酸化チタン粒子であることが好ましい。
[高屈折率層]
高屈折率層は、第1の水溶性バインダー樹脂及び第1の金属酸化物粒子を含有し、必要に応じて、硬化剤、その他のバインダー樹脂、界面活性剤、及び各種添加剤等を含んでも良い。
高屈折率層の屈折率は、好ましくは1.80〜2.50であり、より好ましくは1.90〜2.20である。
〈第1の水溶性バインダー樹脂〉
第1の水溶性バインダー樹脂とは、該水溶性バインダー樹脂が最も溶解する温度で、0.5質量%の濃度に水に溶解させた際、G2グラスフィルター(最大細孔40〜50μm)で濾過した場合に濾別される不溶物の質量が、加えた該水溶性バインダー樹脂の50質量%以内であるものをいう。
第1の水溶性バインダー樹脂の重量平均分子量は、1000〜200000の範囲内であることが好ましい。更には、3000〜40000の範囲内がより好ましい。
本発明でいう重量平均分子量は、公知の方法によって測定することができ、例えば、静的光散乱、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(GPC)、飛行時間型質量分析法(TOF−MASS)などによって測定することができ、本発明では一般的な公知の方法であるゲルパーミエーションクロマトグラフィ法によって測定している。
高屈折率層における第1の水溶性バインダー樹脂の含有量は、高屈折率層の固形分100質量%に対して、5〜50質量%の範囲内であることが好ましく、10〜40質量%の範囲内であることがより好ましい。
高屈折率層に適用される第1の水溶性バインダー樹脂としては、特に制限はないが、上述の親水性高分子化合物を好適に採用でき、その中でも、ポリビニルアルコールであることが特に好ましい。また、後述する低屈折率層に適用される水溶性バインダー樹脂も、ポリビニルアルコールであることが好ましい。
高屈折率層と低屈折率層においては、それぞれケン化度の異なる2種以上のポリビニルアルコールを含むことが好ましい。ここで、区別するために、高屈折率層で用いる水溶性バインダー樹脂としてのポリビニルアルコールをポリビニルアルコール(A)とし、低屈折率層で用いる水溶性バインダー樹脂としてのポリビニルアルコールをポリビニルアルコール(B)という。なお、各屈折率層が、ケン化度や重合度が異なる複数のポリビニルアルコールを含む場合には、各屈折率層中で最も含有量の高いポリビニルアルコールをそれぞれ高屈折率層におけるポリビニルアルコール(A)、及び低屈折率層におけるポリビニルアルコール(B)と称する。
ここでいう「ケン化度」とは、ポリビニルアルコール中のアセチルオキシ基(原料の酢酸ビニル由来のもの)とヒドロキシ基との合計数に対するヒドロキシ基の割合のことである。
ポリビニルアルコール(A)とポリビニルアルコール(B)とのケン化度の絶対値の差は、3mol%以上であることが好ましく、5mol%以上であることがより好ましい。このような範囲であれば、高屈折率層と低屈折率層との層間混合状態が好ましいレベルになるため好ましい。また、ポリビニルアルコール(A)とポリビニルアルコール(B)とのケン化度の差は、離れていれば離れているほど好ましいが、ポリビニルアルコールの水への溶解性の観点から、20mol%以下であることが好ましい。
また、ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)のケン化度は、水への溶解性の観点で、75mol%以上であることが好ましい。
また、ケン化度の異なる2種のポリビニルアルコールの重合度は、1000以上のものが好ましく用いられ、特に、重合度が1500〜5000の範囲内のものがより好ましく、2000〜5000の範囲内のものが更に好ましく用いられる。ポリビニルアルコールの重合度が、1000以上であると塗布膜のひび割れがなく、5000以下であると塗布液が安定するからである。
本願でいう「重合度(P)」とは、粘度平均重合度を指し、JIS K6726(1994)に準じて測定され、PVA(ポリビニルアルコール)を完全に再ケン化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](cm/g)から、下式により求められるものである。
P=(〔η〕×10/8.29)(1/0.62)
本発明では、屈折率の異なる層間ではケン化度の異なる2種のポリビニルアルコールがそれぞれ用いられることが好ましい。
例えば、高屈折率層に低ケン化度のポリビニルアルコール(A)を用い、低屈折率層に高ケン化度のポリビニルアルコール(B)を用いる場合には、高屈折率層中のポリビニルアルコール(A)が層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40〜100質量%の範囲内で含有されることが好ましく、60〜95質量%の範囲内がより好ましく、低屈折率層中のポリビニルアルコール(B)が低屈折率層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40〜100質量%の範囲内で含有されることが好ましく、60〜95質量%の範囲内がより好ましい。また、高屈折率層に高ケン化度のポリビニルアルコール(A)を用い、低屈折率層に低ケン化度のポリビニルアルコール(B)を用いる場合には、高屈折率層中のポリビニルアルコール(A)が層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40〜100質量%の範囲内で含有されることが好ましく、60〜95質量%の範囲内がより好ましく、低屈折率層中のポリビニルアルコール(B)が低屈折率層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40〜100質量%の範囲内で含有されることが好ましく、60〜95質量%の範囲内がより好ましい。含有量が40質量%以上であると、層間混合が抑制され、界面の乱れが小さくなるという効果が顕著に現れる。
本発明で用いられるポリビニルアルコール(A)及び(B)は、合成品を用いても良いし市販品を用いても良い。ポリビニルアルコール(A)及び(B)として用いられる市販品の例としては、例えば、PVA−102、PVA−103、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−120、PVA−124、PVA−203、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−235(以上、株式会社クラレ製)、JC−25、JC−33、JF−03、JF−04、JF−05、JP−03、JP−04、JP−05、JP−45(以上、日本酢ビ・ポバール株式会社製)等が挙げられる。
〈第1の金属酸化物粒子〉
高屈折率層に適用可能な第1の金属酸化物粒子としては、屈折率が2.0〜3.0である金属酸化物粒子が好ましい。更に具体的には、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第二鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズなどが挙げられる。また、複数の金属で構成された複合酸化物粒子やコア・シェル状に金属構成が変化するコア・シェル粒子等を用いることもできる。
透明でより屈折率の高い高屈折率層を形成するために、高屈折率層には、チタン、ジルコニウム等の高屈折率を有する金属の酸化物微粒子、すなわち、酸化チタン微粒子及び/又は酸化ジルコニア微粒子を含有させることが好ましい。これらの中でも、高屈折率層を形成するための塗布液の安定性の観点から、酸化チタンがより好ましい。また、酸化チタンの中でも、特にアナターゼ型よりルチル型(正方晶形)の方が、触媒活性が低いために、高屈折率層や隣接した層の耐候性が高くなり、更に屈折率が高くなることから好ましい。
また、高屈折率層に、第1の金属酸化物粒子としてコア・シェル粒子を用いた場合では、シェル層の含ケイ素の水和酸化物と第1の水溶性バインダー樹脂との相互作用により、高屈折率層と隣接層の層間混合が抑制される効果から、酸化チタン粒子が含ケイ素の水和酸化物で被覆されたコア・シェル粒子が更に好ましい。
第1の金属酸化物粒子の含有量が高屈折率層の固形分100質量%に対して、15〜80質量%の範囲内であると、低屈折率層との屈折率差を付与するという観点で好ましい。更に、20〜77質量%の範囲内であることがより好ましく、30〜75質量%の範囲内であることが更に好ましい。なお、当該コア・シェル粒子以外の金属酸化物粒子が、高屈折率層に含有される場合の含有量は、本発明の効果を奏することができる範囲であれば特に限定されるものではない。
高屈折率層に適用される第1の金属酸化物粒子の体積平均粒径は、30nm以下であることが好ましく、1〜30nmの範囲内であることがより好ましく、5〜15nmの範囲内であるのが更に好ましい。体積平均粒径が1〜30nmの範囲内であれば、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
第1の金属酸化物粒子の体積平均粒径とは、粒子そのものをレーザー回折散乱法、動的光散乱法、又は電子顕微鏡を用いて観察する方法や、屈折率層の断面や表面に現れた粒子像を電子顕微鏡で観察する方法により、1000個の任意の粒子の粒径を測定し、それぞれd1、d2・・・di・・・dkの粒径を持つ粒子がそれぞれn1、n2・・・ni・・・nk個存在する粒子状の金属酸化物の集団において、粒子1個当たりの体積をviとした場合に、体積平均粒径mv={Σ(vi・di)}/{Σ(vi)}で表される体積で重み付けされた平均粒径である。
〈硬化剤〉
高屈折率層に適用される第1の水溶性バインダー樹脂を硬化させるため、硬化剤を使用することもできる。
第1の水溶性バインダー樹脂とともに用いることができる硬化剤としては、当該水溶性バインダー樹脂と硬化反応を起こすものであれば特に制限はない。例えば、第1の水溶性バインダー樹脂として、ポリビニルアルコールを用いる場合では、硬化剤として、ホウ酸及びその塩が好ましい。
高屈折率層における硬化剤の含有量は、高屈折率層の固形分100質量%に対して、1〜10質量%であることが好ましく、2〜6質量%であることがより好ましい。
特に、第1の水溶性バインダー樹脂としてポリビニルアルコールを使用する場合の上記硬化剤の総使用量は、ポリビニルアルコール1g当たり1〜600mgの範囲が好ましく、ポリビニルアルコール1g当たり100〜600mgの範囲がより好ましい。
[低屈折率層]
低屈折率層は、第2の水溶性バインダー樹脂及び第2の金属酸化物粒子を含有し、必要に応じて、硬化剤、表面被覆成分、粒子表面保護剤、バインダー樹脂、界面活性剤、各種添加剤等を含んでも良い。
低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.10〜1.60の範囲内であり、より好ましくは1.30〜1.50の範囲内である。
〈第2の水溶性バインダー樹脂〉
低屈折率層に適用される第2の水溶性バインダー樹脂として、ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。更に、前記高屈折率層に用いられるポリビニルアルコール(A)のケン化度とは異なるポリビニルアルコール(B)が、低屈折率層に用いられることがより好ましい。なお、ここでの第2の水溶性バインダー樹脂の好ましい重量平均分子量等、ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)についての説明は、上記高屈折率層の水溶性バインダー樹脂にて説明されており、ここでは説明を省略する。
低屈折率層における第2の水溶性バインダー樹脂の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、20〜99.9質量%の範囲内であることが好ましく、25〜80質量%の範囲内であることがより好ましい。
〈第2の金属酸化物粒子〉
低屈折率層に適用される第2の金属酸化物粒子としては、シリカ(二酸化ケイ素)を用いることが好ましく、具体的な例として合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。これらのうち、酸性のコロイダルシリカゾルを用いることがより好ましく、有機溶媒に分散させたコロイダルシリカゾルを用いることが更に好ましい。また、屈折率をより低減させるためには、低屈折率層に適用される第2の金属酸化物粒子として、粒子の内部に空孔を有する中空微粒子を用いることができ、特にシリカ(二酸化ケイ素)の中空微粒子が好ましい。
低屈折率層に適用される第2の金属酸化物粒子(好ましくは二酸化ケイ素)は、その平均粒径が3〜100nmの範囲内であることが好ましい。一次粒子の状態で分散された二酸化ケイ素の一次粒子の平均粒径(塗布前の分散液状態での粒径)は、3〜50nmの範囲内であることがより好ましく、3〜40nmの範囲内であることが更に好ましく、3〜20nmであることが特に好ましく、4〜10nmの範囲内であることが最も好ましい。また、二次粒子の平均粒径としては、30nm以下であることが、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
〈硬化剤〉
本発明に係る低屈折率層において、前記高屈折率層と同様に、硬化剤を更に含むことができる。特に、低屈折率層に適用される第2の水溶性バインダー樹脂としてポリビニルアルコールを用いた場合の硬化剤としては、ホウ酸及びその塩及び/又はホウ砂が好ましい。また、ホウ酸及びその塩以外にも公知のものが使用できる。
低屈折率層における硬化剤の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、1〜10質量%の範囲内であることが好ましく、2〜6質量%の範囲内であることがより好ましい。
[反射層積層体の形成方法]
反射層積層体の形成方法は、湿式塗布方式を適用して形成することが好ましく、更には、基材フィルム上に、第1の水溶性バインダー樹脂及び第1の金属酸化物粒子を含む高屈折率層用塗布液と、第2の水溶性バインダー樹脂及び第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層用塗布液と、を湿式塗布する工程を含む製造方法が好ましい。
湿式塗布方法は、特に制限されず、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、スライド型カーテン塗布法、又は米国特許第2761419号明細書、米国特許第2761791号明細書などに記載のスライドホッパー塗布法、エクストルージョンコート法などが挙げられる。また、複数の層を重層塗布する方式としては、逐次重層塗布方式でも良いし、同時重層塗布方式でも良い。
<ポリマー層積層体:ML2>
本発明に係るポリマー層積層体は、第1屈折率を有する第1ポリマー層と、第2屈折率を有する第2ポリマー層とを多数積層して、赤外線反射層を形成する。
第1ポリマー層及び第2ポリマー層は、互いの上部に積層され、ポリマー層積層体を形成する。第1及び第2ポリマー層を構成するポリマー材料としては、ポリエステル、アクリル、ポリエステルアクリルのブレンド又はコポリマー等が挙げられ、例えば、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、ナフタレンジカルボンコポリエステル(coPEN)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリブチレン−2,6−ナフタレート(PBN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナフタレンジカルボン酸誘導体、ジオールコポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、シンジオタックポリスチレン樹脂(SPS)等が挙げられ、具体的な第1ポリマー層と第2ポリマー層との組み合わせとしては、PEN/PMMA、PET/PMMA、PEN/coPEN、PEN/SPS、PET/SPS等の組み合わせを挙げることができる。
ポリマー層積層体の具体的な構成例としては、図4で示される、それぞれ素材の異なる2種のポリマーフィルムが積層された構成が挙げられる。具体的には、図4に示すように、下面側から、ポリエチレンナフタレートフィルムで形成されているPEN、ポリメチルメタアクリレートフィルムで形成されているPMM、PEN、PMMM、PEN、PMMA、(中略)、PENn−1、PMMAn−1、PENと積層してポリマー層積層体ML2が形成されている。
積層されるフィルム総数は、特に制限はないが、おおむね150〜1000層の範囲内であることが好ましい。
これらポリマー層積層体の詳細については、米国特許第6049419号明細書に記載の内容を参考とすることができる。
〔3.2〕フィルムミラー
本発明に係る機能性フィルムとして、可視光領域の光を反射するフィルムミラーの概要を説明する。
本発明に係る機能性フィルムであるフィルムミラーは、可視光領域である光波長450〜650nmの範囲の反射率が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましく、90%以上であることが特に好ましい。反射率は、分光光度計(積分球使用、(株)日立ハイテクノロジーズ製、U−4000型)を用い、23℃、55%RHの環境下、フィルムミラーの450〜650nmの領域における反射率を測定し、その平均反射率を求め、これを可視光反射率とする。
自己修復性フィルムMFの機能上の最小構成は、図5(a)に示すように、基材フィルム2上に金属反射層(例えば、銀反射層)7を設けてフィルムミラーとしての機能性フィルム1を形成し、その上に、本発明に係る成形密着層4及び自己修復層5を設ける構成である。
フィルムミラーとしての機能性フィルム1には、実際上様々な機能層を設けることが好ましく、例えば図5(b)で示すように、基材フィルム2と金属反射層7の間にアンカー層6を設けても良い。また、金属反射層7の光入射側に腐食防止剤や酸化防止剤を含有する樹脂コート層8を設けることも好ましく、樹脂コート層8上に接着層9を設けることも好ましく、更にその上層にアクリル樹脂層10を設けることもより好ましい態様である。
また、基材フィルム2の金属反射層7を設ける側と反対の面に、粘着層11及び剥離シート12を設けることが好ましく、これにより基板と貼合することができる。
フィルムミラー全体の厚さは、ミラーのたわみ防止、正反射率、取扱い性等の観点から75〜250μmの範囲内が好ましく、より好ましくは90〜230μmの範囲内、更に好ましくは100〜220μmの範囲内である。
以下、フィルムミラーを構成する各構成層について順次説明する。
[基材フィルム]
前述の赤外線反射フィルムで用いられる透明樹脂フィルムを用いることが好ましく、詳細は前述のとおりである。
中でも、ポリカーボネート系フィルム、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、及びセルロースエステル系フィルム、アクリルフィルムが好ましい。特にポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム又はアクリルフィルムを用いることが好ましい。
透明樹脂フィルムの厚さは、樹脂の種類及び目的等に応じて適切な厚さにすることが好ましい。例えば、一般的には、10〜300μmの範囲である。好ましくは20〜200μmの範囲であり、より好ましくは30〜100μmの範囲である。
[アンカー層]
アンカー層は、樹脂からなり、基材フィルムと金属反射層とを密着させるものである。アンカー層に使用する樹脂材料は、上記の密着性、耐熱性及び平滑性の条件を満足するものであれば特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共ポリマー系樹脂等の単独又はこれらの混合樹脂が使用でき、耐候性の点からポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の混合樹脂が好ましく、更にイソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂とすればより好ましい。
アンカー層の形成方法としては、所定の樹脂材料を塗布、塗工するグラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
アンカー層の厚さは、0.01〜3μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜1μmの範囲である。
[金属反射層]
金属反射層は、可視光(450〜650nmの範囲)を50%以上反射する機能を有する金属等からなる層である。
金属反射層の表面反射率は好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上である。この反射層は、Al、Ag、Cr、Cu、Ni、Ti、Mg、Rh、Pt及びAuからなる元素群の中から選ばれるいずれかの元素を含む材料により形成されることが好ましい。中でも、反射率の観点からアルミニウム(Al)又は銀(Ag)を主成分としていることが好ましく、このような金属の薄膜を二層以上形成するようにしても良い。
本発明においては金属反射層として、銀を主成分とする銀反射層を用いることが特に好ましい(以下、金属反射層を銀反射層という場合がある。)。
銀反射層の厚さは、反射率等の観点から、30〜300nmの範囲が好ましく、より好ましくは80〜200nmの範囲である。
この反射層の形成法としては、湿式法及び乾式法のどちらも使用することができる。湿式法の代表例としては、めっき法があり、溶液から金属を析出させ膜を形成する方法である。具体例を挙げるとすれば、銀鏡反応などがある。一方、乾式法の代表例としては、真空製膜法があり、具体的に例示するとすれば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。とりわけ、本発明には連続的に製膜するロールtoロール方式が可能な蒸着法が好ましく用いられる。例えば、フィルムミラーの製造方法において、銀反射層を銀蒸着によって形成する手法が好ましく用いられる。
なお、上記したように銀反射層の厚さを、例えば30〜300nmの範囲とすれば、その銀反射層を有する機能性フィルムをフィルムミラーとして使用することが可能になる。より好ましくは耐久性の観点から、80〜200nmの範囲である。銀反射層の層厚を上記範囲とすることにより、光の透過や、表面に凹凸が生じることによる光の散乱等を原因とする可視光領域での反射率の低下を抑えることが可能となる。
[樹脂コート層]
樹脂コート層は、銀反射層の光入射側に設けられており、銀反射層に隣接していることが好ましい。
樹脂コート層は、銀の腐食防止剤又は酸化防止剤を含有することで、銀反射層の腐食又は劣化を防止する機能を有していることも好ましい。
樹脂コート層は、1層のみで構成されていても良いし、複数層から構成されていても良い。樹脂コート層の厚さは、1〜10μmの範囲が好ましく、より好ましくは2〜8μmの範囲である。
樹脂コート層のバインダーとしては、以下の樹脂を好ましく用いることができる。例えば、セルロースエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン系、ポリカーボネート、ノルボルネン系、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂等を挙げることができる。中でも、耐光性の観点から紫外線に耐性の高いアクリル樹脂が好ましい。
腐食防止剤としては、銀に対する吸着性基を有することが好ましい。ここで、「腐食」とは、金属(銀)がそれをとり囲む環境物質によって、化学的又は電気化学的に浸食されるか若しくは材質的に劣化する現象をいう(JIS Z0103−2004参照)。
なお、腐食防止剤の含有量は、使用する化合物によって最適量は異なるが、一般的には0.1〜1.0g/mの範囲内であることが好ましい。
銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤としては、アミン類及びその誘導体、ピロール環を有する化合物、ベンゾトリアゾール等のトリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物、銅キレート化合物類、チオール基を有する化合物、チオ尿素類、ナフタレン系の少なくとも1種又はこれらの混合物から選ばれることが望ましい。
ベンゾトリアゾール等の化合物においては、紫外線吸収剤が腐食防止剤を兼ねる場合もある。また、シリコーン変性樹脂を用いることも可能である。シリコーン変性樹脂としては特に限定されない。
これらの化合物については、特開2012−232538号公報の段落0061〜0073に記載の化合物を好ましく用いることができる。
市販品の例としては、株式会社ADEKAのLA31、BASFジャパン株式会社のチヌビン234などが挙げられる。
また、酸化防止能を有する腐食防止剤である酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤を使用することが好ましい。また、光安定剤としてヒンダードアミン系光安定剤、ニッケル系紫外線安定剤を好ましく使用することができる。
これらの化合物については、特開2012−232538号公報の段落0046〜0053に記載の化合物を好ましく用いることができる。
酸化防止剤の含有量は、使用する化合物によって最適量は異なるが、一般的には0.1〜1.0g/mの範囲内であることが好ましい。
[接着層]
接着層は、層同士の接着性を高める機能があるものであれば特に限定はない。接着層の厚さは、密着性、平滑性、反射材の反射率等の観点から、0.01〜10μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜10μmの範囲である。
接着層が樹脂である場合、当該樹脂としては、上記の密着性及び平滑性の条件を満足するものであれば特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共ポリマー系樹脂等の単独又はこれらの混合樹脂が使用でき、耐候性の点からポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の混合樹脂が好ましく、更にイソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂とすればより好ましい。接着層の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
また、接着層が金属酸化物である場合、例えば酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化ランタン、窒化ランタン等を各種真空製膜法によって製膜することで接着層を形成できる。例えば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などによる製膜が可能である。
[アクリル樹脂層]
アクリル樹脂層は、例えば、太陽光や紫外線によるフィルムミラーの劣化防止の目的で紫外線吸収剤を含有してなる層であることが好ましい。アクリル樹脂層は、基材フィルムよりも光入射側に設けることが好ましく、金属反射層よりも光入射側に設けることが好ましい。
本発明に係る成形密着層は紫外線吸収能を有することから、アクリル樹脂層と兼ねても良く、また成形密着層とは異なる紫外線吸収剤をアクリル樹脂層に含有させることも好ましい。
アクリル樹脂層はバインダーとしてアクリル樹脂を用いる層であり、アクリル樹脂層の厚さは、1〜200μmの範囲であることが好ましい。
アクリル樹脂層としては、市販の紫外線吸収剤を含有したアクリルフィルムである、スミペックス テクノロイ S001G 75μm(住友化学株式会社製)等を好ましく用いることができる。
〔3.3〕金属光沢調フィルム
本発明に係る機能性フィルムとして、金属光沢調フィルムを用いることも好ましい。
本発明に係る機能性フィルムである金属光沢調フィルムは、可視光領域である光波長450〜650nmの範囲の反射率が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
金属光沢調フィルムとしては、特に制限されるものではないが、その好ましい一例としては、2枚のポリエステルフィルムが接着層を介して貼り合わされて構成される。当該2枚のポリエステルフィルムは、それぞれ、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートからなるポリエステルAを主成分とする層と、シクロヘキサンジメタノール成分を酸成分に対して25〜35mol%含むポリエステルBを主成分とする層とが厚さ方向に規則的に積層されたポリエステルフィルムである。合計の層数が少なくとも500〜600層であるポリエステルフィルムを備えて構成される金属光沢調フィルムであることが好ましい。
前記ポリエステルAを主成分とする層と、前記ポリエステルBを主成分とする層とは、面内平均屈折率差が、0.03以上であることが好ましい。より好ましくは、0.05以上であり、更に好ましくは0.1以上である。屈折率差が0.03より小さい場合には、十分な反射率が得られないことがある。
金属光沢調フィルムを構成するポリエステルフィルムが、ポリエステルAからなる層(A層)と、ポリエステルBからなる層(B層)とが交互に500層以上積層されていることが重要である。500層以上であると、目標とする反射帯域において70%以上の反射率を有することが可能となり、2枚それぞれのポリエステルフィルムを貼り合わせ、目標とする反射波長を、350〜750nmの領域に設定することで金属調の外観を有する積層フィルムを得ることができる。
また、装置の大型化や層数が多くなりすぎることによる積層精度の低下に伴う波長選択性の低下を考慮すると、層数が600層以下であることが好ましい。500〜600層に層数を制御する方法は、フィードブロックを変更することによって可能であり、500〜600層の範囲に層数が含まれる場合、本発明の目的の範囲で赤外線の透過率と可視光の反射率とのバランスを取ることができる。
金属光沢調フィルムは、更に光波長350〜750nmの平均反射率が70〜100%の範囲内であることがより好ましく、光波長900〜1000nmの範囲の平均透過率が85〜100%の範囲内であることが好ましい。このような金属光沢調フィルムは、後述する二つのポリエステルフィルムを貼り合わせて構成される。
貼り合わせるポリエステルフィルムの一つは、光波長350〜570nmの平均反射率が70〜100%の範囲内、光波長620〜1000nmの平均透過率が85〜100%の範囲内であるものであり、他の一つは、光波長570〜750nmの平均反射率が70〜100%の範囲内、光波長350〜550nmと900〜1000nmの平均透過率が85〜100%の範囲内であることが好ましい。これら二つのポリエステルフィルムを貼り合わせることで光波長350〜750nmの平均反射率が70〜100%の範囲内、光波長900〜1000nmの平均透過率が85〜100%の範囲内であることを同時に達成することができる。
また、金属光沢調フィルムの厚さは100〜300μmの範囲内であることが、取り扱い性の観点から好ましい。成型時のシワ防止及びハンドリング性の向上のため100μm以上あることが望ましい。厚さが300μm以下であると、巻き癖が強くなく、成型装置枠へのシートセットの際に手間がかからなく生産性が高い。
金属光沢調フィルムは、前記構成のポリエステルフィルムの表面上に本発明に係る成形密着層及び自己修復層を形成し、表面硬度と折り曲げなどの応力による硬化膜へのクラックを防止することができる。
また、金属光沢調フィルムは、本発明に係る成形密着層及び自己修復層以外に、ハードコート層、帯電防止層、耐摩耗性層、反射防止層、色補正層、紫外線吸収層、印刷層、透明導電層、ガスバリアー層、ホログラム層、剥離層、粘着層、エンボス層、接着層、離形層などの機能性層を適宜形成しても良い。
金属光沢調フィルムを製造する好ましい製造方法を以下に説明する。
まず、金属光沢調フィルムに用いられる前記ポリエステルAを主成分とする層と前記ポリエステルBを主成分とする層とを少なくとも500層以上積層したポリエステルフィルム(以下、積層フィルムと記す。)の製造方法を以下に説明する。
2種類のポリエステルA及びポリエステルBをペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、事前乾燥を熱風中又は真空下で行い、押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量が均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などが取り除かれる。
これらの2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出されたポリエステルA及びポリエステルBは次に多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィールドブロックやスタティックミキサー等を用いることができる。また、これらを任意に組み合わせても良い。中でも、各層ごとの層厚を個別に制御できるマルチマニホールドダイ又はフィードブロックが好ましい。更に、各層の厚さを精度良く制御するためには、加工精度0.1mm以下の放電加工、ワイヤー放電加工にて、各層の流量を調整する微細スリットを設けたフィードブロックが好ましい。また、この際、樹脂温度の不均一性を低減するため、熱媒循環方式による加熱が好ましい。また、フィードブロック内の壁面抵抗を抑制するため、壁面の粗さを0.4S以下にするか、室温下における水との接触角が30°以上であると良い。
本発明の金属光沢調フィルムに用いるポリエステルフィルムを得るためには、設計する金属光沢調フィルムの分光特性に応じて、最適な積層構成とすることが重要であるが、各波長帯域に対応した微細スリットを有するフィードブロックにて製膜を行うことが特に好ましい。
このようにして所望の層構成に形成した溶融積層体は、ダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートが、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化されることによって、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状又はナイフ状等の電極を用いて、静電気力により上記シートをキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させる方法や、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出して上記シートをキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させる方法、ニップロールにて上記シートを冷却体に密着させ急冷固化させる方法が好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、必要に応じて二軸延伸することが好ましい。二軸延伸とは、長手方向及び幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次二軸延伸しても良いし、同時に二方向に延伸しても良い。
次に、接着剤を介して2枚のポリエステルフィルムを貼り合わせるが、接着剤を介して貼り合わせることで、熱融着等の接着方法に比べて、加熱によるポリエステルBの結晶化が進むのを防ぐことができ、反射波長領域を設計のとおりに発現させることができる。
金属光沢調フィルムを製造する製造方法において前記ポリエステルフィルムの片面に形成する接着剤層の単位面積当たりの質量は約1〜30g/mであることが好ましい。かかる単位面積当たりの質量とすることで、1〜30μmの厚さの接着層が得られる。1g/m未満であると接着力が弱く、剥離しやすくなり、30g/mより多い場合、乾燥性が低下し、外観不良となりやすい。また、異物の押し痕が残りやすく、意匠性の低下につながるため好ましくない。
硬化型接着剤層を形成する際の塗工方式は、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、リップコーター、フレキソコーター、ブランケットコーター、ロールコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、キスタッチコーター、キスタッチリバースコーター、コンマコーター、コンマリバースコーター、マイクロリバースコーターなどの塗工方式を用いることができる。
貼り合わせ工程は、一方のポリエステルフィルムの片面に接着剤を塗布した後、他方のポリエステルフィルムをラミネートニップローラーで貼り合わせる。このとき、一方のポリエステルフィルムの片面に接着剤を塗布した後、40〜120℃で熱処理することが好ましく、40〜120℃に加熱したラミネートニップローラー上で0.2〜1.0MPaのニップ圧力で他方のポリエステルフィルムをラミネートすることが好ましい。
貼り合わせた後、巻取りまでの搬送ゾーンでは、欠点を検出する機構及び/又は、張力の調整や巻取りローラーの切り替えの際のシートのたるみを吸収するための機構等のために、通常複数の搬送ローラーが用いられ、シートの幅方向のずれを抑制するために各搬送ローラーにおいては、適当な接触角度をもってシートが搬送される。
複数の搬送ローラーを通過させた後にシート巻取りコア上に巻取り、接着剤の硬化を目的に、得られた積層フィルムをロールに巻き取った状態で、20〜60℃、24〜168時間熱処理を行う。かかる熱処理の温度が、20℃以上であり熱処理の時間が24時間以上であれば接着剤の硬化が十分であり、十分な接着強度が得られ、後の工程で貼り合わせたフィルムにズレ等が生じない。また、60℃以下で熱処理の時間が168時間以下であれば、ロールとなったシートの巻き締まり痕が余り付かず、加飾用途としては適する。
〔4〕自己修復性フィルムの加飾成型加工方法及び用途
〔4.1〕加飾成型加工方法
本発明の自己修復性フィルムは、当該自己修復性フィルムに対して自己修復層とは反対側の面に粘着層又は接着層を形成し、当該自己修復性フィルムを前記粘着層又は接着層を介して基板上に80℃以上の温度で熱成型しながら貼合する加飾成型加工が行われることが好ましい。
ここでいう基板とは、好ましくは曲面形状体を得ることができるプラスチック材料(筐体)である。
本発明の自己修復性フィルムを、基板上に80℃以上の温度で熱成型しながら貼合する加飾成型加工によって、成形密着層の未硬化モノマーが架橋して重合し、当該未硬化モノマーの含有量が3質量%以下となることにより、成形密着層自体の強度が向上し、自己修復層の耐傷性をより向上することができる。
好ましい温度は、80〜200℃の範囲内であり、80〜150℃の範囲内であることがより好ましく、80〜120℃の範囲内であることが特に好ましい。
[粘着層]
粘着層は、本発明の自己修復性フィルムを基板に接着し、固定するための構成層である。
この粘着層としては、自己修復性フィルムを基板に接着することができるものであれば特に制限されず、例えばドライラミネート剤、ウエットラミネート剤、粘着剤、ヒートシール剤、ホットメルト剤などを用いることができる。また、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトリルゴムなどを用いても良い。
自己修復性フィルムの裏面に粘着層を設けるラミネート方法は特に制限されず、例えばロール式で連続的に行う方法が経済性及び生産性の点から好ましい。
粘着層の厚さは、粘着効果及び乾燥速度等の観点から、通常1〜50μm程度の範囲であることが好ましい。
粘着層に用いられる具体的な材料としては、例えば、綜研化学社製「SKダインシリーズ」、東洋インキ社製Oribain BPWシリーズ、BPSシリーズ、荒川化学社製「アルコン」「スーパーエステル」「ハイペール」等の粘着剤を好適に用いることができる。
なお、自己修復性フィルムを基板に接着するまで、粘着層は剥離シートで覆われており、粘着層の粘着力を保つようにすることが好ましい。
粘着層には腐食防止剤である、アミン類及びその誘導体、ピロール環を有する化合物、ベンゾトリアゾール等のトリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物、銅キレート化合物類、メルカプト基を有する化合物、チオ尿素類、ナフタレン系の少なくとも1種又はこれらの混合物を含有させることも好ましい。
[接着層]
接着剤としては、特に制限されるものではないが、ウレタン系樹脂からなる接着剤が好ましい。ウレタン系樹脂からなる接着剤とは、末端にヒドロキシ基を持つポリオールとポリイソシアネート、又は末端にイソシアネート基を持つウレタンプレポリマーとポリオールを組み合わせ反応させることで硬化し、接着剤として機能するものである。
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオールが使用できる。例えば、ポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレン−プロピレン共重合ポリオール、ポリテトラメチレンポリオールなどの単独又はそれらの混合物が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸(アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸など)とグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコールなど)とを重縮合させ得られたポリオール、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリエチレン−プロピレンアジペート等のポリオールがあり、また、ポリラクトンポリオール、例えば、ポリカプロラクトンポリオールの単独又はそれらの混合物、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、カルボジイミド変性MDI、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び脂環式系ポリイソシアネートが挙げられる。上記ポリイソシアネートは単独又はそれらの混合物として使用できる。
また、接着層には、各種の添加剤、例えば粘度調整剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、易滑剤、顔料、染料、有機又は無機の微粒子、充填剤、耐電防止剤、核剤などが含有されていても良い。
〔4.2〕合わせガラス
本発明の自己修復性フィルムの用途として、合わせガラスに適用することが好ましい。当該合わせガラスは、機能性フィルムとして上記赤外線反射フィルムを備える本発明の自己修復性フィルムが、2枚のガラス基材で挟持されて構成されることが好ましい。
すなわち、本発明の合わせガラスは、入射光側から、一方のガラス基材、機能性フィルムとして上記赤外線反射フィルムを備える自己修復性フィルム、他方のガラス基材の順で配置される。なお、2枚のガラス基材は、同一の種類のガラス基材であっても良く、異なる種類のガラス基材であっても良い。
ガラス基材は、平板状のガラス基材であっても、また車のフロントガラスに使用されるような曲面形状のガラス基材であっても良い。特に、本発明に係る成形密着層及び自己修復層を有する自己修復性フィルムは、曲面形状のガラス基材への適用性に優れる。
本発明に係る合わせガラスは、特に、車の窓ガラスとして用いられる場合において、可視光透過率が70%以上であることが好ましい。なお、可視光透過率は、例えば、分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製、U−4000型)を用いて、JIS R3106(1998)「板ガラス類の透過率・反射率・日射熱取得率の試験方法」に準拠して、測定することができる。
[ガラス基材]
合わせガラスに用いられるガラス基材としては、無機ガラス(以下、単にガラスともいう。)及び有機ガラス(樹脂グレージング)が挙げられる。無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス、及び、グリーンガラス等の着色ガラス等が挙げられる。上記有機ガラスとしては、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。本発明においては、外部から衝撃が加わって破損した際の安全性の観点からは、無機ガラスであることが好ましい。
無機ガラスの種類は、特に限定されないが、通常、ソーダライムシリカガラスが好適に用いられる。この場合、無色透明ガラスであって良く、有色透明ガラスであっても良い。
また、2枚のガラス基材のうち、入射光に近い室外側のガラス基材は、無色透明ガラスであることが好ましい。また、入射光側から遠い室内側のガラス基材は、グリーン系有色透明ガラス又は濃色透明ガラスであることが好ましい。グリーン系有色透明ガラスは、紫外線吸収性能及び赤外線吸収性能を有することが好ましい。これらを用いることにより、室外側でできるだけ日射エネルギーを反射することができ、更に合わせガラスの日射透過率を小さくすることができるからである。
グリーン系有色透明ガラスは特に限定されないが、例えば、鉄を含有するソーダライムシリカガラスが好適に挙げられる。例えば、ソーダライムシリカ系の母ガラスに、Fe換算で、全鉄0.3〜1質量%を含有するソーダライムシリカガラスである。更に、近赤外領域の波長の光の吸収は全鉄のうちの2価の鉄による吸収が支配的であるため、FeO(2価の鉄)の質量が、Fe換算で、全鉄の20〜40質量%であることが好ましい。
紫外線吸収性能を付与するためには、ソーダライムシリカ系の母ガラスにセリウム等を加える方法が挙げられる。具体的には、実質的に以下の組成のソーダライムシリカガラスを用いるのが好ましい。SiO:65〜75質量%、Al:0.1〜5質量%、NaO+KO:10〜18質量%、CaO:5〜15質量%、MgO:1〜6質量%、Fe換算した全鉄:0.3〜1質量%、CeO換算した全セリウム及び/又はTiO:0.5〜2質量%。
また、濃色透明ガラスは、特に限定されないが、例えば、鉄を高濃度で含有するソーダライムシリカガラスが好適に挙げられる。
本発明の合わせガラスを車両等の窓に用いるにあたって、室内側ガラス基材及び室外側ガラス基材の厚さは、ともに1.5〜3.0mmであることが好ましい。この場合、室内側ガラス基材及び室外側ガラス基材を等しい厚さにすることも、異なる厚さにすることもできる。合わせガラスを自動車窓に用いるにあたっては、例えば、室内側ガラス基材及び室外側ガラス基材を、ともに2.0mmの厚さにしたり、2.1mmの厚さにしたりすることが挙げられる。また、合わせガラスを自動車窓に用いるにあたっては、例えば、室内側ガラス基材の厚さを2mm未満、室外側ガラス基材の厚さを2mm以上とすることで、合わせガラスの総厚さを小さくし、かつ車外側からの外力に抗することができる。室内側ガラス基材及び室外側ガラス基材は、平板状でも湾曲状でも良い。車両、特に自動車窓は湾曲していることが多いため、室内側ガラス基材及び室外側ガラス基材の形状は湾曲形状であることが多い。この場合、自己修復性フィルムは室外側ガラス基材の凹面側に設けられる。更に、必要に応じて3枚以上のガラス基材を用いることもできる。
本発明の合わせガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、二つのガラス基材の間に、本発明の自己修復性フィルムを挟持した後、押圧ロール(ニップロールともいう。)に通したり、又はゴムバックに入れて減圧吸引したりして、ガラス基材と、本発明に係る自己修復性フィルムとの間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラスを得ることができる。
上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。合わせガラスは、これらの用途以外にも使用できる。上記合わせガラスは、建築用又は車両用の合わせガラスであることが好ましい。上記合わせガラスは、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。
〔4.3〕曲面形状体
本発明の自己修復性フィルムは、家電、OA機器、携帯電話及び自動車の内装などに使用されているプラスチックの筐体の表面加飾用途に好適に用いることができる。
特に、形状が曲面形状である部材に対して、下記の成形方法により、金属光沢の付加や複雑な模様等の意匠性の高い曲面形状体を成型することができる。
本発明の自己修復性フィルムは、成形密着層及び自己修復層を具備しているため、曲面形状体の表面に傷が付きにくく、また耐光性も高いという優れた特徴を有する。
成形方法としては、基板に用いる樹脂と本発明の自己修復性フィルムとを、射出成形によるインモールド成形する方法が主であるが、成形品に後から貼合、転写させる真空・圧着法(オーバーレイ法)等も利用することができる。また、インモールド成形は更にインモールドラミネーションとインモールド転写に分類され、適宜選択される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
《赤外線反射フィルムの作製》
透明基材フィルムとして厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4300、両面昜接着処理、略称:PET)を用いた。
以下のようにして、第1の水溶性バインダー樹脂及び第1の金属酸化物粒子を含む高屈折率層と、第2の水溶性バインダー樹脂及び第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層とを交互に積層して赤外線反射層を形成し、機能性フィルムとしての赤外線反射フィルムを作製した(図3に対応)。
(1)下引き層の形成
透明基材フィルムに下記下引き層塗布液をエクストルージョンコーターで15mL/mとなるように塗布し、塗布後50℃の無風ゾーン(1秒間)を経た後、120℃で30秒間乾燥し、下引き層付き支持体を得た。
〈下引き層塗布液の調製〉
脱イオン化ゼラチン 10g
純水 30mL
酢酸 20g
下記架橋剤 0.2モル/gゼラチン
下記ノニオン系フッ素含有界面活性剤 0.2g
メタノール:アセトン=2:8の有機溶媒で1000mlにし、下引き層塗布液とした。なお、上記脱イオン化ゼラチンとしては、下記方法で調製したものを用いた。
Figure 2019000984
〈脱イオン化ゼラチンの調製〉
石灰処理、水洗、中和処理を行い、石灰を除去したオセインに対し55〜60℃の熱水中で抽出処理を行い、オセインゼラチンを得た。得られたオセインゼラチン水溶液を、アニオン交換樹脂(ダイヤイオンPA−31G)とカチオン交換樹脂(ダイヤイオンPK−218)の混合ベッドで両イオン交換を行い、上記脱イオン化ゼラチンを調製した。
(2)赤外線反射層の形成
重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置(スライドコーター)を用い、下記低屈折率層用塗布液L1及び高屈折率層用塗布液H1を45℃に保温しながら、45℃に加温した上記下引き層付き支持体に、低屈折率層及び高屈折率層のそれぞれの乾燥時の層厚が130nmになるように、また最下層及び最上層が低屈折率層になるようにして、低屈折率層10層、高屈折率層8層を交互に計18層の同時重層塗布を行った。
塗布直後、5℃の冷風を5分間吹き付けてセットさせた。その後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、18層からなる赤外線反射層を形成した。
なお、上記低屈折率層用塗布液L1及び高屈折率層用塗布液H1としては、下記方法で調製したものを用いた。
〈低屈折率層用塗布液L1の調製〉
まず、10質量%の第2の金属酸化物粒子としてのコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製、スノーテックス(登録商標)OXS)水溶液680部と、4.0質量%のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−103:重合度300、ケン化度98.5mol%)水溶液30部と、3.0質量%のホウ酸水溶液150部とを混合し、分散した。純水を加え、全体として1000部のコロイダルシリカ分散液L1を調製した。
次いで、得られたコロイダルシリカ分散液L1を45℃に加熱し、その中に4.0質量%のポリビニルアルコール(B)としてのポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール株式会社製、JP−45:重合度4500、ケン化度86.5〜89.5mol%)水溶液760部を撹拌しながら添加した。その後、1質量%のベタイン系界面活性剤(川研ファインケミカル株式会社製、ソフダゾリン(登録商標)LSB−R)水溶液40部を添加し、低屈折率層用塗布液L1を調製した。
〈高屈折率層用塗布液H1の調製〉
(コア・シェル粒子のコアとするルチル型酸化チタンの調製)
水中に、酸化チタン水和物を懸濁させ、TiOに換算したときの濃度が100g/Lになるように、酸化チタンの水性懸濁液を調製した。10Lの当該懸濁液に、30Lの水酸化ナトリウム水溶液(濃度10モル/L)を撹拌しながら加えた後、90℃に加熱し、5時間熟成させた。次いで、塩酸を用いて中和し、濾過後水を用いて洗浄した。なお、上記反応(処理)において、原料である酸化チタン水和物は、公知の手法に従い、硫酸チタン水溶液の熱加水分解処理によって得られたものである。
純水中に、上記塩基処理したチタン化合物をTiOに換算したときの濃度が20g/Lになるように、懸濁させた。その中に、TiO量に対し0.4モル%のクエン酸を撹拌しながら加えた。その後、加熱し、混合ゾル液の温度が95℃になったところで、塩酸濃度が30g/Lになるように濃塩酸を加えた。液温を95℃に維持しながら、3時間撹拌させ、酸化チタンゾル液を調製した。
上記のように、得られた酸化チタンゾル液のpH及びゼータ電位を測定したところ、pHは1.4であり、ゼータ電位は+40mVであった。また、マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測定を行ったところ、単分散度は16%であった。
更に、酸化チタンゾル液を105℃で3時間乾燥させ、酸化チタンの粉体微粒子を得た。日本電子データム株式会社製、JDX−3530型を用いて、当該粉体微粒子をX線回折測定し、ルチル型の酸化チタン微粒子であることを確認した。また、当該微粒子の体積平均粒径は10nmであった。
そして、純水4kgに、得られた体積平均粒径10nmのルチル型の酸化チタン微粒子を添加し、10.0質量%の酸化チタンゾル水系分散液を得た。
(シェル被覆によるコア・シェル粒子の調製)
2kgの純水に、10.0質量%の酸化チタンゾル水系分散液0.5kgを加え、90℃に加熱した。次いで、SiOに換算したときの濃度が2.0質量%であるように調製したケイ酸水溶液1.3kgを徐々に添加し、オートクレーブ中、175℃で18時間加熱処理を行い、更に濃縮した。これにより、コア粒子がルチル型構造を有する酸化チタン、被覆層がSiOであるコア・シェル粒子(平均粒径:10nm)のゾル液(固形分濃度20質量%)を得た。
(塗布液の調製)
上記で得られた固形分濃度20.0質量%の第1の金属酸化物粒子としてのコア・シェル粒子を含むゾル液28.9部と、1.92質量%のクエン酸水溶液10.5部と、10質量%のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−103:重合度300、ケン化度98.5mol%)水溶液2.0部と、3質量%のホウ酸水溶液9.0部とを混合して、コア・シェル粒子分散液H1を調製した。
次いで、コア・シェル粒子分散液H1を撹拌しながら、純水16.3部及び5.0質量%のポリビニルアルコール(A)としてのポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−124:重合度2400、ケン化度98〜99mol%)水溶液33.5部を加えた。更に、1質量%のベタイン系界面活性剤(川研ファインケミカル株式会社製、ソフダゾリン(登録商標)LSB−R)水溶液0.5部を添加し、純水を用いて全体として1000部の高屈折率層用塗布液H1を調製した。
《自己修復性フィルム101の作製》
上記作製した赤外線反射フィルムの光反射層上に、下記工程にしたがって成形密着層及び自己修復層を形成して、自己修復性フィルム101を作製した。
(1)成形密着層の形成
〈紫外線安定性モノマー及び紫外線吸収性モノマーを含むモノマー組成物から重合されたアクリルポリマー〉
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた1Lのフラスコに酢酸ブチル200部を仕込み、窒素ガスを導入し、撹拌しながら90℃に加熱した。当該フラスコに、紫外線安定性モノマー及び紫外線吸収性モノマーとしての、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン45質量部、グリシジルメタクリレート90質量部、ブチルメタクリレート165質量部、及び開始剤としての2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1.5質量部の混合物を4時間かけて滴下し、滴下後更に2時間加熱した。次に、窒素と酸素の混合ガスを吹き込みながら110℃に昇温し、成形密着層の主成分としてのペンタエリスリトールトリアクリレート50質量部を30分間かけて滴下した。滴下後更に6時間反応させて側鎖にアクリロイル基を有するアクリルポリマーの65質量%溶液を得た。この得られた溶液の酸価は15mgKOHで、数平均分子量は14300であった。
〈層の形成〉
上記アクリルポリマー溶液を、上記赤外線反射フィルム1の赤外線反射層上に、乾燥層厚が5μmになるように塗布して、80℃、0.25分間の乾燥を行い、成形密着層を形成した。
(2)自己修復層の形成
次いで、形成した成形密着層上に、エージング処理をせずに、連続して下記の自己修復層組成物を孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過したものを、マイクログラビアコーターを用いて成形密着層の表面に塗布した。次いで、恒率乾燥区間温度80℃、減率乾燥区間温度80℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cmで、照射量を0.3J/cmとして塗布層を硬化させ、ドライ層厚20μmの自己修復層を形成した。これを巻き取り、ロール状の自己修復性フィルム101を作製した。
[自己修復層組成物]
AUP−787(株式会社トクシキ製) 100質量部
メチルエチルケトン 50質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 30質量部
BYK−381(界面活性剤:ビックケミー・ジャパン社製) 1質量部
なお、AUP−787は、ウレタンアクリレート、光重合開始剤及びメチルエチルケトンを含有した樹脂組成物である。
《自己修復性フィルム102の作製》
上記自己修復性フィルム101の作製において、成形密着層の主成分として用いられるペンタエリスリトールトリアクリレートをペンタエリスリトールテトラアクリレートに変更した以外は同様にして、自己修復性フィルム102を作製した。
《自己修復性フィルム103の作製》
上記自己修復性フィルム101の作製において、成形密着層の主成分として用いられるペンタエリスリトールトリアクリレートをシアヌル酸トリアクリレートに変更した以外は同様にして、自己修復性フィルム103を作製した。
《自己修復性フィルム104の作製》
上記自己修復性フィルム101の作製において、成形密着層の主成分として用いられるペンタエリスリトールトリアクリレートをG13(日本触媒製)に変更した以外は同様にして、自己修復性フィルム104を作製した。
《自己修復性フィルム105の作製》
上記自己修復性フィルム101の作製において、成形密着層の主成分として用いられるペンタエリスリトールトリアクリレートをG137(日本触媒製)に変更した以外は同様にして、自己修復性フィルム105を作製した。
《自己修復性フィルムの評価》
上記のようにして作製した自己修復性フィルム101〜105について、以下の評価を行った。各評価結果を表2に示す。
(1)自己修復層の修復度(A)の測定
上記作製した各自己修復性フィルムについて、ビッカース圧子及び稜線同士の角度が115度の三角錐圧子を用いた微小硬度計を用いて、フィルム表面に、設定した押し込み深さhmax(μm)で圧子を押し込んだときの負荷試験力−押し込み深さ曲線を作成した。そして、各自己修復性フィルムについて除荷保持時間0秒又は60秒で測定した際に求められる残留深さ(h、h)(図2参照。)より、A=(h−h)/hmax)により算出した。以上の測定をフィルム表面の異なる箇所で5回行い、その平均値を求め、修復度(A)とした。
具体的な測定条件は、ダイナミック超微小硬度計DUH−211S(島津製作所社製)を用い、下記の測定条件で測定した。
圧子形状:三角錐圧子(稜間角115°)
測定環境:温度23℃、相対湿度50%
最大試験荷重:196.13mN
荷重速度:6.662mN/10秒
除荷速度:6.662mN/10秒
(2)機能性フィルム、成形密着層及び自己修復層の表面自由エネルギー及びその水素結合成分の測定
上記作製した自己修復性フィルムについて、次のようにして表面自由エネルギー及びその水素結合成分を測定した。なお、機能性フィルム及び成形密着層に対する測定は、表面処理液(テトラヒドロフラン)をフィルム表層に100mm×100mm当たり2ml滴下し、所定時間かけて自己修復性フィルムの自己修復層や成形密着層を除いた後、表面処理液を除去した上で行う。
測定装置:固液界面解析装置(DropMaster500、協和界面科学株式会社製)
測定方法:液滴法
環境 :温度23℃、55%RH
3種の標準液体:純水、ニトロメタン、ヨウ化メチレンと、各自己修復性フィルムにおける機能性フィルム表面、成形密着層表面及び自己修復層表面との接触角を、JIS R3257で規定される方法に準拠して前記標準液体を被測定固体上に約3μL滴下して、固液界面解析装置(DropMaster500、協和界面科学株式会社製)により5回測定し、測定値の平均から平均接触角を得た。接触角測定までの時間は試薬を滴下してから60秒後とした。
次に、Young−Dupreの式及び拡張Fowkesの式に基づき、固体の表面自由エネルギーの3成分を算出した。なお、表面自由エネルギー解析ソフトEG−11(協和界面科学株式会社製)を用いて計算した。
Young−Dupreの式:WSL=γL(1+cosθ)
SL:液体/固体間の付着エネルギー
γL:液体の表面自由エネルギー
θ:液体/固体の接触角
拡張Fowkesの式:
SL=2{(γsdγL1/2+(γspγL1/2+(γshγL1/2
γL=γL+γL+γL:液体の表面自由エネルギー
γ=γsd+γsp+γsh:固体の表面自由エネルギー
γsd、γsp、γsh:表面自由エネルギーの分散、双極子、水素結合の各成分
接触角の値から3元連立方程式を解くことにより、各自己修復性フィルムにおける機能性フィルム表面、成形密着層表面及び自己修復層表面の表面自由エネルギー各成分値(γsd、γsp、γsh)を求めた。
(3)光学性能の評価
作製した自己修復性フィルムを曲面レンズ(φ200mm、R300)形状に150℃/3minで熱成形し、その成形前後で正反射率を測定した。正反射率の測定には、分光光度計としてU−4000型((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用い、各自己修復性フィルムの光波長400〜1000nmの領域における反射率を23℃・55%RHの環境下、反射面の法線に対して、入射光の入射角5°の反射率をフィルムの幅手方向に等間隔で10点の測定を行った。そしてその平均値を求め、これを正反射率(%)とした。成形前後の正反射率の変化率を算出し、その変化率を以下の評価基準で評価した。
◎:1%以下
○:1%より大きく、3%以下
△:3%より大きく、5%以下
×:5%より大きい
(4)耐候性の評価
作製した自己修復性フィルムを曲面レンズ(φ200mm、R300)形状に150℃/3minで熱成形し、成形後の自己修復性フィルムに対して、耐候性試験を行った。耐候性試験には、Xe耐候性試験装置(スガ試験機株式会社、キセノンウェザーメーターNX25)を用い、300〜400nm波長、60Wの照射強度で2000時間露光照射を行った。上記光学性能の評価と同様にして、耐候性試験前後で自己修復性フィルムの正反射率を測定し、その変化率を算出した。算出した変化率を以下の評価基準で評価した。
◎:3%以下
○:3%より大きく、5%以下
△:5%より大きく、10%以下
×:10%より大きい
Figure 2019000984
表2に示すように、本発明の自己修復性フィルムは、比較例の自己修復性フィルムに対して、成形後の光学性能及び耐候性に優れていることが分かる。比較例の自己修復性フィルムにおいては、成形された際に層間剥離が発生したことにより、光学性能及び耐候性が低下したものと考えられる。
また、成形密着層と機能性フィルムとの表面自由エネルギーの水素結合成分の差が2mN/m以上であって、成形密着層と自己修復層との表面自由エネルギーの水素結合成分の差が2mN/m以上である自己修復性フィルム103、105は、当該条件を満たさない自己修復性フィルム104と比較して、歪みや微小なボイドが発生することがなく成形することが可能であるため、残留歪みによる耐候性劣化とボイドによる光学性能劣化を防ぐことができる。
1 機能性フィルム
4 成形密着層
5 自己修復層
MF、RF、WF 自己修復性フィルム

Claims (2)

  1. 機能性フィルムと、
    前記機能性フィルム上に設けられた自己修復層と、
    前記機能性フィルムと前記自己修復層との間に設けられた成形密着層と、を備え、
    前記成形密着層が、紫外線安定性モノマーから選ばれる少なくとも1種と紫外線吸収性モノマーから選ばれる少なくとも1種とを含むモノマー組成物が重合したポリマーを含有し、表面自由エネルギーが50mN/m以上、表面自由エネルギーの水素結合成分が3mN/m以上であることを特徴とする自己修復性フィルム。
  2. 前記成形密着層と前記機能性フィルムとの表面自由エネルギーの水素結合成分の差が2mN/m以上であり、
    前記成形密着層と前記自己修復層との表面自由エネルギーの水素結合成分の差が2mN/m以上であることを特徴とする請求項1に記載の自己修復性フィルム。
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