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JP2019071165A - 鉛蓄電池用樹脂、電極、鉛蓄電池及び自動車 - Google Patents

鉛蓄電池用樹脂、電極、鉛蓄電池及び自動車 Download PDF

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JP2019071165A JP2016038815A JP2016038815A JP2019071165A JP 2019071165 A JP2019071165 A JP 2019071165A JP 2016038815 A JP2016038815 A JP 2016038815A JP 2016038815 A JP2016038815 A JP 2016038815A JP 2019071165 A JP2019071165 A JP 2019071165A
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耕介 原
耕二 木暮
Koji Kogure
耕二 木暮
山下 剛
Takeshi Yamashita
剛 山下
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Abstract

【課題】鉛蓄電池において優れた充電受け入れ性を有する鉛蓄電池用樹脂を提供する。【解決手段】フェノール系化合物に由来する構造単位を有する樹脂であって、スルホン酸カリウム塩基を含む、鉛蓄電池用樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、鉛蓄電池用樹脂、電極、鉛蓄電池及び自動車に関する。
自動車用鉛蓄電池は、エンジン始動用及び電装品の電力供給用として広汎に用いられている。近年、環境保護及び燃費改善の取り組みとして、車両の一時停止時にはエンジンを止め、発進時に再始動するアイドリング・ストップ・システム(以下、「ISS」という)が実施され始めている。ISSにおいて使用される鉛蓄電池では、頻繁にエンジンの始動及び停止が繰り返されることにより、エンジン始動時の大電流放電回数が増え、電装品の使用と重なり放電負荷が多くなる。
自動車用鉛蓄電池の充電は、オルタネータによる定電圧充電である。近年、充電中の水分解による電解液の減少を抑制することを目的として、オルタネータ電圧の設定値は低下してきている。また、近年では、このような低い充電電圧を採用することに加えて、発電制御システムと呼ばれる「走行中のオルタネータによる充電を、車両の走行状態及び鉛蓄電池の充電状態に応じて制御することにより、エンジン負荷を低減し、燃費向上及びCO削減を図る」方式も採用されている。このような方式では、鉛蓄電池の充電が行われにくく、満充電状態になりにくい。このような使用条件において鉛蓄電池は、充分に充電されず放電過多で使用されることが多くなる。
鉛蓄電池の充電が完全に行われず、充電量の低い状態が継続すると、不活性の放電生成物である硫酸鉛が電極(極板等)に蓄積する現象(サルフェーション)が起こる場合がある。このような状況では、電極活物質が還元されにくい(充電されにくい)状態であることから、充電受け入れ性等の電池性能が低下することが知られている。
また、完全な充電が行われにくい場合には、鉛蓄電池内における電極(極板等)の上部と下部との間で、電解液である希硫酸の濃淡差が生じる成層化現象が起こる。この場合、電極の下部の希硫酸の濃度が高くなりサルフェーションが発生する。そのため、電極の下部の反応性が低下し、電極の上部だけが集中的に反応するようになる。その結果、電極活物質間の結びつきが弱くなる等の劣化が進み、電極の上部において、電極活物質を支持する集電体(例えば集電体格子)から電極活物質が剥離して、充電受け入れ性等の電池性能が低下する。
これに対し、充電受け入れ性等を向上させる手段として、下記特許文献1には、負極活物質と、フェノール類、アミノベンゼンスルホン酸及びホルムアルデヒドの縮合物とを用いて得られる鉛蓄電池用負極に関する技術が開示されている。
国際公開第1997/37393号
ところで、鉛蓄電池に対しては充電受け入れ性等の電池性能を更に向上させることが求められている。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、鉛蓄電池において優れた充電受け入れ性を有する鉛蓄電池用樹脂を提供することを目的とする。また、本発明は、前記鉛蓄電池用樹脂を含む電極を提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記電極を備える鉛蓄電池を提供することを目的とする。本発明は、前記鉛蓄電池を備える自動車を提供することを目的とする。
本発明者らの鋭意検討の結果、前記特許文献1に記載の鉛蓄電池用負極を用いた場合に充分な充電受け入れ性が得られないことが明らかとなった。これに対し、本発明者らは、フェノール系化合物に由来する構造単位を有し、且つ、スルホン酸カリウム塩基を含む樹脂を用いることにより前記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明に係る鉛蓄電池用樹脂は、フェノール系化合物に由来する構造単位を有する樹脂であって、スルホン酸カリウム塩基を含む。
本発明に係る鉛蓄電池用樹脂によれば、鉛蓄電池において優れた充電受け入れ性を得ることができる。また、本発明に係る鉛蓄電池用樹脂によれば、優れた充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性等の電池性能を両立することができる。
前記構造単位は、ビスフェノール系化合物に由来する構造単位を含んでいてもよく、リグニンに由来する構造単位を含んでいてもよい。この場合、充電受け入れ性が向上しやすい。
本発明に係る鉛蓄電池用樹脂が、リグニンに由来する構造単位を有する場合、当該樹脂の重量平均分子量は、3000〜50000であることが好ましい。
本発明に係る電極は、電極活物質と、本発明に係る鉛蓄電池用樹脂と、を含む。本発明に係る鉛蓄電池は、本発明に係る電極を備えている。本発明に係る自動車は、本発明に係る鉛蓄電池を備えている。これらにおいても、優れた充電受け入れ性を得ることができる。
本発明によれば、鉛蓄電池において優れた充電受け入れ性を得ることができる。また、本発明によれば、優れた充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性等の電池性能を両立することができる。本発明によれば、過酷な環境で使用されるISS車両用途として充分満足し得る鉛蓄電池を提供することができる。本発明によれば、鉛蓄電池のISS車両への応用を提供できる。
図1は、鉛蓄電池の一例を示す斜視図である。 図2は、図1に示す鉛蓄電池の内部構造の一部を示す図である。 図3は、極板群の一例を示す斜視図である。 ビスフェノール系樹脂のH−NMRスペクトルの測定結果を示す図である。 ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量の測定における検量線を示す図である。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本明細書において、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<鉛蓄電池用樹脂及びその製造方法>
本実施形態に係る鉛蓄電池用樹脂は、フェノール系化合物に由来する構造単位を有する樹脂であり、スルホン酸カリウム塩基を含んでいる。スルホン酸カリウム塩基は、フェノール系化合物に由来する構造単位中に含まれていてもよく、フェノール系化合物に由来する構造単位とは別に樹脂中に含まれていてもよい。本実施形態に係る鉛蓄電池用樹脂は、フェノール系化合物に由来する構造単位と、スルホン酸カリウム塩基を有する構造単位とを有していてもよい。本実施形態に係る鉛蓄電池用樹脂としては、例えば、スルホン酸カリウム塩基を含むビスフェノール系樹脂、及び、リグニンスルホン酸カリウム(リグニンスルホン酸カリウム塩)が挙げられる。以下、場合により、本実施形態に係る鉛蓄電池用樹脂を「フェノール系樹脂PR」と称する。
(ビスフェノール系樹脂)
本実施形態に係る鉛蓄電池用樹脂は、スルホン酸カリウム塩基を含むビスフェノール系樹脂であってもよい。ビスフェノール系樹脂は、フェノール系化合物に由来する構造単位として、ビスフェノール系化合物に由来する構造単位を有している。スルホン酸カリウム塩基を含むビスフェノール系樹脂は、例えば、(a)ビスフェノール系化合物(以下、場合により「(a)成分」という)と、(b)スルホ基を有する化合物(以下、場合により「(b)成分」という)と、の反応において前記スルホ基の水素原子をカリウム原子で置換することにより得ることができる。(a)成分及び(b)成分の反応において、(c)ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種(以下、場合により「(c)成分」という)を更に反応させてもよい。
(a)成分としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」という)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、及び、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(以下、「ビスフェノールS」という)が挙げられる。(a)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(a)成分としては、充電受け入れ性に更に優れる観点からはビスフェノールAが好ましく、放電特性に更に優れる観点からはビスフェノールSが好ましい。
(a)成分としては、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性がバランス良く向上する観点から、ビスフェノールAとビスフェノールSとを併用することが好ましい。この場合、ビスフェノール系樹脂を得るための反応におけるビスフェノールAの含有量は、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性がバランス良く向上する観点から、ビスフェノールA及びビスフェノールSの合計量を基準として、70モル%以上が好ましく、75モル%以上がより好ましく、80モル%以上が更に好ましい。ビスフェノールAの含有量は、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性がバランス良く向上する観点から、ビスフェノールA及びビスフェノールSの合計量を基準として、99モル%以下が好ましく、98モル%以下がより好ましく、97モル%以下が更に好ましい。
(b)成分としては、アミノ基及びスルホ基を有する化合物を用いることができる。アミノ基及びスルホ基を有する化合物としては、例えば、4−アミノベンゼンスルホン酸(別名スルファニル酸)、アミノエチルスルホン酸(別名タウリン)、及び、5−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(別名ローレント酸)が挙げられる。
(b)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(b)成分としては、充電受け入れ性が更に向上する観点から、4−アミノベンゼンスルホン酸が好ましい。
ビスフェノール系樹脂を得るための反応における(b)成分の含有量は、放電特性が更に向上する観点から、(a)成分1モルに対して、0.5モル以上が好ましく、0.6モル以上がより好ましく、0.7モル以上が更に好ましく、0.8モル以上が特に好ましい。(b)成分の含有量は、放電特性及びサイクル特性が更に向上しやすい観点から、(a)成分1モルに対して、2.0モル以下が好ましく、1.5モル以下がより好ましく、1.3モル以下が更に好ましく、1.0モル以下が特に好ましい。
(c)成分であるホルムアルデヒドとしては、ホルマリン(例えばホルムアルデヒド37質量%の水溶液)中のホルムアルデヒドを用いてもよい。ホルムアルデヒド誘導体としては、例えば、パラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン及びトリオキサンが挙げられる。(c)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ホルムアルデヒドとホルムアルデヒド誘導体とを併用してもよい。
(c)成分としては、優れたサイクル特性が得られやすい観点から、ホルムアルデヒド誘導体が好ましく、パラホルムアルデヒドがより好ましい。パラホルムアルデヒドは、例えば、下記一般式(1)で表される構造を有する。
HO(CHO)n1H …(1)
[式(1)中、n1は、2〜100の整数を示す。]
ビスフェノール系樹脂を得るための反応における(c)成分のホルムアルデヒド換算の配合量は、(b)成分の反応性が向上する観点から、(a)成分1モルに対して、2モル以上が好ましく、2.2モル以上がより好ましく、2.4モル以上が更に好ましい。(c)成分のホルムアルデヒド換算の配合量は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応により得られると共にベンゾオキサジン環を有する構造単位を低減しやすい観点から、(a)成分1モルに対して、3.5モル以下が好ましく、3.2モル以下がより好ましく、3モル以下が更に好ましく、2.8モル未満が特に好ましく、2.5モル以下が極めて好ましい。
ビスフェノール系樹脂は、例えば、下記一般式(I)で表される構造単位、及び、下記一般式(II)で表される構造単位の少なくとも一方を有することが好ましい。

[式(I)中、Xは、2価の基を示し、Yは、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素又は脂環式炭化水素を示し、R11、R12及びR13は、それぞれ独立にカリウム原子又は水素原子を示し、n11は、1〜300の整数を示し、n12は、1〜3の整数を示す。また、ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合している水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。]

[式(II)中、Xは、2価の基を示し、Yは、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素又は脂環式炭化水素を示し、R21、R22及びR23は、それぞれ独立にカリウム原子又は水素原子を示し、n21は、1〜300の整数を示し、n22は、1〜3の整数を示す。また、ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合している水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。]
式(I)で表される構造単位、及び、式(II)で表される構造単位の比率は、特に制限はなく、合成条件等によって変化し得る。ビスフェノール系樹脂としては、式(I)で表される構造単位、及び、式(II)で表される構造単位のいずれか一方のみを有する樹脂を用いてもよい。
及びXとしては、アルキリデン基(例えばメチリデン基、エチリデン基、イソプロピリデン基及びsec−ブチリデン基)、シクロアルキリデン基(例えばシクロヘキシリデン基)、フェニルアルキリデン基(例えばジフェニルメチリデン基及びフェニルエチリデン基)等の有機基;スルホニル基などが挙げられる。X及びXとしては、充電受け入れ性に更に優れる観点からはイソプロピリデン基(−C(CH−)基が好ましく、放電特性に更に優れる観点からはスルホニル基(−SO−)が好ましい。X及びXは、フッ素原子等のハロゲン原子により置換されていてもよい。X又はXがシクロアルキリデン基である場合、炭化水素環はアルキル基等により置換されていてもよい。
及びYとしては、芳香族炭化水素(例えばフェニレン基及びナフチレン基)、脂肪族炭化水素(例えばエチレン基及びトリメチレン基)、脂環式炭化水素(例えばシクロヘキシリデン基)等が挙げられる。Y及びYとしては、充電受け入れ性に更に優れる観点から、フェニレン基又はナフチレン基が好ましい。Y及びYは、フッ素原子等のハロゲン原子により置換されていてもよい。
ビスフェノール系樹脂は、例えば、下記一般式(III)〜(VI)で表される構造単位を有していてもよい。式(III)〜(VI)で表される構造単位が生成する理由は、(a)成分のベンゼン環にホルムアルデヒド成分が付加反応をするためと推測される。
、X、X及びXは、2価の基を示し、R31、R32、R33、R41、R42、R43、R51、R52、R61及びR62は、それぞれ独立にカリウム原子又は水素原子を示し、n31、n41、n51及びn61は、1〜300の整数を示し、n32及びn42は、1〜3の整数を示す。また、ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合している水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。
ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は、サイクル特性が更に向上する観点から、20000以上が好ましく、30000以上がより好ましく、40000以上が更に好ましく、50000以上が特に好ましい。ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は、サイクル特性が更に向上する観点から、80000以下が好ましく、70000以下がより好ましく、60000以下が更に好ましい。これらの観点から、ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は、20000〜80000が好ましく、30000〜70000がより好ましく、40000〜60000が更に好ましく、50000〜60000が特に好ましい。
ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は、例えば、下記条件のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により測定することができる。
(GPC条件)
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:TSKgel SuperAW(4000)、TSKgel SuperAW(3000)、TSKgel SuperAW(2500)(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(10mM)及びトリエチルアミン(200mM)を含有するメタノール溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×10、5.80×10、2.55×10、1.46×10、1.01×10、4.49×10、2.70×10、2.10×10;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×10;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×10;キシダ化学株式会社製)
ビスフェノール系樹脂の製造方法は、例えば、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を反応させてビスフェノール系樹脂を得る樹脂製造工程を備えている。ビスフェノール系樹脂は、例えば、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を反応溶媒中で反応させることにより得ることができる。反応溶媒は、水(例えばイオン交換水)であることが好ましい。反応を促進させるために、有機溶媒、触媒、添加剤等を用いてもよい。
樹脂製造工程は、サイクル特性が更に向上する観点から、(b)成分の配合量が(a)成分1モルに対して0.5〜2.0モルであり、且つ、(c)成分の配合量が(a)成分1モルに対してホルムアルデヒド換算で2〜3.5モルである態様が好ましく、(b)成分の配合量が(a)成分1モルに対して0.5〜2.0モルであり、且つ、(c)成分の配合量が(a)成分1モルに対してホルムアルデヒド換算で2〜2.5モルである態様がより好ましい。(b)成分及び(c)成分の好ましい配合量は、(b)成分及び(c)成分の配合量のそれぞれについて上述した範囲である。
ビスフェノール系樹脂は、充分量のビスフェノール系樹脂が得られやすい観点から、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を塩基性条件(アルカリ性条件)で反応させることにより得ることが好ましい。塩基性条件に調整するためには、塩基性化合物を用いてもよい。塩基性化合物としては、例えば、水酸化カリウム及び炭酸カリウムが挙げられる。塩基性化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。塩基性化合物の中でも、反応性に優れる観点から、水酸化カリウムが好ましい。
反応時の反応溶液が中性(pH=7)である場合、ビスフェノール系樹脂の生成反応が進行しにくい場合があり、反応溶液が酸性(pH<7)である場合、副反応(例えば、ベンゾオキサジン環を有する構造単位の生成反応)が進行する場合がある。そのため、反応時の反応溶液のpHは、ビスフェノール系樹脂の生成反応を進行させつつ副反応が進行することを抑制しやすい観点から、アルカリ性である(7を超える)ことが好ましく、7.1以上がより好ましく、7.2以上が更に好ましい。反応溶液のpHは、ビスフェノール系樹脂における(b)成分に由来する基の加水分解が進行することを抑制する観点から、12以下が好ましく、10以下がより好ましく、9以下が更に好ましい。反応溶液のpHは、例えば株式会社堀場製作所製のツインpHメーター AS−212で測定することができる。pHは25℃におけるpHと定義する。
前記のようなpHに調整しやすいことから、強塩基性化合物の配合量は、(b)成分1モルに対して、1.01モル以上が好ましく、1.02モル以上がより好ましく、1.03モル以上が更に好ましい。同様の観点から、強塩基性化合物の配合量は、(b)成分1モルに対して、1.1モル以下が好ましく、1.08モル以下がより好ましく、1.07モル以下が更に好ましい。強塩基性化合物としては、例えば、水酸化カリウム及び炭酸カリウムが挙げられる。
本実施形態では、ビスフェノール系樹脂の製造方法により得られる反応物(反応溶液)をそのまま、後述する電極の製造に用いてもよく、反応物を乾燥して得られるビスフェノール系樹脂を溶媒(水等)に溶解させて、後述する電極の製造に用いてもよい。
ビスフェノール系樹脂の合成反応は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分が反応してビスフェノール系樹脂が得られればよく、例えば、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を同時に反応させてもよく、(a)成分、(b)成分及び(c)成分のうちの2成分を反応させた後に残りの1成分を反応させてもよい。
ビスフェノール系樹脂の合成反応は、次のように二段階で行うことが好ましい。第一段階の反応では、例えば、(b)成分、溶媒(水等)及び塩基性化合物を仕込んだ後に撹拌し、(b)成分におけるスルホ基の水素原子をカリウム原子で置換して(b)成分のカリウム塩を得る。これにより、後述の縮合反応において副反応を抑制しやすい。反応系の温度は、(b)成分の溶媒(水等)への溶解性に優れる観点から、0℃以上が好ましく、25℃以上がより好ましい。反応系の温度は、副反応を抑制しやすい観点から、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、65℃以下が更に好ましい。反応時間は、例えば30分である。
第二段階の反応では、例えば、第一段階で得られた反応物に(a)成分及び(c)成分を加えて縮合反応させることによりビスフェノール系樹脂を得る。反応系の温度は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応性に優れる観点、及び、副反応生成物が低減される観点から、75℃以上が好ましく、85℃以上がより好ましく、92℃以上が更に好ましい。反応系の温度は、副反応を抑制しやすい観点から、100℃以下が好ましく、98℃以下がより好ましく、96℃以下が更に好ましい。反応時間は、例えば5〜20時間である。
(リグニンスルホン酸カリウム)
本実施形態に係る鉛蓄電池用樹脂は、リグニンスルホン酸カリウムであってもよい。リグニンスルホン酸カリウムは、リグニン分解物の一部がスルホン化されたリグニンスルホン酸のカリウム塩である。リグニンスルホン酸カリウムは、フェノール系化合物に由来する構造単位として、リグニンに由来する構造単位を有している。また、リグニンスルホン酸カリウムは、スルホン酸カリウム塩基を含んでいる。
リグニンスルホン酸カリウムは、リグニンスルホン酸ナトリウムのナトリウム原子をカリウム原子に置換することで得ることができる。例えば、リグニンスルホン酸カリウムは、木材チップを蒸解してセルロースを取り出した後に残った黒液を水酸化カリウム等によって中和することにより得ることができる。また、リグニンスルホン酸カリウムは、リグニンスルホン酸ナトリウムを得た後に透析を行い、続いて、水酸化カリウムで中和することにより得ることができる。
リグニンスルホン酸ナトリウムは、木材チップを蒸解してセルロースを取り出した後に残った黒液を水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等によって中和することにより得ることができる。リグニンスルホン酸ナトリウムの構造は、下記一般式(2)で表される構造単位を有することができる。

[式(2)中、n2は、1以上の整数を示す。]
リグニンスルホン酸カリウムの重量平均分子量は、鉛蓄電池において電極からリグニンスルホン酸カリウムが電解液に溶出することが抑制されて更に優れたサイクル特性が得られる観点から、3000以上が好ましく、7000以上がより好ましく、8000以上が更に好ましい。リグニンスルホン酸カリウムの重量平均分子量は、電極活物質の分散性に優れる観点から、50000以下が好ましく、30000以下がより好ましく、20000以下が更に好ましい。これらの観点から、リグニンスルホン酸カリウムの重量平均分子量は、3000〜50000が好ましく、7000〜30000がより好ましく、8000〜20000が更に好ましい。リグニンスルホン酸カリウムの重量平均分子量は、ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量と同様の方法により測定することができる。
電極層におけるフェノール系樹脂PRの含有量は、電極活物質の全質量を基準として、0.01〜2質量%が好ましく、0.05〜1質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%が更に好ましい。
<樹脂組成物>
本実施形態に係る樹脂組成物は、本実施形態に係る鉛蓄電池用樹脂を含有している。本実施形態に係る樹脂組成物は、溶媒を含有していてもよい。溶媒としては、例えば、水(例えばイオン交換水)及び有機溶媒が挙げられる。樹脂組成物に含まれる溶媒は、ビスフェノール系樹脂を得るために用いた反応溶媒であってもよい。本実施形態に係る樹脂組成物は、フェノール系樹脂PR以外の天然樹脂又は合成樹脂を更に含有していてもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、樹脂製造工程において得られる組成物であってもよく、フェノール系樹脂PRを得た後にフェノール系樹脂PRと他の成分とを混合して得られる組成物であってもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物におけるフェノール系樹脂PRの含有量は、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性がバランス良く向上する観点から、樹脂組成物における不揮発分の全質量を基準として、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物において、前記式(III)〜(VI)で表される構造単位の含有量(合計量)は、樹脂組成物の保存安定性、及び、サイクル特性に更に優れる観点から、樹脂組成物における不揮発分の全質量を基準として、0.55質量%以下が好ましく、0.50質量%以下がより好ましく、0.45質量%以下が更に好ましい。式(III)〜(VI)で表される構造単位は、メチロール基が縮合重合することで分子量が増加するため、保存安定性が低下する要因となる場合がある。
樹脂組成物における不揮発分含量の測定は、例えば、下記の手順により測定することができる。まず、所定量(例えば2g)の樹脂組成物を容器(例えばステンレスシャーレ等の金属シャーレ)に入れた後、熱風乾燥機を用いて樹脂組成物を150℃、60分間乾燥させる。次に、容器の温度が室温(例えば25℃)に戻った後、残分質量を測定する。そして、下記の式から不揮発分含量を算出する。
不揮発分含量(質量%)=[(乾燥後の残分質量)/(乾燥前の樹脂組成物の質量)]×100
樹脂組成物(例えば25℃において液状の樹脂溶液)のpHは、フェノール系樹脂PRの溶媒(水等)への溶解性に優れる観点から、アルカリ性である(7を超える)ことが好ましく、7.1以上がより好ましい。樹脂組成物のpHは、樹脂組成物の保存安定性が更に向上する観点から、10以下が好ましく、9以下がより好ましく、8.5以下が更に好ましい。特に、樹脂製造工程において得られる組成物を樹脂組成物として用いる場合、樹脂組成物のpHは、前記範囲であることが好ましい。樹脂組成物のpHは、例えば株式会社堀場製作所製のツインpHメーター AS−212で測定することができる。pHは25℃におけるpHと定義する。
<電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法>
本実施形態に係る電極は、フェノール系樹脂PRを用いて製造されたものであり、電極活物質とフェノール系樹脂PRとを含む。また、本実施形態に係る電極は、フェノール系樹脂PRを含有する樹脂組成物を用いて製造されてもよい。
電極が未化成である場合、電極は、例えば、電極活物質(負極活物質又は正極活物質)の原料等を含む電極層と、当該電極層を支持する集電体とを有している。化成後の電極は、例えば、電極活物質(負極活物質又は正極活物質)等を含む電極層と、当該電極層を支持する集電体とを有している。電極は、例えば、鉛蓄電池用の負極(負極板等)である。
負極活物質は、負極活物質の原料を含む負極ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成の負極活物質を得た後に未化成の負極活物質を化成することで得ることができる。化成後の負極活物質は、多孔質の海綿状鉛(Spongy Lead)を含むことが好ましい。正極活物質は、正極活物質の原料を含む正極ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成の正極活物質を得た後に未化成の正極活物質を化成することで得ることができる。化成後の正極活物質は、例えば二酸化鉛を含む。
本実施形態に係る鉛蓄電池は、本実施形態に係る電極を備えている。本実施形態に係る鉛蓄電池としては、例えば液式鉛蓄電池及び密閉式鉛蓄電池が挙げられ、液式鉛蓄電池が好ましい。
図1は、鉛蓄電池の一例を示す斜視図である。図1に示す鉛蓄電池1は、液式鉛蓄電池である。図2は、鉛蓄電池1の内部構造の一部を示す図である。鉛蓄電池1は、上面が開口して複数の極板群11が格納される電槽2と、電槽2の開口を閉じる蓋3とを備えている。蓋3は、例えば、正極端子4と、負極端子5と、蓋3に設けられた注液口を閉塞する液口栓6とを備えている。電槽2には、電解液(不図示)が収容されている。
極板群は、セパレータと、セパレータを介して交互に積層された正極板及び負極板とを有する。図3は、極板群の一例を示す斜視図である。図2及び図3に示すように、極板群11は、例えば、正極板12と、負極板13と、袋状のセパレータ14と、正極側ストラップ15と、負極側ストラップ16と、セル間接続部17と、極柱18とを備えている。正極板12及び負極板13の上側周縁部には、耳部と呼ばれる集電部22及び集電部32が設けられている。
本実施形態に係る鉛蓄電池の製造方法は、例えば、フェノール系樹脂PRを用いて電極を得る電極製造工程と、電極を含む構成部材を組み立てて鉛蓄電池を得る組み立て工程とを備えている。
電極製造工程では、例えば、電極ペーストを集電体(例えば集電体格子)に充填した後に、熟成及び乾燥を行うことにより未化成の電極を得る。電極ペーストは、例えば、電極活物質の原料と、フェノール系樹脂PRとを含有しており、その他の所定の添加剤等を更に含有していてもよい。電極が負極である場合、負極活物質の原料は、鉛粉(例えばPbOの粉体と鱗片状金属鉛との混合物)であることが好ましい。負極活物質の原料の平均粒径は、充電受け入れ性及び放電特性に更に優れる観点から、1〜5μmが好ましい。添加剤としては、例えば、硫酸バリウム、炭素材料、及び、補強用短繊維(アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等)が挙げられる。炭素材料としては、例えば、カーボンブラック及び黒鉛が挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック及びケッチェンブラックが挙げられる。
本実施形態に係る電極が負極である場合、負極ペーストは、例えば、以下の方法により得ることができる。まず、鉛粉に、フェノール系樹脂PRと、必要に応じて添加される添加剤とを混合することにより混合物を得る。次に、この混合物に、希硫酸及び溶媒(水等)を加えて混練することにより負極ペーストが得られる。
負極ペーストにおいて、硫酸バリウム、炭素材料又はフェノール系樹脂PRを用いる場合、各成分の含有量は下記の範囲が好ましい。硫酸バリウムの含有量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として0.01〜1質量%が好ましい。炭素材料の含有量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として0.2〜1.4質量%が好ましい。フェノール系樹脂PRの含有量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として、樹脂固形分換算で、0.01〜2質量%が好ましく、0.05〜1質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%が更に好ましい。
集電体の材質としては、例えば、鉛−カルシウム−錫合金、鉛−アンチモン−ヒ素合金等の鉛合金が挙げられる。用途に応じて、セレン、銀、ビスマス等を集電体に適宜添加してもよい。これらの鉛合金を重力鋳造法、エキスパンド法、打ち抜き法等で格子状に形成することにより集電体を得ることができる。
熟成条件としては、温度35〜85℃、湿度50〜98RH%の雰囲気で15〜60時間が好ましい。乾燥条件としては、温度45〜80℃で15〜30時間が好ましい。
鉛蓄電池用の正極(正極板等)は、例えば、下記の方法により得ることができる。まず、電極活物質の原料である鉛粉(PbO)に対して、補強用短繊維を加えた後、水及び希硫酸を加える。これを混練して正極ペーストを作製する。正極ペーストを作製するに際しては、化成時間を短縮できる観点から、鉛丹(Pb)を加えてもよい。この正極ペーストを集電体(集電体格子等)に充填した後に熟成及び乾燥を行うことにより未化成の正極が得られる。正極ペーストにおいて、補強用短繊維の含有量は、正極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として0.005〜0.3質量%が好ましい。集電体の種類、熟成条件及び乾燥条件は、負極の場合とほぼ同様である。
組み立て工程では、例えば、前記のように作製した未化成の負極及び正極を、セパレータを介して交互に積層し、同極性の電極(極板等)同士をストラップで連結(溶接等)させて電極群(極板群等)を得る。この電極群を電槽内に配置して未化成の電池を作製する。次に、未化成の電池に希硫酸を注液した後、直流電流を通電し化成を行うことにより鉛蓄電池が得られる。また、希硫酸を一度抜いた後、電解液(希硫酸)を注液してもよい。電解液(希硫酸)の比重(20℃換算)は1.25〜1.35が好ましい。
セパレータの材質としては、例えばポリエチレン及びガラス繊維が挙げられる。なお、化成条件及び電解液(希硫酸)の比重は、電極活物質の性状、電極のサイズ等に応じて調整することができる。また、化成処理は、組み立て工程において実施されることに限られず、電極製造工程において実施されてもよい。
<自動車>
本実施形態に係る自動車は、本実施形態に係る鉛蓄電池を備える。本実施形態に係る自動車としては、例えばISS車両が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。
<実験A>
(ビスフェノール系樹脂の合成)
[実施例A1]
撹拌装置、還流装置及び温度調節装置を備えた反応容器に下記の各成分を仕込み第1の混合液を得た。
水酸化カリウム:0.92モル[51.6質量部]
イオン交換水:51.3モル[923.6質量部]
4−アミノベンゼンスルホン酸:0.80モル[136.6質量部]
第1の混合液を25℃にて30分混和及び撹拌した。続いて、第1の混合液に下記の各成分を仕込み第2の混合液を得た。
ビスフェノールA:0.90モル[205.5質量部]
ビスフェノールS:0.10モル[26.0質量部]
パラホルムアルデヒド(三井化学株式会社製):2.25モル[68.2質量部](ホルムアルデヒド換算)
第2の混合液(pH=8.6)を95℃にて10時間反応させることにより樹脂溶液を得た。得られた水溶液を耐熱容器に移した後、60℃に設定した真空乾燥機に投入した。そして、1kPa以下の減圧状態で10時間乾燥することにより樹脂粉末(ビスフェノール系樹脂)を得た。実施例A1で得られたビスフェノール系樹脂のH−NMRスペクトルを下記条件で測定した。H−NMRスペクトルの測定結果を図4に示す。
{NMR条件}
装置:AV400M(ブルカーバイオスピン株式会社製)
測定温度:室温(25℃)
測定溶媒:DMSO−d6(和光純薬工業株式会社製)
[実施例A2、比較例A1〜A3]
樹脂組成物の構成成分を表1の成分へ変更したこと以外は実施例A1と同様の方法により、実施例A2及び比較例A1〜A3のビスフェノール系樹脂を得た。
(ビスフェノール系樹脂の評価)
[カリウム含有量の測定]
単離されたビスフェノール系樹脂におけるカリウム含有量は、ICP分析において、測定対象の樹脂の質量に対するカリウム量の比から算出した。ICP分析条件は下記のとおりである。結果を表1に示す。
{ICP分析条件}
装置:optima 4300DV(Perkin Elemer社製)
アルゴン流量:0.65L/分
標準試料:塩化カリウム標準液(関東化学株式会社製)
[重量平均分子量の測定]
単離されたビスフェノール系樹脂の重量平均分子量を下記条件のGPCにより測定した。結果を表1に示す。
{GPC条件}
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:TSKgel SuperAW(4000)、TSKgel SuperAW(3000)、TSKgel SuperAW(2500)(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(10mM)及びトリエチルアミン(200mM)を含有するメタノール溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×10、5.80×10、2.55×10、1.46×10、1.01×10、4.49×10、2.70×10、2.10×10;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×10;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×10;キシダ化学株式会社製)
前記標準試料より算出した検量線を図5に示す。横軸は保持時間であり、縦軸は分子量の対数である。
(負極板の作製)
樹脂溶液を固形分換算で0.2質量%と、ファーネスブラック0.2質量%と、硫酸バリウム1.0質量%とを鉛粉(平均粒径2μm)に対して添加した後に乾式混合した(配合量の基準:鉛粉の全質量)。次に、希硫酸(比重1.26(20℃換算))及び水を加えながら混練して負極ペーストを作製した。負極ペーストを厚さ0.6mmのエキスパンド集電体(鉛−カルシウム−錫合金)に充填して負極板を作製した。通常の方法に従い、温度50℃、湿度95%の雰囲気下に負極板を18時間放置して熟成した後、温度50℃の雰囲気下で乾燥して未化成の負極板を得た。
(正極板の作製)
0.01質量%(基準:鉛粉の全質量)の補強用短繊維(ポリエチレン繊維)を鉛粉(平均粒径2μm)に対して添加した後に乾式混合した。次に、希硫酸(比重1.26(20℃換算))及び水を加えて混練して正極ペーストを作製した。鋳造格子体からなる正極集電体(鉛−カルシウム−錫合金)に正極ペーストを充填して、温度50℃、湿度95%の雰囲気下に正極板を18時間放置して熟成した後、温度50℃の雰囲気下で乾燥して未化成の正極板を得た。
(電池の組み立て)
袋状に加工したポリエチレン製のセパレータに未化成の負極板を挿入した。次に、未化成の正極板と、前記袋状セパレータに挿入された未化成の負極板とが交互に積層されるように、6枚の未化成の負極板及び5枚の未化成の正極板を積層した。続いて、キャストオンストラップ(COS)方式で同極性の極板の耳部同士を溶接して極板群を作製した。極板群を電槽に挿入して2V単セル電池を組み立てた。この電池に希硫酸(比重1.28(20℃換算))を注液した後に、50℃の水槽中、通電電流10Aで16時間の条件で化成して鉛蓄電池を得た。
(電池特性の評価)
前記の2V単セル電池について、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性を下記のとおり測定した。比較例A1の充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性の測定結果をそれぞれ100とし、各特性を相対評価した。結果を表1に示す。
[充電受け入れ性]
充電受け入れ性として、電池の充電状態(State of charge)が90%になった状態(つまり、定格容量に対する5時間率電流値において、満充電状態から電池容量の10%分を放電した状態)において、25℃、2.333Vで定電圧充電し、充電開始から5秒後の電流値を測定した。5秒後の電流値が大きいほど初期の充電容量が高く、充電受け入れ性が高い電池であると評価される。
[放電特性]
放電特性として、−15℃の雰囲気下で16時間以上おいた満充電状態の電池を、室温(25℃)下、5Cで定電流放電し、電池電圧が1.0Vに達するまでの放電持続時間を測定した。放電持続時間が長いほど放電特性に優れる電池であると評価される。なお、前記Cとは、満充電状態から定格容量を定電流放電するときの電流の大きさを相対的に表したものである。前記Cは、“放電電流値(A)/電池容量(Ah)”を意味する。例えば、定格容量を1時間で放電させることができる電流を「1C」、2時間で放電させることができる電流を「0.5C」と表現する。
[サイクル特性]
サイクル特性は、日本工業規格の軽負荷寿命試験(JIS D 5301)に準じた方法で評価した。サイクル数が大きいほど耐久性が高い電池であると評価される。
<実験B>
(リグニンスルホン酸塩の作製)
[実施例B1]
リグニンスルホン酸ナトリウム(日本製紙株式会社製、商品名:バニレックスN)を水に溶解して水溶液を得た。前記水溶液を透析チューブ(フナコシ株式会社製、バイオテックCE透析用チューブ)に注入し、純水製造装置(Millipore製、DirectQ−UV)から採水した超純水5Lに対して12時間の透析を5回繰り返した。次に、電位差自動滴定装置(京都電子工業株式会社製、AT−610)を用いて、当量点まで水酸化カリウム水溶液を滴下し、中和によりリグニンスルホン酸カリウムの水溶液を得た。前記リグニンスルホン酸カリウムの水溶液に減圧乾燥処理を施し、粉末状のリグニンスルホン酸カリウムを得た。リグニンスルホン酸カリウムのカリウム含有量及び重量平均分子量を実験Aと同様の方法により測定した。結果を表2に示す。
[実施例B2,B3]
中和に用いた水酸化カリウム水溶液の濃度を変えたこと以外は実施例B1と同様の方法により粉末状のリグニンスルホン酸カリウムを得た。また、実施例B1と同様に、粉末状のリグニンスルホン酸カリウムのカリウム含有量及び重量平均分子量を測定した。結果を表2に示す。
[比較例B1]
リグニンスルホン酸塩としてリグニンスルホン酸ナトリウム(日本製紙株式会社製、商品名:バニレックスN)を準備した。実施例B1と同様にリグニンスルホン酸ナトリウムの重量平均分子量を測定した結果を表2に示す。また、ICP分析において、測定対象の樹脂の質量に対するナトリウム量の比からナトリウム含有量を算出した。ICP分析条件は下記のとおりである。ナトリウム含有量は0.2質量%であった。
{ICP分析条件}
装置:optima 4300DV(Perkin Elemer社製)
アルゴン流量:0.65L/分
標準試料:塩化ナトリウム標準液(関東化学株式会社製)
(負極板の作製)
リグニンスルホン酸カリウム(実施例。フェノール系樹脂PR)又はリグニンスルホン酸ナトリウム(比較例)を固形分換算で0.2質量%と、ファーネスブラック0.2質量%と、硫酸バリウム1.0質量%とを鉛粉(平均粒径2μm)に対して添加した後に乾式混合した(配合量の基準:鉛粉の全質量)。次に、希硫酸(比重1.26(20℃換算))及び水を加えながら混練して負極ペーストを作製した。負極ペーストを厚さ1.0mmのエキスパンド集電体(鉛−カルシウム−錫合金)に充填して負極板を作製した。通常の方法に従い、温度50℃、湿度95%の雰囲気下に負極板を20時間放置して熟成した後、温度50℃の雰囲気下で乾燥して未化成の負極板を得た。
(正極板の作製)
0.1質量%(基準:鉛粉の全質量)の補強用短繊維(ポリエチレンアクリル繊維)を鉛粉(平均粒径2μm)に対して添加した後に乾式混合した。次に、希硫酸(比重1.28(20℃換算))及び水を加えて混練して正極ペーストを作製した。エキスパンド格子体からなる正極集電体(鉛−カルシウム−錫合金)に正極ペーストを充填して、温度50℃、湿度95%の雰囲気下に正極板を20時間放置して熟成した後、温度50℃の雰囲気下で乾燥して未化成の正極板を得た。
(電池の組み立て)
袋状に加工したポリエチレン製のセパレータに未化成の負極板を挿入した。次に、未化成の正極板と、前記袋状セパレータに挿入された未化成の負極板とが交互に積層されるように、6枚の未化成の負極板及び5枚の未化成の正極板を積層した。続いて、キャストオンストラップ(COS)方式で同極性の極板の耳部同士を溶接して極板群を作製した。極板群を電槽に挿入して2V単セル電池を組み立てた。この電池に希硫酸(比重1.24(20℃換算))を注液した後に、40℃の水槽中、通電電流10.0Aで15時間の条件で化成した。そして、希硫酸を排出した後に、再び比重1.28(20℃換算)の希硫酸を注入して鉛蓄電池を得た。
(電池特性の評価)
充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性を実験Aと同様の方法により測定した。比較例B1の充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性の測定結果をそれぞれ100とし、各特性を相対評価した。結果を表2に示す。
実施例では、比較例と比べて、充電受け入れ性が向上していることが確認できる。また、実施例では、優れた充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性が両立されていることが確認できる。
本発明によれば、鉛蓄電池において優れた充電受け入れ性を有する鉛蓄電池用樹脂を提供することができる。本発明によれば、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性に優れる鉛蓄電池用樹脂を提供することができる。また、本発明によれば、前記鉛蓄電池用樹脂を含有する樹脂組成物を提供することができる。さらに、本発明によれば、前記鉛蓄電池用樹脂を含む電極を提供することができる。本発明は、前記電極を備える鉛蓄電池を提供することができる。本発明は、前記鉛蓄電池を備える自動車を提供することができる。
1…鉛蓄電池、2…電槽、3…蓋、4…正極端子、5…負極端子、6…液口栓、11…極板群、12…正極板、13…負極板、14…セパレータ、15…正極側ストラップ、16…負極側ストラップ、17…セル間接続部、18…極柱、22,32…集電部。

Claims (7)

  1. フェノール系化合物に由来する構造単位を有する樹脂であって、
    スルホン酸カリウム塩基を含む、鉛蓄電池用樹脂。
  2. 前記構造単位が、ビスフェノール系化合物に由来する構造単位を含む、請求項1に記載の鉛蓄電池用樹脂。
  3. 前記構造単位が、リグニンに由来する構造単位を含む、請求項1又は2に記載の鉛蓄電池用樹脂。
  4. 重量平均分子量が3000〜50000である、請求項3に記載の鉛蓄電池用樹脂。
  5. 電極活物質と、請求項1〜4のいずれか一項に記載の鉛蓄電池用樹脂と、を含む、電極。
  6. 請求項5に記載の電極を備える、鉛蓄電池。
  7. 請求項6に記載の鉛蓄電池を備える、自動車。
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