波状の中芯紙の両側にライナー紙を貼り合わせた段ボールシートには、段状に形成された波の高さ、波の形状、厚さ、品質等が相違する中芯紙と、厚さ、品質等が相違するライナー紙との組み合わせによって様々な性状を有する数多くの種類が存在し、硬さが合紙程度に硬いものもある。
例えば、一般的な中芯紙の波形の高さは、Aフルートの場合5mm、Cフルートの場合4mm、Bフルートの場合3mm、Eフルートの場合1.5mm、Fフルートの場合0.6mm、Gフルートの場合0.5mmであり、一般的な波形のピッチは、Aフルートにおける約8.5mmからGフルートにおける約1.8mmの範囲である。
また、段ボールシートには、波形の中芯紙を一層とする両面段ボールシート、これらのいずれかを組み合わせて二層とする複両面段ボールシート、これらのいずれかを組み合わせて三層とする複々両面段ボールシート(トリプルウォールシート)等がある。このような段ボールシートの一般的な厚さは、使用される紙の品質によっても異なるが、中芯紙の波形の高さに複数枚のライナー紙の厚さを加えた約0.5mm〜15mmとなっている。
そして、段ボールシートは、厚くなるに従って、弾性や剛性が大きくなる傾向にあるので、押圧による罫線を入れ難くなる。また、複両面段ボールシートや複々両面段ボールシートの場合、各層での空間部を有する中芯紙の波形状のどの部位が互いに合致して段ボールシートが形成されているのかは分からない。
このような多種類の段ボールシートを打ち抜くことによって、例えば、図7に示すような段ボール箱形成用のブランクA1を形成する場合、木製の基盤にブランクA1の輪郭形成用の外形打抜刃を取り付けると共に、その外形打抜刃の内側に、上記ブランクA1の縦罫線L1及び横罫線L2を罫入れする押罫部材を取り付けて抜型を形成し、その抜型によって段ボールシートに罫線を入れつつ打ち抜くようにしている。また、ロール状の罫入ロールを備えた罫線形成装置で罫線を形成する場合もある。
ここで、ブランクA1の縦罫線L1は、段ボールシートAの波形の段状に成形された中芯紙Sの段目Wに縦方向にほぼ平行し、一方、横罫線L2は上記中芯紙Sの段目Wと直交する横方向に延びている。
上記のような縦罫線L1及び横罫線L2を段ボールシートAに入れる押罫部材として、図8に示すようなものが一般的に使用されている。この押罫部材50は、金属製の帯板材の一方の端縁部を押罫部51とし、その押罫部51で段ボールシートAの一面を押し込むことにより、中芯紙Sの波形状部を押し潰して、溝状の縦罫線L1及び横罫線L2を形成するものである。
押罫部材50の帯板材は、通常、上下方向の高さ寸法が20数mm程度とされ、両側面間の板厚である幅寸法については、段ボールシートの性状に応じて、0.5mm〜10mmのものが使い分けられる。
ところで、図8に示す押罫部材50は、押罫部51の表面が断面形状を凸形とする円弧状で全長にわたり凹凸のない滑らかな形状となっており、一方、段ボールシートAは、押圧力に抗して復元しようとする大きな弾性を有することから、押罫部材50の押罫部51により段ボールシートAの表面を厚さ方向に押し込んで罫線L1、L2を形成する際、段ボールシートAの表面に対する押罫部51の押圧力が分散し、段ボールシートAの反発に負けて、鮮明な罫線L1、L2を入れることができない場合が多い。
また、特に、中芯紙Sの段目Wに平行する縦罫線L1を形成する場合には、中芯紙Sの波形状のどの部位を押罫部51で押し潰すことになるのかは分からないために、押し潰される形状もまちまちであるので、形成される縦罫線L1の鮮明度が異なることとなり、段ボールシートAを高精度に折り曲げることができない場合がある。
さらに、押罫部51の表面が凹凸を有さない滑らかな形状であることに起因して、押罫部51で押し潰す中芯紙Sの部位によっては、押罫部51の表面が段ボールシートAの表面に食い込むに従い、段ボールシートAの表面が押罫部51の表面上で滑って、縦罫線L1に対し左右方向にずれ動くことがあるので、段ボールシートAの表面上の予定した正確な位置に罫線を形成することができなかったり、形成される罫線に蛇行が生じたりするという問題が発生する。
ここで、図7に示すブランクA1は、パネルP1とパネルP4とが、段目Wに平行する3本の縦罫線L1のうち、両側2本の縦罫線L1に沿って折り曲げられ、一側のパネルP1に連続して形成された継代片P5と他側のパネルP4の端縁部とが重ね合わされ、その重なり部が接着されることにより、偏平に折り畳まれた段ボール箱とされる。
このとき、縦罫線L1での折曲精度が悪い場合、一側のパネルP1と他側のパネルP4に相対的な傾きが生じたり、対角位置の稜部をなす縦罫線L1の間の寸法に誤差が生じたりして、精度の高い段ボール箱を形成することができず、周壁を角筒状に開箱した際、歪んだ形状の箱体となることがあり、このような段ボール箱は不良品となる。
そのような不都合を解消して精度の高い折り曲げが得られるようにするため、押罫部材として、下記特許文献1のFig20において下段右端に記載された図9に示すような罫入ロールを使用することが考えられる。
この押罫部材60としての罫入ロールは、段ボールシートに押し付けられて回転するものであり、段ボールシートに当接する全外周の押罫部61を、全体として外方向に向けて凸形をなす階段状になるように、表面に凹凸のない平坦な段部62を左右それぞれに二段備えた形状とし、中央寄りの左右両側に位置する段部62の間に外方向に向けて突出した頂部凸条63を形成したものとされている。この押罫部材60では、左右両側のそれぞれにおいて隣り合う段部62の境界部分は水平状の段部62に直交する直立面とされ、段部62の隅部は角張っている。
また、下記特許文献2の第5図においても、図10に示すように、押罫部材70としての罫入ロールの外周面に、全外周の押罫部71を、全体として外方向に向けて凸形をなす階段状になるように、表面に凹凸のない平坦な段部72を左右それぞれに二段備えた形状とし、中央寄りの左右両側に位置する段部72の間に頂部凸条73を形成したものが記載されている。この押罫部材70では、左右両側のそれぞれにおいて隣り合う段部72の境界部分は水平状の段部72に斜めに交わる傾斜面とされ、段部72の隅部は丸味を有するように面取りされている。
このような押罫部材60,70で罫線を入れる加工を行うと、押罫部61,71で押圧された段ボールシートの表面は、頂部凸条63,73の頂部により最初に押し込まれ、押し潰されて位置決めされながら、次第にその両側の段部62,72で押し潰されるため、段ボールシートが頂部凸条63,73の両側方向へずれ動く現象がある程度抑制され、罫線の位置精度がある程度改善されると考えられる。
また、本件特許出願と出願人及び発明者が同一である出願に係る下記特許文献3においては、図11に示すような押罫部材80が提案されている。この押罫部材80では、段ボールシートを押圧する押罫部81に、図示の方向において、幅方向の中央に位置し頂部が最も高くなっている1本の頂部凸条82aと、この頂部凸条82aを挟んで押罫部81の幅方向の両側にそれぞれ並行し頂部が押罫部81の側部へかけて漸次低くなっている複数本の側部凸条82bとが設けられて、押罫部81の表面が凹凸形状に形成されている。なお、頂部凸条82a及び側部凸条82bは、押罫部材80の幅方向の中心線l上の一点から放射状に突出している。
そして、押罫部81の全体は、頂部凸条82a及び側部凸条82bの頂部が前記中心線l上の一点を中心とし、外方向に向けて山形状をなす円弧状の仮想曲線Cに内側から接することによって、頂部凸条82aの頂部を押罫部81の頂部として外方向に向けた山形状の凸形に形成されている。また、頂部凸条82aとその両側の側部凸条82bの間、及び側部凸条82bの隣り合うもの同士の間には、高さ方向に窪んだ凹溝83が形成されて、頂部凸条82a及び側部凸条82bのそれぞれの頂部と凹溝83の底部との間の側面が傾斜面となっている。
なお、この押罫部材80の押罫部81における凹溝83の底部からの側部凸条82bの高さは0.05mm〜1.0mmの範囲であって、0.1mm程度が好適とされ、比較的低いものとなっている。また、下記特許文献3には、頂部凸条82aのみを仮想曲線Cから少し突出させた実施形態も記載されている。
このような押罫部材80で罫線を入れる加工を行うと、押罫部81で押圧された段ボールシートの表面は、頂部凸条82aの頂部により最初に押し込まれ、押し潰されながらその両側の傾斜面に沿ってスムーズに凹溝83に入り込み、さらにその両側の側部凸条82bに順次当接すると共に、各側部凸条82bの側面の傾斜面に沿いつつ、隣り合う側部凸条82bの間の凹溝83にスムーズに入り込んで、押罫部81の表面に波状に沿うことになる。このため、段ボールシートの表面が押罫部81の表面上で頂部凸条82aの両側方向へずれ動く現象がある程度効果的に抑制される。
また、本件特許出願と出願人及び発明者が同一である出願に係る下記特許文献4においては、図12に示すように、頂部凸条82aの両側のそれぞれに、頂部凸条82aに交差する方向に延びる複数の交差溝84が押罫部81の長さ方向に間隔をあけて設けられ、この交差溝84により、頂部凸条82aの両側に位置する側部凸条82bが分断された形状となっているものが記載されている。
このような交差溝84を設けておくと、押圧された段ボールシートの表面が交差溝84にも入り込むので、段ボールシートの表面が押罫部81の表面上で頂部凸条82aの長さ方向へずれる現象も抑制され、罫線の加工精度をさらに高めることができる。
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この発明に係る押罫部材10を使用するプラテンダイカッタは、波形状の中芯紙Sを一層とする両面の段ボールシートAを支持するステンレス製のカッティングプレート1と、その上方に対向する罫入れ型2とが接離するものである。罫入れ型2は、木製の合板から成る基盤3にレーザー加工等によって溝状のスリット4を形成し、このスリット4に段ボール箱のブランクの輪郭を打ち抜く切刃(図示省略)と共に、押罫部材10を圧入したものとなっている。この押罫部材10により、図7に示すように、段目Wに並行する方向の縦罫線L1や、段目Wに直交する方向の横罫線L2等の罫線を段ボールシートAに形成することになる。なお、上述のように、波形状の中芯紙Sには種々の寸法のものがあり、また、波形状は、その頂部と底部との間の側面が緩やかな傾斜のものもあれば、急な傾斜のものもあり、様々な形状がある。
図1に示すような押罫部材10は、上下方向の高さ寸法が20数mm程度、幅方向の寸法である両側面間の厚さが0.5mm〜10mmとされ、長さが適宜寸法とされた金属製の帯板材を素材としており、その帯板材の上下方向の一端部が押罫部11とされている。そして、多様な段ボールシートAの性状に応じて、適宜寸法に製作された押罫部材10が使用される。
図2に押罫部11が上方へ向いた状態で示すように、この発明の第1実施形態である押罫部材10の押罫部11の表面には、その押罫部11の全体の形状として、凸形をなす階段状になるように、段部12が押罫部11の幅方向に並んで複数形成されている。この段部12は、押罫部11の幅方向の中央寄りに配置された段ボールシートAへの押圧方向に対して一段目となる段部12Aと、この段部12Aに対して押罫部11の幅方向の外側に配置された二段目となる段部12Bから構成されている。
なお、図示のものでは、段部12が押罫部11の両側において上下方向に各2段となったものを例示しているが、階段状であれば、さらに多段であってもよい。
また、上下で隣り合う段部12A,12Bの境界部分は、押罫部11の幅方向の中央側へかけて内方向へ突出するように傾いた傾斜面となっているが、この境界部分は、罫入れ加工時に段ボールシートAが破れるような角部がなければ、垂直であってもよい。
そして、押罫部11の幅方向における中央寄りの両側の段部12Aの間には頂部凸条13が、段ボールシートAへの押圧方向へ向けて相反する方向に傾斜した両側の傾斜面によって先細状に突出する状態で押罫部11の長さ方向に延びるように形成され、両側の各段部12A,12Bの表面には複数本(図示のものでは各2本)の側部凸条14が、それぞれ段ボールシートAへの押圧方向へ向けて相反する方向に傾斜した両側の傾斜面によって先細状に突出する状態で押罫部11の長さ方向に延びるように押罫部11の幅方向に並んで形成されている。
各段部12A,12Bの隣り合う側部凸条14間には、相反する方向に傾斜した両側の傾斜面によって押罫部材10の高さ方向に窪んだ凹溝15が形成されている。また、頂部凸条13とその両側の段部12Aの境界部分及び隣り合う段部12Aと段部12Bの境界部分にも、相反する方向に傾斜した両側の傾斜面によって凹溝15が形成されている。このような構成によって、縦罫線L1(図7参照)を形成する際には、側部凸条14が中芯紙Sの波形状の傾斜した側面を横切るように並んだ配置となる。
頂部凸条13は、その頂部が両側の段部12Aの側部凸条14の頂部に比べて、押罫部材10の高さ方向、すなわち段ボールシートAに対する押圧方向へ最も大きく突出しており、後述の罫入れ加工時に、頂部凸条13の頂部が段ボールシートAに最初に当接するようになっている。
頂部凸条13のその両側の段部12Aの凹溝15に対する突出量αは、各段部12における凹溝15の底部からの側部凸条14の突出量βよりも大きくなっている。
上記のとおり、頂部凸条13及び側部凸条14の頂部は、押罫部11の全体が頂部凸条13の頂部を押罫部11の頂部として外方向、すなわち段ボールシートAへの押圧方向へ向けて山形状の凸形をなすように配置されている。
なお、突出量βは、0.05mm〜1.0mmの範囲が好ましく、段ボールシートAの性状、押罫部11の幅寸法及び段部12の段数や形状等によって適宜決めればよく、突出量αは、突出量βよりも大きく設定すればよい。
また、図示した各段部12A,12Bにおける側部凸条14の頂部の突出高さは同一であるが、これらの側部凸条14の頂部の突出高さは、厳密に同じ高さに揃っている必要はなく、例えば、±0.5mm程度までの高さのずれは実質的に同じ高さとみなすことができるので、作用効果上の問題はない。また、各段部12A,12Bにおける凹溝15の深さが厳密に揃っている必要もない。このため、製造に際し、過剰な高精度を追求する必要がなく、コストを抑制することができる。
さらに、図2に示すように、頂部凸条13及び側部凸条14は、押罫部材10の高さ方向の中心軸線に平行に突出しているが、押罫部材10の高さ方向の中心軸線のある点から放射状に延びるように突出していてもよい。
そして、頂部凸条13及び側部凸条14の各頂部は、後述のように段ボールシートAに罫線Lを入れる際に、段ボールシートAの破損を防止するため、それぞれ丸味を有するように面取りされ、それらの間の凹溝15の底部も丸味を有するように面取りされた形状とされている。また、頂部凸条13及び側部凸条14の側面は、それらの頂部から凹溝15の底部へ続く傾斜面とされ、押罫部11の表面は滑らかな波状になっている。
なお、頂部凸条13、側部凸条14の頂部及び凹溝15の面取り形状は、多角形状であってもよい。また、段ボールシートAへの押圧方向へ最も突出している頂部凸条13は、段ボールシートAを最も強く押圧して破損させやすいので、その頂部を面取りしておくことが好ましいが、側部凸条14は、頂部凸条13ほどは段ボールシートAを強く押し込まないので、必ずしも面取りしておく必要はない。
上記のような押罫部材10により、図1に示すようなプラテンダイカッタで段ボールシートAに罫線Lを入れる際には、図1(1A)に示すように、押罫部材10の押罫部11が下向きになるように罫入れ型2をプラテンダイカッタに装着して、罫入れ型2をカッティングプレート1へ接近させる。
この加工において、図1(1B)に示すように、押罫部材10は、押罫部11で段ボールシートAを押し込む際、段ボールシートAの横方向へのずれ動きを確実に防止するように、頂部凸条13が最初に罫線Lの中央位置で段ボールシートAを強く押し潰し、その後まず、一段目の両側の段部12Aに形成されている複数本の側部凸条14の頂部で段ボールシートAを押さえつつ押し潰し、続いて順次段階的に、二段目の両側の段部12Bに形成されている複数本の側部凸条14の頂部で段ボールシートAを押さえつつ押し潰すことにより、縦罫線L1や横罫線L2等(図7参照)の罫線Lを形成する。
これにより、段ボールシートAが厚く中芯紙Sの波形のピッチが大きい場合や、紙質が硬い場合でも、罫入れ加工時における段ボールシートAの横方向へのずれ動きが確実に防止されて、正確な位置で幅方向の中央部が最も強く押し潰され、その両側が幅方向に段階的に押圧強度が低減するように押し潰された縦罫線L1や横罫線L2等(図7参照)の罫線Lが形成される。
また、特に縦罫線L1を形成する際に、各段部12A,12Bのそれぞれ複数本の側部凸条14が中芯紙Sの段形状の側面を横切る方向に並んで配置されているので、中芯紙Sの段形状の側面が急勾配で傾斜していても、各段部12A,12Bのそれぞれにおいていずれかの側部凸条14が中芯紙Sの段形状の側面を強く押圧し、中芯紙Sの波形部が十分に押し潰される。
このように、段ボールシートAを、材料の紙質の強弱や中芯紙Sの波形の高さやピッチに関わらず、また両面段ボールシート、複両面段ボールシート又は複々両面段ボールシートといった構造や紙質の強弱に関らず、さらに、形成する罫線Lが縦罫線L1であるか横罫線L2(図7参照)であるかに関らず、表面に過剰な張力を作用させることなく十分に押し潰して、正確な位置に鮮明な罫線Lを入れることができる。
そして、段ボールシートAが罫線Lの幅方向中央部で正確かつ容易に直線状に折り曲げられるようになり、製造される段ボール箱の不良率を低減することができる。
なお、図示のものでは、押罫部11の表面において、幅方向の中央に頂部凸条13が位置しているが、罫線Lの中央の位置で折り曲げる必要がない場合には、頂部凸条13は、所定の折曲位置に対応させて左右いずれかの方向へずれていてもよく、頂部凸条13を挟んだ左右が非対称の幅となっていてもよい。
また、頂部凸条13を挟んだ左右の各段部12の側部凸条14の本数が揃っているものを例示しているが、左右の段部12で側部凸条14の本数が異なっていてもよい。特に、段ボールシートAの折り曲げに際し、罫線Lの一側部を固定し、他側部を揺動させる場合や、両端部を異なる折曲速度で折り曲げる場合には、段ボールシートAが罫線Lに沿って均等に折れ曲がるように、左右の側部凸条14の本数を変えておくとよい。
また、側部凸条14の本数が多い程、その凹凸部への段ボールシートAの接触面積が大きくなるので、段ボールシートAの横ずれをより確実に防止することができるが、側部凸条14の本数が多すぎると、小さな幅寸法の押罫部材10に多数本の側部凸条14を形成することになることから、押罫部材10の製造に手間がかかり、コストが上昇することになる。さらに、段ボールシートAの硬くて強い表面がその凹凸に沿い難くなり、正常な形状の罫線が形成されないことになる。従って、側部凸条14の本数は、押罫部材10の幅寸法、また段ボールシートAの性状等によって、適宜決めればよい。
なお、段部12の段数や高さは、段ボールシートAの性状、押罫部11の幅方向の寸法等によって適宜決めればよく、さらに、段部12の段数を左右同一にしなくてもよい。
押罫部11では、段部12の段数や高さがいずれの場合においても、頂部凸条13及び側部凸条14のそれぞれの頂部が全体として頂部凸条13の頂部を最も突出させた山形状の凸形の配置とされているため、罫線Lの形成時に段ボールシートAが押罫部11の表面にスムーズに入り込み、段ボールシートAが横方向にずれ動くことなく、また、破れることなく、罫線Lを形成する加工が施される。
また、上記第1実施形態では、頂部凸条13が1本のものを例示しているが、図3に示す第2実施形態のように、頂部凸条13は、押罫部11の幅方向中央寄りに同じ高さで2本並行して設け、頂部凸条13の間に凹溝15が形成されるようにしてもよい。
このように、頂部凸条13を2本並行するように設けると、段ボールシートAが硬い紙を材料とする剛性の高いものである場合や、波状の中芯紙Sを3層とする複々両面段ボールシートのように相当厚いものである場合であっても、段ボールシートAを最初に2本の頂部凸条13によりある程度の幅をもって強く押し潰し、次いで各段部12の側部凸条14により順次押し潰すので、段ボールシートAを破ることなく、鮮明かつ確実に罫線Lを入れることができ、罫線Lの幅方向の中央部で正確に折り曲げることができる。仮に、このような条件の段ボールシートAを頂部凸条13が1本の押罫部材10で押圧すると、段ボールシートAが破れてしまう恐れがある。
なお、頂部凸条13の本数が多すぎると、罫線Lの折り曲げの中心部が太くなってぼけてしまい、却って正確な位置での折り曲げができなくなるので、頂部凸条13の本数は、複数本とする場合でも、2本程度が好ましいが、段ボールシートAが非常に厚いものである場合等においては、3本以上としてもよく、段ボールシートAの性状に応じて、適宜決定すればよい。
また、頂部凸条13及び側部凸条14の頂部のそれぞれの表面を滑らかな凹凸状に形成することによって、罫線形成時の段ボールシートAの破れや横方向へのずれを防止するようにしてもよい。
さらに、上記第1実施形態を基本とした図4に示す第3実施形態のように、押罫部11は、頂部凸条13の両側のそれぞれに、頂部凸条13に交差する方向に延びる複数の交差溝16が押罫部11の長さ方向に間隔をあけて設けられ、交差溝16により頂部凸条13の両側の側部凸条14が分断された形状となるようにしてもよい。
このような交差溝16を設けておくと、段ボールシートAを押圧する際、段ボールシートAの表面が交差溝16へ入り込むために、押罫部11と段ボールシートAの接触面が大きくなって、押罫部材10の長さ方向への段ボールシートAのずれ動きが防止されると共に、段ボールシートAの表面が頂部凸条13に接近する方向へ寄せられて、頂部凸条13により強く押し潰される。
このため、段ボールシートAを折り曲げて段ボール箱を製造する場合、罫線Lにおける折曲位置の精度がさらに向上し、製造時の不良発生率を著しく低減することができる。また、短い交差溝16によって、側部凸条14の少なくとも1本を分断するようにしても、同様の作用効果が得られる。
なお、押罫部11の頂部凸条13を挟んだ両側の交差溝16は、頂部凸条13の長さ方向における位置が揃っている必要はなく、千鳥状にずれていてもよい。また、交差溝16が頂部凸条13に対して傾斜したものを例示しているが、交差溝16は、頂部凸条13に対して直交する方向に延びるものであってもよい。
上記各実施形態においては、加工対象の段ボールシートAの厚さが厚い程、押罫部11の幅方向の寸法を大きくし、頂部凸条13の両側に多数の段部12を有し、多数本の側部凸条14を備えたものとすることが好ましい。
ところで、上記各実施形態では、プラテンダイカッタに装着される罫入れ型の押罫部材10について例示したが、上記各実施形態のような押罫部11は、図5に示すように、ロータリーダイカッタに装着される罫入れ型の幅が大きくてロール状の押罫部材10に適用してもよい。
ロータリーダイカッタは、アンビルロール20に対向配置されたダイロール21の外周に沿って半円弧状で幅の大きい罫入れ型22を装着し、罫入れ型22の円弧状に湾曲した木製の幅広の基盤23に切刃24と上記第1乃至第3実施形態と同様の幅寸法(0.5mm〜10mm)を有する所定長さの円弧状の押罫部材10とを固設しておき、アンビルロール20とダイロール21の間に段ボールシートAを送り込んで切刃24により所定形状に打ち抜くと共に、押罫部材10の押罫部11により段ボールシートAに罫入加工を施すものである。
また、例えば、フォルダグルアに使用される図6に示すような罫入ユニットの罫入ロールを、上記各実施形態のような幅寸法(0.5mm〜10mm)を有する押罫部11を備えた押罫部材10としてもよい。
この罫入ユニットは、段ボールシートAを矢印方向に送る上下一対の搬送ローラ30の下流側に、互いに逆方向に回転する一対の回転軸31、32を上下に配置し、上側の回転軸31に罫入ロールとして押罫部材10を取り付け、下側の回転軸32に凹凸のない滑らかな表面を有する受ロール33を取り付け、押罫部材10と受ロール33の間に送り込まれた段ボールシートAに罫入加工を施すものである。
このように、段ボールシートAを送りつつ、回転に伴い段ボールシートAに罫入加工を施す押罫部材10においても、押罫部11を上記各実施形態のような形状とすることにより、正確な位置に鮮明な罫線を入れることができ、製造される段ボール箱の不良率を低減することができる。