JP2019056163A - アルミニウム合金板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い強度特性と優れた伸びとを両立し、従来よりも製造コストの低いアルミニウム合金板及びその製造方法を提供する。【解決手段】アルミニウム合金板1は、Mg:0.20〜1.5質量%、Si:0.20〜1.5質量%、Cu:0.010〜1.0質量%、Mn:0.010〜0.50質量%、Cr:0.010〜0.50質量%、Ti:0.0050〜0.50質量%を含有し、Fe:0.50質量%以下、Zn:0.50質量%以下に規制され、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有している。圧延方向に平行な方向の結晶粒長さが板厚方向に平行な方向の結晶粒長さの5.0倍以上である圧延集合組織を有している。引張強さが280MPa以上である。耐力が240MPa以上である。伸びが7%以上である。導電率が43〜60%IACSである。【選択図】図1
Description
本発明は、アルミニウム合金板及びその製造方法に関する。
Al−Si−Mg(アルミニウム−シリコン−マグネシウム)系合金板は、航空機や自動車等の輸送用機器の構造材として多用されている。この種のAl−Mg−Si系合金板は、通常、鋳塊に熱間圧延、冷間圧延、溶体化処理及び人工時効処理を順次行うことにより作製されている。溶体化処理においては、冷間圧延により得られた冷延板を加熱して板内部の析出物や晶出物をマトリックス中に固溶させる。これにより、冷延板を過飽和固溶体とすることができる。
その後、人工時効処理において冷延板を溶体化温度未満の温度に保持することにより、冷延板内に微細な析出物を析出させることができる。これにより、高い強度を備え、延性に優れたAl−Si−Mg系合金板を得ることができる。また、溶体化処理を行った後、人工時効処理を行う前に、圧延板を加熱して予備時効処理を行い、人工時効処理により析出する析出物を制御することもある。(特許文献1)。
上述したように、従来のAl−Mg−Si系合金板の製造方法では、強度や延性を向上させるためには、溶体化処理や人工時効処理等の熱処理を行う必要がある。そのため、Al−Mg−Si系合金板の製造コストの削減には限界があった。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、高い強度特性と優れた伸びとを両立し、従来よりも製造コストの低いアルミニウム合金板及びその製造方法を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、Mg(マグネシウム):0.20〜1.5質量%、Si(シリコン):0.20〜1.5質量%、Cu(銅):0.010〜1.0質量%、Mn(マンガン):0.010〜0.50質量%、Cr(クロム):0.010〜0.50質量%、Ti(チタン):0.0050〜0.50質量%を含有し、Fe(鉄):0.50質量%以下、Zn(亜鉛):0.50質量%以下に規制され、残部がAl(アルミニウム)及び不可避的不純物からなる化学成分を有し、
圧延方向に平行な方向の結晶粒長さが板厚方向に平行な方向の結晶粒長さの5.0倍以上である圧延集合組織を有し、
引張強さが280MPa以上であり、
耐力が240MPa以上であり、
伸びが7%以上であり、
導電率が43〜60%IACSである、
アルミニウム合金板にある。
圧延方向に平行な方向の結晶粒長さが板厚方向に平行な方向の結晶粒長さの5.0倍以上である圧延集合組織を有し、
引張強さが280MPa以上であり、
耐力が240MPa以上であり、
伸びが7%以上であり、
導電率が43〜60%IACSである、
アルミニウム合金板にある。
また、本発明の他の態様は、Mg:0.20〜1.5質量%、Si:0.20〜1.5質量%、Cu:0.010〜1.0質量%、Mn:0.010〜0.50質量%、Cr:0.010〜0.50質量%、Ti:0.0050〜0.50質量%を含有し、Fe:0.50質量%以下、Zn:0.50質量%以下に規制され、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有する鋳塊を準備する準備工程と、
前記鋳塊に、圧延開始時の温度を350〜600℃とし、かつ、圧延終了時の温度が80〜230℃となる条件で熱間圧延を行う熱間圧延工程と、
を有する、アルミニウム合金板の製造方法にある。
前記鋳塊に、圧延開始時の温度を350〜600℃とし、かつ、圧延終了時の温度が80〜230℃となる条件で熱間圧延を行う熱間圧延工程と、
を有する、アルミニウム合金板の製造方法にある。
上記アルミニウム合金板は、少なくとも、上記特定の化学成分を有することにより、上記特定の範囲の引張強さ及び耐力で表される強度特性、並びに、上記特定の範囲の伸びで表される延性を容易に実現することができる。そして、上記アルミニウム合金板は、引張強さ、耐力及び伸びを上記特定の範囲とすることにより、高い強度特性と優れた延性とを両立することができる。
上記アルミニウム合金板の製造方法は、上記特定の化学成分を備えた鋳塊に、圧延開始時の温度及び圧延終了時の温度を上記特定の範囲とした条件で熱間圧延を行う熱間圧延工程を有している。熱間圧延における圧延開始時の温度及び圧延終了時の温度を上記特定の範囲内とすることにより、溶体化処理を行う場合と同様に、析出物や晶出物をアルミニウムマトリクス中に固溶させることができる。その結果、熱間圧延により得られた熱延板を過飽和固溶体とすることができる。
また、熱間圧延の条件を上記特定の範囲とする場合には、熱間圧延を行った後、熱延板の温度が低下する過程でアルミニウム合金板中に微細な析出物を析出させることができる。それ故、上記製造方法により得られたアルミニウム合金板は、従来の製造方法により得られたAl−Mg−Si系合金板、即ち、溶体化処理及び人工時効処理が施された圧延板と同等以上の強度特性及び延性を実現することができる。
このように、上記製造方法によれば、熱間圧延の条件を上記特定の範囲とすることにより、溶体化処理及び人工時効処理を行う場合と同様の作用効果を得ることができる。それ故、上記製造方法においては、溶体化処理及び人工時効処理を省略し、従来の製造方法に比べて製造コストを低減することができる。
上記アルミニウム合金板の化学成分等の限定理由について説明する。上記アルミニウム合金板は、必須成分として、Mg、Si、Cu、Ti、Mn及びCrを含んでいる。
・Mg(マグネシウム):0.20〜1.5質量%
Mgは、Siと共存することにより、アルミニウム合金板中にMg2Siなどの微細な析出物を析出させることができる。この析出物は、析出硬化によりアルミニウム合金板の強度を向上させる作用を有する。Mgの含有量を0.20質量%以上とすることにより、アルミニウム合金板中に上記の析出物を十分に析出させ、アルミニウム合金板の強度を向上させることができる。アルミニウム合金板の強度をより向上させる観点からは、Mgの含有量を0.40質量%以上とすることが好ましい。Mgの含有量が0.20質量%未満の場合には、アルミニウム合金板中の微細な析出物の量が少なくなり、アルミニウム合金板の強度の低下を招くおそれがある。
Mgは、Siと共存することにより、アルミニウム合金板中にMg2Siなどの微細な析出物を析出させることができる。この析出物は、析出硬化によりアルミニウム合金板の強度を向上させる作用を有する。Mgの含有量を0.20質量%以上とすることにより、アルミニウム合金板中に上記の析出物を十分に析出させ、アルミニウム合金板の強度を向上させることができる。アルミニウム合金板の強度をより向上させる観点からは、Mgの含有量を0.40質量%以上とすることが好ましい。Mgの含有量が0.20質量%未満の場合には、アルミニウム合金板中の微細な析出物の量が少なくなり、アルミニウム合金板の強度の低下を招くおそれがある。
Mgの含有量を多くすることにより、アルミニウム合金板の強度をより向上させることができる。しかし、Mgの含有量が過度に多くなると、アルミニウム合金板中にMg−Si系やAl−Mg系の晶出物や粗大な析出物が形成されるおそれがある。そして、これらの晶出物や粗大な析出物の存在により、アルミニウム合金板の延性の低下を招くおそれがある。Mgの含有量を1.5質量%以下、好ましくは1.4質量%以下とすることにより、上述した晶出物や粗大な析出物の形成を抑制し、アルミニウム合金板の延性の低下を回避することができる。
・Si(シリコン):0.20〜1.5質量%
Siは、Mgと共存することにより、アルミニウム合金板中に上述したMg2Siなどの微細な析出物を析出させることができる。この析出物は、析出硬化によりアルミニウム合金板の強度を向上させる作用を有する。Siの含有量を0.20質量%以上とすることにより、アルミニウム合金板中に上記の析出物を十分に析出させ、アルミニウム合金板の強度を向上させることができる。アルミニウム合金板の強度をより向上させる観点からは、Siの含有量を0.30質量%以上とすることが好ましい。Siの含有量が0.20質量%未満の場合には、アルミニウム合金板中の微細な析出物の量が少なくなり、アルミニウム合金板の強度の低下を招くおそれがある。
Siは、Mgと共存することにより、アルミニウム合金板中に上述したMg2Siなどの微細な析出物を析出させることができる。この析出物は、析出硬化によりアルミニウム合金板の強度を向上させる作用を有する。Siの含有量を0.20質量%以上とすることにより、アルミニウム合金板中に上記の析出物を十分に析出させ、アルミニウム合金板の強度を向上させることができる。アルミニウム合金板の強度をより向上させる観点からは、Siの含有量を0.30質量%以上とすることが好ましい。Siの含有量が0.20質量%未満の場合には、アルミニウム合金板中の微細な析出物の量が少なくなり、アルミニウム合金板の強度の低下を招くおそれがある。
Siの含有量を多くすることにより、アルミニウム合金板の強度をより向上させることができる。しかし、Siの含有量が過度に多くなると、アルミニウム合金板中にAl−Fe−Si系やSi系の晶出物や粗大な析出物が形成されるおそれがある。そして、これらの晶出物や粗大な析出物の存在により、アルミニウム合金板の延性の低下を招くおそれがある。Siの含有量を1.5質量%以下、好ましくは1.3質量%以下とすることにより、上述した晶出物や粗大な析出物の形成を抑制し、アルミニウム合金板の延性の低下を回避することができる。
・Cu(銅):0.010〜1.0質量%
Cuは、アルミニウム合金板の強度を向上させる作用を有する。Cuの含有量を0.010質量%以上とすることにより、アルミニウム合金板の強度を向上させることができる。アルミニウム合金板の強度をより向上させる観点からは、Cuの含有量を0.050質量%以上とすることが好ましい。Cuの含有量が0.010質量%未満の場合には、Cuによる強度向上の効果が不十分となり、アルミニウム合金板の強度の低下を招くおそれがある。
Cuは、アルミニウム合金板の強度を向上させる作用を有する。Cuの含有量を0.010質量%以上とすることにより、アルミニウム合金板の強度を向上させることができる。アルミニウム合金板の強度をより向上させる観点からは、Cuの含有量を0.050質量%以上とすることが好ましい。Cuの含有量が0.010質量%未満の場合には、Cuによる強度向上の効果が不十分となり、アルミニウム合金板の強度の低下を招くおそれがある。
Cuの含有量を多くすることにより、アルミニウム合金板の強度をより向上させることができる。しかし、Cuの含有量が過度に多くなると、アルミニウム合金板中にAl−Cu系やAl−Mg−Cu系の晶出物や粗大な析出物が形成されるおそれがある。そして、これらの晶出物や粗大な析出物の存在により、アルミニウム合金板の延性の低下を招くおそれがある。Cuの含有量を1.0質量%以下、好ましくは0.8質量%以下とすることにより、上述した晶出物や粗大な析出物の形成を抑制し、アルミニウム合金板の延性の低下を回避することができる。
・Ti(チタン):0.0050〜0.50質量%
Tiは、アルミニウム合金の鋳塊における結晶粒を微細化する作用を有している。Tiの含有量を0.0050質量%以上とすることにより、鋳塊の結晶粒を微細化し、アルミニウム合金板の強度を向上させることができる。Tiの含有量が0.0050質量%未満の場合には、結晶粒を微細化する効果が不十分となり、アルミニウム合金板の強度の低下を招くおそれがある。
Tiは、アルミニウム合金の鋳塊における結晶粒を微細化する作用を有している。Tiの含有量を0.0050質量%以上とすることにより、鋳塊の結晶粒を微細化し、アルミニウム合金板の強度を向上させることができる。Tiの含有量が0.0050質量%未満の場合には、結晶粒を微細化する効果が不十分となり、アルミニウム合金板の強度の低下を招くおそれがある。
一方、Tiの含有量が過度に多い場合には、アルミニウム合金板中にAl−Ti系の晶出物や粗大な析出物が形成されるおそれがある。そして、これらの晶出物や粗大な析出物の存在により、アルミニウム合金板の延性の低下を招くおそれがある。Tiの含有量を0.50質量%以下、好ましくは0.40質量%以下とすることにより、上述した晶出物や粗大な析出物の形成を抑制し、アルミニウム合金板の延性の低下を回避することができる。
・Mn(マンガン):0.010〜0.50質量%
Mnは、アルミニウム合金の鋳塊における結晶粒を微細化する作用を有している。Mnの含有量を0.010質量%以上とすることにより、鋳塊の結晶粒を微細化し、アルミニウム合金板の強度を向上させることができる。アルミニウム合金板の強度をより向上させる観点からは、Mnの含有量を0.020質量%以上とすることが好ましい。Mnの含有量が0.010質量%未満の場合には、結晶粒を微細化する効果が不十分となり、アルミニウム合金板の強度の低下を招くおそれがある。
Mnは、アルミニウム合金の鋳塊における結晶粒を微細化する作用を有している。Mnの含有量を0.010質量%以上とすることにより、鋳塊の結晶粒を微細化し、アルミニウム合金板の強度を向上させることができる。アルミニウム合金板の強度をより向上させる観点からは、Mnの含有量を0.020質量%以上とすることが好ましい。Mnの含有量が0.010質量%未満の場合には、結晶粒を微細化する効果が不十分となり、アルミニウム合金板の強度の低下を招くおそれがある。
一方、Mnの含有量が過度に多い場合には、アルミニウム合金板中にAl−Mn系やAl−Fe−Mn−Si系の晶出物が形成されるおそれがある。そして、この晶出物の存在により、アルミニウム合金板の延性の低下を招くおそれがある。Mnの含有量を0.50質量%以下、好ましくは0.40質量%以下とすることにより、上述した晶出物の形成を抑制し、アルミニウム合金板の延性の低下を回避することができる。
・Cr(クロム):0.010〜0.50質量%
Crは、アルミニウム合金の鋳塊における結晶粒を微細化する作用を有している。Crの含有量を0.010質量%以上とすることにより、鋳塊の結晶粒を微細化し、アルミニウム合金板の強度を向上させることができる。アルミニウム合金板の強度をより向上させる観点からは、Crの含有量を0.020質量%以上とすることが好ましい。Crの含有量が0.010質量%未満の場合には、結晶粒を微細化する効果が不十分となり、アルミニウム合金板の強度の低下を招くおそれがある。
Crは、アルミニウム合金の鋳塊における結晶粒を微細化する作用を有している。Crの含有量を0.010質量%以上とすることにより、鋳塊の結晶粒を微細化し、アルミニウム合金板の強度を向上させることができる。アルミニウム合金板の強度をより向上させる観点からは、Crの含有量を0.020質量%以上とすることが好ましい。Crの含有量が0.010質量%未満の場合には、結晶粒を微細化する効果が不十分となり、アルミニウム合金板の強度の低下を招くおそれがある。
一方、Crの含有量が過度に多い場合には、アルミニウム合金板中にAl−Cr系の晶出物が形成されるおそれがある。そして、この晶出物の存在により、アルミニウム合金板の延性の低下を招くおそれがある。Crの含有量を0.50質量%以下、好ましくは0.40質量%以下とすることにより、上述した晶出物の形成を抑制し、アルミニウム合金板の延性の低下を回避することができる。
上記アルミニウム合金板は、必須成分としてのMg、Si、Cu、Ti、Mn及びCrの他に、任意成分としてのFe、Znが含まれていてもよい。Fe及びZnは、例えば、リサイクル材を用いて上記アルミニウム合金板を作製する場合に上記アルミニウム合金板中に混入する可能性がある元素である。なお、例えば高純度の地金を用いて上記アルミニウム合金板を作製する場合等には、Fe及びZnの含有量を0質量%とすることも可能である。
・Fe(鉄):0.50質量%以下
Feの含有量が過度に多い場合には、アルミニウム合金板中にAl−Fe系の晶出物や粗大な析出物が形成されるおそれがある。そして、これらの晶出物や粗大な析出物の存在により、アルミニウム合金板の延性の低下を招くおそれがある。Feの含有量を0.50質量%以下、好ましくは0.40質量%以下に規制することにより、上述した晶出物や析出物の形成を抑制し、アルミニウム合金板の延性の低下を回避することができる。
Feの含有量が過度に多い場合には、アルミニウム合金板中にAl−Fe系の晶出物や粗大な析出物が形成されるおそれがある。そして、これらの晶出物や粗大な析出物の存在により、アルミニウム合金板の延性の低下を招くおそれがある。Feの含有量を0.50質量%以下、好ましくは0.40質量%以下に規制することにより、上述した晶出物や析出物の形成を抑制し、アルミニウム合金板の延性の低下を回避することができる。
・Zn(亜鉛):0.50質量%以下
Znの含有量が過度に多い場合には、アルミニウム合金板中にAl−Zn−Mg系の晶出物や粗大な析出物が形成されるおそれがある。そして、これらの晶出物や粗大な析出物の存在により、アルミニウム合金板の延性の低下を招くおそれがある。Feの含有量を0.50質量%以下、好ましくは0.20質量%以下に規制することにより、上述した晶出物や析出物の形成を抑制し、アルミニウム合金板の延性の低下を回避することができる。
Znの含有量が過度に多い場合には、アルミニウム合金板中にAl−Zn−Mg系の晶出物や粗大な析出物が形成されるおそれがある。そして、これらの晶出物や粗大な析出物の存在により、アルミニウム合金板の延性の低下を招くおそれがある。Feの含有量を0.50質量%以下、好ましくは0.20質量%以下に規制することにより、上述した晶出物や析出物の形成を抑制し、アルミニウム合金板の延性の低下を回避することができる。
・導電率:43〜60%IACS
アルミニウム合金板の導電率は、その値が大きいほど、アルミニウムマトリクス中に固溶している溶質原子の量が少ないことを示している。上記アルミニウム合金板の導電率を上記特定の範囲内とすることにより、アルミニウムマトリクス中に固溶している溶質原子の量を適正な範囲にすることができる。その結果、アルミニウム合金板の強度及び延性を向上させることができる。
アルミニウム合金板の導電率は、その値が大きいほど、アルミニウムマトリクス中に固溶している溶質原子の量が少ないことを示している。上記アルミニウム合金板の導電率を上記特定の範囲内とすることにより、アルミニウムマトリクス中に固溶している溶質原子の量を適正な範囲にすることができる。その結果、アルミニウム合金板の強度及び延性を向上させることができる。
導電率が43%IACS未満の場合には、アルミニウムマトリクス中に固溶している溶質原子の量が多くなるため、アルミニウム合金板の延性の低下を招くおそれがある。なお、上記特定の範囲の化学成分を有するアルミニウム合金板においては、通常、導電率は60%IACS以下である。
・ミクロ組織
上記アルミニウム合金板のミクロ組織は圧延集合組織であり、圧延方向に平行な方向の結晶粒長さが板厚方向に平行な方向の結晶粒長さの5.0倍以上である結晶粒から構成されている。即ち、上記アルミニウム合金板においては、製造過程における再結晶が抑制されており、熱間圧延工程において形成された圧延集合組織が維持されている。これにより、上記特定の範囲の引張強さ、耐力及び伸びを容易に実現することができる。
上記アルミニウム合金板のミクロ組織は圧延集合組織であり、圧延方向に平行な方向の結晶粒長さが板厚方向に平行な方向の結晶粒長さの5.0倍以上である結晶粒から構成されている。即ち、上記アルミニウム合金板においては、製造過程における再結晶が抑制されており、熱間圧延工程において形成された圧延集合組織が維持されている。これにより、上記特定の範囲の引張強さ、耐力及び伸びを容易に実現することができる。
・引張強さ:280MPa以上、耐力:240MPa以上、伸び:7%以上
上記アルミニウム合金板は、上記特定の範囲の引張強さ、耐力及び伸びを有していることにより、高い強度と優れた伸びとを兼ね備えたものとなる。かかる機械的特性を有するアルミニウム合金板は、例えば、輸送用機器の構造材等の用途に好適である。
上記アルミニウム合金板は、上記特定の範囲の引張強さ、耐力及び伸びを有していることにより、高い強度と優れた伸びとを兼ね備えたものとなる。かかる機械的特性を有するアルミニウム合金板は、例えば、輸送用機器の構造材等の用途に好適である。
また、上記アルミニウム合金板の板厚は、例えば6mm以上とすることができる。板厚の厚いアルミニウム合金板においては、板厚の薄いアルミニウム合金板のように連続式加熱炉を用いて溶体化処理を行うことが難しい。そのため、従来の製造方法により板厚の厚いアルミニウム合金板を作製する場合には、通常、バッチ式加熱炉での溶体化処理が行われており、板厚の薄いアルミニウム合金板に比べて製造コストが高くなるという問題があった。
これに対し、上記アルミニウム合金板は、従来の製造方法において実施されていた溶体化処理を省略した場合にも、高い強度と優れた延性とを両立させることができる。それ故、上記アルミニウム合金板は、例えば6mm以上の比較的厚い板厚を有する場合にも、製造コストの増大を抑制することができる。
上記アルミニウム合金板は、例えば、上記特定の範囲の化学成分を備えた鋳塊を準備した後、この鋳塊に、圧延開始時の温度を350〜600℃とし、かつ、圧延終了時の温度が80〜230℃となる条件で熱間圧延を行うことにより作製することができる。
熱間圧延工程における圧延開始時の温度は、350〜600℃とする。圧延開始時の温度が350℃未満の場合には、鋳塊の変形抵抗が大きくなるため、圧延荷重の増大を招くおそれがある。また、この場合には、熱間圧延中に鋳塊の割れが発生しやすくなるおそれがある。
また、圧延開始時の温度が600℃を超える場合には、熱間圧延中に鋳塊の一部が溶融するおそれがある。従って、圧延開始時の温度を350〜600℃、好ましくは350〜580℃とすることにより、これらの問題を回避し、熱間圧延を行うことができる。
熱間圧延工程における圧延終了時の温度は、80〜230℃とする。圧延終了時の温度が80℃未満の場合には、鋳塊の変形抵抗が大きくなるため、圧延荷重の増大を招くおそれがある。また、この場合には、熱間圧延中に鋳塊の割れが発生しやすくなるおそれがある。圧延終了時の温度を80℃以上とすることにより、変形抵抗の増大を回避して熱間圧延を行うことができる。変形抵抗の増大をより確実に回避する観点からは、圧延終了時の温度を90℃以上とすることが好ましい。
また、圧延終了時の温度が230℃を超える場合には、熱間圧延によって導入された加工歪みが、熱間圧延中及び熱間圧延後に回復するおそれがある。それ故、この場合には、アルミニウム合金板の強度の低下を招くおそれがある。従って、圧延終了時の温度を230℃以下とすることにより、加工歪みの回復を抑制してアルミニウム合金板の強度の低下を回避することができる。加工歪みの回復をより効果的に抑制する観点からは、圧延終了後の温度を220℃以下とすることが好ましい。
前述したように、上記熱間圧延工程の後、熱延板の温度が低下する過程において、熱延板中に微細な析出物を析出させることができる。熱延板の温度は、例えば熱延板を室温環境下に置くことによって自然に低下させてもよい。また、例えばファン空冷、ミスト冷却、シャワー冷却及び水冷等の方法により熱延板を冷却してもよい。熱延板の温度を低下させる際の条件は、熱間圧延が完了してから熱延板の温度が100℃に到達するまでの時間が20時間以内となる条件を採用することができる。
熱間圧延が完了してから熱延板の温度が100℃に到達するまでの時間が過度に長い場合には、熱延板中の析出物が粗大化し、アルミニウム合金板の強度及び伸びが低下するおそれがある。前記時間を20時間以内とすることにより、熱延板中の析出物の粗大化を回避し、ひいてはアルミニウム合金板の強度及び伸びの低下を回避することができる
上記製造方法においては、熱間圧延工程により得られた熱延板をそのまま上記アルミニウム合金板とすることができる。また、上記製造方法は、熱間圧延工程により得られた熱延板を加熱して焼鈍する焼鈍工程を有していてもよい。熱間圧延工程の後に必要に応じて焼鈍工程を実施することにより、強度と延性とのバランスを調整し、所望の機械的特性を備えたアルミニウム合金板を得ることができる。
焼鈍工程においては、熱延板を100〜250℃の温度で1〜10時間加熱して焼鈍を行う。焼鈍工程における加熱温度を100℃以上とし、かつ、加熱時間を1時間以上とすることにより、熱延板を適度に軟化させることができる。これにより、アルミニウム合金板の延性をより向上させることができる。焼鈍工程における加熱温度を120℃以上とすることにより、アルミニウム合金板の延性をより向上させることができる。また、焼鈍工程における加熱時間を2時間以上とすることにより、アルミニウム合金板の延性をより向上させることができる。
しかし、焼鈍工程における加熱温度を高くすると、アルミニウム合金板の延性が高くなる反面、強度の低下を招く。同様に、焼鈍工程における加熱時間を長くすると、アルミニウム合金板の延性が高くなる反面、強度の低下を招く。焼鈍工程における加熱温度を250℃以下とし、かつ、加熱時間を10時間以下とすることにより、アルミニウム合金板の強度の低下を抑制しつつ延性をより向上させることができる。また、焼鈍工程における加熱温度を220℃以下とすることにより、アルミニウム合金板の強度の低下をより効果的に抑制することができる。同様に、焼鈍工程における加熱時間を9時間以下とすることにより、アルミニウム合金板の強度の低下をより効果的に抑制することができる。
また、上記製造方法においては、熱間圧延工程により得られた熱延板を冷間圧延する冷間圧延工程を有していてもよい。熱間圧延工程の後に必要に応じて冷間圧延工程を実施することにより、強度と延性とのバランスを調整し、所望の機械的特性を備えたアルミニウム合金板を得ることができる。
冷間圧延工程においては、熱間圧延工程により得られた熱延板に1〜20%の圧下率で冷間圧延を行うことにより、冷延板を作製する。この冷延板を上記アルミニウム合金板とすることができる。冷間圧延工程における圧下率を1%以上とすることにより、アルミニウム合金板中に更なる加工歪みを導入し、アルミニウム合金板の強度をより向上させることができる。アルミニウム合金板の強度をより向上させる観点からは、冷間圧延工程における圧下率を2%以上とすることがより好ましい。
しかし、冷間圧延工程における圧下率を大きくすると、アルミニウム合金板の強度が高くなる反面、延性の低下を招く。冷間圧延工程における圧下率を20%以下、より好ましくは15%以下とすることにより、アルミニウム合金板の延性の低下を回避しつつ強度をより向上させることができる。
また、上記製造方法においては、冷間圧延工程により得られた冷延板を加熱して焼鈍する焼鈍工程を有していてもよい。冷間圧延工程の後に必要に応じて焼鈍工程を実施することにより、強度と延性とのバランスを調整し、所望の機械的特性を備えたアルミニウム合金板を得ることができる。なお、冷間圧延工程後に実施する焼鈍工程における加熱温度及び加熱時間の好ましい範囲、及びその限定理由は、熱間圧延工程後に実施する焼鈍工程と同様である。
上記アルミニウム合金板及びその製造方法の実施例を以下に説明する。なお、本発明に係るアルミニウム合金板及びその製造方法の具体的な態様は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲において適宜構成を変更することができる。
(実施例1)
本例は、アルミニウム合金板の化学成分を種々変更した例である。本例においては、まず、表1に示す化学成分(合金記号A1〜A28)を有するアルミニウム合金の鋳塊を準備する準備工程を実施した。鋳塊の作製は、DC鋳造により行った。また、鋳塊の厚さは500mm、幅は500mm、長さは1000mmとした。なお、表1中に記載した記号「Bal.」は、残余成分(Balance)であることを示す。
本例は、アルミニウム合金板の化学成分を種々変更した例である。本例においては、まず、表1に示す化学成分(合金記号A1〜A28)を有するアルミニウム合金の鋳塊を準備する準備工程を実施した。鋳塊の作製は、DC鋳造により行った。また、鋳塊の厚さは500mm、幅は500mm、長さは1000mmとした。なお、表1中に記載した記号「Bal.」は、残余成分(Balance)であることを示す。
準備工程において準備した鋳塊を500℃の温度で5時間加熱して均質化処理を行った。次いで、鋳塊に熱間圧延を行う熱間圧延工程を実施し、板厚2.0mmの熱延板を得た。熱間圧延工程における圧延開始時の温度は500℃とし、圧延終了時の温度は150℃とした。その後、室温環境下に熱延板を置くことにより熱延板の温度を自然に室温まで低下させた。
以上により得られた熱延板を試験材(試験材1〜28)として、ミクロ組織の観察、機械的特性の評価及び導電率の測定を以下の方法で実施した。
・ミクロ組織の観察
試験材を圧延方向に平行な方向に切断し、断面(L−ST面)を露出させた。この断面に電解エッチングを施した後、偏光光学顕微鏡を用いて断面を倍率25倍に拡大し、3800μm×4800μmの視野を有する顕微鏡像を取得した。得られた顕微鏡像中に存在する結晶粒から無作為に10個の結晶粒を選択し、各結晶粒について、圧延方向に平行な方向の結晶粒長さと、板厚方向に平行な方向の結晶粒長さとを測定した。圧延方向に平行な方向の結晶粒長さを板厚方向に平行な方向の結晶粒長さで除することにより、各結晶粒のアスペクト比を算出した。なお、選択した結晶粒の圧延方向に平行な方向における結晶粒長さが視野の大きさを超えた場合には、視野の長さを圧延方向に平行な方向における結晶粒長さとした。
試験材を圧延方向に平行な方向に切断し、断面(L−ST面)を露出させた。この断面に電解エッチングを施した後、偏光光学顕微鏡を用いて断面を倍率25倍に拡大し、3800μm×4800μmの視野を有する顕微鏡像を取得した。得られた顕微鏡像中に存在する結晶粒から無作為に10個の結晶粒を選択し、各結晶粒について、圧延方向に平行な方向の結晶粒長さと、板厚方向に平行な方向の結晶粒長さとを測定した。圧延方向に平行な方向の結晶粒長さを板厚方向に平行な方向の結晶粒長さで除することにより、各結晶粒のアスペクト比を算出した。なお、選択した結晶粒の圧延方向に平行な方向における結晶粒長さが視野の大きさを超えた場合には、視野の長さを圧延方向に平行な方向における結晶粒長さとした。
そして、10個の結晶粒におけるアスペクト比の平均を、試験材の結晶粒のアスペクト比、即ち圧延方向に平行な方向の結晶粒長さに対する板厚方向に平行な方向の結晶粒長さの比として表2の「アスペクト比」の欄に記載した。
・導電率
導電率計(日本フェルスター株式会社製「SIGMATEST2.069」)を用い、渦電流法により試験材の導電率(%IACS)を測定した。各試験材の導電率は表2に示した通りであった。なお、導電率の測定は、25℃の環境下において行った。
導電率計(日本フェルスター株式会社製「SIGMATEST2.069」)を用い、渦電流法により試験材の導電率(%IACS)を測定した。各試験材の導電率は表2に示した通りであった。なお、導電率の測定は、25℃の環境下において行った。
・機械的特性
試験材から、長手方向と圧延方向とが平行になるようにしてJIS Z2241:2011に規定された5号試験片を採取した。この試験片を用い、JIS Z2241:2011の規定に準じた方法により引張試験を実施した。引張試験の結果に基づいて、試験材の引張強さ、耐力及び伸びの値を算出した。なお、引張試験は室温下において実施した。各試験材の引張強さ、耐力及び伸びの値は表2に示した通りであった。
試験材から、長手方向と圧延方向とが平行になるようにしてJIS Z2241:2011に規定された5号試験片を採取した。この試験片を用い、JIS Z2241:2011の規定に準じた方法により引張試験を実施した。引張試験の結果に基づいて、試験材の引張強さ、耐力及び伸びの値を算出した。なお、引張試験は室温下において実施した。各試験材の引張強さ、耐力及び伸びの値は表2に示した通りであった。
表1及び表2に示したように、試験材1〜14は、上記特定の範囲の化学成分(合金記号A1〜A14)及び導電率を有している。また、これらの試験材は、表2に示したように、ミクロ組織観察において、結晶粒のアスペクト比が5よりも十分に大きい値を示した。これらの試験材のミクロ組織の一例を図1に示す。図1に示したように、試験材1〜14のミクロ組織は、熱間圧延工程における圧延方向と平行な方向に延びた繊維状の結晶粒から構成されており、圧延集合組織であることが理解できる。
このように、試験材1〜14は、上記特定の範囲の化学成分及び導電率を有し、圧延集合組織から構成されている。それ故、これらの試験材は、上記特定の範囲の引張強さ、耐力及び伸びを実現し、高い強度と優れた延性と両立させることができた。
一方、試験材15は、Siの含有量が上記特定の範囲よりも少なかったため、試験材1〜14に比べて引張強さ及び耐力が低かった。
試験材16は、Siの含有量が上記特定の範囲よりも多く、導電率が上記特定の範囲よりも低かったため、試験材1〜14に比べて伸びが低かった。
試験材17は、Feの含有量が上記特定の範囲よりも多かったため、試験材1〜14に比べて伸びが低かった。
試験材16は、Siの含有量が上記特定の範囲よりも多く、導電率が上記特定の範囲よりも低かったため、試験材1〜14に比べて伸びが低かった。
試験材17は、Feの含有量が上記特定の範囲よりも多かったため、試験材1〜14に比べて伸びが低かった。
試験材18は、Cuの含有量が上記特定の範囲よりも少なかったため、試験材1〜14に比べて引張強さ及び耐力が低かった。
試験材19は、Cuの含有量が上記特定の範囲よりも多く、導電率が上記特定の範囲よりも低かったため、試験材1〜14に比べて伸びが低かった。
試験材19は、Cuの含有量が上記特定の範囲よりも多く、導電率が上記特定の範囲よりも低かったため、試験材1〜14に比べて伸びが低かった。
試験材20は、Mnの含有量が上記特定の範囲よりも少なかったため、試験材1〜14に比べて引張強さ及び耐力が低かった。
試験材21は、Mnの含有量が上記特定の範囲よりも多く、導電率が上記特定の範囲よりも低かったため、試験材1〜14に比べて伸びが低かった。
試験材21は、Mnの含有量が上記特定の範囲よりも多く、導電率が上記特定の範囲よりも低かったため、試験材1〜14に比べて伸びが低かった。
試験材22は、Mgの含有量が上記特定の範囲よりも少なかったため、試験材1〜14に比べて引張強さ及び耐力が低かった。
試験材23は、Mgの含有量が上記特定の範囲よりも多く、導電率が上記特定の範囲よりも低かったため、試験材1〜14に比べて伸びが低かった。
試験材23は、Mgの含有量が上記特定の範囲よりも多く、導電率が上記特定の範囲よりも低かったため、試験材1〜14に比べて伸びが低かった。
試験材24は、Crの含有量が上記特定の範囲よりも少なかったため、試験材1〜14に比べて引張強さ及び耐力が低かった。
試験材25は、Crの含有量が上記特定の範囲よりも多く、導電率が上記特定の範囲よりも低いため、試験材1〜14に比べて伸びが低かった。
試験材26は、Znの含有量が上記特定の範囲よりも多く、導電率が上記特定の範囲よりも低かったため、試験材1〜14に比べて伸びが低かった。
試験材25は、Crの含有量が上記特定の範囲よりも多く、導電率が上記特定の範囲よりも低いため、試験材1〜14に比べて伸びが低かった。
試験材26は、Znの含有量が上記特定の範囲よりも多く、導電率が上記特定の範囲よりも低かったため、試験材1〜14に比べて伸びが低かった。
試験材27は、Tiの含有量が上記特定の範囲よりも少なかったため、試験材1〜14に比べて引張強さ及び耐力が低かった。
試験材28は、Tiの含有量が上記特定の範囲よりも多かったため、試験材1〜14に比べて伸びが低かった。
試験材28は、Tiの含有量が上記特定の範囲よりも多かったため、試験材1〜14に比べて伸びが低かった。
(実施例2)
本例は、アルミニウム合金板の製造条件を種々変更した例である。本例においては、まず、準備工程として、Si:0.70質量%、Fe:0.25質量%、Cu:0.30質量%、Mn:0.10質量%、Mg:1.0質量%、Cr:0.15質量%、Zn:0.010質量%、Ti:0.030質量%を含み、残部がAl及び不可避不純物からなる化学成分を備えた鋳塊を準備した。なお、鋳塊の作製はDC鋳造により行い、鋳塊の厚さは500mm、幅は500mm、長さは1000mmとした。
本例は、アルミニウム合金板の製造条件を種々変更した例である。本例においては、まず、準備工程として、Si:0.70質量%、Fe:0.25質量%、Cu:0.30質量%、Mn:0.10質量%、Mg:1.0質量%、Cr:0.15質量%、Zn:0.010質量%、Ti:0.030質量%を含み、残部がAl及び不可避不純物からなる化学成分を備えた鋳塊を準備した。なお、鋳塊の作製はDC鋳造により行い、鋳塊の厚さは500mm、幅は500mm、長さは1000mmとした。
次に、得られた鋳塊に表3に示す条件(条件記号B1〜B35)で熱間圧延を行い、熱延板を得た。その後、室温環境下に熱延板を置くことにより熱延板の温度を自然に室温まで低下させた。条件記号B1、B2、B17、B18により作製した熱延板については、得られた熱延板をそのまま試験材(表4、試験材29、30、45、46)とした。
条件記号B3、B4、B19、B20により作製した熱延板については、表3に示す圧下率で熱延板に冷間圧延を行う冷間圧延工程を実施した。これにより得られた冷延板を試験材(表4、試験材31、32、47、48)とした。
条件記号B5、B6、B21〜B23により作製した熱延板については、表3に示す加熱温度及び加熱時間で熱延板を加熱して焼鈍を行う焼鈍工程を実施した。これにより得られた熱延板を試験材(表4、試験材33、34、49〜51)とした。
条件記号B7〜B16、B24〜B35により作製した熱延板については、まず、表3に示す圧下率で熱延板に冷間圧延を行う冷間圧延工程を実施した。更に、冷間圧延工程により得られた冷延板に、表3に示す加熱温度及び加熱時間で冷延板を加熱して焼鈍を行う焼鈍工程を実施した。これにより得られた冷延板を試験材(表4、試験材35〜44、52〜63)とした。
以上により得られた試験材29〜63について、実施例1と同様に、ミクロ組織の観察、機械的特性の評価及び導電率の測定を実施した。これらの結果は表4に示した通りであった。
表3及び表4に示したように、試験材29、30は、熱間圧延工程において、圧延開始時の温度及び圧延終了時の温度が上記特定の範囲内となる条件で熱間圧延を行った。そのため、溶体化処理及び人工時効処理を行わない場合にも、上記特定の範囲の引張強さ、耐力及び伸びを実現し、高い強度と優れた延性と両立させることができた。
試験材31、32は、熱間圧延工程により得られた熱延板に、圧下率を上記特定の範囲とした条件で冷間圧延工程を行った。これにより、優れた延性を確保しつつ、試験材29、30に比べて強度を向上させることができた。
試験材31、32は、熱間圧延工程により得られた熱延板に、圧下率を上記特定の範囲とした条件で冷間圧延工程を行った。これにより、優れた延性を確保しつつ、試験材29、30に比べて強度を向上させることができた。
試験材33、34は、熱間圧延工程により得られた熱延板に、加熱温度及び加熱時間を上記特定の範囲とした条件で焼鈍工程を行った。これにより、高い強度を確保しつつ、試験材29、30に比べて延性を向上させることができた。
また、試験材35〜44は、熱間圧延工程により得られた熱延板に、圧下率、加熱温度及び加熱時間を上記特定の範囲とした条件で冷間圧延工程及び焼鈍工程を行った。これにより、高い強度と優れた延性とを確保した上で、試験材の強度と延性とのバランスを調節することができた。
また、試験材35〜44は、熱間圧延工程により得られた熱延板に、圧下率、加熱温度及び加熱時間を上記特定の範囲とした条件で冷間圧延工程及び焼鈍工程を行った。これにより、高い強度と優れた延性とを確保した上で、試験材の強度と延性とのバランスを調節することができた。
一方、試験材45、47、49、51、53、55は、熱間圧延工程における圧延開始時の温度が上記特定の範囲よりも高かったため、熱間圧延前の加熱中に鋳塊が溶融し、熱間圧延を行うことができなかった。
試験材46、48、50、52、54、56は、熱間圧延工程における圧延開始時の温度が上記特定の範囲よりも低かったため、熱間圧延中に鋳塊の割れが発生し、熱間圧延を行うことができなかった。
試験材46、48、50、52、54、56は、熱間圧延工程における圧延開始時の温度が上記特定の範囲よりも低かったため、熱間圧延中に鋳塊の割れが発生し、熱間圧延を行うことができなかった。
試験材57、59は、熱間圧延工程における圧延終了時の温度が上記特定の範囲よりも高かったため、熱間圧延中に導入した加工歪みの回復を招いた。また、これらの試験体においては、熱間圧延後の再結晶を抑制することができず、圧延集合組織を維持することができなかった。その結果、これらの試験材の強度は試験材29〜44に比べて低くなった。
試験材58、60は、熱間圧延工程における圧延終了時の温度が上記特定の範囲よりも低かったため、熱間圧延中に鋳塊の割れが発生し、熱間圧延を行うことができなかった。
試験材58、60は、熱間圧延工程における圧延終了時の温度が上記特定の範囲よりも低かったため、熱間圧延中に鋳塊の割れが発生し、熱間圧延を行うことができなかった。
試験材61は、冷間圧延工程における圧下率が上記特定の範囲よりも高かったため、試験材29〜44に比べて延性が低下した。
試験材62は、焼鈍工程における加熱温度が上記特定の範囲よりも高かったため、加熱中に再結晶し、圧延集合組織を維持することができなかった。その結果、これらの試験材の強度は試験材29〜44に比べて低くなった。
試験材62は、焼鈍工程における加熱温度が上記特定の範囲よりも高かったため、加熱中に再結晶し、圧延集合組織を維持することができなかった。その結果、これらの試験材の強度は試験材29〜44に比べて低くなった。
試験材63は、焼鈍工程における加熱時間が上記特定の範囲よりも長かったため、加熱中に再結晶し、圧延集合組織を維持することができなかった。その結果、これらの試験材の強度は試験材29〜44に比べて低くなった。
1 アルミニウム合金圧延板
Claims (5)
- Mg:0.20〜1.5質量%、Si:0.20〜1.5質量%、Cu:0.010〜1.0質量%、Mn:0.010〜0.50質量%、Cr:0.010〜0.50質量%、Ti:0.0050〜0.50質量%を含有し、Fe:0.50質量%以下、Zn:0.50質量%以下に規制され、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有し、
圧延方向に平行な方向の結晶粒長さが圧延方向に直角な方向の結晶粒長さの5.0倍以上である圧延集合組織を有し、
引張強さが280MPa以上であり、
耐力が240MPa以上であり、
伸びが7%以上であり、
導電率が43〜60%IACSである、
アルミニウム合金板。 - Mg:0.20〜1.5質量%、Si:0.20〜1.5質量%、Cu:0.010〜1.0質量%、Mn:0.010〜0.50質量%、Cr:0.010〜0.50質量%、Ti:0.0050〜0.50質量%を含有し、Fe:0.50質量%以下、Zn:0.50質量%以下に規制され、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有する鋳塊を準備する準備工程と、
前記鋳塊に、圧延開始時の温度を350〜600℃とし、かつ、圧延終了時の温度が80〜230℃となる条件で熱間圧延を行う熱間圧延工程と、
を有する、アルミニウム合金板の製造方法。 - 前記熱間圧延工程により得られた熱延板を100〜250℃の温度で1〜10時間加熱して焼鈍を行う焼鈍工程を更に有している、請求項2に記載のアルミニウム合金板の製造方法。
- 前記熱間圧延工程により得られた熱延板に1〜20%の圧下率で冷間圧延を行う冷間圧延工程を更に有する、請求項2に記載のアルミニウム合金板の製造方法。
- 前記冷間圧延工程により得られた冷延板に100〜250℃の温度で1〜10時間加熱して焼鈍を行う焼鈍工程を更に有している、請求項4に記載のアルミニウム合金板の製造方法。
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2017
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