この調温は、シェル状成形金型をその裏側から冷却することにより及び/又は外部加熱することにより行われる。そのためにこのシェル状成形金型は、その裏面が、金型内部の輪郭形状即ち型彫り部に実質的にならって構成されていてもよい。ここでシェル状成形金型とは、従来型の成形金型と比べて、鋳型壁面が大幅に減肉されていることを特色とする成形金型のことである。シェル状成形金型の構成部品の呼称の扱い方はまちまちである。これについては他の全ての成形金型と同様に、シェル状成形金型も少なくとも二部材となっている。基本的に金型部品はいずれも、少なくとも一つの中実領域と一つの成形金型周縁シェル(Formwerkzeug−Randschale)とから成っている。
成形金型周縁シェルにより、従来型の成形金型の場合よりも良好に熱伝達のための装置のポジショニングをコンフォーマル方式で行って、それにより成形対象である加工品の調温をより急速に行うことができる。成形金型周縁シェルの裏側の多面体状の空間により、液相の冷却剤及び加熱剤が相互に連通可能な、平面的かつ局所的な調温を可能としている。
本発明に従った方法は、シェル状成形金型のコンフォーマル式の平面的な調温のために導入することができる。そこでは調温が成形金型周縁シェルの調温用表面を介して行われる。この調温用表面は、成形金型周縁シェルの裏側により具現されるようになっている。
本方法は、ダイカスト用の鋳造金型の調温に関するものである。しかし本方法は、低圧チル鋳造及び重力チル鋳造、射出成形にも、並びにガラス部品を製造する成形金型にも、導入可能である。更に二次成形技術(Umform−Technik)の成形金型についても、本発明に従った方法により調温を行うことができる。
外部から持ち込まれることになる加熱エネルギー、又は冷却により放散されることになるエネルギーは、熱エネルギーであると解釈される。この熱エネルギーを、新規の本方法に準じて、技術的要求項目に応じて、局所的に適合化することができる。本方法は好適には金属製の成形金型に関する。その際にこの成形金型は多部材であってもよく、本方法は、可動式又は固定式のスライダ及びコアにも関する。
本方法により、成形対象である加工品の機械特性に狙い通りに影響を与えて、これを改善することができる。更に本発明に従った調温方式を適用することによって、成形金型のキャビティ、即ちその金型空洞部の充填状態を狙い通りに改善することができる。その際にはキャビティの細長い空洞部についても、又厚みのある空洞部についても、正確な充填が可能となる。それ以外にも本方法を適用した場合は、成形金型自体の熱機械応力も狙い通りに低減することができる。成形金型周縁シェルの表側に当たる成形金型の型彫り部は、従来技術の公知の方法よりも摩耗を受けにくくなる。
本方法は、プロセスの熱エネルギー、即ち成形プロセスに持ち込まれたプロセス熱の大半が、成形金型周縁シェルの調温用表面を介して、又それにより成形金型の裏側空間を介して、放散されることになるような、対応するユニットの状態変化を含めた成形プロセスに関するものである。このプロセスの熱エネルギーについては、比較的僅かな分量が、成形金型の中実領域を介して成形機及び周囲又はその類に損失として放出されるようになっている。これらについては、キャビティから取り出される、尚も高温ではあるが形状安定性を示す加工品のエンタルピと同様に、検討されない。
同様に調温用表面の部分領域には、裏側空間から外部熱エネルギーを加熱エネルギーの形態で狙いを定めて供給することができる。
調温用表面の調温は、液状の媒体を用いて行うことができる。
ダイカスト用の鋳造金型を冷却するために一般に行われている古典的な方法が、実質的な二重冷却である。全てのプロセス熱を、即ち加工品に至るまでに取り除かれる熱を、成形金型の裏側空間の冷却を介して放散できるわけではないために、鋳物を取り出した後には、型彫り部又は金型内部の輪郭形状の、即ち金型表面の、追加冷却が必要である。毎回のプロセス・サイクル中に行われる冷却とは異なり、成形金型の予熱の意味で成形金型の加熱が行われるのは、大抵の場合は全プロセスの初期段階だけに限られている。それにより、初回の成形プロセスの間の高過ぎる熱勾配による型彫り部の損傷が回避されると言われている。これは、熱線若しくはその類を用いて型彫り部を加熱することによって、又は、裏側空間側から加熱することによって、高温の流体をそこに作り込まれている冷却流路に通して導くことにより、行うことができる。
古典的な冷却は、第一に、成形金型の裏側空間に作り込まれる冷却ジオメトリを利用して行われる。これは、大抵の場合は放電加工や切削加工による材料除去手法を用いて作り込まれるスルーホール及び止まり穴のような、直線状のボアの形態で行われる。これらのボアに通してクーラントが導かれる。従ってクーラントは、水路流のようにこれらのボアを通り流れるようになっている。作り込まれるこれらの流路ジオメトリには、型彫り部まで、ある程度の距離を持たせなければならない。又隣接する流路の間隔も、最小寸法を有していなければならない。流路の寸法諸元、流れのガイド、並びに、水又はオイルのような調温用媒体及び成形金型材料の特性により、伝達可能な熱量は左右される。その際に冷却に関しては、大抵の場合は幾何形状に大きな制約が課せられることになる、というのも、極めて変化に富んだ幾何形状を有する型彫り部を、直線状に取り廻される冷却流路又は概ねスポット状の冷却のための止まり穴を利用して一様に冷却することができるのは、一部のケースに限られるからである。
特に裏側空間側からの冷却は不十分である。このため第二に、金型内部の輪郭形状、即ち型彫り部を介しての冷却が実行される。具体的には、鋳物をキャビティから取り出した後、離型剤と水の混合物が搬送用空気を用いて高圧で比較的長時間にわたり型彫り部の表面に噴射され、それにより成形金型表面及び成形金型の温度が更に低下する。水は、成形金型表面への鋳造金属の付着を防止するとされる離型剤と混合される。成形金型表面は、この衝撃的な冷却と、その後に続く、型彫り部の上への高温溶湯の添加による衝撃的な加熱とによって、一段と高い摩耗に曝されることになる。
成形金型の古典的な二重冷却のこの状態を改善するために、特許文献をあたると、成形金型用の比較的薄い成形金型シェルを製造するために、努力が支払われてきたことが分かる。これらの成形金型シェルは、加工品の輪郭形状にならったものでなくてはならず、又それによりコンフォーマル方式による金型の調温が、大抵の場合は冷却が行われるようにするものでなければならない。特許文献から明らかであるように、模索される冷却システムのこのコンフォーマル性によって、成形金型の冷却は裏側空間側だけから行われることになり、型彫り部に沿った追加冷却は廃止される、とのことである。成形金型は、シェルとして構成されなければならない。このシェルの裏手には調温ゾーンがある。この成形金型シェルは薄肉であるために、成形金型には更に一つの中実領域がある。これにより安定性が担保されると言われている。この配置方式により、コンフォーマル冷却される薄肉の成形金型が得られる。
加工品の輪郭形状を模倣すると同時に金型空洞部を限定しているシェルが、特許文献1に開示される。このシェルの真下には、調温液を通して導くための複数の空洞がある。この場合この調温ゾーンには、ダイカスト金型の中実領域が隣接している。シェルは、ステイを介してこの中実領域に支持される。他にもエジェクタ用収容ユニットが支持機能を受け持つようになっているが、これらは調温用空洞に対して液密に封止されている。シェルの支持ユニットは、成形金型の高い機械的安定性を担保するために相互に締結されている。冷却のためには、液状の流体も又気状の流体も使用可能である点が強調される。
特許文献2には、扁平な冷却流路を備えたコンフォーマル冷却が可能な成形金型が開示されるが、これらの冷却流路は、キャビティの輪郭形状の裏手付近に位置し、それにならって取り廻されている。これらを通りクーラントが流れるようになっている。
特許文献3には、それ自体も鋳造により製造される鋳造金型が開示される。これは、コンフォーム冷却ジオメトリも含めて一回のステップで製造される鋳物のネガ型となっている。そのためにこの成形金型は、裏側空間に、冷却地点への分割を許容している補強リブが有している。流体が、これらの冷却地点を別々に又はカスケード状に通って流れ得るようになっている。その意図は、鋳物内部に生じた熱に応じて、冷却剤又は加熱剤を用いた冷却又は加熱を可能にすることにある。この発明者と図面によると、この冷却地点を通る流れは古典的な流路方式で行われるようになっている。この発明には、次に示す弱点がある。即ち−セグメントに設けられた流れの出入口を利用した−所望される流れのガイドにより、個々のセグメント内に、制御不能な、流れが極めて届きにくい隅及び縁部を生じかねないのである。流路のコンフォーマル性と、その、金型内部の輪郭形状にならうことが求められる著しく不規則な流路底面からして既に、この問題を招来する原因となっている。これは、流れを引き裂いて、貫流状態を悪化させて、果てにはデッドスペースを来すきっかけともなりかねないものである。その場所では流路が著しく加熱されかねない。冷却を加圧開放型とすべきである場合は、過熱された流路の地点に蒸気と水の混合物が生成されて、冷却システムの開口部に向かって吐き出されることになるかもしれない。冷却を閉止型とすべきである場合は、アルミニウム鋳造の際の例えば約700℃への局所的な加熱によって、著しい昇圧を来しかねないが、これは、システムが閉じているために減圧は不可能であろうからである。
特許文献4には、ガルバノプラスチック手法により作製される、内側の表面に粒状焼結金属のパッキンが施されるアウタ・スリーブ又はアウタ・シェルの形態をとる鋳型が記載される。この焼結粒は、鋳型の金属に類似した、例えば収縮又は導電率のような物理特性を有していなければならない。このパッキンの内部には、冷却コイルを作り込むことが可能である。その場合は低融点金属が、遠心鋳造によりパッキンの内部に鋳込まれるようになっている。それにより、鋳型に対する引け及びクラックの形成を防止することができると言う。特許文献5には、バッキングが施されたシェルモールドが開示される。このバッキングの内部には、流路構造、材料層、開口気孔構造、及び伝熱質量が作り込まれるようになっている。シェルモールドの裏側空間の内部にこれらの要素が組み合わされることにより、一様な温度がもたらされると言う。この金型は、これらの装置だけによっても多部材となっている。そのバッキングについても、又それにより金型の安定性が保証されることについても、言明は成されていない。作り込まれるこれらの調温用要素が、伝熱性に劣る公算が極めて大きいことについても、説明は成されていない。
特許文献6には、鋳物の外側輪郭形状を有する鋳造シェルの製造が開示される。これには、金属又は合金製の中実領域が鋳付けられるようになっている。その内部には、鋳造シェルに事前に取り付けられた金属冷却管を、材料同士の融合により鋳くるむことができる。好ましい合金は、融点がシェルの融点よりも低い合金である。材料同士の融合による鋳造シェルへの結合の難しさについては、報告が成されていない。
特許文献7には、二つの部材から成る加工品の成形硬化のための冷却可能な成形鋳型が記載される。第1の部材は、輪郭形状を付与するシェルモールドとして構成されている。第2の部材はコアとして構成されている。コアとシェルモールドとの間には、加工品を冷却するための冷媒が通り流れる一つの冷却空洞がある。
特許文献8には、シェルモールドの裏手に、クーラントを通して導くために利用される一つの空洞が配置されている、射出成形金型が記載される。その後方には、支持台として機能する成形金型の中実領域がある。成形プロセスの際に発生する力に抗して支持するために、シェルモールドと中実領域との間の冷却空洞は、一つの支持層により充填されている。それにより、形状付与プロセスの際の力は、冷却空洞の後方の中実領域に伝達される。水又はオイル又はその類であってもよい冷媒は、この支持層を通って流れ、それによりシェルモールドから熱が放散されると言う。
成形金型の小さな領域の冷却についても報告があがっている。特許文献9、10及び11には、ダイカスト鋳型の小さなドリルホール状の領域の冷却に関する解決策が提案される。内管と外管から成る二重管冷却インサートが、一つのドリルホールを介して、裏側空間側から成形金型の内部に組み込まれる。このドリルホールは、鋳造型の型彫り部まで数ミリメートルのところに達している。薄肉の内管を通り、フリージェットの形式で、クーラント、例えば水又は水と空気の混合物が、一つのポンプにより加圧された状態でドリルホールの前面側に導かれる。逆流する流体は、二重管の更に後方のところに配置される外管を通り、冷却装置の内部に戻る。しかしながら、「ジェット・クーリング」と呼ばれることが多いこの冷却が向いているのは、成形金型の輪郭形状のドリルホールの前面の形態をとる小さな領域だけに限られており、成形金型の型彫り部の、連続している平らに広がった領域には向いていない。これはホットスポットを冷却するために導入されるものである。言うまでもなく、ドリルホールの前面又はボアの非常に小さい端面を介してのこのスポット冷却は、コンフォーマル冷却である。それよりも大面積の、ドリルホール前面又は小さな円形面とは異なる領域に、フリージェットにより水を一様に浴びせようとしても、それを実現するのは困難である。フリージェットの主な特徴は、個々のジェットが、液状又は気体の媒体となって、ノズルから出ることにある。使用されるノズルに応じて、このジェットは、ノズルから離れるほど広がっていく。ドリルホール又はその類の前面により具現されるように、フリージェットは、より大きな面に当たった後には、この面上で無秩序に飛散する。他にも更に、平らな輪郭形状を略均一な液膜で一様に湿すことは、このフリージェットによっては完全に不可能である。それに加え、調温面は型彫り部の形状にコンフォーマル式でならうために、コンフォーマルな領域は殆どの場合どちらかと言うと極めて変化に富んだものとなっている。調温面の表面幾何形状は著しく移り変わっている。更に、調温面上には決まって、著しく移り変わる幾何形状の角張った領域又は隅が見出されるが、フリージェットの広く飛散する冷却水は、そこで乱流となって、調温面を湿さずに溢れ出るかもしれないし、又はデッドスペースが生じたりするかもしれない。
このため、面が不規則でより大きな領域を、一様に完全に湿すことは不可能である。このため調温面を、その温度制御と、それに応じて所望される熱の伝達又は冷却強度に関して、安定的に制御することは不可能となるだろう。成形技術におけるフリージェットのターゲット・グループは、ホットスポット、そして金型から突出している細長いコアであるが、これらについては幾何学的にはボアが推奨され、又フリージェットを用いた冷却が有利となる。従って特に特許文献9〜11からも明らかであるように、このジェット噴流はドリルホール状のリセスに制限されている。
更に、金型の輪郭形状の付近に、前もって外部で作製された冷却系統が鋳くるまれるようになっている、成形金型が開示されている。特許文献12には、外部で作製された冷却流路ジオメトリをコンフォーマル式に配置する方法が記載される。これらの冷却流路ジオメトリは、古典的な円形管断面の幾何形状とは外観を異にしている。成形金型はコンフォーマル式に、例えばフライス加工又は放電加工により、シェルの肉厚を残して材料が除去されて、前もって作製された冷却流路ジオメトリが、シェルの金型の輪郭形状とは反対側に、即ち裏側空間に取り付けられる。最後に流路ジオメトリが成形金型の裏側空間に鋳くるまれる。冷却ジオメトリの製造に利用されるのは、創成的な方法又は3Dオブジェの製造方法である、選択的レーザ溶融方法である。任意のジオメトリを製造することができる。しかしこの方法は、設計スペースが約200×200×200mmの設計サイズが比較的小さなものに限られている。熱吹付け法の一例であるMPC(金属粉体塗装)法により、設計サイズ直径500mmまでを製造することができる。型鋼製のそれより大型の成形型をまるごと製造することは、今のところはまだ不可能である。製造されるのは、成形型のコア及びスライダ等、どちらかと言うとより小型の部品である。これらには冷却流路を備えることができる。
特許文献13では、コンフォーマル加熱冷却システムが提案される。加熱流路と冷却流路は、成形金型から切り離して、一つのブロック内に入れて、組み込まれる。それに利用されるのが、近接して並んで位置するボアである。しかし加熱側については、冷却液の他にも電気発熱体を使用できるようになっている。冷却のためには水とオイルが好ましくなる。加熱ライン及び冷却ラインの壁面は、互いに密接して配置されている。この加熱冷却システムを備えた外部ブロックは、続いて成形金型の内部に組み付けられるようになっている。
更に特許文献14には、ダイカスト鋳型及び射出成形鋳型用のコア及び成形金型のコンフォーマル冷却方法が開示される。そのために裏側空間は前もってシェルだけを残して材料が除去される。冷却と加熱のために、別々の管系又は内部を貫流可能な冷却ジオメトリと、電気発熱体が提案される。両方とも、幾何学的に互いに密接して位置するように、後壁に取り廻されている。これらは、成形金型の裏側空間内でシェルに取り付けられた後、そこで鋳込まれるようになっている。
特許文献15には、成形金型の前もって完成された後側空間に一つの管がコンフォーマル式に取り廻される、コンフォーマル式成形金型が記載される。この管は、成形金型と同じ材料を用いて、形状同士を係合させて鋳込まれるようになっている。成形金型への材料同士の融合による結合が困難であることについては、言及していない。
特許文献16には、幾何形状を自由に選択可能な冷却用流路を成形金型に組み込む更にもう一つの可能性が記載される。これは、層板状に構成される成形金型である。並べて置かれる例えば熱間加工鋼板等の金属層板を用いて、従来型のダイカスト金型にあるような金型空洞部を再現している。そこでは、冷却液の還流を可能にするための、自由に選択可能なコンフォーマル式流路を組み込むことを目的としている。個々の層板において、流路の幾何形状を隣接する層板に対して変更できるようになっている。それにより層板の厚さ方向に流路の幾何形状を変化させている。層板を組み立てて積層薄板完成品又は成形金型とするために、ボルト締結、ろう接、溶接、接着、及び層板パッケージの単純な相互圧接が提案される。
特許文献17には、連通している副流路内での冷却水の蒸発を利用した冷却が提案される。最初に主流路があり、これらから副流路がコンフォーム式に延びて成形金型表面の裏側に達している。これらの主流路は、冷却水を用いる一つのポンプ系に接続されている。この主流路内の冷媒である水は、温度200℃に、この温度に対応した昇圧状態で保持される。目標圧力への調節は、一つのリリーフ弁を調整することにより行われる。ここで成形プロセス中に熱が作用すると、副流路内では所与の圧力で液体の蒸発が起きる。その蒸気により圧力が上昇して、この圧力弁が開いて超過圧力を一つの容器内に逃がすようになっている。この容器から、一つのポンプにより、冷却時に副流路内で蒸発したのとちょうど同じ量の冷たい冷却水がこの主流路に補給される。それにより、流路内の冷却水の温度制御を放棄することができると言う。
特許文献18には、ダイカスト鋳型の内部の放熱性を向上した成形金型が開示される。これは、裏側からシェル状に仕上げられて、成形金型の中実領域内に延びている。この中実領域は、裏側空間内で一つの塞ぎ部材又は一つの塞ぎ板により塞がれている。従ってシェルと塞ぎ板との間には、一つの熱交換室が形成される。シェルの壁厚は、鋳物の厚さと、放散されなければならないその熱とに応じて、設計されている。そこではこれが反比例するように行われている。シェルと鋳物の厚さに応じて、当該箇所ではシェルを介して単位時間あたり多少なりとも熱が放散される。熱交換室の内部には、高圧下の液状熱交換剤がある。これは、大抵の場合は高圧下の水を指している。鋳込みの結果、水は、熱交換室のキャビティに対して設けられている壁のところで蒸発して、それにより鋳造熱が放散されると言う。この高圧室の内部には、熱交換室内で蒸発した分と同量の水だけが補給されることになる。蒸発した水は、一つのバルブを通り運び去られることになる。別のバルブにより、対応する量の液状の水が熱交換室に供給される。それにより高圧室内では、最小限の熱交換だけが必要であると言う。従って冷却剤である水は、逃れた蒸気に応じて断続式又は不連続式に熱交換室に供給されるようになっている。
特許文献19には、これに類似して、液状の流体を用いたダイカスト鋳型の調温のためのシェル状に仕上げられた熱交換室が記載される。この熱交換室を通り流れる流体は、妨げられることなく流れてシェルに溢れかえるようになっている。
そして特許文献20には、改良された、熱伝導率が高い金属材料製の薄肉のシェルモールドを介しての、ダイカスト鋳型のコンフォーマル冷却方法が開示される。シェルモールドの裏手に隣接するダイカスト鋳型の冷却室から、蒸発可能な液体の形態をとる冷却剤が薄肉のシェルモールドに作用する。これは、ノズルを介してシェルモードに噴射されるようになっている。これは、冷却工程において、鋳型壁に接して蒸気状の状態に移行することができる。ノズルが軸方向に変位可能であることによって、シェルモールドの特定部位の比較的集中的な冷却又はそれ程集中的ではない冷却が可能である、とされている。
成形金型のコンフォーマル冷却のためのこれまでの解決策の大半で、冷却ジオメトリが提案されるが、これらは大抵の場合は成形金型シェルの裏手に配置されている。これらは、古典的な管流路とは異なる幾何形状に形成された、キャビティの輪郭形状をならうものであってもよい。その基本的な貫流方式は、流路を通る流れと同じである。そこではクーラントが、流路入口から流路出口に向かって流れることになる。同様にコンフォーマル冷却方式に数えられるものとして、成形金型シェルの裏側に個別チャンバを内包している冷却セグメントが提案されている。クーラントはここでも同様に個別チャンバを通り、チャンバ入口からチャンバ出口に向かって流路のように流れるようになっている。或いは成形金型の裏側空間用の、コンフォーマル式に配置される冷却インサート及び冷却管も提案されるが、クーラントは同様にこれらをあたかも流路のように通って流れるようになっている。層板状に構成される成形金型も又、流路状の冷却構造の組込みをその目的としたものである。特許文献17によると、水は、コンフォーマル式の副流路を通り、そこで一部が蒸発することになるとはいえ、流れるようになっている。
更に、流路状のコンフォーマル冷却のためのこれまでの解決策においては、特徴的な点として、冷媒が、インレットからアウトレットに向かって高温の壁の表面に沿って流れる途上で、昇温の一途を辿るようになっている。これは意図的なものである。一般に熱エネルギーは、成形金型の型彫り部から冷却流路に向かって絶え間なく流れていく、又は流れ出る。従って、繋がり合った比較的大きな幾何領域を、同じ初期温度のクーラントで一様に冷却することは不可能である。流路内のクーラントの温度は恒常的に変化する。それによりクーラントの熱を吸収するポテンシャルも、絶えず変化する。たとえ特許文献17に従ってクーラントが流路内で蒸発したとしても、蒸発が完了したら、条件付きとはいえ、均一な、又は所望の向きへの冷却の更なる調節にこれを役立てることができる。それに加え、完全な蒸発は起きないようになっている。それよりもむしろ水と蒸気の混合物が生成され、これがプラグ流のように流路に通して押し込まれて、最終的に主流路内で凝縮する。その後で水は副流路内に入り込むことができ、そこで再び水と蒸気の混合物が生成される。水と水蒸気の混合物の一種の揺動運動が与えられることになる。このため冷却表面の均質な湿しが行われることはない。様々な凝結状態にある流体が流路内を行き来している。安定した冷却の成立はおぼつかない。
更に流路状の貫流ジオメトリについては、特徴的な点として、これらのジオメトリは全プロセスの間、完全に水で充填されている。クーラントが絶えず現存することによって、壁面との熱エネルギーの交換が常時行われる、即ち熱交換を中止するのは不可能となっている。コンフォーマル冷却のためのこれまでの解決策においては、成形金型周縁シェルの裏手の冷却ジオメトリ又はコンフォーマル式に鋳込まれた流路状の冷却インサートから、クーラントを急速かつ完全に取り除くために利用される可能性が提示されていない。又クーラントを、一回の作動サイクル又はプロセス・サイクルの後に、これらの流路状の貫流ジオメトリから完全に取り除く必要性も論じられていない。クーラントは、これらのジオメトリを流路のように通り流れて先へと押し込まれるようになっている。これは、特許文献17の、閉じた冷却では加圧下にあり往復振動を行う水と蒸気の混合物となる、一部が蒸発する冷却水にも当てはまる。これは実質的に不連続式の冷却方式についても言え、そこではクーラントが冷却ジオメトリの内部にある程度の時間にわたり留まった後、次へ移動するが、しかしそこから取り除かれることはない。不連続状態にある水は、冷却表面がコンフォーマルであるために、熱エネルギーの突然の作用下で、温度制御のための制御を行うことが困難な二相状態をとる怖れがある。激しい温度勾配が突然生じる確率は、コンフォーマル性により非常に高くなっている。雰囲気に対して閉じた冷却系統のケースでは、突然の昇温の随伴現象として、著しい昇圧を来しかねない。更に流路状の冷却ジオメトリの内部では、成形金型の所与の地点において、熱又は冷却強度を伝達する様々な可能性を用いて、冷却又は調温処理を行うことができるようにするのは不可能である、というのも冷却剤の温度は、これが流路状のジオメトリを通過する途上でも、又時間が経つにつれても、益々変化するからである。一般に冷却剤は、入口から出口に向かう途上で絶えず熱せられる。流路状の冷却ジオメトリが存在することによって、調温又は冷却とそれに続く外部ヒータによる加熱、及びその逆を、金型の同じ一つの場所で交互に行うことは不可能となっている。加熱と冷却が、例えば特許文献13におけるように局所的に隣接するように場所的に切り離して配置される場合は、冷却ジオメトリの内部の冷却剤は常に加熱の開始による影響を受けてしまう。
クーラントを流路状の冷却ジオメトリから取り除くこの可能性が欠如している結果、冷却剤は流路内に留まるために、適切な時点に冷却を終了する可能性は排除されている。
特許文献18に従った熱交換室ですら、給排水が不連続式で行われなければならない。このため鋳造プロセスによる入熱に際して、熱交換室の水は辛うじてごく一部が蒸発するだけで、残りは液状のままとなる。むしろ熱交換室の中の全ての水は、出口弁が開弁圧力に調整されるまで、熱せられるようになっている。圧力制御式の出口弁が備えられないのであれば、熱交換室の水は、激しい昇圧下では、約220bar、374℃のその臨界点まで液状のままとなる。この臨界点から熱交換室の全ての水は蒸気状の状態に遷移する。しかしながらそのような圧力増大を制御するのは技術的に困難である上に、他方では、その場合は熱交換室に含まれる全ての水蒸気を液状の冷水で置換することが必要であろうことから、その制御は望まれざるものであるとも言えるだろう。とはいえ、冷水が連続式又は不連続式のいずれかで熱交換室に向かって流れて、温水がそこから流れ出ることは必要である。これは、この特許文献18によると240℃までは実現可能である、というのも、その場合は熱交換室内の水が受ける相応の圧力を技術的に容認できるように思われるからであり、この時には液状の水が連続式又は不連続式に熱交換室に供給されて、運び去られるのも液状の水となる。それにより特許文献18に従ったシステムでも又、熱交換室が絶えず充填された状態で流路状に貫流が行われることになる。流路式冷却に関する例外が、特許文献20の冷却において初めて提案され、又はその後特許文献21〜23においても提案された冷却である。スプレ・ノズルを介してシェルモールドの裏側に水を撥ねかけることによって、シェルモールドの熱収支に限定された形で影響を与えられるようになっている。しかしながらこの冷却は、場所に関しては不正確この上ないものであるために、これを適用できるのは条件付きの場合に限られている。鉛直な高温の壁の特定の領域に水を撥ねかける場合、冷却剤は常にこの壁のところで一部だけが蒸発する。
・大半は、液状の凝結状態で、この領域から重力の向きに流れ出る。これは、高温の壁面に水を撥ねかけることの物理学的法則性からして既に推論できることである。従って流れ出る水の向きに位置している領域は、この水に触れて同様に冷却されることになる。
・ノズルを介して吹き付けられる水が放射状に広がりながら流れることにより、隣接する区域も同様に湿されるために、場所を鮮明に仕切るのは相変わらず不可能である。
・更に、互いに境を接する領域は、相互間の流れなしで、様々な冷却手法又は冷却強度を用いて冷却することはできない。シェルモールドの幾つかの領域を、材質が異なる冷却剤を用いて、例えば幾つかの領域を冷たい圧縮空気を用いて、又境を接する領域をスプラッシュ水を用いて、処理する必要があるのであれば、両方の冷却バリエーションの顕著な相互侵害も計算に入れておかなければならない。フリージェットの形態をとる圧縮空気がシェルモードの特定の面積に作用する場合は、それにより、隣接する領域のスプラッシュ水による冷却にも、シェルモールドへの塗布及びその効果に関して制約を受けることになりかねない。この理由から、隣接した領域で相反する調温方式を実行する完全な可能性も欠如している。隣り合った領域で加熱手法と冷却手法を適用するのは不可能である。相互影響又は材料同士の及び熱の相互作用が大き過ぎることになりかねない。
・例えば外側のシェルモールドの表面に外部加熱を必要とする一定の領域が存在する場合は、隣接領域を流れ落ちる又は広がりながら流れるスプラッシュ・ウォータにより、この加熱が著しく妨害されるか、又は完全に不可能となるかもしれない。調温時のそのような影響を抑止する可能性は欠如している。
従って、調温対象である表面又は周縁シェルの、場所が異なるか、又は場所を区切った調温及び温度制御を、特許文献20又は特許文献21及び特許文献23に従って、提案される方式により行うことは不可能である。
現在では、液状のクーラントである水について、熱伝達の様々なメカニズムの結果として臨界状態が生じる怖れについては顧慮されていない。これらのメカニズムは、調温される壁の温度により決まる。その結果として、成形金型のコンフォーマル冷却の際の温度制御に、たちどころに不安定さを来してしまう。しかしコンフォーマル冷却の場合は温度制御が極めて重要である、というのも、冷却ジオメトリからキャビティまでの僅かな距離により、一部では、薄肉のコンフォーマルな成形金型壁面を介して冷却システムに突然強い熱流が伝わることを覚悟しなければならないからである。特にマグネシウム又はアルミニウム製の鋳物において、装入される溶湯が強い熱流の突発を来す場合が、これに当たると言える。
開放型の冷却システムの内部の水の場合は、それにより、流路状に貫流が行われる冷却ジオメトリの内部に、蒸気と水と混合物の無秩序な生成を局所的に来すことがある。クーラントへの所望される安定した熱伝達が著しく妨害されることがある。しかし特にそれとはケースが異なる、クーラントとして水が用いられる閉じた冷却システムの場合は、臨界状態を来すことがある。ここでは、膨張用の緩衝域が備えられていないのであれば、局所的な過熱による冷却システム内の著しい圧力上昇を覚悟しなければならない。閉じた冷却システム内の過熱は、水の臨界点まで、及びそれを超えるまで、可能である。クーラントがオイルである場合は、冷却壁の局所的な過熱によりオイルの分解を来し、その結果生じるクラック生成物の高温壁面への堆積を来すことがある。それにより当初意図されていた熱伝達はもはや不可能となる。
それに加え、開示されているコンフォーマル冷却に関する解決策においては、それが開放型の冷却に関するものであるのか、それとも閉じた冷却に関するものであるのかが、判然としないことが多い。先行技術文献に開示されているのは、熱伝達のメカニズムを顧慮しない金型の調温である点が目立っている。どうやら、高温の壁を調温する際にはこれらのメカニズムが存在することについて、思いが至らなかったようである。これらのメカニズムにより、熱伝達は異なる領域に分割される、即ちそれぞれのメカニズムが通用するのは、壁の温度の特定の範囲内においてとなる。それ以外にも、例えば壁の表面性状等の特定の変数、及び冷却手順の変数が変化する場合は、これらの範囲もずれることになる。システムの圧力も又、そのような方法変数の一例である。冷却システムが閉じている、即ち周囲の雰囲気に対して封止されている場合は、冷却システムは簡単に加圧状態に入ることができる。これは、冷却システムのどこかで、例えばコンフォーマルな壁のところで温度が急上昇する場合に、起きるかもしれない。この時には実システム圧に応じて、熱伝達のメカニズムも、又それらと共に単位時間当たりに伝達され得る熱の大きさ又は冷却強度も、変わることになる。
本発明に従うと、成形金型周縁シェル1を有するシェル状成形金型14の裏側の表面の調温が新規な方法を用いて行われる。これらの裏側の表面は、調温用表面4と呼ばれる。そこではこの調温用表面4が、様々な部分領域4.iに区分される。成形金型14は、そこでは二部材及び多部材で構成されていてもかまわず、又それにより、複数の成形金型周縁シェル1を有することができるが、これらの成形金型周縁シェル1の調温は、本方法に基づいて行われるようになっている。成形金型周縁シェル1のそれぞれの調温用表面4は、そこでは、成形金型14のキャビティ2の型彫り部5の形状にならって構成されたものであってもよい。
この調温用表面4は、冷却することも又は加熱することも可能である。基本的に調温は、成形金型の裏側空間3内の、部分領域4.i及びそれらの部分領域の多面体状の空間内の様々な媒体によって行われる。これは、図1及び図2に成形金型14を切り取った断面図で概略的に示されている。これらの多面体状の空間内の調温用媒体は、仕切り/通過要素10を介して相互に連通できるようになっている。個々の仕切り/通過要素10は、調温及び流れのガイド方式の要件に応じて、調温用表面4に作り込んだり又は取り付けたりすることができるようになっている。この可能性により、調温用表面全体の最適調温を達成することができる。図9、図10及び図11には、そのような仕切り/分離要素の例が示されている。これらは壁状の形成物であり、要件により平坦又はコルゲート状になる。これらは、例えば一部が円蓋状となっているか、又は貫通孔15が設けられている。それによりこれらは、それらの形態において、隣接する多面体状の空間内の調温媒体の相互作用の要件にかなうように、適合化が図られている。それに加えて、これらの仕切り/通過要素10の断面輪郭形状に不連続部を持たせることによって、一方では水の分散と流出がより高信頼度で行われ、他方では安定性が改善されるようにしている。図1、図2、図9、図10及び図11aには、それを表している概略図が例示的に示されている。例えば調温用表面4の部分領域4.iに液状の水が溢れかえる場合は、この部分領域4.i全体が水膜で湿されることが保証されるが、この水膜は、冷媒である水を散水することによって常に繰り返し新しく形成され、この部分領域4.iにおいては常時再現可能な熱伝達が展開されることになる。そのためには水が、それぞれの部分領域の調温用表面4上の角及び縁部に入り込まなければならない。コンフォーマルな表面のトポグラフィには著しい入れ替わりが見られるために、これを平面に等しい壁によって実現するのは、多くの場合は困難である。このため、それぞれの壁状の仕切り/通過要素10は、部分領域4.i全体を適切に水で溢れかえらせることができるように、それらの形状において適合化が図られている。水膜がなければ、液状の水から高温の壁への熱伝達のメカニズムである対流、気泡蒸発、安定した液膜蒸発及び部分的な液膜蒸発に基づいて本方法を実行するのは不可能となる。更に、仕切り/分離要素10の高さはそれぞれ異なっている。これらも又、散水の際には、液状の水で、又は一般には、調温用表面4のそれぞれの部分領域4.iを溢れかえらせるために有利である限り、調温用流体により、溢れかえることになる。図10には、溶接を利用して調温用表面4の上に取り付けられた仕切り/通過要素10が概略的に示されている。これらの仕切り/通過要素10には他にも、隣接する多面体状の空間内の媒体の相互作用を保証するために、貫通孔15が設けられている。図9a、図9b及び図11a、図11bには、これが例示的に示されている。更にこれらの仕切り/通過要素10は、調温用流体の良好な溢れかえりの保証と並び、成形金型周縁シェル1の安定性を保証するためにも利用されるようになっている。そのために、これらの仕切り/通過要素10は適切な形状を有しており、又調温用表面4上に適切な形式で配置されている。相応にこれらの仕切り/通過要素10は、それらの形状と個数において、特に調温用表面4上のそれらの役割に合わせて適合化が図られた、壁状の形成物となっている。
作り込まれる、又は取り付けられる仕切り/通過要素10を、成形金型周縁シェル1の機械的安定性及び/又は成形金型周縁シェル1上の流体の誘導だけに利用する場合には、これらは必ずしも成形金型周縁シェル1の調温用表面4の直上まで達している必要はない。仕切り/通過要素10に要件に応じてそれぞれ異なる高さを持たせることによって、最適機械的安定性及び流れのガイド方式の両方、又はいずれか一方を、最適な形で保証している。
裏側空間又は調温空間3は、図2に示されるように、要件に応じて、例えば塞ぎ板9のようなハウジング部材によって封止されてもよい。有利なことにもこの塞ぎ板9には、技術的又は幾何学的に有利である限り、調温のためのデバイス及び調温用表面4を限定するためのデバイスを組み込めるようになっている。この塞ぎ板9に通して、調温用表面4用の調温装置を作動させるための給排ライン、及びセンサ系のためのリード線を取り廻して固定することができる。そこではこの塞ぎ板9が成形金型と同じ材料から作製されているが、別の材料から成るものであってもかまわない。これは金属製であってもよい。成形金型14の設計構造により、この塞ぎ板9には支持機能を持たせても、持たせなくてもかまわない。相応にそこではこの塞ぎ板9が、作業プロセス又は成形プロセスの力を受け止めて吸収するようになっている。調温空間3の塞ぎ板9は、塞ぎ箱の形態をとってもかまわない。そこでは、調温のためのリード線及び装置の固定と並び、生じる冷却水を良好に捕捉して次へと導くことができるようにすると有利である。その際にこの塞ぎ箱は必ずしも成形金型14の裏側空間に剛結式に固定される必要はない。しかしながら塞ぎ板9は、調温用空間3の雰囲気に対する開口部の邪魔になるものであってはならない。本方法においては、多面体状空間と雰囲気との圧力補償が常時行われるようになっている。塞ぎ板9の上には、仕切り/通過要素10を配設することもできるが、その場合これらはそこから調温用表面4まで達することになる。これらの仕切り/通過要素10には、具体的な必要に応じて、調温用表面4との直接的な接触部が設けられる。
成形金型周縁シェル1及び調温空間3と並ぶ、成形金型14のそれ以外の部材が、成形金型14の中実領域8である。作業プロセス又は成形プロセスの力は、成形金型周縁シェル1と、その上に位置する多面体状の空間の仕切り/通過要素10とを介して、この中実領域8の内部に導かれるようになっている。
シェル状成形金型14の冷却又は調温のために、様々な調温用媒体を利用することができる。液状の水を用いた高温の壁の冷却の強度に関しては、熱伝達係数αがその壁の表面温度θoに依存することが知られている。液状の水を用いて成形金型14を冷却する場合は、熱伝達が、このケースにおいては、調温用表面4又は調温用表面4の部分領域4.iの温度θに著しく依存する。このため、調温用表面4の温度制御の装置を介して、熱の伝達又は冷却強度を、調温用表面4の温度に対応して、変更又は狙い通りに制御することができる。
完全燃焼温度θBoを上回る高温の壁に散水する場合は、壁への熱伝達に原則的に二通りのメカニズムがある。そこでは壁表面のライデンフロスト温度又はライデンフロスト点が重要な役割を果たすが、これはかねてより知られていることである。
図7aには、熱伝達係数αと壁面温度θoとの基本的な関係が提示される。実証された完全燃焼温度θBoとライデンフロスト温度θLeがプロットされている。部分的な液膜蒸発の領域は、この完全燃焼温度θBoからライデンフロスト温度θLe θθまでに限定されている。そこではライデンフロスト温度θLe θの伝熱係数が、壁面温度の低下に伴い急激に増大して、完全燃焼温度θBoで最大となっている。ライデンフロスト温度θLeを上回る熱伝達係数αmaxで、安定した液膜蒸発の領域が開始する。このライデンフロスト温度θLeを上回ると、温度に伴う伝熱係数αの増大は僅かに過ぎなくなり、伝熱係数αは略定常となる。完全燃焼温度θBoを下回る熱伝達係数αで、高温の壁に接したところで水の気泡蒸発の領域が開始する。この壁に接したところでの気泡生成はK点で終了し、壁に接したところでの水の対流の領域が開始する。
本発明においては、液状のクーラントである水を用いた調温用表面4の部分領域4.iの温度制御のために、水から高温の壁への熱伝達の全ての現象を利用することができる。具体的に言うと、高温の壁温度θoから完全燃焼温度θBoまでは、安定した液膜蒸発域及び部分的な液膜蒸発域が利用され得る。完全燃焼温度θBoよりも低い温度では、気泡蒸発域と対流域が利用される。それにより例えば調温用表面4の部分領域4.1においては、温度θ1で、部分領域4.2においては温度θ2で、更に部分領域4.3においては別の温度θで、調温を行うことができる。これらのケースでは、単位時間当たりの伝達可能な熱又は加熱強度が異なってくるが、これは例えば図7bにおいて付属する熱伝達係数α1及びα2で読み取ることができる。即ち、熱伝達の様々なメカニズムを駆使して制御しながら、様々な部分領域4.iにおいて様々な時点に様々に熱を伝達することが基本的に可能となっている。
液状のクーラントである水を用いた冷却又は調温の際には、これらの変数を用いて、又はライデンフロスト点とこれらの変数との依存関係を用いて、狙い通りに操作することが可能となる。そのためには、調温用表面4上で行われる熱伝達域を、又それに伴い熱伝達の強度又は熱伝達係数を、そのプロセスにとり有利な温度領域へと狙いを定めてずらしてもよい。例えば狙い通りに変化させることができる調温用表面4の材料の表面は、ライデンフロスト点にとり特段の役割を演じることになる。この表面は、化学的に、例えば表面の酸化又はその類により、及び物理的に、例えば何らかの物質を用いて蒸発させることにより、変化させることができる。表面材料の変化に伴い、水と高温の表面との相互作用が変化し、ひいてはライデンフロスト点及び熱伝達域も変化する。図8aにこれを原理的に示す。調温表面4又は部分領域4.iの表面処理により、破線で示すような熱伝達が、実線で示すような熱伝達へと移相しており、それに伴い熱伝達係数α及び付属の壁温度θoも変化している。
もっとも、意図せざる例えば化学的な方法による変化、及び壁表面のトポグラフィの変化が生じることもある。これらの変化は、材料の「劣化」という概念の元に一まとめにすることができるものであり、一部については計算不能となっている。これらの変化は、金型の使用時間が長引くにつれて発生する。それらは例えば腐食であり、又それに伴う断裂であり、微視的領域の侵食である。これらは、冷水を用いた高温の調温用表面4の絶え間ない散水サイクルの結果として起こる。劣化により、クーラントである水と壁又は調温用表面4との相互作用も同様に変化する。それと共にライデンフロスト点も変化し、又それに伴い熱伝達域も変化する。図8bにおいては例示的に、表面劣化の結果について基本的な可視化を行った。θBo,1とθLe,1及びそれらに付属する熱伝達係数αk,1とαmax,1を有する初期表面が、劣化するうちに、θBo,2とθLe,2及びそれらに付属する熱伝達係数αk,2とαmax,2を有する表面に移行している。
他にも水と高温の調温用表面4との相互作用には、例えば様々なフライス加工による表面の構造化によって、機械的に影響を与えることもできる。それにより水を表面で湿す条件が変わることになる。それに伴いライデンフロスト点と付属する熱伝達域も変化する。
部分的な液膜蒸発の温度域では、安定した液膜蒸発の温度域と比べて、壁の温度θに応じて、より強力な、更に可変的な冷却が可能である。壁表面の温度θに伴い伝達可能な熱が僅かしか変化しない安定した液膜蒸発域とは相違して、この部分的な液末蒸発の温度域では、調温用表面の部分領域4.iの表面の温度θに応じて異なる熱を伝達することができる。安定した液膜蒸発域では、形成される蒸気膜により熱伝達が妨げられるために、伝達される熱は、大抵の場合は略定常の表面の温度θとは無関係なものとなる。これも又、狙い通りに十分に利用することができる。ここでは温度依存性が僅かであるために、制御メカニズムが幾分緩慢気味になるかもしれない。
調温には様々な可能性がある。液状のクーラントである水を用いて調温用表面4を冷却する場合は、本発明に従った方法においては、水を平面状に分散させるために散水ノズル6が導入される。本発明において問題とされているのは、散水式冷却である。散水ノズル6は、その性質上、クーラント用のキャリヤガスの助けを不要とする、液状のクーラントである水のための平面状の散水装置となっている。その特色として、この散水ノズル6により、液状のクーラントである水は滴に分かれて、一般には空気である周囲のガス中で分散される。散水ノズル6により発生する滴サイズは、運転パラメータである水圧及び水温と、散水ノズル6の幾何形状とにより決まる。ノズルの作動方式も又、熱伝達域に影響する。散水ノズル6により発生する滴の集合体の幾何学的な基本形状は、コーン状の滴パターン、散水パターン、又はスプレ・パターンである。重要であるのは、コーン状のスプレ・パターンの滴が、それが当たる調温用表面4の幾何形状の表面で平面状に分散されることによって、その時々の熱伝達のメカニズムに関係なく、この表面上に連続した均一の液状の膜が形成される点である。散水ノズル6の幾何形状の構成により、コーン状の散水パターンの幾何学的形状からの分散を変更することができる。コーン状の散水パターンの滴は、平坦な調温用表面4上では、例えば円形板又は楕円の形状で散乱されることになるかもしれない。散水ノズル6の構成によっては、散水がそれ以外の幾何形状をとることも可能である。いずれにせよ、散水ノズル6の滴集合体により、成形金型周縁シェル1の調温用表面4の平面的な湿しが行われることになる。散水ノズル6の作動パラメータの選択を通じて、又は他にもその幾何学的な形状により、成形金型周縁シェル1の調温用表面4上の散水密度又は水かけ密度を調整することができる。散水密度又は水かけ密度とは、表面に塗布される単位面積及び単位時間当たりの水量であると解釈されるものである。水かけ密度により、ライデンフロスト点とこれに結び付いた熱伝達域に影響を与えることができる。液状のクーラントである水を用いた散水の構成は、所与の条件と、調温用表面4又は調温用表面4の部分領域4.iの散水の要件とにより決まる。例えば一つの塞ぎ板9又は別の保持装置に複数の散水ノズル6を組み込んで、散水のために使用することもできる。
上述の熱伝達のメカニズムを利用するために、例えば水と、この水による調温用表面4の散水を利用して調温を行うのであれば、調温用表面4、ひいては金型自体を鉛直に配向する必要がある。水は、高温の調温用表面4又は部分領域4.iの散水後には、熱伝達を中止できるようにするために、流れ落ちることができるようにする必要がある。そのために仕切り/通過要素10を相応に構成することによって、クーラントである水の問題のない流出が可能となる。
しかし部分領域4.iの鉛直方向への配向が不可能である場合は、変更を加えることもできるが、例えばそのために、金型の水平に配向されたコアの空洞部に生じる溜り水を速やかに吸い出すようにしてもよいし、又それが必要となる場合もある。本方法にとり重要であるのは、水膜による調温用表面4の湿しであるが、この水膜は、言及した、部分的な液膜蒸発のような熱伝達メカニズムと並び、それ以外の指摘した熱伝達メカニズムに沿った、意図される最適な熱伝達を、これに再現性を持たせて展開するために、途切れなく新しく形成されなければならない。
調温用表面4の温度θの制御を通じて、局所的な冷却強度又は成形金型周縁シェル1への熱の局所的な伝達に影響が与えられるようになっている。調温用表面4の温度θは、冷却性能の伝達に最も大きな影響力を有する。これは、部分領域4.iの表面の目標温度への制御を通じて、熱伝達係数αに、又それにより熱伝達の強度と時間に、狙い通りに影響を与えることができることを意味している。部分領域4.iにおいて、表面が目標温度θ1に調整される場合は、部分領域4.i+1において表面温度θ2への調整が行われる場合よりも、同じ時間内により多くの熱を伝達することができるが、これについては図7bを参照されたい。これは、加工品の冷却を、調温用表面4の部分領域の表面4.iの温度制御を利用して、狙い通りに制御することができることを意味している。換言すると、加工品から型彫り部への熱流を、調温用表面4の部分領域の表面4.iの温度制御を利用して、狙い通りに制御することができると言える。本方法が前提とするところのコンフォーマル性により、個々の部分領域4.iにおいて熱流が作用するための時間は、従来型の方法と比べて僅かである。というのも、古典的な金型においては、金型の大きな材料厚さを克服することが要求されることになりかねず、又それにより、説明した制御が作用するためには長時間かかることも、考慮に入れることが要求されかねないからである。鋳物の生産部門では、このような長い時間的ゆとりがないのが通常である。それ以外にも、そこでは金型内部の熱のかなりの横伝導を覚悟する必要があるだろうが,これは、熱の局所的に限定された伝達を疑問視させかねない、又は不可能としかねないものである。それに加え本方法においては、部分領域の熱伝達係数αへの作用を利用した熱伝達に、大きな余地が残されている。例えば一つの特定の部分領域4.iの材料特性が、技術的な要求項目を充足しないものであるならば、この部分領域における熱伝達を適合化してやればよい。それにより、金型を、作製後であっても、様々なパラメータを用いて稼働させて、ブランク又は加工品に対する様々な要求項目に合わせて調整できることが保証される。金型自体を造り直す必要性に駆られることはない。
これが関係してくるのは、特に、多くの場合は設計側から事前の段階で影響を与えることが困難な、構造部品等の大物加工品の、充填するのが困難な薄壁の鋳型である。他にも加工品の幾つかの領域の粒径の変更にも、熱流の変更により影響を及ぼすことができる。
それに加え、多面体状の空間の仕切り/通過要素10によって、調温用表面の所望の地点において、多面体状の空間の間の、熱の伝達の略連続的な推移を達成することが可能となり、それにより、仕切り/通過要素10における調温の唐突な移行挙動を回避することができる。これは、隣接する多面体状の空間の間で調温用媒体である水の相互作用が展開されることによって、又はそれらの仕切り/通過要素10を介して、可能となる。個々の仕切り/通過要素10の貫通孔15若しくは高さ、又は仕切り/通過要素の意図的な溢れかえりを利用して、多面体状の空間の間での媒体の相互作用を広い範囲で展開させることができる。
調温媒体と部分領域の表面4.iとの相互作用は、いつでも打ち切ることができる。打ち切りが所望されているのであれば、それにより熱伝達を殆ど瞬時に中止することができる。調温用媒体のスイッチをオンオフすることによって、調温用表面4との熱的相互作用が、狙い通りに開始される、又は中止される。例えばノズルから出る水が止められて、その瞬間に調温用表面4又は一つの部分領域4.i及び相応に構成された仕切り/通過要素10から流れ出る。
他にもそれぞれの部分領域4.iにおいて様々な調温が可能であるということは、異なる種類の媒体を導入可能であるということも意味している。隣接する多面体状の空間内の媒体の相互作用を相応に調整することが、前提となる。例えばある部分領域には調温のために空気を導入し、それに隣接する部分領域には液状の水を導入する場合は、これらの隣接する多面体状の空間内の媒体の相互作用を低下させるのが望ましい。これは、相応の仕切り/通過要素10の構成を通じて実現される。媒体が水であるケースでは、調温用表面4が良好に湿されることが重要であるが、流れが良好にガイドされることも、どちらのケースにおいても重要となる。
それぞれの部分領域4.iにおける流れの良好なガイドについては、仕切り/通過要素10に適切な開口部が設けられない限り、実現できないことが多い。なぜなら、調温用表面4のコンフォーマルな、極めて変化に富んだトポグラフィ又はジオメトリの所与の条件のために、調温用流体の流れのガイドに関する普遍的な解決策を引き出すのは不可能であるからである。更に、仕切り/通過要素10は広範な可変性を示すが、それにもかかわらず、仕切り/通過要素10の端面が調温用表面4上にはめ合わされる領域内に縁部及び隅が生じるのを回避するのは、しばしば不可能となっている。それにもかかわらず、一様な水膜を形成する、又は水による表面の一様な湿しを達成するためには、仕切り/通過要素10の部分的な開口部が不可欠となる。図11に、溢れかえらせることが困難な領域aにおいては、仕切り/通過要素の開口部が、調温用表面4と向き合っているその端面に不可欠となる例が示される。この調温用表面の限定された狭い領域a内では、トポグラフィに著しい変化が見られる、即ち表面の高さが幾何学的に著しい変化を呈することにより、散水による冷却を利用して、この領域a内を溢れかえらせたり、又はこの領域a内の調温用表面上で流れをガイドしたりすることは極めて困難である。このため仕切り/通過要素の端面には、限定された小さな割れ目が作り込まれており、それにより領域aの良好な溢れかえりをもたらしている。ここで水膜を用いて湿らすことがこの領域aでも可能になる。これが不可欠であるのは、水を用いて部分領域4.iを調温するケースでは、この部分領域4.iの表面の全領域が水膜で溢れかえるようにする必要があるからであるが、これは、そうしない限り、水から高温の壁への制御された熱伝達が不可能となるからである。従って、適切な仕切り/通過要素10が備えられる調温用表面4のレイアウトは、本方法にとり非常に重要なものとなる。これについては必ずしも、仕切り/通過要素10の一つの領域に例えば貫通孔を備える必要はない。仕切り/通過要素10を流れに有利なような形に仕上げることによっても、図10においては右から二つ目の仕切り/通過要素10に一例が示されるように、例えば調温用表面4と対向した端面の領域を円蓋状に膨出させることによっても、同じ目的に行き着くことができる。これは、水を用いて調温又は冷却を行うケースでは、熱伝達のメカニズムに対応して熱を伝達するための前提となる。
流れのガイドには、調温用表面のそれぞれの部分領域4.iを一様に湿らすという目的があるが、その際に生じるこの液膜は、再現性を持たせて熱伝達を展開するために、散水により途切れなく置き換えられるようにしなければならない。湿しが至る所で行われない場合、又は水膜を途切れなく新たに形成することができない場合は、その湿されていない領域内で水を利用してこの熱伝達を行うのは不可能となる。再現性を示す熱伝達は、不可能となりかねない、又は、流れが辿り着けない若しくは辿り着くのが困難な領域内では、熱伝達が不十分若しくは不可能となりかねない。
同じ一つの部分領域4.i上で行われる調温方式を、様々な調温用媒体を用いることにより変更することも可能である。例えば最初はガス状の媒体を用いて、その後で液状の水を用いて、調温又は冷却を行うことができる。これが可能であるのは、その時々の調温用媒体を停止することができるからである。停止後には、調温用媒体とそれぞれの部分領域の調温表面との相互作用はもはや行われないことになる、というのも調温用媒体は、停止されることによって、もはやそこには存在していないからである。水は、停止の瞬間に、鉛直な調温用表面4又は部分領域4.iから流れ落ちる。別の媒体、例えばガス状の媒体を供給するための装置が据え付けられている場合は、続いてこれを同じ部分領域のために導入することができる。
例えば氷のような固形媒体、及び、例えば氷水のような固形媒体と液状媒体の混合物、又は、例えばドライアイスと空気のような固形媒体とガス状媒体の混合物も又、基本的に冷却に適しており、このために使用されるようになっている。しかしながら、それにより調温用表面4に化学的な変化、被覆又は分解を不意に来して、それにより安定した調温が妨げられることがないように、留意する必要がある。更に固形調温媒体の場合は、媒体が停止後にも調温用表面の上に尚も留まることが可能であり、それにより調温用表面との相互作用が尚も限られた時間にわたり生じ得るようにすることも可能となる。
他にも、「ヒートパイプ」としても知られる熱パイプ又は二相熱サイホンを、調温用表面4の部分領域4.iの調温のために導入することができる。これらは、それらに特徴的な方式で、調温用表面4の部分領域4.iとの熱相互作用に入ることができるように、装着されなければならない。上述の熱パイプを利用した冷却は、−その設計構造に起因した結合方式により−接触型調温であると見做されるが、相応に配置が行われる場合は、この接触型調温も、流体による冷却のような作動方式を有することになる。基本的には、例えばペルチェ素子又はその類等の電気装置も、調温用表面4又は部分領域4.iの接触型冷却に使用することができる。これらは、調温用表面4のそれぞれの領域と、固体同士の接触状態に置かれることになる。
成形金型周縁シェル1の調温用表面4を介しての外部加熱、即ち成形金型周縁シェル1の部分領域4.iの外部加熱は、外部加熱媒体13を介して外部熱エネルギーを投入することにより行われる。加熱は、この外部加熱媒体13の放射、流れ、又は接触を介して実現することができる。例えばバーナ、ブロア、ラジエータ、又は発熱体等の加熱媒体13を、調温用表面4の上下及び内部に適切に配設することによって、成形金型14の裏側空間3側から、成形金型周縁シェル1の調温用表面4の部分領域の外部加熱が行われる。例えば適切な出力を有するバーナが、調温用表面4の裏手に適切な間隔をおいて位置決めされるようになっている。発熱体は、調温用表面4の対応する部分領域4.iの調温用表面4の真下、真上、及び手前側に直接配置されてもよい。例えば射出成形で熱可塑材料を加工するケースにおいては、この材料に手を加えられるようにするために、部分領域4.iの外部加熱を行うと有利である。成形金型周縁シェル1の裏側空間3側からのこの外部加熱により、調温用表面4又は調温用表面4の部分領域4.iの平面状の一様な加熱が具現される。これに付け加わるのが、加工品の成形プロセス・サイクルとは関係なく、即ち成形金型を開いている時間中にも、又加工品を取り出している間にも、調温を行うことができるという、本方法の更にもう一つの長所である。又キャビティ2の充填の前、間、又は後にも、要求される目標の条件に見合った作用を及ぼすために、調温用表面4の様々な部分領域4.i内で別々の調温レジームを進行させることも可能である。調温レジームとは、ここでは、時間に従属して様々な強度の熱エネルギーを調温用表面4に伝達することができる、即ち、外部加熱を行ったり、又は冷却を技術的に要求される強度で様々に行ったりすることができる、と解釈されるものである。成形金型周縁シェル1の熱処理ステップの順序は、技術的要求項目に応じて調整され得る。そのためには、熱伝達のために必要な装置が配設されなければならない。
本発明に従った冷却及び加熱の様々な調温レジームは、技術的要件に応じて例えば鋳物の特定の材料特性を設定するために、調温用表面4の部分領域4.iにおいて実行され得る。そのためには調温装置の制御の必要性に関する基準が、設計段階において既に明確に定義されていてもよい。それによりプロセスの段取り性が実質的に向上されることになるが、なぜならば、それにより例えばシミュレーションを行うことが事前の段階で可能になるからである。
調温レジーム、又は調温用表面4の部分領域の特定の温度への制御は、基本的にはプロセス・サイクルからプロセス・サイクルへと変更されてもかまわない。従って、部分領域4.iの異なる調温の可能性を利用して、成形金型周縁シェル1の所望される様々な熱的目標状態への、成形金型周縁シェル1全体の調温の最適化、又は、加工品から形彫り部を介して成形金型周縁シェル1の調温用表面4への、冷却強度若しくは熱の伝達に関する最適化を、制御しながら行うことが可能となる。様々な調温又は調温レジームを実現可能であることによって、低コストで、事前のシミュレーションを経て、成形金型14を保護しながら最適鋳物に至る、プロセス時間が最小となる方途を、見出すことができる。
最終的には、新しい成形金型14の実地における擦り合わせにおいて、更に引き続いて調温条件の適合化を図ることができ、その結果、鋳物の最適鋳造条件及び凝固条件が達成される。その例として、調温用表面4の一つの部分領域4.i内の目標温度が変更されてもよい。液状の水を用いて冷却を行う人が、例えば部分的な液膜蒸発域にいる場合には、この部分領域の目標温度を変更することによって、強度又は熱伝達係数も変わることになる。部分領域4.i内で目標温度を設定するために要する時間も、この強度、即ち伝達される単位時間当たりの熱により、変わってくる。従って、本発明に従った方法を用いて、まだ稼働中の鋳物現場においても、成形金型14及び加工品又はブランクに可変方式で影響を及ぼすことができる。
これは極めて重要である。というのも、目下のところ鋳造型に使用される型鋼の場合は、プロセスに起因する調温表面4と冷水との常時接触が存在することによって、例えば被覆又はその類のような劣化に対する予防策が講じられていないのであれば、運転を進めていく過程で、表面の劣化現象を覚悟しなければならないからである。つまりこの表面の劣化については、部分領域4.iの表面の選択されている目標温度を変更することによって対処することができる。そこで求められるのは、例えば、変更後の表面の熱伝達(強度)に関する時間依存性を知っておいて、それに合わせて、この部分領域4.i又は複数の部分領域4.i内の調温用表面の温度制御を相応に調整することだけとなる。図12には、これが象徴的に示されており、破線の曲線は、調温用表面4の部分領域4.iの初期表面を象徴している。これは、劣化により右に向かって移相する。これは、ライデンフロスト点及び熱伝達の領域が、より高い壁面温度に向かって移相することを意味している。部分領域の目標温度θ壁状態1は同じままで、温度制御器が引き続き作動するとしたら、熱伝達係数αが異なっていることにより、単位時間当たりより大量の熱が壁から取り去られることになりかねない。これは、目標温度θ壁状態1が同じでもより大きな熱伝達係数αが存在しているために、劣化した壁の方が急速に冷却されかねないことを意味している。温度制御メカニズムにも、冷却強度を増大して作動することが求められることになるだろう。本方法におけるように急速に進行する冷却プロセスでは、熱伝達係数αが著しい温度依存性を示すために、冷却強度の増大が、その倍増を意味することがある。これは、人が部分的な熱伝達域にいて、壁の表面の温度θに対する熱伝達係数αの強い依存性が存在する場合には、可能となりやすい。これは、温度制御器にとっては不安定さの源となることがある。このため、表面の目標温度θを、温度θ壁状態1から温度θ壁状態2へと低下させる方が有利である。これは、劣化後の表面のケースでは、作動が今では調温用表面4のより低い壁温度θoで行われるものの、その前の劣化していないケースにおけるのと同じ熱が取り去られることを意味している。それにより生産プロセスの安定性をそのまま維持することができる。その意味で、プロセスの安定域にいることになるだろうが、これは、気泡蒸発域で壁面温度θoが上昇する場合は、熱伝達の強度も壁面温度θoと共に増大するからである。気泡蒸発の熱伝達メカニズムにより、水の壁面に対する冷却強度の増大に伴う壁温度の上昇に対処している。
劣化に伴うこうした必然性については、鋳造金型の設計過程で既に、壁面材料の劣化を制御メカニズムの計算に含めることによって影響を与えることができる。例えば設計の前段階でそのような材料変化が突き止められて、それに付属する熱伝達係数の値αが決定されるようにしてもよい。生産プロセスにおいて、部分領域4.iの調温用表面4の表面材料の劣化が段階的に進行する場合は、温度制御器の制御の挙動についても、段階的に適合化が行われることになる。
例えば調温用表面4のそれぞれの部分領域4.iにおいて、前もって設定されたその目標温度で、略定常な強度で散水又は冷却が行われるようにしてもよい。例えば、加工品の特定の材料特性が要求されるために、成形金型周縁シェル1の一つの特定の部分領域4.iを略定常な熱伝達係数αiで冷却する、という調温タスクが与えられているとする。この熱伝達係数αiは、壁材料の表面温度に依存するために、調温用表面4の対応する部分領域4.iを、ある一つの特定の目標温度で、又はこの目標温度の一つの狭い温度域内で冷却することができる。これは、調温用表面4のこの部分領域4.iの散水ノズル6への給水を、一つのバルブ11を介して、例えば図4に例示的に示されるような一つのソレノイド11を介して、狙い通りに制御することによって、行うことができる。
そのためには、例えば温度センサ12のようなセンサ12を利用して、調温用表面4のこの部分領域4.iの一つ又は複数の適切な測定地点における温度が検出されるようにしてもよい。図4には、一つの温度センサ12だけが例示的に描き込まれている。制御又は閉ループ制御システムに関して導出されなければならない挙動については、例えば複数の温度測定地点を手掛かりに、それ以外の一つの量を連続的に計算することによって、導出することができる。この量の計算された特性から出発して、温度制御器又は閉ループ制御システムの制御挙動を安定したものに構成することができる。これらのセンサ12は、調温用表面4の部分領域4.iの温度θ又は温度分布を表している、良好な代表的な値を測定するために、適切な方法により表面又はその下に取り付けられてもよい。一つの温度制御器7を介して、一つ又は複数のセンサ12の信号の強さと、その、又はそれらの、測定地点の温度θの一つ又は複数の温度目標値TSのからの偏差とに応じて、バルブ11の開弁時間Δti又はバルブ11の開度が導出されて制御されるようになっている。図5には、例示的に、例えば開弁位置を一つだけしか有していない一つのソレノイド11を用いて、このバルブ11を一時的に開閉することによる、水の体積流量Vの不連続制御が図式的に提示されている。時点t0及びtEndは、プロセス・サイクル中の温度制御の開始と終了をマークしたものである。冷却の所望される強度に応じて、成形金型周縁シェル1の調温用表面4のこの部分領域4.iの一つの特定の目標表面温度への調整が行われる。
部分的な液膜蒸発の熱伝達及びその他の熱伝達等、熱伝達の対応する領域における熱伝達のプロセスは、壁面の表面温度θoの急速な低下に結び付いたものとなっている。その後に続く成形金型周縁シェル1の内部での熱伝導は、金型材料に依存する。現在鋳造型に利用される型鋼の場合は、金型材料の熱伝導が、大抵の場合は、散水による表面温度θoの極めて急速な低下よりも僅かなものとなっている。このため、水から高温の壁への熱伝導のプロセスと、更に壁の内部における熱伝導のプロセスについても、検討を加えて相互チューニングを図る必要がある。
従って、タイムラグが小さい、又は素早い検出時間を有する温度センサ12が必要となる。これは重要である、というのも熱の伝達方式は、壁の表面温度θoに応じて、熱伝達のメカニズムに基づき変わるからである。測定部材やアクチュエータから成る閉ループ制御システム全体の制御挙動に、熱伝達の領域に対応した応答性が要求され、又これらは、それに見合ったプログラミングが可能なものでなければならない。一つ一つの部分領域4.i内の、液状の水から高温の調温用表面4への熱伝達の利点を活かせるようにするためには、安定した制御挙動が保証されていなければならない。これは、部分領域4.iの要求される目標温度に調整するためには、それらの熱の伝達の強度を異にしている一つ一つの熱伝達域における温度の制御を、一つ又は複数の制御器により安定的に展開できるようにする必要があることを意味している。
閉ループ制御システムの適切なコンポーネントを選択するために、熱シミュレーションの結果を援用することができる。これらは、水又はそれぞれ使用される調温用流体の所与の流れ条件における熱伝達の進行中のプロセスの速度と、そこから生じる閉ループ制御システムに対する要求項目を解き明かす情報を与えてくれる。
更に、ブランク又は加工品側からの型彫り部を介した壁の加熱の逆方向へのプロセスについても、考慮しなければならない。投入される溶湯に対して金型の表面に直接配置されるセンサ12によっては、このプロセスを測定するのはまず不可能である。それに加え、溶湯は凝固を来すが、それにより型彫り部側からのブランクから金型への熱伝達にも変化を来す。加工品の板厚が僅かであるために、凝固のプロセスも速くなる。ここでもブランクの熱伝達係数αは、凝集状態とその温度θに依存する。それに加えてダイカストの場合は、鋼表面の溶湯の熱伝達係数αが圧力に依存する。この凝固プロセスは、シミュレーションによらなければ把握できないことが多いが、熱伝達係数αは、シミュレーション中に妥当な範囲内で変更することができる。それにより獲得したデータを、調温用表面4のための閉ループ制御システムを選択するために評価又は利用することができる。
更に、調温用表面4の劣化に関する、又は様々な部分領域4.i内の調温用表面4の意図された変化に関する制御シナリオは、閉ループ制御システムの制御挙動のために記憶されなければならない。ライデンフロスト点と熱伝達の領域の移相に関連している、全ての意図的な変数変更についても、閉ループ制御システムに関するシナリオとして使用に供されるようにすると共に、閉ループ制御システムがこれらを使いこなせるようにしなければならない。これにアクセスできるようにしておくことが必要である。
更に、制御の安定性に影響を与える、作用する未知の外乱についても、制御により対処できるようにしておく必要がある。これらの外乱は、例えば稼働中の鋳造工場で行われる、例えば長さが異なる鋳造休止時間、冷却の異なる水温、冷却水の品質、鋳造所内の温度の影響、鋳造サイクルに先立つ型彫り部への離型剤の異なる塗布方式、溶湯の変化する温度、鋳造残渣を除去するための型彫り部のブローオフ、鋳造所の雰囲気の汚染の結果としての調温用表面4の被覆、散水ノズル6の圧力の意図せざる変化等の、予期し得ぬ影響要因である。一部は、ライデンフロスト温度θLeに影響を与える外乱であり、一部は、それ以外の方法で閉ループ制御システムに作用する量である。このため、調温用表面4又は部分領域4.iの温度制御の安定性と、予め設定された、変化する目標温度θへの制御は、鋳造プロセスにおける最適な熱伝達にとり重要である。
水以外の調温用媒体を利用したとしても、これらも又それらの効力に外乱による影響を受けることがある。この場合も閉ループ制御システムは、これらの外乱に対抗して安定性を示さなければならない。
その後で、閉ループ制御システムの適切なコンポーネントを組み合わせて、外乱の既知の影響及び偶発的な影響のシミュレーションを通じて、調温用表面4又はその部分領域4.i側の閉ループ制御システム全体の制御挙動を算定して最適化することができる。
閉ループ制御システムのオリエンテーションは、一つの重要な問題である。これは、制御が安定した領域から外れてしまった場合の、調温用表面4の部分領域4.iが実際に位置している調温用表面4への水の熱伝達域の問題を意味する。そのような事態が起こり得るのは、閉ループ制御システムによる外部の影響に対する応答が緩慢過ぎたり、又はそれに対抗する制御が緩慢過ぎたりするような場合である。これは、表面の劣化状態に基づいて、又は調温用表面4に及んだ環境の影響により、発生することがある。熱伝達域の移相が行われることになる。これは、調温の安定域へ、水から高温の表面への望まれない熱伝達域から望まれる熱伝達域へ、戻るための制御対策に関するものである。即ち目標温度θに戻るためには、どのように最適制御を行う必要があるのかに関する。これが望まれる熱伝達域に戻れることを許容する、オリエンテーション・ルーチン、又は閉ループ制御システムのオリエンテーションのための量を、携えていることが求められる。閉ループ制御システムのオリエンテーションのために、絶えず検定を行わなければならない。
更に、測定量の実際の変化に対する測定値の時間遅れを計算に入れて、これを閉ループ制御システムのためのルーチンに取り入れてもよい。調温用表面4上の調温事象については、測定量の急速な変化を、タイムラグが小さいセンサ12を用いて測定して評価することが肝要である。同様に表面の測定点の真下でも、即ち成形金型周縁シェル1の内部においても、測定値を途切れなく作成しなければならない。そこから、閉ループ制御システムにおいて、常に適切な制御ルーチンを導き出すことができる。
一つのセンサ12を用いて温度を測定してみると、調温用表面4で直接測った温度の変化の方が、成形金型周縁シェル1の内部の温度変化よりも急速となるが、これは、成形金型周縁シェル1の材料の熱伝導又は物理的な材料値から明らかである。それに加えて、成形金型周縁シェル1の内部において、温度変化には時間的なずれが見られる。これらの温度特性から、温度に依存した熱流密度を計算することができる。図13に、表面に散水するケースを例にとり、熱伝達の領域に対応した閉ループ制御システムのオリエンテーションを決定するための、可能性のあるオリエンテーションを示す。そこには、表面及びその下のところの少なくとも二つの温度測定点θOの温度特性から計算された、単位Watt/m2で表される熱流密度qが、基本的な依存関係にある表面温度θOとの関係で示される。温度θ1のところにいる場合は曲線の増加がマイナスとなっている。その際にこの増加は、表面の所与の地点における温度θに基づく熱流密度qの変化であると解釈することができる。ライデンフロスト温度θLeの左側では、熱電流密度qの増大に伴い温度θが低下している。温度θ2においても基本的には低下が見られるが、しかしその増分は別物となっている。基本的にこの増加の正負記号は、完全燃焼点まで変化することはない。完全燃焼点の左側にいる場合は、即ち気泡蒸発域内では、表面温度θOに依存した増加がプラスに転じているが、その量は同様にそれぞれ異なり、温度θ3及びθ4における比率を参照されたい。この曲線には、座標点θ4,q4における増加が象徴的に描き込まれている。従って表面及びその真下の温度θを連続的に決定することにより、熱伝達域内におけるオリエンテーションを、例えばこのq−θ曲線における増加を用いて実行することができる。個々の熱伝達域を対象としたルーチンは、それぞれ異なるものとなる。例えばライデンフロスト点の右側の安定した液膜蒸発域にいる場合は、温度に基づく熱流密度の増加が格段と小さくなり、ついには定常となる。従って個々の熱伝達域を対照とした制御挙動は、それぞれ異なるものとなり、相応の適合化が必要となる。外乱が発生した場合にも、制御の安定した作動状態を常に繰り返して達成できるようにしなければならない。このため、閉ループ制御システムの絶え間ないオリエンテーションを利用して、目標値の制御が安定域内に留まるようにするための、又はそこに戻るための、対策が講じられるようになっている。
更に、適合化の対象となる制御挙動は、使用される表面又はその材料及びその劣化により左右される。閉ループ制御システム及び加工品から熱を取り去るための安定した制御にとって、このことは重要である。例えば調温用表面4の劣化に伴い熱伝達域が移相する場合は、温度特性は表面の上と下とで異なるものとなる。
基本的には熱伝達域におけるオリエンテーションを、温度センサ12として他のセンサ12を用いて行うこともできる。個々の領域に帰属させることができるセンサ系を選定する必要がある。それぞれの領域における測定値の変化は同様に、評価のために十分な大きさとするのが望ましい。
それに加えて、導出されることになる制御挙動の妥当性と制御の安定性を保証するために、プロセスに随伴する熱又はその類のシミュレーションも実行するのが望ましい。
加工品の所与の状態には、成形金型周縁シェル1の冷却の時間と強度により、影響が与えられるようになっている。例えば厚肉の加工品壁面等のように加工品の材料が寄り集まっているところについては、例えば非常に高い強度で冷却することができる。例えばこれに属するのは、一般的に厚肉の板厚を備える排水口の領域である。薄肉の加工品領域のところでは、それよりも低い強度で調温用表面4は冷却される。部分領域を、又追加的に外部から低い強度で若干加熱することが、技術的に必要となる場合がある。このため、外部ヒータの定常の経時特性を示す熱加熱率Δt/Δtにより、特定の継続時間にわたり、調温用表面4の一つの部分領域4.iを調温する(図6)ことを調温の課題の一つとしてもよい。即ちこの部分領域4.iは、この継続時間Δti内に加熱されなければならない。時点t0及びtEndは、この加熱プロセスの開始と終了をマークしたものである。それにより調温用表面4の部分領域4.iの温度θは絶え間なく変化し、又型彫り部の温度θもそれに対応して変化する。この調温レジームの結果は、鋳物を取り出した後に、赤外線カメラを利用して、型彫り部5の表面で、観察して評価できることが有利である。しかし他にも、成形金型14が閉じている間の連続した評価を許容する他のセンサ12を、成形金型14に作り込むようにしてもよい(不図示)。測定結果に応じて、特定の部分領域4.iにおける調温レジームは、変更又は最適化されるようになっている。図7(下)には、分かりやすく説明するために、調温用表面4の二つの部分領域の二つの目標温度が提示される。調温用表面4のこれらの部分領域4.iにおいて、これらの壁面温度θ1及びθ2への制御を行う際には、例えばα1及びα2に対応した相応の加熱強度又は冷却強度が、調温用表面4のこれらの部分領域4.iに伝達されることになる。調温用表面4のそれぞれの部分領域4.iにおいて起きる熱伝達は、異なるものであってもかまわない。従って図3に示される調温用表面4のそれぞれの部分領域4.iに対して、別の熱伝達係数αを割り当てることが可能となる。
例えば特定の部分領域4.iにおいては、特定の冷却温度基準を充足することが求められる。例えば、調温用表面4の特定の部分領域4.iにおいては加工品の内部に特定の平均デンドライトアーム間隔等の材料特性を設定して、加工品の特段の剛性を達成するために、これらの部分領域4.iを他よりも強力に冷却することが不可欠となる場合がある。更に必要な場合には、局所的に高い冷却強度を設定したり、又は大きな熱伝達係数αで冷却したりすることによって、そこでは、加工品の壁面付近の領域に由来して生じる空隙を抑え込んで、その後に続く溶接又は表面仕上げ等の加工品の処理を可能にすることが求められる。
鋳造時には例えば加工品のウェルドマーク又は条痕形成を計算に入れておかなければならない、成形金型周縁シェル1のセンシブルな領域については、外部加熱が必要となるかもしれない。そのためには例えば欠陥の様相をなくすために、成形金型壁面を、幾つかの地点において、ほんの僅かだけ加熱する、又は余り冷却しないようにすることが必要である。本発明に従った方法により、そのような変更に影響を与えることができる。同様に、特定の部分領域4.iにおいて、様々な調温方式を用いる調温レジームを適用することも可能である。例えば最初により良好な鋳型充填のためにほんの僅かだけ加熱した後、続いてより良好な凝固のために冷却する。そのために、調温用表面4の対応する部分領域4.iに対して、外部発熱体も、又ヒートシンクも備えられるようになっている。それにより限定された時間にわたり、調温用表面4の一つの部分領域4.iにおいて外部加熱処理が行われた後、この部分領域4.iにおいては、続いて冷媒である水を用いて冷却処理が行われるようにしている。部分領域4.iに隣接した更にもう一つの部分領域4.i+nにおいては、例えば冷たい圧縮空気を用いて冷却が行われる。それにより、最初はそれぞれ異なっていた領域温度θが、均一の冷却最終温度θに達することが達成される。この冷却方法は、調温用表面4の隣接している部分領域4.iにおいて、相互に影響を及ぼし合うことなく、同時に適用することができる。従って調温用表面4上で、様々な調温レジームを適用することができる
例えば型彫り部5の表面に、一つの温度依存性又は温度勾配がもたらされるようにするためには、特定の金型領域については、熱処理を別途、裏側空間3側から外部熱エネルギーを追加することによって行い、逆に調温用表面4の他の部分領域4.iについては冷却を行うようにすると有利であるかもしれない。例えば膨張した構造鋳物は、急速な凝固と鋳型の充填不良を覚悟しなければならない壁面が薄肉の領域を有していることが多い。外部熱エネルギーの追加投入は、鋳型充填プロセスにとり有益となり得る、又は事情によってはそれにより初めて完全な鋳型充填が可能となる。鋳型充填後は、鋳物に引け巣を殆ど来さないようにするために、溶湯は方向性を示しながら凝固しなければならない。
型彫り部5の表面に立ち上がる、多くは不利な温度分布の結果として生じる水平熱機械応力には、適切な温度分布を設定することによって対処する。例えば引張応力は、型彫り部5に設けられる、幾何学的に不利なところに位置している、加工品側ではしかし要求される切欠きにより発生する。そこではこれらの切欠きが、多くの場合は「ホットスポット」とも呼ばれる昇温の中心となっている。これらの切欠きの冷却には周囲の領域より時間がかかる。この不規則な冷却により引張応力が発生するが、多くの場合これらは、切欠きの底部の亀裂を介して分解されるようになっている。本発明に従った局所的な調温により、これらの領域内の温度挙動を効果的に制御することができる。例えば切欠きの周囲広範に位置する領域については、切欠きの内部の潜在的な亀裂領域よりも冷却が抑えられてもよい。それにより、成形金型14の寿命の延長に直接的な形で影響が与えられることになる。
ダイカスト用金型の型彫り部5の表面の更にもう一つの欠陥の様相が、網目状の熱クラックの発生である。鋳物を取り出した後に高温の型彫り部5に離型剤と水の混合物を噴霧するという古典的な慣行の結果として、成形金型14の劣化が進むにつれて、このような網目状の熱クラックが生じる。その後に続く高温溶湯の鋳込みは、型彫り部5の衝撃的な加熱を引き起こす。このため鋳造サイクルを繰り返す過程で、型彫り部5の表面には、入れ替わる熱衝撃負荷に基づいて、強い引張・圧縮応力を立て続けに交互に来すことになる。本発明に従った方法により、冷却は成形金型の裏側空間3からその場所の調温用表面4を介して穏やかな方法で行われる。離型剤と水の混合物は、型彫り部5の表面に塗布されずに、むしろ濃縮離型剤だけが尚もエアロゾル・スプレの少量投与、粉末又はその類の形態で塗布されるようになっている。本発明に従った方法により、型彫り部5の衝撃的な冷却という古典的なプロセス・ステップを節減して、この欠陥の様相に対処することができる。このため本発明に従った方法により、成形金型の寿命は延長されることになる。
本発明に従った方法による調温と並び、酸化物の生成増大を予想する必要がある場合は、鋳込みの前に、鋳型の排気又は事前の酸素除去によって、鋳型充填を追加的に促進することができる。溶湯の部分的な酸化により、酸化物が出現する領域内では粘性率が変化することが知られている。
成形金型14の調温レジームは、本発明に従った方法に則して、成形金型14の鋳込み時間及び型を開いている時間とも、加工品の取出しとも関係なく進行する。いつでも調温の強度及び継続時間に関して、プロセスの技術的要件に最適に影響を及ぼすことができる。このため調温用表面4の領域全てを、その最適調温レジーム又は目標温度θに制御することができる。有益であるのであれば、調温レジームは変更されてもかまわない。従って、特定の領域を散水冷却により冷却するケースでは、最適量の水を用いた散水が可能となる。というのも、それよりも強い冷却だと、所望のままに鋳型充填及び鋳物の特性を具体化するための成形金型の調温をわざわざ妨げることになりかねないからである。それにより、水量を最適に保持することができる。可能である場合は、それぞれの部分領域4.iの熱伝達係数α1が高いときには散水が行われるようにしてもよいが、この時には調温用表面4のそれぞれの部分領域4.iの表面温度θoの制御が、対応する目標温度θに向かって行われることになる。これらの理由から、更に、古典的な冷却と比べてコストも時間も大幅に節減されることになる。しかし他方では、例えば加工品のセンシブルな領域については、より低い熱伝達係数α1又は低い伝達可能な熱量に相当する、穏やかな熱伝達も又、調温用表面4を対応する温度θに制御することによって選択することもできる。この場合は例えば冷たい圧縮空気により調温が穏やかに行われてもよい。本発明に従った方法により、調温レジームを技術的な目標設定に最適適合させることができる。ターゲット・パラメータは、例えばプロセスの最小サイクルタイム、加工品の機械特性、及び成形金型14の保護である。
本発明に従った調温方式は、流路で行われるものではなく、それよりもむしろ、成形金型14の裏側空間3の開放状態で平面状の調温が行われるようになっている。それにより初めて、慣例の突然の昇温、又は成形プロセスにより成形金型周縁シェル1の内部に入り込む熱流に、調温用表面の部分領域4.iの安定した温度制御によって、応答することができる。古典的な水を用いた開放型の流路式冷却のケースでは、成形プロセスにおいて突然激しく増大する金型空洞部の熱流が、流路壁面の温度θを激しく上昇させることがある。流路壁面の温度θに応じて、冷却剤である水への熱伝達の対応するメカニズムが設定される。最適冷却剤を導入するという、最適化のポテンシャルは僅かだけしかない、なぜならばこれは、流れるか又は止まっているかであるからである。現在使用中の調温用媒体を突然取り除いたり、又は他の物で置き換えたりするのは一般的に不可能である。このため、突然の熱流に温度制御が速やかに応答することは不可能である。古典的な水を用いた閉じた流路式冷却のケースでは、突然の入熱量の増大により、加圧と重なり合った昇温を来し、冷却の系統圧が局所的に著しく上昇することになりかねない。これは、冷却系統内が臨界圧力に達すると、安全弁が開くことを意味している。ここでも、冷却の安定した制御を行う可能性は排除されている。本発明に従った方法は、その方式によれば加圧解放型の冷却となるために、冷却水システムの内部の昇圧はなく、周囲条件に対する圧力補償が常に行われるようになっている。
この開放型冷却は、本方法にとり基礎となるものであり、そうでなければ、制御しながら本方法を進行することは不可能となる。閉じたシステムである場合は、加圧が行われて、ライデンフロスト点がずれることになりかねない。それに伴い熱伝達の領域も変化することになりかねない。ライデンフロスト点は、ちょうどシステム内に存在している圧力に依存する。閉じたシステムの内部では、高温の加工品からの突然の強い熱流により、圧力は急速に変化することになりかねない。温度が水と重なり合うことによって、昇圧が生じることになりかねず、その結果、劣悪な制御から制御不能な事態に陥ることになる。
本方法においては、シェル状成形金型の裏側空間3内の圧力が、最高で周囲圧力をとることができるようになっている。部分領域4.i内の目標温度又は温度分布への、それぞれの部分領域4.iの適切な温度制御により、調温用表面4が本発明に従って散水又は冷却される限り、調温用表面4の急速な冷却が行われることになる。選択された調温レジームにより、早い時点に、又は適切な方法で、熱流の増大への応答が行われるようにしてもよい。
成形金型14を製造するためには、例えば先行する製造プロセスにおいて、二次成形の変形加工及び熱処理その他により作製された半製品の加工が行われてもよい。ダイカスト金型の造型に使用される古典的な型鋼は、本発明に従った方法の場合にも適用可能である。成形金型周縁シェル1の調温用表面4を裏側空間3側から製造するための加工作業は、型彫り部5の加工に必要な作業に類似したものとなる。従って造型用の古典的加工ツールを、本発明に従った方法の調温用表面4の加工にも使用することができる。
しかし本発明に従った成形金型周縁シェル1を有する成形金型14は、他にも一次成形の鋳造プロセス(Urform−Giessprozess)で製造することもできる。事情によってはその後に熱処理が続く一次成形プロセスによる製造が、それにより達成可能な成形金型材料の硬さ、引張強度及び粒径のような機械特性が意図されている成形プロセスにとり十分なものである限り、可能であってもよい。金型全体を製造するために創成的な方法又は3Dオブジェの製造方法を大規模で導入できるようにするのであれば、金型全体をこの方法により製造することが考えられる。
最適な調温用表面4への調整を行うためには、技術的な要求項目と適用される調温用媒体の種類によっては、調温用表面4のコンディショニングが不可欠となる。このコンディショニングは、成形金型14の使用目的、生産される加工品の材料特性又はその類により、必要とされる場合がある。例えば散水冷却を利用して冷却を行う場合は、成形金型14の調温用表面4のライデンフロスト点に注意しなければならない。これは、調温用表面4の化学組成より左右される。本発明によれば、成形金型14の調温用表面4を被覆する可能性により、ライデンフロスト点に影響を与えることができる。ライデンフロスト点と共に、それ以外の熱伝達域も変化する。これは、化学的な被覆、例えば化学銅めっき、又は物理的な被覆により、例えば蒸気の結露により、行うことができる。その場合は被覆が、調温用表面4上に直接施されることになる。しかしこの被覆は、調温用表面4に作り込まれるようにしてもよい。調温用表面4にどの被覆が選択されたかに応じて、ライデンフロスト点は狙い通りにずらされて、それに伴い熱伝達域も、より高い又はより低い温度に向かってずらされることになる。これは、例えば成形金型周縁シェル1の高い温度レベルで、これに高い冷却出力を伝達すべきである場合に有利となる。これは他にも、その時々の成形サイクルの後に、成形金型周縁シェル1の冷却温度が著しく低下してはならないとする場合には、成形金型14の寿命を延長するために、有利であるかもしれない。
更に、純粋な液状のクーラントである水のライデンフロスト点が、成形金型周縁シェル1の所与の調温用表面4のためのクーラントへの可溶性添加剤により、変わる場合がある。表面被覆のケースと同様、ライデンフロスト点を、別の温度θへと狙い通りにずらすことができる。それにより、水と表面との相互作用が変化して、ライデンフロスト点と熱伝達域はずれることになる。調温用表面4の異なる部分領域4.iにおいては、様々な化学添加剤を含有した水を用いて冷却が行われるようにしてもよい。このため例えば水溶性ポリマが水と混ぜ合わされるようになっている。水を水溶性ポリマと一緒に導入することにより、水と調温用表面4との適合化が可能な接触、及びそれに伴い放熱の変化又は熱伝達域の移相が可能になるという長所がもたらされる。
調温用表面の散水のためには、脱塩水が導入されることが好ましい。通常の水道水には必ず無機物が溶解した形態で含有されるが、冷却時に水は最高で100℃まで加熱されるために、調温用表面4上で冷却水が加熱される際には、これらが析出してしまう場合がある。これらの無機物が析出した場合は、その結果として、調温用表面4上に熱伝達及びライデンフロスト温度θLeに影響を与える一つの層が形成されることになる。これは熱伝達域に潜行性の変化をもたらす。とはいえ、水道水を導入することも可能である。その場合は、無機物を結合する添加剤が必要となる。それに加えて、いずれのバリエーションにおいても、調温用表面4の腐食を防ぐとされる添加剤を使用することができる。
本発明により、既に使用中の、本発明に従った冷却システムとは別の種類の冷却システムを有している成形金型14に、本発明に従った方法又はその一部を備えることができる。これが可能となるのは、古典的な成形金型14の裏側空間3の改造が、それを許容するものである場合に限られる。例えば加工品の、例えば条痕形成及びウェルドマークを防止すべきである場合には、古典的方法で冷却される成形金型14の部位に、本発明に従った方法が備えられるようにしてもよい。