詳細な説明
本明細書で使用される「抗原結合タンパク質」という用語は、1つ又は複数の標的抗原に特異的に結合するタンパク質を指す。抗原結合タンパク質には、抗体及びその機能性断片が含まれ得る。「機能性抗体断片」は、全長の重鎖及び/又は軽鎖に存在するアミノ酸の少なくともいくつかを欠くが、抗原に特異的に結合する能力を依然として有する、抗体の一部分を指す。機能性抗体断片には、限定はされないが、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、Fd断片、及び相補性決定領域(CDR)断片が含まれ、機能性抗体断片は、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、又はラクダ科の動物などの任意の哺乳類源に由来し得る。機能性抗体断片は、標的抗原への結合で未変化の抗体と競合し得るものであり、断片は、未変化の抗体の改変(例えば、酵素的切断もしくは化学的切断)によって産生させるか、又は組換えDNA技術もしくはペプチド合成を使用してデノボ合成してよい。
「重」鎖及び「軽」鎖は、IgGを構成する2つのポリペプチドを指す。重鎖は、N末端からC末端への順序で記載される下記のドメインへと要素分けすることができる:VH、CH1、CH2、及びCH3。軽鎖は、N末端からC末端への順序で記載される下記のドメインへと要素分けすることができる:VL及びCL。CH1ドメインとCLドメインとは相互作用し、その結果、VHドメイン及びVLドメインは機能性の立体構造を形成することになる。
抗原結合タンパク質には、単一のポリペプチド鎖又は複数のポリペプチド鎖に組み込まれた1つ又は複数の機能性抗体断片を含むタンパク質も含まれ得る。例えば、抗原結合タンパク質には、限定はされないが、ダイアボディ(diabody)(例えば、EP404,097、WO93/11161、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.90:6444−6448,1993を参照のこと)、細胞内抗体(intrabody)、ドメイン抗体(単一のVLドメインもしくはVHドメイン、又は2つ以上のVHドメインがペプチドリンカーによって連結されたもの。Ward et al.,Nature,Vol.341:544−546,1989を参照のこと)、マキシボディ(maxibody)(2つのscFvがFc領域に融合したもの。Fredericks et al.,Protein Engineering,Design & Selection,Vol.17:95−106,2004、及びPowers et al.,Journal of Immunological Methods,Vol.251:123−135,2001を参照のこと)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、ミニボディ(minibody)(scFvがCH3ドメインに融合したもの。Olafsen et al.,Protein Eng Des Sel.,Vol.17:315−23,2004を参照のこと)、ペプチボディ(peptibody)(Fc領域に1つ又は複数のペプチドが付加されたもの。WO00/24782を参照のこと)、直鎖抗体(1対の直列Fdセグメント(VH−CH1−VH−CH1)であり、相補性の軽鎖ポリペプチドと一緒になることで1対の抗原結合領域を形成する。Zapata et al.,Protein Eng.,Vol.8:1057−1062,1995を参照のこと)、小型のモジュラー免疫医薬(米国特許公開第20030133939号を参照のこと)、ならびに免疫グロブリン融合タンパク質(例えば、IgG−scFv、IgG−Fab、2scFv−IgG、4scFv−IgG、VH−IgG、IgG−VH、及びFab−scFv−Fc)が含まれ得る。
ある特定の態様では、本発明の抗原結合タンパク質は「二重特異性」であり、このことは、それが2つの異なる抗原に特異的に結合する能力を有することを意味する。別の態様では、本発明の抗原結合タンパク質は、「四重特異性」であり、このことは、それが4つの異なる抗原に特異的に結合する能力を有することを意味する。類似の結合アッセイ条件下での他の無関係のタンパク質に対するその親和性と比較して、抗原結合タンパク質がその抗原に対して顕著に高い結合親和性を有し、その結果としてその抗原を識別する能力を有するとき、本明細書で使用されるように、抗原結合タンパク質は、標的抗原に「特異的に結合する」。抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、1x10−6M以下の平衡解離定数(KD)を有し得る。抗原結合タンパク質は、KDが1x10−8M以下であるとき、「高親和性」で抗原に特異的に結合する。1つの実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、5x10−7M以下のKDで標的抗原(複数可)に結合する。別の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、1x10−7MのKDで標的抗原(複数可)に結合する。
親和性は、さまざまな手法を使用して決定され、こうした手法の例は、ELISAによる親和性アッセイである。さまざまな実施形態において、親和性は、表面プラズモン共鳴によるアッセイ(例えば、BIAcore(登録商標)に基づくアッセイ)によって決定される。この方法論を使用することで、会合速度定数(M−1s−1で示されるka)及び解離速度定数(s−1で示されるkd)を測定することができる。その後、動力学的速度定数の比(kd/ka)から平衡解離定数(Mで示されるKD)を計算することができる。いくつかの実施形態では、親和性は、Rathanaswami et al.Analytical Biochemistry,Vol.373:52−60,2008に記載の結合平衡除外法(Kinetic Exclusion Assay)(KinExA)などの動力学的な方法によって決定される。KinExAによるアッセイを使用することで、平衡解離定数(Mで示されるKD)及び会合速度定数(M−1s−1で示されるka)を測定することができる。こうした値(KD x ka)から解離速度定数(s−1で示されるkd)を計算することができる。他の実施形態では、親和性は、平衡/溶液法によって決定される。ある特定の実施形態では、親和性は、FACSによる結合アッセイによって決定される。本発明のある特定の実施形態では、Rathanaswami et al.Analytical Biochemistry,Vol.373:52−60,2008に記載の方法よって実施される結合平衡除外法によって決定すると、抗原結合タンパク質は、20nM(2.0x10−8M)以下のKD、10nM(1.0x10−8M)以下のKD、1nM(1.0x10−9M)以下のKD、500pM(5.0x10−10M)以下のKD、200pM(2.0x10−10M)以下のKD、150pM(1.50x10−10M)以下のKD、125pM(1.25x10−10M)以下のKD、105pM(1.05x10−10M)以下のKD、50pM(5.0x10−11M)以下のKD、又は20pM(2.0x10−11M)以下のKDで、哺乳類細胞(例えば、CHO、HEK293、ジャーカット)が発現する標的抗原(複数可)に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質は望ましい特性を示し、こうした特性は、標的抗原(複数可)に対する結合親和性が、kd(解離速度定数)によって測定すると、約10−2s−1、約10−3s−1、約10−4s−1、約10−5s−1、約10−6s−1、約10−7s−1、約10−8s−1、約10−9s−1、約10−10s−1もしくはそれより低い値(値が低いほど結合親和性が高いことを示す)であること、及び/又は標的抗原(複数可)に対する結合親和性が、KD(平衡解離定数)によって測定すると、約10−9M、約10−10M、約10−11M、約10−12M、約10−13M、約10−14M、約10−15M、約10−16M、もしくはそれより低い値(値が低いほど結合親和性が高いことを示す)であることである。
本発明のある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、多価である。結合タンパク質の結合価は、結合タンパク質に含まれる個々の抗原結合ドメインの数を示す。例えば、本発明の抗原結合タンパク質に関する「1価」、「2価」、及び「4価」という用語は、それぞれ1つ、2つ、及び4つの抗原結合ドメインを有する結合タンパク質を指す。したがって、4価の抗原結合タンパク質は、4つ以上の抗原結合ドメインを含む。他の実施形態では、二重特異性の抗原結合タンパク質は、多価である。例えば、ある特定の実施形態では、二重特異性の抗原結合タンパク質は、4つの抗原結合ドメインを含む4価であり、これら4つの抗原結合ドメインの内訳は、第1の標的抗原に結合する抗原結合ドメインが2つ、及び第2の標的抗原に結合する抗原結合ドメインが2つである。四重特異性の抗原結合タンパク質は4価であり、4つの抗原結合ドメインを含み、これら4つの抗原結合ドメインの内訳は、第1の標的抗原に結合する抗原結合ドメインが1つ、第2の標的抗原に結合する抗原結合ドメインが1つ、第3の標的抗原に結合する抗原結合ドメインが1つ、及び第4の標的抗原に結合する抗原結合ドメインが1つである。
1つの実施形態では、4価の二重特異性抗体は、2つの異なる細胞型に存在する2つの異なる標的に結合する。実施形態の例には、腫瘍細胞とナチュラルキラー細胞との間を架橋することでナチュラルキラー細胞を腫瘍へと指向化する4価の二重特異性抗体が含まれる。本発明のさらに別の実施形態では、4価の二重特異性抗体は、同一の分子標的に存在する2つの異なるエピトープに結合する(すなわち、二重パラトピック)。4価の二重特異性抗体の標的の一方又は両方が可溶性であり得るか、又は細胞表面に発現し得ることも当業者には明らかなことである。
本明細書で使用される「抗原結合ドメイン」という用語は、「結合ドメイン」と互換的に使用され、抗原と相互作用し、抗原に対するその特異性及び親和性を抗原結合タンパク質に与えるアミノ酸残基を含む、抗原結合タンパク質の領域を指す。いくつかの実施形態では、結合ドメインは、標的抗原(複数可)の天然のリガンドに由来し得る。本明細書で使用される「標的抗原(複数可)」という用語は、二重特異性分子の第1の標的抗原及び/又は第2の標的抗原を指すと共に、四重特異性分子の第1の標的抗原、第2の標的抗原、第3の標的抗原、及び/又は第4の標的抗原も指す。
本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質及び四重特異性の抗原結合タンパク質のある特定の実施形態では、結合ドメインは、抗体又はその機能性断片に由来し得る。例えば、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質及び四重特異性の抗原結合タンパク質の結合ドメインは、標的抗原(複数可)に特異的に結合する抗体の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域に由来する1つ又は複数の相補性決定領域(CDR)を含み得る。本明細書で使用される「CDR」という用語は、抗体可変配列内の相補性決定領域(「最小認識単位」又は「超可変領域」とも呼ばれる)を指す。重鎖可変領域には3つのCDR(CDRH1、CDRH2、及びCDRH3)が存在し、軽鎖可変領域には3つのCDR(CDRL1、CDRL2、及びCDRL3)が存在する。本明細書で使用される「CDR領域」という用語は、単一の可変領域に生じる3つのCDR(すなわち、3つの軽鎖CDR又は3つの重鎖CDR)の一群を指す。2つの鎖のそれぞれにおけるCDRは、典型的には、フレームワーク領域によって整列されることで、標的タンパク質に存在する特定のエピトープ又はドメインと特異的に結合する構造を形成する。天然起源の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の両方において、こうした要素は、典型的には、N末端からC末端にかけて下記の順序で存在する:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4。
Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)に示されるEUインデックスと、AHoの番号付けスキーム(Honegger A.and Pluckthun A.J Mol Biol.2001 Jun 8;309(3):657−70)と、の両方を本発明において使用することができる。所与の抗体のアミノ酸位置ならびに相補性決定領域(CDR)及びフレームワーク領域(FR)は、いずれかのシステムを使用して同定してよい。例えば、39、44、183、356、357、370、392、399、及び409というEUによる重鎖位置は、それぞれ46、51、230、484、485、501、528、535、及び551というAHoによる重鎖位置と等価である。同様に、38、100、及び176というEUによる軽鎖位置は、それぞれ46、141、及び230というAHOによる軽鎖位置と等価である。以下の表1、表2、及び表3は、位置の番号付け間の等価関係を示す。
抗体をパパインで消化すると、「Fab」断片と呼ばれ、そのそれぞれが単一の抗原結合部位を有する2つの同一の抗原結合断片と、免疫グロブリン定常領域を含む残存「Fc」断片と、が得られる。Fab断片は、可変ドメインのすべて、ならびに軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含む。したがって、「Fab断片」は、1つの免疫グロブリン軽鎖(軽鎖可変領域(VL)及び定常領域(CL))と、1つの免疫グロブリン重鎖のCH1領域及び可変領域(VH)と、から構成される。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成することはできない。Fc断片は、糖質をディスプレイしており、多くの抗体エフェクター機能(補体及び細胞受容体との結合などの)を担い、こうした抗体エフェクター機能は、あるクラスの抗体と別のクラスの抗体とでは異なるものである。「Fd断片」は、免疫グロブリン重鎖に由来するVHドメイン及びCH1ドメインを含む。Fd断片は、Fab断片の重鎖成分に相当する。
「Fab’断片」は、抗体ヒンジ領域に由来する1つ又は複数のシステイン残基をCH1ドメインのC末端に有するFab断片である。
「F(ab’)2断片」は、重鎖間のジスルフィド架橋によってヒンジ領域で連結された2つのFab’断片を含む2価の断片である。
「Fv」断片は、抗原認識及び抗原結合を行う抗体由来部位を完全に含む最小断片である。この断片は、1つの免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)及び1つの免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)が堅固かつ非共有結合性に会合した2量体からなる。この立体配置では、それぞれの可変領域の3つのCDRが相互作用することで、VH−VLという2量体の表面に抗原結合部位を定義する。単一の軽鎖可変領域もしくは重鎖可変領域(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含む半分のFv断片)は、抗原を認識して結合する能力を有するが、VHとVLとの両方を含む全結合部位と比較すると、その結合認識の親和性は低い。
「可変領域」は、「可変ドメイン」(軽鎖の可変領域(VL)、重鎖の可変領域(VH))と互換的に本明細書で使用され、軽免疫グロブリン鎖及び重免疫グロブリン鎖のそれぞれにおいて抗原への抗体の結合に直接的に関与する領域を指す。上で議論したとおり、可変軽鎖領域及び可変重鎖領域は、同一の一般構造を有しており、それぞれの領域が4つフレームワーク(FR)領域を含む。こうしたFR領域の配列は広く保存されており、3つのCDRによって連結される。フレームワーク領域は、ベータ−シートの立体構造をとり、CDRは、そのベータ−シート構造を連結するループを形成し得る。それぞれの鎖におけるCDRは、フレームワーク領域によってその3次元構造が保持され、もう一方の鎖に由来するCDRと一緒になることで抗原結合部位を形成する。
「免疫グロブリンドメイン」は、免疫グロブリンのものと類似のアミノ酸配列を含むペプチドであって、少なくとも2つのシステイン残基を含む約100のアミノ酸残基を含むペプチドに相当する。免疫グロブリンドメインの例には、免疫グロブリン重鎖のVH、CH1、CH2、及びCH3、ならびに免疫グロブリン軽鎖のVL及びCLが含まれる。さらに、免疫グロブリンドメインは、免疫グロブリン以外のタンパク質においても見られる。免疫グロブリン以外のタンパク質における免疫グロブリンドメインの例には、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)、CD1、B7、T細胞受容体(TCR)、及び同様のものなどの免疫グロブリンスーパーファミリーに属するタンパク質に含まれる免疫グロブリンドメインが含まれる。免疫グロブリンドメインはいずれも、本発明の多価抗体のための免疫グロブリンドメインとして使用することができる。
ヒト抗体では、CH1は、EUインデックスの位置118〜215のアミノ酸配列を有する領域を意味する。CH1とCH2との間には、「ヒンジ領域」と呼ばれる高度可動性のアミノ酸領域が存在する。CH2は、EUインデックスの位置231〜340のアミノ酸配列を有する領域に相当し、CH3は、EUインデックスの位置341〜446のアミノ酸配列を有する領域に相当する。
「CL」は、軽鎖の定常領域に相当する。ヒト抗体のκ鎖の場合、CLは、EUインデックスの位置108〜214のアミノ酸配列を有する領域に相当する。λ鎖では、CLは、位置108〜215のアミノ酸配列を有する領域に相当する。
標的抗原(複数可)に特異的に結合する結合ドメインは、a)こうした抗原に対する既知の抗体から得るか、あるいはb)抗原タンパク質もしくはその断片を使用するデノボの免疫化方法、ファージディスプレイ、又は他の日常的な方法によって得られた新たな抗体又は抗体断片から得ることができる。二重特異性の抗原結合タンパク質及び四重特異性の抗原結合タンパク質のための結合ドメインが得られる抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、又はヒト化抗体であり得る。ある特定の実施形態では、結合ドメインが得られる抗体は、モノクローナル抗体である。こうした実施形態及び他の実施形態では、抗体は、ヒト抗体又はヒト化抗体であり、IgG1型、IgG2型、IgG3型、又はIgG4型のものであり得る。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」(又は「mAb」)という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、微量に存在し得る天然に生じる可能性のある変異を除いて同一である。典型的には異なるエピトープを標的とする異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体は高度に特異的であり、個々の抗原部位又はエピトープを標的としている。モノクローナル抗体は、当該技術分野において知られる任意の手法を使用して産生させてよく、例えば、免疫化スケジュールの完了後に遺伝子導入動物から収集した脾臓細胞を不死化することによって産生させてよい。脾臓細胞は、当該技術分野において知られる任意の手法を使用して不死化することができ、例えば、脾臓細胞を骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマを産生させることによって不死化できる。ハイブリドーマが産生する融合手順における使用を目的とする骨髄腫細胞は、抗体を産生することはなく、高い融合効率を有すると共に、所望の融合細胞(ハイブリドーマ)のみの増殖を支持するある特定の選択培地での増殖が不可能となる酵素欠損を有する。マウス融合における使用に適した細胞株の例には、Sp−20、P3−X63/Ag8、P3−X63−Ag8.653、NS1/1.Ag4 1、Sp210−Ag14、FO、NSO/U、MPC−11、MPC11−X45−GTG1.7、及びS194/5XXO Bulが含まれる。ラット融合において使用される細胞株の例には、R210.RCY3、Y3−Ag1.2.3、IR983F、及び4B210が含まれる。細胞融合に有用な他の細胞株は、U−266、GM1500−GRG2、LICR−LON−HMy2、及びUC729−6である。
いくつかの実例では、標的抗原(複数可)免疫原での動物(例えば、ヒト免疫グロブリン配列を有する遺伝子導入動物)の免疫化、免疫化動物からの脾臓細胞の収集、骨髄腫細胞株への収集脾臓細胞の融合によるハイブリドーマ細胞の産生、ハイブリドーマ細胞からのハイブリドーマ細胞株の確立、及び標的抗原(複数可)に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞株の同定によってハイブリドーマ細胞株が産生される。
ハイブリドーマ細胞株によって分泌されるモノクローナル抗体は、当該技術分野において知られる任意の手法を使用して精製することができ、こうした手法は、プロテインA−Sepharose、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又は親和性クロマトグラフィーなどである。ハイブリドーマ又はmAbは、特定の特性を有するmAbを同定するためにさらに選別してよい。こうした特性は、標的抗原(複数可)を発現する細胞に結合する能力、標的抗原(複数可)のそのそれぞれの受容体もしくはリガンドへの結合を遮断もしくは妨害する能力、又は標的抗原(複数可)のいずれかを機能的に遮断する能力などである。
いくつかの実施形態では、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質及び四重特異性の抗原結合タンパク質の結合ドメインは、標的抗原(複数可)に対するヒト化抗体に由来し得る。「ヒト化抗体」は、ヒト免疫グロブリンに由来する対応領域を含むように改変された領域(例えば、フレームワーク領域)を含む抗体を指す。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト動物において最初に産生したモノクローナル抗体から産生させることができる。このモノクローナル抗体におけるある特定のアミノ酸残基であって、典型的には抗体の非抗原認識部分に由来するアミノ酸残基が、対応アイソタイプのヒト抗体における対応残基に相同性となるように改変される。ヒト化は、例えば、げっ歯類の可変領域の少なくとも一部をヒト抗体の対応領域の代わりに使用するさまざまな方法を使用して実施することができる(例えば、米国特許第5,585,089号及び第5,693,762号、Jones et al.,Nature,Vol.321:522−525,1986、Riechmann et al.,Nature,Vol.332:323−27,1988、Verhoeyen et al.,Science,Vol.239:1534−1536,1988を参照のこと)。別の種で産生した抗体の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域のCDRをコンセンサスヒトFRに移植することができる。コンセンサスヒトFRを創出するために、ヒトの重鎖アミノ酸配列又は軽鎖アミノ酸配列のいくつかに由来するFRのアライメントをとることでコンセンサスアミノ酸配列を同定してよい。
標的抗原(複数可)に対して産生した新たな抗体であって、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質及び四重特異性の抗原結合タンパク質のための結合ドメインを得ることができる抗体は、完全ヒト抗体であり得る。「完全ヒト抗体」は、ヒトの生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を含む抗体である。完全ヒト抗体の産生が実現する特定の手段の1つは、マウスの体液性免疫系の「ヒト化」である。内在性のIg遺伝子が不活性化したマウスへのヒト免疫グロブリン(Ig)遺伝子座の導入は、任意の所望抗原で免疫化することができる動物であるマウスにおいて完全ヒトモノクローナル抗体(mAb)を産生させる手段の1つである。完全ヒト抗体を使用することで、マウスのmAb又はマウス由来のmAbを治療薬剤としてヒトに投与することによって生じることがあり得る免疫応答及びアレルギー応答を最小化することができる。
完全ヒト抗体は、内在性の免疫グロブリンを産生せず、ヒト抗体のレパートリーを産生する能力を有する遺伝子導入動物(通常はマウス)を免疫化することによって産生させることができる。これを目的とする抗原は、典型的には、6残基以上の連続アミノ酸を有し、任意選択でハプテンなどの担体に複合化される。例えば、Jakobovits et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551−2555、Jakobovits et al.,1993,Nature 362:255−258、及びBruggermann et al.,1993,Year in Immunol.7:33を参照のこと。そのような方法の1つの例では、遺伝子導入動物は、マウスの重免疫グロブリン鎖及び軽免疫グロブリン鎖をそこにコードするマウスの内在性の免疫グロブリン遺伝子座を無能化し、ヒトの重鎖タンパク質及び軽鎖タンパク質をコードする遺伝子座を含むヒトゲノムDNAをマウスゲノムの大型断片に挿入することによって産生される。部分的に改変された動物は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の補完が完全には至っておらず、その後に交雑させることで所望の免疫系改変のすべてを有する動物が得られる。免疫原が投与されると、こうした遺伝子導入動物は、その免疫原に免疫特異的な抗体を産生するが、こうした抗体は、可変領域を含めて、マウスのアミノ酸配列ではなく、ヒトのアミノ酸配列を有する。そのような方法の追加詳細については、例えば、WO96/33735及びWO94/02602を参照のこと。ヒト抗体の調製を目的とする遺伝子導入マウスに関する追加の方法は、米国特許第5,545,807号、第6,713,610号、第6,673,986号、第6,162,963号、第5,939,598号、第5,545,807号、第6,300,129号、第6,255,458号、第5,877,397号、第5,874,299号、及び第5,545,806、PCT公開WO91/10741、WO90/04036、WO94/02602、WO96/30498、WO98/24893、ならびにEP546073B1及びEP546073A1に記載される。
上記の遺伝子導入マウスは、本明細書では「HuMab」マウスと称され、内在性のミュー鎖及びカッパー鎖の遺伝子座を不活性化する標的化変異と共に、ヒトの重鎖(ミュー及びガンマ)ならびにカッパー軽鎖の非再編成免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子の小遺伝子座(minilocus)を含む(Lonberg et al.,1994,Nature 368:856−859)。したがって、このマウスでは、免疫化に応じて生じるマウスのIgM又はカッパーの発現が低減されており、導入されたヒトの重鎖導入遺伝子及び軽鎖導入遺伝子は、クラス転換及び体細胞変異を受けることで高親和性のヒトIgGカッパーモノクローナル抗体を産生する(前出のLonberg et al.、Lonberg and Huszar,1995,Intern.Rev.Immunol.13:65−93、Harding and Lonberg,1995,Ann.N.Y Acad.Sci.764:536−546)。HuMabマウスの調製は、Taylor et al.,1992,Nucleic Acids Research 20:6287−6295、Chen et al.,1993,International Immunology 5:647−656、Tuaillon et al.,1994,J.Immunol.152:2912−2920、Lonberg et al.,1994,Nature 368:856−859、Lonberg,1994,Handbook of Exp.Pharmacology 113:49−101、Taylor et al.,1994,International Immunology 6:579−591、Lonberg and Huszar,1995,Intern.Rev.Immunol.13:65−93、Harding and Lonberg,1995,Ann.N.Y Acad.Sci.764:536−546、Fishwild et al.,1996,Nature Biotechnology 14:845−851に詳細に記載されており、前述の参考文献は、参照によってそれらの全体があらゆる目的を対象として本明細書に組み込まれる。さらに、米国特許第5,545,806号、第5,569,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,789,650号、第5,877,397号、第5,661,016号、第5,814,318号、第5,874,299号、及び第5,770,429号、ならびに米国特許第5,545,807号、国際公開第WO93/1227号、第WO92/22646号、及び第WO92/03918号を参照のこと。すべてのこうした文献の開示内容は、参照によってそれらの全体があらゆる目的を対象として本明細書に組み込まれる。こうした遺伝子導入マウスにおけるヒト抗体の産生を利用する技術は、WO98/24893、及びMendez et al.,1997,Nature Genetics 15:146−156においても開示されており、こうした文献は、参照によって本明細書に組み込まれる。
ヒト由来の抗体は、ファージディスプレイ手法を使用しても産生させることができる。ファージディスプレイは、例えば、Dower et al.,WO91/17271、McCafferty et al.,WO92/01047、及びCaton and Koprowski,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6450−6454(1990)に記載されており、こうした文献はそれぞれ、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。ファージ技術によって産生する抗体は、通常、細菌において、例えば、Fv断片又はFab断片といった抗原結合断片として産生するため、エフェクター機能を欠いている。エフェクター機能は、2つの方針のうちの1つによって導入することができる。すなわち、断片は、望まれるのであれば、操作することによって、哺乳類細胞における発現を目的とする完全抗体とするか、又はエフェクター機能を引き起こす能力を有する第2の結合部位を有する二重特異性抗体断片及び四重特異性抗体断片とすることができる。典型的には、抗体のFd断片(VH−CH1)及び軽鎖(VL−CL)は、PCRによって別々にクローン化され、コンビナトリアルファージディスプレイライブラリーにおいて無作為に組換えられ、続いて、こうしたライブラリーにおいて特定の抗原への結合を選択することができる。抗体断片は、ファージ表面に発現し、抗原結合によるFv又はFab(したがって、その抗体断片をコードするDNAを含むファージ)の選択は、数ラウンドの抗原結合及び再増幅を行うパニングと呼ばれる手順を介して達成される。抗原に特異的な抗体断片が濃縮され、最終的に単離される。ファージディスプレイ手法は、げっ歯類のモノクローナル抗体のヒト化手法においても使用することができ、これは、「guided selection(ガイド選択)」と呼ばれる(Jespers,L.S.,et al.,Bio/Technology 12,899−903(1994)を参照のこと)。これについては、ヒトの軽鎖ライブラリーと組み合わせてマウスのモノクローナル抗体のFd断片をディスプレイすることができ、得られたハイブリッドFabライブラリーを続けて抗原で選択してよい。そうすることによってマウスFd断片は、選択をガイドするための鋳型となる。その後、選択されたヒト軽鎖は、ヒトのFd断片ライブラリーと組み合わせられる。得られたライブラリーを選択することで、完全ヒトFabが得られる。
本明細書で使用される「同一性」という用語は、2つ以上のポリペプチド分子又は2つ以上の核酸分子の配列間の関連性を指し、こうした関連性は、配列のアライメント及び比較によって決定される。本明細書で使用される「同一性パーセント」は、比較分子におけるアミノ酸間又はヌクレオチド間の同一残基のパーセントを意味し、比較される分子の中で最小の分子のサイズに基づいて計算される。こうした計算を行うためには、特定の数学モデル又はコンピュータープログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって、アライメントにおけるギャップ(存在するのであれば)に対処しなくてはならない。アライメントされる核酸又はポリペプチドの同一性を計算するために使用することができる方法には、Computational Molecular Biology,(Lesk,A.M.,ed.),1988,New York:Oxford University Press、Biocomputing Informatics and Genome Projects,(Smith,D.W.,ed.),1993,New York:Academic Press、Computer Analysis of Sequence Data,Part I,(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.),1994,New Jersey:Humana Press、von Heinje,G.,1987,Sequence Analysis in Molecular Biology,New York:Academic Press、Sequence Analysis Primer,(Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.),1991,New York:M.Stockton Press、及びCarillo et al.,1988,SIAM J.Applied Math.48:1073に記載のものが含まれる。例えば、配列同一性は、2つのポリペプチドのアミノ酸位置における類似性を比較するために一般に使用される標準的な方法によって決定することができる。2つのポリペプチド配列又は2つのポリヌクレオチド配列は、BLAST又はFASTAなどのコンピュータープログラムを使用し、そのそれぞれの残基の一致が最適となるようにアライメントされる(1つもしくは両方の配列の全長に沿って実施されるか、又は1つもしくは両方の配列の所定部分に沿って実施される)。プログラムでは、デフォルトのオープニングペナルティ及びデフォルトのギャップペナルティが与えられ、コンピュータープログラムと併せてPAM250(標準的なスコアリングマトリックスであり、Dayhoff et al.,in Atlas of Protein Sequence and Structure,vol.5,supp.3(1978)を参照のこと)などのスコアリングマトリックスを使用することができる。続いて、例えば、同一性パーセントは、同一一致総数に100を掛けてから、一致スパン内の長い方の配列の長さと、2つの配列のアライメントをとるために長い方の配列に導入されたギャップ数と、の合計で割ったものとして計算することができる。同一性パーセントの計算では、比較される配列は、配列間の一致が最大となる方法でアライメントされる。
GCGプログラムパッケージは、同一性パーセントを決定するために使用することができるコンピュータープログラムであり、このパッケージは、GAP(Devereux et al.,1984,Nucl.Acid Res.12:387;Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,WI)を含む。コンピューターアルゴリズムであるGAPは、配列同一性パーセントが決定されることになる2つのポリペプチド又は2つのポリヌクレオチドのアライメントをとるために使用される。配列は、そのそれぞれのアミノ酸又はヌクレオチドの一致が最適となるようにアライメントされる(「一致スパン」は、アルゴリズムによって決定される)。ギャップオープニングペナルティ(3x平均対角要素として計算され、「平均対角要素」は、使用される比較マトリックスの対角要素の平均である。「対角要素」は、特定の比較マトリックスによってそれぞれの完全アミノ酸一致に割り当てられるスコア又は数である)及びギャップ延長ペナルティ(通常、ギャップオープニングペナルティの1/10倍である)、ならびにPAM250又はBLOSUM62などの比較マトリックスがアルゴリズムと併せて使用される。ある特定の実施形態では、アルゴリズムによっても標準的な比較マトリックス(Dayhoff et al.,1978,Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345−352 for the PAM 250 comparison matrix、Henikoff et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:10915−10919 for the BLOSUM 62 comparison matrixを参照のこと)が使用される。
GAPプログラムを使用し、ポリペプチド又はヌクレオチド配列の同一性パーセントを決定するための推奨パラメーターには、下記のものが含まれる:
アルゴリズム:Needleman et al.,1970,J.Mol.Biol.48:443−453
比較マトリックス:前出のHenikoff et al.,1992によるBLOSUM62
ギャップペナルティ:12(しかし、末端のギャップにはペナルティなし)
ギャップ長ペナルティ:4
類似性の許容限界値:0
2つのアミノ酸配列のアライメントをとるためにある特定のアライメントスキームを用いると、2つの配列において短い領域のみが一致する可能性がある。アライメントされたこの短い領域は、2つの全長配列間に顕著な関連性が存在しないとしても非常に高い配列同一性を有する可能性がある。したがって、そうであるならば、選択されるアライメント方法(GAPプログラム)は、標的ポリペプチドにおいて少なくとも50残基の連続アミノ酸にまたがるアライメントが得られるように調節されることが望ましくあり得る。
ある特定の実施形態では、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質及び四重特異性の抗原結合タンパク質は、抗体を含む。本明細書で使用される「抗体」という用語は、2つの軽鎖ポリペプチド(それぞれ約25kDa)及び2つの重鎖ポリペプチド(それぞれ約50〜70kDa)を含む4量体の免疫グロブリンタンパク質を指す。「軽鎖」又は「免疫グロブリン軽鎖」という用語は、アミノ末端からカルボキシル末端への順序で、単一の免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)及び単一の免疫グロブリン軽鎖定常ドメイン(CL)を含むポリペプチドを指す。免疫グロブリン軽鎖定常ドメイン(CL)は、カッパー(κ)又はラムダ(λ)であり得る。「重鎖」又は「免疫グロブリン重鎖」という用語は、アミノ末端からカルボキシル末端への順序で、単一の免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン1(CH1)、免疫グロブリンヒンジ領域、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン2(CH2)、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン3(CH3)、及び任意選択で免疫グロブリン重鎖定常ドメイン4(CH4)を含むポリペプチドを指す。重鎖は、ミュー(μ)、デルタ(Δ)、ガンマ(γ)、アルファ(α)、及びイプシロン(ε)に分類され、それぞれIgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEとして抗体のアイソタイプを定義する。IgGクラスの抗体及びIgAクラスの抗体は、サブクラスへとさらに分類され、すなわち、それぞれIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、ならびにIgA1及びIgA2に分類される。IgG抗体、IgA抗体、及びIgD抗体における重鎖は、3つのドメイン(CH1、CH2、及びCH3)を有する一方、IgM抗体及びIgE抗体における重鎖は、4つのドメイン(CH1、CH2、CH3、及びCH4)を有する。免疫グロブリン重鎖定常ドメインは、サブタイプを含む任意の免疫グロブリンアイソタイプに由来し得る。抗体鎖は、CLドメインとCH1ドメインとの間(すなわち、軽鎖と重鎖との間)のポリペプチド間ジスルフィド結合、ならびに抗体重鎖のヒンジ領域間のポリペプチド間ジスルフィド結合を介して共に連結される
特定の実施形態では、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質及び四重特異性の抗原結合タンパク質は、ヘテロ2量体抗体(本明細書では、「ヘテロ免疫グロブリン」又は「ヘテロIg」と互換的に使用される)であり、これは、2つの異なる軽鎖及び2つの異なる重鎖を含む抗体を指す。
ヘテロ2量体抗体は、任意の免疫グロブリン定常領域を含み得る。本明細書で使用される「定常領域」という用語は、可変領域以外の、抗体のすべてのドメインを指す。定常領域は、抗原結合には直接的に関与しないが、さまざまなエフェクター機能を示す。上記のとおり、抗体は、その重鎖の定常領域のアミノ酸配列に応じて特定のアイソタイプ(IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM)ならびにサブタイプ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1 IgA2)に分類される。軽鎖定常領域は、例えば、カッパー型又はラムダ型の軽鎖定常領域であり得、例えば、ヒトのカッパー型又はラムダ型の軽鎖定常領域であり、こうした軽鎖定常領域は、5つすべての抗体アイソタイプに見られる。以下の表では、ヒトの免疫グロブリン軽鎖定常領域の配列の例が示される。
ヘテロ2量体抗体の重鎖定常領域は、例えば、アルファ型、デルタ型、イプシロン型、ガンマ型、又はミュー型の重鎖定常領域であり得、例えば、ヒトのアルファ型、デルタ型、イプシロン型、ガンマ型、又はミュー型の重鎖定常領域である。いくつかの実施形態では、ヘテロ2量体抗体は、IgG1免疫グロブリン、IgG2免疫グロブリン、IgG3免疫グロブリン、又はIgG4免疫グロブリンに由来する重鎖定常領域を含む。1つの実施形態では、ヘテロ2量体抗体は、ヒトのIgG1免疫グロブリンに由来する重鎖定常領域を含む。別の実施形態では、ヘテロ2量体抗体は、ヒトのIgG2免疫グロブリンに由来する重鎖定常領域を含む。以下の表5では、ヒトのIgG1重鎖定常領域及びIgG2重鎖定常領域の配列の例が示される。
上記の軽鎖定常領域及び重鎖定常領域に可変領域を付加することで、それぞれ完全な抗体軽鎖及び抗体重鎖を形成させてよい。さらに、そのようにして産生させた重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドのそれぞれを組み合わせることで、完全な二重特異性及び四重特異性の抗体構造を形成させてよく、例えば、ヘテロ2量体抗体を形成させてよい。本明細書で提供される重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、上記の例示配列とは異なる配列を有する他の定常ドメインにも付加することができると理解されるべきである。
本発明のある特定の実施形態では、本発明のヘテロ2量体分子を形成するために2つの異なる重鎖が使用される。二重特異性及び四重特異性のヘテロ2量体抗体への軽鎖と重鎖と会合を促進するために、それぞれの抗体に由来する軽鎖及び/又は重鎖は、誤った対を有する分子の形成が低減するように操作することができる。例えば、ホモ2量体形成に勝ってヘテロ2量体形成を促進させるための手法の1つは、いわゆる「ノブ・インテゥ・ホール」法であり、この方法では、接触境界面を対象として、2つの異なる抗体重鎖のCH3ドメインに変異が導入される。具体的には、一方の重鎖における1つ又は複数の嵩高いアミノ酸が、短い側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン又はスレオニン)と交換されることで「ホール」が創出され、もう一方の重鎖には、大きな側鎖を有する1つ又は複数のアミノ酸(例えば、チロシン又はトリプトファン)が導入されることで「ノブ」が創出される。改変重鎖が同時発現すると、ホモ2量体(ホール−ホール又はノブ−ノブ)と比較してヘテロ2量体(ノブ−ホール)が高い割合で形成される。「ノブ・インテゥ・ホール」の方法論は、WO96/027011、Ridgway et al.,Protein Eng.,Vol.9:617−621,1996、及びMerchant et al.,Nat,Biotechnol.,Vol.16:677−681,1998において詳細に記載されており、こうした文献はすべて、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
ヘテロ2量体の形成を促進してホモ2量体の形成を除外するための別の手法は、静電ステアリング機構を利用するものである(Gunasekaran et al.,J.Biol.Chem.,Vol.285:19637−19646,2010を参照のこと。当該文献は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)。この手法では、それぞれの重鎖におけるCH3ドメインに荷電残基が導入されるか、又はそこに存在する荷電残基が利用され、その結果、2つの異なる重鎖が、静電気的な引力を引き起こす反対電荷を介して会合する。同一の重鎖は同一の電荷を有し、それ故に反発するため、同一の重鎖がホモ2量体化することは不利である。この同一の静電ステアリング手法を、結合境界面を対象として、反対の電荷を有する残基を正しい軽鎖−重鎖対に導入することによって軽鎖と非同系重鎖との誤った対形成を防止するために使用することができる。ヘテロ2量体の形成及び軽鎖/重鎖の正しい対形成を促進するための静電ステアリング手法及び適した電荷対変異は、WO2009089004及びWO2014081955に記載されており、こうした文献は両方共、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質が、第1の標的抗原に特異的に結合する第1の抗体に由来する第1の軽鎖(LC1)及び第1の重鎖(HC1)と、標的2に特異的に結合する第2の抗体に由来する第2の軽鎖(LC2)及び第2の重鎖(HC2)と、を含むヘテロ2量体抗体である実施形態では、HC1又はHC2は、正に荷電したアミノ酸を負に荷電したアミノ酸と交換するための1つ又は複数のアミノ酸置換を含み得る。例えば、1つの実施形態では、HC1のCH3ドメイン又はHC2のCH3ドメインは、野生型のIgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、その結果、野生型のヒトIgGアミノ酸配列における1つ又は複数の正に荷電したアミノ酸(例えば、リジン、ヒスチジン、及びアルギニン)は、CH3ドメインにおける対応位置(複数可)で、1つ又は複数の負に荷電したアミノ酸(例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸)と交換されている。こうした実施形態及び他の実施形態では、370、392、及び409(EUの番号付けシステム)から選択される1つ又は複数の位置のアミノ酸(例えば、リジン)が、負に荷電したアミノ酸(例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸)と交換される。アミノ酸配列におけるアミノ酸置換は、典型的には、特定位置のアミノ酸残基の1文字略語と、それに続く、対象の元の配列に対するアミノ酸位置を示す数字と、さらにそれに続く、置換導入されるアミノ酸残基の1文字記号と、を用いて本明細書で指定される。例えば、「T30D」は、対象の元の配列に対する、アミノ酸位置30での、アスパラギン酸残基によるスレオニン残基の置換を記号で表すものである。別の例を挙げると、「S218G」は、対象の元のアミノ酸配列に対する、アミノ酸位置218での、グリシン残基によるセリン残基の置換を記号で示すものである。
ある特定の実施形態では、ヘテロ2量体抗体のHC1又はHC2は、負に荷電したアミノ酸を正に荷電したアミノ酸と交換するための1つ又は複数のアミノ酸置換を含み得る。例えば、1つの実施形態では、HC1のCH3ドメイン又はHC2のCH3ドメインは、野生型のIgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、その結果、野生型のヒトIgGアミノ酸配列における1つ又は複数の負に荷電したアミノ酸は、CH3ドメインにおける対応位置(複数可)で、1つ又は複数の正に荷電したアミノ酸と交換されている。こうした実施形態及び他の実施形態では、CH3ドメインの356、357、及び399(EUの番号付けシステム)から選択される1つ又は複数の位置のアミノ酸(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)が、正に荷電したアミノ酸(例えば、リジン、ヒスチジン、及びアルギニン)と交換される。
特定の実施形態では、ヘテロ2量体抗体は、位置392及び位置409に負に荷電したアミノ酸(例えば、K392D及びK409Dという置換)を含む第1の重鎖と、位置356及び位置399に正に荷電したアミノ酸(例えば、E356K及びD399Kという置換)を含む第2の重鎖と、を含む。別の特定の実施形態では、ヘテロ2量体抗体は、位置392、位置409、及び位置370に負に荷電したアミノ酸(例えば、K392D、K409D、及びK370Dという置換)を含む第1の重鎖と、位置356、位置399、及び位置357に正に荷電したアミノ酸(例えば、E356K、D399K、及びE357Kという置換)を含む第2の重鎖と、を含む。関連する実施形態では、第1の重鎖は、抗第1の標的抗原抗体に由来し、第2の重鎖は、抗第2の標的抗原抗体に由来する。
特定の重鎖とその同系軽鎖との会合を促進させるために、重鎖と軽鎖との両方に、相補性のアミノ酸置換を含めてよい。本明細書で使用される「相補性のアミノ酸置換」は、一方の鎖に正に荷電したアミノ酸を導入する置換と、もう一方の鎖に負に荷電したアミノ酸を導入する置換と、が対となる置換を指す。例えば、いくつかの実施形態では、重鎖は、荷電アミノ酸を導入するための少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、対応する軽鎖は、荷電アミノ酸を導入するための少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、重鎖に導入される荷電アミノ酸は、軽鎖に導入されるアミノ酸とは反対の電荷を有する。ある特定の実施形態では、LC1/HC1の結合境界面を対象として、1つ又は複数の正に荷電した残基(例えば、リジン、ヒスチジン、又はアルギニン)を第1の軽鎖(LC1)に導入することができ、1つ又は複数の負に荷電した残基(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)を、対となる重鎖(HC1)に導入することができ、一方、LC2/HC2の結合境界面を対象として、1つ又は複数の負に荷電した残基(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)を第2の軽鎖(LC2)に導入することができ、1つ又は複数の正に荷電した残基(例えば、リジン、ヒスチジン、又はアルギニン)を、対となる重鎖(HC2)に導入することができる。境界面において反対に荷電した残基(極性)は引力を生じさせるため、静電相互作用によって、LC1はHC1と対形成するように、及びLC2はHC2と対形成するように導かれることになる。境界面において同一に荷電した残基(極性)を有する重鎖/軽鎖対(例えば、LC1/HC2及びLC2/HC1)は反発することになり、その結果、HC/LCの不要な対形成が抑制される。
こうした実施形態及び他の実施形態では、重鎖のCH1ドメイン又は軽鎖のCLドメインは、野生型のIgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、その結果、野生型のIgGアミノ酸配列における1つ又は複数の正に荷電したアミノ酸は、1つ又は複数の負に荷電したアミノ酸と交換されている。あるいは、重鎖のCH1ドメイン又は軽鎖のCLドメインは、野生型のIgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、その結果、野生型のIgGアミノ酸配列における1つ又は複数の負に荷電したアミノ酸は、1つ又は複数の正に荷電したアミノ酸と交換されている。いくつかの実施形態では、F126、P127、L128、A141、L145、K147、D148、H168、F170、P171、V173、Q175、S176、S183、V185、及びK213から選択されるEU位置で、ヘテロ2量体抗体における第1の重鎖及び/又は第2の重鎖のCH1ドメインにおける1つ又は複数のアミノ酸が荷電アミノ酸と交換される。ある特定の実施形態では、負に荷電したアミノ酸又は正に荷電したアミノ酸との置換の対象となる重鎖残基は、S183(EUの番号付けシステム)である。いくつかの実施形態では、S183は、正に荷電したアミノ酸で置換される。代替の実施形態では、S183は、負に荷電したアミノ酸で置換される。例えば、1つの実施形態では、第1の重鎖におけるS183は、負に荷電したアミノ酸で置換(例えば、S183E)され、第2の重鎖におけるS183は、正に荷電したアミノ酸で置換(例えば、S183K)される。
軽鎖がカッパー軽鎖である実施形態では、F116、F118、S121、D122、E123、Q124、S131、V133、L135、N137、N138、Q160、S162、T164、S174、及びS176から選択される位置(カッパー軽鎖におけるEUの番号付け)で、ヘテロ2量体抗体における第1の軽鎖及び/又は第2の軽鎖のCLドメインにおける1つ又は複数のアミノ酸が荷電アミノ酸と交換される。軽鎖がラムダ軽鎖である実施形態では、T116、F118、S121、E123、E124、K129、T131、V133、L135、S137、E160、T162、S165、Q167、A174、S176、及びY178から選択される位置(ラムダ鎖におけるEUの番号付け)で、ヘテロ2量体抗体における第1の軽鎖及び/又は第2の軽鎖のCLドメインにおける1つ又は複数のアミノ酸が荷電アミノ酸と交換される。いくつかの実施形態では、負に荷電したアミノ酸又は正に荷電したアミノ酸との置換の対象となる残基は、カッパー軽鎖又はラムダ軽鎖のいずれかのCLドメインのS176(EUの番号付けシステム)である。ある特定の実施形態では、CLドメインのS176は、正に荷電したアミノ酸と交換される。代替の実施形態では、CLドメインのS176は、負に荷電したアミノ酸と交換される。1つの実施形態では、第1の軽鎖におけるS176は、正に荷電したアミノ酸で置換(例えば、S176K)され、第2の軽鎖におけるS176は、負に荷電したアミノ酸で置換(例えば、S176E)される。
CH1ドメイン及びCLドメインにおける相補性のアミノ酸置換に加えて、又はその代替えとして、ヘテロ2量体抗体における軽鎖及び重鎖の可変領域は、荷電アミノ酸を導入するための1つ又は複数の相補性のアミノ酸置換を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、ヘテロ2量体抗体の重鎖のVH領域又は軽鎖のVL領域は、野生型のIgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、その結果、野生型のIgGアミノ酸配列における1つ又は複数の正に荷電したアミノ酸は、1つ又は複数の負に荷電したアミノ酸と交換されている。あるいは、重鎖のVH領域又は軽鎖のVL領域は、野生型のIgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、その結果、野生型のIgGアミノ酸配列における1つ又は複数の負に荷電したアミノ酸は、1つ又は複数の正に荷電したアミノ酸と交換されている。
VH領域に含まれるV領域境界面残基(すなわち、VH領域とVL領域との会合を媒介するアミノ酸残基)には、EU位置1、EU位置3、EU位置35、EU位置37、EU位置39、EU位置43、EU位置44、EU位置45、EU位置46、EU位置47、EU位置50、EU位置59、EU位置89、EU位置91、及びEU位置93が含まれる。VH領域におけるこうした境界面残基の1つ又は複数を荷電(正荷電又は負荷電)アミノ酸で置換することができる。ある特定の実施形態では、第1の重鎖及び/又は第2の重鎖のVH領域におけるEU位置39のアミノ酸は、例えばリジンといった正に荷電したアミノ酸に対する置換が実施される。代替の実施形態では、第1の重鎖及び/又は第2の重鎖のVH領域におけるEU位置39のアミノ酸は、例えばグルタミン酸といった負に荷電したアミノ酸に対する置換が実施される。いくつかの実施形態では、第1の重鎖のVH領域におけるEU位置39のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸に対する置換(例えば、G39E)が実施され、第2の重鎖のVH領域におけるEU位置39のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸に対する置換(例えば、G39K)が実施される。いくつかの実施形態では、第1の重鎖及び/又は第2の重鎖のVH領域におけるEU位置44のアミノ酸は、例えばリジンといった正に荷電したアミノ酸に対する置換が実施される。代替の実施形態では、第1の重鎖及び/又は第2の重鎖のVH領域におけるEU位置44のアミノ酸は、例えばグルタミン酸といった負に荷電したアミノ酸に対する置換が実施される。ある特定の実施形態では、第1の重鎖のVH領域におけるEU位置44のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸に対する置換(例えば、G44E)が実施され、第2の重鎖のVH領域におけるEU位置44のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸に対する置換(例えば、G44K)が実施される。
VL領域に含まれるV領域境界面残基(すなわち、VH領域とVL領域との会合を媒介するアミノ酸残基)には、EU位置32、EU位置34、EU位置35、EU位置36、EU位置38、EU位置41、EU位置42、EU位置43、EU位置44、EU位置45、EU位置46、EU位置48、EU位置49、EU位置50、EU位置51、EU位置53、EU位置54、EU位置55、EU位置56、EU位置57、EU位置58、EU位置85、EU位置87、EU位置89、EU位置90、EU位置91、及びEU位置100が含まれる。VL領域における境界残基の1つ又は複数を荷電アミノ酸で置換することができ、こうした荷電アミノ酸は、好ましくは、同系重鎖のVH領域に導入されるものとは反対の電荷を有するアミノ酸である。いくつかの実施形態では、第1の軽鎖及び/又は第2の軽鎖のVL領域におけるEU位置100のアミノ酸は、例えばリジンといった正に荷電したアミノ酸に対する置換が実施される。代替の実施形態では、第1の軽鎖及び/又は第2の軽鎖のVL領域におけるEU位置100のアミノ酸は、例えばグルタミン酸といった負に荷電したアミノ酸に対する置換が実施される。ある特定の実施形態では、第1の軽鎖のVL領域におけるEU位置100のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸に対する置換(例えば、G100K)が実施され、第2の軽鎖のVL領域におけるEU位置100のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸に対する置換(例えば、G100E)が実施される。
ある特定の実施形態では、本発明のヘテロ2量体抗体は、第1の重鎖及び第2の重鎖ならびに第1の軽鎖及び第2の軽鎖を含み、第1の重鎖は、位置44(EU)、位置183(EU)、位置392(EU)、及び位置409(EU)にアミノ酸置換を含み、第2の重鎖は、位置44(EU)、位置183(EU)、位置356(EU)、及び位置399(EU)にアミノ酸置換を含み、第1の軽鎖及び第2の軽鎖は、位置100(EU)及び位置176(EU)にアミノ酸置換を含み、これらのアミノ酸置換によってこれらの位置に荷電アミノ酸が導入される。関連する実施形態では、第1の重鎖の位置44(EU)のグリシンは、グルタミン酸と交換され、第2の重鎖の位置44(EU)のグリシンは、リジンと交換され、第1の軽鎖の位置100(EU)のグリシンは、リジンと交換され、第2の軽鎖の位置100(EU)のグリシンは、グルタミン酸と交換され、第1の軽鎖の位置176(EU)のセリンは、リジンと交換され、第2の軽鎖の位置176(EU)のセリンは、グルタミン酸と交換され、第1の重鎖の位置183(EU)のセリンは、グルタミン酸と交換され、第1の重鎖の位置392(EU)のリジンは、アスパラギン酸と交換され、第1の重鎖の位置409(EU)のリジンは、アスパラギン酸と交換され、第2の重鎖の位置183(EU)のセリンは、リジンと交換され、第2の重鎖の位置356(EU)のグルタミン酸は、リジンと交換され、かつ/又は第2の重鎖の位置399(EU)のアスパラギン酸は、リジンと交換される。
他の実施形態では、本発明のヘテロ2量体抗体は、第1の重鎖及び第2の重鎖ならびに第1の軽鎖及び第2の軽鎖を含み、第1の重鎖は、位置183(EU)、位置392(EU)、及び位置409(EU)にアミノ酸置換を含み、第2の重鎖は、位置183(EU)、位置356(EU)、及び位置399(EU)にアミノ酸置換を含み、第1の軽鎖及び第2の軽鎖は、位置176(EU)にアミノ酸置換を含み、これらのアミノ酸置換によってこれらの位置に荷電アミノ酸が導入される。関連する実施形態では、第1の軽鎖の位置176(EU)のセリンは、リジンと交換され、第2の軽鎖の位置176(EU)のセリンは、グルタミン酸と交換され、第1の重鎖の位置183(EU)のセリンは、グルタミン酸と交換され、第1の重鎖の位置392(EU)のリジンは、アスパラギン酸と交換され、第1の重鎖の位置409(EU)のリジンは、アスパラギン酸と交換され、第2の重鎖の位置183(EU)のセリンは、リジンと交換され、第2の重鎖の位置356(EU)のグルタミン酸は、リジンと交換され、かつ/又は第2の重鎖の位置399(EU)のアスパラギン酸は、リジンと交換される。
さらに他の実施形態では、本発明のヘテロ2量体抗体は、第1の重鎖及び第2の重鎖ならびに第1の軽鎖及び第2の軽鎖を含み、第1の重鎖は、位置183(EU)、位置392(EU)、位置409(EU)、及び位置370(EU)にアミノ酸置換を含み、第2の重鎖は、位置183(EU)、位置356(EU)、位置399(EU)、及び位置357(EU)にアミノ酸置換を含み、第1の軽鎖及び第2の軽鎖は、位置176(EU)にアミノ酸置換を含み、これらのアミノ酸置換によってこれらの位置に荷電アミノ酸が導入される。関連する実施形態では、第1の軽鎖の位置176(EU)のセリンは、リジンと交換され、第2の軽鎖の位置176(EU)のセリンは、グルタミン酸と交換され、第1の重鎖の位置183(EU)のセリンは、グルタミン酸と交換され、第1の重鎖の位置392(EU)のリジンは、アスパラギン酸と交換され、第1の重鎖の位置409(EU)のリジンは、アスパラギン酸と交換され、第1の重鎖の位置370(EU)のリジンは、アスパラギン酸と交換され、第2の重鎖の位置183(EU)のセリンは、リジンと交換され、第2の重鎖の位置356(EU)のグルタミン酸は、リジンと交換され、第2の重鎖の位置399(EU)のアスパラギン酸は、リジンと交換され、かつ/又は第2の重鎖の位置357(EU)のグルタミン酸は、リジンと交換される。
定常ドメインはいずれも、ヘテロ2量体抗体の正しい構築を促進するために、上記の電荷対変異の1つ又は複数を含むように改変することができる。
本発明のヘテロ2量体抗体は、例えば、抗体が発現する宿主細胞の型に起因する翻訳後修飾により、重鎖及び軽鎖のいずれか1つに関して、N末端もしくはC末端又はそれらの両方から1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つのアミノ酸残基を欠く重鎖(複数可)及び/又は軽鎖(複数可)を含む抗体も包含する。例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞では、抗体重鎖からC末端のリジンが切断除去されることが多い。
ある特定の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、(i)第1の標的抗原に特異的に結合する第1の結合ドメインと、(ii)第2の標的抗原に特異的に結合する第2の結合ドメインと、(iii)ヒト免疫グロブリンFc領域と、を含み、結合ドメインの一方は、Fc領域のアミノ末端に位置し、もう一方の結合ドメインは、Fc領域のカルボキシル末端に位置する。いくつかのそのような実施形態では、第1の結合ドメイン及び第2の結合ドメインはそれぞれ、免疫グロブリン可変領域を含む。例えば、ある特定の実施形態では、第1の結合ドメインは、抗第1の標的抗原抗体に由来する第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1の重鎖可変領域(VH1)を含み、第2の結合ドメインは、抗第2の標的抗原抗体に由来する第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2の重鎖可変領域(VH2)を含む。
本明細書で使用される「Fc領域」という用語は、未変化の抗体をパパインで消化することによって産生し得る、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を指す。免疫グロブリンのFc領域は、一般に、CH2ドメイン及びCH3ドメインという2つの定常ドメインを含み、任意選択でCH4ドメインを含む。ある特定の実施形態では、Fc領域は、IgG1免疫グロブリン、IgG2免疫グロブリン、IgG3免疫グロブリン、又はIgG4免疫グロブリンに由来するFc領域である。いくつかの実施形態では、Fc領域は、ヒトIgG1免疫グロブリン又はヒトIgG2免疫グロブリンに由来するCH2ドメイン及びCH3ドメインを含む。Fc領域は、エフェクター機能を保持し得、こうしたエフェクター機能は、C1q結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、及び食作用などである。他の実施形態では、Fc領域は、エフェクター機能が低減又は除去されるように改変してよく、このことについては、本明細書でさらに詳細に記載される。
本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質のある特定の実施形態では、Fc領域のアミノ末端に位置する結合ドメイン(すなわち、アミノ末端結合ドメイン)は、本明細書に記載のペプチドリンカー又は免疫グロブリンヒンジ領域を介してFc領域のアミノ末端に融合したFab断片である。「免疫グロブリンヒンジ領域」は、免疫グロブリン重鎖のCH1ドメインとCH2ドメインとを連結するアミノ酸配列を指す。ヒトIgG1のヒンジ領域は、一般に、Glu216付近又はCys226付近からPro230付近までのアミノ酸配列として定義される。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、重鎖間ジスルフィド結合を形成する最初のシステイン残基及び最後のシステイン残基を同一の位置に配置することによってIgG1配列とのアライメントを実施してよく、こうしたヒンジ領域は、当業者であれば決定可能である。いくつかの実施形態では、アミノ末端結合ドメインは、ヒトIgG1ヒンジ領域を介してFc領域のアミノ末端に連結される。他の実施形態では、アミノ末端結合ドメインは、ヒトIgG2ヒンジ領域を介してFc領域のアミノ末端に連結される。1つの実施形態では、アミノ末端結合ドメイン(例えば、Fab断片)は、FabのCH1領域のカルボキシル末端を介してFc領域に融合される。
本明細書で使用される「改変重鎖」という用語は、免疫グロブリン重鎖、特に、ヒトIgG1重鎖又はヒトIgG2重鎖と、機能性抗体断片(例えば、Fab)又はその一部分(例えば、免疫グロブリン軽鎖もしくはFd断片)と、を含む融合タンパク質であって、断片又はその一部分が、任意選択でペプチドリンカーを介して、重鎖のC末端にそのN末端で融合される融合タンパク質を指す。
本発明の抗原結合タンパク質の実施形態のいくつかでは、Fc領域のカルボキシル末端に位置する結合ドメイン(すなわち、カルボキシル末端結合ドメイン)は、Fab断片である。そのような実施形態では、Fabは、Fab断片のVH領域のアミノ末端を介してペプチドリンカーを介してFc領域のカルボキシル末端(例えば、CH3ドメインのカルボキシル末端)に融合されるか、又は別の形で連結される。したがって、1つの実施形態では、Fabは、FabのVH領域のアミノ末端を介してFc領域に融合され、その結果、得られる融合タンパク質は、N末端からC末端への順序で、CH2ドメイン、CH3ドメイン、ペプチドリンカー、VH領域、及びCH1領域を含む。
カルボキシル末端FabにFc領域を連結するペプチドリンカーは、本明細書に記載のペプチドリンカーのいずれかであり得る。特定の実施形態では、カルボキシル末端Fab断片にFc領域を連結するペプチドリンカーは、長さが少なくとも5残基のアミノ酸である。他の実施形態では、カルボキシル末端Fab断片にFc領域を連結するペプチドリンカーは、長さが少なくとも8残基のアミノ酸である。カルボキシル末端Fab断片へのFc領域の連結に特に適したペプチドリンカーは、(GlyxSer)n(x=3又は4であり、n=2、3、4、5、又は6)などのグリシン−セリンリンカーである。1つの実施形態では、カルボキシル末端Fab断片にFc領域を連結するペプチドリンカーは、L10(G4S)2リンカー(配列番号10)である。別の実施形態では、カルボキシル末端Fab断片にFc領域を連結するペプチドリンカーは、L9又はG3SG4Sリンカー(配列番号11)である。
カルボキシル末端結合ドメインがFab断片である、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質の実施形態のいくつかでは、Fc領域のアミノ末端に位置する結合ドメイン(すなわち、アミノ末端結合ドメイン)もまた、Fab断片である。アミノ末端Fab断片は、本明細書に記載のペプチドリンカー又は免疫グロブリンヒンジ領域を介してFc領域のアミノ末端に融合させることができる。いくつかの実施形態では、アミノ末端Fab断片は、ヒトIgG1ヒンジ領域を介してFc領域のアミノ末端に連結される。他の実施形態では、アミノ末端Fab断片は、ヒトIgG2ヒンジ領域を介してFc領域のアミノ末端に連結される。1つの実施形態では、アミノ末端Fab断片は、FabのCH1領域のカルボキシル末端を介してFc領域に融合される。
いくつかの実施形態では、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質は、第2の標的に特異的に結合する第2の抗体に由来するFab断片のポリペプチド鎖の一方(例えば、重鎖(VH2−CH1))が第1の抗体の重鎖のカルボキシル末端に融合した、第1の標的に特異的に結合する第1の抗体を含む。そのような実施形態では、二重特異性の抗原結合タンパク質は、第2の抗体に由来するFab断片の残り半分(例えば、軽鎖(VL2−CL))を含むポリペプチド鎖も含む。本明細書では、この形式は「IgG−Fab」形式と称され、この型の分子の実施形態の1つは、図1に模式的に示される。したがって、ある特定の実施形態では、本発明は、二重特異性の多価抗原結合タンパク質を含み、当該抗原結合タンパク質は、(i)第1の抗体に由来する軽鎖と、(ii)第2の抗体のVH−CH1ドメインを含む第1のポリペプチドにペプチドリンカーを介して重鎖がそのカルボキシル末端で融合されることで改変重鎖を形成する、第1の抗体に由来する重鎖と、(iii)第2の抗体のVL−CLドメインを含む第2のポリペプチドと、を含む。二重特異性の抗原結合タンパク質は、2量体化すると、2つの改変重鎖と、第1の抗体に由来する2つの軽鎖と、第2の抗体に由来するFab断片の残り半分(Fd断片)を含む2つのポリペプチド鎖と、を含むホモ6量体となる。1つの実施形態では、第1のポリペプチドは、重鎖のカルボキシル末端に融合され、第2の抗体に由来するVHドメイン及びCH1ドメインを含み、第2のポリペプチドは、第2の抗体に由来するVLドメイン及びCLドメインを含む。
重鎖−軽鎖の正しい対形成を促進するために、本明細書に記載の電荷対変異又は相補性のアミノ酸置換を第1の抗体のFab領域(Fab1)又は第2の抗体のFab領域(Fab2)に導入することができる。例えば、いくつかの実施形態では、Fab1におけるVLドメインのEU位置38のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸(例えば、グルタミン酸)と交換され、Fab1におけるVHドメインのEU位置39のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸(例えば、リジン)と交換される。他の実施形態では、Fab1におけるVLドメインのEU位置38のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸(例えば、リジン)と交換され、Fab1におけるVHドメインのEU位置39のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸(例えば、グルタミン酸)と交換される。ある特定の実施形態では、Fab2におけるVLドメインのEU位置38のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸(例えば、グルタミン酸)と交換され、Fab2におけるVHドメインのEU位置39のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸(例えば、リジン)と交換される。他の実施形態では、Fab2におけるVLドメインのEU位置38のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸(例えば、リジン)と交換され、Fab2におけるVHドメインのEU位置39のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸(例えば、グルタミン酸)と交換される。
第2の抗体に由来するVH−CH1領域(すなわち、Fd断片)が第1の抗体の重鎖に融合される実施形態では、第1の抗体に由来する重鎖は、S183E変異(EUの番号付け)を含み、第1の抗体に由来する軽鎖は、S176K変異(EUの番号付け)を含み、第2の抗体に由来する軽鎖は、S176E変異(EUの番号付け)を含み、かつ第2の抗体に由来するFd領域(第1の抗体に由来する重鎖のC末端に融合される)は、S183K変異(EUの番号付け)を含む。他の実施形態では、第1の抗体に由来する重鎖は、G44E変異(EU)及びS183E変異(EUの番号付け)を含み、第1の抗体に由来する軽鎖は、G100K変異(EU)及びS176K変異(EUの番号付け)を含み、第2の抗体に由来する軽鎖は、G100E変異(EU)及びS176E変異(EUの番号付け)を含み、かつ第2の抗体に由来するFd領域(第1の抗体に由来する重鎖のC末端に融合される)は、G44K変異(EU)及びS183K変異(EUの番号付け)を含む。前述の例における電荷は、逆転させてよいが、但し、対応する軽鎖又は重鎖に存在する電荷も逆転させ、その結果、重鎖/軽鎖の正しい対が反対の電荷を有することが条件である。
1つの実施形態では、本発明は、二重特異性の4価抗原結合タンパク質を対象とし、当該抗原結合タンパク質は、
a)第1の重鎖可変領域(VH1)及び第1のCH1ドメインを含む第1の抗体の第1の重鎖を含む第1のポリペプチドであって、第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖可変領域(VH2)を含むポリペプチドのN末端に対して第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2のCH1ドメインのN末端に対してVH2がそのC末端を介して融合され、第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合し、
i)VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183からなる群から選択される残基位置に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、かつ
ii)VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183に対応する残基からなる群から選択される残基の位置に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第1のポリペプチドと、
b)a)に記載の第1の抗体の第1の軽鎖を含む第2のポリペプチドであって、第1の軽鎖が、第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第2のポリペプチドと、
c)a)に記載の第2の抗体の第2の軽鎖を含む第3のポリペプチドであって、第2の軽鎖が、第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第3のポリペプチドと、
を含む。
VH2及び第2のCH1ドメインに関する「に対応する」は、リンカーが存在しないのであれば、VH2及び第2のCH1ドメインのアミノ酸残基が第1の重鎖のC末端から数えられることを意味する。ペプチドリンカーが存在するのであれば、VH2及び第2のCH1ドメインのアミノ酸残基は、ペプチドリンカーのC末端から数えられる。いずれの場合においても、当該アミノ酸残基が第1の重鎖のN末端から数えられることはない。そうではなく、むしろ、VH2及び第2のCH1ドメインについては、計数はVH2ドメインの最初のアミノ酸残基から始まる。アミノ酸残基の計数は、EU又はAHoの慣習を使用して実施される。
ある特定の実施形態では、a)VH1又は第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したQ39K、G44K、及びS183Kからなる群から選択される変異を含み、b)VH2又は第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したQ39E、G44E、及びS183Eからなる群から選択される変異を含み、c)VL1又は第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したQ38E、G100E、及びS176Eからなる群から選択される変異を含み、かつd)VL2又は第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したQ38K、G100K、及びS176Kからなる群から選択される変異を含む。
ある特定の実施形態では、a)第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、b)第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、c)第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176E変異を含み、かつd)第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176K変異を含む。
ある特定の実施形態では、a)VH1は、EUの番号付けを使用したQ39K変異を含み、第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、b)VH2は、EUの番号付けを使用したQ39E変異を含み、第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、c)VL1は、EUの番号付けを使用したQ38E変異を含み、第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176E変異を含み、かつd)VL2は、EUの番号付けを使用したQ38K変異を含み、第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176K変異を含む。
ある特定の実施形態では、a)第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したG44K変異及びS183K変異を含み、b)第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したG44E変異及びS183E変異を含み、c)第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したG100E変異及びS176E変異を含み、かつd)第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したG100K変異及びS176K変異を含む。
1つの実施形態では、本発明は、二重特異性の4価抗原結合タンパク質を対象とし、当該抗原結合タンパク質は、
a)第1の重鎖可変領域(VH1)及び第1のCH1ドメインを含む第1の抗体の第1の重鎖を含む第1のポリペプチドであって、第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖可変領域(VH2)を含むポリペプチドのN末端に対して第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2のCH1ドメインのN末端に対してVH2がそのC末端を介して融合され、第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合し、
i)VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183からなる群から選択される残基位置に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、かつ
ii)VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183に対応する残基からなる群から選択される残基の位置に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第1のポリペプチドと、
b)a)に記載の第1の抗体の第1の軽鎖を含む第2のポリペプチドであって、第1の軽鎖が、第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第2のポリペプチドと、
c)a)に記載の第2の抗体の第2の軽鎖を含む第3のポリペプチドであって、第2の軽鎖が、第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第3のポリペプチドと、
を含む。
ある特定の実施形態では、a)VH1又は第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したQ39E、G44E、及びS183Eからなる群から選択される変異を含み、b)VH2又は第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したQ39K、G44K、及びS183Kからなる群から選択される変異を含み、c)VL1又は第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したQ38K、G100K、及びS176Kからなる群から選択される変異を含み、かつd)VL2又は第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したQ38E、G100E、及びS176Eからなる群から選択される変異を含む。
ある特定の実施形態では、a)第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、b)第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、c)第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176K変異を含み、かつd)第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176E変異を含む。
ある特定の実施形態では、a)VH1は、EUの番号付けを使用したQ39E変異を含み、第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、b)VH2は、EUの番号付けを使用したQ39K変異を含み、第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、c)VL1は、EUの番号付けを使用したQ38K変異を含み、第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176K変異を含み、かつd)VL2は、EUの番号付けを使用したQ38E変異を含み、第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176E変異を含む。
ある特定の実施形態では、a)第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したG44E変異及びS183E変異を含み、b)第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したG44K変異及びS183K変異を含み、c)第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したG100K変異及びS176K変異を含み、かつd)第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したG100E変異及びS176E変異を含む。
1つの実施形態では、本発明は、二重特異性の4価抗原結合タンパク質を対象とし、当該抗原結合タンパク質は、
a)第1の重鎖可変領域(VH1)及び第1のCH1ドメインを含む第1の抗体の第1の重鎖を含む第1のポリペプチドであって、第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖可変領域(VH2)を含むポリペプチドのN末端に対して第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2のCH1ドメインのN末端に対してVH2がそのC末端を介して融合され、第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合し、
i)VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183からなる群から選択される残基位置に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、かつ
ii)VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183に対応する残基からなる群から選択される残基の位置に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、電荷が第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の置換残基のものとは反対のものである、
第1のポリペプチドと、
b)a)に記載の第1の抗体の第1の軽鎖を含む第2のポリペプチドであって、第1の軽鎖が、第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、
位置38の電荷が、第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の位置39の置換残基のものとは反対のものであり、位置100の電荷が、第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の位置44の置換残基のものとは反対のものであり、位置176の電荷が、第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の位置183の置換残基のものとは反対のものである、
第2のポリペプチドと、
c)a)に記載の第2の抗体の第2の軽鎖を含む第3のポリペプチドであって、第2の軽鎖が、第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2のCL領域を含み、VL2又は第2のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、
位置38の電荷が、第2の重鎖のVH2又は第2のCH1の位置39の置換残基のものとは反対のものであり、位置100の電荷が、第2の重鎖のVH2又は第2のCH1の位置44の置換残基のものとは反対のものであり、位置176の電荷が、第2の重鎖のVH2又は第2のCH1の位置183の置換残基のものとは反対のものである、
第3のポリペプチドと、
を含む。
ある特定の実施形態では、a)VH1は、EUの番号付けを使用したQ39E変異を含み、第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、b)VH2は、EUの番号付けを使用したQ39K変異を含み、第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、c)VL1は、EUの番号付けを使用したQ38K変異を含み、第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176E変異を含み、かつd)VL2は、EUの番号付けを使用したQ38E変異を含み、第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176K変異を含む。
ある特定の実施形態では、a)第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したG44E変異及びS183K変異を含み、b)第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したG44K変異及びS183E変異を含み、c)第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したG100K変異及びS176E変異を含み、かつd)第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したG100E変異及びS176K変異を含む。
ある特定の実施形態では、a)VH1は、EUの番号付けを使用したQ39K変異を含み、第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183E変異を含み、b)VH2は、EUの番号付けを使用したQ39E変異を含み、第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したS183K変異を含み、c)VL1は、EUの番号付けを使用したQ38E変異を含み、第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176K変異を含み、かつd)VL2は、EUの番号付けを使用したQ38K変異を含み、第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したS176E変異を含む。
ある特定の実施形態では、a)第1のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したG44K変異及びS183E変異を含み、b)第2のCH1ドメインは、EUの番号付けを使用したG44E変異及びS183K変異を含み、c)第1のCLドメインは、EUの番号付けを使用したG100E変異及びS176K変異を含み、かつd)第2のCLドメインは、EUの番号付けを使用したG100K変異及びS176E変異を含む。
ある特定の実施形態では、第1の重鎖は、ペプチドリンカーを介してVH2に融合される。ある特定の実施形態では、ペプチドリンカーは、(Gly3Ser)2、(Gly4Ser)2、(Gly3Ser)3、(Gly4Ser)3、(Gly3Ser)4、(Gly4Ser)4、(Gly3Ser)5、(Gly4Ser)5、(Gly3Ser)6、及び(Gly4Ser)6からなる群から選択される配列を含む。こうした配列は、GGGSGGGS(配列番号933)、GGGGSGGGGS(配列番号934)、GGGSGGGSGGGS(配列番号935)、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号936)、GGGSGGGSGGGSGGGS(配列番号937)、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号938)、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGS(配列番号939)、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号940)、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGSGGGS(配列番号941)、及びGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号942)としても記載することができる。
1つの実施形態では、本発明は、二重特異性の4価抗原結合タンパク質の調製方法を対象とし、当該方法は、
1)宿主細胞における同時発現であって、
a)第1の重鎖可変領域(VH1)及び第1のCH1ドメインを含む第1の抗体の第1の重鎖を含む第1のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドであって、第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖可変領域(VH2)を含むポリペプチドのN末端に対して第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2のCH1ドメインのN末端に対してVH2がそのC末端を介して融合され、第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合し、
i)VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183からなる群から選択される残基位置に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、かつ
ii)VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183に対応する残基からなる群から選択される残基の位置に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第1のポリヌクレオチドと、
b)a)に記載の第1の抗体の軽鎖を含む第2のポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドであって、軽鎖が、第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第2のポリヌクレオチドと、
c)a)に記載の第2の抗体の軽鎖を含む第3のポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドであって、軽鎖が、第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第3のポリヌクレオチドと、
の同時発現、
2)ポリペプチドが産生する条件下での宿主細胞の培養、ならびに
3)宿主細胞からの抗原結合タンパク質の回収
を含む。
1つの実施形態では、本発明は、二重特異性の4価抗原結合タンパク質の調製方法を対象とし、当該方法は、
1)宿主細胞における同時発現であって、
a)第1の重鎖可変領域(VH1)及び第1のCH1ドメインを含む第1の抗体の第1の重鎖を含む第1のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドであって、第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖可変領域(VH2)を含むポリペプチドのN末端に対して第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2のCH1ドメインのN末端に対してVH2がそのC末端を介して融合され、第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合し、
i)VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183からなる群から選択される残基位置に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、かつ
ii)VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183に対応する残基からなる群から選択される残基の位置に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第1のポリヌクレオチドと、
b)a)に記載の第1の抗体の第1の軽鎖を含む第2のポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドであって、第1の軽鎖が、第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第2のポリヌクレオチドと、
c)a)に記載の第2の抗体の第2の軽鎖を含む第3のポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドであって、第2の軽鎖が、第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に負に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含む、
第3のポリヌクレオチドと、
の同時発現、
2)ポリペプチドが産生する条件下での宿主細胞の培養、ならびに
3)宿主細胞からの抗原結合タンパク質の回収
を含む。
1つの実施形態では、本発明は、二重特異性の4価抗原結合タンパク質の調製方法を対象とし、当該方法は、
1)宿主細胞における同時発現であって、
a)第1の重鎖可変領域(VH1)及び第1のCH1ドメインを含む第1の抗体の第1の重鎖を含む第1のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドであって、第1の抗体が第1の抗原に特異的に結合し、第2の抗体の第2の重鎖可変領域(VH2)を含むポリペプチドのN末端に対して第1の重鎖がそのC末端を介して融合され、第2のCH1ドメインのN末端に対してVH2がそのC末端を介して融合され、第2の抗体が第2の抗原に特異的に結合し、
i)VH1又は第1のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183からなる群から選択される残基位置に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、かつ
ii)VH2又は第2のCH1ドメインが、EUの番号付けを使用した位置39、位置44、及び位置183に対応する残基からなる群から選択される残基の位置に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、電荷が第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の置換残基のものとは反対のものである、
第1のポリヌクレオチドと、
b)a)に記載の第1の抗体の軽鎖を含む第2のポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドであって、軽鎖が、第1の軽鎖可変領域(VL1)及び第1のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に荷電アミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、
位置38の電荷が、第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の位置39の置換残基のものとは反対のものであり、位置100の電荷が、第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の位置44の置換残基のものとは反対のものであり、位置176の電荷が、第1の重鎖のVH1又は第1のCH1の位置183の置換残基のものとは反対のものである、
第2のポリヌクレオチドと、
c)a)に記載の第2の抗体の軽鎖を含む第3のポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドであって、軽鎖が、第2の軽鎖可変領域(VL2)及び第2のCL領域を含み、VL1又は第1のCLドメインが、EUの番号付けを使用した位置38、位置100、及び位置176からなる群から選択される残基位置に正に荷電したアミノ酸を導入するためのアミノ酸置換を少なくとも1つ含み、
位置38の電荷が、第2の重鎖のVH2又は第2のCH1の位置39の置換残基のものとは反対のものであり、位置100の電荷が、第2の重鎖のVH2又は第2のCH1の位置44の置換残基のものとは反対のものであり、位置176の電荷が、第2の重鎖のVH2又は第2のCH1の位置183の置換残基のものとは反対のものである、
第3のポリヌクレオチドと、
の同時発現、
2)ポリペプチドが産生する条件下での宿主細胞の培養、ならびに
3)宿主細胞からの抗原結合タンパク質の回収
を含む。
さらに、又はあるいは、重鎖−軽鎖の正しい対形成は、カルボキシル末端Fab結合ドメインにおいてCH1ドメインとCLドメインとを交換することによって促進し得る。例として、第1のポリペプチドは、重鎖のカルボキシル末端に融合され、第2の抗体に由来するVLドメイン及びCH1ドメインを含み得、第2のポリペプチドは、第2の抗体に由来するVHドメイン及びCLドメインを含み得る。別の実施形態では、第1のポリペプチドは、重鎖のカルボキシル末端に融合され、第2の抗体に由来するVHドメイン及びCLドメインを含み得、第2のポリペプチドは、第2の抗体に由来するVLドメイン及びCH1ドメインを含み得る。
本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質の重鎖定常領域又はFc領域は、抗原結合タンパク質のグリコシル化及び/又はエフェクター機能に影響を与える1つ又は複数のアミノ酸置換を含み得る。免疫グロブリンのFc領域の機能の1つは、免疫グロブリンがその標的にいつ結合したかを免疫系に情報伝達することである。これは、一般に、「エフェクター機能」と称される。情報伝達が行われると、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)が生じる。ADCC及びADCPは、免疫系細胞の表面に存在するFc受容体へのFc領域の結合を介して媒介される。CDCは、例えばC1qといった、補体系のタンパク質とFcとの結合を介して媒介される。いくつかの実施形態では、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質は、ADCC活性、CDC活性、ADCP活性を含むエフェクター機能、及び/又は抗原結合タンパク質のクリアランスもしくは半減期を増進させるための1つ又は複数のアミノ酸置換を定常領域に含む。エフェクター機能を増進させることができるアミノ酸置換の例(EUの番号付け)には、限定はされないが、E233L、L234I、L234Y、L235S、G236A、S239D、F243L、F243V、P247I、D280H、K290S、K290E、K290N、K290Y、R292P、E294L、Y296W、S298A、S298D、S298V、S298G、S298T、T299A、Y300L、V305I、Q311M、K326A、K326E、K326W、A330S、A330L、A330M、A330F、I332E、D333A、E333S、E333A、K334A、K334V、A339D、A339Q、P396L、又はこうしたアミノ酸置換の任意の組み合わせが含まれる。
他の実施形態では、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質は、エフェクター機能を低減するための1つ又は複数のアミノ酸置換を定常領域に含む。エフェクター機能を低減することができるアミノ酸置換の例(EUの番号付け)には、限定はされないが、C220S、C226S、C229S、E233P、L234A、L234V、V234A、L234F、L235A、L235E、G237A、P238S、S267E、H268Q、N297A、N297G、V309L、E318A、L328F、A330S、A331S、P331S、又はこうしたアミノ酸置換の任意の組み合わせが含まれる。
グリコシル化は、抗体、特に、IgG1抗体のエフェクター機能に寄与し得る。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質は、結合タンパク質のグリコシル化のレベル又は型に影響を与える1つ又は複数のアミノ酸置換を含み得る。ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、N−結合型又はO−結合型のいずれかである。N−結合型は、アスパラギン残基の側鎖に糖質部分が付加していることを指す。アスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−スレオニン(Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)というトリペプチド配列は、アスパラギン側鎖に糖質部分が酵素的に付加されるための認識配列である。したがって、こうしたトリペプチド配列のいずれかがポリペプチドに存在すると、潜在的なグリコシル化部位が創出される。O−結合型のグリコシル化は、糖であるN−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの1つが、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンに付加されることを指すが、5−ヒドロキシプロリン又は5−ヒドロキシリジンも使用され得る。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質のグリコシル化は、1つ又は複数のグリコシル化部位を、例えば、結合タンパク質のFc領域に追加することによって増加する。抗原結合タンパク質へのグリコシル化部位の追加は、(N−結合型のグリコシル化部位については)1つ又は複数の上記のトリ−ペプチド配列を抗原結合タンパク質が含むようにアミノ酸配列を改変することによって好都合に達成することができる。改変は、(O−結合型のグリコシル化部位については)1つもしくは複数のセリン残基もしくはスレオニン残基を出発配列に追加するか、又は1つもしくは複数のセリン残基もしくはスレオニン残基によって出発配列を置換することによって実施してもよい。簡便には、抗原結合タンパク質のアミノ酸配列は、DNAレベルでの変更を介して改変してよく、具体的には、標的ポリペプチドをコードするDNAを事前選択塩基で変異させることによって改変してよく、その結果、所望のアミノ酸へと翻訳されることになるコドンが産生される。
本発明は、エフェクター活性の改変をもたらす改変糖質構造を有する二重特異性の抗原結合タンパク質分子の産生も包含し、こうした抗原結合タンパク質には、フコシル化が欠如又は低減しており、ADCC活性の改善を示す抗原結合タンパク質が含まれる。フコシル化を低減又は除去するための方法は、当該技術分野においてさまざまなものが知られている。例えば、ADCCエフェクター活性は、FcγRIII受容体への抗体分子の結合によって媒介され、これは、CH2ドメインのN297残基のN−結合型のグリコシル化によって生じる糖質構造に依存することが示されている。天然のフコシル化抗体と比較して、非フコシル化抗体は高親和性でこの受容体に結合し、FcγRIII媒介性のエフェクター機能をより効率的に引き起こす。例えば、アルファ−1,6−フコシルトランスフェラーゼ酵素がノックアウトされたCHO細胞において非フコシル化抗体を組換えで産生させると、ADCC活性が100倍に増加した抗体が得られる(Yamane−Ohnuki et al.,Biotechnol Bioeng.87(5):614−22,2004を参照のこと)。アルファ−1,6−フコシルトランスフェラーゼ酵素又はフコシル化経路における他の酵素の活性の低減を介して類似の効果を達成することができ、こうした類似の効果は、例えば、siRNAもしくはアンチセンスRNAでの処理、細胞株の酵素(複数)のノックアウト操作、又は選択的なグリコシル化阻害剤を含めた培養を介して達成することができる(Rothman et al.,Mol Immunol.26(12):1113−23,1989を参照のこと)。例えば、Lec13又はラットのハイブリドーマであるYB2/0細胞株といった、いくつかの宿主細胞株は、フコシル化レベルが低下した抗体を自然に産生する(Shields et al.,J Biol Chem.277(30):26733−40,2002、及びShinkawa et al.,J Biol Chem.278(5):3466−73,2003を参照のこと)。例えば、GnTIII酵素を過剰発現する細胞において抗体を組換えで産生させることで分岐型糖質のレベルを増加させても、ADCC活性が増加することが突き止められた(Umana et al.,Nat Biotechnol.17(2):176−80,1999を参照のこと)。
他の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質のグリコシル化は、例えば、結合タンパク質のFc領域から1つ又は複数のグリコシル化部位を除去することによって低減又は除去される。N−結合型のグリコシル化部位を除去又は改変するアミノ酸置換は、抗原結合タンパク質のN−結合型のグリコシル化を低減又は除去することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質は、位置N297(EUの番号付け)において、N297Q、N297A、又はN297Gなどの変異を含む。1つの特定の実施形態では、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質は、N297G変異を有するヒトIgG1抗体に由来するFc領域を含む。N297に変異を含む分子の安定性を改善するために、分子のFc領域をさらに操作してよい。例えば、いくつかの実施形態では、2量体の状態におけるジスルフィド結合の形成を促進するために、Fc領域におけるアミノ酸の1つ又は複数がシステインで置換される。したがって、IgG1のFc領域のV259、A287、R292、V302、L306、V323、又はI332(EUの番号付け)に対応する残基をシステインで置換してよい。1つの実施形態では、特定の残基対がシステインで置換され、その結果、そうした残基対が互いにジスルフィド結合を優先的に形成することによってジスルフィド結合の混成が限定又は防止される。ある特定の実施形態では、対には、限定はされないが、A287CとL306C、V259CとL306C、R292CとV302C、ならびにV323CとI332Cが含まれる。特定の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質は、R292C及びV302Cという変異を有するヒトIgG1抗体に由来するFc領域を含む。そのような実施形態では、Fc領域は、N297G変異も含み得る。
例えば、サルベージ受容体結合エピトープの組み込み又は付加(例えば、適切な領域の変異によるものか、又は抗原結合タンパク質のいずれかの末端もしくは中間に融合することになるペプチドタグに対して、例えば、DNA合成もしくはペプチド合成によってエピトープを組み込むことによるものである。例えば、WO96/32478を参照のこと)、あるいはPEG又は多糖ポリマーを含む他の水溶性ポリマーなどの分子の付加によって血清中半減期を増加させるために本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質を改変することも望ましくあり得る。Fc領域の1つ又は2つのループに由来するアミノ酸残基のいずれか1つ又は複数が抗原結合タンパク質における類似の位置に導入された領域をサルベージ受容体結合エピトープが構成することが好ましい。1つの実施形態では、Fc領域の1つ又は2つのループに由来する残基の3つ以上の残基が導入される。1つの実施形態では、エピトープは、Fc領域(例えば、IgGのFc領域)のCH2ドメインから得られ、抗原結合タンパク質のCH1、CH3、もしくはVH領域、又は複数のそのような領域に導入される。あるいは、エピトープは、Fc領域のCH2ドメインから得られ、抗原結合タンパク質のCL領域もしくはVL領域、又はそれらの両方に導入される。Fc変異体及びサルベージ受容体とのその相互作用の説明については、WO97/34631及びWO96/32478を参照のこと。
本発明は、本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質及びその構成成分をコードする1つ又は複数の単離された核酸を含む。本発明の核酸分子には、1本鎖形態と2本鎖との両方のDNA及びRNA、ならびに対応する相補性配列が含まれる。DNAには、例えば、cDNA、ゲノムDNA、化学的に合成されたDNA、PCRによって増幅されたDNA、及びそれらの組み合わせが含まれる。本発明の核酸分子には、全長の遺伝子又はcDNA分子、ならびにそれらの断片の組み合わせが含まれる。1つの実施形態では、本発明の核酸は、ヒトの供給源に由来するが、本発明は、非ヒト種に由来するものも含む。
免疫グロブリンもしくはその領域(例えば、可変領域、Fc領域等)又は対象のポリペプチドに由来する関連アミノ酸配列は、タンパク質を直接的に配列決定することによって決定してよく、一般的なコドン表に従って適切なコードヌクレオチド配列を設計することができる。あるいは、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質の結合ドメインの由来元となり得るモノクローナル抗体をコードするゲノムDNA又はcDNAは、通常の手順(例えば、モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合する能力を有するオリゴヌクレオチドプローブを使用することによるもの)を使用し、そのような抗体を産生する細胞から単離及び配列決定することができる。
本明細書では、「単離された核酸」は、「単離されたポリヌクレオチド」と互換的に使用され、天然に生じる供給源から単離された核酸の場合、核酸が単離された生物のゲノムに存在する隣接遺伝配列から分離された核酸である。例えば、PCR産物、cDNA分子、又はオリゴヌクレオチドなどの、鋳型から酵素的に合成される核酸又は化学的に合成される核酸の場合、そのようなプロセスから得られる核酸は、単離された核酸であると理解される。単離された核酸分子は、独立した断片又は大型の核酸構築物の構成成分の形態における核酸分子を指す。1つの実施形態では、核酸には、内在性の材料は実質的に混入していない。核酸分子は、実質的に純粋な形態、かつ標準的な生化学的方法(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1989)において概要が示されるものなど)によってその構成成分であるヌクレオチド配列の同定、操作、及び回収が可能になる量又は濃度で、少なくとも一度は単離されたDNA又はRNAから得られたものである。そのような配列は、典型的には真核生物の遺伝子に存在する内部非翻訳配列又はイントロンによって中断されないオープンリーディングフレームの形態において提供及び/又は構築される。非翻訳DNAの配列は、オープンリーディングフレームの5’側又は3’側に存在し得、この場合、こうした配列がコード領域の操作又は発現を妨害することはない。別段の記載がない限り、本明細書で議論される任意の1本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は5’末端であり、2本鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向は、5’方向と称される。新生RNA転写物は、5’から3’の方向で産生し、この方向は、転写方向と称される。RNA転写物と同一の配列を有するDNA鎖に存在し、RNA転写物の5’末端に対して5’側に位置する配列領域は、「上流配列」と称される。RNA転写物と同一の配列を有するDNA鎖に存在し、RNA転写物の3’末端に対して3’側に位置する配列領域は、「下流配列」と称される。
本発明は、本明細書に記載のポリペプチドをコードする核酸に対して、中程度の厳密条件下及び高度の厳密条件下でハイブリダイズする核酸も含む。ハイブリダイゼーション条件の選択に影響を与える基本パラメーター、及び適切な条件を考案するためのガイダンスは、Sambrook,Fritsch,and Maniatis(1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,chapters 9 and 11、及びCurrent Protocols in Molecular Biology,1995,Ausubel et al.,eds.,John Wiley & Sons,Inc.,sections 2.10 and 6.3−6.4)によって示されており、こうした条件は、当業者であれば、例えば、DNAの長さ及び/又は基本組成に基づいて容易に決定することができる。中程度の厳密条件を達成する方法の1つでは、5xSSC、0.5%のSDS、1.0mMのEDTA(pH8.0)を含む事前洗浄液、約50%のホルムアミド、6xSSCを含むハイブリダイゼーション緩衝液、及び約55℃のハイブリダイゼーション温度(又は約50%のホルムアミドを含むものなどの、他の類似のハイブリダイゼーション溶液が約42℃のハイブリダイゼーション温度で使用される)、ならびに0.5xSSC、0.1%のSDSにおいて約60℃で行う洗浄条件が使用される。一般に、高度の厳密条件は上記のハイブリダイゼーション条件として定義されるが、洗浄は、0.2xSSC、0.1%のSDSにおいて約68℃で実施される。ハイブリダイゼーション緩衝液及び洗浄緩衝液において、SSC(lxSSCは、0.15MのNaCl及び15mMのクエン酸ナトリウムである)の代わりにSSPE(lxSSPEは、0.15MのNaCl、10mMのNaH2PO4、及び1.25mMのEDTA、pH7.4である)を使用することができる。洗浄は、ハイブリダイゼーションが完了した後に15分間実施される。ハイブリダイゼーション反応及び2本鎖の安定性を決定する基本原理を適用することによって所望の度合いの厳密性を達成するために、必要に応じて洗浄温度及び洗浄塩濃度を調節することができると理解されるべきであり、こうしたことは当業者に知られており、以下にさらに記載される(例えば、Sambrook et al.,1989を参照のこと)。配列が未知の標的核酸に核酸をハイブリダイズさせるとき、ハイブリッドの長さは、ハイブリダイズさせる核酸のものになると想定される。配列が既知の核酸をハイブリダイズさせるとき、ハイブリッドの長さは、核酸の配列をアライメントし、最適な配列相補性を有する1つ又は複数の領域を同定することによって決定できる。ハイブリッドの長さが50塩基対未満となることが予測される場合、ハイブリダイゼーション温度は、ハイブリッドの融解温度(Tm)を5〜10℃下回るようにするべきであり、Tmは、下記の式に従って決定される。長さが18塩基対未満のハイブリッドについては、Tm(℃)=2(A+Tの塩基数)+4(G+Cの塩基数)。長さが18塩基対を超えるハイブリッドについては、Tm(℃)=81.5+16.6(log10[Na+])+0.41(G+Cの%)−(600/N)(Nは、ハイブリッドの塩基数であり、[Na+]は、ハイブリダイゼーション緩衝液におけるナトリウムイオンの濃度である(lxSSCの[Na+]=0.165M))。1つの実施形態では、ハイブリダイズさせるそのような核酸はそれぞれ、少なくとも15ヌクレオチド(もしくは少なくとも18ヌクレオチド、もしくは少なくとも20ヌクレオチド、もしくは少なくとも25ヌクレオチド、もしくは少なくとも30ヌクレオチド、もしくは少なくとも40ヌクレオチド、もしくは少なくとも50ヌクレオチド)の長さを有するか、又はそのハイブリダイズ対象となる本発明の核酸の長さの少なくとも25%(もしくは少なくとも50%、もしくは少なくとも60%、もしくは少なくとも70%、もしくは少なくとも80%)を有し、そのハイブリダイズ対象となる本発明の核酸と少なくとも60%の配列同一性(あるいは少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%、又は少なくとも99.5%)を有するものであり、配列同一性は、上により詳細に記載される配列ギャップを最小化しつつ、重なり及び同一性が最大化するようにアライメントを実施し、ハイブリダイズさせる核酸の配列を比較することによって決定される。
カセットもしくはPCRによる変異導入又は当該技術分野においてよく知られる他の手法を使用し、ポリペプチドをコードするDNAにおけるヌクレオチドの部位特異的変異により変異体をコードするDNAを産生させた後、本明細書に概要が示される細胞培養において組換えDNAを発現させることによって本明細書に記載の抗原結合タンパク質の変異体を調製することができる。しかしながら、確立された手法を使用するインビトロの合成によって、最大で約100〜150残基を有する変異CDRを含む抗原結合タンパク質を調製してよい。変異体は、典型的には、例えば抗原への結合といった、天然に生じるアナログと質的に同一の生物学的活性を示す。そのような変異体は、例えば、抗原結合タンパク質のアミノ酸配列内に、残基の欠失及び/又は挿入及び/又は置換を含む。最終的な構築物を得るために、欠失、挿入、及び置換が任意の組み合わせで実施されるが、但し、最終構築物が所望の特性を有することが条件である。アミノ酸の変更を実施すると、抗原結合タンパク質の翻訳後プロセスも改変され得る。こうした変更は、グリコシル化部位の数又は位置の変更などである。ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質の変異体は、エピトープへの結合に直接的に関与するアミノ酸残基の改変を意図して調製される。他の実施形態では、本明細書で議論される目的では、エピトープへの結合に直接的に関与しない残基、又はいかなる様式でもエピトープへの結合に関与しない残基を改変することが望ましい。CDR領域及び/又はフレームワーク領域のいずれかへの変異導入が企図される。当業者であれば、抗原結合タンパク質のアミノ酸配列における有用な改変を設計するために共分散分析手法を用いることができる。例えば、Choulier,et al.,Proteins 41:475−484,2000、Demarest et al.,J.Mol.Biol.335:41−48,2004、Hugo et al.,Protein Engineering 16(5):381−86,2003、Aurora et al.,米国特許公開第2008/0318207A1号、Glaser et al.,米国特許公開第2009/0048122A1号、Urech et al.,WO2008/110348A1、Borras et al.,WO2009/000099A2を参照のこと。共分散分析によって決定されるそのような改変は、抗原結合タンパク質の効力、薬物動態、薬力学、及び/又は製造可能特性を改善することができる。
本発明の核酸配列。当業者であれば理解するであろうが、遺伝コードは縮重しているため、極めて多数の核酸を調製してよく、そのすべてが本発明のCDR(ならびに本明細書に記載の抗原結合タンパク質の重鎖及び軽鎖又は他の構成成分)をコードする。したがって、当業者であれば、特定のアミノ酸配列を同定し、コードされるタンパク質のアミノ酸配列に変更が生じない様式で、1つ又は複数のコドンの配列を単に改変することによって任意の数の異なる核酸を調製することが可能である。
本発明は、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質の1つ又は複数の構成成分(例えば、可変領域、軽鎖、重鎖、改変重鎖、及びFd断片)をコードする1つ又は複数の核酸を含むベクターも含む。「ベクター」という用語は、タンパク質のコード情報を宿主細胞に導入するために使用される任意の分子又は実体(例えば、核酸、プラスミド、バクテリオファージ、又はウイルス)を指す。ベクターの例には、限定はされないが、プラスミド、ウイルスベクター、非エピソーム哺乳類ベクター、及び例えば、組換え発現ベクターといった発現ベクターが含まれる。本明細書で使用される「発現ベクター」又は「発現構築物」という用語は、所望のコード配列と、機能可能なように連結されたコード配列の特定の宿主細胞における発現に必要な適切な核酸制御配列と、を含む組換えDNA分子を指す。発現ベクターは、限定はされないが、それに対して機能可能なように連結されたコード領域の転写、翻訳に影響を与えるか、又はそれらを制御する配列、及びイントロンが存在するのであれば、当該コード領域のRNAのスプライシングに影響を与える配列を含み得る。原核生物における発現に必要な核酸配列は、プロモーター、任意選択でオペレーター配列、リボソーム結合部位、及び恐らくは他の配列を含む。真核細胞は、プロモーター、エンハンサー、ならびに終結シグナル及びポリアデニル化シグナルを利用することが知られている。望まれるのであれば、細胞からの対象のポリペプチドの単離の容易性を向上させるために、分泌シグナルペプチド配列もまた、任意選択で発現ベクターによってコードさせ、対象のコード配列に機能可能なように連結することができ、その結果、組換え宿主細胞に発現ポリペプチドを分泌させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、シグナルペプチド配列は、本発明のポリペプチド配列のいずれかのアミノ末端に付加/融合させてよい。ある特定の実施形態では、本発明のポリペプチド配列のいずれかのアミノ末端に対して、MDMRVPAQLLGLLLLWLRGARC(配列番号943)のアミノ酸配列を有するシグナルペプチドが融合される。他の実施形態では、本発明のポリペプチド配列のいずれかのアミノ末端に対して、MAWALLLLTLLTQGTGSWA(配列番号944)のアミノ酸配列を有するシグナルペプチドが融合される。さらに他の実施形態では、本発明のポリペプチド配列のいずれかのアミノ末端に対して、MTCSPLLLTLLIHCTGSWA(配列番号945)のアミノ酸配列を有するシグナルペプチドが融合される。本明細書に記載のポリペプチド配列のアミノ末端に融合することができる他の適したシグナルペプチド配列には、MEAPAQLLFLLLLWLPDTTG(配列番号946)、MEWTWRVLFLVAAATGAHS(配列番号947)、METPAQLLFLLLLWLPDTTG(配列番号948)、METPAQLLFLLLLWLPDTTG(配列番号949)、MKHLWFFLLLVAAPRWVLS(配列番号950)、及びMEWSWVFLFFLSVTTGVHS(配列番号951)が含まれる。他のシグナルペプチドが当業者に知られており、例えば、特定の宿主細胞における発現を促進又は最適化するために、本発明のポリペプチド鎖のいずれかにこうした他のシグナルペプチドを融合させてよい。
典型的には、本発明の二重特異性の抗原タンパク質を産生させるために宿主細胞において使用される発現ベクターは、プラスミドを維持するための配列、ならびに二重特異性の抗原結合タンパク質の構成成分をコードする外来性のヌクレオチド配列のクローン化及び発現のための配列を含むことになる。そのような配列は、まとめて「隣接配列」と称され、ある特定の実施形態では、典型的には、下記のヌクレオチド配列の1つ又は複数を含むことになる:プロモーター、1つ又は複数のエンハンサー配列、複製起点、転写終結配列、ドナースプライス部位及びアクセプタースプライス部位を含む完全イントロン配列、ポリペプチドの分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現することになるポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、ならびに選択可能マーカー要素。こうした配列はそれぞれ、以下に議論される。
任意選択で、ベクターは、「タグ」をコードする配列を含み得、こうした配列は、すなわち、ポリペプチドをコードする配列の5’末端又は3’末端に位置するオリゴヌクレオチド分子である。オリゴヌクレオチドタグ配列は、ポリHis(ヘキサHisなど)、FLAG、HA(インフルエンザウイルスのヘマグルチニン(hemaglutinin))、myc、又はそれに対する市販抗体が存在する別の「タグ」分子をコードする。このタグは、典型的には、ポリペプチドの発現に際してポリペプチドに融合され、宿主細胞からの親和性によるポリペプチドの精製又は検出の手段として役立てることができる。親和性による精製は、例えば、タグに対する抗体を親和性マトリックスとして使用するカラムクロマトグラフィーによって達成することができる。その後、任意選択で、切断のためにある特定のペプチダーゼを使用するなど、さまざまな手段によって精製ポリペプチドからタグを除去することができる。
隣接配列は、同種性(すなわち、宿主細胞と同一の種及び/もしくは株に由来する)、異種性(すなわち、宿主細胞の種もしくは株以外の種に由来する)、ハイブリッド(すなわち、複数の供給源に由来する隣接配列の組み合わせ)、合成のもの、又は天然のものであり得る。したがって、隣接配列の供給源は、任意の原核生物もしくは真核生物、任意の脊椎生物もしくは無脊椎生物、又は任意の植物であり得るが、但し、隣接配列が機能性であり、宿主の細胞機構によって活性化可能であることが条件である。
本発明のベクターにおいて有用な隣接配列は、当該技術分野においてよく知られるいくつかの方法のいずれによって得てもよい。典型的には、本明細書での有用な隣接配列は、マッピング及び/又は制限エンドヌクレアーゼによる消化によって事前に同定されることになるため、適切な制限エンドヌクレアーゼを使用し、適切な組織源から単離することができる。場合によっては、隣接配列のヌクレオチド配列のすべてが既知であり得る。この場合、日常的な核酸合成方法又は核酸クローン化方法を使用し、隣接配列を合成してよい。
隣接配列のすべてが既知であるか、又はその一部分のみが既知であるかを問わず、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して隣接配列を得てよく、かつ/又は同一の種もしくは別の種に由来するオリゴヌクレオチド及び/もしくは隣接配列断片などの適したプローブを用いたゲノムライブラリーのスクリーニングによって隣接配列を得てよい。隣接配列が未知である場合、隣接配列を含むDNAの断片は、例えば、コード配列又は1つもしくは複数の別の遺伝子さえ含み得るDNAの大型断片から単離してよい。制限エンドヌクレアーゼによる消化によって適切なDNA断片を産生させた後、アガロースゲルによる精製、Qiagen(登録商標)のカラムクロマトグラフィー(Chatsworth,CA)、又は当業者に知られる他の方法を使用した単離によって単離を達成してよい。当業者であればこの目的を達成するための適した酵素の選択を容易に考えつくであろう。
複製起点は、典型的には、市販の原核生物発現ベクターの一部であり、起点は、宿主細胞におけるベクターの増幅に役立つ。選択するベクターが複製起点部位を含まないのであれば、既知の配列に基づいて化学的に合成し、ベクターに連結してよい。例えば、プラスミドpBR322(New England Biolabs,Beverly,MA)に由来する複製起点は、ほとんどのグラム陰性細菌に適しており、さまざまなウイルス性の起点(例えば、SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、又はHPVもしくはBPVなどのパピローマウイルス)が哺乳類細胞におけるベクターのクローン化に有用である。一般に、複製の起点成分は、哺乳類の発現ベクターには不要である(例えば、SV40の起点は、それがウイルス性の初期プロモーターも含むという理由だけで使用されることが多い)。
転写終結配列は、典型的には、ポリペプチドをコードする領域の末端に対して3’側に位置し、転写の終結に役立つ。通常、原核細胞における転写終結配列は、G−C含量の高い断片であり、ポリ−T配列が後に続く。この配列は、ライブラリーから容易にクローン化されるか、又はベクターの一部として商業的に購入さえされる一方で、既知の核酸合成法を使用して容易に合成することも可能である。
選択可能マーカー遺伝子は、選択培養培地において増殖する宿主細胞の生存及び増殖に必要なタンパク質をコードする。典型的な選択マーカー遺伝子は、(a)原核宿主細胞については、例えば、アンピシリン、テトラサイクリン、もしくはカナマイシンといった抗生物質もしくは他の毒素に対する耐性を付与するタンパク質、(b)細胞の栄養要求性の欠損を補完するタンパク質、又は(c)複合培地もしくは定義培地からは利用不可能な重要栄養素を供給するタンパク質をコードする。特定の選択可能マーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、及びテトラサイクリン耐性遺伝子である。好都合なことに、原核宿主細胞における選択と真核宿主細胞における選択との両方にネオマイシン耐性遺伝子を使用し得る。
発現することになる遺伝子の増幅に他の選択可能遺伝子を使用してよい。増幅は、増殖又は細胞の生存に重要なタンパク質の産生に必要な遺伝子が、組換え細胞の後継世代の染色体内に直列で反復して生じるプロセスである。哺乳類細胞に適した選択可能マーカーの例には、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子、及びプロモーターの存在しないチミジンキナーゼ遺伝子が含まれる。哺乳類細胞の形質転換体は、ベクターに選択可能遺伝子が存在するという理由で形質転換体のみが独特に生存適応する選択圧力下に置かれる。培地中の選択薬剤濃度を連続的に増加させる条件下で形質転換細胞を培養することによって選択圧力をかけ、それによって選択可能遺伝子と、本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質の1つ又は複数の構成成分などの別の遺伝子をコードするDNAと、の両方が増幅される。結果として、増幅されたDNAから合成されるポリペプチドの量が増加する。
リボソーム結合部位は、通常、mRNAの翻訳の開始に必要であり、シャイン・ダルガーノ配列(原核生物)又はコザック配列(真核生物)によって特徴付けられる。要素は、典型的には、プロモーターに対しては3’側に位置し、発現することになるポリペプチドのコード配列に対しては5’側に位置する。ある特定の実施形態では、1つ又は複数のコード領域は、配列内リボソーム結合部位(IRES)に機能可能なように連結してよく、これによって単一のRNA転写物から2つのオープンリーディングフレームを翻訳することが可能になる。
真核宿主細胞発現系においてグリコシル化が望まれる場合など、場合によっては、グリコシル化又は収量を改善するためにさまざまなプレ配列又はプロ配列の操作を実施してよい。例えば、特定のシグナルペプチドのペプチダーゼ切断部位を改変するか、又はプロ配列を追加してよく、こうしたことは、グリコシル化にも影響を与え得る。最終的なタンパク質産物は、発現に伴って完全には除去されずに残存し得た1つ又は複数の追加のアミノ酸を(成熟タンパク質の最初のアミノ酸に対して)−1の位置に有し得る。例えば、最終的なタンパク質産物には、ペプチダーゼ切断部位に見られる1つ又は2つのアミノ酸残基がアミノ末端に付加されて存在し得る。あるいは、酵素による切断部位をいくつか使用すると、成熟ポリペプチド内のそのような領域を酵素が切断するのであれば、結果的に所望のポリペプチドが僅かに切り詰められた形態で生じ得る。
本発明の発現ベクター及びクローン化ベクターは、典型的には、宿主生物によって認識され、ポリペプチドをコードする分子に機能可能なように連結されたプロモーターを含むことになる。本明細書で使用される「機能可能なように連結された」という用語は、核酸分子が所与の遺伝子を転写に導く能力を有し、かつ/又は所望のタンパク質分子の合成が生じる様式で、2つ以上の核酸配列が連結されることを指す。例えば、ベクターにおいてタンパク質コード配列に機能可能なように連結される制御配列は、制御配列の転写活性に適合する条件下でタンパク質コード配列の発現が達成されるようにそこに連結される。より具体的には、シス作用性の転写制御要素の任意の組み合わせを含むプロモーター配列及び/又はエンハンサー配列は、適切な宿主細胞又は他の発現系においてコード配列の転写をそれが刺激又は調節するのであれば、コード配列に機能可能なように連結されている。
プロモーターは、構造遺伝子(一般に、約100〜1000bp以内)の開始コドンの上流(すなわち、5’側)に位置し、構造遺伝子の転写を制御する非転写配列である。プロモーターは、慣例的に、誘導性プロモーター及び恒常性プロモーターという2つのクラスのうちの1つに分離される。誘導性プロモーターは、栄養素の有無又は温度変化などの、培養条件の何らかの変化に応じて、その制御下のDNAからの転写レベルの増加を引き起こす。一方、恒常性プロモーターは、それが機能可能なように連結された遺伝子を一様に転写し、すなわち、遺伝子の過剰発現制御はほとんどないか、又は全くない。さまざまな潜在的宿主細胞によって認識されるプロモーターは、非常に多く知られている。制限酵素による消化によって供給源のDNAからプロモーターを取り出し、所望のプロモーター配列をベクターに挿入することによって、例えば、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質の重鎖、軽鎖、改変重鎖、又は他の構成成分をコードするDNAに適切なプロモーターが機能可能なように連結される。
酵母宿主での使用に適したプロモーターも当該技術分野においてよく知られている。酵母エンハンサーは、酵母プロモーターと共に有利に使用される。哺乳類宿主細胞での使用に適したプロモーターはよく知られており、こうしたプロモーターには、限定はされないが、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2型など)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、及びサルウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから得られたものが含まれる。他の適した哺乳類プロモーターには、例えば、熱ショックプロモーター及びアクチンプロモーターといった異種性の哺乳類プロモーターが含まれる。
対象となり得る追加のプロモーターには、限定はされないが、SV40の初期プロモーター(Benoist and Chambon,1981,Nature 290:304−310)、CMVのプロモーター(Thornsen et al.,1984,Proc.Natl.Acad.U.S.A.81:659−663)、ラウス肉腫ウイルスの3’側末端反復配列に含まれるプロモーター(Yamamoto et al.,1980,Cell 22:787−797)、ヘルペスのチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al.,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1444−1445)、メタロチオニン(metallothionine)遺伝子に由来するプロモーター及び制御配列(Prinster et al.,1982,Nature 296:39−42)、ならびにベータ−ラクタマーゼプロモーターなどの原核生物プロモーター(Villa−Kamaroff et al.,1978,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.75:3727−3731)、又はtacプロモーター(DeBoer et al.,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21−25)が含まれる。下記の動物転写制御領域も対象であり、こうした転写制御領域は、組織特異性を示し、遺伝子導入動物において利用されてきた:膵腺房細胞において活性なエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al.,1984,Cell 38:639−646、Ornitz et al.,1986,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399−409、MacDonald,1987,Hepatology 7:425−515)、膵ベータ細胞において活性なインスリン遺伝子制御領域(Hanahan,1985,Nature 315:115−122)、リンパ球系細胞において活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al.,1984,Cell 38:647−658、Adames et al.,1985,Nature 318:533−538、Alexander et al.,1987,Mol.Cell.Biol.7:1436−1444)、精巣細胞、乳房細胞、リンパ球系細胞、及びマスト細胞において活性なマウス乳房腫瘍ウイルス制御領域(Leder et al.,1986,Cell 45:485−495)、肝臓において活性なアルブミン遺伝子制御領域(Pinkert et al.,1987,Genes and Devel.1:268−276)、肝臓において活性なアルファ−胎児タンパク質遺伝子制御領域(Krumlauf et al.,1985,Mol.Cell.Biol.5:1639−1648、Hammer et al.,1987,Science 253:53−58)、肝臓において活性なアルファ1−アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al.,1987,Genes and Devel.1:161−171)、骨髄系細胞において活性なベータ−グロビン遺伝子制御領域(Mogram et al,1985,Nature 315:338−340、Kollias et al,1986,Cell 46:89−94)、脳のオリゴデンドロサイト細胞において活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al.,1987,Cell 48:703−712)、骨格筋において活性なミオシン軽鎖−2遺伝子制御領域(Sani,1985,Nature 314:283−286)、ならびに視床下部において活性な性腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al.,1986,Science 234:1372−1378)。
二重特異性の抗原結合タンパク質の構成成分(例えば、軽鎖、重鎖、改変重鎖,Fd断片)をコードするDNAの、高等真核生物による転写を増加させるために、ベクターにエンハンサー配列を挿入してよい。エンハンサーは、プロモーターに作用することで転写を増加させるシス作用性のDNA要素であり、通常、その長さは約10〜300bpである。エンハンサーは、配向及び位置に相対的に依存性であり、転写単位の5’側と3’側との両方の位置に見られる。哺乳類遺伝子(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、アルファ−胎児タンパク質、及びインスリン)から利用可能なエンハンサー配列がいくつか知られている。しかしながら、典型的には、ウイルスに由来するエンハンサーが使用される。SV40のエンハンサー、サイトメガロウイルスの初期プロモーターのエンハンサー、ポリオーマのエンハンサー、及びアデノウイルスのエンハンサーは、当該技術分野において知られており、こうしたエンハンサーは、真核生物プロモーターを活性化するための増進要素の例である。エンハンサーは、ベクターにおいてコード配列の5’側又は3’側のいずれに位置してもよいが、典型的には、プロモーターの5’側の部位に位置する。細胞外への抗体の分泌を促進するために、適した天然又は異種性のシグナル配列(リーダー配列又はシグナルペプチド)をコードする配列を発現ベクターに組み込むことができる。シグナルペプチド又はリーダーの選択は、抗体が産生することになる宿主細胞の型に依存し、天然のシグナル配列を異種性のシグナル配列と交換することができる。シグナルペプチドの例は、上記のものである。哺乳類宿主細胞において機能性である他のシグナルペプチドには、米国特許第4,965,195号に記載のインターロイキン−7(IL−7)のシグナル配列、Cosman et al.,1984,Nature 312:768に記載のインターロイキン−2受容体のシグナル配列、EP特許第0367566号に記載のインターロイキン−4受容体のシグナルペプチド、米国特許第4,968,607号に記載のI型のインターロイキン−1受容体のシグナルペプチド、EP特許第0460846号に記載のII型のインターロイキン−1受容体のシグナルペプチドが含まれる。
提供される発現ベクターは、市販のベクターなどの出発ベクターから構築してよい。そのようなベクターは、所望の隣接配列のすべてを含んでも含まなくてもよい。本明細書に記載の隣接配列の1つ又は複数が最初からベクターに存在しない場合、それらを個々に得てベクターに連結してよい。それぞれの隣接配列の取得に使用される方法は、当業者によく知られている。宿主細胞に発現ベクターを導入することによって、本明細書に記載の核酸がコードする、融合タンパク質を含むタンパク質を産生させることができる。
ある特定の実施形態では、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質の異なる構成成分をコードする核酸を同一の発現ベクターに挿入してよい。例えば、抗第1の標的抗原軽鎖をコードする核酸と、抗第1の標的抗原重鎖をコードする核酸と、を同一のベクターにクローン化することができる。そのような実施形態では、2つの核酸は、配列内リボソーム進入部位(IRES)によって分離され、単一のプロモーターの制御下にあってよく、その結果、軽鎖及び重鎖は、同一のmRNA転写物から発現する。あるいは、2つの核酸は、2つの独立したプロモーターの制御下にあってよく、その結果、軽鎖及び重鎖は、2つの独立したmRNA転写物から発現する。いくつかの実施形態では、抗第1の標的抗原軽鎖をコードする核酸及び抗第1の標的抗原重鎖をコードする核酸は、1つの発現ベクターにクローン化され、抗第2の標的抗原軽鎖をコードする核酸及び抗第2の標的抗原重鎖をコードする核酸は、第2の発現ベクターにクローン化される。
同様に、IgG−Fabである二重特異性の抗原結合タンパク質については、3つの構成成分のそれぞれをコードする核酸を同一の発現ベクターにクローン化してよい。いくつかの実施形態では、IgG−Fab分子の軽鎖をコードする核酸、及び第2のポリペプチド(C末端Fabドメインの片側半分を含む)をコードする核酸は、1つの発現ベクターにクローン化される一方で、改変重鎖(重鎖及びFabドメインの半分を含む融合タンパク質)をコードする核酸は、第2の発現ベクターにクローン化される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質の構成成分はすべて、同一の宿主細胞集団から発現する。例えば、1つ又は複数の構成成分が別々の発現ベクターにクローン化されたとしても、両方の発現ベクターが宿主細胞に同時に遺伝子導入され、その結果、二重特異性の抗原結合タンパク質のすべての構成成分を1つの細胞が産生する。
ベクターを構築し、本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質の構成成分をコードする1つ又は複数の核酸分子を1つ又は複数のベクターの適切な部位(複数可)に挿入した後、増幅及び/又はポリペプチド発現を目的として、適した宿主細胞に完成ベクター(複数可)を挿入してよい。したがって、本発明は、二重特異性の抗原結合タンパク質の構成成分をコードする1つ又は複数の発現ベクターを含む単離された宿主細胞を包含する。本明細書で使用される「宿主細胞」という用語は、核酸で形質転換された細胞、又は核酸での形質転換を受ける能力を有する細胞であって、それによって対象の遺伝子を発現する細胞を指す。この用語は、親細胞の子孫を含み、こうした子孫が元の親細胞と同一の形態学又は遺伝的構成を有するかどうかは問われないが、但し、対象の遺伝子が存在することが条件である。1つの実施形態では、少なくとも1つの発現制御配列(例えば、プロモーター又はエンハンサー)に機能可能なように連結された本発明の単離された核酸を含む宿主細胞は、「組換え宿主細胞」である。
抗原結合タンパク質を得るための、発現ベクターでの選択宿主細胞への形質転換は、遺伝子導入、感染、リン酸カルシウムによる共沈、電気穿孔、マイクロインジェクション、リポフェクション、DEAE−デキストラン媒介性の遺伝子導入、又は他の既知の手法を含む、よく知られた方法によって達成してよい。選択される方法の一部は、使用されることになる宿主細胞の型に依存することになる。こうした方法及び他の適した方法は、当業者によく知られており、例えば、前出のSambrook et al.,2001に示されている。
宿主細胞は、適した条件下で培養されると、抗原結合タンパク質を合成し、こうした抗原結合タンパク質は、(宿主細胞がそれを培地に分泌するのであれば)培養培地から続けて収集するか、又は(それが分泌されないのであれば)それを産生する宿主細胞から直接的に収集することができる。適した宿主細胞の選択は、さまざまな因子に依存することになり、こうした因子は、所望の発現レベル、活性に望ましいか又は必須のポリペプチド修飾(グリコシル化又はリン酸化など)、及び生物学的に活性な分子へのフォールディングのし易さなどである。
宿主細胞の例には、原核細胞、酵母細胞、又は高等真核細胞が含まれる。原核宿主細胞には、例えば、Escherichia(例えば、E.coli)、Enterobacter、Erwinia、Klebsiella、Proteus、Salmonella(例えば、Salmonella typhimurium)、Serratia(例えば、Serratia marcescans)、及びShigellaなどのEnterobacteriaceae、ならびにBacillus(B.subtilis及びB.licheniformisなど)、Pseudomonas、及びStreptomycesといったグラム陰性生物又はグラム陽性生物などの真正細菌が含まれる。糸状菌又は酵母などの真核微生物は、組換えポリペプチドの適したクローン化宿主又は発現宿主である。Saccharomyces cerevisiae又は他の一般的なパン酵母は、下等真核宿主微生物の中で最も一般的に使用されるものである。しかしながら、多数の他の属、種、及び株が、一般に利用可能かつ本明細書での有用なものであり、こうしたものは、Pichia(例えば、P.pastoris)、Schizosaccharomyces pombe、Kluyveromyces、Yarrowia、Candida、Trichoderma reesia、Neurospora crassa、Schwanniomyces(Schwanniomyces occidentalisなど)、ならびに糸状菌(例えば、Neurospora宿主、Penicillium宿主、Tolypocladium宿主、ならびにAspergillus宿主(A.nidulans及びA.nigerなど)など)などである。
グリコシル化された抗原結合タンパク質を発現するための宿主細胞は、多細胞生物から得ることができる。無脊椎動物細胞の例には、植物細胞及び昆虫細胞が含まれる。多数のバキュロウイルス株及びその変異体ならびに対応する許容昆虫宿主細胞が同定されており、こうした許容昆虫宿主細胞は、Spodoptera frugiperda(イモムシ)、Aedes aegypti(蚊)、Aedes albopictus(蚊)、Drosophila melanogaster(ショウジョウバエ)、及びBombyx moriなどの宿主に由来する。そのような細胞への遺伝子導入を目的とするさまざまなウイルス株が公的に利用可能であり、例えば、Autographa californica NPVのL−1変異体、及びBombyx mori NPVのBm−5株が利用可能である。
脊椎動物宿主細胞もまた、適した宿主であり、そのような細胞からの抗原結合タンパク質の組換え産生は日常的な手順となってきている。発現のための宿主として利用可能な哺乳類細胞株は、当該技術分野においてよく知られており、こうした哺乳類細胞株には、限定はされないが、American Type Culture Collection(ATCC)から利用可能な不死化細胞株(限定はされないが、CHOK1細胞(ATCC CCL61)、DXB−11細胞、DG−44細胞、及びチャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFRを含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(CHO、Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216,1980)を含む)、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS−7、ATCC CRL 1651)、ヒト胎児腎臓株(293細胞又は浮遊培養における増殖を目的としてサブクローン化された293細胞)(Graham et al.,J.Gen Virol.36:59,1977)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10)、マウスセルトリ細胞(TM4、Mather,Biol.Reprod.23:243−251,1980)、サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2)、イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34)、バッファローラット肝臓細胞(buffalo rat liver cell)(BRL 3A、ATCC CRL 1442)、ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75)、ヒトヘパトーマ細胞(Hep G2、HB 8065)、マウス乳房腫瘍(MMT060562、ATCC CCL51)、TRI細胞(Mather et al.,Annals N.Y Acad.Sci.383:44−68,1982)、MRC5細胞又はFS4細胞、哺乳類骨髄腫細胞、ならびに多数の他の細胞株が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質をどの細胞株が高レベルで発現し、恒常的に産生するかを決定することによって細胞株を選択してよい。別の実施形態では、それ自体の抗体は産生しないが、異種性抗体の産生能力を有し、それを分泌するB細胞株由来の細胞株を選択することができる。いくつかの実施形態では、本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質を発現させるための宿主細胞はCHO細胞である。
宿主細胞は、二重特異性の抗原結合タンパク質を産生するための上記の核酸又はベクターを用いて形質転換又は遺伝子導入され、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、又は所望の配列をコードする遺伝子の増幅に適するように改変された通常の栄養培地において培養される。さらに、選択マーカーによって分離された転写単位のコピーを複数有する新規のベクター及び遺伝子導入細胞株が、抗原結合タンパク質に発現に特に有用である。したがって、本発明は、本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質の調製方法も提供し、当該方法は、1つ又は複数の発現ベクターによってコードされる二重特異性の抗原結合タンパク質の発現が可能になる条件下での、培養培地における本明細書に記載の発現ベクターの1つ又は複数を含む宿主細胞の培養と、培養培地からの二重特異性の抗原結合タンパク質の回収と、を含む。
本発明の抗原結合タンパク質を産生させるために使用される宿主細胞は、さまざまな培地において培養してよい。ハムF10(Ham’s F10)(Sigma)、最小必須培地((MEM)、(Sigma))、RPMI−1640(Sigma)、及びダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)((DMEM)、Sigma)などの市販の培地は、宿主細胞の培養に適している。さらに、Ham et al.,Meth.Enz.58:44,1979、Barnes et al.,Anal.Biochem.102:255,1980、米国特許第4,767,704号、第4,657,866号、第4,927,762号、第4,560,655号、もしくは第5,122,469号、WO90103430、WO87/00195、又は米国特許再発行第30,985号に記載の培地のいずれかを宿主細胞の培養培地として使用してよい。こうした培地はいずれも、必要に応じてホルモン及び/又は他の増殖因子(インスリン、トランスフェリン、又は上皮増殖因子など)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びリン酸塩など)、緩衝剤(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシン及びチミジンなど)、抗生物質(ゲンタマイシン(商標)薬物など)、微量元素(マイクロモル濃度範囲の最終濃度で通常存在する無機化合物として定義される)、ならびにグルコース又は同等のエネルギー源を添加してよい。当業者に知られているであろう適切な濃度で任意の他の必要サプリメントを含めてもよい。温度、pH、及び同様のものなどの培養条件は、発現の選択が実施された宿主細胞でこれまでに使用されてきたものであり、当業者には明らかであろう。
宿主細胞を培養すると、二重特異性の抗原結合タンパク質は、細胞内に産生されるか、細胞膜周辺腔に産生されるか、又は培地に直接的に分泌され得る。抗原結合タンパク質が細胞内に産生されるであれば、第1段階として、宿主細胞又は溶解断片のいずれかである粒子性のデブリは、例えば、遠心分離又は限外濾過によって除去される。二重特異性の抗原結合タンパク質は、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー又は陰イオン交換クロマトグラフィー、あるいは対象の抗原(複数可)又はプロテインAもしくはプロテインGを親和性リガンドとして使用する親和性クロマトグラフィーを使用して精製することができる。プロテインAは、ヒトのγ1重鎖、γ2重鎖、又はγ4重鎖に基づくポリペプチドを含むタンパク質を精製するために使用することができる(Lindmark et al.,J.Immunol.Meth.62:1−13,1983)。プロテインGは、マウスのすべてのアイソタイプ及びヒトのγ3に推奨される(Guss et al.,EMBO J.5:15671575,1986)。親和性リガンドが付加されるマトリックスはアガロースであることが最も多いが、他のマトリックスも利用可能である。ポア制御型ガラス又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどの力学的に安定なマトリックスでは、アガロースで達成し得るものと比較して、流速の高速化、及び処理時間の短縮が可能である。タンパク質がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J.T.Baker,Phillipsburg,N.J.)が精製に有用である。回収されることになる特定の二重特異性の抗原結合タンパク質に応じて、エタノール沈殿、逆相HPLC、等電点電気泳動、SDS−PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿などの、他のタンパク質精製手法も可能である。
いくつかの実施形態では、本発明は、医薬的に許容可能な希釈剤、担体、賦形剤、可溶化剤、乳化剤、保存剤、及び/又は補助剤と共に、1つ又は複数の本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質を含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物には、限定はされないが。液体組成物、凍結組成物、及び凍結乾燥組成物が含まれる。「医薬的に許容可能な」は、用いられる投与量及び濃度でヒトレシピエントに無毒であり、かつ/又はヒトに投与されたとき、アレルギー反応もしくは有害反応を与えない分子、化合物、及び組成物を指す。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、組成物の、例えば、pH、モル浸透圧濃度、粘性、透明性、色調、等張性、匂い、無菌性、安定性、溶解速度もしくは放出速度、吸収性、又は透過性の改変、維持、又は保存を目的とする製剤材料を含み得る。そのような実施形態では、適した製剤材料には、限定はされないが、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリジンなど)、抗微生物剤、抗酸化剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、もしくは亜硫酸水素ナトリウムなど)、緩衝剤(ホウ酸塩、炭酸水素塩、Tris−HCl、クエン酸塩、リン酸塩、もしくは他の有機酸など)、嵩増し剤(マンニトールもしくはグリシンなど)、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など)、複合化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータ−シクロデキストリン、もしくはヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンなど)、増量剤、単糖、二糖、もしくは他の糖質(グルコース、マンノース、もしくはデキストリンなど)、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなど)、着色剤、香味剤、及び希釈剤、乳化剤、親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど)、低分子量ポリペプチド、造塩対イオン(ナトリウムなど)、保存剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、もしくは過酸化水素など)、溶剤(グリセリン、プロピレングリコール、もしくはポリエチレングリコールなど)、糖アルコール(マンニトールもしくはソルビトールなど)、懸濁剤、界面活性剤もしくは湿潤剤(プルロニック(pluronic)、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート(ポリソルベート20、ポリソルベート80など)、トリトン(triton)、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパール(tyloxapal)など)、安定性増進剤(スクロースもしくはソルビトールなど)、浸透圧増進剤(ハロゲン化アルカリ金属、塩化ナトリウムもしくは塩化カリウム、マンニトールソルビトールなど)、送達媒体、希釈剤、賦形剤、ならびに/又は医薬補助剤が含まれる。治療的な使用を目的とする分子の製剤化を目的とする方法及び適した材料は医薬分野において知られており、例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18th Edition,(A.R.Genrmo,ed.),1990,Mack Publishing Companyに記載されている。
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、無菌のリン酸緩衝生理食塩水、静菌水、及び同様のものなどの標準的な医薬担体を含む。例えば、水、緩衝水、0.4%の生理食塩水、0.3%のグリシン、及び同様のものといったさまざまな水性担体を使用してよく、こうした水性担体は、軽度の化学修飾又は同様ものが施されたアルブミン、リポタンパク質、グロブリン等などの安定性の増進を目的とする他のタンパク質を含み得る。
製剤における二重特異性の抗原結合タンパク質の濃度の例は、約0.1mg/ml〜約180mg/ml、又は約0.1mg/mL〜約50mg/mL、又は約0.5mg/mL〜約25mg/mL、あるいは約2mg/mL〜約10mg/mLの範囲であり得る。抗原結合タンパク質の水性製剤は、pH緩衝液において調製してよく、こうしたpH緩衝剤のpH範囲は、例えば、約4.5〜約6.5、又は約4.8〜約5.5、あるいは約5.0である。pHをこの範囲内とするのに適した緩衝剤の例には、酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウム)、コハク酸塩(コハク酸ナトリウムなど)、グルコン酸塩、ヒスチジン、クエン酸塩、及び他の有機酸緩衝剤が含まれる。緩衝剤の濃度は、例えば、緩衝剤、及び製剤の所望の等張性に応じて、約1mM〜約200mM、又は約10mM〜約60mMであり得る。
浸透圧剤も抗原結合タンパク質を安定化し得るものであり、製剤に含めてよい。浸透圧剤の例には、マンニトール、スクロース、又はトレハロースなどのポリオールが含まれる。1つの実施形態では、水性製剤は等張性であるが、高浸透圧性又は低浸透圧性の溶液も適し得る。製剤におけるポリオールの濃度の例は、約1%〜約15%w/vの範囲であり得る。
製剤化される抗原結合タンパク質の凝集の低減及び/又は製剤における微粒子形成の最小化及び/又は吸着の低減を目的として、抗原結合タンパク質製剤に界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤の例には、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20もしくはポリソルベート80)又はポロキサマー(例えば、ポロキサマー188)などの非イオン性の界面活性剤が含まれる。界面活性剤の濃度の例は、約0.001%〜約0.5%w/v、又は約0.005%〜約0.2%w/v、あるいは約0.004%〜約0.01%w/vの範囲であり得る。
1つの実施形態では、製剤は、上記の薬剤(すなわち、抗原結合タンパク質、緩衝剤、ポリオール、及び界面活性剤)を含み、ベンジルアルコール、フェノール、m−クレゾール、クロロブタノール、及び塩化ベンゼトニウムなどの、1つ又は複数の保存剤は本質的に含まない。別の実施形態では、保存剤を製剤に含めてよく、例えば、こうした保存剤の濃度範囲は、約0.1%〜約2%、あるいは約0.5%〜約1%である。Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に記載のものなどの、1つ又は複数の他の医薬的に許容可能な担体、賦形剤、又は安定剤を製剤に含めてよいが、但し、それらが所望の製剤特性に有害な影響を与えないことが条件である。
二重特異性の抗原結合タンパク質の治療製剤は、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態において、所望の純度を有する二重特異性の抗原結合タンパク質と、任意選択で使用する生理学的に許容可能な担体、賦形剤、又は安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と、を混合することによって保管を目的として調製される。許容可能な担体、賦形剤、又は安定剤は、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに無毒であり、こうした担体、賦形剤、又は安定剤には、緩衝剤(リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸など)、抗酸化剤(アスコルビン酸及びメチオニンを含む)、保存剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサメトニウムクロリド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルアルコールもしくはベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチルパラベンもしくはプロピルパラベンなど)、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノール、及びm−クレゾールなど)、低分子量(約10残基未満)のポリペプチド、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなど)、親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど)、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなど)、単糖、二糖、及び他の糖質(グルコース、マンノース、マルトース、もしくはデキストリンを含む)、キレート剤(EDTAなど)、糖(スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなど)、造塩対イオン(ナトリウムなど)、金属錯体(例えば、Zn−タンパク質複合体)、ならびに/又は非イオン性界面活性剤(TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)など)が含まれる。
1つの実施形態では、請求発明の適した製剤は、ポリオール、ソルビトール、スクロース、又は塩化ナトリウムなどの浸透圧剤(浸透圧調製及び安定化を行う)と組み合わせて、リン酸塩、酢酸塩、又はTRIS緩衝剤などの等張緩衝剤を含む。そのような浸透圧剤の例の1つは、5%のソルビトール又はスクロースである。さらに、例えば、凝集の防止又は安定性の改善のために、0.01%〜0.02%重量/体積の界面活性剤を任意選択で製剤に含めることが可能である。製剤のpH範囲は、4.5〜6.5又は4.5〜5.5であり得る。抗原結合タンパク質のための医薬製剤の他の説明例は、US2003/0113316及び米国特許第6,171,586号において見つけることができ、こうした文献はそれぞれ、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載の製剤は、治療される特定の徴候に必要な複数の活性化合物も含み得、こうした活性化合物は、好ましくは、互いに有害な影響を与えない補完的な活性を有するものである。例えば、免疫抑制剤を追加提供することが望ましくあり得る。そのような分子は、意図される目的に有効な量で組み合わせられて適切に存在する。
活性成分は、例えば、コアセルベーション手法もしくは界面重合によって調製されるマイクロカプセル(例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロース−マイクロカプセルもしくはゼラチン−マイクロカプセル、及びポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミン微粒子、マイクロエマルション、ナノ粒子、及びナノカプセル)、又はマクロエマルションに封入してもよい。そのような手法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)において開示されている。
抗原結合タンパク質の懸濁液及び結晶形態も企図される。懸濁液及び結晶形態の調製方法は、当業者に知られている。
インビボの投与に使用されることになる製剤は無菌でなくてはならない。本発明の組成物は、通常のよく知られる無菌化手法によって無菌化してよい。例えば、無菌化は、滅菌濾過膜を介する濾過によって容易に達成される。得られる溶液は、使用に向けて梱包するか、又は無菌条件下で濾過してから凍結乾燥してよく、凍結乾燥調製物は、投与前に無菌溶液と混合される。
凍結乾燥のプロセスは、長期保管を目的としてポリペプチドを安定化するために用いられることが多く、特に、ポリペプチドが液体組成物において相対的に不安定であるときに用いられる。凍結乾燥サイクルは、通常、凍結、一次乾燥、及び二次乾燥という3つの段階から構成される(Williams and Polli,Journal of Parenteral Science and Technology,Volume 38,Number 2,pages 48−59,1984を参照のこと)。凍結段階では、溶液が適切に凍結するまで冷却される。溶液形態に含まれる水の大部分がこの段階で氷る。氷は、一次乾燥段階で昇華し、この段階は、減圧機を使用し、氷の蒸気圧を下回るようにチャンバー内圧力を下げることによって実施される。最終的に、チャンバー内圧力を下げ、棚温度を上昇させて実施する二次乾燥段階で吸着水又は結合水が除去される。このプロセスによって、凍結乾燥ケーキとして知られる材料が得られる。その後、ケーキは使用前に再構成することができる。
凍結乾燥された材料の標準的な再構成は、一定量の純水(典型的には、凍結乾燥の間に除去された量と同等の量)を戻し添加することで実施されるが、非経口投与を目的とする医薬品の調製では、抗菌剤の希釈溶液が使用されることがある(Chen,Drug Development and Industrial Pharmacy,Volume 18:1311−1354,1992を参照のこと)。
賦形剤は、場合によっては、凍結乾燥産物の安定剤として作用することが認められている(Carpenter et al.,Volume 74:225−239,1991を参照のこと)。例えば、既知の賦形剤には、ポリオール(マンニトール、ソルビトール、及びグリセロールを含む)、糖(グルコース及びスクロースを含む)、ならびにアミノ酸(アラニン、グリシン、及びグルタミン酸を含む)が含まれる。
さらに、ポリオール及び糖は、凍結及び乾燥が誘導するダメージからのポリペプチドの保護、ならびに乾燥状態での保管の間の安定性の増進を目的として使用されることも多い。一般に、糖、特に二糖は、凍結乾燥プロセスと保管の間との両方において有効である。単糖及び二糖ならびにPVPなどのポリマーを含む他のクラスの分子もまた、凍結乾燥産物の安定剤として報告されている。
注射については、医薬製剤及び/又は薬物は、上記の適した溶液を用いる再構成に適した粉末であり得る。こうしたものの例には、限定はされないが、凍結乾燥、回転乾燥、もしくは噴霧乾燥された粉末、非結晶粉末、顆粒、沈殿物、又は微粒子が含まれる。注射については、製剤は、安定剤、pH調節剤、界面活性剤、生物学的利用率の調節剤、及びこうしたものの組み合わせを任意選択で含み得る。
持続放出性の調製物を調製してよい。持続放出性の調製物の適した例には、二重特異性の抗原結合タンパク質を含む固体の疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、こうしたマトリックスは、例えば、フィルム又はマイクロカプセルといった成形物品の形態をとる。持続放出性のマトリックスの例には、ポリエステル、ハイドロゲル(例えば、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸とyエチル−L−グルタメートとのコポリマー、非分解性のエチレン−ビニルアセテート、Lupron Depot(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーと酢酸リュープロリドとから構成される注射用微粒子)などの分解性の乳酸−グリコール酸コポリマー、ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が含まれる。エチレン−ビニルアセテート及び乳酸−グリコール酸などのポリマーは、100日間にわたって分子を放出することが可能である一方で、ある特定のヒドロゲルがタンパク質を放出する期間は短い。被包性ポリペプチドが体内に長く残存すると、37℃の水分に曝露される結果として変性又は凝集が生じる可能性があり、結果的に、生物学的活性の減少、及び免疫原性が変化する可能性が生じる。関与する機構に応じて安定化に向けて合理的な方針を考案することができる。例えば、凝集機構がチオ−ジスルフィドの相互交換を介して生じる分子間S−−S結合の形成であると判明したのであれば、安定化は、スルフヒドリル残基の改変、酸性溶液からの凍結乾燥、水分含量の制御、適切な添加剤の使用、及び特定のポリマーマトリックス組成物の開発によって達成し得る。
本発明の製剤は、本明細書に記載のように、短期作用性、高速放出性、長期作用性、又は持続放出性となるように設計してよい。したがって、医薬製剤は、制御放出又は緩徐放出を目的として製剤化してもよい。
特定の投与量は、疾患の状態、対象の年齢、体重、総体的な健康状態、性別、及び食事、投与間隔、投与経路、排出速度、ならびに薬物の組み合わせに応じて調節してよい。有効量を含む上記の剤形はいずれも、日常的な実験法の範囲に明確に含まれるものであり、それ故に、本発明の範囲に明確に含まれるものである。
二重特異性の抗原結合タンパク質は、非経口投与、皮下投与、腹腔内投与、肺内投与、及び鼻腔内投与、ならびに局所治療が望まれるのであれば、病巣内投与を含む、任意の適した手段によって投与される。非経口注入には、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮内投与、又は皮下投与が含まれる。さらに、二重特異性の抗原結合タンパク質は、特に、抗原結合タンパク質の用量を下げて、パルス注入によって適切に投与される。1つの実施形態では、投薬は、部分的には投与が簡潔であるか長期的であるかに応じて、注射、静脈内注射、又は皮下注射によって実施される。局所(topical)投与、特に、経皮投与、経粘膜投与、直腸投与、経口投与、又は局所(local)投与を含む、他の投与方法も企図され、こうした投与は、例えば、所望の部位の近くに留置されるカテーテルを介する投与である。1つの実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、毎日〜毎週〜毎月の頻度範囲(例えば、1日に1回、2日に1回、3日に1回、又は週に2回、週に3回、週に4回、週に5回、もしくは週に6回)で0.01mg/kg〜100mg/kgの用量範囲、週に1回、2週に1回、又は月に1回の頻度で0.1〜45mg/kg、0.1〜15mg/kg、又は0.1〜10mg/kgの用量範囲で、生理学的溶液において静脈内に投与される。
本明細書で使用される「treating(治療)」又は「treatment(治療)」という用語は、障害の発症予防又は障害の病態改変を意図して実施される行為である。したがって、「治療」は、治療的な治療と予防的処置又は防止的処置との両方を指す。治療を必要とする者には、障害又は病状の診断をすでに受けたもの又はそれに苦しむ者、ならびに障害又は病状が予防されることになる者が含まれる。「治療」は、損傷、病態、又は病状の寛解における成功の任意の兆候を含み、こうした兆候には、症状の軽減、緩和、縮小、あるいは損傷、病態、もしくは病状の患者耐容性の向上、悪化速度もしくは衰退速度の鈍化、悪化終点の衰弱軽減、又は患者の身体的もしくは精神的な健全性の改善などの、任意の客観的パラメーター又は主観的パラメーターが含まれる。症状の治療又は寛解は、身体検査、患者による自己申告、神経精神医学的検査、及び/又は精神医学的評価の結果を含む客観的パラメーター又は主観的パラメーターに基づき得る。
本発明の二重特異性の抗原結合タンパク質は、生物学的試料における標的抗原(複数可)の検出、及び標的抗原(複数可)を発現する細胞又は組織の同定に有用である。
本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質は、標的抗原(複数可)と関連する疾患及び/又は病状を検出、診断、又は監視するという診断目的で使用することができる。当業者に知られる古典的な免疫組織学的方法を使用して試料中の標的抗原(複数可)の存在を検出する方法も提供される(例えば、Tijssen,1993,Practice and Theory of Enzyme Immunoassays,Vol 15(Eds R.H.Burdon and P.H.van Knippenberg,Elsevier,Amsterdam)、Zola,1987,Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques,pp.147−158(CRC Press,Inc.)、Jalkanen et al.,1985,J.Cell.Biol.101:976−985、Jalkanen et al.,1987,J.Cell Biol.105:3087−3096)。いずれの標的の検出も、インビボ又はインビトロで実施することができる。
本明細書で提供される診断用途は、標的抗原(複数可)の発現を検出するための抗原結合タンパク質の使用を含む。受容体の存在検出に有用な方法の例には、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)及び放射免疫測定法(RIA)などの免疫測定法が含まれる。
診断用途については、抗原結合タンパク質は、典型的には、検出可能な標識基で標識されることになる。適した標識基の例には、限定はされないが、下記のものが含まれる:放射性同位元素もしくは放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光基(例えば、FITC、ローダミン、ランタニドリン光体(lanthanide phosphor))、酵素基(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光基、ビオチニル基、又は二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパーの対配列、二次抗体向けの結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)。いくつかの実施形態では、標識基は、潜在的な立体障害を低減するためにさまざまな長さのスペーサーアームを介して抗原結合タンパク質に連結される。当該技術分野ではタンパク質のさまざまな標識方法が知られており、それらを使用してよい。
別の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性の抗原結合タンパク質は、標的抗原(複数可)を発現する1つ又は複数の細胞の同定に使用することができる。特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、標識基で標識され、標識された抗原結合タンパク質の標的抗原(複数可)への結合が検出される。追加の特定の実施形態では、抗原結合タンパク質の標的抗原(複数可)への結合は、インビボで検出される。追加の特定の実施形態では、二重特異性の抗原結合タンパク質は、当該技術分野において知られる手法を使用して単離及び測定される。例えば、Harlow and Lane,1988,Antibodies:A Laboratory Manual,New York:Cold Spring Harbor(ed.1991 and periodic supplements)、John E.Coligan,ed.,1993,Current Protocols In Immunology New York:John Wiley & Sonsを参照のこと。
抗TNFα抗体及び抗TL1A抗体のサブセットを用いて二重特異性の抗原結合タンパク質を調製した。このIgG−Fab形式の実施形態のいくつかでは、第2の抗体に由来するVH−CH1ドメインを含むポリペプチドが、第1の抗体の重鎖のカルボキシル末端にペプチドリンカーを介して融合されることで改変重鎖が形成される。第1の抗体に由来するFab断片の残りのドメイン(すなわち、VL−CLドメイン)を含むポリペプチドが、第1の抗体の軽鎖及び改変重鎖と同時発現されることで完全な分子が得られる。完全分子が構築されると、2量体化した免疫グロブリンFc領域のアミノ末端側に位置する、第1の抗原に対する2つの抗原結合ドメインと、2量体化したFc領域のカルボキシル末端側に位置する、第2の抗原に対する2つの抗原結合ドメインと、を有する4価の結合タンパク質が創出される。
TNFα/TL1A IgG−Fabは、2つの抗原結合ドメインからなり、一方はTNFαを標的とし、もう一方は、TL1Aを標的とする。TNFα/TL1A IgG−Fab分子をコードするDNA分子は、抗TNFα(又は抗TL1A)抗体軽鎖をコードする断片と、(i)抗TL1A(もしくは抗TNFα)抗体軽鎖又は(ii)抗TL1A(もしくは抗TNFα)Fd(VH−CH1)にC末端が融合される抗TNFα(又は抗TL1A)抗体重鎖をコードする断片と、カルボキシ末端結合ドメインを完成させるためのFab断片の残り半分(例えば、(i)抗TL1A(もしくは抗TNFα)Fd又は(ii)抗TL1A(もしくは抗TNFα)抗体軽鎖)を含む第3のポリペプチドをコードする断片と、を含む。IgG−Fab二重特異性分子は、それぞれのFab領域(図3に示されるFab1及びFab2)のCH1ドメイン及びCLドメインに導入された電荷対変異を含む。電荷対は、抗TNFAR軽鎖/VHCH1(Fd)の対、及び抗TL1A軽鎖/VHCH1(Fd)の対の優先的な構築が可能となるように設計される。軽鎖/VHCH1(Fd)の対の正しい対形成を促進するための追加の手法として、産生させるIgG−Fab分子のサブセットについて、カルボキシル末端Fab(すなわち、Fab2)におけるCL領域とCH1領域とを交換し、その結果、第2の抗体の重鎖のカルボキシル末端領域に融合したポリペプチドが第1の抗体に由来するVL領域及びCH1領域を含み、第2のポリペプチドが第1の抗体に由来するVH領域及びCL領域を含むようにした。表4及び表6に記載の分子を参照のこと。DNA分子は、合成gBlockによって産生させ、pTT5.1ベクターにクローン化した。こうした発現ベクターは、ヒト293−6E細胞におけるTNFα/TL1A二重特異性分子の遺伝子導入及び発現に使用した。144の異なるIgG−Fab二重特異性分子を産生させた。それぞれの分子の全配列は、表4に示される。
IgG−Fab分子は、大型のオートサンプラー(LFAS,Amgen,Inc.,Thousand Oaks,CA)を使用し、MabSelect SuReクロマトグラフィー(GE Life Sciences,Piscataway,NJ)による親和性捕捉を使用して精製した。2価陽イオンを含まないダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(D−PBS、Life Technologies,Grand Island,NY)で平衡化した1mLのHiTrap MabSelect SuReカラム(GE Life Sciences,Piscataway,NJ)に対して、清澄化した条件培地を負荷した。カラム体積の8倍量のD−PBSでMabSelectカラムを洗浄し、100mMの酢酸(pH3.6)で溶出を実施した。プロテインAからの溶出液の280nmでの吸光度が5mAUを超えたときに、溶出液をHiTrap脱塩カラム(GE Life Sciences,Piscataway,NJ)に直接的に負荷し、カラム体積の1.2倍量の10mMの酢酸ナトリウム、150mMのNaCl(pH 5.0)を通液した。脱塩溶出液の280nmでの吸光度が3mAUを超えたときに試料の収集を開始し、96ウェルのディープウェルブロックのそれぞれに最大となる2mLまで各画分を収集した。還元(2%の2−メルカプトエタノール含有)条件下、及び非還元(25mMのヨードアセトアミド含有)条件下で、Caliper LabChipで分析することによって試料の純度を決定した。Zenix−C SEC−300カラム(Sepax Technologies,Newark,DE)を使用し、50mMのリン酸ナトリウム、250mMのNaCl(pH 6.9)で8分間にわたってアイソクラティック溶出を行うことで分析SECを実施した。
IgG−Fab分子は、その発現能力(力価及び回収)ならびに活性を試験した。結果は、図17〜23及び表6に示される。
TL1A活性のアッセイは、TF−1 NF−κBレポーター細胞株を使用して実施した。簡潔に記載すると、段階希釈した抗TL1A抗体又はTL1A/TNF−α二重特異性分子の存在下で、104個のTF−1 NF−κBレポーター細胞と共に、30ng/ml(EC90)のヒト又はカニクイザルのTL1Aを96ウェルプレートにおいて37℃で一晩インキュベートした。50μlのSteady−gloルシフェラーゼ試験溶液(Promega)を各ウェルに添加した。プレートを覆い、振とうしながら10分間インキュベートした。マイクロベータ(microbeta)リーダーによってルシフェラーゼ活性を分析した。
TNFα活性のアッセイは、TF−1 NF−kBレポーター細胞株を使用して実施した。簡潔に記載すると、段階希釈した抗TNF−α抗体又はTL1A/TNFα二重特異性分子の存在下で、104個のTF−1 NF−κBレポーター細胞と共に、1ng/ml(EC90)のヒト又はカニクイザルのTNF−αを96ウェルプレートにおいて37℃で一晩インキュベートした。50μlのSteady−gloルシフェラーゼ試験溶液(Promega)を各ウェルに添加した。プレートを覆い、振とうしながら10分間インキュベートした。マイクロベータ(microbeta)リーダーによってルシフェラーゼ活性を分析した。
本明細書で議論及び引用される刊行物、特許、及び特許出願はすべて、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。記載の特定の方法論、プロトコール、及び材料は変わり得るため、開示の発明はこうしたものに限定されないと理解される。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態の説明のみを目的としており、添付の特許請求の範囲の限定は意図されないとも理解される。
当業者であれば、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの同等形態を認識するか、又は日常的な実験法を使用するだけでそれらを把握することができるであろう。そのような同等形態は、続いて記載される特許請求の範囲に包含されることが意図される。