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JP2018203721A - ホタルルシフェリンの安定化方法 - Google Patents

ホタルルシフェリンの安定化方法 Download PDF

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JP2018203721A
JP2018203721A JP2018101863A JP2018101863A JP2018203721A JP 2018203721 A JP2018203721 A JP 2018203721A JP 2018101863 A JP2018101863 A JP 2018101863A JP 2018101863 A JP2018101863 A JP 2018101863A JP 2018203721 A JP2018203721 A JP 2018203721A
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JP2018101863A
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利彦 山岡
Toshihiko Yamaoka
利彦 山岡
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Eiken Chemical Co Ltd
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Eiken Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】溶液中のホタルルシフェリンを安定化させる方法の提供。
【解決手段】ホタルルシフェリン溶液にDMSO類似体を共存させることを特徴とする、ホタルルシフェリンの安定化方法。DMSO類似体は、下記式で表されるDMSO類似体から選択される一種類以上のDMSO類似体等。

(R1、R2は、それぞれ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ビニル基、フェニル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基又はメチルチオメチル基を示し、R1とR2は同じ或いは異なってもよい。)
【選択図】なし

Description

本発明は、ホタルルシフェリンの安定化に関する。
ホタルルシフェラーゼによる発光反応は、酸素、ATPおよび補因子として2価金属イオン、例えばMg2+、Mn2+の存在下において、ホタルルシフェラーゼの触媒作用により、その基質であるホタルルシフェリンが酸化される際に光が生じるものである。
ホタルルシフェラーゼによる発光反応は、ATPがごく微量であっても進行することから、高感度検出が可能であり、生物由来のATPの高感度・簡易検出法に利用されている。また、その発光量はATP量に比例することから、ホタルルシフェラーゼによる発光反応はATPの定量に利用されている。
例えば、細菌検査の分野においては、細菌由来のATPを発光反応で検出することにより、培養を必要とせずに迅速かつ高感度に検出できることから、細菌の有無や菌数の検査に利用されている。食品加工の分野においては、加工用食材残渣に由来するATPを検出することにより、加工用の器具や設備の清浄度の検査に利用されている。
また、ATPの定量以外の発光反応の利用方法としては、臨床検査分野において、生体内物質、例えばホルモンや疾患マーカー抗原あるいは抗体等の微量物質の測定系において、ホタルルシフェラーゼを標識物質として用いる生物発光酵素免疫測定法がある。
しかし、ホタルルシフェリンは溶液の状態では劣化しやすいため、保存により経時的に発光強度が低下してしまうことから、発光反応を利用する測定系においてはホタルルシフェリン溶液の安定化が問題であった。
一般的に酵素とその基質が共存する状態ではそれぞれが単独で存在するよりも安定性が向上することはよく知られた事実である。ホタルルシフェラーゼとホタルルシフェリンが共存する場合の安定化技術としては、安定化剤としてポリオールを添加し、pH5.5〜7.4としたホタルルシフェラーゼ・ホタルルシフェリンの水溶液が知られている(特許文献1)。しかし、この方法においては、ホタルルシフェラーゼによる発光反応の至適pH(8.5付近)を外れている点、pH6.0以下ではルシフェリンの溶解度が小さくなる点などの問題点に加え、例えば、生物発光酵素免疫測定法では、標識物質であるホタルルシフェラーゼによる発光反応を検出するという反応系の性質上、ホタルルシフェラーゼとホタルルシフェリンとを予め同一試薬中に共存させることができないといった実用面での問題が多々存在する。
ホタルルシフェリンの安定化技術としては、アデノシンモノフォスフェート、アデノシンジフォスフェート、およびフェニルフォスフェート等のリン酸供与体をホタルルシフェリン溶液に共存させることにより、溶液中のホタルルシフェリンを安定化させる方法が提案されている(特許文献2)。
また、ホタルルシフェリン溶液のpHをやや酸性に保持することにより、溶液中のホタルルシフェリンを安定化させる方法が提案されている(特許文献3)。
さらに、ホタルルシフェリン溶液中のホタルルシフェリンを、シクロデキストリンに包接させることで、溶液中のホタルルシフェリンを安定化させる方法が提案されている(特許文献4)。
一方、ウミホタルルシフェリンについては、ギ酸、プロピオン酸、リンゴ酸、酒石酸等の酸性溶質を用いてpHを酸性に保持することで、溶液中のウミホタルルシフェリンを安定化させる方法が提案されている(特許文献5)。しかし、ホタルルシフェリン(化学式1)とウミホタルルシフェリン(化学式2)とは、それぞれ構造が全く異なるため、ウミホタルルシフェリンの安定化方法がそのままホタルルシフェリンに適用できるとは言い難い。
これまで、何れの方法によってもルシフェリン溶液の十分な安定化効果は得られておらず、溶液の状態で長期間保存してもルシフェリンの劣化を抑制し得るルシフェリン溶液の組成の確立が期待されている。
国際公開94/11528号公報 特開2000−166550号公報 特開2000−253899号公報 特開2000−319280号公報 特開平08−154699号公報
本発明の課題は、溶液中のホタルルシフェリンを安定化する方法を提供することにある。
本発明者は、上述の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ホタルルシフェリンの溶液にDMSO類似体を共存させることにより、ホタルルシフェリンの保存安定性が向上することを見出した。
すなわち、本発明の構成は、以下の[1]から[7]の通りである。
[1]ホタルルシフェリンを含む溶液にDMSO類似体を共存させることを特徴とするホタルルシフェリン溶液の安定化方法。
[2]前記DMSO類似体が、下記式で表されるDMSO類似体から選択される一種類以上のDMSO類似体である[1]に記載の安定化方法。
式中、R1、R2は、それぞれ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ビニル基、フェニル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基またはメチルチオメチル基を示し、R1とR2は同じ或いは異なってもよい。
[3]前記DMSO類似体がジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、3−(エチルスルフィニル)プロパン酸、メチル(メチルチオ)メチルスルホキシドから選択される一種類以上のDMSO類似体である[1]および[2]に記載の安定化方法。
[4]ホタルルシフェリンを含む溶液にDMSO類似体が共存することを特徴とするホタルルシフェリン溶液。
[5]前記DMSO類似体が、下記式で表されるDMSO類似体から選択される一種類以上のDMSO類似体である[4]に記載のホタルルシフェリン溶液。
式中、R1、R2は、それぞれメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ビニル基、フェニル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基またはメチルチオメチル基を示し、R1とR2は同じ或いは異なってもよい。
[6]前記DMSO類似体がジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、3−(エチルスルフィニル)プロパン酸、メチル(メチルチオ)メチルスルホキシドから選択される一種類以上のDMSO類似体である[4]および[5]に記載のホタルルシフェリン溶液。
[7]ホタルルシフェリンの安定化剤としてDMSO類似体を含むホタルルシフェリン溶液をルシフェラーゼ反応時にDMSO類似体の終濃度が5%以下となるように用いることを特徴とするホタルルシフェラーゼ発光反応測定方法。
本発明は、溶液中のホタルルシフェリンの保存安定性を向上させることができ、このことはホタルルシフェラーゼによる発光反応を利用する測定系において、長期にわたり安定かつ高感度な測定に寄与する。また、本発明の好ましい実施形態においては、公知のホタルルシフェリン安定化方法、或いは安定化剤と組み合わせることで、その効果を高めることができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
「ホタルルシフェラーゼ」とはアメリカホタル、ゲンジボタル、ヘイケボタル、コメツキムシなどの甲虫類由来のルシフェラーゼであり、これらのルシフェラーゼはその一次構造すなわちアミノ酸配列において異なるが、ATPとルシフェリンを基質とした生物発光反応を触媒する点すなわち機能において同等である。また、ルシフェラーゼの安定性の向上や発光波長を改変するために一部のアミノ酸配列を置換することで作り出された変異ルシフェラーゼすなわち組換えルシフェラーゼも天然のルシフェラーゼと同様に利用することが可能である。
「ホタルルシフェリン」とは、ホタルルシフェラーゼによる発光反応における基質である。ホタルルシフェリンもホタルルシフェラーゼと同様に発光反応における発光の制御のために、ホタルルシフェリン誘導体、ホタルルシフェリン類似体等が多数開発され、実際に利用されている。また、発光の制御以外に、検出の可視化や多項目検出を目的に発光波長を改変したものも開発されている。ホタルルシフェリンは、ホタルルシフェラーゼによる生物発光反応における基質となるものであれば特に構造や由来は限定されない。例えば、D−ルシフェリン誘導体、アミノルシフェリン誘導体等の公知のものを用いることが可能である。
「2価金属イオン」は、ホタルルシフェラーゼによる発光反応系における補因子として必須である。2価金属イオンとして、好ましくはMg2+、Mn2+等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
「DMSO類似体」は、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、フェニルビニルスルホキシド、エチルビニルスルホキシド、(ジ)ブチルスルホキシド、および以下の式(化学式3)で表されるDMSO類似体を選択することができる。
式中、R1、R2は、それぞれメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ビニル基、フェニル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基またはメチルチオメチル基を示し、R1とR2は同じ或いは異なってもよい。
「ジメチルスルホキシド」は、DMSO(CAS No.67−68−5、以下、DMSOと記載する場合もある)とも呼ばれる。ジメチルスルホキシドは水や種々の有機溶媒によく溶解し、また、有機物や無機塩をもよく溶解することから、優れた溶媒として一般に広く利用されている。
「ジエチルスルホキシド」は、DESO(CAS No.70−29−1)とも呼ばれる。
これらの他にDMSO類似体として、「3−(エチルスルフィニル)プロパン酸」(CAS No.137375−82−7)や「メチル(メチルチオ)メチルスルフィド」(CAS No.33577−16−1、MMTSとも呼ばれる)が挙げられる。
本発明の要件は、ホタルルシフェリンの溶液にDMSO類似体を共存させることにある。
DMSO類似体によるホタルルシフェリンの安定化効果は、ホタルルシフェリン溶液中にDMSO類似体が共存することで認められ、DMSO類似体の濃度に比例してルシフェリンの安定化効果は大きくなる。
ただし、DMSO類似体は、ルシフェラーゼ反応すなわちルシフェラーゼに対し阻害作用(酵素阻害作用)を示すため、反応時の濃度、つまり終濃度は10.0%(w/v)以下であることが好ましく、5.0%(w/v)以下であることがより好ましい。
さらに、本発明は、公知のホタルルシフェリン安定化方法、或いは安定化剤を任意に選択して組み合わせることもできる。例えば、安定化剤としては、シクロデキストリン、ボロン酸誘導体またはその塩等を用いることができる。
シクロデキストリンとしては、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、これらの誘導体が挙げられる。より具体的には、例えば、メチル−α−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、メチル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキプロピル−α−シクロデキストリン、ヒドロキプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキプロピル−γ−シクロデキストリン等が含まれる。これらのシクロデキストリンは単独すなわち一種類、または二種類以上を組み合わせて用いることができる。
ボロン酸誘導体としては、ほう酸、エチルボロン酸、プロピルボロン酸、ブチルボロン酸、ヘキシルボロン酸、1,4−フェニレンジボロン酸、トリヒドロキシフェニルボロン酸ナトリウム、3−チオフェンボロン酸、3−フリルボロン酸、2,5−チオフェンジイルビスボロン酸、フェニルボロン酸、4−フルオロフェニルボロン酸、4−クロロフェニルボロン酸、4−ブロモフェニルボロン酸、4−カルボキシフェニルボロン酸、4−メチルフェニルボロン酸、3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノフェニルボロン酸等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、ボロン酸誘導体の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらのボロン酸誘導体またはその塩は単独すなわち一種類、または二種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、ルシフェリン溶液は、前出の成分を水または緩衝液に溶解することにより調製することができる。緩衝液としては、生化学で一般的に用いられるものであれば特に限定はなく、例えば、りん酸緩衝液、りん酸くえん酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリシン緩衝液、トリス緩衝液、Goodの緩衝液等が挙げられる。
ルシフェリン溶液のpHは特に限定されないが、例えば、pH5.0〜7.2、好ましくは、pH5.5〜6.8等の範囲で適宜設定することができる。
本発明によれば、かかる構成をとることにより、ホタルルシフェリン溶液の保存安定性を向上させることが可能となり、ひいてはホタルルシフェラーゼによる発光反応を利用する測定系において、長期にわたり安定かつ高感度な測定が可能となる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
実施例1.ホタルルシフェリンの保存安定性へのDMSO類似体の影響
(1)実験材料
ルシフェリン溶液として、0.5mM D−ルシフェリン、10mM ADA(pH6.5)と、同組成に加えて、ジメチルスルホキシド、およびDMSO類似体であるジエチルスルホキシド、3-(エチルスルフィニル)プロパン酸、メチル(メチルチオ)メチルスルホキシドの4種類の化合物それぞれについて、0.4、2.0%(w/v)の2種類の濃度で含む、計9種類の試薬を調製し、それぞれの溶液を3群に分け、1群は−30℃、別の1群は25℃、残りの1群は37℃で1週間保存した。
ホタルルシフェラーゼ反応試薬として、100mM Tris−HCl(pH8.4)、30mM MgSO・7HO、4mM ATP−2Na、0.1mM ピロリン酸カルシウムからなる試薬を調製した。
ホタルルシフェラーゼ溶液として、1x10−11Mを調製した。
(2)実験方法
マイクロプレートにホタルルシフェラーゼ溶液10μLを分注し、ルミノメーターCentroLB960(ベルトルード社)を用いて、ホタルルシフェラーゼ反応試薬50μL、次いでルシフェリン溶液50μLを添加して、発光強度を測定した。
(3)結果
表1に示すように、−30℃保存品の発光強度を100%として比較すると、ルシフェリン溶液にDMSO類似体を含有しない場合(すなわち対照)の発光強度は、25℃保存品では75%、37℃保存品では40%に低下した。
一方、ルシフェリン溶液にジメチルスルホキシドおよびDMSO類似体であるジエチルスルホキシド、3-(エチルスルフィニル)プロパン酸、メチル(メチルチオ)メチルスルホキシドを含有する場合、25℃保存品については、ジメチルスルホキシドおよびその他3種類のDMSO類事体それぞれの含有濃度0.4、2.0%(w/v)いずれも77%以上の発光強度を示し、37℃保存品についても、DMSOおよびその他3種類のDMSO類事体それぞれの含有濃度0.4、2.0%(w/v)いずれも48%以上の発光強度を示した。これらの結果から、DMSOおよびDMSO類似体によるルシフェリンの保存安定化効果が認められた。
実施例2.ホタルルシフェリンの保存安定性へのDMSOの濃度の影響
(1)実験材料
ルシフェリン溶液として、0.5mM D−ルシフェリン、10mM ADA(pH6.5)に加えて、DMSOを0−20%(w/v)の範囲で、0.0、1.0、2.5、5.0、7.5、10.0、15.0、20.0%(w/v)含むように8種類の試薬を調製し、DMSO含有濃度毎に溶液を3群に分け、1群は−30℃、別の1群は25℃、残りの1群は37℃で1週間保存した。
ホタルルシフェラーゼ反応試薬として、100mM Tris−HCl(pH8.4)、30mM MgSO・7HO、4mM ATP−2Na、0.1mM ピロリン酸カルシウムからなる試薬を調製した。
ホタルルシフェラーゼ溶液として、1x10−11Mを調製した。
(2)実験方法
実施例1と同様に行った。
(3)結果
表2に示すように、−30℃保存品の発光強度を100%として比較すると、ルシフェリン溶液にDMSOを含有しない場合(すなわち対照)の発光強度は、25℃保存品では79%、37℃保存品では47%に低下した。
一方、ルシフェリン溶液にDMSOを含有する場合、25℃保存品については、DMSO含有濃度2.5から20.0%(w/v)で80%以上の発光強度を示し、且つ、DMSOの含有濃度依存的に高い発光強度比率を示した。37℃保存品についても、DMSO含有濃度1.0から20.0%(w/v)で何れも54%以上の発光強度を示し、且つ、DMSOの含有濃度依存的に高い発光強度比率を示した。これらの結果から、ルシフェリン溶液中に含有されるDMSOの濃度依存的にルシフェリンの保存安定化効果が認められた。
実施例3.DMSOによるホタルルシフェラーゼの酵素活性への影響
(1)実験材料
ルシフェリン溶液として、0.5mM D−ルシフェリン、10mM ADA(pH6.5)に加えて、DMSOを0−20%(w/v)の範囲で、0.0、1.0、2.5、5.0、7.5、10.0、15.0、20.0%(w/v)含むように8種類の試薬を調製し(保存0時間)、以下の実験に用いた。
ホタルルシフェラーゼ反応試薬として、100mM Tris−HCl(pH8.4)、30mM MgSO・7HO、4mM ATP−2Na、0.1mM ピロリン酸カルシウムからなる試薬を調製した。
ホタルルシフェラーゼ溶液として、0Mと1x10−11Mを調製した。
(2)実験方法
実施例1と同様に行った。
(3)結果
表3に示すように、ルシフェリン溶液(保存0時間)では、ルシフェリン溶液にDMSOを含有しない場合(すなわち対照)の発光強度を100%として比較すると、溶液に含まれるDMSOの濃度が高くなるにつれて、発光強度が低下しており、ルシフェラーゼ活性阻害の影響が大きくなる傾向が観察された。ルシフェリン溶液のDMSO含有濃度が1.0〜10.0%(w/v)(すなわちルシフェラーゼ反応時の終濃度0.5〜4.5%)では、対照のおよそ80%以上のルシフェラーゼ活性が確認されたが、15.0%(w/v)(すなわちルシフェラーゼ反応時の終濃度6.8%(w/v))以上では、対照の70%未満であった。
実施例1、2および3より、DMSO類似体によるホタルルシフェリンの安定化効果は、ホタルルシフェリン溶液中にDMSO類似体が共存すること、さらにはDMSO類似体の濃度依存的に認められ、また、DMSO類似体のルシフェラーゼに対する酵素阻害作用を軽減するため、ルシフェラーゼ反応時の終濃度で5%(w/v)以下となるように用いることが好ましく、これらの条件でDMSO類似体を用いるために、ルシフェリン溶液とホタルルシフェラーゼ反応試薬の組成および混合容量は自由に設計することができる。つまり、今回の実験では、調製した各溶液について、ホタルルシフェラーゼ溶液は10μL、ホタルルシフェラーゼ反応試薬は50μL、ホタルルシフェリン溶液は50μLの容量で用いたが、各溶液中の各種成分の終濃度が同じになるように各溶液を作製し、例えば、ホタルルシフェラーゼ反応試薬66μL、ルシフェリン溶液33μLの容量で用いることで、ルシフェラーゼ反応時のDMSO類似体の持ち込みを少なくし、ルシフェラーゼに対する影響、すなわち阻害作用を小さくすることが可能である。
実施例4.他のルシフェリン安定化剤との組合せ効果(1)
(1)実験材料
DMSOと、ルシフェリンの安定化剤の一つであるボロン酸誘導体との組合せによる安定化効果の検証を行った。ボロン酸誘導体には3−フリルボロン酸を用いた。
ルシフェリン溶液として、0.5mM D−ルシフェリン、10mM ADA(pH6.5)に加えて、2.0%(w/v)DMSOと10mM 3−フリルボロン酸それぞれについて含む或いは含まない組合せを変えて、具体的には、0.5mM D−ルシフェリン、10mM ADA(pH6.5)のみからなるもの、0.5mM D−ルシフェリン、10mM ADA(pH6.5)に加えて、2.0%(w/v)DMSOのみ或いは10mM 3−フリルボロン酸のみを含むもの、0.5mM D−ルシフェリン、10mM ADA(pH6.5)、2.0%(w/v)DMSOおよび10mM 3−フリルボロン酸を含む4種類のルシフェリン溶液を調製した。調製した4種類のルシフェリン溶液はそれぞれ3群に分け、1群は−30℃、別の1群は25℃、残りの1群は37℃で1週間保存した。
ホタルルシフェラーゼ反応試薬およびホタルルシフェラーゼ溶液は実施例1と同様に調製した。
(2)実験方法
実施例1と同様に行った。
(3)結果
表4に示すように、−30℃保存品の発光強度を100%として比較すると、ルシフェリン溶液にDMSOと3−フリルボロン酸を何れも含まない場合の発光強度は、25℃保存品では74%、37℃保存品では40%に低下した。
一方、ルシフェリン溶液にDMSOのみを含有する場合、25℃保存品では75%、37℃保存品では49%の発光強度、3−フリルボロン酸のみを含有する場合、25℃保存品では91%、37℃保存品では63%の発光強度であったが、DMSOと3−フリルボロン酸の両方を含む場合、25℃保存品では92%、37℃保存品では70%の発光強度を示した。つまり、DMSOまたは3−フリルボロン酸はそれぞれ単独で用いるより、これらを組み合わせて用いることによってより高いルシフェリン溶液の保存安定化効果が得られることが示された。
実施例5.他のルシフェリン安定化剤との組み合わせ効果(2)
(1)実験材料
ボロン酸誘導体には難水溶性の誘導体が多いことから、本実施例では、難水溶性ボロン酸の一例として、2−クロロボロン酸をDMSOに溶解してルシフェリン溶液を調製した。具体的には、0.5mM D−ルシフェリン、10mM ADA(pH6.5)のみからなるもの、或いは、これらに加えて、2%(w/v)DMSOのみ、或いは2%(w/v)DMSOおよび5mM 2−クロロボロン酸を含む3種類のルシフェリン溶液を調製した。調製した3種類のルシフェリン溶液はそれぞれ3群に分け、1群は−30℃、別の1群は25℃、残りの1群は37℃で1週間保存した。
ホタルルシフェラーゼ反応試薬およびホタルルシフェラーゼ溶液は実施例1と同様に調製した。
(2)実験方法
実施例1と同様に行った。
(3)結果
表5に示すように、−30℃保存品の発光強度を100%として比較すると、ルシフェリン溶液にDMSO、2−クロロボロン酸の何れも含まない場合の発光強度は、25℃保存品では76%、37℃保存品では45%に低下した。
一方、ルシフェリン溶液にDMSOのみを含有する場合、25℃保存品では80%、37℃保存品では54%の発光強度であったが、DMSOと2−クロロボロン酸の両方を含む場合、25℃保存品では92%、37℃保存品では75%の発光強度を示した。つまり、DMSOと難水溶性ボロン酸誘導体との組合せにより高いルシフェリン溶液の保存安定化効果が得られることが示された。
この結果から、DMSOを難水溶性のボロン酸誘導体の溶媒として使用することにより、ホタルルシフェリンの安定化剤として、様々なボロン酸誘導体を利用する方法が示唆された。
本発明は、ホタルルシフェリン溶液の保存安定性を向上させる方法を提供することができる。すなわち、ホタルルシフェラーゼによる発光反応を利用する測定系において、長期にわたり安定かつ高感度な測定が可能となる。
本発明は、細菌検査分野における細菌の有無や菌数の検査、あるいは、食品加工分野における加工用の器具や設備の洗浄度検査に利用されているATPの定量に利用できる。
また、ホタルルシフェラーゼを標識物質として用いる微量の生体内物質の検出、例えば、生物発光酵素免疫測定法に利用できる。

Claims (7)

  1. ホタルルシフェリンを含む溶液にDMSO類似体を共存させることを特徴とするホタルルシフェリン溶液の安定化方法。
  2. 前記DMSO類似体が、下記式で表されるDMSO類似体から選択される一種類以上のDMSO類似体である請求項1に記載の安定化方法。
    式中、R1、R2は、それぞれ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ビニル基、フェニル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基またはメチルチオメチル基を示し、R1とR2は同じ或いは異なってもよい。
  3. 前記DMSO類似体がジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、3−(エチルスルフィニル)プロパン酸、メチル(メチルチオ)メチルスルホキシドから選択される一種類以上のDMSO類似体である請求項1および2に記載の安定化方法。
  4. ホタルルシフェリンを含む溶液にDMSO類似体が共存することを特徴とするホタルルシフェリン溶液。
  5. 前記DMSO類似体が、下記式で表されるDMSO類似体から選択される一種類以上のDMSO類似体である請求項4に記載のホタルルシフェリン溶液。
    式中、R1、R2は、それぞれ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ビニル基、フェニル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基またはメチルチオメチル基を示し、R1とR2は同じ或いは異なってもよい。
  6. 前記DMSO類似体がジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、3−(エチルスルフィニル)プロパン酸、メチル(メチルチオ)メチルスルホキシドから選択される一種類以上のDMSO類似体である請求項4および5に記載のホタルルシフェリン溶液。
  7. ホタルルシフェリンの安定化剤としてDMSO類似体を含むホタルルシフェリン溶液をルシフェラーゼ反応時にDMSO類似体の終濃度が5%以下となるように用いることを特徴とするホタルルシフェラーゼ発光反応測定方法。


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