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JP2018128595A - 調光フィルム、及びそれを用いた調光装置並びにスクリーン - Google Patents

調光フィルム、及びそれを用いた調光装置並びにスクリーン Download PDF

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JP2018128595A JP2017022064A JP2017022064A JP2018128595A JP 2018128595 A JP2018128595 A JP 2018128595A JP 2017022064 A JP2017022064 A JP 2017022064A JP 2017022064 A JP2017022064 A JP 2017022064A JP 2018128595 A JP2018128595 A JP 2018128595A
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かおり 森永
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Abstract

【課題】親水化処理を行わなくても、液晶、配向膜、給電用導電ペーストを取り付けるために十分な濡れ性と、耐溶剤性を併せ持つ透明導電膜を備えた調光フィルムを提供する。【解決手段】調光層と、調光層の両側の面に透明導電膜からなる透明電極と透明性基材とをこの順に備え、透明電極を通して調光層に印加する電圧に応じてヘイズを2種類以上に切り替えることができる調光フィルムであって、透明導電膜が導電性材料と重合性樹脂とを含み、かつ透明導電膜の純水接触角が5〜80°であり、かつ透明導電膜の、有機溶剤を含んだ不織布を200g/cm2荷重で10回往復させた領域の表面抵抗値が300Ω/□以下である調光フィルムとする。【選択図】なし

Description

本発明は、液晶を用いる調光層を備えた調光フィルム、及び該調光フィルムを用いる調光装置並びにスクリーンに関する。
液晶調光フィルムは、液晶を使い、電源のオン/オフで「透明」と「白濁」を瞬時に切り替え、透過する光をコントロールするフィルムであり、遮光機能や赤外線カット、紫外線カット機能を有し、また、映像投影スクリーンとしての機能も有している。尚、調光フィルムの白濁度(曇り度)は通常ヘイズ(Haze)と呼ばれる。
液晶調光フィルム(以下、調光フィルム)にはノーマルモードとリバースモードの2型式がある。前者は図1に示すように、液晶分子を高分子で包み込んだ高分子液晶複合膜を調光層(3Aまたは3B)とし、該調光層を両側から透明導電膜による透明電極2a、2bを介して透明性基材1a、1bで鋏持した構造をもっている。リバースモードは図2に示すように、前記調光層(3Aまたは3B)と透明電極2a、2bの層間にさらに配向膜9a、9bを備えている。
上記高分子液晶複合膜に用いられる高分子液晶にはいくつかの種類があるが、代表的なものとして高分子ネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)と呼ばれるタイプ(特許文献1)、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)と呼ばれるタイプ(特許文献2)が提案されている。
図3はPNLC型調光層3Aを備えるノーマルモードの調光フィルム10Aの構造と挙動を示す模式断面図である。PNLC型では、液晶分子5は高分子ネットワーク4と呼ばれる3次元網目構造の内部に形成された空隙内に配置されている。図4はPDLC型調光層3Bを備えるノーマルモードの調光フィルム10Bの構造と挙動を示す模式断面図である。PDLC型では、液晶分子8を含む液晶材料7は高分子マトリックス6の中に分散配置されている。
図3(a)、図4(a)は、各々PNLC型、PDLC型で交流電源11オフ時の状態を示しており、液晶分子5、8はランダムに配列しているため入射光21は高分子と液晶の界面で多重散乱され、散乱光22が顕著となって高ヘイズ状態となり白濁化する。図3(b)、図4(b)は、各々PNLC型、PDLC型で交流電源11オン時の状態であり、液晶分子5、8は電界に沿って配列するため光散乱がなくなり、透明化した低ヘイズ状態となる。
図5はPNLC型調光層3Aを備えるリバースモードの調光フィルム20Aの構造と挙動を示す模式断面図である。リバースモードの調光フィルム20Aは、調光層3Aの両側で、調光層3Aと透明電極2a、2bの層間に配向膜9a、9bを備えている。配向膜9a、9bはいわゆる垂直配向膜であり、調光層3Aに電圧を印加していないときに(図5(a))、液晶分子5の長手方向が配向膜9a、9bの法線方向に沿うように液晶分子を配向する。このため、調光層3Aに電圧を印加していないときに低ヘイズ状態となり透明性が高くなる。一方、調光層3Aに電圧を印加したときは(図5(b))、液晶分子の向きは不規則となり、高ヘイズ状態となって白濁化する。
PDLC型調光層3Bを備えるリバースモードの調光フィルム20B(図2)の構造と
挙動についても図5のPNLC型の場合と同様であるので、説明を省略する。
調光フィルムに使用する透明電極となる透明導電膜に必要な特性の1つ目として、純水接触角が低いことが挙げられる。純水接触角が低いほど濡れ性が向上し、透明導電膜上に塗工する調光層(液晶)や配向膜をはじくことがなくなり、密着性も高くなる。
一方、一般の調光フィルムにおける給電部の構造は、図7に示すようになっており(例えば特許文献3。尚、図7では配向膜がない場合を示している)、透明性基材51−1、透明導電膜52−1、及び調光層53が切り欠かれ、調光フィルム50の端部に露出した透明導電膜52−2の上に塗布された導電ペースト61と、導電ペースト61の上側に圧着されたピンコネクタ62が設けられる。ピンコネクタ62は延出部62aを備え、ハンダ63によってリード線64が前記延出部62aに連結されて配線部が形成される。ここで、透明導電膜52−2の純水接触角を低くするほど導電ペースト61の密着性も向上する。
前記のような給電部構造は、調光フィルムを構成後に形成されるのが一般的である。すなわち、1対の透明性基材上の透明導電膜間に調光層を挟持させた後、端部を部分的に切り欠き解体する要領で片側の透明導電膜52−2を露出させ、これに導電ペースト等を積層し、その上に配線部を形成する。次に反対側の端部についても、同様に上側の透明性基材51−1、透明導電膜52−1をベースとする給電部を形成する。こうして両側に形成された給電部から透明電極を駆動電極として調光層に電圧を印加することが可能となる。
上記のように、給電部構造は調光フィルムを部分的に解体することで形成されるため、まず構成している1対の透明性基材及び透明導電膜の両端部の上下片側ずつを剥離する必要がある。片側の透明性基材及び透明導電膜を剥離した後も、反対側の透明導電膜上に絶縁材料である調光層(液晶)や配向膜が残存していると導通を阻害するため、残存液晶や配向膜を有機溶剤等で除去する必要がある。そこで、透明導電膜に必要な特性の2つ目として耐溶剤性が挙げられる。透明導電膜の耐溶剤性が低いと、溶剤により透明導電膜が溶解、離脱し、導電性が低下してしまう。また、液晶や配向膜を塗工する際、液晶や配向塗液中の溶剤により、透明導電膜が溶解、離脱し、導電性が低下してしまうこともある。
米国特許第5304323号明細書 米国特許第4688900号明細書 実公平6−37395号公報 特許第5672813号公報 特開2014−055323号公報 特開2015−215418号公報
一般に、透明導電膜としてはITO(酸化インジウムスズ)が用いられる。ITOの耐溶剤性は高いが、純水接触角が大きく濡れ性が悪い。また、フレキシブル性が劣るため曲面形状への使用が困難であるという問題もある。特許文献4ではITO表面に大気圧プラズマ、オゾンなどの親水化処理を行うことで純水接触角を低下させているが、工程が増えるという問題がある。また、透明導電膜として、導電性ポリマーや金属ナノワイヤ(特許文献5)、カーボンナノチューブ(特許文献6)を用いる技術も知られているが、この場合は純水接触角が低く濡れ性は問題ないが、耐溶剤性が乏しいという問題があった。
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、PNLC型やPDLC型などの透過−散乱型の調光層を用いた調光フィルムにおいて、親水化処理を行わなくても液晶、配向膜、給電用導電ペーストを形成するために十分な濡れ性、密着性と、耐溶剤性を併せ持つ透明導電膜を備えた調光フィルム、及び該調光フィルムを用いる調光装置並びにスクリーンを提供することを目的とするものである。
上述の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、調光層と、前記調光層の両側の面に透明導電膜からなる透明電極と、透明性基材と、をこの順に備え、前記透明電極を通して前記調光層に印加する電圧に応じてヘイズを2種類以上に切り替えることができる調光フィルムであって、
前記透明導電膜が導電性材料と重合性樹脂とを含み、
かつ前記透明導電膜の純水接触角が5〜80°であり、
かつ前記透明導電膜の、有機溶剤を含んだ不織布を200g/cm荷重で10回往復させた領域の表面抵抗値が300Ω/□以下であることを特徴とする調光フィルムとしたものである。
請求項2に記載の発明は、前記導電性材料が、ドーパントを含むπ共役系導電性高分子、金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブから選ばれる一種または複数種であることを特徴とする請求項1に記載の調光フィルムとしたものである。
請求項3に記載の発明は、前記ドーパントを含むπ共役系導電性高分子がポリチオフェン系のPEDOT/PSSであることを特徴とする請求項2に記載の調光フィルムとしたものである。
請求項4に記載の発明は、前記金属ナノワイヤが、銀ナノワイヤであることを特徴とする請求項2に記載の調光フィルムとしたものである。
請求項5に記載の発明は、前記重合性樹脂が、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の調光フィルムとしたものである。
請求項6に記載の発明は、前記調光層と、前記調光層の両側の面の前記透明電極との層間に配向膜を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の調光フィルムとしたものである。
請求項7に記載の発明は、前記有機溶剤が、メチルエチルケトン(MEK)であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の調光フィルムとしたものである。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の調光フィルムを備え、該調光フィルムにおける前記透明電極に電圧を印加可能な交流電源と、前記透明電極に前記交流電源の電圧を印加するか否かを切り替えるスイッチを備えることを特徴とする調光装置としたものである。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の調光装置を備え、該調光装置の少なくとも一方の面の前記透明性基材上に、透明性接着層を介して、透明性ガラスを備えることを特徴とするスクリーンとしたものである。
本発明によれば、調光層と、調光層の両側の面に透明導電膜からなる透明電極と、透明
性基材と、をこの順に備え、透明導電膜が導電性材料と重合性樹脂とを含み、かつ透明導電膜の純水接触角が5〜80°であり、かつ透明導電膜の、有機溶剤を含んだ不織布を200g/cm荷重で10回往復させた領域の表面抵抗値が300Ω/□以下である調光フィルムとしたので、親水化処理を行わなくても液晶、配向膜、給電用導電ペーストを形成するために十分な濡れ性、密着性と、耐溶剤性を併せ持つ透明導電膜を備えた調光フィルム、及び該調光フィルムを用いる調光装置並びにスクリーンを提供することができる。
ノーマルモードの調光フィルムの層構成を示す模式断面図である。 リバースモードの調光フィルムの層構成を示す模式断面図である。 PNLC型調光層を備えるノーマルモードの調光フィルムの構造と挙動を示す模式断面図である。(a)電源オフ時(b)電源オン時。 PDLC型調光層を備えるノーマルモードの調光フィルムの構造と挙動を示す模式断面図である。(a)電源オフ時(b)電源オン時。 PNLC型調光層を備えるリバースモードの調光フィルムの構造と挙動を示す模式断面図である。(a)電源オフ時(b)電源オン時。 本発明の調光装置を用いるスクリーンの構成例を示す模式側面図である。 一般の調光フィルムにおける給電部の構造を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る調光フィルム、及びそれを用いた調光装置並びにスクリーンについて説明する。尚、同一の構成要素については便宜上の理由がない限り同一の符号を付け、重複する説明は省略する。また、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じではない。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る調光フィルムは、ノーマルモードに係る実施形態であり、調光フィルム(10Aまたは10B)は図1に示す層構成を有しており、従来のノーマルモードの調光フィルムの層構成と同じである。本構成において、透明電極2a、2bを通して調光層(3Aまたは3B)に電圧を印加することができ、電圧を高めるにつれて調光フィルム(10Aまたは10B)のヘイズを減少する方向に2種類以上に切り替えることができる。ここで2種類「以上」である理由は、交流電源のオン・オフに加えて実効電圧を可変とすることにより、光の透過・散乱の程度を変化させ、ヘイズを多様に変化させることができるからである。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る調光フィルムは、リバースモードに係る実施形態であり、調光フィルム(20Aまたは20B)は図2に示す層構成を有しており、調光層(3Aまたは3B)と、調光層の両側の面の透明電極2a、2bとの層間に配向膜9a、9bを備えており、従来のリバースモードの調光フィルムの層構成と同じである。本構成において、透明電極2a、2bを通して調光層(3Aまたは3B)に電圧を印加することができ、電圧を高めるにつれて調光フィルム(20Aまたは20B)のヘイズを増加する方向に2種類以上に切り替えることができる。ここで2種類「以上」である理由は、ノーマルモードの場合と同じである。
(第1、第2の実施形態に共通する、透明導電膜の特徴)
本発明の第1、第2の実施形態に係る調光フィルムで用いる透明電極2a、2bとなる透明導電膜は、導電性材料と重合性樹脂とを含み、かつ透明導電膜の純水接触角が5〜80°であり、かつ透明導電膜の、有機溶剤を含んだ不織布を200g/cm荷重で10回往復させた領域の表面抵抗値が300Ω/□以下である。
前記で使用する有機溶剤としては、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤であることが好ましく、ケトン系溶剤ではメチルエチルケトンであること、アルコール系溶剤ではメタノールであること、アミド系溶剤ではN-メチル-2-ピロリドンであることが特に好ましい。
上記で「表面抵抗」とは単位面積あたりの電気抵抗であり、「シート抵抗」あるいは「表面抵抗率」とも呼ばれ、単位はΩ/□またはΩ/sq.(sq.はsquareの意味)で表わされる。表面抵抗は、市販の表面抵抗計で測定することができる。
本発明の調光フィルムで用いる透明導電膜に含まれる導電性材料は、高い導電性を示すことからドーパントを含むπ共役系導電性高分子、金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブから選ばれる一種または複数種であることが好ましい。
π共役系導電性高分子としては、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリピロール、ポリフェニレンスルフィド、ポリピリジルビニレン、及びポリアジン等を例示することができる。これらの導電性高分子は、1種のみを用いてもよく、また、目的に応じて2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記のπ共役系高分子では、それ単独では導電性が発現せず、ドーパントを添加することにより、プラスまたはマイナスの電荷がπ共役系高分子に付与されて導電性を持つ場合もある。従って、ドーパントを加えることが好ましい。
π共役系高分子をポリエチレンジオキシチオフェンとし、分散性の観点からポリスチレンスルホン酸をドーパントとして添加した材料、すなわちエチレンジオキシチオフェン(EDOT)モノマーをポリスチレンスルホン酸(PSS)下で重合させた材料はポリスチレンスルホン酸ドープポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT/PSS)と呼ばれ、本発明の調光フィルムで用いる透明導電膜に含まれる導電性材料として特に好ましい。
一般に、金属ナノワイヤとは、金属元素を主要な構成要素とし、原子スケールからnmサイズの直径を有する線状構造体のことをいう。金属元素としては、銀などの貴金属、鉄、コバルト、銅、及び錫から選ばれる少なくとも1種の金属が好ましいが、特には高い導電性を有することと、可視光での反射率が低いことから銀ナノワイヤであることが好ましい。銀ナノワイヤは、ポリオール法、テンプレート法、電気化学法などにより製造される。
本発明の調光フィルムで用いる透明導電膜に含まれる重合性樹脂は、下記化学構造式1
で表される構造を有する少なくとも一種の化合物の重合体であることが好ましい。化学構造式1中、Xは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONR−または−NHCO−で表される結合基を表し、R及びRは、それぞれ独立して、水素、任意の水素がヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルケニル基または任意の水素がメチル基で置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基、炭素数3〜18の複素環基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基、2〜20の重合度を有するポリエチレンオキシド基、2〜20の重合度を有するポリプロピレンオキシド基、及びグリシジル基からなる群から選択され、Rは、水素またはメチルを表す。R及びRはエーテル酸素を介して結合してもよい。
化学構造式1で表わされる化合物の中では、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)であることが特に好ましい。PETAの化学構造式を以下に示す。
本発明の調光フィルムで用いる透明導電膜で規定する純水接触角、表面抵抗値、及び透明導電膜に含まれる導電性材料、重合性樹脂の好ましい材料の有効性は実施例において示す。
(その他の構成要素)
以下、本発明の調光フィルムを構成する、透明導電膜以外の要素について説明する。
透明性基材としては、化学的及び物理的に強固で十分な硬度、耐久性を有し、かつ高い透明性を維持するために、膜厚が20μm以上100μm以下のポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルムなどが特に好ましい。
本発明の調光フィルムにおける調光層は、3次元網目構造の高分子ネットワークの内部に形成された空隙内に配置される液晶分子か、または高分子マトリックス中に分散配置される液晶材料中に含まれる液晶分子を含むことが好ましい。従って、PNLC型及びPDLC型の高分子液晶複合膜を調光層として用いることができる。
本発明の調光フィルムにおける調光層の厚みは、5μm以上50μm以下が好ましく、10μm以上25μm以下であることがより好ましい。調光層の厚みが5μm未満になると、ショートを引きおこしやすい傾向があり、また、透明導電膜とのラミネートがしにくくなる傾向にある。厚みが50μmを超えると応答性が低下する。
第2の実施形態で用いる配向膜としては、例えばポリイミド、ポリビニルアルコールなどの公知の材料を用いることができる。配向膜は、ラビング処理されていてもよく、ラビング処理されていなくてもよい。
(本発明の調光装置)
本発明の調光装置は、本発明の調光フィルムを備え、透明電極に電圧を印加可能な交流電源と、透明電極に該交流電源からの電圧を印加するか否かを切り替えるスイッチを備える調光装置である。従って基本的な形態は、図3〜図5に示す、調光フィルムと交流電源11とをスイッチを経由して接続した形態に等しい。尚、交流電源は、その実効電圧を変化させうる可変電源であることが好ましい。これは、既述のように、光の透過・散乱の程度を制御し、ヘイズを多様に変化させることができるからである。
(本発明のスクリーン)
本発明のスクリーンは、前記本発明の調光装置を備え、該調光装置の少なくとも一方の面の透明性基材上に、透明性接着層を介して、透明性ガラスを備えるスクリーンである。図6では、調光装置30の両側の面の透明性基材1a、1b上に、透明性接着層41a、41bを介して、透明性ガラス42a、42bを備える形態を示している。
本発明のスクリーンでは、電源の切り替えにより調光フィルムが透明となったときは透明なガラスとなりガラスの向こう側を視認することができる。また、白濁し不透明となったときはガラスに投影した画像を視認できるスクリーンとして機能する。また、可変電源を使用することにより、それらの中間的な状態を作り出すことができる。
以下本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(接触角、濡れ性、密着性、耐溶剤性(表面抵抗値)、屈曲性評価用試料の作製)
透明性基材としてのPETフィルム(膜厚50μm)上に、下記のように実施例、比較例の各透明導電膜を形成し、各透明導電フィルムの試料を作製した。
実施例1〜3、7及び比較例1、2は、ノーマルモードの調光フィルムのための作製と評価、実施例4〜6及び比較例3、4は、リバースモードの調光フィルムのための作製と評価であるが、ノーマルモードの調光フィルムとリバースモードの調光フィルムの違いは、調光層と透明電極との層間に配向膜を備えないか、備えるか、の違いだけである。従って、透明電極となる透明導電膜としては、実施例1と4、実施例2と5、実施例3と6、比較例1と3、比較例2と4で、それぞれ同じ方法で作製したものである。
<実施例1、実施例4>
実施例1、4では、導電性材料として市販のPEDOT/PSS、重合性樹脂としてペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(HCPK)を用い、PEDOT/PSS:PETA:HCPK=40重量部:57重量部:3重量部になるよう混合したあと、固形分が2.5wt%になるようエタノールで希釈して塗工液とした。作製した塗工液を基材に対し乾燥後の膜厚が250nmとなるように、ダイコート法により塗工し、100℃2分間オーブンにて乾燥させ、その後紫外線(360mJ/cm)照射し硬化させて透明導電膜を形成し、透明導電フィルムを得た。
<実施例2、実施例5>
実施例2、5では、導電性材料として、さらに市販の銀ナノワイヤを用い、PEDOT/PSS:銀ナノワイヤ:PETA:HCPK=20重量部:20重量部:57重量部:3重量部になるように混合したこと以外は、実施例1と同様にして透明導電膜を形成し、透明導電フィルムを得た。
<実施例3、実施例6>
実施例3、6では、導電性材料として、さらに市販のカーボンナノチューブ(CNT)を用い、PEDOT/PSS:CNT:PETA:HCPK=12重量部:28重量部:57重量部:3重量部になるように混合したこと以外は、実施例1と同様にして透明導電膜を形成し、透明導電フィルムを得た。
<実施例7>
添加剤としてメガファックF477(DIC(株)製)を用い、PEDOT/PSS:PETA:HCPK:F477=40重量部:57重量部:3重量部:0.01重量部になるように混合したこと以外は、実施例1と同様にして透明導電膜を形成し、透明導電フィルムを得た。
<比較例1、3>
ITO単層膜を、スパッタリング法により20nm厚で形成し、透明導電膜とした。
<比較例2、4>
実施例1と同じPEDOT/PSSの塗工液を作り、基材に対し乾燥後の膜厚が250nmとなるようにダイコート法により塗工し、100℃2分間オーブンにて乾燥させて透明導電膜を形成し、透明導電フィルムを得た。
(接触角の測定方法)
接触角計(協和界面科学社製CA−X型)を用いて、乾燥状態(20℃−65%RH)で直径1.8mmの液滴を針先に作り、これらを試料(固体)の表面に接触させて液滴を作った。接触角とは、固体と液体とが接触する点における液体表面に対する接線と固体表面とがなす角であり、液体を含む側の角度で定義した。液体としては、蒸留水を使用した。
(濡れ性の評価方法)
第1の実施形態(ノーマルモード)の場合は、調光層を透明導電膜上に塗工した際、また導電ペーストを塗布した際に、それぞれ目視にてハジキの確認を行った。また、第2の実施形態(リバースモード)の場合は、液晶を透明導電膜上または配向膜上に塗布した際、また配向膜を透明導電膜上に塗布した際、また導電ペーストを塗布した際に、それぞれ目視にてハジキの確認を行った。ハジキが確認できない場合を濡れ性が良好「○」であるとし、ハジキが確認された場合を濡れ性不良「×」とした。
(密着性の評価方法)
第1の実施形態(ノーマルモード)の場合は、調光層を透明導電膜上に塗工した際、また導電ペーストを塗布した際に、それぞれ密着性試験を行った。また、第2の実施形態(リバースモード)の場合は、液晶を透明導電膜上または配向膜上に塗布した際、また配向膜を透明導電膜上に塗布した際、また導電ペーストを塗布した際に、それぞれ密着性試験を行った。密着性試験は、クロスカットピール試験により行った。剥離がない場合を密着性良好「○」であるとし、剥離がある場合を密着性不良「×」とした。
(耐溶剤性の評価(表面抵抗値の測定)方法)
ITOを透明導電膜とする比較例1、3以外の、透明導電膜の導電性材料として少なくともPEDOT/PSSを含む実施例、比較例の試料については、該透明導電膜の、メチルエチルケトン(MEK)を含んだ不織布を200g/cm荷重で10回往復させた領域の表面抵抗値を市販の表面抵抗計(商品名:ロレスタ、三菱化学製)を用いて測定した。ITOを透明導電膜とする比較例1、3の試料についてはメタノールを含んだ不織布を用いて同様に行った。
(屈曲性の測定・評価方法)
JIS K5600−5−1に準拠する方法で、屈曲試験機(円筒型マンドレル屈曲試験器、オールグッド製)を用いて円筒型マンドレル法により測定した。測定値は、目視及び光学顕微鏡で観察したとき、クラック、剥離等の異常が見られない下限のマンドレルの直径を表わす。従って数値が小さい程、屈曲性に優れることを示す。
(ノーマルモードの電圧駆動評価用調光モジュールの作製)
上記で得られた各透明導電フィルムを2枚ずつ用意し、一方のフィルムの透明導電膜側にPNLC型調光層を積層し、さらに他方のフィルムを透明導電膜側が調光層側となるように積層して、調光フィルムを作製した。また、得られた調光フィルムを10cm×10cmに切断し、フィルム両端部から1cmの範囲の一方の透明導電フィルムを切り取り、調光層を露出させた。次いで、露出した調光層を溶剤(実施例1〜3、7及び比較例2の時はMEK、比較例1の時はメタノールを使用)を含浸させた不織布で拭き取り他方の透明導電膜を露出させた。その後、露出した透明導電膜に導電ペーストを塗布し、導電ペーストの上側にピンコネクタを圧着した。さらにピンコネクタの延出部にリード線をはんだ付けすることにより、調光モジュールを作製した。
(リバースモードの電圧駆動評価用調光モジュールの作製)
上記で得られた各透明導電フィルムを2枚ずつ用意し、それぞれのフィルムの透明導電膜上に配向膜として厚さ100nmのポリイミドを塗工形成した。続いて、一方のフィルムの配向膜側にPNLC型調光層を積層し、さらに他方のフィルムを配向膜側が調光層側となるように積層して、調光フィルムを作製した。また、得られた調光フィルムを10cm×10cmに切断し、フィルム両端部から1cmの範囲の一方の透明導電フィルム及び配向膜を切り取り、調光層を露出させた。次いで、露出した調光層を溶剤(実施例4〜6及び比較例4の時はMEK、比較例3の時はメタノールを使用)を含浸させた不織布で拭き取りもう一方の透明導電膜を露出させた。その後、露出した透明導電膜に導電ペーストを塗布し、導電ペーストの上側にピンコネクタを圧着した。さらにピンコネクタの延出部にリード線をはんだ付けすることにより、調光モジュールを作製した。
(電圧駆動の評価方法)
調光モジュールに対し100Vの電圧を印加し、調光機能が駆動するか確認した。駆動した場合「○」、駆動しなかった場合を「×」とした。
<評価結果>
表1に試料条件と評価結果をまとめて示す。実施例1〜7において、透明導電膜の導電性材料がPEDOT/PSS、PEDOT/PSS+銀ナノワイヤ、PEDOT/PSS+CNTのいずれであっても、重合性樹脂としてPETAを使用したことにより、純水接触角は5〜80°となり、液晶及び導電ペーストの濡れ性、密着性は良好であった。配向膜を有する実施例4〜6においては、配向膜の濡れ性、密着性も良好であった。これらの各部が良好に形成され、また透明導電膜の耐溶剤性が高い(表面抵抗値の上昇がない)ため、実施例1〜7においては電圧駆動も良好であった。また、実施例1〜7においては、屈曲性(フレキシブル性)も10mmφと良好であった。
他方、ITOを透明導電膜とする比較例1、3では、耐溶剤性は高いものの、純水接触角が100°以上と大きいため、液晶及び導電ペーストの(配向膜を有する比較例3では配向膜も)濡れ性、密着性が悪くなった。屈曲性(フレキシブル性)も実施例に比べ劣っていた。また、透明導電膜の導電性材料がPEDOT/PSSであり、重合性樹脂を有しない比較例2、4では、純水接触角は20°台と小さいものの、耐溶剤性が低く導電ペーストの濡れ性、密着性が悪くなった。これらのことから、比較例1〜4においては電圧駆動が不良となった。
本発明の調光フィルムは、窓ガラスや展示ウィンドウ、パーテーション用、視野遮断可能なスクリーンとして適用することができる。また、プライベート空間とパブリック空間とを分離するため、自動車のサンルーフやサンバイザーとしても利用することができる。また、表示板、プロジェクション等のディスプレイ用途にも応用することが可能である。
1a、1b・・・透明性基材、 2a、2b・・・透明電極
3A・・・・・・調光層(PNLC型)、 3B・・・・・・調光層(PDLC型)
4・・・・・・・高分子ネットワーク、 5、8・・・・・液晶分子
6・・・・・・・高分子マトリックス、 7・・・・・・・液晶材料
9a、9b・・・配向膜
10A・・・・・調光フィルム(PNLC型、ノーマルモード)
10B・・・・・調光フィルム(PDLC型、ノーマルモード)
11・・・・・交流電源、 12・・・・・スイッチ
20A・・・・調光フィルム(PNLC型、リバースモード)
20B・・・・調光フィルム(PDLC型、リバースモード)
21・・・・・入射光、 22・・・・・散乱光、 23・・・・・透過光
30・・・・・調光装置、 40・・・・・スクリーン
41a、41b・・・透明性接着層、 42a、42b・・・透明ガラス
43・・・・・プロジェクタ、 44・・・・・投影光
50・・・調光フィルム、 51−1、51−2・・・透明性基材
52−1、52−2・・・透明導電膜、 53・・・・・・・・・調光層
61・・・導電ペースト、 62・・・ピンコネクタ、 62a・・・延出部
63・・・ハンダ、 64・・・リード線

Claims (9)

  1. 調光層と、前記調光層の両側の面に透明導電膜からなる透明電極と、透明性基材と、をこの順に備え、前記透明電極を通して前記調光層に印加する電圧に応じてヘイズを2種類以上に切り替えることができる調光フィルムであって、
    前記透明導電膜が導電性材料と重合性樹脂とを含み、
    かつ前記透明導電膜の純水接触角が5〜80°であり、
    かつ前記透明導電膜の、有機溶剤を含んだ不織布を200g/cm荷重で10回往復させた領域の表面抵抗値が300Ω/□以下であることを特徴とする調光フィルム。
  2. 前記導電性材料が、ドーパントを含むπ共役系導電性高分子、金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブから選ばれる一種または複数種であることを特徴とする請求項1に記載の調光フィルム。
  3. 前記ドーパントを含むπ共役系導電性高分子がポリチオフェン系のPEDOT/PSSであることを特徴とする請求項2に記載の調光フィルム。
  4. 前記金属ナノワイヤが、銀ナノワイヤであることを特徴とする請求項2に記載の調光フィルム。
  5. 前記重合性樹脂が、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の調光フィルム。
  6. 前記調光層と、前記調光層の両側の面の前記透明電極との層間に配向膜を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の調光フィルム。
  7. 前記有機溶剤が、メチルエチルケトン(MEK)であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の調光フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の調光フィルムを備え、該調光フィルムにおける前記透明電極に電圧を印加可能な交流電源と、前記透明電極に前記交流電源の電圧を印加するか否かを切り替えるスイッチを備えることを特徴とする調光装置。
  9. 請求項8に記載の調光装置を備え、該調光装置の少なくとも一方の面の前記透明性基材上に、透明性接着層を介して、透明性ガラスを備えることを特徴とするスクリーン。
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