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JP2018101560A - 半導体固体電池 - Google Patents

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敦也 佐々木
Atsuya Sasaki
敦也 佐々木
亮人 佐々木
Ryoto Sasaki
亮人 佐々木
好則 片岡
Yoshinori Kataoka
好則 片岡
英明 平林
Hideaki Hirabayashi
英明 平林
秀一 齋藤
Shuichi Saito
秀一 齋藤
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Abstract

【課題】 エネルギー密度および出力密度の高い半導体固体電池を提供する。
【解決手段】 N型半導体単層、P型半導体単層またはPN接合型半導体層のいずれか1種からなる半導体層と、半導体層に絶縁層を介して設けられた電極を具備することを特徴とする半導体固体電池。また、絶縁層は、厚さが30nm以下、比誘電率が10以下であることが好ましい。また、絶縁層は膜密度60%以上であることが好ましい。これにより電解液を使用しない電池を提供できる。
【選択図】 図1

Description

後述する実施形態は、半導体固体電池に関する。
近年、電気機器の普及、省エネの観点から電気を効率的に活用することが求められている。これに伴い、電気を充放電できる二次電池の開発が進められている。二次電池としては、Liイオン二次電池、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池など様々なものが開発されている。例えば、特開2001−338649(特許文献1)にはLi複合酸化物を正極活物質に使ったLiイオン二次電池が開示されている。Liイオン二次電池は、小型化も可能であることから電器機器の電池として活用されている。
一方、Liイオン二次電池は、電解液を介してLiイオンを出し入れする構造である。そのため、電解液を必須とした電池である。鉛蓄電池やニッケル水素蓄電池も同様に電解液を必須とした電池である。電解液が漏れると火災や爆発の原因となる。このため、Liイオン二次電池では、液漏れを起こさないように密閉構造をとっている。しかしながら、長期使用による劣化、電器機器の使い方、使用環境によって液漏れが発生してしまうといった問題が生じていた。
このような液漏れによる不具合を無くすために半導体固体電池の開発が進められている。半導体固体電池はエネルギー準位に電子を捕獲し充電を行うものである。全固体の二次電池とすることができるため、電解液を使う必要がない。
半導体固体電池としては、特開2014−154223(特許文献2)が例示される。
特開2001−338649号公報 特開2014−154223号公報
特許文献2の半導体固体電池は、充電層としての半導体酸化物、絶縁層としての絶縁性酸化物を積層し、電極を設けた構造となっている。特許文献2では、この構造により、出力電圧や放電容量の改善を図っている。
しかしながら、更なる改善の要望があった。実施形態はこのような問題を解決するためのものであり、出力電圧や放電容量を改善した半導体固体電池を提供するためのものである。
実施形態にかかる半導体固体電池は、N型半導体単層、P型半導体単層またはPN接合型半導体層のいずれか1種からなる半導体層と、半導体層に絶縁層を介して設けられた電極を具備することを特徴とするものである。
実施形態にかかる半導体固体電池(第一の半導体固体電池)の模式図。 実施形態にかかる他の半導体固体電池(第二の半導体固体電池)の模式図。 第一の半導体固体電池の電子と正孔の移動を示す模式図。 第二の半導体固体電池の電子と正孔の移動を示す模式図。
実施形態にかかる半導体固体電池は、N型半導体単層、P型半導体単層またはPN接合型半導体層のいずれか1種からなる半導体層と、半導体層に絶縁層を介して設けられた電極を具備することを特徴とするものである。
図1に実施形態にかかる半導体固体電池(第一の半導体固体電池)の模式図を示した。図中、1は半導体固体電池、2はN型半導体、3はP型半導体、4は第一の絶縁層、5は第二の絶縁層、6は電極(N型側電極)、7は電極(P型側電極)、である。
まず、N型半導体2とP型半導体3が接合したPN接合型半導体層を具備している。このようにPN接合型半導体層を有したものを第一の半導体固体電池と呼ぶ。
第一の半導体固体電池は、PN接合型半導体層の両端部に第一の絶縁層4および第二の絶縁層5を設けている。N型半導体2に設けられた絶縁層を第一の絶縁層4とする。また、第一の絶縁層4には電極6が設けられている。電極6はN型側電極と呼ぶ。また、P型半導体3に設けられた絶縁層を第二の絶縁層5とする。第二の絶縁層5には電極7が設けられている。電極7は、P型側電極と呼ぶ。
第一の半導体固体電池は、PN型接合半導体層を第一の絶縁層4および第二の絶縁層5で挟んだ構造となっている。
第一の絶縁層4および第二の絶縁層5を設けると、それぞれトンネル効果を得ることが出来る。トンネル効果を得ることにより、高容量化を得ることができる。
第一の絶縁層4がないと、N型半導体2に蓄電されたキャリアが電極6に流れ易くなり電気が溜まり難い。同様に、第二の絶縁層5がないと、P型半導体3に蓄電されたキャリアが電極7に流れ易くなり電気が溜まり難い。
また、第一の絶縁層4または第二の絶縁層5は膜厚30nm以下、比誘電率10以下であることが好ましい。膜厚が30nmを超えて厚いと抵抗体となってしまい電気が取り出し難くなる。同様に、比誘電率が10を超えて大きいと抵抗体となってしまう恐れがある。
このため、第一の絶縁層4または第二の絶縁層5は膜厚30nm以下、さらには10nm以下が好ましい。また、膜厚の下限値は特に限定されるものではないが3nm以上であることが好ましい。膜厚が3nm未満と薄いとトンネル効果が不十分となり、キャリアが消失し易くなる。
また、比誘電率は10以下、さらには5以下が好ましい。また、比誘電率の下限値は特に限定されるものではないが2以上が好ましい。比誘電率が2未満ではトンネル効果が不十分となる恐れがある。比誘電率は、物質の誘電率を真空の誘電率で割った値を示す。比誘電率ε=物質の誘電率ε/真空の誘電率εで表される。トンネル効果を十分に得るには、絶縁層の膜厚と比誘電率を制御することが有効である。
また、第一の絶縁層(および第二の絶縁層)の膜厚は断面の拡大写真で測定することができる。拡大写真としてはSEM写真またはTEM写真が挙げられる。5000倍以上に拡大することが好ましい。
また、比誘電率の測定は共振器法が挙げられる。共振器法は、空洞共振器などの共振器を用い、微小な被測定対象による共振の変化を基にして測定する方法である。共振器法は多層膜のまま測定できる方法である。
また、多層膜の膜厚が100nm以上の場合は、摂動方式の空洞共振器法が有効である。また、試験環境の温度は常温(25±2℃)で行うものとする。また、100nm未満の多層膜の場合は容量−電圧測定(C−V測定)が有効である。
また、第一の絶縁層4および第二の絶縁層5は膜密度が60%以上であることが好ましい。膜密度は、絶縁層を構成する物質の充填率であり、空孔の割合を示すものである。膜密度が大きいほど空孔が少ないことになる。膜密度が60%以上であると、第一の絶縁層による電子・正孔の再結合抑制効果を得易くなる。膜密度が高いほど、その効果を得易くなる。そのため、膜密度は60%以上、さらには80%以上100%以下が好ましい。また、膜密度が低いと電流リークが発生し易くなる恐れがある。
なお、第一の絶縁層(および第二の絶縁層)の膜密度の測定方法は、任意の断面を拡大写真にとり、画像解析により膜を構成する材料と空孔を見分けるものとする。
また、X線反射率法(XRR)により膜密度や膜厚を測定する方法も有効である。試料の表面粗さRaが数nm以下の平坦である場合、XRRが好ましい。反射率強度を測定すると、X線の干渉により、散乱角(2θ)に対して反射率強度が振動する。測定データを各層の膜厚、膜密度、表面・界面粗さをパラメータとし、フィッティングを行う。フィッティングの理論式としては、Parrattの多層膜モデルにNevot−Croceのラフネスの式を組み合わせたものを用いるものとする。TEM、SEMにより予め膜厚等の値を調べることにより、それをフィッティングパラメータとして用いることで膜密度などをより正確に測定することができる。
また、第一の絶縁層4または第二の絶縁層5の材質は、金属酸化物、金属窒化物、絶縁性樹脂から選ばれる1種または2種以上が好ましい。金属酸化物は、珪素、アルミニウム、タンタル、ニッケル、銅、鉄から選ばれる1種または2種以上の酸化物(複合酸化物含む)が好ましい。また、金属窒化物は、珪素、アルミニウムから選ばれる1種または2種以上の窒化物(複合窒化物含む)が好ましい。また、金属酸窒化物であってもよい。また、絶縁性樹脂であってもよい。
また、金属酸化物膜または金属窒化物膜は、CVD法、スパッタ法、溶射法など様々な成膜方法を適用することができる。また、成膜雰囲気を酸素含有雰囲気にして酸化物膜にすることも有効である。同様に、成膜雰囲気を窒素含有雰囲気にして窒化物膜にしてもよい。また、必要に応じ、熱処理を加えても良いものとする。
また、第一の絶縁層4上には電極6、第二の絶縁層5上には電極7が設けられている。電極6は一つであってもよいし、複数個設けても良い。同様に、電極7も一つであってもよいし、複数個設けても良い。また、電極6および電極7は、銅、アルミニウムなどの導電性のよい金属材料が好ましい。また、ITOなどの透明電極であってもよい。
また、N型半導体2およびP型半導体3は、金属シリサイド、金属酸化物、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、結晶シリコン、単結晶シリコンから選ばれる1種からなることが好ましい。
N型半導体2は電子をキャリアとする。また、P型半導体3は正孔をキャリアとする。PN接合型半導体層を形成することにより、PN接合部の電界により電子および正孔が加速される。電子および正孔が加速されると急速充放電特性が改善され、出力密度が向上する。また、N型半導体2とP型半導体3の間に絶縁層がないため、電子および正孔がPN接合の境界に集中することがない。このため、高容量化をなしえることが出来る。
また、さらなる高容量化のためには、半導体層の電子また正孔の量を適正化する必要がある。金属シリサイド、金属酸化物、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、結晶シリコン、単結晶シリコンは、キャリアとなる電子また正孔の量を制御し易い。また、N型半導体2とP型半導体3は不純物ドープや欠損導入によりキャリアの量を制御可能である。
また、金属シリサイドは、バリウムシリサイド(BaSi)、鉄シリサイド(FeSi)、マグネシウムシリサイド(MgSi)から選ばれる1種が好ましい。また、金属酸化物は、酸化タングステン(WO)、酸化モリブデン(MoO、MoO)、酸化チタン(TiO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(CuO)、酸化アルミニウム(Al)から選ばれる1種が好ましい。
また、N型半導体またはP型半導体は、電子または正孔の捕獲準位を導入していることが好ましい。捕獲順位とは、電子または正孔を捕獲するエネルギー準位のことであり、トラップ準位とも呼ぶ。
また、N型半導体またはP型半導体は、電子または正孔の捕獲準位を多数導入していることが好ましい。捕獲準位とは、電子または正孔を捕獲するエネルギー準位のことであり、トラップ準位とも呼ぶ。また、捕獲準位は1018cm−3〜1022cm−3の範囲内であることが好ましい。捕獲準位としては、不純物準位、欠陥準位がある。不純物準位は不純物のドープにより元素を置換することにより得られる準位である。不純物のドープ量を調整することにより制御できる。また、欠陥準位は元素の欠損により生じする準位である。金属酸化物であれば酸素欠損を設けることにより得られる準位である。
また、半導体の伝導機構としては、ホッピング伝導とバンド伝導がある。ホッピング伝導は、半導体において、電子がほとんど局在的状態にあり、それらの間を次々に飛躍(ホッピング)することによって電気伝導が担われている状態を示す。ホッピング伝導では、電子の平均自由工程は原子間距離(不純物伝導では不純物原子間距離)の程度により、電気伝導率は自由電子的な場合よりもはるかに小さく、長い平均自由工程を有する自由電子と対照的な挙動を示す。飛躍(ホッピング)過程は原子の熱振動によって助けられる。また、「電子がほとんど局在的状態にある」とは、伝導帯(コンダクションバンド)に存在する電子が伝導帯のエネルギー極小点の付近に存在する状態を示す。
一方、バンド伝導は、半導体において、電子(または正孔)が比較的広い範囲(幅広いバンド領域)で電気伝導が担われている状態を示す。電子(または正孔)は、半導体が化学量論組成からずれることによって生じるものである。
金属シリサイドまたは金属酸化物からなる半導体は、不純物ドープや欠陥導入により、準位量(位置)や伝導機構を制御することができる。
例えば、金属シリサイドでは不純物ドープにより、不純物準位を導入できる。不純物準位導入により、ホッピング伝導が支配的になり、トラップ準位にキャリアを溜めやすくなる。
また、金属酸化物は酸素欠損を設けることにより、欠陥準位を導入できる。欠陥準位導入により、欠陥を介したホッピング伝導が支配的になり、トラップ準位にキャリアを溜めやすくなる。
上記のように金属シリサイドまたは金属酸化物からなる半導体は、不純物準位または欠陥準位を導入することによりホッピング伝導が支配的になる。言い換えれば、ホッピング伝導特性を示すものは、トラップ準位にキャリアを溜めやすい状態となっているといえる。
上記のように金属シリサイドまたは金属酸化物からなる半導体は、欠陥準位を導入することによりホッピング伝導が支配的になる。言い換えれば、ホッピング伝導特性を示すものは、トラップ準位にキャリアを溜めやすい状態となっているといえる。
また、金属シリサイドまたは金属酸化物からなる半導体はホッピング伝導特性が支配的になると抵抗率の温度依存性が低下する。縦軸に抵抗率、横軸に1000/T、Tは温度(K:ケルビン)を取ったとき、ホッピングン伝導特性が支配的になると、グラフの傾斜が緩やかになる。一方、バンド伝導が支配的になると、グラフの傾斜は大きくなる。言い換えると、抵抗率と1000/Tのグラフを作成したときのグラフの傾斜角度で、ホッピング伝導とバンド伝導のどちらが支配的かを判断することが出来る。特に、1000/Tが2.8〜4.0の範囲のグラフの傾斜を比較するものとする。
また、金属シリサイドは、縦軸に抵抗率、横軸に1/Tをとったときに、ホッピング伝導特性を示すとほぼ直線状またはほぼ放物線状の挙動を示す。ここでTはケルビン温度である。
前述のようにWOなどの金属酸化物は酸素欠損によりホッピング伝導を示す。また、BaSiなどの金属シリサイドは不純物ドープによりホッピング伝導を示す。ホッピング伝導特性を示すことにより、捕獲準位(トラップ準位)にキャリアを溜めやすい状態に出来る。
ホッピング伝導には、主にNNH(Nearest Neighbor Hopping:最近接ホッピング伝導)、Mott-type VBH(Mott-type variable-range:モット型可変領域ホッピング伝導)、Shklovskii-type VBH(Shklovskii-type variable-range:シクロフスキー型可変領域ホッピング伝導)が挙げられる。例えば、WO3は酸素欠損により、NNH伝導特性を示す。一方、BaSi2では特定の不純物(Ga, Al, Ag, Cu)をドープすることでMott型VBH伝導を示す。VBH伝導を示すと、その特徴であるlnρ∝T1/2や、Shklovskii型VBH伝導の特徴であるlnρ∝T1/4の関係式(ここでρ(Ω・cm)は抵抗率、Tは抵抗測定時の温度を示す)を満たすようになる。
ここで金属シリサイドまたは金属酸化物からなる半導体はホッピング伝導特性が支配的になると、不純物ドープがない(アンドープ)金属シリサイドや、酸素欠損がない金属酸化物に比べて、抵抗率が大幅に低下する。ホッピング伝導特性を支配的にすることにより、抵抗率を大幅に低下させることができる。
前述のバリウムシリサイド、鉄シリサイド、マグネシウムリサイド、酸化タングステン、酸化モリブデンは欠陥準位導入により、トラップ準位にキャリアを溜めやすい半導体である。また、金属シリサイドはP型半導体に適している。また、金属酸化物はN型半導体に適している。
また、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、結晶シリコン、単結晶シリコンは、粒界にキャリアをトラップすることができる。これにより、トラップ準位(捕獲準位)を導入することができる。
上記のように、不純物ドープ、欠損、粒界による電子・正孔の捕獲準位を導入することができる。また、これらは1種であってもよいし、2種以上を組合せてもよい。
また、酸化タングステン粉末(WO)の常温での抵抗率は10Ωcm以上である。ホッピング伝導特性を支配的にすることにより、抵抗率を大幅に低下させることができる。半導体の抵抗率が下がることにより内部抵抗を低下させることができる。内部抵抗を低下させることにより、出力密度を増加させることができる。これにより電池の急速充放電性が向上する。
また、金属シリサイドへの不純物ドープ量は、1018cm−3〜1022cm−3の範囲内が好ましい。また、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、結晶シリコン、単結晶シリコンへの不純物ドープ量は、1018cm−3〜1022cm−3の範囲内が好ましい。また、ドープする不純物は、Ag、Al、Cu、Gaなど様々なものが挙げられる。
なお、不純物ドープ量の測定はSIMS(二次イオン質量分析法)により分析することができる。また、不純物ドープ量を変えた標準試料を複数作製し、検量線を作成する方法も有効である。また、事前にXPS(X線光電分光法)などにより、不純物元素を特定してから、SIMSを行うことも有効である。
また、酸素欠損は1018cm−3〜1022cm−3の範囲内が好ましい。
ここで酸素欠損とは、半導体を構成する材料の結晶格子において、結晶格子を構成する酸素原子の一部が存在しない状態を示す。キャリア密度とは、キャリアとなる電子またはホール(正孔)の存在量を示すものである。p型半導体ではキャリアはホール、n型半導体ではキャリアは電子となる。キャリア密度は、状態密度とフェルミディラック分布関数の積で求められる。
酸素欠損は結晶格子の酸素原子の欠落量を示す一方、キャリア密度は電子(またはホール)の存在量を示している。酸素欠陥とキャリア密度は、それぞれ異なるパラメータである。ホッピング伝導を示すと、酸素欠陥に伴う格子ひずみと伝導電子とでポーラロンを形成する。ポーラロンにより伝導機構を生じさせている。そのため、ホッピング伝導特性を示すことにより、酸素欠損量とキャリア密度とをほぼ同じ値にすることができる。
このため、ホッピング伝導が支配的となる半導体の場合、キャリア密度を測定すれば欠損量を求めることが出来る。また、キャリア密度はSMMまたはSCMにて測定することができる。SMMは、走査型マイクロ波顕微鏡法(Scanning Microwave Microscopy)のことである。また、SCMは、走査型静電容量顕微鏡法(Scanning Capacitance Microscopy)のことである。
また、不純物ドープ量の測定は、所定の不純物量をドープした標準試料を用いて変調信号(dC/dV)やマイクロ波反射率の強度を比較する方法がよい。このとき、予めドープ量を変えた標準試料を複数作製し、検量線を作成しておくことが有効である。また、不純物ドープ材を事前にXPSなどで特定しておくことも有効である。また、SMMまたはSCMで測定する場合は、試料表面を鏡面研磨(表面粗さRa0.1μm以下)にしてから行うものとする。
また、粒界の量は結晶サイズを調整することで制御できる。平均結晶粒径は、50nm以上1000nm以下の範囲であることが好ましい。平均結晶粒径が50nm未満では、粒界が多くなりすぎて、電子・正孔が移動時にトラップされすぎて、移動度は低下すると考えられる。移動度の低下は出力密度の低下につながる。また、平均結晶粒径が1000nm(1μm)を超えると、粒界トラップ効果が小さいため電池容量(エネルギー密度)の向上効果が小さい。エネルギー密度と出力密度を両立させるためには平均結晶粒径を50nm以上1000nm以下の範囲にすることが好ましい。
また、N型半導体3とP型半導体4の厚さは特に限定されるものではないが0.1μm以上500μm以下が好ましい。半導体の厚みが0.1μm(100nm)未満と薄いとキャリアの発生量が少ないため電気容量を高くすることが困難となる恐れがある。また、500μmを超えて厚いと、キャリアの移動距離が長くなるため急速充放電特性が低下する恐れがある。なお、電気容量に関してはエネルギー密度(Wh/kg)で示される。また、急速充放電特性は、出力密度(W/kg)で示される。
また、前述のPN接合型半導体層に代えて、N型半導体単層またはP型半導体単層にすることも可能である。図2にN型半導体単層またはP型半導体単層からなる半導体単層構造を有する半導体固体電池の模式図を示した。図中、8は半導体固体電池(第二の半導体固体電池)、9は半導体、4は第一の絶縁層、5は第二の絶縁層、6は電極、7は電極、である。半導体9がN型またはP型のどちらか一方の構造を有するものを第二の半導体固体電池と呼ぶ。
第二の半導体固体電池は、N型またはP型のどちらか一方の半導体9を第一の絶縁層4および第二の絶縁層5で挟んだ構造となっている。第一の絶縁層4および第二の絶縁層5は前述と同様のものが好ましい。
半導体9がN型またはP型の単層であったとしても、絶縁層を設けることによりトンネル効果を得ることが出来る。また、第二の半導体固体電池は第一の半導体固体電池と同様に半導体層中に絶縁層を設けていないため、電子および正孔が中央部分に集中することが無い。これにより高容量化することができる。
また、半導体9をN型またはP型の単層としているため、電子および正孔を同じ半導体層に蓄積することができる。これにより、電子・正孔のフェルミレベル(擬フェルミ準位)が大きく変化するため、高容量化と高電圧化することができる。充電電圧は、キャリア蓄積により、熱平衡状態から電子・正孔のフェルミレベル(擬フェルミ準位)が変化するために発生すると考えられる。N型半導体に少数キャリアである正孔を蓄電できれば、擬フェルミ準位の変化を大きくすることができる。同様に、P型半導体に少数キャリアである電子を蓄電できれば、擬フェルミ準位の変化を大きくすることができる。
このような擬フェルミ準位の変化を大きくする効果は第一の半導体固体電池にも適用できる。通常はN型半導体にはドナーライクな不純物準位(あるいは欠陥準位)、P型半導体にはアクセプタライクな不純物準位(あるいは欠陥準位)が多い。P型半導体にドナーライクな捕獲準位、N型半導体にアクセプタライクな捕獲準位を導入し、P型半導体に電子、N型半導体に正孔を多くためることができれば、擬フェルミの変化はより大きくなると考えられる。
また、半導体9としては、金属シリサイド、金属酸化物、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、結晶シリコン、単結晶シリコンから選ばれる1種からなることが好ましい。これらは前述の通り、不純物ドープ、欠損、粒界の導入により、捕獲準位を導入し易い。また、電子または正孔の量を制御し易い。同様にホッピング伝導特性を付与し易い材料である。
また、半導体9の厚さは特に限定されるものではないが0.1μm以上500μm以下が好ましい。半導体の厚みが0.1μm(100nm)未満と薄いとキャリアの発生量が少ないため電気容量を高くすることが困難となる恐れがある。また、500μmを超えて厚いと、キャリアの移動距離が長くなるため急速充放電特性が低下する恐れがある。
次に動作の説明をする。図3に第一の半導体固体電池のキャリア(電子または正孔)の動きの概略を示した。図3中、1は半導体固体電池、2はN型半導体、3はP型半導体、4は第一の絶縁層、5は第二の絶縁層、6は電極(N型側電極)、7は電極(P型側電極)、10は電子、11は正孔、12は電源、である。また、図3は第一の半導体固体電池のバンドの概念図であり、縦方向はエネルギー準位、横方向は距離を示す。
電源12から電気が流れると、N型半導体2には電子10、P型半導体3には正孔11が発生する。キャリアとなる電子10および正孔11が溜まる。キャリアを溜めることにより蓄電状態となる。第一の半導体固体電池は、第一の絶縁層4および第二の絶縁層5を設けていることから、それぞれトンネル効果を得ることが出来る。これにより、高容量化をなしえることが出来る。
また、第一の半導体固体電池は、PN接合型半導体層を有している。PN接合部の電界により電子および正孔が加速されるため出力密度が向上する。また、N型半導体2とP型半導体3の間に絶縁層がないため、電子および正孔がPN接合の境界に集中することがないため。さらに高容量化をなしえることが出来る。
また、ホッピング伝導特性を導入しているため、捕獲準位にキャリアを溜めやすくなっている。また、第一の半導体固体電池のようなPN接合部は、P型半導体側にマイナス、N型半導体側にプラスの電界がかかっている。これにより、電子はN型半導体中の絶縁層4の近くに多く溜まる。また、正孔はP型半導体中の絶縁層5の近くに多く溜まると考えられる。また、第一の絶縁層4および第二の絶縁層5を設けていることから、半導体と電極が直接接触していないためリーク電流が少なくなる。
また、図4に第二の半導体固体電池のキャリア(電子または正孔)の動きの概略を示した。図4中、8は半導体固体電池、4は第一の絶縁層、5は第二の絶縁層、6は電極、7は電極、9は半導体、10は電子、11は正孔、12は電源、である。また、図4は第二の半導体固体電池のバンドの概念図であり、縦方向はエネルギー準位、横方向は距離を示す。
電源12から電気が流れると、半導体9には電子10および正孔11が発生する。キャリアとなる電子10および正孔11が溜まる。キャリアを溜めることにより蓄電状態となる。第二の半導体固体電池は、第一の絶縁層4および第二の絶縁層5を設けていることから、半導体と電極が直接接触していないためリーク電流が少なくなる。
また、半導体9はN型またはP型のいずれか一方になっている。半導体9の中に電子10および正孔11の両方を存在させている。これにより、擬フェルミ準位の変化を大きくすることができ、さらなる高容量化をなしえることが出来る。これは充電時に印可した電圧の電界により、電子は印可した電圧のプラス側の絶縁層近くに、正孔は充電時のマイナス側の絶縁層近くに溜まると考えられるためである。
このように第一の半導体固体電池および第二の半導体固体電池は、第一の絶縁層および第二の絶縁層を設けることにより、半導体層と電極が直接接触しないため、リーク電流が少なくなくすることができる。
また、半導体層(N型半導体2、P型半導体3、半導体9)を適正化することにより、さらなる高容量化や急速充放電特性の改善を行うことができる。高容量化できるとエネルギー密度を100Wh/kg以上、さらには200Wh/kg以上とすることができる。また、出力密度を1000W/kg以上、さらには1200W/kg以上とすることができる。
以上のような半導体固体電池であれば、エネルギー密度と出力密度の優れた二次電池を提供することができる。また、従来のLiイオン二次電池のように電界液を使用しないで済むので液漏れの不具合が発生しない。
次に製造方法について説明する。実施形態にかかる半導体固体電池は上記構成を有していれば、その製造方法については限定されるものではないが、効率的に得るための方法として次のものが挙げられる。
基板上に、電極を成膜する。次に、必要に応じ、第一の絶縁層(または第二の絶縁層)を成膜する。
次に、N型半導体(またはP型半導体)を成膜する。第一の半導体固体電池を作製する場合は、P型半導体(またはN型半導体)を成膜してPN接合を形成する。
その次に、第二の絶縁層(または第一の絶縁層)、電極を成膜していく。なお、N型半導体とP型半導体は、どちらを先に成膜しても良い。
また、成膜方法は、CVD法、スパッタ法など様々な蒸着方法を適用することができる。また、成膜工程では、必要に応じ、基板を加熱してもよいものとする。また、Ar雰囲気、真空雰囲気など適宜調整するものとする。
また、酸化膜または窒化膜を形成する場合は、原子層堆積法(ADL)、熱酸化法(酸化雰囲気中での熱処理)、熱窒化法(窒化雰囲気中での熱処理)などを用いても良い。
また、半導体層の成膜工程にて、不純物ドープを行うときは、不純物元素を同時蒸着する方法が有効である。同時蒸着の割合を調整することにより、不純物ドープ量、つまりは不純物準位量を制御することができる。また、必要に応じ、2種類以上の不純物をドープしても良い。2種類以上の不純物をドープすることにより、異なる不純物準位を導入することができる。
また、酸素欠損を設ける場合は、半導体層形成後に還元雰囲気中で熱処理する方法が効果的である。また、金属酸化物半導体層の場合は、水素と窒素の混合ガス中で600℃以上の温度で熱処理することが好ましい。また、金属酸化物半導体層の場合は、必要に応じ成膜後にネッキング焼成を行うものとする。また、ネッキング焼成を還元雰囲気で行い、ネッキングと酸素欠損を設ける工程を一つにしてもよい。
また、酸素欠損を設ける場合は、金属酸化物粉を還元雰囲気中で熱処理した後、蒸着工程を行っても良い。
また、粒界の量を調整するには、成膜時の加熱、成膜レート、後工程の熱処理などを制御することが好ましい。これらを制御することにより、平均結晶粒径を制御することが出来る。
(実施例)
(実施例1〜7)
P型半導体として、P型BaSi層を用意した。また、N型半導体としてN型WO層を用意した。また、第一の絶縁層および第二の絶縁層としてSiO層を用意した。
また、P型BaSi層には、不純物ドープ量や粒界量を変えたものを用意した。また、P型BaSi層の厚さは0.5μm(500nm)に統一した。また、N型WO層は酸素欠損量や粒界量を変えたものを用意した。また、N型WO層の厚さは0.5μm(500nm)に統一した。これにより、捕獲準位の導入およびホッピング伝導特性の有無を調整した。
また、第一の絶縁層および第二の絶縁層は、SiOのスパッタ条件を変えることにより、膜厚を変えたものを用意した。なお、SiO膜の膜密度は95%、比誘電率は3.8に統一した。
また、電極としてAl電極を設けた。これにより表1に示した構造を有する半導体固体電池を作製した。
なお、実施例1〜3は第一の半導体固体電池、実施例4〜8は第二の半導体固体電池にかかるものである。
Figure 2018101560
(実施例9〜実施例15)
実施例2〜6にかかる半導体固体電池において、半導体層の捕獲準位密度および平均結晶粒径を表2のように変えたものを用意した。それぞれ実施例8〜15とした。
Figure 2018101560
(実施例16〜20)
P型半導体として、P型β−FeSi層を用意した。また、N型半導体としてN型WO層を用意した。また、第一の絶縁層および第二の絶縁層としてSi層を用意した。
また、P型β−FeSi層には、不純物ドープ量や粒界量を変えたものを用意した。また、P型β−FeSi層の厚さは0.3μm(300nm)に統一した。また、N型WO3層は酸素欠損量や粒界量を変えたものを用意した。また、N型WO層の厚さは0.3μm(300nm)に統一した。これにより、捕獲準位の導入およびホッピング伝導特性の有無を調整した。
また、第一の絶縁層および第二の絶縁層は、Siのスパッタ条件を変えることにより、膜厚を変えたものを用意した。なお、Si膜の膜密度は93%、比誘電率は7.5に統一した。
また、電極としてAl電極を設けた。これにより表3に示した構造を有する半導体固体電池を作製した。
なお、実施例16〜18は第一の半導体固体電池、実施例19〜20は第二の半導体固体電池にかかるものである。
Figure 2018101560
実施例1〜15にかかる半導体固体電池に対して、エネルギー密度と出力密度を測定した。
エネルギー密度を測定するため、充放電装置を用いて1.0Vから2.0Vまでの電圧範囲で充放電試験を実施した。充電は初めに定電流モードで行い2.0Vに到達した時点で2.0Vの定電圧モードに移行し、電流量が一定の値に減少するまで充電を継続した。充電終了後に一定電流で放電を行い、放電時の電気容量から半導体固体電池のエネルギー密度(電気容量)を求めた。
また、パワー密度(W/kg)は、0.25×(V−V)/R/セル重量の計算式で求めた。Vは放電開始電圧であり、Vは放電終了電圧であり、Rはセル抵抗(セル電極面積2903cm) であり、セル重量は120gで計算した。その結果を表4に示す。
Figure 2018101560
表に示したように、実施例にかかる半導体固体電池は、エネルギー密度と出力密度が向上した。また、第一の絶縁層および第二の絶縁層を制御することにより、エネルギー密度が60Wh/kg以上、出力密度600W/kg以上とすることができた。また、半導体層に捕獲準位およびホッピング伝導を導入することにより、さらに特性が向上した。また、Liイオン二次電池のように電界液を使わないで済むため液漏れの心配が無い。
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
1…半導体固体電池(第一の半導体固体電池)
2…N型半導体
3…P型半導体
4…第一の絶縁層
5…第二の絶縁層
6…電極(N型側電極)
7…電極(P型側電極)
8…半導体固体電池(第二の半導体固体電池)
9…半導体
10…電子
11…正孔
12…電源

Claims (7)

  1. N型半導体単層、P型半導体単層またはPN接合型半導体層のいずれか1種からなる半導体層と、半導体層に絶縁層を介して設けられた電極を具備することを特徴とする半導体固体電池。
  2. 絶縁層は、厚さが30nm以下、比誘電率が10以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体固体電池。
  3. 絶縁層は膜密度60%以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項2のいずれか1項に記載の半導体固体電池。
  4. 半導体層は、金属シリサイド、金属酸化物、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、結晶シリコン、単結晶シリコンから選ばれる1種からなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の半導体固体電池。
  5. N型半導体またはP型半導体は、電子または正孔の捕獲準位を導入していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の半導体固体電池。
  6. 半導体層は、電子または正孔の捕獲準位を導入していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の半導体固体電池。
  7. 半導体層はホッピング伝導機構を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の半導体固体電池。
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