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JP2018193465A - マスターバッチ及びゴム組成物の製造方法 - Google Patents

マスターバッチ及びゴム組成物の製造方法 Download PDF

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JP2018193465A
JP2018193465A JP2017097909A JP2017097909A JP2018193465A JP 2018193465 A JP2018193465 A JP 2018193465A JP 2017097909 A JP2017097909 A JP 2017097909A JP 2017097909 A JP2017097909 A JP 2017097909A JP 2018193465 A JP2018193465 A JP 2018193465A
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雄介 安川
Yusuke Yasukawa
雄介 安川
康太郎 伊藤
Kotaro Ito
康太郎 伊藤
昌浩 森田
Masahiro Morita
昌浩 森田
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Jujo Paper Co Ltd
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Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
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Abstract

【課題】本発明は、ゴム成分とセルロース系繊維とを含み、強度の良好なゴム組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、リン酸基を有する化学変性されたセルロースナノファイバーを、予め酸性条件下にて十分に分散させた上でゴムラテックスと混合することによりマスターバッチを作製する。すなわち、(A)セルロース系原料にリン酸基を導入し変性セルロースを得る工程、(B)変性セルロースを解繊及び分散処理しセルロースナノファイバーを得る工程、(C)セルロースナノファイバーを酸性化し酸型セルロースナノファイバーを得る工程、及び(D)酸型セルロースナノファイバーとゴム成分を混合する工程を含む、マスターバッチの製造方法が提供される。得られるマスターバッチを用いることにより、引張強度等の強度に優れたゴム組成物を提供することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、マスターバッチ、ゴム組成物、及びそれらの製造方法に関する。具体的には、セルロースナノファイバーを含有するマスターバッチ、ゴム組成物、及びそれらの製造方法に関する。
近年、セルロースナノファイバーと呼ばれる、植物繊維をナノレベルまで細かくほぐすことによって製造される素材をゴム組成物に含有させることにより、引張強度などゴム組成物における各種強度を向上させる技術が知られている。
例えば、特許文献1には、ゴムラテックスとカルボキシル基を有するセルロース繊維の水分散液とを混合した後、少なくとも水の一部を除去してセルロース繊維/ゴム複合体を得ることができ、この複合体とゴムを混合することにより、硬度及び引張強度に優れたゴム組成物を得ることができると記載されている。
特開2013−018918号公報
しかしながら、特許文献1の方法で得られるゴム組成物の硬度及び引張強度は、良好ではあるものの、期待されるほど十分とは言えなかった。原因として、ゴム組成物中において、セルロース繊維が以下の理由により均一に分散していないためと推測された。ゴム組成物を得るべくゴムラテックスとセルロース繊維の水分散液とを混合する際に、セルロース繊維中のカルボキシル基がナトリウム塩などの塩を形成し、親水性が高い状態となる。そのため分散液の水を除去する際、カルボキシル基どうしが互いに水素結合を形成し強く凝集し、分散性が低下すると推測される。すなわち、セルロースナノファイバーは、系内で均一に分散すると本来の補強性を発揮できるが、凝集すると本来の補強性を十分に発揮できないと推測される。
そこで、本発明は、セルロースナノファイバーが系内で均一に分散されたマスターバッチ、及びそれを用いて製造される、引張強度等の強度に優れたゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、リン酸基を含むセルロースナノファイバーを、予め酸性条件下にて十分に分散させた上でゴムラテックスと混合することによりマスターバッチを作成し、これを用いてゴム組成物を製造することにより、高い引張強度を持つゴム組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は以下を提供する。
〔1〕(A)セルロース系原料をリン酸系化合物で処理し変性セルロースを得る工程、
(B)変性セルロースを解繊及び分散処理しセルロースナノファイバーを得る工程、
(C)セルロースナノファイバーを酸性化し酸型セルロースナノファイバーを得る工程、及び
(D)酸型セルロースナノファイバーとゴム成分を混合する工程
を含むマスターバッチの製造方法。
〔2〕(C)工程において、酸性化後に洗浄処理を行う、〔1〕に記載の方法。
〔3〕(A)工程におけるリン酸系化合物での処理が、セルロース系原料のヒドロキシ基とリン酸系化合物とのエステル化反応である、〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕(A)工程のリン酸系化合物が、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、メタリン酸アンモニウムからなる群の内、少なくとも1つの物質から選択される、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の方法。
〔5〕〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の方法によりマスターバッチを製造し、得られるマスターバッチを用いてゴム組成物を得る、ゴム組成物の製造方法。
本発明によれば、セルロースナノファイバーが系内で均一に分散されたマスターバッチを製造でき、それを用いることで、引張強度等の強度に優れたゴム組成物を提供することができる。
本発明においては、以下説明する(A)〜(D)工程を経て、組成物を得ることができる。組成物は、マスターバッチとして用いられ得る。
(A)工程では、セルロース系原料をリン酸系化合物で処理し変性セルロースを得る。
セルロース系原料の由来は、特に限定されないが、例えば、植物(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ)、農地残廃物、布、パルプ(例えば、針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば、酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等が挙げられる。本発明で用いるセルロース系原料は、それらのいずれかであってもよいし2以上の組み合わせであってもよいが、好ましくは植物又は微生物由来のセルロース系原料(例えば、セルロース繊維)であり、より好ましくは植物由来のセルロース系原料(例えば、セルロース繊維)である。
セルロース系原料(例えば、セルロース繊維)の繊維径は特に制限されないが、一般的なパルプである針葉樹クラフトパルプの数平均繊維径は、通常30〜60μm程度、広葉樹クラフトパルプの場合は、通常10〜30μm程度である。その他のパルプの場合、一般的な精製を経たものは50μm程度である。例えばチップ等の数cm大のものを精製したものである場合、リファイナー、ビーター等の離解機で機械的処理を行い、数平均繊維径を50μm程度に調整することが好ましい。
セルロース系原料をリン酸系化合物で処理する際、必要に応じて、セルロース系原料の分散処理を行い、セルロース系原料の分散体を調製してもよい。溶媒は、セルロース系原料を分散できるものであれば特に限定されないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等の親水性の有機溶媒)、それらの混合溶媒が挙げられる。セルロース系原料が親水性であることから、溶媒は水であることが好ましい。
セルロース系原料をリン酸系化合物で処理する方法としてリン酸エステル化法が挙げられる。リン酸エステル化法は、例えば、セルロース系原料にリン酸基を有する化合物の粉末又は水溶液を混合する方法、セルロース系原料のスラリーにリン酸基を有する化合物の水溶液を添加する方法等が挙げられ、後者が好ましい。これにより、反応の均一性を高め、かつセルロース系原料のヒドロキシ基とリン酸基のエステル化効率を高めることができる。
リン酸基を有する化合物としては例えば、リン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ポリホスホン酸、これらのエステルや塩等が挙げられる。これらの化合物であると、低コストであり、扱い易く、セルロースにリン酸基を導入して、解繊効率の向上が図れる。リン酸基を有する化合物の具体例としては、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、メタリン酸アンモニウム等が挙げられる。リン酸基を有する化合物は、1種、または2種以上の組み合わせでもよい。これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、下記解繊工程で解繊しやすく、かつ工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩が好ましく、リン酸のナトリウム塩がより好ましく、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムがさらに好ましい。また、反応の均一性が高まり、且つリン酸基導入の効率が高くなることから、エステル化においてはリン酸基を有する化合物の水溶液を用いることが好ましい。リン酸基を有する化合物の水溶液のpHは、リン酸基導入の効率が高くなることから、7以下が好ましい。パルプ繊維の加水分解を抑える観点から、pH3〜7がより好ましい。
リン酸エステル化方法を一例を挙げて以下に説明する。セルロース系原料の懸濁液(例えば、固形分濃度0.1〜10質量%)にリン酸基を有する化合物を撹拌しながら添加し、セルロースにリン酸基を導入する。セルロース系原料を100質量部とした際に、リン酸基を有する化合物の添加量はリン原子の量として、0.2質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。これにより、エステル化セルロースまたはエステル化セルロースナノファイバーの収率をより向上させることができる。上限は、500質量部以下が好ましく、400質量部以下がより好ましい。これにより、リン酸基を有する化合物の使用量に見合った収率を効率よく得ることができる。従って、0.2〜500質量部が好ましく、1〜400質量部がより好ましい。
セルロース系原料に対しリン酸基を有する化合物を反応させる際、さらに塩基性化合物を反応系に加えてもよい。塩基性化合物を反応系に加える方法としては例えば、セルロース系原料のスラリー、リン酸基を有する化合物の水溶液、またはセルロース系原料とリン酸基を有する化合物のスラリーに、塩基性化合物を添加する方法が挙げられる。
塩基性化合物は特に限定されないが、塩基性を示すことが好ましく、塩基性を示す窒素含有化合物がより好ましい。「塩基性を示す」とは通常、フェノールフタレイン指示薬の存在下で塩基性化合物の水溶液が桃〜赤色を呈すること、および/または、塩基性化合物の水溶液のpHが7より大きいことを意味する。塩基性化合物は、好ましくは、塩基性を示す窒素原子を有する化合物であり、より好ましくは、塩基性を示すアミノ基を有する化合物である。塩基性を示すアミノ基を有する化合物としては、例えば、尿素、メチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。この中でも低コストで扱いやすい点で、尿素が好ましい。塩基性化合物の添加量は、2〜1000質量部が好ましく、100〜700質量部がより好ましい。反応温度は0〜95℃が好ましく、30〜90℃がより好ましい。反応時間は特に限定されないが、通常1〜600分程度であり、30〜480分が好ましい。エステル化反応の条件がこれらのいずれかの範囲内であると、セルロースが過度にエステル化されて溶解しやすくなることを抑制ことができ、リン酸エステル化セルロースの収率を向上させることができる。
セルロース系原料にリン酸基を有する化合物を反応させた後、通常はリン酸エステル化セルロースまたはリン酸エステル化セルロースナノファイバーの懸濁液が得られる。リン酸エステル化セルロースまたはリン酸エステル化セルロースナノファイバーの懸濁液は必要に応じて脱水される。脱水後には加熱処理を行うことが好ましい。これにより、セルロースの加水分解を抑えることができる。加熱温度は、100〜170℃が好ましく、加熱処理の際に水が含まれている間は130℃以下(更に好ましくは110℃以下)で加熱し、水を除いた後100〜170℃で加熱処理することがより好ましい。
リン酸基の導入量は、微細繊維状セルロース1g(質量)あたり0.1〜3.5mmol/gであることが好ましく、0.2〜3.0mmol/gがより好ましく、0.4〜2.5mmol/gがさらに好ましく、0.6〜2.3mmol/gが特に好ましい。リン酸基の導入量を上記範囲内とすることにより、繊維原料の微細化を容易にし、微細繊維状セルロースの安定性を高めることができる。また、リン酸基の導入量を上記範囲内とすることにより、微細繊維状セルロースのスラリーの粘度を適切な範囲に調整することができる。
リン酸基の繊維原料への導入量は、伝導度滴定法により測定することができる。具体的には、解繊処理工程により微細化を行い、得られた微細繊維状セルロース含有スラリーをイオン交換樹脂で処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えながら電気伝導度の変化を求めることにより、導入量を測定することができる。
伝導度滴定では、アルカリを加えていくと、最初は急激に電気伝導度が低下する(以下、「第1領域」という)。その後、わずかに伝導度が上昇を始める(以下、「第2領域」という)。さらにその後、伝導度の増分が増加する(以下、「第3領域」という)。すなわち、3つの領域が現れる。このうち、第1領域で必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中の強酸性基量と等しく、第2領域で必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の弱酸性基量と等しくなる。リン酸基が縮合を起こす場合、見かけ上弱酸性基が失われ、第1領域に必要としたアルカリ量と比較して第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなる。一方、強酸性基量は、縮合の有無に関わらずリン原子の量と一致することから、単にリン酸基導入量(またはリン酸基量)、または置換基導入量(または置換基量)と言った場合は、強酸性基量のことを表す。
リン酸エステル化セルロースにおいては、セルロース系原料にリン酸基が導入されており、セルロース同士が電気的に反発する。そのため、リン酸エステル化セルロースは容易にナノ解繊することができる。さらに、リン酸エステル化セルロースは、煮沸後冷水で洗浄する等の洗浄処理がなされることが好ましい。これにより解繊を効率よく行うことができる。
(B)工程では、変性セルロースを解繊及び分散処理する。
(A)工程にて得られる変性セルロースはリン酸基を含むため、リン酸基による電荷反発力の作用が発生する。そのため、(B)工程で解繊処理を行うことにより、セルロース系原料に解繊処理する場合と比べて、解繊にかかるエネルギーを低減することができる。
解繊に用いる装置は特に限定されないが例えば、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などのタイプの装置が挙げられ、高圧又は超高圧ホモジナイザーが好ましく、湿式の、高圧又は超高圧ホモジナイザーがより好ましい。装置は、セルロース系原料又は変性セルロース(通常は分散液)に強力なせん断力を印加できることが好ましい。変性セルロースに印加される圧力は、50MPa以上が好ましく、より好ましくは100MPa以上であり、更に好ましくは140MPa以上である。装置は、セルロース系原料又は変性セルロース(通常は分散液)に上記圧力を印加でき、かつ強力なせん断力を印加できる、湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーが好ましい。これにより、解繊を効率的に行うことができる。解繊装置での処理(パス)回数は、1回でもよいし2回以上でもよく、2回以上が好ましい。
分散処理においては通常、溶媒に変性セルロースを分散する。溶媒は、変性セルロースを分散できるものであれば特に限定されないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等の親水性の有機溶媒)、それらの混合溶媒が挙げられる。セルロース系原料が親水性であることから、溶媒は水であることが好ましい。
分散体中の変性セルロースの固形分濃度は、通常は0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上である。これにより、セルロース系原料の量に対する液量が適量となり効率的である。上限は、通常10質量%以下、好ましくは6質量%以下である。これにより流動性を保持することができる。
解繊処理と分散処理の順序は特に限定されず、どちらを先に行ってもよいし同時に行ってもよいが、分散処理後に解繊処理を行うことが好ましい。各処理の組み合わせを少なくとも1回行えばよく、2回以上繰り返してもよい。
解繊処理又は分散処理に先立ち、必要に応じて予備処理を行ってもよい。予備処理は、高速せん断ミキサーなどの混合、攪拌、乳化、分散装置を用いて行えばよい。
(B)工程で得られるセルロースナノファイバーの平均繊維径は、0.5nm以上、1nm以上、1.5nm以上又は2nm以上が好ましい。上限は、500nm以下であることが好ましい。従って、平均繊維径が0.5〜500nm、1〜500nm、1.5〜500nm、又は2〜500nm程度であることがより好ましい。セルロースナノファイバーの平均繊維径及び平均繊維長の測定は、例えば、セルロースナノファイバーの0.001質量%水分散液を調製し、この希釈分散液をマイカ製試料台に薄く延ばし、50℃で加熱乾燥させて観察用試料を作成し、原子間力顕微鏡(AFM)にて観察した形状像の断面高さを計測することにより、数平均繊維径あるいは繊維長として算出することができる。
(B)工程で得られるセルロースナノファイバーの平均アスペクト比は、通常は50以上である。上限は特に限定されないが、通常は1000以下である。平均アスペクト比は下記の式により算出することができる:
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
(C)工程では、セルロースナノファイバーを酸性化処理する。
(B)工程で得られるリン酸エステル化セルロースナノファイバーは、含まれているリン酸基の多くが、金属イオンがイオン結合している状態(以下、この状態を塩型リン酸エステル化セルロースナノファイバーと称する場合がある)であり、この状態では後述の(D)工程で均一な分散体が得られない。
そのため(C)工程においては、上記の塩型リン酸エステル化セルロースナノファイバーを酸性化する。これにより、リン酸エステル化セルロースナノファイバー中のリン酸基とイオン結合している金属イオン(例えば、カリウムイオンやナトリウムイオン等の一価以上の陽イオン)をプロトンに変換することができ、酸型リン酸エステル化セルロースナノファイバーが得られる。酸性化処理後に得られる酸型リン酸エステル化セルロースナノファイバーは通常、凝集しておりゲル状物質を呈する。
酸性化処理は塩型リン酸エステル化ナノファイバーを陽イオン交換樹脂で脱塩する、または酸を添加する事で処理を行う。以下にその詳細を示す。
<脱塩処理>
脱塩処理は、塩型リン酸エステル化ナノファイバーと陽イオン交換樹脂を接触させて脱塩し、酸型リン酸エステル化セルロースナノファイバーを得る工程である。塩型リン酸エステル化ナノファイバーは、陽イオン交換樹脂と接触することによりカチオン塩がプロトンに置換される。陽イオン交換樹脂を用いるので、不要な塩化ナトリウム等の副生成物が生成せず、陽イオン交換樹脂を用いて酸処理した後は、陽イオン交換樹脂を金属メッシュ等により濾過して除去するだけで、濾液として酸型リン酸エステル化セルロースナノファイバーの水分散体が得られるため、(D)工程における処理を円滑に進めることができる。
金属メッシュ等により濾物として除去する対象は陽イオン交換樹脂であり、酸型リン酸エステル化セルロースナノファイバーは金属メッシュ等の径では除去され難く、ほぼ全量が濾液中に含まれる。濾液には極めて短い繊維長の酸型リン酸エステル化セルロースナノファイバーが多量に含まれている。また、濾液を洗浄や脱水せずともよいので、酸型リン酸エステル化セルロースナノファイバーが凝集され難い。従って、高い光透過率を有する酸型リン酸エステル化セルロースナノファイバーの水分散体を得ることができる。
塩型リン酸エステル化ナノファイバーは、解繊工程で得られた水分散液を脱塩工程にそのまま供することができる。また、必要に応じて水を添加して濃度を低くすることもできる。
陽イオン交換樹脂としては、対イオンがプロトンである限り、強酸性イオン交換樹脂及び弱酸性イオン交換樹脂のいずれも用いることができる。中でも、強酸性イオン交換樹脂を用いることが好ましい。強酸性イオン交換樹脂及び弱酸性イオン交換樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂或いはアクリル系樹脂にスルホン酸基或いはカルボキシ基を導入したものが挙げられる。
陽イオン交換樹脂の形状は、特に限定されず、細粒(粒状)、膜状、繊維等、種々の形状のものを用いることができる。中でも、リン酸エステル化セルロースナノファイバー塩を効率よく処理し、処理後の分離が容易であるとの観点から、粒状が好ましい。このような陽イオン交換樹脂としては市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、アンバージェット1020、同1024、同1060、同1220(以上、オルガノ社製)、アンバーライトIR−200C、同IR−120B(以上、東京有機化学社製)、レバチットSP 112、同S100(以上、バイエル社製)、GEL CK08P(三菱化学社製)、Dowex 50W−X8(ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。
塩型リン酸エステル化ナノファイバーと陽イオン交換樹脂の接触は、例えば、粒状の陽イオン交換樹脂とリン酸エステル化セルロースナノファイバー塩の水分散液を混合し、必要に応じ攪拌・振とうしながら、リン酸エステル化セルロースナノファイバー塩と陽イオン交換樹脂とを一定時間接触させた後、陽イオン交換樹脂と水分散液とを分離することによって行うことができる。
水分散液の濃度や陽イオン交換樹脂との比率は、特に限定されず、当業者であれば、プロトン置換を効率的に行う観点から適宜設定し得る。一例として、水分散液の濃度は、0.05〜10質量%が好ましい。水分散液の濃度が0.05質量%未満であると、プロトン置換に要する時間がかかりすぎる場合がある。水分散液の濃度が10質量%超であると、十分なプロトン置換の効果が得られない場合がある。接触時間も特に限定されず、当業者であれば、プロトン置換を効率的に行う観点から適宜設定し得る。例えば、0.25〜4時間接触させて行うことができる。
この際、適切な量の陽イオン交換樹脂を用いて塩型リン酸エステル化ナノファイバーを十分な時間接触させた後、陽イオン交換樹脂を金属メッシュ等により濾物として除去することで、酸型リン酸エステル化セルロースナノファイバーを製造することができる。
<酸添加処理>
酸添加処理は、塩型リン酸エステル化ナノファイバーの分散液中に酸を添加する処理である。酸は、無機酸でも有機酸でもよい。無機酸としては例えば、硫酸、塩酸、硝酸、亜硫酸、亜硝酸、リン酸、二酸化塩素発生装置の残留酸などの鉱酸が挙げられ、好適には塩酸である。有機酸としては例えば、酢酸、乳酸、蓚酸、クエン酸、蟻酸などが挙げられる。酸処理時のpHは、通常2以上であり、3以上が好ましい。上限は6以下が好ましく、5以下が好ましい。従ってpHは、2〜6が好ましく、2〜5がより好ましく、3〜5が更に好ましい。酸の添加量に特に制限はなく、リン酸エステル化セルロースナノファイバーが凝集して半透明のゲル状物質が沈殿した時点で酸の添加を終了すればよい。
酸添加後には、洗浄処理を行うことが好ましい。これにより、酸型リン酸エステル化セルロースナノファイバーの分散液を得ることができるので、(D)工程における処理を円滑に進めることができる。
洗浄処理は、ゲル状物質から遊離酸を除く程度に行うことが好ましい。これにより、酸型リン酸エステル化セルロースナノファイバーの保存安定性及び分散性を向上させることができる。また(D)工程において酸型リン酸エステル化セルロースナノファイバーとゴム成分とが相互作用し得るため、分散性がより均一になる。洗浄終了後に洗浄液に含まれる遊離酸量は、特に限定されないが、0.05質量%以下が好ましく、検出限界以下がより好ましい。
洗浄処理の方法は特に限定されないが例えば、酸性化後に得られるゲル状物質を必要に応じて予備的に脱水、洗浄後、分散及び粉砕を行う方法、及び斯かる一連のプロセスを2回以上繰り返す方法が挙げられる。溶媒としては、リン酸エステル化セルロースナノファイバーが溶媒中で十分に分散し得るものであれば自由に用いることができ、例えば水、有機溶媒及びこれらから選ばれる2以上の溶媒の混合溶媒が挙げられる。有機溶媒は、メタノール等の親水性溶媒が好ましい。混合溶媒は、少なくとも水を含むことが好ましい。セルロース系原料が親水性であることから溶媒は水、親水性の有機溶媒、親水性の混合溶媒が好ましく、水がより好ましい。溶媒の添加量は通常、ゲル状物質の固形分1〜2%程度となる量である。
分散は、ミキサーなどのスラリー化装置を用いて行ってもよい。分散は、ゲル状物質が短時間で沈降しない程度の粒子径となるまで微細化(スラリー化)するまで行うことが好ましい。
粉砕は通常粉砕装置を用いて行う。粉砕装置としては例えば、ビーズミル等の、メディアを使用する粉砕装置、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式分散機などの、メディアを使用しない粉砕装置が挙げられる。中でも、メディアを使用しない粉砕装置が好ましく、高圧式分散機がより好ましく、湿式の高圧式分散機が更に好ましく、湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーが更により好ましい。これにより酸型セルロースナノファイバーが十分に分散された分散液を効率良く得ることができる。粉砕条件は、好ましくは50MPa以上、より好ましくは100MPa以上、更に好ましくは140MPa以上である。粉砕装置は、これらの条件下で分散する能力を有することが好ましい。粉砕装置での処理(パス)回数は1回でもよいし2回以上でもよい。
洗浄処理においては必要に応じて脱水を行ってもよい。脱水は例えば、遠心分離法による脱水が挙げられる。脱水は、溶媒中の固形分が3〜20%程度になるまで行うことが好ましい。
洗浄処理の温度は、10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましい。上限は、50℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましい。従って、10〜50℃が好ましく、20〜40℃がより好ましい。
(C)工程で得られる酸型セルロースナノファイバーは、塩型セルロースナノファイバー((C)工程を経ない、(B)工程で得られるセルロースナノファイバー)に対する置換度の比率(酸型/(酸型+塩型))にして、20%以上が好ましく、40%以上がより好ましい。これにより酸型セルロースナノファイバーの効果を得ることができる。
酸型置換度の比率は、例えば次の方法により測定することができる。
1)試料1g(純分換算)を純水200mlとN/10のNaOH100mlが入っているフラスコ中に入れて溶解する。
2)過剰のN/10のNaOHをN/10のH2SO4でフェノールフタレインを指示薬として滴定し、その滴下量B(ml)を得る。
3)別の試料1g(純分換算)を磁性ルツボに入れて600℃で灰化し、灰化によって生成した酸化ナトリウムをN/10のH2SO4 100mlを添加して中和する。
4)過剰のH2SO4をN/10のNaOHでフェノールフタレインを指示薬として滴定し、その滴下量C(ml)を得る。
5)次式によってセルロースナノファイバーの塩型置換度及び酸型置換度をそれぞれ求め、それらの比から酸型置換度の比率を求める。なお、このとき、f1=N/10のH2SO4の力価、f2=N/10のNaOHの力価である。
Figure 2018193465
(D)工程においては、酸型セルロースナノファイバーとゴム成分を混合する。
ゴム成分は通常、有機高分子を主成分とする、弾性限界が高く弾性率の低い成分である
。ゴム成分は、天然ゴム及び合成ゴムに大別され、本発明においてはいずれでもよく、両者の組み合わせでもよい。合成ゴムとしては例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム等のジエン系ゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)、アクリルゴム(ACM)、エピクロロヒドリンゴム(CO、ECO)、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(Q)、ウレタンゴム(U)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)が挙げられる。天然ゴムとしては例えば、水素化天然ゴム、脱タンパク天然ゴム等が挙げられる。ゴム成分は、1種単独でもよく、2種以上の組み合わせでもよい。ゴム成分は、固形状及び液状のいずれでもよい。液状のゴム成分としては例えば、ゴム成分の分散液、ゴム成分の溶液が挙げられる。溶媒としては例えば、水、有機溶媒が挙げられる。
(D)工程では通常、ゴム成分の水分散液(ラテックス)に対し、酸型セルロースナノファイバーの分散液を混合後、溶媒を除去することにより組成物を得る。混合する方法は特に限定されず、ミキサー等の公知の混合装置を用いることができる。溶媒を除去する方法としては例えば、混合物をオーブン等の公知の乾燥装置により乾燥する方法や、混合物にギ酸、硫酸、有機酸などの酸又は塩化ナトリウム等の塩を添加し凝固させる方法が挙げられる。
酸型セルロースナノファイバーのゴム成分100質量%に対する含有量は、1質量%以上が好ましく、1.5質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましい。これにより組成物をマスターバッチとした際に得られるゴムの引張強度等強度の向上効果を発現させることができる。上限は、100質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。これにより、製造工程における加工性の低下を抑制できる。従って、1質量%以上100質量%以下が好ましく、1.5〜50質量%がより好ましく、2〜30質量%が更に好ましい。
(A)〜(D)工程を経ることにより、セルロースナノファイバーが均一に分散した組成物を得ることができる。その理由は明らかではないが、セルロースナノファイバー中のリン酸基が塩型から酸型に変換されることで、親水性が下がり、乾燥時において互いに凝集しにくくなることが影響しているのではないかと推測される。
(A)〜(D)工程を経て得られる組成物は、マスターバッチとして利用でき、ゴム組成物の原料として利用できる。例えば、(A)〜(D)工程を経て得られる組成物に対し、必要に応じて更にゴム成分及び/又は各種添加剤を加えて混練りし、成形し、加硫などの架橋反応をさせ、仕上げ処理を行うことにより、ゴム組成物を得ることができる。
他のゴム成分は、前段で例示したゴム成分から選ばれる少なくとも1種でもよく、2種以上の組み合わせでもよい。
添加剤は、ゴム工業で使用可能な添加剤であればよく、例えば、素練り促進剤、軟化剤・可塑剤、硬化剤(フェノール樹脂、ハイスチレン樹脂等)、架橋用配合剤(硫黄等の架橋剤、加硫促進剤(N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等)、加硫促進助剤(ステアリン酸、硫化亜鉛等)、スコーチ防止剤等)、老化防止剤、発泡剤、充填剤(カーボンブラック、シリカ等)、カップリング剤、粘着剤(マクロン樹脂、フェノール、テルペン系樹脂、石油系炭化水素樹脂、ロジン誘導体等)、分散剤(脂肪酸等)、接着増進剤(有機コバルト塩等)、滑剤(パラフィン、炭化水素樹脂、脂肪酸、脂肪酸誘導体等)、しゃく解剤、pH調整剤、着色剤等が挙げられる。添加剤は、1つでもよいし2以上の組み合わせでもよく、使用量は必要に応じて適宜決定できる。
混練りは、通常混練装置により行う。混練り装置としては例えば、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどが挙げられる。混練りの際の温度は、硫黄又は加硫促進剤が配合される場合、混練り時にゴム成分が架橋反応しない温度であることが好ましく、例えば、10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましい。上限は、140℃以下が好ましく120℃以下がより好ましい。従って10℃〜140℃程度が好ましく、20〜120℃程度がより好ましい。
成形は通常、成形装置により行う。成形装置としては例えば、金型成形、射出成形、押出成形、中空成形、発泡成形等により行うことができ、用途に応じて装置を選定し、所望の形に成形することができる。
加硫は通常、硫黄及び加硫促進剤を添加して行う。これにより、ゴム成分を加硫させることができ、更に変性セルロースファイバー中の変性された置換基とゴム成分との間で架橋構造を形成させることができる。硫黄の使用量としては、ゴム成分に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、50質量%以下が好ましく、35質量%以下が好ましく、20質量%以下が更に好ましい。従って、0.1〜50質量部程度が好ましく、0.5〜35質量部程度がより好ましく、1〜20質量部程度が更に好ましい。
加硫促進剤の使用量は、ゴム成分に対し0.1質量%が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.4質量%以上が更に好ましい。上限は、5質量%以下が好ましく、3質量%以下が好ましく、2質量%以下が更に好ましい。
加硫温度は、150℃以上が好ましい。上限は200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましい。従って、150〜200℃程度が好ましく、150〜180℃程度がより好ましい。加熱装置としては例えば、型加硫、缶加硫、連続加硫等の加硫装置が挙げられる。加硫方法としては、プレス加硫等が挙げられる。
最終製品とする前に、必要に応じ仕上げ処理を行ってもよい。仕上げ処理としては、従来公知の処理、例えば研磨、表面処理、リップ仕上げ、リップ裁断、塩素処理などが挙げられ、これらの処理のうち1つのみを行ってもよいし2つ以上の組み合わせであってもよい。
本発明のゴム組成物の用途は、特に制限されず、例えば、自動車、電車、船舶、飛行機等の輸送機器等;パソコン、テレビ、電話、時計等の電化製品等;携帯電話等の移動通信機器等;携帯音楽再生機器、映像再生機器、印刷機器、複写機器、スポーツ用品等;建築材;文具等の事務機器等、容器、コンテナー等における、ゴムや柔軟なプラスチックが用いられている部材に適用することが可能であるが、タイヤ用に好適である。例えば、乗用車用、トラック用、バス用、重車両用などの空気入りタイヤが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例に示す各測定値は、特に断らない限り、前述した各測定法により測定した数値である。
<製造例1>
リン酸二水素ナトリウム二水和物6.75g、リン酸水素二ナトリウム4.83gを19.62gの水に溶解させ、リン酸系化合物の水溶液(以下、「リン酸化試薬」という。)を得た。針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP、水分80%、JIS P8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)580ml)に、濃度が4%になるように水を加えた。その後、ダブルディスクリファイナーを用いて、変則CSF(平織り80メッシュ、パルプ採取量を0.3gとした以外はJIS P8121に準ずる)が200ml、長さ平均繊維長が0.66mmになるまで叩解した。これにより得たセルロース懸濁液を0.3%に希釈し、含水率90%、固形分(絶乾質量)3gのパルプシート(厚み200μm)を抄紙法で得た。このパルプシートを前記リン酸化試薬31.2g(乾燥パルプ100質量部に対してリン元素量として80質量部)に浸漬させ、105℃の送風乾燥機(ヤマト科学株式会社 DKM400)で1時間加熱後、さらに150℃で1時間加熱処理して、セルロース繊維にリン酸基を導入した。次いで、セルロース繊維にリン酸基を導入したパルプシートに500mlのイオン交換水を加え、攪拌洗浄後、脱水した。脱水後のシートを300mlのイオン交換水で希釈し、攪拌しながら、1Nの水酸化ナトリウム水溶液5mlを少しずつ添加し、pHが12〜13のセルロース懸濁液を得た。その後、このセルロース懸濁液を脱水し、500mlのイオン交換水を加えて洗浄を行った。この脱水洗浄をさらに2回繰り返した。洗浄脱水後に得られたシートにイオン交換水を添加した後、攪拌し、0.5質量%のセルロース懸濁液にした。このセルロース懸濁液を、解繊処理装置(エムテクニック社製、クレアミックス−2.2S)を用いて、21500回転/分の条件で30分間解繊処理して、解繊セルロース(リン酸エステル化セルロースナノファイバー)懸濁液を得た。解繊セルロース懸濁液に含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースが含まれていることが確認された。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、1230〜1290cm−1にリン酸基に基づく吸収が見られ、リン酸基の付加が確認された。
この時のリン酸基導入量は微細繊維状セルロース1g(質量)あたり2.1mmol/gであった。
<製造例2>
150℃での加熱時間を30分とした他は、<製造例1>と同様にして0.5%の解繊セルロース(リン酸エステル化セルロースナノファイバー)懸濁液を得た。この時のリン酸基導入量は1.4mmol/gであった。
<実施例1>
製造例1のリン酸エステル化セルロースナノファイバーの水分散液500gに対し、HClをpHが3.2になるまで添加し、ゲル状の凝集物を得た。これを脱水し、十分に水で洗浄した後、水を加えてミキサーで分散することにより、固形分濃度1%の分散液(スラリー)を得た。このスラリーを、超高圧ホモジナイザー(処理圧140MPa)で5回処理することにより、酸型セルロースナノファイバーの1%水分散液を得た。
この時の酸型の比率(段落0054参照)は、93%であった。
上記の水分散液325gと、天然ゴムラテックス(商品名:HAラテックス、レヂテックス社、固形分濃度65%)100gを混合してゴム成分と酸型セルロースナノファイバーとの重量比が100:5となるようにし、TKホモミキサー(8000rpm)で10分間攪拌した。その後得られた混合液を、70℃の加熱オーブン中で18時間乾燥させることにより、マスターバッチを得た。
上記のマスターバッチを、オープンロール(関西ロール株式会社製)にて、酸化亜鉛、ステアリン酸をそれぞれ3.9g(ゴム成分に対し6重量%)、0.33g(ゴム成分に対し0.5重量%)混合し、30℃で10分間混練することによって混練物を得た。次に、硫黄2.3g(ゴム成分に対し3.5質量%)、加硫促進剤(BBS、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)0.5g(ゴム成分に対し0.5質量%)を加え、オープンロール(関西ロール株式会社製)を用い、30℃で10分間混練して、未加硫のゴム組成物のシートを得た。
このシートを、金型にはさみ、150℃で10分間プレス加硫することにより、厚さ2mmの加硫ゴム組成物のシートを得た。これを所定の形状の試験片に裁断し、JIS K6251「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に従い、引張強度を示すものとして、100%ひずみ時、及び300%ひずみ時における応力、破断強度をそれぞれ測定した。各々の数値が大きい程、加硫ゴム組成物が良好に補強されており、ゴムの機械強度に優れることを示す。
<実施例2>
<実施例1>において、pHを4.1とした以外は、<実施例1>と同様にして酸型セルロースナノファイバーの1%水分散液を得た。
この時の酸型の比率(段落0054参照)は、73%であった。
<実施例3>
<製造例2>で得られた解繊セルロース(リン酸エステル化セルロースナノファイバー)懸濁液を用いた以外は、<実施例1>と同様にして酸型セルロースナノファイバーの1%水分散液を得た。
この時の酸型の比率(段落0054参照)は、95%であった。
<比較例1>
実施例1において、セルロースナノファイバーを酸性化処理しないで使用した以外は、実施例1と同様に行った。
なお、この時の酸型の比率(段落0054参照)は、5%であった。
<比較例2>
実施例1において、セルロースナノファイバーを使用しなかった以外は、実施例1と同様に行った。
Figure 2018193465
表1から明らかなように、酸型セルロースナノファイバーを多く含む実施例1〜3のゴム組成物では、塩型セルロースナノファイバーを含む比較例1、あるいはセルロースナノファイバーを含まない比較例2に対し、100%ひずみ、300%ひずみ時における応力のいずれも高く、また破断強度も大きかった。このことは、本発明のマスターバッチにおいてはセルロースナノファイバーがミクロなレベルで均一に分散していると推測され、得られるゴム組成物を良好に補強することができること、従って、本発明のマスターバッチを含むゴム組成物は、強度に優れていることを示している。

Claims (5)

  1. (A)セルロース系原料をリン酸系化合物で処理し変性セルロースを得る工程、
    (B)変性セルロースを解繊及び分散処理しセルロースナノファイバーを得る工程、
    (C)セルロースナノファイバーを酸性化し酸型セルロースナノファイバーを得る工程、及び
    (D)酸型セルロースナノファイバーとゴム成分を混合する工程
    を含むマスターバッチの製造方法。
  2. (C)工程において、酸性化後に洗浄処理を行う、請求項1に記載の方法。
  3. (A)工程におけるリン酸系化合物での処理が、セルロース系原料のヒドロキシ基とリン酸系化合物とのエステル化反応である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. (A)工程のリン酸系化合物が、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、メタリン酸アンモニウムからなる群の内、少なくとも1つの物質から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法によりマスターバッチを製造し、得られるマスターバッチを用いてゴム組成物を得る、ゴム組成物の製造方法。
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