JP2018174929A - 哺乳動物細胞の培養のための培養液添加剤 - Google Patents
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Abstract
Description
これらの未分化細胞の利用にあたっては、利用前の細胞を未分化の状態で維持することが重要である。
また、これらの未分化細胞を分化させるにあたっては、目的とする分化細胞や組織に適確に分化・増殖させることが重要である。
例えば、特許文献1には、胚性幹細胞を、フィーダー細胞や血清を含まない、フィーダーフリー・無血清培養条件下、bFGFを10ng/mL程度の濃度で添加した培地中で培養することにより、未分化状態で維持することが開示されている。しかしながら、bFGFの培地中における半減期は短く、この方法で細胞を必要な期間未分化の状態に保つためには、高頻度でbFGFを培地中に補充する必要がある。
また、未分化細胞が分化・増殖するにあたって、例えば上皮細胞成長因子、血管内皮細胞増殖因子など、各種の液性因子が影響を与えることが知られており、上記幹細胞や前駆細胞などの未分化細胞を培養により目的とする分化細胞や組織に分化・増殖させるにあたっても、これらの液性因子を適切に添加する必要があるが、これらの液性因子の多くもまた、培地中の半減期が短いことが知られている。
この方法により、bFGFを培地中に徐放させることによって、bFGFの補充の頻度を少なくすることができる。
本発明は、培地中にbFGFなどの未分化細胞を未分化のまま増殖させる液性因子、あるいは、細胞の分化・増殖に影響を与える各種液性因子を徐放させ、これにより、幹細胞などの未分化細胞を未分化の状態に維持し、あるいは、未分化細胞を目的とする分化細胞や組織に分化・増殖させるにあたって、従来技術の上記欠点を有さない、より有効な方法を提供することを課題とする。
具体的には、本発明者らは、市販のポリエチレン製の不織布、および、市販のポリプロピレン製のメンブレンフィルターをプラズマ処理することにより、その表面を親水化し、これをbFGF含有溶液に浸漬することで、bFGFがこれらの不織布等に良好に吸着すること、そして、これを細胞培養用の培地(培養液)に投入すると、bFGFを良好に徐放することを見出し、また、当該不織布等は培地中に沈下することなく、その上面に浮遊することを見出した。
このように、多孔質基材の多孔度を適宜調節することにより、bFGFを良好に吸着させ、また、良好に徐放させることができる。
また、多孔質基材の材質を適宜選択することで、当該基材の比重を培地の比重よりも小さくすることによって、当該基材を培地表面に浮かすことができる。このようにすることで、基材の培地への投入および除去を容易に行うことができ、また、培地中で培養される細胞が当該基材に直接接触することを避けることができる。
多孔質基材の形態は特に限定されず、ビーズ状などでもよいが、上述の不織布やメンブレンフィルターのように、平板やシートなどの平面状の形態に成形すれば、基材の培地への投入・除去が更に容易となる。
本発明は、本発明者らによって得られたこれらの知見に基づいてなされたものである。
〈1〉少なくとも表面が親水性を有する多孔質構造を有する基材に、哺乳動物の未分化細胞を未分化のまま増殖させる液性因子、または、哺乳動物細胞の分化・増殖に影響を与える液性因子が吸着してなる、細胞培養補助剤。
〈2〉多孔質構造を有する基材が、繊維集合体、多孔質膜、表面のみを多孔質化した基材、あるいは表面にこれらの多孔質基材を接着させた基材である、〈1〉に記載の細胞培養補助剤。
〈3〉多孔質構造を有する基材がポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンを素材として含む、〈1〉または〈2〉に記載の細胞培養補助剤。
〈4〉細胞培養液よりも小さな比重を有する、〈1〉〜〈3〉のいずれかに記載の細胞培養補助剤。
〈5〉液性因子がヘパリン結合性の因子であり、多孔質構造を有する基材上に、さらに硫酸化多糖が吸着してなる、〈1〉〜〈4〉のいずれかに記載の細胞培養補助剤。
〈6〉液性因子が線維芽細胞増殖因子−2(bFGF)である、〈1〉〜〈5〉のいずれかに記載の細胞培養補助剤。
〈7〉多孔質構造を有する基材の表面を親水化し、これを哺乳動物の未分化細胞を未分化のまま増殖させる液性因子、または、哺乳動物細胞の分化・増殖に影響を与える液性因子を含有する溶液に浸漬することで、当該因子を、多孔質構造を有する基材に吸着させることを特徴とする、〈1〉〜〈4〉および〈6〉のいずれかに記載の細胞培養補助剤の製造方法。
〈8〉多孔質構造を有する基材の表面を親水化し、これを哺乳動物の未分化細胞を未分化のまま増殖させる液性因子、または、哺乳動物細胞の分化・増殖に影響を与える液性因子、並びに硫酸化多糖を含有する溶液に浸漬することで、当該因子および硫酸化多糖を、多孔質構造を有する基材に吸着させることを特徴とする、〈5〉または〈6〉に記載の細胞培養補助剤の製造方法。
〈9〉多孔質構造を有する基材の表面の親水化が、プラズマ処理により、または、酸処理により行われる、〈7〉または〈8〉に記載の細胞培養補助剤の製造方法。
〈10〉〈1〉〜〈6〉のいずれかに記載の細胞培養補助剤を、哺乳動物細胞を培養する細胞培養培地に投入し、当該培地中に液性因子を徐放させながら、哺乳動物細胞を培養する方法。
〈11〉哺乳動物細胞が未分化の細胞であり、液性因子が未分化細胞を未分化のまま増殖させる液性因子であり、未分化細胞を未分化の状態に維持して培養することを特徴とする、〈10〉に記載の方法。
〈12〉液性因子が哺乳動物細胞を分化細胞または組織に分化・増殖させる液性因子であり、培養により哺乳動物細胞を分化細胞または組織に分化・増殖させることを特徴とする、〈10〉に記載の方法。
〈13〉少なくとも表面が親水性を有する基材の表面に、哺乳動物の未分化細胞を未分化のまま増殖させる液性因子、または、哺乳動物細胞の分化・増殖に影響を与える液性因子を含むリン酸カルシウム層を有する、細胞培養補助剤。
〈14〉基材が、繊維集合体、多孔質膜、表面のみを多孔質化した基材、あるいは表面にこれらの多孔質基材を接着させた基材である、多孔質構造を有する基材である、〈13〉に記載の細胞培養補助剤。
〈15〉基材がポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンを素材として含む、〈13〉または〈14〉に記載の細胞培養補助剤。
〈16〉細胞培養液よりも小さな比重を有する、〈13〉〜〈15〉のいずれかに記載の細胞培養補助剤。
〈17〉液性因子がヘパリン結合性の因子であり、リン酸カルシウム層がさらに硫酸化多糖を含む、〈13〉〜〈16〉のいずれかに記載の細胞培養補助剤。
〈18〉液性因子が線維芽細胞増殖因子−2(bFGF)である、〈13〉〜〈17〉のいずれかに記載の細胞培養補助剤。
〈19〉基材の表面を親水化し、これを、哺乳動物の未分化細胞を未分化のまま増殖させる液性因子、または、哺乳動物細胞の分化・増殖に影響を与える液性因子を含むリン酸カルシウム過飽和溶液に浸漬することで、当該因子を含むリン酸カルシウム層を基材表面に形成させることを特徴とする、〈13〉〜〈16〉および〈18〉のいずれかに記載の細胞培養補助剤の製造方法。
〈20〉基材の表面を親水化し、これを、哺乳動物の未分化細胞を未分化のまま増殖させる液性因子、または、哺乳動物細胞の分化・増殖に影響を与える液性因子、並びに硫酸化多糖を含むリン酸カルシウム過飽和溶液に浸漬することで、当該因子および硫酸化多糖を含むリン酸カルシウム層を基材表面に形成させることを特徴とする、〈17〉または〈18〉に記載の細胞培養補助剤の製造方法。
〈21〉基材の表面の親水化が、プラズマ処理により、または、酸処理により行われる、〈19〉または〈20〉のいずれかに記載の細胞培養補助剤の製造方法。
〈22〉〈13〉〜〈18〉のいずれかに記載の細胞培養補助剤を、哺乳動物細胞を培養する細胞培養培地に投入し、当該培地中に液性因子を徐放させながら、哺乳動物細胞を培養する方法。
〈23〉哺乳動物細胞が未分化の細胞であり、液性因子が未分化細胞を未分化のまま増殖させる液性因子であり、未分化細胞を未分化の状態に維持して培養することを特徴とする、〈22〉に記載の方法。
〈24〉液性因子が哺乳動物細胞を分化細胞または組織に分化・増殖させる液性因子であり、培養により哺乳動物細胞を分化細胞または組織に分化・増殖させることを特徴とする、〈22〉に記載の方法。
本発明においては、基材の材質を適宜選択することにより、基材の比重を培地培養液の比重よりも小さなものとすることによって、培養液の上面に浮遊する徐放剤を得ることができる。これによって、徐放剤の培地への投入・除去が容易となり、また、徐放剤が培養細胞に直接触れることを避けることができる。
本発明においては、基材として、それ自体、化学的に安定な素材のものを用いることができ、徐放剤を培地中に投入した際に、基材の分解生成物が培地中に溶出し、培養細胞に影響を与えるおそれがない。
本発明に用いる未分化維持因子としては、繊維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリー、白血病阻止因子(LIF)、CCL2、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF-β)ファミリー、インスリン、インスリン様増殖因子(IGF)ファミリー、トランスフェリンファミリーなどが挙げられる。中でも、繊維芽細胞増殖因子−2(塩基性繊維芽細胞増殖因子、FGF-β、FGF-2、bFGFなどともいう)が好ましい。
これにより、未分化な細胞から目的とする細胞を作成する、目的の細胞を効率よく培養する、細胞と液性因子との相互作用を解析する、といった目的を達成する。
細胞の増殖や分化などに影響する液性因子としては、培地に溶解する液性因子であれば特に限定されない。例えば、上皮細胞成長因子(EGF)ファミリー、結合組織成長因子ファミリー、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)ファミリー、神経栄養因子ファミリー、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)ファミリー、血小板由来成長因子(PDGF)ファミリー、肝細胞増殖因子(HGF)ファミリー、骨形成タンパク質(BMP)ファミリー、トランスフォーミング増殖因子−α(TGF-α)ファミリー、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF-β)ファミリー、アクチビンファミリー、ヒト成長ホルモン、ヘレグリンファミリー、インスリン様増殖因子(IGF)ファミリー、インターロイキン(IL)ファミリー、インターフェロン(INF)ファミリー、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)ファミリー、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)ファミリー、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)ファミリー、マイトーゲン活性化タンパク(MAP)キナーゼファミリー、Flt3 リガンド、幹細胞因子(SCF)ファミリー、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリー、遺伝子転写調節因子(GATA)ファミリー、エリスロポエチン、トロンボポエチンなどが挙げられるが、これに限定されない。
なお、ある種のポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリスルフォンなどのように、素材自体が培地などの浸透・接触に十分な親水性を示す場合は、親水化処理を行わなくてもよい。
本発明において、多孔質構造を有する基材とは、平滑な表面を有する基材の表面積よりも大きな表面粗さ、大きな表面積(10mm角の基材においては100mm2以上)を有する基材を指す。好ましい表面粗さとしては、高さ方向の振幅算術平均(Sa)で1〜90μm、さらに好ましくは2〜10μmである。大きさ10mm×10mmの基材の片面(完全平滑の場合の理論表面積 = 100mm2)の表面積(A)としては、好ましくは150〜2500mm2(完全平滑面の1.5〜25倍)、さらに好ましくは150〜500mm2(完全平滑面の1.5〜5倍)である。
ただし、メッシュシートにおいてオープニング(繊維と繊維の隙間)の大きな基材については、たとえ基材全体としての表面粗さ・表面積の増大効果が大きくても、培地に浮遊した場合に、実際に吸着液および培地に接触できる実効表面積が少ないと、目的の徐放性能を達成できないので注意が必要である。
基材に持たせる多孔質構造は、吸着液や培地などとの十分な接触面積を確保できるよう、培地に浮遊した状態で、吸着液および培地に接触できる実効表面積が大きな構造であることが望ましい。そのような多孔質構造としては、マイクロメートルスケールの多孔構造であって、孔と孔とが連続的につながっている連通多孔構造であることが望ましいが、これに限定されない。望ましい多孔質基材の例としては、Saが5〜6μm、Aが160〜170mm2のポリエチレン不織布や、Saが2μm、Aが240mm2のポリプロピレンフィルターなどが挙げられる。
また、基材が全体に渡って多孔質である必要はなく、基材の少なくとも片面が多孔質構造を有していれば良い。基材の少なくとも片面が多孔質構造を有する基材は、多孔質基材と緻密な基材を張り合わせるなど、複数の基材を複合化することでも得ることができる。あるいは、ち密な基材に対し、酸処理、アルカリ処理、酸化処理、プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理、グロー放電処理、イオンスパッタ処理、レーザー照射、紫外線照射、ガンマ線照射、表面研磨、エッチング処理、多孔質膜・塗材の表面コーティングなどを施すことによって、その表面を多孔質化しても良い。
比重1以上の基材を、比重1未満の基材と複合化することで、基材全体としての比重を1未満にし、培地浮遊性を確保しても良い。あるいは、基材内に気泡を導入したり、低比重成分を混錬することで、基材全体としての比重を1未満にし、培地浮遊性を確保しても良い。
リン酸カルシウム過飽和溶液にはさらに、溶液のイオン強度を調整するための成分(NaClなど)や、pHを調整するための成分(TRISバッファー、HEPESバッファーなど)、リン酸カルシウムの核形成・成長を調節する成分(マグネシウム、炭酸イオンなど)などが含まれていても良い。
このようなリン酸カルシウム過飽和溶液として、例えば、ヒトの体液とほぼ等しい無機イオン濃度を有する擬似体液、擬似体液の特定のイオン濃度を高めた溶液(5倍濃度擬似体液など)、CP液(Uchida et al. Adv. Mater. Volume 16, 1071, 2004)、RKM液(Sogo et al. Curr. Appl. Phys. Volume 5, 526, 2005)、ハンクス液などを用いることができる。これらの過飽和溶液はいずれも、既知の方法で調製することができる。リン酸カルシウム過飽和溶液のpHは5〜12、好ましくは6〜10、さらに好ましくは7〜8の中性であると良い。
液性因子がヘパリン結合性タンパク質である場合、これらの硫酸化多糖が結合することで、当該液性因子は、本発明の徐放剤の製造に用いる吸着液またはリン酸カルシウム過飽和溶液中において、本発明の徐放剤中において、また、徐放後の培地中において、安定化される。
多孔質基材に親水化処理を施した後、繊維芽細胞増殖因子−2(bFGF)を吸着させた。表面積の大きな多孔質基材を用いることで、ち密で平滑な表面を有するポリスチレン(PS)基材に比べて、培養液中へのbFGF溶出量が増大することを確認した。
ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)製の下記4種の多孔質基材(図1)を使用し、下記の手順でbFGFを吸着させた。また比較のために、ち密で平滑な表面を有するPSの平板状基材を用いた。なお、PS基材以外の基材はいずれも水に浮遊する。
・PE不織布(薄):タイベック 1442R(旭・デュポンフラッシュスパンプロダクツ製)厚さ 約145μm
・PE不織布(厚):ベクサーS(タイベック)(旭・デュポンフラッシュスパンプロダクツ製)厚さ 約160μm
・PPフィルター(細孔):AN1204700(メルクミリポア製)孔径1.2μm、厚さ150μm
・PPフィルター(大孔):AN1H04700(メルクミリポア製)孔径10μm、厚さ150μm
まず、各多孔質基材をカッターで大きさ10mm×10mmの切片に切り出した。PE不織布は、超純水中で30分超音波洗浄後、さらにエタノール中で30分超音波洗浄した。PPフィルターは洗浄せずそのまま使用した。PS平板状基材は、PSペレット(Aldrich Chemical製)を溶融・成型して作製した厚さ1mmの基板を大きさ10mm×10mmの切片に切り出し、表面を研磨剤(タミヤコンパウンド(仕上げ目))で磨いた後、エタノールで超音波洗浄して作製した。
各基材の表面粗さ(高さ方向の振幅算術平均:Sa)を、3D測定レーザー顕微鏡(LEXT OLS4100、オリンパス製)により測定した。また、基板片面(大きさ10mm×10mm = 100mm2)あたりの表面積(A)を算出した。結果を以下に示す(数値は、3カ所の測定値の平均値 ± 標準偏差)。
PS平板状基材 Sa = 0.5 ± 0.0μm、A = 109.3 ± 1.1mm2
PE不織布(薄) Sa = 5.3 ± 0.6μm、A = 171 ± 12mm2
PE不織布(厚) Sa = 5.6 ± 1.1μm、A = 157 ± 4mm2
PPフィルター(細孔) Sa = 2.4 ± 0.3μm、A = 237 ± 17mm2
PPフィルター(大孔) Sa = 4.8 ± 0.0μm、A = 419 ± 6mm2
この結果から、いずれの多孔質基材も、PS平板状基材に比べて大きな表面粗さ(5〜11倍増)、ならびに表面積(1.5〜4倍増)を有することが確認された。
続いて各基材に、親水化のための酸素プラズマ処理(30Pa、13.56MHz、30秒間)をコンパクトエッチャー FA-1(サムコ株式会社製)を用いて施した。プラズマ処理の電力密度は、PE不織布(薄)およびPE不織布(厚)に対しては0.1W/cm2、PPフィルター(大孔)に対しては0.3W/cm2、PPフィルター(細孔)およびPS平板状基材に対しては0.5W/cm2とした。以上の処理条件は、基材を変形・変色させずに、基材の表面を親水化できる条件として、予備検討の結果から決定した。プラズマ処理後、各基材をエチレンオキサイド(EOG)ガスで滅菌した。
リン酸緩衝生理食塩水(D-PBS(-)、和光純薬工業製、以後PBS)に、bFGF(1mg/mL、片山化学工業製)を最終濃度4μg/mLとなるよう添加することにより、吸着液を調製した。吸着液2mLを24ウェルプレートのウェル内に分注し、同吸着液中に各基材を25℃で30分間あるいは24時間浸漬した。この際、多孔質基材は水に浮かぶため、プラズマ処理面が吸着液に接触するように処理面を下にして設置した。PS平板状基材は水に沈むため、プラズマ処理面が上になるように設置した。24ウェルプレートは、吸着液の蒸発防止のためにチャック付きビニール袋(ユニパック)に入れ、25℃に保ったクールインキュベーター内に静置した。浸漬後、基材を溶液から取り出し、2mLのPBS(bFGF無添加)に3回浸漬(1秒)して洗浄した。
図2にプラズマ処理後の各多孔質基材の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す。PPフィルター(細孔)表面には、サブミクロンスケールのドット状の凹凸構造の形成が観察されたが、それ以外の基材については、プラズマ処理前(図1)に比べて顕著な構造変化は認められなかった。プラズマ処理前後の基材表面に超純水を滴下したところ、いずれの基材についても、プラズマ処理により基材表面の水濡れ性が向上することが分かった。疎水性のPPおよびPEの表面が、プラズマ処理により親水化されたためと考えられる。
多能性幹細胞の培養に使用される培養液(Essential 6 Medium、Thermo Fisher Scientific製)2mLを24ウェルプレートのウェル内に分注し、上記の手順でbFGFを吸着させた各基材を、処理面(bFGF吸着面)が培養液に接触するように設置した(多孔質基材:処理面が下、PS平板状基材:処理面が上)。図3に、培養液に浮かべたPE不織布(厚)とPPフィルター(細孔)の写真(上)およびその模式図(下)を示す。各基材を設置後、24ウェルプレートは、37℃の炭酸インキュベーター内に静置した。1、2、3日後、ウェル内の培養液(bFGF溶出液)を150μL採取し、新しい培養液150μLを添加した。採取した培養液(bFGF溶出液)は直ちに−80℃で保管し、bFGF濃度測定時に解凍した。溶出液中のbFGF濃度は、ELISAキット(Quatikine ELISA Human FGF basic Immunoassay、R&D製)を用いて測定した。検量線は、bFGF(片山化学工業製)を用いて作成した。
各基材からのbFGF溶出挙動を図4に示す。吸着時間30分の基材(図4上)よりも24時間の基材(図4下)の方が、bFGF溶出量が増大した。吸着時間を長くすることで、より多量のbFGFが基材上に担持されたためと考えられる。吸着時間24時間の結果(図4下)から、ち密で平滑な表面を有するPS平板状基材に対し、表面粗さならびに表面積の大きな多孔質基材を用いることで、bFGF溶出量を増大できることが確認された。なお、PPフィルターでは、大孔径よりも小孔径のフィルターの方が、bFGF溶出量が多かった。PE不織布(薄)とPPフィルター(細孔)では、1日後に10ng/mL以上のbFGF濃度を達成し、3日後にも8ng/mLを保った。
なお、同じ培養液にbFGF(片山化学工業製)を初期濃度10ng/mLで添加した場合、1日後にELISAで検出されたbFGFは0.5ng/mL以下であった。すなわち、フリーの状態のbFGFは培養液環境下、1日以内にその95%以上がELISAで検出できない状態に変化する。これは、bFGFの半減期が極めて短いためである。
本吸着法により作製されたbFGF徐放性多孔質基材(bFGF吸着型)は、培養液中に浮かび(細胞に接触しない)、3日間にわたって8〜10ng/mLのbFGF濃度を維持した。以上より本基材は、多能性幹細胞の多能性維持培養に望まれる細胞非接触性とbFGF長期徐放性能(非特許文献1)を満たしているといえる。しかも本基材は、先行品(非特許文献1)で使用されている動物由来のヘパリンや合成高分子、有機溶媒などの薬品を使用することなく作製でき、先行品と同等のbFGF長期徐放性能を達成している。
多孔質基材に種々の条件で親水化処理を施した結果、親水化処理によって、基材へのbFGF吸着量ならびに培養液中への溶出量が増大することを確認した。種々の時間吸着処理を行った結果、時間の経過につれて基材へのbFGF吸着量が増大し、24時間程度で平衡に達した。吸着処理中、bFGF吸着用溶液を静置させた場合と振盪させた場合を比較すると、振盪させた方が効率よくbFGFを吸着できることを確認した。また、種々の濃度のbFGF吸着用溶液を用いて吸着処理を行った結果、吸着用溶液のbFGF濃度が高くなるにつれて、基材へのbFGF吸着量ならび培養液中への溶出量が増大することを確認した。
実施例1で良好なbFGF徐放性能の確認されたPE不織布と同等製品であって、医療機器の包装材などに使用されているPE不織布(旭・デュポンフラッシュスパンプロダクツ製タイベック1073B、厚さ 約178μm)を準備した。この基材を大きさ10mm×10mmの切片に切り出し、超純水中で30分超音波洗浄後、さらにエタノール中で30分超音波洗浄して基材とした。
各基材に対し、コンパクトエッチャー FA-1(サムコ株式会社製)を用い、種々の電力密度(0.05、0.1、0.2、0.5W/cm2)で酸素プラズマ処理(30Pa、13.56MHz、30秒間)を施した。プラズマ処理後の基材をEOGガスで滅菌し、実施例1と同様にしてbFGF(4μg/mL)含有PBS(吸着液)に25℃で24時間浸漬した後、洗浄した。ただし、本実施例では、蓋つきチューブ(5mLアシストチューブ)内に吸着液1mL(実施例1では24ウェルプレートのウェルに吸着液2mL)を密封し、密閉条件下で吸着実験を行った。
本実施例で用いた医療用PE不織布の表面粗さ(Sa)および基板片面(大きさ10mm×10mm = 100mm2)あたりの表面積(A)を実施例1と同様にして調べたところ、Sa = 1.8 ± 0.2μm、A = 201 ± 9mm2であった。医療用PE不織布も、PS平板状基材に比べて大きな表面粗さ(約3倍増)、ならびに表面積(約2倍増)を有することが確認された。
図5左に、プラズマ処理前後の各基材表面のSEM像を示す。最も強い0.5W/cm2のプラズマ処理条件では、プラズマ処理前の表面微細構造よりも大きな、サブミクロンスケールの波状の凹凸構造が形成された。それ以外の基材については、プラズマ処理前に比べて顕著な構造変化は認められなかった。また、基材表面に対する超純水の接触角(図5右)が、処理前は約120度であったのに対し、プラズマ処理後の基材ではいずれも減少(約40度以下)したことから、プラズマ処理による水濡れ性の向上効果が確認された。酸素プラズマ処理によって、疎水性のPE表面に、OH、CHO、COOH基などの極性の高い官能基が導入されたためと考えられる。なお、水濡れ性の向上効果は、プラズマ処理の電力密度が0.1から0.5W/cm2に増加するのに伴い増大した。
吸着処理後、各吸着液中の残存bFGF濃度と、基材を浸漬せずに同条件で保持した吸着液(基材なし)のbFGF濃度をELISAにより測定した。図6に示すように、未処理基材(プラズマ処理なし)を浸漬した後の吸着液中の残存bFGF濃度は、基材なしで保持した吸着液中のbFGF濃度とほぼ同じであったことから、未処理の基材(PE不織布)にはほとんどbFGFが吸着しなかったといえる。一方で、プラズマ処理された基材では、吸着液中のbFGF濃度が浸漬後に大幅に減少しており、bFGFの基材への吸着が明らかであった。プラズマ処理された基材へのbFGF吸着量を、基材なしに対するbFGF濃度の減少量から見積もると、0.1〜0.3μg/cm2と算出された。プラズマ処理により基材の水濡れ性が向上した結果、吸着液が基材の全表面にまで浸透し、bFGFの基材上への吸着を促したと考えられる。また、プラズマ処理により基材表面に導入された酸性の官能基(COOH基など)が塩基性タンパク質であるbFGFとの相互作用を促進する効果も寄与していると考えられる。
各基材からのbFGF溶出挙動を実施例1と同様にして調べた。図7に、各基材の培養液へのbFGF溶出挙動を示す。未処理(プラズマ処理なし)の基材はほとんどbFGFを溶出しなかったのに対し、プラズマ処理された基材はいずれも、3日に渡って3ng/mL以上のbFGFを徐放した。なお、実施例1で、PE不織布(厚)(薄)より作製されたbFGF徐放性多孔質基材(bFGF吸着型)に比べ(図4下)、本実施例で用いたPE不織布より作製された基材では、bFGF溶出量が低下した。これは、PE不織布の性状の違い、ならびに吸着条件の変更(容器、溶液量)によるものと推察される。
基材表面を親水化することによって、基材へのbFGF吸着量、ならびに培養液へのbFGF溶出量を増大できることが確認された。
実施例2(親水化処理の検討)と同様にしてPE不織布の洗浄処理を行い、酸素プラズマ処理(0.1W/cm2)を施した後、EOGガスで滅菌した。bFGF(4μg/mL)含有PBS(吸着液)に25℃で48時間まで浸漬した。実施例2(親水化処理条件の検討)と同様、蓋つきチューブ(5mLアシストチューブ)内に吸着液1mLを密封し、密閉条件下で吸着実験を行った。その際、25℃に保ったクールインキュベーター内に蓋つきチューブを静置した場合と、25℃に保ったシェイキングインキュベーター(PIC-100S、アズワン製)内に蓋つきチューブを固定し、振盪(68rpm、振幅3cm)した場合について検討した。
種々の時間(0, 1, 3, 5, 8, 24, 48時間)吸着処理後、各吸着液中の残存bFGF濃度と、基材を浸漬せずに同条件で保持した吸着液(基材なし)のbFGF濃度をELISAにより測定した。図8に示すように、基材の有無にかかわらず吸着液中の残存bFGF濃度は処理後に減少したが、基材を浸漬した場合(基材あり)の方が基材なしに比べ、減少幅が大きかった。基材がない場合には吸着液(PBS)中でbFGFの一部が分解するため、処理時間とともに(〜8時間)bFGF濃度が減少したと考えられる。一方で、基材を浸漬した場合には、分解に加えて基材へのbFGFの吸着により、吸着液中の残存bFGF濃度がさらに減少したと考えられる。基材へのbFGF吸着量を、基材なしでの残存bFGF濃度に対するbFGF濃度の減少量から見積もると、吸着処理時間とともに基材へのbFGF吸着量が増大し、24時間でほぼ平衡に達した。また、吸着処理中に吸着液を振盪させた場合(図8下)では、静置させた場合(図8上)に比べて平衡に達するのが早かった。すなわち、吸着液を振盪させた方が効率よく基材上にbFGFを吸着できるといえる。これは、振盪により吸着液が多孔質基材の内部により早く到達するとともに、基材への吸着により表面近傍で減少したbFGFが吸着液の浸透拡散により速やかに補てんされるためと考えられる。
実施例2(親水化処理処理の検討)と同様にして基材の洗浄処理を行い、酸素プラズマ処理(0.1W/cm2)を施した後、EOGガスで滅菌した。同基材を、bFGFを種々の濃度(0, 0.1, 0.2, 0.5, 1, 2, 4, 8, 12μg/mL)で添加したPBS(吸着液)に25℃で24時間浸漬した後、洗浄した。浸漬の際、実施例2(吸着処理時間、振盪の効果の検討)における振盪条件と同様に、蓋つきチューブ(5mLアシストチューブ)を25℃に保ったシェイキングインキュベーター内に固定し、振盪した。
吸着処理後、各吸着液中の残存bFGF濃度と、基材を浸漬せずに同条件で保持した吸着液(基材なし)のbFGF濃度をELISAにより測定した。図9に結果を示す。基材へのbFGF吸着量を、基材なしでの残存bFGF濃度に対するbFGF濃度の減少量から見積もると、吸着液の初期bFGF濃度が高くなるにつれて、基材へのbFGF吸着量が増大した。ただし、初期bFGF濃度8μg/mLと12μg/mLでは、基材へのbFGF吸着量にほとんど差が認められなかったことから、8μg/mL程度で平衡に達すると考えられる。
各基材からのbFGF溶出挙動を実施例2(親水化処理条件の検討)と同様にして調べた。図10に、各基材の培養液へのbFGF溶出挙動を示す。吸着液の初期bFGF濃度が高くなるにつれて、培養液中への溶出量が増大した。図9の結果とあわせると、吸着液の初期bFGF濃度が高い場合には、基材へのbFGF吸着量が多くなり、培養液中へのbFGF溶出量も多くなることが示された。吸着液の初期bFGF濃度が8μg/mLと12μg/mLの条件では、培養液中に3日に渡って10ng/mL以上、4μg/mLでは5ng/mL以上のbFGFを徐放できる。このように、吸着液のbFGF濃度を適切に設定することで様々なbFGF溶出挙動を得ることができることから、目的に合わせたbFGF徐放性多孔質基材(bFGF吸着型)の作製が可能であると言える。
共沈法を用い、種々の多孔質基材表面にbFGF−リン酸カルシウム複合層を形成させた。実施例1(吸着法)と同等以上のbFGF溶出量を確認した。
実施例1で用いたPE不織布(薄)、PE不織布(厚)、PPフィルター(細孔)、PPフィルター(大孔)、PS平板状基材に加え、新たにPPネットフィルター(スクリーン)(孔径 25μm、厚さ360μm、PP2504700、メルクミリポア製)を準備した。PPネットフィルターは大きさ10mm×10mmの切片に切り出し、基材とした(洗浄工程はなし)。各基材に、実施例1と同様にして酸素プラズマ処理を施した後、EOGガスで滅菌した。PPネットフィルターへのプラズマ電力密度は0.5W/cm2とした。
bFGF(1mg/mL、片山化学工業製)を4μg/mLになるように添加したリン酸カルシウム過飽和溶液(以後、過飽和溶液)を、既報(H. Tsurushima et al. Acta Biomaterialia 6, 2751 (2010);以下、参考文献1という)に倣って調製した。過飽和溶液2mLを24ウェルプレートに分注し、同溶液中に各基材を25℃で24時間浸漬した(共沈法)。この際、プラズマ処理面が過飽和溶液に接触するように設置した(多孔質基材:処理面が下、PS平板状基材:処理面が上)。24ウェルプレートは、過飽和溶液の蒸発防止のためにチャック付きビニール袋(ユニパック)に入れて25℃に保ったクールインキュベーター内に静置した。過飽和溶液に浸漬後、基材を溶液から取り出し、2mLのPBS(bFGF無添加)に3回浸漬(1秒)して洗浄した。
本実施例で追加したPPネットフィルターの表面粗さ(Sa)および基板片面あたりの表面積(A)を実施例1と同様にして調べたところ、Sa = 75.2 ± 9.5μm、A = 2398 ± 79mm2であった。PPネットフィルターは、PS平板状基材に比べて極めて大きな表面粗さ(約160倍増)、ならびに表面積(約24倍増)を有することが確認された。
図11に過飽和溶液処理後の各基材表面のSEM像を示す。いずれの基材についても、処理後の表面の一部に析出物が確認された。既報(参考文献1)より、同析出物は、リン酸カルシウムとbFGFの共沈析出により形成されたbFGF−リン酸カルシウム複合層であると考えられる。
本共沈法により作製されたbFGF徐放性多孔質基材(bFGF−リン酸カルシウム複合層形成型)からのbFGF溶出挙動を実施例1と同様にして調べた。図12左に、3種のPP基材およびPS基材の培養液へのbFGF溶出挙動を示す。PPフィルター(細孔・大孔)については、実施例1において吸着法により作製されたbFGF徐放性多孔質基材(bFGF吸着型)(図4下)と同等量のbFGF徐放が確認された。bFGF溶出量はPS基材で最も低く、次いで、PPネットフィルター < PPフィルター(大孔) < PPフィルター(細孔)の順に増大した。これは、フィルター表面のマイクロスケールの凹凸構造により、基材の表面積(実施例1参照)が増大したことによると推察される(図12右)。ただし、最も表面粗さと表面積の増大効果の大きかったPPネットフィルターは、他のフィルターよりもbFGF溶出量が少なかった。このフィルターは、図12右上のSEM像に示す通り繊維径が太く(100μm以上)、また基材も厚い(0.5mm以上)。同フィルターは水に浮くため、基材全体としての表面粗さ・表面積の増大効果が大きいにも関わらず、実際に吸着液および培養液に接触できる実効表面積は少なかったと考えられる。水に浮遊する基材で、目的のbFGF徐放性能を達成するためには、マイクロスケール以下の表面凹凸構造を有することが望ましいと考えられた。
図13に、PP、PE、およびPS基材の培養液へのbFGF溶出挙動を示す。PP製基材だけでなくPE製基材でも、その微細構造によって、実施例1において吸着法により作製されたbFGF徐放性多孔質基材(bFGF吸着型)(図4下)と同等、またはそれ以上のbFGFを溶出することが確認された。
以上より、実施例1の吸着法と同様、本共沈法においても、表面粗さ・表面積の大きな多孔質基材を用いることで、ち密で平滑な表面を有するPS基材を用いた場合に比べて、bFGF溶出量を増大できることが確認された。また、適切な表面粗さ・表面積を有する基材を用いることで、多能性幹細胞の多能性維持培養に適したbFGF徐放性能を有する基材を作製できることが確認された。
種々の過飽和溶液を用いて基材表面にbFGF−リン酸カルシウム複合層を形成させた。本実施例では、水に沈むものの、取り扱いの容易な平板状のPS基材を用いた。過飽和溶液、および処理の条件(温度、組成、bFGF添加濃度)によって、基材からのbFGF溶出量を制御することができた。
実施例1と同様にしてPS平板状基材を準備し、酸素プラズマ処理を施した。続いて、4種類の既知の過飽和溶液を用い、基材表面にbFGF−リン酸カルシウム複合層を形成させた。得られた基材を次の通り命名する。
・濃-低温-F4(bFGF 4μg/mL、25℃) 参考文献1(通称RKM液)実施例3と同条件
・濃-低温-F10(bFGF 10μg/mL、25℃) 参考文献1(通称RKM液)
・濃-高温-F10(bFGF 10μg/mL、37℃) 参考文献2(通称RKM液)
・薄-低温-F10(bFGF 10μg/mL、25℃) 参考文献3、4(通称CP液)
参考文献1〜4は、以下のとおりである。
参考文献1 H. Tsurushima et al. Acta Biomaterialia 6, 2751 (2010).
参考文献2 H. Mutsuzaki et al. J Biomed Mater Res B, 86B, 365 (2008).
参考文献3 M. Uchida et al. Adv Mater 16, 1071 (2004).
参考文献4 K. Sasaki et al. Biomed Mater 5, 065008 (2010).
通称RKM液と呼ばれる参考文献1および2に記載の過飽和溶液は、高濃度のリン酸カルシウム成分イオンおよび炭酸イオンを含む。また、時間とともに溶液pHが高まる(脱炭酸による)ため、調製後24時間以内にリン酸カルシウムの均一核形成を誘起する、不安定過飽和溶液である。一方、通称CP液と呼ばれる参考文献3に記載の過飽和溶液は、RKM液に比べてリン酸カルシウム成分イオン濃度が低く、また、pH緩衝剤の作用によりpH変動が少ない。このため、調製後数週間にわたって均一核形成を誘起しない、準安定な過飽和溶液である。
濃-低温-F4、濃-低温-F10、および濃-高温-F10は、実施例3と同様に、プラズマ処理後の基材をEOGガスで滅菌し、既報(参考文献1、2)に倣って調製した過飽和溶液1mLに25℃または37℃で24時間浸漬することにより作製した。薄-低温-F10は、プラズマ処理後の基材に交互浸漬処理(参考文献4)を施してリン酸カルシウムをプレコーティングした後、既報(参考文献3、4)に倣って調製した過飽和溶液1mLに25℃で24時間浸漬することにより作製した。過飽和溶液に浸漬後、基材を溶液から取り出し、2mLのPBS(bFGF無添加)に3回浸漬(1秒)して洗浄した。
図14に、種々の過飽和溶液処理後の基材のSEM像を示す。処理後の基材表面にはいずれも、析出物が確認された。既報(参考文献1〜4)より、同析出物は、リン酸カルシウムとbFGFの共沈析出により形成されたbFGF−リン酸カルシウム複合層であると考えられる。
種々の過飽和溶液を用いて作製されたbFGF徐放性PS基材(bFGF−リン酸カルシウム複合層形成型)からのbFGF溶出挙動を実施例1と同様にして調べた。ただし、培養液2mLは、24ウェルプレートではなく、ネジ蓋つきチューブ(5mLアシストチューブ)内に入れ、密閉条件下で溶出実験を行った。溶出液のbFGF濃度測定の際の検量線は、ELISAキットに添付のスタンダードbFGFを用いて作成した。
図15に示す通り、bFGF溶出量は過飽和溶液の条件によって異なった。同じ過飽和溶液(参考文献1のRKM液)を用いた場合には、過飽和溶液へのbFGF添加濃度の高い基材(濃-低温-F10)の方が、低い基材(濃-低温-F4)よりも多量のbFGFを溶出した。本実施例で用いた4種の過飽和溶液の中では、参考文献3、4のCP液を用いて作製された基材(薄-低温-F10)からのbFGF溶出量が最も少なかった。これは、塩基性タンパク質であるbFGFの担持効率がCP液中においては低く(A. Oyane et al. Acta Biomaterialia 7, 2969 (2011);以下、参考文献5という)、少量のbFGFしか基材表面に担持されなかったためと考えられる。
共沈法においては、種々の過飽和溶液条件(温度、組成、bFGF添加濃度)を用いることができ、この条件を選択することによって、基材からのbFGF溶出量を制御できることを確認した。
共沈法を用い、メッシュ基材および多孔質基材の表面にbFGF−リン酸カルシウム複合層を形成させた。隙間の大きいメッシュ構造よりも、表面積の大きな多孔質構造の基材の方が多量のbFGFを溶出できること、ならびに基材への親水化前処理(プラズマ処理)によりbFGF溶出量を増大できることを確認した。
以下のPE製のメッシュおよび多孔質シートを大きさ10mm×10mmの切片に切り出し、基材とした(洗浄工程はなし)(図16)。比較用のPS平板状基材は実施例1と同様にして準備した。
・PEメッシュ:PE200(NBCメッシュテック製)オープニング112μm
・PE多孔質シート:サンマップLC-T(日東電工製)
各基材に、実施例1と同様にして酸素プラズマ処理(0.5W/cm2、30Pa、13.56MHz、30秒間)を施した。未処理(プラズマ処理なし)およびプラズマ処理後の基材をEOGガスで滅菌し、実施例3と同様にしてbFGF(4μg/mL)含有過飽和溶液2mLに25℃で24時間浸漬した後、洗浄した。この際、bFGF−リン酸カルシウム複合層を形成させた面(プラズマ処理面)が過飽和溶液に接触するように設置した(PE基材:処理面が下、PS基材:処理面が上)。
各基材の表面粗さ(Sa)、および基板片面(大きさ10mm×10mm = 100 mm2)あたりの表面積(A)を実施例1と同様にして調べた。結果を以下に示す(数値は、3カ所の測定値の平均値 ± 標準偏差)。
PS平板状基材 Sa = 0.5 ± 0.0μm、A = 109.3 ± 1.1mm2
PEメッシュシート Sa = 87.3 ± 10.1μm、A = 2339 ± 312mm2
PE多孔質シート Sa = 11.7 ± 0.8μm、 A = 595 ± 36mm2
プラズマ処理前後の基材表面に超純水を滴下したところ、いずれの基材についても、プラズマ処理により基材表面の水濡れ性が向上することが確認された。
図17に、過飽和溶液処理後の基材(プラズマ処理なし)の表面のSEM像を示す。処理後の基材表面にはいずれも、析出物が確認された。既報(参考文献1)より、同析出物は、リン酸カルシウムとbFGFの共沈析出により形成されたbFGF−リン酸カルシウム複合層であると考えられる。
作製されたbFGF徐放性基材(bFGF−リン酸カルシウム複合層形成型)からのbFGF溶出挙動を実施例1と同様にして調べた(PE基材:処理面が下、PS基材:処理面が上)。ただし、溶出液のbFGF濃度測定の際の検量線は、ELISAキットに添付のスタンダードbFGFを用いて作成した。
図18に示す通り、プラズマ処理を施していない基材(上)に比べ、プラズマ処理を施した基材(下)の方が、bFGF溶出量が多かった。これは、プラズマ処理によって基材表面へのbFGF担持量が増大するためと考えられる。吸着法(実施例2)だけでなく共沈法においても、プラズマ処理による基材表面の親水化が、bFGF溶出量の向上に有効であることが分かった。また、プラズマ処理された基材(図18下)で比較すると、メッシュ基材では、平滑な表面を有するPS平板状基材に対してほとんどbFGF溶出量を増大できなかったのに対し、多孔質基材ではbFGF溶出量を増大できた。本実施例で用いたメッシュ基材は、繊維径が太く(100μm程度)、基材が厚い上に、オープニング(繊維と繊維の隙間)が大きい(図16左上)。このため、基材全体としての表面粗さ・表面積の増大効果は大きくなるが、本PE基材は水に浮くため、実際に吸着液および培養液に接触できる実効表面積は少なかったと考えられる。以上は、実施例3で認められた傾向とも一致する。
種々の濃度でbFGFおよびヘパリンを添加した吸着液を用い、親水性のメンブレンフィルターにbFGFを吸着させた。bFGFおよびヘパリン添加濃度に応じて、培養液中へのbFGF溶出量が増大することを確認した。
以下の通り、親水化ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製およびセルロース混合エステル製の濾過用メンブレンフィルターを大きさ10mm×10mmの切片に切り出し、基材とした(図19)。いずれの基材も水に沈むが、bFGF濃度およびヘパリン添加効果の検討のために本実施例で用いた。
・PVDF:デュラポアDVPP04700(メルクミリポア製)、孔径0.65μm、厚さ125μm
・エステル:MF-ミリポアGSWP04700(メルクミリポア製)、孔径0.22μm、厚さ150μm
PBSに、bFGFを最終濃度0.1、1.0μg/mLとなるよう、また、ヘパリンナトリウム製剤(ヘパリンNaロック用100単位/mLシリンジ「オーツカ」5mL、大塚製薬製)を最終濃度0、0.1、1、10unit/mLとなるよう添加することにより、吸着液を調製した。実施例2と同様にして、各基材をEOGガスで滅菌後、各吸着液1mLに25℃で6時間浸漬した後、洗浄した。
各基材の表面粗さ(Sa)、および基板片面(大きさ10mm×10mm = 100mm2)あたりの表面積(A)を実施例1と同様にして調べた。結果を以下に示す(数値は、3カ所の測定値の平均値 ± 標準偏差)。
PVDF Sa = 0.68 ± 0.01μm、A = 229.6 ± 1.8mm2
エステル Sa = 0.16 ± 0.01μm、A = 150.9 ± 1.8mm2
作製されたbFGF徐放性基材(bFGF吸着型)からのbFGF溶出挙動を実施例1と同様にして調べた。ただし、24ウェルプレートのウェル内への培養液の分注量は1mLとした。また、溶出液の採取量は100μLとし、溶出液のbFGF濃度測定の際の検量線は、ELISAキットに添付のスタンダードbFGFを用いて作成した。
PVDF基材のbFGF溶出挙動を図20に、エステル基材のbFGF溶出挙動を図21に示す。いずれの基材、いずれのbFGF濃度においても、吸着液中のヘパリン濃度の増加に伴い、bFGF溶出量が増大した。これは、ヘパリン結合性タンパク質であるbFGFが、吸着液(および培養液)中のヘパリンと結合し安定化したためと考えられる。
また、いずれの基材についても、吸着液中のbFGF濃度が高い場合(図20、21下:1.0μg/mL)の方が、低い場合(図20、21上:0.1μg/mL)に比べてbFGF溶出量が10倍程度多くなった。これは、基材へのbFGF吸着量が、吸着液中のbFGF濃度に応じて増大するためと考えられる。
吸着液中のbFGFおよびヘパリン添加濃度を調節することによって、基材のbFGF溶出量を制御できることが確認された。
種々の濃度でヘパリンを添加した過飽和溶液を用い、PS基材の表面にbFGF−リン酸カルシウム複合層を形成させた。ヘパリン添加濃度に応じて、培養液中へのbFGF溶出量が増大することを確認した。
実施例3で用いたbFGF(4μg/mL)含有過飽和溶液に、ヘパリンナトリウム製剤(ヘパリンNaロック用100単位/mLシリンジ「オーツカ」5mL、大塚製薬製)を最終濃度0、0.1、3.6unit/mLとなるよう添加することにより、3種の過飽和溶液を調製した。実施例3と同様にして、PS平板状基材をEOGガスで滅菌後、各過飽和溶液2mLに25℃で24時間浸漬した後、洗浄した。
作製されたbFGF徐放性基材(bFGF−リン酸カルシウム複合層形成型)からのbFGF溶出挙動を実施例5と同様にして調べた。ただし、溶出液としては、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、シグマ アルドリッチ製)を使用した。図22に示す通り、基材からのbFGF溶出量は、過飽和溶液中のヘパリン濃度の増加に伴い増大した。実施例6(吸着法)の結果と同様、共沈法においても、処理液へのヘパリン添加が、bFGF溶出量の向上に有効であることが確認された。
ビーズ状のPS基材の表面にリン酸カルシウム層を形成させた。
基材として、粒径17.08 ± 6.55μmのビーズ状のPS粒子(SBX-17、積水化成品工業製)を準備した。基材表面の親水化のため、以下の2条件で化学処理を実施した。条件1では0.101gのPS粒子を、条件2では0.0195gのPS粒子を、下記の各処理液10mLに浸漬した。同処理液を、蓋つきのPPチューブ内に密封し、150rpmの回転速度で振とう下(シェイキングバスBW101 ヤマト製)、40℃で規定の時間処理した。
・条件1:1.0 M-HClの水溶液、10分間
・条件2:1.0 M-HClの50vol%エタノール水溶液、60分間
続いて、交互浸漬処理(参考文献4)を施して基材表面にリン酸カルシウムをプレコーティングした。ただし本実施例では、水に浮かぶ多量のビーズ状PS基材を処理するため、吸引ろ過システムを利用して処理液(100mM-CaCl2 50% エタノール水溶液→50% エタノール水溶液(洗浄液)→100mM-K2HPO4 50% エタノール水溶液→50% エタノール水溶液(洗浄液)、以上のサイクルを3回繰り返す。)を規定の順に基材に接触させた。
交互浸漬処理後、基材を一晩風乾し、条件1では約15mLの、条件2では7mLの過飽和溶液(通称CP液(参考文献3、4))中に懸濁することで、ビーズ状PS基材の懸濁液を得た。この懸濁液を1、3、または10倍希釈して5mLの過飽和溶液とした。同過飽和溶液を蓋つきのPPチューブ内に密封し、温度25℃、振とう下、以下の条件で処理した。条件1では、回転スピード3(小型振盪恒温器PIC-100S、アズワン製)で48時間、条件2では、回転速度200 rpm(バイオシェーカーBR-42FM、タイテック製)で23時間処理した。
図23に、過飽和溶液処理後の基材の表面のSEM像を示す。処理後の基材表面にはいずれも、析出物が確認された。既報(参考文献1)より、同析出物は、リン酸カルシウム層であると考えられる。リン酸カルシウム層の被覆率は、過飽和溶液への希釈倍率の増加に伴い向上し、10倍希釈条件では基材の全表面がリン酸カルシウム層で被覆されていた。希釈倍率を高めることで、固相に対する液相の量が増大し、基材と過飽和溶液との接触ならびに原料(カルシウムイオン、リン酸イオン、それらのクラスターなど)の供給を容易にすると考えられた。
本手法を用いることで、先の実施例で用いた平板状のシートやフィルム、基材だけでなく、ビーズ状の基材の表面にもリン酸カルシウム層を形成できることが確認された。実施例3〜6で示した通り、過飽和溶液の種類、bFGF添加濃度、ヘパリン添加濃度などを調節することで、本ビーズ状の基材の表面にもbFGF−リン酸カルシウム複合層を形成でき、それによって同基材にbFGF徐放能を付与できると考えられる。
bFGF徐放性多孔質基材(bFGF吸着型)を設置した(培養液中に浮かべた)培養液中で、ヒトiPS細胞を未分化維持培養できることを確認した。
実施例2(親水化処理条件の検討)と同様にして基材の洗浄処理を行い、酸素プラズマ処理(0.1W/cm2)を施した後、EOGガスで滅菌した。同基材を、実施例2(吸着液のbFGF濃度の検討)と同様にしてbFGF(12μg/mL)を添加したPBS(吸着液)に25℃で24時間浸漬した後、PBS(bFGF無添加)で洗浄した。浸漬の際、実施例2(吸着処理時間、振盪の効果の検討)における振盪条件と同様に、蓋つきチューブ(5mLアシストチューブ)を25℃に保ったシェイキングインキュベーター内に固定し、振盪した。
ヒトiPS細胞(201B7株)は理化学研究所バイオリソースセンターから分譲を受けた。bFGFを添加した通常の培養液(Essential 6 Medium (Thermo Fisher Scientific製)、2ng/mL TGF-β 1 (R&D Systems製)、10ng/mL bFGF (片山化学工業製))中での培養条件をポジティブコントロール(条件(2))、条件(2)の培養液よりbFGFを除いた培養条件をネガティブコントロール(条件(3))とし、bFGFの代わりに前記bFGF徐放性多孔質基材(bFGF吸着型)を設置した培養液中での培養条件(条件(1))との比較を行った。培養は6ウェルの培養皿を用い、各ウェルをマトリゲル 基底膜マトリックス グロースファクター リデュースト(Corning製)でコートし、培養液の量は2mLとした。
まず、培養皿にヒトiPS細胞を播種し(この時点を以後、培養0日目とする)、通常の培養条件下(条件(2)と同じ)で1日間、前培養を行った。培養4日目に継代を行った直後も、通常の培養条件下(条件(2)と同じ)で1日間、前培養を行った。条件(1)では、培養1日目および5日目にbFGF徐放性多孔質基材(bFGF吸着型)を設置し、培養液交換を行わずにそれぞれ3日間(4日目までと8日目まで)培養を行った。条件(2)、(3)においては、培養1〜3日目および5〜7日目に培養液((2):bFGF入り、(3):bFGFなし)を毎日交換し、培養を行った。
各条件((1)、(2)、(3))における培養4日目と8日目の培養液中のbFGF濃度をELISAにより測定した。比較のため、細胞を含まず、bFGF徐放性多孔質基材(bFGF吸着型)を設置したbFGF無添加の培養液(条件(4):条件(1)から細胞を除いた系)についても、ELISA測定を行った。bFGF濃度測定の際の検量線は、bFGF(片山化学工業製)を用いて作成した。
図24に、各条件における培養4日目と8日目の培養液中のbFGF濃度を示す。細胞を含まない条件(4)の培養液中のbFGF濃度は15〜17ng/mL程度であり、同様の実験系(実施例2の図10、本実施例とはウェルの大きさと表面処理条件が異なる)で測定されたbFGF濃度(3日後で約12ng/mL)と同程度のbFGF濃度が確認された。一方、ネガティブコントロールである条件(3)(bFGFなし培養液、培養液毎日交換)の培養液中にbFGFはほとんど検出されず、通常の培養条件(2)(bFGF入り培養液、培養液毎日交換)の培養液中のbFGF濃度は2ng/mL程度であった。通常の培養条件(2)では、10ng/mLのbFGF入り培養液を毎日交換するが、交換1日後にELISAで検出される培養液中のbFGF濃度は、初期添加濃度の約5分の1しかないことが確認された。これに対し、条件(1)(bFGF徐放性多孔質基材(bFGF吸着型)を設置した培養液、培養液交換なし)では、3日後においても、20ng/mL以上の高いbFGF濃度が維持されていた。条件(1)では、細胞を含まない条件(4)の培養液よりもbFGF濃度が高くなっており、細胞から分泌されたbFGFが上乗せされているものと推定された。
各条件において培養されたヒトiPS細胞の形態を位相差顕微鏡により観察した。図25に、培養1日目、4日目、5日目、および8日目におけるヒトiPS細胞の位相差顕微鏡像を示す。ネガティブコントロールである条件(3)(bFGFなし培養液、培養液毎日交換)で培養されたヒトiPS細胞は、培養4日目および8日目(継代後4日目)において、細胞間隙の開いた、いびつな形状のコロニーしか形成せず、また半分程度の細胞がコロニーから逸脱した(図25(3))。これに対し、ポジティブコントロールである通常の培養条件(2)(bFGF入り培養液、培養液毎日交換)で培養されたヒトiPS細胞は、培養4日目および8日目(継代後4日目)において正常な形態のコロニーを形成した(図25(2))。条件(1)(bFGF徐放性多孔質基材(bFGF吸着型)を設置した培養液、培養液交換なし)で培養されたiPS細胞も、同様の正常な形態のコロニー形成が認められた(図25(1))。このことから、条件(1)でも、通常の培養条件(2)と同様に、ヒトiPS細胞を培養できることが実証された。
培養7日目に細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、PBSで洗浄した後、ヒトiPS細胞の一般的な診断法であるrBC2LCNレクチン染色および蛍光標識抗体(Nanog、Oct3/4)染色により未分化性の評価を行った。rBC2LCN染色では、FITCで直接標識したrBC2LCN(和光純薬工業製)を細胞に反応させ、蛍光顕微鏡により染色像を得た。蛍光抗体染色では、抗Nanog抗体(Cell Signaling製)、あるいは抗Oct3/4抗体(Santa Cruz製)を反応させた後、二次抗体であるanti-mouse IgM-Alexa488(Thermo Fisher Scientific製)またはanti-mouse IgG-Alexa488(Thermo Fisher Scientific製)をさらに反応させ、蛍光顕微鏡により染色像を得た。
図26に、各手法で染色されたヒトiPS細胞の蛍光顕微鏡像を示す。rBC2LCN染色および抗体染色のいずれの染色法でも、通常の培養条件(2)(bFGF入り培養液、培養液毎日交換)で培養されたヒトiPS細胞の染色が確認された(図26(2))。条件(1)(bFGF徐放性多孔質基材(bFGF吸着型)を設置した培養液、培養液交換なし)で培養されたヒトiPS細胞でも、同様の染色が確認された(図26(1))。このことから、条件(1)でも、通常の培養条件(2)と同様に、ヒトiPS細胞の未分化性マーカーの発現を維持できることが実証された。
吸着法はbFGF以外の液性因子にも有効であり、種々の液性因子徐放性多孔質基材(液性因子吸着型)を作製できることを確認した。
培地に溶解し、細胞の増殖や分化などに影響する液性因子として、実施例2で用いたbFGF(片山化学工業製、Recombinant Human bFGF、分子量=16kDa)と同程度の分子量を持つ以下の2種類のタンパク質を選択した。
・マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)
・腫瘍壊死因子α(TNFα)
本実施例で用いたORF Genetics製(ISOkineTM)のRecombinant Human M-CSFおよびRecombinant Human TNFαにはいずれもHistidine-based tagが付いており、分子量は、それぞれ20.7kDaおよび19.6kDaである。
実施例2(親水化処理条件の検討)と同様にして基材(PE不織布)の洗浄処理を行い、酸素プラズマ処理(0.1W/cm2)を施した後、EOGガスで滅菌した。同基材を、実施例2(吸着液のbFGF濃度の検討)と同様にしてM-CSFまたはTNFα(4μg/mL)を添加したPBS(吸着液)に25℃で24時間浸漬した後、PBS(bFGF無添加)で洗浄した。浸漬の際、実施例2(吸着処理時間、振盪の効果の検討)における振盪条件と同様に、蓋つきチューブ(5mLアシストチューブ)を25℃に保ったシェイキングインキュベーター内に固定し、振盪した。
各基材からのM-CSFおよびTNFαの溶出挙動を実施例1と同様にして調べた。ただし、溶出液中のM-CSFおよびTNFαの濃度は、R&D製ELISAキット(Quatikine ELISA Human M-CSF ImmunoassayおよびQuatikine ELISA Human TNFα Immunoassay)を用いて測定した。また、検量線は、各ELISAキットに添付のスタンダードM-CSFおよびTNFαを用いて作成した。
各基材の培養液へのM-CSFおよびTNFα溶出挙動を、それぞれ図27および図28に示す。いずれの液性因子を吸着させた基材も、bFGF徐放性多孔質基材(bFGF吸着型)(図10)と同様に、1日後に最大濃度を示した後、時間と共に濃度を低下させていったが、7日後においても最大濃度の半分程度の濃度を維持していた。培養液中に徐放された液性因子の濃度は、因子の種類によって異なり、TNFαに比べM-CSFの方が7日後までの全評価期間に渡って7〜8倍高濃度であった。また、同じ濃度(4μg/mL)の吸着液を用いて作製されたbFGF徐放性多孔質基材(bFGF吸着型)(図10)も含めて比較すると、培養液中に徐放された液性因子の濃度は、TNFα<bFGF<M-CSFの順に増大した。この徐放濃度の違いは、液性因子の分子構造(立体構造、組成、親水・疎水性、等電点など)の違いに起因すると考えられる。
Claims (24)
- 少なくとも表面が親水性を有する多孔質構造を有する基材に、哺乳動物の未分化細胞を未分化のまま増殖させる液性因子、または、哺乳動物細胞の分化・増殖に影響を与える液性因子が吸着してなる、細胞培養補助剤。
- 多孔質構造を有する基材が、繊維集合体、多孔質膜、表面のみを多孔質化した基材、あるいは表面にこれらの多孔質基材を接着させた基材である、請求項1に記載の細胞培養補助剤。
- 多孔質構造を有する基材がポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンを素材として含む、請求項1または2に記載の細胞培養補助剤。
- 細胞培養液よりも小さな比重を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の細胞培養補助剤。
- 液性因子がヘパリン結合性の因子であり、多孔質構造を有する基材上に、さらに硫酸化多糖が吸着してなる、請求項1〜4のいずれかに記載の細胞培養補助剤。
- 液性因子が線維芽細胞増殖因子−2(bFGF)である、請求項1〜5のいずれかに記載の細胞培養補助剤。
- 多孔質構造を有する基材の表面を親水化し、これを哺乳動物の未分化細胞を未分化のまま増殖させる液性因子、または、哺乳動物細胞の分化・増殖に影響を与える液性因子を含有する溶液に浸漬することで、当該因子を、多孔質構造を有する基材に吸着させることを特徴とする、請求項1〜4および6のいずれかに記載の細胞培養補助剤の製造方法。
- 多孔質構造を有する基材の表面を親水化し、これを哺乳動物の未分化細胞を未分化のまま増殖させる液性因子、または、哺乳動物細胞の分化・増殖に影響を与える液性因子、並びに硫酸化多糖を含有する溶液に浸漬することで、当該因子および硫酸化多糖を、多孔質構造を有する基材に吸着させることを特徴とする、請求項5または6に記載の細胞培養補助剤の製造方法。
- 多孔質構造を有する基材の表面の親水化が、プラズマ処理により、または、酸処理により行われる、請求項7または8に記載の細胞培養補助剤の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の細胞培養補助剤を、哺乳動物細胞を培養する細胞培養培地に投入し、当該培地中に液性因子を徐放させながら、哺乳動物細胞を培養する方法。
- 哺乳動物細胞が未分化の細胞であり、液性因子が未分化細胞を未分化のまま増殖させる液性因子であり、未分化細胞を未分化の状態に維持して培養することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
- 液性因子が哺乳動物細胞を分化細胞または組織に分化・増殖させる液性因子であり、培養により哺乳動物細胞を分化細胞または組織に分化・増殖させることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
- 少なくとも表面が親水性を有する基材の表面に、哺乳動物の未分化細胞を未分化のまま増殖させる液性因子、または、哺乳動物細胞の分化・増殖に影響を与える液性因子を含むリン酸カルシウム層を有する、細胞培養補助剤。
- 基材が、繊維集合体、多孔質膜、表面のみを多孔質化した基材、あるいは表面にこれらの多孔質基材を接着させた基材である、多孔質構造を有する基材である、請求項13に記載の細胞培養補助剤。
- 基材がポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンを素材として含む、請求項13または14に記載の細胞培養補助剤。
- 細胞培養液よりも小さな比重を有する、請求項13〜15のいずれかに記載の細胞培養補助剤。
- 液性因子がヘパリン結合性の因子であり、リン酸カルシウム層がさらに硫酸化多糖を含む、請求項13〜16のいずれかに記載の細胞培養補助剤。
- 液性因子が線維芽細胞増殖因子−2(bFGF)である、請求項13〜17のいずれかに記載の細胞培養補助剤。
- 基材の表面を親水化し、これを、哺乳動物の未分化細胞を未分化のまま増殖させる液性因子、または、哺乳動物細胞の分化・増殖に影響を与える液性因子を含むリン酸カルシウム過飽和溶液に浸漬することで、当該因子を含むリン酸カルシウム層を基材表面に形成させることを特徴とする、請求項13〜16および18のいずれかに記載の細胞培養補助剤の製造方法。
- 基材の表面を親水化し、これを、哺乳動物の未分化細胞を未分化のまま増殖させる液性因子、または、哺乳動物細胞の分化・増殖に影響を与える液性因子、並びに硫酸化多糖を含むリン酸カルシウム過飽和溶液に浸漬することで、当該因子および硫酸化多糖を含むリン酸カルシウム層を基材表面に形成させることを特徴とする、請求項17または18に記載の細胞培養補助剤の製造方法。
- 基材の表面の親水化が、プラズマ処理により、または、酸処理により行われる、請求項19または20のいずれかに記載の細胞培養補助剤の製造方法。
- 請求項13〜18のいずれかに記載の細胞培養補助剤を、哺乳動物細胞を培養する細胞培養培地に投入し、当該培地中に液性因子を徐放させながら、哺乳動物細胞を培養する方法。
- 哺乳動物細胞が未分化の細胞であり、液性因子が未分化細胞を未分化のまま増殖させる液性因子であり、未分化細胞を未分化の状態に維持して培養することを特徴とする、請求項22に記載の方法。
- 液性因子が哺乳動物細胞を分化細胞または組織に分化・増殖させる液性因子であり、培養により哺乳動物細胞を分化細胞または組織に分化・増殖させることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
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