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JP2018174261A - 光電変換素子の電極製造方法 - Google Patents

光電変換素子の電極製造方法 Download PDF

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JP2018174261A
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Noriaki Matsushima
宜昭 松島
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Abstract

【課題】光学的な特徴の異なる少なくとも2種類の層を有する積層体の焼成の際に、焼損が発生することを抑制可能な、光電変換素子の電極製造方法を提供する。【解決手段】本発明による光電変換素子の電極製造方法は、0.2μm以上2.7μm以下の波長範囲で最大透過率を呈する最大透過波長がλ1μmである第一層と、かかる最大透過波長がλ1より大きいλ2μmである第二層とを有する積層体を焼成するに当たり、(λ1±0.5)μmの波長範囲における、第一層の非透過光エネルギー量をI1、第二層の非透過光エネルギー量をI2として、I2>I1を満たす条件下で積層体を焼成する焼成工程を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、光電変換素子の電極製造方法に関するものである。
近年、光エネルギーを電力に変換する光電変換素子として、太陽電池が注目されている。太陽電池は、電子や正孔の移動に寄与する層が基材上に形成された光電極及び対向電極により挟まれて成る。例えば、太陽電池の一つである色素増感型太陽電池では、通常、光電極基材上に、増感色素を吸着させた半導体層を備えて成る光電極と、電解質層と、対向電極基材上に、触媒層を備えて成る対向電極とがこの順に並んでなる構造を有する。さらに、光電極は、光電極基材と、半導体層との間に導電膜をそれぞれ備えうる。
電極の製造にあたり、任意で導電膜等を有し得る基材上に、半導体層又は触媒層を形成するための組成物を塗布して塗膜を形成し、かかる塗膜に対して光照射する等してエネルギーを与えて焼成する操作を行うことがある。ここで、半導体層や触媒層を形成するための組成物と、基材等の他の構成部とでは特性が異なる。このため、塗膜を焼成するために充分な条件で光照射した場合に、他の構成部に焼損が生じる場合がある。
従来、樹脂フィルム基材を含む支持体上に形成した半導体層を、樹脂フィルム基材が変形する程度に高いエネルギーを与えて焼成する処理を実施可能な半導体層の製造方法が提案されてきた(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の方法では、基材上に形成された半導体層を電磁波照射により加熱する際に、基材を冷却する工程を行うことで、樹脂フィルム等でありうる基材が変形等して焼損することを効果的に抑制しつつ、半導体層を焼成することができる。
特開2012−160394号公報
ここで、特許文献1に記載されたような、支持体側を冷却しつつ焼成する工程によっては、基材等の、焼成対象以外の他の部材に生じうる焼損を十分に抑制することができない虞があった。
そこで、本発明は、光学的な特徴の異なる少なくとも2種類の層を有する積層体の焼成の際に、焼損が発生することを抑制することが可能な、光電変換素子の電極製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、最大透過率を呈する波長が短波長側の第一層と、最大透過率を呈する波長が長波長側の第二層とが積層体に含まれる場合、第一層にて焼損が発生し易いことを見出した。そして、本発明者は更に検討を進め、かかる第一層の最大透過率を呈する波長付近の光が、第一層にて吸収されることを抑制することで、積層体にて焼損が発生することを効果的に抑制し得ることを新たに見出し、本発明を完成させた。
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の光電変換素子の電極製造方法は、0.2μm以上2.7μm以下の波長範囲で最大透過率を呈する最大透過波長がλμmである第一層と、前記最大透過波長が前記λより大きいλμmである第二層とを有する積層体を焼成するに当たり、(λ±0.5)μmの波長範囲における、前記第一層の非透過光エネルギー量をI、前記第二層の非透過光エネルギー量をIとして、I>Iを満たす条件下で前記積層体を焼成する焼成工程を含むことを特徴とする。
本発明による電極製造方法によれば、光学的な特徴の異なる少なくとも2種類の層を有する積層体の焼成の際に、焼損が発生することを抑制することができる。
なお、本明細書において、「第一層の非透過光エネルギー」とは、焼成工程にて積層体に対して供給されうる光エネルギーのうち、第一層を透過しない光エネルギーを意味する。換言すれば、「非透過光エネルギー」とは、焼成工程にて積層体に対して供給されうる光エネルギーのうち、第一層によって反射又は吸収されうる光エネルギーを意味する。「第二層の非透過光エネルギー」についても同様である。
そして、非透過光エネルギーI及びIは、本明細書の実施例に記載の方法により算出することができる。
また、本発明に係る光電変換素子の電極製造方法において、波長1.0μmにおける前記第一層の光透過率Tが、70%以上であることが好ましい。波長1.0μmにおける第一層の光透過率Tが70%以上であれば、焼成工程において、第一層にて焼損が発生することを一層良好に抑制することができる。
ここで、光透過率Tは、JIS K 7361に基づいて測定することができる。
また、本発明に係る光電変換素子の電極製造方法において、I/Iの値が1.1以上であることが好ましい。I/Iの値が1.1以上であれば、一層良好に第一層における焼損の発生を抑制することができる。
また、本発明に係る光電変換素子の電極製造方法において、前記焼成工程が、フィルタを介して、前記積層体に対して光を照射することを含むことが好ましい。フィルタを用いることで、一層良好に第一層における焼損の発生を抑制することができる。
また、本発明に係る光電変換素子の電極製造方法において、前記フィルタが支持体上に積層された調光層を備えることが好ましい。フィルタが支持体上に調光層を有していれば、所望の波長域の光を効率的に減光することで、焼損が発生することを一層良好に抑制することができる。
また、本発明に係る光電変換素子の電極製造方法において、前記フィルタが、0.7μm以上1.3μm以下の波長範囲における光透過率の最小値をImin(%)、2.0μm以上2.6μm以下の波長範囲における光透過率の最大値をImax(%)として、Imin/Imax≧0.90を満たすフィルタであることが好ましい。焼成工程にて使用するフィルタがかかる条件を満たすフィルタであれば、積層体における焼損の発生を一層良好に抑制しつつ、焼成を促進することができる。
なお、フィルタの光透過率は、JIS R 3106に基づいて測定することができる。
本発明によれば、光学的な特徴の異なる少なくとも2種類の層を有する積層体の焼成の際に、焼損が発生することを抑制可能な、光電変換素子の電極製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の光電変換素子の電極製造方法は、少なくとも一方が焼成対象である、光学的な特徴の異なる少なくとも2種類の層を有する積層体の焼成が必要とされうるあらゆるケースにおいて好適に実施することができる。特に、本発明の光電変換素子の電極製造方法は、色素増感型太陽電池、有機薄膜太陽電池、及びペロブスカイト太陽電池等の太陽電池の電極を形成する際に好適に用いることができる。
まず、本発明の光電変換素子の電極製造方法に従って作製されうる電極を備える光電変換素子の一例としての色素増感型太陽電池の概略構成について説明する。色素増感型太陽電池としては、特に限定されることなく、多孔質半導体層を含む光電極を備える光電極基材と、触媒層を含む対向電極を備える対向電極基材とが、電解質層を介して、多孔質半導体層側と触媒層側とが対向するように配置されてなる一般的な構造の色素増感型太陽電池が挙げられる。更に、色素増感型太陽電池は、基材と、多孔質半導体層との間、及び、触媒層と対向電極基材との間に導電膜をそれぞれ備えうる。光電極は、多孔質半導体層と光電極側導電膜とを含んでなる。また、対向電極は、触媒層と対向電極側導電膜とを含んでなる。さらに、光電極側導電膜及び対向電極側導電膜は、配線によって接続され、多孔質半導体層中に吸着された色素が光により励起されて電子を放出すると、光電極側から配線を通じて対向電極側へと到達し、更に電解質層を通じて光電極へと戻る電子の流れが生じる。このようにして、色素増感型太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する。
光電極基材は、金属、金属酸化物、炭素材料、導電性高分子などを用いて形成された導電性のシートや、樹脂、ガラス、及びシリコンからなる非導電性のシートでありうる。中でも、基材としては、透明樹脂が用いられることが多い。透明樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルホン(PSF)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、透明ポリイミド(PI)、シクロオレフィンポリマー(COP)等の合成樹脂が挙げられる。
多孔質半導体層は、多孔質状の半導体層である。多孔質半導体層を形成する多孔質材料としては、特に限定されることなく、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化タングステン等の各種金属酸化物半導体、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等の各種複合金属酸化物半導体、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化マンガン等の遷移金属酸化物、酸化セリウム、酸化ガドリニウム、酸化サマリウム、酸化イッテルビウム等のランタノイド酸化物、及びシリカに代表される天然または合成の珪酸化合物等を挙げることができる。これらの材料は単独で用いられてもよく、複数組み合わせて使用されてもよい。さらに、多孔質半導体層の厚みは、特に限定されないが、通常、0.1〜250μmである。
多孔質半導体層に吸着させる色素は、光によって励起されて多孔質半導体層に電子を渡し得る化合物(増感色素)である。かかる増感色素は、特に限定されることなく、金属錯体色素等の、色素増感型太陽電池に使用されうる色素でありうる。
電解質層は、光電極と対向電極とを分離するとともに、電荷移動を効率よく行わせるための層である。電解質層は、通常、支持電解質、酸化還元対(酸化還元反応において可逆的に酸化体および還元体の形で相互に変換しうる一対の化学種)、溶媒等を含有する。
触媒層は、例えば白金層やカーボン層で形成される。特に、カーボン層は、繊維状炭素ナノ構造体を含みうる。ここで、繊維状炭素ナノ構造体は、特に限定されることなく、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)、気相成長炭素繊維などでありうる。これらは、1種単独で、或いは2種以上が混合して配合されうる。中でも、繊維状炭素ナノ構造体は、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体であることが好ましい。さらに、繊維状炭素ナノ構造体にナノサイズの微小な白金等を常法に従って担持しても良い。触媒効果を向上させることができるからである。
対向電極基材は、対向電極を支持するためのもので、例えば、前記基材と同様の材料で形成される。なお、対向電極基材は、非透光性の材料で形成されてもよい。さらに、光電極側導電膜及び対向電極側導電膜の厚みは、特に限定されないが、通常、0.1〜250μmである。
光電極側導電膜及び対向電極側導電膜は、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、チタン等の金属;酸化スズ、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)等の複合金属酸化物;繊維状炭素ナノ構造体、フラーレン等の炭素材料;及びこれら2種以上の組み合わせ;等からなるものが挙げられる。そして、導電膜は配線に接続されうる。
(電極製造方法)
上記のような概略構成を有し得る色素増感型太陽電池の光電極及び対向電極の製造時に用いられうる本発明の電極製造方法について、以下に詳述する。なお、以下の説明では、一例として、上記色素増感型太陽電池の光電極の製造時に、本発明の電極製造方法を適用した場合について説明する。
本発明の電極製造方法は、0.2μm以上2.7μm以下の波長範囲で最大透過率を呈する最大透過波長がλμmである第一層と、かかる最大透過波長がλより大きいλμmである第二層とを有する積層体を焼成するに当たり、(λ±0.5)μmの波長範囲における、第一層の非透過光エネルギー量をI、第二層の非透過光エネルギー量をIとして、I>Iを満たす条件下で積層体を焼成する焼成工程を含む。従って、吸収、反射、及び透過等の光学的な特徴の異なる少なくとも2種類の層を有する積層体の焼成の際に、焼損の発生を良好に抑制することができる。本発明の電極製造方法によりかかる効果が得られる理由は明らかではないが、以下の通りであると推察される。
すなわち、積層体に含まれる各層の最大透過率となる光は、他の波長域の光と比較した場合に当該層にて吸収されにくく、従って当該層の焼成への寄与が少ないと考えられる。反対に、各層の透過率が最大透過率となる波長を含む波長域(本発明では、±0.5μmとして規定)以外の光は、当該層にて吸収され易く、従って当該層の焼成への寄与が大きいと考えられる。ここで、本発明では、最大透過率が異なる2種類の層を有する積層体の焼成にあたり、第一層の最大透過波長λを中心とする1μmの波長範囲(即ち、「λ±0.5」μmの波長範囲)で、第一層を透過しない光の合計エネルギー量Iが、他方の層(第二層)を透過しない光の合計エネルギー量Iよりも少なくなるような条件の下、積層体を焼成することを特徴とする。換言すると、本発明の電極製造方法では、積層体を焼成するに当たり、「λ±0.5」μmの波長範囲の光エネルギーが第一層により吸収又は反射されうる量を、当該光エネルギーが第二層により吸収又は反射されうる量よりも少なくするようにして、焼成工程を実施する。ここで、本発明の対象とする積層体では、概して、積層体に備えられる各層を透過しない光エネルギーの大半は各層により吸収されるものとする。そして、各層に吸収されるエネルギーは、各層に熱を生じるので、過剰にエネルギーが吸収されれば、各層にて焼損を引き起こす虞がある。よって、本発明において、第一層の非透過光エネルギー量Iが第二層の非透過光エネルギー量Iよりも小さくなるような条件として、焼成工程を実施することで、第一層を第二層と比較して、マイルドな条件で加熱することが可能となり、第一層において焼損が発生することを良好に抑制しつつ、第二層の焼成は促進することができると推察される。
ここで、第一層及び第二層について、「0.2μm以上2.7μm以下の波長範囲における最大透過率を呈する最大透過波長」は、0.2μm以上2.7μm以下の波長範囲(以下、「波長範囲A」とも称する)において、横軸を波長、縦軸を透過率とした透過率曲線を生成した場合に、透過率の値が最大となる値が1つのみ検出されうる場合には、かかる透過率に対応する波長を意味する。上記波長範囲Aに含まれる、ある波長範囲Bにて透過率曲線の接線の傾きがゼロとなると共に、透過率の値が波長範囲Aにおける最大透過率となっているような、所謂「飽和状態」が検出された場合には、かかる波長範囲Bの中央点の波長を「0.2μm以上2.7μm以下の波長範囲における最大透過率を呈する最大透過波長」とする。
本発明の電極製造方法は、任意の準備工程と、焼成工程とを含む。以下、各工程について説明する。
<準備工程>
準備工程では、上述したような光電極基材上に、第一層である光電極側導電膜、及び第二層である、焼成により多孔質半導体層となりうる多孔質半導体層用焼成前駆膜を形成する。本例にかかわらず、第一層と第二層とは、積層体の少なくとも一方の表面上の異なる位置にて表面に露出してなる。例えば、第一層の一部に第二層が積層されており、第二層が積層された表面上の部分においては、第二層が積層体の最表面を形成しており、第二層が積層されていない表面上の部分においては、第一層又は基材等が積層体の最表面を形成していても良い。
第一層である光電極側導電膜は、特に限定されることなく、上述したような金属酸化物や炭素材料を用いて、スパッタリング法、コーティング法等の公知の方法により形成することができる。さらに、波長1.0μmにおける第一層の光透過率Tが、70%以上であることが好ましい。波長1.0μmにおける第一層の光透過率Tが70%以上であれば、後続の焼成工程において、第一層にて焼損が発生することを一層良好に抑制することができるからである。
このようにして形成した第一層の上に、上述した多孔質材料を含む組成物を用いて、塗布又は印刷等の公知の塗膜形成方法に従って塗膜形成して、第二層である多孔質半導体層用焼成前駆膜を形成することができる。
<焼成工程>
焼成工程では、(λ±0.5)μmの波長範囲における、第一層の非透過光エネルギー量をI、第二層の非透過光エネルギー量をIとして、I>Iである光に対して積層体を曝す。ここで、I及びIは、本明細書の実施例に記載の方法に従って算出することができる。さらに、I/Iの値が1.1以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、10.0以下であることが好ましく、5.0以下であることがより好ましい。I/Iの値が上記下限値以上であれば、一層良好に第一層の焼損を抑制することができる。また、I/Iの値が上記上限値以下であれば、第一層の焼損を良好に抑制しつつ、積層体の焼成を効率的に促進することができる。
ここで、焼成工程にて使用し得るエネルギー源である光源としては、特に限定されることなく、光電変換素子の電極を製造する際に使用し得る加熱用光源等の一般的な光源を使用することができる。なお、使用する光源が、(λ±0.5)μmの波長範囲の一部の波長範囲の光を照射しない光源である場合には、光源の照射波長域と、(λ±0.5)μmの波長範囲との重複波長域について、I及びIをそれぞれ算出し得る。
焼成工程では、I>Iとなるような条件とすることが必要である。そのための方途としては、1)光源の照射エネルギー分布自体を調整して、I>Iとなる光条件を創出して焼成工程を行うことや、2)フィルタを介して積層体に対して光を照射することで、積層体に到達する光のエネルギー分布を調整して、I>Iとなるような光条件となるようにして焼成工程を行うことが挙げられる。
上記1)のような焼成工程を行う場合の具体的な方途としては、例えば、光源より照射する光の色温度を調節することが挙げられる。色温度を調節することで、光源の照射エネルギー分布を変更することができる。より具体的には、例えば、色温度を高く設定することで照射エネルギー分布のピークが、色温度を低く設定した場合と比較して、短波長側となるようにすることができる。
上記2)のような焼成工程を行う場合には、以下のような光透過率の条件を満たすフィルタを用いることが好ましい。すなわち、フィルタが、0.7μm以上1.3μm以下の波長範囲における光透過率の最小値をImin(%)、2.0μm以上2.6μm以下の波長範囲における光透過率の最大値をImax(%)として、Imin/Imax≧0.90を満たすフィルタであることが好ましく、Imin/Imax≧1.5を満たすことがより好ましく、20.0≧Imin/Imaxを満たすことが好ましい。焼成工程にて使用するフィルタがかかる条件を満たすフィルタであれば、積層体における焼損の発生を一層良好に抑制しつつ、焼成を一層促進することができる。このようにして、フィルタにより、短波長側の光を優先的に透過させるとともに、長波長側の光を優先的に減光することで、積層体における焼損の発生を効果的に抑制し得る。
そのようなフィルタは、特に限定されることなく、石英ガラス、合成石英ガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、及びフロートガラス等のガラス;及びポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、及びポリカーボネートフィルムのような樹脂フィルムよりなる支持体を含みうる。また、フィルタは、単層であっても複数層を有していても良い。例えば、フィルタは、ガラスや樹脂フィルムを支持体として、該支持体上に調光層が形成されてなるフィルタでありうる。
かかる調光層は、例えば、誘電体材料により構成されうる。誘電体材料としては、例えば、TiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O3、及びTa2O5のような高屈折率材料;SiO2、MgF2、及びSiONのような低屈折率材料が挙げられる。中でも、高屈折率材料としては、TiO2及びTa2O3の少なくとも一方、及び低屈折率材料としてはSiO2及びMgF2の少なくとも一方を用いることが好ましい。これらの高屈折率材料は、一種を単独で、或いは複数種を組み合わせて用いることができる。低屈折率材料についても同様である。調光層は、少なくとも低屈折率材料よりなる層(以下、「低屈折率層」とも称する)を有し得る。さらに、調光層として、低屈折率層と高屈折率材料よりなる層(以下、「高屈折率層」とも称する)とを交互に積層することで、調光層に対して入射する光のうち、特定の波長範囲の光を優先的に減光することが可能な調光層を得ることができる。なお、調光層を構成する低屈折率層及び高屈折率層はスパッタリング法、及びコーティング法等の既知の成膜方法に従って形成することができる。また、各層の厚みは、任意に設定することができる。
また、調光層は、例えば、光吸収性材料により構成されていても良い。光吸収性材料としては、例えば、フッ素ドープ酸化錫(FTO)が挙げられる。調光層は、光吸収性材料を蒸着等の既知の成膜方法に従って成膜することにより形成することができる。また、光吸収性材料よりなる調光層の厚みは、任意に設定することができる。
フィルタが調光層を有していれば、所望の波長域の光を効率的に減光することができる。支持体及び調光層の材質は、I>Iとなるような光条件を創出可能なように、適宜選択することができる。例えば、支持体として用いうるガラスは、SiO2を主成分とする、即ちSiO2の含有率が50質量%以上であることが好ましく、実質的に不純物を含有しない(即ち、SiO2の含有率が99.99質量%以上)ことがより好ましい。中でも、ガラスを支持体として、上述のような材料よりなる調光層を備えるフィルタが好ましい。ここで、「調光」とは、光源より発せられたあるエネルギー分布の光を、入射時とは異なるエネルギー分布として出射することを意味する。本発明のフィルタは、任意の調光層だけでなく、支持体自体も、調光機能を発揮することで、上述したような焼成工程の際の条件を満たすために寄与しうる。なお、調光層は、支持体の光源側の表面に配置されていても良いし、光源とは反対側の(即ち、積層体側の)表面に配置されていても良い。
上記1)及び2)として記載した光エネルギー分布の調整のための方途のうち、第一層における焼損の発生を一層良好に抑制する観点、並びに、照射条件の制御の容易性、及び制御方法の汎用性の観点から、上記2)のように、フィルタを用いて焼成工程を行うことが好ましい。
さらに、焼成工程における光照射時間は、積層体の焼成に必要十分な時間を適宜設定することができる。光照射時間は、例えば、1秒以上100秒以下でありうる。また、焼成工程を実施する際の雰囲気は、特に限定されることなく、例えば、JIS Z 8703に従う常温常圧の大気雰囲気でありうる。
かかる焼成工程を経て得られた焼成済積層体は、既知の方法に従って、多孔質半導体層に対して色素を吸着させることで、上述したような色素増感型太陽電池の光電極となりうる。そして、得られた光電極を、既知の方法に従って、上述したような対向電極や電解質層と組み合わせて、色素増感型太陽電池を製造することができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例、比較例において、積層体に備えられた第一層及び第二層の最大透過波長、各層の非透過光エネルギー量、フィルタのImim(%)及びImax(%)はそれぞれ以下のようにして測定した。さらに、実施例、比較例において、得られた第一層における焼損の有無、及び電池特性はそれぞれ以下のようにして評価した。
<最大透過波長>
まず、第一層及び第二層の0.2μm以上2.7μm以下の波長範囲における最大透過率を測定するために、試験片を準備した。実施例、比較例で、それぞれ第一層及び第二層の形成に用いた材料と同じ材料を用いて、厚み200μmのシートを切りだして試験片を作製した。そして、試験片に対して、光源(日本分光社製、「紫外可視近赤外分光光度計」)を用いて波長範囲0.2μm以上2.7μm以下の光を照射して、試験片を経た光のエネルギーを測光器(日本分光社製、「紫外可視近赤外分光光度計」)により測定した。光源から出射される光について、試験片を介さない光についても、同様に測光器で測定した。これらの測定データに基づいて、各試験片の透過率曲線を得た。
得られた透過率曲線から、第一層の最大透過率が、照射波長1.0μmの際の83%であり、第二層の最大透過率が、照射波長2.3μmの際の90%であることを得た。よって、第一層の0.2μm以上2.7μm以下の波長範囲にて最大透過率を呈する最大透過波長λを1.0μmと決定し、最大透過波長λを2.3μmと決定した。また、波長1.0μmにおける第一層の光透過率Tは83%であった。
<各層の非透過光エネルギー量>
実施例、比較例について下式に基づいて、各波長における非透過エネルギー量(I)を算出した。
I[J]=E[J]×T[%]/100×(100−第一層又は第二層の光透過率[%])/100
上記式中、
I:波長λにおける第一層の非透過光エネルギー量[J]
E:波長λにおける光源の放射エネルギー量[J]
:波長λにおけるフィルタの光透過率[%]、フィルタを配置しない場合は「100」
:第一層又は第二層の光透過率[%]
そして、X軸を波長、Y軸を上記(I)として、算出したIの値をプロットして、曲線近似した。得られた曲線について、(λ±0.5)μmの波長範囲におけるX軸と曲線により包含される面積を算出し、第一層の光透過率を用いて得たプロットについての算出値をI、第二層の光透過率を用いて得たプロットについての算出値をIとした。
<フィルタのImim(%)及びImax(%)>
実施例、比較例で用いたフィルタに対して、光源(日本分光社製、「紫外可視近赤外分光光度計」)を用いて波長範囲0.2μm以上2.7μm以下の光を照射して、フィルタを透過した光を測光器(日本分光社製、「紫外可視近赤外分光光度計」)で測定した。光源から出射される光について、フィルタを介さない光についても、同様に測光器で測定した。そして、これらの測定データから、各波長における光透過率の値を算出し、透過率曲線を得た(JIS R 3106)。得られた透過率曲線から、0.7μm以上1.3μm以下の波長範囲における光透過率の最小値Imin(%)及び、2.0μm以上2.6μm以下の波長範囲における光透過率の最大値Imax(%)をそれぞれ決定した。結果を表1に示す。
<第一層における焼損の有無>
実施例、比較例に従う焼成工程を経て得られた第一層を目視観察し、以下の基準に従って評価した。
A:焼損が全く認められない。
B:第一層の受光表面積全体の20%未満に焼損が認められる。
C:第一層の受光表面積全体の20%以上に焼損が認められる。
(実施例1)
<準備工程>
光電極基材としてのポリエチレンナフタレートフィルムの一方の表面上に、第一層として、インジウム−スズ酸化物(ITO)をスパッタ処理して光電極側導電膜を形成した。得られた導電膜付き光電極基材(ITO−PENフィルム、フィルム厚み:200μm、ITO厚み:200nm、シート抵抗15Ω/sq.)のITO面上に、第二層としての多孔質半導体層用焼成前駆膜を形成するための多孔質材料として酸化チタンを含有する、バインダーフリーの酸化チタンペースト(ペクセル・テクノロジーズ社製、「PECC−C01−06」)を、ベーカー式アプリケーターを用いて、塗布厚み150μmとなるように塗布し、塗膜を形成した。塗膜は、光電極側導電膜表面の一部を被覆するような形状で形成した。すなわち、積層体の受光側表面には、第一層である光電極側導電膜と、第二層である多孔質半導体層用焼成前駆膜とが露出した状態となっていた。
得られた塗膜を常温で10分間乾燥させた後、積層体の受光側表面の上方に、ガラス支持体(石英ガラス製、SiO2含有率99.99%以上)上に低屈折率層及び高屈折率層を複数層備える調光層が形成されてなるフィルタを配置した。上記に従って測定したフィルタのImim(%)及びImax(%)は表1に示す通りであった。
<焼成工程>
光源(岩崎電気社製、「ハロゲンヒーター」)を用いて波長範囲0.2μm以上2.7μm以下の光を照射した(照射条件:色温度2500K、ピーク波長1.2μm、照射時間10秒間)。得られた焼成済積層体について、上記に従って焼損の有無を判定した。結果を表1に示す。
(実施例2〜4)
焼成工程にて用いるフィルタを、表1に示すようなImim(%)及びImax(%)呈する、ガラス支持体上に低屈折率層及び高屈折率層を複数層備える調光層が形成されてなるフィルタにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして焼成工程を実施して焼成済積層体を得た。さらに、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
焼成工程にて用いるフィルタを、調光層を有さない、支持体であるガラスのみからなるフィルタ(表1に示すようなImim(%)及びImax(%)呈する)に変更した以外は実施例1と同様にして焼成工程を実施して焼成済積層体を得た。さらに、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
焼成工程における照射条件を、色温度1500K、ピーク波長1.9μm、照射時間10秒間に変更した以外は、実施例1と同様にして焼成工程を実施して焼成済積層体を得た。さらに、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
焼成工程にて用いるフィルタを、調光層を有さない、支持体であるガラスのみからなるフィルタ(表1に示すようなImim(%)及びImax(%)呈する)に変更し、且つ、照射条件を、色温度1000K、ピーク波長2.9μm、照射時間10秒間に変更した以外は、実施例1と同様にして焼成工程を実施して焼成済積層体を得た。さらに、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
焼成工程にてフィルタを用いず、照射条件を、色温度1000K、ピーク波長2.9μm、照射時間10秒間に変更した以外は、実施例1と同様にして焼成工程を実施して焼成済積層体を得た。さらに、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
表1中、「PEN」はポリエチレンナフタレートを、「ITO」はインジウム−スズ酸化物をそれぞれ示す。
Figure 2018174261
表1より、ポリエチレンナフタレートよりなる基材上に、第一層としてインジウム−スズ酸化物よりなる層を、第二層として酸化チタンよりなる層を備える積層体を、I>Iを満たす条件下で焼成した実施例1〜6では、得られる焼成済積層体における焼損の発生が抑制されていたことが分かる。
本発明によれば、本発明は、光学的な特徴の異なる少なくとも2種類の層を有する積層体の焼成の際に、焼損が発生することを抑制可能な、光電変換素子の電極製造方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 0.2μm以上2.7μm以下の波長範囲で最大透過率を呈する最大透過波長がλμmである第一層と、前記最大透過波長が前記λより大きいλμmである第二層とを有する積層体を焼成するに当たり、
    (λ±0.5)μmの波長範囲における、前記第一層の非透過光エネルギー量をI、前記第二層の非透過光エネルギー量をIとして、I>Iを満たす条件下で前記積層体を焼成する焼成工程を含む、
    光電変換素子の電極製造方法。
  2. 波長1.0μmにおける前記第一層の光透過率Tが、70%以上である、請求項1に記載の光電変換素子の電極製造方法。
  3. /Iの値が1.1以上である、請求項1又は2に記載の光電変換素子の電極製造方法。
  4. 前記焼成工程が、フィルタを介して、前記積層体に対して光を照射することを含む、請求項1〜3の何れかに記載の光電変換素子の電極製造方法。
  5. 前記フィルタが支持体上に積層された調光層を備える、請求項4に記載の光電変換素子の電極製造方法。
  6. 前記フィルタが、0.7μm以上1.3μm以下の波長範囲における光透過率の最小値をImin(%)、2.0μm以上2.6μm以下の波長範囲における光透過率の最大値をImax(%)として、Imin/Imax≧0.90を満たすフィルタである、請求項4又は5に記載の光電変換素子の電極製造方法。
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