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JP2018172329A - 肉芽形成促進組成物 - Google Patents

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石川 環
Tamaki Ishikawa
環 石川
利明 武田
Toshiaki Takeda
利明 武田
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Abstract

【課題】 腸内環境改善と肉芽形成とが因果関係を有するという観点から、腸内環境を改善させることによって肉芽形成を促進させる組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 プレバイオティクスを含むことを特徴とする肉芽形成促進組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、腸内環境の改善がもたらす肉芽形成促進作用を好適に引き起こす組成物に関する。
プレバイオティクスは結腸内の有用菌を増殖させるか有害菌の増殖を抑制することで宿主の健康に有益な作用をもたらす難消化性食品成分であることが知られている(非特許文献1)。
また、乳酸菌と酪酸菌、糖化菌を含有する組成物が腸絨毛を伸長させて消化吸収を向上させる効果を有することが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、乳酸菌やビフィズス菌においては、その摂取が創傷や褥瘡の治癒促進に有用であることが知られている(例えば、特許文献2、3参照)。
前記非特許文献1には、プレバイオティクスは結腸内の有用菌を増殖させるか有害菌の増殖を抑制することで宿主の健康に有益な作用をもたらすことは記載されているが、プレバイオティクスの肉芽形成の促進作用については検討されていない。
また、特許文献1には、乳酸菌と、酪酸菌、糖化菌を含有する組成物が腸絨毛を伸長させる効果は記載されているものの、その組成物が創傷の肉芽形成促進に有用であるかどうかについては検討されていない。また、特許文献2、3では、乳酸菌やビフィズス菌の創傷・褥瘡治癒促進に関する効果については検討されているものの、腸内環境改善効果と肉芽形成の促進作用との因果関係については検討されていない。そのため、これまで腸内環境改善効果を有するものとして知られてきた細菌が、創傷や褥瘡の肉芽形成促進にも効果を有するか否かは未だに分かっていない。また、前記プレバイオティクスは前記腸内環境改善効果を有するものとして知られてきた細菌と併用することで創傷や褥瘡の肉芽形成促進にも効果を有するか否かは未だに分かっていない。
特開2014−133736号公報 特開2011−178683号公報 特開2015−120646号公報
Gibson GR,Roberfroid MB:Dietary modulation of the human colonie microbiota:introducing the concept of prebiotics.J.Nutr,125(6):1401-1412,1995.
そこで本発明は、腸内環境改善と肉芽形成とが因果関係を有するという観点から、腸内環境を改善させることによって肉芽形成を促進させる組成物を提供することを目的とする。
本発明の肉芽形成促進組成物はかかる課題を解決するためになされたもので、プレバイオティクスを含むことを特徴とする。
また、本発明の本発明の肉芽形成促進組成物は、前記プレバイオティクスにプロバイオティクスとしての乳酸菌と、酪酸菌と、糖化菌とを含むことを特徴とする。
また、本発明の肉芽形成促進組成物は、前記プレバイオティクスが食物繊維であることを特徴とする。
また、本発明の肉芽形成促進組成物は、前記食物繊維が水溶性食物繊維であることを特徴とする。
また、本発明の肉芽形成促進組成物は、前記水溶性食物繊維がグアーガム分解物であることを特徴とする。
また、本発明の肉芽形成促進組成物は、経腸投与もしくは経口投与によって投与されるものであることを特徴とする。
本発明の肉芽形成促進組成物によれば、腸内環境を改善させることによって肉芽形成を促進させることができる。
体重の推移を示すグラフ 創面積比の推移を示すグラフ 血液検査結果を示すグラフ 創作製前日のフローラ解析結果を示すグラフ 創作製5日目のフローラ解析結果を示すグラフ 糞便中有機酸分析の結果を示すグラフ 創傷皮膚の組織像(肉芽組織)の電子顕微鏡写真
本発明の肉芽形成促進組成物はオリゴ糖や食物繊維といった、いわゆるプレバイオティクスを含む。プレバイオティクスは、単独で投与しても腸内環境を改善して肉芽形成を促進する効果を有する。
また、本発明の肉芽形成促進組成物に含まれるプレバイオティクスをプロバイオティクスと一緒に投与することにより、細菌の栄養源となりその増殖を助長する。また、細菌がプレバイオティクスを発酵することにより、乳酸や酢酸といった短鎖脂肪酸が産生される。短鎖脂肪酸は大腸上皮細胞から吸収され、上皮細胞の増殖や粘液の分泌、水やミネラルの吸収に寄与する。これにより、腸内環境がさらに改善され、結果として肉芽形成がさらに促進される。さらに、プレバイオティクスは、腸内に既に存在するビフィズス菌の増殖をも助けるため、ヘモグロビンの合成も促進される。プレバイオティクスとしては、短鎖脂肪酸の産生量の観点から水溶性食物繊維が好ましく、グアーガム分解物が特に好ましい。
本発明の肉芽形成促進組成物は、乳酸菌と、酪酸菌と、糖化菌の3種類の細菌を含んでもよい。3種類の細菌を共生させると、それぞれの細菌の増殖性が向上するため、高い腸内環境改善効果、並びに肉芽形成促進効果が得られるからである。なお、本明細書において、「腸内環境の改善」とは主に、小腸の絨毛や、大腸の腸管粘膜の萎縮が抑制されることや、腸内細菌叢が是正されることをいう。また、一般的に「創傷」とは、外的、内的要因によって起こる体表組織の物理的損傷を指すが、本明細書における「創傷」とは、切創、割創といった開放性損傷の他、擦過傷や挫傷といった非開放性の損傷、または褥瘡(例えば、「床ずれ」)の少なくとも何れか1つを含む皮膚組織の損傷をいうものとする。また、本明細書における「肉芽」とは新生血管、炎症性細胞、線維芽細胞とそれが産生する膠原線維などの基質から構成され、組織傷害に対する修復・炎症反応によって、周囲健常部から組織欠損部に増殖・補充された結合組織をいう。
創傷の治癒過程は、好中球やマクロファージといった免疫細胞による貪食処理が行われる「炎症期」、線維芽細胞が肉芽を増殖させる「増殖期」、上皮細胞が上皮を形成する「成熟期」の3段階よりなる。創傷は受傷後24時間以内に好中球が創部へ集積し、マクロファージや線維芽細胞、毛細血管の増殖を促すサイトカインが放出される。小腸には腸管関連リンパ組織(gut-associated lymphoid tissue;GALT)と呼ばれる生体内で最大級の免疫組織が存在するため、腸内環境の改善により免疫細胞が賦活化され、線維芽細胞、毛細血管が増殖し、肉芽形成が促進されうる。さらに、腸内環境が改善されると肉芽形成に必要な各栄養素の吸収が良好に行われるため、結果として肉芽形成が促進されるものと推察される。
肉芽組織は、創傷治癒以外に生体の外部から移入された、あるいは生体内で形成された異物を処理する機転の反応として生ずる。肉芽組織が異物を取り囲むように発生することを被包、異物に置き換わることを器質化という。被包は、吸収処理できない異物に対して肉芽組織がその表面を覆い、膠原線維で完全に周囲と隔離する。器質化は、血栓(異物)の周囲から肉芽組織が増殖し吸収処理して膠原線維に置き換える。但し、側副循環が可能な血管が対象となる。プレバイオティクスは、これらの被包や器質化を助長する可能性がある。
本発明の肉芽形成促進組成物に使用される乳酸菌は特に制限されず、例えば、エンテロコッカス属、ビフィドバクテリウム属、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、ラクトコッカス属に属するものが挙げられる。このうち、エンテロコッカス属に属する乳酸菌を用いることが好ましく、エンテロコッカス・フェカリスを用いるのがより好ましい。さらに、エンテロコッカス・フェカリス T−110株を用いるのが特に好ましい。エンテロコッカス・フェカリス T−110株は、胃酸、胆汁酸に対して抵抗性があり、小腸下部から大腸にかけて活発に増殖し、乳酸を産生することで腸管内のpHを酸性に傾け有害菌の発育を抑制するためである。また、酪酸菌の増殖を促す働きもある。
本発明の肉芽形成促進組成物に使用される酪酸菌とはクロストリジウム属に属する細菌をいう。このうち、クロストリジウム・バチリカムを用いるのが好ましく、クロストリジウム・バチリカム TO−A株を用いるのが特に好ましい。クロストリジウム・バチリカム TO−A株は、芽胞を形成して、熱・酸・アルカリに対しての抵抗性があり、大腸で増殖し、酪酸、酢酸などの短鎖脂肪酸を産生することでpHを酸性に傾け、有害菌の発育を抑制するためである。これらの短鎖脂肪酸は腸管粘膜の栄養素となり、腸内環境を改善する。
本発明の肉芽形成促進組成物に使用される糖化菌とはバチルス属に属する細菌をいう。このうち、バチルス・メセンテリカスを用いるのが好ましく、バチルス・メセンテリカス TO−A株を用いるのが特に好ましい。バチルス・メセンテリカス TO−A株は、既に腸内に生息するビフィズス菌の助長作用および分裂促進作用を有するためである。すなわち、バチルス・メセンテリカス TO−A株を投与すると腸内に元から存在するビフィズス菌が増殖し、腸内環境改善効果がもたらされる。また、バチルス・メセンテリカス TO−A株により増殖したビフィズス菌は、ビタミンB12および葉酸を産生する。産生されたビタミンB12および葉酸は、血中のヘモグロビンを合成する。ヘモグロビンが増加すると血中の酸素を多く運搬できるようになるが、酸素は免疫細胞や繊維芽細胞の働きを活発にするため、肉芽形成がさらに促進される。
本発明の肉芽形成促進組成物は、経腸投与もしくは経口投与によって投与されることが好ましい。本発明の肉芽形成促進組成物は公知の方法によって製剤化することができ、剤形としては、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、散剤、坐剤などが挙げられる。投与量および投与回数は、投与方法、治療期間、年齢、性別、体重等により適宜設定することができる。本発明の肉芽形成促進組成物の投与時期は、創傷が形成された後、もしくは、創傷が形成される前に予防的に投与することができる。
以下、本発明の肉芽形成促進組成物を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[肉芽形成促進組成物]
<プレバイオティクス>
肉芽形成促進組成物としてのプレバイオティクスとして、グアーガム分解物(PHGG)(以下「プレバイオティクス」と称する)を用いた。なお、当該PHGGは太陽化学株式会社のサンファイバーとして入手可能である。
<プロバイオティクス>
また、プレバイオティクスとして、エンテロコッカス・フェカリス T−110株を1×10個/1g、クロストリジウム・バチリカム TO−A株を1×10個/1g、バチルス・メセンテリカス TO−A株を1×10個/1gを含む生菌剤(以下「プロバイオティクス」と称する)を用いた。なお、当該生菌剤は東亜薬品工業株式会社のビオスリーH、もしくはビオスリーHi錠として入手可能である。
<シンバイオティクス>
また、シンバイオティクスとして、前記プレバイオティクスに前記プロバイオティクスを混和したものを用いた(以下「シンバイオティクス」と称する)。
<経腸栄養剤>
経腸栄養剤としてエンシュアH(アボットジャパン(株))を用いた。
[投与対象]
投与対象として、5週齢のWistar系雄性ラット(日本チャールズ・リバー(株))を用いた。ラットは事前に1週間の馴化飼育を行った。馴化飼育期間の飼料(固形飼料MF、オリエンタル酵母工業(株))および水は自由摂取とした。室温22±2℃、相対湿度55±5%、照明時間12時間に設定した動物飼育室で個別飼育した。
[群分け]
前記投与対象は以下のように4群に群分けした。
サンファイバー群(エンシュアH+サンファイバー)
ビオスリー群(エンシュアH+ビオスリー)
シンバイオティクス群(エンシュアH+シンバイオティクス)
エンシュアH群(エンシュアHのみ)
なお、各群の体重の平均値および分散が等しくなるよう各群5匹ずつに振り分けた。
[投与量]
投与量は以下の通りとした。
エンシュアH(アボットジャパン) 45ml/日(70Kcal)
ビオスリー 0.1g/日
サンファイバー 0.7g/日
[投与方法]
すべてのラットに、1日摂取カロリー70Kcalに相当する経腸栄養のエンシュアH(アボットジャパン(株))45ml/日を投与した。摂取カロリーは、予備実験で1日摂取量を測定し決定した。投与方法は、エンシュアHを小動物用給水器(ウォーターボトルフラット70、(株)マルカン)に入れ、ケージに設置して自由摂取とし24時間で全量摂取できる状態とした。水は飼育室に設置されている給水器から自由摂取とした。エンシュアH群は、蒸留水を2ml、その他の群は、それぞれ蒸留水2mlにビオスリー、サンファイバーを混和して、経口ゾンデKN−349B、(株)夏目製作所)を用いて投与した。シンバイオティクスは臨床では1日1〜3回の投与であることから、1日2回(1回投与量1ml,投与間隔8時間)麻酔下で強制経口投与した。
[創傷モデルの作成]
ラットの背部を選択し、皮膚の状態が観察できるよう電気バリカン(DC−6、清水電気工業(株))で剃毛した後、除毛剤(エピラット、Kracie(株))を用いて除毛し、投与開始14日目に、麻酔下で直径8mmの生検トレパン(BIOPSYPUNCH、カイインダストリーズ(株))を用いて背部に皮筋層を含む皮下全層欠損創傷を左右対称に2ヶ所作製し、創作製日を0日目とした。
[創面の処置]
創作製後より、1日1回以下の処置を行った。創面に、創傷被覆材(ハイドロサイトADジェントル、スミス&ネフュー(株))を貼付後、自己剥離防止のため粘着包帯(キノプレス、日東メディカル(株))を体幹に1周巻いて固定した。
[評 価]
上記方法による4つの投与群につて、以下の項目を評価した。
尚、投与15日目にシンバイオティクス投与群1匹が蒸留水の気管への誤投与で死亡したため、シンバイオティクス投与群は4匹で評価した。
<体重>
経腸栄養開始日より毎日測定した。創作製後は、創傷被覆材および粘着包帯を除去して測定した。
<創面積>
創傷作製日を0日目とし、1日1回創面積を測定した。0日目の創面積に対する創面積比(%)を算出した。
創面積比(%)=[(測定日の創面積)/(創作製日の創面積)]×100
<血液生化学検査>
深麻酔下で腹部大動脈より採血を行い、生化学検査(総蛋白、アルブミン)、血球検査(赤血球、ヘモグロビン、白血球、好中球、単球)の項目を比較した。
<糞便検査>
創作製前日に各群3匹のラットについて、腸内細菌叢のT−RFLP フローラ解析および糞便中有機酸分析を行った。
<組織学的所見>
採血後に、創部を摘出した。摘出した組織は10%中性緩衝ホルマリン液(和光純薬)で固定し、エタノール(60〜100%)にて脱水、キシレンにて置換後パラフィンに包埋した。パラフィンブロックよりミクロトームを用いて3μmの薄切片を作製後、マッソン・トリクローム(MT)染色を施した。光学顕微鏡を用いて受傷直後から上皮化までの治癒過程において、出血の状態、肉芽・上皮形成の肉眼的変化を観察した。組織標本は、実施者以外に第3者によって実験条件が分からない状態で検鏡し客観的に評価した。
[結 果]
以下に評価結果を示す。尚、投与15日目にシンバイオティクス投与群1匹が蒸留水の気管への誤投与で死亡したため、シンバイオティクス投与群は4匹で評価した。
<体重>
図1に示すように、シンバイオティクス群が最も多く、ビオスリー群が最も少なかった。投与10日目にシンバイオティクス群とビオスリー群で有意差を認め、投与19日目(創作成5日目)にシンバイオティクス群とエンシュアH群で有意差を認めた。また、エンシュアH群のみ創作成後の体重減少の持続を認めた。その他の群は創作製4日目より増加を認め、創作製5日目には、ビオスリー群はエンシュアH群より多くなり、エンシュアH群が最も少なくなった。
<創面積比>
図2に示すように、創面積比は、創作製1日目からシンバイオティクス投与群が最も縮小して推移した。創作製3日目には、シンバイオティクス群とビオスリー群で有意差を認めた。
<血液検査>
図3(a)に示すように、総蛋白はシンバイオティクス群とエンシュアH群で有意差を認め、シンバイオティクス群が最も高かった。図3(b)に示すように、アルブミンはシンバイオティクス群とビオスリー群およびエンシュアH群で有意差を認め、シンバイオティクス群が最も高かった。図3(c)に示すように、ヘモグロビンは有意差を認めなかったが、シンバイオティクス群とサンファイバー群、およびビオスリー群とエンシュアH群がほぼ同等であった。図3(d)に示すように、好中球は有意差を認めなかったが、シンバイオティクス群のみ高い傾向にあった。
<糞便検査>
(1)T−RFLP フローラ解析
図4に示すように、創作製前日のBifidobacterium、LactobacillaleおよびBacteroidesはシンバイオティクス群とサンファイバー群が多い傾向にあり、BifidobacteriumはエンシュアH群が最も少なかった。また、Otersはビオスリー群とエンシュアH群が多い傾向にあった。
図5に示すように、創作製5日目も同様の傾向であった。
(2)糞便中有機酸分析
図6に示すように、創作製前日は、シンバイオティクス群とサンファイバー群が乳酸と酢酸で高い傾向にあった。創作製5日目は、シンバイオティクス群とサンファイバー群がすべての項目で高い傾向にあった。
<組織学的所見>
図7に示すように、創部肉芽組織では、シンバイオティクス群とサンファイバー群は、ビオスリー群とエンシュアH群と比較し新生した毛細血管は豊富で創部表層まで到達していた。シンバイオティクス群とサンファーバー群はビオスリー群またはエンシュアH群と比較し、新生した毛細血管周囲に豊富に認められ、肉芽組織内の膠原線維は太い線維束として観察された。ビオスリー群とエンシュアH群の比較では、ビオスリー群の方が太い線維束として観察された。
創傷治癒はシンバイオティクス群が最も早く縮小し、シンバイオティクスの投与が創傷治癒促進効果があることが示された。シンバイオティクス群は、体重、総蛋白、アルブミンが最も多いことから、栄養状態が最もよいことが示された。
シンバイオティクス群は、有用菌(Bifidobacterium、Lactobacillale)と短鎖脂肪酸が最も多いことから、サンファイバーとビオスリーの単独投与に比べ、腸内環境が整えられることが示された。
好中球はシンバイオティクス群のみ高いことから、シンバイオティクスの投与による好中球増加と創傷治癒促進の関与がある可能性が示唆された。
サンファイバー群とビオスリー群との比較では、創面積はサンファイバー群の方が良好であった。また、T−RFLP フローラ解析では、サンファイバー群の方がビオスリー群より有用菌の割合が多く、短鎖脂肪酸量は創作製5日目ではサンファイバー群はシンバイオティクス群とほぼ同等であることに対し、ビオスリー群は少なかった。よって、生菌剤の単独より食物繊維の方が腸内環境を整えられることが示された。エンシュアH群は、サンファイバー群およびビオスリー群と比較して、有用菌の割合は少ないが、短鎖脂肪酸はエンシュアH群とビオスリー群はほぼ同等であった。これらの結果より、腸内環境を整えるためには生菌剤のみの投与より、食物繊維の投与が重要であることが示唆された。
創部の組織学的所見では、シンバイオティクス群は毛細新生血管が最も豊富で、膠原線維の割合も多かった。その他の3群の比較では、毛細新生血管の形成がサンファイバー群、ビオスリー群、エンシュアH群の順に多かった。また、シンバイオティクス群及びサンファイバー群は膠原線維が上層まで形成されていた。ビオスリー群とエンシュアH群との比較では、ビオスリー群の方が膠原線維の割合が多かった。
腸内環境が良好である程肉芽の質が良好であることから、腸内環境と肉芽形成の関連性が示唆された。
以上の通り、プロバイオティクスとプレバイオティクスの比較ではプレバイオティクスの方が腸内環境は良好であった。また、創部の組織学的所見でも、プレバイオティクスの方が膠原繊維の密度が高く、肉芽の質が良好であることが示された。
尚、プロバイオティクスとエンシュアH群の比較では、プロバイオティクスの方が肉芽の質が良好であることから、プロバイオティクスの投与により肉芽形成促進効果が期待できることが示唆された。
ただし、プレバイオティクスの方がプロバイオティクスより肉芽の質が良好であり、シンバイオティクスが最も良好であることから、プロバイオティクスの単独投与より、プレバイオティクスの単独投与、更にはプロバイオティクスとプレバイオティクスの併用が重要であることが示された。
このように、腸内環境と肉芽形成には関連があり、肉芽形成促進のためにはプレバイオティクスが効果的であり、また、プロバイオティクスとプレバイオティクスを併用したシンバイティクスの投与が効果的である。

Claims (6)

  1. プレバイオティクスを含むことを特徴とする肉芽形成促進組成物。
  2. 前記プレバイオティクスが食物繊維であることを特徴とする請求項1に記載の肉芽形成促進組成物。
  3. 前記食物繊維が水溶性食物繊維であることを特徴とする請求項2に記載の肉芽形成促進組成物。
  4. 前記水溶性食物繊維がグアーガム分解物であることを特徴とする請求項3に記載の肉芽形成促進組成物。
  5. プロバイオティクスとしての乳酸菌と、酪酸菌と、糖化菌とを含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の肉芽形成促進組成物。
  6. 経腸投与もしくは経口投与によって投与されるものであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の肉芽形成促進組成物。
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