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JP2018161889A - ポリビニルアセタール樹脂層と金属箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルム、および前記フィルムを有する合わせガラス - Google Patents

ポリビニルアセタール樹脂層と金属箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルム、および前記フィルムを有する合わせガラス Download PDF

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JP2018161889A JP2018060882A JP2018060882A JP2018161889A JP 2018161889 A JP2018161889 A JP 2018161889A JP 2018060882 A JP2018060882 A JP 2018060882A JP 2018060882 A JP2018060882 A JP 2018060882A JP 2018161889 A JP2018161889 A JP 2018161889A
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JP2018060882A
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磯上 宏一郎
Koichiro Isokami
宏一郎 磯上
淳 小石川
Atsushi Koishikawa
淳 小石川
ケラー ウーヴェ
Uwe Keller
ケラー ウーヴェ
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

【課題】導電性構造体を付与する際の生産効率が高く、導電性構造体を接着するための接着剤に由来するヘイズが生じない、導電性構造体を有するポリビニルアセタール樹脂フィルムを提供すること。【解決手段】ポリビニルアセタール樹脂層と、ポリビニルアセタール樹脂層の表面または内部に配置された、金属箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルムであって、ポリビニルアセタール樹脂層中の可塑剤の量がポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物の総質量に基づいて0〜20質量%であり、ポリビニルアセタール樹脂フィルムがポリビニルアセタール樹脂層と導電性構造体との間に接着剤層を有さない、ポリビニルアセタール樹脂フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリビニルアセタール樹脂層と金属箔に基づく導電性構造体とを有する、ポリビニルアセタール樹脂フィルムに関する。また、本発明は、複数の透明基材の間に前記ポリビニルアセタール樹脂フィルムを有する合わせガラスに関する。
建物または乗物におけるガラスの着氷や曇りを除去する方法として、ガラスに熱風を当てる方法が知られている。しかし、この方法には、十分な前方視認性を得るのに時間がかかる等の問題がある。また、フロントガラス等のガラスに取り付けたカメラやセンサーの誤作動を防ぐため、カメラやセンサーの周りを加熱し、着氷や曇りを除去することが必要とされている。しかし、この除去に燃料の燃焼熱を利用できない電気自動車においては、電気で空気を加熱し、ガラスに熱風を当てる方法では効率が悪く、航続距離の低下に直結するといった問題がある。
そこで、ガラスに電熱線を設置し、通電させることで、着氷や曇りを除去する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、機能層の上下に上側接着層および下側接着層を被せ、これらの上側・下側接着層の上下に上側ガラス板および下側ガラス板を被せ、前記下側接着層と前記下側ガラス板との間に電熱線を介在させてなる電熱線入り合わせガラスが記載されており、具体的には、電熱線としてタングステン線を使用した例が記載されている。
また、例えば、特許文献2には、透明基材、前記透明基材の少なくとも一面に備えられた接着剤層、前記接着剤層上に備えられた導電性発熱線、前記導電性発熱線および前記発熱線によって覆われていない接着剤層の上面をカプセル化するコーティング膜、前記導電性発熱線と電気的に連結したバスバー、および前記バスバーと連結した電源部を含む、発熱体が記載されており、具体的には、透明基材としてPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを使用した例が記載されている。
また、例えば、特許文献3には、2枚の透明なプレートと、少なくとも1枚のシートAおよび少なくとも1枚のシートBとを接着して、導電性構造体とを有する合わせガラス積層体を製造する方法であって、シートAはポリビニルアセタールPAと可塑剤WAとを含有し、シートBはポリビニルアセタールPBと可塑剤WBとを含有する方法が記載されており、ポリビニルアセタールシート上に導電性構造体を形成する方法としては、印刷法(スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷)、蒸着、スパッタリングおよび電気蒸着という一般的な手法が挙げられている。同文献には、具体的な実施例は記載されていない。
特開2013−056811号公報 特表2013−516043号公報 US 2016/288459 A1
しかし、特許文献1に記載されているような、ガラス板の間に多数のタングステン線を並べ、機能層と一体化させる工程は複雑で、生産性に劣る。さらに、太いタングステン線を用いるため、前方視認性に問題が残る。
特許文献2に記載されているような、PETフィルムを用いた接合ガラスでは、2枚の中間膜を必要とすること、そのため発熱体が接合ガラスの中央付近に位置することになりガラスの加熱効率が低下すること、PETフィルムが曲面追従性に劣るため高曲率のフロントガラスには適用できないこと、PETフィルムが伸縮性に劣るため衝突時の頭部衝撃指数が高くなってしまうこと、銅箔をPETフィルムに接着するための接着剤に由来する高いヘイズが生じてしまうことといった問題がある。
また、特許文献3に記載されているような、ポリビニルアセタールシート上に導電性構造体を印刷法により形成する方法では、前方視認性に優れた細い均一な金属線を形成することは困難である。さらに、ポリビニルアセタールシート上に導電性構造体を蒸着またはスパッタリングにより形成する方法では、必要な発熱量を得るための厚い金属層を形成させるのにエネルギーおよび時間を要し、生産効率の低下を招くといった問題があり、薄い金属層で必要な発熱量を確保するために金属層における金属線幅を広くすると、前方視認性が低下するといった問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、導電性構造体を付与する際の生産効率が高く、導電性構造体を接着するための接着剤に由来するヘイズが生じない、導電性構造体を有するポリビニルアセタール樹脂フィルムを提供することである。また、本発明の別の課題は、上記フィルムの製造方法および上記フィルムを含む積層体を提供することである。さらに、本発明の別の課題は、上記積層体からなる建物または乗物におけるガラス、例えば自動車フロントガラスに使用できる光学的に優れた、導電性構造体を有する合わせガラスを提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために、導電性構造体を有するポリビニルアセタール樹脂フィルムについて詳細に検討を重ね、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕ポリビニルアセタール樹脂層と、ポリビニルアセタール樹脂層の表面または内部に配置された、金属箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルムであって、ポリビニルアセタール樹脂層中の可塑剤の量がポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物の総質量に基づいて0〜20質量%であり、ポリビニルアセタール樹脂フィルムがポリビニルアセタール樹脂層と導電性構造体との間に接着剤層を有さない、ポリビニルアセタール樹脂フィルム。
〔2〕前記ポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂の、ブルックフィールド型(B型)粘度計を用いて20℃、30rpmで測定された、濃度10質量%のトルエン/エタノール=1/1(質量比)溶液の粘度が200mPa・s以上である、前記〔1〕に記載のポリビニルアセタール樹脂フィルム。
〔3〕前記ポリビニルアセタール樹脂フィルムの厚さが10〜350μmである、前記〔1〕または〔2〕に記載のポリビニルアセタール樹脂フィルム。
〔4〕前記導電性構造体の厚さが1〜30μmである、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のポリビニルアセタール樹脂フィルム。
〔5〕前記導電性構造体が銅または銀で構成されている、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のポリビニルアセタール樹脂フィルム。
〔6〕前記導電性構造体が線状、格子状または網状の形状を有する、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のポリビニルアセタール樹脂フィルム。
〔7〕前記した線状、格子状または網状の形状を構成する導電性構造体の線幅が1〜30μmである、前記〔6〕に記載のポリビニルアセタール樹脂フィルム。
〔8〕前記導電性構造体の片面または両面が低反射率処理されている、前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のポリビニルアセタール樹脂フィルム。
〔9〕前記低反射率処理が黒化処理である、前記〔8〕に記載のポリビニルアセタール樹脂フィルム。
〔10〕金属箔とポリビニルアセタール樹脂層とを接合させる工程、および前記工程で得られた金属箔付ポリビニルアセタール樹脂層から導電性構造体を形成する工程を含む、前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法。
〔11〕複数の透明基材の間に、前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のポリビニルアセタール樹脂フィルムを有する、積層体。
〔12〕複数の透明基材の間に、前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のポリビニルアセタール樹脂フィルム、および可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を有する、積層体。
〔13〕前記透明基材がガラスである、前記〔11〕または〔12〕に記載の積層体。
〔14〕前記ポリビニルアセタール樹脂フィルムを構成する樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂の水酸基量と、前記可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂の水酸基量との差が4質量%以下である、前記〔12〕に記載の積層体。
〔15〕前記〔11〕〜〔14〕のいずれかに記載の積層体からなる乗物用ガラス。
本発明により、導電性構造体を付与する際の生産効率が高く、導電性構造体を接着するための接着剤に由来するヘイズが生じない、導電性構造体を有するポリビニルアセタール樹脂フィルムを得ることができる。また、上記フィルムの製造方法が提供され、上記フィルムを含む積層体、並びに上記積層体からなる建物または乗物におけるガラスに使用できる光学的に優れた、導電性構造体を有する合わせガラスを得ることができる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂フィルムは、ポリビニルアセタール樹脂層と、ポリビニルアセタール樹脂層の表面または内部に配置された、金属箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルムであって、ポリビニルアセタール樹脂層中の可塑剤の量がポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物の総質量に基づいて0〜20質量%であり、ポリビニルアセタール樹脂フィルムがポリビニルアセタール樹脂層と導電性構造体との間に接着剤層を有さない、ポリビニルアセタール樹脂フィルムである。
本発明のポリビニルアセタール樹脂フィルムの厚さは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上である。ポリビニルアセタール樹脂フィルムの厚さが前記値以上であると、ポリビニルアセタール樹脂フィルムの収縮または変形に起因して導電性構造体に歪等が生じる問題が起こりにくい。また、本発明のポリビニルアセタール樹脂フィルムの厚さは、好ましくは350μm以下、より好ましくは330μm以下、より好ましくは295μm以下、より好ましくは270μm以下、さらに好ましくは250μm以下、特に好ましくは150μm以下、最も好ましくは100μm未満である。ポリビニルアセタール樹脂フィルムの厚さが前記値以下であると、積層される可塑化ポリビニルアセタール樹脂層からポリビニルアセタール樹脂フィルムへの可塑剤移行量が少なくなり、可塑化ポリビニルアセタール樹脂層中の可塑剤量の低下が抑制されるため、ポリビニルアセタール樹脂フィルムを用いた乗物用ガラスを搭載した乗物の衝突時における頭部衝撃が大きくなる等の問題が起こりにくい。ポリビニルアセタール樹脂フィルムの厚さは、厚み計またはレーザー顕微鏡等を用いて測定される。
<ポリビニルアセタール樹脂層を構成するために使用される樹脂>
本発明のポリビニルアセタール樹脂フィルムは、ポリビニルアセタール樹脂層を有する。
ポリビニルアセタール樹脂層は、ポリビニルアルコールまたはエチレンビニルアルコールコポリマー等のポリビニルアルコール系樹脂のアセタール化によって製造されるポリビニルアセタール樹脂を含む。
ポリビニルアセタール樹脂層は、1つのポリビニルアセタール樹脂を含むか、或いは粘度平均重合度、アセタール化度、アセチル基量、水酸基量、エチレン含有量、アセタール化に用いられるアルデヒドの分子量、および鎖長のうちいずれか1つ以上がそれぞれ異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含んでよい。ポリビニルアセタール樹脂層が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含む場合、溶融成形の容易性の観点、並びに合わせガラス作製時の導電性構造体の変形、および合わせガラス使用時のガラスのずれ等を防ぐ観点から、ポリビニルアセタール樹脂は、粘度平均重合度の異なる少なくとも2つのポリビニルアセタール樹脂の混合物であるか、または粘度平均重合度の異なる少なくとも2つのポリビニルアルコール系樹脂の混合物のアセタール化物であることが好ましい。
本発明に用いられるポリビニルアセタール樹脂は、例えば次のような方法によって製造できるが、これに限定されない。まず、濃度3〜30質量%のポリビニルアルコールまたはエチレンビニルアルコールコポリマーの水溶液を、80〜100℃の温度範囲で保持した後、10〜60分かけて徐々に冷却する。温度が−10〜30℃まで低下したところで、アルデヒドおよび酸触媒を添加し、温度を一定に保ちながら、30〜300分間アセタール化反応を行う。次に、反応液を30〜200分かけて20〜80℃の温度まで昇温し、30〜300分保持する。その後、反応液を、必要に応じて濾過した後、アルカリ等の中和剤を添加して中和し、樹脂を濾過、水洗および乾燥することにより、本発明で用いるポリビニルアセタール樹脂が製造される。
アセタール化反応に用いる酸触媒は特に限定されず、有機酸および無機酸のいずれも使用できる。そのような酸触媒の例として、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸および塩酸等が挙げられる。これらの中でも、酸の強度および洗浄時の除去のしやすさの観点から、塩酸、硫酸および硝酸が好ましく用いられる。
好適な破断エネルギーを有するポリビニルアセタール樹脂が得られやすい観点から、ポリビニルアセタール樹脂の製造に使用されるアルデヒドまたはケト化合物は、2〜10個の炭素原子を有する直鎖状、分岐状または環状化合物であることが好ましく、直鎖状または分岐状化合物であることがより好ましい。これにより、相応の直鎖状または分岐状のアセタール基がもたらされる。また、本発明において使用されるポリビニルアセタール樹脂は、複数のアルデヒドまたはケト化合物の混合物により、ポリビニルアルコールまたはエチレンビニルアルコールコポリマーをアセタール化して得られるアセタール化物であってもよい。
本発明において使用されるポリビニルアセタール樹脂は、少なくとも1つのポリビニルアルコールと、2〜10個の炭素原子を有する1つ以上の脂肪族非分岐のアルデヒドとの反応により生じるものであることが好ましい。そのようなアルデヒドとしては、好適な破断エネルギーを有するポリビニルアセタール樹脂が得られやすい観点から、n−ブチルアルデヒドが好ましい。アセタール化に使用するアルデヒドにおけるn−ブチルアルデヒドの含有量は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、99質量%以上が特に好ましく、100質量%であってもよい。
ポリビニルアセタール樹脂を製造するために使用されるポリビニルアルコール系樹脂は、単独であるか、または粘度平均重合度若しくは加水分解度等が異なるポリビニルアルコール系樹脂の混合物であってよい。
ポリビニルアセタール樹脂の原料となるポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度は、100以上であることが好ましく、300以上であることがより好ましく、400以上であることがより好ましく、600以上であることがさらに好ましく、700以上であること特に好ましく、750以上であることが最も好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度が上記下限値以上であると、合わせガラスの作製時に導電性構造体の変形および断線が抑制されやすく、得られる合わせガラスにおいて熱によりガラスがずれる現象が防止されやすい。また、ポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度は、5000以下であることが好ましく、3000以下であることがより好ましく、2500以下であることがさらに好ましく、2300以下であることが特に好ましく、2000以下であることが最も好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度が上記上限値以下であると良好な製膜性が得られやすい。ポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度は、例えば、JIS K 6726「ポリビニルアルコール試験方法」に基づいて測定できる。
ポリビニルアセタール樹脂の好ましい粘度平均重合度の数値は、上記したポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度の数値と同一である。ポリビニルアセタール樹脂層が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含む場合、少なくとも1つのポリビニルアセタール樹脂の粘度平均重合度が、前記下限値以上かつ前記上限値以下であることが好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂層を構成するために使用されるポリビニルアセタール樹脂中のアセチル基量は、ポリビニルアセタール樹脂の製造原料であるポリビニルアルコール樹脂中の主鎖の炭素2個からなる単位(例えば、ビニルアルコール単位、酢酸ビニル単位、エチレン単位など)を一繰返し単位とし、その一繰返し単位を基準として、酢酸ビニル単位が、好ましくは0.1〜20モル%、より好ましくは0.5〜3モル%または5〜8モル%である。原料のポリビニルアルコール系樹脂のケン化度を適宜調整することにより、アセチル基量は前記範囲内に調整できる。アセチル基量(以下、酢酸ビニル単位の量を意味する)は、ポリビニルアセタール樹脂の極性に影響を及ぼし、それによって、ポリビニルアセタール樹脂層の可塑剤相溶性および機械的強度が変化し得る。ポリビニルアセタール樹脂層が、アセチル基量が前記範囲内であるポリビニルアセタール樹脂を含むと、場合により積層する可塑化ポリビニルアセタール樹脂層との良好な接着性および光学歪の低減等が達成されやすい。ポリビニルアセタール樹脂層が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含む場合、少なくとも1つのポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量が、上記範囲内であることが好ましい。
本発明で使用するポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は特に限定されない。アセタール化度は、ポリビニルアセタール樹脂の製造原料であるポリビニルアルコール樹脂中の主鎖の炭素2個からなる単位(例えば、ビニルアルコール単位、酢酸ビニル単位、エチレン単位など)を一繰返し単位とし、その一繰返し単位を基準として、アセタールを形成する上記単位の量である。アセタール化度は、40〜86モル%であることが好ましく、45〜84モル%であることがより好ましく、50〜82モル%であることがより好ましく、60〜82モル%であることがさらに好ましく、68〜82モル%であることが特に好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂をアセタール化する際のアルデヒドの使用量を適宜調整することにより、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は前記範囲内に調整できる。アセタール化度が前記範囲内であると、本発明のポリビニルアセタール樹脂フィルムの力学的強度が十分なものになりやすく、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が低下しにくい。ポリビニルアセタール樹脂層が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含む場合、少なくとも1つのポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度が、上記範囲内であることが好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、ポリビニルアセタール樹脂のビニルアルコール単位の質量として、好ましくは6〜26質量%、より好ましくは12〜24質量%、より好ましくは15〜22質量%、特に好ましくは18〜21質量%である。水酸基量が前記範囲内であると、積層する可塑化ポリビニルアセタール樹脂層との屈折率差が小さくなり、光学むらの少ない合わせガラスが得られやすい。一方で、さらに遮音性能を合わせて付与するために好ましい範囲は6〜20質量%、より好ましくは8〜18質量%、さらに好ましくは10〜15質量%、特に好ましくは11〜13質量%である。ポリビニルアルコール系樹脂をアセタール化する際のアルデヒドの使用量を調整することにより、水酸基量(以下、ビニルアルコール単位の量を意味する)は前記範囲内に調整できる。ポリビニルアセタール樹脂層が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含む場合、少なくとも1つのポリビニルアセタール樹脂の水酸基量が、上記範囲内であることが好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂は、通常、アセタール基単位、水酸基単位およびアセチル基単位から構成されており、これらの各単位量は、例えば、JIS K 6728「ポリビニルブチラール試験方法」または核磁気共鳴法(NMR)によって測定できる。
ポリビニルアセタール樹脂が、アセタール基単位以外の単位を含む場合は、水酸基の単位量とアセチル基の単位量とを測定し、これらの両単位量をアセタール基単位以外の単位を含まない場合のアセタール基単位量から差し引くことで、残りのアセタール基単位量を算出できる。
前記ポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂の、ブルックフィールド型(B型)粘度計を用いて20℃、30rpmで測定された、濃度10質量%のトルエン/エタノール=1/1(質量比)溶液の粘度は、好ましくは200mPa・s以上、より好ましくは240mPa・s以上、特に好ましくは265mPa・s以上である。粘度平均重合度の高いポリビニルアルコール系樹脂を原料または原料の一部として用いて製造したポリビニルアセタール樹脂を使用または併用することにより、ポリビニルアセタール樹脂の前記粘度は前記下限値以上に調整できる。ポリビニルアセタール樹脂層を構成するために使用されるポリビニルアセタール樹脂が複数の樹脂の混合物からなる場合、かかる混合物の前記粘度が前記下限値以上であることが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の前記粘度が前記下限値以上であると、合わせガラスの作製時に導電性構造体の変形および断線が抑制されやすく、得られる合わせガラスにおいて熱によりガラスがずれる現象が防止されやすい。
前記粘度の上限値は、良好な製膜性が得られやすい観点から、通常は1000mPa・s、好ましくは800mPa・s、より好ましくは500mPa・s、さらに好ましくは450mPa・s、特に好ましくは400mPa・sである。
前記ポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂のピークトップ分子量は、好ましくは115,000〜200,000、より好ましくは120,000〜160,000、特に好ましくは130,000〜150,000である。粘度平均重合度の高いポリビニルアルコール系樹脂を原料または原料の一部として用いて製造したポリビニルアセタール樹脂を使用または併用することにより、ポリビニルアセタール樹脂のピークトップ分子量は前記範囲内に調整できる。ポリビニルアセタール樹脂のピークトップ分子量が前記範囲内であると、好適なフィルム製膜性および好適なフィルム物性(例えば、ラミネート適性、耐クリープ性および破断強度)が得られやすい。
前記ポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂の分子量分布、即ち重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは2.7以上、より好ましくは2.8以上、特に好ましくは2.9以上である。粘度平均重合度の異なるポリビニルアルコール系樹脂の混合物をアセタール化したり、粘度平均重合度の異なるポリビニルアルコール系樹脂のアセタール化物を混合したりすることにより、ポリビニルアセタール樹脂の分子量分布は前記下限値以上に調整できる。ポリビニルアセタール樹脂の分子量分布が前記下限値以上であると、製膜性および好適なフィルム物性(例えば、ラミネート適性、耐クリープ性および破断強度)を両立させやすい。分子量分布の上限値は特に限定されない。分子量分布は、製膜しやすさの観点から、通常は10以下、好ましくは5以下である。
ポリビニルアセタール樹脂層が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含む場合、少なくとも1つのポリビニルアセタール樹脂のピークトップ分子量および分子量分布が、上記範囲内であることが好ましい。
ピークトップ分子量および分子量分布は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、分子量既知のポリスチレンを標準として求められる。
ポリビニルアセタール樹脂層は、多成分による層分離構造を有していても良いが、層分離構造は島成分の平均粒径が100nm未満であることが好ましく、80nm未満であることがより好ましく、海島の層分離構造を示さないことが特に好ましい。海島の層分離構造を示さないか、十分に細かい粒径を示すことにより、車のフロントガラスなどにも使用可能な透明性を確保できる。
ポリビニルアセタール樹脂層は、良好な製膜性が得られやすい観点から、未架橋のポリビニルアセタールを含むことが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂層が、架橋されたポリビニルアセタールを含むことも可能である。ポリビニルアセタールを架橋するための方法は、例えば、EP 1527107B1およびWO 2004/063231 A1(カルボキシル基含有ポリビニルアセタールの熱自己架橋)、EP 1606325 A1(ポリアルデヒドにより架橋されたポリビニルアセタール)、およびWO 2003/020776 A1(グリオキシル酸により架橋されたポリビニルアセタール)に記載されている。また、アセタール化反応条件を適宜調整することで、生成する分子間アセタール結合量をコントロールしたり、残存水酸基のブロック化度をコントロールしたりすることも有用な方法である。
<可塑剤>
本発明において、ポリビニルアセタール樹脂層中の可塑剤の量は、ポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物の総質量に基づいて0〜20質量%である。前記可塑剤量が20質量%を超えると、良好な製膜性が得られず、合わせガラスの作製時に導電性構造体の変形および/または断線が生じ、その結果、良好な通電性が得られない。
前記可塑剤量は、好ましくは0〜19質量%、より好ましくは0〜15質量%、さらに好ましくは0〜10質量%、特に好ましくは0〜5質量%である。ポリビニルアセタール樹脂層中の可塑剤の量が前記範囲内であると、製膜性および取扱い性に優れたポリビニルアセタール樹脂フィルムが製造されやすく、ポリビニルアセタール樹脂フィルムを用いた合わせガラスの作製時に導電性構造体の変形および断線が抑制されやすく、その結果、良好な通電性が得られやすい。
ポリビニルアセタール樹脂層中に可塑剤が含まれる場合、可塑剤として、好ましくは、下記群の1つまたは複数の化合物が使用される。
・多価の脂肪族または芳香族酸のエステル。例えば、ジアルキルアジペート(例えば、ジヘキシルアジペート、ジ−2−エチルブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ヘキシルシクロヘキシルアジペート、ジヘプチルアジペート、ジノニルアジペート、ジイソノニルアジペート、ヘプチルノニルアジペート);アジピン酸とアルコール若しくはエーテル化合物を含むアルコールとのエステル(例えば、ジ(ブトキシエチル)アジペート、ジ(ブトキシエトキシエチル)アジペート);ジアルキルセバケート(例えば、ジブチルセバケート);セバシン酸と脂環式若しくはエーテル化合物を含むアルコールとのエステル;フタル酸のエステル(例えば、ブチルベンジルフタレート、ビス−2−ブトキシエチルフタレート);および脂環式多価カルボン酸と脂肪族アルコールとのエステル(例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル)が挙げられる。
・多価の脂肪族若しくは芳香族アルコールまたは1つ以上の脂肪族若しくは芳香族置換基を有するオリゴエーテルグリコールのエステルまたはエーテル。例えば、グリセリン、ジグリコール、トリグリコール、テトラグリコール等と、直鎖状若しくは分岐状の脂肪族若しくは脂環式カルボン酸とのエステルが挙げられる。具体的には、ジエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノエート)(以下において、「3GO」と称することもある)、トリエチレングリコール−ビス−(2−エチルブタノエート)、テトラエチレングリコール−ビス−n−ヘプタノエート、トリエチレングリコール−ビス−n−ヘプタノエート、トリエチレングリコール−ビス−n−ヘキサノエート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、およびジプロピレングリコールジベンゾエートが挙げられる。
・脂肪族または芳香族アルコールのリン酸エステル。例えば、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート(TOF)、トリエチルホスフェート、ジフェニル−2−エチルヘキシルホスフェート、およびトリクレジルホスフェートが挙げられる。
・クエン酸、コハク酸および/またはフマル酸のエステル。
また、多価アルコールと多価カルボン酸とからなるポリエステル若しくはオリゴエステル、これらの末端エステル化物若しくはエーテル化物、ラクトン若しくはヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル若しくはオリゴエステル、またはこれらの末端エステル化物若しくはエーテル化物等を可塑剤として用いてもよい。
ポリビニルアセタール樹脂層中に可塑剤が含まれる場合、積層する可塑化ポリビニルアセタール樹脂層との間で可塑剤が移行することに伴う問題(例えば、経時的な物性変化等の問題)を抑制する観点から、積層する場合の可塑化ポリビニルアセタール樹脂層に含まれるものと同じ可塑剤、または該可塑化ポリビニルアセタール樹脂層の物性(例えば、耐熱性、耐光性、透明性および可塑化効率)を損なわない可塑剤を使用することが好ましい。このような観点から、可塑剤として、トリエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコール−ビス(2−エチルブタノエート)、テトラエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコール−ビスヘプタノエートが含まれることが好ましく、トリエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノエート)が含まれることが特に好ましい。
<添加剤>
さらに、ポリビニルアセタール樹脂層は、別の添加剤を含んでいてよい。そのような添加剤としては、例えば、水、紫外線吸収剤、酸化防止剤、接着調整剤、増白剤若しくは蛍光増白剤、安定剤、色素、加工助剤、耐衝撃性改良剤、流動性改良剤、架橋剤、顔料、発光材料、屈折率調整剤、遮熱材料、有機若しくは無機ナノ粒子、焼成ケイ酸および表面活性剤等が挙げられる。
ある態様では、ポリビニルアセタール樹脂フィルムに含まれる導電性構造体の腐食を抑制するために、ポリビニルアセタール樹脂フィルムが腐食防止剤を含有することが好ましい。そのような場合、腐食防止剤がポリビニルアセタール樹脂層に含有されていることが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂層に含有される腐食防止剤の量は、ポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物の質量に基づいて、好ましくは0.005〜5質量%である。腐食防止剤の例としては、置換された、または置換されていないベンゾトリアゾールが挙げられる。
<ポリビニルアセタール樹脂層の製造方法>
ポリビニルアセタール樹脂層の製造方法は特に限定されない。前記樹脂、場合により所定量の可塑剤、および必要に応じて他の添加剤を配合し、これを均一に混練した後、押出法、カレンダー法、プレス法、キャスティング法、インフレーション法等、公知の製膜方法によりシート(層)を作製し、これをポリビニルアセタール樹脂層とすることができる。
公知の製膜方法の中でも特に押出機を用いてシート(層)を製造する方法が好適に採用される。押出時の樹脂温度は150〜250℃が好ましく、170〜230℃がより好ましい。樹脂温度が高くなりすぎるとポリビニルアセタール樹脂が分解を起こし、揮発性物質の含有量が多くなる。一方で温度が低すぎる場合にも、揮発性物質の含有量は多くなる。揮発性物質を効率的に除去するためには、押出機のベント口から、減圧により揮発性物質を除去することが好ましい。
押出機を用いてポリビニルアセタール樹脂層を製造する場合、後述するように、金属箔上にポリビニルアセタール樹脂層を溶融押出してもよい。
また、押出機を用いてポリビニルアセタール樹脂層を製造する場合、使用するロールに特に制限はないが、より平滑な面を形成するために、弾性ロールと鏡面金属ロールを組み合わせて用いることが好ましく、金属弾性ロールと鏡面金属ロールを組み合わせて用いることがより好ましい。
<導電性構造体>
本発明のポリビニルアセタール樹脂フィルムは、ポリビニルアセタール樹脂層の表面または内部に、金属箔に基づく導電性構造体を有する。
ポリビニルアセタール樹脂層の表面に導電性構造体を有するポリビニルアセタール樹脂フィルムは、例えば、ポリビニルアセタール樹脂層と金属箔とを重ねて熱圧着させるか、または金属箔上にポリビニルアセタール樹脂層を溶融押出し、その後、フォトリソグラフィの手法を用いて導電性構造体を作製することにより製造される。
ポリビニルアセタール樹脂層の内部に導電性構造体を有するポリビニルアセタール樹脂フィルムは、前記のようにして製造された表面に導電性構造体を有するポリビニルアセタール樹脂層の導電性構造体を有する面上に、ポリビニルアセタール樹脂層を重ねて熱圧着させるか、または前記導電性構造体を有する面上にポリビニルアセタール樹脂層を溶融押出することにより製造される。即ち、「ポリビニルアセタール樹脂層の表面または内部に配置された」とは、「ポリビニルアセタール樹脂層の表面に配置されているか、または2層のポリビニルアセタール樹脂層の間に配置されている」ことを意味する。この場合、先に金属箔と接合されたポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物と、後に金属箔と接合されたポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物とは、同じ組成を有していてもよいし、異なる組成を有していてもよい。
本発明のポリビニルアセタール樹脂フィルムは、ポリビニルアセタール樹脂層と導電性構造体との間に接着剤層を有さない。従って、導電性構造体を接着するための接着剤に由来するヘイズが生じず、本発明のポリビニルアセタール樹脂フィルムを用いて作製された合わせガラスは光学特性に優れている。
導電性構造体の厚さは、光の反射低減および必要な発熱量が得られやすい観点から、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜20μm、さらに好ましくは3〜15μm、特に好ましくは3〜12μmである。導電性構造体の厚さは、厚み計またはレーザー顕微鏡等を用いて測定される。
導電性構造体は、エッチングの容易性および金属箔の入手容易性の観点から、好ましくは銅または銀で構成される。即ち、前記金属箔は、好ましくは銅箔または銀箔である。
導電性構造体は、前方視認性および必要な発熱量が得られやすい観点から、好ましくは、線状、格子状または網状の形状を有する。ここで、線状の例としては、直線状、波線状およびジグザグ状等が挙げられる。1つの導電性構造体において、形状は単一であってもよいし、複数の形状が混在していてもよい。
線状、格子状または網状の形状を構成する導電性構造体の線幅は、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜15μm、特に好ましくは3〜12μmである。導電性構造体の線幅が前記範囲内であると、十分な発熱量が確保されやすく、かつ所望の前方視認性が得られやすい。
導電性構造体の片面または両面は、好ましくは低反射率処理されている。
本発明において「低反射率処理されている」とは、JIS R 3106に準じて測定された可視光反射率が30%以下となるよう処理されていることを意味する。より良好な前方視認性の観点からは、可視光反射率が10%以下となるよう処理されていることがより好ましい。可視光反射率が前記上限値以下であると、後述するようにポリビニルアセタール樹脂フィルムと可塑化ポリビニルアセタール樹脂層とを積層して乗物用ガラスを作製した際に、所望の可視光反射率が得られやすい。
低反射率処理の方法としては、例えば、黒化処理(暗色化処理)、褐色化処理およびめっき処理等が挙げられる。工程通過性の観点から、低反射率処理は黒化処理であることが好ましい。従って、良好な前方視認性の観点から、可視光反射率が10%以下となるよう、導電性構造体の片面または両面が黒化処理されていることが特に好ましい。
黒化処理は、具体的には、アルカリ系黒化液等を用いて行われる。
<ポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法>
本発明のポリビニルアセタール樹脂フィルムは、例えば、金属箔とポリビニルアセタール樹脂層とを接合させる工程、および前記工程で得られた金属箔付ポリビニルアセタール樹脂層から導電性構造体を形成する工程を含む方法により製造される。
金属箔とポリビニルアセタール樹脂層とを接合させる工程は、例えば下記方法(I)〜(III)により実施される。
(I)ポリビニルアセタール樹脂層と金属箔とを重ねて熱圧着させる方法、
(II)金属箔上にポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物の溶融物を被覆して接合する方法、例えば、金属箔上に前記樹脂組成物を溶融押出する方法、若しくは金属箔上に前記樹脂組成物をナイフ塗布等により塗布する方法、または
(III)溶媒、若しくはポリビニルアセタール樹脂層に含まれる樹脂および溶媒を含む樹脂組成物の溶液または分散液を、金属箔およびポリビニルアセタール樹脂層の一方若しくは両方に塗布するか、若しくは金属箔とポリビニルアセタール樹脂層との間に注入し、金属箔とポリビニルアセタール樹脂層とを接合させる方法。
上記方法(I)における熱圧着時の接合温度は、ポリビニルアセタール樹脂層に含まれる樹脂の種類に依存するが、通常は70〜170℃、好ましくは90〜160℃、より好ましくは100〜155℃、さらに好ましくは110〜150℃である。接合温度が上記範囲内であると、良好な接合強度が得られやすい。
上記方法(II)における押出時の樹脂温度は、ポリビニルアセタール樹脂層中の揮発性物質の含有量を低下させる観点から、150〜250℃が好ましく、170〜230℃がより好ましく、また、揮発性物質を効率的に除去するためには、押出機のベント口から、減圧により揮発性物質を除去することが好ましい。
上記方法(III)における溶媒としては、ポリビニルアセタール樹脂に通常使用される可塑剤を使用することが好ましい。そのような可塑剤としては、先の<可塑剤>の段落に記載されているものが使用される。
得られた金属箔付ポリビニルアセタール樹脂層から導電性構造体を形成する工程は、公知のフォトリソグラフィの手法を用いて実施される。前記工程は、例えば後の実施例に記載のとおり、金属箔付ポリビニルアセタール樹脂層の金属箔上にドライフィルムレジストをラミネートした後、フォトリソグラフィの手法を用いてエッチング抵抗パターンを形成し、次いで、エッチング抵抗パターンが付与されたポリビニルアセタール樹脂層を銅エッチング液に浸漬して導電性構造体を形成した後、公知の方法により残存するフォトレジスト層を除去することによって実施される。
このような本発明におけるポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法は、所望の形状の導電性構造体を簡便かつ容易に形成できるため、ポリビニルアセタール樹脂層に導電性構造体を付与する際の生産効率は著しく改善される。
<積層体>
本発明はまた、複数の透明基材の間に、前記ポリビニルアセタール樹脂フィルムを有する積層体に関する。
本発明はまた、複数の透明基材の間に、前記ポリビニルアセタール樹脂フィルム、および可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を有する積層体に関する。
前記積層体における導電性構造体の各配線は、バスバーと接続されている。バスバーとしては、当技術分野において通常使用されているバスバーが使用され、その例としては、金属箔テープ、導電性粘着剤付き金属箔テープおよび導電性ペースト等が挙げられる。また、本発明における導電性構造体を形成する際同時に、金属箔の一部をバスバーとして残すことによりバスバーを形成してもよい。バスバーにはそれぞれ給電線が接続され、各給電線が電源に接続されることから、電流が導電性構造体に供給される。
前記透明基材は、透明性、耐候性および力学強度の観点から、好ましくは無機ガラス(以下、単にガラスと称することもある)、またはメタクリル樹脂シート、ポリカーボネート樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、ポリエステル系樹脂シート、若しくはポリシクロオレフィン系樹脂シート等の有機ガラスであり、より好ましくは無機ガラス、メタクリル樹脂シートまたはポリカーボネート樹脂シートであり、特に好ましくは無機ガラスである。無機ガラスとしては特に制限されないが、フロートガラス、強化ガラス、半強化ガラス、化学強化ガラス、グリーンガラスまたは石英ガラス等が挙げられる。
前記積層体において、前記ポリビニルアセタール樹脂フィルムにおける導電性構造体は、透明基材と接していてもよいし、可塑化ポリビニルアセタール樹脂層と接していてもよいし、または後述する別の機能性層と接していてもよい。
透明基材がガラスである場合は、ポリビニルアセタール樹脂フィルムにおける導電性構造体がガラスと直接接していると、バスバーおよび/または導電性構造体の封止が不十分となって水分が侵入してバスバーおよび/または導電性構造体の腐食を招いたり、或いは積層体製造時に空気が残存して気泡残存または剥がれの原因を招いたりする虞があるため、ポリビニルアセタール樹脂フィルムにおける導電性構造体がガラスと直接接しないことが好ましい。
また、特に乗物用ガラス、とりわけ乗物用フロントガラスにおいて、本発明のポリビニルアセタール樹脂フィルムを使用する場合は、前方視認性の観点から、導電性構造体の低反射率処理されている面が乗車人物側にくるよう、ポリビニルアセタール樹脂フィルムを配置することが好ましい。
また、積層体端部から水分が侵入して導電性構造体の腐食を招く虞があるため、導電性構造体は、積層体の端部より1cm以上内側に配置されていることが好ましい。
本発明における積層体は、下記層構成を有することができるが、これらに限定されない。
(1)透明基材A/ポリビニルアセタール樹脂フィルム(ポリビニルアセタール樹脂層/導電性構造体)/透明基材Bの3層構成、
(2)透明基材A/ポリビニルアセタール樹脂フィルム(ポリビニルアセタール樹脂層/導電性構造体)/別の機能性層/透明基材Bの4層構成、
(3)透明基材A/別の機能性層/ポリビニルアセタール樹脂フィルム(ポリビニルアセタール樹脂層/導電性構造体)/透明基材Bの4層構成、
(4)透明基材A/ポリビニルアセタール樹脂フィルム(ポリビニルアセタール樹脂層/導電性構造体)/可塑化ポリビニルアセタール樹脂層/透明基材Bの4層構成、
(5)透明基材A/可塑化ポリビニルアセタール樹脂層/ポリビニルアセタール樹脂フィルム(ポリビニルアセタール樹脂層/導電性構造体)/透明基材Bの4層構成、
(6)透明基材A/可塑化ポリビニルアセタール樹脂層/ポリビニルアセタール樹脂フィルム(ポリビニルアセタール樹脂層/導電性構造体)/可塑化ポリビニルアセタール樹脂層/透明基材Bの5層構成、
(7)透明基材A/別の機能性層/ポリビニルアセタール樹脂フィルム(ポリビニルアセタール樹脂層/導電性構造体)/可塑化ポリビニルアセタール樹脂層/透明基材Bの5層構成、
(8)透明基材A/ポリビニルアセタール樹脂フィルム(ポリビニルアセタール樹脂層/導電性構造体)/別の機能性層/可塑化ポリビニルアセタール樹脂層/透明基材Bの5層構成、
(9)透明基材A/ポリビニルアセタール樹脂フィルム(ポリビニルアセタール樹脂層/導電性構造体)/可塑化ポリビニルアセタール樹脂層/別の機能性層/透明基材Bの5層構成、
(10)透明基材A/別の機能性層/可塑化ポリビニルアセタール樹脂層/ポリビニルアセタール樹脂フィルム(ポリビニルアセタール樹脂層/導電性構造体)/透明基材Bの5層構成、
(11)透明基材A/可塑化ポリビニルアセタール樹脂層/別の機能性層/ポリビニルアセタール樹脂フィルム(ポリビニルアセタール樹脂層/導電性構造体)/透明基材Bの5層構成、
(12)透明基材A/可塑化ポリビニルアセタール樹脂層/ポリビニルアセタール樹脂フィルム(ポリビニルアセタール樹脂層/導電性構造体)/別の機能性層/透明基材Bの5層構成、
(13)透明基材A/別の機能性層/可塑化ポリビニルアセタール樹脂層/ポリビニルアセタール樹脂フィルム(ポリビニルアセタール樹脂層/導電性構造体)/可塑化ポリビニルアセタール樹脂層/透明基材Bの6層構成、
(14)透明基材A/可塑化ポリビニルアセタール樹脂層/別の機能性層/ポリビニルアセタール樹脂フィルム(ポリビニルアセタール樹脂層/導電性構造体)/可塑化ポリビニルアセタール樹脂層/透明基材Bの6層構成、
(15)透明基材A/可塑化ポリビニルアセタール樹脂層/ポリビニルアセタール樹脂フィルム(ポリビニルアセタール樹脂層/導電性構造体)/別の機能性層/可塑化ポリビニルアセタール樹脂層/透明基材Bの6層構成、
(16)前記層構成(1)〜(15)において、「ポリビニルアセタール樹脂フィルム(ポリビニルアセタール樹脂層/導電性構造体)」を「ポリビニルアセタール樹脂フィルム(ポリビニルアセタール樹脂層/導電性構造体/ポリビニルアセタール樹脂層)」に置き換えた層構成を有するもの。
主に乗物の外側の透明基材を加熱すること、例えば透明基材に積もった雪を溶かすことが要求される場合、乗物の外側の透明基材にポリビニルアセタール樹脂フィルムが接すること、例えば前記層構成(4)において透明基材Aが外側透明基材で透明基材Bが内側透明基材である構成を有することが好ましい。
主に乗物の内側の透明基材を加熱すること、例えば乗物内の曇りを除去することが要求される場合、乗物の内側の透明基材にポリビニルアセタール樹脂フィルムが接すること、例えば前記層構成(4)において透明基材Aが内側透明基材で透明基材Bが外側透明基材である構成を有することが好ましい。
<可塑化ポリビニルアセタール樹脂層>
本発明のポリビニルアセタール樹脂フィルムは単独で用いることができるが、可塑化ポリビニルアセタール樹脂層と併用して用いることがより好ましい。
可塑化ポリビニルアセタール樹脂層は、ポリビニルアルコールまたはエチレンビニルアルコールコポリマーのアセタール化によって製造されるポリビニルアセタール樹脂を含む。
場合により積層される可塑化ポリビニルアセタール樹脂層は、1つのポリビニルアセタール樹脂を含むか、或いは粘度平均重合度、アセタール化度、アセチル基量、水酸基量、エチレン含有量、アセタール化に用いられるアルデヒドの分子量、および鎖長のうちのいずれか1つ以上がそれぞれ異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含んでよい。
前記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、先の<ポリビニルアセタール樹脂層を構成するために使用される樹脂>の段落において記載した方法と同様の方法によって製造できる。
可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を構成するために使用されるポリビニルアセタール樹脂中のアセチル基量は、ポリビニルアセタール樹脂の製造原料であるポリビニルアルコール樹脂中の主鎖の炭素2個からなる単位(例えば、ビニルアルコール単位、酢酸ビニル単位、エチレン単位など)を一繰返し単位とし、その一繰返し単位を基準として、酢酸ビニル単位が、好ましくは0.1〜20モル%、より好ましくは0.5〜3モル%または5〜8モル%である。原料のポリビニルアルコール系樹脂のケン化度を適宜調整することにより、アセチル基量は前記範囲内に調整できる。可塑化ポリビニルアセタール樹脂層が、アセチル基量が前記範囲内であるポリビニルアセタール樹脂を含むと、可塑剤との相溶性に優れた可塑化ポリビニルアセタール樹脂層が得られやすい。可塑化ポリビニルアセタール樹脂層が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含む場合、少なくとも1つのポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量が、上記範囲内であることが好ましい。
前記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は特に限定されない。アセタール化度は、40〜86モル%であることが好ましく、45〜84モル%であることがより好ましく、50〜82モル%であることがより好ましく、60〜82モル%であることがさらに好ましく、68〜82モル%であることが特に好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂をアセタール化する際のアルデヒドの使用量を適宜調整することにより、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は前記範囲内に調整できる。アセタール化度が前記範囲内であると、合わせガラスにした時の耐貫通性またはガラスとの接着性に優れた可塑化ポリビニルアセタール樹脂層が得られやすい。可塑化ポリビニルアセタール樹脂層が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含む場合、少なくとも1つのポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度が、上記範囲内であることが好ましい。
前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、ビニルアルコール単位の質量として、好ましくは6〜26質量%、より好ましくは12〜24質量%、より好ましくは15〜22質量%、特に好ましくは18〜21質量%である。水酸基量が前記範囲内であると、耐貫通性、接着性、または遮音性に優れた合わせガラスが得られやすい。一方で、さらに遮音性能を合わせて付与するために好ましい範囲は6〜20質量%、より好ましくは8〜18質量%、さらに好ましくは10〜15質量%、特に好ましくは11〜13質量%である。ポリビニルアルコール系樹脂をアセタール化する際のアルデヒドの使用量を調整することにより、水酸基量は前記範囲内に調整できる。可塑化ポリビニルアセタール樹脂層が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含む場合、少なくとも1つのポリビニルアセタール樹脂の水酸基量が、上記範囲内であることが好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、JIS K 6728「ポリビニルブチラール試験方法」または核磁気共鳴法(NMR)によって測定できる。
可塑化ポリビニルアセタール樹脂層は、良好な製膜性およびラミネート適性が得られやすい観点、並びに可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を含む乗物用ガラスにおいて衝突時の頭部衝撃が軽減されやすい観点から、未架橋のポリビニルアセタールを含むことが好ましい。可塑化ポリビニルアセタール樹脂層が、架橋されたポリビニルアセタールを含むことも可能である。ポリビニルアセタールを架橋するための方法は、先の<ポリビニルアセタール樹脂層を構成するために使用される樹脂>の段落に例示されている。
可塑化ポリビニルアセタール樹脂層は、前記ポリビニルアセタール樹脂に加えて、可塑剤を含有する。可塑剤の含有量は、層の積層前の初期状態では、可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物の総質量に基づいて、好ましくは16.0質量%以上、より好ましくは16.1〜36.0質量%、さらに好ましくは22.0〜32.0質量%、特に好ましくは26.0〜30.0質量%である。前記可塑剤含有量が前記範囲内であると、耐衝撃性に優れた合わせガラスが得られやすい。また、可塑化ポリビニルアセタール樹脂層として、遮音機能を有する可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を用いることもできる。その場合、可塑剤の含有量は、層の積層前の初期状態では、可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物の総質量に基づいて、好ましくは30質量%以上、より好ましくは30〜50質量%、さらに好ましくは31〜40質量%、特に好ましくは32〜35質量%である。
可塑剤としては、先の<可塑剤>の段落において記載した可塑剤を使用してよい。
可塑化ポリビニルアセタール樹脂層は、必要に応じて、先の<添加剤>の段落において記載した添加剤を含有してよい。
<可塑化ポリビニルアセタール樹脂層の製造方法>
可塑化ポリビニルアセタール樹脂層は、先の<ポリビニルアセタール樹脂層の製造方法>の段落において記載した方法により製造してよい。
本発明の積層体において、前記ポリビニルアセタール樹脂フィルムを構成する樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂の水酸基量と、前記可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂の水酸基量との差は、ビニルアルコール単位の質量%として、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。ポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂および/または可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂が複数の樹脂の混合物からなる場合、ポリビニルアセタール樹脂層に含まれる少なくとも1つのポリビニルアセタール樹脂の水酸基量と、可塑化ポリビニルアセタール樹脂層に含まれる少なくとも1つのポリビニルアセタール樹脂の水酸基量との差が前記上限値以下であることが好ましい。前記差が前記上限値以下であると、積層体において可塑剤が移行した後の平衡状態においてポリビニルアセタール樹脂フィルムと可塑化ポリビニルアセタール樹脂層との屈折率差が小さくなることから、互いに寸法が異なる可塑化ポリビニルアセタール樹脂層とポリビニルアセタール樹脂フィルムを使用した場合にその境界が視認しにくいため好ましい。
一方、ポリビニルアセタール樹脂フィルムを構成する樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂の水酸基量を、前記可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂の水酸基量よりも低くすることで、積層体において可塑剤が移行した後の平衡状態におけるポリビニルアセタール樹脂フィルム中の平均可塑剤量を30質量%以上とすることも好ましい態様の1つである。その場合、前記ポリビニルアセタール樹脂フィルムを構成する樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、前記可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂の水酸基量よりも5質量%以上低いことが好ましく、8質量%以上低いことがより好ましい。前記水酸基量の差が前記下限値以上であると、平衡状態でのポリビニルアセタール樹脂層の可塑剤量を十分に高くすることができ、遮音機能が付与された合わせガラスが得られやすいため好ましい。
<別の機能性層>
本発明の積層体は、ポリビニルアセタール樹脂フィルムに加えて、またはポリビニルアセタール樹脂フィルムおよび可塑化ポリビニルアセタール樹脂層に加えて、別の機能性層を有してよい。
別の機能性層としては、例えば、赤外線反射層、紫外線反射層、色補正層、赤外線吸収層、紫外線吸収層、蛍光・発光層、遮音層、エレクトロクロミック層、サーモクロミック層、フォトクロミック層、意匠性層、または高弾性率層等が挙げられる。
<積層体の製造方法>
積層体は、当業者に公知の方法で製造できる。例えば、透明基材の上にポリビニルアセタール樹脂フィルムおよび積層する場合は可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を任意の順で任意の枚数重ねて配置し、さらにもう一つの透明基材を重ねたものを、予備圧着工程として温度を高めることによってポリビニルアセタール樹脂フィルムおよび積層する場合は可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を透明基材に全面または局所的に融着させ、次いでオートクレーブで処理することで、積層体を製造できる。
また、ポリビニルアセタール樹脂フィルム、並びに積層する場合は可塑化ポリビニルアセタール樹脂層および/または別の機能性層をあらかじめ接着させた上で2つの透明基材の間に配置して高温で互いに融着させることにより、積層体を製造してもよい。
上記予備圧着工程としては、過剰の空気を除去したり隣接する層同士の軽い接合を実施したりする観点から、バキュームバッグ、バキュームリング、または真空ラミネーター等の方法により減圧下に脱気する方法、ニップロールを用いて脱気する方法、および高温下に圧縮成形する方法等が挙げられる。
例えばEP 1235683 B1に記載のバキュームバッグ法またはバキュームリング法は、例えば約2×10Paおよび130〜145℃で実施される。
真空ラミネーターは、加熱可能かつ真空可能なチャンバーからなり、このチャンバーにおいて、約20分〜約60分の時間内に積層体が形成される。通常は1Pa〜3×10Paの減圧および100℃〜200℃、特に130℃〜160℃の温度が有効である。真空ラミネーターを用いる場合、温度および圧力に応じて、オートクレーブでの処理を行わなくてもよい。
オートクレーブでの処理は、例えば約1×10Pa〜約1.5×10Paの圧力および約100℃〜約145℃の温度で20分から2時間程度実施される。
最も簡単な層構成の場合、積層体を製造するために、ポリビニルアセタール樹脂フィルムを第1の透明基材の上に配置し、積層する場合は可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を同時にまたは続いて配置し、この上に第2の透明基材を配置して複合材料を作製する。ここで、ポリビニルアセタール樹脂フィルムと可塑化ポリビニルアセタール樹脂層の順を逆にしてもよい。次に、この複合材料を前記予備圧着工程に供する。任意に、脱気の工程を含んでいてもよい。
最後に、前記複合材料は、必要に応じてオートクレーブプロセスに供される。
ポリビニルアセタール樹脂フィルムを第1の透明基材に配置して、第2の透明基材を置く前に、ポリビニルアセタール樹脂フィルムおよび積層する場合の可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を配置する方法は特に限定されず、種々の方法が適用される。例えば、ポリビニルアセタール樹脂フィルムおよび可塑化ポリビニルアセタール樹脂層は、相応の幅のロールから供給し、目的の大きさに切断することで配置してもよいし、あらかじめ目的の大きさに切断しておいたフィルムを配置してもよい。たとえば、積層体が自動車フロントガラスの場合、ロールから供給された可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を加熱・延伸、切断し、扇型に加工したものを用いてもよい。
自動車分野では、特にフロントガラスを製造する際、ガラスの上部がいわゆるカラーシェード領域を有するよう製造する場合もある。そのため、ポリビニルアセタール樹脂フィルムおよび/または積層する場合の可塑化ポリビニルアセタール樹脂層は、相応に着色されたポリマー溶融物と一緒に押出されるか、またはポリビニルアセタール樹脂フィルムおよび可塑化ポリビニルアセタール樹脂層のうちの少なくとも1つが部分的に異なる着色を有していてよい。本発明において、このような着色は、ポリビニルアセタール樹脂フィルムおよび可塑化ポリビニルアセタール樹脂層のうちの少なくとも1つを完全にまたは部分的に着色することによって、実施してよい。
従って、本発明では、積層する場合の可塑化ポリビニルアセタール樹脂層は、特に既に先行するプロセス工程において、フロントガラスの形状に適合されたカラーグラデーションを有してよい。
可塑化ポリビニルアセタール樹脂層は、くさび形の厚さプロファイルを有していてもよい。これにより、本発明の積層体は、ポリビニルアセタール樹脂フィルムの厚さプロファイルが平行平面である場合でも、くさび形の厚さプロファイルを有することができ、自動車フロントガラスにおいてヘッドアップディスプレイ(HUD)に使用できる。
可塑化ポリビニルアセタール樹脂層は、カラーシェードを有するかまたは有していない、かつくさび形の厚さプロファイルを有するかまたは有していない、市販の可塑化ポリビニルブチラールシートであってもよい。同様に、赤外線遮蔽のために可塑化ポリビニルアセタール樹脂層中に分散された赤外線吸収能または反射能を持つナノ粒子を有する可塑化ポリビニルアセタール樹脂層、または着色された可塑化ポリビニルアセタール樹脂層が使用されてもよい。当然、可塑化ポリビニルアセタール樹脂層は遮音機能を有するシートであってもよいため、ポリビニルアセタール樹脂フィルムとの組み合わせによって、改善された遮音特性が得られる。当然、可塑化ポリビニルアセタール樹脂層は、先に記載した機能の複数をそれ自体において統合することもできる。
本発明の積層体は、建物または乗物における合わせガラスとして使用される。従って、本発明はまた、前記積層体からなる乗物用ガラスに関する。乗物用ガラスとは、汽車、電車、自動車、船舶または航空機といった乗物のための、フロントガラス、リアガラス、ルーフガラスまたはサイドガラス等を意味する。
本発明のポリビニルアセタール樹脂フィルムを用いて作製された合わせガラスの低反射率処理面(例えば黒化処理面)側から光を照射した場合のヘイズは、通常2.0以下であり、好ましくは1.8以下であり、より好ましくは1.5以下である。本発明のポリビニルアセタール樹脂フィルムを用いて作製された合わせガラスの金属光沢面側から光を照射した場合のヘイズは、通常3.0以下であり、好ましくは2.8以下であり、より好ましくは2.5以下である。
前記ヘイズは、例えばJIS R 3106に準じて測定される。ポリビニルアセタール樹脂層と導電性構造体との間に接着剤層を有さない本発明のポリビニルアセタール樹脂フィルムを用い、導電性構造体の線幅を細くすることにより、前記ヘイズは前記上限値以下に調整できる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂フィルムを用いて作製された合わせガラスの低反射率処理面側からは、乗車人物または観察者の位置から導電性構造体の配線が視認されないことが好ましい。配線が視認されないことにより、特に乗物用フロントガラス等の良好な前方視認性が要求される用途において、本発明における合わせガラスは好適に使用される。導電性構造体の視認性は、官能的に評価される。
可塑化ポリビニルアセタール樹脂層および透明基材と、それらより寸法の小さい本発明のポリビニルアセタール樹脂フィルムとを用いて合わせガラスを作製した場合、ポリビニルアセタール樹脂フィルムの端部は、目視で判別されないことが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂フィルムの端部が目視で判別されないことにより、特に乗物用フロントガラス等の良好な前方視認性が要求される用途において、本発明における合わせガラスは好適に使用される。ポリビニルアセタール樹脂フィルム端部の視認性は、官能的に評価される。
本発明における合わせガラスにおいて、通常、可塑化ポリビニルアセタール樹脂層に含まれる可塑剤は、時間経過に伴ってポリビニルアセタール樹脂層に移行し、可塑化ポリビニルアセタール樹脂層に含まれる可塑剤量とポリビニルアセタール樹脂層に含まれる可塑剤量とは同程度となる。本発明において、この平均可塑剤量は、好ましくは18〜35質量%、より好ましくは20〜30質量%、特に好ましくは25〜29質量%である。平均可塑剤量が前記範囲内であると、例えば衝突時の乗車人物の頭部への衝撃が緩和される等、合わせガラスの所望の特性が得られやすい。平均可塑剤量は、後の実施例に記載の方法によって計算される。可塑化ポリビニルアセタール樹脂層に含まれる可塑剤の量、可塑化ポリビニルアセタール樹脂層の厚さ、ポリビニルアセタール樹脂層に含まれる可塑剤の量、およびポリビニルアセタール樹脂層の厚さを調整することにより、平均可塑剤量は前記範囲内に調整できる。
本発明における合わせガラスの可視光反射率と、導電性構造体を含まないこと以外は本発明における合わせガラスに相当する合わせガラスの可視光反射率との差は小さいことが好ましい。前記差が小さいと、本発明の合わせガラスは前方視認性に優れ、特に乗物用フロントガラス等の良好な前方視認性が要求される用途において、本発明における合わせガラスは好適に使用される。合わせガラスの可視光反射率は、JIS R 3106に準じて測定される。導電性構造体の低反射率処理面が乗車人物側または観察者側に配置されるよう合わせガラスを構成すること、または導電性構造体の線幅を細くすることにより、前記差は小さくできる。
本発明における合わせガラスは、導電性構造体を接着するための接着剤に由来するヘイズが存在しないため光学特性に優れており、本発明におけるポリビニルアセタール樹脂層に導電性構造体を付与する際の生産効率が高いため高い生産性で製造される。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら限定されない。
<ポリビニルアセタール樹脂層a〜mの製造>
ポリビニルブチラール樹脂1(以下、「樹脂1」と称する)を溶融混練するか、または樹脂1およびポリビニルブチラール樹脂2(以下、「樹脂2」と称する)を表2に記載の質量比で溶融混練した。ポリビニルアセタール樹脂層が可塑剤を含む場合(ポリビニルアセタール樹脂層jおよびm)は、可塑剤として所定量の3GOを、樹脂1および樹脂2とともに溶融混練した。次に、得られた溶融混練物をストランド状に押出し、ペレット化した。得られたペレットを、単軸の押出機とTダイを用いて溶融押出し、金属弾性ロールを用いて表面が平滑なポリビニルアセタール樹脂層を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂層a〜mの厚みを表2に示す。
また、ポリビニルアセタール樹脂層a〜mの製造において使用した樹脂1および樹脂2の物性値を表1に示す。
Figure 2018161889
[実施例1]
<銅箔が接合されたポリビニルアセタール樹脂層の製造>
製造したポリビニルアセタール樹脂層aに、片面が黒化処理された厚み7μmの銅箔を、黒化処理面(以下、黒化面と称することもある)とポリビニルアセタール樹脂層aとが接するような向きで重ねた。ここで、JIS R 3106に準じて測定された黒化処理面の可視光反射率は5.2%であった。次に、ポリビニルアセタール樹脂層aと銅箔とを重ねた積層体の上下を厚み50μmのPETフィルムで挟み、120℃に設定した熱圧着ロールの間を通過(圧力:0.2MPa、速度0.5m/分)させた後、PETフィルムをはがすことで、銅箔が接合されたポリビニルアセタール樹脂層を得た。
<ポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造>
製造した、銅箔が接合されたポリビニルアセタール樹脂層の銅箔上に、ドライフィルムレジストをラミネートした後、フォトリソグラフィの手法を用いてエッチング抵抗パターンを形成した。次に、前記エッチング抵抗パターンが形成された、銅箔が接合されたポリビニルアセタール樹脂層を、銅エッチング液に浸漬して導電性構造体を形成した後、常法により、残存するフォトレジスト層を除去した。これにより、ポリビニルアセタール樹脂層と、ポリビニルアセタール樹脂層の表面に配置された、銅箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルムを得た。得られたポリビニルアセタール樹脂フィルムは、ポリビニルアセタール樹脂層と導電性構造体との間に接着剤層を有していない。導電性構造体は、縦横各5cmの正方形の内部に、線幅10μmの銅線が500μm間隔で格子状に並んだ銅メッシュ構造を有し、その上辺および下辺がバスバーに相当する幅5mmの銅線構造と接続された構造を有していた。
[実施例2〜10]
ポリビニルアセタール樹脂層aに代えて、表2に記載のポリビニルアセタール樹脂層b〜jをそれぞれ使用したこと以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂層と、ポリビニルアセタール樹脂層の表面に配置された、銅箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルムを得た。
[実施例11]
ポリビニルアセタール樹脂層aに代えて、ポリビニルアセタール樹脂層cを使用し、片面が黒化処理された厚み7μmの銅箔を、金属光沢面とポリビニルアセタール樹脂層cとが接するような向きで重ねたこと以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂層と、ポリビニルアセタール樹脂層の表面に配置された、銅箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルムを得た。ここで、JIS R 3106に準じて測定された金属光沢面の可視光反射率は63%であった。
[実施例12]
ポリビニルアセタール樹脂層aに代えて、ポリビニルアセタール樹脂層cを使用したこと以外は実施例1と同様にして、銅箔が接合されたポリビニルアセタール樹脂層を得た。次に、製造した、銅箔が接合されたポリビニルアセタール樹脂層を用い、フォトリソグラフィに用いるフォトマスクの線幅を変更したこと以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂層と、ポリビニルアセタール樹脂層の表面に配置された、銅箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルムを得た。導電性構造体は、縦横各5cmの正方形の内部に、線幅5μmの銅線が500μm間隔で格子状に並んだ銅メッシュ構造を有し、その上辺および下辺がバスバーに相当する幅5mmの銅線構造と接続された構造を有していた。
[実施例13]
銅線の線幅が20μmになるように調整したこと以外は実施例12と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂層と、ポリビニルアセタール樹脂層の表面に配置された、銅箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルムを得た。導電性構造体は、縦横各5cmの正方形の内部に、線幅20μmの銅線が1000μm間隔で格子状に並んだ銅メッシュ構造を有し、その上辺および下辺がバスバーに相当する幅5mmの銅線構造と接続された構造を有していた。
[実施例14]
銅線の線幅が30μmになるように調整したこと以外は実施例12と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂層と、ポリビニルアセタール樹脂層の表面に配置された、銅箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルムを得た。導電性構造体は、縦横各5cmの正方形の内部に、線幅30μmの銅線が1500μm間隔で格子状に並んだ銅メッシュ構造を有し、その上辺および下辺がバスバーに相当する幅5mmの銅線構造と接続された構造を有していた。
[実施例15]
銅線の線幅が40μmになるように調整したこと以外は実施例12と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂層と、ポリビニルアセタール樹脂層の表面に配置された、銅箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルムを得た。導電性構造体は、縦横各5cmの正方形の内部に、線幅40μmの銅線が2000μm間隔で格子状に並んだ銅メッシュ構造を有し、その上辺および下辺がバスバーに相当する幅5mmの銅線構造と接続された構造を有していた。
[実施例16]
ポリビニルアセタール樹脂層aに代えて、ポリビニルアセタール樹脂層cを使用したこと以外は実施例1と同様にして、銅箔が接合されたポリビニルアセタール樹脂層を得た。次に、製造した、銅箔が接合されたポリビニルアセタール樹脂層を用い、フォトリソグラフィに用いるフォトマスクの構造を変更したこと以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂層と、ポリビニルアセタール樹脂層の表面に配置された、銅箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルムを得た。導電性構造体は、線幅10μmの銅線が500μm間隔で直線状に並んだ構造を有し、その各直線の両端がバスバーに相当する幅5mmの銅線構造と接続された構造を有していた。
[実施例17]
ポリビニルアセタール樹脂層aに代えて、ポリビニルアセタール樹脂層cを使用したこと以外は実施例1と同様にして、銅箔が接合されたポリビニルアセタール樹脂層を得た。次に、製造した、銅箔が接合されたポリビニルアセタール樹脂層を用い、フォトリソグラフィに用いるフォトマスクの構造を変更したこと以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂層と、ポリビニルアセタール樹脂層の表面に配置された、銅箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルムを得た。導電性構造体は、線幅10μmの銅線が500μm間隔で波線状に並んだ構造を有し、その各波線の両端がバスバーに相当する幅5mmの銅線構造と接続された構造を有していた。
[実施例18]
ポリビニルアセタール樹脂層aに代えて、ポリビニルアセタール樹脂層cを使用したこと以外は実施例1と同様にして、銅箔が接合されたポリビニルアセタール樹脂層を得た。次に、製造した、銅箔が接合されたポリビニルアセタール樹脂層を用い、フォトリソグラフィに用いるフォトマスクの構造を変更したこと以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂層と、ポリビニルアセタール樹脂層の表面に配置された、銅箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルムを得た。導電性構造体は、線幅10μmの銅線が500μm間隔でジグザグ線状に並んだ構造を有し、その各ジグザグ線の両端がバスバーに相当する幅5mmの銅線構造と接続された構造を有していた。
[実施例19]
ポリビニルアセタール樹脂層aに代えて、ポリビニルアセタール樹脂層kを使用したこと以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂層と、ポリビニルアセタール樹脂層の表面に配置された、銅箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルムを得た。
[実施例20]
ポリビニルアセタール樹脂層aに代えて、ポリビニルアセタール樹脂層lを使用したこと以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂層と、ポリビニルアセタール樹脂層の表面に配置された、銅箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルムを得た。
[比較例1]
ポリビニルアセタール樹脂層aに代えて、ポリビニルアセタール樹脂層mを使用したこと以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂層と、ポリビニルアセタール樹脂層の表面に配置された、銅箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルムを得た。
[比較例2]
ポリビニルアセタール樹脂層cに銅箔を接合する際に、熱圧着ロールを用いて接合したことに代えて、アクリレート系接着剤を用いて接着したこと以外は実施例3と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂層と、ポリビニルアセタール樹脂層の表面に配置された、銅箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルムを得た。
[比較例3]
ポリビニルアセタール樹脂層cに代えてPETフィルム(PET層、厚み50μm)を用いたこと以外は比較例2と同様にして、PETフィルムと、PETフィルムの表面に配置された、銅箔に基づく導電性構造体とを有するPETフィルムを得た。
<ポリビニルアセタール樹脂層の製膜性の評価>
実施例1〜5においてポリビニルアセタール樹脂またはポリビニルアセタール樹脂混合物を押出機で溶融押出した際の製膜性を、下記基準で評価した。結果を表2に示す。
A 製膜性は非常に良好であった。
B 製膜性は良好であった。
C 着色および分解ガスの発生が起こったが、製膜可能であった。
D 製膜不可能であった。
<合わせガラスの作製>
実施例1〜20および比較例1〜2で得た導電性構造体を有するポリビニルアセタール樹脂フィルム、および比較例3で得た導電性構造体を有するPETフィルムをそれぞれ、縦5cm、横5cmに切り出し、縦10cm、横10cm、厚み3mmのガラスの上に配置した。このとき、前記フィルムの導電性構造体を有さない面がガラスと接する向きで、かつ導電性構造体がガラスの中央付近にくるように配置した。次に、導電性構造体の両端部にある各々のバスバー(5mm幅銅線)に、電極(導電性粘着剤付き銅箔テープ)を、ガラスから外へ各電極端部がはみ出すように貼り付けた。さらに、その上に、可塑化ポリビニルアセタール樹脂層としての縦10cm、横10cm、厚み0.76mmの〔水酸基量20.0質量%および粘度平均重合度1700を有するポリビニルブチラール樹脂(72質量%)と3GO(28質量%)とを含む〕自動車フロントガラス用中間膜、および縦10cm、横10cm、厚み3mmのガラスを重ねて配置した。
続いて、これを真空バッグに入れ、真空ポンプを用いて室温で15分間減圧にした後、減圧したまま100℃まで昇温し、そのまま60分間加熱した。降温後、常圧に戻し、プレラミネート後の合わせガラスを取り出した。
その後、これをオートクレーブに投入し、140℃、1.2MPaで30分間処理し、合わせガラスを作製した。
<導電性構造体(格子状、直線状、波線状またはジグザグ状)の状態の評価>
プレラミネート後およびオートクレーブ後の導電性構造体の状態を、ルーペを用いて目視観察し、配線の変形および断線の有無を下記基準で評価した。結果を表2および表4に示す。
A 変形および断線は認められなかった。
B 部分的に変形は認められたが、断線は認められなかった。
C 僅かに断線が認められた。
D 断線が顕著であった。
<通電性の評価>
各々のバスバーに貼り付けた2つの電極間の抵抗を、テスターで測定した。合わせガラス作製前後に抵抗値を測定し、通電性を下記基準で評価した。結果を表2および表4に示す。
A 合わせガラス作製後の抵抗値が合わせガラス作製前の抵抗値の1.5倍以内と極めて良好。
B 合わせガラス作製後の抵抗値が合わせガラス作製前の抵抗値の1.5倍を超え2倍以内と良好。
C 合わせガラス作製後の抵抗値が合わせガラス作製前の抵抗値の2倍を超え4倍以内であるが実用可能。
D 合わせガラス作製後の抵抗値が合わせガラス作製前の抵抗値の4倍を超え、実用不可能。
<ヘイズの測定>
実施例1〜20および比較例1〜2で得た導電性構造体を有するポリビニルアセタール樹脂フィルム、および比較例3で得た導電性構造体を有するPETフィルムをそれぞれ、縦5cm、横5cmに切り出し、縦5cm、横5cm、厚み3mmのガラスの上に配置した。このとき、前記フィルムの導電性構造体を有さない面がガラスと接する向きで配置した。その上に、可塑化ポリビニルアセタール樹脂層としての縦5cm、横5cm、厚み0.76mmの〔水酸基量20.0質量%および粘度平均重合度1700を有するポリビニルブチラール樹脂(72質量%)と3GO(28質量%)とを含む〕自動車フロントガラス用中間膜、および縦5cm、横5cm、厚み3mmのガラスを重ねて配置した。
続いて、これを真空バッグに入れ、真空ポンプを用いて室温で15分間減圧にした後、減圧したまま100℃まで昇温し、そのまま60分間加熱した。降温後、常圧に戻し、プレラミネート後の合わせガラスを取り出した。
その後、これをオートクレーブに投入し、140℃、1.2MPaで30分間処理し、合わせガラスを作製した。
得られた導電性構造体を有する前記合わせガラスの各々について、黒化処理面側から光を照射した場合のヘイズと、金属光沢面側から光を照射した場合のヘイズを、ヘイズメーターを用いてJIS R 3106に準じて測定した。結果を表2に示す。
<導電性構造体の視認性の官能評価>
黒化処理面側を観察者に向けた合わせガラスを、観察者から約50cm離れた位置に配置し、観察者がガラスを通して5m先を見たときに、導電性構造体の銅線が視認できるか否かを、下記基準で官能的に評価した。結果を表2に示す。
A ほとんど気にならず極めて良好。
B 焦点をずらした際に少し気になったが良好。
C 少し気になったが実用可能。
D 気になり実用不可能。
<ポリビニルアセタール樹脂フィルムの端部の視認性の官能評価>
上記<合わせガラスの作製>に従って作製した合わせガラスを2週間室温で放置した後、自動車フロントガラス用中間膜より寸法の小さいポリビニルアセタール樹脂フィルムの端部が、目視で判別できるか否かを、下記基準で官能的に評価した。結果を表2に示す。
A 全く判別できず極めて良好。
B よく見ると判別できる部分があったが良好。
C よく見ると判別できたが実用可能。
D 明らかに判別でき、実用不可能。
<平均可塑剤量>
可塑化ポリビニルアセタール樹脂層としての自動車フロントガラス用中間膜に含まれる可塑剤がポリビニルアセタール樹脂層に移行し、自動車フロントガラス用中間膜に含まれる可塑剤量がポリビニルアセタール樹脂層に含まれる可塑剤量と同程度となったときの可塑剤量(計算値)を、下記式に従い算出した。結果を表2に示す。
Figure 2018161889
A(質量%):可塑化ポリビニルアセタール樹脂層の可塑剤量
a(mm):可塑化ポリビニルアセタール樹脂層の厚み
B(質量%):ポリビニルアセタール樹脂層の可塑剤量
b(mm):ポリビニルアセタール樹脂層の厚み
Figure 2018161889
表2に示されているとおり、ポリビニルアセタール樹脂層中の可塑剤の量が本発明において規定している範囲内であるとき、合わせガラスの作製時における導電性構造体の変形および断線が少なく、通電性が良好であった。また、ポリビニルアセタール樹脂層と導電性構造体との間に接着剤層を有さない本発明のポリビニルアセタール樹脂フィルムを用いて作製された合わせガラスに黒化処理面側から光を照射した場合のヘイズおよび金属光沢面側から光を照射した場合のヘイズは、いずれも良好な値を示した。一方、可塑剤の量が本発明において規定している量より多い場合(比較例1)は、通電性が実用不可能な程度であった。ポリビニルアセタール樹脂層と導電性構造体との間に接着剤層を有する場合(比較例2)、およびPET層と導電性構造体との間に接着剤層を有する場合(比較例3)は、高すぎるヘイズ値を示した。また、比較例3では、フィルム端部が明らかに判別された。このような合わせガラスは、良好な前方視認性が要求される用途では好適に使用されない。
[実施例21〜24]
<合わせガラスの可視光反射率の評価>
実施例21、22および24では、実施例3において製造したポリビニルアセタール樹脂フィルムを用い、表3に示した合わせガラスの構成で、後述の可視光反射率測定用合わせガラスを作製した。実施例23では、実施例11において製造したポリビニルアセタール樹脂フィルムを用い、表3に示した合わせガラスの構成で、後述の可視光反射率測定用合わせガラスを作製した。具体的には、表3に示した合わせガラスの構成で、縦5cm、横5cm、厚み3mmのガラス、縦5cm、横5cmに切り出したポリビニルアセタール樹脂フィルム、可塑化ポリビニルアセタール樹脂層としての縦5cm、横5cm、厚み0.76mmの〔水酸基量20.0質量%および粘度平均重合度1700を有するポリビニルブチラール樹脂(72質量%)と3GO(28質量%)とを含む〕自動車フロントガラス用中間膜を重ねて配置し、これを真空バッグに入れ、真空ポンプを用いて室温で15分間減圧にした後、減圧したまま100℃まで昇温し、そのまま60分間加熱した。降温後、常圧に戻し、プレラミネート後の合わせガラスを取り出した。その後、これをオートクレーブに投入し、140℃、1.2MPaで30分間処理し、合わせガラスを作製した。得られた可視光反射率測定用合わせガラスの内側ガラス(乗車人物側を想定)から光を照射したときの可視光反射率を、JIS R 3106に準じて測定した。結果を表3に示す。
Figure 2018161889
[実施例25〜28]
<ポリビニルアセタール樹脂層と銅箔とを接合する際の温度が剥離強度、導電性構造体の状態および通電性に及ぼす影響の評価>
A4サイズの銅箔にA4サイズのポリビニルアセタール樹脂層cを重ね、端部8cmが加熱圧着されないよう、表4に記載の温度で加熱圧着したこと以外は実施例1と同様にして、銅箔が接合されたポリビニルアセタール樹脂層を得た。加熱圧着しなかった端部が引張試験機のチャックに挟む部分となるよう、得られた樹脂層を1cm幅の短冊状に切断し、チャック間距離4cm、引張速度100mm/分で引張試験を行い、20mm毎の剥離力をアウトプットし、その平均値を剥離強度とした。
また、表4に記載の温度で加熱圧着して銅箔を接合した以外は実施例1と同様にして導電性構造体の状態(格子状)の評価および通電性の評価を実施した。結果を表4に示す。
Figure 2018161889
上記したとおり、本発明の方法に従ってポリビニルアセタール樹脂フィルムを製造すると、導電性構造体を付与する際の生産効率が高いために、高い生産性でポリビニルアセタール樹脂フィルムを製造することができた。また、ポリビニルアセタール樹脂層に銅箔を接合する際に接着剤を使用していないため、本発明のポリビニルアセタール樹脂フィルムを用いて作製した合わせガラスは、ポリビニルアセタール樹脂層に導電性構造体を接着するための接着剤に由来するヘイズも生じない。さらに、表4に示されているとおり、本発明のポリビニルアセタール樹脂層を用いると、プレラミネート後もオートクレーブ後も導電性構造体に断線は見られず、良好な通電性が得られた。また、十分高い剥離強度も得られた。

Claims (15)

  1. ポリビニルアセタール樹脂層と、ポリビニルアセタール樹脂層の表面または内部に配置された、金属箔に基づく導電性構造体とを有するポリビニルアセタール樹脂フィルムであって、ポリビニルアセタール樹脂層中の可塑剤の量がポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物の総質量に基づいて0〜20質量%であり、ポリビニルアセタール樹脂フィルムがポリビニルアセタール樹脂層と導電性構造体との間に接着剤層を有さない、ポリビニルアセタール樹脂フィルム。
  2. 前記ポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂の、ブルックフィールド型(B型)粘度計を用いて20℃、30rpmで測定された、濃度10質量%のトルエン/エタノール=1/1(質量比)溶液の粘度が200mPa・s以上である、請求項1に記載のポリビニルアセタール樹脂フィルム。
  3. 前記ポリビニルアセタール樹脂フィルムの厚さが10〜350μmである、請求項1または2に記載のポリビニルアセタール樹脂フィルム。
  4. 前記導電性構造体の厚さが1〜30μmである、請求項1〜3のいずれかに記載のポリビニルアセタール樹脂フィルム。
  5. 前記導電性構造体が銅または銀で構成されている、請求項1〜4のいずれかに記載のポリビニルアセタール樹脂フィルム。
  6. 前記導電性構造体が線状、格子状または網状の形状を有する、請求項1〜5のいずれかに記載のポリビニルアセタール樹脂フィルム。
  7. 前記した線状、格子状または網状の形状を構成する導電性構造体の線幅が1〜30μmである、請求項6に記載のポリビニルアセタール樹脂フィルム。
  8. 前記導電性構造体の片面または両面が低反射率処理されている、請求項1〜7のいずれかに記載のポリビニルアセタール樹脂フィルム。
  9. 前記低反射率処理が黒化処理である、請求項8に記載のポリビニルアセタール樹脂フィルム。
  10. 金属箔とポリビニルアセタール樹脂層とを接合させる工程、および前記工程で得られた金属箔付ポリビニルアセタール樹脂層から導電性構造体を形成する工程を含む、請求項1〜9のいずれかに記載のポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法。
  11. 複数の透明基材の間に、請求項1〜9のいずれかに記載のポリビニルアセタール樹脂フィルムを有する、積層体。
  12. 複数の透明基材の間に、請求項1〜9のいずれかに記載のポリビニルアセタール樹脂フィルム、および可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を有する、積層体。
  13. 前記透明基材がガラスである、請求項11または12に記載の積層体。
  14. 前記ポリビニルアセタール樹脂フィルムを構成する樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂の水酸基量と、前記可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を構成する樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂の水酸基量との差が、ビニルアルコール単位の質量%の差として4質量%以下である、請求項12に記載の積層体。
  15. 請求項11〜14のいずれかに記載の積層体からなる乗物用ガラス。
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