以下、本発明に係る基板処理装置の実施形態について図面を参照して説明する。図1乃至図30において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1(a)および図1(b)は、基板の一例であるウェハの周縁部を示す拡大断面図である。より詳しくは、図1(a)はいわゆるストレート型のウェハの断面図であり、図1(b)はいわゆるラウンド型のウェハの断面図である。図1(a)のウェハWにおいて、ベベル部は、上側傾斜部(上側ベベル部)P、下側傾斜部(下側ベベル部)Q、および側部(アペックス)Rから構成されるウェハWの最外周面(符号Bで示す)である。
図1(b)のウェハWにおいては、ベベル部は、ウェハWの最外周面を構成する、湾曲した断面を有する部分(符号Bで示す)である。トップエッジ部は、ベベル部Bよりも半径方向内側に位置する領域であって、かつウェハWの上面の最も外側に位置する環状の平坦部E1である。トップエッジ部E1はウェハWの上面の一部を構成している。ボトムエッジ部は、トップエッジ部E1とは反対側に位置し、ベベル部Bよりも半径方向内側に位置する環状の平坦部E2である。ボトムエッジ部E2はウェハWの下面の最も外側に位置する領域であり、ウェハWの下面の一部を構成している。これらトップエッジ部E1およびボトムエッジ部E2は、総称してエッジ部と呼ばれることもある。
本明細書では、基板(ウェハともいい、これを符号Wで示す)の周縁部を、基板の最外周に位置するベベル部Bと、このベベル部の半径方向内側に位置するトップエッジ部E1およびボトムエッジ部E2とを含む領域として定義する。
図2は、基板処理装置の一実施形態を示す側面図である。図2に示すように、基板処理装置は、基板の一例であるウェハWの周縁部を保持する複数のチャック11と、複数のチャック11に保持されたウェハWをその軸心を中心として回転させる中空状の基板回転機構10と、複数のチャック11に保持されたウェハWの上面をスクラブするスクラバー(処理ヘッド)50と、ウェハWの下面を流体圧により非接触で支持する静圧支持機構90とを備えている。
スクラバー50は、基板回転機構10に保持されているウェハWの上側に配置されており、静圧支持機構90は基板回転機構10に保持されているウェハWの下側に配置されている。スクラバー50は、基板回転機構10に保持されたウェハWの上面をスクラブしてウェハWの上面から異物や傷を除去する。
静圧支持機構90は、基板回転機構10の内側空間内に配置されている。これら、基板回転機構10、スクラバー50、および静圧支持機構90は、隔壁6によって囲まれている。隔壁6の内部空間は処理室7を構成している。隔壁6の上部には、クリーンエア取入口6aが形成されており、隔壁6の下部には排気ダクト9が形成されている。
排気機構8は隔壁6の上面に設置されている。この排気機構8は、ファン8Aと、このファン8Aから送られた空気中のパーティクルや粉塵を除去するフィルター8Bとを備えている。排気機構8は、清浄な空気をクリーンエア取入口6aを通じて処理室7に送り込み、処理室7内に清浄な空気の下降流を形成する。処理室7内の空気は排気ダクト9から排出される。
基板回転機構10は、複数のチャック11を介してウェハWを回転させる中空モータ12を備えている。基板回転機構10は、全体として円筒形状を有しており、その中央部には空間が形成されている。ウェハWの下面に大きな空間がない場合、ウェハWを高速で回転させたときに、ウェハWの下方で負圧が発生することがある。この負圧は空気中に浮遊する塵埃を引き寄せてしまい、これら塵埃がウェハWの下面に付着することがある。本実施形態では、中空モータ12が採用されているので、円筒形状を有する基板回転機構10を構成することができる。したがって、ウェハWの下方に大きな空間を形成することができ、上述のような問題の発生を防ぐことができる。さらに、基板回転機構10の内側の空間に、上述した静圧支持機構90を配置することができる。
図3は、基板回転機構10の詳細な構造を示す断面図である。図3に示すように、中空モータ12は、その中央部に空間が形成された形状を有している。中空モータ12は、円筒形の回転子12Aと、この回転子12Aを囲むように配置された固定子12Bとを備えている。回転子12Aの内周面は、ウェハWの直径よりも大きな直径を有している。このような中空モータ12を採用することにより、基板回転機構10はその内側に大きな空間が形成された円筒形状を有することができる。回転子12Aには複数の永久磁石12aが埋設されている。
この中空モータ12は、センサレス型IPMモータ(Interior Permanent Magnet Motor)であり、光学式の位置センサは不要である。したがって、中空モータ12を安価に製作できるとともに、液体が中空モータ12内に浸入しても、位置センサの故障に起因する誤動作が生じにくい。
固定子12Bは、円筒形の静止部材14に固定されている。この静止部材14の半径方向内側には、円筒形の回転基台16が配置されている。静止部材14と回転基台16との間には、アンギュラコンタクト玉軸受20,20が配置されており、回転基台16は2つのアンギュラコンタクト玉軸受20,20の組み合わせによって回転自在に支持されている。このアンギュラコンタクト玉軸受20,20は、ラジアル方向の荷重およびアキシャル方向の荷重の両方を受けることができる軸受である。なお、ラジアル方向の荷重およびアキシャル方向の荷重の両方を受けることができれば、他のタイプの軸受を用いてもよい。中空モータ12の固定子12Bは静止部材14に固定されている。中空モータ12の回転子12Aは回転基台16に固定されており、回転子12Aと回転基台16とは一体に回転するようになっている。
回転基台16の上部には、上述したチャック11が上下動自在に配置されている。より具体的には、回転基台16の上部には、半径方向内側に突出した環状の突出部16aが形成されており、この突出部16aに形成された貫通孔にそれぞれチャック11が挿入されている。各チャック11の下部を囲むようにばね18が配置されており、このばね18の上端は突出部16aを下から押圧し、ばね18の下端はチャック11に固定されたばねストッパー11aに接触している。このばね18により各チャック11は下方に付勢されている。チャック11は、中空モータ12により回転基台16と一体に回転するようになっている。
チャック11の外側には、チャック11に保持されたウェハWを囲むように環状の回転カバー25が配置されている。この回転カバー25は回転基台16の上面に固定されており、ウェハWと回転カバー25とは一体に回転するようになっている。回転カバー25はウェハWの全周を囲むように配置されている。回転カバー25の上端の内径は、ウェハWの直径よりもやや大きい。回転カバー25の上端には、チャック11の外周面に沿った形状を持つ切り欠き25aが各チャック11に対応した位置に形成されている。
図3に示すように、回転カバー25の内周面の縦断面形状は半径方向内側に傾斜している。また、回転カバー25の内周面の縦断面は滑らかな曲線から構成されている。回転カバー25の上端はウェハWに近接しており、回転カバー25の下部には、斜めに延びる液体排出孔25bが形成されている。
図2に示すように、ウェハWの上方には、ウェハWの上面に処理液(洗浄液または研磨液)を供給する液体供給ノズル27が配置されている。この液体供給ノズル27は、図示しない液体供給源に接続され、液体供給ノズル27を通じてウェハWの上面に処理液が供給されるようになっている。ウェハWに供給された処理液は、回転するウェハWから遠心力により振り落とされ、さらに回転カバー25の内周面に捕らえられ、液体排出孔25bに流れ込む。なお、図示しないが、液体供給ノズル27は、その液体供給口がウェハWの上面を向くように、すなわち、処理液がウェハWの上面に供給されるように、スクラバー50に取り付けられてもよい。
チャック11の下方には、チャック11を上昇させるリフト機構30が設けられている。このリフト機構30は、チャック11の下方に配置されたリングステージ31と、このリングステージ31を支持する複数のロッド32と、これらロッド32を上昇させるアクチュエータとしてのエアシリンダ33とを備えている。リフト機構30は、回転基台16からは分離しており、リフト機構30は回転しない構成となっている。
図4はウェハWおよびチャック11が上昇位置にある状態を示す図である。図4に示すように、エアシリンダ33は、複数のロッド32を介してリングステージ31を上昇させる。リングステージ31の上方向の移動により全てのチャック11が同時に上昇する。エアシリンダ33の動作を停止させると、チャック11に固定されたばね18によりチャック11が下降する。図3は、チャック11が下降位置にある状態を示している。このように、リフト機構30とばね18とにより、チャック11を上下動させる上下動機構が構成される。
図示はしないが、エアシリンダ33に代えて、チャック11をそれぞれ同時に上昇させる複数の電動シリンダを使用してもよい。例えば、8つのチャック11に対して8つの電動シリンダが設けられてもよい。この場合は、リングステージ31は使用されない。ウェハWの回転が停止するときは、各チャック11が各電動シリンダの上方に位置するようにチャック11の停止位置が制御される。これら電動シリンダの動作を同期させるために、共通のドライバーにより電動シリンダの動作が制御される。
チャック11は、ウェハWの周縁部を保持するクランプ40を備えている。これらクランプ40のそれぞれは、ウェハWの周縁部を保持する第1位置と、ウェハWから離間した第2位置との間を移動可能である。チャック11が図3に示す下降位置にあるときは、複数のクランプ40は、第1位置に移動してウェハWを保持する。チャック11が図4に示す上昇位置にあるときには、複数のクランプ40は、第2位置に移動して、すなわち、ウェハWから離間して該ウェハWをリリースする。
図2に示すように、スクラバー50は、ウェハWの上側に配置されている。スクラバー50はスクラバーシャフト51を介して揺動アーム53の一端に連結されており、揺動アーム53の他端は揺動軸54に固定されている。揺動軸54は軸回転機構55に連結されている。この軸回転機構55により揺動軸54が駆動されると、スクラバー50が図2に示す処理位置とウェハWの半径方向外側にある退避位置との間を移動するようになっている。揺動軸54には、スクラバー50を上下方向に移動させるスクラバー昇降機構56がさらに連結されている。このスクラバー昇降機構56は、揺動軸54およびスクラバーシャフト51を介してスクラバー50を昇降させる。スクラバー50は、スクラバー昇降機構56によりウェハWの上面に接触するまで下降される。スクラバー昇降機構56としては、エアシリンダ、またはサーボモータとボールねじとの組み合わせなどが使用される。
スクラバー50が連結された揺動アーム53、揺動アーム53が固定された揺動軸54、揺動軸54が連結された軸回転機構55、およびスクラバー昇降機構56は、第1のスクラバー移動機構を構成している。なお、第1のスクラバー移動機構は、上述した構成要素(すなわち、揺動アーム53、揺動軸54、軸回転機構55、およびスクラバー昇降機構56)以外の構成を備えてもよい。
図5は、スクラバー50および揺動アーム53の内部構造を示す図である。図5に示すように、揺動アーム53には、スクラバー50をその軸心を中心として回転させるスクラバー回転機構58が配置されている。このスクラバー回転機構58は、スクラバーシャフト51に固定されたプーリp1と、揺動アーム53に設けられたモータM1と、モータM1の回転軸に固定されたプーリp2と、プーリp1,p2に掛け渡されたベルトb1とを備えている。モータM1の回転は、プーリp1,p2およびベルトb1によりスクラバーシャフト51に伝達され、スクラバーシャフト51とともにスクラバー50が回転する。
図6は、スクラバー50を下方から見た図である。スクラバー50の下面は、基板回転機構10に保持されているウェハWの上面(ウェハWの表面または裏面)をスクラブ(擦り洗いまたは研磨)する円形のスクラブ面を構成する。スクラバー50は、ウェハWの上面に対向して配置された複数のスクラブ部材としてのクリーニングテープ61を備えている。スクラバー50は、複数の(図6では3つの)テープカートリッジ60を備えており、各テープカートリッジ60にクリーニングテープ61が収容されている。これらのテープカートリッジ60は、着脱可能にスクラバー50の内部に設置されている。
ウェハWのスクラブ処理をするときは、スクラバー回転機構58によりスクラバー50がその軸心を中心として回転し、クリーニングテープ61がスクラバー50の中心軸周りに回転する。これによりクリーニングテープ61がウェハWの上面に摺接される。このように、スクラバー50のスクラブ面は、回転する複数のクリーニングテープ61により形成される。
ウェハWの下面は、流体圧により支持されているので、ウェハWを撓ませることなく大きな荷重でクリーニングテープ61をウェハWの上面に対して押し付けることができる。ウェハWの上面を構成する材料は、クリーニングテープ61との摺接により僅かに削り取られ、これにより、ウェハWに付着している異物やウェハWの表面傷を除去することができる。スクラバー50によって削り取られるウェハWの量は50nm以下であることが好ましく、ウェハWのスクラブ処理を行った後の表面粗さは5μm以下であることが好ましい。このように、ウェハWの表面を僅かに削り取ることにより、ウェハWに食い込んでいる100nm以上のサイズの異物を100%除去することができる。
図7は、スクラバー50に備えられたテープカートリッジ60を示す断面図である。図7に示すように、テープカートリッジ60は、クリーニングテープ61と、このクリーニングテープ61をウェハWに対して押し付ける押圧部材62と、この押圧部材62をウェハに向かって付勢する付勢機構63と、クリーニングテープ61を繰り出すテープ繰り出しリール64と、洗浄に使用されたクリーニングテープ61を巻き取るテープ巻き取りリール65とを備えている。クリーニングテープ61は、テープ繰り出しリール64から、押圧部材62を経由して、テープ巻き取りリール65に送られる。複数の押圧部材62は、スクラバー50の半径方向に沿って延びており、かつスクラバー50の周方向において等間隔に配置されている。したがって、各クリーニングテープ61のウェハ接触面(基板接触面)は、スクラバー50の半径方向に延びている。図7に示す例では、付勢機構63としてばねが使用されている。
テープ巻き取りリール65は、図5および図6に示すテープ巻き取り軸67の一端に連結されている。テープ巻き取り軸67の他端には、かさ歯車69が固定されている。複数のテープカートリッジ60に連結されたこれらのかさ歯車69は、モータM2に連結されたかさ歯車70と噛み合っている。したがって、テープカートリッジ60のテープ巻き取りリール65は、モータM2により駆動されてクリーニングテープ61を巻き取るようになっている。モータM2、かさ歯車69,70、およびテープ巻き取り軸67は、クリーニングテープ61をテープ繰り出しリール64からテープ巻き取りリール65に送るテープ送り機構を構成する。
クリーニングテープ61は、10mm〜60mmの幅を有し、20m〜100mの長さを有する。クリーニングテープ61に使用される材料としては、不織布、織布、編み布が挙げられる。好ましくは、PVAスポンジよりも硬い不織布が使用される。このような不織布を使用することで、ウェハWに付着している異物、特にウェハWの表面に食い込んだ異物を除去することができる。砥粒を有しないクリーニングテープ61に代えて、砥粒を含む研磨層が片面に形成された研磨テープをスクラブ部材として用いてもよい。
ウェハWのスクラブ処理中は、クリーニングテープ61は、テープ繰り出しリール64からテープ巻き取りリール65に所定の速度で送られる。したがって、常に新しい(未使用の)クリーニングテープ61の面がウェハWに接触する。クリーニングテープ61は、その終端の近傍にエンドマーク(図示せず)を有している。このエンドマークは、クリーニングテープ61に近接して配置されたエンドマーク検知センサ71によって検知されるようになっている。エンドマーク検知センサ71がクリーニングテープ61のエンドマークを検知すると、エンドマーク検知センサ71から検知信号が動作制御部(図示せず)に送られる。検知信号を受け取った動作制御部は、クリーニングテープ61の交換を促す信号(警報など)を発するようになっている。テープカートリッジ60は、別々に取り外しが可能となっており、簡単な操作でテープカートリッジ60を交換することが可能となっている。
スクラバー50の退避位置は基板回転機構10の外側にあり、スクラバー50は退避位置と処理位置との間を移動する。スクラバー50の退避位置には、処理液(例えば、純水)が貯留されたタンク(図示せず)が設置されている。スクラバー50が退避位置にあるときは、スクラブ部材(より具体的には、クリーニングテープ61)の乾燥を防止するために、スクラバー50の下面(スクラブ面)が浸水される。タンクの処理液は、スクラバー50がウェハWの表面処理を行うたびに入れ替えられ、常に清浄な状態に維持される。
図8は、テープカートリッジ60の他の実施形態を示す図である。図8に示すように、テープカートリッジ60は、複数の(本実施形態では、3つの)押圧部材62A〜62Cと、これら押圧部材62A〜62CをウェハWに向かって付勢する複数の(本実施形態では、3つの)付勢機構63A〜63Cとを備えている。付勢機構63A〜63Cは、押圧部材62A〜62Cにそれぞれ連結されている。図8に示す例では、付勢機構63A〜63Cとして伸縮自在なエアシリンダ(伸縮部材)が使用されている。本実施形態では、押圧部材62A〜62Cのそれぞれは、回転可能なローラーから構成されている。
これら押圧部材62A〜62Cおよび付勢機構63A〜63Cは互いに平行に、かつ等間隔に配置されている。ウェハWの上面をスクラブ処理する場合、図8に示すように、中央の付勢機構63Aを伸張して、中央の押圧部材62Aの下面を両側の押圧部材62B,62Cの下面よりも下に位置させる。結果として、クリーニングテープ61は、押圧部材62Aの外周面に沿って湾曲し、この湾曲した部分がウェハWの上面に局所的に接触される。付勢機構63Aを伸張させる代わりに、両側の付勢機構63B,63Cを収縮させてもよい。図8に示す例では、クリーニングテープ61は、ウェハWの上面に線接触するため、ウェハWの上面を精密に処理することができる。クリーニングテープ61の代わりに研磨テープが使用されてもよい。
図9は、付勢機構63Aを収縮させた状態のテープカートリッジ60を示す図である。図9に示すように、付勢機構63Aを収縮させて、押圧部材62Aの下面を押圧部材62B,62Cの下面よりも上に位置させる。結果として、押圧部材62Aはクリーニングテープ61から離間し、クリーニングテープ61は、押圧部材62B,62Cの外周面に沿って湾曲する。これら湾曲部分の間を延びるクリーニングテープ61はウェハWに広範囲に亘って接触される。付勢機構63Aを収縮させる代わりに、両側の付勢機構63B,63Cを伸張してもよい。クリーニングテープ61は、ウェハWに面接触するため、ウェハWの処理レート(研磨レート)を向上させることができる。
一実施形態では、スクラバー50は、砥粒を含む研磨液が含浸されたパッド部材をスクラブ部材として備えてもよい。この砥粒を含む研磨液は、図示しない研磨液供給機構から直接パッド部材に供給されるように構成することができる。他の実施形態では、スクラバー50は、砥石が設けられたグラインダーをスクラブ部材として備えてもよい。砥石は、グラインダーのウェハWとの接触面に所定間隔で設けられている。グラインダーは、半球形状または円錐台形状を有してもよい。
図10(a)は、チャック11のクランプ40を示す平面図であり、図10(b)は、クランプ40の側面図である。図10(a)および図10(b)に示すように、チャック11は、クランプ40と、自身の軸心AXを中心に回転可能な支柱203と、クランプ40に連結されたカムフォロワ205とを備えている。カムフォロワ205は支柱203を介してクランプ40に連結されている。なお、カムフォロワ205の詳細な説明は後述する。
クランプ40は、鉛直方向に延びる支柱203の上端に設けられており、かつ支柱203の軸心AXから離れた位置に配置されている。本実施形態では、クランプ40は、円筒形状を有しており、ウェハWの周縁部を保持することが可能である。支柱203の上端には、クランプ40から支柱203の軸心AXに向かって延びる位置決め部41が形成されている。位置決め部41は支柱203の軸心AX上に位置している。位置決め部41はクランプ40の側面に一体的に接続されている。この位置決め部41の中心側の端部は、支柱203と同心の円に沿って湾曲した側面41aを有している。支柱203の上端は、下方に傾斜するテーパ面となっている。
図11(a)はクランプ40がウェハWを保持した状態を示す平面図であり、図11(b)はクランプ40がウェハWから離間した状態を示す平面図である。図11(a)では、クランプ40は第1位置にあり、図11(b)では、クランプ40は第2位置にある。ウェハWは、支柱203の上端(テーパ面)上に載置され、そして、支柱203をその軸心AXを中心に回転させることにより、クランプ40を第1位置に移動させる。これにより、図11(a)に示すように、ウェハWの周縁部がクランプ40に保持される。このとき、クランプ40の一部はウェハWのトップエッジ部E1(図1(a)および図1(b)参照)の上方に位置する。
支柱203をその軸心AXを中心に反対方向に回転させると、図11(b)に示すように、クランプ40がウェハWから離れ、これによりウェハWが解放される。このとき、ウェハWの周縁部は、位置決め部41の中心側端部の側面41aに接触する。したがって、位置決め部41の側面41aによって、支柱203の回転に伴うウェハWの変位を制限することができ、その後のウェハ搬送の安定性を向上させることができる。
図12(a)は、チャック11の断面図であり、図12(b)は図12(a)のA−A線断面図である。回転基台16の突出部16aには上下に延びる貫通孔が形成されており、この貫通孔に支柱203が挿入されている。貫通孔の直径は支柱203の直径よりも僅かに大きく、したがって支柱203およびクランプ40は回転基台16に対して上下方向に相対移動可能となっており、さらに支柱203およびクランプ40は、軸心AXを中心に回転可能となっている。
支柱203の下部には、ばねストッパー11aが取り付けられている。支柱203の周囲にはばね18が配置されており、ばねストッパー11aによってばね18が支持されている。ばね18の上端は回転基台16の突出部16aを押圧している。したがって、ばね18によって支柱203およびクランプ40には下向きの力が作用している。支柱203の外周面には、貫通孔の直径よりも大きい径を有するチャックストッパー11bが形成されている。したがって、支柱203およびクランプ40は、図12(a)に示すように、下方への移動がチャックストッパー11bによって制限される。
回転基台16には第1の磁石43が埋設されており、この第1の磁石43は支柱203の側面に対向して配置されている。支柱203には第2の磁石44および第3の磁石45が配置されている。これら第2の磁石44および第3の磁石45は、上下方向に離間して配列されている。これらの第1〜第3の磁石43,44,45としては、ネオジム磁石が好適に用いられる。
図13は、第2の磁石44と第3の磁石45の配置を説明するための模式図であり、支柱203の軸方向から見た図である。図13に示すように、第2の磁石44と第3の磁石45とは、支柱203の周方向においてずれて配置されている。すなわち、第2の磁石44と支柱203との中心とを結ぶ線と、第2の磁石44と支柱203の中心とを結ぶ線とは、支柱203の軸方向から見たときに所定の角度αで交わっている。
チャック11が、図12(a)に示す下降位置にあるとき、第1の磁石43と第2の磁石44とが互いに対向する。このとき、第1の磁石43と第2の磁石44との間には引き合う力が働く。この引力は、支柱203およびクランプ40に軸心AXを中心に回転する力を与え、その回転方向は、クランプ40がウェハWに近接する方向である。したがって、図12(a)に示す下降位置は、ウェハWを保持するクランプ位置(すなわち、第1位置)となる。
以下、本明細書において、これら磁石43,44を総称してクランプ付勢機構と呼ぶことがある。このクランプ付勢機構は、磁石43,44の間に作用する引力によりクランプ40を第2位置から第1位置への方向に付勢する。
図14(a)は、リフト機構30によりチャック11を上昇させたときの断面図であり、図14(b)は図14(a)のB−B線断面図である。リフト機構30によりチャック11を図14(a)に示す上昇位置まで上昇させると、第1の磁石43と第3の磁石45とが対向し、第2の磁石44は第1の磁石43から離間する。このとき、第1の磁石43と第3の磁石45との間には引き合う力が働く。この引力は支柱203およびクランプ40に軸心AXを中心に回転する力を与え、その回転方向は、クランプ40がウェハWから離間する方向である。したがって、図14(a)に示す上昇位置は、基板をリリースするアンクランプ位置(すなわち、第2位置)である。
第2の磁石44と第3の磁石45とは支柱203の周方向においてずれた位置に配置されているので、支柱203の上下移動に伴って支柱203には回転力が作用する。この回転力によって支柱203に設けられたクランプ40にウェハWを保持する力とウェハWを解放する力が与えられる。したがって、支柱203およびクランプ40を上下させるだけで、ウェハWを保持し、かつ解放することができる。
支柱203の側面には、その軸心AXに沿って延びる溝46が形成されている。この溝46は円弧状の水平断面を有している。回転基台16の突出部16aには、溝46に向かって突起する突起部47が形成されている。この突起部47の先端は、溝46の内部に位置しており、突起部47は溝46に緩やかに係合している。この溝46および突起部47は、支柱203およびクランプ40の回転角度を制限するために設けられている。
ウェハWの周縁部がチャック11に保持されているとき、クランプ40の一部はウェハWのトップエッジ部E1(図1(a)および図1(b)参照)の上方に位置している。従来では、例えば特許文献2に示すように、ウェハWの上面の全体を処理するためには、ウェハWの上面の外側側領域を処理する工程と、ウェハWの上面の中心側領域を処理する工程とが必要である。本実施形態では、基板処理装置は、ウェハWが回転している間に複数のクランプ40を個別的に所定の位置で第1位置から第2位置に移動させて、トップエッジ部E1を含むウェハWの上面の全体を処理するクランプ移動機構200を備えている。したがって、本実施形態によれば、ウェハWの上面の全体の処理を1つの工程(すなわち、1台の基板処理装置)で行うことができる。
図15はクランプ移動機構200の斜視図である。図16は静圧支持機構90とクランプ移動機構200とを示す平面図である。図17は、スクラバー50とクランプ移動機構200とを示す平面図である。図15乃至図17では、クランプ移動機構200を説明するために必要な要素のみが描かれている。クランプ移動機構200は、スクラバー50に近接して配置されたカム201と、上述したカムフォロワ205とを備えている。
以下、カムフォロワ205の詳細について、図10(a)および図10(b)を参照しつつ説明する。図10(a)および図10(b)に示すように、カムフォロワ205は、支柱203の軸心AXを中心に支柱203と一体に回転可能であり、かつ支柱203の軸心AXから離れた位置にあるカム接触面202を有している。カムフォロワ205は、クランプ40の下方に配置されており、かつ回転基台16の突出部16aの上方に配置されている。カム接触面202は、カム201と同じ高さに配置されており、カム接触面202を含むカムフォロワ205はカム201と接触可能である。
カムフォロワ205は、カム201との接触によりクランプ40を支柱203の軸心AX周りに回転させる要素である。カムフォロワ205は、支柱203を介してクランプ40に連結されているので、カムフォロワ205とカム201との接触によりクランプ40を第1位置から第2位置まで移動させることができる。
本実施形態では、カムフォロワ205は、支柱203の外面から外側に向かって延びるリング状の突出部であり、カム接触面202はこの突出部の一部を構成している。本実施形態では、カムフォロワ205の直径は支柱203の直径よりも大きい。一実施形態では、カムフォロワ205は支柱203の外面の一部から突出していてもよい。他の実施形態では、カムフォロワ205は、支柱203の外面の一部に形成された窪み部であってもよい。この場合、カム接触面202はこの窪み部の一部または全部を構成している。カムフォロワ205と支柱203とは一体成形部材であってもよく、または、カムフォロワ205と支柱203とは別部材であってもよい。
カム接触面202は、支柱203の軸心AXと平行に延びる平坦面である。したがって、カムフォロワ205は、平坦面であるカム接触面202と、カム接触面202に接続された曲面とを有している。チャック11を上から見たときに、カム接触面202は、支柱203の軸心AXを挟んでクランプ40とは反対側に配置されている。カム接触面202は、クランプ40の下方に配置されている。
カム201の詳細について説明する。図2および図15に示すように、カム201は、基板回転機構10の内側の空間、より具体的には、複数のチャック11で囲まれた空間に配置されており、クランプ40の下方に配置されている。したがって、カム201は、複数のクランプ40に保持されたウェハWの下方に配置されている。本実施形態では、カム201は、円弧状の形状を有しており、水平に、すなわち、クランプ40に保持されたウェハWと平行に延びている。本実施形態では、カム201は、板形状を有しているが、カム201の形状は、この実施形態に限定されず、例えば、円筒形状を有してもよい。
カム201の材質は、特に限定されず、金属または樹脂から構成されてもよい。カム201は、カムフォロワ205がカム201に接触可能であれば、必ずしも基板回転機構10の内側の空間に配置される必要はなく、カム201の形状によっては基板回転機構10の外側の空間に配置されてもよい。
図16に示すように、カム201は、静圧支持機構90に固定されており、静圧支持機構90と一体成形部材である。一実施形態では、カム201は、静圧支持機構90とは別部材であってもよく、他の実施形態では、カム201は、静圧支持機構90とは独立して設けられてもよい。カム201は、基板回転機構10の内側の空間に設けられた支持部材(図示しない)に支持されてもよい。カム201は、静圧支持機構90の外側に向かって延びており、カム接触面202が接触する円弧面201aを有している。円弧面201aは、静圧支持機構90とチャック11との間に位置している。
この円弧面201aは、静圧支持機構90の外側に張り出した円弧状の面であり、複数のチャック11の進行方向に沿って延びている。円弧面201aは、カムフォロワ205に接触することができるように、チャック11の進路内に位置している。したがって、複数のチャック11が中空モータ12により回転すると、カムフォロワ205のカム接触面202は、所定の区間(すなわち、円弧面201aがチャック11の進路内に位置している区間)だけカム201の円弧面201aに接触して、クランプ40を第1位置から第2位置に移動させる。
カム201は、スクラバー50の下方に位置しており、ウェハWの回転方向、すなわち、複数のチャック11の回転方向においてスクラバー50の上流からスクラバー50の下流まで延びている。したがって、図17に示すように、スクラバー50およびカム201を上から見たとき、カム201の一部は、スクラバー50の上流および下流においてスクラバー50からはみ出している。
カム201は、クランプ40を第1位置から第2位置に移動させるべき位置に配置されている。同様に、カム201は、クランプ40を第2位置から第1位置に移動させるべき位置に配置されている。
図18乃至図23は、クランプ40が第1位置と第2位置との間を移動する様子を示す図である。図18乃至図23では、1つのチャック11のみが図示されており、このチャック11の動作が説明される。図18に示すように、チャック11が中空モータ12の回転によりウェハWの円周方向に沿って進行すると、チャック11はスクラバー50に近づき、やがて、チャック11のカムフォロワ205はカム201の円弧面201aに接触する。
図19に示すように、チャック11は、カムフォロワ205がカム201に接触した状態でさらに進行すると、支柱203は、カムフォロワ205とカム201の円弧面201aとの摩擦により支柱203の軸心AXを中心として回転する。クランプ40は支柱203に設けられているので、クランプ40は、支柱203の回転により第1位置から第2位置まで移動して、クランプ40はウェハWから離間する。
支柱203がその軸心AXを中心として回転すると、カム接触面202はカム201の円弧面201aに接触する。カム接触面202は平坦面であるため、カム接触面202が円弧面201aに接触している限り、クランプ40の第2位置から第1位置への移動は制限される。したがって、カム201は、クランプ回転制限プレートとも呼ぶことができる。図20および図21に示すように、チャック11は、カム接触面202が円弧面201aに接触したままウェハWの円周方向に進行する。したがって、チャック11は、クランプ40の位置が第2位置に維持されたまま進行する。
チャック11がさらに進行して、チャック11がスクラバー50から遠ざかる方向に移動すると(図22参照)、図23に示すように、カム接触面202はカム201の円弧面201aの終端において円弧面201aから離間する。結果として、クランプ40の第2位置から第1位置への移動の制限は解除される。したがって、図23に示すように、クランプ40は、クランプ付勢機構(すなわち、磁石43,44)により第2位置から第1位置に移動し、チャック11はウェハWの周縁部を再び保持する。クランプ付勢機構は、カム201およびカムフォロワ205と同様に、クランプ移動機構200を構成する要素である。
図24はスクラバー50およびカム201の平面図である。図25はスクラバー50およびカム201の側面図である。図24および図25に示すように、回転するクリーニングテープ61から構成されるスクラブ面は、ウェハWの上面に接触している。このスクラブ面は、ウェハWの中心CPおよびウェハWのトップエッジ部E1(図1(a)および図1(b)参照)を含む領域に接触することができる。なお、スクラバー50は、水平方向に揺動しながらウェハWをスクラブ処理してもよい。
本実施形態によれば、カムフォロワ205とカム201との組み合わせにより、カムフォロワ205は、クランプ40がスクラバー50に接触する前にクランプ40を第1位置から第2位置まで移動させることができる。したがって、スクラバー50は、クランプ40がスクラバー50に接触することなく、ウェハWの上面全体をスクラブ処理することができる。したがって、ウェハWのトップエッジ部E1(図1(a)および図1(b)参照)を含むウェハWの上面(表面または裏面)の全体を1つの工程で確実に処理することができる。結果として、スクラバー50は、ウェハWの表面および/または裏面の全体に付着した異物を確実に除去することができる。
さらに本実施形態によれば、クランプ移動機構200(すなわち、カムフォロワ205、カム201、およびクランプ付勢機構)は複数のクランプ40に保持されたウェハWの下方に位置している。したがって、仮に、カムフォロワ205がカム201に接触して、パーティクルが発生しても、パーティクルはスクラブ処理中のウェハWの上面には接触しない。
本実施形態では、基板処理装置は、8つのチャック11を備えており、ウェハWの周縁部は、基本的に8つのクランプ40で保持される。ウェハWのスクラブ処理中において、複数のクランプ40のうち、少なくとも1つのクランプ40が第1位置から第2位置まで移動し、他のクランプ40はウェハWの周縁部を保持する。したがって、ウェハWが基板回転機構10により回転しても、ウェハWはチャック11から離間して、外部に飛び出すことはない。
本実施形態によれば、ウェハWの周縁部を保持するクランプ40の数は、任意に決定することができる。一実施形態では、基板処理装置に設けられるクランプ40の数は、ウェハWのスクラブ処理中に第1位置から第2位置まで移動するクランプ40の数に数値4(すなわち、4つのクランプ40)を加えた数である。したがって、例えば、8つのクランプ40が設けられる場合、ウェハWのスクラブ処理中に第1位置から第2位置まで移動することができるクランプ40の数は4である。第1位置から第2位置まで移動させるクランプ40の数はカム201の円弧面201aの大きさやクランプ40の配置間隔などの要素に基づいて決定される。
上述した実施形態では、1つのカム201が設けられているが、カム201の数は本実施形態に限定されない。ウェハWが回転しても外部に飛び出さなければ、つまり、クランプ40がウェハWを確実に保持することができれば、基板処理装置は、複数の(少なくとも2つ以上)カムを備えてもよい。一実施形態では、複数のカムは互いに近接して配置されてもよく、他の実施形態では、複数のカムは、ウェハWの中心CPを挟んで対称的に配置されてもよい。
次に、本実施形態の基板処理装置の動作について説明する。スクラバー50は、基板回転機構10の外側の退避位置に移動される。この状態で、ウェハWは、図示しない搬送機により基板回転機構10の上方に搬送される。上記リフト機構30によりチャック11が上昇し、ウェハWがチャック11の上端に載置される。チャック11が下降すると、チャック11のクランプ40によりウェハWが保持される。ウェハWは、裏面(すなわち、デバイスが形成されていない面)が上を向き、デバイスが形成されている面が下を向くように、基板回転機構10に保持される。
スクラバー50は退避位置から処理位置に移動される。ウェハWは、基板回転機構10により所定の速度で回転される。スクラバー50はスクラバー回転機構58により回転されつつ、クリーニングテープ61がウェハWの上面に接触するまでスクラバー昇降機構52により下降される。ウェハWの上面に液体供給ノズル27から処理液として純水が供給されつつ、ウェハWの上面は、回転するクリーニングテープ61から構成されるスクラブ面により処理される。純水に代えて、砥粒を含む研磨液を処理液として使用してもよい。あるいは、表面に砥粒が付着したクリーニングテープを使用してもよい。また、処理液を使用しないで、ドライな状態でクリーニングテープ61をウェハWに摺接してもよい。
スクラブ処理中は、ウェハWはその下方から静圧支持機構90により支持されており、この状態でスクラバー50は、その軸心を中心として複数のクリーニングテープ61を回転させながら、該クリーニングテープ61をウェハWの上面に摺接させる。これにより、ウェハWの上面に付着している異物やウェハ面上の傷を除去することができる。ウェハWは静圧支持機構90により支持されているので、スクラバー50は大きな荷重でクリーニングテープ61をウェハWに摺接させることができる。したがって、従来の洗浄装置では除去することができなかった比較的大きな異物や、ウェハWの表面に食い込んだ異物を除去することができる。
スクラバー50とウェハWは同じ方向に回転される。スクラバー50の回転速度は、ウェハWに接触するクリーニングテープ61の全ての部位においてウェハWとクリーニングテープ61との相対速度が同じとなるように設定される。このようなスクラバー50の回転速度は、ウェハWの回転速度に依存して決定される。ウェハWのスクラブ処理終了後、スクラバー50は退避位置に移動される。
ウェハWのスクラブ処理終了後、スクラバー50は退避位置に移動される。ウェハWの上面には洗浄液としての純水が上記液体供給ノズル27から供給され、スクラブ処理で発生した屑が洗い流される。その後、必要に応じて、洗浄ノズル100から、洗浄液がウェハWの上面に供給され、スクラバー50で除去されなかった微小な異物や屑が除去される。洗浄ノズル100は、ウェハWの上方に配置されている。ウェハWの洗浄中に、ウェハWを静圧支持機構90により支持してもよい。
図26は基板処理装置の他の実施形態を示す図である。図26では、図面を見やすくするために、静圧支持機構90の図示は省略されている。図26に示すように、スクラバー50は、パッド部材150をスクラブ部材として備えている。本実施形態では、パッド部材(研磨具)150は、表面に砥粒が付着され、または固定された弾性部材である。スクラバー50およびパッド部材150は、楕円形状を有しているが、これらスクラバー50およびパッド部材150の形状は本実施形態に限定されず、円形状を有してもよい。
スクラバー50は、砥粒を有しないクリーニングテープ61、砥粒を有する研磨テープ、研磨液供給機構から供給された砥粒を含む研磨液が含浸されるように構成されたパッド部材、表面に砥粒が付着若しくは固定された弾性部材、または砥石を有するグラインダーのいずれか1つ、またはこれらのいずれかから選択された組み合わせからなるスクラブ部材を備えていてもよい。
パッド部材150はスクラバー50の下面に設けられており、ウェハWの上面に接触可能である。本実施形態では、スクラバー50は揺動アーム53の一端に固定されており、揺動アーム53の他端には、揺動軸54が固定されている。揺動軸54が駆動されると、スクラバー50は、ウェハWの上面の上方の処理位置とウェハWの半径方向外側にある退避位置との間を移動する。
液体供給ノズル27は、ノズル旋回軸151に連結されており、ノズル旋回軸151を中心として旋回可能に構成されている。液体供給ノズル27は、ウェハWの上面の上方の処理位置とウェハWの半径方向外側にある退避位置との間を移動するように構成されている。退避位置には、液体供給ノズル27の先端(すなわち、液体供給口)を洗浄するノズル洗浄部152が設けられてもよい。液体供給ノズル27が退避位置にあるとき、液体供給ノズル27の先端はこのノズル洗浄部152で洗浄される。
図27は基板処理装置のさらに他の実施形態を示す図である。図27においても、静圧支持機構90の図示は省略されている。図27では、基板処理装置は、水平方向に延びる固定ベース160と、固定ベース160に連結され、固定ベース160上を水平方向に移動可能に構成されたリフタ161とをさらに備えている。固定ベース160およびリフタ161はウェハWの半径方向外側、すなわち、基板回転機構10の外側に配置されている。本実施形態でも、スクラバー50は、パッド部材150をスクラブ部材として備えている。なお、本実施形態では、スクラバー50およびパッド部材150は円形状を有しているが、図26に示す実施形態と同様に、スクラバー50およびパッド部材150は、楕円形状を有してもよい。
リフタ161には、スクラバーアーム153が固定されている。このスクラバーアーム153はリフタ161からウェハWに向かって水平方向に延びるアーム部材である。スクラバー50は、スクラバーアーム153の一端に固定されており、スクラバーアーム153の他端はリフタ161に固定されている。したがって、スクラバー50は、リフタ161と一体に水平方向に移動し、かつリフタ161によって上昇および下降される。リフタ161を鉛直方向および水平方向に移動させる駆動源としては、リニアモータまたはラック・アンド・ピニオンを挙げることができる。このような構成により、スクラバー50は、リフタ161によって水平方向および鉛直方向、すなわち、ウェハWの上面に対して直線状に移動可能である。固定ベース160およびリフタ161は、第2のスクラバー移動機構を構成している。なお、この第2のスクラバー移動機構は、上述した構成要素(すなわち、固定ベース160およびリフタ161)以外の構成要素を備えてもよい。
図28は基板処理装置のさらに他の実施形態を示す図である。本実施形態でも、スクラバー50は、パッド部材150をスクラブ部材として備えている。本実施形態では、液体供給ノズル27は、揺動アーム53(またはスクラバー50)の側面に取り付けられており、液体供給ノズル27は、スクラバー50とともに移動することができる。つまり、揺動軸54の駆動により、スクラバー50が水平方向に旋回すると、スクラバー50とともに液体供給ノズル27も水平方向に旋回し、スクラバー昇降機構56(図2参照)により、スクラバー50が昇降すると、スクラバー50とともに液体供給ノズル27も昇降する。この液体供給ノズル27は、液体供給ライン154を介して図示しない液体供給源に接続されている。
図29は、上述した基板処理装置を備えた基板処理システムの一実施形態を模式的に示す平面図である。本実施形態では、基板処理システムは、多数のウェハをストックするウェハカセットが載置されるフロントロード部121を備えたロードアンロード部120を有している。フロントロード部121には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、またはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができるようになっている。SMIF、FOUPは、内部にウェハカセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
ロードアンロード部120には、フロントロード部121の配列方向に沿って移動可能な第1の搬送ロボット(ローダー)123が設置されている。第1の搬送ロボット123はフロントロード部121に搭載されたウェハカセットにアクセスして、ウェハをウェハカセットから取り出すことができるようになっている。
基板処理システムは、水平方向に移動可能な第2の搬送ロボット126と、この搬送ロボット126の移動方向に沿って配置された複数の基板処理装置127と、基板処理システム全体の動作を制御する動作コントローラ133と、研磨されたウェハを洗浄する洗浄ユニット172と、洗浄されたウェハを乾燥させる乾燥ユニット173とをさらに備えている。これら基板処理装置127は、上述した基板処理装置と同様の構成を備えており、図29に示す実施形態では、基板処理装置127は、スクラブ部材を有するスクラバー(研磨ヘッド)50を備えた研磨装置である。
ウェハカセット内のウェハは、第1の搬送ロボット123によって基板処理装置127に搬送され、ここでウェハの上面が研磨される。ウェハは第2の搬送ロボット126により基板処理装置127から取り出され、洗浄ユニット172に搬送される。一実施形態では、洗浄ユニット172は、ウェハを挟むように配置された上側ロールスポンジおよび下側ロールスポンジを備えており、洗浄液をウェハの両面に供給しながらこれらロールスポンジでウェハの両面を洗浄する。
洗浄されたウェハは、第2の搬送ロボット126によって乾燥ユニット173に搬送される。一実施形態では、乾燥ユニット173は、ウェハをその軸心まわりに高速で回転させることによってウェハをスピン乾燥する。乾燥されたウェハは、第1の搬送ロボット123によりフロントロード部121のウェハカセットに戻される。このようにして、基板処理システムは、ウェハの研磨、洗浄、および乾燥の一連の工程を行うことができる。
ウェハの上面の全体を研磨するために、従来の基板処理システム(例えば、特許文献2参照)は、ウェハの外周側領域を研磨する第1基板処理装置と、ウェハの中心側領域を研磨する第2基板処理装置とを備えている。つまり、従来の基板処理システムでは、合計2台の基板処理装置が必要である。さらに、このようなシステムでは、少なくとも2つの処理を経なければ、ウェハの上面の全体を処理することができない。
本実施形態では、基板処理装置は、クランプ移動機構200を備えているため、基板処理システムは、ウェハの上面の全体を1台の基板処理装置127で研磨することができる。したがって、基板処理システムは、従来の基板処理システムと同じ面積でより多くの基板処理装置127を備えることができる。本実施形態では、基板処理システムは、2台の基板処理装置127を備えており、各基板処理装置127でウェハの上面の全体を処理することができるため、ウェハのスループットを向上することができる。
図30は基板処理システムの他の実施形態を示す図である。ウェハWの上面の全体を1つの工程で処理することができるため、基板処理システムは、1台の基板処理装置127を備えてもよい。図30に示すように、洗浄ユニット172および乾燥ユニット173は上下方向に重なるように配置されてもよい。本実施形態によれば、基板処理システムは、少なくとも1台の基板処理装置127を備えていればよいので、基板処理装置127の数を減らすことができる。したがって、基板処理システムのコストを減少することができ、さらには、基板処理システムの設置面積をさらに小さくすることができる。
基板処理システムは、1枚のウェハを複数の基板処理装置127で連続的に処理するシリアル処理と、複数枚のウェハを1台の基板処理装置127で並行して処理するパラレル処理と、複数枚のウェハを複数台の基板処理装置127で処理するシリアル処理とパラレル処理の組み合わせのいずれかを選択的に実行することができる。
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
例えば、ウェハWに対して1回だけスクラブ処理を行えばスクラブ処理が完了するような場合には、複数のチャック11の回転に伴ってクランプ40がスクラバー50に近づく方向に移動しているときに、クランプ40に連結されたカムフォロワ205をカム201に接触させてクランプ40を第1位置から第2位置まで移動させ、そのままスクラバー50をウェハWから離間させることで、スクラブ処理を終了させることも考えられる。このような場合には、クランプ付勢機構を構成上省略することも可能である。