以下、図面を参照して本発明の実施形態に係るブラシ装置を備えたモータを説明する。但し、以下に示す実施形態は本発明の技術思想を具体化するためのモータを例示するものであって、本発明をこれらに特定するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。また、車両のウインドウを払拭するワイパブレードを揺動駆動するためのワイパモータを例に挙げて説明するが、本発明の用途を限定するものではない。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係るモータ1について、図1〜8を参照して説明する。
まず、図1〜図3を用いて、本発明の実施形態に係るモータの概略構成について説明する。なお、図1は本発明の第1実施形態に係るモータ1の分解斜視図であり、図2は図1の部分断面図であり、図3は図1のブラシホルダ周囲を詳細に示した分解斜視図である。
<モータ1の全体構造>
モータ1は、車両のワイパ装置4の駆動源として使用されている。モータ1は、正逆転可能に制御されるモータ本体10と、モータ本体10に接続され、ギヤハウジング20に収納されている減速機構部33と、ギヤハウジング20の開口側を覆い、ギヤハウジング20との間に密閉空間を構成するカバー28と、密閉空間に配置される制御装置30と、密閉空間を減速機構部33側と制御装置30側とに仕切るインナーカバー23と、ブラシ41が支持されたブラシ装置40とから構成されている。
減速機構部33のギヤハウジング20の非開口側(図1の下側)には、出力軸32が突出している。出力軸32は、直接又はリンク機構を介して間接的に、先端に車両のウインドウガラスを払拭するワイパブレード3が取り付けられたワイパアーム2に接続されている。ワイパ装置4は、モータ本体10により出力軸32が正逆転可能に駆動され、ワイパアーム2が揺動運動されることにより、ワイパブレード3がウインドウガラス面の上反転位置と下反転位置との間を往復払拭されるように構成されている。
なお、第1実施形態では、モータ1を車両のワイパ装置4の駆動源として説明するが、本発明のモータ1の用途はワイパ装置4の駆動源に限るものではなく、広く一般の装置の駆動源として用いることができるものであり、例えば車両に搭載されるパワーシート、スライドドア、パワーウインドウ、サンルーフ等の用途にも適用可能である。
モータ本体10はブラシ付きの直流モータで構成されている。モータ本体10は、モータ本体10の筐体としてのステータヨーク11を含むステータと、ステータと同心状でステータの内側に回転自在に支持されたロータ12とから構成されている。ステータヨーク11は鉄等の磁性材料からなり、略有底円筒状に構成され、ステータヨーク11の円筒部の内周側には2極の永久磁石13がN極とS極が互いに対向するように設けられている。ロータの中心には丸棒状の回転軸16が有底円筒状のステータヨーク11と同軸上に設けられている。ステータヨーク11の開口側には、ステータヨーク11の開口端から回転軸の軸線と直交方向外側に張り出したフランジ11aが設けられており、このフランジ11aはヨーク連結部34の筒状部36のモータ本体10側に設けられたにフランジ36aに対してネジ11bにより固定されている。
ロータには、永久磁石13の内周面と対向するようにアーマチャ14が設けられており、このアーマチャ14はコイルが巻回された複数極の磁極を有し、各磁極が永久磁石13と対向している。また、ロータのステータヨーク11の開口側には、コイルに導通される整流子15が設けられており、ブラシホルダ42に支持された2個のブラシ41が摺接することにより、コイルに通電する構成となっている。
ステータヨーク11の非開口側(底部側)には軸受が設けられており、回転軸16の一端を回転可能に軸支している。回転軸16の整流子15よりも他端側は、ヨーク連結部34の底壁部56に設けられたボス部51に固定された軸受19により回転自在に支持されている。さらに回転軸16の軸受19よりも他端側はボス孔51aを貫通し、その先にはウォーム21が設けられている。ウォーム21の先端側は図示されない軸受により回転自在に支持されている。
ギヤハウジング20は、ギヤハウジング本体35の開口側に減速機構部33を収容し、ギヤハウジング本体35のモータ本体10側に一体に形成されたヨーク連結部34がブラシ装置40を収容する有底箱状の形状をしており、材料は金属、好ましくは導電金属、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金等の材料であり、例えばダイカスト成形等により形成されている。また、ギヤハウジング20は、開口側とは反対側の底板部20aから出力軸32が挿通支持される出力軸孔(不図示)、及び、モータ本体側と連通して回転軸16及び整流子15が挿通される開口部36bを有している。なお、ギヤハウジング20の材質はアルミニウムに限定されず、金属であればどのような材質であっても構わない。
ギヤハウジング本体35の開口側にはウォーム21及びウォームホイール22が収容されている。モータ本体10の回転軸の他端は、ボス孔51aを貫通した先端側にウォーム21が設けられており、さらにウォーム21の先端はギヤハウジング本体35に設けられた図示されない軸受により回転可能に支持されている。ウォーム21はウォームホイール22と噛み合っているので、モータ本体10の回転軸16の回転は、ウォーム21及びウォームホイール22の作用によりウォーム減速されて、出力軸32から出力される。
回路基板24は、例えばガラス樹脂基板であり、出力軸32の軸線方向を厚み方向とする略矩形の板状に形成されており、制御装置30の一部を構成している。回路基板24は、カバー28側の面に電界効果トランジスタ(以下、FETという。)25a、及び、電解コンデンサ25bを含む電子部品25が実装されており、カバー28に固定されている。FET25aは、例えば4個設けられてHブリッジを構成し、モータ本体10を正逆転駆動する。FET25aに接触する位置にはヒートシンク26が設けられており、カバー28においてヒートシンク26に対向する位置には冷却用のフィン29が設けられている。また、回路基板24のモータ本体10側にはブラシ装置40に通電するために雄コネクタ27aを有する接続端子27が設けられている。ブラシ装置40には雄コネクタ27aが挿入される雌コネクタ43が設けられており、雌コネクタ43に雄コネクタ27aを挿入することにより回路基板24からブラシ装置40のブラシ41へ通電する。
カバー28は有底箱状で、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属材料により、例えばダイカスト成形等により形成されており、周囲の縁部にはねじ孔31が設けられている。ギヤハウジング20の開口側に、カバー28の開口側を被せることにより、両者の間で密閉空間を構成する。ギヤハウジング20の開口側周囲の縁部には雌ねじ38が設けられている。カバー28の縁部に設けられたねじ孔31は雌ねじ38の位置に対応しており、ねじ孔31を貫通して雄ねじ(図示省略)を雌ねじ38に螺合することにより、カバー28はギヤハウジング20に対して固定される。
インナーカバー23は、ギヤハウジング20とカバー28とにより構成される密閉空間を、減速機構部33側と制御装置30側とに仕切るものであり、例えば樹脂材料により射出成形等を行うことにより形成されている。
以上の構造を備えるモータ1の動作は次のとおりである。モータ1には外部電源が接続される図示しない電源コネクタが設けられており、例えばHブリッジを構成するFET25a及び電解コンデンサ25b等からなる制御装置30には外部電源が供給されている。制御装置30から出力されるモータ本体10を正逆回転駆動するための制御電流は、接続端子27の雄コネクタ27a、雌コネクタ43、ピッグテール61(図4、図5を参照。)を介して一対のブラシ41へ給電される。一対のブラシ41はアーマチャコイルに電気的に接続された整流子15に摺接されているので、アーマチャコイルが巻回された回転子磁極が励磁される。ステータヨーク11の内側には2極の永久磁石13がN極とS極とを互いに対向し、永久磁石界磁を発生させるように設けられている。永久磁石界磁と回転子磁極の吸引反発力により、アーマチャ14が回転軸16の軸線を中心に回転する。回転軸16の回転は減速機構部33により減速されて出力軸32に出力される。出力軸32は正逆回転駆動されるので、直接又はリンク機構を介して間接的に接続されているワイパアーム2及びその先端に取り付けられたワイパブレード3を揺動駆動し、ワイパブレード3がウインドウガラス面の上反転位置と下反転位置との間を往復払拭する。
<ブラシ装置40の概略構成>
ブラシ装置40は、回転軸16の軸線に垂直な面を有する板状であり整流子15を跨ぐように配置された一対の脚部45、一対の脚部45のモータ本体10側の面にそれぞれ設けられたブラシホルダ42、ブラシホルダ42に支持されたブラシ41、及び、一対の脚部45を接続するように設けられた一対のブラシ側締結部46を含んでいる。なお、脚部45は、フェノール樹脂等の絶縁性の熱硬化性樹脂により形成されている。一対のブラシ側締結部46は、カバー28底面と平行であると共に回転軸16の軸線方向に長辺を有する長方形の板状部材、及び、この板状部材に回転軸16と平行に配置された一対の貫通孔を有している。そして、この貫通孔の内周側には環状の上部フローティングゴム49が嵌め込まれている。上部フローティングゴム49の外周面には、周方向に環状溝が設けられており、この環状溝はブラシ側締結部46の貫通孔の内周に嵌め込まれている。一方、環状の上部フローティングゴム49の内周側には後述するフランジ側締結部57及びボス側締結部58のビスボス59が挿入される。また、一対の脚部45の底板部20a側端部は、先端に行くほど幅が狭くなる略「レ」字状の形状であり、先端部にはそれぞれ周囲に下部フローティングゴム48が嵌め込まれている。下部フローティングゴム48は、脚部45の外周形状に沿う形状をしている。下部フローティングゴム48の内周面には、脚部45が嵌め込まれる凹溝が脚部45の外周に沿うように設けられている。
筒状部36の内周側には周方向に配置された第1の溝壁53と、第1の溝壁53よりもボス部51側に配置された第2の溝壁54と、第1の溝壁53及び第2の溝壁54を底板部20a側で結合する閉止壁55とが設けられている。そして、第1の溝壁53、第2の溝壁54及び閉止壁55で囲まれた空間に保持溝52が形成されている。筒状部36のカバー28底面側にはフランジ側締結部57が設けられている。また、ボス部のカバー28側にはボス側締結部58が設けられている。フランジ側締結部57及びボス側締結部58のカバー28底面側には、雌ねじからなるビスボス59がそれぞれ突設されており、両ビスボス59の底板部20aからの高さが等しくなるように設定されている。
次にブラシ装置40のヨーク連結部34への組み付けについて説明する。ブラシ装置40のブラシ側締結部46の貫通孔には上部フローティングゴム49が嵌め込まれており、脚部45の先端には下部フローティングゴム48が嵌め込まれている。この状態で、ブラシ装置40をヨーク連結部34に組み付けると、一対のブラシ側締結部46は、それぞれ上部フローティングゴム49を介して、フランジ側締結部57及びボス側締結部58のビスボス59に雄ねじ及びワッシャを用いて締結される。すなわち、ビスボス59が上部フローティングゴム49の内周に嵌合し、上部フローティングゴム49のカバー28側にはワッシャが配置され、このワッシャの上から雄ねじを挿入し、ビスボス59の雌ねじに螺合することにより固定する。上部フローティングゴム49の環状溝はブラシ側締結部46の貫通孔の内周に嵌め込まれているため、ブラシ側締結部46とフランジ側締結部57及びボス側締結部58とは、上部フローティングゴム49を介してフローティング支持される。これと同時に、脚部45の先端に嵌め込まれた下部フローティングゴム48は保持溝52に嵌合されるので、脚部45は下部フローティングゴム48を介して筒状部36にフローティング支持される。これにより、ブラシ装置40はヨーク連結部34に対してフローティング支持されることになる。
ブラシ装置40がヨーク連結部34に対してフローティング支持されているため、ブラシ41が整流子15と摺接することにより発生する振動が上部フローティングゴム49及び下部フローティングゴム48により吸収され、ヨーク連結部34に伝達されるのを防止することができる。このため、ブラシ41において発生した振動がギヤハウジング20に伝達することに起因する振動や騒音の発生を低減することができる。
<ブラシホルダの構造>
図4を用いてブラシホルダ42の構造を説明する。なお、図4はブラシ41が仮保持されている状態におけるブラシホルダ42の斜視図である。ブラシ41を支持するブラシホルダ42は、ブラシ41の摺接面76が整流子15に対向するように、一対の固定爪42c及び凸部42dにより脚部45に固定されている。一対のブラシ41は、整流子15に対して機械角180度の間隔をおいて、整流子15に対向するように設定され、脚部45のモータ本体10側の面に支持されている。一対の固定爪42cは、下壁42eからブラシ41の摺接面76側と背面78側とに延設されており、それぞれ脚部45の幅方向の端面において、脚部45の形状に沿うように2回折り曲げられ、かしめられることにより、脚部45に固定されている(図7参照)。凸部42dは側壁42bから脚部45側へ突設されており、脚部45に設けられた貫通孔68に嵌合することにより、位置決め固定される。ブラシホルダ42は真鍮等からなる一枚の金属板をプレス加工することにより構成されており、固定爪42c、凸部42d及び側板65を含め一体に形成されている。凸部42dは、位置決めに加え、ブラシホルダ42の形状を保持するためにも寄与している。
側壁42bのトーションスプリング66側には、側面切欠64が反整流子側から整流子側へ向かって脚部45の面と平行に設けられている。ブラシ41が仮保持状態にあるときは、トーションスプリング66の係合凸部66aは、ブラシ41の係合凹部71に係合して、ブラシ41の基部75をトーションスプリング66の反対側の側壁42bの内面に押しつけることにより、ブラシ41が整流子に当接しない位置に保持される。一方、ブラシ41の仮保持状態が解除されると、係合凸部66aはブラシ41の背面78を整流子の方向へ付勢することにより、ブラシ41は整流子の外周に当接する。このとき、係合凸部66aは、側面切欠64を挿通することができるため、トーションスプリング66によるブラシ41の移動に追従した押圧がブラシホルダ42に妨げられることを避けることができる。これにより、ブラシ41の位置によらず、ブラシ41を確実に整流子15側へ付勢することができると共に、仮保持状態においてはブラシ41を安定して仮保持することができる。なお、側面切欠64は、一対の側壁42bの片側だけに設けてもよいし、両側に設けておいてもよい。
ブラシホルダ42の上壁42aには、反整流子側から整流子側に向けて上面切欠43が設けられている。ブラシ41のピッグテール61は、上面切欠43を挿通することができるため、ブラシ41の移動に伴ったピッグテール61の移動がブラシホルダ42によって妨げられることを避けることができる。
ブラシホルダ42のトーションスプリング66とは反対側の側壁42bからは、反整流子寄りにモータ本体10側に向けて側板65が突設されている。側板65の整流子側から反整流子側へ向けて、切欠としての被係止部65bが設けられている。被係止部65bには、トーションスプリング66の係止部66bが係止されている。係止部66bは被係止部65bを反整流子側へ向けて付勢する。トーションスプリング66は、金属線から構成されており、螺旋状に巻回した部分を支持部66cとし、金属線の一方の端部を延出して係合凸部66aを形成し、他方の端部を延出して係止部66bを形成している。支持部66cは脚部45からモータ本体10側へ突設された支持ピン47に挿通支持されている。このように構成されたトーションスプリング66は、ブラシ41が仮保持状態の時にはブラシ41をトーションスプリング66と反対側の側壁42bの内面へ押しつけ、ブラシ41の仮保持状態が解除された時にはブラシ41の背面78を整流子15側へ付勢する。
第1の実施形態では、一方のブラシ41の右側にトーションスプリング66が配置され、他方のブラシ41の左側にトーションスプリング66が配置されている。図4は、後者を示したもので、ブラシ41の左側にトーションスプリング66が設けられている。後述のようにいずれの配置の場合にも同一のブラシ41を用いることができる。また、後述のようにモータの種類によらず同一のブラシ41を共用することができる。
<ブラシの形状>
図5及び図6を用いてブラシ41の形状について説明する。なお、図5はブラシ41の斜視図、図6はブラシ41の投影図である。ブラシ41は、カーボンブラシであり、先端部74及び基部75からなり、基部75の上面77にはピッグテール61が設けられている。また、ブラシ41は、例えば垂直方向(図5における上下方向)に分割される金型により加圧成形により形成され、モータ本体側に上面77、その反対側に下面80、上面77と下面80とをつなぐ一対の側面79、整流子側に摺接面76、及び、反整流子側に背面78を有しており、全体としブラシホルダ42に沿う方向に細長い略直方体形状をしている。基部75の整流子15周方向の幅W2は、先端部74の幅W1よりも大きく、先端部74と基部75との間(境界部位)において整流子15の周方向の幅は、先端部74から基部75に向かうにつれて徐々に大きくなっている。
極数の大きいモータほど、整流子15の整流子片の幅は狭くなるから、ブラシ41の摺接面76の整流子15周方向の幅を狭くする必要がある。もし、幅が一定のブラシを用いる場合には、モータの極数に合わせて複数種類のブラシを用意し、さらに、これらのブラシの幅に応じた複数種類のブラシホルダも用意しなければならない。そこで、第1実施形態のブラシ41では、幅W2を幅W1よりも大きく設定することにより、例えば幅W1を4極モータに対応できるように小さくしておけば、同一のブラシ41を2極モータにも、4極モータにも共用することができる。すなわち、幅W1を極数の大きいモータに対応できるように小さく設定しておけば、それより小さい極数のモータに対してはブラシ41を共用することが可能となる。幅W1の寸法は、例えば幅W2の略1/5〜略4/5であり、好ましくは略1/3〜略4/5であり、より好ましくは略1/2〜略4/5である。また、モータの種類に応じて摺接面76の幅を変更したい場合があるが、この場合には、幅W2の寸法は共通としておき、幅W1の寸法だけを変更するとよい。これにより、モータの種類によらずブラシホルダ42を共用することが可能である。さらに、先端部74と基部75との間において整流子15の周方向の幅を、先端部74(W1)から基部75(W2)に向かうにつれて徐々に大きくすることにより、ブラシ41の側面79の形状が滑らかで急激な角度変化がなくなるため、ブラシ41を金型により加圧成形されて形成されるとき、加圧成形しやすく、金型の製造も容易であり、また、ブラシ41の欠けを防ぐことができる。
基部75の両方の側面79において、背面78側、かつ、下面80側には、切欠としての係合凹部71が設けられている。基部75に設けられた両係合凹部71の平面間の距離W3は、基部75の整流子15径方向の幅W2よりも小さく、先端部74の幅W1よりも大きい。係合凹部71の深さは、比較的小さくともトーションスプリング66の係合凸部66aを安定して係合させることが可能である。このため、距離W3は幅W2よりも僅かに小さい所定の寸法に設定されている。
係合凹部71の下面80からの高さH2は、ブラシ41の下面80から上面77までの高さH1よりも小さく、例えば高さH2は高さH1の略4/5以下であり、好ましくは、略2/3以下であり、さらに好ましくは、高さH2は高さH1の略1/3〜略2/3である。このため、基部75の側面79の上面77寄りには、係合凹部71が形成されていない基部長さ方向連続面87が設けられている。
係合凹部71の背面78から先端部74側への長さL2は、基部75の長さL1よりも小さい。長さL2の寸法は、好ましくは長さL1の略1/5〜略4/5であり、より好ましくは略1/3〜略2/3である。このため、基部75の側面79の先端部74寄りには、係合凹部71が形成されていない基部高さ方向連続面88が設けられている。
ブラシ41の基部の長さL1は、好ましくはブラシ41の長さL4の略1/5〜略1/2である。また、ブラシ41の先端部の長さL3は、好ましくはブラシ41の長さL4の略1/3〜略4/5である。
ブラシ41は、基部75の側面79においてブラシホルダ42の側壁42bの内面に当接し、上面77が上壁42aの下面に当接し、下面80が下壁42eの上面に当接することにより、ブラシホルダ42に4面で囲まれて支持されている。ブラシ41の上面77及び下面80は、それぞれブラシホルダ42の上壁42a及び下壁42eと平行な平面であるので、ブラシホルダ42に対して滑らかに支持される。基部75の側面79の形状は、係合凹部71が設けられているために一様ではないが、基部75には基部長さ方向連続面87及び基部高さ方向連続面88が設けられているため、ブラシ41の基部75の側面79をブラシホルダ42の側壁42bに対して安定して支持される。回転軸16が正逆転駆動されると、整流子15に摺接するブラシ41には、回転方向に応じてブラシホルダ42の側壁42bに押しつけられる力が作用するが、上述のように基部75には基部長さ方向連続面87及び基部高さ方向連続面88が設けられているため、ブラシ41はブラシホルダ42内での姿勢が常に安定するように支持されるので、ブラシ41の仮保持状態解除時にはブラシ41の摺接面76が整流子15の外周面に対して常に安定して当接されるようになる。
ブラシ41の基部75の両方の側面79に係合凹部71が設けられているので、ブラシ41は整流子周方向に対して垂直な面に対して略左右対称となっており、それにより次のような作用を有する。ブラシ41の仮保持状態時には、ブラシ41の係合凹部71にトーションスプリング66の係合凸部66aが係合することにより、係合凹部71においてブラシ41をトーションスプリング66とは反対側のブラシホルダ42の側壁42bに押しつける方向へ押圧する。これにより、ブラシ41はトーションスプリング66とは反対側のブラシホルダ42の側壁42bに押しつけられて、ブラシ41の摺接面76が整流子15に当接しない位置(退避位置)でブラシ41が安定して仮保持される。そして、第1実施形態では、一方のブラシ41の右側にトーションスプリング66が配置され、他方のブラシ41の左側にトーションスプリング66が配置されている。もしも係合凹部71がブラシ41の基部75の片面にしか設けられていない場合には、ブラシ41に対するトーションスプリング66の配置に応じて、右用と左用の2種類のブラシ41を用意する必要がある。これに対して、第1実施形態では、ブラシ41は略左右対称であるため、ブラシ41に対してトーションスプリング66が左右どちらに配置されていても、トーションスプリング66に係合凹部71が対向するので、ブラシ41に対するトーションスプリング66の配置によらずブラシ41を共用することができる。
係合凹部71の上面77側及び先端部74側には、所定の角度で所定の範囲に第3テーパ面としてそれぞれテーパ面72及びテーパ面73が設けられている。この所定の角度は例えば係合凹部の面に対して20度〜70度の範囲であり、好ましくは30度〜60度の範囲である。このため、係合凹部の周囲には所定のテーパ面が設けられているので、角部を面取りすることにより欠けを防止することができる。また、ブラシを金型により加圧成形されて形成される際にも、型抜きしやすくなる。
ブラシ41の上面77と摺接面76との間には、所定の角度で所定の範囲に第2テーパ面としてのテーパ面が設けられている。所定の角度は例えば摺接面に対して5度〜45度の範囲であり、好ましくは5度〜30度である。また、テーパ面を設ける範囲は、摺接面76の上面77から下面に向かう範囲H3が、好ましくは高さH1の略4/5以下の範囲であり、さらに好ましくは略1/3〜略4/5の範囲である。このため、初期状態において摺接面が整流子に摺接する面積を小さくすることができ、ブラシ41と整流子15との間の接触抵抗を小さくすることができる。また、角部を面取りすることにより欠けを防止することができる。さらに、ブラシを金型により加圧成形されて形成される際にも、型抜きしやすくなる。
ブラシ41の上面77と背面78との間には、所定の角度で所定の範囲に第1テーパ面としてのテーパ面が設けられている。所定の角度は例えば背面78に対して20度〜70度の範囲であり、好ましくは30度〜60度である。このため、上面77と背面78との間に設けられた所定のテーパ面を、ブラシ41を仮保持状態から仮保持解除するための後述の治具62係合部として用いることができる。また、角部を面取りすることにより欠けを防止することができる。さらに、ブラシを金型により加圧成形されて形成される際にも、型抜きしやすくなる。
ブラシ41の上面77と側面79との間にも、所定の角度で所定の範囲に第1テーパ面としてのテーパ面が設けられている。所定の角度は例えば側面79に対して20度〜70度の範囲であり、好ましくは30度〜60度である。このため、角部を面取りすることにより欠けを防止することができる。さらに、ブラシを金型により加圧成形されて形成される際にも、型抜きしやすくなる。
ブラシ41の下面80と両側面79との間には、所定の角度で所定の範囲に、テーパ面が設けられている。所定の角度は例えば両側面79に対して20度〜70度の範囲であり、好ましくは30度〜60度である。このため、角部を面取りすることにより欠けを防止することができる。さらに、ブラシを金型により加圧成形されて形成される際にも、型抜きしやすくなる。
ブラシ41の摺接面76と両側面79との間には、所定の角度で所定の範囲に、テーパ面が設けられている。所定の角度は例えば両側面79に対して20度〜70度の範囲でありである。このため、初期状態において摺接面が整流子に摺接する面積を小さくすることができ、ブラシ41と整流子15との間の接触抵抗を小さくすることができる。また、角部を面取りすることにより欠けを防止することができる。さらに、ブラシを金型により加圧成形されて形成されする際にも、型抜きしやすくなる。
<ブラシの仮保持及び仮保持解除動作>
図7、図8を用いて、モータ1の組立工程に沿って、ブラシ41の仮保持及び仮保持解除の動作について説明する。なお、図7はトーションスプリング66側から見たブラシ41の仮保持状態におけるブラシホルダ42の側面図であり、図8はブラシ41の仮保持状態から仮保持解除状態までの説明図である。
まず、ウォーム21及びウォームホイール22が取り付けられたギヤハウジング20にモータ本体10を取り付ける。回転軸16、軸受19及び整流子15が筒状部36の開口部36bから挿入され、回転軸16はボス孔51aに挿通され、軸受19はボス部51に固定プレートにて固定され、整流子15は筒状部36内周の所定位置に配置された状態で、筒状部36のフランジ36aにステータヨーク11のフランジ11aがねじ等により結合される。次に、減速機構部33を覆うようにインナーカバー23を取り付ける。
続いて、ブラシ装置40をヨーク連結部34に取り付ける。ブラシ装置40の部品は予め取り付けられている。すなわち、脚部45にはブラシホルダ42、ブラシ41、トーションスプリング66及び下部フローティングゴム48が取り付けられ、一対のブラシ側締結部46の貫通孔にはそれぞれ上部フローティングゴム49が取り付けられている。一対の脚部45は、下部フローティングゴム48を介してそれぞれ保持溝52に保持される。上述のように、一対のブラシ側締結部46は、上部フローティングゴム49を介して雌ねじとしてのボス側締結部58に雄ねじ及びワッシャ(図示省略)により締結される。上部フローティングゴム49及び下部フローティングゴム48を介することにより、ブラシ装置40はヨーク連結部34にフローティング支持されている。
整流子15を跨ぐようにブラシ41が配置されている一対の脚部45をヨーク連結部34に取り付ける際には、ブラシ41が整流子15に当接しない位置(退避位置)に、トーションスプリング66を用いてブラシ41をブラシホルダ42に仮保持しておく。図7では、トーションスプリング66が省略されているが、係合凹部71はトーションスプリング66により、トーションスプリング66とは反対側(矢印Bの方向)に押圧されているので、ブラシ41は摺接面76が整流子15に当接しない状態で、ブラシホルダ42に仮保持されている。
ブラシ装置40をヨーク連結部34の所定の位置にフローティング支持した後には、ブラシ41の仮保持を解除する。ブラシ41の仮保持を解除するためには、ブラシ41を整流子15の方向(矢印Cの方向)へ押圧する必要がある。第1実施形態ではブラシ41の仮保持を解除するために、棒状の治具62を用いる。治具62の先端側にはブラシ41に当接する部位に傾斜面62aが設けられている。仮保持解除時には傾斜面62aが、ブラシ41の上面77と背面78との間に設けられた所定のテーパ面81に当接するように治具62を配置する。すなわち、棒状の治具62は長手方向が脚部45の平面と垂直となるように、かつ、ブラシ41のテーパ面81に当接可能な位置で、テーパ面81の上面77側の所定の位置に配置される。治具62の先端側においてテーパ面81に対向する側には、テーパ面81に対応する傾斜面62aが設けられている。また、治具62は、その長手方向と平行(脚部45の平面と垂直)で、脚部45に近づく方向(矢印Aの方向)に移動可能に設けられている(図7、図8(A)参照)。
仮保持を解除するために、治具62を矢印Aの方向へ移動させると、傾斜面62aがブラシ41のテーパ面81を押圧する。これにより、ブラシ41のテーパ面81に対し、傾斜面62aから矢印Aの方向に押圧力が加えられると、ブラシ41には脚部45の平面に垂直方向の力P1と脚部45の平面に平行で整流子15側への力P2とが作用する。ブラシ41は、治具62の移動に応じて、力P2によって矢印Cの方向に押し出されていく(図8(B)参照)。この時、トーションスプリング66の係合凸部66aがブラシ41の係合凹部71に係合する位置は、徐々に背面78側に移動していく。
図8(B)の状態から、さらに治具62を矢印Aの方向へ移動させると、ブラシ41がさらに矢印Cの方向へ移動し、トーションスプリング66の係合凸部66aがブラシ41の係合凹部71から外れ、背面78に当接するようになり、ブラシ41の仮保持が解除される(図8(C)参照)。この状態では、トーションスプリング66の係合凸部66aがブラシ41の背面78を矢印Cの方向へ押圧するようになるので、ブラシ41は整流子15側(矢印Cの方向)へ付勢され、摺接面76が整流子15に所定の力で当接するようになる。
最後に、治具62を抜き取り、ギヤハウジング20の開口側からカバー28を被せ、ギヤハウジング20の縁部に設けられた雌ねじ38に、カバー28のねじ孔を合せて、図示しない雄ねじによりギヤハウジング20に対してカバー28を固定する。
<第1実施形態のブラシ装置の作用及び効果>
ブラシ装置40をヨーク連結部34に取り付ける際には、ブラシ41を摺接面76が整流子15に当接しない位置に仮保持する必要がある。第1実施形態のブラシ装置40によれば、ブラシ41の基部75には係合凹部71が設けられているので、トーションスプリング66の係合凸部66aが係合することにより、ブラシ41をトーションスプリング66とは反対側のブラシホルダ42の側壁42b内面に押し付けることにより、ブラシ41を仮保持することができる。そして、ブラシ装置40の組み付け後には、治具62を用いることにより容易にブラシ41の仮保持を解除することができる。また、モータ1の種類によっては、ブラシ装置40を先に組み付け、後からモータ本体10のロータ12を組み付けることもある。そのような場合でも、第1実施形態のブラシ装置を用いれば、ロータ12の組み付け時にはブラシ41を整流子15に当接しない位置に仮保持しておくことができる。すなわち、第1実施形態のブラシ装置によれば、モータ1の種類に関わらず、容易にブラシ41を仮保持し、また、容易に仮保持を解除することができる。
また、ブラシ41を仮保持するための構成として、ブラシ41を整流子15に押圧するためのトーションスプリング66を用いているため、仮保持のための余分な部品や仮保持用の特殊な治具を必要としない。また、組み付けの完成に近い状態で治具62を用いるため、スペースの制約もあり、特殊な構造のものを採用することは難しいが、第1実施形態では仮保持を解除するための治具62は単純な構造のものでよいため、治具62の設計の自由度も高い点でも有利である。
また、ブラシ41の係合凹部71は、基部75の側面79を下面80及び背面78側から所定量だけ切り欠いた単純な構造であるため、ブラシ41を金型による加圧成形により形成される際に、単純な形状の垂直方向に分割される金型を用いることができ、ブラシ41の製造が容易である。また、形状が単純であるため、係合凹部71を切り欠く量を設計することが容易である。さらに、係合凹部71はトーションスプリング66の係合凸部66aが安定して係合できる寸法であればよいため、係合凹部71の深さ寸法は比較的小さくてよいため、型抜きしやすいうえに、欠けが生じにくいという利点もある。
また、ブラシ41の係合凹部71の周囲に基部長さ方向連続面87及び基部高さ方向連続面88が設けられているので、ブラシ41の基部75の側面79をブラシホルダ42の側壁42bの内面で安定して保持することができる。
また、ブラシ41の基部75の幅W2は先端部74の幅W1よりも大きく設定されており、摺接面76を設ける先端部74の幅寸法を小さく設定することができるので、極数の大きいモータ本体10に対しても、ブラシ41を共用することができる。例えば、2極モータと4極モータのブラシ41を共用することができる。
また、ブラシ41は左右対称であるため、トーションスプリング66をブラシ41の右側に配置する場合でも、左側に配置する場合でもブラシ41を共用することができる。したがって、全ての種類のモータ本体10に対して一種類のブラシ41を共用することができる。さらに、摺接面76の幅寸法を変更する必要が生じた場合にも、基部75の寸法を変更する必要がないため、ブラシ41の設計が容易であるうえ、ブラシホルダ42を共用することができる。さらに、ブラシ41は左右対称であるため、ブラシ41の基部75の側面79をブラシホルダ42の側壁42bの内面で安定して保持することができる。
また、ブラシ41の縁部にはテーパ面が設けられているため、型抜きがしやすいうえ、欠けが生じにくい。特に、係合凹部71の周囲にテーパ面を設けることは有効である。第1実施形態では、上面77の全ての縁部、下面80の両側面79側、及び、摺接面76の両側面79側にテーパ面を設けているが、このテーパ面を省略することも可能であり、また、他の縁部にテーパ面を設けることも可能である。テーパ面を設ける縁部とテーパ面を設けない縁部とは、型抜きのしやすさや欠けの生じやすさに応じて決定することができる。
第1実施形態では、ブラシ41は整流子15周方向に垂直な面に対して略左右対称であるものとして説明したが、本発明ではこれに限定されず、ブラシ41の基部75の両側面79に係合凹部71が設けられているものであれば、左右非対称であってもかまわない。ブラシ41の基部75の両側面79に係合凹部71が設けられていれば、トーションスプリング66がブラシ41の左右どちら側に配置されていても、ブラシ41を仮保持することができるため、ブラシ41を共用することが可能である。
また、ブラシホルダ42の側面切欠64は、一対の側壁42bの片側だけに設けてもよいし、両側に設けておいてもよいが、両側に側面切欠64を設けた場合には、ブラシホルダ42の形状を左右対称に近づけることができるという利点がある。第1実施形態では、側板65が片方の側壁42bに設けられているため、ブラシホルダ42の形状を完全に左右対称にすることができない。そこで、トーションスプリングの66の係止部66bの配置を変更し、例えば脚部45に設けた突起部等で係止部66bを係止するようにすれば、ブラシホルダ42に側板65を設ける必要はなくなる。これにより、ブラシホルダ42の形状を略左右対称にすることが可能となり、この場合、トーションスプリング66がブラシ41の右側に配置されても、左側に配置されても、同一のブラシ41を共用できることに加え、同一のブラシホルダ42を共用できるようになる。
[第2実施形態]
図9を用いて本願の第2実施形態に係るモータ1を説明する。なお、図1〜図8に共通する構成については同一の符号を用い、その説明は省略する。また、図9は本発明の第2実施形態に係るモータ1のブラシ41Aの斜視図である。
第2実施形態のブラシ41Aが、第1実施形態のブラシ41と異なるのは、係合凹部71Aの態様である。第1実施形態のブラシ41では、係合凹部71は基部75の両方の側面79における背面78側、かつ、下面80側に設けられていたが、第2実施形態のブラシ41Aでは、係合凹部71Aは、基部75の両方の側面79における背面78側、かつ、高さ方向の略中央に設けられている。係合凹部71Aが設けられている高さ方向の範囲は、ブラシ41全体の高さH1の略2/3以下であり、好ましくは、略1/5〜略2/3であり、より好ましくは、略1/5〜略1/2である。また、ブラシ41の高さ方向の中央部における上面77と平行な断面は、図6(G)と同様であり、係合凹部71Aの背面78から先端部74側への長さL2は、基部75の背面78から先端部74側への長さL1よりも小さい。L2の寸法は、好ましくは長さL1の略1/5〜略4/5であり、より好ましくは略1/3〜略2/3である。この他の形状や寸法は第1実施例と同様である。
係合凹部71Aが高さ方向の中央部に設けられていると、係合凹部71Aの上面77側と下面80側の両方側に基部長さ方向連続面87A及び87Bが存在するため、ブラシ41Aの基部75の係合凹部71Aの上下両側でブラシホルダ42の側壁42bの内面に当接することになるので、ブラシ41Aはより安定してブラシホルダ42に保持される。
ここでは、係合凹部71Aの高さ方向の位置をブラシ41Aの中央部とする態様を説明したが、本発明の係合凹部71Aの高さ方向の位置はこれに限定されず、例えば上面77側とすることもできる。この場合には基部長さ方向連続面87Bが設けられることになる。
[第3実施形態]
図10を用いて本願の第3実施形態に係るモータ1を説明する。なお、図1〜図9に共通する構成については同一の符号を用い、その説明は省略する。また、図10は本発明の第3実施形態に係るモータ1のブラシ41Bの下面図である。
ブラシ41Bの基部75の両側面79には、下面80側、かつ、背面78から離れた位置に、下面80から見た断面が曲面状の係合凹部71Bが設けられている。係合凹部71Bの曲面状の断面形状は、トーションスプリング66の係合凸部66aの湾曲形状に対応している。また、基部75の両側面79と背面78との間には、少なくとも高さ方向で係合凹部71Bに対応する部位にテーパ面99が設けられている。
第3実施形態のブラシ41Bによれば、係合凹部71Bの曲面状の断面形状がトーションスプリング66の係合凸部66aの湾曲形状に対応しているため、係合凹部71Bに係合凸部66aを安定して係合させることができ、ブラシ41Bの仮保持状態を安定して保つことができる。また、ブラシ41Bにはテーパ面99が設けられているため、ブラシ41Bの仮保持状態を解除する際に、ブラシ41Bが治具62により整流子15の方向へ押され、ブラシ41Bが整流子15の方向へ移動していくと、トーションスプリング66の係合凸部66aは係合凹部71Bからテーパ面99を通って滑らかにブラシ41Bの背面78へ移動することができる。これにより、仮保持状態にあるブラシ41Bの仮保持を滑らかに解除することができる。
ここでは、係合凹部71Bを設ける高さ方向の位置を下面80側として説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば係合凹部71Bの高さ方向の位置を、中央部や上面77側とすることもできる。また、係合凹部71Bの周囲に所定のテーパ面を設けることもできる。
[第4実施形態]
図11を用いて本願の第4実施形態に係るモータ1を説明する。なお、図1〜図10に共通する構成については同一の符号を用い、その説明は省略する。また、図11は本発明の第4実施形態に係るモータ1のブラシ41Cの下面図である。
ブラシ41Cの基部75の両側面79には、下面80側、かつ、背面78から離れた位置に、下面80から見た断面が略矩形の係合凹部71Cが設けられている。第3実施形態のブラシ41Cによれば、係合凹部71Cの断面形状が略矩形であるため、係合凹部71Cにトーションスプリング66の係合凸部66aを安定して係合させることができ、ブラシ41Bの仮保持状態を安定して保つことができる。
また、第3実施形態と同様に、基部75の両側面79と背面78との間に、少なくとも高さ方向で係合凹部71Cに対応する部位にテーパ面99を設けることもできる。さらに、 ここでは、係合凹部71Cを設ける高さ方向の位置を下面80側として説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば係合凹部71Cの高さ方向の位置を、中央部や上面77側とすることもできる。また、係合凹部71Cの周囲に所定のテーパ面を設けることもできる。
[第5実施形態]
図12を用いて本願の第5実施形態に係るモータ1を説明する。なお、図1〜図11に共通する構成については同一の符号を用い、その説明は省略する。また、図12は本発明の第5実施形態に係るモータ1のブラシ41Dの下面図である。
ブラシ41Dの基部75の両側面79において、下面80側、かつ、背面78側には上下方向に延存する第1凸条が設けられている。また、ブラシ41Dの基部75の両側面79において、下面80側、かつ、第1凸条から先端部74側に離間した位置には上下方向に延存する第2凸条が設けられている。そして、第1凸条及び第2凸条の間の空間には、係合凹部71Dが形成される。第4実施形態のブラシ41Dによれば、係合凹部71Dは第1凸条及び第2凸条の間に形成されているため、係合凹部71Dにトーションスプリング66の係合凸部66aを安定して係合させることができ、ブラシ41Dの仮保持状態を安定して保つことができる。
また、第1凸条及び第2凸条の位置を先端部74側へ設けることにより、第3実施形態と同様に、基部75の両側面79と背面78との間に、少なくとも高さ方向で係合凹部71Dに対応する部位にテーパ面99を設けることもできる。さらに、ここでは、係合凹部71Dを設ける高さ方向の位置を下面80側として説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば係合凹部71Dの高さ方向の位置を、中央部や上面77側とすることもできる。また、係合凹部71Dの周囲に所定のテーパ面を設けることもできる。
[第6実施形態]
図13を用いて本願の第6実施形態に係るモータ1を説明する。なお、図1〜図12に共通する構成については同一の符号を用い、その説明は省略する。また、図13は本発明の第6実施形態に係るモータ1のブラシホルダ42の平面図である。
第1実施形態では治具62の移動方向は脚部45の平面と垂直で、脚部45に近づく方向(矢印Aの方向)であったが、第6実施形態では治具62Aの移動可能は脚部45の平面と平行で、ブラシ41の側面79と垂直な方向(矢印Bの方向)である。ブラシ41の基部75の側面79と背面78との間にはテーパ面99Aが設けられており、テーパ面99Aに治具62Aの傾斜面62bが当接される。ブラシ41の仮保持を解除する際に、ブラシ41のテーパ面99Aに対し、治具62Aの傾斜面62bから矢印Bの方向に押圧力が加えられると、ブラシ41には矢印C方向の力P3と矢印Bに方向の力P4とが作用する。ブラシ41は、治具62Aの移動に応じて、力P3によって矢印Cの方向に押し出されていくことによって、仮保持状態から解除される。
第6実施形態によれば、治具62Aの移動方向を矢印Bの方向とすることができるため、第1実施形態と合わせて、治具62、62Aの設計の自由度をさらに向上することができる。さらに、本発明における治具62、62Aの移動方向はこれに限定されるものでなく、どのような方向でもかまわない。例えば、治具62、62Aを矢印Bの反対方向へ移動させるようにすることもできるし、矢印A及び矢印Bにより合成される斜め方向へ移動させるようにしてもよい。
[第7実施形態]
図14を用いて本願の第7実施形態に係るモータ1を説明する。なお、図1〜図13に共通する構成については同一の符号を用い、その説明は省略する。また、図14は本発明の第7実施形態に係るモータ1のトーションスプリング66Aの平面図である。
トーションスプリング66Aは係合凸部66aと係止部66bとが略同一の形状及び略同一の寸法をしており、ブラシ装置40は支持ピン47に対して支持部66cを挿入して支持する際に、トーションスプリング66Aのどちらの向き上にして取り付けてもよい構成となっている。このような構成とするために、側板65の被係止部65b、支持ピン47及び係合凹部71の配置が調整され、かつ、係合凸部66aと係止部66bとの形状及び寸法が調整されている。
第7実施形態に係るモータ1によれば、トーションスプリング66Aを支持ピン47に取り付ける際に、方向性を考慮する必要がないため、組付工程を簡略化することができる。また、後述の第8実施形態では、ブラシ41に対するトーションスプリング66の配置が全て同じ方向であるため、トーションスプリング66Aの支持部66cの巻回方向は同一でよいため、全て同一のトーションスプリング66Aを用いることができ、しかも、取り付けの際にトーションスプリング66Aの方向性を考慮する必要がないため、組付工程をさらに簡略化することができる。
[第8実施形態]
図15を用いて本願の第8実施形態に係るモータ1を説明する。なお、図1〜図14に共通する構成については同一の符号を用い、その説明は省略する。また、図15は本発明の第8実施形態に係るモータ1のブラシ装置40Aの分解斜視図である。
第8実施形態に係るモータ1を第1実施形態のものと比較すると、ブラシベース60の形状、フローティングゴム49Aの構造、筒状部36の内面の取り付け構造、及び、カバー28の形状が異なる。ブラシベース60は中央に底板部20a側から切り欠かれた切欠部60aが設けられた略逆U字状の平板からなり、その外周形状は略円形であり、底板部20a側には一対の座部60bが設けられている。フローティングゴム49Aはブラシベース60の外周を全て覆い、底板部20a側には座部49aを有し、座部49aから連続してカバー28側には円弧状部分49bを有する。円弧状部分49bの外周側にはブラシベース60の板厚方向と平行に、一対のブラシの外方に対応する位置に一対の係合溝50が設けられている。一方、筒状部36の内周側には底板部20a側に着座部が設けられ、係合溝50と対応する位置に一対の係合突起90が設けられている。着座部89に対してブラシベース60の座部60bがフローティングゴム49Aの座部49aを介して当接する位置において、フローティングゴム49Aの係合溝50に筒状部36の係合突起90が挿入された状態で、筒状部36に対してブラシベース60が位置決め固定される。
フローティングゴム49Aの円弧状部分49bのブラシベース60の板厚方向の厚さは、座部60b側からカバー28側に向かうについて徐々に厚みが増すように設定されている。一方、カバー28のブラシベース60に対応する部位は、ブラシベース60の形状に合わせて円弧状に形成されており、ブラシベース60が筒状部36に対して固定された状態で、フローティングゴム49Aの円弧状部分49bの中、厚みが大きくなっている部分はカバー28内面に当接する。フローティングゴム49Aの円弧状部分49bにおけるカバー28側の厚みが大きい部分が、カバー28の内面に当接することにより、ブラシベース60が板厚と垂直な方向へ倒れを防ぐことができる。
第8実施形態に係るモータ1においては、ウォーム21及びウォームホイール22が取り付けられたギヤハウジング20にモータ本体10を組み付け、次いでインナーカバー23が取り付けられた状態から、ブラシ装置40Aを組み付ける際には、ブラシ41を整流子15に当接しない位置に仮保持しておく必要がある。ブラシ41の仮保持及び仮保持解除の態様は第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。第8実施形態に係るモータ1においては、ブラシ41に対するトーションスプリング66の配置が全て同じ方向(図15ではブラシ41の左側にトーションスプリング66が配置されている。)であるため、同一のブラシ41を共用できるうえに、同一のブラシホルダ42を共用することもできるという利点がある。
[第9実施形態]
図16を用いて本願の第9実施形態に係るモータ1を説明する。なお、図1〜図15に共通する構成については同一の符号を用い、その説明は省略する。また、図16は本発明の第9実施形態に係るモータ1のブラシ配置を示す模式図である。ブラシの配置を模式的に示したものであり、ブラシ配置を厳密に表現したものではなく、また、ブラシホルダ42、トーションスプリング66等の構成は省略されている。また、モータ1はワイパモータとして適用されている。
図16(A)は2極モータで一方向回転用のワイパモータのブラシ41の配置を示したものである。ブラシベース98には、低速用ブラシ91a、コモンブラシ91b及び高速用ブラシ92の3個のブラシが設けられている。低速用ブラシ91a及びコモンブラシ91bは機械角180度の間隔で設けられている。低速回転時には低速用ブラシ91a及びコモンブラシ91bに給電し、高速回転時には低速用ブラシ91aから高速ブラシ92に切り替えて高速用ブラシ92及びコモンブラシ91bに給電することにより、回転速度を2段階に切り替えることができる。
図16(B)は2極モータで正逆回転用のワイパモータのブラシ41の配置を示したものである。ブラシベース98には、第1ブラシ91c及び第2ブラシ91dの2個のブラシが設けられている。第1ブラシ91c及び第2ブラシ91dは機械角180度の間隔で設けられている。制御装置によりブラシへの通電方向を切り替えることにより、正逆回転を切り替えることができる。また、制御装置によりブラシへ給電する電流を制御することにより、回転速度を制御することができる。そして、制御装置は、例えば4個のFETにより構成されたHブリッジを含んでおり、モータ本体10のブラシ91c、91dへの通電方向を切り替えることがきると共に、パルス幅変調(PWM)制御によりブラシ91c、91dへ給電する電流を制御することができる。
図16(C)は、4極モータで均圧線を有する一方向回転用のワイパモータのブラシ41の配置を示したものである。ブラシベース98には、低速用ブラシ93a、コモンブラシ93b及び高速用ブラシ94の3個のブラシが設けられている。低速用ブラシ93a及びコモンブラシ93bは機械角90度の間隔で設けられている。低速回転時には低速用ブラシ93a及びコモンブラシ93bに給電し、高速回転時には低速用ブラシ93aから高速ブラシ94に切り替えて高速用ブラシ94及びコモンブラシ93bに給電することにより、回転速度を2段階に切り替えることができる。
図16(D)は4極モータで正逆回転用のワイパモータのブラシ41の配置を示したものである。ブラシベース98には、第1ブラシ93c及び第2ブラシ93dの2個のブラシが設けられている。第1ブラシ93c及び第2ブラシ93dは機械角90度の間隔で設けられている。制御装置によりブラシへの通電方向を切り替えることにより、正逆回転を切り替えることができる。また、制御装置によりブラシへ給電する電流を制御することにより、回転速度を制御することができる。そして、制御装置は、例えば4個のFETにより構成されたHブリッジを含んでおり、モータ本体10のブラシ93c、93dへの通電方向を切り替えることがきると共に、パルス幅変調(PWM)制御によりブラシ93c、93dへ給電する電流を制御することができる。
図16(E)は、4極モータで均圧線の無い一方向回転用のワイパモータのブラシ41の配置を示したものである。ブラシベース98には、第1低速用ブラシ94a、第1コモンブラシ94b、第1高速用ブラシ95、第2低速用ブラシ96a、第2コモンブラシ96b及び第2高速用ブラシ97の6個のブラシが設けられている。第1低速用ブラシ94a及び第1コモンブラシ94bは機械角90度の間隔で設けられ、第2低速用ブラシ96a及び第2コモンブラシ96bは機械角90度の間隔で設けられている。また、第1コモンブラシ94b及び第2低速用ブラシ96aも機械角90度の間隔で設けられ、第2コモンブラシ96b及び第1低速用ブラシ94aも機械角90度の間隔で設けられている。したがって、第1低速用ブラシ94a、第1コモンブラシ94b、第2低速用ブラシ96a及び第2コモンブラシ96bは、それぞれ機械角90度の間隔で設けられている。また、第1低速用ブラシ94aと第2低速用ブラシ96a、第1コモンブラシ94bと第2コモンブラシ96b、第1高速用ブラシ95と第2高速用ブラシ97はそれぞれ並列接続されている。そして、低速回転時には第1低速用ブラシ94a及び第1コモンブラシ94b、並びに、第2低速用ブラシ96a及び第2コモンブラシ96bに給電される。一方、高速回転時には第1高速用ブラシ95及び第1コモンブラシ94b、並びに、第2高速用ブラシ97及び第2コモンブラシ96bに給電されるる。このようなブラシの給電切り替えにより、回転速度を2段階に切り替えることができる。なお、図16(E)では均圧線は必要ないが、均圧線を設けるようにしてもかまわない。
図16(F)は4極モータで均圧線の無い正逆回転用のワイパモータのブラシ41の配置を示したものである。ブラシベース98には、第1ブラシ94c、第2ブラシ94d、第3ブラシ96c及び第4ブラシ96dの4個のブラシが設けられている。第1ブラシ94c及び第2ブラシ94d、並びに、第3ブラシ96c及び第4ブラシ96dは機械角90度の間隔で設けられている。また、第2ブラシ94d及び第3ブラシ96c、並びに、第4ブラシ96d及び第1ブラシ94cも機械角90度の間隔で設けられている。したがって、第1ブラシ94c、第2ブラシ94d、第3ブラシ96c及び第4ブラシ96dは機械角90度の間隔で設けられている。また、第1ブラシ94cと第3ブラシ96c、第2ブラシ94dと第4ブラシ96dはそれぞれ並列接続されている。そして、制御装置によりブラシへの通電方向を切り替えることにより、正逆回転を切り替えることができる。また、制御装置によりブラシへ給電する電流を制御することにより、回転速度を制御することができる。そして、制御装置は、例えば4個のFETにより構成されたHブリッジを含んでおり、モータ本体10の第1ブラシ94c及び第3ブラシ96cと第2ブラシ94d及び第4ブラシ96dへの通電方向を切り替えることがきると共に、パルス幅変調(PWM)制御により第1ブラシ94c及び第3ブラシ96cまたは第2ブラシ94d及び第4ブラシ96dへ給電する電流を制御することができる。なお、図16(F)では均圧線は必要ないが、均圧線を設けるようにしてもかまわない。
第1実施形態は図16(B)に相当するものであるが、本発明のブラシ装置40の構造は、図16(B)に限定されることなく、図16(A)〜(F)のモータ本体10のブラシ装置40に対して適用可能であり、しかも、同一のブラシ41及びブラシホルダ42を共用することが可能である。一般には、4極モータのブラシ41の摺接面76の整流子15周方向の幅は、2極モータのブラシ41の摺接面76の幅よりも小さくする必要があるが、本発明のブラシ41では、摺接面76が設けられている先端部の幅W1がブラシホルダ42に支持される基部75の幅W2よりも小さく設定されているため、2極モータにも、4極モータにも共用することが可能である。さらに、本発明は2極モータ、4極モータに限定されず、これ以上の極数の多極モータにも適用することが可能である。
また、本発明のブラシ41は基部75の両方の側面79に一対の係合凹部71が設けられている。このブラシ41の構造により、ブラシ41の左右どちら側にトーションスプリング66を設けてもブラシ41の仮保持が可能であり、同一のブラシ41を共用することができる上、ブラシ装置40のレイアウト性を向上することができる。
さらに、本発明は図16(A)〜(F)に限定されるものではなく、全てのブラシ付き直流モータに適用することが可能であり、多くの種類のモータに対して、ブラシ41及びブラシホルダを共用することができる。