以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定はされない。
本明細書において、“質量%”、“質量ppm”及び“質量部”と、“重量%”、“重量ppm”及び“重量部”とは、それぞれ同義である。
本発明の脂肪族ポリエステルの製造方法は、1,4−ブタンジオールを主成分とするジオール成分と脂肪族ジカルボン酸成分を主成分とするジカルボン酸成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応、並びに重縮合反応を行って脂肪族ポリエステルを製造する方法において、該重縮合反応を減圧装置による減圧下で行い、該減圧装置は、1,4−ブタンジオールを蒸気発生装置で気化させた1,4−ブタンジオール蒸気を駆動蒸気とする蒸気エゼクタを有し、該蒸気エゼクタに用いた1,4−ブタンジオール蒸気を凝縮させて1,4−ブタンジオール含有液を得、該1,4−ブタンジオール含有液の少なくとも一部を該蒸気エゼクタの駆動蒸気源として循環再利用する脂肪族ポリエステルの製造方法であって、該蒸気発生装置内に封液された1,4−ブタンジオール含有液の酸価を30eq./ton以下とすることを特徴とする。
ここで、「脂肪族ジカルボン酸成分」とは、脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸アルキルエステル等の脂肪族ジカルボン酸誘導体といったポリエステル原料となる脂肪族ジカルボン酸類の総称である。以下において、本発明の脂肪族ポリエステルの製造方法で製造される脂肪族ポリエステルを「本発明の脂肪族ポリエステル」と称す場合がある。
本発明において、「1,4−ブタンジオールを主成分とする」とは、「1,4−ブタンジオールの合計モル比率が、原料ジオール成分中で最も多いこと」を意味する。中でもポリエステルの物性、生分解性の観点から、1,4−ブタンジオールの合計が、原料ジオール成分の合計に対して、50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上、特に好ましくは90〜100モル%である。
また、本発明において「脂肪族ジカルボン酸成分を主成分とする」とは、脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸アルキルエステル等の脂肪族ジカルボン酸誘導体のうちの少なくとも1種を主成分とすることであって、「脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸アルキルエステル等の脂肪族ジカルボン酸誘導体の合計モル比率が、原料ジカルボン酸成分中で最も多いこと」を意味する。中でもポリエステルの物性、生分解性の観点から、脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸アルキルエステル等の脂肪族ジカルボン酸誘導体の合計が、原料ジカルボン酸成分の合計に対して、50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上、特に好ましくは90〜100モル%である。
本発明において、ポリエステルを製造する際の各反応工程は、回分法でも連続法でも行うことができるが、品質の安定化、エネルギー効率の観点からは、原料を連続的に供給し、連続的にポリエステルを得るいわゆる連続法が好ましい。
<ジオール成分>
本発明に用いるジオール成分は、1,4−ブタンジオールを主成分とするものである。本発明では、1,4−ブタンジオールのモル比率が原料ジオール中で最も多く用いられれば、その他、通常ポリエステルの原料に用いられるジオール成分を制限無く併用することができる。
1,4−ブタンジオール以外のジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのオキシアルキレンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのシクロアルキレンジオールといった脂肪族ジオール成分が挙げられ、これらの中でも、得られるポリエステルの物性の面から、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールなどの炭素数6以下のアルキレンジオール、または1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの炭素数6以下のシクロアルキレンジオールが好ましい。なお、これらは2種以上が併用されていてもよい。
ジオール成分に占める1,4−ブタンジオールの割合は、得られるポリエステルの融点(耐熱性)、生分解性、力学特性の観点から全ジオール成分に対して50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上がより好ましく、特に好ましくは90〜100モル%である。
なお、1,4−ブタンジオールや、上記の脂肪族ジオール成分のうちのエチレングリコール、1,3−プロパンジオールは植物原料由来のものを使用することができる。
<ジカルボン酸成分>
本発明に用いるジカルボン酸成分は、脂肪族ジカルボン酸成分を主成分とするものであり、その合計モル比率が原料カルボン酸成分中で最も多く用いられれば、通常ポリエステルの原料に用いられるものを特に制限無く使用することができる。
脂肪族カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、無水コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸の水素添加物が挙げられ、これらの中で、得られる脂肪族ポリエステルの物性の面から、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分が好ましい。特にはコハク酸、無水コハク酸などの炭素数4以下の脂肪族ジカルボン酸成分が好ましい。なお、これらは2種以上が併用されていてもよい。
これらの脂肪族ジカルボン酸成分のうち、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸などは植物原料由来のものを使用することができる。
ジカルボン酸成分としてコハク酸を用いる場合、ジカルボン酸成分に占めるコハク酸の割合は、得られるポリエステルの融点(耐熱性)、生分解性、力学特性の観点から、全ジカルボン酸成分に対して50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上がより好ましく、特に好ましくは90〜100モル%である。
また、脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分として、芳香族ジカルボン酸成分を併用してもよい。芳香族ジカルボン酸成分の具体的な例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸およびジフェニルジカルボン酸等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上の混合物として上記脂肪族ジカルボン酸成分に加えて使用してもよい。
<その他の共重合成分>
本発明のポリエステルには、脂肪族ジオール成分、脂肪族ジカルボン酸成分以外のその他の構成成分を共重合させても構わない。この場合に使用することのできる共重合成分としては、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、フマル酸等のオキシカルボン酸、およびこれらオキシカルボン酸のエステルやラクトン、オキシカルボン酸重合体等、あるいはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上の多価アルコール、あるいは、プロパントリカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの無水物などの3官能以上の多価カルボン酸またはその無水物等が挙げられる。
これらのうち、3官能以上のオキシカルボン酸、3官能以上のアルコール、3官能以上のカルボン酸などは少量加えることにより高粘度のポリエステルを得やすい。中でも、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸などのオキシカルボン酸が好ましく、特にはリンゴ酸が好ましく用いられる。
3官能以上の多官能化合物を用いる場合、その使用量は全ジカルボン酸成分に対して、0.001〜5モル%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.5モル%である。この範囲の上限超過では得られる脂肪族ポリエステルにゲル(未溶融物)が生成しやすく、下限未満では多官能化合物を使用したことによる利点(通常、得られるポリエステルの粘度を上昇させることが可能となる)が得られにくくなる。
<脂肪族ポリエステルの製造方法>
以下に連続製造法を例にして、本発明の脂肪族ポリエステルの製造方法について説明する。なお、以下においては、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を用いるエステル化反応工程及び重縮合反応工程によりポリエステルを製造する方法を例示するが、エステル化工程はエステル交換反応工程であってもよく、エステル化反応とエステル交換反応との両方を行う工程であってもよい。
連続製造法では、例えば脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとを、連続する複数の反応槽を用いて、エステル化反応工程、溶融重縮合反応工程を経て連続的にポリエステルのペレットを得る方法で製造されるが、本発明の効果を妨げない限り、連続法に限定されるものではなく、従来公知のポリエステルの製造方法を採用することができる。
<エステル化反応工程>
エステル化反応工程では、少なくともジカルボン酸成分とジオール成分とを反応させてエステル化反応物を製造する。エステル化反応工程とそれに続くその他の工程は、連続する複数の反応槽で行うことも単一の反応槽でも行うこともできるが、得られるポリエステルの物性の変動を小さくするために、連続する複数の反応槽で行うことが好ましい。
エステル化反応工程での反応温度は、エステル化反応を行うことのできる温度であれば特に制限は無いが、反応速度を高めることができるという点で、好ましくは200℃以上、より好ましくは210℃以上であって、ポリエステルの着色などを防止するために、250℃以下であることが好ましく、より好ましくは245℃以下であって、特に好ましくは240℃以下である。反応温度が低すぎると、エステル化反応速度が遅く反応時間を長時間必要とし、脂肪族ジオールの脱水分解など好ましくない反応が多くなる。また、反応温度が高すぎると、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸の分解が多くなり、また反応槽内に飛散物が増加し異物発生の原因となりやすく、反応物に濁り(ヘーズ)を生じやすくなる。また、エステル化温度は一定温度であることが好ましい。一定温度であることによりエステル化率が安定する。一定温度とは設定温度±5℃、好ましくは±2℃である。
反応雰囲気は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下であることが好ましい。
反応圧力は、50kPa〜200kPaであることが好ましく、より好ましくは60kPa以上、更に好ましくは70kPa以上で、より好ましくは130kPa以下、更に好ましくは110kPa以下である。反応圧力が上記下限未満では反応槽内に飛散物が増加し反応物のヘーズが高くなり異物増加の原因となりやすく、また脂肪族ジオールの反応系外への留出が多くなり重縮合反応速度の低下を招きやすい。反応圧力が上記上限超過では脂肪族ジオールの脱水分解が多くなり、重縮合反応の低下を招きやすい。
反応時間は、好ましくは1時間以上であり、上限は好ましくは10時間以下、より好ましくは4時間以下である。
エステル化反応を行う脂肪族ジカルボン酸に対する脂肪族ジオールの反応モル比は、エステル化反応槽の気相および反応液相に存在する、脂肪族ジカルボン酸およびエステル化された脂肪族ジカルボン酸に対する、脂肪族ジオールおよびエステル化された脂肪族ジオールとのモル比を表し、反応系で分解されエステル化反応に寄与しない脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオールおよびそれらの分解物は含まれない。分解されてエステル化反応に寄与しないものとは、例えば、脂肪族ジオールである1,4−ブタンジオールが分解してテトラヒドロフランになったものが挙げられ、テトラヒドロフランは、このモル比には含めない。本発明において、上記反応モル比の下限は、通常1.10以上であり、好ましくは1.12以上、更に好ましくは1.15以上、特に好ましくは1.20以上である。上限は、通常2.00以下、好ましくは1.80以下、更に好ましくは1.60以下、特に好ましくは1.55以下である。反応モル比が上記下限未満ではエステル化反応が不十分になりやすく後工程の反応である重縮合反応が進みにくく高重合度のポリエステルを得にくい。反応モル比が上記上限超過では脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸の分解量が多くなる傾向がある。この反応モル比を好ましい範囲に保つためにエステル化反応系に脂肪族ジオールを適宜補給するのは好ましい方法である。
本発明においては、好ましくはエステル化反応工程で得られるエステル化率80%以上のエステル化反応物を重縮合反応に供する。本発明において、重縮合反応とは反応圧力50kPa以下で行うポリエステルの高分子量化反応をいい、エステル化反応は50〜200kPaで、通常、エステル化反応槽で行い、重縮合反応は50kPa以下、好ましくは10kPa以下で重縮合反応槽で行う。本発明でエステル化率とはエステル化反応物試料中の全酸成分に対するエステル化された酸成分の割合を示すものであり次式で表される。
エステル化率(%)=(ケン化価−酸価)/ケン化価×100
重縮合反応工程に供するエステル化反応物のエステル化率は、好ましくは85%以上、更に好ましくは88%以上、特に好ましくは90%以上である。エステル化率が上記下限未満であると重縮合反応工程における重縮合反応性が悪くなる。また、重縮合反応時の飛散物が増え、壁面に付着して固化し、更にこの飛散物が反応物内に落下し、得られるポリエステルのヘーズの悪化(異物発生)の要因となる。エステル化率の上限は重縮合工程の重縮合反応性のためには高いほうが良いが、通常99%である。
本発明において、エステル化反応工程におけるジカルボン酸成分とジオール成分との反応モル比、反応温度、反応圧力およびエステル化反応率を上記範囲にして連続反応を行い、エステル化反応物を連続的に重縮合反応工程に供することにより、ヘーズが低く異物が少ない高品質のポリエステルを効率的に得ることができる。
エステル化反応槽としては、公知のものが使用でき、縦型撹拌完全混合槽、縦型熱対流式混合槽、塔型連続反応槽等の型式のいずれであってもよく、また、単数槽としても、同種または異種の槽を直列させた複数槽としてもよい。中でも撹拌装置を有する反応槽が好ましく、撹拌装置としては、動力部および受、軸、撹拌翼からなる通常のタイプの他、タービンステーター型高速回転式撹拌機、ディスクミル型撹拌機、ローターミル型撹拌機等の高速回転するタイプも用いることができる。
撹拌の形態にも制限はなく、反応槽中の反応液を反応槽の上部、下部、横部等から直接撹拌する通常の撹拌方法の他、反応液の一部を反応槽の外部に配管等で持ち出してラインミキサ−等で撹拌し、反応液を循環させる方法もとることができる。撹拌翼の種類も公知のものが選択でき、具体的にはプロペラ翼、スクリュー翼、タービン翼、ファンタービン翼、デイスクタービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼等が挙げられる。
<重縮合反応工程>
本発明の脂肪族ポリエステルの製造では、エステル化反応工程に続き重縮合反応工程で重縮合反応を行う。
重縮合反応は、連続する複数の反応槽を用い、1,4−ブタンジオールを駆動蒸気源とする蒸気エゼクタを備える減圧装置による減圧下で行う。最終重縮合反応槽の反応圧力は、下限が通常0.01kPa以上、好ましくは0.03kPa以上であり、上限は通常1.4kPa以下、好ましくは0.4kPa以下として行う。重縮合反応時の圧力が高すぎると、重縮合時間が長くなり、それに伴いポリエステルの熱分解による分子量低下や着色が引き起こされ、実用上充分な特性を示すポリエステルの製造が難しくなる傾向がある。一方、反応圧力を0.01kPa未満とするような超高真空重縮合設備を用いて製造する手法は重縮合反応速度を向上させる観点からは好ましい態様であるが、極めて高額な設備投資が必要となるため、経済的には不利である。
反応温度は、下限が通常215℃、好ましくは220℃であり、上限が通常270℃、好ましくは260℃の範囲である。反応温度が上記下限未満であると、重縮合反応速度が遅く、高重合度のポリエステル製造に長時間を要するばかりでなく、高動力の撹拌機も必要となるため、経済的に不利である。一方、反応温度が上記上限超過であると製造時のポリエステルの熱分解が引き起こされやすく、高重合度のポリエステルの製造が難しくなる傾向がある。
反応時間は、下限が通常1時間であり、上限が通常15時間、好ましくは10時間、より好ましくは8時間である。反応時間が短すぎると反応が不充分で高重合度のポリエステルを得にくく、その成形品の機械物性が劣る傾向となる。一方、反応時間が長すぎると、ポリエステルの熱分解による分子量低下が顕著となり、その成形品の機械物性が劣る傾向となるばかりでなく、ポリエステルの耐久性に悪影響を与えるカルボキシル基末端量が熱分解により増加する場合がある。
重縮合反応温度と時間および反応圧力をコントロールすることにより所望の固有粘度のポリエステルを得ることができる。
本発明に用いる重縮合反応槽の型式に特に制限はなく、例えば、縦型撹拌重合槽、横型撹拌重合槽、薄膜蒸発式重合槽などを挙げることができる。重縮合反応槽は、1基とすることができ、あるいは、同種または異種の複数基の槽を直列させた複数槽とすることもできるが、反応液の粘度が上昇する重縮合の後期は界面更新性とプラグフロー性、セルフクリーニング性に優れた薄膜蒸発機能を有した横型撹拌重合機を選定することが好ましい。
また、重縮合反応槽は、反応によって発生した水、1,4−ブタンジオールから副生したテトラヒドロフラン、更には未反応の1,4−ブタンジオールを含むベントガスを抜き出して、1,4−ブタンジオールで冷却して凝縮させる湿式凝縮器(湿式コンデンサ)を備える。
湿式コンデンサとしては、棚段を1段又は複数段設け、その上方から冷媒として1,4−ブタンジオールを循環、流下させて液膜を発生させ、この液膜に排気を接触させることでプロセス飛散物を溶解、捕集する棚段型、上方にシャワーノズルを設け、冷媒として1,4−ブタンジオールを噴霧して、この液滴に排気を接触させることでプロセス飛散物を溶解、捕集するシャワー型、棚段型とシャワー型を組み合わせ、棚段型を上部に、シャワー型を下部に配置したものなどあるが、いずれを用いてもよい。
<駆動蒸気源の循環再利用>
本発明では、減圧装置の蒸気エゼクタに用いた1,4−ブタンジオール蒸気を凝縮させて1,4−ブタンジオール含有液を得、この1,4−ブタンジオール含有液の少なくとも一部を蒸気発生装置で気化させた1,4−ブタンジオール蒸気を蒸気エゼクタの駆動蒸気として循環再利用する。そして、その際に、該蒸気発生装置内に封液された1,4−ブタンジオール含有液の酸価を30eq./ton以下とする。
蒸気発生装置内に封液された1,4−ブタンジオール含有液の酸価が30eq./tonを超えると、減圧装置の系内にテトラヒドロフランが副生し易くなり、このテトラヒドロフランの副生、蓄積を解消するために、系外から新規1,4−ブタンジオールをより多く供給する必要が生じ、好ましくない。蒸気発生装置内に封液された1,4−ブタンジオールの酸価は低い程、系内のテトラヒドロフランの副生を防止する観点から好ましく、この酸価は30eq./ton以下、特に15eq./ton以下であることが好ましい。ただし、蒸気発生装置内に封液された1,4−ブタンジオールの酸価を低くするためには、1,4−ブタンジオールの循環再利用率を低減する必要があり、1,4−ブタンジオールの有効再利用率を高める本発明の目的を達成し得ない場合がある。1,4−ブタンジオールの有効再利用効率の観点から、駆動蒸気源として循環再利用する1,4−ブタンジオールの酸価は2eq./ton以上であることが好ましい。
このように、蒸気発生装置内に封液された1,4−ブタンジオール含有液の酸価を30eq./ton以下とするためには、循環再利用する1,4−ブタンジオール含有液の少なくとも一部を蒸留塔で蒸留し、蒸留塔の塔底から得られる精製1,4−ブタンジオール含有液の少なくとも一部を蒸気エゼクタの駆動蒸気源として循環再利用し、残部は他の工程、例えば、重縮合反応槽の湿式コンデンサの冷媒として使用する方法、或いはコハク酸と1,4−ブタンジオールからなる原料スラリーを調製する工程において使用する方法が挙げられる。
このように、1,4−ブタンジオール含有液を蒸留により精製し、その一部のみを蒸気エゼクタの駆動蒸気源として循環再利用し、残部は湿式コンデンサ等の冷媒として用いたり、或いはコハク酸と1,4−ブタンジオールからなる原料スラリーを調製する工程において使用したりすることにより、蒸気発生装置内に封液された1,4−ブタンジオール含有液の酸価を低く抑え、系内でのテトラヒドロフランの副生、蓄積を防止することができる。
<反応触媒>
エステル化反応および重縮合反応には反応触媒を使用することにより、反応を促進させることができるが、エステル化反応においてはエステル化反応触媒が無くても十分な反応速度を得ることができる。またエステル化反応時にエステル化反応触媒が存在するとエステル化反応によって生じる水により触媒が反応物に不溶の析出物を生じ、得られるポリエステルの透明性を損なう(即ちヘーズが高くなる)ことがあり、また異物化することがあるので、反応触媒はエステル化反応中には使用しないことが好ましい。また、触媒を反応槽の気相部に添加するとヘーズが高くなることがあり、また触媒が異物化することがあるので反応液中に添加することが好ましい。
重縮合反応においては無触媒では反応が進みにくく、触媒を用いることが好ましい。重縮合反応触媒としては、一般には、周期表第1〜14族の金属元素のうち少なくとも1種を含む化合物が用いられる。金属元素としては、具体的には、スカンジウム、イットリウム、サマリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、錫、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウムおよびカリウム等が挙げられる。その中では、スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、タングステン、亜鉛、鉄、ゲルマニウムが好ましく、特に、チタン、ジルコニウム、タングステン、鉄、ゲルマニウムが好ましい。更に、ポリエステルの熱安定性に影響を与えるポリエステル末端濃度を低減させる為には、上記金属の中では、ルイス酸性を示す周期表第3〜6族の金属元素が好ましい。具体的には、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、タングステンであり、特に、入手のし易さからチタン、ジルコニウムが好ましく、更には反応活性の点からチタンが好ましい。
ここで、周期表とは、長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)をさす。
触媒は、重合時に溶融あるいは溶解した状態であると重合速度が高くなる理由から、重合時に液状であるか、エステル低重合体やポリエステルに溶解する化合物が好ましい。また、重縮合は無溶媒で行うことが好ましいが、これとは別に、触媒を溶解させるために少量の溶媒を使用しても良い。この触媒溶解用の溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオールなどの前述のジオール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、ヘプタン、トルエン等の炭化水素化合物、水ならびにそれらの混合物等が挙げられる。
本発明の脂肪族ポリエステルの製造用触媒としては、以下に詳述するチタン化合物、アルカリ土類金属化合物及びリン化合物を予め混合させた触媒(以下、「本発明の脂肪族ポリエステル重縮合用触媒」と称す場合がある。)を用いることが好ましい。
本発明の脂肪族ポリエステル重縮合用触媒中のチタン原子、アルカリ土類金属原子ならびにリン原子の含有量は、チタン原子の含有量をT(モル基準)、アルカリ土類金属の含有量をM(モル基準)ならびにリン原子の含有量をP(モル基準)とした場合、T/P(モル比)の下限は、通常0.1、好ましくは0.3、より好ましくは0.5、特に好ましくは0.7であり、上限は、通常5.5、好ましくは4.0、より好ましくは3.0、特に好ましくは1.5、最も好ましくは1.0である。
T/P(モル比)が上記上限以下であると、製造される脂肪族ポリエステルの着色が少なく、触媒の安定性が良好で、触媒の失活が起き難く、触媒失活物が製品中に混入して製品の品質を損ねる危険性が低くなりやすい。一方、T/P(モル比)が上記下限以上であると、触媒活性が高くなりやすい。
一方、M/P(モル比)の下限は通常0.1、好ましくは0.5、より好ましくは0.7、特に好ましくは0.9であり、上限は、通常5.5、好ましくは3.0、より好ましくは2.0、更に好ましくは1.5、特に好ましくは1.2、最も好ましくは1.1である。
M/P(モル比)が上記上限以下であると、この触媒を用いて得られる脂肪族ポリエステルの熱安定性が良好になりやすい。また、アルカリ土類金属の析出が起こりにくい。一方、M/P(モル比)が上記下限以上であると、高触媒活性で、末端カルボキシ基量の増加も起こりにくい。
本発明の脂肪族ポリエステル重縮合用触媒は、チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及び酸性リン酸エステル化合物を混合することによって製造される。触媒成分を混合する際は、通常、溶媒を使用する。溶媒は、チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及び酸性リン酸エステル化合物を均一溶液とできればよいが、通常、アルコールを用いる。
すなわち、本発明の脂肪族ポリエステル重縮合用触媒はアルコール、チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及び酸性リン酸エステル化合物を混合することによって製造することが好ましい。また、本発明の脂肪族ポリエステル重縮合用触媒はアルコール、チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及び酸性リン酸エステル化合物を混合し、該混合物を濃縮することによって製造することが特に好ましい。この特に好ましい製造方法を詳述すると、
(i) アルコール、チタン化合物、アルカリ金属化合物及び酸性リン酸エステル化合物を混合、溶解、反応させる工程
(ii) 工程(i)で得た反応溶液からアルコールなどを留去することにより濃縮を行うと同時に更に反応を進め、粘稠な液体状触媒、又は固体状触媒、あるいはこれらの混合物を得る工程
により製造される。この時、用いられるアルコールは反応には関与せず、単に溶媒としてのみ働くものと考えられる。
ここで粘稠な液体状触媒、又は固体状触媒、あるいはこれらの混合物と、得られる触媒の形態が異なるのは、濃縮の度合いによるものである。工程(ii)で得られる触媒はそのままか、あるいは1,4−ブタンジオール又はエチレングリコールなどのグリコールなどに溶解させてから容易に回収することができる。なお、濃縮時に留去されるものは溶媒として用いられるアルコールと、チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及び酸性リン酸エステル化合物の反応によって副生するアルコール、有機酸などである。
このようにして得られる触媒は、溶媒として用いられたアルコールを除く原料の総重量よりも必ず重量が減少している。得られる触媒の重量W1と、混合に用いた、即ち、上記(i)の工程でアルコールと混合したチタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及び酸性リン酸エステル化合物の重量の和W0との比W1/W0は、通常0.45以上0.85以下である。この比は用いられる原料化合物の種類、組成比によって変化する。
本発明において、触媒の製造に使用されるアルコールは、チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及び酸性リン酸エステル化合物を混合して均一溶液になるアルコールであれば特に制限はなく、中でも、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、2−エチルヘキサノール等の1価アルコール及びグリコール等の2価のアルコールが挙げられ、このうち、化合物の溶解性や取り扱いの容易さから、1価のアルコールが好ましく用いられる。これらのアルコールは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特にチタン化合物、アルカリ土類金属化合物、酸性リン酸エステル化合物の溶解性が高く、反応溶液を濃縮するときに、沸点が低く、除去しやすいことから、エタノールが好ましい。
また、チタン化合物としては、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネートなどのテトラアルコキシチタネート;アセチル−トリ−i−プロピルチタネート;酢酸チタン等が挙げられ、中でも、入手し易く、取り扱いが容易なテトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートが好ましく、テトラ−n−ブチルチタネートが特に好ましい。これらのチタン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルカリ土類金属化合物としては、アルカリ土類金属の有機酸塩及び/又はその水和物が好ましく用いられる。中でも好ましい化合物としてはマグネシウム、カルシウム等の有機酸塩、及び/又はその水和物が挙げられるが、マグネシウム化合物が触媒活性の点で好ましい。マグネシウム化合物としては、例えば、酢酸マグネシウム、酪酸マグネシウムなどの有機酸塩等が挙げられるが、特に酢酸マグネシウム及び/又はその水和物が、アルコールに対する溶解度が高く、触媒の調製がし易いため好ましい。これらのアルカリ土類金属化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。またマグネシウム化合物とカルシウム化合物のような、異なった金属の化合物を併用することもできる。
酸性リン酸エステル化合物としては、下記一般式(I)及び/又は(II)で表される少なくとも1個の水酸基を有するリン酸のエステル構造を有するものが好ましく用いられる。
(式中、R、R’、R”は各々炭素数1以上6以下のアルキル基、シクロヘキシル基、アリール基又は2−ヒドロキシエチル基を表し、式(I)において、RとR’は同一であっても異なっていてもよい。)
このような酸性リン酸エステル化合物の具体例としては、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェートなどが挙げられ、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェートが好ましい。これらの酸性リン酸エステル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、酸性リン酸エステル化合物にはモノエステル体(II)とジエステル体(I)があるが、高い触媒活性を示す触媒が得られる理由から、モノエステル体、又は、モノエステル体とジエステル体の混合物を用いるのが好ましい。モノエステル体とジエステル体の混合重量比(モノエステル体:ジエステル体)は、80以下:20以上が好ましく、更に好ましくは、70以下:30以上、特に好ましくは、60以下:40以上であり、また、20以上:80以下が好ましく、更に好ましくは、30以上:70以下、特に好ましくは、40以上:60以下である。
ポリエステル製造において、触媒として、複数の触媒成分を使用する際は、従来、それぞれの触媒成分を複数の導入箇所から別々に反応器に導入する手法が取られていた。それに対し、上記の通り、触媒原料であるチタン化合物、アルカリ土類金属化合物及びリン化合物を反応器へ導入する前に混合させて調製したものを反応器へ導入して使用することにより、製造プロセスにおいては複数の独立した触媒添加装置が不要となるため、反応器への触媒の導入箇所を集約することができ、且つ触媒導入時の煩雑な触媒成分比の制御も不要となるため工業的に有利なプロセスとなる。
チタン化合物、アルカリ土類金属ならびにリン化合物の混合、溶解、反応させる工程は従来公知の装置を用いることができ、単一の反応槽で行っても良いし、複数の反応槽を用いてもよい。反応槽は均一に反応させるために撹拌混合装置が付帯していることが好ましい。
反応温度は通常0℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上で、通常100℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは50℃以下で行う。反応後は必要に応じて従来公知の濃縮装置にて150℃以下で調製溶媒などを留去させ、液体状あるいは固体状の均一触媒を得る。
本発明の脂肪族ポリエステル重縮合用触媒は、固体状の触媒として単離する前の粘稠な液体状としての取り扱いも可能であり、そのまま触媒として用いることが可能である。このような粘稠な液体の粘性を低下させ、より取り扱いを容易にするために、本発明の脂肪族ポリエステル重縮合用触媒は、原料ジオールとして用いる1,4−ブタンジオールで溶解希釈して触媒溶液として用いることが好ましい。
このような粘稠液状触媒を1,4−ブタンジオールで希釈した後のチタン原子濃度は、下限が通常0.02重量%、好ましくは0.05重量%で、上限が通常1重量%、好ましくは0.5重量%である。
このような本発明の脂肪族ポリエステル重縮合用触媒を反応原料と接触させる時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいてもよいが、水が多く存在、もしくは発生している状況下で触媒が共存すると触媒が失活し、異物が析出する原因となり、製品の品質を損なう恐れがあるため、エステル化反応及び/又はエステル交換反応終了後に添加するのが好ましい。
生成するポリエステルに対する触媒中のチタン原子量は、下限値が、通常1重量ppm、好ましくは10重量ppm、より好ましくは15重量ppm、特に好ましくは20重量ppmであり、上限値が、通常30000重量ppm、好ましくは150重量ppm、より好ましくは100重量ppm、特に好ましくは70重量ppmである。チタン原子量が上記上限以下であると、経済的に有利である上に、ポリマーの熱安定性が良好となる。また、上記下限以上であると、重合活性の点で好ましく、ポリマー製造中のポリマーの分解が起こりにくい。また、チタン原子量が少ないほど生成するポリエステルのカルボキシル基末端濃度が低減される点では、触媒量は少ない方が好ましい。
生成するポリエステルに対する触媒中のマグネシウム原子量は、下限値が、通常1重量ppm、好ましくは5重量ppm、より好ましくは10重量ppm、特に好ましくは20重量ppmであり、上限値が、通常200重量ppm、好ましくは100重量ppm、より好ましくは70重量ppm、特に好ましくは50重量ppmである。マグネシウム原子量が上記上限以下であると、経済的に有利である上に、ポリマーの色調が良好になりやすい。また、逆に上記下限以上であると、重合活性の点で好ましく、ポリマー製造中のポリマーの分解が起こりにくい。
生成するポリエステルに対する触媒中のリン原子量は、下限値が、通常1重量ppm、好ましくは10重量ppm、より好ましくは20重量ppm、特に好ましくは30重量ppmであり、上限値が、通常200重量ppm、好ましくは100重量ppm、より好ましくは70重量ppm、特に好ましくは50重量ppmである。リン原子量が上記上限以下であると、経済的に有利である上に、重合活性が高いためにポリマー製造中のポリマーの分解が起こりにくい。また、リン原子量が上記下限以上であると、ポリマーの色調の点で好ましい。
<製造プロセス例>
以下に、図面に基づき、脂肪族ジカルボン酸としてコハク酸、脂肪族ジオールとして1,4−ブタンジオール、多官能化合物としてリンゴ酸を原料とする脂肪族ポリエステルの製造方法の好ましい実施態様を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、本発明で採用するエステル化反応工程の一例の説明図、図2は、本発明で採用する重縮合工程の一例の説明図であり、図3は、本発明で採用する湿式凝縮工程の一例の説明図、図4は、本発明で採用する蒸気エゼクタシステム及び蒸留精製システムの一例の説明図である。
図1において、原料のコハク酸およびリンゴ酸は、通常、原料混合槽(図示せず)で1,4−ブタンジオールと混合され、原料供給ライン(1)からスラリーまたは液体の形態でエステル化反応槽(A)に供給される。また、エステル化反応時に触媒を添加する場合は、触媒調整槽(図示せず)で1,4−ブタンジオールの溶液とした後、触媒供給ライン(3)から触媒溶液を供給する。図1では再循環1,4−ブタンジオールの再循環ライン(2)に触媒供給ライン(3)を連結し、両者を混合した後、エステル化反応槽(A)の液相部に供給する態様を示した。
エステル化反応槽(A)から留出するガスは、留出ライン(5)を経て精留塔(C)で高沸成分と低沸成分とに分離される。通常、高沸成分の主成分は1,4−ブタンジオールであり、低沸成分の主成分は、水および1,4−ブタンジオールの分解物であるテトラヒドロフランである。
精留塔(C)で分離された高沸成分は抜出ライン(6)から抜き出され、ポンプ(D)を経て、一部は再循環ライン(2)からエステル化反応槽(A)に循環され、一部は循環ライン(7)から精留塔(C)に戻される。また、余剰分は抜出ライン(8)から外部に抜き出される。一方、精留塔(C)で分離された軽沸成分はガス抜出ライン(9)から抜き出され、コンデンサ(G)で凝縮され、凝縮液ライン(10)を経てタンク(F)に一時溜められる。タンク(F)に集められた軽沸成分の一部は、抜出ライン(11)、ポンプ(E)および循環ライン(12)を経て精留塔(C)に戻され、残部は、抜出ライン(13)を経て外部に抜き出される。コンデンサ(G)はベントライン(14)を経て排気装置(図示せず)に接続されている。エステル化反応槽(A)内で生成したエステル化反応物は、抜出ポンプ(B)およびエステル化反応物の抜出ライン(4)を経て図2に示す第1重縮合反応槽(a)に供される。
図1に示す工程においては、再循環ライン(2)に触媒供給ライン(3)が連結されているが、両者は独立していてもよい。また、原料供給ライン(1)はエステル化反応槽(A)の液相部に接続されていてもよい。
重縮合槽前のエステル化反応物に触媒を添加する場合は、触媒調製槽(図示せず)で触媒溶液を所定濃度に調製した後、図2における触媒供給ライン(L7)を経て原料(1,4−ブタンジオール)供給ライン(L8)に供給し、1,4−ブタンジオールで更に希釈した後、エステル化反応物の抜出ライン(4)に供給する。
エステル化反応物の抜出ライン(4)(この抜出ライン(4)にはフィルターを設けてもよい。)から第1重縮合反応槽(a)に供給されたエステル化反応物は、減圧下に重縮合されてポリエステル低重合体となり、その後、抜出用ギヤポンプ(c)および抜出ライン(L1)(この抜出ライン(L1)にはフィルターを設けてもよい。)を経て第2重縮合反応槽(d)に供給される。第2重縮合反応槽(d)では、通常、第1重縮合反応槽(a)よりも低い圧力で更に重縮合反応が進む。得られた重縮合物は、抜出用ギヤポンプ(e)および出口流路である抜出ライン(L3)(この抜出ライン(L3)にはフィルターを設けてもよい。)を経て、第3重縮合反応槽(k)に供給される。第3重縮合反応槽(k)は、複数個の攪拌翼ブロックで構成され、2軸のセルフクリーニングタイプの攪拌翼を具備した横型の反応槽である。抜出ライン(L3)を通じて第2重縮合反応槽(d)から第3重縮合反応槽(k)に導入された重縮合反応物は、ここで更に重縮合反応が進められた後、ペレット化の工程に移送される。
ペレット化の工程では、溶融状態のポリエステルを抜出用ギヤポンプ(m)により、抜出ライン(L5)を経てフィルター(n)を通過させた後、水中カッター(h)で切断してポリエステルペレットを得る。なお、溶融ストランドを大気中に抜き出して水で冷却した後、回転式カッターで切断してペレット化してもよい。
図2における符号(L2)、(L4)、(L6)は、それぞれ、第1重縮合反応槽(a)、第2重縮合反応槽(d)、第3重縮合反応槽(k)のベントラインであり、それぞれの重縮合反応槽(a)、(d)、(k)の圧力は、このベントライン(L2)、(L4)、(L6)から図3に示す湿式コンデンサ(Q1)、(Q2)、(Q3)を経由して、図4に示す蒸気エゼクタシステムにより減圧される。即ち、ベントライン(L2)は、図3に示す湿式コンデンサ(Q1)を経由し、ベントライン(21)で図4の蒸気エゼクタシステムに接続されている。ベントライン(L4)は、図3に示す湿式コンデンサ(Q2)を経由し、ベントライン(31)で図4の蒸気エゼクタシステムに接続されている。ベントライン(L6)は、図3に示す湿式コンデンサ(Q3)を経由し、ベントライン(41)で図4の蒸気エゼクタシステムに接続されている。
湿式コンデンサ(Q1)にはホットウェルタンク(H100)が接続され、ライン(101)より湿式コンデンサ(Q1)から排出されるドレン液が導入される。ドレン液は、捕集・溶解したプロセス飛散物と冷媒である1,4−ブタンジオールを含む液からなる。ドレン液は、ライン(103)、循環ポンプ(P100)、ライン(104)を介して湿式コンデンサ(Q1)に戻され、一部はホットウエルタンク(H100)の液面制御により、ライン(102)を介して原料スラリー調製槽(図示せず。)へ移送され、原料ジオールの一部として使用される。
湿式コンデンサ(Q2)にはホットウェルタンク(H200)が接続され、湿式コンデンサ(Q2)から排出されるドレン液が導入される。ドレン液は、捕集・溶解したプロセス飛散物と冷媒である1,4−ブタンジオールを含む液からなる。ドレン液は、ライン(203)、循環ポンプ(P200)、ライン(204)を介して湿式コンデンサ(Q2)に戻され、一部はホットウエルタンク(H200)の液面制御により、ライン(202)を介してホットウエルタンク(H100)へ移送される。
湿式コンデンサ(Q3)にはホットウェルタンク(H300)が接続され、湿式コンデンサ(Q3)から排出されるドレン液が導入される。ドレン液は、捕集・溶解したプロセス飛散物と冷媒である1,4−ブタンジオールを含む液からなる。ドレン液は、ライン(303)、循環ポンプ(P300)、ライン(304)を介して湿式コンデンサ(Q3)に戻される。ホットウエルタンク(H300)には、図4の蒸留精製塔(J1)のボトム液がライン(60)、(61)を介して供給され、ドレン液と混合し、ホットウエルタンク(H300)内の液と混合され、ホットウエルタンク(H300)の液面制御により、ライン(302)を介してホットウエルタンク(H200)へ移送される。
図4の蒸気エゼクタシステムでは、新規の1,4−ブタンジオールが供給ライン(19)を通じて、系外からエゼクタ駆動用の1,4−ブタンジオールの蒸気発生装置(K)に供給され、この蒸気発生装置(K)内での加熱により発生した1,4−ブタンジオール蒸気は、供給ライン(20)を通じて、各エゼクタ(第1重縮合反応槽用:(A1)、(A3)、第2重縮合反応槽用:(B1)、(B3)、(B5)、第3重縮合反応槽用:(C1)、(C3)、(C5))に供給される。また、蒸気発生装置(K)の液面制御により、装置内の1,4−ブタンジオールからなる液がライン(63)を介して抜出され、原料スラリー調製槽(図示せず。)へ移送され、原料ジオールの一部として使用される。
第1重縮合反応槽(a)からベントライン(L2)を経て留出した1,4−ブタンジオール、テトラヒドロフラン、水を主成分とするガスは、湿式コンデンサ(Q1)で凝縮され、この湿式コンデンサ(Q1)の未凝縮ガスがライン(21)を経て、エゼクタ(A1)に導入される。エゼクタ(A1)から排出される1,4−ブタンジオール蒸気は、バロメトリックコンデンサ(A2)で凝縮され、凝縮液は大気脚(25)を通じてホットウェルタンク(H2)に集められる。一方、バロメトリックコンデンサ(A2)で凝縮しなかった成分は2段目のエゼクタ(A3)に送られ、凝縮液は大気脚(26)を通じてホットウェルタンク(H3)に集められる。1段目と同様にバロメトリックコンデンサ(A4)で凝縮しなかった成分は真空ポンプ(A5)によりライン(24)から系外に排出される。ライン(22)、(23)は1,4−ブタンジオールの供給ラインであり、全量がホットウエルタンク(H2)、(H3)から循環供給される(図示せず)。
第2重縮合反応槽(d)からベントライン(L4)を経て留出した1,4−ブタンジオール、テトラヒドロフラン、水を主成分とするガスは、湿式コンデンサ(Q2)で凝縮され、この湿式コンデンサ(Q2)の未凝縮ガスがライン(31)を経て、エゼクタ(B1)に導入される。エゼクタ(B1)から排出される1,4−ブタンジオール蒸気は、バロメトリックコンデンサ(B2)で凝縮され、凝縮液は大気脚(36)を通じてホットウェルタンク(H1)に集められる。一方、バロメトリックコンデンサ(B2)で凝縮しなかった成分は2段目のエゼクタ(B3)に送られ、凝縮液は大気脚(37)を通じてホットウェルタンク(H2)に集められる。1段目と同様にバロメトリックコンデンサ(B4)で凝縮しなかった成分は3段目のエゼクタ(B5)に送られ、凝縮液は大気脚(38)を通じてホットウェルタンク(H3)に集められる。2段目と同様にバロメトリックコンデンサ(B6)で凝縮しなかった成分は真空ポンプ(B7)によりライン(35)から系外に排出される。ライン(32)、(33)、(34)は1,4−ブタンジオールの供給ラインであり、全量がホットウエルタンク(H1)、(H2)、(H3)から循環供給される(図示せず。)。
第3重縮合反応槽(k)からベントライン(L6)を経て留出した1,4−ブタンジオール、テトラヒドロフラン、水を主成分とするガスは、湿式コンデンサ(Q3)で凝縮され、この湿式コンデンサ(Q3)の未凝縮ガスがライン(41)を経て、エゼクタ(C1)に導入される。エゼクタ(C1)から排出される1,4−ブタンジオール蒸気は、バロメトリックコンデンサ(C2)で凝縮され、凝縮液は大気脚(46)を通じてホットウェルタンク(H1)に集められる。一方、バロメトリックコンデンサ(C2)で凝縮しなかった成分は2段目のエゼクタ(C3)に送られ、凝縮液は大気脚(47)を通じてホットウェルタンク(H2)に集められる。1段目と同様にバロメトリックコンデンサ(C4)で凝縮しなかった成分は3段目のエゼクタ(C5)に送られ、凝縮液は大気脚(48)を通じてホットウェルタンク(H3)に集められる。2段目と同様にバロメトリックコンデンサ(C6)で凝縮しなかった成分は真空ポンプ(C7)によりライン(45)から系外に排出される。ライン(42)、(43)、(44)は1,4−ブタンジオールの供給ラインであり、全量がホットウエルタンク(H1)、(H2)、(H3)から循環供給される(図示せず。)。
図示の実施形態では、ホットウエルタンク(H1)に、ライン(51)を経て新規1,4−ブタンジオールを外部から供給し、バロメトリックコンデンサ(B2)、(C2)の凝縮液と混合した後、液面制御によりタンク内液をライン(52)を介してホットウエルタンク(H2)に供給し、更に、ホットウエルタンク(H2)で、バロメトリックコンデンサ(A2)、(B4)、(C4)の凝縮液と混合した後、液面制御によりタンク内液をライン(53)を介してホットウエルタンク(H3)に供給する。
ホットウェルタンク(H3)に集められた1,4−ブタンジオールを主成分とする液体は、ポンプ(H6)、ライン(56)を通じて、蒸留精製塔(J1)でテトラヒドロフラン、水などの軽沸点成分が除去される。蒸留精製塔(J1)のボトム液(精製1,4−ブタンジオール含有液)は、ポンプ(J2)によりライン(60)を経てその一部がライン(62)を通じて、エゼクタ駆動用の1,4−ブタンジオールの蒸気発生装置(K)へ戻され、残部はライン(61)を通じて図3のホットウエルタンク(H300)へ供給される。
本発明では、例えば、この蒸留精製塔(J1)のボトム液である精製1,4−ブタンジオール含有液の蒸気発生装置(K)への返送量を制御することにより、各蒸気エゼクタに供給する1,4−ブタンジオール含有液、即ち、蒸気発生装置(K)内の封液の酸価を30eq./ton以下にすることができる。この場合、蒸留精製塔(J1)のボトム液の蒸気発生装置(K)への好適な返送量は、脂肪族ポリエステルの製造システム全体の運転条件等によっても異なるが、一般的には蒸留精製塔(J1)のボトム液の20〜80%を蒸気発生装置(K)に戻し、残部をホットウェルタンク(H300)に供給することで、蒸気発生装置(K)内の封液の酸価を30eq./ton以下に維持することができる。
<ポリエステル組成物>
本発明の脂肪族ポリエステルに、芳香族ポリエステルや、脂肪族オキシカルボン酸等を配合させてもよい。更に必要に応じて用いられるカルボジイミド化合物、充填材、可塑剤、その他、本発明の効果を阻害しない範囲で他の生分解性樹脂、例えば、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロースエステル等や、澱粉、セルロース、紙、木粉、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、クルミ殻粉末等の動物/植物物質微粉末、あるいはこれらの混合物を配合することができる。更に、成形品の物性や加工性を調整する目的で、熱安定剤、可塑剤、滑剤、ブロッキング防止剤、核剤、無機フィラー、着色剤、顔料、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤、改質剤、架橋剤等を含有させてもよい。
本発明の脂肪族ポリエステルからポリエステル組成物を製造する方法は、特に限定されないが、ブレンドしたポリエステルの原料チップを同一の押出機で溶融混合する方法、各々別々の押出機で溶融させた後に混合する方法、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーブレンダー等の通常の混練機を用いて混練することによって混合する等が挙げられる。また、各々の原料チップを直接成形機に供給して組成物を調製すると同時に、その成形体を得ることも可能である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
[調製例1:触媒溶液の調製]
減圧蒸留塔を付設したジャケット付撹拌槽(容量:600L)にエタノール(純度99重量%以上)270kg、酢酸マグネシウム・4水和物を60kgを加えた。更にエチルアシッドホスフェート(モノエステル体とジエステル体の混合重量比は45:55)を270kg加え、常温で撹拌を行った。酢酸マグネシウムが完全に溶解したことを確認後、テトラ−n−ブチルチタネートを74kg添加した。更に撹拌を継続し、均一混合溶液を得た。その後ジャケットに80℃温水を通水し、減圧下で濃縮を行い、殆どのエタノールを留去し、半透明の粘稠な液体を得た。この液体状の液体に1,4−ブタンジオールを加え、チタン原子含有量が3.5重量%となるよう調製した。
[実施例1]
図1に示すエステル化工程と、図2に示す重縮合工程と、図3に示す湿式凝縮工程と、図4に示す蒸気エゼクタシステム及び蒸気精製システムを用い、以下の要領で脂肪族ポリエステル樹脂の製造を行った。
まず、コハク酸1.00モルに対して、1,4−ブタンジオール1.30モルおよびリンゴ酸0.0028モルの割合で混合した60℃のスラリーをスラリー調製槽(図示せず。)から原料供給ライン(1)を通じ、予め、エステル化率95%以上の脂肪族ポリエステルオリゴマーをバッチ反応で調製し、230℃に保持した撹拌機を有するエステル化反応槽(A)に、3500kg/hとなるように連続的に供給した。同時に、再循環ライン(2)から180℃の精留塔(C)の塔底成分(98重量%以上が1,4−ブタンジオール)を200kg/hで供給した。
反応槽(A)の内温は230℃、圧力は101kPaとし、生成する水とテトラヒドロフラン及び余剰の1,4−ブタンジオールを、留出ライン(5)から留出させ、精留塔(C)で高沸成分と低沸成分とに分離した。精留塔(C)の塔底からライン(6)を通じて抜き出した高沸物は一部をライン(7)を通じて精留塔(C)に循環した。系が安定した後の塔底の高沸成分は、98重量%以上が1,4−ブタンジオールであり、精留塔(C)の液面が一定になる様に、抜出ライン(8)を通じてその一部を外部に抜き出した。一方、水とテトラヒドロフランを主体とする低沸成分は塔頂よりガスの形態で抜き出し、コンデンサ(G)で凝縮させ、タンク(F)の液面が一定になる様に、抜出ライン(13)より外部に抜き出した。
反応槽(A)で生成したエステル化反応生成物としてのオリゴマーの一定量は、ポンプ(B)を使用し、オリゴマーの抜出ライン(4)から抜き出し、反応槽(A)内液のコハク酸ユニット換算での滞留時間が3時間になる様に液面を制御した。抜出ライン(4)から抜き出したオリゴマーは、図2の第1重縮合反応槽(a)に連続的に供給した。系が安定した後、エステル化反応槽(A)の出口で採取した反応物のエステル化率は90.6%であった。
調製例1で調製した触媒溶液を更に、図2の供給ライン(L7)から供給ライン(L8)の1,4−ブタンジオールで希釈して、チタン原子としての濃度を0.1重量%とした液を、エステル化反応物の抜出ライン(4)に120kg/h(触媒溶液調製に用いた新規1,4−ブタンジオール(市販品)量は約120kg/h)で供給した。
第1重縮合反応槽(a)の内温は240℃、圧力2.66kPaとし、滞留時間が2時間になる様に液面制御を行い、ベントライン(L2)から、水、テトラヒドロフラン、1,4−ブタンジオールを抜き出しながら、初期重縮合反応を行った。ベントライン(L2)は、図3に示す湿式コンデンサ(Q1)を経由し、ベントライン(21)で図4の蒸気エゼクタシステムに接続した。
図3の湿式コンデンサ(Q1)にはホットウェルタンク(H100)が接続され、ライン(101)より湿式コンデンサ(Q1)から排出されるドレン液が導入される。ドレン液は、捕集・溶解したプロセス飛散物と冷媒である1,4−ブタンジオールを含む液からなる。ドレン液は、ライン(103)、循環ポンプ(P100)、ライン(104)を介して湿式コンデンサ(Q1)に戻した。またドレン液の一部はホットウエルタンク(H100)の液面制御により、ライン(102)を介して原料スラリー調製槽(図示せず。)へ移送し、原料ジオールの一部として使用した。
一方、図2の第1重縮合反応槽(a)から抜き出した反応液は、抜出用ギヤポンプ(c)により抜出ライン(L1)を経由し、第2重縮合反応槽(d)に連続的に供給した。
第2重縮合反応槽(d)の内温は240℃、圧力0.40kPaとし、滞留時間が2.5時間になる様に液面制御を行い、ベントライン(L4)から、水、テトラヒドロフラン、1,4−ブタンジオールを抜き出しながら、更に重縮合反応を進めた。ベントライン(L4)は、図3に示す湿式コンデンサ(Q2)を経由し、ベントライン(31)で図4の蒸気エゼクタシステムに接続した。
湿式コンデンサ(Q2)にはホットウェルタンク(H200)が接続され、湿式コンデンサ(Q2)から排出されるドレン液が導入される。ドレン液は、捕集・溶解したプロセス飛散物と冷媒である1,4−ブタンジオールを含む液からなる。ドレン液は、ライン(203)、循環ポンプ(P200)、ライン(204)を介して湿式コンデンサ(Q2)に戻した。またドレン液の一部はホットウエルタンク(H200)の液面制御により、ライン(202)を介してホットウエルタンク(H100)へ移送した。
一方、図2の第2重縮合反応槽(b)から得られたポリエステルは、抜出用ギヤポンプ(e)により抜出ライン(L3)を経由し、第3重縮合反応槽(k)に連続的に供給した。
第3重縮合反応槽(k)の内温は240℃、圧力0.13kPaとし、滞留時間が3時間になる様に液面制御を行い、ベントライン(L6)から、水、テトラヒドロフラン、1,4−ブタンジオールを抜き出しながら、更に重縮合反応を進めた。ベントライン(L6)は、図3に示す湿式凝縮器(C3)を経由し、ベントライン(31)で図4の蒸気エゼクタシステムに接続した。
湿式コンデンサ(Q3)にはホットウェルタンク(H300)が接続され、湿式コンデンサ(Q3)から排出されるドレン液が導入される。ドレン液は、捕集・溶解したプロセス飛散物と冷媒である1,4−ブタンジオールを含む液からなる。ドレン液は、ライン(303)、循環ポンプ(P300)、ライン(304)を介して湿式コンデンサ(Q3)に戻した。
ホットウエルタンク(H300)には、図4の蒸留精製塔(J1)のボトム液をライン(60)、(61)を介して1000kg/hで供給し、ドレン液と混合し、ホットウエルタンク(H300)内の液は、ホットウエルタンク(H300)の液面制御により、ライン(302)を介してホットウエルタンク(H200)へ移送した。
一方、第3重縮合反応槽(k)で得られたポリエステルは、抜出用ギヤポンプ(m)により抜出ライン(L5)を経由し、絶対濾過精度40μmを有する積層金属不織布を濾材とするプリーツ型ポリマーフィルター(n)を通過させ、水中カッター(h)でカッティングして脂肪族ポリエステルペレットを製造した。
尚、それぞれの重縮合反応槽(a)、(d)、(k)の圧力は図4に示した蒸気エゼクタシステムを用いてコントロールした。
蒸気エゼクタシステムでは、新規の1,4−ブタンジオール(市販品)を外部から供給ライン(19)を通じて、エゼクタ駆動用の1,4−ブタンジオールの蒸気発生装置(K)へ、1350kg/hで連続的に供給し、240℃に加熱し2000kg/hの1,4−ブタンジオール蒸気を発生させ、供給ライン(20)を通じて、各エゼクタ(第1重縮合反応槽用:(A1)、(A3)、第2重縮合反応槽用:(B1)、(B3)、(B5)、第3重縮合反応槽用:(C1)、(C3)、(C5))へ供給した。また蒸気発生装置(K)から、蒸気発生装置(K)の液面制御により1,4−ブタンジオールからなる液をライン(63)を介して抜き出し、原料スラリー調製槽(図示せず。)へ移送し、原料ジオールの一部として使用した。
第1重縮合反応槽(a)から留出したテトラヒドロフラン、水を主成分とするガスは、湿式コンデンサ(Q1)を経てライン(21)を経て、エゼクタ(A1)に導入され、この時エゼクタ(A1)から排出される1,4−ブタンジオール蒸気は、バロメトリックコンデンサ(A2)で凝縮され、凝縮液は大気脚(25)を通じてホットウェルタンク(H2)に集められる。一方、バロメトリックコンデンサ(A2)で凝縮しなかった成分は2段目のエゼクタ(A3)に送られ、凝縮液は大気脚(26)を通じてホットウェルタンク(H3)に集められた。1段目と同様にバロメトリックコンデンサ(A4)で凝縮しなかった成分は真空ポンプ(A5)を用いてライン(24)から系外に排出した。ライン(22)、(23)は1,4−ブタンジオールの供給ラインであり、全量をホットウエルタンク(H2)、(H3)から循環供給した(図示せず。)。
第2重縮合反応槽(d)から留出したテトラヒドロフラン、水を主成分とするガスはライン(31)を経て、エゼクタ(B1)に導入され、この時エゼクタ(B1)から排出される1,4−ブタンジオール蒸気は、バロメトリックコンデンサ(B2)で凝縮され、凝縮液は大気脚(36)を通じてホットウェルタンク(H1)に集められた。一方、バロメトリックコンデンサ(B2)で凝縮しなかった成分は2段目のエゼクタ(B3)に送られ、凝縮液は大気脚(37)を通じてホットウェルタンク(H2)に集められた。1段目と同様にバロメトリックコンデンサ(B4)で凝縮しなかった成分は3段目のエゼクタ(B5)に送られ、凝縮液は大気脚(38)を通じてホットウェルタンク(H3)に集められた。2段目と同様にバロメトリックコンデンサ(B6)で凝縮しなかった成分は真空ポンプ(B7)を用いてライン(35)から系外に排出した。ライン(32)、(33)、(34)は1,4−ブタンジオールの供給ラインであり、全量をホットウエルタンク(H1)、(H2)、(H3)から循環供給した(図示せず。)。
第3重縮合反応槽(k)から留出したテトラヒドロフラン、水を主成分とするガスはライン(41)を経て、エゼクタ(C1)に導入され、この時エゼクタ(C1)から排出される1,4−ブタンジオール蒸気は、バロメトリックコンデンサ(C2)で凝縮され、凝縮液は大気脚(46)を通じてホットウェルタンク(H1)に集められた。一方、バロメトリックコンデンサ(C2)で凝縮しなかった成分は2段目のエゼクタ(C3)に送られ、凝縮液は大気脚(47)を通じてホットウェルタンク(H2)に集められた。1段目と同様にバロメトリックコンデンサ(C4)で凝縮しなかった成分は3段目のエゼクタ(C5)に送られ、凝縮液は大気脚(48)を通じてホットウェルタンク(H3)に集められた。2段目と同様にバロメトリックコンデンサ(C6)で凝縮しなかった成分は真空ポンプ(C7)を用いてライン(45)から系外に排出した。ライン(42)、(43)、(44)は1,4−ブタンジオールの供給ラインであり、全量をホットウエルタンク(H1)、(H2)、(H3)から循環供給した(図示せず。)。
ホットウエルタンク(H1)へは、ライン(51)で新規1,4−ブタンジオール(市販品)を50kg/hで外部から供給し、バロメトリックコンデンサ(B2)、(C2)の凝縮液と混合した後、液面制御によりタンク内液をライン(52)を介してホットウエルタンク(H2)に供給した。ホットウエルタンク(H2)では、バロメトリックコンデンサ(A2)、(B4)、(C4)の凝縮液と混合した後、液面制御によりタンク内液をライン(53)を介してホットウエルタンク(H3)に供給した。
ホットウェルタンク(H3)に集められた1,4−ブタンジオールを主成分とする液体は、ポンプ(H6)、ライン(56)を通じて、蒸留精製塔(J1)でテトラヒドロフラン、水などの軽沸点成分を除去した後、ポンプ(J2)、ライン(60)からライン(62)を通じて、エゼクタ駆動用の1,4−ブタンジオールの蒸気発生装置(K)へ戻すとともに、ライン(61)を通じて図3のホットウエルタンク(H300)へ供給した。ここで、蒸気発生装置(K)へ戻した液量は、蒸留精留塔(J1)のボトム液(ライン(60)の液)の50%とした。
以上運転条件下で、1ヶ月間安定的に運転を継続した。ポリエステル(PBS)の生産量は2500kg/hであった。
[比較例1]
実施例1において、図4の蒸留精製塔(J1)のボトム液のホットウエルタンク(H300)への供給(ライン(61))を停止し、蒸留精製塔(J1)のボトム液の全量を蒸気蒸発器(K)へ戻すとともに、ホットウエルタンク(H300)へはライン(64)から新規の1,4−ブタンジオール(市販品)を外部から1000kg/hで供給して実施例1と同様の条件で運転を始めた。
運転を継続すると徐々に各重縮合反応槽(a)、(d)、(k)の減圧が保てなくなり、原料スラリーのエステル化反応槽(A)への供給速度を落とさざるを得なくなり、最終的に、以下の条件で、運転が安定した。
再循環ライン(2)からの精留塔(C)の塔底成分(98重量%以上が1,4−ブタンジオール)の循環量:140kg/h
触媒溶液(チタン原子換算濃度0.1重量%)のエステル化反応物の抜出ライン(4)への供給量:85kg/h
ホットウエルタンク(H300)への新規1,4−ブタンジオール(市販品)の供給量:750kg/h
第3重縮合反応槽(k)で得られたポリエステルは、抜出用ギヤポンプ(m)により抜出ライン(L5)を経由し、絶対濾過精度40μmを有する積層金属不織布を濾材とするプリーツ型ポリマーフィルター(n)を通過させ、水中カッター(h)でカッティングして脂肪族ポリエステルペレットを製造した。
上記以外は、実施例1と同様の条件で脂肪族ポリエステルを連続的に製造する運転を1ヶ月継続した。
ポリエステル(PBS)生産量は1750kg/hであった。
上記の実施例1と比較例1で系外から導入した新規1,4−ブタンジオール量と、ライン(63)内の1,4−ブタンジオールについて、以下の方法で測定した1,4−ブタンジオールの酸価(この酸価は、蒸気発生装置(K)内の1,4−ブタンジオールの酸価に相当する。)と、以下の方法で測定した1,4−ブタンジオールのテトラヒドロフラン(THF)濃度と、製造されたポリエステルの生産量、製造されたポリエステルの単位重量当たりの新規1,4−ブタンジオール導入量(新規1,4−BG/生産ポリエステル)を以下の表1に対比して示す。
<1,4−ブタンジオールの酸価の測定方法>
1,4−ブタンジオール5gを蒸留水で100mLに希釈した水溶液のpHを測定しながら、0.01N水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、pH≧7となる滴定量から以下の式に従って1,4−ブタンジオールの酸価を算出した。
酸価(eq./ton)=0.01×0.1N水酸化ナトリウム水溶液滴定量(mL)/サンプル量(g)×1000
<THF濃度の測定方法>
キャピラリーカラム(J&W DB−wax(Agilent Technology Inc.社) 60m(L)×0.32mm(ID)×0.5μm(Thickness))を用い、ガスクロマトグラフィー法により1,4−ブタンジオール中のテトラヒドロフラン濃度を定量した。
表1より、本発明によれば、系内のTHFの副生を抑制した上で、蒸気エゼクタの駆動蒸気源として用いた1,4−ブタンジオールの有効利用効率を高め、脂肪族ポリエステルを安定運転にて効率的に連続生産することができることが分かる。