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JP2018145048A - ガラス樹脂複合体 - Google Patents

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JP2018145048A JP2017041662A JP2017041662A JP2018145048A JP 2018145048 A JP2018145048 A JP 2018145048A JP 2017041662 A JP2017041662 A JP 2017041662A JP 2017041662 A JP2017041662 A JP 2017041662A JP 2018145048 A JP2018145048 A JP 2018145048A
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洋平 細田
慎護 中根
Shingo Nakane
慎護 中根
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Abstract

【課題】板厚が小さくても、衝撃抵抗が高く、積層一体化や曲げ加工が容易であり、しかも製造コストを低廉化し得るガラス樹脂複合体を創案する。【解決手段】本発明のガラス樹脂積層体は、窓ガラスに用いるガラス樹脂複合体において、少なくとも複数枚のガラス板と樹脂板とを備え、外層のガラス板の内、少なくとも一層のガラス転移温度が300〜850℃、ビッカース硬度が6GPa以上、且つ結晶化度が30%以下であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、窓ガラスに用いるガラス樹脂複合体に関し、特に車両等の窓ガラスに好適なガラス樹脂複合体に関する。
車両等の窓ガラスには、一般的に、複数枚のソーダライムガラス板を有機樹脂中間層で複合一体化した合わせガラスが使用されており、軽量化を目的として、複数枚のソーダライムガラス板と樹脂板とを有機樹脂中間層で複合一体化したガラス樹脂複合体が用いられていることもある。
車両等の窓ガラスに使用されるソーダライムガラス板は、走行中の飛び石等の飛散片の先端部分の形状を変形させて、その衝撃抵抗を増大させることで、衝突時における飛散片の運動エネルギーを減衰させる機能を有している(特許文献1〜4参照)。
しかし、ソーダライムガラスは、飛散片の衝撃抵抗を増大させる能力が十分であるとは言えない。現状、ソーダライムガラス板の板厚を大きくするか、積層枚数を多くして、飛散片の衝撃抵抗を高めているが、これに伴い、窓ガラスの厚みや重量の増大を招いている。
そこで、飛散片の衝撃抵抗を高めるために、ソーダライムガラス板の代わりに、結晶化ガラス板を用いることが提案されている。例えば、特許文献2〜4には、主結晶としてβ−石英固溶体(LiO・Al・nSiO[但し、n≧2])等のLiO−Al−SiO系結晶を析出してなる結晶化ガラス板が開示されている。
特開2012−144217号公報 特開2004−196184号公報 特開2001−151539号公報 実開平1−8821号公報
しかし、結晶化ガラスは、結晶性ガラスを焼成して、結晶を析出させる結晶化工程を経るため、製造コストが上昇し易く、更に結晶析出後に、熱変形させることが極めて困難であるため、車両等の窓ガラスに適用することが困難であるという問題を有している。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その技術的課題は、板厚が小さくても、飛散片の衝撃抵抗が高く、積層一体化や曲げ加工が容易であり、しかも製造コストを低廉化し得る窓ガラスを創案することである。
本発明者等は、複数枚のガラス板と樹脂板とを備えるガラス樹脂複合体(ガラス樹脂積層体)について、外側(外気側)のガラス板の硬度を高めつつ、ガラス転移温度と結晶化度を低下させることにより、上記技術的課題を解決し得ることを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明のガラス樹脂複合体は、窓ガラスに用いるガラス樹脂複合体において、少なくとも複数枚のガラス板と樹脂板とを備え、外層のガラス板の内、少なくとも一層のガラス転移温度が300〜850℃、ビッカース硬度が6GPa以上、且つ結晶化度が30%以下であることを特徴とする。ここで、「外層のガラス板」とは、最内層のガラス板以外のガラス板を指す。「ガラス転移温度」は、ディラトメーターを用いて測定した値を指す。「ビッカース硬度」は、温度25℃において、光学研磨されたガラス表面に対して、0.98Nの荷重でビッカース圧子を15秒間打ち込むことにより発生した圧痕の面積から算出した値を指す。「結晶化度」は、粉末法によりXRDを測定することにより、非晶質の質量に相当するハローの面積と、結晶の質量に相当するピークの面積とをそれぞれ算出した後、[ピークの面積]×100/[ピークの面積+ハローの面積](%)の式により求めた値を指す。
本発明のガラス樹脂複合体は、少なくとも複数枚のガラス板と樹脂板とを備えている。ガラス板は、透明性を有し、衝撃抵抗を高める材料である。樹脂板は、飛散片による衝撃を緩和し、また飛散片の衝撃によるガラス片の飛散を防止する材料である。両者を備えることにより、耐衝撃性能を確保し易くなる。
また、本発明のガラス樹脂複合体において、外層のガラス板の内、少なくとも一層のビッカース硬度は6GPa以上である。これにより、ガラス板を結晶化しなくても、衝撃抵抗を大幅に高めることができる。
更に、本発明のガラス樹脂複合体において、外層のガラス板の内、少なくとも一層のガラス板のガラス転移温度は300〜850℃であり、且つ結晶化度は30%以下である。これにより、ガラス板を曲げ加工し易くなる。
第二に、本発明のガラス樹脂複合体は、外層のガラス板の内、少なくとも一層のガラス板が、非晶質ガラスであり、ガラス組成として、モル%で、SiO 45〜80%、Al 10〜30%、LiO+NaO+KO 0〜30%、MgO+CaO+SrO+BaO 3〜35%を含有することが好ましい。ここで、「非晶質」は、結晶化度が1%未満である場合を指す。「LiO+NaO+KO」は、LiO、NaO及びKOの合量を指す。「MgO+CaO+SrO+BaO」は、MgO、CaO、SrO及びBaOの合量を指す。
第三に、本発明のガラス樹脂複合体は、最内層(室内側)のガラス板が、ソーダライムガラスであることが好ましい。
第四に、本発明のガラス樹脂複合体は、樹脂板が、最内層のガラス板よりも内側に配置されることが好ましい。
第五に、本発明のガラス樹脂複合体は、樹脂板が、ポリカーボネート板であることが好ましい。
第六に、本発明のガラス樹脂複合体は、総板厚が45mm以下であることが好ましい。
第七に、本発明のガラス樹脂複合体は、3次元的に湾曲した曲面形状を有することが好ましい。図1は、本発明の窓ガラスの一例を説明するための概略図である。ガラス樹脂複合体10は、最外層のガラス板11と、最内層のガラス板12と、樹脂板13とを備えている。そして、最外層のガラス板11のガラス転移温度は300〜850℃、ビッカース硬度は6GPa以上、且つ結晶化度は30%以下である。また、最外層のガラス板11と、最内層のガラス板12と、樹脂板13とは、図示しない有機樹脂中間層で積層一体化されている。そして、ガラス樹脂複合体10は、3次元的に湾曲した曲面形状を有しており、具体的には、最外層のガラス板11側を凸として、板幅方向の全体が円弧状に湾曲し、且つ長さ方向の全体が円弧状に湾曲している。
本発明のガラス樹脂複合体の一例を示す概略図である。 本発明のガラス樹脂複合体の一例を示す概略断面図である。
本発明のガラス樹脂複合体は、複数枚のガラス板を備えており、好ましくは2〜7枚、より好ましくは2〜3枚、特に2枚のガラス板を備えている。ガラス板の枚数が少な過ぎる、つまりガラス板の枚数が1枚になると、耐衝撃性能が低下し易くなる。ガラス板の枚数が多過ぎると、ガラス樹脂複合体の透明性が低下して、窓ガラスの視認性が低下し易くなる。また重量が増加して、車両等の燃費や消費電力コストが低下し易くなる。
図2は、本発明のガラス樹脂複合体の一例を示す概略断面図である。ガラス樹脂複合体20は、外側から見て、最外層のガラス板21、ガラス板22、ガラス板23、ガラス板24、最内層のガラス板25、樹脂板26の順に積層一体化されている。ガラス板22〜24のビッカース硬度は8GPaであるが、最外層のガラス板21のビッカース硬度は5.6GPa、最内層のガラス板25のビッカース硬度は5.6GPaになっている。
本発明のガラス樹脂複合体において、外層のガラス板の内、少なくとも一層(好ましくは最外層のガラス板)のビッカース硬度は6GPa以上であり、好ましくは6.5GPa以上であり、特に好ましくは7〜15GPaである。ビッカース硬度が低過ぎると、衝撃抵抗が低下し易くなる。
外層のガラス板の内、少なくとも一層(好ましくは最外層のガラス板)のガラス転移温度は300〜850℃であり、好ましくは320〜820℃であり、特に好ましくは350〜800℃である。ガラス転移温度が低過ぎると、複数のガラス板と樹脂板を積層一体化する際に、ガラス板が形状変化して、ガラス樹脂複合体の寸法精度が低下し易くなる。一方、ガラス転移温度が高過ぎると、ガラス板を曲げ加工し難くなる。なお、最内層のガラス板以外のガラス板のガラス転移温度は、好ましくは300〜850℃、より好ましくは320〜820℃、特に好ましくは350〜800℃である。
外層のガラス板の内、少なくとも一層(好ましくは最外層のガラス板)の結晶化度は30%以下であり、好ましくは10%以下であり、特に好ましくは1%未満、つまり非晶質ガラスである。結晶化度が高過ぎると、ガラス板を曲げ加工し難くなる。なお、最内層のガラス板の結晶化度は、好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは1%未満、つまり非晶質ガラスである。
ガラス板は、イオン交換による圧縮応力層を有していないことが好ましい。これにより、イオン交換処理が不要になり、ガラス板の製造コストを低廉化することができる。
本発明のガラス樹脂複合体において、最内層以外のガラス板、好ましくは最外層のガラス板の板厚は、好ましくは15mm以下、12mm以下、10mm以下、特に8mm以下であり、好ましくは3mm以上、4mm以上、5mm以上、6mm以上、特に7mm以上である。最内層のガラス板の板厚は、好ましくは15mm以下、12mm以下、10mm以下、特に8mm以下であり、好ましくは3mm以上、4mm以上、5mm以上、6mm以上、特に7mm以上である。ガラス板の板厚が小さ過ぎると、衝撃抵抗が低下して、耐衝撃性能を確保し難くなる。一方、ガラス板の板厚が大き過ぎると、窓ガラスを薄型化し難くなり、視認性が低下し易くなる。またガラス樹脂複合体の重量が増大して、車両等の燃費や消費電力コストが高騰してしまう。
本発明のガラス樹脂複合体において、最内層のガラス板の長辺寸法は、最外層のガラス板の長辺寸法よりも小さいことが好ましい。そして、両者の長辺寸法差は、両者の熱膨張係数差に応じて、調整されていることが好ましい。このようにすれば、曲げ加工後に両者を積層一体化した場合に、両者の寸法差が小さくなり、両者の端面が揃い易くなる。その結果、ガラス樹脂複合体の端面強度が向上する。
ガラス板(好ましくは最内層以外のガラス板、特に好ましくは最外層のガラス板)は、アルミノシリケートガラスが好ましい。アルミノシリケートガラスは、ビッカース硬度が高いため、衝撃抵抗が高い。また耐失透性が良好であるため、板状に成形が容易である。
ガラス板(好ましくは最内層以外のガラス板、特に好ましくは最外層のガラス板)は、ガラス組成として、モル%で、SiO 45〜80%、Al 10〜30%、LiO+NaO+KO 0〜30%、MgO+CaO+SrO+BaO 3〜35%を含有することが好ましい。上記のように各成分の含有範囲を規制した理由を下記に示す。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示はモル%を指すものとする。
SiOは、ガラスのネットワークを形成する成分であり、またビッカース硬度を高める成分である。SiOの含有量は、好ましくは45〜80%、50〜75%、特に55〜70%である。SiOの含有量が少な過ぎると、ガラス化し難くなり、またビッカース硬度が低下し易くなる。一方、SiOの含有量が多過ぎると、溶融性や成形性が低下し易くなり、また熱膨張係数が低くなり過ぎて、樹脂板や有機樹脂中間層の熱膨張係数に整合させ難くなる。
Alは、耐候性やビッカース硬度を高める成分である。Alの含有量は、好ましくは10〜30%、15〜25%、特に17〜23%である。Alの含有量が少な過ぎると、耐候性やビッカース硬度が低下し易くなる。一方、Alの含有量が多過ぎると、溶融性、成形性及び耐失透性が低下し易くなる。
LiO、NaO及びKOは、高温粘度を低下させて、溶融性、成形性及び熱加工性を高める成分である。LiO、NaO及びKOの合量は、好ましくは0〜30%、5〜25%、特に10〜20%である。LiO、NaO及びKOのそれぞれの含有量は、好ましくは0〜20%、3〜15%、特に8〜16%である。LiO、NaO及びKOの含有量が多過ぎると、耐失透性と耐候性が低下し易くなる。
MgO、CaO、SrO及びBaOは、高温粘度を低下させて、溶融性、成形性及び熱加工性を高める成分である。特にMgOは、ビッカース硬度を顕著に高める成分である。MgO、CaO、SrO及びBaOの合量は、好ましくは3〜35%、10〜30%、特に20〜25%である。MgOの含有量は、好ましくは0〜20%、2〜15%、特に5〜16%である。CaO、SrO及びBaOのそれぞれの含有量は、好ましくは0〜20%、0〜15%、特に1〜16%である。MgO、CaO、SrO及びBaOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなる。なお、ビッカース硬度と熱加工性を同時に高める観点から、モル比MgO/(MgO+CaO+SrO+BaO)は、好ましくは0.5
以上、0.7以上、0.8以上、特に0.9以上である。なお、「MgO/(MgO+CaO+SrO+BaO)」は、MgOの含有量をMgO、CaO、SrO及びBaOの合量で割った値である。
上記成分以外にも、例えば以下の成分を添加してもよい。
は、ガラスのネットワークを形成する成分であり、またクラック発生率を低下させる成分であるが、耐候性を低下させる成分である。よって、Bの含有量は、好ましくは0〜20%、0〜10%、特に0〜5%である。
TiOは、耐候性を高める成分であるが、ガラスを着色させる成分である。よって、TiOの含有量は、好ましくは0〜0.5%、特に0〜0.1%未満である。
ZrOは、耐候性を高める成分であるが、耐失透性を低下させる成分である。よって、ZrOの含有量は、好ましくは0〜0.5%、特に0〜0.1%未満である。
清澄剤として、SnO、Cl、SO、CeOの群(好ましくはSnO、SOの群)から選択された一種又は二種以上を0.05〜0.5%添加してもよい。
Feは、ガラス原料に不純物として不可避的に混入する成分であり、着色成分である。よって、Feの含有量は、好ましくは0.5%以下、特に0.01〜0.07%である。
、Cr、CoO及びNiOは、着色成分である。よって、V、Cr、CoO及びNiOのそれぞれの含有量は、好ましくは0.1%以下、特に0.01%未満である。
Nd、La等の希土類酸化物は、ビッカース硬度を高める成分である。しかし、原料自体のコストが高く、また多量に添加すると、耐失透性が低下し易くなる。よって、希土類酸化物の合量は、好ましくは3%以下、1%以下、0.5%以下、特に0.1%以下である。
環境的配慮から、ガラス組成として、実質的にAs、Sb、PbO、Bi及びFを含有しないことが好ましい。ここで、「実質的に〜を含有しない」とは、ガラス成分として積極的に明示の成分を添加しないものの、不純物として混入する場合を許容する趣旨であり、具体的には、明示の成分の含有量が0.05%未満であることを指す。
最内層のガラス板として、上記アルミノシリケートガラスを用いてもよいが、製造コストの観点から、ソーダライムガラスを用いることが好ましい。ソーダライムガラスは、一般的に、ガラス組成として、モル%で、SiO 68〜78%、Al 0〜2%、CaO 6〜15%、MgO 0〜10%、NaO 10〜20%、KO 0〜3%、Fe 0〜1%を含有している。
本発明のガラス樹脂複合体は、飛び石等の飛散片が衝突した時にその衝撃力を緩和するために、樹脂板を備える。樹脂板の枚数は特に制限されないが、視認性を高める観点から、1枚であることが好ましい。樹脂板の枚数が多過ぎると、ガラス樹脂複合体の透明性が低下して、窓ガラスの視認性が低下し易くなる。
樹脂板は、最内層のガラス板よりも内側に配置されることが好ましい。このようにすれば、飛散片による衝撃を緩和し易くなり、また飛散片によりガラス板が破損した時に、内側に向かってガラス片が飛散する事態を防止することができる。
樹脂板として、アクリル板、ポリカーボネート板等の種々の樹脂板が使用可能である。特に、その中でも、ポリカーボネート板は、透明性、衝撃緩和性、軽量化の観点から特に好ましい。
樹脂板の板厚は、好ましくは10mm以下、8mmm以下、7mm以下、6mm以下、特に5mm以下であり、好ましくは0.5mm以上、0.7mm以上、1mm以上、2mm以上、特に3mm以上である。樹脂板の板厚が小さ過ぎると、飛散片が衝突した時にその衝撃を緩和し難くなる。一方、樹脂板の板厚が大き過ぎると、ガラス樹脂複合体を薄型化し難くなり、視認性が低下し易くなる。
ガラス樹脂複合体の板厚は、好ましくは45mm以下、35mm以下、30mm以下、25mm以下、特に22mm以下であり、好ましくは7mm以上、11mm以上、12mm以上、特に15mm以上である。ガラス樹脂複合体の板厚が小さ過ぎると、耐衝撃性能が低下し易くなる。一方、ガラス樹脂複合体の板厚が大き過ぎると、ガラス樹脂複合体の重量が重くなり、また視認性が低下し易くなる。
本発明のガラス樹脂複合体において、複数のガラス板と樹脂板とを積層一体化するために有機樹脂(有機樹脂中間層)を用いることが好ましい。有機樹脂中間層の厚みは、好ましくは0.1〜2mm、0.3〜1.5mm、0.5〜1.2mm、特に0.6〜0.9mmである。有機樹脂中間層の厚みが小さ過ぎると、衝撃吸収性が低下し易くなり、また固着性にばらつきが生じ易くなって、ガラス板と樹脂板が剥離し易くなる。一方、有機樹脂中間層の厚みが大き過ぎると、ガラス樹脂複合体の透明性が低下して、窓ガラスの視認性が低下し易くなる。
有機樹脂中間層の熱膨張係数は、ガラス板の熱膨張係数以上、且つ樹脂板の熱膨張係数以下であることが好ましい。このようにすれば、ガラス樹脂複合体が直射日光で加熱された時に、ガラス板と樹脂板が分離、変形し難くなる。なお、「熱膨張係数」は、0〜300℃の温度範囲における平均線熱膨張係数を指す。
有機樹脂中間層として、種々の有機樹脂が使用可能であり、例えば、ポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、メタクリル樹脂(PMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、セルロースアセテート(CA)、ジアリルフタレート樹脂(DAP)、ユリア樹脂(UP)、メラミン樹脂(MF)、不飽和ポリエステル(UP)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルホルマール(PVF)、ポリビニルアルコール(PVAL)、酢酸ビニル樹脂(PVAc)、アイオノマー(IO)、ポリメチルペンテン(TPX)、塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、メタクリル−スチレン共重合樹脂(MS)、ポリアレート(PAR)、ポリアリルスルフォン(PASF)、ポリブタジエン(BR)、ポリエーテルスルフォン(PESF)、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が使用可能である。その中でも、透明性と固着性の観点から、EVA、PVBが好適であり、特にPVBは遮音性を付与し得るため好ましい。
有機樹脂中間層中に着色剤を添加してもよく、赤外線、紫外線等の特定波長光線を吸収する吸収剤を添加してもよい。
有機樹脂中間層には、上記有機樹脂を複数種類組み合わせたものを用いてもよい。例えば、ガラス板と樹脂板の積層一体化の際に二層の有機樹脂中間層を用いると、ガラス板と樹脂板が異なる有機樹脂で固着されるため、ガラス樹脂複合体の反りを低減し易くなる。
以下のようにして、本発明のガラス樹脂複合体を作製することができる。
まず所定のガラス組成になるように調合したガラス原料を連続溶融炉に投入して、1500〜1700℃で加熱溶融し、清澄、攪拌した後、成形装置に供給して板状に成形し、徐冷することにより、ガラス板を作製することができる。
平板形状に成形する方法として、オーバーフローダウンドロー法を採用することが好ましい。オーバーフローダウンドロー法は、表面が未研磨の状態で、高品位なガラス板を大量に作製し得ると共に、大型のガラス板も容易に作製し得る方法である。なお、表面が未研磨であると、ガラス板の製造コストを低廉化することができる。
オーバーフローダウンドロー法以外にも、フロート法でガラス板を成形することも好ましい。フロート法は、大型のガラス板を安価に作製し得る方法である。
ガラス板は、必要に応じて、面取り加工されていることが好ましい。その場合、#800のメタルボンド砥石等により、C面取り加工を行うことが好ましい。このようにすれば、端面強度を高めることができる。必要に応じて、ガラス板の端面をエッチングして、端面に存在するクラックソースを低減することも好ましい。
次に、得られたガラス板について、必要に応じて、曲面加工を行う。曲面加工の方法として、種々の方法を採用することができる。特に、金型によりガラス板をプレス成形する方法が好ましく、所定の形状の金型でガラス板を挟み込んだ状態で熱処理炉を通過させることが好ましい。このようにすれば、曲面形状の寸法精度を高めることができる。また、所定形状の金型上にガラス板を配置した後、ガラス板の一部又は全体を熱処理することにより、金型の形状に沿って、ガラス板を自重で軟化変形させる方法も好ましい。このようにすれば、曲面加工の効率を高めることができる。
更に、複数のガラス板と樹脂板とを積層一体化して、ガラス樹脂複合体を得る。積層一体化の方法として、ガラス板同士又はガラス板と樹脂板の間に有機樹脂を注入した後に有機樹脂を硬化させる方法、ガラス板同士又はガラス板と樹脂板の間に有機樹脂シートを配置した後に加圧加熱処理(熱圧着)する方法等が挙げられる。前者の方法は、ガラス板と樹脂板の膨張不整合による樹脂板の変形を抑制することができる。後者の方法の方は、積層一体化が容易である。
また、積層一体化した後に、最外層のガラス板の外表面に、ハードコート膜、赤外線反射膜、熱線反射膜等の機能膜を形成してもよい。また積層一体化する前に、最外層のガラス板の内表面に、ハードコート膜、赤外線反射膜、熱線反射膜等の機能膜を形成してもよい。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例は単なる例示である。本発明は以下の実施例に何ら限定されない。
次のようにしてガラス板を作製した。表1に記載のガラス板が得られるように、ガラス原料を調合した。次に、調合済みのガラスバッチを連続溶融炉に投入し、1600℃で20時間溶融した後、清澄、攪拌して、均質な溶融ガラスを得た上で、板厚8.0mmの板状に成形した。得られたガラス板について、ガラス転移温度、ビッカース硬度及び結晶化度を評価した。なお、試料No.1〜7に係るガラス板は、Feの混入不純量が0.05モル%であり、V、Cr、CoO及びNiOの混入不純物量がそれぞれ0.01モル%未満であった。
ガラス転移温度は、ディラトメーターを用いて測定した値である。
ビッカース硬度は、温度25℃において、光学研磨されたガラス表面に対して、0.98Nの荷重でビッカース圧子を15秒間打ち込むことにより発生した圧痕の面積から算出した値である。
結晶化度は、粉末法によりXRDを測定することにより、非晶質の質量に相当するハローの面積と、結晶の質量に相当するピークの面積とをそれぞれ算出した後、[ピークの面積]×100/[ピークの面積+ハローの面積](%)の式により求めた値を指す。
また、ガラス板を所定の形状の金型で各試料を挟み込んだ状態で熱処理炉を通過させることにより、板幅方向の全体が円弧状に湾曲し、且つ長さ方向の全体が円弧状に湾曲した曲面形状に曲面加工した。その後、曲面加工後のガラス板の端面について#800のメタルボンド砥石によりC面取り加工及び研磨加工を行った。
次に、ガラス板と同様の曲面形状を有するポリカーボネート板(板厚4.0mm)とソーダガラス板(板厚8.0mm)を用意した。なお、ソーダガラス板のガラス組成、ガラス転移温度、ビッカース硬度及び結晶化度は、表1に記載の通りである。
最後に、厚み0.8mmのポリビニルブチラール(PVB)を用いて、表中に記載のガラス板(最外層のガラス板)、ソーダガラス板(最内層のガラス板)、ポリカーボネート板の配置になるように、オートクレーブ処理により積層一体化して、試料No.1〜7に係るガラス樹脂複合体をそれぞれ得た。
試料No.1〜5は、ビッカース硬度が高く、ガラス転移温度が400〜820℃である。また結晶化度が低いため、衝撃抵抗が高く、積層一体化や曲面加工が容易であると考えられる。一方、試料No.6、7は、ビッカース硬度が低いため、衝撃抵抗が低いと考えられる。なお、試料No.1〜7は、ガラス樹脂複合体の総板厚が21.6mmであり、4.0mm厚のポリカーボネート板を備えるため、軽量である。
本発明のガラス樹脂複合体は、自動車、鉄道、航空機等の窓ガラスに好適であり、それ以外にも、高層ビル等の建築物の窓ガラスにも好適である。
10、20 ガラス樹脂複合体
11、21 ガラス板(最外層のガラス板)
12、25 ガラス板(最内層のガラス板)
13、26 樹脂板
22〜24 ガラス板

Claims (7)

  1. 窓ガラスに用いるガラス樹脂複合体において、
    少なくとも複数枚のガラス板と樹脂板とを備え、
    外層のガラス板の内、少なくとも一層のガラス転移温度が300〜850℃、ビッカース硬度が6GPa以上、且つ結晶化度が30%以下であることを特徴とするガラス樹脂複合体。
  2. 外層のガラス板の内、少なくとも一層が非晶質ガラスであり、ガラス組成として、モル%で、SiO 45〜80%、Al 10〜30%、LiO+NaO+KO 0〜30%、MgO+CaO+SrO+BaO 3〜35%を含有することを特徴とする請求項1に記載のガラス樹脂複合体。
  3. 最内層のガラス板がソーダライムガラスであることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス樹脂複合体。
  4. 樹脂板が、最内層のガラス板よりも内側に配置されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガラス樹脂複合体。
  5. 樹脂板がポリカーボネート板であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のガラス樹脂複合体。
  6. 総板厚が45mm以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のガラス樹脂複合体。
  7. 3次元的に湾曲した曲面形状を有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のガラス樹脂複合体。
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