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JP2018141180A - ニッケルコート銅粉とその製造方法、及び導電性ペースト - Google Patents

ニッケルコート銅粉とその製造方法、及び導電性ペースト Download PDF

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JP2018141180A JP2017034153A JP2017034153A JP2018141180A JP 2018141180 A JP2018141180 A JP 2018141180A JP 2017034153 A JP2017034153 A JP 2017034153A JP 2017034153 A JP2017034153 A JP 2017034153A JP 2018141180 A JP2018141180 A JP 2018141180A
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金子 勲
Isao Kaneko
勲 金子
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

【課題】焼結性と耐酸化性を兼ね備え、さらに耐候性にも優れた微細で高結晶なニッケルコート銅粉を提供する。
【解決手段】本発明のニッケルコート銅粉は、銅粒子の表面にニッケル又はニッケル合金が被覆されたニッケルコート銅粉であって、走査型電子顕微鏡により測定される一次粒子の平均粒径が0.1μm以上3.0μm以下であり、その一次粒子の粒径の標準偏差値を、平均粒径で除した値である粒径の相対標準偏差値が0.3以下であり、銅粒子の結晶子径を前記平均粒径で除した値が0.07以上である。このニッケルコート銅粉は、銅化合物溶液と、アルカリ金属の水酸化物溶液と、分散剤溶液とを混合して銅塩溶液を作製し、その銅塩溶液と還元剤溶液とを50℃以上90℃以下の温度範囲に維持して、銅塩溶液へ還元剤溶液を添加しながら混合することで銅粒子を製造し、次いで、得られた銅粒子にニッケル又はニッケル合金を被覆することによって製造される。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面にニッケル(Ni)又はニッケル合金を被覆した銅粉(ニッケルコート銅粉)とその製造方法、及び導電性ペーストに関し、より詳しくは、導電性ペースト等の材料として好適に用いることができる、焼結性と耐酸化性とを兼ね備えた微細で高結晶なニッケルコート銅粉とその製造方法、及び導電性ペーストに関する。
従来、金属粉末は、導電性ペーストのような電子部品の配線形成材料として、プリント配線、半導体の内部配線、プリント配線板と電子部品との接続等に利用されている。そして近年では、太陽電池用電極やLED等の分野において、配線の細線化に対する需要が高まってきており、そのため、細線化に対応できる導電性ペースト向けの金属粉末が求められている。
電子機器における配線層や電極等を形成するために、樹脂型ペーストや焼成型ペーストのような、銀粉や銅粉等の金属フィラーを使用した導電性ペーストが多用されている。樹脂型導電性ペーストは、金属フィラーと、樹脂、硬化剤、溶剤等からなり、導電体回路パターン又は端子の上に印刷され、100℃〜200℃で加熱硬化されて導電膜となり、配線や電極を形成する。樹脂型導電性ペーストでは、熱によって熱硬化型樹脂が硬化収縮するために金属フィラーが圧着され相互に接触することで金属フィラー同士が重なり、その結果、電気的に接続した電流パスが形成される。さらに、金属粉は一般的に粒径が微細になるほど焼結性が向上するので、粒径がより小さい金属フィラーを用いると、焼結の効果も加わり低抵抗となる。この樹脂型導電性ペーストは、200℃以下の硬化温度で処理されることから、プリント配線板等の熱に弱い材料を用いる基板に使用されている。
焼成型導電性ペーストは、金属フィラーと、ガラス、溶剤等からなり、導電体回路パターン又は端子の上に印刷され、600℃〜800℃の高温に加熱焼成されて導電膜となり、配線や電極を形成する。焼成型導電性ペーストでは、高温で処理され、金属フィラーが焼結して導通性が確保される。焼成型導電性ペーストは、このように高い焼成温度で処理されるため、樹脂材料を使用するようなプリント配線基板には使用できないものの、高温処理で金属フィラーが焼結することから低抵抗を実現できる。そのため、焼成型導電性ペーストは、積層セラミックコンデンサの外部電極等に好適に用いることができる。
また、銀粉や銅粉の金属フィラーを使用したペーストは、各種基材上に塗布又は印刷され、加熱硬化あるいは加熱焼成の処理を受けて、配線層や電極等となる導電膜を形成する。従来では、主に銀粉が用いられてきた。しかしながら、銀の地金価格は高価であることから、銅粉への代替が活発に検討されている。
このような導電性ペーストの金属フィラーとして用いられる金属粉材料としての銅粉を用いた場合、酸化して表面が酸化銅で覆われ、焼結性、耐食性、耐候性あるいは導電性に悪影響を及ぼすことがある。このため、銅粉の酸化を防止するために、銅粒子表面にプラチナ、パラジウム、銀、金等の貴金属でコートしたものや、シリカ系の酸化物でコートしたもの、またはニッケルでコートして耐酸化性を高めたもの等が知られている。
しかしながら、銅粉の表面に貴金属をコートすれば、これら貴金属が高価であるためにコストアップになる。その中でも、銅粉に対して銀をコートしたものでは、比較的低価格に抑えることも可能であるが、銀ではマイグレーションが発生しやすいといった問題がある。また、酸化物でコートした銅粉は、耐酸化性の確保はできるものの、焼結性が悪くなる等の問題がある。そこで、耐酸化性等を確保しつつ、低価格であって、しかも耐候性や焼結性が比較的良好なものとして、例えば特許文献1に開示されている銅粉に対してニッケルをコートする方法が着目されている。
銅粉の表面にニッケルを被覆する方法としては、無電解ニッケルめっきによる方法が挙げられる。無電解ニッケルめっきによる被覆方法は、めっき液中のニッケルイオンを還元剤により還元することによって銅粉表面にニッケル被覆を行うもので、還元剤の種類としては、次亜リン酸塩、ホウ水素化合物、及びヒドラジン化合物等が挙げられる。具体的に、還元剤として次亜リン酸塩を用いたニッケル被膜処理では、還元反応中にリン(P)が被膜中に含まれるようになるため、Ni−P合金被膜が形成される。また、還元剤としてホウ水素化合物を用いたニッケル被膜処理では、還元反応中にボロン(B)が被膜中に含まれるようになるため、Ni−B合金被膜が形成される。また、還元剤としてヒドラジン化合物を用いたニッケル被膜処理では、不純物の少ない高純度なNi被膜が形成される。
このようなニッケルを表面に被覆する原料となる銅粉末としては、形状が粒状で、粒径が0.1μm〜3.0μmであって均一であり、耐酸化性に優れた銅粉であることが望まれるが、そのような銅粉を工業的な大量生産に適した製造方法で製造することは難しかった。そのため、上述した特性を有し、配線の細線化に適した導電性ペーストに有用な銅粉を効率的に製造でき、工業的な大量生産に適した方法が望まれている。
そのような製造方法の候補としては、銅イオンを含有する電解液を電気分解して陰極上に銅粉を析出させる電解法や、銅原料を熔解しその熔湯を液滴化して急冷、凝固させることで銅粉を生成するアトマイズ法、溶液中で還元剤を添加して銅粉を生成する湿式法等が知られている。これらの製造方法は、生産性が高く、製造コストも安価であるため、工業的生産法として採用されている。
ここで、電解法で得られる銅粉は、高純度なものになるという特長があるが、その電解銅粉の多くは樹枝状の形状で析出し、しかも粒径が10μm以上と粗大なものになりやすい。また、粒度分布が広く、導電性ペーストで特に低抵抗が求められる配線等の用途には適していない。
また、アトマイズ法は、例えば特許文献2に示されるように、金属を高温で熔解した熔湯の流れにジェット流体を吹き付けて微粉末化する方法であるが、金属を熔解するときに不純物が含まれやすく、また噴霧するときに酸化されやすいこと、さらに1μm以下の銅微粒子を作製できないといった問題がある。
上述したように、アトマイズ法、電解法で得られた銅粉は、粒径が2μm以上で焼結性が劣るために低抵抗になりにくいこと、多結晶で粒界を持つため耐酸化性に劣ること等の欠点があり、導電性ペーストとして使用分野が限定されている。さらに、特許文献3では、BET径が3μm以下であり、真球状で、かつ結晶子サイズが0.1μm〜10μmである金属銅粒子が開示されている。この特許文献3に記載の方法によれば、結晶子径が大きい銅粉を作製することは可能であるが、走査電子顕微鏡写真の観察では、0.3μm〜7μmの粒子が観察されており、粒径が3μmを超える粒子が混在したものとなっている。細線用銅ペーストに用いられる銅粉としては、上述したように、粒径が0.1μm〜3.0μmの銅粒子が求められているため、この特許文献3に記載の銅粒子を用いることは困難となる。さらに、この製造方法は、1120℃以上で溶融させた銅にアンモニアガスを吹き込むという方法であり、高温で有害ガスを使用するという点で、工業的な大量生産に適した製造方法ではない。
これに対して、湿式法は、溶液中の銅イオン等を還元剤により還元析出させる方法である。例えば、特許文献4には、亜酸化銅粉のスラリーをヒドロキシカルボン酸と硫酸の混合酸と混合する工程と、混合溶液を撹拌保持する工程とからなり、亜酸化銅粉スラリーと混合酸の混合時間が5分未満であって、得られる銅微粉の平均粒径が10nm〜50nmであり、かつ結晶子径と平均粒径との比が0.5以下である銅微粉の製造方法が開示されている。しかしながら、この製造方法では、粒径が50nm以下の銅粒子しか作製できず、50nm以下の粒子は凝集が強いためにペースト化しにくい。よって、この文献に記載の銅粒子を、細線用銅ペーストの銅粉として用いることも困難となる。
また、特許文献5に示されるように、銅塩を含む溶液中にアルカリ剤を添加し反応させて水酸化銅を析出させ、次いでブドウ糖のような還元剤を添加して亜酸化銅まで還元させ、さらにヒドラジンのような二次還元剤を添加して金属銅にまで還元させて銅粉を得る方法が提案されている。このような湿式法では、サブミクロンの非常に微細な球状の銅微粉を作製できるという特長があるが、特許文献2と同じく多結晶で粒界を持つものとなるため耐酸化性が劣り、同じく導電性ペーストとして使用分野が限定されてしまう。
一方で、特許文献6、7には、一定の結晶方位を持つ単結晶銅粉末を得る方法が提案されているが、主な粒径は2μm〜5μm程度であり、また硬化温度100℃〜200℃のものであって、樹脂型導電性ペーストとしては低抵抗化を満足できていない。また、低抵抗とするために硬化温度を200℃以上とすると、耐酸化性が不十分となる。
この特許文献6には、正八角錐型の単結晶となった銅粉末を製造するために、銅塩と銅に対して1倍〜5倍のモル比の酒石酸と水酸化アルカリとを含む溶液に、還元剤としてホルムアルデヒドを1分間以内に加えることが記載されている。
また、特許文献7の製造方法は、酒石酸塩等のキレート剤が銅に対して1倍〜5倍のモル比で必要とされるため、薬液コストが高くなり、同時に廃液処理のコストも高くなるため、製造コストが高くなるという問題もある。さらに、還元剤であるホルムアルデヒドを1分以内に加えて還元するとの条件もあり、工業的に大量生産するには不向きである。一方、この特許文献7に記載の方法により得られる銅粉は、高結晶ではあるが板状であり、比表面積が高くなって酸化されやすく、また配線エッジが凸凹となることから、導電膜の用途には不向きである。
一般に、導電性ペーストをIC基板やプリント基板等に利用する際には、微細なパターンを形成するために、例えば、熱重量(TG)分析で大気中200℃の酸化増量1質量%以下という耐酸化性に優れ、微細で分散性の良い金属フィラーが要求される。また、基板耐熱性等から、低温で樹脂硬化させて収縮させた際の接触抵抗が低くなり、またフィラーを大気中で焼成すると、例えば、大気中で焼成した圧粉抵抗率500μΩ・cm以下という低抵抗になることが求められる。しかしながら、金属の粉末、特に銅粉末の場合には顕著に、粒径が微細になるほど酸化が進みやすくなる傾向があるため、微細であり、しかも耐酸化性に優れた銅粉末を得る方法が求められている。
そのため、特許文献8には、気相反応によって単結晶の銅微粉を得る方法が提案されており、得られる銅粉は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察したとき、面取りされた多面体の単結晶であり、しかもその粉末粒子は単結晶であるために表面が滑らかで欠陥がなく耐酸化性に優れているとしている。しかしながら、気相反応による銅粉の製造では、塩化第一銅を還元性ガスと700℃以上の高温で反応させて単結晶銅粉を得るため、装置の機構が複雑となって製造コストがかかり、さらに得られた銅粉末が再溶融して連結する等、収率が悪いという問題がある。
このようなことから、耐酸化性に優れた微細な銅粉とし、その表面をニッケル又はニッケル合金で被覆することで焼結性を損なわず、耐候性も高めたニッケルコート銅粉が求められ、さらに工業的に安価に製造するのに適した方法も求められている。
特開2006−28630号公報 特許第4342746号公報 特開2004−124257号公報 特許第4687599号公報 特許第4406738号公報 特公平7−115992号公報 特開2014−58713号公報 特公平6−76609号公報
本発明は、上述した従来の問題点に鑑み、導電性ペースト等の材料として好適に用いることができる、焼結性と耐酸化性を兼ね備え、さらに耐候性にも優れた微細で高結晶なニッケルコート銅粉とその製造方法、及び導電性ペーストを提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、分散剤を含有させた銅塩溶液を調製し、その銅塩溶液と還元剤水溶液の温度を特定の範囲に制御し、銅塩溶液に対して還元剤溶液を添加して、その温度条件を維持しながら還元反応を生じさせることで、粒径が0.1μm以上3.0μm以下であって均一で、結晶子径が大きい銅粒子(銅粉)を得ることができ、得られた銅粒子の表面にニッケル又はニッケル合金を被覆することで、より耐候性を高めたニッケルコート銅粉を比較的安価に得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、銅粒子の表面にニッケル又はニッケル合金が被覆されたニッケルコート銅粉であって、走査型電子顕微鏡により測定される一次粒子の平均粒径が0.1μm以上3.0μm以下であり、前記一次粒子の粒径の標準偏差値を、前記平均粒径で除した値である粒径の相対標準偏差値が0.3以下であり、銅粒子の結晶子径を前記平均粒径で除した値が0.07以上である、ニッケルコート銅粉である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記銅粒子の結晶子径が、60nm以上である、ニッケルコート銅粉である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、当該ニッケルコート銅粉の形状が、粒状である、ニッケルコート銅粉である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、当該ニッケルコート銅粉の炭素含有量が、0.05質量%以上0.5質量%以下である、ニッケルコート銅粉である。
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、ニッケル又はニッケル合金の被覆量が、当該ニッケルコート銅粉全体の質量100%に対して1質量%〜33質量%である、ニッケルコート銅粉である。
(6)本発明の第6の発明は、第5の発明において、前記銅粒子の表面にニッケル合金が被覆されており、コバルト、亜鉛、タングステン、モリブデン、パラジウム、白金、錫、リン、及びボロンから選ばれる少なくとも1種以上を、前記ニッケル合金の質量100%に対して0.1質量%〜20質量%の割合で含有したニッケル合金で被覆されている、ニッケルコート銅粉である。
(7)本発明の第7の発明は、第1乃至第6のいずれかの発明において、熱分析装置を用いた測定による、大気中において室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの0.5%重量増加温度が230℃を超える、ニッケルコート銅粉である。
(8)本発明の第8の発明は、第1乃至第7のいずれかの発明に係るニッケルコート銅粉と、樹脂と、溶媒とを混練してなる、導電性ペーストである。
(9)本発明の第9の発明は、銅粒子の表面にニッケル又はニッケル合金が被覆されたニッケルコート銅粉の製造方法であって、銅化合物を含む溶液と、アルカリ金属の水酸化物を含む溶液と、分散剤を含む溶液とを混合して銅塩溶液を作製する銅塩溶液作製工程と、前記銅塩溶液と還元剤溶液とを混合して銅粒子を生成させる銅粒子生成工程と、前記銅粒子にニッケル又はニッケル合金を被覆するニッケル被覆工程と、を有し、前記銅粒子生成工程では、前記銅塩溶液及び前記還元剤溶液の温度を50℃以上90℃以下の範囲として、該銅塩溶液へ該還元剤溶液を添加することによって混合する、ニッケルコート銅粉の製造方法である。
(10)本発明の第10の発明は、第9の発明において、前記銅塩溶液作製工程では、前記分散剤の添加量を、前記銅化合物中の銅量に対して0.01質量%以上10質量%以下の範囲とする、ニッケルコート銅粉の製造方法である。
(11)本発明の第11の発明は、第9又は第10の発明において、前記分散剤が、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、変性シリコーンオイル系界面活性剤、及びポリエーテル系界面活性剤から選択される少なくとも1種である、ニッケルコート銅粉の製造方法である。
(12)本発明の第12の発明は、第9乃至第12のいずれかの発明において、前記銅化合物は、硫酸銅五水和物である、ニッケルコート銅粉の製造方法である。
(13)本発明の第13の発明は、第9乃至第12のいずれかの発明において、前記アルカリ金属の水酸化物は、水酸化ナトリウムである、ニッケルコート銅粉の製造方法である。
(14)本発明の第14の発明は、第9乃至第13のいずれかの発明において、前記銅粒子生成工程では、前記還元剤の添加量を、前記銅化合物中の銅量に対して1当量以上7当量以下とする、ニッケルコート銅粉の製造方法である。
(15)本発明の第15の発明は、第9乃至第14のいずれかの発明において、前記還元剤は、ラクトン構造を有する有機化合物、ホルマリン、ブドウ糖、及び多糖類から選ばれる1種類以上である、ニッケルコート銅粉の製造方法である。
(16)本発明の第16の発明は、第15の発明において、前記還元剤は、アスコルビン酸又はその誘導体から選ばれる1種類以上を含む、ニッケルコート銅粉の製造方法である。
(17)本発明の第17の発明は、第9乃至第16のいずれかの発明において、前記ニッケルコート銅粉は、該ニッケルコート銅粉銅粉の結晶子径を、該ニッケルコート銅粉を走査型電子顕微鏡により観察して測定される一次粒子の平均粒径で除した値が0.07以上である、ニッケルコート銅粉の製造方法である。
(18)本発明の第18の発明は、第17の発明において、前記銅粒子の結晶子径が、60nm以上である、ニッケルコート銅粉の製造方法である。
(19)本発明の第19の発明は、第17又は第18の発明において、前記ニッケルコート銅粉は、該ニッケルコート銅粉の一次粒子の粒径の標準偏差値を、前記平均粒径で除した値である粒径の相対標準偏差値が0.3以下である、ニッケルコート銅粉の製造方法である。
(20)本発明の第20の発明は、第9乃至第19のいずれかの発明において、前記ニッケル被覆工程では、前記銅粒子に対するニッケル又はニッケル合金の被覆量を、前記ニッケルコート銅粉全体の質量100%に対して1質量%〜33質量%とする、ニッケルコート銅粉の製造方法である。
(21)本発明の第21の発明は、第20の発明において、前記ニッケル被覆工程では、前記銅粒子の表面にニッケル合金を被覆し、コバルト、亜鉛、タングステン、モリブデン、パラジウム、白金、錫、リン、及びボロンから選ばれる少なくとも1種以上を、前記ニッケル合金の質量100%に対して0.1質量%〜20質量%の割合で含有したニッケル合金を被覆する、ニッケルコート銅粉の製造方法である。
(22)本発明の第22の発明は、第9乃至第21のいずれかの発明において、前記ニッケルコート銅粉は、炭素含有量が0.05質量%以上0.5質量%以下である、ニッケルコート銅粉の製造方法。
(23)本発明の第23の発明は、第1乃至第7のいずれかの発明に係るニッケルコート銅粉と、樹脂と、溶媒とを混練することによって製造する、導電性ペーストの製造方法である。
本発明によれば、形状が粒状で、粒径が0.1μm〜3.0μmであって均一であり、耐酸化性に優れており、表面にニッケル又はニッケル合金が被覆されて耐候性も高い、ニッケルコート銅粉及びその製造方法を提供することができる。そして、そのニッケルコート銅粉は、配線材料等に用いられる導電性ペースト等の金属フィラーとして好適に用いることができる。また、本発明に係るニッケルコート銅粉の製造方法によれば、銅粒子の生成において、製造コストが高くなる気相反応によらず、湿式法による方法であるため、比較的安価な原料、簡易な工程により製造することができ、工業的に低コストとなる。
実施例1にて得られた銅粉(ニッケル被覆前の銅粉)のSEM観察写真図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて適宜変更することができる。なお、本明細書にて、「X〜Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪1.ニッケルコート銅粉≫
本実施の形態に係るニッケル(Ni)コート銅粉は、銅粒子の表面にニッケル又はニッケル合金が被覆されたものであって、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定される一次粒子の平均粒径が0.1μm以上3.0μm以下であり、一次粒子の粒径の標準偏差値を平均粒径で除した値である粒径の相対標準偏差値が0.3以下であり、また、銅粒子の結晶子径を当該ニッケルコート銅粉の平均粒径で除した値が0.07以上であることを特徴としている。
より具体的に、このニッケルコート銅粉は、粒状の形状を有しており、平均粒径が0.1μm以上3.0μm以下の範囲であり、より好ましくは0.3μm以上2.5μm以下の範囲である。平均粒径がこのような範囲のニッケルコート銅粉であることにより、細線化された配線を形成するのに適した導電性(ニッケルコート銅粉)ペーストとすることができる。
ここで、平均粒径は、SEMにより一定数のニッケルコート銅粉を観察して、その観察により測定した一次粒子の粒径から求められる平均値である。また、一次粒子は、そのSEM観察像より単位粒子と考えられるものを指し、単位粒子が凝集、結合してできた粒子、いわゆる二次粒子を意味するものではない。
このニッケルコート銅粉の平均粒径が0.1μm未満であると、粒子が凝集しやすくなり、ペースト化し難くなる。一方で、平均粒径が3.0μmを超えると、そのニッケルコート銅粉を含むペーストにより配線を形成させたときに線幅を狭くすることが難しくなり、配線を細線化することが困難となる。
また、このニッケルコート銅粉は、一次粒子の粒径の標準偏差値を、上述したSEMにより測定される平均粒径で除した値である、粒径の相対標準偏差値が0.3以下である。この粒径の相対標準偏差値が0.3を超えると、印刷膜中にニッケルコート銅粉の粒子が均一に存在しなくなるため、配線や電極の太さや厚さが不均一となる。また、そればかりか、硬化あるいは焼成が不均一となるため、導電膜の抵抗が大きくなったり、導電膜が脆く弱いものになりやすい。
また、このニッケルコート銅粉は、銅粒子の結晶子径を、上述したSEMにより測定される平均粒径で除した値(銅粒子の結晶子径/ニッケルコート銅粉の平均粒径)が0.07以上である。結晶子径は、X線回折結果からScherrer法を用いて計算することができる。結晶子径/平均粒径で表される指標が高いほど、ニッケルコート銅粉を構成する銅粒子の結晶粒の個数が少ないことを意味し、つまり高い結晶性を有しているものとなる。このように、結晶子径/平均粒径が0.07以上の高結晶性を有する銅粒子を芯材とするニッケルコート銅粉であることにより、ニッケルが被覆されることによる耐酸化性の向上に加え、銅粒子の結晶粒界が少なくなり、酸化し難くいものとなる。また、詳細は不明ではあるが、結晶粒界の少ない銅粒子の表面上へのニッケルコートやニッケル合金コートは、粒界が少なく、結晶性が高くなる傾向があり、さらに耐酸化性が向上して導電性ペースト用金属材料としてより望ましいものとなる。
ここで、本実施の形態に係るニッケルコート銅粉を構成する銅粒子の結晶子径は、60nm以上であり、好ましくは130nm以上である。なお、結晶子径の上限値としては、特に限定されないが、900nm以下であることが好ましい。
また、上述した、銅粒子の結晶子径/平均粒径の値として、その上限値は特に限定されないが、0.3以下であることが好ましい。また、銅粒子の結晶子径/平均粒径としては、0.08以上0.3以下であることがより好ましく、0.1以上0.2以下であることが特に好ましい。
また、本実施の形態に係るニッケルコート銅粉は、炭素含有量が0.05質量%以上0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上0.4質量%以下であることがより好ましい。炭素含有量は、そのニッケルコート銅粉表面における分散剤等に由来する有機物の付着量を示すものである。後述するように、本実施の形態においては、銅粒子、及びその銅粒子に基づきニッケルコート銅粉を生成させる際に、生成する各粒子の凝集を抑制することを目的の1つとして分散剤を用いるが、得られるニッケルコート銅粉においてもその表面に適切な量の分散剤を付着させておくことで、凝集を抑制することができる。また、そのニッケルコート銅粉を用いて導電性ペーストとしたときの分散性を高めることができる。
ニッケルコート銅粉の炭素含有量が0.05質量%未満であると、十分な凝集抑制効果が得られず、導電性ペーストとしたときに所望の分散性が得られない可能性がある。一方で、炭素含有量が多くなると、凝集抑制効果や分散性向上効果等は高まるものの、そのニッケルコート銅粉の表面に付着した有機物は導電性ペーストを加熱硬化させたときの、ニッケルコート銅粉の焼結を阻害する要因となる。このことから、炭素含有量が0.5質量%を超えると、焼結性が低下することがある。
また、本実施の形態に係るニッケルコート銅粉は、耐酸化性に優れており、細線用導電性ペーストに用いられるニッケルコート銅粉として好適である。具体的に、その耐酸化性については、例えば、熱分析装置を用いた測定による「0.5%重量増加温度」によって定量的に評価することができ、このニッケルコート銅粉においては、好ましくは、大気中において室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの0.5%重量増加温度が230℃を超える。
これらの形状を有したニッケルコート銅粉においては、その表面は滑らかな面であり、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察したときに、視野中にこの高結晶性構造を有するニッケルコート銅粉が全ニッケルコート銅粉個数の60%以上の数を占めていることが好ましい。この個数は、70%以上の数を占めることがより好ましく、80%以上がさらに好ましい。全ニッケルコート銅粉個数の60%以上がこのようなニッケルコート銅粉であれば、後述するように高い焼結性と高い耐酸化性を十分に発揮することができる。全ニッケルコート銅粉個数の上限値は、限定されないものの、例えば95%以下が好ましい。
本実施に係るニッケルコート銅粉は、ニッケル又はニッケル合金を被覆する前の銅粒子に、好ましくはニッケルコート銅粉全体の質量100%に対して1質量%〜33質量%の割合でニッケル又はニッケル合金が被覆されたものである。ニッケル又はニッケル合金の厚さ(被覆厚み)としては、例えば、平均粒径が1μmの場合では、0.05μm以下、好ましくは0.03μm以下の極薄い被膜である。このことから、ニッケルコート銅粉は、ニッケル又はニッケル合金を被覆する前の銅粒子の形状である粒状がそのまま保持される。
ニッケルコート銅粉におけるニッケルまたはニッケル合金の被覆量は、上述したように、ニッケルコート銅粉全体の質量100%に対して1質量%〜33質量%の範囲であることが好ましい。ニッケル又はニッケル合金の被覆量は、コストの観点からはできるだけ少ない方が好ましいが、少なすぎると銅粒子の表面に均一なニッケル又はニッケル合金の被膜を確保できず、耐候性の向上が見込めなくなる。そのため、ニッケル又はニッケル合金の被覆量としては、ニッケルコート銅粉全体の質量100%に対して1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。
一方で、ニッケル又はニッケル合金の被覆量が多くなり過ぎると、コストの観点から好ましくない。このことから、ニッケル又はニッケル合金の被覆量としては、ニッケルコート銅粉全体の質量100%に対して33質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。
さらに、詳しくは後述するように、ニッケルコート銅粉において、銅粒子の表面に被覆されるニッケルとしては、ニッケル合金であってもよい。ニッケル合金として添加される元素としては、亜鉛、コバルト、タングステン、モリブデン、パラジウム、白金、錫、リン、及びボロンから選ばれる1種以上が好ましい。
≪2.ニッケルコート銅粉の湿式法による製造方法≫
次に、上述した特徴的な構成を有するニッケルコート銅粉の製造方法を説明する。
本実施の形態に係るニッケルコート銅粉は、銅塩溶液を作製する工程と、作製した銅塩溶液と還元剤溶液とを混合して銅粒子を生成させる工程と、生成した銅粒子にニッケル又はニッケル合金を被覆する工程とを有する。そして、この製造方法においては、銅塩溶液と還元剤溶液とを特定の温度範囲に調整して維持しながら、その銅塩溶液に対して還元剤溶液を添加して銅粒子を生成させることを特徴としている。
ここで、従来の銅粒子の製造方法では、形状が粒状で、粒径が小さくかつ均一であり、結晶子径が大きい銅粉を、工業的な製造に適した方法で製造できないという問題があった。しかしながら、本発明者の研究により、分散剤を含有させた銅塩溶液を調製し、その銅塩溶液と還元剤水溶液の温度を特定の範囲に調整し、原料である銅塩溶液に対して還元剤溶液を添加していき、その温度条件を維持しながら還元反応を生じさせることで、粒状形状を有し、粒径の小さく、結晶子径が大きい銅粒子を得ることができることを見出した。
より具体的には、銅塩溶液と還元剤溶液の温度を50℃以上90℃以下の範囲に調整し、それを維持した状態で、銅塩溶液に対して還元剤溶液を添加して銅粒子を生成させる。このような製造方法によれば、粒状形状で、粒径が小さくかつ均一であり、結晶子径が大きい銅粒子であって、配線の細線化に適した導電性ペーストに有用な銅粒子を、工業的に製造することができる。
<2−1.銅粒子の製造方法>
以下、銅粒子の製造方法についてより具体的に説明する。なお、以下の説明においては、銅塩溶液と還元剤溶液とを混合させた後の液を「反応液」ともいう。なお、銅粒子とは、ニッケル又はニッケル合金を被覆する前の銅粉と同義である。
(1)銅塩溶液の作製
銅粒子の製造方法においては、先ず、銅粒子を製造する原料溶液である銅塩溶液を作製する。具体的には、銅化合物を含む溶液と、アルカリ金属の水酸化物を含む溶液と、分散剤を含む溶液とを混合して銅塩溶液を作製する。
(銅化合物溶液)
銅化合物を含む溶液に関して、出発原料である銅化合物としては、特に限定されるものではなく、各種の銅化合物、例えば硫酸銅、塩化銅、炭酸銅、酢酸銅、リン酸銅等、水溶液として溶解すればいずれの塩でもよく、また、1種類単独でも、複数種類を併用することもできる。その中でも、好ましくは、銅粉に陰イオン元素が混入せず不純物が少なく、排水処理費も含めて安価であるという観点から、硫酸銅、塩化銅、炭酸銅が好適である。さらには、導電性ペーストが使用される電子部品の信頼性等を考慮すれば、硫酸銅、炭酸銅がより好ましい。なお、これらの銅塩を溶解して銅化合物溶液とするが、溶解に用いる溶媒は不純物の混入を防ぐために純水とするのが好ましい。
溶液中の銅濃度としては、特に限定されない。一旦は均一な溶液となり、過飽和にならない程度に銅が溶解している溶液を、pHを調整する等して調整すればよい。
また、銅化合物の濃度としては、特に限定されないが、得られる銅塩溶液中における銅濃度として工業的に生産性が高く、安定して製造できるという点で、銅濃度は5g/L〜2000g/Lの範囲となるようにすることが好ましい。さらには、100g/L〜250Lg/Lの範囲となるようにすることがより好ましい。銅の濃度が低い場合であっても、粒子の成長は生じて銅粒子を得ることができるが、銅塩溶液中において銅濃度が5g/L未満であると、生産性を高めることができず、また排水量が増大してコストが高くなる。一方で、銅の濃度が2000g/Lを越えると、水に対する溶解度に近くなり、十分に溶解しない可能性がある。
(アルカリ金属の水酸化物溶液)
アルカリ金属の水酸化物を含む溶液に関して、そのアルカリ金属の水酸化物としては、各種の水酸化物を用いることができるが、その中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを用いることが好ましく、水酸化ナトリウムを用いることがより好ましい。これらのアルカリ金属の水酸化物は、入手が容易で、他の水酸化物よりも安価である。
また、アルカリ金属の水酸化物の濃度としては、後述する還元剤溶液を銅塩溶液に添加した後にその反応液中で還元剤の還元反応が十分に進行するpHとなるように、その銅塩溶液中の濃度を調整することが好ましい。具体的には、例えば還元剤としてアスコルビン酸を用いる場合は、反応液のpHが3.0以上となるようにすることが好ましい。反応液のpHが3.0未満であると、還元剤であるアスコルビン酸による還元反応が進行しにくくなる可能性がある。
反応液のpHが高くなると、反応液中に水酸化銅が形成されるようになり、その水酸化銅からの還元反応により銅粒子が生成される。水酸化銅から銅粒子が生成される反応は、銅イオンから銅粒子が生成される反応よりも速度が低下するため、徐々に結晶が成長することになり、高結晶性の銅粒子が得られやすくなる。このことから、反応液のpHが4.0以上となるようにすることがより好ましい。
(分散剤溶液)
銅粒子の製造方法においては、銅塩溶液を作製するにあたり、還元剤との還元反応により生成した銅粒子が凝集を起こさないように、分散剤の水溶液を混合させる。また、分散剤は、反応液中の濃度が高くなるほど、還元反応の速度を遅くする作用を有している。このことから、銅塩溶液に分散剤を含有させることで、還元反応の反応速度を低下させ、高結晶性の銅粒子を得ることができる。
ここで、結晶粒界が少なく結晶子径が大きい銅粒子を得ることが重要であり、そのためには、結晶性が高いことにより銅粒子の各結晶の成長が優先されて結晶粒界が相対的に少なくなる条件とすることが好ましい。このような点から、還元反応の速度を制御することが好ましく、反応液中の分散剤濃度が適切な範囲となるように制御することが好ましい。
具体的に、分散剤の濃度としては、反応液中において銅化合物の銅量に対して0.1質量%以上10質量%以下となるようにすることが好ましく、0.3質量%以上7質量%以下とすることがより好ましく、0.5質量%以上5質量%以下とすることが特に好ましい。分散剤の濃度が反応液中において0.1質量%未満であると、還元反応の速度が速くなり、高結晶性の銅粉が得られない可能性がある。一方で、分散剤の濃度が反応液中において10質量%を超えると、還元反応の速度が低下しすぎて生産性が悪化し、また場合によっては還元反応が進行しない可能性もある。
分散剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、変性シリコーンオイル系界面活性剤、ポリエーテル系界面活性剤等から選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、これらの分散剤の2種以上を併用してもよい。
(2)還元剤の添加による銅粒子の生成
次に、作製した銅塩溶液と還元剤溶液とを混合して銅粒子を生成させる。このとき、本実施の形態においては、銅塩溶液と還元剤溶液の温度を特定の範囲に制御し、その原料溶液である銅塩溶液に対して還元剤溶液を添加していく。
(還元剤溶液)
還元剤としては、特に限定されないが、比較的還元力の弱い化合物を用いることが好ましく、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸の酸誘導体等のラクトン構造を有する有機化合物、ホルマリン、ブドウ糖、多糖類から選ばれる1種類以上とすればよい。特に、アスコルビン酸又はその誘導体は、還元作用が緩やかであり、そのようなラクトン構造を有する有機化合物を用いることがより好ましく、結晶性の高い銅粒子を効率的に生じさせることができる。したがって、還元剤としては、アスコルビン酸又はその誘導体から選ばれる1種類以上を含むことが好ましい。
この銅粉の製造方法においては、上述した還元剤を含有する溶液を銅塩溶液に添加していくが、その還元剤の添加量としては、反応液中において銅化合物の銅量に対して1当量以上7当量以下に相当する量とすることが好ましい。還元剤の添加量を、銅化合物の銅量に対して1当量未満とすると、未還元の銅塩が残留することがあり、一方で、7当量を超えると、製造コストが高くなる。
ここで、本実施の形態においては、銅粒子を生成させるに際して、原料溶液である銅塩溶液へ還元剤溶液を添加していくことが重要であり、これにより、結晶性の高い銅粒子を効果的に生成させることができる。
また、銅塩溶液に対して還元剤溶液を添加していくに際しては、その銅塩溶液と還元剤溶液の温度を特定の範囲に制御する。具体的には、50℃以上90℃以下の範囲とする。また、好ましく、60℃以上80℃以下の範囲とする。銅塩溶液と還元剤溶液の温度をこのような温度範囲に制御し、この温度範囲を維持して還元反応を生じさせることによって、高い結晶性を有する銅粒子を生成させることができる。反応温度が50℃未満であると、銅粒子の結晶性が低くなる。一方で、反応温度が90℃を超えると、反応速度が速くなるために粒径が不均一になりやすくなる。
また、銅塩溶液に対して還元剤溶液を添加した後の反応液の保持時間としては、特に限定されないが、1時間以上とすることが好ましい。反応液の保持時間が1時間未満であると、還元反応が終了していない可能性があり、未還元の銅塩が残留することがある。一方で、反応液の保持時間の上限としては特に限定されないが、アスコルビン酸のような比較的還元力の弱い還元剤による還元反応が完全に終了するまでという観点から、例えば5時間以内とすることが好ましい。なお、この反応液の保持時間としては、1時間以上4時間以下とすることがより好ましく、2時間以上3時間以下とすることが特に好ましい。
反応液には、必要に応じてpH調整剤、錯化剤、消泡剤等の添加剤を適宜添加することもできる。これらの添加剤の添加量も、その目的に応じて適宜調整すればよい。
(3)銅粒子生成後の処理
以上のようにして、銅粒子を含む銅粒子スラリーを生成させると、そのスラリーを濾過することによって銅粒子を分離し、洗浄して乾燥し、乾燥させた銅粒子として取り出してもよく、または、銅粒子スラリーをデカンテーション等により還元剤等を除去してから洗浄し、銅粒子の水スラリーとしてもよい。
洗浄方法としては、特に限定されないが、例えば、銅粒子や銅粒子スラリーに水を投入し、撹拌機又は超音波洗浄器等を使用して撹拌した後、必要に応じて吸引濾過機やフィルタープレス等で濾過する方法により行うことができる。また、その洗浄方法においては、水への投入、撹拌洗浄からなる操作を、数回繰り返して行うことが好ましい。なお、洗浄水としては、銅粒子に対して有害な不純物元素を含有しない水、特に純水を用いることが好ましい。
また、銅粒子の凝集等を防止するために、洗浄処理において洗浄水等に表面処理剤を添加して、その洗浄中に銅粉を表面処理するようにしてもよい。例えば、洗浄処理中にカルボン酸溶液による表面処理を追加することができる。なお、このような表面処理を行った場合には、その後に洗浄を行い、余剰な表面処理剤を除去することが好ましい。
次に、銅粒子として取り出す場合の乾燥処理において、その乾燥方法としては特に限定されず、例えば、洗浄後の銅粒子をステンレスバット上に置き、大気オーブン又は真空乾燥機等の市販の乾燥装置を用いて、40℃〜80℃程度の温度で加熱することにより行うことができる。
<2−2.ニッケル又はニッケル合金の被覆方法>
本実施に係るニッケルコート銅粉の製造方法においては、上述した工程の操作により作製した銅粒子の表面に、例えば、無電解めっき法を用いて、ニッケル又はニッケル合金を被覆することによりニッケルコート銅粉を製造することができる。
銅粉の表面に均一な厚みでニッケル又はニッケル合金を被覆するためには、ニッケルめっき処理の前に洗浄を行うことが好ましく、銅粒子を洗浄液中に分散させたり、銅粒子の水スラリーに洗浄液を投入して、撹拌しながら洗浄を行うことができる。この洗浄処理としては、酸性溶液中で行うのが好ましく、洗浄後には、銅粒子のろ過、分離と、水洗とを適宜繰り返して、水中に銅粒子が分散した水スラリーとする。なお、ろ過、分離と、水洗については、公知の方法を用いればよい。
具体的に、無電解めっき法により銅粒子表面にニッケルを被覆(コート)する場合には、例えば、洗浄処理後に得られた銅粒子スラリーに無電解ニッケルめっき液を加えるか、無電解ニッケルめっき液中に銅粒子スラリーを加え、均一に撹拌することによって銅粒子の表面にニッケル又はニッケル合金をより均一に被覆させることができる。
無電解ニッケルめっき液としては、特に限定されない。無電解ニッケルめっき液は、めっき液中のニッケル源から得られたニッケルイオンを還元剤によって還元してニッケルの被覆を行うものであり、還元剤の種類としては、次亜リン酸塩、ホウ水素化合物、及びヒドラジン化合物が挙げられる。
具体的に、次亜リン酸塩としては、例えば、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム等の次亜リン酸塩、亜リン酸カリウム、亜リン酸ナトリウム等の亜リン酸塩が挙げられる。
また、ホウ水素化合物としては、例えば、ジメチルヘキサボラン、ジメチルアミンボラン(DMAB)、ジエチルアミンボラン、モルホリンボラン、ピリジンアミンボラン、ピペリジンボラン、エチレンジアミンボラン、エチレンジアミンビスボラン、t−ブチルアミンボラン、イミダゾールボラン、メトキシエチルアミンボラン、及びホウ水素化ナトリウム等が挙げられる。
また、ヒドラジン化合物としては、ヒドラジン及びその水和物や、例えば硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン等のヒドラジン塩や、ピラゾール類、トリアゾール類、ヒドラジド類等のヒドラジン誘導体等を用いることができる。これらのヒドラジン誘導体の中で、ピラゾール類としては、ピラゾールの他に、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−ピラゾロン等のピラゾール誘導体を用いることができる。また、トリアゾール類としては、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール等を用いることができる。また、ヒドラジド類としては、アジピン酸ヒドラジド、マレイン酸ヒドラジド、カルボヒドラジド等を用いることができる。また、ヒドラジン類としては、特に、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、アジピン酸ヒドラジド、マレイン酸ヒドラジド、カルボヒドラジド等を用いることができる。
ニッケル源としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル等のニッケル塩が挙げられる。
また、めっき液には、錯化剤、pH緩衝剤、pH調整剤を含有させることができる。
具体的に、錯化剤としては、公知の錯化剤を使用することができる。例えば、グリシン等のアミノ酸、クエン酸ナトリウムやクエン酸アンモニウム等のクエン酸塩、乳酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルコン酸等のナトリウム塩又はアンモニウム塩、アンモニア等が挙げられる。
pH緩衝剤としては、公知の錯化剤を使用することができる。例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、ホウ酸、酢酸ナトリウム等が挙げられる。
pH調整剤としては、公知の錯化剤を使用することができる。例えば、酸やアルカリの化合物を使用することができ、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物,炭酸ニッケル、硫酸、塩酸等が挙げられる。なお、アンモニアを用いる場合、アンモニア水として供給することができる。
また、さらに必要に応じて、消泡剤や分散剤を使用してもよい。
さらに、めっき液の浸透性を向上させるために、界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、ノニオン性、カチオン性、アニオン性、両性等の界面活性剤のいずれを用いることができ、1種類単独で、あるいは2種類以上を併せて用いることができる。
ここで、無電解めっきによるニッケルコートでは、無電解ニッケルめっき液中の還元剤である次亜リン酸浴塩、ホウ水素化合物、及びヒドラジン化合物によって、析出するニッケル被膜が異なる。具体的に、還元剤として次亜リン酸浴塩を用いた場合、還元反応中にリン(P)が被膜中に含まれるようになるため、Ni−P合金被膜が形成される。また、還元剤としてホウ水素化合物を用いた場合、還元反応中にボロン(B)が被膜中に含まれるようになるため、Ni−B合金被膜が形成される。また、還元剤としてヒドラジン化合物を用いた場合は、不純物の少ない高純度なニッケル被膜が形成される。
さらに、形成するニッケル被膜中にその他の元素が含有されるようにすることで、すなわち、銅粒子の表面にニッケル合金被膜を形成させることで、そのニッケルコート銅粉を用いて、耐熱性、耐食性にも優れた導電性ペースト等を実現することができる。
具体的に、ニッケルの被膜中に含有させる元素としては、つまりニッケル合金を構成するニッケル以外の元素としては、周期表の第6族から第14族の元素が挙げられ、その中でも、亜鉛、パラジウム、コバルト、ロジウム、鉄、白金、イリジウム、タングステン、モリブデン、クロム、及び錫等が挙げられる。特に、亜鉛、コバルト、タングステン、モリブデン、パラジウム、白金、及び錫から選ばれる1種類以上の元素が好ましく、これらの元素を含有するニッケル合金とすることで、導電性の優れたニッケル合金被膜を形成することができる。
これらニッケル合金を構成する元素の含有量は、導電性や分散性の観点から、ニッケル合金の質量100%に対して0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、1質量%〜15質量%であることがより好ましく、2質量%〜10質量%であることがさらに好ましい。なお、上述した還元剤の種類によってそれぞれ形成されるNi−P合金やNi−B合金についても、そのリンやボロンの含有量は、同じくニッケル合金の質量100%に対して0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、1質量%〜15質量%であることがより好ましく、2質量%〜10質量%であることがさらに好ましい。
ニッケル合金としたときにニッケル以外の元素の含有量が多くなり過ぎると、導電性が低下する原因となることから、20質量%以下とすることが好ましい。一方で、含有量が0.1質量%未満では、それらの元素をニッケルと共に含有させてニッケル合金としても、耐熱性や耐食性を向上させる効果が十分に得られない。なお、ニッケル合金中の元素の含有量は、例えば高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により、ニッケルコート銅粉を構成する各元素の含有量を換算することによって測定できる。また、エネルギー分散型X線分光(EDX)法やオージェ電子分光(AES)法によって、ニッケルコート銅粉の断面等からニッケル合金被膜中の各元素を定量分析することもできる。
ニッケル合金の被膜を形成する方法としては、上述した無電解ニッケルめっき液にコバルト、亜鉛、タングステン、モリブデン、パラジウム、白金、及び錫等のイオンを添加し、そのめっき液を用いた無電解めっきにより形成することができる。コバルト、亜鉛、タングステン、モリブデン、パラジウム、白金、及び錫等のイオン源としては、可溶性となるそれぞれの金属塩であれば特に限定されない。
具体的に、コバルトイオン源としては、コバルト化合物としてめっき液に可溶性のものであって、所定の濃度の水溶液が得られるものであれば特に限定されずに使用できる。例えば、硫酸コバルト、塩化コバルト、スルファミン酸コバルト等が挙げられる。これらのコバルト化合物は、1種類単独で、あるいは2種類以上を併せて用いることができる。
亜鉛イオン源としては、亜鉛化合物としてめっき液に可溶性のものであって、所定の濃度の水溶液が得られるものであれば特に限定されずに使用できる。例えば、塩化亜鉛、スルファミン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの亜鉛化合物は、1種類単独で、あるいは2種類以上を併せて用いることができる。
タングステンイオン源としては、タングステン化合物としてめっき液に可溶性のものであって、所定の濃度の水溶液が得られるものであれば特に限定されずに使用できる。例えば、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸アンモニウム等が挙げられる。これらのタングステン化合物は、1種類単独で、あるいは2種類以上を併せて用いることができる。
モリブデンイオン源としては、モリブデン化合物としてめっき液に可溶性のものであって、所定の濃度の水溶液が得られるものであれば特に限定されずに使用できる。例えば、三酸化モリブデン、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸二アンモニウム、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸、リンモリブデン酸、モリブデン酸グルコン酸錯体が挙げられる。これらのモリブデン化合物は、1種類単独で、あるいは2種類以上を併せて用いることができる。
パラジウムイオン源としては、パラジウム化合物としてめっき液に可溶性のものであって、所定の濃度の水溶液が得られるものであれば特に限定されずに使用できる。例えば、硫酸パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、ジクロロジエチンレジアミンパラジウム、テトラアンミンパラジウムジクロライド等の水溶性パラジウム化合物を用いることができる。また、パラジウム化合物として、パラジウムを溶液化した、いわゆるパラジウム溶液を使用することもできる。パラジウム溶液としては、例えば、ジクロロジエチレンジアミンパラジウム溶液やテトラアンミンパラジウムジクロライド溶液等を使用することができる。これらのパラジウム化合物は、1種類単独で、あるいは2種類以上を併せて用いることができる。
白金イオン源としては、白金化合物としてめっき液に可溶性のものであって、所定の濃度の水溶液が得られるものであれば特に限定されずに使用できる。例えば、塩化白金、塩化白金酸、塩化白金酸塩、水酸化白金酸、水酸化白金酸塩、ジニトロジアンミン白金錯塩、ジニトロスルフィト白金錯塩、テトラアンミン白金錯塩、ヘキサアンミン白金錯塩が挙げられる。白金化合物は、1種類単独で、あるいは2種類以上を併せて用いることができる。
錫イオン源としては、錫化合物としてめっき液に可溶性のものであって、所定の濃度の水溶液が得られるものであれば特に限定されずに使用できる。例えば、塩化第一錫、塩化第二錫、硫酸第一錫、硫酸第二錫、ピロ燐酸錫等のスズの無機酸塩やクエン酸第一錫、クエン酸第二錫、シュウ酸第一錫、シュウ酸第二錫等の錫のカルボン酸塩やメタンスルホン酸錫、1−エタンスルホン酸錫、2−エタンスルホン酸錫、1−プロパンスルホン酸錫、3−プロパンスルホン酸錫等の錫のアルカンスルホン酸塩やメタノールスルホン酸錫、ヒドロキシエタン−1−スルホン酸錫、1−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸錫、ヒドロキシエタン−2−スルホン酸錫、1−ヒドロキシプロパン−3−スルホン酸錫等のアルカノールスルホン酸塩、水酸化第一錫、水酸化第二錫等の錫の水酸化物、メタ錫酸等が挙げられる。錫化合物は、1種類単独で、あるいは2種類以上を併せて用いることができる。
なお、ニッケル合金被膜を形成する方法としては、上述した無電解めっき法による方法に限定されない。例えば、ニッケルを被覆する前の銅粒子中にニッケル合金を構成するニッケル以外の元素を含有させておき、ニッケルのみからなる被膜(ニッケル被膜)を形成させた後に、あらかじめ銅粒子に含有させておいた元素をそのニッケル被膜に拡散させることによって、ニッケル合金被膜を形成させることもできる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係るニッケルコート銅粉の製造方法によれば、粒状で、粒径が小さく均一であり、銅粒子の結晶子径の大きい高結晶性のニッケルコート銅粉を製造することができる。このようなニッケルコート銅粉では、微細で比較的粒度分布が狭い一方で、高結晶性の粒子であるために外観が滑らかで欠陥が無く、結晶性が良好で安定性(表面安定性)が高いものとなり、優れた耐酸化性を有する。
このことから、例えば導電性ペーストの材料(金属フィラー)として用いた場合、樹脂中において凝集せずに均一に分散する優れた分散性を示す。また、耐酸化性を有することにより、この電解銅粉を金属フィラーとして用いた導電性ペーストは、例えば酸化性雰囲気下であっても高温焼成等の焼成処理を適切に施すことができる。
≪3.導電性ペースト≫
本実施の形態に係るニッケルコート銅粉は、上述したように、銅粒子の表面にニッケル又はニッケル合金が被覆されたものであって、SEMにより測定される一次粒子の平均粒径が0.1μm以上3.0μm以下であり、一次粒子の粒径の標準偏差値を平均粒径で除した値である粒径の相対標準偏差値が0.3以下であり、また、銅粒子の結晶子径を平均粒径で除した値が0.07以上である。このようなニッケルコート銅粉によれば、凝集を抑えながら、配線の細線化に適した導電性ペーストの原料として好適に用いることができる。
導電性ペーストは、少なくとも、上述したニッケルコート銅粉と、樹脂(バインダ樹脂)と、溶剤とを混合し、それらを混錬することで製造することができる。また、必要に応じて、硬化後の導電性を改善するために、酸化防止剤やカップリング剤等の添加剤を配合することができる。
樹脂の種類は、特に限定されないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、エチルセルロース樹脂等を用いることができる。
また、溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ターピネオール等の有機溶剤を用いることができる。また、その有機溶剤の量は、特に限定されないが、スクリーン印刷やディスペンサー等の導電膜形成方法に適した粘度となるように、ニッケルコート銅粉の平均粒径を考慮して添加量を調整することができる。
また、酸化防止剤の種類は、特に限定されないが、例えばヒドロキシカルボン酸等を挙げることができる。より具体的には、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸等のヒドロキシカルボン酸が好ましく、銅への吸着力が高いクエン酸又はリンゴ酸が特に好ましい。なお、添加剤としては、酸化防止剤の他に、カップリング剤、粘度調整剤、分散剤、難燃剤、沈降防止剤等を使用することができる。
この導電性ペーストは、上述した構成成分を均一に分散させることができる限り、従来技術と同様の方法により製造することができる。たとえば、上述した各構成成分を、3本ロールミル等により均一に混練することができる。
なお、上述した添加剤を添加するタイミングも特に制限されることはなく、ニッケルコート銅粉やバインダ樹脂と同時に溶剤に添加して混練してもよく、あるいは、ニッケルコート銅粉とバインダ樹脂とを溶剤に混ぜて混練させ、その後、自公転ミキサ等を用いて添加してもよい。
以下に、本発明の実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
<評価方法>
下記実施例及び比較例にて得られたニッケルコート銅粉について、以下の方法により、形状の観察、平均粒径、銅粒子の結晶子径、耐酸化性の評価に関する0.5%重量増加温度、炭素含有量、焼結抵抗、耐候性の測定を行った。
(形状の観察)
走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子株式会社製,JSM−7100F)により、所定の倍率の視野で任意に20視野を観察し、その視野内に含まれるニッケルコート銅粉を観察した。
(平均粒径)
得られたニッケルコート銅粉の平均粒径については、SEMを用いて観察し、銅粉300個以上の一次粒子の粒径を測長することで、その平均値を求めて平均粒径とした。
(結晶子径)
得られたニッケルコート銅粉を構成する銅粒子の結晶子径については、X線回折装置(PAN alytical社製,X‘pert PRO)を用いて測定し、得られたX線回折パターンから、一般にScherrerの式として知られる公知の方法を用いて算出した。
(0.5%重量増加温度)
得られたニッケルコート銅粉の0.5%重量増加温度については、乾燥して得られたニッケルコート銅粉を、打錠プレスにより直径約3mm、厚さ2mmの円筒状ペレットとし、熱分析装置(ブルカー社製,TG−DTA2000SR)を用いて、空気流量を100mL/分とし、10℃/分で昇温させたときの重量増加量を測定し、0.5%重量が増加したときの温度を、0.5%重量増加温度として求めた。
(炭素含有量)
得られたニッケルコート銅粉の炭素含有量については、炭素硫黄分析装置(LECO社製,CS−600)を用いて、高周波燃焼−赤外吸収法により測定した。
(焼結抵抗)
耐酸化性に関するTG評価後のペレットを、4端子法抵抗測定器(株式会社三菱化学アナリティカル製)により抵抗値を測定し、ペレット形状から抵抗率(μΩ・cm)を算出した。
(耐候性)
焼結抵抗を測定したペレットを、85℃、相対湿度85%(R.H.)の恒温恒湿下で500時間保持した後、抵抗測定と同様の手法でペレットの抵抗率を算出し、抵抗率の上昇率を算出した。上昇率は、恒温恒湿下に暴露された時間である500時間後の抵抗率と、暴露前の0時間における抵抗率との差をパーセント表示し、20%以下が信頼のおける導電性ペーストとして評価した。
[実施例1](ニッケル被膜:Ni−P合金)
硫酸銅五水和物(住友金属鉱山株式会社製)500gを純水3Lに溶解させ、そこへ、25%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学株式会社製)600mLと、分散剤であるポリビニルアルコール(株式会社クラレ製,PVA205)1.28gを純水1Lに溶解させた分散剤溶液とを添加した。さらに、消泡剤(株式会社アデカ製,アデカノールLG−126)を体積比で100倍に希釈し、この消泡剤希釈液10mLを添加した。これにより、銅塩溶液を調製した。
次に、調製した銅塩溶液を撹拌しながら60℃で保持し、そこへ、アスコルビン酸(和光純薬工業株式会社製)881gを純水2Lに溶解させて60℃に加熱した還元剤溶液を投入し、60℃で3時間撹拌しながら保持した。
撹拌終了後、その反応液を、吸引濾過機を使用して濾過し、反応液中の銅粒子を固液分離した。続いて、回収した銅粒子を純水2L中に投入し、そこへ、ステアリン酸エマルジョン(中京油脂株式会社製,セロゾール920)2.5gを添加して15分間撹拌した後、吸引濾過機で濾過して回収した。続いて、回収した銅粒子を純水2L中に投入し、15分間の撹拌による洗浄と吸引濾過機による濾過からなる操作を行った。その後、銅粒子をステンレスバット上に移し、真空乾燥機にて60℃で10時間乾燥して、銅粉を得た。なお、図1は、実施例1にて得られた銅粉(ニッケル被覆前の銅粉)のSEM観察像である。図1に示されるように、得られた銅粉は粒状の形状を有するものであった。
次に、上述した方法で作製した銅粉を用いて、無電解ニッケルめっきによりその銅粉表面にニッケルの被覆を行い、ニッケルコート銅粉を作製した。なお、還元剤として次亜リン酸塩を含有する無電解ニッケルめっき液を用いたため、得られた被膜はNi−P合金被膜となる。
具体的には、無電解ニッケルめっき液として、硫酸ニッケル20g/L、次亜リン酸ナトリウム25g/L、酢酸ナトリウム10g/L、クエン酸ナトリウム10g/Lを各濃度で添加し、さらに水酸化ナトリウムを添加してpH5.0に調整しためっき液を500mL用意した。
この無電解ニッケルめっき液に、上述した方法で作製した銅粉100gを水100mL中に分散させたスラリーを入れ、25℃で10分間撹拌した後、浴温を90℃まで加熱して60分間撹拌した。反応が終了した後、粉末をろ過、水洗してエタノールを通じて乾燥させた。
このようして得られたニッケルコート銅粉の形状を、上述したSEMを用いた方法で観察した。ニッケルコート銅粉は、粒状の形状を有するものであった。また、ニッケルコート銅粉の個数は、全個数の80%以上であった。
また、そのSEM像より300個以上の一次粒子の粒径を測長して粒子数で平均することで求めた平均粒径は1.80μmであり、一次粒子の粒径の標準偏差値を平均粒径で除した粒径の相対標準偏差値は0.19であった。また、ニッケルコート銅粉を構成する銅粒子の結晶子径は153nmであり、結晶子径/平均粒径で表される値は0.08であった。
次いで、ニッケル合金の被覆量を測定したところ、ニッケルコート銅粉全体の質量100%に対して10.4質量%であった。また、ニッケル合金に含まれるリンの含有量は、ニッケル合金の質量100%に対して6.1質量%であった。また、0.5%重量増加温度は、240℃であり、230℃を超えるものとなり、良好な耐酸化性を有するものであった。また、抵抗率は、205μΩ・cmと低抵抗となった。また、耐候性に関しては、抵抗率の差が7%であり、良好であった。また、得られたニッケルコート銅粉の炭素含有量は、0.25質量%であった。
[実施例2]
硫酸銅五水和物(住友金属鉱山株式会社製)25.0gを純水150mLに溶解させ、そこへ、25%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学株式会社製)30mLと、分散剤であるポリビニルアルコール(株式会社クラレ製,PVA205)0.06gを純水50mLに溶解させた分散剤溶液とを添加した。さらに、消泡剤(株式会社アデカ製,アデカノールLG−126)を体積比で100倍に希釈し、この消泡剤希釈液5mLを添加した。これにより、銅塩溶液を調製した。
次に、調製した銅塩溶液を撹拌しながら80℃で保持し、そこへ、アスコルビン酸(和光純薬工業株式会社製)44gを純水100mLに溶解させて80℃に加熱した還元剤溶液を投入し、80℃で3時間撹拌しながら保持した。そして、反応液の温度を80℃としたこと以外の条件は、実施例1と同様に行った。
撹拌終了後、その反応液を、吸引濾過機を使用して濾過し、反応液中の銅粒子を固液分離した。続いて、回収した銅粒子を純水200mL中に投入し、そこへ、ステアリン酸エマルジョン(中京油脂株式会社製,セロゾール920)0.13gを添加して15分間撹拌した後、吸引濾過機で濾過して回収した。続いて、回収した銅粒子を純水200mL中に投入し、15分間の撹拌による洗浄と吸引濾過機による濾過からなる操作を行った。その後、銅粒子をステンレスバット上に移し、真空乾燥機にて60℃で10時間乾燥して、銅粉を得た。
その後、実施例1と同じく、無電解ニッケルめっきによりその銅粉表面にニッケルの被覆を行い、ニッケルコート銅粉を作製した。
このようして得られたニッケルコート銅粉の形状を、上述したSEMを用いた方法で観察した。ニッケルコート銅粉は、粒状の形状を有するものであった。また、ニッケルコート銅粉の個数は、全個数の80%以上であった。
また、SEM像より300個以上の一次粒子の粒径を測長して粒子数で平均することで求めた平均粒径は2.28μmであり、一次粒子の粒径の標準偏差値を平均粒径で除した粒径の相対標準偏差値は0.23であった。また、ニッケルコート銅粉を構成する銅粒子の結晶子径は296nmであり、結晶子径/平均粒径で表される値は0.12であった。
次いで、ニッケル合金の被覆量を測定したところ、ニッケルコート銅粉全体の質量100%に対して12.2質量%であった。また、ニッケル合金に含まれるリンの含有量は、ニッケル合金の質量100%に対して7.8質量%であった。また、0.5%重量増加温度は、258℃であり、230℃を超えるものとなり、良好な耐酸化性を有するものであった。また、抵抗率は、190μΩ・cmと低抵抗となった。また、耐候性に関しては、抵抗率の差が6%であり、良好であった。また、得られたニッケルコート銅粉の炭素含有量は0.28質量%であった。
[実施例3](ニッケル被膜:Ni−B合金)
実施例1において得られた銅粉を用い、還元剤としてホウ水素化合物を含有する無電解ニッケルめっき液を用いて、その銅粉の表面にニッケル被膜を形成させた。なお、得られるニッケル被膜としては、Ni−B合金被膜となる。
具体的には、無電解ニッケルめっき液として、硫酸ニッケル30g/L、コハク酸ナトリウム50g/L、ホウ酸30g/L、塩化アンモニウム30g/L、ジメチルアミンボラン4g/Lを各濃度で添加し、さらに水酸化ナトリウムを添加してpH6.0に調整しためっき液を500mL用意した。
この無電解ニッケルめっき液に、銅粉100gを水100mL中に分散させたスラリーを入れ、25℃で10分間撹拌した後、浴温を60℃まで加熱して60分間撹拌した。反応が終了した後、粉末をろ過、水洗してエタノールを通じて乾燥させた。
このようして得られたニッケルコート銅粉の形状を、上述したSEMを用いた方法で観察した。ニッケルコート銅粉は、粒状の形状を有するものであった。また、ニッケルコート銅粉の個数は、全個数の80%以上であった。
次いで、ニッケル合金の被覆量を測定したところ、ニッケルコート銅粉全体の質量100%に対して14.0質量%であった。また、ニッケル合金に含まれるボロンの含有量は、ニッケル合金の質量100%に対して4.9質量%であった。また、0.5%重量増加温度は、260℃であり、230℃を超えるものとなり、良好な耐酸化性を有するものであった。また、抵抗率は、330μΩ・cmと低抵抗となった。また、耐候性に関しては、抵抗率の差が10%であり、良好であった。また、得られたニッケルコート銅粉の炭素含有量は、0.26質量%であった。
[実施例4](ニッケル被膜:純Ni)
実施例1において得られた銅粉を用い、還元剤としてヒドラジン化合物を含有する無電解ニッケルめっき液を用いて、その銅粉の表面にニッケル被膜を形成させた。なお、得られたニッケル被膜としては、合金化されていないニッケル(純ニッケル)となる。
具体的には、銅粉100gを水500mL中に分散させたスラリーに、酢酸ニッケルを濃度12.4g/Lとなるよう添加し、ヒドラジン一水和物80質量%水溶液6gをその浴中に60分間にわたり徐々に撹拌しながら滴下した。このとき、浴温は60℃になるように管理した。反応が終了した後、粉末をろ過、水洗してエタノールを通じて乾燥させた。
このようして得られたニッケルコート銅粉の形状を、上述したSEMを用いた方法で観察した。ニッケルコート銅粉は、粒状の形状を有するものであった。また、ニッケルコート銅粉の個数は、全個数の80%以上であった。
次いで、ニッケル合金の被覆量を測定したところ、ニッケルコート銅粉全体の質量100%に対して9.4質量%であった。また、0.5%重量増加温度は、239℃であり、230℃を超えるものとなり、良好な耐酸化性を有するものであった。また、抵抗率は、175μΩ・cmと低抵抗となった。また、耐候性に関しては、抵抗率の差が5.8%であり、良好であった。また、得られたニッケルコート銅粉の炭素含有量は、0.26質量%であった。
[実施例5〜11](ニッケル被膜:Ni−金属元素の合金)
実施例1において得られた銅粉を用い、種々の無電解ニッケルめっき液を用いて、その銅粉の表面にニッケル合金の被膜を形成させた。
合金用の無電解ニッケルめっき液としては、銅粉100gを水500mL中に分散させたスラリーに、酢酸ニッケルを濃度12.4g/Lとなるよう添加し、ヒドラジン3.2gをその浴中に60分間にわたり徐々に撹拌しながら滴下した。なお、浴温は60℃になるように管理した。
このとき、それぞれ所望とするニッケル合金被膜が形成されるように、それぞれの金属化合物を銅粉のスラリーと酢酸ニッケルとを含む浴中に添加し、さらにヒドラジンを徐々に添加した。
金属化合物としては、実施例5では、タングステン酸ナトリウムを1.5g添加してNi−W合金被膜を形成させた。また、実施例6では、硫酸コバルトを2g添加してNi−Co合金被膜を形成させた。また、実施例7では、硫酸亜鉛七水和物とクエン酸ナトリウムとをそれぞれ4gずつ添加してNi−Zn合金被膜を形成させた。また、実施例8では、塩化パラジウムを2g添加してNi−Pd合金被膜を形成させた。また、実施例9では、テトラクロロ白金酸カリウム2gとグリシン1gとをそれぞれ添加してNi−Pt合金被膜を形成させた。また、実施例10では、モリブデン酸ナトリウムとクエン酸三ナトリウムとをそれぞれ1gずつ添加してNi−Mo合金被膜を形成させた。また、実施例11では、錫酸ナトリウムを1g添加してNi−Sn合金被膜を形成させた。
それぞれ反応が終了した後、粉末をろ過、水洗してエタノールを通じて乾燥させた。
このようして得られたニッケルコート銅粉の形状を、上述したSEMを用いた方法で観察した。ニッケルコート銅粉は、粒状の形状を有するものであった。また、ニッケルコート銅粉の個数は、全個数の80%以上であった。
次いで、ニッケル合金の被覆量の測定、ニッケル合金の被覆量、合金元素の含有量、0.5%重量増加温度、抵抗率、耐候性、炭素含有量の各測定を行った。下記表1に、それらの各測定結果をまとめて示す。
[実施例12](ニッケル被膜:Ni−P−W合金)
実施例1において得られた銅粉を用い、還元剤として次亜リン酸塩を含有し、さらにタングステン酸塩を含有する無電解ニッケルめっき液を用い、その銅粉の表面にニッケル被膜を形成させた。なお、得られるニッケル被膜としては、Ni−P−W合金被膜となる。
具体的には、無電解ニッケルめっき液として、硫酸ニッケル20g/L、次亜リン酸ナトリウム25g/L、酢酸ナトリウム10g/L、クエン酸ナトリウム10g/Lを各濃度で添加しためっき液に、さらにタングステン酸ナトリウムを1.5g添加し、水酸化ナトリウムを添加してpH5.0に調整しためっき液を500mL用意した。
この無電解ニッケルめっき液に、銅粉100gを水100mL中に分散させたスラリーを入れ、25℃で10分間撹拌した後、浴温を90℃まで加熱して60分間撹拌した。反応が終了した後、粉末をろ過、水洗してエタノールを通じて乾燥させた。
このようして得られたニッケルコート銅粉の形状を、上述したSEMを用いた方法で観察した。ニッケルコート銅粉は、粒状の形状を有するものであった。また、ニッケルコート銅粉の個数は、全個数の80%以上であった。
次いで、ニッケル合金の被覆量を測定したところ、ニッケルコート銅粉全体の質量100%に対して11.1質量%であった。また、ニッケル合金に含まれるリン、タングステンの含有量は、ニッケル合金の質量100%に対してそれぞれ3.8質量%、2.0質量%であった。また、0.5%重量増加温度は、260℃であり、230℃を超えるものとなり、良好な耐酸化性を有するものであった。また、抵抗率は、351μΩ・cmと低抵抗となった。また、耐候性に関しては、抵抗率の差が9.7%であり、良好であった。また、得られたニッケルコート銅粉の炭素含有量は、0.26質量%であった。
[比較例1]
銅粉の製造に際して、銅塩溶液、還元剤水溶液、保持時間中の反応液の温度を、それぞれ40℃としたこと以外は、実施例2と同様にして銅粉を製造した。そして、得られた銅粉に、実施例2と同様の条件でニッケル被膜を形成させニッケルコート銅粉を作製した。
得られたニッケルコート銅粉の形状を、上述したSEMを用いた方法で観察した。ニッケルコート銅粉は、粒状の形状であった。さらに、SEMにより観察したニッケルコート銅粉は、表面が凹凸で丸みを帯び結晶性が低くことが予想されたが、ニッケルコート銅粉の個数は、全個数の80%以上であった。
また、SEM像より300個以上の一次粒子の粒径を測長して粒子数で平均することで求めた平均粒径は1.81μmであり、一次粒子の粒径の標準偏差値を平均粒径で除した粒径の相対標準偏差値は0.29であった。ただし、ニッケルコート銅粉を構成する銅粒子の結晶子径は97nmと小さく、そのことにより、結晶子径/平均粒径で表される値は0.05となり多結晶構造であった。
次いで、ニッケル合金の被覆量を測定したところ、ニッケルコート銅粉全体の質量100%に対して13.0質量%であった。また、ニッケル合金に含まれるリンの含有量は、ニッケル合金の質量100%に対して8.0質量%であった。また、得られたニッケルコート銅粉の炭素含有量は、0.25質量%であった。
このような多結晶構造のニッケルコート銅粉では、0.5%重量増加温度が、220℃であり、230℃以下と耐酸化性は満足いくものではなかった。さらに、抵抗率についても、520μΩ・cmと高抵抗となり、耐候性に関しても抵抗率の差が25%となり、悪化した。
[比較例2]
銅粉の製造に際して、ポリビニルアルコールを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして銅粉を製造した。そして、得られた銅粉に、実施例1と同様の条件でニッケル被膜を形成させニッケルコート銅粉を作製した。
得られたニッケルコート銅粉の形状を、上述したSEMを用いた方法で観察した。ニッケルコート銅粉は、比較的高結晶の外観を有しており、この構造を有するニッケルコート銅粉の個数は、全個数の80%以上であった。
また、SEM像より300個以上の一次粒子の粒径を測長して粒子数で平均することで求めた平均粒径は3.8μmであり、一次粒子の粒径の標準偏差値を平均粒径で除した粒径の相対標準偏差値は0.19であった。また、ニッケルコート銅粉を構成する銅粒子の結晶子径は187nmであり、結晶子径/平均粒径で表される値は0.05であった。
次いで、ニッケル合金の被覆量を測定したところ、ニッケルコート銅粉全体の質量100%に対して10.0質量%であった。また、ニッケル合金に含まれるリンの含有量は、ニッケル合金の質量100%に対して7.0質量%であった。また、0.5%重量増加温度は、220℃であり、230℃以下と耐酸化性は悪化した。また、抵抗率についても、600μΩ・cmと高抵抗となった。なお、耐候性に関しては、抵抗率の差が14%となり、良好であった。また、得られたニッケルコート銅粉の炭素含有量は、0.20質量%であった。
本発明のニッケルコート銅粉は、電子機器における配線層や電極等を形成するために、樹脂型ペーストや低温焼成型ペーストの原料の金属フィラーとして好適に使用することができる。

Claims (23)

  1. 銅粒子の表面にニッケル又はニッケル合金が被覆されたニッケルコート銅粉であって、
    走査型電子顕微鏡により測定される一次粒子の平均粒径が0.1μm以上3.0μm以下であり、
    前記一次粒子の粒径の標準偏差値を、前記平均粒径で除した値である粒径の相対標準偏差値が0.3以下であり、
    銅粒子の結晶子径を前記平均粒径で除した値が0.07以上である
    ことを特徴とするニッケルコート銅粉。
  2. 前記銅粒子の結晶子径が、60nm以上である
    請求項1に記載のニッケルコート銅粉。
  3. 当該ニッケルコート銅粉の形状が、粒状である
    請求項1又は2に記載のニッケルコート銅粉。
  4. 当該ニッケルコート銅粉の炭素含有量が、0.05質量%以上0.5質量%以下である
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載のニッケルコート銅粉。
  5. ニッケル又はニッケル合金の被覆量が、当該ニッケルコート銅粉全体の質量100%に対して1質量%〜33質量%である
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載のニッケルコート銅粉。
  6. 前記銅粒子の表面にニッケル合金が被覆されており、
    コバルト、亜鉛、タングステン、モリブデン、パラジウム、白金、錫、リン、及びボロンから選ばれる少なくとも1種以上を、前記ニッケル合金の質量100%に対して0.1質量%〜20質量%の割合で含有したニッケル合金で被覆されている
    請求項5に記載のニッケルコート銅粉。
  7. 熱分析装置を用いた測定による、大気中において室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの0.5%重量増加温度が230℃を超える
    請求項1乃至6のいずれか1項に記載のニッケルコート銅粉。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載のニッケルコート銅粉と、樹脂と、溶媒とを混練してなる
    導電性ペースト。
  9. 銅粒子の表面にニッケル又はニッケル合金が被覆されたニッケルコート銅粉の製造方法であって、
    銅化合物を含む溶液と、アルカリ金属の水酸化物を含む溶液と、分散剤を含む溶液とを混合して銅塩溶液を作製する銅塩溶液作製工程と、
    前記銅塩溶液と還元剤溶液とを混合して銅粒子を生成させる銅粒子生成工程と、
    前記銅粒子にニッケル又はニッケル合金を被覆するニッケル被覆工程と、を有し、
    前記銅粒子生成工程では、前記銅塩溶液及び前記還元剤溶液の温度を50℃以上90℃以下の範囲として、該銅塩溶液へ該還元剤溶液を添加することによって混合する
    ことを特徴とするニッケルコート銅粉の製造方法。
  10. 前記銅塩溶液作製工程では、前記分散剤の添加量を、前記銅化合物中の銅量に対して0.01質量%以上10質量%以下の範囲とする
    請求項9に記載のニッケルコート銅粉の製造方法。
  11. 前記分散剤が、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、変性シリコーンオイル系界面活性剤、及びポリエーテル系界面活性剤から選択される少なくとも1種である
    請求項9又は10に記載のニッケルコート銅粉の製造方法。
  12. 前記銅化合物は、硫酸銅五水和物である
    請求項9乃至11のいずれか1項に記載のニッケルコート銅粉の製造方法。
  13. 前記アルカリ金属の水酸化物は、水酸化ナトリウムである
    請求項9乃至12のいずれか1項に記載のニッケルコート銅粉の製造方法。
  14. 前記銅粒子生成工程では、前記還元剤の添加量を、前記銅化合物中の銅量に対して1当量以上7当量以下とする
    請求項9乃至13のいずれか1項に記載のニッケルコート銅粉の製造方法。
  15. 前記還元剤は、ラクトン構造を有する有機化合物、ホルマリン、ブドウ糖、及び多糖類から選ばれる1種類以上である
    請求項9乃至14のいずれか1項に記載のニッケルコート銅粉の製造方法。
  16. 前記還元剤は、アスコルビン酸又はその誘導体から選ばれる1種類以上を含む
    請求項15に記載のニッケルコート銅粉の製造方法。
  17. 前記ニッケルコート銅粉は、該ニッケルコート銅粉銅粉の結晶子径を、該ニッケルコート銅粉を走査型電子顕微鏡により観察して測定される一次粒子の平均粒径で除した値が0.07以上である
    請求項9乃至16のいずれか1項に記載のニッケルコート銅粉の製造方法。
  18. 前記銅粒子の結晶子径が、60nm以上である
    請求項17に記載のニッケルコート銅粉の製造方法。
  19. 前記ニッケルコート銅粉は、該ニッケルコート銅粉の一次粒子の粒径の標準偏差値を、前記平均粒径で除した値である粒径の相対標準偏差値が0.3以下である
    請求項17又は18に記載のニッケルコート銅粉の製造方法。
  20. 前記ニッケル被覆工程では、前記銅粒子に対するニッケル又はニッケル合金の被覆量を、前記ニッケルコート銅粉全体の質量100%に対して1質量%〜33質量%とする
    請求項9乃至19のいずれか1項に記載のニッケルコート銅粉の製造方法。
  21. 前記ニッケル被覆工程では、
    前記銅粒子の表面にニッケル合金を被覆し、
    コバルト、亜鉛、タングステン、モリブデン、パラジウム、白金、錫、リン、及びボロンから選ばれる少なくとも1種以上を、前記ニッケル合金の質量100%に対して0.1質量%〜20質量%の割合で含有したニッケル合金を被覆する
    請求項20に記載のニッケルコート銅粉の製造方法。
  22. 前記ニッケルコート銅粉は、炭素含有量が0.05質量%以上0.5質量%以下である
    請求項9乃至21のいずれか1項に記載のニッケルコート銅粉の製造方法。
  23. 請求項1乃至7のいずれかに記載のニッケルコート銅粉と、樹脂と、溶媒とを混練することによって製造する
    導電性ペーストの製造方法。
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