JP2018031975A - 光学製品並びにプラスチック眼鏡レンズ及び眼鏡 - Google Patents
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Abstract
Description
このレンズは、光学多層膜を備えている。その光学多層膜は、低屈折率層と高屈折率層を交互に積層した7層構造であり、高屈折率層は波長500nm(ナノメートル)の光に対する屈折率が2.145以上である材料を用いて形成され、所定の高屈折率層や低屈折率層は所定範囲内の膜厚を有するように形成されている。
しかし、特許文献1のレンズでは、可視光の反射率は、可視光の波長域である可視域の全体に亘り数%(パーセント)以下となり(可視光反射防止機能)、可視域内の特定の波長域について反射率を高めることができない。
よって、特許文献1のレンズでは、例えば、近赤外線反射機能を維持したまま、可視域内における400nm以上420nm以下の波長域の光について反射率を高めることができない。即ち、特許文献1のレンズでは、近赤外線反射機能と青色光反射機能の両立を図れない。
かような波長域の青色光は、青色光全体の中でも紫外域に近い波長域の光であって、眼の網膜組織に作用して加齢黄斑変性の遠因となることが指摘されており、眼鏡レンズによって反射することができれば、眼の網膜組織を保護することができるのである。しかし、特許文献1のレンズでは、近赤外線反射機能を提供することができる一方、青色光反射機能を提供することができない。
そこで、本発明は、青色光を始めとする可視域内における所定の波長域の光、及び近赤外線の双方について、反射率が比較的に高くされており、他の可視域の光について、反射率が低減されている光学製品,プラスチック眼鏡レンズ,眼鏡を提供することを目的とするものである。
請求項2に記載の発明は、上記発明にあって、2層目の前記ZrO2層の光学膜厚は、0.650×λ/4以下であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明にあって、3層目の前記SiO2層の光学膜厚は、0.560×λ/4以下であることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明にあって、7層目の前記SiO2層の光学膜厚は、0.650×λ/4以下であることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、上記発明にあって、780nm以上1500nmにおける片面反射率の平均値が20%以上であることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、プラスチック眼鏡レンズにあって、上記発明の光学製品が用いられていることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、眼鏡にあって、上記発明のプラスチック眼鏡レンズが用いられていることを特徴とするものである。
本発明において、基材はどのような材質であっても良く、好ましくは透光性を有する。基材の材料として、好ましくは熱硬化性樹脂が用いられ、例えばポリウレタン樹脂、チオウレタン樹脂、エピスルフィド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリ4−メチルペンテン−1樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂、あるいはこれらの組合せが用いられる。又、屈折率が高く(特に眼鏡レンズ用として)好適なものとして、エピスルフィド基とポリチオール及び/又は含硫黄ポリオールとを付加重合して得られるエピスルフィド樹脂、あるいはこのエピスルフィド樹脂と他の樹脂の組合せを挙げることができる。
即ち、光学多層膜は、低屈折率層と高屈折率層を交互に積層して全体として9層を有する構造である。最も基材側の層(基材に最も近い層)を1層目とすると、奇数層目が低屈折率層であり、偶数層目が高屈折率層である。
又、低屈折率層は、シリカ(二酸化ケイ素,SiO2)を用いて形成されたSiO2層であり、高屈折率層は、ジルコニア(二酸化ジルコン,ZrO2)を用いて形成されたZrO2層である。
更に、1層目(SiO2層)の光学膜厚が、設計波長をλ(ここでは500nm)として、0.120×λ/4以下となるように形成されている。
又更に、7層目(SiO2層)の光学膜厚が、0.450×λ/4以上となるように形成されており、好ましくは0.450×λ/4以上0.650×λ/4以下となるように形成されている。
加えて、2層目(ZrO2層)の光学膜厚が、0.400×λ/4以上となるように形成されており、好ましくは0.400×λ/4以上0.650×λ/4以下となるように形成されている。
又、3層目(SiO2層)の光学膜厚が、0.230×λ/4以上となるように形成されており、好ましくは0.230×λ/4以上0.560×λ/4以下となるように形成されている。
更に、光学多層膜は、近赤外域中、780nm以上1500nm以下の波長域における、片面反射率の平均値が、20%以上であるように形成されている。
低屈折率層や高屈折率層は、真空蒸着法やイオンアシスト蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法等により形成される。
光学多層膜と基材の間に付加する膜(中間膜)として、ハードコート膜を採用する場合、ハードコート膜は、好適には基材の表面にハードコート液を均一に施すことで形成される。
又、ハードコート膜として、好ましくは無機酸化物微粒子を含むオルガノシロキサン系樹脂を用いることができる。オルガノシロキサン系樹脂は、アルコキシシランを加水分解し縮合させることで得られるものが好ましい。又、オルガノシロキサン系樹脂の具体例として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルシリケート、又はこれらの組合せが挙げられる。これらアルコキシシランの加水分解縮合物は、当該アルコキシシラン化合物あるいはそれらの組合せを、塩酸等の酸性水溶液で加水分解することにより製造される。
一方、無機酸化物微粒子の材質の具体例として、酸化亜鉛、二酸化ケイ素(シリカ微粒子)、酸化アルミニウム、酸化チタン(チタニア微粒子)、酸化ジルコニウム(ジルコニア微粒子)、酸化スズ、酸化ベリリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化セリウムの各ゾルを単独であるいは何れか2種以上を混晶化したものが挙げられる。無機酸化物微粒子の直径は、ハードコート膜の透明性確保の観点から、1nm以上100nm以下であることが好ましく、1nm以上50nm以下であるとより好ましい。又、無機酸化物微粒子の配合量(濃度)は、ハードコート膜における硬度や強靱性の適切な度合での確保という観点から、ハードコート膜の全成分中の40重量%(重量パーセント)以上60重量%以下を占めることが好ましい。加えて、ハードコート液には、硬化触媒としてアセチルアセトン金属塩、及びエチレンジアミン四酢酸金属塩の少なくとも一方等を付加することができ、更に基材に対する密着性確保や形成の容易化、所望の(半)透明色の付与等の必要に応じて界面活性剤、着色剤、溶媒等を添加することができる。
ハードコート膜の物理膜厚は、0.5μm(マイクロメートル)以上4.0μm以下とすると好ましい。この膜厚範囲の下限については、これより薄いと充分な硬度を得難いことから定まる。一方、上限については、これより厚くするとクラックや脆さの発生等、物性に関する問題の生ずる可能性が飛躍的に高まることから定まる。
更に、ハードコート膜と基材表面の間に、ハードコート膜の密着性を向上する観点からプライマー膜を付加しても良い。プライマー膜の材質として、例えばポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル樹脂、有機ケイ素系樹脂、又はこれらの組合せが挙げられる。プライマー膜は、好適には基材の表面にプライマー液を均一に施すことで形成される。プライマー液は、水又はアルコール系の溶媒に上記の樹脂材料と無機酸化物微粒子を混合させた液である。
これら実施例ないし比較例は、何れもプラスチックレンズであり、それらの基材は、何れも眼鏡用の熱硬化性樹脂製であって、眼鏡用プラスチックレンズとして標準的な大きさの円形で度数がS−2.00である非球面レンズ基材であり、より詳細には次の3種のうちの何れかである。
即ち、第1の基材は、チオウレタン樹脂製であって、その屈折率は1.60であり、アッベ数は42、比重は1.30g/ml(グラム毎ミリリットル)、ガラス転移温度は99℃である(屈折率1.60基材)。ここで、ガラス転移温度は示差走査熱量計で測定されたものであり、以下同様である。
又、第2の基材は、エピスルフィド基と、ポリチオール及び含硫黄ポリオールの少なくとも一方と、が付加重合されて得られるエピスルフィド樹脂製であって、屈折率は1.70、アッベ数は36、比重は1.41g/ml、ガラス転移温度は67℃である(屈折率1.70基材)。
更に、第3の基材は、エピスルフィド樹脂製であって、屈折率は1.76、アッベ数は30、比重は1.49g/ml、ガラス転移温度は59℃である(屈折率1.76基材)。
第1の基材が用いられるものは、番号の末尾が1となっている(実施例1−1,比較例4−1等)。又、第2の基材が用いられるものは、番号の末尾が2となっている(実施例1−2,比較例4−2等)。更に、第3の基材が用いられるものは、番号の末尾が3となっている(実施例1−3,比較例4−3等)。
プラスチックレンズ基材に接するハードコート膜は、次のように作製された。
まず、容器中にメタノール206g(グラム)、メタノール分散チタニア系ゾル(日揮触媒化成株式会社製,固形分30%)300g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン60g、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン30g、テトラエトキシシラン60gが滴下され、その混合液中に0.01N(規定度)の塩酸水溶液が更に滴下、撹拌されて加水分解が行われた。次いで、フロー調整剤0.5g及び触媒1.0gが加えられ、室温で3時間撹拌されて、ハードコート液が作製された。
ハードコート液は、プラスチックレンズ基材の各面に対し、次のように塗布された。
即ち、スピンコート法によりハードコート液を均一に行き渡らせ、120℃の環境に1.5時間置くことで、ハードコート液が加熱硬化された。
このようにして形成されたハードコート膜は、何れも物理膜厚が2.5μmとなった。
更に、これら実施例ないし比較例では、凹面側の光学多層膜は、中間膜の上において、一般的な全5層の低屈折率層(最も基材に近い側を第1層L1として奇数層L1,L3,L5)及び高屈折率層(偶数層L2,L4)の交互積層膜(反射防止膜)として形成された。
凹面側の光学多層膜の低屈折率層はSiO2層であり、高屈折率層はZrO2層であって、各層の光学膜厚は、実施例1〜8ないし比較例1〜4の各々において、次の表1に示される通りである。
尚、光学膜厚は、一般に次の式(1)で示されるところ、表1中の光学膜厚の値は、光学膜厚の1/4に相当する波長毎に光の位相が同じになりあるいは反転することに鑑み、着目する設計波長λの1/4の何倍に当たるかを示すため、式(1)における光学膜厚をλ/4で割ったものとなっている。
光学膜厚=(屈折率×物理膜厚)/設計波長λ ・・(1)
他方、これら実施例ないし比較例では、凸面側の光学多層膜は、中間膜の上において、基本的に次の通りに形成された。
中間膜付き基材がセットされたドームが、扉を介して真空装置内に投入され、扉が閉められて真空装置内が真空排気された。
真空装置内の温度は60℃に設定され、真空装置内の真空度が7.0E−04Pa(パスカル)に到達した時点で、光学多層膜の成膜が開始された。尚、7.0E−04は、7.0×10−4を表している。
成膜にあたり、まず中間膜とこれから成膜される光学多層膜との密着性を高めるために、基材表面(中間膜)に対し酸素イオンが60秒間照射され、当該表面を活性化させる処理が施された。
そして、低屈折率材料と高屈折率材料が交互に蒸着され、低屈折率層と高屈折率層を交互に有する光学多層膜が成膜された。
低屈折率材料として、シリカ(キヤノンオプトロン株式会社製「SiO2」)が用いられ、低屈折率材料の成膜レートは10.0Å/s(オングストローム毎秒)とされた。このように成膜された低屈折率層における波長550nmの光に対する屈折率は、1.4815であった。
高屈折率材料として、ジルコニア(同社製「ZrO2」)が用いられ、高屈折率材料の成膜レートは6.0Å/sとされた。このように成膜された高屈折率層における波長550nmの光に対する屈折率は、2.0743であった。
比較例1〜4における各層の光学膜厚(λ/4で割ったもの)は、次の表2の上部に示される通りであり、実施例1〜4における各層の光学膜厚(λ/4で割ったもの)は、次の表3の上部に示される通りであり、実施例5〜8における各層の光学膜厚(λ/4で割ったもの)は、次の表4の上部に示される通りである。
尚、比較例1−1〜1−3においては、何れも同じ光学多層膜(凸面)が形成され、これらをまとめて比較例1とすることがある。又、比較例2−1〜2−3等においても同様であるし、実施例1−1〜1−3等においても同様である。
又、比較例2の光学多層膜(凸面)は、9層構造であるが、1層目L1(SiO2層)の光学膜厚が0.120×λ/4以下ではない。
更に、比較例3の光学多層膜(凸面)は、9層構造であるが、1層目L1(SiO2層)の光学膜厚が0.120×λ/4以下ではない。
又更に、比較例4の光学多層膜(凸面)は、1層目L1がZrO2層である8層構造となっている。
これらの比較例に対し、実施例1〜8の光学多層膜(凸面)は、何れも9層構造であって、1層目L1(SiO2層)の光学膜厚が0.120×λ/4以下であり、7層目L7(SiO2層)の光学膜厚が0.450×λ/4以上0.650×λ/4以下であり、2層目L2(ZrO2層)の光学膜厚が0.400×λ/4以上0.650×λ/4以下となっており、3層目L3(SiO2層)の光学膜厚が0.230×λ/4以上0.560×λ/4以下である。
比較例1−1〜4−3について、光学多層膜(凸面)形成後の外観が目視で確認された。その結果は、上記表2の中部に示される。
又、実施例1−1〜4−3,5−1〜8−3について、光学多層膜(凸面)形成後の外観が目視で確認された。その結果は、上記表3,表4の中部に示される。
比較例1中、比較例1−2(屈折率1.70基材)と比較例1−3(屈折率1.76基材)において、凸面に線状のクラックが多数見受けられた。その他の比較例ないし実施例では、外観においてクラック等の異常の発生は見られなかった。
比較例1〜4,実施例1〜8の凹面の反射率分布が、反射率測定器(オリンパス株式会社製USPM−RU)によって測定された。
これらの凹面反射率分布は、何れも同様の分布であって、代表して比較例1−1の分布が図1に示される。
比較例1−1〜1−3の凸面反射率分布は、何れも同様の分布であり、これらを代表して比較例1−1に係る分布が、比較例1の凸面反射率分布として、図2,図3に示される。ここで、図2は、可視域(波長400nm以上780nm以下)及び隣接域(合わせて波長380nm以上780nm以下)に係る分布を示すものであり、図3は、可視域及び隣接域並びに近赤外域の一部(780nm以上1500nm以下)の波長域(合わせて波長350nm以上1500nm以下)に係る分布を示すものである。同様に、比較例2〜4の凸面反射率分布も、図2,図3に示される。
又、実施例1−1〜1−3の凸面反射率分布は、何れも同様の分布であり、これらを代表して実施例1−1に係る分布が、実施例1の凸面反射率分布として、図4,図5に示される。ここで、図4は、可視域及び隣接域(合わせて波長380nm以上780nm以下)に係る分布を示すものであり、図5は、可視域及び近赤外域並びに隣接域(合わせて波長350nm以上1500nm以下)に係る分布を示すものである。同様に、実施例2〜3の凸面反射率分布も、図4,図5に示される。更に同様に、実施例4〜6の凸面反射率分布が、図6,図7に示され、実施例7〜8の凸面反射率分布が、図8,図9に示される。
又、これらの比較例における近赤外域の凸面反射率の平均値(近赤外域反射率[%])が、上記表2の下部に示され、これらの実施例における近赤外域反射率が、上記表3,表4の下部に示される。
又、比較例1〜3では、着目している近赤外域(780nm以上1500nm以下)における反射率の平均値(近赤外線反射率)も比較的に高くなっており(23%前後)、近赤外線反射機能を備えている。
一方、比較例4では、近赤外域反射率が7%程度と低くなっており、近赤外線反射機能を十分には有していない。
又、実施例2では、400nm±50nmの波長域における反射率が、その域を除く可視域における反射率より高くなっており、特に波長400nmの光の反射率(極大値)が50%であり、又可視域の短波長側である400nm以上420nm以下の波長域における反射率がその全域において30%を超えている。更に、実施例2の反射率分布では、注目する赤外域中の波長930nmで極大値(51%)をとる山が存在しており、近赤外線反射率が24.63%と高くなっている。
更に、実施例3では、420nm以上500nm以下の波長域における反射率が、その域を除く可視域における反射率より高くなっており、特に波長450nmの光の反射率(極大値)が35%となっている。更に、実施例3の反射率分布では、注目する赤外域中の波長1070nmで極大値(51%)をとる山が存在しており、近赤外線反射率が26.15%と高くなっている。
又、実施例5では、450nm以上530nm以下の波長域における反射率が、540nmを超える可視域の部分における反射率より高くなっており、特に波長480nmの光の反射率(極大値)が30%となっている。更に、実施例5の反射率分布では、注目する赤外域中の波長1130nmで極大値(49%)をとる山が存在しており、近赤外線反射率が26.17%と高くなっている。
更に、実施例6では、440nm以上530nm以下の波長域における反射率が、530nmを超える可視域の部分における反射率より高くなっており、特に波長480nmの光の反射率(極大値)が40%となっている。更に、実施例6の反射率分布では、注目する赤外域中の波長1130nmで極大値(45%)をとる山が存在しており、近赤外線反射率が22.99%と高くなっている。
又、実施例8では、400nm以上500nm以下の波長域と550nm以上700nm以下の波長域における各反射率が、500nmを超えて550nm未満の波長域の反射率より高くなっており、特に波長450nmの光の反射率(第1の極大値)が11%となっており、波長620nmの光の反射率(第2の極大値)も11%となっている。更に、実施例8の反射率分布では、注目する赤外域中の波長910nmで極大値(54%)をとる山が存在しており、近赤外線反射率が26.45%と高くなっている。
比較例1−1〜4−3,実施例1−1〜8−3について、それぞれ耐久性に関する2つの試験がなされた。但し、成膜時にクラックが発生した比較例1−2,1−3については、これらの試験は行われなかった。
1つは耐候促進密着試験で、もう1つは恒湿恒温試験である。
耐候促進密着試験は、次のように行われた。まず、レンズの各面においてカッターによって100マスのマス目が形成された。次いで、マス目形成箇所に対するセロハンテープの付着及び勢いのある剥離が5回繰り返され、剥がれを生じたマスの数が確認された。続いて、レンズがサンシャインウェザーメータ(スガ試験機株式会社製S80B)に60時間(hr)投入され、その後、投入前と同様に、新たに形成したマス目形成箇所に対して適用したセロハンテープによって剥がれを発生したマスの数が数えられた。更にその後、同様にレンズがサンシャインウェザーメータに60時間投入され剥がれたマス目数が確認され、かような投入と確認が、60時間毎に最初の投入から述べ240時間投入された後の確認まで繰り返された。
恒湿恒温試験は、恒湿恒温試験機(エスペック株式会社製LHU−113)を用いて行われた。当該試験機の槽内が、温度60℃,相対湿度95%RHにセットされ、当該槽内に各レンズが投入され、投入から起算して1日,3日,7日経過後にそれぞれレンズが槽から取り出されて、浮腫みや変色、クラック等の外観異常が発生しているか否かが目視で確認された。
又、これら試験の結果のうち、実施例1−1〜8−3については下記表6に示される。
恒湿恒温環境に3日晒された後でもクラックが発生しなければ、十分な耐久性(耐熱性,耐湿性)を有していると言え、7日経過後でクラックが発生しなければ極めて優れた耐久性を有していることになる。1.60基材のものにおいて7日経過後にクラックが発生したのは、当該基材の膨張率が他の基材に比べて高いことによるものと考えられる。
又、比較例3−1〜3−3では通算180時間投入後から剥がれが見受けられ、やはり耐久性(耐候促進後の密着性)が十分なものではなかった。
これら以外の比較例や全ての実施例においては、耐候促進後の剥がれは見られず、優れた耐久性(耐候促進後の密着性)を有するものとなっていた。
比較例1では、2層目のZrO2層の光学膜厚が0.400×λ/4以上0.650×λ/4以下であること等により、近赤外域及び可視域内の青色域の双方において高い反射率が確保されている。しかし、比較例1では、7層構造であり、又3層目のSiO2層が0.230×λ/4以下であることもあって、比較例1−2,1−3において成膜時に線状のクラックが発生している。
比較例2では、9層構造であり、2層目のZrO2層の光学膜厚が0.400×λ/4以上0.650×λ/4以下であり、3層目のSiO2層の光学膜厚が0.230×λ/4以上0.560×λ/4以下であり、7層目のSiO2層の光学膜厚が0.450×λ/4以上0.650×λ/4以下であること等により、近赤外域及び可視域内の青色域の双方において高い反射率が確保され、且つ成膜時におけるクラックの発生も回避されている。しかし、比較例2では、1層目のSiO2層の光学膜厚が0.350×λ/4であって0.120×λ/4を超えていること等により、耐候促進密着試験において、膜の剥がれが発生している。
比較例3では、比較例2と同様である9層構造であり、1層目のSiO2層の光学膜厚が0.228×λ/4と比較例2より更に薄くしているが、なお0.120×λ/4を超えていること等により、比較例2と同様に耐候促進密着試験において膜剥がれが発生している。
比較例4では、ZrO2層を1層目とする8層構造であり、青色域の反射率を確保するために各層の光学膜厚が薄くなっているが、赤外域の反射率が7%程度しか確保することができない。
Claims (7)
- 基材の片面又は両面において、直接又は中間膜を介して配置された光学多層膜を備えており、
前記光学多層膜は、SiO2層とZrO2層が、前記基材から数えて1層目を前記SiO2層として交互に配置されるように合わせて9層積層されたものであり、
1層目の前記SiO2層の光学膜厚は、設計波長をλ(500nm)として、0.120×λ/4以下であり、
2層目の前記ZrO2層の光学膜厚は、0.400×λ/4以上であり、
3層目の前記SiO2層の光学膜厚は、0.230×λ/4以上であり、
7層目の前記SiO2層の光学膜厚は、0.450×λ/4以上である
ことを特徴とする光学製品。 - 2層目の前記ZrO2層の光学膜厚は、0.650×λ/4以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の光学製品。 - 3層目の前記SiO2層の光学膜厚は、0.560×λ/4以下である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学製品。 - 7層目の前記SiO2層の光学膜厚は、0.650×λ/4以下である
ことを特徴とする請求項1ないしは請求項3の何れかに記載の光学製品。 - 780nm以上1500nmにおける片面反射率の平均値が20%以上である
ことを特徴とする請求項1ないしは請求項4の何れかに記載の光学製品。 - 請求項1ないしは請求項5の何れかに記載の光学製品が用いられている
ことを特徴とするプラスチック眼鏡レンズ。 - 請求項6に記載のプラスチック眼鏡レンズが用いられている
ことを特徴とする眼鏡。
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