図1は、ノイズ低減を実現する試験測定システム100のブロック図である。試験測定システム100には、図示するように、独立に制御される複数の増幅器(例えば、増幅器121及び131)を設けても良く、これらは、アナログ信号170の異なる周波数帯域に対して動作する。以下の図面では、周波数帯域の個数は有限として図示するが、本発明は、2つ以上の任意の個数の周波数帯域に対して適用できることが理解できよう。種々の実施形態では、これら独立制御増幅器は、リニア・イコライザ(CTLE:Continuous Time Linear Equalizer:連続時間線形等化器)と同様に、伝送路の周波数特性を補償するように、アナログ信号170に対して作用するように構成されても良い。こうした実施形態において、システム100は、マルチ帯域CTLE試験測定装置ノイズ低減システムであると考えても良い。システム100には、低周波数チャンネル120と、高周波数チャンネル130とがある。実施形態によっては、複数の周波数チャンネルの中の一部の周波数チャンネルにだけ、独立制御の増幅器を設けるようにしても良い。例えば、高周波数チャンネル130には、図示するように、増幅器を設ける一方で、低周波数チャンネル120は、増幅器を省いても良い。これは、例えば、あるチャンネルのノイズが、他のチャンネルに比較して、あまり重要でない場合には、有益なことがある。しかし、図示した実施形態では、低周波数チャンネル120にも、可変増幅器121があり、更に、その後に続くノイズ源123、アナログ・デジタル(A/D)コンバータ125、ローパス・フィルタ127及び可変スケーリング(拡大縮小)部129がある。システム100には、DUT110からのアナログ信号170を、低周波数成分と高周波数成分という異なる周波数帯域へと分離(スプリット)し、チャンネル120及び130へと伝達するダイプレクサ141もある。システム100には、コントローラ150もあり、これは、増幅器121及び131に加えて、スケーリング部129及び139も制御するよう構成される。コントローラは、ユーザが(例えば、ユーザ操作部を介して)入力した設定に従って、増幅器や他のコンポーネントを自動で(つまり、ユーザ/人の入力なしに)制御できるよう構成されても良し、ユーザ入力と自動制御を適切に組み合わせても良い。コントローラ150は、システム100のコンポーネントや、コンポーネント内の部品(サブセット)の影響を、ユーザに表示する前に、DUT110からのアナログ信号170から除去するディエンベッド・フィルタ161も制御できる。例えば、ディエンベッド・フィルタ161は、(例えば、コントローラ150からの制御信号に従って)増幅器の影響を除去するインバース・フィルタとして動作することができる。
DUT110は、電気信号を用いた信号伝達を行うよう構成された任意の信号源として良い。アナログ信号170は、DUTから伝送される任意の信号として良い。例えば、DUT110は、導電媒体を介して信号を送信するトランスミッタ(Tx)としても良い。いくつかの場合において、DUT110は、対応するレシーバ(図示せず)に信号を送信するよう設計された装置(デバイス)である。DUT110は、そのDUT110が間違った信号の送信に関係していると思われる場合や、新設計のDUT110についてシグナリングの正確さを確認する場合などに、試験のためにシステム100に結合されることがある。DUT110は、DUTリンクを介してダイプレクサ141に接続される。DUTリンクは、DUT110からダイプレクサ141へと信号を伝達できる任意の導電媒体として良い。例えば、DUTリンクとしては、導電性ワイヤ、信号プローブ、装置間に介在される試験用機器などでも良い。いくつの例では、DUTリンクが、信号170の特定の周波数を減衰させることがある。こうした例では、1つ以上の増幅器の周波数形状が、この周波数減衰を緩和させるように選択されても良い。
ダイプレクサ141は、受動的なデバイスで、周波数領域において、複数の信号へと分離を行うことができる。ダイプレクサ141は、一種のマルチプレクサであり、広い周波数帯域幅のアナログ信号170を、互いに排他的な周波数範囲(周波数レンジ)を有する2つの帯域の信号へと変換する。いくつかの実施形態では、本願で説明するダイプレクサ141又は任意の他のマルチプレクサは、スプリッタを利用するか、又は、例えば、高周波数チャンネル用のハイパス・フィルタと、低周波数チャンネル用のローパス・フィルタと、これら高及び低周波数の中間の中周波数チャンネル用の1つ以上のバンドパス・フィルタといった適切な複数の周波数フィルタを利用することによって実現しても良い。当然ながら、他の構成のマルチプレクサも考えられ、本発明は、どのように信号(例えば、信号170)の複数の周波数帯域への分離を実現するかによって、限定されることはないと理解できよう。図示するように、ダイプレクサ141は、DUT110から受けた信号170を、高周波数チャンネル130及び低周波数チャンネル120の夫々に伝達される高周波数信号帯域172及び低周波数信号帯域171へと変換する。高周波数信号帯域172は、低周波数信号帯域171とは異なる周波数範囲を有している。ダイプレクサ141は、クロス・オーバー周波数を有するように構成される。クロス・オーバー周波数より上の周波数を有する信号帯域172は、高周波数チャンネル130へ送られ、クロス・オーバー周波数より下の周波数を有する信号帯域171は、低周波数チャンネル120へ送られる。従って、高周波数信号帯域172は、ダイプレクサのクロス・オーバー周波数より上の周波数を有する全ての波形を含む信号170の帯域であり、低周波数信号帯域171は、ダイプレクサのクロス・オーバー周波数より下の周波数を有する全ての波形を含む信号170の帯域である。システム100は、2つの周波数チャンネルを図示しているが、実施形態によっては、3つ以上の周波数チャンネル(例えば、高周波数チャンネル、1つ以上の中周波数チャンネル及び低周波数チャンネル、など)を採用しても良いことに留意すべきである。こうした場合、ダイプレクサ141は、本発明の原理から離れることなく、トリプレクサ又は更に高次のマルチプレクサと置き換えても良い。こうしたマルチプレクサには、複数の周波数帯域を、希望の通りに対応する複数の周波数チャンネルに振り分けるために、複数のクロス・オーバー周波数(例えば、低周波数のクロス・オーバー及び高周波数のクロス・オーバー)がある。
低周波数チャンネル120には、ダイプレクサ141の第1出力端子に結合された増幅器121がある。本願では、2つのコンポーネントを一緒に結合するとして示すいずれの部分についても、直接的な接続(つまり、中間に介在するコンポーネントがない)でも良いし、間接的な結合(つまり、2つのコンポーネント間に1つ以上の介在するコンポーネントがある)でも良い。増幅器は、信号のパワー(電力)を増加させるよう構成される任意のコンポーネントである。増幅器に起因する信号パーワーの増加は、信号利得と呼ぶことができる。従って、増幅器121は、低周波数信号帯域171に信号利得を与えるように構成されている。増幅器121によって与えられる利得は、調整可能である。増幅器121は、ラベルAで示されるように、コントローラ150と通信可能に結合されている。このため、増幅器121は、コントローラ150からの命令(又は信号)に基づいて調整可能である。増幅器131は、ダイプレクサ141の第2出力端子に結合される。増幅器131は、調整可能な信号利得を高周波数信号帯域172に与える。増幅器131は、コントローラ150からの命令(又は信号)に基づいて調整可能である。
信号チャンネルには、複数の種々のノイズ信号源があると考えられる。しかし、図1では、これらを代表して、低周波数チャンネル120及び高周波数チャンネル130に関するノイズ信号源を、ノイズ信号源123及び133として夫々描いている。ノイズ信号源123及び133からのノイズは、それぞれの信号チャンネルにおいて、信号調整処理に関する種々のコンポーネント(例えば、プローブ・フィルタ、温度補償フィルタ、帯域幅拡張(BWE)位相及び振幅補正フィルタ、非線形歪み補正フィルタ、MIMO(Multiple Input Multiple Output)インターリーブ・スプリアス補正フィルタ、補間フィルタ、平均化フィルタ、信号調整回路、増幅器、サンプラ、位相基準回路、クロック回路など)によって生成され得る。ノイズ信号源123及び133から独立して描かれているが、A/Dコンバータ125及び135など、描かれているコンポーネントは、ノイズ信号源123及び133の一部分に含まれることがあると理解すべきである。ノイズ信号源123及び133からのノイズは、これらノイズを補償する何らかの対策を施さないかぎり、信号帯域171及び172夫々のSN比(信号対ノイズ比)を低下させ得る。システム100を更に複雑にしているのは、ノイズ信号源123及び133夫々からのノイズが、異なるRMS(Root Mean Square:2乗平均平方根、実効値)振幅値を持つことがあることである。例えば、ダイプレクサ141は、増幅器121を通して信号の低周波数帯域171を通過させる。続いて、ノイズ信号源123は、低周波数帯域171の全帯域幅に対してノイズを加え得る。例えば、いくつかの場合では、ノイズ123のRMS振幅が、5.7ミリ・ボルトRMS(mVrms)ということがある。更に、ダイプレクサ141は、増幅器131を通して信号の高周波数帯域172を通過させる。続いて、ノイズ信号源133は、高周波数帯域172に対して1mVrmsだけノイズを加えるということがある。これは、オシロスコープのノイズは、チャンネルの利得設定によって変化し得るためである。例えば、低周波数チャンネル120は、オシロスコープの表示画面上の垂直軸の1目盛り(1division)当たり100ミリ・ボルト(mV/div)で動作する一方、高周波数チャンネル130は、6.25mV/divで動作するということが有り得る。擬似ランダム・バイナリ・シーケンス(PRBS)データ・パターンなど、複数の周波数を有する1つの信号が1つの信号チャンネルを横断する場合では、典型的には、低い周波数ほど振幅が相対的に大きくなり、高い周波数ほど振幅が相対的に小さくなる(減衰する)。よって、低周波数のSN比は、高周波数のSN比よりも大きくなり、高周波数の振幅は、ノイズ・フロアの振幅に近づいていく。しかし、信号170を低周波数信号帯域171及び高周波数信号帯域172に分離することによって、後述のようにしてノイズを除去でき、これによって、ノイズを大幅に低減できる。単一の信号チャンネルの場合と比較すると、本発明のいくつかの実施形態では、信号チャンネルのノイズ低減を、全体として、5.8dBと7dBの間で実現できる。
低周波数チャンネル120には、A/Dコンバータ125がある。A/Dコンバータ125は、低周波数信号帯域171をアナログ形式からデジタル形式に変換するサンプリング・コンポーネントである。A/Dコンバータ125には、AD変換できる最大振幅があり、これを最大変換能力と呼ぶ。この最大変換能力の範囲内で、A/Dコンバータ125は、アナログ信号の最大振幅を対応するデジタル信号に変換できる。A/Dコンバータ125の最大変換能力を超えるすべてのアナログ信号の振幅は、デジタル信号において、単一の最大値として表される。この単一最大値への簡略化(減少)は、クリッピングと呼ばれ、アナログ信号からのデータが損失するということになる。こうしたことから、増幅器121は、コントローラ150によって、A/Dコンバータ125の最大変換能力の超える値にまで信号利得を上げることがないように設定されることがある。例えば、いくつかの実施形態では、低周波数信号帯域171の振幅が、A/Dコンバータ125のAD変換可能最大振幅の約80パーセントとなるよう増幅器121が設定されても良い。これは、信号帯域171の振幅が、予めわかるとは限らないので、クリッピングが生じる可能性を低減するために、信号変動にそなえて、約20パーセントの余裕を残すようにするということである。A/Dコンバータ125のAD変換可能最大振幅のこの余裕部分は、信号変動のための上部空間(上部マージン)と呼ぶことができる。A/Dコンバータ135は、A/Dコンバータ125と実質的に類似していてもよく、高周波数チャンネル130の高周波数信号帯域172について、アナログ・デジタル変換を実行できる。
低周波数チャンネル120は、オプションで、ローパス・フィルタ127を有していても良い。ローパス・フィルタ127は、入力される信号から、高い周波数の波形(例えば、ダイプレクサ141のクロス・オーバー周波数よりも高い周波数を有する波形)は除去する一方で、低い周波数の波形(例えば、ダイプレクサ141のクロス・オーバー周波数よりも低い周波数を有する波形)は、そのまま残すように構成される任意のフィルタである。クロス・オーバー周波数は、ダイプレクサ141で定める固定値としても良い。また、もしダイプレクサ141として、クロス・オーバー周波数が可変できるタイプのものを使用すれば、信号170の特性(例えば、周波数レンジ)に基づいて、クロス・オーバー周波数(1つ又は複数)を変更することによって、より多様なSN比の制御が可能になる。こうした可変クロス・オーバー周波数は、ユーザの入力に応じてマニュアルで制御しても良いし、例えば、コントローラ150からの受ける命令や信号によって自動的に制御しても良いし、これらを任意に組み合わせても良い。図示した実施形態では、ダイプレクサ141は、低周波数チャンネル120が確実に低周波数信号帯域171だけを含むようにしている。よって、低周波数信号帯域171に存在するどのような高周波数の波形(例えば、クロス・オーバー周波数よりも高い周波数を有する波形)は、ノイズ信号源123によって加えられたノイズと考えることができ、フィルタ処理で除去して良いことになる。こうしたことから、ローパス・フィルタ127は、低周波数信号帯域171からこうした高周波数波形を除去し、この結果、ノイズを大幅に低減できる。ローパス・フィルタ127のカットオフ周波数は、ダイプレクサ141のクロス・オーバー周波数に基づいて設定できる。いくつかの実施形態では、ローパス・フィルタ127のカットオフ周波数は、ダイプレクサ141のクロス・オーバー周波数よりも、例えば、所定のパーセント内又は所定レンジ内で、僅かに高い周波数に設定しても良い。
ハイパス・フィルタ137は、ローパス・フィルタ127と類似しているが、高周波数信号帯域172から低周波数ノイズを除去するために、高周波数チャンネル130にオプションで設けられる。ハイパス・フィルタ137は、低い周波数の波形(例えば、ダイプレクサ141のクロス・オーバー周波数よりも低い周波数を有する波形)は除去する一方で、高い周波数の波形(例えば、クロス・オーバー周波数よりも高い周波数を有する波形)は、そのまま残すように構成される任意のフィルタである。ハイパス・フィルタ137の カットオフ周波数は、ダイプレクサ141 クロス・オーバー周波数に基づいて設定しても良い。いくつかの実施形態では、ハイパス・フィルタ137のカットオフ周波数は、ダイプレクサ141のクロス・オーバー周波数よりも、例えば、所定のパーセント内又は所定レンジ内で、僅かに低い周波数に設定しても良い。高周波数チャンネル130中のどのような低周波数の波形(例えば、クロス・オーバー周波数よりも低い周波数を有する波形)は、ノイズ信号源133によって加えられたノイズと考えることができ、フィルタ処理で除去して良いことになる。そこで、ハイパス・フィルタ137は、高周波数信号帯域172からこうした低周波数のノイズを除去し、この結果、ノイズを大幅に低減できる。なお、ローパス・フィルタ127又はハイパス・フィルタ137を信号170に直接適用すると、ノイズと共に、信号170の対応する周波数帯域もフィルタ処理で除去されてしまうことに注意されたい。従って、信号170を低周波数信号帯域171及び高周波数信号帯域172に分離することによって、これらフィルタを適用し、これら信号チャンネルで加えられる信号ノイズを大幅に除去することが可能になる。
低周波数チャンネル120は、更にスケーリング部129を有していても良く、また、高周波数チャンネル130は、更にスケーリング部139を有していても良い。いくつの実施形態の例では、スケーリング部は、入力信号のバイナリ・データを、ボルト単位に変換するよう構成される任意のコンポーネントを意味している。スケーリング部129及び139は、調整可能である。スケーリング部129及び139は、ラベルBで図示されるように、コントローラ150と結合していても良い。スケーリング部は、コントローラ150により、プログラムによる制御が可能である。いくつの実施形態例では、コントローラ150は、低周波数信号帯域に対して適用される利得量に基づいてスケーリング部129を調整し、スケーリング部129がインバース・フィルタのように機能するように構成できる。こうした構成において、スケーリング部は、対応する増幅器に対するインバース周波数応答を持つようにしても良い。同様に、コントローラ150(例えば、ディエンベッド制御モジュール153)は、高周波数信号帯域に対して適用される利得量に基づいてスケーリング部139を調整するよう構成できる。こうした構成において、コントローラは、スケーリング部129及び139を効果的に制御して、低周波数信号帯域及び高周波数信号帯域間の比率を、増幅する前の低周波数信号帯域及び高周波数信号帯域間の比率と、同じ又は同様となるようにする。各周波数帯域の信号をノイズ信号源123及び133の前で増幅することにより、信号170の各周波数帯域に含まれる成分を、ノイズ信号源からのノイズに対して、相対的に増幅させる。その後のスケーリング部によるスケーリング(拡大又は縮小)処理によって、各周波数帯域に対して逆方向にスケーリング処理し、これによって、各周波数帯域はオリジナルのレベルに戻るように低減されると同時に、中間経路(例えば、増幅器及びスケーリング部の間の経路)において導入されたノイズも、対応する量だけ低減される。この構成によれば、各増幅器の増幅量や周波数応答の形状は、信号170の各周波数帯域に含まれる成分に適したものに夫々独立にカスタマイズできるので、信号170の全体をそのまま処理した場合よりも、ノイズを一層低減できる。
いくつかの実施形態例では、チャンネル120及び130のサンプリング・レートが、異なるように構成しても良い。こうした例では、低周波数チャンネル120又は高周波数チャンネル130が、補間ブロックを有していても良く、これは、後述のように、周波数帯域171及び172が再合成される前に配置されても良い。こうした例では、低周波数チャンネルで捕捉されたサンプルと、高周波数チャンネルで捕捉されたサンプルとが、サンプリング・レートの差異のために、時間的に整合できない。こうしたことから、補間ブロックは、低周波数信号帯域171のサンプルに対して補間を実行して、高周波数信号帯域172のサンプルと整合が取れるようにするか、これとは逆に、高周波数信号帯域172のサンプルに補間を実行して、低周波数信号帯域171のサンプルと整合が取れるようにするかしても良い。もちろん、低周波数信号帯域171及び高周波数信号帯域172の両方サンプルに対して適切な比率で補間を行って、両サンプル間で整合が取れるようにしても良い。
再合成において低周波数信号帯域171及び高周波数信号帯域172のサンプルを整合させるために、その他の変換ブロックを設けても良い。例えば、低周波数信号帯域171に対して、補間ブロックの後に、タイミング同期ブロックを設けても良い。タイミング同期ブロックは、複数の試験測定装置がチャンネル120及び130のために使用されている場合や、複数の試験測定装置が非同期のサンプル・クロックを使用している場合に、周波数帯域171及び172を整合させるのに使用してもよい。タイミング同期ブロックは、周波数帯域171及び172夫々の位相応答を算出できる。また、タイミング同期ブロックは、郡遅延時間を求めて、高周波数帯域172の位相が低周波数帯域171の位相と連続するようにできる。タイミング同期ブロックは、求めた群遅延を用いて、有限インパルス応答(FIR)フィルタを計算できる。タイミング同期ブロックは、帯域171及び172を整列させて再合成するために、基準として使用する帯域にオールパス・フィルタを適用し、位相を調整しても良い。別の例として、帯域171及び172とを整合させるために、単位変換ブロックを使用しても良い。単位変換ブロックは、取得した波形データを2進数から浮動小数点数に変換することができ、その逆も可能である。
スケーリング部129及び139を通過した後、低周波数信号帯域171及び高周波数信号帯域172は、合算部160によってマッチング(時間的に整合)させられ、出力信号173に再合成される。合算部160は、複数の信号成分を、全成分を含む1つの信号に合成するように構成された任意の回路、構成要素又はプロセスである。例えば、合算部160は、スケーリング部129の出力信号とスケーリング部139の出力信号とを連続的に組み合わせたソフトウェア処理であってもよい。別の例として、合算部160は、上述の分離処理マルチプレサと逆の動作をする別のマルチプレクサであってもよい。こうして、低周波数帯域171及び高周波数帯域172は、出力信号173へ合成されるが、こうした状況においてシステム100によって出力される出力信号173は、システム100に入力されるアナログ信号170をデジタル的に表現したものである。
再合成された出力信号173には、ディエンベッド・フィルタ161が適用され、システム100の種々のコンポーネントによる影響を出力信号173からディエンベッドする。ディエンベッド・フィルタ161は、システム100のコンポーネントによって生じた既知の位相及びマグニチュードの変化を除去するフィルタを有していても良い。このフィルタは、例えば、対応するコンポーネントによって生じる位相及びマグニチュードの影響を数学的に記述したSパラメータを利用したものでも良い。例えば、これらSパラメータは、システム100のコンポーネントの既知の電気的な欠陥を考慮したもので、これら欠陥を考慮するために利用される。ディエンベッド・フィルタ161は、ディエンベッド制御モジュール153を利用して、コントローラ150によって制御又は適用される。いくつかの実施形態では、ディエンベッド制御モジュール153は、シリアル・データ・リンク解析(SDLA)を利用して、ディエンベッド・フィルタ161を用いて出力信号173に適用する1つ以上の補正フィルタを決定できる。ディエンベッド・フィルタ161の算出には、基準ステップ信号に由来するステップ刺激信号と実際のステップ信号を使用する信号補正のような他のメカニズムを使用することもできる。具体的には、信号補正は、信号チャンネルに既知のステップ波形を通過させて、時間領域伝送特性(Time Domain Transmission:TDT)基準ステップ波形を得るプロセスである。基準ステップ波形は、時間領域反射(TDR)ステップ波形をもたらす波形反射を考慮しても良いし、しなくても良い。次いで、既知のステップ波形を、信号チャンネルとダイプレクサ141の両方に通過させて、実際のステップ波形を得る。TDT/TDR基準ステップ波形と実際のステップ波形を使用してディエンベッド・フィルタ161を計算できる。いくつかの実施形態例では、例えば、TDT/TDR基準ステップ波形と実際のステップ波形からSパラメータを計算することによって、TDT/TDR基準ステップ波形と実際のステップ波形をSDLAの一部として使用できる。図では、合算部160の後に示されているが、実施形態によっては、システム100の各チャンネル(例えば、低周波数チャンネル120と高周波数チャンネル130)が、それぞれのディエンベッド・フィルタを、例えば、スケーリング部129と合算部160との間や、スケーリング部129の一部としてなど、その内部のいずれかの位置に配置できることが理解できよう。
コントローラ150は、増幅器121及び131の利得や周波数形状を設定し、ディエンベッド・フィルタ161の適用を制御し、更に、その他のコントローラ150で制御可能な構成要素を制御するよう構成される任意のコンポーネントである。コントローラ150は、チャンネル120及び130夫々からの信号を受ける入力部を有すると共に、増幅器、スケーリング部、その他のコンポーネントを制御するためのプロセッサやモジュールも有している。例えば、図示するように、コントローラ150は、プロセッサ上で(例えば、実行可能な命令によって)実現される利得制御モジュール151を有していても良い。利得制御モジュール151は、ラベルC及びDで示される接続を介して、ローパス・フィルタ127及びハイパス・フィルタ137夫々からの出力信号を受ける。利得制御モジュール151は、続いて、ローパス・フィルタ127からの受けた出力信号に基づいて、増幅器121の利得を増加させる設定を行っても良い。更に、利得制御モジュール151は、ハイパス・フィルタ137からの受けた出力信号に基づいて、増幅器131の利得を増加させる設定を行っても良い。低周波数チャンネル120に関する利得増加は、高周波数チャンネル130に関する利得増加とは、独立して設定可能であるし、その逆も同様である。コントローラ150は、ユーザに表示される前や更なる処理のために出力される前の波形について、チャンネルによる位相及びマグニチュード効果をディエンベッドするために、1つ以上のプロセッサ上で(例えば、実行可能な命令によって)実現される上述のディエンベッド制御モジュール153を有していても良い。例えば、ディエンベッド制御モジュール153は、Sパラメータ155を受けても良い。Sパラメータ155は、特定のコンポーネントによって生じる位相及びマグニチュードの変化を記述できる。Sパラメータ155は、DUT110及び関連リンクのSパラメータ、ダイプレクサ141のSパラメータ、低周波数チャネル120の1つ以上のコンポーネントのSパラメータ、高周波数チャネル130の1つ以上のコンポーネントのSパラメータを有していても良い。ディエンベッド制御モジュール153は、Sパラメータ155を使用して、対応するコンポーネントによって生じる位相及びマグニチュードの変化の近似値を求め、ディエンベッド・フィルタ161を制御して、このような近似した影響を除去して信号ノイズを更に低減できる。Sパラメータ155は、ユーザから受けても良いし、ネットワーク・コンポーネントから受けても良いし、メモリから受けても良いし、そのコンポーネント自身から受けても良い。
図では、増幅器がシステム100に組み込まれているように示されているが、実施形態によっては、増幅器をシステム100の外部に実装できることが理解できよう。このような構成では、増幅器をコントローラ150(例えば、有線通信チャンネル、無線通信チャンネル、又はこれらの組み合わせ)を介してコントローラ150と通信可能に接続し、コントローラ150が制御信号又は命令を増幅器に出力できるようにできる。更に、増幅器は、増幅器に関するディエンベッド・パラメータ(例えば、Sパラメータ、周波数応答パラメータなど)をコントローラ150に供給して、コントローラ150が増幅器のディエンベッドを(例えば、ディエンベッド・フィルタ161又はスケーリング部129若しくは139によって)実現するように構成しても良い。
上述のように、コントローラ150には、ラベルC及びDに示す入力部がある。従って、コントローラ150は、信号170の第1周波数帯域を受けるように構成された第1の入力部を含み、それは低周波数信号帯域171であってもよい。第1周波数帯域は、ダイプレクサ141から低周波チャンネル120のような第1周波数チャンネルを介して受けることができる。第1周波数帯域は、ローパス・フィルタ127のようなフィルタを介して受けることもできる。また、コントローラ150には、ダイプレクサ141から、信号170の第2周波数帯域(例えば、高周波数信号帯域172)を受けるように構成された第2入力部がある。第2周波数帯域は、第2周波数チャンネル(例えば、高周波数チャンネル130)やフィルタ(例えば、ハイパス・フィルタ137)を介して受けてもよい。コントローラ150は、第1入力部及び第2入力部に結合されたプロセッサを有する。プロセッサは、第1周波数チャンネル(例えば、低周波数チャンネル120)に関する可変増幅器121の第1利得の増加を設定する利得制御モジュール151を動作させるように構成される。こうした設定は、ローパス・フィルタ127から出力されるか、又は、ローパス・フィルタ127が省略された場合にはA/Dコンバータ125から出力される信号170の第1周波数帯域(例えば、低周波数帯域171)に基づいて選択される。同様にして、プロセッサは、更に、第2周波数チャンネル(例えば、高周波数チャンネル130)に関する増幅器131の第2利得の増加を設定するよう構成される。こうした設定は、ハイパス・フィルタ137から出力されるか、又は、ハイパス・フィルタ137が省略された場合にはA/Dコンバータ135から出力される信号170の第2周波数帯域(例えば、高周波数帯域172)に基づいて選択される。第1周波数チャンネルに関する利得増加と、第2周波数チャンネルに関する利得増加は、互いに独立して設定可能である。ローパス・フィルタ127及びハイパス・フィルタ137を利用することにより、信号170に(例えば、ノイズ信号源123及び133において)加えられるチャンネル・ノイズは、本願で説明するように、これら信号帯域(例えば、周波数帯域171及び172)から除去され、全体として信号ノイズが低減される。ダイプレクサ141のクロス・オーバー周波数によって、低周波数チャンネル120及び高周波数チャンネル130の周波数の区分が定められる。
増幅器121に関する第1利得の増加は、コントローラ150によって選択、設定、調整される。増幅器121の利得増加の設定、調整は、信号170の第1周波数帯域(例えば、低周波数帯域171)のSN比に基づいて、A/Dコンバータ125によって第1周波数チャンネルがクリッピングされることないよう選択される。いくつかの実施形態例では、第1利得の増加は、最初は、増幅器121に最も最近適用された利得増加と等しく設定し、続いて、望ましい又は最適なSN比を実現するようにアップデートするとしても良い。こうした初期設定は、コントローラ150又は増幅器121内に記憶されていても良い。
増幅器131に関する第2利得の増加は、コントローラ150によって選択、設定、調整される。増幅器131の利得増加の設定、調整は、信号170の第2周波数帯域(例えば、高周波数帯域172)のSN比に基づいて、A/Dコンバータ135によって第2周波数チャンネルがクリッピングされることないよう選択される。ディエンベッド制御モジュール153は、Sパラメータ155を利用して、ディエンベッド・フィルタ161を制御し、信号170から増幅器121及び増幅器131の影響をディエンベッドする。
いくつかの実施形態例では、これら増幅器の周波数応答にピークを設けるか、又は、こうした周波数応答となるように、コントローラ150で制御するようにしても良い。こうしたピークのある周波数応答には、正の利得スロープがある。ピークをどの程度とするかは、例えば、コントローラ150によって、処理する周波数帯域のSN比を増加させるように、5dB(デシベル)以上、10dB以上、又は、それ以上などのように選択可能である。こうしたピーク処理(ピーキング)の選択は、システム100での損失又は減衰を補償するのに、それよりももっと多いものとして良い。例えば、20dB利得を増加させると、得られる信号のSN比を約12dB改善できる。このピーク処理の結果として、各A/Dコンバータが処理する周波数帯域は、入力信号の同じ周波数帯域とは大きく異なるものとなることがある。実際、周波数帯域を意図的に歪ませることになる場合があり、そのため、それを補償するのに、デジタル的な後処理が必要となる場合がある。別の見方をすれば、本願で別途説明するように、A/Dコンバータで処理可能な範囲(限界)に基づいて、増幅器の周波数応答をダイナミックに調整しても良く、よって、ピーク処理の量は、そのチャンネルのA/Dコンバータの性能に応じたものとしても良い。これに加えて、又は、これに代えて、ピーク処理は、チャンネルが処理する信号の周波数帯域に応じたものとしても良い。これは、処理される信号中の周波数の振幅が、A/Dコンバータの処理能力範囲内で適用されるピーク処理の量に影響を与えるからである。このピーク処理(ピーキング)は、そのチャンネルで処理される周波数帯域内のノイズの問題に解決するために意図的に選択できる。いくつかの実施形態例では、ピーク処理の設定は、システム100のユーザが選択しても良いし、コントローラ150によって自動的に制御されても良い。
DUT110が損失の多いチャンネルと通信を行う場合には、システム100は、特に効果的なものとなり得る。いくつかシリアル・データ通信規格におけるように、信号170の損失が多い場合(例えば、−20dB、−37dB、−47dBなどのように高周波数の振幅が損失する場合)には、信号170は、高周波数信号帯域172において、データの高い振幅を維持できないことがある。損失の多い信号をシステム100で処理すると、ノイズを大幅に低減できる。ノイズ低減は、全体的には、ダイプレクサ141のクロス・オーバー周波数に関係してくる。チャンネルの帯域幅に対してクロス・オーバー周波数が比較的高いと、より大きなノイズ低減が得られることが多い。
システム100は、異なるサンプリング・レート、異なる帯域幅、異なる垂直利得レンジ、異なるA/D変換のビット数(垂直分解能)等を有する複数の異なるチャンネルを用いて実現できることにも注意するべきである。従って、いくつかの実施形態では、低周波数信号帯域171の特性に基づいて低周波数チャンネル120用に第1試験測定装置を選択する一方で、高周波数信号帯域172の特性に基づいて高周波数チャンネル130用に第2試験測定装置を選択するということもできる。このように、複数の試験測定装置、例えば、複数のオシロスコープを、信号170の複数の成分に対して独立に動作するように選択し、コストを最小化しつつ、SN比を最適化することができる。なお、低周波数チャンネル120及び高周波数チャンネル130は、異なるサンプリング・レート、異なる帯域幅で動作しても良いことに留意されたい。
図2は、差動信号274に関してノイズ低減するための試験測定システム200の実施形態のブロック図である。システム200は、図2に示すように、システム100とほぼ同様であり、ほぼ同様のコンポーネントを有している。システム200には、DUT210及びダイプレクサ241があり、これらは、DUT110及びダイプレクサ141と夫々同様である。しかし、DUT210は、差動信号274を生成する。差動信号274は、一般に正側及び負側と呼ばれる相補的な2つの信号で1対を構成しており、これら正側及び負側の信号は、別々の導体で伝播され、情報を伝達するために一緒に処理される。差動信号274のような差動信号は、コモン・モード・ノイズに対する耐性があるやり方で情報を伝達するのに使われることも多い。図示するように、ダイプレクサ241は、シングル・エンド信号を受けるようになっている。そこで、ダイプレクサ241へ入力するために、差動信号274をシングル・エンド信号270に変換しても良い。シングル・エンド信号270は、信号170とほぼ同様であり、システム100のコンポーネントによる処理とほぼ同様にして、残りのコンポーネントによって処理される。
システム200には、差動信号274をシングル・エンド信号270に変換するバラン(Balun)243がある。バラン243は、平衡信号を非平衡信号に変換したり、その逆を行うように構成されるデバイスである。差動信号274は、平衡信号の形式であり、信号270は非平衡信号であるが、信号270は、差動形式の差動信号274とほぼ同じ情報を有している。従って、バラン243をダイプレクサ241に結合することで、差動信号274をシングル・エンド信号270に変換して、ダイプレクサ241へ入力することができる。バラン243からの信号270は、ダイプレクサ241によって、高周波数チャンネル及び低周波数チャンネルに分離され、結果として、コントローラは、これらチャンネルからの信号を受けて、システム100に関して説明したように、増幅器及びスケーリング部を制御するのに利用する。バラン243は、ディエンベッド制御モジュールによって、正確にはディエンベッドできないことがある。例えば、バラン243は、2つの入力ポートからの差動信号274を1つの出力ポートへ合成して出力する。こうしたシステムのSパラメータ・モデルは、直接的には解けない(可解でない)ことがある。しかし、バラン243は、2ポート・ネットワークとしてモデル化でき、これによれば、バラン243の特性を合理的なレベルで近似するSパラメータが得られる。バラン243に関するSパラメータは、ディエンベッド・フィルタ及びディエンベッド制御モジュールによってディエンベッドするために、コントローラへ送られる。バラン243に関するSパラメータは、システム100に関して上述したSパラメータに加えて又は一緒に利用しても良い。システム200に関するディエンベッド・フィルタを生成するのには、TDT/TDR及び実際のステップ波形を利用できることにも注意されたい。差動信号274が利用されているので、TDT/TDR基準信号を生成するのに、差動信号生成装置を利用しても良く、例えば、その信号を2つのチャンネルを通して送り、その結果得られる信号を引き算して、TDT/TDR基準信号を得るようにしても良い。
図3は、バランを用いずに差動信号374についてノイズを低減するための試験測定システム300の実施形態のブロック図である。システム300には、差動信号374を供給するDUT310がある。こうした構成要素は、DUT210及び差動信号274と夫々ほぼ同様である。上述のように、バランをディエンベッドするのは、近似的には可能ではある。システム300は、正確なディエンベッドが望ましい場合に利用すると良い。システム200と異なり、差動信号374は、差動形式で維持され、差動信号374の各成分は、システム100でのやり方と同様にして、複数の周波数帯域に分離され、独立に測定及び処理が行われる。システム300には、ダイプレクサ341及び342があり、これらは、夫々ダイプレクサ141とほぼ同様である。差動信号374の2つ成分(正側と負側)の夫々は、対応するダイプレクサ341及び342へ送られる。続いて、差動信号374は、周波数に基づいて、第1及び第2低周波数信号帯域375及び377(これらは低周波数信号帯域171と類似する)と、第1及び第2高周波数信号帯域376及び378(これらは高周波数信号帯域172と類似する)とに夫々分離される。他方において、ダイプレクサ341及び342のクロス・オーバー周波数を変更できる実施形態では、クロス・オーバー周波数は、例えば、コントローラ350によって、独立に制御可能であり、例えば、ダイプレクサ341のクロス・オーバー周波数と、ダイプレクサ342のクロス・オーバー周波数とを異なるものに設定できることにも留意されたい。こうした実施形態では、コントローラ350は、得られるどのような信号のSN比をも向上させるか又は最大化できるクロス・オーバー周波数を実現するようダイプレクサ(又はマルチプレクサ)を制御できる。また、こうしたダイプレクサ/マルチプレクサ/コントローラの手法は、本願で開示するどの実施形態においても実施できることにも留意されたい。
システム300は、第1低周波数チャンネル322、第1高周波数チャンネル332、第2低周波数チャンネル324及び第2高周波数チャンネル334という4つのチャンネルを有するとしても良い。第1低周波数チャンネル322及び第2低周波数チャンネル324は、低周波数チャンネル120とほぼ同様であり、ほぼ同様の構成要素を有している。第1高周波数チャンネル332及び第2高周波数チャンネル334は、高周波数チャンネル130とほぼ同様であり、ほぼ同様の構成要素を有している。複数の信号帯域375〜378は、図3に示すように、夫々対応するチャンネルを通して伝送される。信号帯域375及び376は、合算部160とほぼ同様な合算部360によって合成される。更に、信号帯域377及び378は、合算部160とほぼ同様な合算部362によって合成される。合算部360及び362夫々からの出力信号は、差動信号374の2つの相補的な信号(正側と負側)に夫々対応する。再合成された2つの相補的な信号は、ディエンベッド・フィルタ161と同様な複数のディエンベッド・フィルタ361を図示の如く通過するように伝送される。これらディエンベッド・フィルタ361からの出力信号は、合算部160とほぼ同様な合算部363及び364を介して、第1及び第2出力信号365及び366として夫々出力される。
図3の例では、図1及び図2と異なり、2つのダイプレクサ341及び342に始まって、2つの合算部360及び362から2つの再合成信号が得られるので、これら2系統は、全体として、4ポート回路のSパラメータで表現できる。4つのディエンベッド・フィルタ361は、4ポート回路のSパラメータに対応した異なる係数を象徴的に示したもので、これら異なる係数はコントローラ150から与えられる(なお、これら処理はデジタル演算で行われるので、現実に4つ個別のハードウェアのフィルタがあるとは限らない)。この結果として、合算部363からは、例えば、ディエンベッドされた差動信号の正側を表すデジタル信号である第1出力信号365が得られ、合算部364からは、例えば、ディエンベッドされた差動信号の負側を表すデジタル信号である第2出力信366号が得られるようにしても良い。
システム300には、利得制御モジュール351及びディエンベッド制御モジュール353を有するコントローラ350があり、これらは、利得制御モジュール151、ディエンベッド制御モジュール153、コントローラ150と夫々同様である。よって、利得制御モジュール351は、各チャンネルにある複数のフィルタ(例えば、ハイパス・フィルタ、ローパス・フィルタ、1つ以上の中帯域のバンドパス・フィルタ)の出力信号に基づいて、夫々対応する増幅器の利得を設定する。更に、ディエンベッド制御モジュール353は、Sパラメータ155とほぼ同様なSパラメータ355を受けても良い。Sパラメータ355は、DUT310、ダイプレクサ341〜342、チャンネル322、324、332及び334、並びに任意の他のコンポーネント又はそれらコンポーネントの一部分(サブセット)の種々の特性をモデル化できる。こうして、ディエンベッド制御モジュール353は、ディエンベッド・フィルタ361、スケーリング部等の各チャンネル内のコンポーネントを制御して、対応するチャンネルによって信号帯域375〜378に加えられた位相やマグニチュードの変化をディエンベッドできる。
このように、システム300は、第1周波数チャンネル、第2周波数チャンネル、第3周波数チャンネル及び第4周波数チャンネル(例えば、夫々、チャンネル322、324、332及び334)を利用する。図示した1つ以上のチャンネルの夫々には、対応する可変増幅器(本願では、チャンネル増幅器とも呼ぶ)があり、対応する周波数帯域に対して利得を与えるよう構成される。また、図示した1つ以上のチャンネルの夫々には、対応する周波数帯域外のノイズを除去するための対応するフィルタ(例えば、高周波数帯域チャンネルで使用されるハイパス・フィルタは、低周波数帯域ノイズを除去する)もある。更に、図示した1つ以上のチャンネルの夫々には、対応するスケーリング部もあり、先に詳細に説明したように、対応する信号帯域について、単位変換(拡大縮小)機能を提供する。更に、コントローラは、チャンネル増幅器からの出力信号か、又は、もしフィルタがあるなら、対応するフィルタからの出力信号に基づいて、各チャンネル増幅器の利得を設定するように構成される。
図4は、中周波数チャンネル480を用いたノイズを低減する試験測定システム400の実施形態のブロック図である。システム400は、システム100と類似しているが、マルチプレクサ441を用いて、シングル・エンド信号470を高周波数帯域、低周波数帯域及び中周波数帯域に分離し、別々に処理して、ノイズ低減を行う。中周波数信号帯域は、低周波数信号帯域及び高周波数信号帯域とは異なる周波数範囲を有する。単一の中周波数信号帯域のみを図示しているが、本発明の原理から離れることなく、任意の個数の中周波数信号帯域を設けても良いことが理解できよう。複数の中周波数信号帯域がある構成では、これら中周波数信号帯域の夫々が互いに異なる周波数範囲を有している。システム400には、DUT401と、差動信号474をシングル・エンド信号470に変換するバラン443とがあり、これらは、DUT210、バラン243、差動信号274及びシングル・エンド信号270と夫々同様なものである。いくつかの実施形態では、差動信号474やバラン443をなくし、システム100やシステム300と同様な実施形態としても良い。バラン443は無いものの、差動信号474を受ける実施形態では、図示したものと類似の構成を用いて、シングル・エンド信号のノイズを除去するのと同様のやり方で、差動信号の正側及び負側夫々を処理し、ノイズを低減できる。結果として得られる差動信号の正側及び負側の夫々については、ディエンベッド・フィルタが出力する信号に基づいて、個々に測定すれば良い。
システム400には、マルチプレクサ441がある。マルチプレクサ441は、ダイプレクサ141と類似しているが、トリプレクサとして構成されている。トリプレクサの構成では、マルチプレクサ441には、高周波数クロス・オーバー周波数と低周波数クロス・オーバーのように、2つのクロス・オーバー周波数がある。高周波数クロス・オーバー周波数以上の信号470の周波数は、高周波数信号帯域として、高周波数チャンネル430へと送られ、これらは、高周波数信号帯域172及び高周波数チャンネル130と夫々ほぼ同様である。低周波数クロス・オーバー周波数以下の信号470の周波数は、低周波数信号帯域として、低周波数チャンネル420へと送られ、これらは、低周波数信号帯域171及び高周波数チャンネル120と夫々ほぼ同様である。高周波数クロス・オーバー周波数と低周波数クロス・オーバー周波数の間の信号470の周波数は、中周波数信号帯域として、中周波数チャンネル480へと送られる。
中周波数チャンネル480には、増幅器481、ノイズ信号源483、A/Dコンバータ485及びスケーリング部489を設けても良く、これらは、増幅器121、ノイズ信号源123、A/Dコンバータ125及びスケーリング部129と夫々ほぼ同様である。中周波数チャンネル480には、オプションで、バンドパス・フィルタ487を設けても良い。バンドパス・フィルタ487は、ローパス・フィルタ127やハイパス・フィルタ137とほぼ同様ではある。しかし、バンドパス・フィルタ487は、中周波数チャンネル480に関する上述の2つのクロス・オーバー周波数以上又は以下のノイズを除去するように構成される。従って、バンドパス・フィルタ487は、高周波数ノイズ及び低周波数ノイズの両方を除去する一方で、中周波数信号帯域は中周波数チャンネル480を伝播できるようにする。中周波数チャンネル480から出力される中周波数信号帯域は、合算部160と同様な合算部460によって高周波数信号帯域及び低周波数信号帯域と合成される。合算部460は、再合成信号473を出力する。得られた再合成信号473は、コントローラ450中のディエンベッド制御モジュール453によってSパラメータ455に基づき制御されるディエンベッド・フィルタ461により、ディエンベッドされる。これら構成要素は、ディエンベッド・フィルタ161、ディエンベッド制御モジュール153、コントローラ150及びSパラメータ155と夫々同様である。Sパラメータ455は、更に、中周波数チャンネル480と関連するコンポーネントに関するSパラメータを含んでいても良い。これによって、ディエンベッド制御モジュール453は、中周波数チャンネル480や個々のコンポーネント又はこれら個々のコンポーネントの組み合わせによって生じる位相及びマグニチュードへの影響をディエンベッドできる。
コントローラ450は、ラベルA、C及びBで夫々示すように、周波数チャンネル420、430及び480夫々の増幅器及びスケーリング部と結合された通信可能となっている。コントローラ450は、ラベルD、E及びFで夫々示すように、周波数チャンネル420、430及び480夫々の各フィルタの出力信号とも結合されている。コントローラには、利得制御モジュール151とほぼ同様な利得制御モジュール451があっても良い。しかし、利得制御モジュール451は、更に、中周波数チャンネル480の増幅器481及びスケーリング部489も調整するように構成されている。例えば、利得制御モジュール451は、中周波数チャンネル480のバンドパス・フィルタ487を通して受けた中周波数信号帯域に基づいて、増幅器481の利得(例えば、第3利得)の増加を設定できる。中周波数チャンネル480に関する利得は、低周波数チャンネル420及び高周波数チャンネル430に関する利得とは独立に設定できる。
信号470を必要に応じて更に多数の帯域に分離できるように、更に多数のチャンネルを設けても良いことに留意すべきである。こうした更に多数の帯域への分離は、マルチプレクサに更に多数のクロス・オーバー周波数を設けて、これに対応して、更に多数の中周波数チャンネルと、これらに対応する周波数範囲を設けることで実現できる。更に、利得制御モジュール451は、各チャンネルの利得を独立に制御できるよう構成され、特定周波数帯域での目標とするノイズ低減を必要に応じて実現可能にする。
図5は、ノイズ低減のための試験測定システム500の実施形態のシステム・レベルのブロック図である。システム500は、システム100を実現するのに利用できる。システム500には、第1オシロスコープ520及び第2オシロスコープ530がある。オシロスコープ520及び530は、信号の波形を捕捉し、表示画面上にこうした波形を表示する装置である。オシロスコープ520及びオシロスコープ530の夫々には、表示部521及び531と、入力部523及び533とがある。表示部521は、入力部523を通して受ける電気信号を表現する波形を、時間領域や周波数領域で表示するよう構成される。入力部523は、同軸ポート、USB(universal serial bus)ポートなど、任意の信号通信ポートであって良い。表示部531及び入力部533は、表示部521及び入力部523と夫々ほぼ同様なもので良い。各オシロスコープには、オシロスコープのチャンネルがあって、これは、上述のような高周波数チャンネル又は低周波数チャンネルとして構成されても良い。例えば、オシロスコープ530の中に、高周波数チャンネル130を構成し、オシロスコープ520の中に低周波数チャンネル120を構成しても良く、また、その反対の構成としても良い。いくつかの実施形態では、オシロスコープ520及び530は、同一なものであっても良く、夫々を高周波数又は低周波数チャンネルのどちらとするかは、単に、オシロスコープ520及び530並びにダイプレクサ541の間の配線の都合に応じて選択しても良い。別の実施形態では、オシロスコープ520及び530は、処理する周波数帯域に基づいて、別の機種(性能が異なる)であっても良い。一般に、より高い周波数まで処理できるオシロスコープほど高価になるので、処理する周波数帯域に応じて、最適なコストのオシロスコープを選択しても良い。いくつかの実施形態では、例えば、試験測定システム400を実現する場合などで、中周波数チャンネルのために第3のオシロスコープを追加し、ダイプレクサ541の代わりにトリプレクサを利用しても良い。
システム500には、ダイプレクサ541もあり、これは、ダイプレクサ141とほぼ同様である。ダイプレクサ541は、アナログ信号170と同様な入力信号511を受けて、周波数に基づいて、2つの帯域に分離する。表示部521及び531は、これら信号帯域をユーザに対して表示するよう構成されるが、場合によっては、表示しなくても良い。これら信号帯域は、上述のようにノイズを低減するように調整され、対応するオシロスコープ520及び530によってサンプリングされて、デジタル波形に変換される。システム500は、更に、オシロスコープ520及び530に結合されたコンピュータ550を有していても良い。コンピュータ550は、メモリ、プロセッサ、波形を表示する表示部557、通信ポートなどを有するコンピュータであっても良い。いくつかの実施形態では、コンピュータ550が、特に、コントローラ150のようなコントローラとして(例えば、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの任意の組み合わせによって)動作するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラの機能が、コンピュータ550と、オシロスコープ520/530との間で、分担される。コンピュータ550やオシロスコープ520/530は、各信号帯域を受けて、オシロスコープ520及び530のチャンネルに命令を送信して、上述のように、増幅器及びスケーリング部を設定/調整し、ディエンベッド・フィルタ161のようなディエンベッド・フィルタを適用し、波形のサンプルをメモリに記憶するようにしても良い。グラフィック・プログラム555は、例えば、プロセッサによって実行されても良く、記憶された波形のサンプルを取得し、表示部557上で、こうしたサンプルを(例えば、ラスタライザを用いて)波形として描画することで、ユーザにノイズ低減処理後の最終的な結果を表示するようにしても良い。このように、システム500は、高周波数オシロスコープのチャンネルを第1オシロスコープ(例えば、オシロスコープ520)内に設け、低周波数オシロスコープのチャンネルを第2オシロスコープ(例えば、オシロスコープ520)内に設けるという実施形態を提供する。
図6は、複数の入力信号を1つのオシロスコープで処理するノイズ低減のための試験測定システム600の実施形態のシステム・レベルのブロック図である。システム600は、システム100、300又は400を実現するのに利用できる。システム600には、1対のダイプレクサ641及び642があり、これらは、ダイプレクサ341及び342と夫々ほぼ同様である。システム600には、表示部631及び入力部633を有するオシロスコープ630もあり、これらは、オシロスコープ530、表示部531、入力部533と夫々ほぼ同様である。オシロスコープ630は、チャンネル322、324、332及び334のような4チャンネルを有するとしても良い。よって、オシロスコープ630は、入力信号611として、信号170のようなシングル・エンド信号を2つ受けることもできるし、差動信号374のような1つの差動信号を受けることもできる。システム600には、表示部657と、グラフィック・プログラム655とを備えたコンピュータ650もあり、これらは、コンピュータ550、表示部557及びグラフィック・プログラム555と夫々ほぼ同様である。よって、コンピュータ650は、フィルタの出力信号に基づいて、増幅器の利得を増加させる制御を行うコントローラとして動作できる。コンピュータ650は、Sパラメータに基づいてディエンベッド処理を実行でき、また、グラフィック・プログラム655を用いて、表示部657上で、入力信号611の波形を形成して表示できる。このように、システム600は、複数の周波数チャンネルを1つのオシロスコープで実現するオシロスコープ630を有している。別の実施形態では、オシロスコープ630は、コントローラとしても動作でき、チャンネルの利得制御と、信号のディエンベッド処理を実行できる。こうした場合では、処理された波形は、表示部631上で表示するために、コンピュータ650へと送られる。更に、システム600は、1つの入力部633で受ける2つの入力信号611をデスキューするように構成される。2つの入力信号611については、グラフィック・プログラム655を用いて、一方から他方を引き算した差動信号の測定値を生成して表示するようにしても良い。システム600は、バランを用いた実施形態で実現される外部コンポーネントにより、更に強力なディエンベッド処理が可能になることに留意されたい。
図7は、複数の入力信号又は差動信号のためのノイズ低減用試験測定システム700の実施形態のシステム・レベルのブロック図である。システム700は、システム100、300又は400を実現するのに利用できる。システム700には、ダイプレクサ741及び742があり、これらは、ダイプレクサ641及び642と夫々ほぼ同様である。ダイプレクサ741及び742は、2つの入力信号712を受けるが、これらは、1つの差動信号でも良いし、2つの関連する信号か又は非関連の信号でも良い。システム700には、表示部711及び入力部713を有するオシロスコープ710と、表示部721及び入力部723を有するオシロスコープ720と、表示部731及び入力部733を有するオシロスコープ710とがあり、これらは、オシロスコープ520、表示部521及び入力部523と夫々ほぼ同様であっても良い。オシロスコープ730は、オシロスコープ710及び720よりも、もっと複雑なハードウェアを有していても良い。例えば、オシロスコープ710及び720は、オシロスコープ730よりも、もっと高い周波数を処理できる(よって、より高価なオシロスコープ)としても良い。よって、比較的安価なオシロスコープ730では、複数のチャンネルを構成して、2つのダイプレクサ741及び742からの低周波数信号帯域を処理する一方で、比較的高価なオシロスコープ710及び720では、ダイプレクサ741及び742からの高周波数信号帯域を夫々処理するようにしても良い。更に、オシロスコープ710及び720が、オシロスコープ730よりも、最高周波数帯域が高く、サンプリング・レートも高いA/Dコンバータを有していても良い。これによって、オシロスコープ710及び720は、高周波数信号帯域に対して、SN比を向上させることが実現できる。これにより、システム700は、全体としてSN比を向上させつつ、比較的低コストで実現可能となる。高周波数帯域及び低周波数帯域の両方は、同じ信号に由来するので、これらの位相応答を求めることができ、高周波数帯域のサブ・サンプル遅延に対する低周波数帯域のサブ・サンプル遅延を算出できる。高周波数帯域と低周波数帯域とを合成する際、高周波数帯域に対する低周波数帯域の位相応答を補正するのに、FIRフィルタを利用すれば良い。更に、オシロスコープ710、720及び730は、同期していなくても良いが、共通のトリガ処理を利用すると良い。サブ・サンプルの整合は、コンピュータ750上で動作するグラフィック・プログラム755で実行しても良い。コンピュータ750には、表示部757があり、グラフィック・プログラム755と合わせて、これらは、コンピュータ550、グラフィック・プログラム555若しくは表示部557、又はコンピュータ650、グラフィック・プログラム655若しくは表示部657と夫々ほぼ同様である。
図8は、複数の差動信号についてノイズ低減するための試験測定システム800の実施形態のシステム・レベルのブロック図である。システム800は、システム700とほぼ同様としても良い。システム800は、システム200やシステム400を実現するのに利用できる。システム800では、ダイプレクサ841及び842に夫々結合されたバラン843及び844を利用するようにしても良い。ダイプレクサ841及び842並びにバラン843及び844は、ダイプレクサ141及びバラン243と夫々ほぼ同様であっても良い。図示した構成を用いることによって、システム800は、上述のように、ディエンベッド処理機能の強度や精度が低下するという犠牲を払いつつも、1対の差動信号811を受けて表示することが可能になる。差動信号811は、差動信号274とほぼ同様としても良い。
図9は、複数の差動信号を1つのオシロスコープで処理するノイズ低減のための試験測定システム900の実施形態のシステム・レベルのブロック図である。システム900は、システム600とほぼ同様としても良い。システム900は、システム200又は400を実現するのに利用できる。システム900は、ダイプレクサ941及び942に夫々結合されたバラン943及び944を利用しても良い。ダイプレクサ941及び942並びにバラン943及び944は、ダイプレクサ141及びバラン243と夫々ほぼ同様であっても良い。図示した構成を用いることによって、システム900は、上述のように、ディエンベッド処理機能の強度や精度が低下するという犠牲を払いつつも、1台のオシロスコープで1対の差動信号911を受けて表示することが可能になる。これら2つの差動信号911は、差動信号274とほぼ同様としても良い。
図10は、ダイプレクサの入力信号1070と、対応する範囲の出力信号の実施例の周波数領域でのグラフ1000である。ダイプレクサ入力信号1070は、ダイプレクサ141によって変換される信号170とほぼ同様である。ダイプレクサの出力信号には、低周波数信号帯域1071及び高周波数信号帯域1072とがあり、これらは、低周波数信号帯域171及び高周波数信号帯域172と夫々ほぼ同様である。ダイプレクサには、クロス・オーバー周波数1010があり、この実施形態例では、約18ギガ・ヘルツ(GHz)に設定されている。図示するように、入力信号1070としては、幅広く必要な範囲の全周波数スペクトラムを含む信号(complete spectrum signal)を用いている。例えば、入力信号1070としては、4値パルス幅変調(PAM4)であっても良い。図示するように、クロス・オーバー周波数1010よりも低い周波数を有する入力信号1070の周波数帯域は、低周波数信号帯域1071の成分となり、こうした低周波数で波形が現れるが、クロス・オーバー周波数1010よりも高い周波数ではアクティブではない。クロス・オーバー周波数1010よりも高い周波数を有する入力信号1070の周波数帯域は、高周波数信号帯域1072の成分となり、こうした高周波数で波形が現れるが、クロス・オーバー周波数1010よりも低い周波数ではアクティブではない。
図11は、ダイプレクサの入力信号1170と、対応する出力信号の実施例の時間領域でのグラフ1100である。ダイプレクサの高周波数信号1171は、ダイプレクサ141によって変換された信号172とほぼ同様である。ダイプレクサの出力信号には、低周波数信号帯域1172と高周波数信号帯域1171とが含まれる。低周波数帯域1172は、振幅に関しては、典型的には、入力信号1170と同様である。入力信号1170と、信号帯域1171及び1172は、時間領域においては、時間に対する信号の振幅として描かれる。図示のように、信号帯域1171及び1172は、入力信号1170を周波数で分離したものであるので、全体としては、入力信号1170と同じ情報を保持している。よって、周波数に基づいて分離を行っても、情報(データ)を損失することなく、元の信号に戻すことができる。
図12は、単一チャンネルのオシロスコープでサンプルした波形1201と、上述のマルチ帯域試験測定システム(例えば、図1のシステム100)でサンプルした波形1270とを対比させたグラフの例である。図示のように、波形1270は、波形1201よりも滑らかであり、よって、オシロスコープのチャンネルから加わったノイズが少ないことを示している。
図13は、上述のマルチ帯域試験測定システムの実施形態におけるノイズ低減を示すグラフ1300である。波形1301は、高周波数オシロスコープのチャンネルで生じるノイズを示す。波形1302は、低周波数オシロスコープのチャンネルで生じるノイズを示す。波形1303は、上述のように、ハイパス及びローパス・フィルタ処理後の最終的な再合成信号に生じるノイズを示し、再合成信号中のノイズが大幅に減少する結果が得られている。
図14は、単一チャンネルでサンプルされた波形1401と、マルチ帯域試験測定システムでサンプルされた波形1470とを対比する別の例のグラフである。図示のように、波形1470は、波形1401よりも滑らかであり、オシロスコープのチャンネルから加わったノイズが少ないことを示している。例えば、損失の多いチャンネルを通過したPAM4信号は、システムの構成に応じて、波形1470か又は波形1401のどちらかとなり得る。波形1470は、図1〜4に関して説明したように、マルチ帯域試験測定システムのA/Dコンバータにおいてクリッピングを生じることなく、高周波数帯域において約35dBの利得増加を受けている。こうした場合、波形1470は、単一チャンネルのオシロスコープで生成された波形1401と比較して、8dBのノイズ低減を受ける。
図15は、マルチ帯域試験測定システムの別の実施形態におけるノイズ低減を示すグラフ1500である。波形1501は、高周波数オシロスコープのチャンネルで生じるノイズを示す。波形1502は、低周波数オシロスコープのチャンネルで生じるノイズを示す。波形1503は、波形1470と同様な最終的な再合成信号に生じるノイズを示す。図示のように、上述の如くハイパス及びローパス・フィルタを組み合わせて適用することによって、再合成信号中のノイズが大幅に低減される(例えば、約8dBのノイズ低減)。
図16は、システム100、200、300、400、500、600、700、800又は900のようなマルチ帯域試験測定システムの一部分として、オシロスコープの表示画面上に表示された出力信号のノイズ低減を示すグラフ1600である。グラフ1600は、上述のように、入力信号を高周波数帯域1672及び低周波数帯域1671に分離し、1対のオシロスコープのチャンネルによる2つの周波数帯域へ送ることによって生成されている。帯域1671及び1672に基づく再合成信号1670も示されている。低周波数帯域1671は、ステップ関数として表示される一方、高周波数帯域1672は、リンギングのあるパルスとして表示されている。再合成信号1670中のノイズは、低周波数帯域1671及び高周波数帯域1672に比較して、約4dB低減されている。低周波数帯域1671及び再合成信号1670は、同じ垂直軸スケール(例えば、100mV/div)でグラフ化されている一方、高周波数帯域1672は、予想される垂直軸スケール(例えば、6.25mV/div)でグラフ化されている。水平軸は時間軸であり、水平軸スケールは、3つの波形全てに関して同じである。なお、例えば、100mV/divは、オシロスコープの表示画面上に示される格子で形成される1目盛り(division)当たり、垂直軸方向に関して、100mVを示すことを意味する。
図17は、システム100、200、300、400、500、600、700、800又は900のようなマルチ帯域試験測定システムの一部分として、オシロスコープの表示画面上に表示された出力信号のノイズ低減を示すグラフ1700である。グラフ1700は、高周波数帯域1772のノイズを垂直軸スケール6.25mV/divで示し、低周波数帯域1771のノイズを垂直軸スケール100mV/divで示す。帯域1771及び1772に基づく再合成信号1770も、垂直軸スケール100mV/divで示している。グラフ1700を生成するのに利用した構成では、再合成信号1770中のノイズは、低周波数帯域1771に比較して、約5.8dB低減されている。
図18は、システム100、200、300、400、500、600、700、800又は900のようなマルチ帯域試験測定システムを制御する方法1800の実施形態のフローチャートである。例えば、方法1800は、コントローラのプロセッサによって実行されたときに、方法1800を実行する命令を記憶したマシーン可読媒体を介して、コントローラにおいて実現されても良い。方法1800は、高周波数オシロスコープのチャンネル、低周波数オシロスコープのチャンネル、そして、場合によって、1つ以上の中周波数チャンネルを制御することによって、実現されても良い。ステップ1801では、低周波数帯域のような信号の第1周波数帯域をマルチプレクサから受ける。第1周波数帯域は、第1周波数オシロスコープのチャンネル(例えば、低周波数オシロスコープのチャンネル)を通して送られると共に、ローパス・フィルタを介して、コントローラが受ける。ステップ1803では、高周波数帯域のような信号の第2周波数帯域をマルチプレクサから受ける。第2周波数帯域は、第2周波数オシロスコープのチャンネル(例えば、高周波数オシロスコープのチャンネル)を通して送られると共に、ハイパス・フィルタを介して、コントローラが受ける。ステップ1805では、中周波数帯域のような信号の第3周波数帯域をマルチプレクサから受ける。第3周波数帯域は、第3周波数オシロスコープのチャンネル(例えば、中周波数オシロスコープのチャンネル)を通して送られると共に、バンドパス・フィルタを介して、コントローラが受ける。なお、ステップ1805はオプションであり、2つの周波数オシロスコープのチャンネルだけを用いる実施形態では省略されることに注意されたい。更に、必要に応じて、ステップ1805を繰り返すことによって、もっと多数のオシロスコープのチャンネル上で、周波数に基づいて、信号をもっと多数の信号帯域(例えば、第4周波数帯域、第5周波数帯域、など)に分離しても良い。
ステップ1807では、第1周波数オシロスコープのチャンネルに関する第1利得の増加が設定される。第1利得の増加は、ステップ1801で受けた信号の第1周波数帯域に基づいて設定される。例えば、コントローラは、信号の第1周波数帯域の振幅が、第1周波数オシロスコープのチャンネル中のA/Dコンバータで処理可能な最大振幅の約80パーセントとなるように、利得を決定しても良い。A/DコンバータのAD変換可能最大振幅の80パーセントとなるように利得を設定することによって、第1周波数帯域には、A/DコンバータのAD変換可能最大振幅まで、20パーセントの上部空間(上部マージン)が与えられこととなり、信号が予想外に変動することがあっても、A/Dコンバータでクリッピングが生じるのを回避可能となる。このように、選択された利得の増加は、最適なものであるか又は最適に近いと考えられ、選択された利得による利得増加によって、クリッピングが発生することなく、SN比を最大化できる。このように、第1利得の増加が、第1周波数オシロスコープのチャンネルにおいてA/Dコンバータによるクリッピングを発生させることなく実現可能な信号の第1周波数帯域の第1信号対ノイズ比(SN比)に基づいて選択される。更に、第1周波数オシロスコープのチャンネル中のローパス・フィルタは、高周波数ノイズ(例えば、第1周波数帯域外のノイズ)を除去し、よって、第1周波数オシロスコープのチャンネルに加わるノイズを低減する。いくつかの実施形態例では、ローパス・フィルタは、第1周波数オシロスコープのチャンネルに加わる高周波数ノイズの全て又はほぼ全てを除去するように構成できる。
ステップ1809では、第2周波数オシロスコープのチャンネルに関する第2利得の増加が設定される。第2利得の増加は、ステップ1803で受けた信号の第2周波数帯域に基づいて設定される。ステップ1807と同様に、第2利得の増加は、信号の第2周波数帯域の振幅が、第2周波数オシロスコープのチャンネル中のA/Dコンバータで処理可能な最大振幅の約80パーセントとなるように選択しても良い。このように、第2利得の増加が、第2周波数オシロスコープのチャンネルにおいてA/Dコンバータによるクリッピングを発生させることなく実現可能な信号の第2周波数帯域の第2SN比に基づいて選択される。更に、第2周波数オシロスコープのチャンネル中のハイパス・フィルタは、低周波数ノイズ(例えば、第2周波数帯域外のノイズ)を除去し、よって、第2周波数オシロスコープのチャンネルに加わるノイズを低減する。いくつかの実施形態例では、ハイパス・フィルタは、第2周波数オシロスコープのチャンネルに加わる低周波数ノイズの全て又はほぼ全てを除去するように構成できる。第2利得の増加は、第2周波数帯域に基づいて設定されるので、第2利得の増加は、第1利得の増加設定とは独立に設定されるものであり、その逆も同様である。
ステップ1811はオプションであり、3つ以上のオシロスコープのチャンネルがある実施形態においてのみ利用される。更に、ステップ1811は、追加される信号周波数帯域(例えば、第4周波数帯域、第5周波数帯域等)のための追加のオシロスコープのチャンネルについて、必要に応じて繰り返すようにして良い。ステップ1811では、第3周波数オシロスコープのチャンネルに関する第3利得の増加が設定される。第3利得の増加は、オプションのステップ1805で受けた信号の第3周波数帯域に基づいて設定される。ステップ1807及び1809と同様に、第3利得の増加は、信号の第3周波数帯域の振幅が、第3周波数オシロスコープのチャンネル中のA/Dコンバータで処理可能な最大振幅の約80パーセントとなるように選択しても良い。このように、第3利得の増加が、第3周波数オシロスコープのチャンネルにおいてA/Dコンバータによるクリッピングを発生させることなく実現可能な信号の第3周波数帯域の第3SN比に基づいて選択される。更に、第3周波数オシロスコープのチャンネル中のバンドパス・フィルタは、そのバンドパス周波数の範囲外の周波数を有するノイズを除去し、よって、第3周波数オシロスコープのチャンネルに加わるノイズを低減する。第3利得の増加は、第3周波数帯域に基づいて設定されるので、第3利得の増加は、第1及び第2利得の増加設定とは独立に設定されるものであり、その逆も同様である。
方法1800は、ユーザが新しい信号に切り替えて、メニューを通して最適化を行おうとする場合に、行われるようにしても良い。また、方法1800は、信号の各アクイジション(デジタル的なデータ取り込み)処理中に行われるようにしても良い。加えて、方法1800は、信号の各アクイジション処理中に行われるものの、ポップアップ・メニューを使ってユーザが許可した場合にのみ行われるようにしても良い。更に、方法1800は、ユーザの操作/指示に応じて、対応する増幅器をマニュアルで制御することによって、行われても良い。
高周波数帯域、低周波数帯域及び中周波数帯域に関する周波数の範囲は、実施形態に応じて変更可能なことに留意されたい。入力信号は、マルチプレクサによって、多様な周波数帯域に分離される。よって、マルチプレクサのクロス・オーバー周波数(しきい値)により、低周波数オシロスコープのチャンネル、中周波数オシロスコープのチャンネル、高周波数オシロスコープのチャンネル、そして、対応する複数の信号帯域の周波数範囲が定められる。
図19は、オシロスコープ520、530、630、710、720、730、810、820、830若しくは930のような試験測定システム中において、又は、コンピュータ550、650、750、850若しくは950のようなコンピュータ中において、動作するよう構成される装置1900の実施形態のブロック図である。また、装置1900は、本願で開示する方法1800やその他の方法を実現するように構成されていても良い。装置1900には、信号入力ポート1911があり、これは、任意の電気又は光学ポートやレシーバなどであっても良く、試験のための入力信号を受けるように構成される。入力ポート1911は、付加的な回路に結合される。例えば、装置1900は、オシロスコープとして動作する場合には、図1〜4に関連して説明したように、1つ以上のオシロスコープのチャンネルを有していても良い。こうした実施形態では、装置1900は、増幅器、サンプラ、位相基準回路、クロック・リカバリ回路、補間回路、信号の調整/サンプリングのための回路のような、信号を分析するための種々回路を有していても良い。入力ポート1911は、更に、プロセッサ1915やメモリ1917結合されていても良い。プロセッサ1915は、汎用プロセッサとして実現されても良い。プロセッサ1915は、メモリ1917から命令を実行し、命令によって指示された任意の方法や関連するステップを実行するように構成される。メモリ1917は、プロセッサ・キャッシュ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ソリッド・ステート・メモリ、ハード・ディスク・ドライブ、又は任意の他のメモリ形式若しくは機械可読記憶媒体として実現されても良い。メモリ1917は、データ、コンピュータ・プログラム生成物及び他の命令を記憶し、必要に応じて計算のためにプロセッサ1915にそのようなデータ/生成物/命令を提供するための非一時的媒体として機能する。
プロセッサ1915は、マルチ帯域制御モジュール1916を有していても良い。マルチ帯域制御モジュール1916は、フィルタからの出力に基づいてノイズを低減するために、可変増幅器の利得増加を設定するように構成された処理回路又は命令セットである。マルチ帯域制御モジュール1916は、更に、本願で開示される方法1800及びの他の方法を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、マルチ帯域制御モジュール1916は、メモリ1917、ユーザ操作部1913又は表示部1919において、その全体又は一部分が実装されても良い。ユーザ操作部1913は、プロセッサ1915に結合される。ユーザ操作部1913は、表示部1919上での入力信号の表示をしたり、入力信号の表示を変更したりするための、ストローブ入力部、利得制御部、トリガ操作部、表示調整部、電力制御部、又は他のユーザが利用可能な操作部を有していても良い。表示部1919は、デジタル・スクリーン又は陰極線管ベースの表示装置であっても良い。表示部1919には、複数の表示領域があり、これらに対応して複数の入力信号を、例えばアイ・ダイアグラムとして表示する。
本発明の実施形態は、専用設計のハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願で使用されている「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェアのコントローラを含むことを意図しているが、これらに限定するものではない。本発明の1つ以上の態様は、1つ以上のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)又は他のデバイスによって実行される、1つ以上のプログラム・モジュールのようなコンピュータ使用可能データ及びコンピュータ実行可能命令で実現しても良い。一般に、プログラム・モジュールには、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などがあり、これらは、コンピュータ又は他のデバイスのプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行したり、特定の抽象データ型を実装したりするものである。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。当業者には理解されるように、これらプログラム・モジュールの機能は、様々な実施形態において、必要に応じて組み合わせたり、分散配置してもよい。更に、これら機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなハードウェア等価物やファームウェアにおいて、全体又は部分が具体化されてもよい。本発明の1つ以上の態様をより効果的に実現するのに、特定のデータ構造を利用しても良く、このようなデータ構造は、本願記載のコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内で考えられる。
本発明の上述した種々の形態は、記述した利点や当業者には明らかであろう多くの利点がある。しかしながら、開示した装置、システム又は方法のすべての形態において、これらの利点又は特徴のすべてが必要というわけではない。
更に、本願では特定の特徴に言及しているが、本発明は、これら特定の特徴の有り得る全ての組み合わせを含むと理解すべきである。例えば、特定の態様が特定の態様又は実施形態という状況において開示されている場合、その特徴は、可能な限り、他の態様及び実施形態という状況においても使用できる。
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行できる。
説明の都合上、本発明の特定の実施形態を図示し、説明してきたが、本発明は、その要旨及び範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことは明らかであろう。
上述では、試験測定システム、特にオシロスコープに関して主に説明しているが、本発明の実施形態は、デジタル化信号中のノイズが問題となる他の多数の試験測定機器又は電子機器においても実現できることは明らかであろう。場合によっては、本発明の実施形態は、本願で説明するような信号を処理するように構成されたアナログ・デジタル・コンバータ(ADC)の形態を取ることができる。そのような実施形態において、本発明の実施が有り得るのは、ADCが利用されるあらゆる状況、特にADCによって生成されるデジタル信号中のノイズが懸念される場合を含んでいて良い。更に、ADCの構成においては、上述ではADCとは別個のものとして説明したコンポーネント(例えば、マルチプレクサ、増幅器、合成部/合算部、フィルタ、コントローラ、又はその一部分(サブセット))を、実際には、ADCに組み込んでも良い。
本発明の実施形態は、様々に変更したり、代替形態でも動作する。特定の態様は、図面において例として示されており、本願で詳細に説明している。しかしながら、本願に開示された実施形態例は、説明を明瞭にするために提示されており、明示的に限定されない限り、本発明の全体的な概念の範囲を、本願記載の特定の実施形態に限定することを意図するものではないことに注意すべきである。このように、本開示は、添付の図面及び特許請求の範囲に照らして、記載された態様のすべての改変、均等物及び代替物をカバーすることを意図している。
明細書中の実施形態、態様、実施例などへの言及は、記載された項目が特定の特徴、構造又は特性を含むことを示している。しかしながら、開示される全ての態様は、その特定の特徴、構造又は特性を必ずしも含んでいなくてもよい。更に、このような語句は、特に明記しない限り、必ずしも同じ態様を指すものではない。更に、特定の特徴、構造又は特性が特定の態様に関連して記載される場合、そのような特徴、構造又は特性は、そのような特徴が他の開示された態様において明示的に記述されているか否かにかかわらず、そうした他の開示された態様でも利用されて良い。
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されてもよい。開示された態様又はその一部分(サブセット)は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ実行され得る1つ以上の一時的又は非一時的なマシーン可読媒体(例として、コンピュータ可読媒体)によって搬送されるか又は記憶される命令として実装されてもよい。このような命令は、コンピュータ・プログラム生成物と呼ぶことができる。
コンピュータ可読媒体又はマシーン可読媒体は、コンピューティング・デバイスによってアクセス可能な市販の任意の媒体又はこれら媒体の組み合わせであっても良く、これには、揮発性及び不揮発性媒体、リムーバブル及び非リムーバブル媒体が含まれる。コンピュータ可読媒体は、一例としては、コンピュータ記憶媒体や通信媒体であっても良いが、これらに限定されるものではない。
コンピュータ記憶媒体としては、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラム・モジュール又はその他のデータのような情報を記憶するための任意の方法又は技術で実現される揮発性及び不揮発性、リムーバブル及び非リムーバブル媒体を含む。コンピュータ記憶媒体としては、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、CD−ROM、DVD若しくは他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶装置、又は所望の情報を記憶するために使用でき、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の他の媒体を含むことができる。コンピュータ記憶媒体としては、信号それ自身及び信号伝送時の一時的な形態は除外される。
通信媒体は、典型的には、搬送波(キャリア)、データ構造、プログラム・モジュール等の変調データ信号内のデータを収めるもので、任意の情報伝達媒体が含まれる。「変調データ信号」という用語は、複数の特性からなるグループを1つ以上有する信号又は情報を信号中にエンコードするという手法で変更された信号を意味する。通信媒体には、例としては、有線ネットワーク又は直接的な有線接続などの有線媒体及び音響、RF、赤外線等の無線媒体があるが、これらに限定されるものではない。上記のいずれかの組み合わせも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含めて良い。
こうしたことを前提に、以下では、本発明の概念の例をいくつか説明する。
本発明の概念1は、装置であって、
アナログ信号の第1周波数帯域を受けて、該第1周波数帯域に利得を与えるよう構成される増幅器と、
該増幅器の出力部に結合され、上記アナログ信号の上記第1周波数帯域を第1デジタル信号に変換するよう構成される第1アナログ・デジタル・コンバータと、
上記第1周波数帯域と異なる上記アナログ信号の第2周波数帯域を受けて、該第2周波数帯域を第2デジタル信号に変換するよう構成される第2アナログ・デジタル・コンバータと、
上記第1デジタル信号に基づいて上記増幅器の上記利得を調整し、上記第1デジタル信号の信号対ノイズ比を増加させるよう構成される利得コントローラと、
上記第1デジタル信号から上記増幅器の影響を除去する補正フィルタを生成するよう構成されるディエンベッド・コントローラと、
上記第1アナログ・デジタル・コンバータの出力部及び上記第2アナログ・デジタル・コンバータの出力部に結合され、上記第1デジタル信号及び上記第2デジタル信号を、上記アナログ信号をデジタル的に表現する出力信号に合成し、上記出力信号を更なる処理のために出力するよう構成される合算部と
を具えている。
本発明の概念2は、上記概念1の装置であって、
上記第1周波数帯域外のノイズを上記第1デジタル信号から除去するよう構成される第1ノイズ・フィルタと、
上記第2周波数帯域外のノイズを上記第2デジタル信号から除去するよう構成される第2ノイズ・フィルタと
を更に具えている。
本発明の概念3は、上記概念2の装置であって、上記アナログ信号から上記第1周波数帯域及び上記第2周波数帯域を生成するよう構成されるマルチプレクサを更に具え、該マルチプレクサのクロス・オーバーしきい値によって、上記第1周波数帯域に含まれる第1周波数レンジ及び上記第2周波数帯域に含まれる第2周波数レンジを定める。このとき、上記ディエンベッド・コントローラは、更に、上記第1デジタル信号から上記マルチプレクサの影響も除去するよう上記補正フィルタを生成するよう構成される。
本発明の概念4は、上記概念1の装置であって、このとき、上記利得コントローラは、更に、上記第1デジタル信号の信号対ノイズ比に基づいて、上記第1アナログ・デジタル・コンバータによるクリッピングなしを実現できるように、上記利得を設定するよう構成される。
本発明の概念5は、上記概念1の装置であって、このとき、上記利得コントローラが、更に、
上記第1アナログ・デジタル・コンバータによるクリッピングが検出されるまで、上記第1周波数帯域に適用される上記利得を増加させ、
上記クリッピングを検出するのに応じて、上記クリッピングが検出されなくなるまで上記利得を低減するように構成される。
本発明の概念6は、上記概念1の装置であって、このとき、上記補正フィルタを生成する処理は、上記増幅器のSパラメータに基づいて行われる。
本発明の概念7は、上記概念1の装置であって、このとき、上記アナログ信号は差動信号である。
本発明の概念8は、上記概念7の装置であって、
差動信号をシングル・エンド信号に変換するバランと、
該バランに結合され、上記シングル・エンド信号を上記第1周波数帯域及び上記第2周波数帯域に分離するよう構成されるマルチプレクサと
を更に具えている。このとき、上記ディエンベッド・コントローラは、更に、上記第1デジタル信号から上記バランの影響も除去するよう上記補正フィルタを生成するよう構成される。
本発明の概念9は、上記概念1の装置であって、このとき、上記増幅器は第1増幅器であり、上記利得は第1利得であり、上記補正フィルタは第1補正フィルタであって、
上記アナログ信号の上記第2周波数帯域に第2利得を与えるよう構成される第2増幅器を更に具え、このとき、
上記第2アナログ・デジタル・コンバータは、上記第2増幅器の出力部に結合され、
上記利得コントローラは、更に、上記第2デジタル信号に基づいて上記第2増幅器の上記第2利得を調整し、上記第2デジタル信号の信号対ノイズ比を増加させるよう構成され、
上記ディエンベッド・コントローラは、更に、上記第2デジタル信号から上記第2増幅器の影響を除去する第2補正フィルタを生成するよう構成される。
本発明の概念10は、上記概念1の装置であって、このとき、上記アナログ信号はアナログ差動信号であり、上記第1及び第2周波数帯域は、上記アナログ差動信号の正側から生成され、上記合算部は第1合算部であり、上記出力信号はデジタル差動信号であって、
上記アナログ差動信号の負側の第3周波数帯域を受けて、該第3周波数帯域に利得を与える第2増幅器と、
該第2増幅器の出力部に結合され、上記第3周波数帯域を第3デジタル信号に変換するよう構成される第3アナログ・デジタル・コンバータと、
上記第3周波数帯域と異なる上記アナログ差動信号の上記負側の第4周波数帯域を受けて、該第4周波数帯域を第4デジタル信号に変換する第4アナログ・デジタル・コンバータと、
上記第3アナログ・デジタル・コンバータの出力部及び上記第4アナログ・デジタル・コンバータの出力部に結合される第2合算部であって、
上記第3デジタル信号及び上記第4デジタル信号を、上記アナログ差動信号の上記負側をデジタル的に表現する上記出力信号の負側に合成し、
上記出力信号の上記負側を更なる処理のために出力する上記第2合算部と
を更に具え、このとき、
上記第1合算部は、上記第1デジタル信号及び上記第2デジタル信号を、上記アナログ差動信号の上記正側をデジタル的に表現する上記出力信号の正側に合成して出力し、
上記利得コントローラは、更に、上記第3デジタル信号に基づいて上記第2増幅器の上記第2利得を調整し、上記第3デジタル信号の信号対ノイズ比を増加させるよう構成され、
上記ディエンベッド・コントローラは、更に、上記第3デジタル信号から上記第2増幅器の影響を除去する第2補正フィルタを生成するよう構成される。
本発明の概念11は、デジタル化処理システムにおいてノイズを低減する方法であって、
アナログ信号の第1周波数帯域と、該第1周波数帯域と異なる上記アナログ信号の第2周波数帯域とを受ける処理と、
アナログ増幅器によって、上記第1周波数帯域を増幅し、該上記第1周波数帯域を上記デジタル化処理システムの第1アナログ・デジタル・コンバータへ出力する処理と、
上記第1アナログ・デジタル・コンバータによって、上記第1周波数帯域をデジタル化し、第1デジタル信号を生成する処理と、
第2アナログ・デジタル・コンバータによって、上記第2周波数帯域をデジタル化し、第2デジタル信号を生成する処理と、
上記第1デジタル信号の信号対ノイズ比を増加させるように、上記第1デジタル信号に基づいて上記アナログ増幅器の利得を調整する処理と、
上記第1デジタル信号から上記アナログ増幅器の影響を除去する処理と、
上記アナログ信号を表すデジタル信号を生成するように、上記第1デジタル信号及び上記第2デジタル信号を合成する処理と、
上記デジタル信号を更なる処理のために出力する処理と
を具えている。
本発明の概念12は、上記概念11の方法であって、上記合成する処理の前に、
上記第1周波数帯域の周波数レンジ外に生じたノイズを除去する第1ノイズ・フィルタを上記第1デジタル信号に適用する処理と、
上記第2周波数帯域の周波数レンジ外に生じたノイズを除去する第2ノイズ・フィルタを上記第2デジタル信号に適用する処理と
を更に具えている。
本発明の概念13は、上記概念12の方法であって、このとき、上記マルチプレクサのクロス・オーバーしきい値によって、上記第1周波数帯域の上記周波数レンジ及び上記第2周波数帯域の上記周波数レンジを定める。
本発明の概念14は、上記概念12の方法であって、上記利得を調整する処理は、上記第1アナログ・デジタル・コンバータによるクリッピングなしに実現できる信号対ノイズ比に基づいて行われる。
本発明の概念15は、上記概念14の方法であって、上記第1アナログ・デジタル・コンバータによるクリッピングなしに実現できる信号対ノイズ比に基づいく上記利得を調整する処理は、
上記第1アナログ・デジタル・コンバータによるクリッピングが検出されるまで、上記アナログ増幅器の上記利得を増加させる処理と、
上記クリッピングを検出するのに応じて、上記クリッピングが検出されなくなるまで上記利得を低減する処理と
を有している。
本発明の概念16は、上記概念14の方法であって、上記第1デジタル信号から上記アナログ増幅器の影響を除去する処理が、
上記アナログ増幅器に関するSパラメータに基づいて補正フィルタを生成する処理と、
上記補正フィルタを上記第1デジタル信号に適用する処理と
を有している。
本発明の概念17は、上記概念11の方法であって、このとき、上記アナログ信号は差動信号である。
本発明の概念18は、上記概念17の方法であって、
バランによって、上記差動信号をシングル・エンド信号に変換する処理と、
マルチプレクサによって、上記シングル・エンド信号を上記第1周波数帯域及び上記第2周波数帯域に分離する処理と
を更に具えている。
本発明の概念19は、上記概念11の方法であって、このとき、上記アナログ信号は、差動信号の正側又は負側のいずれかである。
本発明の概念20は、上記概念11の方法であって、このとき、上記アナログ増幅器は第1アナログ増幅器であり、上記補正フィルタは第1補正フィルタであって、
上記第2アナログ・デジタル・コンバータが第2アナログ増幅器の出力部に結合され、該第2アナログ増幅器によって、上記アナログ信号の上記第2周波数帯域を増幅する処理と、
上記第2デジタル信号の信号対ノイズ比を増加させるように、上記第2デジタル信号に基づいて上記第2アナログ増幅器の利得を調整する処理と、
上記第2デジタル信号から上記第2アナログ増幅器の影響を除去する処理と
を更に具えている。