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JP2018010114A - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents

トナー及びトナーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高速現像システムに適応可能な、現像安定性、低温定着性、耐ホットオフセット性に優れたトナーを提供する。【解決手段】 ポリエステル樹脂A、ポリエステル樹脂B及び有機金属化合物を含有するトナー粒子を有するトナーであって、前記ポリエステル樹脂Aは、芳香族多価アルコールを80mol%以上含有するアルコール成分と多価カルボン酸成分とを縮重合して得られた非晶性ポリエステル樹脂であり、前記ポリエステル樹脂Bは、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールを80mol%以上含有するアルコール成分と、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸を80mol%以上含有するカルボン酸成分とを縮重合して得られた結晶性ポリエステル樹脂であり、前記有機金属化合物は、ジルコニウムと芳香族ヒドロキシカルボン酸との反応によって生成された有機ジルコニウム化合物であって、該有機ジルコニウム化合物が、ジルコニウム原子1molに対して芳香族ヒドロキシカルボン酸単位を1.2〜1.8mol含有する。【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナー及びトナーの製造方法に関する。
電子写真法を用いた画像形成装置は、近年、より高速化し、より信頼性の高いものが求められている。また、省電力化、ウェイトタイムの短縮化などの要望も高く、これらに対応するために、トナーとしては、低温定着性が求められている。また、近年では紙資源の有効活用の観点から、坪量の低い紙を使用し、さらには両面印刷によって紙の使用量を低下させる試みがなされている。そのため、トナーとしては、耐ホットオフセット性も併せて求められている。
低温定着性を達成する目的で、結着樹脂として非晶性樹脂だけでなく、結晶性樹脂を使用するという提案がされている。特許文献1においては、非架橋性結晶性樹脂と架橋性結晶性樹脂とを併用することにより、定着性と保存性とを両立させる提案がされている。
また、トナーの帯電性改善のための提案もされている。特許文献2においては、結着樹脂として結晶性樹脂を含有し、荷電制御剤としてサリチル酸誘導体の金属化合物を含有させる提案がされている。
特開2012−53196号公報 特開2002−351137号公報
特許文献1に記載の架橋性結晶性樹脂は、非晶性樹脂中への分散が不均一となり易く、それにより長期の使用においては、トナーの帯電不良を引き起こし易かった。
また、特許文献2に開示されているように、結晶性樹脂と荷電制御剤の相溶性をあげるだけでは、帯電付与効果は上がるものの、非晶性樹脂中の結晶性樹脂の分散状態が不安定となり、低温定着性、耐ホットオフセット性へ悪影響を及ぼすことがある。
また、トナーは、流動性を向上させ、機内での搬送性及び均一な摩擦帯電性を維持することを目的として、トナーの表面に、ケイ素化合物をはじめとした種々の微粒子をスペーサーとして付着させ、粒子間の凝集力を抑える方法が用いられている。
しかしながら、高速現像システムでは、現像器内での、現像ローラー、規制部材及び撹拌部材等によるトナーへのストレスがより大きく、特に多数枚の連続印刷を行った際、スペーサー粒子が、トナーの表面に埋没し易い。その結果、凝集力抑制効果が十分に発揮できず、安定的な摩擦帯電特性を維持することが困難となり易い。特に、上述した結晶性樹脂を非晶性樹脂の可塑化促進を目的として用いた場合、トナーの強靭性が損なわれ、これらの埋没現象が発生し易い。
上記のように、結晶性樹脂を用いる系においても、現像安定性、低温定着性、及び耐ホットオフセット性を同時に満足することができるトナーを得るには至っていない。
本発明の目的は上記問題点を解消した、結晶性材料のごとき可塑剤を用いるトナーにおいても、帯電特性に優れ、現像安定性に優れるとともに低温定着性、耐ホットオフセット性を満足するトナーを提供することである。
上記の課題は、下記の構成のトナーにより解決することができる。
すなわち、本発明によれば、ポリエステル樹脂A、ポリエステル樹脂B及び有機金属化合物を含有するトナー粒子を有するトナーにおいて、
前記ポリエステル樹脂Aは芳香族多価アルコールを80mol%以上含有するアルコール成分と多価カルボン酸成分とを縮重合して得られた非晶性ポリエステル樹脂であり、
前記ポリエステル樹脂Bは、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールを80mol%以上含有するアルコール成分と、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸を80mol%以上含有するカルボン酸成分とを縮重合して得られた結晶性ポリエステル樹脂であり、
該有機金属化合物は、ジルコニウムと芳香族ヒドロキシカルボン酸との反応によって生成された有機ジルコニウム化合物であって、該有機ジルコニウム化合物が、ジルコニウム原子1molに対して芳香族ヒドロキシカルボン酸単位を1.2〜1.8mol含有するトナーが提供される。
本発明によれば、高速現像システムにおいても、現像安定性、低温定着性、及び耐ホットオフセット性に優れるトナーを提供することが可能となる。
本発明のトナーの製造に用いられる熱球形化処理装置の概略図である。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
本発明によれば、ポリエステル樹脂A、ポリエステル樹脂B及び有機金属化合物を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記ポリエステル樹脂Aは、芳香族多価アルコールを80mol%以上含有するアルコール成分と多価カルボン酸成分とを縮重合して得られた非晶性ポリエステル樹脂であり、
前記ポリエステル樹脂Bは、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールを80mol%以上含有するアルコール成分と、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸を80mol%以上含有するカルボン酸成分とを縮重合して得られた結晶性ポリエステル樹脂であり、
前記有機金属化合物は、ジルコニウムと芳香族ヒドロキシカルボン酸との反応によって生成された有機ジルコニウム化合物であって、該有機ジルコニウム化合物が、ジルコニウム原子1molに対して芳香族ヒドロキシカルボン酸単位を1.2〜1.8mol含有する、
トナーが提供される。
つまり、本発明者らは、非晶性ポリエステル樹脂Aと結晶性ポリエステル樹脂Bと、ジルコニウムと芳香族ヒドロキシカルボン酸との反応生成物を用いることにより、下記のようなトナー得ることができることを見い出した。
・低温定着性、耐ホットオフセット性を維持しつつ、高湿環境に放置されても高い帯電量を得、低湿環境においても帯電過剰となることのないトナー。
また、本発明の有機ジルコニウム化合物はカラートナーにとっても、鮮明な色彩画像が得られるので好ましい。
このような構成を有する本発明のトナーを用いることによる作用効果について、本発明者らは以下のように考える。
ポリエステル樹脂Aは、非晶性を有し、ポリエステル樹脂Bは結晶性を有する。
本発明における結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において吸熱ピークが観測される樹脂である。
結晶性であるポリエステル樹脂Bのアルコール成分(脂肪族ジオール)の炭素数及びカルボン酸成分(脂肪族カルボン酸)の炭素数を特定の値とし、非晶性であるポリエステル樹脂Aにおいては、脂肪族とは構造の異なる芳香族のアルコールを用いる。このことにより、それぞれの相溶度合いを調整することができ、それにより、ポリエステル樹脂A中に、ポリエステル樹脂Bを可塑効果の発現し易い分散状態に配置することができる。
さらに本発明のトナーが含有する有機ジルコニウム化合物は、ジルコニウム原子が八配位をとりやすく、ポリエステル樹脂中のカルボキシル基又は水酸基の酸素を配位又は結合しやすい。それにより有機ジルコニウム化合物のトナー粒子中からの脱落を防ぐとともに、ポリエステル樹脂A中のポリエステル樹脂Bの分散状態を固定化することができる。これにより、例えば高温高湿環境下での長期放置等の外的因子による、結晶性ポリエステルの再凝集等による分散の偏りを抑制することができる。
また、トナーの強靭性が増し、電子写真工程の現像工程における外添剤の埋め込み等のトナー劣化の抑制となる。
また、トナー製造時に溶融混練工程を行う場合においては、有機ジルコニウム化合物のポリエステル樹脂中のカルボキシル基又は水酸基の酸素を配位又は結合による架橋反応が促進する。そして、それにより、トナーの強靭性が増し、電子写真工程の現像工程における外添剤の埋め込み等のトナー劣化の抑制となる。
さらに、トナー製造時の熱処理工程を加える場合においては、上記結晶性のポリエステル樹脂Bの結晶化を維持しつつ、トナーの表面近傍に配置することが可能となるとともに、トナー表層での架橋反応を促進することができ、上記効果がより発現し易くなる。
ポリエステル樹脂Bの含有量が、ポリエステル樹脂A 100質量部に対して、2質量部以上20質量部以下含有することが重要である。
本発明においてその目的を達成するに好ましいトナーの構成を以下に詳述する。
[ポリエステル樹脂A]
本発明のトナーに用いられるポリエステル樹脂Aは、
芳香族多価アルコールを80mol%以上含有するアルコール成分と
多価カルボン酸成分と
を縮重合することにより得られることを特徴とする。
ポリエステル樹脂Aで用いられる芳香族多価アルコールとしては、特に限定されないが、下記式(a)で示されるビスフェノール誘導体及び下記式(b)で示されるジオール類が挙げられる。
Figure 2018010114
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜7である。)
Figure 2018010114
上記式(a)で示されるビスフェノール誘導体としては、例えば、以下のものが挙げられる。ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン。また、場合により、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAの如き他のジオール類を上記式(a)で示されるビスフェノール誘導体又は上記式(b)で示されるジオール類と併用することも可能である。
その他、ポリエステル樹脂Aに用いることができるアルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビット、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン。
上述のように、ポリエステル樹脂Aを構成するアルコール成分の主成分は、芳香族多価アルコールである。ここで、ポリエステル樹脂Aを構成するアルコール成分において、芳香族多価アルコールは、80mol%以上の割合で含有することを特徴とし、90mol%以上の割合で含有することが好ましい。
・多価カルボン酸モノマー
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられる多価カルボン酸モノマーとしては、以下の多価カルボン酸モノマーを使用することができる。
2価のカルボン酸成分としては、例えば、以下のものが挙げられる。マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物及びこれらの低級アルキルエステル。これらのうち、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、n−ドデセニルコハク酸が好ましく用いられる。
3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、例えば、以下のものが挙げられる。1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸無水物又はこれらの低級アルキルエステル。これらのうち、特に1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸又はその誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。これらの2価のカルボン酸等及び3価以上のカルボン酸は、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
本発明ではポリエステル樹脂Aとして、ポリエステル樹脂を主成分とするならば他の樹脂成分を含有するハイブリッド樹脂であっても良い。例えば、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とのハイブリッド樹脂が挙げられる。ハイブリッド樹脂のような、ビニル系樹脂やビニル系共重合ユニットとポリエステル樹脂との反応生成物を得る方法としては、以下のような方法が好ましい。
・ビニル系樹脂やビニル系共重合ユニット及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応を行う方法。
例えば、ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系共重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。ビニル系共重合体成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
また、本発明ではポリエステル樹脂Aとして、ポリエステル樹脂を主成分とするならば、上記のビニル系樹脂以外にも、従来より結着樹脂として知られている種々の樹脂化合物を併用することができる。このような樹脂化合物としては、例えば以下のものが挙げられる。フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロインデン樹脂、石油系樹脂。
本発明におけるポリエステル樹脂Aは、通常のポリエステル合成法に従って製造することができる。例えば、前記したカルボン酸単量体とアルコ−ル単量体とをエステル化反応、またはエステル交換反応させた後、減圧下または窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることで所望のポリエステル樹脂を得ることができる。
上記エステル化またはエステル交換反応は、必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒またはエステル交換触媒を用いて行うことができる。
また、上記重縮合反応は、通常の重合触媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなど公知の触媒を使用して行うことができる。
この中でも、本発明においては、下記式(i)で表されるスズ化合物が触媒として使用されることが好ましい。この化合物を用いることにより樹脂の軟化点やガラス転移点などの物性の調整が行い易い。例えば、縮合時間は長めになるが、低分子量成分を少なくすることができる。これにより、トナー製造時に熱溶融混練を用いる場合においては、ポリエステル樹脂の粘度を安定化することでき、顔料等が均一に分散し易い。
また縮重合後の結着樹脂中にスズ化合物が存在すると、顔料粒子の凝集性が低減し、樹脂中での顔料粒子の微分散性が良化する。
Figure 2018010114
(式中Rは、炭素数5〜15のアルキル基を示す)
ここで本発明において、式(i)で表されるスズ化合物の式中Rは、5以上15以下のアルキル基であることが、エステル化反応の触媒効果を有する物として最適なものである。
また上記アルキルカルボン酸スズ化合物の添加量としては、ポリエステル樹脂100質量部に対して0.01質量部以上2質量部以下が好ましく、0.05質量部以上1質量部以下がより好ましい。0.01質量部以上であれば、ポリエステル重合時の反応時間が長くなりすぎたりせず、顔料の分散性を向上させる効果が得られる。また2質量部以下であれば、トナーの帯電特性に影響を及ぼしたり、環境による帯電量の変動が大きくなったりしない。
また、本発明において用いられる非晶性ポリエステル樹脂Aのピーク分子量は8,000以上13,000以下であることが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。また、非晶性ポリエステル樹脂Aの酸価は15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。さらに、本発明の結着樹脂の水酸基価は2mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であることが、低温定着性と保存性の観点から好ましい。
また、非晶性ポリエステル樹脂Aは、高分子量のポリエステル樹脂A(H)と低分子量のポリエステル樹脂A(L)とを混ぜ合わせて使用しても良い。高分子量のポリエステル樹脂A(H)と低分子量のポリエステル樹脂A(L)との含有比率(H/L)は、質量基準で10/90以上60/40以下であることが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。
高分子量のポリエステル樹脂A(H)のピーク分子量は10,000以上20,000以下であることが、耐ホットオフセット性の観点から好ましい。また、高分子量のポリエステル樹脂A(H)の酸価は15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。
低分子量のポリエステル樹脂A(L)の重量平均分子量(Mw)は3000以上7000以下であることが、低温定着性の観点から好ましい。また、低分子量のポリエステル樹脂A(L)の酸価は10mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。
[ポリエステル樹脂B]
本発明において用いられるポリエステル樹脂Bは、
炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールを80mol%以上含有するアルコール成分と、
炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸を80mol%以上含有するカルボン酸成分との縮重合により得られることを特徴とする。
ポリエステル樹脂Bは炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールを85mol%以上含有するアルコール成分と、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸を85mol%以上含有するカルボン酸成分との縮重合により得られるものであることが好ましい。
脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジオールであることが好ましい。ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、が好ましく例示される。
本発明において、ポリエステルBのアルコール成分として脂肪族ジオールを主成分とするならば、上記脂肪族ジオール以外の多価アルコール単量体を併せて用いることもできる。該多価アルコール単量体のうち2価アルコール単量体としては、以下のものが挙げられる。ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であるポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等の芳香族アルコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等。
また、該多価アルコール単量体のうち3価以上の多価アルコール単量体としては、以下のものが挙げられる。1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族アルコール等。
さらに、本発明において、ポリエステルBのアルコール成分として脂肪族ジオールを主成分とするならば、併せて1価のアルコ−ルを用いてもよい。該1価のアルコールとしては、例えばn−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、ラウリルアルコール、2−エチルヘキサノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ドデシルアルコール等の1官能性アルコールなどが挙げられる。
一方、脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。具体例としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステルを加水分解したものなども含まれる。
本発明において、ポリエステルBのカルボン酸成分として脂肪族ジカルボン酸を主成分とするならば、脂肪族ジカルボン酸以外の多価カルボン酸を併せて用いることもできる。その他の多価カルボン酸単量体のうち、2価のカルボン酸としては、以下のものが挙げられる。イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸;n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸の脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸、これらの酸無水物または低級アルキルエステルなど。
また、その他のカルボン酸単量体のうち、3価以上の多価カルボン酸としては、以下のものが挙げられる。1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、等の脂肪族カルボン酸、これらの酸無水物または低級アルキルエステル等の誘導体等。
さらに、本発明において、ポリエステルBのカルボン酸成分として脂肪族ジカルボン酸を主成分とするならば、併せて1価のカルボン酸を含有していてもよい。1価のカルボン酸としては、例えば以下のものが挙げられる。安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸などのモノカルボン酸。
本発明におけるポリエステルBは、通常のポリエステル合成法に従って製造することができる。例えば、前記したカルボン酸単量体とアルコ−ル単量体とをエステル化反応、またはエステル交換反応させた後、減圧下または窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることで所望のポリエステル樹脂を得ることができる。
上記エステル化またはエステル交換反応は、必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、2−エチルヘキサン酸スズ、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒またはエステル交換触媒を用いて行うことができる。
また、上記重縮合反応は、通常の重合触媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、2−エチルヘキサン酸スズ、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなど公知の触媒を使用して行うことができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、適宜に決めればよい。
エステル化もしくはエステル交換反応または重縮合反応において、得られるポリエステル樹脂Bの強度を上げるために全単量体を一括混合したりしてもよい。また低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させたりする等の方法を用いてもよい。
ポリエステル樹脂Bの原料モノマーであるアルコール成分とカルボン酸成分とのモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、0.80以上1.20以下であることが好ましい。
[有機金属化合物]
本発明において用いられる有機金属化合物は、ジルコニウムと芳香族ヒドロキシカルボン酸との反応により生成された有機ジルコニウム化合物であることを特徴する。
有機ジルコニウム化合物は、芳香族ヒドロキシカルボン酸の配位数、結合数の異なる化合物や構造の異なる化合物等、複数の形態の化合物からなり、ジルコニウム原子1molに対して芳香族ヒドロキシカルボン酸単位を1.2〜1.8mol含有する。このような有機ジルコニウム化合物を含有することによって、優れた現像安定性が得られ、また転写性も向上し、トナーの利用率が向上することでトナーの消費効率が上がる。より優れた現像性を得るためには、ジルコニウム原子1molに対して芳香族ヒドロキシカルボン酸単位を1.3〜1.7mol含有することが好ましい。1.2mol未満であると、摩擦帯電の立ち上がりが遅くなる傾向が出て、トナー補給時に、現像器残存トナーと補給トナーが混合したとき濃度低下や濃度ムラ、カブリの増加などを発生しやすくなる。1.8molを超えると、長期放置したときなどに画像濃度の低下やカブリの増加などが見られる。
該芳香族ヒドロキシカルボン酸が下記式(I)で示される化合物であることが帯電の立ち上がりの良さを得、画像濃度、カブリ、画質など現像性の安定を図るために好ましい。
Figure 2018010114
[一般式(I)において、Rは水素、アルキル基、アリール基、アルアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、カルボキシル基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、又はカルバモイル基を表す。置換基Rは相互に連結して脂肪族環、芳香族環あるいは複素環を形成しても良く、この場合この環に置換基Rを有していても良く、置換基Rは1から8個持っていてもよく、それぞれ同じであっても、異なっていてもよい。]
中でも芳香族ヒドロキシカルボン酸が、アルキル基を置換基として有するサルチル酸であることが高い帯電量を得、高画像濃度、忠実な潜像再現をより高い高画像品質を達成できる。
本発明で用いられる芳香族ヒドロキシカルボン酸としては以下のものが挙げられる。サリチル酸、5−メチルサリチル酸、3,5−ジメチルサリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、5−メトキシサリチル酸、3−メチル−5−プロピルサリチル酸、及び5−tert−ヘプチルサリチル酸。
以下に、本発明で用いられる芳香族ヒドロキシカルボン酸の構造式の具体例を挙げる。
Figure 2018010114
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本発明において有機ジルコニウム化合物をトナーに含有させる方法としては、トナー内部に添加する方法と外添する方法がある。内添する場合の添加量としては結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。また、外添する場合の添加量としては、0.01〜5質量部が好ましく、0.05〜3質量部がより好ましい。外添する場合は特にメカノケミカル的にトナーの表面に固着させることが好ましい。
本発明における有機ジルコニウム化合物は、ジルコニウム原子が八配位をとりやすく、カルボキシル基又は水酸基の酸素を配位又は結合しやすい。結着樹脂として官能基にカルボキシル基を有するポリエステル樹脂の如き酸価を有する結着樹脂と用いると、トナー粒子中からの脱落を防ぎ、帯電均一化と帯電の耐久安定性が得られる。更には、トナーの透明性への影響が小さくなり、カラートナーにとって鮮やかな色彩を表現するのに好ましいものとなる。
また、ポリエステル樹脂成分のカルボキシル基、水酸基のジルコニウム原子への配位を介して、ポリマー鎖の架橋をトナー中結着樹脂全体に均一に施すことができる。そして、記録材として、填料を多く含有する再生紙を用いても定着部材への填料付着が起因として発生する定着部材へのトナーの汚れを効果的に抑制することができる。
本発明の有機ジルコニウム化合物は、摩擦帯電性に優れ、高い帯電量が得られるので、高い帯電量を必要とする高温高湿環境下での使用においても好適な荷電制御剤となるのである。さらに、有機ジルコニウム化合物自体の良好な分散性に加え、結着樹脂に酸価を有するものを用いると分散性向上に働くので、耐久性、帯電均一性が得られるようになるのである。
また、本発明の有機ジルコニウム化合物は、放置によるトナーの現像性の低下が小さく、例えば各環境で使用した後、長期にわたり休止した後の再使用時であっても画像濃度の低下を小さなものとすることができる。
本発明の有機ジルコニウム化合物は、芳香族ヒドロキシカルボン酸がジルコニウム原子に配位または/および結合した有機ジルコニウム化合物であって、ジルコニウム錯体、ジルコニウム錯塩、ジルコニウム塩あるいはこれらの混合物である。
これらのジルコニウム錯体またはジルコニウム錯塩は、芳香族ヒドロキシカルボン酸が1〜4個キレート形成した錯化合物、芳香族ヒドロキシカルボン酸アニオンを1〜6個配位した錯化合物が挙げられる。キレート形成数、配位数の異なるものの混合物であっても良い。またジルコニウム塩は、芳香族ヒドロキシカルボン酸アニオンを1〜4個有している金属塩が挙げられ、芳香族ヒドロキシカルボン酸イオン数の異なるものの混合物であっても良い。
さらには、以下に示す一般式(II)、(III)、(IV)、(V)等で表せる構造を有する化合物から選ばれるものが挙げられる。
Figure 2018010114
一般式(II)において、Rは水素、アルキル基、アリール基、アルアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、カルボキシル基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基又はカルバモイル基を表す。置換基Rは、相互に連結して脂肪族環、芳香族環あるいは複素環を形成しても良く、この場合この環が置換基Rを1〜8個持っていてもよく、それぞれ同じであっても、異なっていてもよい。C1は1価のカチオン、水素、アルカリ金属、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを表す。lは1〜8の整数を表し、nは2,3又は4を表し、mは0,2又は4を表す。各錯体または錯塩において配位子となる芳香族ヒドロキシカルボン酸は同じものであっても異なるものであってもよく、またn又は/及びmの数の異なる錯化合物の混合物であっても良い。また、対イオンのC1が異なる錯塩の混合物であっても良い。結着樹脂中への錯体又は錯塩の分散性向上の観点あるいは帯電性向上の観点から、置換基Rとしてはアルキル基、アルケニル基、カルボキシル基又は水酸基が好ましい。また、C1としては水素、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又はアルキルアンモニウムが好ましい。
Figure 2018010114
一般式(III)において、Rは水素、アルキル基、アリール基、アルアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、カルボキシル基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基又はカルバモイル基を表す。置換基Rは、相互に連結して脂肪族環、芳香族環あるいは複素環を形成しても良く、この場合この環に置換基Rを1〜8個持っていてもよく、それぞれ同じであっても、異なっていてもよい。Aは、アニオン、ハロゲン、水酸イオン、カルボン酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、シアンイオン又はチオシアンイオンを表し、Aは相互に異なるイオンを有していても良い。C1は1価のカチオン、水素、1価の金属イオン、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを表す。lは1〜8の整数を表し、nは1,2,3又は4を表し、kは1,2,3,4,5又は6を表し、mは0,1,2,3又は4を表す。各錯体または各錯塩において配位子となる芳香族ヒドロキシカルボン酸類は同じものであっても異なるものであってもよく、またn又は/及びmの数の異なる錯化合物の混合物であっても良い。カチオンC1又は/及びアニオンAが異なる2種以上の錯化合物の混合物であっても良い。Aが2価のアニオンの場合に、カウンターイオンの係数kは2倍する。
結着樹脂中への錯体又は錯塩の分散性の向上の観点あるいは帯電性向上の観点から、置換基Rとしては、アルキル基、アルケニル基、カルボキシル基、又は水酸基が好ましい。C1としては水素、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、又はアルキルアンモニウムが好ましく、Aとしては水酸イオン又はカルボン酸イオンが好ましい。
本発明に用いられるジルコニウム錯体あるいは錯塩は、六配位または八配位の錯化合物で、八配位の中には、配位子が橋かけした複核錯化合物となり示性式上六配位となる錯化合物がある。また、水酸基などの配位子が橋かけし、次々と錯化合物を重合した複核錯化合物などもある。
このような錯化合物の構造の代表的なものを、以下の一般化学式(a)〜(x)でその構造を例示する。以下の構造の中には配位子Lを持たないものも包含する。式中X,Yは−O−,−COO−を表し、Aはアニオン配位子、Lは中性配位子、Cはカウンターカチオンを表す。なお、一般式(v)〜(x)は、カウンターカチオンを省略して示す。
Figure 2018010114
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また、芳香族環の水酸基又はカルボキシル基が異なるジルコニウムに配位した構造を有する錯化合物であってもよく、例えば部分構造として式(y)に示されるものである。
Figure 2018010114
具体的な構造は式(z)で表される。
Figure 2018010114
ここで、pは1以上の整数を表し、qは2以上の整数を表し、式(z)ではアニオン配位子、中性配位子及び対カチオンは省略してある。
Figure 2018010114
一般式(IV)及び(V)において、Rは水素、アルキル基、アリール基、アルアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、アミド基又はカルバモイル基を表す。置換基Rは、相互に連結して脂肪族環、芳香族環あるいは複素環を形成しても良く、この場合この環に置換基Rを1から8個持っていてもよく、それぞれ同じであっても、異なっていてもよい。A1は1価のアニオン、ハロゲンイオン、水酸イオン、硝酸イオン又はカルボン酸イオンを表し、A2は2価のアニオン、硫酸イオン、リン酸水素イオン又は炭酸イオンを表し、lは1〜7の整数を表し、nは1,2,3又は4を表す。各金属塩においてアニオンA1、アニオンA2及び酸イオンとなる芳香族ヒドロキシカルボン酸類は同じものであっても異なるものであってもよい。また、nの数が異なる塩の混合物であっても良い。結着樹脂中への金属塩の分散性向上の観点あるいは帯電性向上の観点から、置換基としてはアルキル基、アルケニル基、カルボキシル基、水酸基又はアシルオキシ基が好ましく、優れた環境安定性、結着樹脂中への優れた分散性、及び優れた耐久性が得られる。
本発明の有機ジルコニウム化合物は、以下のようにして合成される。
ジルコニウム化合物を水、アルコール、アルコール水溶液に溶解し、芳香族ヒドロキシカルボン酸およびこれらのアルカリ金属塩を添加するか、あるいは芳香族ヒドロキシカルボン酸とアルカリ剤を添加することにより合成される。ジルコニウム化合物には、塩化酸化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、有機酸ジルコニウムなどが含まれる。
反応生成物は、濾過後、水,アルコール,アルコール水溶液で洗浄して得られる。これらの有機ジルコニウム化合物は、アルコール水溶液などで再結晶し、アルコール洗浄または水洗浄で精製してもよい。また、錯塩の場合は、生成物を鉱酸、アルカリ剤、アミン剤で処理することにより種々のカウンターイオンを持つ錯塩が得られる。本発明においては、ジルコニウム錯塩のカウンターイオンに水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオンなど複数種有しているものも含む。
本発明において有機ジルコニウム化合物が含有している芳香族ヒドロキシカルボン酸単位の含有量を調整する手段としては、ジルコニウム化合物と芳香族ヒドロキシカルボン酸の混合比や反応時間で制御する方法が挙げられる。また、ジルコニウム化合物溶液に芳香族ヒドロキシカルボン酸類を滴下する際の滴下時間や反応温度を制御する方法も利用することができる。
[その他の荷電制御材]
本発明のトナーには、必要に応じて前記の有機金属化合物以外の荷電制御剤をさらに含有させることもできる。この荷電制御剤としては、例えば、ネガ系荷電制御剤として、以下のものが挙げられる。サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物。スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩又はスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩又はカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物。ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。
[ワックス]
本発明のトナーは、必要に応じワックスを含有することができる。このワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸の如き脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如きアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般的に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、低温定着性、耐ホットオフセット性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス、もしくはカルナバワックスの如き脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。本発明においては、耐ホットオフセット性がより向上する点で、炭化水素系ワックスがより好ましい。
該ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上15質量部以下で使用されることが好ましい。該ワックスの含有量がこの範囲にあるとき、高温でのホットオフセット性を維持に効率的に発揮することが可能となり易い。
トナーの保存性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、示差走査熱量分析装置(DSC)で測定される昇温時の吸熱曲線において、温度30℃以上200℃以下の範囲に存在する最大吸熱ピークのピーク温度が50℃以上110℃以下であることが好ましい。
[ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する重合体]
また、本発明におけるトナーでは、ワックスとして炭化水素系ワックスを含有する場合、ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する重合体を含有することがワックスを樹脂中に分散させるために好ましい。中でも、ビニル系樹脂にポリオレフィンがグラフトした構造を有するグラフト重合体又はポリオレフィンにビニル系モノマーがグラフト重合したグラフト重合体を更に含有することが好ましい。
該重合体が含有された場合、ワックスと樹脂との相溶性が促進され、ワックス分散不良による帯電不良、部材汚染などの弊害を引き起こしにくくなる。
また該ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する重合体の含有量は、非晶性樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上15質量部以下であることが好ましい。含有量がこの範囲にあるとき、非晶性樹脂中にワックスの分散状態が均一となり易い。
ビニル系樹脂にポリオレフィンがグラフトした構造を有するグラフト重合体に関して、ポリオレフィンは二重結合を一つ有する不飽和炭化水素の重合体または共重合体であれば特に限定されず、様々なポリオレフィンを用いることができる。特にポリエチレン系、ポリプロピレン系が好ましく用いられる。
ビニル系基を有するモノマーとしては、例えば以下のものが挙げられる。スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン及びその誘導体などのスチレン系単位。
メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きアミノ基含有α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体などのN原子を含むビニル系単位。
マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、前記α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物、及びこれらのモノエステルなどのカルボキシル基を含むビニル系単位。
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル類、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンなどの水酸基を含むビニル系単位。
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類などのアクリル酸エステルからなるエステル単位。
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類などのメタクリル酸エステルからなるエステル単位。
本発明に用いられるポリオレフィンにビニル系モノマーがグラフト重合したグラフト重合体は、前述したこれらの重合体同士の反応や、一方の重合体のモノマーと他方の重合体との反応等、公知の方法によって得ることができる。
ビニル樹脂の構成単位として、スチレン系単位、さらにはアクリロニトリル、またはメタアクリロニトリルを含むのが好ましい。
[着色剤]
本発明のトナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタ着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタ着色染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。
シアン着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアン着色染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロー着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロー着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
上記着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下で使用されることが好ましい。
〔磁性体〕
本発明のトナーは磁性トナーであっても非磁性トナーであっても良い。磁性トナーとして用いる場合は、磁性体として磁性酸化鉄を用いることが好ましい。磁性酸化鉄としては、マグネタイト,マグヘマタイト,フェライト等の酸化鉄が用いられる。トナーに含有される磁性酸化鉄の量は、ポリエステル樹脂A、ポリエステル樹脂Bの合計を100.0質量部としたときに、25.0質量部以上95.0質量部以下であることが好ましく、30.0質量部以上45.0質量部以下であることがより好ましい。
〔流動性向上剤〕
本発明のトナーには、無機微粉体等の流動性向上剤を用いることができる。流動性向上剤としては、以下のものが挙げられる。フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ;これらのシリカをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、又はシリコーンオイル等により表面処理した処理シリカ。好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、乾式法シリカ又はヒュームドシリカである。
その中でも、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を疎水化処理した処理シリカ微粉体が好ましく用いられる。処理シリカ微粉体は、メタノール滴定試験によって滴定された疎水化度が30以上98以下であることが好ましい。
シリカ微粉体の疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応する有機ケイ素化合物、あるいはシリカ微粉体を物理吸着する有機ケイ素化合物で化学的に処理する方法が挙げられる。好ましい方法は、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する方法である。有機ケイ素化合物としては、以下のものが挙げられる。ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフエニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1−ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、およびジメチルポリシロキサン。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
シリカ微粉体は、シリコーンオイルによって処理されていても良く、また、シリコーンオイルと上記有機ケイ素化合物とを併用して処理されていても良い。シリコーンオイルとしては、25℃における粘度が30mm/s以上1000mm/s以下であるものが好ましい。例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが挙げられる。
シリコーンオイルによるシリカ微粉体の疎水化処理の方法としては、以下の方法が挙げられる。シランカップリング剤で処理されたシリカ微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合する方法;ベースとなるシリカ微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法。あるいは適当な溶剤中にシリコーンオイルを溶解あるいは分散させた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法。シリコーンオイル処理シリカは、シリコーンオイルの処理後にシリカを不活性ガス中で温度200℃以上(より好ましくは250℃以上)で加熱し、表面のコートを安定化させたものがより好ましい。
無機微粉体は、トナー粒子100.0質量部に対して0.1質量部以上8.0質量部以下用いることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上4.0質量部以下である。
[その他外添剤]
本発明では、流動性向上や摩擦帯電量調整のために、その他の外添剤が添加されていてもよい。
当該外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウムの如き無機微粒子が好ましい。トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーの如き公知の混合機を用いることができるが、混合できればよく、特に装置は限定されるものではない。
[キャリア]
本発明のトナーは、長期にわたり安定した画像が得られるという点で、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることが好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、或いは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、公知のものを使用できる。
[製造方法]
本発明のトナーの製造方法は、乳化凝集法、溶融混練法、溶解懸濁法など従来公知のトナー製造方法であれば特に限定されないが、原材料の分散性の観点から溶融混練法が好ましい。
溶融混練法は、トナー粒子の原材料であるトナー組成物を溶融混練し、得られた混練物を粉砕することを特徴とする。製造方法の例を挙げて説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、ポリエステル樹脂A、ポリエステル樹脂B、有機金属化合物、必要に応じてワックス、着色剤等の他の成分を、所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂の中に他の原材料等を分散させる。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機((株)神戸製鋼所製)、TEM型2軸押出機(東芝機械(株)製)、PCM混練機((株)池貝製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。更に、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕した後、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業(株)製)、スーパーローター(日清エンジニアリング製)、ターボ・ミル(フロイント・ターボ(株)製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン(株)製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)の如き分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
他の製造方法として乳化凝集法について説明する。
乳化凝集法とは、目的の粒子径に対して、十分に小さい樹脂微粒子を前もって準備し、その樹脂微粒子を水系媒体中で凝集することによりコア粒子を製造する製造方法である。乳化凝集法では、樹脂微粒子の乳化工程、凝集工程、融合工程、冷却工程、洗浄工程を経てトナー粒子が製造される。また必要に応じて、冷却工程後にシェル化工程を加え、コアシェルトナーにすることもできる。
<樹脂微粒子の乳化工程>
ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂微粒子は公知の方法で調製できる。例えば、前記樹脂を有機溶剤に溶かして水系媒体に添加し、界面活性剤や高分子電解質と共にホモジナイザーなどの分散機により水系媒体に粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を除去することにより、樹脂粒子分散液を作製することができる。溶解させるために使用する有機溶剤としては、前記樹脂を溶解させるものであればどのようなものでも使用可能であるが、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルムなどが溶解性の観点から好ましい。
また、水系媒体中に前記樹脂と界面活性剤、塩基等を加え、クレアミックス、ホモミキサー、ホモジナイザーなどの高速剪断力をかける分散機により実質的に有機溶媒を含まない水系媒体で乳化分散することが環境負荷の点からこの好ましい。特に、沸点が100℃以下の有機溶剤の含有量が、100μg/g以下であることが好ましい。上記の範囲外の場合、トナーを製造する際、有機溶剤を除去、回収する工程が新たに必要になり、廃水処理対策に負荷がかかる。なお水系媒体中の有機溶剤含有量はガスクロマトグラフィー(GC)を用いて測定することができる。
乳化時に使用する界面活性剤としては、特に限定されるものでは無いが、例えば、以下のものが挙げられる。硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、カルボン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤。当該界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂微粒子の体積基準のメジアン径は0.05μm以上1.0μm以下が好ましく、0.05μm以上0.4μm以下がより好ましい。1.0μm超ではトナー粒子として適切な体積基準のメジアン径である4.0μm以上7.0μm以下のトナー粒子を得ることが困難になる。なお体積基準のメジアン径は動的光散乱式粒度分布計(ナノトラックUPA−EX150:日機装(株)製)を使用することで測定可能である。
<凝集工程>
凝集工程とは、上述の樹脂微粒子、色材微粒子、離型剤微粒子を必要量に応じて混合し混合液を調製し、ついで、調製された混合液中に含まれる粒子を凝集し、凝集体を形成させる工程である。当該凝集体を形成させる方法としては、例えば凝集剤を上記混合液中に添加・混合し、温度、機械的動力等を適宜加える方法が好適に例示できる。
上記凝集剤としては、例えば、ナトリウム、カリウム等の1価の金属の金属塩;カルシウム、マグネシウム等の2価の金属の金属塩;鉄、アルミニウム等の3価の金属の金属塩があげられる。
前記凝集剤の添加・混合は、混合液中に含まれる樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)以下の温度で行うことが好ましい。この温度条件下で上記混合を行うと、凝集が安定した状態で進行する。上記混合は、公知の混合装置、ホモジナイザー、ミキサー等を用いて行うことができる。
ここで形成される凝集体の重量平均粒径としては、特に制限はないが、通常、得ようとするトナー粒子の重量平均粒径と同じ程度になるよう4.0μm以上7.0μm以下に制御するとよい。制御は、例えば、上記凝集剤等の添加・混合時の温度と上記撹拌混合の条件を適宜設定・変更することにより容易に行うことができる。なお、トナー粒子の粒度分布はコールター法による粒度分布解析装置(コールターマルチサイザーIII:ベックマン・コールター(株)製)にて測定できる。
<融合工程>
融合工程とは、上記凝集体を、樹脂のガラス転移点(Tg)以上に加熱し融合することで、凝集体表面を平滑化させた粒子を製造する工程である。一次融合工程に入る前に、トナー粒子間の融着を防ぐため、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤等を適宜投入することができる。
キレート剤の例としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)及びそのNa塩等のアルカリ金属塩、グルコン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸カリウム及びクエン酸ナトリウム、ニトロトリアセテート(NTA)塩、COOH及びOHの両方の官能性を含む多くの水溶性ポリマー類(高分子電解質)が挙げられる。
上記加熱の温度としては、凝集体に含まれる樹脂のガラス転移温度(Tg)から、樹脂が熱分解する温度の間であればよい。加熱・融合の時間としては、加熱の温度が高ければ短い時間で足り、加熱の温度が低ければ長い時間が必要である。即ち、加熱・融合の時間は、加熱の温度に依存するので一概に規定することはできないが、一般的には10分〜10時間である。
<冷却工程>
冷却工程とは、上記粒子を含む水系媒体の温度を、コア用樹脂のガラス転移点(Tg)より低い温度まで冷却する工程である。冷却をTgより低い温度まで行わないと、粗大粒子が発生してしまう。具体的な冷却速度は0.1℃/分以上50℃/分以下である。
<シェル化工程>
また本発明では必要に応じて、下記の洗浄乾燥工程の前にシェル化工程を入れることができる。シェル化工程はこれまでの工程で作製した粒子に、樹脂微粒子を新たに添加し付着させて、シェル化させる工程である。
ここで添加する結着樹脂微粒子はコアに使用した結着樹脂微粒子と同一の構造でも良いし、異なる構造の結着樹脂微粒子でも良い。
このようなシェル層を構成する樹脂としては、特に限定はなく、トナーに用いられる公知の樹脂、例えばポリエステル樹脂、スチレン−アクリル共重合体などのビニル系重合体、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂等が使用できる。なかでも、ポリエステル樹脂またはスチレン−アクリル共重合体が好ましく、定着性及び耐久性の観点から、ポリエステル樹脂がより好ましい。ポリエステル樹脂は、主鎖中に剛直な芳香環を有する場合、スチレン−アクリル共重合体のようなビニル系重合体にくらべ可撓性を有するため、ビニル系重合体より低分子量のものであっても同等の機械的強度を付与できる。そのため、低温定着性に適した樹脂としてもポリエステル樹脂が好ましい。
本発明においては、上記のシェル層を構成する結着樹脂は単独で用いても良いが、2種以上組み合わせて用いてもよい。
<洗浄乾燥工程>
上記工程を経て作製した粒子を、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムでpHを調整されたイオン交換水で洗浄ろ過を行い、続いて、イオン交換水で洗浄、ろ過を複数回行う。その後、乾燥し、乳化凝集トナー粒子を得ることができる。
また、必要に応じて、溶融混練法等により得られたトナー粒子の表面に無機微粉体や樹脂粒子などの添加剤を加えて混合分散させ、その分散させた状態で熱風による表面処理により添加剤をトナー粒子表面に固着させる熱処理工程を行うことが好ましい。
例えば、図1で表される表面処理装置を用いて熱風により表面処理を行い、必要に応じて分級をすることによりトナーを得ることができる。
原料定量供給手段1により定量供給された混合物は、圧縮気体調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管を通過した混合物は、原料供給手段の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ熱処理が行われる処理室6に導かれる。
このとき、処理室に供給された混合物は、処理室内に設けられた混合物の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室に供給された混合物は、処理室内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
供給された混合物を熱処理するための熱は、熱供給手段7から供給され、分配部材12で分配され、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室内に熱風を螺旋状に旋回させて導入される。その構成としては、熱風を旋回させるための旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる。処理室内に供給される熱風は、熱風供給手段7の出口部における温度が100℃以上300℃以下であることが好ましく、130℃以上170℃以下であることがより好ましい。熱風供給手段の出口部における温度が上記の範囲内であれば、混合物を加熱しすぎることによるトナー粒子の融着や合一を抑制しつつ、トナー粒子を均一に球形化処理することが可能となる。このときの円形度としては、0.955以上0.980以下であることが好ましい。熱風は熱風供給手段出口11から供給される。
更に熱処理された熱処理トナー粒子は冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却され、冷風供給手段8から供給される温度は−20℃〜30℃であることが好ましい。冷風の温度が上記の範囲内であれば、熱処理トナー粒子を効率的に冷却することができ、混合物の均一な球形化処理を阻害することなく、熱処理トナー粒子の融着や合一を抑制することができる。冷風の絶対水分量は、0.5g/m以上15.0g/m以下であることが好ましい。
次に、冷却された熱処理トナー粒子は、処理室の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
また、粉体粒子供給口14は、供給された混合物の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、表面処理装置の回収手段10は、旋回された粉体粒子の旋回方向を維持するように、処理室の外周部に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体供給口から供給される熱処理前トナー粒子の旋回方向、冷風供給手段から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向である。そのため、処理室内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、熱処理前トナー粒子に強力な遠心力がかかり、熱処理前トナー粒子の分散性が更に向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃った熱処理トナー粒子を得ることができる。
その後、必要に応じ選択された無機微粉体や樹脂粒子などの外部添加剤を加えて混合他の無機微粒子を外添し、流動性付与、帯電安定性を向上させてもよい。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。
次に、本発明に関わる各物性の測定方法について記載する。
<ポリエステル樹脂Aの軟化点(Tm)の測定方法>
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」((株)島津製作所製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとなるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム(株)製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
<ポリエステル樹脂Aのガラス転移温度(Tg)の測定>
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、樹脂約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。一度180℃まで昇温させ10分間保持し、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度30〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度(Tg)とする。
<ポリエステル樹脂A及びポリエステル樹脂Bの重量平均分子量、ピーク分子量の測定>
樹脂のTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mLの流量で流し、THF試料溶液を約100μL注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては例えば、東ソー(株)製あるいは昭和電工(株)製の分子量が10〜10程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いることが適当である。また、検出器はRI(屈折率)検出器を用いる。尚、カラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせたものが良く、例えば以下の組み合わせが挙げられる。昭和電工(株)製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー(株)製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せ。
また、試料は以下のようにして作製する。
試料50mgをTHF10mL中に入れ、25℃で数時間静置した後、十分振とうし、THFとよく混ぜ(試料の合一体が無くなるまで)、更に12時間以上静置する。尚、THF中における静置時間の合計が24時間となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2μm以上0.5μm以下、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー(株)製)など使用できる。)を通過させたものをGPCの試料とする。
<ポリエステル樹脂B及びワックスの融点の測定>
結晶性ポリエステル樹脂B、ワックスの融点は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定したDSC曲線において、最大吸熱ピークのピーク温度を融点とする。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピーク温度を融点とする。200℃まで昇温させてからの保持時間はなく、200℃まで到達したらすぐに30℃まで降温させる。
<ポリエステル樹脂Aの酸価の測定>
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。本発明における酸価は、JIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
0.1mol/Lの水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学(株)製)を用いて滴定を行う。前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクターは、電位差滴定装置(京都電子工業(株)製 電位差滴定測定装置AT−510)を用いて求めることができる。0.100mol/Lの塩酸100mLを250mLトールビーカーに取り、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液の量から求める。前記0.100mol/Lの塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作製されたものを用いる。
下記に酸価測定の際の測定条件を示す。
滴定装置:電位差滴定装置AT−510(京都電子工業(株)製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業(株)製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT−WIN
滴定解析ソフト:Tview
滴定時における滴定パラメーター並びに制御パラメーターは下記のように行う。
滴定パラメーター
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:20mL
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
制御パラメーラー
終点判断電位:30dE
終点判断微分値:50dE/dmL
終点検出範囲の設定:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.1mL
本試験;
測定サンプル0.100gを250mLのトールビーカーに精秤し、トルエン/エタノール(3:1)の混合溶液150mLを加え、1時間かけて溶解する。前記電位差滴定装置を用い、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定する。
空試験;
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(3:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.611]/S
(式中、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。)
<ポリエステル樹脂Aの水酸基価の測定方法>
水酸基価とは,試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。本発明における水酸基価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
特級無水酢酸25.0gをメスフラスコ100mLに入れ、ピリジンを加えて全量を100mLにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス等に触れないように、褐色びんにて保存する。
1.0mol/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学(株)製)を用いて滴定を行う。前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクターは、電位差滴定装置(京都電子(株)製 電位差滴定測定装置AT−510)を用いて求めることができる。1.00mol/L塩酸100mLを250mLトールビーカーに取り、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液の量から求める。前記1.00mol/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作製されたものを用いる。
下記に水酸基価測定の際の測定条件を示す。
滴定装置:電位差滴定装置AT−510(京都電子工業(株)製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業(株)製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT−WIN
滴定解析ソフト:Tview
滴定時における滴定パラメーター並びに制御パラメーターは下記のように行う。
滴定パラメーター
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:80mL
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
制御パラメーラー
終点判断電位:30dE
終点判断微分値:50dE/dmL
終点検出範囲の設定:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.5mL
本試験;
粉砕した測定サンプル2.00gを200mL丸底フラスコに精秤し、これに前記のアセチル化試薬5.00mLを、ホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
フラスコの口に小さな漏斗をのせ、97℃のグリセリン浴中にフラスコ底部1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首の温度が浴の熱を受けて上昇するのを防ぐため、丸い穴をあけた厚紙をフラスコの首の付根にかぶせることが好ましい。
1時間後、グリセリン浴からフラスコを取り出して放冷する。放冷後、漏斗から水1.00mLを加えて振り動かして無水酢酸を加水分解する。さらに完全に加水分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱する。放冷後、エチルアルコール5.00mLで漏斗およびフラスコの壁を洗う。
得られたサンプルを250mLのトールビーカーに移し、トルエン/エタノール(3:1)の混合溶液100mLを加え、1時間かけて溶解する。前記電位差滴定装置を用い、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定する。
空試験;
試料を用いない以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
得られた結果を下記式に代入して、水酸基価を算出する。
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)、D:樹脂の酸価(mgKOH/g)である。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定>
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター(株)製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出する。測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムを脱イオン水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター(株)製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の(1)〜(7)の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mLの丸底ビーカー内に前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去する。
(2)ガラス製の100mLの平底ビーカー内に前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として下記の希釈液を約0.3mL加える。
・「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)を脱イオン水で3質量倍に希釈した希釈液。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス(株)製)の水槽内に所定量の脱イオン水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液中に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカー内に、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<トナーの平均円形度の測定方法>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス(株)製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス(株)製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度Cは、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200〜1.000の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」((株)ヴェルヴォクリーア製))を用いる。そして、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に該コンタミノンNを約2mL添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した該フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス(株)製)を使用した。該手順に従い調整した分散液を該フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を指定することにより、その範囲の粒子の個数割合(%)、平均円形度を算出することができる。トナーの平均円形度は、円相当径1.98μm以上39.96μm以下とし、トナーの平均円形度を求めた。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス(株)による校正作業が行われた、シスメックス(株)が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.98μm以上39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<ジルコニウム原子の定量方法>
有機金属化合物、約100mgをビーカーに精秤し、塩酸又は硝酸等の酸で加熱分解し、分解液を希硝酸で定容し、さらに必要に応じて希釈する。
上記の前処理で得られた溶液中のジルコニウム元素の濃度をICP発光分光分析法で算出した。
本発明では、セイコーインスツルメンツ製;シーケンシャル型ICP発光分光分析装置SPS1200VRを用い後は定法に従った。測定は前処理からの繰り返し数3(n=3)の平行試験で実施した。
<芳香族ヒドロキシカルボン酸の定量方法>
有機金属化合物、約100mgをサンプル管に精秤し、塩酸又は硝酸等の酸で加熱分解し、ジルコニウムと芳香族ヒドロキシカルボン酸とを解離させる。これにn−トリデカン(内部標準物)10mgと、アセトニトリル(10mL)を加え、激しく振り混ぜて、解離した芳香族ヒドロキシカルボン酸を溶解させる。この溶解液の1mLを0.5μmのフィルターでろ過し、このろ液にN,O−ビストリメチルシリルアセトアミド等のシリル化剤(0.5mL)を加え、激しく振り混ぜて分析試料とした。約20分静置後、上記試料をガスクロ分析にかけ、後は定法に従って、芳香族ヒドロキシカルボン酸を定量した。
定量されたジルコニウム原子の含有量とジルコニウムの原子量とからジルコニウム原子のモル数を算出し、定量された芳香族ヒドロキシカルボン酸の含有量と芳香族ヒドロキシカルボン酸の分子量とから芳香族ヒドロキシカルボン酸のモル数を算出する。そして、ジルコニウム原子のモル数と、芳香族ヒドロキシカルボン酸のモル数との比を求める。
以下、製造例及び実施例により本発明を説明する。ただし、以下の実施例は、本発明の技術的範囲を制限するものではない。製造例1〜26は、結晶性ポリエステル樹脂の製造例である。以下の説明において、部数は質量部基準である。
<ポリエステル樹脂Aの製造例>
(低分子量ポリエステル樹脂A(L)の製造例1)
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン: 72.0質量部
(0.20mol;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸: 28.0質量部
(0.17mol;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸スズ(エステル化触媒): 0.5質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸:3質量部
(0.01mol;多価カルボン酸総モル数に対して4.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持した状態で、1時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が94℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止めた(第2反応工程)。このようにして、低分子量ポリエステル樹脂A(L)−1を得た。得られた低分子量ポリエステル樹脂A(L)−1の軟化点(Tm)は94℃、ガラス転移温度(Tg)は57℃であった。
(低分子量ポリエステル樹脂A(L)の製造例2)
下記変更点以外は、低分子量ポリエステル樹脂A(L)の製造例1と同様にして低分子量ポリエステル樹脂A(L)−2を得た。
・変更点:エステル化触媒を、2−エチルヘキサン酸スズ:0.5質量部から、ジオクチルスズオキサイド:0.3質量部に変更した。
得られた低分子量ポリエステル樹脂A(L)−2の軟化点(Tm)は95℃、ガラス転移温度(Tg)は58℃であった。
(低分子量ポリエステル樹脂A(L)の製造例3)
下記変更点以外は、低分子量ポリエステル樹脂A(L)の製造例2と同様にして低分子量ポリエステル樹脂A(L)−3を得た。
・変更点:アルコール成分を、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから、下記式(c)であらわされる1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンに変更した。
得られた低分子量ポリエステル樹脂A(L)−3の軟化点(Tm)は93℃、ガラス転移温度(Tg)は56℃であった。
Figure 2018010114
(低分子量ポリエステル樹脂A(L)の製造例4)
・1,2−プロピレングリコール 40.0質量部(0.526mol)
・テレフタル酸 55.0質量部(0.331mol)
・アジピン酸 1.0質量部(0.007mol)
・チタンテトラブトキシド 0.6質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、220℃の温度で撹拌しつつ、8時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸 4.0質量部(0.021mol)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤) 0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持した状態で、4時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が93℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止めた(第2反応工程)。このようにして、低分子量ポリエステル樹脂A(L)−4を得た。得られた低分子量ポリエステル樹脂A(L)−4の軟化点(Tm)は94℃、ガラス転移温度(Tg)は57℃であった。
(高分子量ポリエステル樹脂A(H)の製造例1)
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン: 72.3質量部
(0.20mol;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸: 18.3質量部
(0.11mol;多価カルボン酸総モル数に対して65.0mol%)
・フマル酸: 2.9質量部
(0.03mol;多価カルボン酸総モル数に対して15.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸スズ(エステル化触媒): 0.5質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸: 6.5質量部
(0.03mol;多価カルボン酸総モル数に対して20.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤): 0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持した状態で、15時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が132℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止めた(第2反応工程)。このようにして、高分子量ポリエステル樹脂A(H)−1を得た。得られた高分子量ポリエステル樹脂A(H)−1の軟化点(Tm)は132℃、ガラス転移温度(Tg)は61℃であった。
(高分子量ポリエステル樹脂A(H)の製造例2)
下記変更点以外は、高分子量ポリエステル樹脂A(H)の製造例1と同様にして高分子量ポリエステル樹脂A(H)−2を得た。
・変更点:エステル化触媒を、2−エチルヘキサン酸スズ:0.5質量部から、ジオクチルスズオキサイド:0.3質量部に変更した。
得られた高分子量ポリエステル樹脂A(H)−2の軟化点(Tm)は133℃、ガラス転移温度(Tg)は62℃であった。
(高分子量ポリエステル樹脂A(H)の製造例3)
下記変更点以外は、高分子量ポリエステル樹脂A(H)の製造例2と同様にして高分子量ポリエステル樹脂A(H)−3を得た。
・変更点:アルコール成分を、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから、前記式(c)であらわされる1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンに変更した。
得られた高分子量ポリエステル樹脂A(H)−3の軟化点(Tm)は131℃、ガラス転移温度(Tg)は60℃であった。
(高分子量ポリエステル樹脂A(H)の製造例4)
・1,2−プロピレングリコール 40.0質量部(0.526mol)
・テレフタル酸 55.0質量部(0.331mol)
・アジピン酸 1.0質量部(0.007mol)
・チタンテトラブトキシド 0.6質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、220℃の温度で撹拌しつつ、8時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸 4.0質量部(0.021mol)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤) 0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持した状態で、4時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が130℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止めた(第2反応工程)。このようにして、高分子量ポリエステル樹脂A(H)−4を得た。得られた高分子量ポリエステル樹脂A(H)−4の軟化点(Tm)は132℃、ガラス転移温度(Tg)は61℃であった。
Figure 2018010114
<ポリエステル樹脂Bの製造例1>
・1,6−ヘキサンジオール 50.0質量部
・ドデカン二酸 50.0質量部
・ジオクチル酸スズ 1.0質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、6時間反応させ、次いで、200℃まで10℃/時間で昇温しつつ反応させてポリエステル樹脂B−1を得た。得られたポリエステル樹脂B−1は、重量平均分子量10,000、示差走査熱量分析によるDSC曲線において、70℃に最大吸熱ピークを有した。
<ポリエステル樹脂Bの製造例2〜11>
アルコール成分、酸成分の種類を表1及び表2に記載の様に変更し、それ以外は、製造例1と同様にしてポリエステル樹脂B−2〜B−11を得た。これらのポリエステル樹脂Bの物性を表2に示す。
Figure 2018010114
<有機金属化合物の製造例1>
有機金属化合物は、下記(1)〜(2)を経て得られる。
(1)相当する芳香族ヒドロキシカルボン酸あるいは芳香族ヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩を水、アルコール水溶液、アルコールに溶解し、塩化ジルコニウム水溶液と反応させる。
(2)芳香族ヒドロキシカルボン酸とジルコニウムの反応生成物を濾過、水洗する。
このとき芳香族ヒドロキシカルボン酸と塩化ジルコニウムの混合比、溶媒、添加順序、添加速度、反応温度、反応時間を調整して種々の有機ジルコニウム化合物を調製した。表3には、芳香族ヒドロキシカルボン酸の対Zrモル比の分析値を記した。
Figure 2018010114
<磁性コア粒子1の製造例>
・工程1(秤量・混合工程):
Fe 62.0質量部
MnCO 30.0質量部
Mg(OH) 7.0質量部
SrCO 1.0質量部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)(MgO)(SrO)(Fe
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
・工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
・工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
・工程5(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
・工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
<被覆樹脂1の調製>
(1)シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.5質量%
(2)メチルメタクリレートモノマー 0.5質量%
(3)メチルメタクリレートマクロモノマー 8.0質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
(4)トルエン 30.0質量%
(5)メチルエチルケトン 30.0質量%
(6)アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、(1)〜(5)を、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガスを導入して窒素ガスで系内を置換した。その後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。得られた被覆樹脂1 30質量部を、トルエン40質量部、及びメチルエチルケトン30質量部からなる混合溶液に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
<被覆樹脂溶液1の調製>
・重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.5質量%
・トルエン 66.0質量%
・カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.5質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m/g、DBP吸油量75mL/100g)
上記材料を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで2時間分散を行った。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
<磁性キャリア1の製造例>
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を充填コア粒子1の100質量部に対して樹脂成分として2.5質量部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%以上)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
<二成分系現像剤1の製造例>
磁性キャリア1を91.0質量部に対し、トナー1を9.0質量部加え、V型混合機(V−20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
[実施例1]
<トナー1の製造例>
・低分子量ポリエステル樹脂A(L)−1 75.00質量部
・高分子量ポリエステル樹脂A(H)−1 25.00質量部
・結晶性ポリエステル樹脂B−1 5.00質量部
・有機金属化合物1 1.00質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度90℃)
5.00質量部
・ビニル系樹脂重合体D 5.00質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.00質量部
該処方で示した原材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s−1、回転時間5minで混合した後、温度125℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、(株)池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、フロイント・ターボ(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン(株)製)を用い、分級を行い、トナー粒子を得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン(株)製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s−1で分級を行った。得られたトナー粒子は、重量平均粒径(D4)が5.8μmであった。
得られたトナー粒子 100質量部に、一次粒子の個数平均粒径115nmのシリカ微粒子 5.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)で、回転数30s−1、回転時間5minで混合した。得られた混合物を用い、図1で示す表面処理装置によって以下の運転条件で熱処理を行い、熱処理トナー粒子を得た。
・運転条件:フィード量=5kg/hr、熱風温度C=220℃、熱風流量=6m/min、冷風温度E=5℃、冷風流量=4m/min、冷風絶対水分量=3g/m、ブロワー風量=20m/min、インジェクションエア流量=1m/min
得られた処理トナー粒子は、平均円形度が0.963、重量平均粒径(D4)が6.2μmであった。
得られたトナー粒子100.0質量部に、下記の材料を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製FM−75型)で回転数30s−1、回転時間10minで混合し、目開き54μmの超音波振動篩を通過させトナー1を得た。
・イソブチルトリメトキシシラン15.0質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径50nmの酸化チタン微粒子 0.5質量部
・ヘキサメチルジシラザン20.0質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径15nmの疎水性シリカ微粒子 1.0質量部
得られたトナー1は、示差走査熱量分析によるDSC曲線において、70℃にポリエステル樹脂B由来の吸熱ピーク、90℃にワックス成分由来の吸熱ピークを有した。
<二成分現像剤1の製造例>
該トナー1とシリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(個数平均粒径35μm)とで、トナー濃度が8質量%になるようにV型混合機(V−10型:(株)徳寿製作所)で0.5s−1、回転時間5minで混合し、二成分系現像剤1を得た。
以下の方法(1)〜(3)に従って、トナーの性能評価を行った。
(1)現像安定性 評価 低印字率モード
キヤノン(株)製フルカラー複写機imagePRESS C800のシアンステーションに上記二成分系現像剤を入れ、予め空回転(トナー無補給)し現像剤にストレスを与えた後の画像評価を行った。この評価は低印字率、つまりはトナーの入れ替わりがほとんど無い状態での耐久性を促進的に評価する目的で行った。
具体的な手法としてはimagePRESS C800より取り出した現像器に上記評価用二成分系現像剤を配置し、現像器単独にて、現像ローラー及び撹拌部材を回転させることができる現像空回転治具を用いて行った。この空回転冶具にて、プロセススピード450mm/secに設定し、高温多湿環境下(温度37.5℃/相対湿度60%)において5時間空回転させた。得られた現像剤を用いて画像を出力し、白斑点の発生状況を評価した。
この白斑点は、現像時に現像キャリアがトナーと共に感光ドラム上に飛翔して、一次転写部でキャリア周辺のトナーが転写されないことで発生する現象である。これはトナーの現像性が著しく低下した時に発生する現象で、現像器内のトナーがストレスを受けトナーの表面に存在する流動性付与剤等が埋没し、トナー―キャリア間の非静電的付着力が増大することにより電界による飛翔力に応答できなくなり発生する。
画質評価はimagePRESS C800を用いて常温常湿環境下(温度23℃/相対湿度50%)にて、普通紙CS−680(68.0g/m)(キヤノンマーケティングジャパン(株)より販売)を使用して行った。X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)にて、紙上ベタ(FFh)濃度1.40となる現像条件で、A4サイズで17階調(00h〜FFh、各横帯10mm×290mm)を出力し発生個数をカウントした。
評価基準は以下とし、評価結果を表5に示す。(5時間空回転後 白斑点発生個数)
A:2個未満
B:2個以上5個未満
C:5個以上10個未満
D:10個以上20個未満
E:20個以上
(2)定着性評価
キヤノン(株)製フルカラー複写機imagePRESS C1+のシアンステーションに上記二成分系現像剤を入れた現像器を搭載し、定着温度を取り外した状態で画像形成できるように改造し、未定着画像を形成した。評価には、普通紙:OSE TOP COLOR PAPER(A4 100.0g/m)(キヤノンマーケティングジャパン(株)より販売)を用いた。
FFh画像(以下、ベタ部)のトナーの紙上への載り量が1.2mg/cmとなるように現像条件を適宜調整し、A4評価紙先端から3cm、評価紙中心の位置に2cm×10cmのベタ未定着画像を形成した。未定着画像は常温低湿環境下(温度25℃/相対湿度5%)にて24時間調湿した。
キヤノン(株)製フルカラー複写機imagePRESS C800から定着器を取り出し、プロセススピード、上下の定着部材温度を独立に制御できるように改造した定着試験用治具を低温低湿環境下(温度15℃/相対湿度10%)にて準備した。プロセススピードを450mm/secに調整し、下ベルト温度は90℃に固定した状態で、前記定着試験用治具の上ベルト温度を100〜200℃の範囲で5℃おきに調整した。前記の調湿済み未定着画像を通紙した。定着器を通過させた定着画像を4.9kPaの荷重をかけたレンズクリーニングワイパー(ダスパー 小津産業(株)製)で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10%以下になる点を定着温度とした。10%を超えて濃度低下がおこると定着できていないとの判定基準のもと、画像濃度低下率10%を超えない最も低い上ベルト設定温度を定着開始温度とし、下記の評価基準に従って評価した。評価結果を表5に示す。
(評価基準:低温定着性)
A:110℃未満
B:110℃以上140℃未満
C:140℃以上155℃未満
D:155℃以上180℃未満
E:180℃以上
(3)耐ホットオフセット性
評価には、普通紙:CS−680(A4 68.0g/m)(キヤノンマーケティングジャパン(株)より販売)を用いた。
FFh画像(以下、ベタ部)のトナーの紙上への載り量が0.07mg/cmとなるように現像条件を調整し、未定着のFFh画像を得た。
その後、低温定着性評価と同様に、キヤノン(株)製フルカラー複写機imagePRESS C800から取り外した定着器を改造した定着評価治具を用いて常温低湿環境(温度23℃/相対湿度10%)にて評価を行った。
画出し前の評価紙について反射率をリフレクトメータ(「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」、(有)東京電色製)によって測定し、5箇所測定した平均値をD(%)とした。上記外部定着器における定着温度を100〜200℃の範囲で5℃おきに調整し、各定着温度における定着画像の白地部についてリフレクトメータで反射率を測定し、最大値をD(%)とした。
そして、D(%)とD(%)の差が0.5%を超えない、最も高い定着温度を定着上限温度とし、下記の基準にて耐ホットオフセット性を評価した。評価結果を表5に示す。
(評価基準:対ホットオフセット性)
A:220℃以上
B:205℃以上220℃未満
C:190℃以上205℃未満
D:175℃以上190℃未満
E:175℃未満
Figure 2018010114

現像剤9〜20及び比較現像剤1〜8において、ポリエステル樹脂A(L)−1〜4は、低分子量ポリエステル樹脂A(L)微粒子分散液(1)〜(4)を表す。ポリエステル樹脂A(H)−1〜4は、高分子量ポリエステル樹脂A(H)微粒子分散液(1)〜(4)を表す。ポリエステル樹脂B−7〜11は、ポリエステル樹脂B微粒子分散液(7)〜(11)を表す。有機金属化合物1〜11は、有機金属化合物微粒子分散液(1)〜(11)を表す。
Figure 2018010114
[実施例2〜7]
ポリエステル樹脂B−1を、表4に記載の様に、ポリエステル樹脂B−2〜B−7変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー2〜7を作製し、同様に二成分現像剤2〜7を作製した。
さらに、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表5に示す。
[実施例8]
<トナー8の製造例>
・非晶性低分子量ポリエステル樹脂A(L)−1 75.00質量部
・非晶性高分子量ポリエステル樹脂A(H)−1 25.00質量部
・結晶性ポリエステル樹脂B−7 5.00質量部
・有機金属化合物1 1.00質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度90℃)
5.00質量部
・ビニル系樹脂重合体D 5.00質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.00質量部
該処方で示した原材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s−1、回転時間5minで混合した後、温度125℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、(株)池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、フロイント・ターボ(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン(株)製)を用い、分級を行い、トナー粒子を得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン(株)製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s−1として分級を行った。得られたトナー粒子は、重量平均粒径(D4)が5.7μmであった。
得られたトナー粒子100.0質量部に、下記の材料を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製FM−75型)で回転数30s−1、回転時間10minで混合し、目開き54μmの超音波振動篩を通過させトナー8を得た。
・一次粒子の個数平均粒径110nmのシリカ微粒子 5.0質量部
・イソブチルトリメトキシシラン15.0質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径50nmの酸化チタン微粒子 1.0質量部
・ヘキサメチルジシラザン20.0質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径16nmの疎水性シリカ微粒子 0.8質量部
<二成分現像剤8の製造例>
該トナー8とシリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(個数平均粒径35μm)とで、トナー濃度が9質量%になるようにV型混合機(V−10型:(株)徳寿製作所)で0.5s−1、回転時間5minで混合し、二成分系現像剤8を得た。
実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表5に示す。
<高分子量ポリエステル樹脂A(H)微粒子分散液(1)の製造例>
高分子量ポリエステル樹脂A(H)−1 100質量部をテトラヒドロフラン150質量部に溶解した。このテトラヒドロフラン溶液を室温においてホモジナイザー(IKAジャパン製:ウルトラタラクス)にて10,000rpmで2分間攪拌した。攪拌しながら、界面活性剤として水酸化カリウム5質量部およびドデシルベンゼン−スルホン酸ナトリウム10質量部を添加したイオン交換水1000質量部を滴下した。この混合溶液を約75℃に加温することによりテトラヒドロフランを除去した。その後、固形分が8%になるようにイオン交換水で希釈し、体積平均粒径0.09μmの高分子量ポリエステル樹脂A(H)微粒子分散液(1)を得た。
<高分子量ポリエステル樹脂A(H)微粒子分散液(2)〜(4)の製造例>
前記高分子量ポリエステル樹脂A(H)−1を高分子量ポリエステル樹脂A(H)−2〜4に変更する以外は前記高分子量ポリエステル樹脂A(H)微粒子分散液(1)の調製と同様にして高分子量ポリエステル樹脂A(H)微粒子分散液(2)〜(4)を得た。
<低分子量ポリエステル樹脂A(L)微粒子分散液(1)〜(4)の製造例>
前記高分子量ポリエステル樹脂A(H)−1を低分子量ポリエステル樹脂A(L)−1〜4に変更する以外は前記高分子量ポリエステル樹脂A(H)微粒子分散液(1)の調製と同様にして低分子量ポリエステル樹脂A(L)微粒子分散液(1)〜(4)を得た。
<ポリエステル樹脂B微粒子分散液(7)〜(11)の製造例>
前記高分子量ポリエステル樹脂A(H)−1をポリエステル樹脂B−7〜11に変更する以外は前記高分子量ポリエステル樹脂A(H)微粒子分散液(1)の調製と同様にしてポリエステル樹脂B微粒子分散液(7)〜(11)を得た。
<有機金属化合物微粒子分散液(1)の製造例>
・有機金属化合物1 10.0質量部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンRK) 1.5質量部
・イオン交換水 88.5質量部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業(株)製)を用いて約1時間分散して、色材を分散させてなる色材微粒子の水系分散液を調製した。また、動的光散乱式粒度分布径(ナノトラック:日機装(株)製)を用いて測定した体積基準のメジアン径は、0.30μmであった。
<有機金属化合物微粒子分散液(2)〜(11)の製造例>
前記有機金属化合物微粒子分散液(1)の調製において、前記有機金属化合物1を有機金属化合物2〜11に変更する以外は同様にして、有機金属化合物微粒子分散液(2)〜(11)を得た。
<色材微粒子分散液の製造例>
・色材(シアン顔料 大日精化工業(株)製:Pigment Blue 15:3)10質量部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンRK) 1.5質量部
・イオン交換水 88.5質量部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業(株)製)を用いて約1時間分散して、色材を分散させてなる色材微粒子の水系分散液を調製した。また、動的光散乱式粒度分布径(ナノトラック:日機装(株)製)を用いて測定した体積基準のメジアン径は、0.20μmであった。
<離型剤微粒子分散液の製造例>
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度90℃)5.0質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンRK) 1.0質量部
・イオン交換水 89質量部
以上を撹拌装置付きの混合容器に投入した後、90℃に加熱し、クレアミックスWモーション(エム・テクニック(株)製)へ循環しながらローター外径が3cm、クリアランスが0.3mmの剪断撹拌部位にて、下記の条件にて撹拌し、60分間分散処理した。
・ローター回転数19,000r/min、スクリーン回転数19,000r/min
その後、ローター回転数1000r/min、スクリーン回転数0r/min、冷却速度10℃/minの冷却処理条件にて40℃まで冷却することで、離型剤微粒子の水系分散液を得た。また、動的光散乱式粒度分布径(ナノトラック:日機装(株)製)を用いて測定した体積基準のメジアン径は、0.15μmであった。
[実施例9]
(トナー粒子9の製造例)
・低分子量ポリエステル樹脂A(L)微粒子分散液(1) 75.00質量部(樹脂相当分)
・高分子量ポリエステル樹脂A(H)微粒子分散液(1) 25.00質量部(樹脂相当分)
・ポリエステル樹脂B微粒子分散液(1) 5.00質量部(樹脂相当分)
・有機金属化合物微粒子分散液(1) 1.00質量部(有機金属相当分)
・離型剤微粒子分散液 5.00質量部(離型剤相当分)
・色剤微粒子分散液 5.00質量部(色剤相当分)
・1.5質量%硫酸マグネシウム水溶液 10質量部
上記を、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた。続いて、0.1N水酸化ナトリウム水溶液でpHを8.1に調整した。その後、加熱用ウォーターバス中で45℃まで撹拌翼にて撹拌しながら加熱した。45℃で1時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.5μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。5質量%クエン酸三ナトリウム水溶液40質量部を加えた後、撹拌を継続しながら85℃まで昇温して90分間保持しコア粒子を融合させた。次いで、撹拌を継続しながら、ウォーターバス内に水を入れ、25℃まで冷却した。また、コア粒子の粒径をコールター法による粒度分布解析装置(コールターマルチサイザーIII:ベックマン・コールター(株)製)で測定したところ、体積基準のメジアン径は5.6μmであった。
その後、ろ過・固液分離した後、水酸化ナトリウムでpHを8に調整した800質量部のイオン交換水を固形分に加え30分間撹拌洗浄した。その後再びろ過・固液分離を行った。続いて、800質量部のイオン交換水を固形分に加え30分間撹拌洗浄した。その後再びろ過・固液分離を行い、これを5回繰り返した。次に、得られた固形分を乾燥させることにより、トナー粒子9を得た。
得られたトナー粒子9の100質量部に、一次粒子の個数平均粒径15.0nmのシリカ微粒子 1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型)で回転数31.6s−1、回転時間5min混合し、目開き54μmの超音波振動篩を通過させトナー9を得た。
<二成分現像剤9の製造例>
該トナー9とシリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(個数平均粒径35μm)とで、トナー濃度が9質量%になるようにV型混合機(V−10型:(株)徳寿製作所)で0.5s−1、回転時間5minで混合し、二成分系現像剤9を得た。
実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表5に示す。
[実施例10〜20及び比較例1〜7]
高分子量ポリエステル樹脂A(H)、低分子量ポリエステル樹脂A(L)、ポリエステル樹脂B及び有機金属化合物を、表4に記載の様に変更した以外は、実施例9と同様にして、トナー10〜20及び比較トナー1〜7を作製した。また、同様に二成分現像剤10〜20及び比較二成分現像剤1〜7を作製した。
さらに、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表5に示す。
[比較例8]
高分子量ポリエステル樹脂A(H)、低分子量ポリエステル樹脂A(L)、ポリエステル樹脂Bを、表4に記載の様に変更し、有機金属化合物を下記式(VI)に記載の化合物(「DTBS−Zn」とも記載する。)に変更した以外は、実施例9と同様にして、比較トナー8を作製し、同様に比較二成分現像剤8を作製した。
さらに、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表5に示す。
Figure 2018010114
1.原料定量供給手段
2.圧縮気体流量調整手段
3.導入管
4.突起状部材
5.供給管
6.処理室
7.熱風供給手段
8.冷風供給手段
9.規制手段
10.回収手段
11.熱風供給手段出口
12.分配部材
13.旋回部材
14.粉体粒子供給口

Claims (6)

  1. ポリエステル樹脂A、ポリエステル樹脂B及び有機金属化合物を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記ポリエステル樹脂Aは、芳香族多価アルコールを80mol%以上含有するアルコール成分と多価カルボン酸成分とを縮重合して得られた非晶性ポリエステル樹脂であり、
    前記ポリエステル樹脂Bは、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールを80mol%以上含有するアルコール成分と、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸を80mol%以上含有するカルボン酸成分とを縮重合して得られた結晶性ポリエステル樹脂であり、
    前記有機金属化合物は、ジルコニウムと芳香族ヒドロキシカルボン酸との反応によって生成された有機ジルコニウム化合物であって、該有機ジルコニウム化合物が、ジルコニウム原子1molに対して芳香族ヒドロキシカルボン酸単位を1.2〜1.8mol含有することを特徴とするトナー。
  2. 前記芳香族ヒドロキシカルボン酸が、サリチル酸、5−メチルサリチル酸、3,5−ジメチルサリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、5−メトキシサリチル酸、3−メチル−5−プロピルサリチル酸、及び5−tert−ヘプチルサリチル酸からなる群から選択される1以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記ポリエステル樹脂A中の芳香族多価アルコールは、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナーの製造方法であって、
    下記式(i)で表されるスズ化合物を触媒として、芳香族多価アルコールを80mol%以上含有するアルコール成分と多価カルボン酸成分とを縮重合することにより前記ポリエステル樹脂Aを得る工程、
    を含むトナーの製造方法。
    Figure 2018010114
    (式中Rは炭素数5〜15のアルキル基を示す)
  5. 前記ポリエステル樹脂A、前記ポリエステル樹脂B及び有機金属化合物を含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を粉砕してトナー粒子を得る工程、
    を含む請求項4に記載のトナーの製造方法。
  6. 前記トナー粒子を熱処理する工程を含む請求項4又は5に記載のトナーの製造方法。
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