以下、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明の効果を奏する範囲であれば、下記実施形態に制限されるものではない。
本発明の養液栽培装置に使用する定植パネル板は、定植パネル板の上面から下面まで貫通する多数の植え穴を有する。
定植パネル板の植え穴は、特に限定されるものではないが、植え穴の水平断面が円形であり、かつ植え穴の水平断面積は、定植パネル板の上面側が定植パネル板の底面側より大きい形状であることが好ましい。また、固形培地は、上部側面から側方に張り出す張出部を有していることが好ましい。この張出部の平面視形状は、特に限定することはないが、好ましくは角形、例えば多角形状である。この張出部が、前記植え穴の内面の係止部で係止する構造となっている。
なかでも、植え穴に設置する固形培地の係止位置を均一にそろえることができる構造として、円筒形状の内面に係止部を設ける構造とすることが好ましい。
植え穴の係止部は、定植パネル板の上面側から底面側に向けて漸次内径が小さくなるような構造としてもよく、定植パネル板の上面側を等径の円筒形状とし、円筒形状部の下側を、テーパー状に内径を小さくする構造でもよい。また、定植パネル板の上面側を大きい内径の大径円筒形状とし、それよりも下側を内径が小さい小径円筒部とし、両者の境界部分の植え穴内面に段差部を設け、この段差部を係止部とする構造でもよい。また、これらを組み合わせた形状でもよい。
なお、植え穴の係止部よりも上側を円筒状とすると、固形培地を植え穴に挿入するときに固形培地の傾きが防止される。
前記係止部は、定植パネル板の底面側に向かって植え穴の穴径が縮小するように傾斜するテーパー形状とすることが好ましい。係止部をこのようなテーパー形状とすることで、係止部に水や汚れが溜ることが防止され、菌類が繁殖することを抑制することができる。
また、係止部をテーパー形状とした場合には、係止部よりも下側を円筒状とすると、植え穴の下縁付近における定植パネル板の強度が高くなる。
本発明では、固形培地を植え穴に配置した定植パネル板をプレート上に載置した場合、固形培地がプレートの凹条に当接し、固形培地の張出部が係止部から上方に離反する構造とすることが好ましい。この状態において、係止部よりも上側の大径円筒部の内径と固形培地の張出部とのクリアランスは2〜10mmが好ましく、3〜8mmがより好ましい。
植え穴の小径円筒部の内径と、固形培地の張出部よりも下側部分とのクリアランスは5mm以下が好ましく、0.1〜3mmがより好ましい。
定植パネル板の植え穴の形状を上記の形状とすることで、この植え穴に固形培地を設置する際、定植パネル板の植え穴の上面側から固形培地を抵抗なく挿入するこができ、かつ植え穴に挿入した固形培地が、該植え穴から落下することなく、固形培地が植え穴の途中で係止される。また、これにより定植パネル板に固形培地を挿入した状態で、定植パネル板を移動することも可能となる。
本発明で用いる固形培地は、固形培地側面の上部に、側方に張り出す張出部を有していることが好ましい。固形培地の上部の平面視形状(張出部の外縁の平面視形状)は非円形であることが好ましく、特に角形、例えば多角形状であることが好ましく、具体的には、三角以上八角以下とりわけ三角以上六角以下であることが好ましい。張出部の平面視形状を上記とすることで、定植パネル板の植え穴に固形培地を挿入した際、植え穴内面の係止部に固形培地が係止され易くなり、かつ、係止した状態において、植え穴の内面と固形培地の張出部との間に空間ができ、定植パネル板の上面側と下面側との間の通気性が良好となる。この結果、固形培地中の環境が悪化して藻が発生したり、根が腐ったりすることが抑制される。
張出部の材質は、特に限定されるものではなく、固形培地と同様の材質としてもよく、異なる材質、たとえばプラスチック等で、フィルム状で成形して設けたり、射出成型等形成したリブ部としても良い。費用面や刈取り後の廃棄作業等を考慮すると固形培地と同様の材質とすることが好ましく、特に同一材料によって固形培地と一体に設けられることが好ましい。
固形培地の張出部以外の水平断面形状は、特に限定されるものではなく、円柱形状でもよく、張出部と同様に角形状であってもよい。定植パネル板の植え穴と固形培地との間の気道を確保するという観点から、固形培地の張出部よりも下側も、水平断面形状を角形状とすることが好ましい。
固形培地の材質は、特に限定されるものではなく、一般的に入手できる固形培地に使用されている材料とすることができる。たとえば、ロックウール、ピートモス、バーミキュライト、パーライト、砂、れき、ヤシ殻や、スポンジ、ウレタンなどの発泡樹脂を単独で使用することもでき、これらの材料の混合物などを使用することができる。
従来の養液栽培装置では、栽培ベット槽が設置してある場所で、栽培ベット槽に定植パネル板を配置させ、次に定植パネル板に固形培地を定植していく手順でしか定植作業を行うことができなかった。また、定植パネル板の幅の設計は、人の手が届く範囲(60〜70cm程度)に制限されることを余儀なくされていたが、上述の構造とすることで、栽培ベット槽が設置してある場所とは別の場所で定植パネル板の植え穴に固形培地を配置し、固形培地がセットされた定植パネル板ごと移動させることも可能となる。また、定植パネル板の幅の設計制限も緩和すことができ、圃場でのパネル占有率を向上できる。本発明の養液栽培用装置によれば、栽培の定植作業を自動化することも容易となる。
本発明では、平行に交互に配列された複数の凸条及び凹条を有するプレート上に定植パネル板を載置する。この場合、固形培地は、前記プレートの凹条に載置され、プレートは、好ましくは凹条に沿って養液が流れるように勾配を設けて設置される。
更に、前記定植パネル板は、前記プレートの凸条に当接して載置されることが好ましい。従来の栽培ベット槽の構造では、定植パネル板を支えるために定植パネルの両端部付近や中心部に定植パネル板が上方から載荷される支え部が必要であった。このような支え部を設けた場合、支え部では固形培地を配置して栽培することができないため、栽培面積のロスが生じていた。これに対し、定植パネル板を前記プレートの複数の凸条で支持させる構成にすると、定植パネル板が上方から載荷される支え部が必要なく、栽培面積のロスを抑制することができる。
本発明に使用される定植パネル板は、抗菌性能を有する抗菌定植パネル板が好ましい。抗菌性能を有する定植パネル板を使用することにより、栽培中の菌や藻の繁殖を抑制することができる。更に、定植パネル板への藻の繁殖や植物の根の侵入が抑制されるため、収穫作業を終えた後、定植パネル板を洗浄する場合の作業時間を短縮することができる。
抗菌定植パネル板に使用する抗菌剤は、特に限定することなく、各種の抗菌剤を使用することができる。好ましく使用することができるものとしては、銀系抗菌剤や光触媒系抗菌剤などがあげられる。
本発明に使用されるプレートは、合成樹脂製であることが好ましい。合成樹脂プレートは、錆等が発生せず、メンテナンスが容易であると共に、軽量である。この合成樹脂プレートの引張弾性率は、200〜3000MPaであることが好ましく、300〜2600MPaであることが更に好ましく、400〜2300MPaであることが特に好ましい。合成樹脂プレートの引張弾性率を200MPa以上とすることで、定植パネル板を載置したときの合成樹脂プレートの変形が抑制される。これにより、凹条を流れる養液の流れが安定化する。
合成樹脂プレートの合成樹脂は、特に限定されるものではなく、各種の合成樹脂を使用することができる。たとえば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等を使用することができる。中でも、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂を好ましく使用することができる。
合成樹脂プレートは、ガラス繊維等の補強繊維で補強されてもよい。また、合成樹脂プレートにガラスネットや鋼板等を積層した積層構造の合成樹脂系積層プレートを用いることもできる。
また、本発明では、プレートの表面粗さ(Ra)の値を0.1μm以上とすることが好ましく、1μm以上とすることがより好ましく、2μm以上とすることが更に好ましい。また、表面粗さ(Ra)の値を100μm以下とすることが好ましく、70μm以下とすることがより好ましく、50μm以下とすることが更に好ましい。プレートの表面粗さ(Ra)の値を0.1μm以上とすることで、該プレートの表面の親水性が向上する。これにより、植物の根への養液供給をより良好とすることができ、植物の生育状態をより良好とすることができる。
なお、本発明でいう「表面粗さ(Ra)」とは、JIS B0601(2001)にて定義される「算術平均粗さRa」をいう。
表面粗さが上記範囲であるプレートは、例えば、表面粗さが適宜設定する数値となるように樹脂の配合を調整して連続押し出し成形することにより製造することができる。また、プレートの表面をサンドペーパーがけしたり、サンドブラスト処理するなどの粗面化処理を施すことによっても製造することができる。
プレートは、凸条及び凹条の延在方向と直交方向の断面が波板形状(例えばサインカーブ形状)の波板プレートであることが好ましい。波板プレートは、養液が流れる凹条が凹曲面となるため、養液をより安定して流すことできる。
栽培ベットの幅が広い場合は、複数枚の波板プレートを、隣接する波板プレートの長側辺同士を重ねあわせて並列して設置することが好ましい。隣接する一方の波板プレートの長側辺に沿う1.5〜5条程度の凸条と他方の波板プレートの長側辺に沿う1.5〜5条程度の凸条とを係合させることにより、波板プレート同士の長側辺に沿う該プレートの継ぎ目から養液が漏水することが防止される。これにより、従来は漏水防止として使用していた防水シートを不要とすることが可能となる。
波板プレートの波のピッチ(すなわち凸条の最頂部から隣接凸条の最頂部までの距離)は、使用される固形培地の径によって決められる。波のピッチが固形培地の直径より小さいと、固形培地が凹条に入らない。固形培地の外径(円形の場合は直径、角形の場合は対角線長さ、楕円の場合は長径)は、波板プレートの波のピッチの10〜50%特に20〜40%程度が好ましい。
このプレートの上面の凹条を流れる養液の液深は、凹条の深さ(凸条の最頂部と凹条の最底部との高低差)の10〜50%特に20〜45%程度が好ましい。
本発明の養液栽培装置は、供給する養液を予め設定された温度範囲内に保持する温度調整手段と養液の濃度調整手段とを備えてもよい。
この温度調整手段により、循環する養液の温度を、年間を通して予め設定された範囲内に保持することが好ましい。この温度調整手段は、養液タンク内の温度を検出する温度センサと、養液タンク内に配置されて養液と熱交換する熱交換器と、この熱交換器に熱媒体を供給する熱媒体供給ライン(温度調整ライン)と、この熱媒体供給ラインに介装されて温度センサからの検出信号により上記熱媒体の熱交換器への供給量を制御する制御弁等から構成することができる。
また、前記濃度調整手段は、互いに種類や濃度の異なる養液を貯留する複数の養液の原液タンクと、各々の原液タンク内の養液の原液をポンプによって養液タンクへ送る移送ラインと、これら移送ラインに介装された三方切換弁(開閉弁)等から構成され、循環する養液の濃度を調整することができるものが好ましい。
本発明に規定する構造、つまり、植え穴の内面と固形培地の側面との間に、定植パネル板の上下を連通する通気スペースを確保する定植パネル板を用い、平行に交互に配列された複数の凸条及び凹条を有するプレート上に該定植パネル板を載置する構成を備えた養液栽培装置によると、水中で生育する水中根と、湿気中に維持され多数の根毛を有する湿気中根の2つの異なった形態・機能を持った根を発生させることができる。水中根は主に養液中の肥料と水を吸収し、湿気中根は主に湿気中から直接酸素を吸収する。特に、植え穴の内面と固形培地の側面との間に、定植パネル板の上下を連通する通気スペースを確保したことで、プレートの凸条と凹条と定植パネル板で囲まれたスペースに、前記通気スペースから空気をより多く取り込むことが可能となり、湿気中からの酸素の吸収効率をよくすることができる。
本発明の養液栽培装置及び栽培方法によれば、養液中の溶存酸素だけに頼らず植物が酸素を吸収することが可能であり、溶存酸素が不足しやすい高温期の栽培でも植物の根が酸素欠乏に陥ることがない。
この定植パネル板、固形培地及び波板プレートの好適な構成について図1〜10を参照して説明する。
図6の通り、軽量な発泡スチロール等で成型された定植パネル板1には多数(図6では45個)の植え穴10が穿設されている。定植パネル板1の大きさは、栽培する植物の構成や、最適なベンチの構造によって適宜設定するが、一例を示すと幅1140mm、奥行き600mm、厚み35mmである。植え穴10の間隔は、作物栽培上適正な間隔に決める。
この定植パネル板1の植え穴10に固形培地20が挿入され、この固形培地20を保持した定植パネル板1が、栽培装置のベース51(図2,9,10)上の波板プレート40の上面に配置される。
図8に固形培地20を示し、図6,7,9に定植パネル板1及びその植え穴10の構造の詳細を示す。なお、図6は定植パネル板1の平面図、図7は図6のVII−VII線断面図、図8(a)は、植え穴10と係合される状態における固形培地20の斜視図、図8(b)は図8(a)のB−B線断面図、図9は植え穴10と固形培地20と波板プレート40との係合関係を示す縦断面図である。
この植え穴10は、上部が大径円筒部11となっており、該大径円筒部11よりも下側が下方に向って小径となるテーパー部12となっており、その下側が小径円筒部14となっている。大径円筒部11の上縁内周面は面取り部13となっている。大径円筒部11の軸心線方向長さは、定植パネル板1の厚みの50〜90%特に60〜80%程度が好ましい。テーパー部12の下端の直径は、大径円筒部11の直径の55〜90%特に65〜85%程度が好ましい。
テーパー部12の下側の小径円筒部14は、テーパー部12の下端に連なり、定植パネル板1の下端にまで達している。小径円筒部14の直径は、テーパー部12の下端の直径に等しい。このように小径円筒部14を設けると、植え穴10Aの下縁付近の強度が高くなる。このため、固形培地20の重量が大きい場合でも固形培地20をしっかりと保持することができる。
この植え穴10に配置される固形培地20は、図8の通り、直方体形の本体部21と、該本体部21の上部側面から側方に張り出す張出部22とを有する。この実施の形態では、固形培地20の上面に、播種して幼苗を生育させるための播種穴23が設けられている。
この固形培地20としては、商品名タコブロックとして日東紡株式会社より市販されているロックウール製培地を切断したものなどを好適に用いることができるが、これに限定されない。
固形培地本体部21の水平断面形状は正方形が好ましいが、正方形に近い長方形でもよい。
固形培地本体部21の底面の対角線長さは、植え穴10の小径円筒部14の内径よりも小さく、該内径と該対角線長さとの差は8mm以下特に0〜4mm程度が好ましい。
この固形培地20の平面視形状、すなわち張出部22の外周縁を上方から見たときの形状は正方形が好ましいが、正方形に近い長方形であってもよい。
張出部22が固形培地本体部21の側面から張り出す張り出し長さtは1〜10mm特に2〜5mm程度が好ましい。固形培地20の上面すなわち張出部22の上面の対角線長さWは、植え穴10の大径円筒部11の内径よりも2〜25mm特に4〜15mm小さく、またテーパー部12の下端内径よりも1〜15mm特に2〜10mm大きいことが好ましい。
固形培地20の寸法の一例を挙げると、張出部22上面の対角線長さ(W)32mm、固形培地本体部21底面の対角線長さ28mm、張出部22の張り出し長さ(t)1.4mm、張出部22の高さ(h)8mm、固形培地20の高さ(H)28mmである。この固形培地20を受け入れる植え穴10の寸法の一例を挙げると、定植パネル板厚さ35mm、大径円筒部11の高さ(面取り部13を含む)27mm、テーパー部12の高さ5mm、大径円筒部11の直径38mm、テーパー部12の下端の直径28.5mm、小径円筒部14の直径28.5mm、小径円筒部14の高さ3mmである。
この固形培地20を、固形培地本体部21側から植え穴10内に挿入すると、図9(a)の通り、張出部22がテーパー部12の途中に係合し、固形培地本体部21の下部が定植パネル板1の下面から下方に突出した状態となる。
この植え穴10は、上部がストレートな円筒形状の大径円筒部11であるので、固形培地20を植え穴10に挿入するときに固形培地20が傾くことが防止され、スムーズに図9(a)の状態となる。後述の植え穴10Aの場合も同様である。
このように固形培地20が植え穴10を通り抜けずに係止されるので、各植え穴10にそれぞれ固形培地20を配置した状態で定植パネル板1を運搬することができる。従って、定植パネル板1の植え穴10に固形培地20を挿入する作業を、栽培装置のベース51の設置箇所とは別の場所で行うことができる。また、植物が成長した後、固形培地20を備えた定植パネル板1をベース51上の波板プレート40から取り外して別の場所に運搬し、固形培地20を定植パネル板1から取り出すこともできる。
波板プレート40は、図1〜3に明示の通り、平行に交互に配列された凸条41及び凹条42を有している。波板プレート40は、平面視形状が長方形であり、凸条41及び凹条42は長方形の長手方向に延在している。波板プレート40の短手方向(以下、単に幅方向ということがある。)の断面形状はサインカーブ形状である。凸条41のピッチ(又は凹条42のピッチ)すなわち隣接する凸条41,41の最頂部同士の距離(又は凹条42,42の最底部同士の距離)は、定植パネル板1における植え穴10の列同士の距離P(図2)に合致している。
複数枚の波板プレート40を幅方向に並列配置する場合は、図3のように、波板プレート40の長側辺同士を重ね合わせる。具体的には、左側に位置する波板プレート40の右長側辺と右側に位置する波板プレート40の左長側辺とを重ね合わせ、各々の凸条41同士及び凹条42同士を係合させる。1.5〜4条の凸条41同士及び凹条42同士を係合させると、波板プレート40,40の重ね合わせた長側辺部分からの漏水は生じないようになる。
なお、並列配置された複数枚の波板プレート40のうち、左端側の波板プレート40の左長側辺と、右端側の波板プレート40の右長側辺は、他の波板プレートの長側辺とは重ならない自由長側辺となっている。この実施の形態では、この自由長側辺を図4(a),(b)又は(c)のように上方に曲成して側壁43を形成する。この側壁43を設けることにより、波板プレート40の凹条42を流れる養液が側方へ溢出することが防止される。波板プレート40は、長手方向に流水勾配を有するようにベース51上に配置される。
波板プレート40の長手方向の長さの一例を挙げると、約1.8〜6mである。複数の波板プレート40を長手方向に継ぎ足すことにより、波板プレート40の連続体とすることができる。波板プレート40を長手方向に継ぎ足すには、図5のように、下流側の波板プレート40の上流端と、上流側の波板プレート40の下流端とを重ね合わせ、各波板プレート40の凸条41同士及び凹条42同士を係合させる。波板プレート40,40同士の重なり合い長さFを100〜400mm程度とすると、長手方向に連なる波板プレート40,40同士の重なり合い部分からの漏水は防止される。
複数の波板プレート40を横方向(幅方向)及び縦方向(長手方向)に継ぎ足すように辺部を重ね合わせて栽培ベットのベース51上に配設する。ベース51は発泡スチロール等の成形品よりなる。このベース51の上面は、好ましくは1/50〜1/200程度の勾配を有している。波板プレート40は、長手方向がこの勾配方向となるように配設される。これにより、波板プレート40の凹条42は流水勾配を有したものとなる。
好ましくは、ベース51上に複数の波板プレート40を図3、図5のように長手方向及び短手方向の辺部を重ね合わせて設置する。横幅方向の両側の波板プレート40には、一方の長側辺に図4(a)〜(c)のように、側壁43を有したものを配置する。
このように、ベース51上に配設された波板プレート40の上側に、図9の通り、植え穴10に固形培地20を保持した定植パネル板1を載置する。定植パネル板1は波板プレート40の凸条41に当接する。すべての植え穴10は、凹条42の上方に位置する。
定植パネル板1の底面は、ベース51の上面から、波板プレート40の最頂部と最底面との距離E(図9(b))だけ上位に位置する。波板プレート40の肉厚をeとした場合、凹条42の深さは(E−e)で表わされる。
図9のように、固形培地20の張出部22がテーパー部12に係合した状態(図9(a))にある定植パネル板1を波板プレート40上に載置すると、図9(b)の通り、固形培地20の底面の角縁が波板プレート40の凹条42の斜面部分(波板プレート40の最底部と最頂部との途中部分)に当接し、固形培地20が上方に押し上げられて張出部22がテーパー部12から離反する。
この状態で、最上流の波板プレート40に養液を供給し、最下流の波板プレート40まで流下させる。養液を凹条42の深さ(E−e)の約10〜45%程度とするように流し、定植パネル板1下面と養液Lの液面との間には湿気空間が形成されるようにする。図9(b)の通り、植え穴10の内面と固形培地20の側面との間に十分に大きな通気スペース(間隙)が形成されているので、固形培地20の下部にも十分に空気(酸素)が供給される。
固形培地20は、底面の角縁が凹条42の斜面部分に当接するので、固形培地20の底面と凹条42の最底面との間にはスペースが生じ、該スペースを養液Lが流下する。固形培地20の下端部の養液Lに対する浸漬深さdは0.5〜4mm程度が好ましい。これにより、固形培地20に対し十分な量の養液及び空気(酸素)が与えられ、図10の通り、植物の栽培が良好に行われる。
なお、上記植え穴10では、テーパー部12の下側に小径円筒部14が設けられているが、図11の植え穴10Aの通り、小径円筒部14を省略し、大径円筒部11よりも下側はテーパー部12のみとしてもよい。植え穴10Aのその他の構成は植え穴10と同一である。この植え穴10の寸法の一例を挙げると、テーパー部12の高さ10mm、その他寸法は植え穴10と同一である。
本発明では、図12の植え穴10Bのように、植え穴10Bの下部に定植パネル板厚み方向(植え穴10Bの軸心線と平行方向)に延在する切り欠き状の凹条15を設けてもよい。このような凹条15を設けると、定植パネル板1の上面側と下面側との通気性がさらに向上する。植え穴10Bのその他の構成は植え穴10と同一である。
本発明に使用できる栽培装置は、図13に例示されるように、希釈された養液を貯める親タンク86を有し、この親タンク86から養液を供給する少なくとも1つ以上の子タンク73が配置されている。子タンク73から最上流側の各波板プレート40の各凹条42に養液が供給される。波板プレート40上に、固形培地20を保持した定植パネル板1が載置されている。
この親タンク86に、原液タンク(図示略)内の液肥原液と、水道水などの水が、供給制御弁84a,85a付き配管84,85から供給され、所定濃度の養液が調製される。親タンク86で調製された所定濃度の養液がポンプ87、配管88、三方弁89、流量計90及びボールタップ91を介して各子タンク73に分配供給される。三方弁89には、給水用配管92が接続されており、該三方弁89を切り替え操作することにより子タンク73に配管92からの水を供給できるよう構成されている。各子タンク73内の液は、ポンプ74及び配管75を介して最上流側の各波板プレート40に供給される。
これにより、各波板プレート40に、親タンク86で調製された均一の濃度の養液(希釈養液)を常に供給することができる。
図13では、勾配をつけて配置した波板プレート40の上に複数枚の定植パネル板1を配列した栽培ベット列61を複数列(図示では4列)配列して栽培ベット群62としている。1つの栽培ベット群62に1個の子タンク73が付随して設置されている。
図13のように、栽培ベット群62毎に子タンク73を設けることで、子タンク73で栽培する養液を比較的に少量で管理することができる。収穫が終了すると、1つの栽培ベット群62に使用していた養液は廃棄され、新しい養液で栽培を開始することが好ましい。
これにより、前期作の栽培によって養液内に流出した、根からの分泌物(有機酸など)や、根の表皮細胞の脱落などの影響を受けることがなく、次期で栽培される野菜も、安定して栽培が可能となる。
従来の方法では、共通のタンクにより各々の栽培ベット槽に養液を供給して栽培しているため、使用している養液は、新しい養液を都度、つけ足ししながら養液を使いまわすことになり、根からの分泌物や、根の表皮細胞が蓄積され、栽培が繰り返されるにつれて自家中毒と呼ばれる生育阻害を発生させてしまう。
また、従来法の場合でも養液をすべて新しくすることはできるが、タンクと各々の栽培ベット槽のすべてを同時に養液を入れ替える作業となるため、大量の養液を同時に廃棄することが必要となり、さらにこの作業中は、すべての野菜栽培ができないことになる。その結果、この間は、野菜が出荷できず、定期的な野菜の出荷ができないという問題がある。
図13では、1つの栽培ベット群62で使用した養液を、配管76を介して当該栽培ベット群62の子タンク73に戻して、養液を循環させる。子タンク73内には、ボールタップ91等によって親タンク86から養液が追加供給され、子タンク73内の養液は一定に保たれる。
図13では、一部の栽培ベット群62では栽培を続行している間に、他の栽培ベット群62では清掃(収穫が終了した後の清掃)を行うなど、各栽培ベット群62ごとに、別々に工程を進めることができる。
また、1つの栽培ベット群62で病原菌が発生した場合にも、他の栽培ベット群62への病原菌の感染を抑制することができる。即ち、親タンク86まで養液を戻さないので、養液を循環させる閉鎖回路(栽培ベット群62)内だけで汚染が止まる。
各子タンク73へは、給水用配管92及び三方弁89を介して水が導入可能である。各栽培ベット群62で栽培している葉菜類の栽培後期において、養液の供給から水の供給へ切り替えることにより、子タンク73と栽培ベット群62を循環する養液の肥料濃度を低下させることができる。その結果、栽培後期において、植物体内の硝酸量を、徐々に削減させることが可能となり、硝酸量を減少させた状態で葉菜類の収穫を行うことができる。
植物体内の硝酸は、人体に取り込まれるとアミド態の窒素と結合して、ニトロソアミンを生成する。栽培後期に養液の肥料濃度を低くすることにより、植物体内の硝酸濃度を低減することができる。また、使用していた養液中の窒素、リン酸、カリも栽培後期において低濃度とすることにより、収穫が終了した後、養液の廃棄においても、環境への負荷を大幅に軽減することができる。
[基本条件]
基本条件として、勾配を1/100に配置した波板プレート40上に、119穴/m2の植え穴10を有する定植パネル板1を配置した。ホウレンソウの苗を有した固形培地20を定植パネル板1の各植え穴10に挿入し、定植した。
波板プレート40の上面側に養液(養液濃度:EC3.0dS/m、養液温度:20℃)を毎分10〜15リットルの流量で供給し、ホウレンソウを定植後15日間、養液で栽培した。
なお、波板プレート40は、長さ3m、幅0.79m、凸条ピッチ76mm、凹条深さ18mmのポリカーボネイト樹脂製である。
[実施例1]
波板プレート40の上面を、サンドブラスト処理により表面粗さRa=40μmとした。親水性シートは使用せず、上記基本条件でホウレンソウを栽培した。根の生育状態も良好であり、ホウレンソウの生育状態も良好であった。
[実施例2]
波板プレート40の上面のサンドブラスト処理を行わず、表面粗さRa=0.2μmとしたこと以外は実施例1と同一条件でホウレンソウを栽培した。根の生育状況に多少の差が見られるものの、ホウレンソウの生育状態は良い状態であった。