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JP2017165645A - 化学強化ガラスの製造方法 - Google Patents

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JP2017165645A JP2017027974A JP2017027974A JP2017165645A JP 2017165645 A JP2017165645 A JP 2017165645A JP 2017027974 A JP2017027974 A JP 2017027974A JP 2017027974 A JP2017027974 A JP 2017027974A JP 2017165645 A JP2017165645 A JP 2017165645A
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直己 上村
Naomi Uemura
直己 上村
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

【課題】化学強化を行なってもガラスの強度が低下するのを効果的に抑制する化学強化ガラスの製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、硝酸カリウムと特定の塩を含む無機塩組成物にナトリウムを含むガラスを接触させることによって、ガラス中のNaイオンと前記無機塩組成物中のKイオンとをイオン交換する工程を含む化学強化ガラスの製造方法であって、前記イオン交換する工程の前までに、ガラス表面を研磨する工程、前記イオン交換する工程の後にガラスを洗浄する工程、前記洗浄する工程の後にガラスを酸処理する工程、及び前記酸処理する工程の後にガラスをアルカリ処理する工程、を含み、前記研磨する工程では、ショアA硬度が25〜65°かつ100g/cm2での沈み込み量が0.05mm以上の研磨パッドを用いて研磨を行う、化学強化ガラスの製造方法に関する。【選択図】図2

Description

本発明は化学強化ガラスの製造方法に関する。
デジタルカメラ、携帯電話または携帯情報端末PDA(Personal Digital Assistants)等のフラットパネルディスプレイ装置において、ディスプレイの保護および美観を高めるために、画像表示部分よりも広い領域となるように薄い板状のカバーガラスをディスプレイの前面に配置することが行われている。ガラスは理論強度が高いものの、傷がつくことで強度が大幅に低下するため、強度が求められるカバーガラスには、イオン交換等によりガラス表面に圧縮応力層を形成した化学強化ガラスが用いられている。
フラットパネルディスプレイ装置に対する軽量化および薄型化の要求に伴い、カバーガラス自身も薄くすることが要求されている。したがってカバーガラスには、その目的を満たすためにさらなる面強度が求められる。
化学強化ガラスの強度を向上するために、従来、化学強化処理後に表面エッチング処理を施すことが知られている(特許文献1)。
ここで、ガラスの強度に関し、ガラス中の水素(水分)の存在によってガラスの強度が低下することが知られている(非特許文献1、2)。
特表2013−516387号公報
S.ITO et.al.,"Crack Blunting of High−Silica Glass",Journal of the American Ceramic Society,Vol.65,No.8,(1982),368−371 Won−Taek Han et.al.,"Effect of residual water in silica glass on static fatigue",Journal of Non−Crystalline Solids,127,(1991)97−104
本発明者らは、化学強化後にガラスの強度が低下することがあり、その主原因は雰囲気中の水分がガラス表層に侵入することにより化学的欠陥が生成するためであることを見出した。また、この現象は化学強化に限らず、ガラスの製造工程において昇温工程を経ることにより発生することを見出した。
ガラス表層の水分を除去する手法として、化学強化後のガラス表面を研磨したり、フッ酸等に浸漬してエッチング処理をする等の手法により、水分を含有する層を削り取ることも考えられる。しかしながら研磨によってガラス表面が傷つき、強度がかえって低下してしまうおそれがある。また、ガラス表面に潜傷がある場合、フッ酸等を用いたエッチング処理では、潜傷が拡大し、ピットによる外観不良が発生するおそれがある。さらに、フッ酸は安全面から取り扱いに注意を要する。
本発明は、化学強化を行なってもガラスの強度が低下するのを効果的に抑制する化学強化ガラスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、化学強化ガラスを製造する際に、イオン交換する工程の前までにガラス表面を研磨する工程を設け、該研磨する工程において、特定の研磨パッドを用いて研磨を行うことにより、落球試験における面強度(落球面強度)に優れた化学強化ガラスが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]硝酸カリウムを含む無機塩にナトリウムを含むガラスを接触させることによって、ガラス中のNaイオンと前記無機塩中のKイオンとをイオン交換する工程を含む化学強化ガラスの製造方法であって、
前記無機塩はKCO、NaCO、KHCO、NaHCO、KPO、NaPO、KSO、NaSO、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含み、
前記イオン交換する工程の前までに、ガラス表面を研磨する工程、
前記イオン交換する工程の後にガラスを洗浄する工程、
前記洗浄する工程の後にガラスを酸処理する工程、及び
前記酸処理する工程の後にガラスをアルカリ処理する工程、を含み、
前記研磨する工程は、ショアA硬度が25〜65°かつ100g/cmでの沈み込み量が0.05mm以上の、表面が不織布又はスウェードである研磨パッドを用いて研磨され、
得られた化学強化ガラスの、下記条件で測定した落球試験による割れ高さが25cm超である、化学強化ガラスの製造方法。
落球試験条件:
板厚0.55mmのガラス板の周囲5mmを枠に乗せる。次いで112gのステンレス鋼球をガラス板のコーナーから10mm×10mmの位置に上から5回自然落下させ、ガラス板の割れの有無を確認する。前記ステンレス鋼球の高さをガラス板が割れる高さまで順次上げていき、ガラス板が割れた高さを測定する。同様の試験を10回行い、ガラス板が割れた高さが最も低かった値を、ガラス板の割れ高さとする。
[2]前記ショアA硬度が45〜60°である、前記[1]に記載の製造方法。
[3]前記研磨する工程が、表面が不織布である研磨パッドを用いて研磨される、前記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]前記100g/cmでの沈み込み量が0.10mm以上である前記[1]〜[3]のいずれか1に記載の製造方法。
[5]得られた化学強化ガラスの前記割れ高さが40cm以上である、前記[1]〜[4]のいずれか1に記載の製造方法。
[6]硝酸カリウムを含む無機塩組成物にナトリウムを含むガラスを接触させることによって、ガラス中のNaイオンと前記無機塩組成物中のKイオンとをイオン交換する工程を含む化学強化ガラスの製造方法であって、
前記無機塩組成物はKCO、NaCO、KHCO、NaHCO、KPO、NaPO、KSO、NaSO、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩又は塩基を含み、
前記イオン交換する工程の前までに、ガラス表面を研磨する工程、
前記イオン交換する工程の後にガラスを酸処理する工程、及び
前記酸処理する工程の後にガラスをアルカリ処理する工程、を含み、
前記研磨する工程は、ショアA硬度が25〜65°かつ100g/cmでの沈み込み量が0.05mm以上の研磨パッドを用いて研磨を行う、化学強化ガラスの製造方法。
[7]前記ショアA硬度が45〜60°である、前記[6]に記載の製造方法。
[8]前記研磨する工程が、表面が不織布である研磨パッドを用いて研磨を行う、前記[6]又は[7]に記載の製造方法。
[9]前記100g/cmでの沈み込み量が0.10mm以上である前記[6]〜[8]のいずれか1に記載の製造方法。
[10]得られた化学強化ガラスの、下記条件で測定した落球試験による割れ高さが40cm以上である、前記[6]〜[9]のいずれか1に記載の製造方法。
落球試験条件:
板厚0.55mmのガラス板の周囲5mmを枠に乗せる。次いで112gのステンレス鋼球をガラス板のコーナーから10mm×10mmの位置に上から5回自然落下させ、ガラス板の割れの有無を確認する。前記ステンレス鋼球の高さをガラス板が割れる高さまで順次上げていき、ガラス板が割れた高さを測定する。同様の試験を10回行い、ガラス板が割れた高さが最も低かった値を、ガラス板の割れ高さとする。
[11]前記イオン交換する工程の後、且つ前記酸処理する工程の前に、ガラスを洗浄する工程を含む、前記[6]〜[10]のいずれか1に記載の製造方法。
本発明に係る化学強化ガラスの製造方法では、イオン交換する工程の前までにガラス表面を研磨する工程を含み、前記研磨する工程を特定の研磨パッドで行うことによって、落球面強度に優れた化学強化ガラスを得ることができる。
図1は、落球試験の方法を説明するための概略図である。 図2(a)〜図2(d)は、本発明に係る化学強化ガラスの製造工程を表す模式図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
<化学強化ガラスの製造方法>
本発明に係る化学強化ガラスを製造する方法の一態様を以下に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(ガラス組成)
本発明で使用されるガラスはナトリウムを含んでいればよく、成形、化学強化処理による強化が可能な組成を有するものである限り、種々の組成のものを使用することができる。具体的には、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラス、鉛ガラス、アルカリバリウムガラス、アルミノボロシリケートガラス等が挙げられる。
ガラスの製造方法は特に限定されず、所望のガラス原料を連続溶融炉に投入し、ガラス原料を好ましくは1500〜1600℃で加熱溶融し、清澄した後、成形装置に供給した上で溶融ガラスを板状に成形し、徐冷することにより製造することができる。
なお、ガラスの成形には種々の方法を採用することができる。例えば、ダウンドロー法(例えば、オーバーフローダウンドロー法、スロットダウン法およびリドロー法等)、フロート法、ロールアウト法およびプレス法等の様々な成形方法を採用することができる。
ガラスの厚みは、特に制限されるものではないが、化学強化処理を効果的に行うために、通常5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。また、厚すぎると重量が重くなり、実用的でなくなることから5mm以下であることが好ましい。また、後述する酸処理による面強度の向上効果が特に現れる観点から、ガラスの厚みは1mm以下であることがさらに好ましく、0.7mm以下であることが特に好ましい。
一方、ガラスの厚みが薄すぎるとガラスの強度が十分担保できなくなるおそれがあることから、0.4mm以上が好ましい。
また、本発明で使用されるガラスの形状は特に限定されない。例えば、均一な板厚を有する平板形状、表面と裏面のうち少なくとも一方に曲面を有する形状および屈曲部等を有する立体的な形状等の様々な形状のガラスを採用することができる。
本発明の製造方法で得られる化学強化ガラスの組成としては特に限定されないが、例えば、以下のガラスの組成が挙げられる。
(i)酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiOを50〜80%、Alを2〜25%、LiOを0〜10%、NaOを0〜18%、KOを0〜10%、MgOを0〜15%、CaOを0〜5%およびZrOを0〜5%を含むガラス
(ii)酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiOを50〜74%、Alを1〜10%、NaOを6〜14%、KOを3〜11%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrOを0〜5%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が75%以下、NaOおよびKOの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス
(iii)酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiOを68〜80%、Alを4〜10%、NaOを5〜15%、KOを0〜1%、MgOを4〜15%およびZrOを0〜1%含有するガラス
(iv)酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiOを67〜75%、Alを0〜4%、NaOを7〜15%、KOを1〜9%、MgOを6〜14%およびZrOを0〜1.5%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が71〜75%、NaOおよびKOの含有量の合計が12〜20%であり、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス
本発明に係る製造方法で得られる化学強化ガラスは、ガラス表面に、イオン交換された圧縮応力層を有する。イオン交換法では、ガラスの表面をイオン交換し、圧縮応力が残留する表面層を形成させる。具体的には、ガラス転移点以下の温度で、イオン交換によりガラス板表面のイオン半径が小さなアルカリ金属イオン(典型的には、Liイオン、Naイオン)をイオン半径のより大きいアルカリイオン(典型的には、Liイオンに対してはNaイオンまたはKイオンであり、Naイオンに対してはKイオン)に置換する。これにより、ガラスの表面に圧縮応力が残留し、ガラスの強度が向上する。
本発明の製造方法において、化学強化は、カリウムイオンを含有する無機塩組成物にガラスを接触させることにより行なわれる。これによりガラス表面のNaイオンと無機塩組成物中のKイオンとがイオン交換されることで、高密度な圧縮応力層が形成される。無機塩組成物にガラスを接触させる方法としては、ペースト状の塩をガラスに塗布する方法、塩の水溶液をガラスに噴射する方法、融点以上に加熱した溶融塩の塩浴にガラスを浸漬させる方法などが可能であるが、これらの中では、溶融塩に浸漬させる方法が望ましい。
無機塩としては化学強化を行うガラスの歪点(通常500〜600℃)以下に融点を有するものが好ましく、本発明においては硝酸カリウム(融点330℃)を含有する無機塩組成物である。硝酸カリウムを含有することでガラスの歪点以下で溶融状態であり、かつ使用温度領域においてハンドリングが容易となることから好ましい。無機塩組成物における硝酸カリウムの含有量は50質量%以上であることが好ましい。
無機塩組成物はさらに、KCO、NaCO、KHCO、NaHCO、KPO、NaPO、KSO、NaSO、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩又は塩基(以下、「融剤」と称することもある。)を含有する。中でもKCO、NaCO、KHCO及びNaHCOからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含有することが好ましい。
上記融剤は、Si−O−Si結合に代表されるガラスのネットワークを切断する性質を有する。化学強化処理を行う温度は数百℃と高いので、その温度下でガラスのSi−O間の共有結合は適度に切断され、後述する低密度化処理が進行しやすくなる。
なお、共有結合を切断する度合いはガラス組成や用いる塩(融剤)の種類、化学強化処理を行う温度、時間等の化学強化処理条件によっても異なるが、Siから伸びている4本の共有結合のうち、1〜2本の結合が切れる程度の条件を選択することが好ましいものと考えられる。
例えば融剤としてKCOを用いる場合には、無機塩組成物における融剤の含有量を0.1mol%以上とし、化学強化処理温度を350〜500℃とすると、化学強化処理時間は1分〜10時間が好ましく、5分〜8時間がより好ましく、10分〜4時間がさらに好ましい。
融剤の添加量は表面水素濃度制御の点から0.1mol%以上が好ましく、1mol%以上がより好ましく、2mol%以上が特に好ましい。また生産性の観点から各塩又は塩基の飽和溶解度以下が好ましい。また、融剤を過剰に添加するとガラスの腐食につながるおそれがある。例えば、融剤としてKCOを用いる場合には、24mol%以下が好ましく、12mol%以下がより好ましく、8mol%以下が特に好ましい。
無機塩組成物は、硝酸カリウム及び融剤の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で他の化学種を含んでいてもよく、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等のアルカリ塩化塩やアルカリホウ酸塩などが挙げられる。これらは単独で添加しても、複数種を組み合わせて添加してもよい。
(工程1−ガラス表面の研磨−)
工程1では、ガラス表面を研磨する。研磨手段としては、ショアA硬度が25〜65°かつ100g/cmでの沈み込み量が0.05mm以上である研磨パッドを用いる。コストの面から、表面が不織布である研磨パッドを用いることがより好ましい。
ショアA硬度は研磨パッドの表面の硬さを示す指標であることから、ショアA硬度が25〜65°の研磨パッドとは、表面の素材のショアA硬度が25〜65°であることと同義である。
ショアA硬度が25°未満であると、ガラス表面を研磨した際に、ガラス表面の傷を十分に浅くすることができず、化学強化後のガラスの面強度が不十分なものとなる。また、ショアA硬度が65°超であると、研磨パッドの表面が硬すぎて、かえってガラス表面に傷をつけ、面強度を低下させてしまうおそれがある。
研磨パッド表面のショアA硬度は45°以上がより好ましく、また、60°以下がより好ましい。
研磨パッドの100g/cmでの沈み込み量は、研磨パッドを円形固定式圧盤の上に固定し、上から1cmあたり100gの荷重をかけた際の沈み込み量を卓上型精密万能試験機、例えば島津製作所製AGS−Xにより測定することで求めることができる。該沈み込み量が0.05mm未満であると、ショアA硬度が65°以下であっても、研磨装置の定盤や研磨パッド自身等によってガラス表面が傷つくおそれがある。そのため、該沈み込み量は0.05mm以上とし、0.10mm以上がより好ましい。
研磨パッドの表面は不織布又はスウェードであることが好ましく、不織布であることがより好ましい。研磨パッドの表面が不織布である場合には、不織布自身が厚いことが多いことから、不織布のみからなることが多い。一方、表面がスウェードである場合には、スウェードは薄いものが多いことから、不織布やポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン等の樹脂の下地上にスウェードを貼り付けた研磨パッドとすることが多い。
スウェードが不織布や樹脂等の上に貼り付けられた研磨パッドの場合、貼り付けた不織布や樹脂の種類によって沈み込み量が左右される。研磨パッドの100g/cmでの沈み込み量を0.05mm以上とするために、下地の厚みを変更する等して、沈み込み量を調整することが可能である。
研磨パッドは、ショアA硬度が25〜65°かつ100g/cmでの沈み込み量が0.05mm以上であればよいが、ショアA硬度と沈み込み量の好ましい組み合わせも存在する。すなわち、ショアA硬度が45°以上の場合には、100g/cmでの沈み込み量は0.10mm以上であることがより好ましい。
上記研磨手段の条件を満たせば、研磨時の荷重(研磨圧)、研磨装置の定盤の回転速度や、砥粒の種類、粒径、濃度等といった研磨条件は特に制限されない。
例えば、砥粒は酸化セリウム、コロイダルシリカ等を用いることができる。砥粒の平均粒径は0.02〜2.0μmを好適に用いることができる。砥粒の濃度は、スラリーとした際の比重が1.03〜1.13が好ましい。
研磨圧は6〜20kPaが好ましく、研磨装置の定盤の回転速度は最外周の周速が毎分20〜100mであることが好ましい。
例えば平均粒径約1.2μmの酸化セリウムを水に分散させて比重1.07のスラリーを作製し、不織布タイプ、またはスウェードタイプの研磨パッドを用いて、研磨圧9.8kPaの条件で、片面あたり0.5μm以上ガラスの表面を研磨する等の一般的な方法で行うことができる。ただし、この時の不織布タイプ又はスウェードタイプの研磨パッドのショアA硬度は25〜65°であり、100g/cmでの沈み込み量は0.05mm以上である。
ガラス表面を研磨することで、ガラス表面のマクロな傷が除去され、面強度を向上することができる。ガラス表面の研磨は、後述する工程4の化学強化処理(イオン交換)の前までに行うことが好ましい。
以下、ガラスを溶融塩に浸漬させる方法により化学強化を行う態様を例に、本発明の製造方法を説明する。
(溶融塩の製造1)
溶融塩は下記に示す工程により製造することができる。
工程2a:硝酸カリウム溶融塩の調製
工程3a:硝酸カリウム溶融塩への融剤の添加
(工程2a−硝酸カリウム溶融塩の調製−)
工程2aでは、硝酸カリウムを容器に投入し、融点以上の温度に加熱して溶融することで、溶融塩を調製する。溶融は硝酸カリウムの融点(330℃)と沸点(500℃)の範囲内の温度で行う。特に溶融温度を350〜470℃とすることが、ガラスに付与できる表面圧縮応力(CS)と圧縮応力層深さ(DOL)のバランスおよび強化時間の点からより好ましい。
硝酸カリウムを溶融する容器は、金属、石英、セラミックスなどを用いることができる。中でも、耐久性の観点から金属材質が望ましく、耐食性の観点からはステンレススチール(SUS)材質が好ましい。
(工程3a−硝酸カリウム溶融塩への融剤の添加−)
工程3aでは、工程2aで調製した硝酸カリウム溶融塩中に、先述した融剤を添加し、温度を一定範囲に保ちながら、攪拌翼などにより、全体が均一になるように混合する。複数の融剤を併用する場合、添加順序は限定されず、同時に添加してもよい。
温度は硝酸カリウムの融点以上、すなわち330℃以上が好ましく、350〜500℃がより好ましい。また、攪拌時間は1分〜10時間が好ましく、10分〜2時間がより好ましい。
(溶融塩の製造2)
上記の溶融塩の製造1では、硝酸カリウムの溶融塩の調製後に融剤を加える方法を例示したが、溶融塩はまた、下記に示す工程により製造することができる。
工程2b:硝酸カリウムと融剤の混合
工程3b:硝酸カリウムと融剤との混合塩の溶融
(工程2b―硝酸カリウムと融剤の混合―)
工程2bでは、硝酸カリウムと融剤とを容器に投入して、攪拌翼などにより混合する。複数の融剤を併用する場合、添加順序は限定されず、同時に添加してもよい。容器は上記工程2aで用いるものと同様のものを用いることができる。
(工程3b―硝酸カリウムと融剤との混合塩の溶融―)
工程3bでは、工程2bにより得られる混合塩を加熱して溶融する。溶融は硝酸カリウムの融点(330℃)と沸点(500℃)の範囲内の温度で行う。特に溶融温度を350〜470℃とすることが、ガラスに付与できる表面圧縮応力(CS)と圧縮応力層深さ(DOL)のバランスおよび強化時間の点からより好ましい。攪拌時間は1分〜10時間が好ましく、10分〜2時間がより好ましい。
上記工程2a及び工程3a又は工程2b及び工程3bを経て得られる溶融塩において、融剤の添加により析出物が発生する場合には、ガラスの化学強化処理を行う前に、当該析出物が容器の底に沈殿するまで静置する。この析出物には、飽和溶解度を超えた分の融剤や、融剤のカチオンが溶融塩中で交換された塩が含まれる。
本願発明の製造方法で用いる溶融塩は、Na濃度が好ましくは500重量ppm以上であり、より好ましくは1000重量ppm以上である。溶融塩におけるNa濃度が500重量ppm以上であることで、後述する酸処理工程により、低密度層が深化しやすくなるため好ましい。Na濃度の上限としては特に制限はなく、所望の表面圧縮応力(CS)が得られるまで許容できる。
なお、化学強化処理を1回以上行なった溶融塩にはガラスから溶出したナトリウムが含まれている。したがって、Na濃度が既に上記範囲内であれば、ガラス由来のナトリウムをそのままNa源として用いてもよいし、Na濃度が満たない場合や、化学強化未使用の溶融塩を用いる場合には、硝酸ナトリウム等の無機ナトリウム塩を添加することにより調整することができる。
以上、上記工程2a及び工程3a又は工程2b及び工程3bにより、溶融塩を調製することができる。
(化学強化)
次に、調製した溶融塩を用いて化学強化処理を行う。化学強化処理は、ガラスを溶融塩に浸漬し、ガラス中の金属イオン(Naイオン)を、溶融塩中のイオン半径の大きな金属イオン(Kイオン)と置換することで行われる。このイオン交換によってガラス表面の組成を変化させ、ガラス表面が高密度化した圧縮応力層20を形成することができる[図2(a)〜図2(b)]。このガラス表面の高密度化によって圧縮応力が発生することから、ガラスを強化することができる。
なお実際には、化学強化ガラスの密度は、ガラスの中心に存在する中間層30(バルク)の外縁から圧縮応力層表面に向かって徐々に高密度化してくるため、中間層30と圧縮応力層20との間には、密度が急激に変化する明確な境界はない。ここで中間層とは、ガラス中心部に存在し、圧縮応力層に挟まれる層を表す。この中間層は圧縮応力層とは異なり、イオン交換がされていない層である。
本発明における化学強化処理は、具体的には、下記工程4により行うことができる。
工程4:ガラスの化学強化処理
工程4では、ガラスを予熱し、上記工程2a及び工程3a又は工程2b及び工程3bで調製した溶融塩を、化学強化を行う温度に調整する。次いで予熱したガラスを溶融塩中に所定の時間浸漬したのち、ガラスを溶融塩中から引き上げ、放冷する。なお、ガラスには、化学強化処理の前に、用途に応じた形状加工、例えば、切断、端面加工および穴あけ加工などの機械的加工を行うことが好ましい。
ガラスの予熱温度は、溶融塩に浸漬する際の温度に依存するが、一般に100℃以上であることが好ましい。
化学強化温度は、被強化ガラスの歪点(通常500〜600℃)以下が好ましく、より高い圧縮応力層深さを得るためには特に350℃以上が好ましい。
ガラスの溶融塩への浸漬時間は1分〜10時間が好ましく、5分〜8時間がより好ましく、10分〜4時間がさらに好ましい。かかる範囲にあれば、強度と圧縮応力層の深さのバランスに優れた化学強化ガラスを得ることができる。
本発明の製造方法では続いて、化学強化処理後に下記工程6を行うが、その前に工程5を行うことが好ましい。
工程5:ガラスの洗浄
工程6:ガラスの酸処理
上記工程6まで経た時点で、ガラス表面には圧縮応力層の表層が変質した、具体的には低密度化された、低密度層10をさらに有することとなる[図2(b)〜図2(c)]。低密度層とは、圧縮応力層の最表面からNaやKが抜け(リーチングし)、代わりにHが入り込む(置換する)ことによって形成される。
以下、工程5及び工程6について詳述する。
(工程5−ガラスの洗浄−)
工程5では工水、イオン交換水等を用いてガラスの洗浄を行う。中でもイオン交換水が好ましい。洗浄の条件は用いる洗浄液によっても異なるが、イオン交換水を用いる場合には0〜100℃で洗浄することが、付着した塩を完全に除去させる点から好ましい。
(工程6−酸処理−)
工程6では、イオン交換したガラス、好ましくはその後工程5で洗浄したガラスに対して、さらに酸処理を行う。
ガラスの酸処理とは、酸性の溶液中に、化学強化ガラスを浸漬させることによって行い、これにより化学強化ガラス表面のNa及び/又はKをHに置換することができる。
溶液は酸性であれば特に制限されずpH7未満であればよく、用いられる酸が弱酸であっても強酸であってもよい。具体的には塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、炭酸及びクエン酸等の酸が好ましい。これらの酸は単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
酸処理を行う温度は、用いる酸の種類や濃度、時間によっても異なるが、100℃以下で行うことが好ましい。
酸処理を行う時間は、用いる酸の種類や濃度、温度によっても異なるものの、10秒〜5時間が生産性の点から好ましく、1分〜2時間がより好ましい。
酸処理を行う溶液の濃度は、用いる酸の種類や時間、温度によって異なるものの、容器腐食の懸念が少ない濃度が好ましく、具体的には0.1重量%〜20重量%が好ましい。
低密度層は、後述するアルカリ処理により除去されるため、低密度層が厚いほどガラス表面が除去されやすい。したがって低密度層の厚みはガラス表面除去量の観点から5nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましい。低密度層の厚みは化学強化工程における融剤濃度、ナトリウム濃度、温度、時間等により制御することができる。
低密度層の密度は、ガラス表面除去性の観点から、イオン交換された圧縮応力層よりも深い領域(バルク)の密度に比べて低いことが好ましい。
低密度層の厚みはX線反射率法(X−ray−Reflectometry:XRR)によって測定した周期(Δθ)から求めることができる。
低密度層の密度はXRRによって測定した臨界角(θc)により求めることができる。
なお、簡易的には走査型電子顕微鏡(SEM)でガラスの断面を観察することによって、低密度層の形成と層の厚みを確認することも可能である。
本発明の製造方法では続いて、酸処理後に下記工程を行う。
工程7:アルカリ処理
上記工程7により、工程6までに形成された低密度層の一部又は全部を除去することができる[図2(c)〜図2(d)]。
以下、工程7について詳述する。
(工程7−アルカリ処理−)
工程7では、工程6で酸処理したガラスに対して、さらにアルカリ処理を行う。
アルカリ処理とは、塩基性の溶液中に、化学強化ガラスを浸漬させることによって行い、これにより低密度層の一部又は全部を除去することができる。
溶液は塩基性であれば特に制限されずpH7超過であればよく、弱塩基を用いても強塩基を用いてもよい。具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の塩基が好ましい。これらの塩基は単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
アルカリ処理を行う温度は、用いる塩基の種類や濃度、時間によっても異なるが、0〜100℃が好ましく、10〜80℃がより好ましく、20〜60℃が特に好ましい。かかる温度範囲であればガラスが腐食するおそれがなく好ましい。
アルカリ処理を行う時間は、用いる塩基の種類や濃度、温度によっても異なるものの、10秒間〜5時間が生産性の点から好ましく、1分間〜2時間がより好ましい。
アルカリ処理を行う溶液の濃度は、用いる塩基の種類や時間、温度によって異なるものの、ガラス表面除去性の観点から0.1重量%〜20重量%が好ましい。
上記アルカリ処理により、Hが侵入した低密度層の一部又は全部が除去され、ガラスの表層が露出する。これにより面強度が向上した化学強化ガラスを得ることができる。さらに、低密度層が除去されることでガラス表面に存在していた傷も同時に除去されるので、この点も面強度向上に寄与すると考えられる。
また本発明の製造方法では、化学強化処理の前に、ガラス表面を研磨することで、大きな表面傷を予め除去している。この予めの研磨と、化学強化処理、酸・アルカリ処理とにより、ガラス表面のマクロな傷とミクロな傷とが除去されて、ガラスの面強度が格段に向上されると推測される。
上記酸処理工程6およびアルカリ処理工程7の間や、アルカリ処理工程7の終了後に、工程5と同様の洗浄工程を有することが好ましい。
本発明の製造方法によれば、取り扱う薬液の安全性が高いため特別な設備を必要としない。したがって、面強度が格段に向上した化学強化ガラスを安全かつ効率的に得ることができる。
なお、除去される低密度層の量は、アルカリ処理の条件による。図2(d)には、低密度層10が全て除去された態様を示すが、低密度層10の一部が除去され一部が残存していてもよい。面強度向上の観点からは、低密度層の全部が取り除かれずとも効果を得ることができるが、ガラスの透過率を安定的に確保する観点から低密度層の全部を取り除くことが好ましい。
本発明の化学強化ガラスの製造方法によれば、研磨されていても面強度を向上させた化学強化ガラスを得ることができる。そして溶液への浸漬により処理を進めることができるため、様々なガラス形状や大面積のガラスに対応しやすい点、ガラスの両面を同時に処理できる点で効率的である。また、ガラス表面に潜傷が予め存在する場合でも、ピットによる外観不良がなく、面強度が向上された化学強化ガラスを得ることができる。さらに、フッ酸等を用いたエッチング処理に比べ、安全性が高くまた低コストである。
<化学強化ガラス>
本発明に係る製造方法により得られた化学強化ガラスは、表層にイオン交換法により形成された圧縮応力層を有する化学強化ガラスであって、下記条件で測定した落球試験による割れ高さが25cm超であることが好ましい。前記割れ高さの値は高いほど好ましいが、40cm以上がより好ましい。
落球試験条件:
板厚0.55mmのガラス板の周囲5mmを枠に乗せる。次いで112gのステンレス鋼球をガラス板のコーナーから10mm×10mmの位置に上から5回自然落下させ、ガラス板の割れの有無を確認する。前記ステンレス鋼球の高さをガラス板が割れる高さまで順次上げていき、ガラス板が割れた高さを測定する。同様の試験を10回行い、ガラス板が割れた高さが最も低かった値を、ガラス板の割れ高さとする。
本発明に係る製造方法により得られた化学強化ガラスは、表面に研磨傷を有していてもよい。ここで、本発明における研磨とは、砥粒を用いてガラス表面を削ることにより平滑化することをいう。表面研磨の手段は先述したとおりであり、研磨方法は特に限定されず、通常の方法が含まれる。また、研磨傷の有無はAFM(Atomic Force Microscope;原子間力顕微鏡)による表面観察によって判別することができ、10μm×5μm領域内に長さ5μm以上のスクラッチが1本以上存在するという場合に、表面に研磨傷を有する状態ということができる。
(ガラス面強度)
本発明に係る製造方法により得られた化学強化ガラスの面強度は、先述した落球試験により評価することができる。
(落球試験)
落球試験の方法を説明するための概略図である図1を参照して説明する。板厚0.55mmのガラス板4を水平に試験台1に載置し、ガラス板4の周囲5mmを試験台1の枠に乗せる。次いで112gのステンレス鋼球3をガラス板4のコーナーから10mm×10mmの位置Pに上から5回自然落下させ、ガラス板4の割れの有無を確認する。前記ステンレス鋼球3を落下させる高さは球支持台2で調整できるが、該落下させる高さをガラス板4が割れる高さまで順次上げていき、ガラス板4が割れた高さを測定する。同様の試験を10回行い、ガラス板が割れた高さが最も低かった値を、ガラス板の割れ高さとする。
落球試験において、ガラス板は、ステンレス鋼球が落ちる側と反対側の主面から割れる。落球試験では、ガラス板のコーナーから10mm×10mmの位置Pに上からステンレス鋼球を5回自然落下させるが、ステンレス鋼球の落下点が毎回僅かにずれる。そのため、5回の落下では落下地点周辺の傷を拾い、傷があった場合にはそこを起点にガラス板が割れる(破壊される)こととなる。すなわち落球試験とは、より実用的な面強度を測定する試験方法である。
本発明に係る製造方法により得られた化学強化ガラスの面強度として、上記落球試験による割れ高さが高いほど好ましいが、下限は25cm超であることが好ましく、40cm以上であることがより好ましい。
なお、ガラスの板厚が0.55mm以外のガラスの面強度を測定する場合、板厚が0.55mm未満の場合には割れ高さが低くなる傾向にあり、板厚が0.55mm超の場合には、割れ高さが高くなる傾向にある。
ガラスの板厚と割れ高さの関係を一義に定めるのは難しいものの、例えばガラスの板厚を0.50mmに変更した以外は上記落球試験と同様の方法で落球試験を行った場合、割れ高さは20cm以上が好ましく、30cm以上がより好ましい。
また、ガラスの板厚を2.00mmに変更した以外は上記落球試験と同様の方法で落球試験を行った場合、割れ高さは250cm以上が好ましく、300cm以上がより好ましい。
すなわち、ガラスの板厚が0.50mm超0.55mm未満の場合の割れ高さの好ましい下限は、20cm超25cm以下の間に存在するものと推測される。また、ガラスの板厚が0.55mm超2.00mm未満の場合の好ましい割れ高さの下限は、25cm超250cm未満の間に存在するものと推測される。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<評価方法>
本実施例における各種評価は以下に示す分析方法により行った。
(ガラスの評価:面強度)
ガラス面強度は落球試験により割れ高さとして測定した。図1に、本発明で用いた落球試験を説明するための概略図を示す。ガラス板4を水平に試験台1に載置し、ガラス板4の周囲5mmを試験台1の枠に乗せた。次いで112gのステンレス鋼球3をガラス板4のコーナーから10mm×10mmの位置Pに上から5回自然落下させ、ガラス板4の割れの有無を確認した。ガラス板4が割れなかった場合には球支持台2を調整し、ステンレス鋼球3を落下させる高さを5cm刻みで高くし、同様の方法にてガラス板4の割れの有無を確認した。このように、ガラス板4が割れる高さまでステンレス剛球3を落下させる高さを順次上げていき、ガラス板4が割れた高さを測定した。
同様の試験を1種類のガラス板当たり10回ずつ行い、ガラス板が割れた高さが最も低かった値を、ガラス板の割れ高さとした。
<実施例1>
(研磨工程)
138mm×67mm×0.55mmのアルミノシリケートガラスを用意し、ガラス表面の研磨を行った。研磨パッドは不織布とし、ショアA硬度は58°、100g/cmでの沈み込み量は0.11mmであった。平均粒径1.2μmの酸化セリウムを水に分散させて比重1.07のスラリーを作製し、研磨圧9.8kPaの条件で、片面あたり2.5μmを両面同時に研磨した。AFM測定により測定された表面粗さ(Ra)は1.2nmであった。
AFM測定条件:Atomic Force Microscope(XE−HDM;Park systems社製)、スキャンサイズ:5μm×5μm、カラースケール:±1nm、スキャン速度:1Hz。
アルミノシリケートガラス組成(酸化物基準のモル%表示):SiO 68%、Al 10%、NaO 14%、MgO 8%、比重:2.41
(化学強化工程)
SUS製のカップに硝酸カリウム9700g、炭酸カリウム890g、硝酸ナトリウム400gを加え、マントルヒーターで450℃まで加熱して炭酸カリウム6mol%、ナトリウム10000重量ppmの溶融塩を調製した。研磨工程で得られたガラスを200〜400℃に予熱した後、450℃の溶融塩に2時間浸漬し、イオン交換処理した後、室温付近まで冷却することにより化学強化処理を行った。得られた化学強化ガラスは水洗いし、次の工程に供した。
(酸処理工程)
6.0重量%の硝酸(HNO;関東化学社製)を樹脂製の槽に用意し、フッ素樹脂被覆ヒーター(KKS14A;八光電機製)を用いて40℃に温度調整を行った。前記化学強化工程で得られたガラスを、調整した硝酸中に120秒間浸漬させ、酸処理を行い、その後純水で数回洗浄した。こうして得られたガラスを次の工程に供した。
(アルカリ処理工程)
4.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液を樹脂製の槽に用意し、フッ素樹脂被覆ヒーター(KKS14A;八光電機製)を用いて40℃に温度調整を行った。酸処理工程で得られたガラスを、調整した水酸化ナトリウム水溶液中に120秒間浸漬させ、アルカリ処理を行い、その後純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。
以上より、実施例1の化学強化ガラスを得た。
<実施例2>
研磨工程において研磨材を平均粒径0.5μmの酸化セリウムとした以外は実施例1と同様に化学強化ガラスを製造した。
<実施例3>
研磨工程において不織布上にスウェードが貼り付けられた研磨パッドとした以外は実施例1と同様に化学強化ガラスを製造した。研磨パッドのショアA硬度は29°、100g/cmでの沈み込み量は0.06mmであった。
<実施例4>
研磨工程において、研磨パッドを、ショアA硬度が47°、100g/cmでの沈み込み量が0.20mmの不織布とし、研磨材を平均粒径0.6μmの酸化セリウムとした以外は実施例1と同様に化学強化ガラスを製造した。
<比較例1>
研磨工程において、研磨パッドを、ショアA硬度が74°、100g/cmでの沈み込み量が0.05mmの不織布とした以外は実施例1と同様に化学強化ガラスを製造した。
<比較例2>
化学強化工程において、溶融塩中のナトリウム量を2000ppmとし、酸処理及びアルカリ処理を行わない以外は実施例1と同様に化学強化ガラスを製造した。
<比較例3>
研磨工程において、研磨パッドを、ショアA硬度が68°、100g/cmでの沈み込み量が0.15mmの不織布とした以外は実施例4と同様に化学強化ガラスを製造した。
<比較例4>
研磨工程において、研磨パッドを、ショアA硬度が96.5°、100g/cmでの沈み込み量が0.02mmの硬質ウレタンとした以外は実施例1と同様に化学強化ガラスを製造した。
こうして得られた化学強化ガラスについて落球試験を行なった。結果を表1に示す。
Figure 2017165645
研磨する工程において、ショアA硬度が25〜65°かつ100g/cmでの沈み込み量が0.05mm以上の、表面が不織布又はスウェードである研磨パッドを用いて研磨した実施例1〜4は、落球試験による割れ高さが高く、優れた落球面強度を示した。
一方、ショアA硬度が65°超の硬い不織布からなる研磨パッドを用いて研磨した比較例1及び3は、用いた不織布の種類が異なる以外は実施例1及び4とそれぞれ同一の条件にて化学強化ガラスを製造したにも関わらず、その割れ高さはそれぞれ20cm、25cmと低い値を示し、落球面強度が低い結果となった。
また、従来研磨に多く用いられる硬質ウレタンパッドからなる研磨パッドはショアA硬度が高く、かつ沈み込み量も小さい、非常に硬い研磨パッドである。この硬質ウレタンパッドからなる研磨パッドを研磨に用いた比較例4の割れ高さは20cmであった。
また、実施例1と同じ研磨パッドを用いた場合であっても、酸処理及びアルカリ処理を伴わない化学強化処理で得られた比較例2の化学強化ガラスは、割れ高さが15cmと落球面強度は大きく劣る結果となった。
<参考例1>
138mm×67mm×0.50mmのアルミノシリケートガラスを用意した以外は実施例1と同様にして化学強化ガラスを得た。落球試験条件におけるガラスの板厚を0.50mmにした以外は実施例と同様の落球試験を行ったところ、その割れ高さは35cmであった。
<参考例2>
138mm×67mm×2.00mmのアルミノシリケートガラスを用意した以外は実施例1と同様にして化学強化ガラスを得た。落球試験条件におけるガラスの板厚を2.00mmにした以外は実施例と同様の落球試験を行ったところ、その割れ高さは112gのステンレス鋼球換算で306cmであった。
<参考例3>
138mm×67mm×0.50mmのアルミノシリケートガラスを用意した以外は比較例1と同様にして化学強化ガラスを得た。落球試験条件におけるガラスの板厚を0.50mmにした以外は実施例と同様の落球試験を行ったところ、その割れ高さは15cmであった。
<参考例4>
138mm×67mm×2.00mmのアルミノシリケートガラスを用意した以外は比較例1と同様にして化学強化ガラスを得た。落球試験条件におけるガラスの板厚を2.00mmにした以外は実施例と同様の落球試験を行ったところ、その割れ高さは112gのステンレス鋼球換算で205cmであった。
以上の結果より、本発明に係る製造方法によれば、落球面強度に非常に優れた化学強化ガラスを得ることができる。
本発明によれば、面強度が大幅に向上した化学強化ガラスを安全かつ低コストで得ることができる。本発明に係る製造方法により得られた化学強化ガラスは、携帯電話、デジタルカメラまたはタッチパネルディスプレイ等のディスプレイ用カバーガラスに用いることができる。
1 試験台
2 球支持台
3 ステンレス剛球
4 ガラス板
10 低密度層
20 圧縮応力層
30 中間層

Claims (11)

  1. 硝酸カリウムを含む無機塩にナトリウムを含むガラスを接触させることによって、ガラス中のNaイオンと前記無機塩中のKイオンとをイオン交換する工程を含む化学強化ガラスの製造方法であって、
    前記無機塩はKCO、NaCO、KHCO、NaHCO、KPO、NaPO、KSO、NaSO、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含み、
    前記イオン交換する工程の前までに、ガラス表面を研磨する工程、
    前記イオン交換する工程の後にガラスを洗浄する工程、
    前記洗浄する工程の後にガラスを酸処理する工程、及び
    前記酸処理する工程の後にガラスをアルカリ処理する工程、を含み、
    前記研磨する工程は、ショアA硬度が25〜65°かつ100g/cmでの沈み込み量が0.05mm以上の、表面が不織布又はスウェードである研磨パッドを用いて研磨され、
    得られた化学強化ガラスの、下記条件で測定した落球試験による割れ高さが25cm超である、化学強化ガラスの製造方法。
    落球試験条件:
    板厚0.55mmのガラス板の周囲5mmを枠に乗せる。次いで112gのステンレス鋼球をガラス板のコーナーから10mm×10mmの位置に上から5回自然落下させ、ガラス板の割れの有無を確認する。前記ステンレス鋼球の高さをガラス板が割れる高さまで順次上げていき、ガラス板が割れた高さを測定する。同様の試験を10回行い、ガラス板が割れた高さが最も低かった値を、ガラス板の割れ高さとする。
  2. 前記ショアA硬度が45〜60°である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記研磨する工程が、表面が不織布である研磨パッドを用いて研磨される、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記100g/cmでの沈み込み量が0.10mm以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 得られた化学強化ガラスの前記割れ高さが40cm以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 硝酸カリウムを含む無機塩組成物にナトリウムを含むガラスを接触させることによって、ガラス中のNaイオンと前記無機塩組成物中のKイオンとをイオン交換する工程を含む化学強化ガラスの製造方法であって、
    前記無機塩組成物はKCO、NaCO、KHCO、NaHCO、KPO、NaPO、KSO、NaSO、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩又は塩基を含み、
    前記イオン交換する工程の前までに、ガラス表面を研磨する工程、
    前記イオン交換する工程の後にガラスを酸処理する工程、及び
    前記酸処理する工程の後にガラスをアルカリ処理する工程、を含み、
    前記研磨する工程は、ショアA硬度が25〜65°かつ100g/cmでの沈み込み量が0.05mm以上の研磨パッドを用いて研磨を行う、化学強化ガラスの製造方法。
  7. 前記ショアA硬度が45〜60°である、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記研磨する工程が、表面が不織布である研磨パッドを用いて研磨を行う、請求項6又は7に記載の製造方法。
  9. 前記100g/cmでの沈み込み量が0.10mm以上である請求項6〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 得られた化学強化ガラスの、下記条件で測定した落球試験による割れ高さが40cm以上である、請求項6〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
    落球試験条件:
    板厚0.55mmのガラス板の周囲5mmを枠に乗せる。次いで112gのステンレス鋼球をガラス板のコーナーから10mm×10mmの位置に上から5回自然落下させ、ガラス板の割れの有無を確認する。前記ステンレス鋼球の高さをガラス板が割れる高さまで順次上げていき、ガラス板が割れた高さを測定する。同様の試験を10回行い、ガラス板が割れた高さが最も低かった値を、ガラス板の割れ高さとする。
  11. 前記イオン交換する工程の後、且つ前記酸処理する工程の前に、ガラスを洗浄する工程を含む、請求項6〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
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